【発明の詳細な説明】
モルタル混和材およびその製造方法
発明の分野
本発明は水性セメント混和材、そしてより特に(a)C8−C30脂肪酸または
その誘導体(例えば塩、エステルもしくはトリグリセリド)、(b)カルボキシ
ルセメント−固定員およびオキシアルキレン基が結合されている炭素−含有骨格
を有する重合体を含んでなる曲げ接合強度増進物質、並びに場合により(c)混
和材が内部に加えられているモルタルの操作性を改良するための空気担持混和材
を含んでなる、メーソンリーモルタル中の曲げ接合強度および撥水性を改良する
ための混和材に関する。本発明はまたこれらの混和成分を含有するセメント組成
物およびこれらの混和成分を含むメーソンリーモルタル曲げ強度を改良するため
の方法にも関する。
発明の背景
メーソンリーモルタルはコンクリートブロック、粘土煉瓦、コンクリートメー
ソンリー単位および他のメーソンリー単位を建物または土木工学構造体中に一体
化するために使用される接合剤でぁる。モルタルの機能はメーソンリー単位間の
完全な、強力な耐性のある接合を与えることてある。
モルタルの他の機能は漏出を防止することである。そこで、水からの保護がメ
ーソンリー設計における主要な作業上の考慮点である。例えば、漏出性のメーソ
ンリー壁は凍結−解凍による損傷、風化、および水分透
過による内表面損傷により耐性および美的外観を失うことがありうる。コンクリ
ートメーソンリー単位中での水分または水の漏出の影響を最少にするために、メ
ーソンリー単位および/またはモルタル中に撥水性物質、例えばステアリン酸カ
ルシウムを加えることが知られており、それは例えばペンシルヴァニア州ピッツ
バーグのPPGインダストリーズから入手できる。コンクリートメーソンリー単
位およびモルタル中で使用できる他の撥水性物質には石鹸、脂肪酸類、ワックス
エマルション類、およびメチルシリコーン類が包含される。撥水性物質の添加が
個々のメーソンリー単位およびモルタル連結部中の水の透過を効果的に最少にす
る。
しかしながら、本発明者により見いだされた問題の1つはモルタル中への撥水
性物質の導入が生じたモルタル連結部の硬化時の曲げ接合強度における減少をも
たらすことである。曲げ接合強度は圧縮強度とは概念的に異なる。例えば、屋根
の重さのような下向きの圧縮負荷がモルタルにより連結されている積層煉瓦製の
壁にかけられる時には、その上にかけられた応力水準はモルタル連結部の上に大
体均一に分布される。しかしながら、曲げ負荷はモルタル連結部に例えば自由起
立性煉瓦壁に対して向けられた風の力によってかけられる。この場合には、特定
のモルタル連結部上の力は均一に分布されず、むしろ他の部位に対して圧縮と一
緒に力をかけながら連結している煉瓦の1面を引っ張って離すことに近い。
本発明の目的は曲げ接合強度の損失を避けながら撥水性を得るための新規な混
和材および方法を発見することである。
発明の要旨
先行技術の欠点を克服する際に、本発明は(a)少なくとも1種のC8−C30
脂肪酸またはその誘導体、例えば塩、エステル、もしくはトリグリセリド、並び
に(b)セメント−固定員並びにアミド、イミド、およびエステルよりなる群か
ら選択される結合により結合されているオキシアルキレン基が結合されている炭
素−含有骨格を有する重合体を含んでなる少なくとも1種の曲げ接合強度増進物
質を含んでなる、メーソンリーモルタル中の撥水性および曲げ接合強度を改良す
るための組成物を提供する。好適な脂肪酸塩類はステアリン酸カルシウムおよび
ステアリン酸亜鉛である。
本発明の好適な混和材組成物に、上記の混和材成分が中に加えられているメー
ソンリーモルタルの操作性を高めるために空気担持剤をさらに加えてもよい。空
気担持剤は曲げ接合強度増進重合体骨格上にグラフト化してもよく、或いは他の
混和材成分と共に別個に含んでいてもよく、および/またはメーソンリーモルタ
ルに別個に加えてもよい。
「セメント固定」という語は湿っているセメント質モルタル中の重合体のカル
ボキシレート基とカルシウムカチオンとの間で生成するイオン結合をさすことを
意味するが、重合体骨格上の非−イオン性懸垂基が水性モルタル混合物内のセメ
ント粒子の分散を促進させると信じられている。組み合わせ重合体の例はエチレ
ン系−不飽和単量体から製造された骨格および骨格上の非イオン性懸垂基として
のエチレンオキシド(「EO」)基、プロピレンオキシド(「PO」)基、また
は組み合わせ(一般的には「EO/PO」)基を含んでなる。
本発明はまた、セメント質結合剤、少なくとも1種のC8−C30脂肪酸または
その誘導体(例えば、塩、エステル、またはトリグリセリド)、
少なくとも1種の上記の曲げ接合強度増進物質組成物、および好適には少なくと
も1種の空気担持混合物(AEA)を含んでなる、セメント質組成物、例えばメ
ーソンリーモルタルも提供する。
本発明の方法の例は例えばモルタルの如き水性セメント質組成物中に少なくと
も1種のC8−C30脂肪酸またはその誘導体、および少なくとも1種の上記の曲
げ接合強度増進物質を加えることを含む。好適には、脂肪酸塩(例えばステアリ
ン酸カルシウムまたはステアリン酸亜鉛)は分散液の形態でそしてより好適には
曲げ接合強度増進物質と予備混合した状態で加えられる。他の方法の例はさらに
空気担持混合物を別個にまたは脂肪酸および曲げ接合強度増進成分と予備混合し
た状態で加えて、これらの成分が加えられているメーソンリーモルタルまたはセ
メントの操作性を改良することも含んでなる。
本発明の他の特徴および利点は以下に挙げられている。
例示態様の詳細な記述
ここで使用されている「セメント組成物」とう語は水性セメント接合剤を含ん
でなるペースト、モルタル、グラウト、例えば油田セメントグラウト、およびコ
ンクリート組成物をさす。「ペースト」、「モルタル」および「コンクリート」
という語は業界用語であり、ペーストは水性セメント、接合剤(一般的にはポー
トランドセメント、メーソンリーセメント、またはモルタルセメントであるがそ
れらに限定されず、そして石灰石、水和石灰、フライアッシュ、ブラストファー
ナススラグおよび発煙シリカまたはそのようなセメント中に一般的に含まれる他
の物質を含んでいてもよい)および水からなる混合物であり、モルタルはさらに
微細なアグリゲートも含むペーストであり、そしてコンクリートはさらに
粗いアグリゲートも含むモルタルである。本発明のセメント組成物は必要量のあ
る種の物質、例えば水性セメント、水、および微細または粗いアグリゲートを混
合することにより製造でき、製造しようとする特定のセメント組成物を製造する
ために適用できる。
本発明の混和材の例は好適には水性形態(例えば、分散液)の少なくとも1種
のC8−C30脂肪酸またはその誘導体、例えばエステルもしくは塩(例えばステ
アリン酸カルシウム)および少なくとも1種の曲げ接合強度増進物質を含んでな
る。
本発明のメーソンリー添加剤組成物の例は5−97%そしてより好適には30
−95%の(乾燥)重量合計固体分の量の脂肪酸またはその誘導体(例えば、塩
、エステル、トリグリセリド)、1−95%そしてより好適には3−70%の(
乾燥)重量固体分の量の以上およびさらに以下に記載されている曲げ接合強度増
進重合体、および場合により(しかし好適には)0.3−3.0%の(乾燥)重量
合計固体分の量の空気担持剤を含んでなる。(百分率は一緒に組み合わされる時
のメーソンリー添加剤成分の合計乾燥重量固体分を基にしている)。
C8−C30脂肪酸またはその誘導体は式:
RFACOO−A
[式中、RFAはC7−C29(またはより好適にはC9−C19)アルキル(アルキレ
ン)基を表し、そしてA=H、C1−C12線状もしくは分枝鎖状アルキル基、ア
ルカリもしくはアルカリ土類金属カチオン、多価カチオン、グリセロール部分(
例えば、ポリヒドロキシアルコール)、またはC1−C12線状もしくは分枝鎖状
のアルキルもしくはアルカノールアミンである]
により表すことができる。「アルキル(アルキレン)」という語はここでは線状
または分枝鎖状のアルキルおよびアルキレン基を包括することを意味する。好適
な脂肪酸類および脂肪酸誘導体はステアリン酸およびパルミチン酸カルシウム、
ステアリン酸およびパルミチン酸亜鉛、ステアリン酸およびパルミチン酸ブチル
、オレイン酸およびリノール酸を含有するトール油、ナトリウムタレート(sodiu
m tallate)、カリウムタレート(potassium tallate)、オレイン酸ブチル、また
はそれらの混合物である。ミリスチン酸塩およびラウリン酸塩も好ましい。ステ
アリン酸カルシウムが特に好ましく、それはステアリン酸カルシウム、パルミチ
ン酸塩および他の脂肪酸類の混合物を含んでいてもよい分散液の形態で市販され
ている。
本発明の曲げ接合強度増進物質の例は以下にさらに記載されているようなカル
ボキシルセメント固定基および非−イオン性懸垂基が付着されている重合体骨格
を含んでなっていることができる。
好適な曲げ接合強度増進物質は例えばコネチカットのW.R.グレース・アンド
・カンパニーに譲渡された米国特許第5,393,343号に教示されているもの
のようなイミド化されているアクリル系重合体またはその共重合体を含んでなり
、そしてこの特許はここでは引用することにより発明の内容となる。イミド化さ
れている重合体は「アクリル系重合体」であり、その語は例えばアクリル酸、メ
タクリル酸、それらのアルカリ金属塩類、並びにそれらのC1−C30アルキルエ
ステル類のホモ重合体または共重合体を意味する。さらに、アクリル系重合体反
応物および生じたイミド系されたアクリル系重合体は他の一重および二重エチレ
ン系不飽和単量体、例えばスチレン、アルファ−メチルスチレン、スルホン
化スチレン、マレイン酸、アクリロニトリル、ブタジエンなどから誘導される単
位を含有してもよい。そのような他のエチレン系不飽和単量体誘導単位は、存在
時には、生ずるイミド化されたアクリル系重合体が水溶性である限り重合体中に
合計重合体の約20重量%までの(好適には約10重量%までの)量で存在する
ことができる。
イミド化されたアクリル系重合体は例えばアクリル系重合体をアンモニアまた
はアルコキシル化アミンと反応させることにより製造できる。所望するアクリル
系重合体の製造において有用なアミン反応物はアンモニアまたは式:
H2N−(BO)n−R''
[式中、BOはC2−C10(好適にはC2−C4)オキシアルキレン基を表し、こ
こでOは酸素原子を表しそしてBはC2−C10(好適にはC1−C4)アルキレン
基または混合物を表し、そしてR''はC1−C10(好適にはC1−C4)アルキル
基を表し、そしてnは1−200そして好適には1−70から選択される整数で
ある]
により表されるアルキル−末端アルコキシアミンから選択することができる。反
応条件および触媒は一般的に既知である。例えば、米国特許第5,393,343
号3−4欄を参照のこと。(表示「B」はホウ素を表さない)。
本発明における曲げ接合強度増進物質としての使用に適するイミド化されたア
クリル系重合体の例は
[式中、各々のRは独立して水素原子またはメチル基(CH3基)を表し、Aは
水素原子、C1−C10(好適にはC2−C4)オキシアルキレン基(BO)または
C1−C10アルキル基(R'')で終結している複数(1−200)好適には1−7
0)の該基またはそれらの混合物であり、そしてそしてa、b、c、およびdは
aが約50−70の値なら、c+dの合計は少なくとも2ないし(100−a)
の値でありそして好適には3−10であり、そしてbは[100−(a+c+d
)]より多くないような重合体の構造のモル百分率を表す数値である]
の構造式を有する。
ここでの曲げ接合強度増進物質として有用なイミド化されたアクリル系重合体
の例は、Aが水素原子またはアルカリ金属カチオンであり、R'が少なくとも5
0−90重量%の重合体でありそしてポリオキシエチレンもしくはポリオキシプ
ロピレン単位またはそれらの混合物を含んでなる上記の式により表される。さら
に、aは60−70の数値を有し
てよく、そしてcおよびdの合計は少なくとも3(好適には少なくとも5)ない
し(100−a)の値である。
他の曲げ接合強度増進物質の例は骨格を形成するためのエチレン系−不飽和カ
ルボン酸の重合および骨格に多数の他の非−イオン性懸垂基をグラフト化または
その他の方法での結合により得ることができる。骨格は空気−吐出機能性側鎖が
共有結合されているカルボン酸グラフト化部位を含んでなっていてもよい。炭素
骨格は場合により酸素のような介在原子(すなわち、エーテル結合)を含有して
いてもよい。適するグラフト化部位は遊離カルボン酸(またはその塩)の基を含
む。炭素骨格はエチレン系−不飽和単量体、好適にはエチレン系−不飽和カルボ
ン酸類(例えば、アリルカルボン酸類)、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マ
レイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、(メタ)アリルスルホン酸、
ビニルスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリルア
ミド2−メチルプロパンスルホン酸、メサコン酸、またはジカルボン酸半−エス
テル類の重合により製造するとができる。好適なポリカルボン酸炭素骨格は、例
えば、ポリアクリルまたはポリメタクリル酸である。5−〜200−量体が好ま
しく、5−〜150量体がより好ましく、そして5−〜100−量体が特に好ま
しい。好適にはポリカルボン酸骨格上の約5%もしくはそれ以上の、より好適に
は約10%もしくはそれ以上の、カルボン酸基がエステル化されずに残っている
。
非−イオン性懸垂基の例は、セメントまたはモルタル中に担持されている空気
の品質および水準を安定化するために化学的に機能しそして炭素骨格のグラフト
化部位に共有結合されている空気担持用機能性側鎖を含んでなっていてよい。側
鎖は従って一般式:
R4−(OA2)x−Q−
[式中、Q=OまたはNHであり、
A2=C1−C10アルキレンであり、
x=1−200であり、そして
R4=C1−C10アルキルである]
のポリオキシアルキレン基を含んでなっていてよい。
アルキル(アルキレン)という語はここでは線状または分枝鎖状のアルキル(
アルキレン)基を包括することを意味し、そして(構造的に可能なら)アリール
(アリーレン)およびアリールアルキル(アルキレン)基も含む。好適な空気吐
出用機能性側鎖においては、A2=C2−C5アルキレンであり、より好適にはO
A2基がエチレンオキシド(「EO」)およびプロピレンオキシド(「PO」)
の混合物である。空気吐出機能性側鎖中のEO/POの重量比が約3:1〜0.
3:1、より好適には約1.5:1〜0.6:1であり、Qが好適にはOであり、
そしてxが好適には1〜100である時に空気吐出性能が特に良好であるようで
ある。R4は有利にはブチル、好適にはn−ブチル基、である。ハンツマン・ケ
ミカル・コーポレーション(テキサス州ヒューストン)から商品名ジェフォック
ス(JEFFOX)として入手できるある範囲のポリオキシアルキレンアルコール類が本
発明の曲げ接合強度増進物質、例えばジェフォックス(JEFFOX)WL5000およ
びWL6000、の中に空気吐出機能性側鎖として加えられる時には適切に機能
するであろう。これらのポリオキシアルキレンアルコール類はそれぞれ約350
0および1850の数平均分子量を有しており、そして式
(C4H9)(OA2)xOH[式中、OA2はEOおよびPOの混合物であり、
接合強度増進物質の炭素骨格にグラフト化/付着しうる他のポリオキシアルキ
レンアミン類の例はここでは一般式:
R5−O−(A3O)y−(A3)p−NH2
[式中、
A3=C1−C10アルキレンであり、
y=1−200であり、
p=1−50であり、そして
R5=C1−C10アルキルである]
を有することができる。そのようなポリオキシアルキレンアミン類を炭素骨格に
グラフト化することまたはアミンおよび/またはイミド結合により結合すること
ができ、その場合には結合された基は式
R5−O−(A3O)y−(A3)p−N=(「=」記号は他の原子に対する、例えば骨
格上の2つのカルボニル炭素、すなわちイミド結合、に対するまたは骨格上の水
素原子およびカルボニル炭素に対する2つの共有結合を意味する)を有するであ
ろう。好適なポリオキシアルキレンアミン類においては、A3=C2−C5アルキ
レンであり、より好適にはA3O基がEOおよびPOの混合物である。約7:1
〜0.5:1のEO/PO重量比が適することが見いだされている。yは好適に
は1−100の範囲である。pは好適には1−5、より好適には1−2、の範囲
である。R5は好適にはメチル(CH3−)である。例えば、ハンツマン・ケミカ
ル・コーポレーション(テキサス州ヒューストン)から商品名ジェファミン(JEF
FAMINE)として入手できるそれらのそれぞれの生成物番号に対応する数平均分子
量を有するポリオキシアルキレンアミン類、例えばジェ
ファミン(JEFFAMINE)M1000およびM2070、が適することが見いだされ
ている。ジェファミン類は式CH3O(A3O)yCH2CH(CH3)NH2[式中、A3
OはEOおよびPOの混合物である]を有する。
ポリアクリル酸中のアクリル酸単量体対a)ポリオキシアルキレンアミンおよ
びb)ポリオキシアルキレンアルコールのモル比は一般的に約2:1〜9:1で
あり、そしてa)対b)の重量比は一般的には約20:1〜2:1である。骨格
上にグラフト化されたポリオキシアルキレンアルコール側鎖の量を変えることに
より、曲げ接合増進重合体を本発明に従い製造することができ、それがセメント
質混合物中の担持された空気中の対応する変動を生ずるであろうことが容易にわ
かる。1つの好適な曲げ接合強度増進物質はa)式CH3O(A3O)yCH2CH(
CH3)NH2[式中、A3OはEOおよびPOの混合物でありそしてEO/PO重
量比は約5:1〜0.5:1である]のポリオキシアルキレンアミン類およびb
)式(C4H9)(OA2)xOH[式中、OA2はEOおよびPOの混合物でありそし
てEO/PO重量比は1:1である]のポリオキシアルキレンアルコール類がグ
ラフト化されているポリアクリル酸(「PAA」)を含んでなる。
本発明の他の曲げ接合強度増進物質の例は式
[式中、各々のR1は独立して水素原子またはC1−C5アルキル基を表し、Aは
ZおよびR2の混合物を表し、Zは水素原子、1価もしくは2価金属カチオン、
アンモニウム基または有機アミン基を表し、R2は(BO)nR3(ここでOは酸素
原子を表し、BはC1−C10アルキレン基を表し、R3はC1−C10アルキル基を
表しそしてnは1−200の整数である)により表される空気吐出ポリオキシア
ルキレン基、またはそれらの混合物を表し、R6は(BO)nR3により表される
ポリオキシアルキレン基を表し、そしてa、b、c、およびdはaが約1−99
の値なら、c+dの合計は0ないし(100−a)の数値でありそしてbは[1
00−(a+c+d)]の残りの値であるような重合体の構造のモル百分率を表
す数値である]
を有する重合体を含んでいてよい。
「a」は好適には約30−99、より好適には50−99である。R2基にお
いて、Bは好適にはC2−C5アルキレン基を表し、R3はC1−C4アルキル基を
表し、そしてnは1−100の整数を表す。より好適には、BO基はEOおよび
POの混合物である。EO/POの重量比が約3:1〜0.3:1、より好適に
は約1.5:1〜0.6:1である時に空気吐出性能が特に良好であるようである
。R4は有利にはブチル、
好適にはn−ブチル基である。
R6は(BO)nR3により表されるポリオキシアルキレン基であり、そして有利
にはR5−O−(A3O)y−(A3)p−[式中、A3=C1−C10アルキレンであり、
y=1−200であり、p=1−50であり、そしてR5=C1−C10アルキルで
ある]である。好適には、A3=C2−C5アルキレンであり、より好適にはA3O
基はEOおよびPOの混合物である。約7:1〜0.5:1のEO/PO重量比
が適することが見いだされた。yは好適には1−100の範囲である。pは好適
には1−5、より好適には1−2、の範囲である。R5は好適にはメチル(CH3
−)である。特に好適な態様では、a)R6が式
CH3O(A3O)yCH2CH(CH3)−[式中、A3OはEOおよびPOの混合物で
あり、そしてEO/PO重量比は約5:1〜0.5:1である]のものであり、
そしてb)R2が(C4H9)(OA2)xO−[式中、OA2は
る]のものである。
曲げ接合強度増進物質の例はポリオキシアルキレンアミンをポリカルボン酸骨
格上にグラフト化し(アミド化/イミド化反応)、次にポリカルボン酸骨格上に
空気吐出用ポリオキシアルキレンアルコールを(エステル化反応により)グラフ
ト化することにより製造できる。アミンを骨格上にグラフト化する前にアルコー
ルが骨格上にグラフト化されると信じられている。これらの反応は酸素を含まな
い雰囲気中で、水の除去を促進させるためのコンデンサー、例えばディーンース
ターク(DEAN-STARK)TMトラップと適合されるジャケット付きのコイルで巻かれた
コンデンサー、を有する反応容器中で実施される。(反応工程中に、水(反応副
生物)が除去されて反応を完了させる。)アミド化/イミド化段階中に、反応物
を互いに接触させそして約1−8時間、好適には約1.5−2.5時間にわたり、
またはアミド/イミド化が完了するまで、100℃−約185℃に加熱する。(
ここでも、反応のさらなる詳細に関しては引用することにより本発明の内容とな
る米国特許第5,393,343号を参照のこと。)エステル化反応のためには、
触媒を加えてグラフト重合体に対するポリオキシアルキレンアルコールのエステ
ル化に触媒作用を与える。エステル生成に触媒作用を与えるであろう試薬(すな
わち、脱水剤、ここでは化学反応において水の生成を促進させるもの、例えばナ
フタレンスルホン酸、カルボジイミド、またはp−トルエンスルホン酸)を使用
してもよく、p−トルエンスルホン酸が好ましい。温度は100℃−約185℃
に約1−8時間、好適には約1.5−2.5時間にわたり、またはエステル化が
完了するまで、保たれる。水副生物は以上の通りにして除去される。反応容器を
冷却し、反応生成物を中和しそして所望するならまたは所望する投与量でのセメ
ント組成物への添加にとって必要なら混合物の合計固体分を溶媒を用いて調節す
る。生ずる重合体がここに記載されている特徴を有する限り、他の製造方法を使
用してもよい。例えば、引用することにより本発明の内容となる米国特許第4,
471,100号および第4,946,904号により例示されているようなエチ
レン系の重合可能なカルボン酸類およびエチレン系の重合可能なポリオキシアル
キレン類の重合により得られるタイプのある種のポリオキシアルキレン接合強度
増進重合体は炭素骨格およびグラフト化部位(カルボン酸基)を含んでなる。こ
こに記載されているような空気吐出用機能性側鎖をエステル化してこれらのポリ
オキシアルキレン接合強度増進重合
体の遊離カルボン酸基とし、ここに詳細が記載されている利点を与えることが意
図される。そのような生じた空気−調節用の接合強度増進重合体は本発明の範囲
内であると考えられる。
曲げ接合強度増進重合体物質はセメントもしくはモルタル生成または使用のい
ずれの段階でも加えうることはわかるであろう。例えば、1種のC8−C30脂肪
酸または誘導体(好適には、ステアリン酸カルシウム)を含むまたは含まない重
合体をセメントミルでクリンカーセメント原料物質とその粉砕中に混合してセメ
ント粉末を製造することができる。重合体をセメント粉末にそれと他の乾燥物質
との配合中に適用して特殊タイプのセメント、例えば配合セメント、ポゾラニッ
クセメントなどを製造することもできる。或いは、本発明の改良されたセメント
を現場で例えばモルタルミックスまたはコンクリートの如きセメント組成物の製
造過程中に製造することもできる。好適には予備−混合された形態の曲げ接合強
度増進重合体物質を、好適には例示されている脂肪酸塩(例えば、好適には分散
液の形態のステアリン酸カルシウム(「CSD」))として水溶液状で水和水の
一部として加えることができ、或いは別個に加えることもできる。
本発明における曲げ接合強度増進物質として有用な別の組み合わせ重合体の例
は下記の式(I);
[式中、「Z」は2−8個のヒドロキシ基を有する化合物の基を表し、「AO」
は炭素数2−18のオキシアルキレン基を表し、「X」は炭素数2−5の不飽和
炭化水素基を表し、「R」は炭素数1−40の炭化水素基を表し、「a」は1−
1,000を表し、「l」は1−7を表し、「m」は0−2を表し、そして「n
」は1−7を表し、「l」+「m」+「n」=2−8であり、「m」/(「l」
+「n」)は1/2もしくはそれ以下であり、そして「al」+「bm」+「c
n」は1もしくはそれ以上である]により表されるポリオキシアルキレン誘導体
および無水マレイン酸の共重合体、この共重合体の加水分解された生成物、また
は加水分解された生成物の塩を含んでなる。以上で示されている共重合体はアキ
モト(Akimoto)他に発行された米国特許第4,946,904号に教示されており
、その特許はここに示されている全てが引用することにより本発明の内容となる
。
本発明における使用のための別の曲げ接合強度増進物質の例はN−ビニルアミ
ド類とアミン類、アミノ酸類、アミノ基含有芳香族スルホン酸類、無水マレイン
酸のアミノアルコール類並びにポリオキシアルキレングリコール類のマレイン酸
エステル類またはそれらのモノエーテル類の単量体状付加生成物との水溶性線状
共重合体を含んでなっていてよい。1つの構造単位は式(A)によりまたは式(
B)により表され、他の部分的な構造単位は式(C)により表される:
[式中、R1およびR2は同一もしくは相異なっていてよく、各々が水素、場合に
よりアルカリ金属カルボキシレートもしくはアルカリ土類金属カルボキシレート
基を含んでいてよいC1−C20アルキル基、芳香族基、場合によりスルホン酸基
またはアルカリ金属スルホネートもしくはアルカリ土類金属スルホネート基を含
んでいてよい脂肪族または脂環式基、ヒドロキシアルキル基、好適にはヒドロキ
シエチル−もしくはヒドロキシプロピル基を現すか、或いはそれらが結合されて
いる窒素原子と一緒になってモルホリン環を形成してもよく、
Mは水素イオン、1価もしくは2価金属イオンまたは置換されたアンモニウム基
を表し、
Rは水素原子または炭素数1−4のアルキル基を表し、
P、q、およびrは整数であり、aは1−100の範囲の整数を表し、
R3およびR4は同一もしくは相異なっていてよく、各々が水素、C1−C12-アル
キル基、フェニル基を表すか、或いは一緒になってジ−、トリ−、またはテトラ
メチレン基を形成してもよく、それらは式:
の基を含んで5、6、または7員の環を形成し、
R5およびR6は同一もしくは相異なっていてよく、各々が水素、C1−C12-アル
キル基またはフェニル基を表し、そして
Xは水素、C1−C4-アルキル基、カルボン酸基、またはアルカリ金属カルボキ
シレート基を表す]。そのような共重合体は既知でありそしてブルゲ(Burge)他
に発行されそしてシカ(Sika)AGに譲渡された米国特許第5,100,984号に
教示されており、その特許はここに引用されて本発明の内容となる。
少なくとも1種のC8−C30脂肪酸、またはその誘導体、および少なくとも1
種の曲げ接合強度増進共重合体を含んでなる本発明の好適な混和材組成物および
方法においては、場合により1種もしくはそれ以上の空気担持剤(「AEA」)
を使用してこの混和材成分が中に加えられているメーソンリーモルタルの操作性
を改良することができる。「操作性」という語は品質特性すなわち熟練石工の鏝
による簡便な適用可能性を意味しておりそして生じたメーソンリーモルタルが可
塑性の鏝で適用可能な状態でありながら鏝や垂直表面(例えば組み立て壁の中の
煉瓦またはコンクリートブロックの側面)に対する改良された接着性を示す。A
EAの使用が労力を節約しそして作業性を改良すると信じられている。
AEAの例は木材樹脂(例えば、ヴィンソル(VINSOL)R樹脂)、ゴム
ロジン酸類の塩類、合成洗剤(例えば、脂肪アルカノールアミド類、エトキシル
化脂肪アミン類、エトキシル化脂肪酸類、エトキシル化トリグリセリド類、エト
キシル化アルキルフェノール類、エトキシル化アルコール類、アルキルエトキシ
レート類、アルキルアリールエトキシレート類、カチオン性AEA、例えばアミ
ンエトキシレート類およびアミンオキシド類、両性AEA、例えばベタイン類、
並びにアニオン性AEA、例えば脂肪アルキルエーテルサルフェート類、脂肪ア
ルキルアリールエーテルサルフェート類、アルキルベンゼンスルホネート類、ス
ルホスクシネート類、および脂肪スルホネート類)、スルホン化リグニンの塩類
、石油酸の塩類、蛋白質物質の塩類、脂肪酸および樹脂酸並びにそれらの塩類、
またはスルホン化炭化水素類の塩類を含む。
一部のAEAが撥水性を得るために使用される特許が請求されている脂肪酸類
、塩類、または誘導体と重複するような脂肪酸成分を含むかもしれないことは理
解されよう。しかしながら、本発明の好適な組成物および方法は比較的高いロジ
ン酸含有量を含有する点から撥水性が異なるAEAを含むことが強調される。例
えば、撥水性のために使用されるトール油(または塩)は0−10%のロジン酸
含有量を一般的に有するが、AEAとして使用されるトール油(または塩)は一
般的に20−40%のロジン酸含有量を有するであろう。2種の脂肪酸を配合す
る場合には、本発明の1つの好適な態様ではモルタル中で組み合わされた時に撥
水剤として作用する第1の脂肪酸成分の使用および空気担持用混和材(AEA)
として作用する第2の脂肪酸の使用を含むであろうし、そしてさらにAEA脂肪
酸は撥水剤脂肪酸より高いロジン酸含有量を有するであろう。AEA脂肪酸は撥
水剤脂肪酸より相対的に少ない量で使用されるで
あろう。
実施例1
この実施例は典型的な撥水性物質を含有する混和材により生ずる接合強度問題
を説明する。この実施例および以下の実施例に記載されている実験に関して使用
されている語句、工程および物質を以下に示す。
接合試験:コンクリートメーソンリー単位(CMU)、この場合は煉瓦、の間
のモルタル接合強度は「メーソンリー曲げ接合強度測定用の標準試験方法」とい
う標題のASTM標準C1072−94に記載されている装置および工程を使用
して測定される。この方法によると、6個の煉瓦高さでそして5個のモルタル連
結部を有する煉瓦プリズム(組み立て品)を準備する。これらのプリズムをプラ
スチックバッグ中に貯蔵しそして一定の期間にわたり硬化させる。それらを次に
各々のモルタル連結部に関するモルタルと煉瓦の間の接合を破壊するのに必要な
曲げ力を測定することにより曲げ接合強度に関して試験する。本質的には、この
曲げ接合試験はモルタル連結部により連結されている煉瓦またはメーソンリーを
連結させそして煉瓦を捩ってまたは「ひねって」離すのに必要な力または負荷を
測定するための棒またはハンドルを必要とする。一定のモルタルバッチに対する
全ての連結部に関する試験結果を平均しそして特定のモルタル/煉瓦組み合わせ
に関する平均曲げ接合強度として報告する。これらの実施例に報告されている全
ての接合強度データは少なくとも15個の接合部の接合強度の平均を示す。
撥水性試験:モルタルの撥水性は水吸収試験を使用して定量化される。この試
験では、硬化したモルタルサンプルを3mm深さの水の中に入れ、そして24時
間後に30平方インチ部分のモルタルサンプルにより吸収
された水の量がそのサンプルに関する「水吸収」値として報告される。比較的高
い撥水性は比較的低い水吸収値により示される。さらに、サンプルを飽和させる
のに必要な水の量を測定しそして「%吸収(1グラムのモルタルサンプル当たり
吸収される水のグラム数)」として報告される。比較的低い吸収値は比較的高い
撥水性を示す。
曲げ接合強度増進重合体BP−1およびBP−2の製造:接合強度増進重合体
の製造の一般的な原則は米国特許第5,393,343号に記載されている方法に
基づく。実施例2および3で使用される2種の重合体サンプル(BP−1および
BP−2)は以下の通りにして製造された。
BP−1:ポリアクリル酸(50%溶液、5000分子量)をポリエチレン−
ポリプロピレンオキシド重合体(分子量2000)と1:17のモル比で一緒に
した。この合成で使用されたポリエチレン−ポリプロピレンオキシド重合体は第
1級アミン基およびメチル基を末端基として含有していた。混合物を、流動窒素
流下で合計2時間にわたり、180℃に加熱しそして保った。副生物として製造
される溶液の水を窒素気体
量/重量)水性NaOHで中和し、合計固体分を脱イオン水で40%に調節した
。生じた生成物は琥珀色の粘着性液体であった。
BP−2:この重合体は、この場合にはポリアクリル酸(50%溶液、500
0分子量)をポリエチレン−ポリプロピレンオキシド重合体(分子量1000)
と1:10のモル比で一緒にしたこと以外は、重合体BP−1に関して記載され
ているものと同様な工程を使用して製造された。
他の物質:「グレーデッドサンド」および「20−30サンド」として知られ
る2種の標準的なオタワサンドを使用した。これらのサンドは
ASTM C778−92の「標準的な砂に関する標準仕様」の条件に合致して
おり、そして50:50比で混合される。使用したセメントは市販のタイプIセ
メントである。さらに、タイプS石灰として市販されている水和石灰も使用され
る。使用される時には、化学的混和材およびそれらの量は必要に応じて各々の実
験に関して記載されている。
モルタル混合工程:1(重量)部のポートランドセメントを0.21部の水和
石灰、3.83部の砂、および水、並びに混和材のいずれかと共にASTM C3
05−94の「プラスチック粘稠度の水和セメントペーストおよびモルタルの機
械的混合に関する標準実施法」に記載されているモルタル混合工程に従い混合す
ることによりモルタルバッチが製造される。量的割合に関しては、モルタルは1
部のポートランドセメント、0.5部の水和石灰および4.5部の砂を含有する。
このモルタル混和材はASTM C270−95aの「単位メーソンリー用のモ
ルタルに関する標準仕様」に記載されているタイプSモルタルの規定された割合
仕様に合致する。サンプルを125%±5%流として測定して標準的粘稠度にす
るのに十分な水を加える。サンプル番号1は0.71部の水を含有しておりそし
て混和材を含有していなかった。サンプル番号2は脂肪酸の例としてのペンシル
ヴァニア州ピッツバーグのPPGインダストリーズから入手できるステアリン酸
カルシウム分散液(「CSD」)およびサンプル番号1と同じモルタル粘稠度を
得るのに十分な量の水を含有していた。サンプル番号2に関しては、0.64部
の水が使用された。
実験結果は下表にまとめられている:
これらの実験はステアリン酸カルシウム分散液(「CSD」)がモルタルの吸
収および水吸収をかなり減少させ、その結果としてそれをより撥水性にすること
を明白に示している。しかしながら、曲げ接合強度はCSD撥水剤の存在により
89から70psiに減じられ、21%の減少であった。
実施例2
この実施例はCSDおよび曲げ接合強度増進重合体BP−1を有する本発明の
好適な態様を説明する。このモルタルは撥水性および曲げ接合強度の両者の増加
を得た。
それ故、CSD+BP−1混合物(サンプル3)が曲げ接合強度を70psi
(CSDのに、サンプル2)から118psiに改良したこと
が明らかであり、驚異的な69%の改良であった。同時に、このモルタルの撥水
性もCSDだけを含有したモルタルと比べて吸収百分率および水吸収値における
かなりの減少により示されているように改良された。従って、CSD+BP−1
混和材は曲げ接合強度を改良するだけでなく、この二成分混和材は撥水性も増加
し、本発明の二成分組成物、セメント、および方法における強い相乗性を示唆す
る成果である。
実施例3
この実施例は本発明の別の態様を記載しており、そこではセメント−固定員お
よびオキシアルキレン基が結合されている炭素−含有骨格を有する他の曲げ接合
強度増進重合体が使用される。例えば、本発明の他の混和材の例を製造するため
に、日本、東京の日本油脂株式会社からの商品名マリアリム(Malialim)AKM−
0531およびナルレックス(Narlex)LD−42(ニュージャージー州、ブリッ
ジウォーターのナショナル・スターチ・アンド・ケミカル・カンパニーから入手
できる)として入手できる重合体がBP−2の他に使用された。これらの混和材
も、ステアリン酸カルシウム分散液を有するモルタル中に加えられる時には改良
された曲げ接合強度増進性質を示したが、マリアリム(Malialim)AKM−053
1およびナルレックス(Narlex)LD−42による接合強度の改良はBP−1およ
びBP−2で観察されたものほど大きくはなかった。下表はこれらの重合体を使
用するモルタルの接合強度を混和材なしのモルタルの接合強度と比べてまとめた
ものである。
7日後の曲げ接合強度に関する値により示されているように、CSD+接合強度
増進重合体の組み合わせの各々はCSDだけに関する79%の値をはるかに越え
た曲げ接合強度を与え、そして本発明の二成分組成物、セメント、および方法に
おける強い相乗性を示唆している。
実施例4
この実施例はCSD、曲げ接合強度増進重合体BP−1および空気担持剤(「
AEA」)を有する本発明の別の好適な態様を説明する。AEAは高いロジン酸
含有量(例えば、AEA中の20%以上)のトール油を含有している(そしてそ
のようなAEAは多数の供給源から市販されている)。この実施例では種々のセ
メントを使用してモルタルを製造した。以下の表4に示されているように、対照
であるサンプル番号7の曲げ接合強度(82psi)は実施例1〜3の対照サン
プル番号1のもの(89psi)に匹敵している。モルタルは撥水性、曲げ接合
強度の増進、並びに改良された操作性の両者を得た。
下表はこのCSD、重合体およびAEAの組み合わせを使用するモルタルの接
合強度を混和材なしのモルタルの接合強度と比べてまとめたも
のである。
7日後の曲げ接合強度に関する値により示されているように、CSD+BP−1
+AEAの組み合わせは混和材なしのモルタルをはるかに越えた曲げ接合強度を
与えた。
AEAを加えることによる操作性における改良はバージニア州ヘルンドンのナ
ショナル・コンクリート・メンソンリー・アソシエーション・ラボラトリー(「
NCMA」)からの2種のメーソンリー(各々が少なくとも15年の実績を有す
る)の観察により示されている。これらのメーソンリーから現場条件下でタイプ
Sポートランドセメント/石灰モルタルのバッチを製造しそして各バッチの操作
性を判定した。操作性はモルタル適用の量的な容易さ並びに「ハンガビリティー
(hangability)」すなわち換言するとモルタルが例えば煉瓦またはコンクリート
モルタル表面の如き垂直表面(ヘッド連結部として知られている)に付着する能
力に関して判定された。下表はそれらの観察結果をまとめたものである。操作性の観察結果により示されるように、CSD+BP−1+AEAの組み合わ
せはモルタルをCSD+BP−1の組み合わせより操作性を大きくし、そして混
和材なしのモルタルよりも操作性は大きかった。驚くべきことに、相対的に非常
に少量のAEAが操作性を劇的に改良した。
実施例5
実施例2で使用されたステアリン酸カルシウムをステアリン酸亜鉛、パルミチ
ン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ステアリン酸ブチル、パルミチ
ン酸ブチル、オレイン酸ブチル、ミリスチン酸ブチル、オレイン酸カルシウム、
およびミリスチン酸カルシウムで置換することにより本発明の他の混和材組成物
例を製造して、以上の実施例1に記載されている通りにして曲げ接合強度増進重
合体BP−1またはBP−2のいずれかまたは両者との種々の組み合わせを製造
した。これらのサンプル組み合わせの各々に関して、モルタル中の増加した曲げ
接合強度並びに比較的低い吸収および水吸収値が証明されるであろうと予期され
る。
実施例6
実施例5に記載されている組み合わせの各々に少量の例えば以上の実
施例4に記載されているようなAEAを加えることにより別の混和材組成物例を
製造することができる。これらのサンプル組み合わせの各々に関して、モルタル
中の増加した曲げ接合強度並びに比較的低い吸収および水吸収値が証明されるで
あろうと予期される。
実施例7
実施例6で使用されたAEAを例えばヴィンソル(VINSOL)R樹脂またはゴムロ
ジン(Gum Rosin)の塩の如き他のAEAで置換して別の混和材組成物例を製造す
る。AEAを含まないサンプルと比べて改良されたモルタル中の操作性が予期さ
れる。
前記の実施例は単に説明用に示されておりそして本発明の範囲を限定しようと
するものではない。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
C04B 28/02 C04B 28/02
C08K 5/09 C08K 5/09
5/10 5/10
// C04B 103:65
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S
D,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG
,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT
,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,
CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,F
I,GB,GE,GH,HU,IL,IS,JP,KE
,KG,KP,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,
LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,N
O,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG
,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,
UG,US,UZ,VN,YU,ZW
(72)発明者 ウオロシユ.クレイグ・テイ
アメリカ合衆国マサチユセツツ州02174ア
ーリントン・フランクリンストリート130
(72)発明者 ジエクナボリアン,アラ・エイ
アメリカ合衆国マサチユセツツ州01824チ
エルムズフオード・パーチエロンロード4