JP2000511756A - 高速線反響消去装置トレーニングのための直交lmsアルゴリズム - Google Patents

高速線反響消去装置トレーニングのための直交lmsアルゴリズム

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JP2000511756A JP10541988A JP54198898A JP2000511756A JP 2000511756 A JP2000511756 A JP 2000511756A JP 10541988 A JP10541988 A JP 10541988A JP 54198898 A JP54198898 A JP 54198898A JP 2000511756 A JP2000511756 A JP 2000511756A
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トーマス シー. リャウ
ウェイ ケー. ツァイ
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コネクサント システムズ インコーポレイテッド
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Abstract

(57)【要約】 データサンプルのシーケンスが、そのようなデータサンプルからなる全階数データ相関行列がN番目の反復で対角線上になるように選択される、トレーニングシーケンス中に反響インパルス応答を計算するための反響消去装置。反響消去装置は、そのようなデータサンプルおよびトレーニングシーケンス中に生成される反響に基づき、反響チャネルを測深するためのデータシーケンスの長さがNである正規化最小平均二乗アルゴリズムを使用して、反響パルス応答を推定する。データシーケンスが具体的に選択される正規化LMSアルゴリズムは、標準LMSアルゴリズムに匹敵する計算の複雑さを有しながら、標準LMSアルゴリズムよりもはるかに速く反響パルス応答に向けて収束する。

Description

【発明の詳細な説明】 高速線反響消去装置トレーニングのための直交LMSアルゴリズム 発明の属する技術分野 本発明は、音声帯域モデムに使用される反響消去装置をトレーニング(trainin g)するためのアルゴリズムに関し、特に、トレーニングシーケンス中に最小平均 二乗(LMS)アルゴリズムの変形を使用する反響消去装置に関する。 発明の背景 標準の電話回線がデジタル伝送に使用されており、その伝送においてモデム( 変調/複変調器)は、ビット直列デジタル量を、電話回線を介して伝送されるア ナログ信号に変換することによってデジタルデータを伝送するために使用される 。モデムの送信部は、デジタルデータを、音声伝送帯域内の周波数を持つ正弦波 搬送信号に変調する。モデムの受信部は、アナログ信号を受信し、それをデジタ ルデータに復調する。「Dual Mode LMS Nonlinear Data Echo Chanceler 」と題するWalter Y.ChenおよびRichard A.Haddadの米国特許第4,977 ,591号ならびにRichard D.Gitlin、Jeremiah F.HayesおよびStephen B .Weinste inのData Communication Principles 607(以下参照)(1992) が、電話チャネルを介するモデム通信の詳細な説明を提供している。これらの参 考文献の全てを引用例として本明細書に含める。 全二重モデムは、音声およびデータ双方の伝送に使用される2線式(双方向) 電話チャネル中の同一帯域幅を使用して送受信を行う。信号が電話チャネルを介 して伝送される場合、反響が生成され、それが、伝送された信号に加えられる。 したがって、受信端で受信される信号には、元々送信された信号だけでなく、反 響成分をも含む。 反響は、電話ネットワーク中で4線式ループを2線式ループに変換するハイブ リッドカップラ(hybrid coupler)(「ハイブリッド」)の結果として生じる。4 線式ループから2線式ループへのこれらの変換が、送信されるデータ信号の中に 、イン ピーダンス不整合の結果として起こる反響を生じさせる。このインピーダンス不 整合は、近端モデムの送信器によって生成されたデータ信号の一部を近端モデム の受信器に戻らせる。このような近端反響は二つの成分からなる。近端反響の第 一成分は、ハイブリッドが2線式送信器および2線式受信器の計4本の線を電話 ネットワークの2線式局所(ローカル)ループに変換するときに生じる。近端反 響の第二成分は、ハイブリッドが2線式局所ループを電話ネットワークの4線式 ループに変換するときに生じる。 遠端反響もまた二つの成分からなる。第一成分は、ハイブリッドが4線式ネッ トワークを2線式局所ループに変換するときに生じる。第二成分は、ハイブリッ ドが2線式局所ループを受信モデム中の4線式接続、すなわち2線式受信器およ び2線式送信器に変換するときに生じる。この遠端反響は近端反響ほど著しくな い。 反響消去装置の役割は、近端モデム受信器で受信された信号から反響成分を除 去または最小限にすることにある。モデム受信器によって受信される信号は、次 のように表すことができる。 yn=rn+zn nは、受信器によって受信されたデータ信号である。ynは、遠隔モデムまた はソースから送信された実際の信号であるrnと、受信信号の実際の反響成分で あるznとからなる。反響消去装置はznを推定してz’nを得たのち、この値を 受信信号ynから差し引いて、推定反響が除去された受信信号r’nの推定値を得 る。以下は、推定反響を差し引いた推定受信信号を示す式である。 r’n=yn−z’n 従来の反響消去装置では、モデムは、搬送波信号を受信すると、データを受信 し、またはデータモードに入る前に、トレーニング(training)シーケンスを起動 する。このトレーニングシーケンス中に、反響消去装置は、伝送チャネルを適応 性デジタルフィルタ、たとえばFIRフィルタとして設計することにより、反響 経路のインパルス応答(impulse response)を推定する。このような適応性FIR フィルタは反響を消去することが知られており、上記Data Communicationsの6 19〜624に記載されている。そして、この計算した反響インパルス応答を使 用して推定反響を計算する。モデムがデータ信号を受信するデータモード中、モ デム内の反響消去装 置がモデムのデータ送信器からデータを受信する。反響消去装置は、送信データ 信号に対し、推定反響チャネルインパルス応答信号を用いて演算を実行して推定 反響信号を得たのち、上述したように、この信号を遠隔モデムから受信されたデ ータから差し引く。 反響経路インパルス応答を推定するために一般的に使用される二つの方法は、 LMSおよび帰納的最小二乗(RLS:Recursive Least Sq uares)アルゴリズムである。LMSアルゴリズムは、計算値を調節して、 時間nにおける実際の反響信号(zn)と推定反響信号(z’n)との間の誤差を 最小限にする。RLSアルゴリズムは、LMSアルゴリズムの約10倍の速さで 収束する。しかし、LMSアルゴリズムは複雑な計算が少ないことから、RLS アルゴリズムよりも好ましい。たとえば、Nを、反響チャネルを測深(sound)す るためのデータタップの数またはデータシーケンスの長さとしてセットすると、 RLSアルゴリズムはN2回の計算ステップを要するが、LMS法はN回の計算 しか要らない。計算の複雑さを減らすための一つの試みは、7〜8Nの計算の複 雑さを有する高速カルマンアルゴリズムの使用である。高速カルマン法は高速で 収束することができるが、四捨五入および他の誤差に対して高い感度を示すため 、問題がある。 発明の概要 本発明の目的は、LMSアルゴリズムの計算の単純性およびRLSアルゴリズ ムの優れた収束性の両利点を有するアルゴリズムを使用して、離散的反響チャネ ルインパルス応答を推定することである。 この目的は、送信器、受信器および反響消去装置を有するモデムにおいて達成 することができる。二重モード伝送前のトレーニングシーケンス中に、送信器が 、データサンプルを含む長さNのデータシーケンスd(n)を生成する。このデー タシーケンスは、生成されたデータサンプルd(n)からなるデータベクトルによ って形成されるデータ行列が、N番目の反復に対して対角線上になるデータ行列 を生成するように選択される。同じくこのトレーニングシーケンス中に、送信器 は、反響z(n)としてモデムに戻る反響チャネルを測深するための信号を生成す る。 このように、送信器によって生成・選択されたデータシーケンスd(n)および 測 深された反響z(n)の値に基づき、反響消去装置は、以下に定める手法に基づい て正規化LMSアルゴリズムを実現して、離散的反響チャネルインパルス応答x(n) を推定する。正規化LMSでは、アルゴリズムがN回反復する。この反響イ ンパルス応答は、RLSに類似した収束特性を有するのみならず、この収束を、 RLSアルゴリズムよりも簡単な計算で実現する。 さらなる実施態様では、N回を超える反復を実施することができる。このよう な場合には、反響インパルス応答を推定するために誤差補正項を式に加えること ができる。N回を超える反復によって反響インパルス応答を推定することにより 、正規化アルゴリズムは、反響インパルス応答を計算するためにRLSの優れた 収束速度に正確に適合することができる。 図面の簡単な説明 図1は、電話ネットワークにおける線反響のためのチャネルモデルを示す概略 図である。 図2は、モデム内の反響消去装置の一例を示す概略図である。 図3は、OLMS、SOLMS、RLSおよび簡略化LMSアルゴリズムの収 束性能の比較を示すグラフである。 図4は、RLS、OLMSおよびSOLMSアルゴリズムの収束性能の比較を 示すグラフである。 一実施態様に対する詳細な説明 図1に、モデムを電話ネットワークチャネル12にリンクさせ、デジタルデー タの伝送にそのモデムを使用する方法の一例を示す。2個のモデム、即ち近端モ デム16(MODEM A)および遠端モデム68(MODEM B)が電話ネットワークに接続さ れている。近端モデム16は送信器(TRANS)20および受信器(Rx)24を含み、 遠端モデム68も同様に送信器(TRANS)72および受信器(Rx)76を含む。遠端 モデム68の送信器72は、チャネル12を介してデジタルデータを近端モデム 16の受信器24に通信する。同様に、近端モデム16の送信器20は、チャネ ル12を介して遠端モデム68の受信器76にデータを伝送する。 近端モデム16では、送信用2線式対28が送信器20に接続され、受信用2 線式対32が受信器24に接続されている。送信用2線式対28および受信用2 線式対32(計4本のワイヤを含む)は、ハイブリッド(HYBRID)44によって一 つのアナログ2線式対48に変換され、この対が、電話ネットワークの局所ルー プ(LOCAL LOOP)を形成し、両方向に同時に伝送する。 ハイブリッド44では、設計およびハードウェアの制限からインピーダンス不 整合が形成される。このインピーダンス不整合により、送信用2線式対28を通 過する信号の一部が受信用2線式対32を通過して戻り、反響として伝わる。こ の反響が、近端反響として知られるものの一部である。経路36は、送信器20 から送信された信号の一部が受信器24にどのように戻るかを示したものである 。 図1では、ハイブリッド52が2線式近端局所ループ48を4線式ネットワー クループ(4 WIRE NETWORK)56に変換する。この変換が、さらに、受信器24に よって受信される近端反響を増す。 遠端反響は、二つの変換の結果として生じる。遠端反響の第一成分は、ハイブ リッド(HYBRID)60が電話ネットワークの4線式ネットワーク56を2線式局所 ループ64に変換する結果として生じる。第二成分は、ハイブリッド(HYBRID)9 6が2線式局所ループ64を、2線式送信対84および2線式受信対80からな る4線に変換する結果として生じる。 遠端モデム68でも同じ反響状況が起こる。ハイブリッド96および60にお けるハイブリッド変換が遠端モデム68の近端反響に関係し、ハイブリッド44 、52における変換が遠端モデム68の遠端反響に関係する。しかし、遠端モデ ム68で受信される反響は、近端モデム16で受信される反響とは異なる。 図2に反響消去装置(ECHO CANCELLER)26を用いたモデムの好ましい一実施態 様を示す。反響消去装置26は、本明細書においてx’nと呼ぶ離散時反響チャ ネルインパルス応答(impulse)を推定するための公知の適応性FIRフィルタ、 たとえば上記のData Communicationsの619〜624に記載されている技術を 用いても可能である。反響消去装置26は、記憶されたプログラム制御の下、も しくは専用論理回路の中、または、それらの組み合わせで作動するマイクロプロ セッサとして実現することもできる。図2では、近端モデム16内の反響消去装 置26を示す。 反響消去装置26は、送信器(TRANS)20から送信されたデータおよびモデムに よって受信されたデータを受信用2線式対32を介して受信することができるよ う連結されている。 モデムは、電話回線に接続したのち、遠隔地からデータを受信する前に、トレ ーニングシーケンスを起動する。反響消去装置26は、二つの既知の変数、すな わち、送信器20から送信される、dnと呼ばれる入力またはデータ、及び反響 チャネルがトレーニングシーケンス中に測深される場合に生成される反響znを 使用して、反響チャネルインパルス応答を推定する(x’n)。 送信器からのデータdnおよび反響インパルス応答xnに基づいて時間nにおけ る反響znを推定するための式は、次のように求められる。 上述したように、トレーニングシーケンス中、反響消去装置26はznおよび dnを取得する。vnはノイズを表す。反響の近似の間、ノイズvnは、零平均を 有するとみなされる。すなわち、平均で零になる。これら既知の変数に基づき、 反響消去装置は、推定反響チャネルインパルス応答x’nを推定する。x’nを推 定するためには、離散時式を行列形態に書き直して一次方程式を解く。 HN・x+vn=zn ただし、 zn=[z(o)・・・z(n)Tn=[v(o)・・・v(n)T x=[x(o)・・・x(N)Tn=[h(o)・・・h(n-N)T (n)=[d(o)・・・d(n)] 変数Nは、反響チャネルを測深するために使用されるデータシーケンスの長さ およびアルゴリズムによって実行される反復の回数である。各データベクトルh(n) は、送信器20によって生成されるデータサンプルのセットからなる。好ま し い一実施態様では、各h(n)データベクトルはN個のデータサンプルを含むと考 えられる。たとえば、N=5ならば、h(n)データベクトルは、以下のようなフ ォーマットを有する。 h(1)=[d(5)(4)(3)(2)(1)] h(2)=[d(6)(5)(4)(3)(2)] など。 本発明の特徴は、データ行列Hnを特に選択したのち、LMSアルゴリズムを 使用してデータ反響インパルス応答x’nを推定することにより、一次方程式で 使用されるデータdnを注意深く選択することである。好ましい一実施態様では 、データベクトルh(n)は、全階数であり、N番目の反復で対角線上にあるデー タ相関行列を生成するデータ行列HNN Tを生成するように選択される。 全階数であり、N番目の反復に対して対角線上にあるデータ相関行列を生成す るHNN Tを得るためには、定振幅零自己相関(CAZAC)シーケンスを使用 してデータシーケンスh(n)を選択することができ、または、HNN Tが対角線上 にあるようなデータシーケンスを選択する他の方法を使用してもよい。 好ましい一実施態様では、データ値は、多相コードを、周期あたり一つの最大 値を除いてどこででも零である周期的自己相関関数とともに使用して選択するこ とができる。データベクトルが長さNを有するならば、データ値dkは、以下の 式を使用して選択することができる。 まず、Nに対する素数、すなわち、Nによって割ることができない値Mを選択 する。Nが偶数であるならば、トレーニングシーケンス中に使用されるデータベ クトルh(n)中のデータサンプルdkは、複素数を含む以下の式で計算することが できる。 Nが奇数であるならば、トレーニングシーケンス中に使用されるデータベクト ルh(n)中のデータサンプルdkは、複素数を含む以下の式で計算することができ る。 これらのデータサンプルdkは、プロセッサによって計算し、反響消去装置2 6へのさらなる伝送に備えて送信器20に入力することができる。あるいはまた 、これらの計算されたデータサンプルdkは、メモリ中の参照用テーブルに記憶 してもよい。 この注意深く選択されたデータシーケンスを以下に定めるシステムアルゴリズ ムに適用する場合、反響インパルス応答(x’n)を推定するための更新式は、 以下のように表される。 成分 (z(n)−hn-1・x’n-1) は、反響消去装置によって使用される適応または誤差成分を表す。 この方法およびデータ選択技術を使用して生成された反響インパルスチャネル 推定値は、計算された反響と推定された反響との間の平均二乗誤差を最小限にし 、後続する各反復がよりよい近似に向けて収束する。そのうえ、正規化LMSア ルゴリズムを注意深く選択されたデータ行列とで使用すると、最初N回の反復ま で、RLS法と同様の高速収束特性が得られる。さらに、この正規化されたLM Sアルゴリズムは、計算上はるかに複雑なRLS法とは反対に、LMSアルゴリ ズム程度の計算でその結果を達成する。また、上記アルゴリズムは、簡略化直交 最小平均二乗アルゴリズム(「SOLMS」)としても知られている。 トレーニングシーケンスの後、モデムは、データモードに入り、データを受信 し始める。上述したように、受信したデータをynと呼ぶ。データ信号は、次の よう に表すことができる。 目標は、rn、すなわち受信信号を推定することである。推定反響z’nは、以 下にしたがって決定される。 反響消去装置26は、上記に論じた方法で選択され送信器20から送信された データ(dn)と、トレーニングシーケンス中に推定された反響チャネルインパ ルス応答x’nとを使用して反響z’nを推定する。そして、推定した反響を、遠 端モデム68から受信されたデータ信号(yn)から差し引いて、遠端モデム6 8が送信したもの(r’n)を推定する。すなわち、 rn’=yn−z’n 反響チャネルが時間変動しないと仮定すると、全二重データ伝送モードでは、 トレーニングシーケンス中に計算される反響インパルス応答の値はほとんど変化 してはならない。好ましい一実施態様では、反響消去装置26は、データ伝送モ ード中に、標準LMSアルゴリズムを使用して反響インパルス応答x’nを近似 し続ける。標準LMSアルゴリズムのほうが収束は遅いが、データ伝送モード中 は反響チャネルの時間変動変化が比較的ゆっくりであるため、これは問題とされ ない。したがって、データ伝送モード中の反響チャネルにおける変化は、標準L MSアルゴリズムを使用して追跡することができる。 代替態様では、反響インパルス応答x’nは、Nよりも大きな反復回数まで算 出することができる。好ましい一実施態様では、N=60であるとき、さらにN ×5回の反復が実行される。また、反復を実行するNおよびその倍数の他の値を 選択し てもよい。N回を超える反復の場合、誤差値を使用して反譬インパルス応答x’n を計算する。誤差項を組み込むこの新たなアルゴリズムを直交LMSアルゴリ ズム(「OLMS」)と呼び、これが、反響インパルス応答を以下のように計算 する。 ただし、 k=上限(n/N) なお、(err1−err2)の計算は、以下のように表せることを理解しなければな ららい。 誤差補正項を含む上式は、RLSアルゴリズムによって実行される計算と非常 によく適合する。そのうえ、誤差項を式に含ませることにより受信データを平均 化し、このため、ノイズvnが平均化される。ノイズがない場合、SOLMSア ルゴリズムはOLMSアルゴリズムを近似する。しかし、ノイズがある場合、O LMSシステムはノイズを平均化するため、OLMSは反響インパルス応答の精 度の高い近似を提供する。なぜならば、SOLMSアルゴリズムとOLMSアル ゴリズムとが初 めのN回の反復に関しては同一結果を算出すからである。しかし、OLMSアル ゴリズムは、N回の反復を超え、誤差項を加えて反響インパルス応答を非常によ く近似し、ノイズを平均化する。 式中で誤差を使用するこのOLMSアルゴリズムは、RLSアルゴリズムによ って実行される計算と非常によく適合し、このことは、RLSアルゴリズムと同 様な優れた収束速度を有することを意味する。さらに、OLMSアルゴリズムは 、正規化LMSアルゴリズムよりもわずかに計算が複雑なだけで、また、RLS アルゴリズムよりもはるかにシンプルである。OLMSアルゴリズムを使用して 推定反響インパルス経路応答を得たのち、データモードで反響消去装置26が先 に論じたように推定反響z’nを除去し、送信信号r’nを計算する。 これが実現されると、OLMSおよびSOLMSアルゴリズムは、N=60で 動作することができ、OLMSアルゴリズムを使用するならば、さらに5×N回 の反復を全部で300(6×50)回まで実行することができる。これは、トレ ーニングシーケンス中にしばしば2000回の反復(N=2000)を行う標準 LMSアルゴリズムを使用する通常の態様よりも効果的である。OLMSおよび SOLMSアルゴリズムの場合には、通常はN=50のセットで、MMSEに達 するように反響インパルス応答を収束させるには十分である。代替態様として、 Nが反響インパルス応答を計算する際に誤差を最小限にするのに十分であるなら ば他の値をどのようにでもセットすることができる。たとえば、図3および4に 示す一実施態様では、Nは16にセットされている。 代替態様では、所定回数の反復を実施する代わりに、トレーニングシーケンス は、反響インパルス応答x’nが適切に収束するまで反復を実行し続ける。これ は、特定の反復で、値x’n−x’n-1が、反響インパルス応答の推定値において 十分に収束するような非常に低いしきい値に達することを意味する。 図3は、反響チャネルを測深するために使用されるデータシーケンスの長さを N=16にセットした場合におけるOLMS、SOLMS、RLSおよび標準L MSアルゴリズムの収束結果を示す。この図3では、実施した反復の回数を、誤 差2=(x−x’nT(x−x’n)に対してプロットした。図示されているよう に、OLMSおよびSOLMSアルゴリズムは、RLSアルゴリズムのそれに匹 敵する程、 高い収束速度を特徴とし、従来のLMS法よりも優れた収束特性を示すことが確 認できる。実際に、LMSアルゴリズムは400回の反復でSOLMSおよびO LMSによって約100の反復で達成される収束に近づく。 図4に、図3における、反復当初から24回程度までのさらなる詳細な結果を 示す。図4から確認できるように、OLMSおよびSOLMSは、RLMSとほ ぼ同じ速さで収束する。実際、OLMSおよびSOLMSは、17回ほど反復し ただけでRLMSの収束を近似する。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 長さNのデータシーケンスを送信器で送信して反響チャネルを測深し、該 測探の結果として反響znを戻す段階と、データサンプルdnからなるデータベク トルhnが、N番目の反復に対して対角線上にあるデータ行列を生成するデータ サンプルdnを選択する段階と、該選択されたデータサンプルdnおよび前記反響 znを反響消去装置で受信する段階と、最小平均二乗アルゴリズムならびに前記 データサンプルdnからなるデータベクトルhnおよび前記測深した反響znを使 用して、反響インパルス応答x’nを反響消去装置で計算する段階と、を含むこ とを特徴とする反響インパルス応答を推定する方法。 2.定振幅零自己相関シーケンスを使用してデータシーケンスdnを生成する請 求項1記載の反響インパルス応答を推定する方法。 3.反響インパルス応答をN回の反復で計算する請求項1記載の反響インパルス 応答を推定する方法。 4.反響インパルス応答をN回よりも大きい反復回数で計算する請求項1記載の 反響インパルス応答を推定する方法。 5.Nが偶数であるならば、Nに対して素数である値Mをセットする段階と、以 下の式 にしたがってデータサンプルdkを計算する段階と、該計算したデータサンプル dkを用いて計算したデータシーケンスを反響消去装置に送信する段階と、をさ らに含む請求項1記載の反響インパルス応答を推定する方法。 6.Nが奇数であるならば、Nに対して素数である値Mをセットする段階と、以 下の式 にしたがってデータサンプルdkを計算する段階と、該計算したデータサンプル dkを用いて計算したデータシーケンスを反響消去装置に送信する段階と、をさ らに含む請求項1記載の反響インパルス応答を推定する方法。 7.反響消去装置が、以下の式 にしたがって反響インパルス応答x’nを推定し、N回の反復まで反響インパル ス応答x’nを計算する請求項1記載の反響インパルス応答を推定する方法。 8.N=50である請求項7記載の反響インパルス応答を推定する方法。 9.反響消去装置が、以下の式 ただし、 ただし、k=上限(n/N) にしたがって反響インパルス応答x’nを推定し、Nを超える反復回数で反響イ ンパルス応答x’nを計算する請求項1記載の反響インパルス応答を推定する方 法。 10.Nの倍数の反復回数まで反響インパルス応答を計算する請求項9記載の反 響インパルスを推定する方法。 11.N×6の反復回数だけ反響インパルス応答を計算する請求項9記載の反響 イ ンパルスを推定する方法。 12.トレーニングシーケンス中に反響インパルス応答x’nを計算する段階と 、データ伝送モード中、遠隔送信器から、yn=rn+zn(rnは、遠隔送信器か ら送信された実際のデータである)となるような反響znを含むデータ(yn)を 受信器で受信する段階と、反響消去装置で計算した反響インパルス応答x’nを 使用して反響z’nを推定する段階と、受信データynから推定反響z’nを除去 して、遠隔送信器から送信された信号を推定する(r’n=yn−z’n)段階と 、受信データの推定値r’nを受信器に通信する段階と、をさらに含む請求項1 記載の反響インパルスを推定する方法。 13.反響消去装置が以下の式 にしたがって推定反響z’nを計算する請求項10記載の反響インパルス応答を 推定する方法。 14.(a)受信器と、(b)データサンプルdnからなるデータベクトルhnが 対角線上にあるデータ行列を生成する該データサンプルdnのデータシーケンス を生成するための手段と、(c)i.長さNの前記データシーケンスを送信して 反響チャネルを測深するための手段およびii.前記生成されたデータシーケンス dnを受信し、送信するための手段を含む送信器と、(d)i.前記反響チャネ ルの測深から得られた反響znを受信するための手段、ii.送信器から前記デー タシーケンスdnを受けるための手段、iii.該データシーケンスdnおよび前記 測深した反響znに基づいて、LMSアルゴリズムを適用して反響インパルス応 答x’nを計算するための手段、iv.データ伝送中に推定した反響インパルス応 答x’nを使用して反響z’nを推定するための手段、v.遠隔ソースによって送 信された信号から推定反響z’nを除去することにより、遠隔ソースから送信さ れた信号r’nを推定するための手段、およびvi.推定した送信信号r’nを受信 器に通信するための手段を 含む反響消去装置と、を含むモデム。
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