JP2000514908A - 自動車に用いられるラジアルボールジョイント - Google Patents
自動車に用いられるラジアルボールジョイントInfo
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Abstract
(57)【要約】
自動車に用いられるラジアルボールジョイントであって、ハウジングとボールスタッドとが設けられていて、該ボールスタッドに設けられたジョイントボールが、あらゆる方向で運動可能に支承シェル内に支承されている形式のものにおいて、本発明の構成では、支承シェル(1)が2つの部分から形成されていて、該2つの部分、つまり上側シェル(1.1)と下側シェル(1.2)との間で少なくとも1つの減衰エレメント(2)が、ボールスタッド(3)のジョイントボール(3.1)に半径方向でプログレッシブにプレロードもしくは予荷重を加えるようになっており、さらに減衰エレメント(2)がハウジング(4)内に挿入されていて、支承シェル(1)に比べて低いショア硬度を有しており、支承シェル(1)が、ジョイントの負荷されていない状態ではボールスタッド(3)のジョイントボール(3.1)に点接触または線接触しかしていない。
Description
【発明の詳細な説明】
自動車に用いられるラジアルボールジョイント
本発明は、請求項1の上位概念部に記載の形式の、自動車に用いられるラジア
ルボールジョイントに関する。このような形式のラジアルボールジョイントは、
たとえばラジアルボール・アンド・ソケットジョイントもしくは球関節継ぎ手と
も呼ばれる。
ボールジョイントは種々異なる使用事例に関して公知である。ボールジョイン
トの中でも、スラストボールジョイントの場合には、変位されていない状態のボ
ールスタッドに関して専ら軸方向において主負荷が行われるが、ラジアルボール
ジョイントは専ら半径方向の負荷が行われるように設計されている。したがって
、これらの2つのタイプのボールジョイントはその機能の点において、かつ部分
的に構造の点においても互いに異なっている。
ドイツ連邦共和国特許第29509566号明細書に基づき、たとえば、片側
で開いた金属のハウジングから成るスラストボールジョイントが公知である。ハ
ウジング内では、ボールスタッドが支承シェルに支承されており、この支承シェ
ルは、開いたハウジング縁部の材料変形加工によってハウジング内に保持されて
いる。支承シェルはプラスチックから成っている。こ
の支承シェルは、外側に固定用ピンが一体成形されている方のハウジング側で傾
斜面によって、ハウジングに設けられた相補的な対応する傾斜面と、支承シェル
と、ハウジングに形成された半径方向の支持面との間に挿入された緩衝体とに支
持されている。この緩衝体は、選択された弾性的な材料剛性を有するゴムリング
から成っていてよい。これにより、支承シェルとジョイントハウジングとの間の
遊び補償を達成しようとしている。さらにドイツ連邦共和国特許出願公開第44
01639号明細書に基づき、ボールスタッドのジョイントボールが支承シェル
内に支承されているような支持ジョイントが公知である。ジョイントボールにプ
ログレッシブなプレロードもしくは予荷重を加えることができるようにするため
に、ジョイントボールと、ジョイントを閉鎖するカバーとの間には押圧シェルが
挿入されており、この場合、カバーも、押圧シェルも、少なくとも1つの側にお
いて部分的に、それぞれ互いに異なる曲率半径を有する球体の表面形状を有して
いる。
本発明の根底を成す技術的な課題は、単純な構造を有すると同時に、摩擦が少
なく、しかも減衰作用および誤差補償作用をも有するラジアルボールジョイント
を提供することである。
このように設定された課題は、請求項1の特徴部に記載の構成により解決され
る。
自動車に用いられる本発明によるラジアルボールジョイントは、ハウジングと
ボールスタッドとを有していて、このボールスタッドに設けられたジョイントボ
ールが、あらゆる方向で運動可能に支承シェル内に支承されている。この支承シ
ェルは単一部分または複数の部分から形成されていてよい。支承シェルが2つの
部分から形成される場合には、2つの部分の間、つまり上側シェルと下側シェル
との間で、少なくとも1つの減衰エレメントがハウジング内に挿入されており、
この減衰エレメントがボールスタッドのジョイントボールに半径方向でプログレ
ッシブにプレロードもしくは予荷重を加えるようになっている。この場合、「プ
ログレッシブにプレロードもしくは予荷重を加える」とは、半径方向の負荷が増
大するにつれてプレロードもしくは予荷重が逓増することを意味する。
減衰エレメントは支承シェルに比べて低いショア硬度を有しており、この場合
、支承シェルはジョイントの負荷されていない状態では、ボールスタッドのジョ
イントボールに点接触または線接触しかしなくなる。
支承シェルが単一部分から形成される場合には、減衰エレメントを直接に支承
シェル内に挿入することが有利である。
相応する減衰手段の選択に応じて、支承部の、必要に応じた半径方向プレロー
ドおよび弾性率を達成することができる。したがって、ボールジョイント支承部
の特性値を任意に設定することを可能にする一種の組立てユニットシステムが提
供される。ようするに、1つのジョイントタイプにおいて別の特性値を得るため
に、単に、より高いショア硬度を有するか、またはより低いショア硬度を有する
減衰手段を使用するだけで済む。このようなラジアルボールジョイントは良好な
減衰特性により特徴付けられている。したがって、本発明によるラジアルボール
ジョイントを使用することにより、自動車の走行特性に決定的な影響を与えるこ
とができる。
さらに、支承シェルの点接触または線接触に基づき、本発明によるラジアルボ
ールジョイント内部での小さな始動モーメントを保証することができるようにな
り、ひいて全体的に、標準の負荷時における極めて低い摩擦係数を保証すること
ができるようになる。
支承シェルは、ハウジングと接触する外側の接触面に複数のリブを備えていて
よい。また、公知の形式で支承シェルの内側表面および/または外側表面に付加
的に潤滑剤用切欠きを設けることも実現可能である。
本発明のさらに別の有利な構成は、請求項3以下に記載されている。すなわち
、ボールジョイントのジョイントボールに対する支承シェルの点接触または線接
触は、ジョイントボールの曲率半径を支承シェルの球面状の内周面の曲率半径よ
りも小さく設定することによって達成することができる。支承シェルはこの場合
、周方向で見て仕切られた少なくとも1つのビード状の範囲を有していて、この
範囲が直接にジョイントボールに接触していると望ましい。
しかし、ジョイントボールか、または支承シェルの内側ジオメトリのいずれか
が、少なくとも所定の範囲にボールジオメトリとは異なるジオメトリを有してい
ることによっても、ギャップを達成することができる。すなわち、本発明によれ
ば、たとえば楕円形の形状が考えられる。
本発明のさらに別の有利な構成では、減衰エレメントが、規定された弾性特性
を有するゴムリングであってよい。このような減衰エレメントは球状の輪郭を有
していると有利である。しかし当然ながら、別の横断面形状、たとえばリング形
横断面、ほぼ三角形または正方形の横断面も、本発明の思想の範囲内にある。
以下に、本発明の実施例を図面につき詳しく説明する。
第1図は本発明によるラジアルボールジョイントを、負荷されていない状態で
示す断面図である。
第2図は本発明の別の実施例によるラジアルボールジョイントを、負荷されて
いない状態で示す断面図である。
第1図に例示したような、自動車に用いられる本発明によるラジアルボールジ
ョイントの有利な実施例では、ラジアルボールジョイントがハウジング4とボー
ルスタッド3、つまりボールを備えた棒状の部分とを有しており、このボールス
タッド3に設けられたジョイントボール3.1はあらゆる方向で運動可能に支承
シェル1内に支承されている。この支承シェル1は図示の実施例では、2つの部
分から形成されている。すなわち、支承シェル1は上側シェル1.1と下側シェ
ル1.2とから成っている。上側シェルと下側シェルとの間では、減衰エレメン
ト2がハウジング4内に挿入されており、この減衰エレメント2はボールスタッ
ド3のジョイントボール3.1に半径方向でプログレッシブにプレロードもしく
は予荷重を加えるようになっている。この減衰エレメント2は、支承シェルと比
較して低いショア硬度を有しており、この場合、支承シェルはボールスタッド3
のジョイントボール3.1に点接触しかしていないか、または線接触しかしてい
ない。
支承シェルの点接触または線接触に基づき、本発明によるラジアルボールジョ
イント内部の小さな摩擦・始動モーメントを保証することができるようになり、
ひいては全体的に、標準の負荷時における極めて低い摩擦係数を保証することが
できるようになる。
ボールジョイントのジョイントボールに対する支承シェルの点接触または線接
触はこの場合、ジョイントボール3.1の曲率半径を支承シェルの球面状の内周
面の曲率半径よりも小さく設定することにより達成さ
れる。しかし、上側シェル1.1と下側シェル1.2は、それぞれジョイントボ
ール3.1に直接に接触するビード状の範囲1.3を有している。これにより、
ジョイントが負荷されていない状態では、ジョイントボールと支承シェルとの間
に空隙5が残る。この空隙5は本発明によれば、0.001〜1mm、有利には
最大0.5mmのギャップ幅を有している。このギャップ幅範囲は特に有利であ
ることが判っている。この場合、ギャップはビード状の範囲1.3を起点として
、「赤道」の方向へ増大する。しかし、ボールジョイントボール3.1か、また
は支承シェル1の内側ジオメトリのいずれかが、少なくとも所定の範囲でボール
ジオメトリとは異なるジオメトリを有することによっても、このようなギャップ
を達成することができる。
寸法的に小さな、ビード状の範囲1.3によって形成された接触面に基づき、
本発明によるラジアルボールジョイントの、負荷されていない状態における極め
て低い摩擦係数がもたらされる。すなわち、このようなボールジョイントは極端
に低い摩擦モーメントもしくは始動モーメントを有している。減衰エレメントは
図示の実施例では、規定された弾性特性を有する単純なゴムリングである。この
ゴムリングの、ハウジング4内に挿入された外周面は円筒状に形成されており、
ゴムリングの、ジョイントボールに対する接触面は、ジョイントボール曲率半径
とは逆向きの湾曲を有して
いるので、ジョイントボールにはプレロードもしくは予荷重が加えられる。図示
の状態では、ジショイントボール3.1が支承シェル1内に挿入されていて、ひ
いてはゴムリングが既にジョイントボール3.1にプレロード機能もしくは予荷
重機能を加えているので、図面には、ジョイントボール3.1とは逆向きの湾曲
は認められない。このラジアルボールジョイントは片側でカバー6によって閉じ
られる。カバー6とは反対の側では、第1図に示していないシールベローズが組
み付けられる。
第2図には、基本的には第1図の実施例とほぼ同じ構造を有する、本発明によ
るボールジョイントの別の実施例が示されている。第1図の実施例との唯一の相
違点は、2つの部分から成る支承シェル1.1,1.2の、ハウジング4に接触
する外側の接触面が、所定の範囲にリブ7を備えている点にある。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1.自動車に用いられるラジアルボールジョイントであって、ハウジングとボ ールスタッドとが設けられていて、該ボールスタッドに設けられたジョイントボ ールが、あらゆる方向で運動可能に支承シェル内に支承されている形式のものに おいて、支承シェル(1)が2つの部分から形成されていて、該2つの部分、つ まり上側シェル(1.1)と下側シェル(1.2)との間で少なくとも1つの減 衰エレメント(2)が、ボールスタッド(3)のジョイントボール(3.1)に 半径方向でプログレッシブにプレロードもしくは予荷重を加えるようになってお り、さらに減衰エレメント(2)がハウジング(4)内に挿入されていて、支承 シェル(1)に比べて低いショア硬度を有しており、支承シェル(1)が、ジョ イントの負荷されていない状態ではボールスタッド(3)のジョイントボール( 3.1)に点接触または線接触しかしていないことを特徴とする、自動車に用い られるラジアルボールジョイント。 2.自動車に用いられるラジアルボールジョイントであって、ハウジングとボ ールスタッドとが設けられていて、該ボールスタッドに設けられたジョイントボ ールが、あらゆる方向で運動可能に支承シェル内に支承されている形式のものに おいて、支承シェル(1) が単一の部分から形成されており、少なくとも1つの減衰エレメント(2)が、 ボールスタッド(3)のジョイントボール(3.1)に半径方向でプログレッシ ブにプレロードもしくは予荷重を加えるようになっており、さらに減衰エレメン ト(2)が支承シェル(1)内に挿入されていて、支承シェル(1)に比べて低 いショア硬度を有しており、支承シェル(1)が、ジョイントの負荷されていな い状態ではボールスタッド(3)のジョイントボール(3.1)に点接触または 線接触しかしていないことを特徴とする、自動車に用いられるラジアルボールジ ョイント。 3.ジョイントボール(3.1)の曲率半径が、支承シェル(1)の球面状の 内周面の曲率半径よりも小さく設定されており、支承シェル(1)が、少なくと も1つの仕切られたビード状の範囲(1.3)を有しており、該範囲(1.3) の曲率半径が、ジョイントボール(3.1)の半径とほぼ一致している、請求項 1または2記載の自動車に用いられるラジアルボールジョイント。 4.減衰エレメント(2)が、規定された弾性特性を有するゴムリングである 、請求項1から3までのいずれか1項記載の自動車に用いられるラジアルボール ジョイント。
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