JP2000513225A - 抗コカイン触媒抗体 - Google Patents

抗コカイン触媒抗体

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JP2000513225A JP10503474A JP50347498A JP2000513225A JP 2000513225 A JP2000513225 A JP 2000513225A JP 10503474 A JP10503474 A JP 10503474A JP 50347498 A JP50347498 A JP 50347498A JP 2000513225 A JP2000513225 A JP 2000513225A
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Abstract

(57)【要約】 コカインを分解することができる触媒性の抗体およびポリペプチドが開示される。前記触媒性の抗体およびポリペプチドは、その相補性決定領域およびフレームワーク領域のアミノ酸配列を特徴とする。本発明はまた、患者におけるコカイン濃度を低下させるための薬学的組成物および方法を開示する。最後に、本発明は、患者におけるコカインの過剰等よおよび中毒を治療するための薬学的組成物および方法を開示する。

Description

【発明の詳細な説明】 抗コカイン触媒抗体 発明の背景 本出願書を通して、様々な出版物が著者名及び発行年により引用される。これ らの出版物の完全な引用は、本明細書の末尾に、配列表および請求項の直ぐ前に アルファベット順で列挙される。これら刊行物の開示は全体として、ここに開示 され且つ特許請求された本発明の時点において当業者に公知の技術の状態をより 完全に既述するために、本明細書の一部をなす参照して本願に組み込まれる。 触媒抗体類はコカイン嗜癖及び過量投与を治療する独創的な可能性を有してい る。コカインは中辺縁皮質の(mesolimbocortical)「報酬経路(reward pathway)」 において、ドーパミンの再取込み輸送体を阻害することにより(1)、その投与効 果を増強する。コカインに対する拮抗薬は知られていないが(2)、これはおそら く遮断薬をブロックすることの固有の困難さを反映しているものと思われる。受 容体に基づく治療薬の代替物質として、循環する薬剤は、脳におけるコカインの 結合部位へのコカイン供給を遮断することができるであろう(3)。単にコカイン に結合するに過ぎない抗体のような作用物質は、複合体の形成によって化学量論 的に消費されてしまうが、コカインに結合し、これを変化させ、さらに生成物を 遊離させる酵素は、追加の結合のために利用できるであろう。新しい種類の人工 酵素である触媒抗体類は広範囲の多数の反応を誘発することができ、それらの基 質特異性はコカインのような小さな分子に対してプログラムすることが可能であ る(4)。 コカインの解毒は、触媒抗体アプローチにとって特に申し分なく適している。 第1に、コカインのベンゾイルエステルの加水分解は、生物学的に不活性な生成 物であるエクゴニンメチルエステルと安息香酸とを産生する(5)(図1)。血漿 酵素ブチリルコリンエステラーゼは、この反応によってヒトの体内に含まれるコ カイン(6)を不活性化する。第2に、アシル加水分解は全ての抗体触媒変換の 中で最も良く研究されている(7、8)。触媒抗体類について、天然酵素の活性 に近似したエステラーゼ活性のあることが報告されており(7)、ベンゾイルエス テルの大きな疎水性表面は強力な結合及び触媒作用を備えた抗体類を引き出すの に特に申し分なく適している。 以前、コカインを分解する最初の触媒抗体であるMab 3B9及びMab 6A12が報 告されている(9)。これらの抗体類は、ホスホン酸モノエステル遷移状態近似体 の免疫原性抱合体(TSA)によって誘起された(略図1)。これら最初の人工 コカインエステラーゼ類の速度加速(102−103)の大きさは、基底状態に対 する遷移状態の相対的な安定化に相応していた(〜Km/Ki)。より強力な触媒機 序及びより高い代謝回転速度を備えた触媒抗体類を産生することは可能で、臨床 適用にはそれが必要であると判断されている。活性の増大は、ハイブリドーマ作 成の繰返し又は既存の触媒抗体の突然変異誘発を通して達成することができる。 しかし、Mab 3B9及びMab 6A12の可変ドメインの配列決定によって、相補性決 定領域で93%の相同性が明らかになった(下記参照)。触媒抗体類についてのこ のような多様性の欠如は以前から言及されており(10)、特定クラスの相同性触 媒抗体類の望ましい活性への最適化は成功しない可能性があるので、活性を向上 させる機会を制限している。近似体のコア構造を弱体化させずにこの問題を解決 できる方法は、輸送タンパク質へ付着させることによって、近似体の表面を接近 不能になるように変化させ、それによって免疫認識のための別個のエピトープ類 を提供することであろう。 今回は、同一のホスホネート置換基を備えているが、免疫抱合体の構造が異な るコカイン加水分解の3種の近似体の合成について報告する。これらの近似体に よって誘起された触媒抗体類の速度論的及び構造的多様性が特徴付けられた。さ らに変異原性試験のための好ましい触媒抗体類が同定された。 発明の概要 特定アミノ酸を表示するために、本明細書を通して下記の標準略号が使用され る: Eはグルタミン酸を表す。 Sはセリンを表す。 Rはアルギニンを表す。 Gはグリシンを表す。 Tはトレオニンを表す。 Iはイソロイシンを表す。 Nはアスパラギンを表す。 Yはチロシンを表す。 Cはシステインを表す。 Pはプロリンを表す。 Lはロイシンを表す。 Wはトリプトファンを表す。 Hはヒスチジンを表す。 Dはアスパラギン酸を表す。 Fはフェニルアラニンを表す。 Qはグルタミンを表す。 Vはバリンを表す。 Kはリシンを表す。 Mはメチオニンを表す。 Aはアラニンを表す。 Xは何れかのアミノ酸を表す。 本発明は、Xが何れかのアミノ酸であり得るときに、相補性決定領域1のアミ ノ酸配列がRSSXGTITXXNYAN(配列番号:73)であり、相補性決 定領域2のアミノ酸配列がXNNYRPP(配列番号:74)であり、相補性決 定領域3のアミノ酸配列がALWYSNHWV(配列番号:75)であるL鎖( 軽鎖)と、相補性決定領域1のアミノ酸配列がDYNMY(配列番号:76)で あり、相補性決定領域2のアミノ酸配列がYIDPXNGXXFYNQKFXG (配列番号:78)であり、相補性決定領域3のアミノ酸配列がGGGLFAX( 配列番号:78)であるH鎖(重鎖)とを含有していることを特徴とする、コカ インを分解できる触媒抗体を提供する。 本発明はさらに、相補性決定領域1のアミノ酸配列がRSSSGTITANN YGS(配列番号:40)であり、相補性決定領域2のアミノ酸配列がVSNN RGP(配列番号:41)であり、相補性決定領域3のアミノ酸配列がALWN SNHFV(配列番号:42)であるL鎖と、相補性決定領域1のアミノ酸配列 がTYYIY(配列番号:67)であり、相補性決定領域2のアミノ酸配列がG MNPGNGVTYFNEKFKN(配列番号:68)であり、相補性決定領域 3のアミノ酸配列がVGNLFAY(配列番号:69)であるH鎖とを含有して いる、コカインを分解できる触媒抗体を提供する。 本発明はさらに又、相補性決定領域1のアミノ酸配列がRSSXSLLYXD GKTYLN(配列番号:79)であり、相補性決定領域2のアミノ酸配列がL MSTRXS(配列番号:80)であり、相補性決定領域3のアミノ酸配列がQ XFXXYPFT(配列番号:81)であるL鎖と、相補性決定領域1のアミノ 酸配列がSDYAWX(配列番号:82)であり、相補性決定領域2のアミノ酸 配列がYIRXXXXTRYNPSLXS(配列番号:83)であり、相補性決 定領域3のアミノ酸配列がXHYYGXXX(配列番号:84)であるH鎖とを 含有している、コカインを分解できる触媒抗体を提供する。 本発明はさらに又、相補性決定領域1のアミノ酸配列がKSSQSLLYSD GKTYLN(配列番号:44)であり、相補性決定領域2のアミノ酸配列がL VSKLDS(配列番号:45)であり、相補性決定領域3のアミノ酸配列がV QGYTFPLT(配列番号:46)であるL鎖と、相補性決定領域1のアミノ 酸配列がDHWMH(配列番号:71)であり、相補性決定領域2のアミノ酸配 列がTIDLSDTYTGYNQNFKG(配列番号:72)であり、相補性決 定領域3のアミノ酸配列がRGFDY(配列番号:73)であるH鎖とを含有し ている、コカインを分解できる触媒抗体を提供する。 別の実施態様では本発明は、適切なフレームワーク領域の間に挿入されている 、アミノ酸配列RSSXGTITXXNYAN(配列番号:73)を有する相補 性決定領域1、アミノ酸配列XNNYRPP(配列番号:74)を有する相補性 決定領域2及びアミノ酸配列ALWYSNHWV(配列番号:75)を有する相 補性決定領域3を備えたL鎖ドメインを含有しているポリペプチドを提供するが 、前記L鎖ドメインは、前記ポリペプチドがコカインを分解するために適したコ ン フォメーションを有するように、適切なフレームワーク領域の間に挿入されてた アミノ酸配列DYNMY(配列番号:76)を有する相補性決定領域1、アミノ 酸配列YIDPXNGXIFYNQKFXG(配列番号:78)を有する相補性 決定領域2、アミノ酸配列GGGLFAX(配列番号:78)を有する相補性決 定領域3を備えたH鎖ドメインに連結されている。 別の実施態様では本発明は、適切なフレームワーク領域の間に挿入されたアミ ノ酸配列RSSSGTITANNYGS(配列番号:40)を有する相補性決定 領域1、アミノ酸配列VSNNRGP(配列番号:41)を有する相補性決定領 域2及びアミノ酸配列ALWNSNHFV(配列番号:42)を有する相補性決 定領域3を備えたL鎖ドメインを含有しているポリペプチド類を提供するが、前 記L鎖ドメインは、前記ポリペプチドがコカインを分解するために適したコンフ ォメーションを有するように、適切なフレームワーク領域の間に挿入されたアミ ノ酸配列TYYIY(配列番号:67)を有する相補性決定領域1、アミノ酸配 列GMNPGNGVTYFNEKFKN(配列番号:68)を有する相補性決定 領域2及びアミノ酸配列VGNLFAY(配列番号:69)を有する相補性決定 領域3を備えたH鎖ドメインに連結されている。 別の実施態様では本発明は、適切なフレームワーク領域の間に挿入されたアミ ノ酸配列RSSXSLLYXDGKTYLN(配列番号:79)を有する相補性 決定領域1、アミノ酸配列LMSTRXS(配列番号:80)を有する相補性決 定領域2及びアミノ酸配列QXFXXYPFT(配列番号:81)を有する相補 性決定領域3を備えたL鎖ドメインを含有しているポリペプチド類を提供するが 、前記L鎖ドメインは、前記ポリペプチドがコカインを分解するために適したコ ンフォメーションを有するように、適切なフレームワーク領域の間に挿入された アミノ酸配列SDYAWX(配列番号:82)を有する相補性決定領域1、アミ ノ酸配列YIRXXXXTRYNPSLXS(配列番号:83)を有する相補性 決定領域2、及びアミノ酸配列XHYYGXXX(配列番号:84)を有する相 補性決定領域3を備えたH鎖ドメインに連結されている。 別の実施態様において、本発明は、適切なフレームワーク領域の間に挿入され たアミノ酸配列KSSQSLLYSDGKTYLN(配列番号:43)を有する 相補性決定領域1、アミノ酸配列LVSKLDS(配列番号:44)を有する相 補性決定領域2及びアミノ酸配列VQGYTFPLT(配列番号:45)を有す る相補性決定領域3を備えたL鎖ドメインを含有しているポリペプチド類を提供 するが、前記L鎖ドメインは、前記ポリペプチドがコカインを分解するために適 したコンフォメーションを有するように適切なフレームワーク領域の間に挿入さ れたアミノ酸配列DHWMH(配列番号:72)を有する相補性決定領域1、ア ミノ酸配列TIDLSDTYTGYNQNFKG(配列番号:71)を有する相 補性決定領域2及びアミノ酸配列RGFDY(配列番号:72)を有する相補性 決定領域3を備えたH鎖ドメインに連結されている。 本発明はさらに、ヒト化触媒抗体を提供する。 本発明はさらに、ヒト化触媒ポリペプチドを提供する。 本発明は、抗体のL鎖をコードする単離された核酸分子を提供する。さらに本 発明は、抗体のH鎖をコードする単離された核酸分子を提供する。 本発明はさらに、一本鎖ポリペプチドをコードする核酸分子を提供する。 本発明はさらに、被験者の血液中のコカインを分解するために有効な量の請求 の範囲に記載の抗体と、薬学的に容認できる担体とを含有する、被験者の体内の コカイン濃度を低下させるための医薬組成物を提供する。 本発明はさらに、被験者の血液中のコカインを分解するために有効な量の請求 の範囲に記載の抗体を被験者に投与することを含む、被験者の体内のコカイン濃 度を低下させる方法を提供する。 本発明はさらに、被験者の血液中のコカインを分解するために有効な量の請求 の範囲に記載の抗体と、薬学的に容認できる担体とを含む、被験者におけるコカ イン過量投与を治療するための薬学的組成物を提供する。 本発明はさらに、被験者の血液中のコカインを分解して被験者におけるコカイ ン過量投与を低下させるために有効な量の請求の範囲に記載の抗体を、被験者に 投与することを含む、被験者におけるコカイン過量投与を治療するための方法を 提供する。 本発明はさらに、被験者の血液中のコカインを分解するために有効な量の請求 の範囲に記載の抗体と、薬学的に容認できる担体とを含む、コカインの達成可能 な濃度を低下させることによって被験者におけるコカイン嗜癖を治療するための 薬学的組成物を提供する。 本発明はさらに、被験者の血液中のコカインを分解して被験者におけるコカイ ンの到達可能な濃度を低下させるために有効な量の請求の範囲に記載の抗体を投 与することを含む、コカインの達成達可能な濃度を低下させることによって被験 者におけるコカイン嗜癖を治療するための方法を提供する。 図面の簡単な説明 図1. コカインのベンゾイルエステル加水分解。反応経路に沿って形成され る予想されるテトラヘドラル中間体が示されている。ベンゾイルエステルのリン 酸塩モノエステル近似体の一般構造:TSA、TSA、TSA。TSA 。 図2.TSA−の合成。 図3.TSA−の合成。 図4.TSA−の合成。 図5.TSA、及びにより生じた触媒抗体についての log(Km/KTSA4 )対log(kcat/kuncat)のプロット。 この図に示されているデータは表1及び2に記載されているデータである。最小 二乗法による線形関係:Mab 15A10及び8G4Gを除きr=0.85 図6.ラムダL鎖のアミノ酸配列のアラインメント。 このとき、 9A(lam9)variは、抗体9A3のラムダL鎖における可変ドメインのアミノ酸 配列を示しており、 19G(lam5)variは、抗体19G8のラムダL鎖の可変ドメインのアミノ酸配列 を示しており、 15A10LVariは、抗体15A10のラムダL鎖における可変ドメインのアミノ酸 配列を示しており、 G7(lam4)varlは、抗体8G4GにおけるラムダL鎖の可変ドメインのアミノ 酸配列を示している。 図7.カッパL鎖のアミノ酸配列のアラインメント。 このとき、 3B9 K variは、抗体3B9のカッパL鎖における可変ドメインのアミノ酸配 列を示しており、 6A12 K variは、抗体6A12のカッパL鎖における可変ドメインのアミノ酸 配列を示しており、 12H(L2)k variは、抗体12H1のカッパL鎖における可変ドメインのアミノ 酸配列を示しており、 2A k variは、抗体2A10のカッパL鎖における可変ドメインのアミノ酸配 列を示しており、 E2(L7)k Variは、抗体8G4EのカッパL鎖における可変ドメインのアミノ 酸配列を示している。 図8.H鎖のアミノ酸配列のアラインメント。 このとき、 3B9 K variは、抗体3B9のH鎖における可変ドメインのアミノ酸配列を 示しており、 6A12 K Heavyは、抗体6A12のH鎖における可変ドメインのアミノ酸配 列を示しており、 12H H variは、抗体12H1のH鎖における可変ドメインのアミノ酸配列を 示しており、 2AH-3は、抗体2A10のH鎖における可変ドメインのアミノ酸配列を示し ており、 9(H-3)variは、抗体9A3のH鎖における可変ドメインのアミノ酸配列を 示しており、 19h6-3 variは、抗体19G8のH鎖における可変ドメインのアミノ酸配列を 示しており、 15A10 Variは、抗体15A10のH鎖における可変ドメインのアミノ酸配列 を示しており、 E2(H8)Variは、抗体8G4EのH鎖における可変ドメインのアミノ酸配列 を示しており、 G7(H8)variは、抗体8G4GのH鎖における可変ドメインのアミノ酸配列 を示している。 図9.抗コカイン触媒抗体15A10におけるL鎖のヌクレオチド配列。 図10.抗コカイン触媒抗体15A10におけるH鎖のヌクレオチド配列。 図11.抗コカイン触媒抗体19G8におけるL鎖のヌクレオチド配列。 図12.抗コカイン触媒抗体19G8におけるH鎖のヌクレオチド配列。 図13.抗コカイン触媒抗体9A3におけるL鎖のヌクレオチド配列。 図14.抗コカイン触媒抗体9A3におけるH鎖のヌクレオチド配列。 図15.抗コカイン触媒抗体8G4GにおけるL鎖のヌクレオチド配列。 図16.抗コカイン触媒抗体8G4GにおけるH鎖のヌクレオチド配列。 図17.抗コカイン触媒抗体3B9におけるL鎖のヌクレオチド配列。 図18.抗コカイン触媒抗体3B9におけるH鎖のヌクレオチド配列。 図19.抗コカイン触媒抗体6A12におけるL鎖のヌクレオチド配列。 図20.抗コカイン触媒抗体6A12におけるH鎖のヌクレオチド配列。 図21.抗コカイン触媒抗体2A10におけるL鎖のヌクレオチド配列。 図22.抗コカイン触媒抗体2A10におけるH鎖のヌクレオチド配列。 図24.抗コカイン触媒抗体12H1におけるH鎖のヌクレオチド配列。 図25.抗コカイン触媒抗体8G4EにおけるL鎖のヌクレオチド配列。 図26.抗コカイン触媒抗体8G4EにおけるH鎖のヌクレオチド配列。 図27.3B9触媒モノクローナル抗体のscFv。 H1は抗体3B9のH鎖の相補性決定領域1を示しており、 H2は抗体3B9のH鎖の相補性決定領域2を示しており、 H3は抗体3B9のH鎖の相補性決定領域3を示しており、 L1は抗体3B9のL鎖の相補性決定領域1を示しており、 L2は抗体3B9のL鎖の相補性決定領域2を示しており、 L3は抗体3B9のL鎖の相補性決定領域3を示しており、 FLAGは既知の抗体によって認識されるエピトープを示しており、6x Hisは金属ニッケルへ結合することができ、Flag及び6x Hisはどち らもscFvを精製するために有用である。 図28A及び28B. (a)ベンゾイルエステル及びメチルエステルの状態でのコカインの加水分解 。 (B)ベンゾイルエステル加水分解の予想される四面体中問体及び対応するリ ン酸塩モノエステル近似体。 図29.LD90コカインの投与後の生存率に関するMab 15A10についての対数 用量反応関係。雄性ラットに5分間をかけて総量5mlの静注生理食塩水(n= 8)又は5mg/kg(n=5)、15mg/kg(n=5)又は50mg/kg (n=5)の用量のMab 15A10が投与された。5分後に、全動物に以前に記載し た通りに18、カテコールアミン注射液が静脈注射され、さらに1mg/kg/ minの速度でコカイン注射液(16mg/kg)が投与された。「生存動物」 は心肺停止を発生せずに注射を完了し、注射後1時間に渡って観察された。X二 乗検定によって判定した生存率へのMab 15A10の作用は有意であった(p<0. 001)。 図30A−30D。 コカインによるMab 15A10の飽和。 (A及びB)発作時(A)及び死亡時(B)の平均コカイン用量。 (C及びD)死亡時のエクゴニンメチルエステル(EME)(C)及びコカイ ン(D)の血漿濃度。図2に示したように準備されたラットに、総量5m lの生理食塩水(n=17)又はMab 15A10 100mg/kg(n=4) 又はMab 1Cl 100mg/kg(n=4)が5分間かけて静脈内投与され た。次いで心肺停止となるまでコカインが1mg/kg/minの速度で 静脈内投与された。エクゴニンメチルエステル及びコカインの血漿濃度を 測定するために死亡時に動脈血サンプルが入手された。本文に記載されて いるように、多重比較についてボンフェロ−ニの修正を加えたウィルコク ソン順位符合検定によって群間差の有意性が判定された。 発明の詳細な説明 本発明は、相補性決定領域1のアミノ酸配列がRSSXGTITXXNYAN (配列番号:73)であり、相補性決定領域2のアミノ酸配列がXNNYRPP (配列 番号:74)であり、さらに相補性決定領域3のアミノ酸配列がALWYSNH WV(配列番号:75)であるL鎖(軽鎖)と、相補性決定領域1のアミノ酸配 列がDYNMY(配列番号:76)であり、相補性決定領域2のアミノ酸配列が YIDPXNGXXFYNQKFXG(配列番号:78)であり、相補性決定領 域3のアミノ酸配列がGGGLFAX(配列番号:78)であるH鎖(重鎖)を 含むことを特徴とする、コカインを分解することができる触媒抗体を提供する。 本発明はまた、相補性決定領域1のアミノ酸配列がRSSSGTITANNY GS(配列番号:40)であり、相補性決定領域2のアミノ酸配列がVSNNR GP(配列番号:41)であり、さらに相補性決定領域3のアミノ酸配列がAL WNSNHFV(配列番号:42)であるL鎖と、相補性決定領域1のアミノ酸 配列がTYYIY(配列番号:67)であり、相補性決定領域2のアミノ酸配列 がGMNPGNGVTYFNEKFKN(配列番号:68)であり、さらに相補 性決定領域3のアミノ酸配列がVGNLFAY(配列番号:69)であるH鎖を 含む、コカインを分解することができる触媒抗体を提供する。 本発明はまた、相補性決定領域1のアミノ酸配列がRSSXSLLYXDGK TYLN(配列番号:79)であり、相補性決定領域2のアミノ酸配列がLMS TRXS(配列番号:80)であり、さらに相補性決定領域3のアミノ酸配列が QXFXXYPFT(配列番号:81)であるL鎖と、相補性決定領域1のアミ ノ酸配列がSDYAWX(配列番号:82)であり、相補性決定領域2のアミノ 酸配列がYIRXXXXTRYNPSLXS(配列番号:83)であり、さらに 相補性決定領域3のアミノ酸配列がXHYYGXXX(配列番号:84)である H鎖を含む、コカインを分解することができる触媒抗体を提供する。 本発明は、相補性決定領域1のアミノ酸配列がKSSQSLLYSDGKTY LN(配列番号:43)であり、相補性決定領域2のアミノ酸配列がLVSKL DS(配列番号:44)であり、さらに相補性決定領域3のアミノ酸配列がVQ GYTFPLT(配列番号:45)であるL鎖と、相補性決定領域1のアミノ酸 配列がDHWMH(配列番号:72)であり、相補性決定領域2のアミノ酸配列 がTIDLSDTYTGYNQNFKG(配列番号:71)であり、さらに相補 性決定領域3のアミノ酸配列がRGFDY(配列番号:72)であるH鎖を含む 、コカインを分 解することができる触媒抗体を提供する。 5つのクラスのヒト抗体がある。各々が、H鎖と呼ばれる2つの同一ポリペプ チド(分子量約50,000ダルトン)と2つの同一L鎖(分子量約25,000ダルトン) から成る同じ基本構造を有している。 5つの抗体クラスの各々は、同様のセットのL鎖と異なるセットのH鎖を有す る。 L鎖は1つの可変ドメインと1つの定常ドメインから成り、一方H鎖は1つの 可変ドメインと3つまたはそれ以上の定常ドメインから成る。対合したL鎖とH 鎖の可変ドメインはFv領域として知られている。かかるFvが免疫グロブリン の特異性を決定し、定常ドメインは他の機能を有する。アミノ酸配列データは、 各々の可変ドメインが、4個の比較的保存されたフレームワーク領域(24)に 隣接した、相補性決定領域と呼ばれる3つの超可変領域あるいはループを含むこ とを示唆している。超可変領域は、個々の抗体の抗体特異性の原因となり、タン パクとしての抗体結合の多様性を説明すると考えられてきた。 もうひとつの態様において、本発明は、適切なフレームワーク領域の間に挿入 されたアミノ酸配列RSSXGTITXXNYAN(配列番号:73)を有する 相補性決定領域1、アミノ酸配列XNNYRPP(配列番号:74)を有する相 補性決定領域2、およびアミノ酸配列ALWYSNHWV(配列番号:75)を 有する相補性決定領域3を備えたL鎖部分を含むポリペプチドを提供し、かかる L鎖部分は、かかるポリペプチドがコカインを分解するのに適したコンフォメー ションを取るように、適切なフレームワーク領域の間に挿入されたアミノ酸配列 DYNMY(配列番号:76)を有する相補性決定領域1、アミノ酸配列YID PXNGXIFYNQKFXG(配列番号:78)を有する相補性決定領域2、 およびアミノ酸配列GGGLFAX(配列番号:78)を有する相補性決定領域 3を備えたH鎖部分に連結されている。 もうひとつの態様において、本発明は、適切なフレームワーク領域の間に挿入 されたアミノ酸配列RSSSGTITANNYGS(配列番号:40)を有する 相補性決定領域1、アミノ酸配列VSNNRGP(配列番号:41)を有する相 補性決定領域2、およびアミノ酸配列ALWNSNHFV(配列番号:42)を 有する相補性決定領域3を備えたL鎖部分を含むポリペプチドを提供し、かかる L鎖部分は、 該ポリペプチドがコカインを分解するのに適したコンフォメーションを取るよう に、適切なフレームワーク領域の間に挿入されたアミノ酸配列TYYIY(配列 番号:67)を有する相補性決定領域1、アミノ酸配列GMNPGNGVTYF NEKFKN(配列番号:68)を有する相補性決定領域2、およびアミノ酸配 列VGNLFAY(配列番号:69)を有する相補性決定領域3を備えたH鎖部 分に結合している。 もうひとつの態様において、本発明は、適切なフレームワーク領域の間に挿入 されたアミノ酸配列RSSXSLLYXDGKTYLN(配列番号:79)を有 する相補性決定領域1、アミノ酸配列LMSTRXS(配列番号:80)を有す る相補性決定領域2、およびアミノ酸配列QXFXXYPFT(配列番号:81 )を有する相補性決定領域3を備えたL鎖部分を含むポリペプチドを提供し、か かるL鎖部分は、該ポリペプチドがコカインを分解するのに適したコンフォメー ションを取るように、適切なフレームワーク領域の間に挿入されたアミノ酸配列 SDYAWX(配列番号:82)を有する相補性決定領域1、アミノ酸配列YI RXXXXTRYNPSLXS(配列番号:83)を有する相補性決定領域2、 およびアミノ酸配列XHYYGXXX(配列番号:84)を有する相補性決定領 域3を備えたH鎖部分に結合している。 もうひとつの態様において、本発明は、適切なフレームワーク領域の間に挿入 されたアミノ酸配列KSSQSLLYSDGKTYLN(配列番号:43)を有 する相補性決定領域1、アミノ酸配列LVSKLDS(配列番号:44)を有す る相補性決定領域2、およびアミノ酸配列VQGYTFPLT(配列番号:45 )を有する相補性決定領域3を備えたL鎖部分を含むポリペプチドを提供し、か かるL鎖部分は、該ポリペプチドがコカインを分解するのに適したコンフォメー ションを取るように、適切なフレームワーク領域の間に挿入されてたアミノ酸配 列DHWMH(配列番号:72)を有する相補性決定領域1、アミノ酸配列TI DLSDTYTGYNQNFKG(配列番号:71)を有する相補性決定領域2 、およびアミノ酸配列RGFDY(配列番号:72)を有する相補性決定領域3 を備えたH鎖部分に結合している。 天然の免疫グロブリン分子におけるH鎖およびL鎖の各々の可変ドメインの相 補 性決定領域が、抗原の認識と結合の役割を担う。 また、免疫グロブリン結合部位における2つの鎖の構造を模倣した生合成ドメ インは、これらをポリペプチドリンカーによって連結する一方、それらの全体的 結合特性に極めて近似し、それを保持し、しばしばそれを改善し得ることも発見 されている。 該ポリペプチドの結合部位は2つのドメインを含み、ひとつのドメインは免疫 グロブリンL鎖の可変ドメインを含み、他の部分は免疫グロブリンH鎖の可変ド メインを含む。かかる2つの部分はポリペプチドによって結合されている。ポリ ペプチドはこれら2つのドメインを、コカインを分解するための適当なコンフォ メーションに保持している。 好ましい実施態様では、本発明は、相補性決定領域とフレームワーク領域が別 個の免疫グロブリンに由来する、L鎖の可変断片とH鎖の可変断片を含むハイブ リッドの単一ポリペプチド鎖を提供する。 もうひとつの好ましい実施態様では、本発明は、フレームワーク領域がヒトま たは哺乳類に由来するものであるヒト化一本鎖ポリペプチドを提供する。 マウス非ヒト抗体の使用は、特に反復治療処方においてある種の弱点を有する 。マウス抗体は、たとえば、ヒトにおいて使用した時、ヒトの補体を十分に固定 せず、また他の重要な免疫グロブリンの機能特性を欠く。おそらく、より重要な 点として、該抗体は、ヒト患者に注入した時免疫原性となる長さのアミノ酸配列 を含んでいる。異種抗体の注入後、該抗体に対して患者が惹起する免疫反応が極 めて強く、初期治療後の抗体の治療的有用性を排除してしまう場合があることが 試験で示された。 本発明は、それ故、組換えDNAテクノロジーを用いることにより、コカイン を分解することができる、「ヒト化(humanized)」抗体のようなハイブリッド抗 体(たとえばヒトあるいは他の哺乳類の定常領域に連結されたマウス可変領域) を提供する。請求の範囲に記載のハイブリッド抗体は、1つの哺乳類ソースから の1つまたはそれ以上の相補性決定領域と、ヒトあるいは他の哺乳類ソースから のフレームワーク領域を有する。 本発明のハイブリッド抗体は、様々な組換えDNA手法によって容易に作製す ることができ、トランスフェクションされた細胞、好ましくは骨髄腫あるいはハ イブ リドーマ細胞のような不滅化された真核細胞において最終的に発現される。ヒト 様抗体のフレームワーク領域をコードする第一配列と、所望する抗体の相補性決 定領域をコードする第二配列セットを含むポリヌクレオチドは、合成によって、 あるいは適当なDNA断片とゲノムDNA断片を組合わせることによって作製で きる。 本発明のハイブリッド抗体の免疫原性を改善するために、アクセプターと呼ば れるヒト様免疫グロブリンを、免疫グロブリンドナーの対応部分と最も相同な配 列のひとつを有するように選択する。ヒト様免疫グロブリンフレームワーク配列 は、代表的にはドナーの免疫グロブリンフレームワーク配列と約65%〜70% 、あるいはそれ以上の相同性を有する。 ハイブリッド抗体は、代表的には相補性決定領域に加えてドナーの免疫グロブ リンからの少なくとも約3個のアミノ酸を含む。通常、相補性決定領域のすぐ隣 にあるアミノ酸の少なくとも1個が置換されている。また、アクセプター免疫グ ロブリンのヒトフレームワーク領域の該アミノ酸は、その位置に関してはまれで あり、ドナー免疫グロブリンにおける対応するアミノ酸は、ヒト免疫グロブリン 配列におけるその位置に関しては一般的である。 最後に、該アミノ酸は、三次元免疫グロブリンモデルにおける約3オングスト ロームの相補性決定領域内にあり、抗原あるいはヒト化抗体の相補性決定領域と 相互作用することができると予想される。 ハイブリッド抗体に結合された時、本発明のヒト化LおよびH鎖あるいは相補 性決定領域とフレームワーク領域は、ヒトにおいて実質的に非免疫原性であり、 ドナー抗体のようにコカインを分解する能力を保持する。 本発明はさらに、被験者の血液中のコカインを分解するのに有効な量の特許請 求される抗体と薬学的に許容される担体を含む、被験者においてコカインの濃度 を低下させるための薬学的組成を提供する。 本発明はさらに、被験者の血液中のコカインを分解するのに有効な量の請求の 範囲に記載の抗体を被験者に投与することを含む、被験者においてコカインの濃 度を低下させる方法を提供する。 本発明はさらに、被験者の血液中のコカインを分解するのに有効な量の請求の 範囲に記載の抗体と薬学的に許容される担体を含む、被験者においてコカインの 過量 を治療するための薬学的組成を提供する。 本発明はさらに、被験者の血液中のコカインを分解し、被験者におけるコカイ ンの過量を低減するのに有効な量の請求の範囲に記載の抗体を被験者に投与する ことを含む、被験者においてコカインの過量を治療するための方法を提供する。 本発明はさらに、被験者の血液中のコカインを分解するのに有効な量の請求の 範囲に記載の抗体と製薬学的に許容される担体を含む、コカインの達成可能濃度 を低下させることによって被験者のコカイン嗜癖を治療するための薬学的組成を 提供する。 本発明はさらに、コカインを分解するのに有効な量の特許請求される抗体を被 験者に投与し、それによって被験者の血液中のコカインの達成可能濃度を低下さ せることを含む、コカインの達成可能濃度を低下させることにより被験者のコカ イン嗜癖を治療するための方法を提供する。 以下の「実験の詳細」の項において本発明を例示する。これらの項は本発明の 理解を助けるためのであって、いかなる意味においても後述の請求の範囲に述べ られている本発明を制限することを意図せず、またそのように解釈すべきではな い。第一実験シリーズ 一般的方法 特に記載されない限り、反応は、アルゴンの雰囲気下でオーブン乾燥したガラ ス器具で行った。オーブン乾燥したシリンジと針で試薬および溶媒の移動を行っ た。ジクロロメタン、テトラヒドロフラン(THF)、およびベンゼンを、水素化 カルシウムから連続して蒸留させた。ヒュームフードを、ベンゼンまたはクロロ ホルムを必要とする手段について使用した。3H−フェニルコカインを、先に報 告されたとおりに製造した(8);放射性標識材料は、適切な注意を払って取り 扱った。全ての試薬は、アルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical Co.)から 購買した。全てのクロマトグラフィー溶媒は、市販で入手し、そして受取ったま ま使用した。反応は、イー.メルク(E.Merck)のシリカゲル60Fガラスプレー ト(0.25mm)を使用した分析用薄相クロマトグラフィー法(TLC)によって 観察した。フラッシュ・クロマトグラフィーを、Still(29)によって 記述されたとおりイー.メルク(E.Merck)のシリカゲル−60(230.400メッシュ )を使用して行った。高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を、ダイナマッ クス(Dynamax)−C8(21.4×250mm)カラムと220nmに設定された検出器 を使用するウォーターズ(Waters)590の系で行った。溶媒系は、アセトニトリ ル−水(0.1%トリフルオロ酢酸)であった。 5mmの広範なバンドの反転プローブを具備したブラッカー(Bruker)AMX− 500(500MHz)分光計、バリアン(Varian)VXR−300(3O0MHz)またはバ リアン・ジェミニ・バリアン(Varian Gemini Varian)(50MHz)のいずれかで、 周囲温度で全ての炭素NMRスペクトルを得た。全てのプロトンNMRスペクト ル(400MHz)を、ブルッカーAM−400分光計で周囲温度で得て、化学シフト (δ)を内部テトラメチルシラン(0.00ppm)に対する100万分の1で記録 する。 ミシガン州立大学の質量分光光度の施設でFAB高解像能質量分光光度分析を 行った。EI質量分光光度分析を、コロンビア大学、質量分光光度の施設のJE OLDX303 HF装置で行った。全ての結果は、計算値の5ppm以内であった 。 遊離TSA。アメルライト(Amerlite)IRNメトキシ交換カラム(ポリサ イエンス社(Polyscience,Inc.))に、塩酸エクゴニンメチルエステルのMeOH 溶液を通過させることによって、エクゴニンメチルエステル遊離塩基を生成した 。0℃でCH2Cl2(10ml)中のエクゴニンメチルエステル(0.049g、0.25ミリモル )に、フェニルリン酸ジクロライド(0.042ml、0.30ミリモル)、1H−テトラゾ ール(触媒)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.11ml、3.4ミリモ ル)を添加した。反応液を、室温まで加温させた。12時間攪拌後、MeOH( 0.150ml)を添加し、そして4時間後、反応液を真空で濃縮した。クロマトグ ラフィー精製(SiO2、CHCl3/MeOH 99:1)により、混合ジエステル(0.042g、5 2%)を油状物として得た。CH2Cl2(3ml)中に溶解したのメチルエステル( 0.030g、0.095ミリモル)に、室温で2時間臭化トリメチルシリル(0.05ml、0. 38ミリモル)を添加した。反応液を真空で濃縮した。水(5ml)を添加し、そ して反応液をCHCl3(5ml×2)で抽出した。有機部分を別の5mlの水で抽出 した。混合水性画分を真空で濃縮した。残渣をMeOH(5ml) に取り、そしてプロピレンオキシド(過剰)を添加した。真空で濃縮した後、遊 離TSA(29mg、90%)を白色固形物として、CHCl3中の粗生成物の溶液か ら沈殿させた。1H NMR(400MHz、D2O)δ 7.51(m、2H)、 7.32(m、3H)、4.37(m、1H)、3.83(m、1H)、3.67(m 、1H)、3.54(s、3H)、2.95(m、1H)、2.54(s、3H)、2 .14−1.92(m、3H)、1.91−1.74(m、3H)。13C NMR (300MHz、D2O)δ 179.21、139.31、136.92、1 36.43、136.30、134.00、133.81、69.24、69. 04、68.57、58.45、53.49、43.96、40.17、28. 95、27.83;高解像能質量スペクトル(FAB)C1622NO_Pとした 。(M+1)計算値340.1314、実測値340.1319。 化合物。MeOH(4ml)中のエクゴニンHCl(0.35g、1.6ミ リモル)に、DMF(40ml)、Me4NOH(2.7ml、6.4ミリモル) および1−アジド−4−インドブタン(1.8g、8ミリモル)を添加した。反 応液を50℃で12時間攪拌し、そしてその後真空で濃縮した。クロマトグラフ ィー精製(SiO2、EtOAc/MeOH/NH4OH 9:0.9:0.1) により、エステル(0.35g、78%)を油状物として得た。1H NMR( 400MHz、CDCl3)δ 4.23(m、1H)、4.12(m、1H)、3 .81(m、1H)、3.58(m、1H)、3.26(t、2H、J=7.0Hz) 、3.18(m、1H)、2.74(t、1H、J=4.7Hz),2.19(s、 3H)、2.03(m、2H)、1.98−1.63(m)6H)、1.61−1.4 7(m、2H);13C NMR(500MHz、CDCl3)δ173.73、6 4.37、64.29、63.56、61.58、51.74、50.94、4 1.23、40.26、25.92、25.61、25.51、24.82;高 解像能質量スペクトル(FAB)C132343とした。(M+1)計算値28 3.1770、実測値283.1783。 化合物。0℃でベンゼン(10ml)中のアルコール(0.43g、1. 5ミリモル)に、フェニルリン酸ジクロライド(0.27ml、1.7ミリモル) 、 1H−テトラゾール(8mg)、およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0 .6ml、3.4ミリモル)を添加した。反応液を、室温まで加温させ、そして 沈殿物が15分後に観察された。12時間攪拌した後、MeOH(0.1ml) を添加し、そして4時間後、反応液を真空で濃縮した。クロマトグラフィー精製 (SiO2、CHCl3/MeOH/NH4OH 9.5:0.5:0.02)に より、混合ジエステルをジアステレオマー(0.53g、89%)の混合物で、 油状物として得た。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ 7.73(m 、2H)、7.60(m、1H)、7.49(m、2H)、5.09(m、1/2H) 、4.98(m、1/2H)、4.24(m、2H)、4.15−3.96(m、2 H)、3.71(d、3/2H、J=14.6Hz)、3.68(d、2H、J=1 4.6Hz)、3.35−3.15(m、3H)、2.91(s、3/2H)、2. 89(s、3/2H)、2.87(t、1/2H、J=7.5Hz)、2.59(t 、1/2H、J=7.5Hz)、2.43−2.22(m、5/2H)、2.17 −1.95(m、5/2H)、1.71−1.57(m、2H)、1.39(m、2H );13C NMR(500MHz、CDCl3)δ161.55、149.12、 134.32、132.55、129.80、129.66、66.72、66 .54、66.45、66.28、64.80、63.90、63.81、53 .81、51.60、51.50、49.58、49.15、40.30、35 .60、35.27、26.35、26.06、26.02、25.82、25 .10、23.98;高解像能質量スペクトル(FAB)C203045とした 。(M+1)計算値437.1954、実測値437.1953。 化合物。Me3P(1.1ml、THF中1M、1.1ミリモル)を、6m lTHF/MeOH/H2O(9:9:2)中のアジド(0.217g、0. 5ミリモル)に添加し、そして反応液を室温で5時間攪拌した。真空で濃縮した 後、不安定な粗成アミン(36mg、0.084ミリモル)を、乾燥CH2Cl2 (5ml)に取り、そして1,4−14C−琥珀酸無水物(9mg、0.093ミ リモル)を添加した。反応液をAr下で12時間攪拌し、そしてその後濃縮した 。精製のために、粗成酸(44mg、0.087ミリモル)をDCC(36m g、0.17ミリモル)、ベンジルアルコール(36μl、0.35ミリモ ル)およびDMAP(触媒)を用いてCH2Cl2(10ml)中でエステル化し た。反応液を、12時間攪拌し、そして濃縮した。クロマトグラフィー精製(S iO2、0.5:99.5 MeOH/CHCl3、および2:98MeOH/C HCl3)により、のベンジルエステルをジアステレオマーの混合物(32m g、59%)で、油状物として得た。1H NMR(400MHz、CDCl3) δ 7.73(m、2H)、7.62(m、1H)、7.49(m、2H)、7.33 (m、5H)、6.64(広範なs、1/2H)、6.56(広範なs、1/2H)、 5.10(s、2H)、4.96(m、1/2H)、4.89(m、1/2H)、4. 38−3.85(m)4H)、3.74(d、3/2H、J=15.2Hz)、3. 68(d、3/2H、J=15.2Hz)、3.32−3.12(m、3H)、2. 89(s、3/2H)、2.87(s、3/2H)、2.70−2.59(m、3H) 、2.52−2.26(m、4H)、2.10−1.97(m、2H)、1.68( m、1H)、1.55(m、1H)、1.38(m、2H);13C NMR(500 MHz、CDCl3)δ173.55、172.66、171.37、161. 62、161.28、136.59、134.17、132.37、129.5 6、129.24、128.88、128.71、67.04、66.81、6 6.64、66.25、64.66、63.75、53.74、49.37、4 9.00、40.11、39.42、35.55、35.26、31.35、3 0.31、26.19、26.06、24.89、23.91;高解像能質量ス ペクトル(FAB)C314228Pとした。(M+1)計算値601.267 9、実測値601.2682。 メタノール(10ml)中ののベンジルエステル(17mg、0.028ミ リモル)をH2(1気圧)下での触媒量のC(10%)上のPdと一緒に4時間 攪拌した。反応混合液を濾過し、そして真空で濃縮して、酸を定量的に供した 。1H NMR(400MHz、CD3OD)δ 7.69(m、2H)、7.60 (m、1H、7.51(m、2H)、4.99(m、1H)、4.20−4.08(m 、2H)、3.89(m、1H)、3.73(d、3/2H、J=21.5Hz)、 3.66(d、3/2H、J=21.5Hz)、3.62(m、1H)、3.22( m、1H)、3.10(m、1H)、3.01(m、1H)、2.76 (s、3/2H)、2.75(s、3/2H)、2.50(m、2H)、2.38−2 .28(m、5H)、2.04(m、2H)、1.61(m、1H)、1.50(m、 1H)、1.34(m、3H);13C NMR(500MHz、CD3OD)δ17 6.22、174.52、173.47、162.22、134.97、132 .79、130.18、67.66、67.53、66.99、65.47、6 4.44、53.89、39.63、39.33、35.99、31.50、3 0.23、26.71、24.65、23.67;高解像能質量スペクトル(E I)C243628Pとした。計算値511.2209(M+1)、実測値511 .2218。 化合物。アセトニトリル(5ml)に溶解させた酸(40mg、0.07 8ミリモル)に、N−ヒドロキシフタルアミド(14mg、0.086ミリモル )およびDCC(32mg、0.16ミリモル)を添加した。室温で1時間後、 白色沈殿物が形成した。反応液を真空で濃縮した。粗活性化エステルをCH2C l2(5ml)に取り、そして臭化トリメチルシリル(100μl、0.78ミ リモル)を添加した。反応液を、1時間攪拌し、そして真空で濃縮した。粗反応 混合液をアセトニトリル(5ml)に取り、そしてアミルアミン(100μl、 0.78ミリモル)を添加した。すぐに、明るいオレンジ色に発色し、そして1 時間で明るい黄色に退色した。別の部分のアミルアミン(100μl)を添加し た。反応液を12時間、室温で攪拌し、そして真空で濃縮した。水(3ml)を 添加し、そして反応液をCHCl3(5ml×2)で抽出した。有機部分を新た な5mlの水で抽出した。混合水層画分を真空で濃縮した。4%−40%CH3 CN/H2O勾配(0.1%トリフルオロ酢酸)で溶出したダイナマックス(D ynamax)300Å、12μ、C−8(10×250mm)カラムでの高圧 液体クロマトグラフィーで、アミド(16mg、36%収率)を供した。1H NMR(400MHz、CD3OD)δ 7.72(m、2H)、7.56(m、 1H)、7.47(m、2H)、4.12(m、3H)、3.87(m、1H)、3. 23(m、2H)、3.14(m、3H)、2.77(m、4H)、2.58(m、4 H)、2.34(m、3H)、2.16(m、1H)、1.97(m、2H)、1.5 5−1.48(m、6H)、1.26(s、4H)、0.846(t、3H、J =6.3Hz);13C NMR(500MHz、CD3OD)δ175.76、1 73.62、133.83、132.23、131.01、129.07、66 .56、66.52、65.26、64.33、41.13、40.36、39 .33、35.93、31.13、29.91、29.48、28.95、26 .57、26.28、24.73、23.66、23.22;高解像能質量スペ クトル(FAB)C284537Pとした。計算値566.2995(M+1)、 実測値566.2997。 TSA。CH3CN(5ml)中の酸(14mg、0.027ミリモル) を、N−ヒドロキシフタルイミド(4.8mg、0.029ミリモル)およびD CC(11mg、0.053ミリモル)と共に室温で攪拌した。すぐに赤色に発 色した。2.5時間後、反応液を真空で部分的に濃縮し、小さなコットン製プラ グを通して濾過し、そしてその後十分に濃縮した。不安定な粗成活性化エステル (見掛け上0.027ミリモル)をCH2Cl2(5ml)に取り、そして臭化ト リメチルシリル(20μl、0.15ミリモル)を添加した。反応液を、1時間 攪拌し、そして真空で濃縮した。0℃でのNaHCO3(5ml、1N、pH8 .0)中のBSA(5mg)または卵白アルブミン(5mg)を添加し、そして 混合液を激しく攪拌した。反応液を室温に加温させ、そして1時間後、ゲル濾過 クロマトグラフィー(セファデックス(Sephadex)G−25M、pH7 .4PBS)によって停止させた。タンパク質含有画分を混合し、そして4℃で 一夜PBS(pH=7.4、3×1000ml)で透析した。結合効率は、放射 性標識の組込みに基づいて、BSAについては6:1と、そして卵白アルブミン については15:1と算定された。 化合物9a。2−(p−ブロモフェニル)エタノール(1.3g、6.5ミリ モル)に、塩化メチレン(20ml)、塩化t−ブチルジメチルシリル(1.07 g、7.1ミリモル)およびイミダゾール(660mg、9.7ミリモル)を添 加した。反応液を室温で12時間攪拌し、濾過し、そして真空で濃縮した。クロ マトグラフィー精製(SiO295:5ヘキサン:CHCl3)により、シリルエ ーテル(1.28g、66%)を供した。−78℃でのAr下でTHF(25m l)中のエーテル(792mg、2.51ミリモル)に、n−BuLi(1. 2ml、2.3Mヘキサン、2.76ミリモル)を滴下した。反応液を30分間 攪拌し、そしてジエチルクロロホスフェート(370μl、2.5M THF、 0.93ミリモル)の溶液を添加した。反応液を−78℃でさらに5分間攪拌し 、そして室温に加温した。水性NH4Cl(20ml)を添加し、そして反応液 をEtOAc(3×10ml)で抽出した。混合有機層をブラインで洗浄し、無 水MgSO4で乾燥させ、濾過し、そして真空で濃縮した。THF(10ml) および水性Bu4NF(2.5ml、1M、2.5ミリモル)を残渣に添加した 。この溶液を30分間室温で攪拌し、そして真空で濃縮した。クロマトグラフィ ー精製(SiO2、9:1EtOAc/MeOH)により、アルコール9a(2 29mg、35%)を供した。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ 7 .74(dd、2H、J=12.5、7.1Hz)、7.33(dd、2H、J= 12.5、4.5Hz)、4.11(m、4H)、2.92(t、2H、J=6.5 Hz)、2.89(t、2H、J=6.5Hz)、1.32(t、6H、J=7.8 Hz)。13C NMR(50MHz、CDCL3)δ144.32、132.51 、129.78、129.47、63.61、62.69、39.74、16. 98;高解像能質量スペクトル(EI)C122034Pとした。計算値259 .1099(M+1)、実測値259.1092。 化合物9b.アルコール9a(193mg、0.75ミリモル)に、CH2C l2(7.5ml)、Et3N(115μl、0.83ミリモル)、TsCl(14 5mg、0.75ミリモル)、DMAP(触媒)を添加した。反応液を室温で1 2時間攪拌した。濃縮および精製(SiO2、3:1EtOAc:ヘキサン)に より、トシレート(251mg、81.5%)を供し、そしてこの生成物の一部 (232mg、0.56ミリモル)に、ベンゼン(3ml)、水(3ml)、塩化ア ンモニウム・トリカプリルメチル(触媒)、およびNaN3(150mg、2.2 5ミリモル)を添加した。反応液を65℃で12時間還流した。NH4Cl飽和 水溶液(5ml)を添加し、そして反応液をEtOAcで抽出した。混合有機層 をMgSO4で処理し、濾過し、そして真空で乾燥させた。クロマトグラフィー (SiO2、1:1ヘキサン:EtOAc)により、アジド9b(137mg、 86%)を供した。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ 7. 74(dd、2H、J=12.5、7.1Hz)、7.32(dd、2H、J=1 2.5、4.5Hz)、4.09(m、4H)、3.86(t、2H、J=7.5H z)、2.92(t、2H、J=7.5Hz)、1.32(t、6H、J=7.3H z)。13C NMR(50MHz、CDCL3)δ143.31、132.65、 129.50、129.20、125.31、62.58、52.47、35. 89、16.94;高解像能質量スペクトル(EI)C121933Pとした。 計算値284.1164(M+1)、実測値284.1168。 化合物10。CH2Cl2(5ml)中のジエチルリン酸エステル8b(600 mg、2.12ミリモル)を臭化トリメチルシリル(1ml、11ミリモル)と 共に攪拌し、そして45℃に加温した。20分後、真空で濃縮させた。残渣をC H2Cl2(3.2ml)に溶解させ、そして塩化オキサリル(3.2ml、CH2 Cl2中2M、6.36ミリモル)およびDMFの1滴を添加した。室温で20 分攪拌した後、揮発分を真空で除去した。不安定なリン酸ジクロライドを直接使 用した。 化合物11。エクゴニンメチルエステル遊離塩基を、化合物について記述し たとおりに生成した。0℃でのベンゼン(20ml)中のエクゴニンメチルエス テル(170mg、0.854ミリモル)に、N,N−ジイソプロピルエチルア ミン(0.74ml、4.26ミリモル)、1H−テトラゾール(触媒)およびリ ン酸ジクロライド10(225mg、0.854ミリモル)を添加した。反応液 を、室温で加温させ、そして12時間攪拌した。メタノール(3ml)を添加し 、そして20分後、反応混合液を真空で濃縮した。クロマトグラフィー精製(S iO2、1:9MeOH:CHCl3)により、混合ジエステルを、ジアステレオ マーの混合物(108mg、30%)として供した。1H NMR(400MH z、CDCl3)δ 7.71(m、2H)、7.29(m、2H)、4.63(m、 1H)、3.73(s、3/2H)、3.70(s、3/2H)、3.63(d、3/ 2H、J=11.4Hz)、3.62(d、3/2H、J=11.4Hz)、3. 51(t、2H、J=7.2Hz)、3.48−3.39(m、1H)、3.23− 3.15(m、1H)、3.05(m、1/2H)、2.91(t、2H、J=7. 2Hz)、2.75(m、1/2H)、2.57−2.26(m、1 H)、2.14(s、3H)、2.09−1.52(m、5H)。13C NMR(5 0MHz、CDCl3)δ170.91、170.65、143.27、132 .80、132.61、129.45、129.11、125.08、78.2 2、77.73、76.95、70.15、65.31、62.14、52.5 0、52.84、52.15、41.56、37.84、35.97、25.7 0、25.58;高解像能質量スペクトル(EI)C192745Pとした。計 算値422.1719(M+)、実測値 化合物12。アジド11(370mg、0.877ミリモル)に、THF(9 ml)およびトリフェニルホスフィン(400mg、1.75ミリモル)を添加 した。室温で12時間攪拌した後、水(1ml)を添加した。混合物を3時間攪 拌し、そして真空で濃縮した。粗アミン(200mg、0.51ミリモル)に、 CH2Cl2(7.5ml)および琥珀酸無水物(3.5mg、0.35ミリモル )を添加した。反応液を12時間攪拌し、そして真空で濃縮した。粗成酸12( 290mg、0.51ミリモル)を、CH2Cl2(10ml)に溶解させ、そし てDCC(200mg、0.97ミリモル)、DMAP(触媒)およびベンジルア ルコール(0.2ml、1.9ミリモル)を添加した。反応液を12時間室温で 攪拌し、そして真空で濃縮した。クロマトグラフィー SiO2、10:10: 0.4CHCl3:EtOAc:NHO4H)により、12のベンジルエステル( 197mg、65%)をジアステレオマーの混合物として供した。1H NMR( 400MHz、CDCl3)δ 7.79−7.61(m、4H)、7.33−7 .25(m、5H)、5.11(s、2H)、4.69−4.58(m、1H)、3. 73(s、3/2H)、3.69(d、3/2H、J=18.1Hz)、3.62( d、3/2H、J=18.1Hz)、3.59(s、3/2H)、3.46(m、2 H)、3.27−3.03(m、3H)、2.81(t、2H、J=7.2Hz)、 2.69(t、2H)J=6.8Hz)、2.42(t、2H、J=6.8Hz)、 2.15(s、3H)、2.08−1.80(m、3H)、1.69−1.51(m 、3H)。13C NMR(50MHz、CDCl3)δ173.35、171.4 2、132.38、132.11、129.99、12 9.93、129.80、129.67、129.61、129.56、129 .48、129.94、128.66、128.49、67.07、66.16 、66.43、63.40、53.28、50.49、50.18、50.06 、49.64、49.36、49.21、48.79、39.58、36.14 、31.14、30.07、24.73;高解像能質量スペクトル(EI)C30 3928Pとした。計算値586.2444(M+)、実測値586.2428 。 酸12を、酸で記述したとおりにベンジルエステルからジアステレオマーの 混合物として定量的に再生した。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ 7 .74(m、2H)、7.60(m、1H)、7.49(m、2H)、5.02(m、 1/2H)、4.92(m、1/2H)、4.24(m、2H)、3.83(s、3/ 2H)、3.74(d、3/2H、J=12Hz)、3.67(d、3/2H、J= 12Hz)、3.51(s、3/2H)、2.79(m、1H)、2.75(s、3/ 2H)、2.74(s、3/2H)、2.45(m、1H)、2.35(m、6H)、 2.02(m、2H)、1.20(m、4H);13C NMR(300MHz、CD3 OD)δ175.92、174.33、173.72、147.06、132 .85、132.72、130.62、130.41,129.56、129. 29、67.31、65.28、64.37、53.69、53.43、53. 24、41.25、39.21、36.42、35.83、35.70、31. 35、30.58、30.07、24.52、23.50;高解像能質量スペク トル(EI)C233428Pとした。計算値497.2053(M+1)、実測 値497.2064。 化合物13。アセトニトリル(5ml)中に溶解させた酸12(23mg、0 .049ミリモル)に、N−ヒドロキシフタルイミド(9mg、0.054ミリ モル)およびDCC(20mg、0.097ミリモル)を添加した。臭化トリメ チルシリル(0.65ml、0.49ミリモル)とアミルアミン(0.57ml 、0.47ミリモル)との反応が、化合物について開発されたプロトコールに よって進行して、アミド13(8mg、30%収率)を生成した。1H NMR (400MHz、CD3OD)7.69(m、2H)、7.32(m、2H)、4. 75(m、1H)、4.08(m、1H)、3.86(m、1H)、3.71(s、3 H)、3.39(m、3H)、3.14(m、2H)、2.82(m、5H)、2.4 2(s、3H)、2.38−2.22(m、4H)、2.13−2.00(m、3H) 、1.49(m、2H)、1.32(m、4H)、0.91(t、3H、J=1.5 Hz)。13C NMR(500MHz、CD3OD)δ173.39、159.5 3、159.22、144.10、132.23、130.95、129.61 、117.04、64.83、64.62、64.12、63.92、62.5 3、40.89、39.54、36.83、36.23、34.31、31.2 1、30.52、30.14、29.24、27.94、23.95,21.4 7;高解像能質量スペクトルEI C274337Pとした。計算値552.2 839(M+1)、実測値552.2863。 TSA。酸12(70mg、0.14ミリモル)に、DMF(4ml)、DC C(116mg、0.57ミリモル)およびN−ヒドロキシフタルイミド(92 mg、0.57ミリモル)を室温で添加した。反応液を12時間4℃で攪拌し、 真空で濃縮し、そしてCHCl3(10ml)で洗浄しながら小さなコットン製 プラグを通して濾過した。この溶液のアリコート(2ml)に、ブロモトリメチ ルシラン(0.1ml、0.76ミリモル)を添加した。準備と結合は、TSA について開発されたプロトコールによって進行した。BSAに対する結合効率 は、15対1であり、卵白アルブミンに対しては10対1であった。 化合物14。THF(30ml)中のN−ノルコカイン(206mg、0.7 13ミリモル)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(186μl、1. 07ミリモル)に、1−アジド−4−インドブタン(160mg、0.713ミ リモル)を室温で添加した。反応混合液を2日間60℃に加熱した。真空での濃 縮およびクロマトグラフィー精製(SiO2、1:9 EtOAc:ヘキサン) により、エクゴニンエステル14(205mg、75%)を無色油状物として生 成した。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ 8.02(d、2H、J =6.0Hz)、7.58(t、1H、J=6.1Hz)、7.41(t、2H、J =7.0Hz)、5.25(m、1H)、3.70(s、3H)、3.68(m、1H )、3.50(m、1H)、3.28(t、2H、J=7.4Hz)、3.0 3(m、2H)、2.43(m、1H)、2.26(m、2H)、2.04−2.00 (m、2H)、1.86(m、1H)、1.73−1.65(m、4H)、1.47( t、2H);13C NMR(500MHz、CDCl3)δ171.47、166 .96、133.77、131.24、130.59、129.16、68.1 0、63.55、61.24、52.89、52.21、52.05、53.1 3、36.49、27.29、26.95、26.86、26.34;高解像能 質量スペクトル(FAB) C202744とした。(M+1)計算値387. 2032、実測値387.2041。 化合物15。N−置換コカイン14(205mg、0.53ミリモル)を、9 0℃で4時間水性HCl(10ml、0.7N)で加水分解した。混合液をエー テルで抽出し、濃縮し、そしてHCl(g)で飽和したMeOH(25ml)に 溶解させた。60℃で2時間後、溶媒を真空で除去し、そして残渣をMeOHに 溶解させ、そしてアンバーライト(Amberlite)IRNメトキシド交換 カラム(ポリサイエンシズ社(Polysciences,Inc)(1ml)を 通過させて、粗遊離塩基を生成した。クロマトグラフィー精製(SiO2、5: 95 MeOH:CHCl3)により、アルコール15(102mg、72%) を生成した。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ 3.80(m、1H) 、3.69(s、3H)、3.03(m、1H)、3.66(m、2H)、3.24( t、2H、J=7.2Hz)、3.18(m、1H)、2.75(t、1H、J=5 .1Hz)、2.21(m、1H)、1.95−1.78(m、4H)、1.61− 1.38(m、6H);13C NMR(500MHz、CDCl3)δ169. 58、65.55、62.89、61.27、53.10、52.61、52. 26、52.18、41.20、27.36、27.08、27.02、25. 83;高解像能質量スペクトル(FAB) C132343とした。(M+1) 計算値283.1770、実測値283.1779。 化合物16。0℃でのベンゼン(15ml)中のエクゴニン誘導体15(10 2mg、0.37ミリモル)に、1H−テトラゾール(触媒)、N,N−ジイソプ ロピルエチルアミン(0.163ml、0.94ミリモル)およびフェニルリン 酸ジクロライド(0.67ml、0.47ミリモル)を添加した。反応混合液 を一夜室温に加温させた。過剰のMeOHを添加し、そして混合液を室温で3時 間攪拌した。クロマトグラフィー精製(SiO2、5:95のMeOH中の4% NH4OHおよび1:1混合のヘキサンとCHCl3)および前TLC(2.5: 97.5 MeOH:CH2Cl2)により、混合ジエステル16をジアステレオ マーの混合物(78mg、49%)として得た。1H NMR(400MHz、 CDCl3)δ 7.66(m、2H)、7.62(m、1H)、7.49(m、2H )、5.08(m、1/2H)、4.97(m、1/2H)、4.32(m、1H)、 4.18(m、1H)、3.88(s、3/2H)、3.75(d、3/2H、J= 16.4Hz)、3.71(d、3/2H、J=16.4Hz)、3.49(s、3 /2H)、3.45−3.25(m、4H)、2.98(m、1H)、2.63−2 .22(m、4H)、2.19−2.01(m、2H)、1.92−1.63(m、4 H);13C NMR(500MHz、CDCl3)δ160.10、159.7 2、133.37、133.23、131.61、131.53、131.46 、130.29、128.86、128.76、128.64、66.76、6 3.74、63.58、62.55、62.43、54.46、54.17、5 2.64、51.67、49.11、48.79、36.57、36.28、2 6.91、25.58、25.18、24.18;高解像能質量スペクトル(F AB)C203045Pとした。(M+1)計算値437.1954、実測値4 37.1928。 化合物17。Me3P(0.156ml、THF中1M、0.157ミリモル )を、MeOH(5ml)中のアジド16(12mg、0.026ミリモル)に 添加し、そして反応液を、2時間室温で攪拌した。真空で濃縮した後、粗アミン をCH2Cl2(5ml)に取り、琥珀酸無水物(2.6mg、0.026ミリモ ル)を添加した。反応混合液を室温で一夜攪拌し、そして濃縮した。粗成酸17 をCH2Cl2(10ml)に溶解させ、そしてベンジルアルコール(0.05m l、0.048ミリモル)、DCC(10mg、0.048ミリモル)およびD MAP(触媒)を添加した。反応液を一夜室温で攪拌し、濃縮した。カラムクロ マトグラフィー(SiO2、5:95 MeOH:CH2Cl2)および前TLC (5:95 MeOH CH2Cl2)により、ベンジルエステルをジアス テレオマーの混合物(11mg、13から得た70%)として得た。1H NM R(400MHz、CDCl3)δ 7.76 (m、2H)、7.63(m、1H )、7.51(m、2H)、7.32(m、5H)、7.01(広範なs、1H)、5 .09(s、2H)、5.03(m、1/2H)、4.94(m、1/2H)、4.2 9−4.09(m、2H)、3.83(s、3/2H)、3.77(d、3/2H、 J=17.1Hz)、3.69(d、3/2H、J=17.1Hz)、3.49(s 、3/2H)、3.38−3.22(m、4H)、3.01(m、2H)、2.69 −2.33(m、8H)、2.04−1.60(m、6H);13C NMR(500 MHz、CDCl3)δ172.94、172.68、172.09、135. 86、133.30、131.64、128.90、128.78、128.6 5、128.54、128.17、128.82、66.24、65.81、6 2.71、62.54、61.16、61.03、52.95、51.49、4 7.69、37.64、35.18、30.41、29.39、25.67、2 4.00、23.54、21.95;高解像能質量スペクトル(FAB)C314228Pとした。(M+1)計算値601.2679、実測値601.267 6。 酸17を、酸について記述されたとおりにベンジルエステルから定量的に再 生した。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ 7.74(m、2H)、7 .60(m、1H)、7.48(m、2H)、5.02(m、1/2H)、4.92( m、1/2H)、4.33−4.09(m、2H)、3.83(s、3/2H)、3 .74(d、3/2H、J=23Hz)、3.67(d、3/2H、J=23Hz) 、3.51(s、3/2H)、3.33−3.19(m、6H)、2.98(m、1 H)、2.63(m、2H)、2.49(m、4H)、2.34(m、2H)、2.0 6−1.96(m、2H)、1.81−1.76(m、2H)、1.57(m、2H );13C NMR(300MHz、CDCl3)δ175.23、173.41 、172.06、133.21、131.65、128.90、128.58、 65.87、62.75、60.89、53.30、52.98、51.54、 48.16、47.75、37.61、31.02、30.33、25.76、 24.15、23.54、21.92;高解像能質量スペクトル(E I)C283628Pとした。計算値511.2209(M+1)、実測値511 .2213。 化合物18。CH3CN(3ml)中に溶解した酸17(6mg、0.012 ミリモル)に、N−ヒドロキシフタルイミド(2.2mg、0.013ミリモル )およびDCC(5mg、0.024ミリモル)を添加した。臭化トリメチルシ リル(0.016ml、0.12ミリモル)とアミルアミン(0.14ml、0 .012ミリモル)との反応は、化合物8について開発されたプロトコールによ って進行して、アミド(4.4mg、65%)を得た。1H NMR(400 MHz、CD3OD)δ 7.81(m、2H)、7.56−7.38(m、3H) 、5.95(m、1H)、5.39(m、1H)、5.05(m、1H)、4.79( s、3H)、4.29−4.12(m、6H)、3.61−3.04(m、10H) 、2.83−2.34(m、11H)、0.94(t、3H、J=7.2Hz)。13 C NMR(300MHz)、δ175.12、174.98、174.39、1 32.49、129.36、129.21、65.79、64.72、62.2 6、53.33、52.52、40.44、39.01、36.78、32.1 7、31.91、30.23、30.14、27.39、24.69、24.3 2、23.45、23.22、14.36;高解像能質量スペクトル(FAB) C284537Pとした。(M+1)計算値566.2995、実測値566. 2997。 TSA。DMF(2ml)中の酸17(12mg、0.023ミリモル)お よびN−ヒドロキシフタルイミド(16mg、0.096ミリモル)に、DCC (19mg、0.096ミリモル)を添加した。反応液を、4℃で一夜攪拌し、 真空で濃縮し、そしてCHCl3(10ml)で濾過した。活性化エステルを、 −20℃でCHCl3溶液(10ml)として保存し、そして精製なしに使用し た。臭化トリメチルシリル(0.050ml、0.379ミリモル)を、5ml アリコートの活性化エステルに室温で添加した。準備および結合はTSAにつ いて開発したプロトコールによって進行した。BSAに対する結合比は、11: 1であり、卵白アルブミンに対しては12:1であった。 ハイブリドーマ作成 先に記述(9)したとおり、BALB/cマウスを類似担体で免疫化し、そし て免疫応答をELISAによって行った。ハイブリドーマを標準法(9,17) によって製造した。 ハイブリドーマ細胞(〜2×106)を、プリスタンで前処理されたマウスの 腹膜に注入するか、またはT−150フラスコ細胞培養にプレーティングした。 回収した腹水または細胞培養上清を、分取プロテインA HPLCカラム(バイ オーラッド(Bio−Rad))でアフィニティークロマトグラフィーにかけた( SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動によって純度>90%)。触媒的に活性 な抗体のサンプルを、コカインエステラーゼ活性を損失することなく、0.02 Mトリスと、pH8.8/0.0M NaClからpH7.0/0.3M Na Clまでのリニヤー勾配とを使用した分析用DEAEカラム(トーショー・ハス (TOSOH HASS)TSK−ゲル)を用いた陰イオン交換HPLCによっ て精製した。 結合試験のためのプロトコール(CIEIA) プレートを、CIEIAの目的である触媒抗体を誘起するTSA(卵白アルブ ミンに結びついた)で被覆した。遊離TSAまたはTSA関連アミド類 または14を、公表されたプロトコールによって、誘起性TSAへの抗体の結 合の阻害を試験した(20b)。 速度論的測定についてのプロトコール 50mMリン酸緩衝生理食塩水pH8.0(2A10および6A12はpH7 .0であることを除く)中の触媒抗体を、特に5つの濃度で、3H−コカインと インキュベートした。3回の間隔で、アリコート量を冷HCl(水溶液)で、最 終pH2に酸性化し、ヘキサン−ジエチルエーテル(1:1)に分配し、そして 有機相をシンチレーション計数によって分析した。抗体がない以外は同一の反応 でバックグラウンドの加水分解を測定し、そして観察された速度を修正した。ア ッセイを、標準誤差<10%で三重に行った。対照として、アセトニトリル−水 (0. 1%トリフルオロ酢酸)勾配および220nmに設定された検出器を伴う分析用 逆相C18カラム(VYDAC)を使用して、HPLC(パーキン−エルマー(P erkin−Elmer))によって、安息香酸の放出が確認された。 抗体を有しない反応混合物のHPLC分析では、コカインのメチルエステルが 、t1/2=20時間(pH7)で、自然にベンゾイルエクゴニンに加水分解する ことが示された。したがって、ベンゾイルエクゴニンは、3H−コカイン加水分 解アッセイの初期反応時間でのベンゾイルエステラーゼ基質としては利用できず 、そして安息香酸の放出はコカイン加水分解物にのみ起因する。 アミノ酸配列決定 SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって軽および重鎖を分離し、そ してその後、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosyst ems)470Aまたは477Aシーケンサーでの自動エドマン(Edman) 分解による直接NH2−末端シーケンシングについてのポリビニリデンジフルオ ライド膜(30)にエレクトロブロットした。内部配列を得るために、2A10 ,19G7,9A3および15A10から得た別々のバンドを、ジチオスレイト ールで還元し、ヨードアセトアミドでアルキル化し、そして1M尿素、0.05 M NH4HCO3、pH8.0中のトリプシン(31)で切断した。ペプチド断 片を膜から抽出し、アセトニトリル−水(0.07%トリフルオロ酢酸)勾配を 用いた逆相C4カラム(VYDAC)上でのHPLC(ヒューレット−パッカード( Hewlett−Packard))によって分離し、そして配列した。 可変ドメインのPCRクローニング 触媒抗体を生成するマウスのハイブリドーマセルラインを、1×108細胞に 育成し、そしてグアニジンチオシアネート/フェノール手段(32)の微細適応 およびオリゴ(dT)セルロースカラム上での選択を使用して総RNAを製造し た。 分解および非分解オリゴヌクレオチドPCRプライマーを、アミノ酸配列(2 A10,15A10)またはKabatらのデータベース(24)を使用して設 計した。制限エンドヌクレアーゼ部位を、それらの5’プライマー末端でプライ マーに組込んで、クローニングを促進した。利用した制限部位は、Eco RI 、Spe I、Xba IまたはXho Iであった。各ハイブリドーマ・ライ ンの軽鎖(LC)および重鎖(HC)のセンスおよびアンチセンス・オリゴヌク レオチドプライマーは、以下のとおりであった:9A319G815A108G4Eおよび8G4Gについては、LC:5’−GGAATTCCACIA /TC/GICCIGGIGAA/GACIG−3’および5’GCTCGAG CC/TTCA/GTGIGTIACITGA/GCA−3'。3B96A1 および12H1については LC:5’−CCAGTTCCGAGCTCCA GATGACCCAGTCTCCA−3’および5’−GCGCCGTCTAG AATTAACACTCA TTCCTGT TGAA−3'。2A10につい てLC:5’−GCTCTAGAGCGAT/CATIGTIATGACICA A/GGAT/CGA−3’および5’−GGAATTCCA/GTTA/GT GICT/CT/CTCA/GTAT/CTCA/GTC−3'。3B96A 1212H19A319G884G4Eにつて HC:5’−AGGT CCAGCTGCTCGAGTCTGG−3’および5’−AGGCTTACT AGTACAATCCCTGGGCACAAT−3'。2A10については :5’−TCCCAGGTCCAACTGCAGCAGCC−3’および5’ −ATAACCCTTGACCAGGCATCC−3'。15A10については HC:5’−CCAGTTCCGAGCTCGTGATGACACAGTCT CC−3’および5’−AGCGCCGTCTAGAATTAACACTCAT TCCTGTTGAA−3'。 0.5μgのハイブリドーマmRNAおよびモロニー(Moloney)のネ ズミの白血病ウイスル逆転写酵素を用いて、DNAテンプレートを合成した。3 0サイクルの変性(96℃、1分間)、アニーリング(50℃、1分間)および 伸長(72℃、3分間)について、パーキン−エルマー/キャッズ(Perki n−Elmer/Cads)熱サイクルで増幅を行った。PCR産物を1.5% アガロースゲルでの電気泳動によって精製した。各反応から得た単離PCR産物 を・ブルースクリプト(Bluescript)プラスミドにサブクローニング し、そして開放読取り枠の存在についてDNA配列分析法によって分析した。I BIマックベクター(MacVector)3.0プログラムを使用してヌクレ オチド配列を配列させた。実験結果 遷移状態近似体の合成 水酸化物による二次エステル加水分解反応に関する遷移状態の幾何学的形態及 び電荷分布を安定に模擬するホスホナートモノエステルは、いくつかの例におい て高活性の触媒抗体を生じさせた(8)。しかしながら、そのような近似体はあら ゆる触媒抗体を特異的に誘起しないことも知られており、従って、近似体の構成 に関する法則を経験的に定義しなければならない(11)。近似体の効率を改善す るための戦略が「おとり商法(bait and switch)」(11)及び基質希釈(12) を含めて考案されたが、そのような手段のコストは、平均してKm値が高い触媒 抗体を生じる近似体と基質構造の間の相違である。蒸発させたコカインの吸入は 10〜20μMの最高肺動脈濃度をもたらし(13)、これはエステラーゼ活性を 有するほとんどの触媒抗体のKmより小さい。コカインの飽和下濃度では、より 高いKmは、回転速度を低くし、既に極限となっている高Kcatの必要性を高め るものである。従って、アシル基におけるホスホネート置換により、そして免疫 原性複合体の構成へのテザー(tether)の組み込みによってのみコカインと異な る高い忠実度の近似体の構成を選択した。それらの反応の座からの距離及びそれ らの相互の間隔に基づいて、近似体に関するメチルエステル、近似体に関す るフェニル基の4’位及び近似体に関するトロパン窒素の3つのテザー部位を 選択した(図1)。「遊離のTSA」はテザーを有さない構造に相当していた。 TSAの合成は市販の出発物質(−)エクゴニン(図2)を用いて開始した 。(−)エクゴニンのカルボン酸塩の4−アジド−1−ヨードブタンによる選択 的アルキル化によりエステルが78%の収率で得られた。C−2におけるエピ マー化が存在しないことは、1H−nmr分光法により確認した。アルキルエク ゴニンの塩基に対して不安定で、立体障害性のアルコールは1H−テトラゾー ル 触媒反応の手順(14)を用いてフェニルホスフィン酸ジクロリドと円滑に反応 し、メタノールの付加によりホスホナートジエステルが89%の収率で得られ た。P(CH33による不安定アミンへの還元及び1,4−14C−無水コハク酸 によるアシル化によりアジド部分においてテザーが形成された。ヘミスクシナー トを精製したところ、から得られたベンジルエステルとして特徴付けられ、触 媒水素化分解により酸が定量的に再生された。酸はN−ヒドロキシフタルイミ ドエステルとして活性化され、トリメチルシリルブロミドによりホスホナートメ チルステルにおいて選択的に脱エステル化された(15)。不安定なモノホスホナ ート生成物は直ちに担体タンパク質と結合して、TSA−が生成する。近似体 対担体の結合比率は、タンパク質への放射性標識物質の取り込みに基づいて、ウ シ血清アルブミン(BSA)では6:1で、卵白アルブミンで15:1であった 。担体結合近似体への構造の我々の帰属を支持して、モノホスホナートの試料の 一部をn−アミラミンに結合させたところ、予期されたアミドが得られた。 TSA−の合成には、テザーの形成のための4’位においてフェニルホスフ ィン酸ジクロリドを適切に置換させることが必要であった(図3)。2−(p−ブ ロモフェニル)エタノールのシリル化の後、n−ブチルリチウムを用いて金属交 換反応を行わせ、ジエチルクロロホスファートでクエンチングし、脱シリル化し て、アルコール9aを23%の収率で得た。9aのトシラートをアジドで置換し 、トリメチルシリルブロミドを用いてエステル交換反応を行わせた後、オキサリ ルクロリドと反応させ(16)、必要とするフェニルホスフィン酸ジクロリド10 を得た。上記のテトラゾール触媒反応法を用いて、塩化物10をエクゴニンメチ ルエステルと結合させ、メタノールの付加の後に、混合ジエステル11を25% の収率で得た。TSA−に用いたのと同じ一連の反応によってアジドからテザ ーが形成された。 TSA−の合成のために、(図4)N−ノルコカインを75%の収率でモノ アルキル化し、酸加水分解の後に、酸性メタノールで再エステル化してアルコー ル15を72%の収率で得た。混合ホスホナートジエステル16のテトラゾール を触媒とする合成は48%の収率で進行し、上記のようにアジドからテザーが形 成された。 抗コカイン触媒抗体の生成 Balb/CマウスをBSAに結合させた個々の近似体で免疫し、高力価の抗 血清を各抗原により引き出された。モノクローナル抗体を標準的なプロトコール (9,17)により調製し、酵素抗体法(ELISA)により決定される近似体 特異性の抗体を分泌するハイブルドーマを選択した。すべてのIgG抗近似体抗 体をサブクローンし、腹水又は細胞培養フラスコ中で増殖させ、プロテインAア フィニティークロマトグラフィーにより精製した。触媒抗体は、3H−フェニル コカインから3H−安息香酸を放出させるその能力により同定した。放射性標識 安息香酸は、都合のよいことに酸性化反応混合物の抽出によって3H−コカイン から有機溶媒中に分配される。市販のカルボキシルエステラーゼによるコカイン の加水分解を陽性対照として用い、安息香酸の生成を高性能液体クロマトグラフ ィーにより確認した。9種の融合細胞(fusion)からの107種の抗近似体抗体 のうち合計9種の触媒抗体が同定され、TSAは50種のうち6種を生成させ 、TSAは49種のうち2種を生成させた。TSA−は8種の抗近似体抗体 を生成させ、そのうち1種が触媒抗体であった。触媒抗体を更にDEAEアニオ ン交換クロマトグラフィーにより精製したところ、それらは活性を保持していた 。すべての酵素は50μMの遊離のTSAによって完全に阻害され(下記参照) 、試験した各抗体のFab部分は触媒活性を保持しており、また、血清エステラ ーゼ類の強力な阻害物質であるエセリン(18)は1mMであらゆる触媒mAb の活性を阻害せず、150μMの遊離のTSAは血清中に存在するコカインエ ステラーゼ活性を阻害しなかった(結果は示さず)。 触媒抗体の特性の検討 各モノクローナル抗体の存在下及び非存在下における基質濃度の関数としての3 H−フェニルコカインの加水分解速度を測定した。5%未満の反応に対応する 時点における放射性標識安息香酸の生成から初期速度を求めた。各人工酵素につ いて動力学的飽和及び線形のLineweaver-Burkプロットが得られることが認めら れた。9種の触媒抗体の一次速度定数(kcat)及びミカエリス定数(Km) は、表1に示すようにそれぞれ0.011〜2.3min-1及び150〜300 0μMの範囲にあった。 表1 3H−コカインのMabによる加水分解の動力学的パラメータ Mab TSA m(μM) cat(min-1) cat/k0 3B9 490 0.11 1100 6A12 1020 0.072 880 2A12 3000 0.011 420 9A3 270 0.015 140 19G8 900 0.091 830 15A10 220 2.3 23000 12H1 150 0.16 1500 8G4G 530 0.60 5500 8G4D 1200 0.12 1100 ミカエリス定数 Km; 触媒速度定数 kcat; 及び自発速度 k0。 アッセイは、kcat/k0を最適にするpH、すなわち一般的にpH7.8、6A 12についてはpH7.4、2A10についてはpH7.0で行った。 最も活性な触媒抗体であるMab 15A10の速度の加速はMab 3B9 について以前に報告された(9)ものより高く、そしてミカエリス定数は低かっ た。これはコカインの飽和下濃度における活性のほぼ2桁の大きさの向上に相当 している。Mab 3B9は遊離のTSA に関するKmとKiの比に見合った 速度加速を示したことも報告された。この比は、遷移状態を基準とした基底状態 における抗体の親和性を近似するものであり、Mab 3B9の場合、速度の加 速が主として遷移状態の安定化に起因していたことを示唆していた(19)。 Mab 15A10に対する遊離のTSA の阻害定数(Ki)は0.23μ Mと測定され、この触媒抗体の速度の加速(kcat/kuncat=2.3 ×104)は Km/Ki(9.6×102)を有意に超えていた。 すべての触媒抗体に関する解離定数KTSAは、競合的阻害酵素免疫定量法(2 0)により表2のように測定された(CIEIA)。 表2 触媒Mabの競合的阻害酵素免疫定量 MAb(TSA) K 4 (μM) K 8 (μM) K 13 (μM) K 18 (μM) 3B9 () 0.01 0.02 3 100 6A12 () 0.01 0.01 4 90 2A10 () 0.5 3 20 150 12H1 () 0.001 0.01 2 60 9A3 () 0.05 0.02 − 0.003 19G8 () 0.008 0.001 − 0.001 15A10() 0.009 0.003 − 0.0005 8G4G () 0.003 0.001 − 0.001 8G4E () 0.003 0.0005 − 0.003 Mabを誘起したTSA(卵白アルブミンにテザーした1、2又は3)に対す るMabの結合の競合的阻害により、遊離のTSA 及びTSA関連アミド13又は18に関する解離定数を各触媒MabについてCIEIAにより測定 した。 CIEIAにより測定したKTSAは、Kiの相対的な尺度となり、非常に低い抗 体濃度でのアッセイを可能にする。図1に示すように、kcat/kuncat対Km/ KTSAの両対数プロットは9種の触媒抗体のうちの7種について直線関係(r= 0.85)を示した。KTSAはKi比例するので、Mab 3B9に関するkcat /kuncat≒Km/Kiという関係は7種類の抗体すべてについて成り立つと考え られる。Mab 15A10は、上記のようにkcat/kuncatはKm/Kiを超 えていたので、予測通りこの直線から逸脱した。Mab 8G4Gも示されてい るように明らかに逸脱していた。従って、15A10及びおそらく8G4Gに関 する速度の加速はあまりにも大きくて遷移状態の安定化のみに帰着させることが できないように思われ、酸−塩基又は求核触媒作用のような化学的触媒作用が関 与している可能性がある。 Mab 15A10は、コカインの加水分解生成物である1mMの濃度のエク ゴニンメチルエステルによる阻害を受けなかった。安息香酸は阻害を起こし、K iは250μMであった。しかしながら、ヒトにおいては、安息香酸の血漿中濃 度は馬尿酸への速やかで、ほぼ完全な転化により著しく低減する(21)。1mM の馬尿酸はMab 15A10を阻害しないことが見いだされた。また、ヒトに おけるコカインの顕著な代謝物である1mMのベンゾイルエクゴニンによる阻害 も認められなかった(22)。繰り返しの回転によるMab 15A10の不活性 化は認められず、6時間後で200を超える回転で、kcatはベースラインの9 5%より大きい値に留まっていた。エクゴニンメチルエステルによる極わずかな 生成物阻害の存在は思いがけないことであり、生成物阻害を最小限にするそれの 能力及び活性な酵素の収率を増加するそれの能力のため、TSA 及び ならびに対応するコカインの1,2−アミノアルコール近似体による異種免疫感 作(23)が計画されている。 担体タンパク質(BSA)に対するTSAのテザー部位を変化させる根拠は、 特有のエピトープを暴露し、各免疫原に特異的な触媒抗体を選択するためである 。結合特異性を評価するために、卵白アルブミンに結合させたTSA 及 びを用いて触媒抗体をELISAにより検査した。意外なことに、3つの複合 体すべてに結合した「3B9群」(Mab 3B9,6A12,2A10,12 H1)と、TSA−及びのみに結合した「9A3群」(Mab 9A3,19 G8,15A10,8G4G,8G4E)の広い親和性を有する2つの群が識別 された。 これらの群内のTSA 及びに対する親和性を推定するために、対応 するアミド13及び18の相対的Kdを測定した。図2に示すように、CI EIAにより、触媒抗体の同じ2つの広い群が識別され、ELISAの結果が確 認された。3B9群は次の親和性の序列を示した:1318。各抗体を引 き出したTSAのアミドの相対的Kdは、Mab 3B9及び6A12における 0.01MからMab 12H1における3μMの範囲にあった。TSA に より誘導されたMab 12H1は、TSA1関連アミド(0.01μM)に 対して、TSA2関連アミド13(2μM)に対するより大きい親和性を示した 。TSA はMab 12H1を引き出すことができ、Mab 3B 9、6A12及び2A10の13に対する親和性もおそらくTSA がそれら を引き出すのに十分であると思われる。TSA3関連アミドに対する3B9の非 常に低い親和性は、TSA がこの群を引き出すことができなかったことを示 唆している。 9A3群は明確に異なるパターンを示し、TSA1関連アミドに対して非常 に高い親和性を示したが、TSA2関連アミド13に対して実質的に親和性を示 さなかった。明らかに、TSA 又はTSA はこの群のあらゆるメンバー を引き出すことができたが、TSA はどれも引き出すことができなかった。 触媒Mabの構造的多様性を評価するために、各抗体のH鎖及びL鎖の可変領 域のpcrクローニング及び配列決定を行った。プライマーは一般的に公表され た合意の配列(24)のものとした。各反応の600〜700bpのpcrフラ グメントをpBluescriptにクローンし、独立して作製したクローンの 両方向の配列決定を行った。推定された主要なアミノ酸の構造は、基準触媒抗体 サンプル由来のN末端アミノ酸配列を含んでいた。アミノ酸配列決定からMab 2A10及び15A10のpcrクローニングのためのプライマーも得られた。 比較のために相補性決定領域(CDR’s)の配列決定を行った(表3)ところ 、抗コカイン触媒抗体のいくつかの別個のファミリーが同定された。表3 触媒抗体L鎖CDR’s(パネルA)及びH鎖CDR’s(パネルB) の推定されたアミノ酸配列 TSA は2つの構造ファミリー3B9−6A12−2A10及び9A3− 19G8−15A10を生じさせた。3B9ファミリー内のペアリングのための L鎖のCDR相同性は平均96%であり、9A3ファミリー内では93%で、一 方、これらのファミリー間ではその平均値は14%であった。3B9ファミリー 内のH鎖CDR相同性は高く、3B9と6A12は同じであり、2A10は67 %の相同性を示した。9A3ファミリー内では平均のH鎖CDR相同性は88% であったが、3B9及び9A3ファミリー間では平均値は32%であった。TS Aは2つの単一メンバーのファミリー8G4G及び8G4Eを生じさせた。8 G 4GのL鎖CDR相同性は、9A3群に対して68%の相同性を示し、他の群に 対して20%以下の相同性を示した。8G4Eは、3B9群に対して56%の相 同性を示し、他のすべての群に対して20%以下の相同性を示した。8G4G及 び8G4E間のH鎖CDR相同性は、24%であり、それぞれ9A3群に対して 48%で、他のすべてに対して20%未満であった。TSA−により誘導され たMab 12H1は、3B9−6A12−2A10群のL鎖CDRに対して高 い相同性(96%)を示し、3B9及び6A12のH鎖CDRと同じであった。 単一鎖Fvフラグメントの合成の例 触媒モノクローナル抗体の単一鎖Fvフラグメントを次のような構成により調製 した。 VH及びVLのMab 3B9 DNAを次のプライマーVH: 5’TATCCATATGGAGGTGCAGCTGCAGGAGTCT GGACCTGAGCTGGTGAAGCC3’ 及び 5’ATGGGGGTGTCGGCATGCCTGCAGAGAC3’ 及び次のプライマーVL: 5’CCCCATGGATATTGTGATGACCCAGGAT3’ 及び 5’TAACTGCTCGAGGGATGGTGGGAA3’ を用いてPCRによりサブクローンした。 VLのDNAをNco I及びXho Iにより消化し、pET20b(No vagen)に導入した。VHのDNAをNde I及びSphIにより消化し 、次のリンカー配列を含むpUC18に導入した。 (SphI)−CATCCGGAGGCGGTGGCTCGGGCGGTGG CGGCTCGGGTGGCTCTGC−(NcoI) このプラスミドをNdeI及びNcoIにより消化し、VLのDNAを含むp ET20bに導入した。次いで、このプラスミドをXho Iにより消化し、フ ラッグ配列をコードする次の配列を導入した:TCGATTACAAGGACG ACGATGACAAGC。 得られたプラスミドをbl21(de3)pLysSに転換した。細胞をLB培 地中、37℃で増殖させた。OD550が0.6でIPTGを最終濃度2mMとな るまで加え、細胞を回収の前に更に2時間増殖させた。細胞を培養の20倍の結 合緩衝液(5mM イミダゾール/0.5M NaCl/Tris−HCl、p H 7.9)で懸濁し、凍結により破壊し、解凍して、遠心分離(10000g ×20分)により細胞沈殿物を除去した。上清をHistBind樹脂カラム( Novagen)に通し、6M尿素/1Mイミダゾール/0.5M NaCl/ 20mM Tris−HCl、pH 7.9で溶離させた。 得られた単一鎖FvフラグメントのELISA分析から、結合活性が示された 。酵素活性は、3H−フェニルコカインからの3H−安息香酸の遊離により確認し た。 実験に関する考察 コカインに対する触媒抗体の臨床適用は、抗体結合によってのみ拮抗されるな らば100mgの用量のコカインは25gの抗体を必要とする(抗体の分子量が 150kDで、コカイン:抗体の量論比が2:1と仮定すると)ので、動力学的 な論拠に依拠している。免疫複合体にテザーされたコカインによる能動免疫化は 、この必要量の数パーセント以上に寄与するものとは考えられない(25)。ポリ クローナルガンマグロブリンは、この大きさの用量で投与することができるが、 明らかに酵素回転のみが抗体の必要性を実際的な大きさに低減させており、非常 に重要なことに、反復自己投与の義務(常習癖の折紙)を見込んだものである。 用量当たりのコストを著しく低減させる抗コカイン触媒抗体の最適化は、近似 体のデザインの改善、大規模な抗体選択(26)及び抗体突然変異誘発(27) によりアプローチすることができる。Mab 15A10及び8G4Gは、最も 活性な触媒抗体であり、構造的に明確であり(下記参照)、Mab 15A10 及びおそらく8G4Gは化学的触媒作用を既に顕現していると思われることから 、最適化ための好適な候補である。コカインの古典的な受容体遮断薬を特定する 努力の数十年の失敗は、コカイン問題の人を動かさずにおかない性質とともに、 3 つのすべてのアプローチを用いた網羅的な戦略を正当化している。この努力に対 する1つの障害は、ある近似体によって引き出される抗体の多様性が限られてい ることである。明らかに、もし偶発的に1つのクラスの抗体が最終的に望ましい 動力学的パラメーターを有するメンバーを生ずるならば、抗体の多様性は必要で はない。しかしながら、触媒抗体の構造データが不足しているため、規格に対し て最適化される抗体の能力は予測することができない。抗コカイン触媒抗体の多 様な群の発生は、反復的な大規模ハイブリドーマ製造によるか、突然変異誘発に よるかを問わず、最適化の成功の見通しを改善させるものである。 ホスホナートエステル合成のためのテトラゾール触媒反応法を用いて、コカイ ン加水分解の3種の遷移状態近似体を合成した。各々においてコアとなるホスホ ナートエステル構造は同一で、テザー部位のみが異なっている。3種の引き出さ れた触媒抗体のすべてを用い、競合的ELISA及びCDR配列決定を用いてそ れぞれ機能的及び構造的な分類を定義した。 活性な抗体のCDRの比較から、TSA (3B9−6A12−2A10及 び9A3−19G8−15A10)及びTSA (8G4G及び8G4E)に よって特異的に引き出された4種の重複のない別個のファミリーが描出された。 TSA は、TSA より誘導された3B9−6A12−2A10ファミリ ーと高度に相同性を有し、TSA により誘導された抗体と相同性を有さない 1つの抗体を生じさせた。これらの構造的ファミリーは、アミド13及び (それぞれTSA 及びを表す)による各触媒抗体のその引き出した TSAへの結合阻害が認められたCIEIA法によって定義された2つの広い群 と一部重複していた。 CIEIAによって定義された1つの群は、Mab 3B9、6A12、2A 10及び12H1からなっていた。この群は、に対して高い親和性を、13に 対して中等度の親和性を、そして18に対して低い親和性を示した。この群の高 度に相同性のメンバーのすべてはTSA によって引き出されたと思われ、T SA によって誘導された1つの抗体Mab 12H1は、TSA2関連アミ ド13より大きい親和性を有するTSA 関連アミドに結合した。それにも かかわらず、この群における13に対する親和性の範囲が各抗体を引き出したT SA’sのアミド類に対する親和性の範囲と重複していたことから、この群のす べてでないにしても大部分がTSA によって引き出されたという可能性があ る。これに対して、この群のあらゆるメンバーに対する18の親和性が非常に低 いことは、TSA はこの群のどのメンバーも生じさせることができなかった ことを示唆している。トロパン窒素においてテザーされたTSAのみに基づいて コカインに対する触媒抗体を得る戦略(28)によっては、この群の抗体の特定 することができなかったと思われる。 CIEIAによって定義された第二の群は、3つの構造的ファミリー、すなわ ち、TSA により誘導された9A3−19G8−15A10ならびにTSA により誘導された8G4G及び8G4Eからの5種の触媒抗体からなっていた 。これらの5種の抗体はアミド及び18に対して同等に高い親和性を示し、そ してTSA 又はは基本的にはこの群におけるあらゆる触媒抗体を引き出す ことができたと思われる。TSA 及びが共通の構造的ファミリーのメンバ ーを生じさせなかったことは、近似体当たり平均3融合細胞(fusion)という標 本の大きさが不適切であったことを反映している可能性がある。5種の抗体のい ずれもTSA により得ることができず、従って、4つの構造的ファミリーの うちの3つはこの複合体により特定されなかったことになる。 TSA は最も活性な触媒抗体Mab 15A10を引き出した。更に、9 種すべての触媒抗体に対するアミドの高い親和性から、TSA は記載した あらゆる抗体を引き出すことができたと考えることはもっともらしいことであろ う。この結果は予期しなかったことであったが、TSA を好適な近似体とし て明確に支持するものではない。より集中的なスクリーニングにより、TSA 又はがTSA によって認識されないより活性な抗体を最終的に生じさせ る可能性がある。 明らかに、TSA(例えば、TSA )が別の免疫原性複合体から得られた 触媒抗体(例えば、15A10)に結合しなかったことは、テザーの位置によっ て産生される触媒抗体が限定されることを確認し、担体タンパク質への付着の部 位が異なることを裏付けている。TSA 及びからのハイブリドーマの 網羅的なスクリーニング及び引き出される触媒抗体の詳細な構造研究によって、 近似体構造に関する法則を明らかになる可能性がある。高活性の抗コカイン触媒 抗体の追究は、この努力に強制的な正当性を与える。 第2実験シリーズ <序論> 潜在的な致死的症候群であるコカインの過剰投与は、これまでずっとアンタゴ ニストの開発を阻んできた。新規なアプローチを提供するために、コカインの非 毒性生成物への加水分解のための遷移状態近似体を用いて、高活性の触媒抗体が 誘導された。この抗体は、投与依存性スタイルのコカイン誘導性の痙攣及び突然 死からラットを保護した。触媒の亢進に一致して、血漿中の加水分解生成物であ るエクゴニンメチルエステルは10倍以上に増加し、非触媒の抗コカイン抗体は 中毒性を減じなかった。この人工コカインエステラーゼは最初に作られた合理的 なコカインアンタゴニストであり、医薬使用についての可能性を備えた最初の触 媒抗体である。 現在、コカインは合衆国において約200万人の治療不能の常用者と、4百万 人を超える正常使用者により濫用されている(1)。コカイン過剰投与の急性毒性 はしばしば濫用を悪化させ、この症候群の潜在的な医療結果には痙攣及び死が含 まれる(2)。しかしながら、10年間の努力に拘わらず、コカインに対する有用 なアンタゴニストは見出されなかった。この失敗の幾分かは、神経伝達物質再取 り込みの競合的阻害薬として作用するこの薬物の特異な機構による(3)。したが って、中枢神経系(CNS)におけるコカインによる、ドーパミン再取り込み輸 送体の阻害は作用強化を生じさせるとの仮説が立てられ(4)、また阻害薬を阻害 することの本来の困難が、麻薬常用者のためのアンタゴニストの開発を妨げてき たと思われる。コカインの過剰投与について、この問題は、CNS及び心血管系 における多数の受容体に対する高濃度でのコカインの結合により急速に複雑化す る。例えば、セロトニン再取り込み輸送体の阻害はコカイン誘導性の痙攣の一因 となり(5,6)、ドーパミン再取り込み阻害(6)及びドーパミンD1受容体の結合(7) は死亡率の一因となり、ノルエピネフリン再取り込み輸送体の阻害、並びに心臓 性ミオサイトNa+チャンネル及び他のイオン輸送体の阻害は不整脈と突然死の 一因となる(7)。したがって、コカインの過剰投与は、従来の受容体アンタゴニ ストの観点からのアプローチに対する克服しがたい問題を充分にもたらし得る。 コカイン濫用のためのアンタゴニストの開発におけるこれらの困難性は、新規 なアプローチ、すなわち、コカインを循環剤で遮り、それによりコカインを受容 体結合に利用できないようにすることである。抗体は循環阻害のための明らかな 選択であるが、抗ヘロイン抗体に対する最初の1974年の報告に言及されてい るように、薬物の化学量論的結合は抗体を効果的に消費する(9)。結合の限界を 克服するために、触媒抗体が開発された。それは新種の人工酵素であり(10)、コ カインと結合してこれを分解し、生成物を放出し、さらなる結合のために利用で きるようになるという能力を備えている(11)。そのベンゾイルエステル部位での コカインの分解は非毒性の生成物であるエクゴニンメチルエステル(12)及び安息 香酸(13)を生ずるので(図28A)、ベンゾイルエステル部位の加水分解用にホス ホン酸モノエステル遷移状態近似体(TSA-I、図28B)が合成され、これ を用いて生体外でコカインを分解する最初の触媒抗体が誘導された(11)。 これらの抗体の触媒活性は生物学的効果を示すためには充分なものとは言えな いが、試薬TSA-I、Mab15A10を有する反復性ハイブリドーマ調製によっ て、コカイン(14)のほぼ飽和濃度において、100倍以上よく効く抗体が発生し た。この抗体は、220μMのミカエリス定数、2.3mm-1の回転速度、および 2.3×104の加速度を有する最もよく効く人工コカインエステラーゼである 。200回転後該抗体はその活性の95%以上を維持し、有用な抗体触媒をたび たび阻害する生成物阻害(15)は、アルコール生成物であるエクゴニンメチルエス テルについては最高1mMまでは観察されなかった。Mab15A10は生体外で安 息香酸により阻害されたにも拘わらず(Kd〜250μM)、この酸はグリシン (13,16)と結合することにより血漿から迅速に取り除かれ、付加生成物の馬尿酸 は1mMの濃度において生体外で阻害剤とならなかった。したがって、Mab15 A10は、実用的な生体内触媒としての複数の本質的な特性を有する。 Mab15A10を用いたとき、ラットのコカイン過剰投与の急性毒性が阻害され るか否かを調べるために、抗体に触媒されたコカインの分解の試験が施された。 コカインの毒性は、内因性カテコールアミンレベルに依存して、個体間で有意に 変化し得、これにより監禁された動物(17)および興奮した患者(18)における突然 死の増加発生の変動が説明される。先の研究(19)においては、意識のある、監禁 されていない動物に静脈内注射することによりカテコールアミンレベルが標準化 され、連続的に注入されたコカイン(1mg/kg/min)について、LD50は10 mg/kgであり、LD90は16mg/kgであることが見出された。 この方法(20)を用いると、Mab15A10で前処理した動物(21)は、LD90コカ イン注入までに、有意な(p<0.001)投与依存性の生存率増大を示した( 図29)。15mg/kgの抗体授与を受けた動物5匹中の4匹が、また50mg/k gの抗体授与を受けた動物5匹中のすべてが生存した。対照的に、Mab15A10 で処理されていない8匹のラットすべてが、コカイン注入の終了前に死亡した。 Mab15A10で処理されていない動物において、コカインの平均致死量は7.5 ±0.6mg/kgであるのに対し、5mg/kgの抗体で処理された5匹は8.2± 1.0mg/kgのコカインの平均服用量で死亡し、15mg/kgの抗体で処理され た群においては、15.9mg/kgのコカインで1匹も死ななかった。 触媒抗体の保護効果をさらに定量化するため、15A10投与群(100mg/kg) 及び対照群に対してすべての動物が死亡するまで、1mg/kg/mimのコカインを 連続的に静脈内投与した(図30A、30B)。食塩水対照について痙攣時のコカ イン投与量を平均すると9.48mg/kgとなり、Mab15A1O投与群(p<0 .01)で処理された動物について痙攣時のコカイン服用量を平均すると32. 5mg/kgとなる(図30A)。また、コカインの平均致死量は、対照群について の11.5mg/kgからMab15A10投与群についての37.0mg/kgまで3倍 以上に増加した(図30B)。 コカインの化学量論的結合はコカイン投与に対する投与量依存を1mg/kgだ け変えることが予期されたから、Mab15A10の効果について、単純な結合はあ りそうもない解釈であった。しかしながら、この可能性を排除するために、結合 性抗体であるMab1C1の作用の試験が同じ投与量で行われた。Mab1C1はT SA-Iを用いた免疫感作により誘導されたが、抗体は類縁に対する親和性と匹 敵する親和性でTSA及びコカインと結合するため(22)、触媒作用的に活性では ない。予期したとおり、Mab1C1はコカイン誘導性の痙攣又は死亡の阻害には 効果的ではなかった(図30A及び30B)。 生体内の触媒性を証明するため、15A10投与群及び対照群におけるコカインの 加水分解生成物の血漿濃度が、以前に開発された高速液体クロマトグラフィー (HPLC)法により測定された。15A10投与群は食塩水(p<0.001)対 照群又はMab1C1(p<0.01)対照群のいずれかと比較したとき、エク ゴニンメチルエステル(24)において10倍を超える増加を示した。その早い代謝 に基づいて予期されるように(13,16)、15A10投与群(3.85±0.89μM )における血漿の安息香酸濃度は、食塩水対照群(2.36±1.05μM)と 比較して有意に上がらなかった。ベンゾイルエステル部位における特異的な触媒 性に一致して、Mab15A10投与群(7.68±1.07μM)におけるメチル エステル加水分解生成物であるベンゾイルエクゴニン(図28A)は、食塩水対 照群(5.47±1.01μM)と比較して有意に増加しなかった。 Mab15A10が前受容体機構(pre-receptor mechanism)によってコカイン の毒性に対する抵抗性を授与することを確認するために、15A10投与群及び対照 群における血漿コカイン濃度が、HPLC(23)により死亡時に測定された。コカ インとその受容体との結合時又は結合後にMab15A10が作用するとすれば、血 漿コカインの顕著な増大が期待される。これとは対照的に、前受容体について期 待されるように、また触媒性分解による毒性からの保護に一致して、死亡時の血 漿コカイン濃度は、Mab15A10投与群と対照群との間で有意には異ならなかっ た(図30D)。 本研究は、コカインの毒性効果を阻害するための循環触媒抗体の使用について の概念の立証を提供する。合衆国におけるコカインの過剰投与の発生率は1年当 たり約80,000件であり、コカインに関連する死亡は1年当たり3,000 件を超える(1)。抗コカイン触媒抗体は、痙攣及び不整脈のような過剰投与の重 度の合併症が表れた患者の治療に有用となり得る。医薬使用の可能性を備えた最 初の触媒抗体であるマウスのモノクローナル15A10は、動力学(25)及びヒト適合 性を高めるための蛋白質工学(26)をさらに向上するための、突然変異誘発の候補 として適している。コカイン毒性の抗体による事後治療に基づいて、Mab15A 10及びより活性な相同体の動物モデルにおける評価がヒトに対する試験に先行し て行われた。 抗コカイン触媒抗体に対する最初の報告以来(3)、薬物がその受容体に到達す る前にコカインを阻害する概念に対する様々な他の報告が述べられてきた。例え ば、酵崇ブチリルコリンエステラーゼの腹腔内投与が、マウスの腹腔内コカイン による毒性を抑制することが示された(27)。また、非触媒性の抗コカイン抗体は 、ラットのコカインに誘導された精神運動効果及び作用の強化を減少させること が示された(28)。しかしながら、触媒抗体は、天然酵素よりも血漿中に長く存在 しそうであり、典型的な抗体とは対照的に、コカインの複合体形成による消耗を 受けない。したがって、触媒抗体はコカイン濫用の急性症状及び慢性症状の双方 を処理するための特異な可能性を有し、結果として、急性の過剰投与の実用的な 実験は慢性的な常用者の治療についての土台を提供し得る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 39/02 A61P 39/02 C07K 16/44 C07K 16/44 C12N 9/00 C12N 9/00 // C12P 21/08 C12P 21/08

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.コカインを分解できる触媒抗体であって: 相補性決定領域1のアミノ酸配列がRSSXGTITXXNYAN(配 列番号73)であり、相補性決定領域2のアミノ酸配列がXNNYRPP(配列番 号74)であり、相補性決定領域3のアミノ酸配列がALWYSNHWV(配列番 号75)である軽鎖と; 相補性決定領域1のアミノ酸配列がDYNMY(配列番号76)であり、 相補性決定領域2のアミノ酸配列がYIDPXNGXXFYNQKFXG(配列 番号77)であり、相補性決定領域3のアミノ酸配列がGGGLFAX(配列番号 78)である重鎖とを有する触媒抗体。 2.請求項1に記載の触媒抗体であって、 相補性決定領域1のアミノ酸配列がRSSTGTITSDNYAN(配 列番号37)であり、相補性決定領域2のアミノ酸配列がVNNYRPP(配列番 号38)であり、相補性決定領域3のアミノ酸配列がALWYSNHWV(配列番 号39)である軽鎖と; 相補性決定領域1のアミノ酸配列がDYNMY(配列番号64)であり、 相補性決定領域2のアミノ酸配列がYIDPSNGDTFYNQKFQG(配列 番号65)であり、相補性決定領域3のアミノ酸配列がGGGLFAF(配列番号 66)である重鎖とを有する触媒抗体。 3.請求項2に記載の触媒抗体であって、前記軽鎖は配列番号3に記載のアミ ノ酸配列を具備し、前記重鎖は配列番号16に記載のアミノ酸配列を具備する触媒 抗体。 4.請求項1に記載の触媒抗体であって: 相補性決定領域1のアミノ酸配列がRSSAGTITTSNYAN(配 列番号34)であり、相補性決定領域2のアミノ酸配列がVNNNRPP(配列番 号35)であり、相補性決定領域3のアミノ酸配列がALWYSNHWV(配列番 号36)である軽鎖と; 相補性決定領域1のアミノ酸配列がDYNMY(配列番号61)であり、 相補性決定領域2のアミノ酸配列がYIDPHNGGIFYNQKFXG(配列 番号62) であり、相補性決定領域3のアミノ酸配列がGGGLFAY(配列番号63)であ る重鎖とを有する触媒抗体。 5.請求項4に記載の触媒抗体であって、前記軽鎖は配列番号2に記載のアミ ノ酸配列を具備し、前記重鎖は配列番号15に記載のアミノ酸配列を具備する触媒 抗体。 6.請求項1に記載の触媒抗体であって: 相補性決定領域1のアミノ酸配列がRSSTGTITTSNYAN(配 列番号31)であり、相補性決定領域2のアミノ酸配列がINNNRPP(配列番 号32)であり、相補性決定領域3のアミノ酸配列がALWYSNHWV(配列番 号33)である軽鎖と; 相補性決定領域1のアミノ酸配列がDYNMY(配列番号58)であり、 相補性決定領域2のアミノ酸配列がYIDPSNGGIFYNQKFKG(配列 番号59)であり、相補性決定領域3のアミノ酸配列がGGGLFAY(配列番号 60)である重鎖とを有する触媒抗体。 7.請求項6に記載の触媒抗体であって、前記軽鎖は配列番号1に記載のアミ ノ酸配列を具備し、前記重鎖は配列番号14に記載のアミノ酸配列を具備する触媒 抗体。 8.コカインを分解できる触媒抗体であって: 相補性決定領域1のアミノ酸配列がRSSSGTITANNYGS(配 列番号40)であり、相補性決定領域2のアミノ酸配列がVSNNRGP(配列番 号41)であり、相補性決定領域3のアミノ酸配列がALWNSNHFV(配列番 号42)である軽鎖と; 相補性決定領域1のアミノ酸配列がTYYIY(配列番号67)であり、 相補性決定領域2のアミノ酸配列がGMNPGNGVTYFNEKFKN(配列 番号68)であり、相補性決定領域3のアミノ酸配列がVGNLFAY(配列番号 69)である重鎖とを有する触媒抗体。 9.請求項8に記載の触媒抗体であって、前記軽鎖は配列番号4に記載のアミ ノ酸配列を具備し、前記重鎖は配列番号18に記載のアミノ酸配列を具備する触媒 抗体。 10.コカインを分解できる触媒抗体であって: 相補性決定領域1のアミノ酸配列がRSSXSLLYXDGKTYLN (配列番号79)であり、相補性決定領域2のアミノ酸配列がLMSTRXS(配 列番号80)であり、相補性決定領域3のアミノ酸配列がQXFXXYPFT(配 列番号81)である軽鎖と; 相補性決定領域1のアミノ酸配列がSDYAWX(配列番号82)であり 、相補性決定領域2のアミノ酸配列がYIRXXXXTRYNPSLXS(配列 番号83)であり、相補性決定領域3のアミノ酸配列がXHYYGXXX(配列番 号84)である重鎖とを有する触媒抗体。 11.請求項10に記載の触媒抗体であって: 相補性決定領域1のアミノ酸配列がRSSRSLLYRDGKTYLN (配列番号19)であり、相補性決定領域2のアミノ酸配列がLMSTRSS(配 列番号20)であり、相補性決定領域3のアミノ酸配列がQHFVDYPFT(配 列番号21)である軽鎖と; 相補性決定領域1のアミノ酸配列がSDYAWT(配列番号46)であり 、相補性決定領域2のアミノ酸配列がYIRHIYGTRYNPSLIS(配列 番号47)であり、相補性決定領域3のアミノ酸配列がYHYYGSAY(配列番 号48)である重鎖とを有する触媒抗体。 12,請求項11に記載の触媒抗体であって、前記軽鎖は配列番号5に記載の アミノ酸配列を具備し、前記重鎖は配列番号10に記載のアミノ酸配列を具備する 触媒抗体。 13.請求項10に記載の触媒抗体であって: 相補性決定領域1のアミノ酸配列がRSSKSLLYEDGKTYLN (配列番号22)であり、相補性決定領域2のアミノ酸配列がLMSTRAS(配 列番号23)であり、相補性決定領域3のアミノ酸配列がQHFEDYPFT(配 列番号24)である軽鎖と; 相補性決定領域1のアミノ酸配列がSDYAWT(配列番号49)であり 、相補性決定領域2のアミノ酸配列がYIRHIYGTRYNPSLIS(配列 番号50)であり、相補性決定領域3のアミノ酸配列がYHYYGSAY(配列番 号51)である重 鎖とを有する触媒抗体。 14.請求項13に記載の触媒抗体であって、前記軽鎖は配列番号6に記載の アミノ酸配列を具備し、前記重鎖は配列番号11に記載のアミノ酸配列を具備する 触媒抗体。 15.請求項10に記載の触媒抗体であって: 相補性決定領域1のアミノ酸配列がRSSKSLLYEDGKTYLN (配列番号25)であり、相補性決定領域2のアミノ酸配列がLMSTRAS(配 列番号26)であり、相補性決定領域3のアミノ酸配列がQQFVEYPFT(配 列番号27)である軽鎖と; 相補性決定領域1のアミノ酸配列がSDYAWN(配列番号52)であり 、相補性決定領域2のアミノ酸配列がYIRYSGITRYNPSLKS(配列 番号53)であり、相補性決定領域3のアミノ酸配列がIHYYGYGN(配列番 号54)である重鎖とを有する触媒抗体。 16.請求項15に記載の触媒抗体であって、前記軽鎖は配列番号8に記載の アミノ酸配列を具備し、前記重鎖は配列番号13に記載のアミノ酸配列を具備する 触媒抗体。 17.請求項10に記載の触媒抗体であって: 相補性決定領域1のアミノ酸配列がRSSRSLLYRDGKTYLN (配列番号28)であり、相補性決定領域2のアミノ酸配列がLMSTRAS(配 列番号29)であり、相補性決定領域3のアミノ酸配列がQHFEDYPFT(配 列番号30)である 軽鎖と; 相補性決定領域1のアミノ酸配列がSDYAWT(配列番号55)であり 、相補性決定領域2のアミノ酸配列がYIRHIYGTRYNPSLIS(配列 番号56)であり、相補性決定領域3のアミノ酸配列がYHYYGSAY(配列番 号57)である重鎖とを有する触媒抗体。 18.請求項17に記載の触媒抗体であって、前記軽鎖は配列番号7に記載の アミノ酸配列を具備し、前記重鎖は配列番号12に記載のアミノ酸配列を具備する 触媒抗体。 19.コカインを分解できる触媒抗体であって: 相補性決定領域1のアミノ酸配列がKSSQSLLYSDGKTYLN (配列番号43)であり、相補性決定領域2のアミノ酸配列がLVSKLDS(配 列番号44)であり、相補性決定領域3のアミノ酸配列がVQGYTFPLT(配 列番号45)である軽鎖と; 相補性決定領域1のアミノ酸配列がDHWMT(配列番号72)であり、 相補性決定領域2のアミノ酸配列がTIDLSDTYTGYNQNFKG(配列 番号71)であり、相補性決定領域3のアミノ酸配列がRGFDY(配列番号72) である重鎖とを有する触媒抗体。 20.請求項19に記載の触媒抗体であって、前記軽鎖は配列番号9に記載の アミノ酸配列を具備し、前記重鎖は配列番号17に記載のアミノ酸配列を具備する 触媒抗体。 21.ポリペプチドであって: アミノ酸配列RSSXGTITXXNYAN(配列番号73)を有する相 補性決定領域1、アミノ酸配列XNNYRPP(配列番号74)を有する相補性決 定領域2、およびアミノ酸配列ALWYSNHWV(配列番号75)を有する相補 性決定領域3を備え且つ適切なフレームワーク領域の間に挿入された軽鎖ドメイ ンを具備し; 該軽鎖ドメインは、前記ポリペプチドがコカインの分解に適したコンホ メーションを取るように、アミノ酸配列DYNMY(配列番号76)を有する相補 性決定領域1、アミノ酸配列YIDPXNGXXFYNQKFXG(配列番号77 )を有する相補性決定領域2、およびアミノ酸配列GGGLFAX(配列番号78 )を有する相補性決定領域3を備え且つ適切なフレームワーク領域の間に挿入さ れた重鎖ドメインに結合されているポリペプチド。 22.請求項21に記載のポリペプチドであって、 前記軽鎖の相補性決定領域1のアミノ酸配列がRSSTGTITSDN YAN(配列番号37)であり、前記軽鎖の相補性決定領域2のアミノ酸配列がV NNYRPP(配列番号38)であり、前記軽鎖の相補性決定領域3のアミノ酸配 列がALWYSNHWV(配列番号39)でり; 対応する前記重鎖の相補性決定領域1のアミノ酸配列がDYNMY(配 列番号64)であり、前記重鎖の相補性決定領域2のアミノ酸配列が YIDPSNGDTFYNQKFQG(配列番号65)であり、前記重鎖の相補性 決定領域3のアミノ酸配列がGGGLFAF(配列番号66)であるポリペプチド 。 23.請求項22に記載のポリペプチドであって、前記軽鎖は配列番号3に記 載のアミノ酸配列を具備し、前記重鎖は配列番号16に記載のアミノ酸配列を具備 する触媒抗体。 24.請求項21に記載のポリペプチドであって: 前記軽鎖の相補性決定領域1のアミノ酸配列がRSSAGTITTSN YAN(配列番号34)であり、前記軽鎖の相補性決定領域2のアミノ酸配列がV NNNRPP(配列番号35)であり、前記軽鎖の相補性決定領域3のアミノ酸配 列がALWYSNHWV(配列番号36)であり; 対応する前記重鎖の相補性決定領域1のアミノ酸配列がDYNMY(配 列番号61)であり、前記重鎖の相補性決定領域2のアミノ酸配列がYIDPHN GGIFYNQKFXG(配列番号62)であり、前記重鎖の相補性決定領域3の アミノ酸配列がGGGLFAY(配列番号63)であるポリペプチド。 25.請求項24に記載のポリペプチドであって、前記軽鎖は配列番号2に記 載のアミノ酸配列を具備し、前記重鎖は配列番号15に記載のアミノ酸配列を具備 するポリペプチド。 26.請求項21に記載のポリペプチドであって: 前記軽鎖の相補性決定領域1のアミノ酸配列がRSSTGTITTSN YAN(配列番号31)であり、前記軽鎖の相補性決定領域2のアミノ酸配列がI NNNRPP(配列番号32)であり、前記軽鎖の相補性決定領域3のアミノ酸配 列がALWYSNHWV(配列番号33)であり; 対応する前記重鎖の相補性決定領域1のアミノ酸配列がDYNMY(配 列番号58)であり、前記重鎖の相補性決定領域2のアミノ酸配列がYIDPSN GGIFYNQKFKG(配列番号59)であり、前記重鎖の相補性決定領域3の アミノ酸配列がGGGLFAY(配列番号60)であるポリペプチド。 27.請求項26に記載のポリペプチドであって、前記軽鎖は配列番号1に記 載のアミノ酸配列を具備し、前記重鎖は配列番号14に記載のアミノ酸配列を具備 するポリペプチド。 28.ポリペプチドであって: アミノ酸配列RSSSGTITANNYGS(配列番号40)を有する相 補性決定領域1、アミノ酸配列VSNNRGP(配列番号41)を有する相補性決 定領域2、およびアミノ酸配列ALWNSNHFV(配列番号42)を有する相補 性決定領域3を備え且つ適切なフレームワーク領域の間に挿入された軽鎖ドメイ ンを具備し; 該軽鎖ドメインは、前記ポリペプチドがコカインの分解に適したコンホ メーションを取るように、アミノ酸配列TYYIY(配列番号67)を有する相補 性決定領域1、アミノ酸配列GMNPGNGVTYFNEKFKN(配列番号68 )を有する相補性決定領域2、およびアミノ酸配列VGNLFAY(配列番号69 )を有する相補性決定領域3を備え且つ適切なフレームワーク領域の間に挿入さ れた重鎖ドメインに結合されているポリペプチド。 29.請求項28に記載のポリペプチドであって、前記軽鎖は配列番号4に記 載のアミノ酸配列を具備し、前記重鎖は配列番号18に記載のアミノ酸配列を具備 するポリペプチド。 30.ポリペプチドであって: アミノ酸配列RSSXSLLYXDGKTYLN(配列番号79)を有す る相補性決定領域1、アミノ酸配列LMSTRXS(配列番号80)を有する相補 性決定領域2、およびアミノ酸配列QXFXXYPFT(配列番号81)を有する 相補性決定領域3を備え且つ適切なフレームワーク領域の間に挿入された軽鎖ド メインを具備し; 該軽鎖ドメインは、前記ポリペプチドがコカインの分解に適したコンホ メーションを取るように、アミノ酸配列SDYAWX(配列番号82)を有する相 補性決定領域1、アミノ酸配列YIRXXXXTRYNPSLXS(配列番号83 )を有する相補性決定領域2、およびアミノ酸配列XHYYGXXX(配列番号 84)を有する相補性決定領域3を備え且つ適切なフレームワーク領域の間に挿入 された重鎖ドメインに結合されているポリペプチド。 31.請求項30に記載のポリペプチドであって: 前記軽鎖の相補性決定領域1のアミノ酸配列がRSSRSLLYRDG KTYLN(配列番号19)であり、前記軽鎖の相補性決定領域2のアミノ酸配列 が LMSTRSS(配列番号20)であり、前記軽鎖の相補性決定領域3のアミノ酸 配列がQHFVDYPFT(配列番号21)であり; 対応する前記重鎖の相補性決定領域1のアミノ酸配列がSDYAWT( 配列番号46)であり、前記重鎖の相補性決定領域2のアミノ酸配列がYIRHI YGTRYNPSLIS(配列番号47)であり、前記重鎖の相補性決定領域3の アミノ酸配列がYHYYGSAY(配列番号48)であるポリペプチド。 32,請求項31に記載のポリペプチドであって、前記軽鎖は配列番号5に記 載のアミノ酸配列を具備し、前記重鎖は配列番号10に記載のアミノ酸配列を具備 するポリペプチド。 33.請求項30に記載のポリペプチドであって: 前記軽鎖の相補性決定領域1のアミノ酸配列がRSSKSLLYEDG KTYLN(配列番号22)であり、前記軽鎖の相補性決定領域2のアミノ酸配列 がLMSTRAS(配列番号23)であり、前記軽鎖の相補性決定領域3のアミノ 酸配列がQHFEDYPFT(配列番号24)であり; 対応する前記重鎖の相補性決定領域1のアミノ酸配列がSDYAWT( 配列番号46)であり、相補性決定領域2のアミノ酸配列がYIRHIYGTRY NPSLIS(配列番号47)であり、相補性決定領域3のアミノ酸配列がYHY YGSAY(配列番号48)であるポリペプチド。 34.請求項33に記載のポリペプチドであって、前記軽鎖は配列番号6に記 載のアミノ酸配列を具備し、前記重鎖は配列番号11に記載のアミノ酸配列を具備 するポリペプチド。 35.請求項30に記載のポリペプチドであって: 前記軽鎖の相補性決定領域1のアミノ酸配列がRSSKSLLYEDG KTYLN(配列番号25)であり、前記軽鎖の相補性決定領域2のアミノ酸配列 がLMSTRAS(配列番号26)であり、前記軽鎖の相補性決定領域3のアミノ 酸配列がQQFVEYPFT(配列番号27)であり; 対応する前記重鎖の相補性決定領域1のアミノ酸配列がSDYAWN( 配列番号52)であり、前記重鎖の相補性決定領域2のアミノ酸配列がYIRYS GITRYNPSLKS(配列番号53)であり、前記重鎖の相補性決定領域3の アミノ酸配列がIHYYGYGN(配列番号54)であるポリペプチド。 36.請求項35に記載のポリペプチドであって、前記軽鎖は配列番号8に記 載のアミノ酸配列を具備し、前記重鎖は配列番号13に記載のアミノ酸配列を具備 するポリペプチド。 37.請求項30に記載のポリペプチドであって: 前記軽鎖の相補性決定領域1のアミノ酸配列がRSSRSLLYRDG KTYLN(配列番号28)であり、前記軽鎖の相補性決定領域2のアミノ酸配列 がLMSTRAS(配列番号29)であり、前記軽鎖の相補性決定領域3のアミノ 酸配列がQHFEDYPFT(配列番号30)であり; 対応する前記重鎖の相補性決定領域1のアミノ酸配列がSDYAWT( 配列番号55)であり、前記重鎖の相補性決定領域2のアミノ酸配列がYIRHI YGTRYNPSLIS(配列番号56)であり、前記重鎖の相補性決定領域3の アミノ酸配列がYHYYGSAY(配列番号57)であるポリペプチド。 38.請求項37に記載のポリペプチドであって、前記軽鎖は配列番号7に記 載のアミノ酸配列を具備し、前記重鎖は配列番号12に記載のアミノ酸配列を具備 するポリペプチド。 39.ポリペプチドであって: アミノ酸配列KSSQSLLYSDGKTYLN(配列番号43)を有す る相補性決定領域1、アミノ酸配列LVSKLDS(配列番号44)を有する相補 性決定領域2、およびアミノ酸配列VQGYTFPLT(配列番号45)を有する 相補性決定領域3を備え且つ適切なフレームワーク領域の間に挿入された軽鎖ド メインを具備し; 該軽鎖ドメインは、前記ポリペプチドがコカインの分解に適したコンホ メーションを取るように、アミノ酸配列DHWMT(配列番号72)を有する相補 性決定領域1、アミノ酸配列TIDLSDTYTGYNQNFKG(配列番号71 )を有する相補性決定領域2、およびアミノ酸配列RGFDY(配列番号72)を 有する相補性決定領域3を備え且つ適切なフレームワーク領域の間に挿入された 重鎖ドメインに結合されているポリペプチド。 40.請求項39に記載のポリペプチドであって、前記軽鎖は配列番号9に 記載のアミノ酸配列を具備し、前記重鎖は配列番号17に記載のアミノ酸配列を具 備するポリペプチド。 41.請求項1〜20の何れか1項に記載の触媒抗体をコードするDNA。 42.請求項21〜40の何れか1項に記載のポリペプチドをコードするDN A。 43.請求項1〜20の何れか1項に記載のヒト化触媒抗体。 44.請求項21〜40の何れか1項に記載のヒト化触媒性単鎖抗体。 45.患者におけるコカイン濃度を減少させるための薬学的組成物であって、 患者の中のコカインを分解するのに有効な量の請求項1〜40の何れか1項の抗 体と、薬学的に許容可能なキャリアとを含有する薬学的組成物。 46.患者におけるコカイン濃度を減少させるための方法であって、患者に対 して、患者の中のコカインを分解するのに有効な量の請求項1〜40の何れか1 項の抗体を投与することを具備した方法。 47.患者におけるコカインの過剰投与を治療するための薬学的組成物であっ て、患者の中のコカインを分解するのに有効な量の請求項1〜40の何れか1項 の抗体と、薬学的に許容可能なキャリアとを含有する薬学的組成物。 48.患者におけるコカインの過剰投与を治療するための方法であって、患者 に対して、患者の中のコカインを分解するのに有効な量の請求項1〜40の何れ か1項の抗体を投与することを具備した方法。
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