JP2000514125A

JP2000514125A - 燃料油組成物

Info

Publication number: JP2000514125A
Application number: JP10504791A
Authority: JP
Inventors: リン，ジアン; ロバートソン，ストルアン，ダグラス
Original assignee: シエル・インターナシヨネイル・リサーチ・マーチヤツピイ・ベー・ウイ
Priority date: 1996-07-05
Filing date: 1997-07-04
Publication date: 2000-10-24
Also published as: PL331085A1; NO990009L; CN1222930A; CA2258045A1; CN1084376C; MY118044A; AU709500B2; US5997592A; CA2258045C; AR007717A1; NO990009D0; CZ2599A3; KR100422030B1; ATE191234T1; PL187317B1; EP0909306A1; TR199802776T2; EP0909306B1; US6402797B1; DE69701575D1

Abstract

(57)【要約】本発明は、多量の燃料油と少なくとも１種の燃料油可溶性のアルキルもしくはアルコキシ芳香族化合物からなる少量の添加剤とを含み、１〜３０個の炭素原子のアルキルおよびアルコキシ基から独立して選択される少なくとも１個の基が芳香族核に結合すると共に、少なくとも１個のカルボキシル基および必要に応じ１個もしくは２個のヒドロキシル基が芳香族核に結合してなる燃料油組成物；この種の燃料油組成物の製造方法；並びに燃料注入システムにおける摩耗率を調節するための圧縮着火エンジンにおける燃料としての前記燃料油組成物の使用に関するものである。

Description

【発明の詳細な説明】燃料油組成物本発明は、燃料油組成物、その製造方法および圧縮着火エンジンにおけるその使用に関するものである。ＷＯ９５３３８０５号（エクソン社）に記載されているように、環境問題は減少した硫黄含有量を有する燃料、特にディーゼル燃料およびケロシンの必要性をもたらしている。しかしながら、低い硫黄含有量を有する燃料を製造する精製法は、低粘度の生成物および潤滑性に寄与する燃料における低含有量の他の成分（たとえば多環式芳香族物質および極性化合物）をもたらす。さらに一般に硫黄含有化合物は耐摩耗性を付与すると見なされ、その比率減少の結果は潤滑性を付与する他の成分の比率減少と一緒になって低硫黄燃料を用いるディーゼルエンジンにおける燃料ポンプの損傷増大となり、この損傷はたとえばカムプレート、ローラ、スピンドルおよびドライブシャフトにおける摩耗により生ずる。この問題は、排気ガス放出に関する厳格な要件に合致するには一般に高圧燃料ポンプ（たとえばロータリーシステムおよびユニットインジェクターシステム）が導入されつつあるため将来は一層悪化すると思われ、これらは現在の装置よりも一層厳格な潤滑要件を有すると予想されると同時に燃料における一層低い硫黄レベルが益々必要になると思われる。現在、ディーゼル燃料における典型的な硫黄含有量は約０．２５重量％（２５００ｐｐｍｗ）である。ヨーロッパにおいて最大硫黄レベルは０．０５％（５００ｐｐｍｗ）まで減少されており；スエーデンにおいては０．００５％（５０ｐｐｍｗ）未満のレベルを有する等級の燃料（クラス２）および０．００１％（１０ｐｐｍｗ）未満のレベルを有する燃料の等級（クラス１）が既に導入されつつある。０．２０重量％（２０００ｐｐｍｗ）未満の硫黄レベルを有する燃料油は低硫黄燃料と称することができる。ＷＯ９５３８０５号（エクソン社）は、低硫黄燃料の潤滑性を向上させるための低温流動向上剤の使用を記載している。ＷＯ９４１７１６０号（エクソン社）は、カルボン酸が２〜５０個の炭素原子を有すると共にアルコールが１個もしくはそれ以上の炭素原子を有するカルボン酸とアルコールとの或る種のエステル（特にグリセロールモノオレエートおよびアジピン酸ジイソデシル）を圧縮着火エンジンの注入システムにおける摩耗減少のための燃料油用添加剤としての使用を記載している。米国特許第５，４８４，４６２号（テキサコ社）は、低硫黄ディーゼル燃料のための市販入手しうる潤滑剤としての二量化リノレン酸を記載しており（第１欄、第３８行）、それ自身で燃料潤滑性向上剤としてのアミノアルキルモルホリンを提供する。米国特許第５，４９０，８６４号（テキサコ社）は、低硫黄ディーゼル燃料用の耐摩耗性潤滑添加剤としての或る種のジチオ燐酸ジエステル−ジアルコールを記載している。驚くことに今回、芳香族核に結合した少なくとも１個のカルボキシル基を有する或る種のアルキルおよびアルコキシ芳香族化合物は燃料油中に混入すれば耐摩耗性潤滑作用を付与しうることが突き止められた。したがって本発明によれば、多量の燃料油と少なくとも１種の燃料油可溶性のアルキルもしくはアルコキシ芳香族化合物少量の添加剤とを含んでなる、独立して１〜３０個の炭素原子のアルキルおよびアルコキシ基から選択される少なくとも１個の基が芳香族核に結合すると共に、少なくとも１個のカルボキシル基および必要に応じ１個もしくは２個のヒドロキシル基が芳香族核に結合してなることを特徴とする燃料油組成物が提供される。燃料油は石油から或いは植物源もしくはその混合物から誘導することができる。便利には、これは１００〜５００℃（たとえば１５０〜４００℃）の範囲の沸騰範囲を有する中間蒸留燃料油とすることができる。石油由来の燃料油は大気圧蒸留液もしくは減圧蒸留液または熱分解ガス油または任意の比率の直留蒸留液と熱分解および／または接触分解蒸留液との配合物で構成することができる。燃料油はケロシン、ジェット燃料、ディーゼル燃料、加熱油および重質燃料油を包含する。好ましくは燃料油はディーゼル油であり、本発明の好適な燃料油組成物はしたがってディーゼル燃料組成物である。典型的には、ディーゼル燃料は約１６０℃の初期蒸留温度および２９０〜３６０℃の最終蒸留温度を燃料の等級および用途に応じて有する。燃料油（たとえばディーゼル油）自身は添加剤処理（添加剤含有）油または非添加剤処理（添加剤フリー）油とすることができる。燃料油（たとえばディーゼル油）が添加剤処理油であれば、これは少量の１種もしくはそれ以上の添加剤、たとえば１種もしくはそれ以上の静電防止剤、パイプラインドラッグ（drag）減少剤、流動向上剤（たとえばエチレン／酢酸ビニルコポリマーまたはアクリレート／無水マレイン酸コポリマー）およびワックス沈降防止剤（たとえば「パラフロー」（商標）（たとえば「パラフロー」４５０；パラミンス社）、「オクテル」（たとえば「オクテル」Ｗ５０００；オクテル社）および「ドジフロー」（たとえば「ドジフロー」ｖ３９５８；ヘキスト社）として市販入手しうるもの）から選択される添加剤を含有する。好ましくは燃料油は最高０．２重量％（２０００ｐｐｍｗ）（「ｐｐｍｗ」は１００万分の１重量部である）、より好ましくは最高０．０５重量％（５００ｐｐｍｗ）の硫黄含有量を有する中間蒸留油（たとえばディーゼル油）である。本発明の有利な組成物は、燃料油の硫黄含有量が０．００５重量％（５０ｐｐｍｗ）未満）または０．００１重量％（１０ｐｐｍｗ）未満である場合にも得られる。アルキルもしくはアルコキシ芳香族化合物の芳香族核は単核、二核もしくは多核（たとえばベンゼン環もしくはナフタレン環系）としうるが、芳香族核は好ましくはベンゼン環である。好適なアルキルおよびアルコキシ芳香族化合物は、芳香族核に結合したアルキルおよびアルコキシ基から選択される３個未満の基が存在する場合は、常に２〜３０個の炭素原子を有するアルキルおよびアルコキシ基から選択される少なくとも１個の基が前記核に結合して存在するような化合物である。本発明の１つの好適面において、少なくとも１種のアルキルもしくはアルコキシ芳香族化合物は、６〜３０個の炭素原子を有する少なくとも１個のアルキル基が芳香族核に結合したアルキル芳香族化合物である。より好ましくは、アルキル芳香族化合物は６〜３０個の炭素原子を有する１個もしくは２個のアルキル基を含むアルキル安息香酸もしくはアルキルサリチル酸である。アルキル芳香族化合物における各アルキル基は好ましくはＣ_8-22アルキル基、特に好ましくはＣ_8-18アルキル基である。本発明の燃料油組成物に混入されるアルキルもしくはアルコキシ芳香族化合物は公知化合物であるか、或いは当業者に容易に了解されるように公知化合物を製造すべく使用される方法と同様な方法により作成することもできる。好適アルキルサリチル酸は英国特許第１，１４６，９２５号に記載された方法により極めて容易に作成することができる。（この英国特許において、アルキルサリチル酸は潤滑剤組成物に分散剤として使用される多価金属塩の製造における中間体である）。少なくとも１種のアルキルもしくはアルコキシ芳香族化合物を含む添加剤は好ましくは、燃料組成物の総重量に対し５０〜５００ｐｐｍｗ、より好ましくは５０〜２５０ｐｐｍｗ、特に好ましくは１５０〜２５０ｐｐｍｗの範囲の量にて存在させる。室温にて５０ｐｐｍｗの程度までしか燃料油に溶解しないアルキルもしくはアルコキシ芳香族化合物は、ここに規定した可溶性燃料油でない（したがって、これらは不溶性であると考えられる）。本発明による燃料油組成物は、添加剤もしくは添加剤含有の添加剤濃厚物を燃料油と混合することからなる製造方法により作成することができる。燃料油組成物（好ましくはディーゼル燃料組成物）に混入するのに適する添加剤濃厚物は、少なくとも１種のアルキルもしくはアルコキシ芳香族化合物とキャリア油（たとえば鉱油）としうる燃料適合性希釈剤とキャップもしくは非キャップとしうるポリエーテルと、たとえばトルエン、キシレン、ホワイトスピリットのような非極性溶剤およびロイヤルダッチ／シェルグループの各社により「シェルソル」（商標）として市販されるものおよび／またはたとえばエステルのような極性溶剤と特にアルコール、たとえばヘキサノール、２−エチルヘキサノール、デカノール、イソトリデカノール、およびたとえばロイヤルダッチ／シェルグループの各社により「リネボール」（商標）、特に「リネボール」９５アルコール（これはＣ_7-9第一アルコールの混合物である）またはシドブレ・シノバ社、フランスから「サイポール」（商標）として市販入手しうるＣ_12-14アルコール混合物とを包含する添加剤を含有する。添加剤濃厚物およびそれから作成される燃料油組成物は、たとえば無灰分洗剤もしくは分散剤、たとえば線状もしくは分枝鎖ヒドロカルビルアミン、たとえばアルキルアミン、ヒドロカルビル置換スクシンイミド、たとえばＥＰ−Ａ−１４７２４０号に記載されたもの、好ましくはポリイソブチレンコハク酸もしくは無水物とテトラエチレンペンタミンとの反応生成物（ここでポリイソブチレン置換基は５００〜１２００の範囲の数平均分子量を有する）および／またはヨーロッパ特許出願第９６３０２９５３．３号（出願人参照ＴＳ７０３０ＥＰＣ）に記載されたようなアルコキシ酢酸誘導体；曇り除去剤、たとえば「ナルコ」（商標）ＥＣ５４６２Ａ（従来は７Ｄ０７）（ナルコ社）として市販入手しうるようなアルコキシル化フェノールホルムアルデヒドポリマーおよび「トラド」（商標）２６８３（ペトロライト社）；消泡剤（たとえば「テゴプレン」（商標）５８５１、Ｑ２５９０７（ダウ・コーニング社）または「ロドルシル」（ローン・プーラン社）として市販入手しうるポリエーテル改変ポリシロキサン）；着火向上剤（たとえば２−エチルヘキシルナイトレート、シクロヘキシルナイトレート、ジ−ｔ−ブチルペルオキシドおよび米国特許第４，２０８，１９０号の第２欄、第２７行〜第３欄、第２１行に開示されたもの）；錆止め剤（たとえばライン・ヘミー社、マンハイム、ドイツにより「ＲＣ４８０１」として市販されるもの、またはコハク酸誘導体（このコハク酸誘導体はそのα−炭素原子の少なくとも１個に未置換もしくは置換された２０〜５００個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基を有する）の多価アルコールエステル、たとえばポリイソブチレン− 置換コハク酸のペンタエリスリトールジエステル）；脱臭剤；摩耗防止添加剤；酸化防止剤（たとえば２，６−ジ−ｔ−ブチルフェノールのようなフェノール類またはたとえばＮ，Ｎ−ジ−ｓｅｃ−ブチル−ｐ−フェニレンジアミンのようなフェニレンジアミン類）；並びに金属失活剤などの追加添加剤をも含有することができる。特記しない限りディーゼル燃料における各追加添加剤の（活性物質）濃度は好ましくは１重量％まで、より好ましくは５〜１０００ｐｐｍｗ（ディーゼル油の１００万重量部当たりの部）の範囲である。ディーゼル燃料における洗剤もしくは分散剤の（活性物質）濃度は好ましくは３０〜１０００ｐｐｍｗ、より好ましくは５０〜６００ｐｐｍｗ、有利には７５〜３００ｐｐｍｗ、たとえば９５〜１５０ｐｐｍｗである。ディーゼル油における曇り除去剤の（活性物質）濃度は好ましくは１〜２０ｐｐｍｗ、より好ましくは１〜１５ｐｐｍｗ、さらに好ましくは１〜１０ｐｐｍｗ、有利には１〜５ｐｐｍｗの範囲である。他の添加剤（着火向上剤を除く）の（活性物質）濃度はそれぞれ好ましくは０〜２０ｐｐｍｗ、より好ましくは０〜１０ｐｐｍｗの範囲である。ディーゼル燃料における着火向上剤の（活性物質）濃度は好ましくは０〜６００ｐｐｍｗ、より好ましくは０〜５００ｐｐｍｗの範囲である。着火向上剤をディーゼル燃料に混入する場合、これは便利には３００〜５００ｐｐｍｗの量にて使用することができる。本発明はさらに、エンジンの燃料注入システム、特に燃料注入ポンプおよび／または燃料注入器における摩耗率を調節するための圧縮着火エンジンにおける燃料としての上記燃料組成物の使用をも提供する。この最後の本発明の面は圧縮着火エンジンの操作方法としても表記することができ、この方法はエンジンにおける燃料として上記燃料組成物を供給することによりエンジンの燃料注入システム、特に燃料注入ポンプおよび／または燃料注入器における摩耗率を調節することからなっている。以下、実施例により本発明をさらに説明し、ここでベース燃料および添加剤成分は次の通りとした：ベースベースベースベース燃料１燃料２燃料３燃料４１５℃における密度（kg／l） 0.821 0.8291 0.8165 0.8165 （ASTM D 4052）硫黄（ppmw）（IP 373） 182 145 2 ＜5 蒸留、℃（ASTM D 86）ＩＢＰ 166.5 167 184.5 184.5 １０％ 203.5 199 213 206.5 ２０％ 216 210.5 218.5 213.5 ５０％ 256.5 247.5 238 235.5 ９０％ 322.5 309.5 269.5 268.5 ９５％ 342.5 324.5 278.5 277.5 ＦＢＰ 355 338.5 292 290 全芳香族物質含有量（重量％） 20.2 22.1 5.2 3.8「アルキルサリチル酸Ａ」は、Ｃ_14-18アルキルフェノールからフェノール化、カルボキシル化および加水分解により英国特許第１，１４６，９２５号に記載されたように作成した。出発アルキルフェノールは、フェノールとオレフィン（モル比５：１）とをオレフィンに対し３重量％の酸活性化モンモリロナイト触媒の存在下に１９０℃および０．４バール（４ｘ１０⁴Ｐａ）の圧力にて反応させると共に過剰のフェノールを蒸留により除去してオレフィンの混合物（Ｃ１４：Ｃ１６：Ｃ１８の重量比１：２：１）作成した。最終生成物Ｃ_14-18アルキルサリチル酸は７１．５モル％のモノアルキルサリチル酸と１７．２モル％のモノアルキルフェノールと４．７モル％のジアルキルフェノールとを含有し、残部は少量の４−ヒドロキシイソフタル酸、ジアルキルサリチル酸、２−ヒドロキシイソフタル酸およびアルキルフェニルエーテルであった。「キャリアＢ」は、開始剤としてのＣ_12-14アルコールの混合物を用いて作成されると共にＡＳＴＭＤ４４５に従い４０℃にて７２〜８２ｍｍ²／ｓの範囲の動粘度を有するロイヤル・ダッチ／シェルグループの各社から商品名「ＳＡＰ９４９」として入手しうるポリオキシプロピレングリコール半エーテル（モノエーテル）である。「オイルＣ」は、１００℃にて４．４〜４．９ｍｍ²／ｓの粘度と−１８℃の流動点と２０４℃の引火点とを有するロイヤル・ダッチ／シェルグループの各社から商品名「ＨＶＩ６０」として入手しうる透明かつ光沢のある溶剤精製ベース油である。「錆止め剤Ｄ」は、テトラプロペニルコハク酸のヒドロキシプロピルエステル（テトラプロペニルコハク酸のプロパン−１，２−ジオール半エステル）である（英国特許第１，３０６，２３３号の例ＩＶ参照）。「曇り除去剤Ｅ」は、「ナルコ」ＥＣ５４６２Ａ（従来は７Ｄ０７）（商標）としてナルコ社から入手しうるアルコキシル化フェノールホルムアルデヒドポリマー曇り除去剤である。「消泡剤Ｆ」は、「テゴブレン５８５１」（商標）としてＴｈ．ゴールドシュミットＡＧから入手しうるポリエーテル改変シロキサンである。「溶剤Ｇ」は、「リネボール７９」（商標）としてロイヤル・ダッチ／シェルグループの各社から入手しうるＣ_7-9第一アルコールの配合物である。「溶剤Ｈ」は、２０５〜２０７℃の沸点範囲と１５６の平均分子量とを有するロイヤル・ダッチ／シェルグループの各社から「シェルソルＲ」（商標）として入手しうる芳香族炭化水素溶剤（７４％芳香族物質）である。「分散剤Ｉ」は、９５０の数平均分子量（Ｍｎ）を有するポリイソブチレンと無水マレイン酸との反応により１．０５：１のスクシネート化比（ポリイソブチレン鎖１本当たりの無水コハク酸部分の比）を有するポリイソブチレン無水コハク酸生成物を生成させた後にコハク酸基：ＴＥＰＡのモル比１．５：１にて無水生成物とテトラエチレンペンタミン（ＴＥＰＡ）とを反応させて作成されたポリイソブチレンスクシンイミドの２７重量％溶液である。「ＨＶＩ６０」ベース油中に４７重量％の活性成分を含有するポリイソブチレンスクシンイミドの溶液を、取り扱いの容易さのため「シェルソルＲ」（商標）溶剤の添加により２７重量％の活性成分濃度まで希釈する。実施例Ｉキシレン（２４ｇ）におけるアルキルサリチル酸Ａ（４５ｇ）の溶液６９ｇと１６ｇのオイルＣと１５ｇのキャリアＢとを密封２５０ｍｌガラス瓶にて１時間にわたりロータリーミキサーで室温（２０℃）にて混合することにより１００ｇの充分混合された添加剤濃厚物Ｉを生成させることにより添加剤濃厚物を作成した。実施例ＩＩ０．３３１９ｇの錆止め剤Ｄと０．３３２５ｇの曇り除去剤Ｅと０．６７９１ｇの消泡剤Ｆと６．６７３９ｇの溶剤Ｇと１２．８８０９ｇの溶剤Ｈと３２．４４ｇの分散剤Ｉと３３．６６ｇの２−エチルヘキシルナイトレート（着火向上剤）とを互いに混合することにより共添加剤混合物を作成した。１．０４９８ｇの得られた共添加剤混合物を次いで２５０ｍｌガラスビーカー内で０．１６２０ｇの実施例Ｉの添加剤濃厚物Ｉと混合して添加剤濃厚物ＩＩを得た。添加剤濃厚物ＩＩを用いて処方ディーゼル燃料を作成する場合は、５０ｍｌのベース燃料１を上記添加剤濃厚物ＩＩの試料に添加すると共に、得られた混合物を充分撹拌した後に１Ｌのラッカーライニングされた缶に注ぎ入れた。次いでガラスビーカーをさらに５０ｍｌ部分のベース油１と共に同じ缶に濯ぎ入れた。処方燃料の総重量をベース燃料１の添加により８０１ｇにした。缶を２分間にわたり振とうして１５００ｐｐｍｗの添加剤濃厚物ＩＩを含有する均質な処方ディーゼル燃料を得た。実施例ＩＩＩ４５ｇのアルキルサリチル酸Ａを２４ｇの溶剤Ｈ、１６ｇのオイルＣおよび１５ｇのキャリアＢと、実施例Ｉと同様な手順により混合して添加剤濃厚物ＩＩＩを生成させることにより添加剤濃厚物を作成した。実施例ＩＶ４５ｇのアルキルサリチル酸Ａを３９ｇの溶剤Ａおよび１６ｇのオイルＣと混合することにより添加剤濃厚物ＩＶを生成させることにより実施例ＩＩＩと同様に添加剤濃厚物を作成した。燃料試験例所定量の添加剤濃厚物Ｉ、ＩＩＩおよびＩＶを各種のベース燃料１，２および３に添加することにより、処方ディーゼル燃料を作成した。得られた燃料を、ＣＥＣＦ−０６−Ｔ−９４の手順に従い高周波数往復リグ（ＨＦＲＲ）により潤滑性能につき試験したが、ただし使用した燃料の量は２ｍｌとし、流体温度は６０℃とした。試験した処方ディーゼル燃料の詳細および試験の結果を下表１に示す：表１における結果から、低い処理割合においてさえ驚くことに摩耗低下により証明されるように潤滑性増大が低濃度のアルキルサリチル酸Ａにおいても得られることが容易に見られる。他の燃科試験例所定量の多数の異なるアルキル芳香物化合物を１００ｐｐｍｗの濃度までベース燃料１に添加することにより、他のディーゼル燃料を作成した。得られた燃料を上記燃料試験例に記載したように潤滑性能につき試験したが、ただし同様なパターンであるが異なるリグを用いた（これは上記比較Ａと比べベース燃料試験比較Ｄにつき摩耗斑における小さくかつ顕著でない差を意味する）。使用したアルキル芳香族化合物は次の通りである：実施例１６４−オクチル安息香酸実施例１７４−ｎ−ブチル安息香酸実施例１８４−ドデシルオキシ安息香酸比較Ｅ３−ペンタデシルフェノール比較Ｆドデシルフェノール、商品名「ＡＤＸ１００」としてアジビス社から入手しうる。比較ＧＣ_14-18アルキルフェノール、上記アルキルサリチル酸Ａの出発アルキルフェノール。結果を下表２に示す：表２と全く均等な試験を行ったが、ベース燃料４（比較Ｈ）並びに２００ｐｐｍｗ濃度の２，４，６−トリメチル安息香酸（実施例１９）および４−エチル安息香酸（実施例２０）を用いた。結果を下表３に示す：表２および３から、アルキルもしくはアルコキシ安息香酸（４−オクチル安息香酸、４−ｎ−ブチル安息香酸、４−ドデシルオキシ安息香酸、２，４，６−トリメチル安息香酸および４−エチル安息香酸）を含有する燃料につき驚異的に増大した潤滑性が得られたのに対し、アルキルフェノールの場合にはプラスの効果が全く見られなかったことが容易に見られる。２，３−ジメチル安息香酸、２，４−ジメチル安息香酸および３，４−ジメチル安息香酸をそれぞれ燃料油（特にベース燃料４）に対する５０ｐｐｍｗの濃度における溶解度につき試験し、室温（２０℃）にて不溶性であると判明した。したがって、これらジメチル安息香酸は燃料油可溶性のアルキル芳香族化合物でない。

【手続補正書】特許法第１８４条の８第１項【提出日】平成１０年５月１５日（１９９８．５．１５）【補正内容】補正明細書さらに独立して１〜３０個の炭素原子のアルキルおよびアルコキシ基から選択される少なくとも１個の基が芳香族核に結合すると共に少なくとも１個のカルボキシル基および必要に応じ１個もしくは２個のヒドロキシル基が芳香族核に結合してなることを特徴とする燃料油組成物が提供される。燃料油は石油から或いは植物源もしくはその混合物から誘導することができる。便利には、これは１００〜５００℃（たとえば１５０〜４００℃）の範囲の沸騰範囲を有する中間蒸留燃料油とすることができる。石油由来の燃料油は大気圧蒸留液もしくは減圧蒸留液または熱分解ガス油または任意の比率の直留蒸留液と熱分解および／または接触分解蒸留液との配合物で構成することができる。燃料油はケロシン、ジェット燃料、ディーゼル燃料、加熱油および重質燃料油を包含する。好ましくは燃料油はディーゼル油であり、本発明の好適な燃料油組成物はしたがってディーゼル燃料組成物である。典型的には、ディーゼル燃料は約１６０℃の初期蒸留温度および２９０〜３６０℃の最終蒸留温度を燃料の等級および用途に応じて有する。燃料油（たとえばディーゼル油）自身は添加剤処理（添加剤含有）油または非添加剤処理（添加剤フリー）油とすることができる。燃料油（たとえばディーゼル油）が添加剤処理油であれば、これは少量の１種もしくはそれ以上の添加剤、たとえば１種もしくはそれ以上の静電防止剤、パイプライン（drag）減少剤、流動向上剤（たとえばエチレン／酢酸ビニルコポリマーまたはアクリレート／無水マレイン酸コポリマー）およびワックス沈降防止剤（たとえば「パラフロー」（商標）（たとえば「パラフロー」４５０；パラミンス社）、「オクテル」（たとえば「オクテル」Ｗ５０００；オクテル社）および「ドジフロー」（たとえば「ドジフロー」ｖ３９５８；ヘキスト社）として市販入手しうるもの）から選択される添加剤を含有する。好ましくは燃料油は最高０．０５重量％（５００ｐｐｍｗ）（「ｐｐｍｗ」は１００万分の１重量部である）の硫黄含有量を有する中間蒸留油（たとえばディーゼル油）である。本発明の有利な組成物は、燃料油の硫黄含有量が０．００５重量％（５０ｐｐｍｗ）未満）または０．００１重量％（１０ｐｐｍｗ）未満である場合にも得られる。補正請求の範囲１．多量の燃料油と、少なくとも１種の燃料油可溶性のアルキルもしくはアルコキシ芳香族化合物を含む少量の添加剤とからなり、燃料油は最高０．２重量％の硫黄含有量を有する中間蒸留燃料油であり、さらに独立して１〜３０個の炭素原子のアルキルおよびアルコキシ基から選択される少なくとも１個の基が芳香族核に結合すると共に少なくとも１個のカルボキシル基および必要に応じ１個もしくは２個のヒドロキシル基が芳香族核に結合したことを特徴とする燃料油組成物。２．燃料油が、最高０．０５重量％の硫黄含有量を有する中間蒸留燃料油である請求の範囲第１項に記載の組成物。３．芳香族核に結合したアルキルおよびアルコキシ基から選択される３個未満の基が存在する場合は、前記核に結合した２〜３０個の炭素原子のアルキルおよびアルコキシ基から選択される少なくとも１個の基が存在する請求の範囲第１項または第２項に記載の組成物。４．少なくとも１種のアルキルもしくはアルコキシ芳香族化合物が、６〜３０個の炭素原子の少なくとも１個のアルキル基を芳香族核に結合させたアルキル芳香族化合物である請求の範囲第１〜３項のいずれか一項に記載の組成物。５．アルキルもしくはアルコキシ芳香族化合物にて、芳香族核がベンゼン環である請求の範囲第１〜４項のいずれか一項に記載の組成物。６．アルキル芳香族化合物が、６〜３０個の炭素原子の１個もしくは２個のアルキル基を有するアルキル安息香酸もしくはアルキルサリチル酸である請求の範囲第５項に記載の組成物。７．各アルキル基がＣ_8-22アルキル基である請求の範囲第１〜６項のいずれか一項に記載の組成物。８．添加剤が燃料組成物の総重量に対し５０〜５００ｐｐｍｗの範囲の量にて存在する請求の範囲第１〜７項のいずれか一項に記載の組成物。９．添加剤または添加剤を含有する添加剤濃厚物を燃料油と混合することを特徴とする請求の範囲第１〜８項のいずれか一項に記載の燃料油組成物の製造方法。１０．エンジンの燃料注入システムにおける摩耗率を調節するための圧縮着火エンジンにおける燃料としての請求の範囲第１〜８項のいずれか一項に記載の燃料油組成物の使用。【手続補正書】特許法第１８４条の８第１項【提出日】平成１０年８月１８日（１９９８．８．１８）【補正内容】補正明細書等級（クラス１）が既に導入されつつある。０．２０重量％（２０００ｐｐｍｗ）未満の硫黄レベルを有する燃料油は低硫黄燃料と称することができる。ＷＯ９５３８０５号（エクソン社）は、低硫黄燃料の潤滑性を向上させるための低温流動向上剤の使用を記載している。ＷＯ９４１７１６０号（エクソン社）は、カルボン酸が２〜５０個の炭素原子を有すると共にアルコールが１個もしくはそれ以上の炭素原子を有するカルボン酸とアルコールとの或る種のエステル（特にグリセロールモノオレエートおよびアジピン酸ジイソデジル）を圧縮着火エンジンの注入システムにおける摩耗減少のための燃料油用添加剤としての使用を記載している。米国特許第５，４８４，４６２号（テキサコ社）は、低硫黄ディーゼル燃料のための市販入手しうる潤滑剤としての二量化リノレン酸を記載しており（第１欄、第３８行）、それ自身で燃料潤滑性向上剤としてのアミノアルキルモルホリンを提供する。米国特許第５，４９０，８６４号（テキサコ社）は、低硫黄ディーゼル燃料用の耐摩耗性潤滑添加剤としての或る種のジチオ燐酸ジエステル−ジアルコールを記載している。米国特許第５，４８２，５２１号（モービル社）は、窒素複素環化合物とカルボニル化合物を用いて結合されたアミンとの或る種の生成物を記載している。これら生成物およびこれらとカルボン酸との反応により生成した生成物は燃料（低硫黄ディーゼル燃料を包含する）および潤滑剤のための摩擦改変剤および摩耗防止添加剤として作用しうる。驚くことに今回、芳香族核に結合した少なくとも１個のカルボキシル基を有する或る種のアルキルおよびアルコキシ芳香族化合物は燃料油中に混入すれば耐摩耗性潤滑作用を付与しうることが突き止められた。したがって本発明によれば、多量の燃料油と少なくとも１種の燃料油可溶性のアルキルもしくはアルコキシ芳香族化合物少量の添加剤とを含んでなり、燃料油が最高０．２重量％の硫黄含有量を有する中間蒸留燃料油であり、

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，ＩＴ，ＬＵ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ，ＣＦ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＭＬ，ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＧＨ，ＫＥ，ＬＳ，ＭＷ，ＳＤ，ＳＺ，ＵＧ，ＺＷ)，ＥＡ(ＡＭ，ＡＺ，ＢＹ，ＫＧ，ＫＺ，ＭＤ，ＲＵ，ＴＪ，ＴＭ)，ＡＬ，ＡＭ，ＡＴ，ＡＵ，ＡＺ，ＢＡ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，ＣＡ，ＣＨ，ＣＮ，ＣＵ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ，ＥＥ，ＥＳ，ＦＩ，ＧＢ，ＧＥ，ＧＨ，ＨＵ，ＩＬ，ＩＳ，ＪＰ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ，ＫＺ，ＬＣ，ＬＫ，ＬＲ，ＬＳ，ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ，ＭＤ，ＭＧ，ＭＫ，ＭＮ，ＭＷ，ＭＸ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ，ＲＵ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ，ＳＫ，ＳＬ，ＴＪ，ＴＭ，ＴＲ，ＴＴ，ＵＡ，ＵＧ，ＵＺ，ＶＮ，ＹＵ，ＺＷ (72)発明者ロバートソン，ストルアン，ダグラスイギリス国チエシヤイアーシー・エイチ１３エス・エイチ、チエスター、インス、プール・レーン（番地なし)

Claims

【特許請求の範囲】１．多量の燃料油と少なくとも１種の燃料油可溶性のアルキルもしくはアルコキシ芳香族化合物を含む少量の添加剤とからなり、独立して１〜３０個の炭素原子のアルキルおよびアルコキシ基から選択される少なくとも１個の基が芳香族核に結合すると共に、少なくとも１個のカルボキシル基および必要に応じ１個もしくは２個のヒドロキシル基が芳香族核に結合したことを特徴とする燃料油組成物。２．燃料油が、最高０．０５重量％の硫黄含有量を有する中間蒸留燃料油である請求の範囲第１項に記載の組成物。３．芳香族核に結合したアルキルおよびアルコキシ基から選択される３個未満の基が存在する場合は、前記核に結合した２〜３０個の炭素原子のアルキルおよびアルコキシ基から選択される少なくとも１個の基が存在する請求の範囲第１項または第２項に記載の組成物。４．少なくとも１種のアルキルもしくはアルコキシ芳香族化合物が、６〜３０個の炭素原子の少なくとも１個のアルキル基を芳香族核に結合させたアルキル芳香族化合物である請求の範囲第１〜３項のいずれか一項に記載の組成物。５．アルキルもしくはアルコキシ芳香族化合物にて、芳香族核がベンゼン環である請求の範囲第１〜４項のいずれか一項に記載の組成物。６．アルキル芳香族化合物が、６〜３０個の炭素原子の１個もしくは２個のアルキル基を有するアルキル安息香酸もしくはアルキルサリチル酸である請求の範囲第５項に記載の組成物。７．各アルキル基がＣ_8-22アルキル基である請求の範囲第１〜６項のいずれか一項に記載の組成物。８．添加剤が燃料組成物の総重量に対し５０〜５００ｐｐｍｗの範囲の量にて存在する請求の範囲第１〜７項のいずれか一項に記載の組成物。９．添加剤または添加剤を含有する添加剤濃厚物を燃料油と混合することを特徴とする請求の範囲第１〜８項のいずれか一項に記載の燃料油組成物の製造方法。１０．エンジンの燃料注入システムにおける摩耗率を調節するための圧縮着火エンジンにおける燃料としての請求の範囲第１〜８項のいずれか一項に記載の燃料油組成物の使用。