JP2000508544A - 組換えdna系におけるヒトプロコラーゲンおよびコラーゲンの合成 - Google Patents

組換えdna系におけるヒトプロコラーゲンおよびコラーゲンの合成

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JP2000508544A JP9537462A JP53746297A JP2000508544A JP 2000508544 A JP2000508544 A JP 2000508544A JP 9537462 A JP9537462 A JP 9537462A JP 53746297 A JP53746297 A JP 53746297A JP 2000508544 A JP2000508544 A JP 2000508544A
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アイ. キヴィリッコ,カリ
ピーラジャニエミ,タイナ
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ファイブローゲン,インコーポレーテッド
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Abstract

(57)【要約】 コラーゲンおよびコラーゲン翻訳後酵素を発現する宿主およびベクターを用いてコラーゲンを製造する方法が開示される。コラーゲン翻訳後酵素としては、プロリル-4-ヒドロキシラーゼ、リシルヒドロキシラーゼ、リシルオキシダーゼ、C−プロテイナーゼ、およびN−プロテイナーゼが挙げられ、これらの酵素は、非哺乳類宿主における適正に折りたたまれた組換えコラーゲンの収量を増大させる。これらの方法、宿主およびベクターによって産生されたコラーゲンには、それぞれ1個のコラーゲン遺伝子または複数のコラーゲン遺伝子から製造されるホモ三量体およびヘテロ三量体コラーゲンの両方が含まれる。

Description

【発明の詳細な説明】 組換えDNA系におけるヒトプロコラーゲンおよびコラーゲンの合成関連出願 本出願は、1996年4月12日出願の米国特許出願第08/631,336 合(「’336出願」)の一部継続出願であり、これは1994年8月11日出 願の米国特許出願第08/211,820号(「’820出願」)の一部継続出 願である。’820出願は、1992年10月22日出願のPCT特許出願PC T/US92/09061のアメリカ合衆国特許法§371に基づく米国特許出 願であり、これは現在は放棄されている1991年10月23日出願の米国特許 出願第07/780,899号の一部継続出願である。’860出願は、’82 0出願および1994年3月16日出願の米国特許出願第08/210,063 号の一部継続出願であり、これは1992年6月10日出願のPCT特許出願P CT/US92/22333のアメリカ合衆国特許法§371に基づく米国特許 出願であり、これは現在は放棄されている1991年6月12日出願の米国特許 出願第07/713,945号の一部継続出願である、これらの各出願は、参考 のため本明細書に組み込まれる。本明細書に記載の発明の部分は、一部がNIH 助成金AR38188とAR39740に支持された研究の過程で生まれたもの である。米国政府は本発明に対して一定の権利を有する。1.発明の分野 本発明は、プロコラーゲン、コラーゲンおよびこれらの断片の組換え法による 産生に関する。2.発明の背景 細胞外マトリックス。細胞外マトリックスの最も豊富な成分は、コラーゲンで ある。コラーゲン分子は一般にその一次配列中に、3重らせんドメイン(van de r Rest et al.,FASEB J. 5:2814-2823(1991))の形成を可能にする(−Gly −X−Y−)n繰り返し配列を含有する、3つのポリペプチド鎖のトリマー集合 の結果である。その生合成の間、コラーゲンを含む3つのポリペプチド鎖は、種 々の翻訳後修飾を受け、これがこれらの3重らせんドメイン(van der Rest e t al.,Adv .Mol.Cell Biol. 6:1-67(1993))の形成を可能にする。例えば、コ ラーゲンのプロリン残基はヒドロキシル化されて4−ヒドロキシルプロリンにな り、こうして酵素プロリル4−ヒドロキシラーゼにより鎖間水素結合が形成され る(Kivirikko et al.,Post-translational modifications of proteins(Hard ing,J.J.,Crabbe,M.J.C.編)pp.1-51,CRC Press,Boca Raton,フロリダ州 (1992))。次に、3重らせん分子はさらにプロセシングされてコラーゲンを生成 する。例えば、コラーゲンの前駆体分子である「プロコラーゲン」を含有するN −プロペプチドとC−プロペプチドは、翻訳後の過程でそれぞれ酵素N−プロテ イナーゼとC−プロテイナーゼにより切断される。 その種々の形すなわち「型」のコラーゲンの多様な構造的および機能的性質の 結果として、コラーゲンは細胞外マトリックスの高度の多様性に大きく寄与する ことができる。 コラーゲンの型。脊椎動物で19種類の異なる型のコラーゲン(ウシ、ヒツジ 、ブタ、ニワトリおよびヒトのコラーゲンを含む)が同定されている。これらの 型のコラーゲンは、ローマ数字で番号が付けられ、各型のコラーゲン中の鎖は、 アラビア数字で識別される。天然に存在するコラーゲンの種々の異なる型の構造 および生物学的機能の詳細は、特にAyad et al.,The Extracellular Matrix Fa cts Book ,アカデミックプレス(Academic Press)、サンジエゴ、カリホルニア州 ;Burgeson,R.E.とNimlni,”Collagen types:Molecular Structure and Tissu e Distribution,”Clin .Orthop. 282:250-272(1992):Kielty,C.M.et al.,C onnective Tissue And Its Heritable Disorders ,Molecular Genetics,AndMed ical Aspects Royce,P.M.とSteinmann,B.,編、Wiley-Liss,ニューヨーク 州、pp.103-147(1993)中の"The Collagen Family:Structure,Assembly And Or ganization In The Extracellular Matrix"に記載されている。 I型コラーゲンは、骨や皮膚中の主要な線維状コラーゲンである。I型コラー ゲンは、2つのα1(I)鎖と1つのα2(I)鎖からなるヘテロトリマー分子 である。精製されたI型コラーゲンに関する詳細は、特にMiller et al.,Metho ds In Enzymology 82:33-64(1982)、アカデミックプレス(Academic Press)に 記載されている。 II型コラーゲンは、3つの同じα(II)鎖からなるホモトリマーコラーゲンで ある。精製されたII型コラーゲンは、特にMiller et al.,Methods In Enzymolo gy 82:33-64(1982)、アカデミックプレス(Academic Press)に記載の方法によ り、組織から調製される。 III型コラーゲンは、皮膚や血管組織中の主要な線維状コラーゲンである。III 型コラーゲンは、3つの同じα(III)鎖からなるホモトリマーコラーゲンであ る。組織からのIII型コラーゲンの精製法に関する詳細は、特にByers et al.,B iochemistry 13:5243-5248(1974)およびMiller et al.,Methods In Enzmolog y 82:33-64(1982)、アカデミックプレス(Academic Press)に記載されている。 IV型コラーゲンは、線維ではなくシートの形で基底膜中に存在する。最も一般 的な型のIV型コラーゲンは、2つのα1(IV)鎖と1つのα2(IV)鎖を含有す る。IV型コラーゲンを含む特定の鎖は組織特異的である。IV型コラーゲンは、特 にFuruto et al.,Methods In Enzymology 144:41-61 (1987)、アカデミックプ レス(Academic Press)に記載された方法により精製される。 V型コラーゲンは、主に骨、腱、角膜、皮膚、および血管に存在する線維状コ ラーゲンである。V型コラーゲンは、ホモトリマーとヘテロトリマーの両方で存 在する。1つの型のV型コラーゲンは、2つのα1(V)鎖とα2(V)のヘテ ロトリマーである。別の型のV型コラーゲンは、α1(V)、α2(V)、およ びα3(V)のヘテロトリマーである。さらに別の型のV型コラーゲンは、α1 (V)のホモトリマーである。天然の供給源からのV型コラーゲンの単離方法は 、特にElstrow et al.,Collagen Rel .Res. 3:181-193(1983)およびAbedin et al.,Biosci .Rep. 2:493-502(1982)に記載されている。 VI型コラーゲンは、小さい3重らせん領域と2つの大きな非コラーゲン性の残 りの部分を有する。VI型コラーゲンは、α1(VI)、α2(VI)、およびα3( VI)鎖からなるヘテロトリマーである。VI型コラーゲンは、多くの結合組織中に 存在する。天然の供給源からのVI型コラーゲンの精製方法は、特にWu et al.,B iochem .J. 248:373-381(1987)とKielty et al.,J .Cell Sci. 99:797-807に記 載されている。 VII型コラーゲンは、特定の上皮組織中に存在する線維状コラーゲンである。 VII型は、3つのα1(VII)のホモトリマー分子である。組織からのVII型コラ ーゲンの精製方法は、特にLundstromet al.,J .Biol.Chem.261:9042-9048(1 986)とBentz et al.,Proc .Natl.Acad.Sci.USA 80:3168-3172(1983)に記載 されている。 VIII型コラーゲンは、角膜のデスメー膜中にに存在する。VIII型コラーゲンは 、2つのα1(VIII)鎖と1つのα2(VIII)鎖からなるヘテロトリマーである が、他の鎖の組成も報告されている。天然からのVIII型コラーゲンの精製方法は 、特にBenya et al.,J .Biol.Chem.261:4160-4169(1986)とKapoor et al. ,Biochemistry 25:3930-3937(1986)に記載されている。 IX型コラーゲンは、軟骨や硝子液中に見いだされる線維関連コラーゲンである 。IX型コラーゲンは、α1(IX)、α2(IX)、およびα3(IX)鎖からなるヘ テロトリマー分子である。IX型コラーゲンの精製方法は、特にDuance et al.,B iochem .J. 221:885-889(1984)、Ayad et al.,Biochem .J. 262:753-761(1989) 、Grant et al.,The Control of Tissue Damage,Glauert,A.M.編、El Sevier 、アムステルダム、pp.3-28(1988)に記載されている。 X型コラーゲンは、α1(X)鎖のホモトリマー化合物である。X型コラーゲン は、特に増殖板中に存在する肥大性軟骨から単離されている。 XI型コラーゲンは、II型コラーゲンやIX型コラーゲンに関連する軟骨組織およ び体の他の位置に存在する。XI型コラーゲンは、α1(XI)、α2(XI)、およ びα3(XI)鎖からなるヘテロトリマー分子である。XI型コラーゲンの精製方法 は、特にGrant et al.,In The Control of Tissue Damage,Glauert,A.M.編、 El Sevier、アムステルダム、pp.3-28(1988)に記載されている。 XII型コラーゲンは、主にI型コラーゲンに関連して見いだされる線維関連コ ラーゲンである。XII型コラーゲンは、3つのα1(XII)からなるホモトリマー 分子である。XII型コラーゲンおよびその変種の精製方法は、特にDublet et al. ,J.Biol.Chem. 264:13150-13156(1989)、Lundstrom et al.,J .Biol.Chem. 267:20087-20092(1992)、およびWatt et al.,J .Biol.Chem. 267:20093-2009 9(1992)に記載されている。 XIII型は、特に皮膚、小腸、骨、軟骨および横紋筋中に存在する非繊維状コラ ーゲンである。XIII型コラーゲンは、特にJuvonen et al.,J .Biol.Chem. 267 :24700-24707(1992)中に詳細に記載されている。 XIV型は、線維関連コラーゲンである。XIV型コラーゲンは、3つのα1(XIV )鎖からなるホモトリマー分子である。XIV型コラーゲンの単離方法は、特にAub ert-Foucher et al.,J .Biol.Chem. 266:19759-19764(1992)、およびwatt et al.,J .Biol.Chem. 267:20093-20099(1992)に記載されている。 XV型コラーゲンは、XVIIIコラーゲンと構造的に同族である。天然のXV型コラ ーゲンの構造と単離に関する情報は、特にMyers et al.,Proc .Natl.Acad.Sc i.USA 89:10144-10148(1992),Huebner et al.,Genomics 14:220-224(1992) ,Kivirikko et al.,J .Biol.Chem. 269:4773-4779(1994)、およびMuragaki e t al.,J .Biol.Chem. 264:4042-4046(1994)に記載されている。 XVI型コラーゲンは、皮膚、肺繊維芽細胞、ケラチン細胞、その他に存在する 線維関連コラーゲンである。XVI型コラーゲンの構造およびXVI型コラーゲンをコ ードする遺伝子に関する情報は、特にPan et al.,Proc .Natl.Acad.Sci.USA 1989:6565-6569(1992)、およびYamaguchi et al.,J .Biochem. 112:856-863 (1992)に記載されている。 XVII型コラーゲンは、半接着性トランスメンブランコラーゲンである。XVII型 コラーゲンの構造およびXVII型コラーゲンをコードする遺伝子に関する情報は、 特にLi et al.,J .BIol.Chem. 268(12):8825−8834(1993)、およびMcGrath e t al.,Nat .Genet. 11(1):83-86(1995)に記載されている。 XVIII型コラーゲンは、構造がXV型コラーゲンに似ており、肝臓から単離され る。XVIII型コラーゲンの構造と天然の供給源からのXVIII型コラーゲンの単離は 、特にRehn et al.,Proc .Natl.Acad.Sci.USA 91:4234-4238(1994),Oh et al.,Proc .Natl.Acad.ScI.USA 91:4229-4233(1994),Rehn et al.,J .Biol .Chem. 269:13924-13935(1994)およびOh et al.,Genomics 19:994-999(1994 )に記載されている。 XIX型コラーゲンは遺伝子構造のために、FACITコラゲナーゼファミリー の別のメンバーとして分類される。XIX型のmRNAが最近、横紋筋肉腫細胞か ら単離された。XIX型コラーゲンの構造と単離は、特にInoguchi et al.,J .Bio chem. 117:137-146(1995),Yoshioka et al.,Genomics 13:884-886(1992),Myer s et al.,J .Biol.Chem. 289:18549-18557(1994)に記載されている。 翻訳後酵素。プロリル4−ヒドロキシラーゼは、細胞によるプロコラーゲンま たはコラーゲンの合成に必要な重要な翻訳後酵素である。この酵素は、繰り返さ れる−Gly−X−Y−配列のY位のプロリル残基をヒドロキシル化して4−ヒ ドロキシルプロリンにするのに必要である。Prockop et al.,N .Engl.J.Med. 311:376-386(1984)。プロリル4−ヒドロキシラーゼにより、適切な数のY位の プロリル残基が4−ヒドロキシルプロリンにヒドロキシル化されないと、新たに 合成された鎖は、37℃で折り畳まれて3重らせん構造になることができない。 さらにヒドロキシル化が起きない場合は、このポリペプチドは非らせんのままで あり、細胞による分泌が少なく、自己集合してコラーゲン線維になることができ ない。 脊椎動物のプロリル4−ヒドロキシラーゼは、α2β2テトラマーである。Be rg et al.,J .Biol.Chem. 248:1175-1192(1973):Tuderman et al.,Eur .J. B iochem. 52:9-16(1975)。αサブユニット(〜63kDa)は、プロリル残基のヒド ロキシル化に関与する触媒部位を含有するが、βサブユニットが存在しない場合 は不溶性である。βサブユニット(〜55kDa)は、タンパク質のジスルフィド イソメラーゼと同一であることがわかり、これはタンパク質基質のチオール/ジ スルフィド交換を触媒し、これによりジスルフィド結合が形成され、これはタン パク質の最も安定な状態の樹立を可能にする。βサブユニットは、プロリル4− ヒドロキシラーゼテトラマーの一部である時、タンパク質のジスルフィドイソメ ラーゼの50%を保持する。Pihlajaniemi et al.,Embo J. 6:643-649(1987); Parkkonen et al.,Biochem .J. 256:1005-1011(1988);Koivu et al.,J. Biol .Chem. 262:6447-6449(1987)。最近、Sf9細胞中でαおよびβサブユニット を同時に発現することにより、昆虫細胞中で活性のある組換えヒト酵素が産生さ れた。Vuori et al.,Proc .Natl.Acad.Sci.USA 89:7467-7470(1992)。 プロリル4−ヒドロキシラーゼ以外に、C−プロテイナーゼ、N−プロテイナ ーゼ、リジルオキシダーゼ、およびリジルヒドロキシラーゼを含む他のコラーゲ ン翻訳後酵素が同定され、文献に報告されている。 コラーゲンを発現するための試み。種々の組換え宿主−ベクター系で、多くの 外因性遺伝子が容易に発現されている。しかしタンパク質の最終的形成のために 広範な翻訳後プロセシングが必要な場合は、発現は困難になる。これはおそらく 、本発明以前に、充分な組換え系で正しく形成されたコラーゲンの発現が報告さ れていないためである。Prockop et al.,N .Engl.J.Med. 311:376-386(1984 )を参照。 I型プロコラーゲンの2つの鎖の1つのみを合成した2つの異なる系でレスキ ュー実験が報告されていることが注目される。具体的には、ヒト線維状プロコラ ーゲンproα1(I)鎖の遺伝子であるCOL1A1遺伝子は、マウス繊維芽 細胞中で発現することができ、鎖は、I型コラーゲンの前駆体であるI型プロコ ラーゲンの分子を集合させるために使用される。しかし、報告は、マウス起源の proα2(I)鎖に限定されている。従って合成されたI型プロコラーゲンは 、ヒトとマウス起源のハイブリッド分子である。 同様に、ラットのI型プロコラーゲンを生成するためのラットの外因性pro α2(I)遺伝子の発現が報告されている。すなわち、すべての3つの鎖が外因 性遺伝子に由来する組換えプロコラーゲン分子は、当該分野で合成されなかった 。 ヒトコラーゲンの遺伝子を発現させることができないために、ヒトで多くの治 療的用途があり、好ましくない免疫応答(動物起源のコラーゲンを使用すると起 きる)を引き起こさないヒトプロコラーゲンやコラーゲンを得ることが不可能に なっている。また、多くの型のコラーゲンが、組織中では微量にしか存在せず、 組換え産生によってのみ多量に得ることができる。 III.発明の要旨 方法:本発明は、コラーゲン鎖をコードする少なくとも1種の核酸配列および コラーゲン翻訳後酵素をコードする少なくとも1種の核酸配列の発現を含むもの である。 より具体的には、本発明は、細胞内における、少なくとも1個のプロコラーゲ ンもしくはコラーゲン遺伝子(もしくはその他の核酸分子)またはいくつかの異 なるプロコラーゲンもしくはコラーゲン遺伝子(もしくはその他の核酸分子)の 発現方法を提供するものである。さらに、細胞内に導入され(すなわち、形質転 換または形質導入され)、発現した1個のプロコラーゲンもしくはコラーゲン遺 伝子(もしくはその他の核酸分子)またはいくつかの異なるそのような遺伝子の 1以上のコピーが存在することが予想される。本発明は、これらの細胞を、コラ ーゲンおよびコラーゲンを修飾する酵素をコードする核酸で形質転換またはトラ ンスフェクトして、それらの細胞がホモ三量体またはヘテロ三量体のプロコラー ゲンまたはコラーゲンに組み立てられる好ましくはヒトの少なくとも1種のプロ コラーゲンまたはコラーゲン鎖を発現させ得る方法を提供するものである。 本発明の1つの実施態様においては、この方法は、細胞内にトランスフェクト され、細胞内で発現する、突然変異体、変異体、ハイブリッドまたは組換え遺伝 子(またはその他の核酸分子)であるプロコラーゲンまたはコラーゲン遺伝子を 利用する。そのような突然変異体、変異体、ハイブリッドまたは組換え遺伝子に は、例えば、ハイブリッド遺伝子の切断のために特有の制限部位を付与する突然 変異が含まれ得る。 本発明のさらなる実施態様においては、かかる突然変異は核酸分子によってコ ードされるアミノ酸配列を変更しない1以上の特有の制限部位を付与するが、単 に該分子の操作に有用な特有の制限部位を付与するものである。したがって、修 飾された分子は、いくつかの別個の領域、または特有の制限部位が隣接したD− 領域から構成される。分子のこれらの別個の領域は、本明細書中ではカセットと いう。例えば、D1〜D4と称するカセットを図4に示す。カセットの複数のコ ピーから形成される分子は、本発明に含まれる本発明の遺伝子の別の変異体であ る。コラーゲナーゼのような内因性酵素に対する抵抗性などの所望の特性を付与 する組換えもしくは突然変異核酸分子またはカセットも本発明に含まれる。 本発明の方法の新規特徴は、比較的大量のヒトプロコラーゲンまたはコラーゲ ンを、その他のプロコラーゲンまたはコラーゲンを作らない組換え細胞培養系に おいて合成することができるということである。プロコラーゲンまたはコラーゲ ンの内因性遺伝子の産物を組換えコラーゲン産物から分離するのが非常に困難で あるので、その他のプロコラーゲンまたはコラーゲンを作る系が好ましい。本発 明の方法を用いると、ヒト、ウシ、ブタ、ニワトリおよびその他の哺乳類のコラ ーゲンを含むプロコラーゲンの精製が非常に容易になる。さらに、本発明の方法 によって合成されるタンパク質の量は、当技術分野で用いられているその他の系 と比べて多いということが示された。 本発明の方法のその他の新しい特徴は、合成されたプロコラーゲンが、プロコ ラーゲンおよびコラーゲンに特徴的な正常な三重らせんコンホメーションを示す ように正確に折りたたまれたタンパク質であるということである。したがって、 このプロコラーゲンを用いて、プロテアーゼで該プロコラーゲンを切断すること によって安定なコラーゲンを作り出すことができる。 本発明は、形質転換またはトランスフェクトされたプロコラーゲンおよびコラ ーゲン遺伝子から単に誘導されるプロコラーゲンまたはコラーゲンの産生方法を 提供する。しかしながら、この方法は、形質転換またはトランスフェクトされた 遺伝子から単に誘導されるプロコラーゲンおよびコラーゲンの製造に限定するも のではない。 ベクター:また、本発明は、本発明の方法に用いられるベクターおよびプラス ミドにも関する。かかるベクターおよび/またはプラスミドは、所望のプロコラ ーゲンおよびコラーゲンをコードする核酸配列、必要なプロモーター、ならびに そのようなプロコラーゲンおよびコラーゲンの適正な発現に必要なその他の配列 からなる。好ましい実施態様においては、本発明のベクターおよびプラスミドに は、さらに、1種以上の翻訳後酵素をコードする少なくとも1種の配列が含まれ る。 本発明の目的は、ヒトおよびその他の起源由来のコラーゲン遺伝子を含む種々 の宿主細胞のための発現ベクターを構築し、種々のコラーゲン翻訳後修飾酵素を 含む発現ベクターを構築することである。 細胞:本発明は、さらに、プロコラーゲンまたはコラーゲンを、単独で、また は1種以上の翻訳後酵素と組み合わされた状態でmRNAとしてもタンパク質と しても発現する細胞を含む。好ましくは、プロコラーゲンまたはコラーゲン(I 〜XIX型)、および/または翻訳後酵素は、哺乳動物細胞、昆虫細胞、または酵母 細胞中で発現する。これらの好ましい実施態様にもかかわらず、植物細胞および 藻類細胞などのその他の細胞も作製することができる。 本発明の好ましい実施態様においては、哺乳動物細胞、昆虫細胞および酵母細 胞などの細胞(これらは十分な量の翻訳後酵素を天然で産生しなくてもよい)は 、プロリル4-ヒドロキシラーゼ、C−プロテイナーゼ、N−プロテイナーゼ、リ シルオキシダーゼまたはリシルヒドロキシラーゼなどの翻訳後酵素をコードする 少なくとも1組の遺伝子で形質転換されている。 ポリペプチド:本発明は、キメラ遺伝子から産生される融合産物などの、本発 明の方法にしたがって発現した組換えポリペプチドを含む。ここで、例えば、コ ラーゲンまたはプロコラーゲンの関連エピトープが、治療およびその他で使用す るために製造され得る。本発明のポリペプチドとしては、さらに、脱グリコシル 化(deglycosolated)、非グリコシル化(unglycosolated)および部分グリコシル化 (partially glycosolated)コラーゲンおよびプロコラーゲンが挙げられる。 本発明の組換えコラーゲンの利点は、これらのコラーゲンがそれらが投与され る哺乳類においてアレルギー応答を生じさせないということである。この組換え コラーゲンは、そのような哺乳類の天然コラーゲンをコードする核酸配列を利用 して製造される。例えば、ヒトは、その他の哺乳類に由来するコラーゲン(例え ばウシ由来コラーゲン)と比較して、ヒトコラーゲンの投与に寛容であると予想 される。さらに、培養細胞から調製された本発明のコラーゲンは、動物源から得 られたコラーゲンよりも高品質であり、より大きくてよりきつく包み込まれた(t ightly packed)タンパク質を形成する。 IV.図面の簡単な説明 図1は、プロモーター、最初のエキソン、および最初の2つのエキソンを除い たCOL2A1の全部を含む30kbの断片に連結されたヒトCOL1A1遺伝子の最初のイント ロンの大部分を含む遺伝子構築物でトランスフェクトされたHT-1080細胞によっ て培地に分泌されたタンパク質の、SDS中でのポリアクリルアミドゲル電気泳 動による分析を示す写真である。 図2は、図1に記載された細胞から培地に分泌されたII型プロコラーゲンが正 確な天然コンホメーションに折りたたまれていることを証明する写真である。 図3は、COL1A1の遺伝子およびCOL1A2の遺伝子で共トランフフェクトされたHT -1080細胞の培地の分析を示す写真である。 図4は、特異的制限エンドヌクレアーゼによる人為的な切断部位を含むように 改変されたヒトI型プロコラーゲンのプロα1(I)鎖のcDNAの概略図であ る。 図5は、精製されたヒナ鳥プロリル4-ヒドロキシラーゼ(レーン1および4) 、並びにヒトプロリル4-ヒドロキシラーゼのa−サブユニットおよびB−サブユ ニットの遺伝子を発現する、a58/Bウイルス(レーン2および5)またはa59/Bウ イルス(レーン3および6)を感染させたSf9細胞によって培地に分泌されたタ ンパク質の、未変性7.5%ポリアクリルアミドゲル電気泳動(レーン1〜3)お よびSDS中での10%ポリアクリルアミドゲル電気泳動(レーン4〜6)による 分析を示す写真である。a58/Bとa59/Bとは、64塩基対の伸長の差がある。 図6は、Sf9およびHigh Five細胞における組換えヒトIII型プロコラーゲンの 発現を示すゲルである。 図7は、銀染色した5%SDS−PAGEゲル上で分析した、昆虫細胞におけ る組換えヒトI型プロコラーゲンの発現を示すゲルである。レーン1は、I型プ ロコラーゲンのプロα1鎖のみを発現する細胞由来のペプシン消化試料である。 レーン2は、I型プロコラーゲンのプロα1およびプロα2鎖を共発現する細胞 由来のペプシン消化試料である。 図8は、クーマシー染色した5%SDS−PAGEゲル上で分析した、昆虫細 胞における組換えヒトII型プロコラーゲンの発現を示すゲルである。 図9は、精製されたIII型コラーゲンの還元および非還元条件下でのSDS− PAGE分析である。ゲルは、クーマシーブリリアントブルーで染色した。還元 III型コラーゲン試料をレーン2に、非還元試料をレーン3に示す。分子量マー カーはレーン1で泳動した。三量体α1(III)鎖および単量体α1(III)鎖の 位置を矢印で示す。 図10は、HighFive昆虫細胞において発現したプロα1(III)鎖の三量体生 成の非還元SDS−PAGE分析である。試料を、非還元条件下で5%SDS− PAGE上で電気泳動させ、クーマシー染色することによって分析した。レーン 1、分子量マーカー;レーン2、細胞抽出物;レーン3、ペプシンで消化した細 胞抽出物:レーン4、1%SDSに可溶のタンパク質。三量体プロα1(III) 鎖およびα1(III)鎖の位置を矢印で示す。 図11A〜11Dは、短時間のプロテアーゼ消化によって昆虫細胞において産 生した組換えヒトIII型コラーゲンの熱安定性の分析である。 V.発明の詳細な説明 A.定義: 「コラーゲン」という用語は、コラーゲンI〜XIX型のいずれか、ならびに本 発明の方法にしたがって産生されたあらゆる新規コラーゲンをいう。また、この 用語には、プロコラーゲンとヘテロ−およびホモ−三量体に組み立てられた(ass embled)成熟コラーゲンの両方が包含され、コラーゲン型のいずれかについての プロコラーゲンまたはコラーゲンのあらゆる1本鎖ポリペプチド、および本発明 のコラーゲン構築物のあらゆる組み合わせのヘテロ三量体が包含される。「コラ ーゲン」という用語には、本明細書の文脈が別段指摘していないかぎり、前述の 全てのものが包含されるものである。 「プロコラーゲン」という用語は、三量体組み立て(assembly)、溶解性、精製 またはその他の作用を助ける付加C−末端および/またはN−末端ペプチドを有 しており、後に、N−プロテイナーゼ、C−プロテイナーゼまたはその他のタン パク質によって切断される、コラーゲンI〜XIX型のいずれか、ならびに本発明 によって産生されたあらゆる新規コラーゲンをいう。 「コラーゲンサブユニット」という用語は、単一の遺伝子によってコードされ るコラーゲンタンパク質ならびに欠失誘導体、保存的置換体等を含む誘導体の1 つのポリペプチド鎖のアミノ酸配列をいう。 「融合タンパク質」とは、異なるタンパク質由来のペプチド配列が互いに共有 結合しているタンパク質をいう。 「コラーゲン翻訳後酵素」という用語は、プロコラーゲン、コラーゲンまたは コラーゲン分子を含む成分を修飾するあらゆる酵素をいい、限定するものではな いが、プロリル4-ヒドロキシラーゼ、C−プロテイナーゼ、N−プロテイナーゼ 、リシルヒドロキシラーゼ、およびリシルオキシダーゼが包含される。「コラー ゲン翻訳後酵素」という用語には、本明細書の文脈が別段指摘していないかぎり 、前述の全てのものが包含されるものである。 「感染」という用語は、ウイルスまたはウイルスベクター、好ましくはバキュ ロウイルスまたはSemliki Forestウイルスを用いることによって核酸を生物内に 導入することをいう。 「形質転換」という用語は、DNAをそのDNAが複製可能なように染色体外 エレメントとして、または染色体組み込みによって生物に導入することを意昧す る。 「トランスフェクション」という用語は、コード配列が実際に発現するか否か にかかわらず、宿主細胞による発現ベクターの取り込みをいう。 本明細書中で用いられる「ストリンジェントな条件」という語句は、(1)洗 浄に、低イオン強度および高温、例えば0.015M NaCl/0.0015 M クエン酸ナトリウム/0.1%SDS、50℃を用いる;(2)ハイブリダ イゼーションの際に、ホルムアミドなどの変性剤、例えば0.1%ウシ血清アル ブミンを含む50%(vol/vol)ホルムアミド/0.1%Ficoll/0.1% ポリビニルピロリドン/750mM NaCl、75mMクエン酸ナトリウムを 含むpH6.5の50mMリン酸ナトリウム緩衝液を42℃で用いる;または( 3)50%ホルムアミド、5×SSC(0.75M NaCL 0.075M クエン酸ナトリウム)、5×デンハルト溶液、音波処理サケ精子DNA(50g /ml)、0.1%SDS、および10%デキストランサルフェートを42℃で 用い、0.2×SSCおよび0.1%SDS中で42℃にて洗浄する、ハイブリ ッドダイゼーション条件をいう。 本明細書で用いられる「精製された」という用語は、その指示したコラーゲン またはプロコラーゲンが、その他の生体高分子、例えばポリヌクレオチド、タン パク質などを実質的に含まない状態で存在することを示す。本明細書で用いられ る「精製された」という用語は、指示した生体高分子が、好ましくは少なくとも 95重量%、より好ましくは少なくとも99.8重量%存在することを意味するもので ある(しかし、水、緩衝液、およびその他の小さい分子、特に、分子量が1000ダ ルトン未満の分子は存在してもよい)。 本明細書で用いられる「単離された」という用語は、そのタンパク質分子の天 然供給源中に存在するその他のタンパク質のみならず、それ以外のタンパク質か らも分離されたタンパク質分子をいい、好ましくは、(もし存在するとしても) 溶媒、緩衝液、イオン、またはそのタンパク質分子の溶液に通常存在するその他 の成分のみの存在下で見出されるタンパク質をいう。「単離された」および「精 製された」という用語には、それらの天然供給源中に存在するタンパク質は包含 されない。 B.本発明に関連する核酸 本発明にしたがって、あらゆるコラーゲンサブユニットまたはその機能的等価 物をコードするポリヌクレオチド配列を用いて、適切な宿主細胞中で、そのコラ ーゲンサブユニットまたはその機能的等価物の発現を指令する組換えDNA分子 を作製し得る。本発明の好ましい実施態様は、ヒトコラーゲンまたはその機能的 等価物をコードするポリヌクレオチド配列に関する。また、本発明の好ましい実 施態様としては、I型、IV型、XIII型、XV型およびXVIII型のコラーゲンサブユ ニットまたはその機能的等価物のポリヌクレオチド配列も挙げられる。 公知のコラーゲン型をコードする核酸配列は、一般的に当技術分野において記 述されている。例えば、Fukaiら,Methods of Enzymology 245:3-28(1994)およ びそこに引用された参考文献を参照されたい。新規コラーゲン/プロコラーゲン または核酸配列が入手できない公知のコラーゲン/プロコラーゲンは、「新規の 」型のコラーゲンを有し、検出可能なレベルでその新規コラーゲンを発現すると 考えられる組織から調製したcDNAライブラリーから得られ得る。例えば、c DNAライブラリーは、新規コラーゲンを発現することが知られた細胞系からポ リアデニル化mRNAを得ることによって構築することができ、あるいはその組 織/細胞型に対して以前に作られたcDNAライブラリーを使用することがで きた。cDNAライブラリーは適当な核酸プローブを用いてスクリーニングされ 、および/または該ライブラリーはその他のコラーゲンを特異的に認識する適当 なポリクローナルまたはモノクローナル抗体を用いてスクリーニングされる。適 当な核酸プローブとしては、同一または異なる種由来の新規コラーゲンの公知の 部分をコードするオリゴヌクレオチドプローブが挙げられる。その他の適当なプ ローブとしては、限定するものではないが、同一または類似の遺伝子、および/ または相同ゲノムDNAまたはその断片をコードするオリゴヌクレオチド、cD NA、またはその断片が挙げられる。選択されたプローブによるcDNAまたは ゲノムライブラリーのスクリーニングは、Sambrookら,Molecular Cloning:A La boratory Manual,ニューヨーク,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989 の第10−12章に記載された手順のような当業者に公知の標準手順を用いて行なわ れ得る。新規コラーゲンを同定するためのその他の手段には、直接発現クローニ ングまたは1987年7月28日に特許された米国特許第4,683,195号、またはSambroo kら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,ニューヨーク,Cold Spring Ha rbor Laboratory Press,1989の第14節、またはCurrent Protocols in Molecula r Biology,Ausubelら編集,Greene Publishing Assosiates and Wiley-Intersc ience 1991の第15章に記載されたようなポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の使用 などの、組換えDNA技術についての公知の技術が含まれる。 本発明にしたがって用い得る改変DNA配列としては、同一または機能的に等 価の遺伝子産物をコードする配列になる種々のヌクレオチド残基の欠失体、付加 物または置換体が挙げられる。遺伝子産物自体がコラーゲン配列内にアミノ酸残 基の欠失、付加または置換を含んでいてもよく、それらによって機能的に等価の コラーゲンになる。 本発明の核酸配列は、コラーゲンコード配列を種々の末端について改変するた めに操作し得るが、それには、限定するものではないが、プロセッシングおよび 遺伝子産物の発現を変更する改変が含まれる。例えば、天然ヒト分泌シグナルを 代替の分泌シグナルで置き換えてもよく、および/または、新たな制限部位の挿 入や、グリコシル化パターン、リン酸化等の変更のために、当技術分野で周知の 技術、例えば部位特異的突然変異誘発を用いて突然変異を生じさせてもよい。さ らに、非ヒト細胞において発現させる場合、特定の宿主生物のコドンの利用頻度 (codon preference)により適合するように、本発明のコラーゲンをコードするポ リヌクレオチドは、あらゆるトリプレットアミノ酸コドンのサイレント位置にお いて改変し得る。 本発明の核酸配列は、さらに、すでに記載されているコラーゲンおよび断片の 変異体をコードする配列に関する。天然コラーゲンおよびコラーゲン断片のこれ らのアミノ酸配列変異体は、当技術分野で公知の方法により、適当なヌクレオチ ド変更を、天然または変異体コラーゲンをコードするポリヌクレオチドに導入す ることによって調製され得る。アミノ酸配列変異体の構築物には2つの変動要素 (variables)、すなわち突然変異の位置および突然変異の種類がある。コラーゲ ンのアミノ酸配列変異体は、好ましくは、天然では生じないアミノ酸配列が得ら れるようにポリヌクレオチドを突然変異させることによって構築される。これら のアミノ酸改変は、異なる種由来のコラーゲンで異なる部位(可変位置)で、ま たは高度保存領域(定常領域)において行うことができる。そのような位置にあ る部位は、典型的には、例えば、まず保存的選択で置換し(例えば疎水性アミノ 酸を異なる疎水性アミノ酸に置換する)、次いでより遠縁の選択で置換する(例 えば疎水性アミノ酸を荷電アミノ酸に置換する)ことによって連続して変更され 、その後標的部位に欠失または挿入が行なわれ得る。 アミノ酸は、その側鎖の特性(極性、電荷、溶解性、疎水性、親水性、および /または両親媒性)に基づいてグループ分けされる:(1)疎水性(leu、met、 ala、ile)、(2)中性疎水性(cys、ser、thr)、(3)酸性(asp、glu)、 (4)弱塩基性(asn、gln、his)、(5)強塩基性(lys、arg)、(6)鎖の 配向に影響を及ぼす残基(gly、pro)、および(7)芳香族(trp、tyr、phe) 。保存的変化には、「本来の」アミノ酸と同じグループ内にあるアミノ酸位置の 変異体が包含される。適度に保存的な変化には、「本来の」アミノ酸に密接に関 連したグループ内にあるアミノ酸位置の変異体(例えば、中性疎水性のものを弱 塩基性のものにする)が包含される。非保存的変化には、「本来の」アミノ酸と は遠縁にあるグループ内にあるアミノ酸位置の変異体(疎水性アミノ酸を強塩基 性または酸性アミノ酸にする)が包含される。 アミノ酸配列の欠失は、一般的に約1〜30残基の範囲であり、好ましくは約1 〜10の範囲であり、典型的には連続している。アミノ酸の挿入としては、1残基 から100残基以上の長さのアミノ−および/またはカルボキシ−末端の融合、な らびに1個のアミノ酸残基または複数のアミノ酸残基の配列内挿入が挙げられる 。配列内挿入は、一般的に約1〜10アミノ酸残基、好ましくは1〜5残基の範囲 であり得る。末端挿入としては、例えば、異なる宿主細胞における分泌または細 胞内ターゲティングに必要な異種シグナル配列が挙げられる。 好ましい方法においては、コラーゲンをコードするポリヌクレオチドを、部位 特異的突然変異誘発によって変化させる。この方法は、所望のアミノ酸変異体の ポリヌクレオチド配列をコードするオリゴヌクレオチド配列、ならびに変更され る部位のいずれか一方の側に安定な二重鎖を形成するのに十分な変更されたアミ ノ酸の両側にある隣接ヌクレオチドを使用する。一般に、部位特異的突然変異誘 発の技術は当業者には周知であり、かかる技術はEdelmanら,DNA 2:183(1983)な どの刊行物に例示されている。ポリヌクレオチド配列中に部位特異的変化を生じ させるための融通のきく有効な方法は、ZollerおよびSmith,Nucleic Acids Res .10:6487-6500(1982)に公表されている。 コラーゲンのアミノ酸配列変異体を作製するのにPCRも使用し得る。少量の 鋳型DNAを出発原料として用いる場合、鋳型DNAの対応領域とは配列がわず かに異なるプライマーによって所望のアミノ酸変異体を作製することができる。 PCR増幅によって、コラーゲンをコードするポリヌクレオチド鋳型とはプライ マーによって特定された位置において異なっている産物DNA断片群が得られる 。産物DNA断片がプラスミド内の対応領域に取って代わり、これが所望のアミ ノ酸変異体を生じさせる。 アミノ酸変異体を作製するための更なる技術は、Wellsら,Gene 34:315(1985) に記載されたカセット突然変異誘発技術;ならびに、例えばSambrookら(上述) およびCurrent Protocols in Molecular Biology,Ausubelら(上述)に記載さ れた技術などの当技術分野で周知のその他の突然変異誘発技術である。 本発明の別の実施態様においては、融合タンパク質をコードするようにコラー ゲン配列を異種配列に連結してもよい。例えば、(3(IX)コラーゲンが異種部 分から切断され得るように、融合タンパク質を操作して(3(IX)コラーゲン配 列と異種タンパク質配列の間に位置する切断部位を含ませてもよい。 遺伝暗号の固有の縮重により、本発明の実施においては、実質的に同一または 機能的に等価のアミノ酸配列をコードするその他のDNA配列を、クローニング およびこれらのコラーゲンタンパク質の発現に用いてもよい。そのようなDNA 配列としては、ストリンジェントな条件下で適切なヒトコラーゲン配列にハイブ リダイズすることができるものが挙げられる。 C.コラーゲン修飾ポリペプチドおよび対応する核酸配列 天然で産生される場合、コラーゲンは、共同して少なくとも1つの三重らせん ドメインを形成する1以上のコラーゲンサブユニットからなる構造タンパク質で ある。コラーゲンサブユニットをプロコラーゲンまたはその他の前駆体分子に変 換し、次いで成熟コラーゲンに変換するために、種々の酵素が利用される。その ような酵素としては、プロリル4-ヒドロキシラーゼ、C−プロテイナーゼ、N− プロテイナーゼ、リシルオキシダーゼおよびリシルヒドロキシラーゼが挙げられ る。 4-ヒドロキシプロリン残基は、新たに合成されたポリペプチド鎖の三重らせん 分子への折りたたみを安定化するので、プロリル4-ヒドロキシラーゼは全コラー ゲンの生合成において中心的な役割を果たす。Prockopら,Annu.Rev.Biochem .64:403-434(1995);Kivirikkoら,「タンパク質の翻訳後修飾(Post-Translatio nal Modifications of Proteins)」,pp.1-51(1992);Kivirikkoら,FASEB J.3: 1609-1617(1989)を参照されたい。例えば、組換えプロリル4-ヒドロキシラーゼ の不存在下でIII型プロコラーゲンのプロα1鎖を昆虫細胞中で発現させた場合 、かなりの量のプロコラーゲンがその細胞中に作られ、22℃におけるプロテアー ゼ分解に対するコラーゲンのコラーゲン性ドメインの抵抗性によって示されるよ うに、プロα鎖は三重らせん分子を形成した。しかしながら、かかる分子の三重 らせんのTmは、組換えプロリル4-ヒドロキシラーゼの存在下で産生させたプロコ ラーゲンよりも約6℃低かった。また、III型コラーゲンの発現レベルは、組換 えプロリル4-ヒドロキシラーゼの存在下よりもその不存在下のほうが低かった。 α2ホモ二量体であるリシルヒドロキシラーゼは、コラーゲンの翻訳後修飾を 触媒してコラーゲン中にヒドロキシリシンを形成させる。一般的に、Kivlrikko ら,「タンパク質の翻訳後修飾」,Harding,J.J.およびCrabbe,M.J.C.編集,C RC Press,ボッカレートン(Boca Raton),フロリダ州(1992);Kivirikko,Princi ples of Medical Biology,第3巻,Cellular Organelles and the Extracellul ar Matrix,Bittar,E.E.およびBittar,N.,編集,JAI Press,グリーンウィッ チ(Greenwich),グレートブリテン(1995)を参照されたい。 C−プロテイナーゼは、コラーゲン分子の三重らせんの組み立てを助けるが、 その三重らせんの一部ではないプロコラーゲンのC−末端を切除することによっ て組み立てプロコラーゲンを切断する。一般的に、Kadlerら,J.Biol.Chem.2 62:15969-15701(1987),Kedlerら,Ann.NY Acad.Sci.580:214-224(1990)を参 照されたい。 N−プロテイナーゼは、コラーゲン三重らせんの組み立てを助けるが、その三 重らせんの一部ではないプロコラーゲンのN−末端を切除することによって組み 立てプロコラーゲンを切断する。一般的に、Hojinaら,J.Biol.Chem.269:113 81-11390(1994)を参照されたい。 リシルオキシダーゼは、特定のリシンおよびヒドロキシリシン残基のε−アミ ノ基の酸化的脱アミノ反応を触媒して反応性アルデヒドを形成する細胞外銅酵素 である。次いで、かかるアルデヒドは、アルドール縮合してアルドールを形成し 、コラーゲン原繊維を架橋する。リシルオキシダーゼのDNAおよびタンパク質 配列についての情報は、Kivirikko,Principles ofM edical Biology,第3巻, Cellular Organelles and the Extracellular Matrix,Bittar,E.E.およびBitt ar,N.,編,JAI Press,グリーンウィッチ,グレートブリテン(1995),Kagan,P ath.Res.Pract.190:910-919(1994),Kenyonら,J.Biol.Chem.268(25):184 35-18437(1993),Wuら,J.Biol.Chem.267(34):24199-24206(1992),Marlani ら,Matrix 12(3):242-248(1992),およびHamalainenら,Genomics 11(3):508-5 16(1991)などに見出すことができる。 これらのいくつかの翻訳後酵素をコードする核酸配列が報告されている。Vuor iら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA89:7467-7470(1992);Kesslerら,Science 271 :360-362(1996)を参照されたい。また、種々の翻訳後酵素をコードする核酸配 列は、一般的に上記したような方法にしたがって決定してもよく、適当なプロー ブおよび核酸ライブラリーの使用が含まれる。 D.組換え体コラーゲンの発現のための宿主ベクター系 本発明のコラーゲンおよび関連するコラーゲン翻訳後酵素を発現させるために 、コラーゲンまたは機能的等価物をコードするヌクレオチド配列を、適切な発現 ベクター、すなわち挿入されたコード配列の転写および翻訳に必要なエレメント 、またはRNAウイルスベクターの場合には複製および翻訳に必要なエレメント を含有するベクターに挿入する。 当業者に周知の方法を用いて、本発明のコラーゲンについてのコラーゲンコー ド配列および適切な転写/翻訳調節シグナルを含む発現ベクターを構築すること ができる。そのような方法としては、in vitro組換えDNA法、合成法、および in vivo組換え/遺伝的組換えが挙げられる。例えば、Maniatisら,Molecular C loning A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,ニューヨーク( 1989)およびAusubelら,Current Protocols in Molecular Biology,Greene Pub lishing Associates and Wiley Intersciece,ニューヨーク(1990)を参照された い。 種々の宿主−発現ベクター系を利用してコラーゲンコード配列を発現させ得る 。かかるベクター系としては、限定するものではないが、プロコラーゲンまたは コラーゲンコード配列を含有する組換えバクテリオファージDNA、プラスミド DNAまたはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌などの微生物; プロコラーゲンまたはコラーゲンコード配列を含有する組換え酵母または菌類発 現ベクターで形質転換された酵母または糸状菌;本発明のプロコラーゲンまたは コラーゲンをコードする配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(例えばバ キュロウイルス)を感染させた昆虫細胞系;プロコラーゲンまたはコラーゲンコ ード配列を含有する、組換えウイルス発現ベクター(例えばカリフラワーモザイ クウイルスCaMV、タバコモザイクウイルスTMV)を感染させた植物細胞系 または組換えプラスミド発現ベクター(例えばTiプラスミド)で形質転換され た植物細胞系;または動物細胞系が挙げられる。これらの系の発現エレメントは 、その強さおよび特異性の点で相違する。用いる宿主/ベクター系に依存して、 構成的および誘導プロモーターを含む多数の適当な転写および翻訳エレメントの い ずれもがその発現ベクターに用いられ得る。例えば、細菌系においてクローニン グする場合、バクテリオファージλのpL、plac、ptrp、ptac(ptrp-lacハイブリ ッドプロモーター)などの誘導プロモーターを用いることができ;昆虫細胞系に おいてクローニングする場合、バキュロウイルス多角体プロモーターなどのプロ モーターを用いることができ;植物細胞系においてクローニングする場合、植物 細胞のゲノム由来のプロモーター(例えば熱ショックプロモーター、RUBIS COの小サブユニット用のプロモーター、クロロフィルa/b結合タンパク質用 のプロモーター)または植物ウイルス由来のプロモーター(例えばCaMVの3 5S RNAプロモーター、TMVのコートタンパク質プロモーター)を用いる ことができ;哺乳動物細胞系においてクローニングする場合、哺乳動物細胞のゲ ノム由来のプロモーター(例えばメタロチオネインプロモーター)または哺乳動 物ウイルス由来のプロモーター(例えばアデノウイルス後期プロモーター、ワク シニアウイルス7.5Kプロモーター)を用いることができ;コラーゲンDNA の複数コピーを含有する細胞系を作製する場合、SV40、BPVおよびEBV に基づくベクターを適切な選択マーカーとともに用いることができる。 細菌系においては、発現するコラーゲンに対して使用目的に応じて、多数の発 現ベクターが有利に選択され得る。例えば、抗体の産生のために本発明のコラー ゲンを大量に産生させたい場合、容易に精製される融合タンパク質産物を高レベ ルに発現することを指令するベクターが望ましい。そのようなベクターとしては 、限定するものではないが、E.コリ発現ベクターpUR278(Rutherら,EMBO J.2 :1791(1983))(ここで、コラーゲンコード配列は、ハイブリッドAS-lac Zタン パク質が産生されるように、そのベクターに、lac Zコード領域と読み枠を合わ せて連結され得る。);pINベクター(Inouyeら,Nucleic Acids Res.13:3101-3 109(1985);Van Heekeら,J.Biol.Chem.264:5503-5509(1989))などが挙げら れる。また、pGEXベクターを用いて、外来ポリペプチドをグルタチオンS−トラ ンスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として発現させてもよい。一般的 に、そのような融合タンパク質は可溶性であり、グルタチオン−アガロースビー ズに吸着させた後、遊離のグルタチオンの存在下で溶出を行うことによって溶解 細胞から容易に精製することができる。pGEXベクターは、トロンビンまたはXa 因子プロ テアーゼ切断部位を含み、そのことによって目的のクローン化ポリペプチドをG ST部分から放出するように設計される。 好ましい発現系は酵母発現系である。酵母においては、構成的または誘導プロ モーターを含有する多くのベクターが用いられ得る。概説として、Current Prot ocols in Molecular Biology,第2巻,Ausubelら編集,Greene Publish.Assoc .& Wiley Interscience,第13章(1988);Grantら,Expression and Secretion Vector for Yeast,in Methods in Enzymology,Wu & Grossman編集,Acad Pre ss,ニューヨーク153:516-544(1987);Glover,DNA Cloning,第11巻,IRL Pre ss,ワシントンD.C.,第3章(1986);Bitter,Heterologous Gene Expression in Yeast,Methods in Enzymology,Berger & Kimmel編集,Acad.Press,ニュー ヨーク 152:673-684(1987);およびThe Molecular Biology of the Yeast Saccha romyces,Strathernら編集,Cold Spring Harbor Press,第IおよびII巻(198 2)を参照されたい。 本発明のコラーゲンタンパク質のクローニングおよび発現に有用な特に好まし い系では、ピキア属(Pichia)酵母由来の宿主細胞が用いられる。ピキア・パスト リス(Pichia Pastoris)などの非サッカロミセス属酵母種は、スケールアップし た手順で組換えタンパク質を高収量で産生させることにおいて特別な利点を有す るようである。さらに、ピキア属発現キットは、Invitrogen Corporation(サン ディエゴ、カリフォルニア州)から市販されている。 ピキア・パストリスなどのメチロトローフ酵母には、多数のメタノール応答遺 伝子が存在し、各々の発現はメタノール応答調節領域(プロモーターともいう) によって制御されている。そのようなメタノール応答プロモーターのいずれもが 、本発明の実施における使用に適している。特異的な調節領域の例としては、ピ キア・パストリス由来の第一級アルコールオキシダーゼ遺伝子AOX1のプロモータ ー、P.パストリス由来の第二級アルコールオキシダーゼ遺伝子AX02のプロモータ ー、P.パストリス由来のジヒドロキシアセトンシンターゼ遺伝子(DAS)のプロモ ーター、P.パストリス由来のP40遺伝子のプロモーター、P.パストリス由来のカ タラーゼ遺伝子のプロモーターなどが挙げられる。 ピキア・パストリスにおける典型的な発現は、厳重に調節されたAOX1遺伝子由 来のプロモーターによって得られる(Ellisら,Mol.Cell Biol.5:1111(1985) および米国特許第4,855,231号参照)。培養物にメタノールを添加した後、この プロモーターを誘導して、組換えタンパク質を高レベルで産生させることができ る。続いて、同一の細胞を操作することによって、組換えタンパク質がプロリル 4−ヒドロキシラーゼによって十分にヒドロキシル化され、したがって原繊維形 成におけるそのタンパク質の正常な生物学的機能に必要な安定なヘリックスに折 りたたまれることが可能な条件下で、本明細書に記載された本発明のコラーゲン に対する遺伝子の発現を行う。 別の特に好ましい酵母発現系は、メチロトローフ酵母であるハンセヌラ・ポリ モルファ(Hansenula polymorpha)を使用する。メタノール上での増殖の結果、メ タノール代謝の重要な酵素、すなわちMOX(メタノールオキシダーゼ)、DA S(ジヒドロキシアセトンシンターゼ)およびFMHD(ホルメートデヒドロゲ ナーゼ)が誘導されることになる。これらの酵素は、全細胞タンパク質の最大3 0〜40%を構成することができる。MOX、DASおよびFMDH産生をコー ドする遺伝子は、メタノール上での増殖によって誘導され、かつグルコース上で の増殖によって抑制される、非常に強力なプロモーターによって制御される。こ れらの3つのプロモーターのいずれかまたは全部を用いてH.ポリモルファにおけ る高レベルの異種遺伝子の発現が得られ得る。本発明のコラーゲンをコードする 遺伝子は、誘導H.ポリモルファ・プロモーターの制御下で発現ベクターにクロー ニングされる。産物の分泌が望ましい場合、S.セレビシエ(S.cerevisiae)プレプ ロ交配α1因子などの、酵母における分泌についてのシグナル配列をコードする ポリヌクレオチドを、本発明のコラーゲンのコード配列と同じ読み枠で融合させ る。発現ベクターは、好ましくは、URA3またはLEU2などの栄養要求性マーカー 遺伝子を含有し、この遺伝子は、栄養要求性宿主の栄養不足を補うために用いら れ得る。 次いで、発現ベクターを用い、当業者に公知の技術を用いてH.ポリモルファ宿 主細胞を形質転換する。H.ポリモルファ形質転換の興味深い有用な特徴は、最大 100コピーの発現ベクターのゲノムへの自発的な組込みである。大部分の場合 、組み込まれたDNAは、頭−尾配置を示す多量体を形成する。組み込まれた外 来 DNAは、非選択的条件下でさえ、いくつかの組換え株において有糸分裂的に安 定であることがわかっている。この高コピー組込みの現象が、その系の高生産力 にさらに加わる。 また、糸状菌を用いることによって本発明のコラーゲンを産生することも可能 である。糸状菌中で組換えタンパク質を発現および/または分泌させるためのベ クターは周知であり、当業者は、これらのベクターを用いて組換えコラーゲンを 発現させることができるであろう。 植物発現ベクターを用いる場合、本発明のコラーゲンをコードする配列の発現 は、多数のプロモーターの何れかによって誘導され得る。例えば、CaMVの3 5S RNAおよび19S RNAプロモーターなどのウイルスプロモーター(Bri ssonら,Nature 310:511-514(1984)またはTMVのコートタンパク質プロモータ ー(Takamatsuら,EMBO J.6:307-311(1987))を用いることができ;あるいは、 RUBISCOの小さいサブユニットなどの植物プロモーター(Coruzziら,EMBO J.3:1671-1680(1984));Broglieら,Science 224:838-843(1984);または熱ショ ックプロモーター、例えば大豆hsp17.5-Eまたはhsp17.3-B(Gurleyら,Mol.Cell Biol.6:559-565(1986)を用いることができる。これらの構築物は、Tiプラスミ ド、Riプラスミド、植物ウイルスベクター、直接DNA形質転換、マイクロイン ジェクション、エレクトロポレーションなどを用いて植物細胞内に導入すること ができる。そのような技術の概説として、例えば、Weissbach & Weissbach,Met hods for Plant Molecular Biology,Academic Press,ニューヨーク,第VIII節 ,pp.421-463(1988);およびGrierson & Corey,Plant Molecular Biology,第2 版,Blackie,ロンドン,第7−9章(1988)を参照されたい。 本発明のコラーゲンを発現させるのに用いることができる別の発現系は、昆虫 系である。1つのそのような系においては、オートグラファ・カリフォルニカ(A utographa californica)核多角体病ウイルス(AcNPV)をベクターとして用 いて外来遺伝子を発現させる。このウイルスはスポドプテラ・フルギペルダ(Spo doptera frugiperda)細胞中で増殖する。本発明のコラーゲンのコード配列は、 ウイルスの非必須領域(例えば多角体遺伝子)にクローニングすることができ、 AcNPVプロモーター(例えば多角体プロモーター)の制御下に置かれ得る。 コラ ーゲンコード配列の挿入が成功した場合、多角体遺伝子が不活性化され、非閉塞 性(non-occluded)組換えウイルス(すなわち多角体遺伝子によってコードされる タンパク様の外皮がないウイルス)が産生される。次いで、これらの組換えウイ ルスを用いてスボドプテラ・フルギペルダ細胞に感染させ、そこにおいて挿入さ れた遺伝子が発現する(例えば、Smithら,J.Virol.46:584(1983);Smith,米 国特許第4,215,051号参照)。この発現系のさらなる例は、Current Protocols i n Molecular Biology,第2巻,Ausubelら編集,Greene Publish.Assoc.& Wil ey Interscienceに見出すことができる。 哺乳動物宿主細胞においては、多数のウイルスに基づいた発現系が利用され得 る。発現ベクターとしてアデノウイルスが用いられる場合、本発明のコラーゲン についてのコード配列は、アデノウイルス転写/翻訳調節複合体、例えば後期プ ロモーターおよび三文節リーダー配列に連結され得る。次いで、このキメラ遺伝 子はin vitroまたはin vivo組換えによってアデノウイルスゲノムに挿入され得 る。ウイルスゲノムの非必須領域(例えば領域E1またはE3)における挿入の 結果、感染宿主において生存可能且つコラーゲンを発現することが可能な組換え ウイルスになる(例えばLogan & Shenk,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:3655- 3659(1984))。一方、ワクシニア7.5Kプロモーターを用いてもよい(例えば Mackettら,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)79:7415-7419(1982);Mackettら,J .Virol.49:857-864(1984);Panicaliら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 79:4927-49 31(1982)参照)。 挿入されたコラーゲンコード配列の効率のよい翻訳には、特異的な開始シグナ ルも必要であり得る。このようなシグナルとしては、ATG開始コドンおよび隣接 配列が挙げられる。それ自体の開始コドンおよび隣接配列を含むコラーゲン遺伝 子全体を適切な発現ベクターに挿入する場合、さらなる翻訳調節シグナルは必要 ではない。しかしながら、コラーゲンコード配列の一部分のみを挿入する場合、 ATG開始コドンを含む外因性翻訳調節シグナルを付与しなければならない。さら に、確実に挿入断片全体を翻訳するために、開始コドンはコラーゲンコード配列 の読み枠を有する相内に存在しなければならない。これらの外因性翻訳調節シグ ナルおよび開始コドンは、天然および合成両方の種々の起源由来のものであり得 る。 発現の効率は、適切な転写エンハンサーエレメント、転写ターミネーターなどを 含ませることによって高められ得る(Bittnerら,Methods in Enzymol.153:516 -544(1987)参照)。 好ましくは、本発明のコラーゲンは分泌タンパク質として発現する。タンパク質 の発現に用いる操作された細胞が非ヒト宿主細胞である場合、コラーゲンタンパ ク質のヒト分泌シグナルペプチドを、宿主細胞の分泌ターゲティング機構によっ てより効率的に認識される別の分泌シグナルペプチドで置換するのが都合がよい ことが多い。その適切な分泌シグナル配列は、哺乳動物遺伝子の最適な菌類発現 を得ることにおいて特に重要である。例えば、メチロトローフ酵母においては、 読み枠内S.cerevisiaeα−交配因子プレプロ配列をコードするDNA配列は、コ ード配列のアミノ末端に挿入され得る。aMFプレプロ配列は、aMF前駆体分 子に含まれるリーダー配列であり、タンパク質分解プロセッシング及び分泌に必 要なlys-argコード配列を含む(Brakeら,Proc.Nat'l.Acad.Sci.USA,81:46 42(1984)参照)。原核細胞、酵母細胞、菌類細胞、昆虫細胞または哺乳動物細胞 についてのその他のシグナル配列は当技術分野では周知であり、当業者は宿主細 胞に適したえり抜きのシグナル配列を容易に選択することができるであろう。 本発明のベクターは宿主細胞中で自律的に複製し得るか、宿主染色体に組み込 まれ得る。自律的複製配列(「ars」)を有する適当なベクターは、種々の細菌 (pBR322由来のarsは、グラム陰性菌の大部分において機能する)、酵母(2μ プラスミドars)、および原核生物および真核生物の両方に対する種々のウイル ス複製配列(原核生物:λ、T偶数系ファージ、M13など:真核生物:アデノウ イルス、SV40、ポリオーマ、VSVまたはBPV、ワクシニアなど)に対して周知であ る。ベクターが宿主細胞のゲノムDNAに見出される配列と相同であるDNA配 列を有する場合、そのベクターは宿主細胞ゲノムに組み込まれ得る。 本発明のベクターは、一定の条件下での宿主細胞の増殖および生存に必要な産 物をコードする、選択マーカーとも呼ばれる選択遺伝子もコードする。典型的な 選択遺伝子としては、(1)抗性物質およびその他の毒素(例えば、テトラサイ クリン、アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキセートなど)に対する耐性を 付与するタンパク質、および(2)宿主細胞の栄養要求性を補うタンパク質をコ ードする遺伝子などが挙げられる。選択遺伝子のその他の例としては、単純ヘル ペスウイルスチミジンキナーゼ(Wiglerら,Cell 11:223(1977))、ヒポキサン チン−グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Szybalskaら,Proc.Natl. Acad.Sci.USA 48:2026(1962))およびアデニンホスホリボシルトランスフェラ ーゼ(Lowyら,Cell 22:817(1980))遺伝子が挙げられ、それぞれ、tk-、hgprt-ま たはaprt-細胞中で用いることができる。また、dhfr(メトトレキセートに対す る耐性を付与する)(Wiglerら,Natl.Acad.Sci.USA 77:3567(1980);O'Hara ら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:1527(1981));gpt(ミコフェノール酸に 対する耐性を付与する)(Mulliganら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:2072(19 81));neo(アミノグリコシドG−418に対する耐性を付与する)(Colberre- Garapinら,J.Mol.Biol.150:1(1981)):およびhygro(ハイグロマイシンに 対する耐性を付与する)(Santerreら,Gene30:147(1984))についての選択の基礎 としてアンチメタボライト抵抗性も用いることができる。最近、さらなる選択遺 伝子、すなわちtrpB(細胞にトリプトフアンの代わりにインドールを利用させる );hisD(細胞にヒスチジンの代わりにヒスチノールを利用させる)(Hartmanら ,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:8047(1988));およびODC(オルニチンデ カルボキシラーゼ)(オルニチンデカルボキシラーゼ阻害剤である2−(ジフル オロメチル)−DL-オルニチンDFMOに対する耐性を付与する)(McConlogue L .,In:Current Communicationin Molecular Biology),Cold Spring Harb or La boratory編(1987))が記載されている。 さらに、本発明の発現ベクターに必要な調節エレメントとしては、例えばプロ モーターおよびエンハンサーなどの転写を開始するための配列が挙げられる。プ ロモーターは構造遺伝子の開始コドンの上流に位置する非翻訳配列であり、その プロモーターの調節下で核酸の転写は調節される。誘導プロモーターは、例えば 栄養素が存在する、存在しないなどの培養条件の変化に応じて転写開始のそれら のレベルを変更するプロモーターである。当業者は、本発明に適した宿主細胞に おいて認識される多数のプロモーターについて知っているであろう。これらのプ ロモーターは、その天然遺伝子からプロモーターを取り出し、そのプロモーター 配列の3'にコラーゲンをコードするDNAを配置することによってコラーゲンを コードするDNAに作動可能なように連結される。本発明において有用なプロモ ーターとしては、限定するものではないが下記のものが挙げられる:(原核生物 )(1)ラクトースプロモーター、アルカリホスファターゼプロモーター、トリ プトファンプロモーター、およびtacプロモーターなどのハイブリッドプロモー ター、(酵母)(2)3-ホスホグリセリン酸キナーゼのプロモーター、その他の 解糖酵素プロモーター(ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホス ホフルクトキナーゼ、グルコース-6-リン酸イソメラーゼなど)、アルコールデ ヒドロゲナーゼのプロモーター、メタロチオネインプロモーター、マルトースプ ロモーター、およびガラクトースプロモーター、(真核生物)(3)実質的に全 ての真核性遺伝子は転写が開始される部位の約25〜30塩基上流に位置するAT-富 化領域を有しており、適当な真核性プロモーターとしては、例えば、ウイルスポ リオーマ、鶏痘、アデノウイルス、ウシ乳頭腫ウイルス、鳥肉腫ウイルス、サイ トメガロウイルス、レトロウイルス、SV40由来のプロモーター、ならびにアスペ ルギルス(Aspergillus)由来のグルコアミラーゼプロモーター、哺乳類由来のア クチンプロモーターまたは免疫グロブリンプロモーターおよび天然コラーゲンプ ロモーターなどの標的の真核生物由来のプロモーターが挙げられる。例えば、de Boerら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:21-25(1983),Hitzemanら,J.Biol. Chem.255:2073(1980),Fiersら,Nature 273:113(1978),MulliganおよびBerg ,Science 209:1422-1427(1980),Pavlakisら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78 :7398-7402(1981),Greenwayら,Gene 18:355-360(1982),Grayら,Nature 295: 503-508(1982),Reyesら,Nature 297:598-601(1982),CanaaniおよびBerg,Proc .Natl.Acad.Sci.USA 79:5166-5170(1982),Gormanら,Proc.Natl.Acad.S ci.USA 79:6777-6781(1982),Nunbergら,Mol.and Cell.Biol.11(4):2306-2 315(1984)を参照されたい。 プロモーターからのコラーゲンコードDNAの転写は、しばしばそのベクター 内にエンハンサー配列を挿入することによって増大される。エンハンサーは、通 常、約10〜300bpのcis-作用性エレメントであり、プロモーターで転写開始速度 を増大させるように作用する。真核生物および原核生物の両方に対して多数のエ ンハンサーが知られており、当業者は興味の対象である宿主細胞に適当なエンハ ンサーを選択することができるであろう。真核性エンハンサーについてはYaniv ,Nature 297:17-18(1982)を参照されたい。 さらに、挿入された配列の発現をモジュレートし、または所望の特定の様式で 遺伝子産物を修飾およびプロセッシングする宿主細胞株を選択してもよい。その ようなタンパク質産物の修飾(例えばグリコシル化)およびプロセッシング(例 えば切断)は、そのタンパク質の機能にとって重要であり得る。異なる宿主細胞 は、タンパク質の翻訳後プロセッシングおよび修飾のための特徴的で特異的な機 構を有している。発現した外来タンパク質の正確な修飾およびプロセッシングを 確保するために、適切な細胞株または宿主系を選択することができる。この目的 のために、一次転写産物の適当なプロセッシング、グリコシル化、および遺伝子 産物のリン酸化についての細胞機構を有する真核宿主細胞が用いられ得る。その ような哺乳動物宿主細胞としては、限定するものではないが、CHO、VERO 、BHK、HeLa、COS、MDCK、293、WI38等が挙げられる。さ らに、コラーゲン分子の正確なプロセッシングを確保するために、宿主細胞は、 種々の酵素を発現するように操作され得る。例えば、プロリル−4−ヒドロキシ ラーゼの遺伝子が、宿主細胞においてコラーゲン遺伝子とともに共発現され得る 。 組換えタンパク質を長期にわたって高収量で産生させるには、安定な発現が好 ましい。例えば、本発明のコラーゲンを安定に発現する細胞株が操作され得る。 ウイルスの複製起点を含む発現ベクターを用いるよりもむしろ、適切な発現調節 エレメント(例えばプロモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネーター、 ポリアデニル化部位など)および選択マーカーによって調節されるコラーゲンを コードするDNAを用いて宿主細胞を形質転換することができる。外来DNAの 導入後、操作された細胞を富化培地中で1〜2日間増殖させて、次いで選択培地 に切り替える。組換えプラスミド中の選択マーカーは、選択に対する抵抗性を付 与するものであり、細胞におけるその染色体へのプラスミドの安定な組み込みを 可能にし、増殖して、その後細胞系にクローニングされ、拡大され得るフォーカ スを形成する。この方法は、所望のコラーゲンを発現する細胞株の操作に都合よ く用いられ得る。 E.感染、形質転換およびトランスフェクション 上記の発現ベクターを用いて宿主細胞をトランスフェクト、または好ましくは 感染もしくは形質転換し、コラーゲンをコードするベクターを含む形質導入体ま たは形質転換体の選択に適した栄養培地中で培養する。 コード配列を含み、生物学的に活性な遺伝子産物を発現する宿主細胞は、少な くとも4つの一般的なアプローチ:(a)DNA−DNAまたはDNA−RNA ハイブリダイゼーション;(b)「マーカー」遺伝子機能の有無:(c)宿主細 胞におけるコラーゲンmRNA転写物の発現によって測定される転写のレベルの 評価;および(d)イムノアッセイまたはその生物学的活性によって測定される 遺伝子産物の検出、によって同定され得る。 第1のアプローチにおいては、発現ベクターに挿入されたコラーゲンコード配 列の存在を、コラーゲンコード配列、またはその一部若しくは誘導体に相同のヌ クレオチド配列を含むプローブを用いて、DNA−DNAまたはDNA−RNA ハイブリダイゼーションによって検出することができる。 第2のアプローチにおいては、組換え発現ベクター/宿主系を、ある「マーカ ー」遺伝子機能(例えば、チミジンキナーゼ活性、抗生物質に対する耐性、メト トレキセートに対する耐性、形質転換表現型、バキュロウイルスにおける閉塞体 形成(occlusion body formation)など)の有無に基づいて同定し、選択すること ができる。例えば、コラーゲンコード配列がそのベクターのマーカー遺伝子配列 内に挿入されている場合、コラーゲンコード配列を含有する組換え細胞は、その マーカー遺伝子機能が無いことによって同定することができる。あるいは、マー カー遺伝子は、コラーゲンコード配列の発現を制御するために用いられる同一ま たは異なるプロモーターの制御下でコラーゲン配列とタンデムに置くことができ る。誘導または選択に応答するマーカーの発現は、コラーゲンコード配列の発現 を示すものである。 第3のアプローチにおいては、コラーゲンコード領域の転写活性をハイブリダ イゼーションアッセイによって評価することができる。例えば、RNAを単離し てコラーゲンコード配列またはその特定の部分に相同のプローブを用いてノザン ブロットによって分析することができる。あるいは、宿主細胞の全核酸を抽出し てかかるプローブへのハイブリダイゼーションをアッセイしてもよい。 第4のアプローチにおいては、例えば、ウェスタンブロット、放射性免疫沈降 、酵素結合イムノアッセイなどのイムノアッセイなどによってコラーゲンタンパ ク質産物の発現を免疫学的に評価することができる。 F.コラーゲンの精製 発現した本発明のコラーゲンは、好ましくは培養培地に分泌されるが、例えば クロマトグラフィーによって均一に精製される。1つの実施態様においては、組 換えコラーゲンタンパク質は、サイズ排除クロマトグラフィーによって精製され る。しかしながら、イオン交換クロマトグラフィーおよび逆相クロマトグラフィ ーを含む当該分野で公知のその他の精製技術も用いることができる。例えば、Ma niatisら,Molecular Cloning A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Labo ratory,N.Y.(1989),Ausubelら,Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associates and Wiley Interscience,N.Y.(1989),およびS copes,Protein Purification:Principles and Practice,Springer-Verlag New York,Inc.,NY(1994)を参照されたい。 本発明をさらに下記の実施例によって説明するが、それらの実施例はいかなる 点においても本発明を限定するものではない。 VI.実施例 A.実施例1:ヒトII型プロコラーゲンの合成 本発明において使用された組換えCOL1A1遺伝子作製体は、COL2A1 遺伝子のエキソン3〜54に融合した、プロモーター、エキソン1およびイント ロン1を有するCOL1A1の5’末端の断片からなっていた。このハイブリッ ド作製体を、HT−1080細胞中にトランスフェクションした。これらの細胞 は、ネオマイシン耐性遺伝子で同時トランスフェクションして、ネオマイシン類 似体のG418の存在下で培養した。このハイブリッド作製体を使用してトラン スフェクション細胞を作製した。 ヒトII型プロコラーゲンのmRNAを合成する一連のクローンを得た。合成さ れたタンパク質を分析するために、細胞を[14C]プロリンと共にインキュベー トして、培地タンパク質をオートラジオグラフィー(蓄積リン光フィルム分析器 (storage phosphor film analyzer))により分析できるようにした。 図1に示されるように、レーン1は、未精製培地タンパク質が3つの主要なポ リペプチド鎖からなることを示している。具体的には、培地タンパク質は、pr oal(II)鎖からなる目的のII型プロコラーゲンを、細胞により通常合成され るIV型コラーゲンのproα1(IV)およびプロα2(IV)鎖と共に含有してい た。上の2つは、作製体によりトランスフェクションされなかった細胞により合 成されたIV型コラーゲンのproal(IV)およびproα2(IV)鎖である。 第3のバンドは、作製体から合成されたヒトII型プロコラーゲンのproal( II)鎖である。レーン2および3は、培地をイオン交換カラムでクロマトグラフ ィー後の同じ培地タンパク質である。レーン2および3に示されるように、II型 プロコラーゲンは、単一工程のイオン交換クロマトグラフィーにより容易に精製 された。 培地中に分泌されたII型プロコラーゲンは、プロテアーゼ−熱安定性試験によ り正しく折り畳まれた。図2に示されるように、培地タンパク質は、正しく折り 畳まれた三重らせんプロコラーゲンまたはコラーゲンは消化に抵抗するが、折り 畳まれていないかまたは不適当に折り畳まれたプロコラーゲンまたはコラーゲン は小断片に消化される条件下で、高濃度のトリプシンとキモトリプシンによリ 表示温度で消化された。次に消化の生成物を、SDS中のポリアクリルアミドゲ ル電気泳動および蛍光間接撮影法により分析した。結果は、II型プロコラーゲン が、43℃(II型プロコラーゲンがほどける通常温度である)まで消化に抵抗し たことを示している。したがって、II型プロコラーゲンは、正しく折り畳まれて おり、コラーゲン線維を作製するために使用することができる。 B.実施例2:ヒトI型プロコラーゲンの合成 第2の実施例として、HT−1080細胞をCOL1A1遺伝子とCOL1A 2遺伝子により同時トランスフェクションした。両方の遺伝子は、完全長cDN Aに結合したサイトメガロウイルスプロモーターからなっていた。COL1A2 遺伝子作製体は、ネオマイシン耐性遺伝子を含有したが、COL1A1遺伝子作 製体は含有していなかった。細胞は、ネオマイシン類似体のG418の存在下で の増殖により、COL1A2−ネオマイシン耐性遺伝子作製体の発現に関して選 択した。次に培地を、ヒトproa1(I)鎖に特異的なポリクローナル抗体に よりCOL1A1の発現について試験した。 さらに詳しくは、COL1A2は、活性なネオマイシン耐性遺伝子に結合した が、COL1A1は結合しなかった。細胞を、ネオマイシン類似体のG4181 を用いて、COL1A2−ネオマイシン耐性遺伝子作製体の発現についてスクリ −ニングした。培地は、ヒトproa1(I)鎖に特異的なポリクローナル抗体 を用いるウェスタンブロッティングによりCOL1A1の発現について分析した 。図3に示されるように、レーン1は、培地タンパク質が、proα(I)鎖( α1(I)とα2(I))を含有していたことを示している。レーン2は、pr oα(I)およびproα2(I)鎖および部分的に処理されたpCa1(I) 鎖を含有するI型プロコラーゲンの真正の標準品である。結果は、この細胞が、 恐らく2つのproα(I)鎖と1つのproα2(I)鎖との通常のヘテロト リマーの形態で、proα(I)鎖を含有するヒト型プロコラーゲンを合成した ことを証明している。 これらの結果は、この細胞が、恐らく2つのproα1(I)鎖と1つのpr oα2(I)鎖の通常のヘテロトリマー構造よりなる、ヒトI型プロコラーゲン を合成したことを証明した。 表Iは、ヒトプロコラーゲン遺伝子を含有するいくつかのDNA作製体の一覧 を示す。作製体は、遺伝子の別々の断片または遺伝子からのcDNAを、適切な プロモーター断片と一緒にして構築した。C.実施例3:細胞トランスフェクション 細胞トランスフェクション実験のために、遺伝子作製体を含有するコスミドプ ラスミドクローンを、制限エンドヌクレアーゼで切断してベクターから作製体を 放出させた。ネオマイシン耐性遺伝子を含むプラスミドベクター(Law et al.,Mol .Cell Biol.3:2110-2115(1983))を、BamHIで切断して線状にした。 2つの試料は、約10:1の遺伝子作製体対ネオマイシン耐性遺伝子を混合し、 次に混合物を、リン酸カルシウム共沈法(Sambrook et al.,Molecular Cloning .A Laboratory Manual ,コールドスプリングハーバーラボラトリープレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、第2版(1989))によりHT−1080細 胞の同時トランスフェクションに使用した。リン酸カルシウム溶液中のDNAを 、100mlプレートのコンフルエンス前の細胞当たり10μgのキメラ細胞作製 体なしに培養細胞上に積層した。細胞は、10%ウシ新生児血清を含有するDM EM中で10時間インキュベートした。試料は、15%グリセロール溶液を加え ることにより3分間グリセロールショックに付した。次に細胞を、ウシ新生児血 清を含有するDMEM培地に移して24時間、次に450μg/mlのG418を含 有する同じ培地に移した。G418を含有する培地中でのインキュベーションを 、3日毎に培地を交換しながら約4週間続けた。G418耐性細胞はプールした が、またはプラスチックのシリンダーで細胞増殖巣を単離することにより得られ る別々のクローンのいずれかであり、継代した。 D.実施例4:ウェスタンブロッティング COL2A1遺伝子発現の測定のために、II型コラーゲンのCOOH末端テロ ペプチドに見い出されるアミノ酸配列を有する23残基の合成ペプチドを使用し て、ポリクローナル抗体をウサギで調製した。一般的には、Cheah et al.,Proc .Natl .Acad.Sci.USA 82:2555-2559(1985)を参照。この抗体は、ウェスタンブ ロット分析によりヒトI型プロコラーゲンまたはコラーゲン、ヒトII型プロコラ ーゲンまたはコラーゲン、またはマウスI型プロコラーゲンのproα鎖とは反 応しなかった。COL1A1遺伝子発現の測定のために、proα(I)鎖のC OOH末端ポリペプチドと反応したポリクローナル抗体を使用した。一般的 には、Olsen et al.,J .Biol.Chem. 266:1117-1121(1991)を参照。 プールしたクローンまたは個別クローンからの培地を取り出し、30%の飽和 度まで固体硫酸アンモニウムを添加して別々に沈殿させ、沈殿物を14,000 ×gで遠心分離して回収し、次に0.15M NaCl、0.5mM EDTA、 0.5mM N−エチルマレイミド、0.1mM p−アミノベンズアミジン、およ び50mMトリス−HCl(4℃でpH7.4)を含有する緩衝液に対して透析し た。試料のアリコートを1%SDS、50mM DTTおよび10%(v/v)グ リセロール中で5分間10℃に加熱し、125Vでミニーゲル装置(ホルフォー ド(Holford)SE250、ホルフォード・サイエンティフィック(Holford Scien tific))を使用して6%ポリアクリルアミドゲルで90分間電気泳動して分離 した。分離タンパク質をポリアクリルアミドゲルから40Vで90分間、支持さ れたニトロセルロース膜上に電気ブロッティングした(シュレイチャーとシュエ ル(Schleicher and Schuell))。転写したタンパク質を1:500(v/v)希 釈で30分間ポリクローナル抗体と反応させた。抗体と反応するタンパク質は、 アルカリホスファターゼ(プロメガ・バイオテク(Promega Biotech))に結合 した二次抗ウサギIgG抗体で30分間検出した。アルカリホスファターゼは、 製造業者の指示どおりにNBT/BCIP(プロメガ・バイオテク(Promega Bi otech))で視覚化した。 E.実施例5:組換えコラーゲンのインビトロ分析。 1.組換えコラーゲンの構築:プロテアーゼ消化。 トランスフェクション細胞により合成され培地に分泌されたプロコラーゲンが 正しく折り畳まれたことを証明するために、正しく折り畳まれたプロコラーゲン とコラーゲンのみが消化に抵抗する条件下で、培地タンパク質を高濃度のプロテ アーゼで消化した。トリプシンとキモトリプシンの組合せで消化するために、2 5cmフラスコからの細胞層を削り取って、10mM EDTAおよび0.1%ノニ デット(Nonidet)P−40(シグマ(Sigma))を含有する0.5mlの改変クレ ブス(Krebs)II培地中に入れた。ボルテックスミキサーで1分間細胞を激しく 撹拌し、直ちに4℃に冷却した。上清を新しいチューブに移した。試料を表示温 度で10分間プレインキュベートして、同じ温度で2分間消化を行った。消化の ために、1mg/mlトリプシンおよび2.5mg/mlα−キモトリプシン(ベーリンガ ー・マンハイム(Boehringer Mannheim))を含有する0.1容量の改変クレブ ス(Krebs)II培地を加えた。消化は、0.1容量の5mg/mlダイズトリプシンイ ンヒビター(シグマ(Sigma))を加えることにより停止した。消化産物の分析 のために、試料を2分間沸騰水に急速に浸漬して、同時に0.625Mトリス− HCl緩衝液(pH6.8)中の10%SDS、50%グリセロール、および0 .012%ブロモフェノールブルーからなる0.2容量の5×電気泳動試料緩衝 液を加えた。試料は、2% 2−メルカプトエタノールの添加後沸騰水中で3分 間インキュベートすることにより前もって還元してSDSゲルに適用した。電気 泳動は、Wet et al.,J .Biol.Chem. 258:7721-7728(1983)により記載された軽 い改変を加えたLaemli,Nature 227:680-685(1979)の不連続システムを使用して 実施した。 2.Sf9細胞の二重免疫染色。 Sf9細胞をガラススライド上で増殖させ、100%エタノールで−20℃で 固定した。あるいは、単層の細胞を分離し、0.15M NaClと0.02M リン酸(pH7.4)(洗浄液)の溶液で2回洗浄し、冷エタノールに懸濁し、 シラン化(Maples,J.A.,(1985),Am .J.Clin.Pathol. 83:356-363)ガラス スライドに塗布した。細胞は、0.15M NaClおよび0.02Mリン酸( pH7.4)中の1%ウシ血清アルブミンと共に15分間インキュベートし、次 に上記ウシ血清アルブミン含有溶液中の、βサブユニットに対するマウスモノク ローナル抗体(5B5、ダコ(Dako))とヒトプロリル4−ヒドロキシラーゼの αサブユニットに対するウサギポリクローナル抗体の1:50希釈液中で30分 間インキュベートした。細胞を、20分間洗浄液で4回洗浄して、ウシ血清アル ブミン含有溶液中のヒツジ抗マウスIg−ローダミンF(ab)2断片(ベーリ ンガー・マンハイム(Boehringer Mannheim))とヒツジ抗ウサギIgGフルオ レセインF(ab)2断片(ベーリンガー・マンハイム(Boehringer Mannheim ))の1:10希釈液中で30分間インキュベートして、洗浄液で洗浄し、蒸留 水で濯ぎ、グリセルゲル(Glycergel)(ダコ(Dako))を使用してマウントし た。試料は、ep−反射鏡、およびイソチオシアン酸フルオレセインとイソチ オシアン酸テトラメチルローダミンBの蛍光用のフィルターを取り付けたライツ ・アリストプラン(Leitz Aristoplan)顕微鏡を使用して撮影した。 多重バキュロウイルス感染の効率を試験するために、昆虫細胞の免疫組織化学 染色法を使用した。Sf9細胞は、プロリル4−ヒドロキシラーゼの(および( サブユニットをコードする2つの組換えウイルスで同時感染させ、これら2つの サブユニットに対する抗体で免疫染色した(図3)。感染の48時間後に分析を 実施するとき、全細胞の87%が2つの型のサブユニットの少なくとも1つを発 現し、1つの型のサブユニットを発現する細胞の90%はまたもう一方の型も発 現することが見い出された。 3.プロリル4−ヒドロキシラーゼ活性測定法。 細胞ホモジエネートの0.2%トリトンX−100抽出物を、2−オキソ[1 −14C]グルタル酸の水酸化共役脱カルボキシル化に基づく測定法により、プ ロリル4−ヒドロキシラーゼ活性について分析した(Kivirikko et al.,Method s Enzymol. 82:245-304(1982))。以前報告された(Veijola et al.,J .Biol. Chem. 269:26746-26753(1994))ように、有意なレベルのプロリル4−ヒドロキ シラーゼ活性がSf9およびハイファイブ(High Five)細胞の両方で見い出さ れ、ハイファイブ細胞中の活性は、Sf9細胞中の活性よりも明らかに高かった (表I)。proa1(III)鎖をコードするウイルスによる細胞の感染は、こ の活性に小さな影響を及ぼすだけであったが、ヒトプロリル4−ヒドロキシラー ゼの2つの型のサブユニットをコードするウイルスと一緒に、proa1(III )鎖をコードするウイルスで感染した細胞の活性は顕著に高かった(表I)。 4.コラーゲンの測定法。 精製III型コラーゲンの量は、シルコール(Sircol)コラーゲン測定法(バイ オカラー(Biocolor))により測定した。精製III型コラーゲンのアミノ酸分析 は、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)421アミノ酸分析 機で実施した。 F.実施例6:特異的に作成したプロコラーゲンおよびコラーゲン 図4に示すように、いくつかのゲノムDNAおよびヒトI型プロコラーゲンの proa1(I)鎖のいくつかのcDNAからなるハイブリッド遺伝子を出発物 質とした。ハイブリッド遺伝子のDNA配列を分析し、反復D−ピリオド間の結 合部を形成するアミノ酸のコドンを、コードされるアミノ酸を変化させないが制 限エンドヌクレアーゼによるハイブリッド遺伝子の切断のためのユニークな部位 を作成する方法で、改変した。 1.組換えプロコラーゲンまたはコラーゲン proα1(I)のD3−ピリオドはSrfIおよびNaeI制限ヌクレアー ゼを使用して切り出す。D3ピリオドに存在するコラゲナーゼ認識部位に見い出 されるアミノ酸をコードする塩基は、異なるアミノ酸配列をコードするように改 変する。このカセットを増幅し、遺伝子に再挿入する。適切な宿主細胞中で遺伝 子を発現させると、コラゲナーゼにより切断することができないI型コラゲナー ゼが得られる。 2.プロコラーゲンまたはコラーゲンの欠失突然変異体 (proα1(I)鎖の)D2ピリオドカセットを、Sma1で消化して前記 の遺伝子から切り出す。この遺伝子を再構築して、D−2ピリオドのコドンの特 異的な5つのフレーム内欠失を有する遺伝子を得る。 3.プロコラーゲンまたはコラーゲンの付加突然変異体 1つまたはそれ以上のD−カセットの多重コピーは、作成された部位に挿入し て、プロコラーゲンまたはコラーゲンの所望領域の多重コピーを得ることができ る。 G.実施例7:組換えDNA系におけるヒトプロリル4−ヒドロキシラーゼの発 現 昆虫細胞中でプロリル4−ヒドロキシラーゼの2つの遺伝子を発現させるため に、下記の操作を実施した。SmaI部位にヒトプロリル4−ヒドロキシラーゼ のαサブユニットの完全長cDNAのPα−58(Helaakoski et al.,Proc .N atl.Acad.Sci.USA 86,4392-4396(1989))を含有するpBluescrip t(ストラタジーン(Stratagene))を、PstIおよびBamHI(SmaI 部位に密接に隣接する切断部位)で消化することにより、バキュロウイルス転移 ベクターpV1α58を作成した。61塩基対の5’非翻訳配列、全コード領域 、および551塩基対の3’非翻訳配列を含有する、生じたPstI−PstI お よびPst−BamHI断片を、バキュロウイルス転移ベクターpVL1392 (Luckow et al.,Virology 170:31-39(1989))のPstI−BamHI部位に クローン化した。バキュロウイルス転移ベクターpVLα59は、pVL139 2と、ヒトプロリル4−ヒドロキシラーゼのαサブユニットをコードする別のc DNAクローンのPα−59(Helaakoskiら、上記文献)から同様に作成した。 cDNAクローンのPα−58とPα−59は、64塩基対のストレッチだけ異 なる。 pVLβベクターは、44塩基対の5’非翻訳配列、全コード領域、および2 07塩基対の3’非翻訳配列を含有するヒトプロリル4−ヒドロキシラーゼのβ サブユニットの完全長cDNAのEcoRI−BamHI断片のS−138(Pi hlajaniemi et al.,EMBO J. 6:643-649(1987))の、EcoRI/BamHI消 化pVL1392へ連結して作成した。組換えバキュロウイルス転移ベクターは 、野生型オートグラフア・カリフォルニカ(Autographa californica)の核多角 体病ウイルス(AcNPV)DNAと共にリン酸カルシウムトランスフェクショ ン法により、Sf9細胞(Summaers et al.,Tex .Agric.Exp.St.Bull. 1555 :1-56(1987))中に同時トランスフェクションした。トランスフェクション細胞 の上清中の生じたウイルスプールを4日後に回収し、プラーク測定法に使用した 。組換え閉塞(occlusion)−陰性プラークは、3ラウンドのプラーク精製に付 して、混入する野生型ウイルスを全く含まない組換えウイルスを作製した。スク リーニング方法および組換えウイルスの単離は、本質的にSummersとSmith、上記 文献の方法にしたがった。pVLα58、pVLα59、およびpVLβからの 生じた組換えウイルスは、それぞれα58ウイルス、α59ウイルスおよびβウ イルスと命名した。 Sf9細胞は、27℃で10%胎児牛血清を補足したTNM−FH培地(シグ マ(Sigma))で、スピナーフラスコ(テクネ(Techne))中で単層としてまた は懸濁液中のいずれかで培養した。組換えタンパク質を作製するために、Sf9 細胞は、1ml当たり106細胞の密度で接種して、α58、α59、またはβウ イルスを単独で使用するときには5〜10の感染多重度で組換えウイルスを注入 した。αおよびβウイルスを1:10〜10:1の比で感染のために使用して、 プロリル4−ヒドロキシラーゼテトラマーを作製した。感染の72時間後に細胞 を回収し、0.01Mトリス(pH7.8)/0.1M NaCl/0.1Mグ リシン/10μMジチオスレイトール/0.1%トリトンX−100中でホモジ ェナイズして、遠心分離した。生じた上清は、SDS/10%PAGEまたは未 変性7.5%PAGEにより分析して、酵素活性に関して測定した。細胞ペレッ トをさらに1%SDSに可溶化し、SDS/10%PAGEにより分析した。感 染の24〜96時間後の細胞培地をSDS/10%PAGEにより分析して、生 じたタンパク質の培地中への分泌を同定した。これらの実験における細胞は、血 清を含まないTNM−FH培地で増殖させた。 タンパク質発現の経時変化を検討するときに、組換えウイルスで感染したSf 9細胞は、感染の24〜50時間後の間の種々の時点で[35S]メチオニン(1 0μCi/μl;アマーシャム(Amersham);1Ci=37CBq)で2時間標識して、 SDS/10%PAGEによる分析のために回収した。組換えタンパク質の最大 蓄積量を測定するために、細胞を感染の24〜96時間後の種々の時点で回収し て、SDS/10%PAGEにより分析した。細胞の0.1%トリトンX−10 0−および1%SDS−可溶性画分の両方を分析した。プロリル4−ヒドロキシ ラーゼ活性は、2−オキソ[1−14C]グルタル酸の脱カルボキシル化に基づ く方法(Kivirikko et al.,Methods in Enzymology 82:245-304(1982))により 測定した。Km値は、固定濃度の第2の基質の存在下で1つの基質の濃度を変化 させることにより測定したが、他の基質の濃度は一定に保持した(Myllyla et a l.,Eur .J.Biochem. 80:349-357(1977))。βサブユニットのタンパク質ジス ルフィドーイソメラーゼ活性は、グルタチオン;インスリントランスヒドロゲナ ーゼ測定法(Carmichael et al.,J .Biol.Chem. 252:7163-7167(1977))によ り測定した。ウェスタンブロット分析は、ヒトプロリル4−ヒドロキシラーゼの βサブユニットに対するモノクローナル抗体の5B5を使用して実施した(Hoyh tya et al.,Eur .J.Biochem. 141:477-482(1984))。プロリル4−ヒドロキシ ラーゼは、ポリ(L−プロリン)親和性クロマトグラフィー、DEAE−セルロ ースクロマトグラフィー、およびゲル濾過からなる方法により精製した(Kivirik ko et al.,Methods in Enzymology 144:96-114(1987))。 図5は、親和性カラムクロマトグラフィーによるタンパク質の精製後の昆虫細 胞により合成されたプロリル4−ヒドロキシラーゼの分析を示す。非変性ゲル中 のポリアクリルアミドゲル電気泳動により試験すると、組換え酵素は、ニワトリ 胚から精製した正常酵素のテトラマーおよび活性型と同時に泳動した。精製した 組換え酵素を還元後、(−および(−サブユニットを検出した。図5に示すよう に、レーン1〜3は、非変性条件下で分離されたタンパク質であり、2種のサブ ユニットのテトラマーを示している。レーン4〜6は、2つのサブユニットが別 々のバンドとして現れるような変性条件下で分離した同じ試料である。 表IIでは、組換え酵素の酵素活性に関するデータを示した。Km値は、固定濃 度の第2の基質の存在下で1つの基質の濃度を変化させることにより測定したが 、他の基質の濃度は一定に保持した。 示されるように、組換え酵素のミカエリス−メンテン(Km)値は、ニワトリ 胚からの真正の正常酵素と基本的に同じであった。 トランスフェクションした昆虫細胞は大量の活性プロリル4−ヒドロキシラー ゼを合成するため、これらは、プロコラーゲンおよびコラーゲンをコードする本 発明の遺伝子でトランスフェクションして大量のプロコラーゲンおよびコラーゲ ンを合成するのに適切な細胞である。本発明の遺伝子による細胞のトランスフェ クションは、実施例3に記載したように実施される。 H.実施例8:プロリル4−ヒドロキシラーゼの組換え遺伝子を発現するサッカ ロミセス・セレビッシェ(Saccharomyces cerevisiae)酵母における組換えコラ ーゲン遺伝子の発現 酵母のサッカロミセス・セレビッシェ(Saccharomyces cerevosiae)は、任意 の多数の発現ベクターとともに使用することができる。最も一般的に使用される 発現ベクターの1つは、酵母と大腸菌(E.coli)の両方での増殖のための配列 、外来遺伝子の効率的な伝染のための酵母のプロモーターおよびターミネーター を含有するマルチ−コピー2μプラスミドである。2μプラスミドに基づくこの ようなベクターの典型的な例は、2μ ORI−STBエレメント、GALIプ ロモーター、および2μ D遺伝子ターミネーターを有するpWYG4である。 このベクターではNcoIクローニング部位を使用してプロリル4−ヒドロキシ ラーゼの(または(サブユニットのいずれかの遺伝子を挿入し、αまたはβサブ ユニットのいずれかのATG開始コドンを与える。別の例として、この発現ベク ターは、完全な2μ ORI、STB、REP1およびREP2、GAL7プロ モーターを含み、そしてFLPターミネーターを使用するpWYG7Lであって もよい。このベクターでは、プロリル4−ヒドロキシラーゼの(または(サブユ ニットのいずれかの遺伝子を、その5’末端を含むポリリンカー中にBamHI またはNcoI部位で挿入する。DNAを取り込むスフェロプラストを作成する ために細胞壁の除去後、カルシウムおよびPEGで処理後、または完全な細胞を リチウムイオンで処理後、サッカロミセス・セレビッシェ(S.cerevisiae)中 に、プロリル4−ヒドロキシラーゼ遺伝子を含有するベクターを形質転換する。 あるいは、DNAは電気穿孔法により導入することができる。形質転換体は、L EU2、TRO1、URA3、HIS3またはLEU2−Dのような選択マーカ ー遺伝子と共に、ロイシン、トリプトファン、ウラシルまたはヒスチジンについ て栄養要求性である宿主酵母細胞を使用することにより選択することができる。 ガラクトースプロモーターにより推進されるプロリル4−ヒドロキシラーゼ遺伝 子の発現は、ガラクトースの添加により非常に急速な誘導が起きるように非抑制 性、非誘導性糖で培養物を増殖させる;グルコース培地で培養物を増殖させ、次 に遠心分離によるグルコースの除去、および細胞の洗浄と次のラクトース培地へ の再懸濁により;およびガラクトース−誘導が起こる前にグルコースが選択的に 代謝されるようにグルコースとガラクトースの両方を含有する培地で増殖させて 、誘導することができる。形質転換細胞を上述のようにさらに操作して、プロリ ル4 −ヒドロキシラーゼの両方のサブユニットの遺伝子および目的のコラーゲンまた はプロコラーゲン遺伝子を細胞中に組み込んで、コラーゲンとプロコラーゲンを 発現させ、これはプロリル4−ヒドロキシラーゼにより適切に水酸化されて、安 定な3重らせんコンホメーションに折り畳まれ、したがって正常な生物学的機能 と関連する必須の折りたたみが起きる。 I.実施例9:プロリル4−ヒドロキシラーゼの組換え遺伝子を発現するピヒア ・パストリス(Pichia pastoris)酵母における組換えコラーゲン遺伝子の発現 プロリル4−ヒドロキシラーゼおよびプロコラーゲンまたはコラーゲンの遺伝 子の発現はまた、大規模化法で高収量の組換えタンパク質を産生するのに特に有 利であると思われるピヒア・パストリス(Pichia pastoris)のような非サッカ ロミセス(Saccharomyces)酵母でも行うことができる。メチロトロフ(methylo troph)なピヒア・パストリス(P.pastoris)における典型的な発現は、アルコ ールオキシダーゼをコードする厳重に制御されたAOX1遺伝子からのプロモー ターにより得られ、培養物へのメタノールの添加後誘導されてプロモーターによ り推進される高レベルの組換えタンパク質を与えることができる。ピヒア・パス トリス(P.pastoris)は未変性のプラスミドを持たないため、この酵母は染色 体の組み込みのために設計された発現ベクターと共に使用され、HIS4のよう な遺伝子が選択のために使用される。同じ細胞のその後の操作により、本明細書 に記載されるプロコラーゲンおよびコラーゲンの遺伝子の発現は、組換えタンパ ク質がプロリル4−ヒドロキシラーゼにより適切に水酸化され、したがって線維 の形成におけるタンパク質の正常な生物学的機能に必要な安定ならせんに折り畳 まれる条件下で達成される。 以下のベクターは、本明細書の開示により作成した: 1.それ自体のシグナル配列のないヒトコラーゲンIII型。 コラーゲンDNAの3’末端は、pBluescript−SM38を使用す るPCR(Ala-Kokko et al.,1989,Biochem J.260:509-516;受け入れ番号X 144207を参照)により、翻訳開始コドンの4195塩基対下流(EcoR I部位)から翻訳の終止コドン(4401塩基対)まで合成した。NotIお よびXbaI部位を断片の3’末端に作製した。pBluescript−SM 38は、EcoRI−XbaIで消化して、大きな断片(約7.2kb)を単離し た。この大きなEcoRI−XbaI断片(約7.2kb)と3’ コラーゲンP CR EcoRI−XbaI断片をT4リガーゼで連結して、プラスミドpBl uescript−SM38Bを得た。 コラーゲンDNAの5’末端は、PCR(配列については、Ala-Kokko et al. ,1989,Biochem J.260:509-516を参照)により翻訳開始コドンの73塩基対 下流から176塩基対(BamHI部位)まで合成した。ClaIおよびNot I部位を断片の5’末端に作製した。pBluescript−SM38/Bは 、ClaIとBamHIにより消化して、大きな断片(約6.3kb)および86 2塩基対のBamHI−BamHIコラーゲン断片を単離した。5’PCRコラ ーゲン断片BamHI−ClaI、大きな断片BamHI−ClaI(約6.3 kb)および862塩基対BamHI−BamHI断片をT4リガーゼで連結(三 重連結)して、プラスミドpBluescript−SM38/11を得た。 pBluescript−SM38 11を、NotIにより消化した。次に NotI−NotIコラーゲン断片(73塩基対−4401塩基対)は、α−因 子シグナル配列のフレーム内に、pPIC9(インビトロゲン(Invitrogen)) 中にクローン化して、プラスミドpPIC9ColIII(クローン7)を得た。 2.それ自体のシグナル配列を有するヒトコラーゲンIII型 コラーゲンの3’末端は、pBluescript−SM38を使用するPC Rにより、翻訳開始コドンの4195塩基対下流(EcoRI部位)から翻訳の 終止コドンまで合成した。XbaI部位を断片の3’末端に作製した。得られる pBluescript−C3A1プラスミドを、EcoRIとXbaIで消化 して、大きな断片(約7.2kb)を単離し、この大きな断片(約7.2kb)と3 ’ PCRコラーゲン断片をT4で連結してプラスミドpBluescript −C3A1/10を得た。BglII部位を翻訳開始コドンの16塩基対上流に作 製した(Lambergら、1996)。次にpBluescript−C3A1/10の BglII−XbaIコラーゲン断片(−16塩基対〜4401塩基対)を、pH IL−D2(インビトロゲン(Invitrogen))のEcoRI部位中に連結してプ ラスミドpHIL−D2/colIIIを得た。 3.ヒトプロリル4−ヒドロキシラーゼ サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)のARG4遺伝子 を含有するベクターpYM25は、HpaIにより消化した。ARG4遺伝子の HpaI断片は、pAO815(インビトロゲン(Invitrogen))のEcoRV 部位中に挿入してベクターpARG815を作製したが、これは、HIS4遺伝 子の代わりにARG4遺伝子を含有している。 プロリル4−ヒドロキシラーゼのβ−サブユニットcDNA(Vuori et al., 1992 PNAS.,89,7467-7470)は、PCRにより翻訳開始コドンから終止コドン まで合成した。EcoRI制限部位を5’および3’末端に作成した。C−末端 ER保持ペプチド配列−KDEL−は、PCRにより酵母ER保持シグナル−H DEL−(CAC GAT GAA CTG)に改変した。EcoRI−Eco RI 断片は、pBluescriptSK中に挿入して、プラスミドpBlu escriptSKβ/20を得た。次にこのEcoRI断片をPAO815( インビトロゲン(Invitrogen))のEcoRI部位中に挿入して単一発現カセッ トベクターを作成した。 α−サブユニットの5’末端は、PCRにより翻訳開始コドンから689塩基 対下流(HindIII部位)まで合成した。HindIIIおよびSmaI部位を断 片の5’末端に作成した。プラスミドpA−59(Vuoriらを参照)は、Hin dIIIにより消化して、大きな断片(約4.9kb)を単離した。この大きな断片 (約4.9kb)と5’PCR断片をT4リガーゼで連結して、プラスミドpA− 59/15を得た。 3’末端は、翻訳開始の1373塩基対下流(PstI部位)から翻訳終止コ ドンまで合成した。SmaIおよびBamHI部位を断片の3’末端に作成した 。プラスミドpA−59/15は、PstIとBamHIで消化し、大きな断片 (約3.9kb)を単離し、この大きな断片と3’PCR断片をT4リガーゼで連 結して、プラスミドpA−59/3を得た。プラスミドpA−59は、SmaI で消化し、SmaI−SmaI α−サブユニット断片(1塩基対−1605塩 基対)をpARG815のEcoRI部位中に連結した。 β単一カセットベクターは、BglII−BamHIにより消化して、発現カセ ットを切り出し、この発現カセットをpARG815α発現ベクターのBamH I部位の1つに再挿入した。その結果このベクターは、2つの発現カセット(1 つはα−サブユニット用で、1つはβ−サブユニット用)を含有する。 そのシグナル配列のないβ−サブユニットは、PCRにより翻訳開始コドンの 52塩基対下流から翻訳終止コドンまで合成した。EcoRI制限部位を5’お よび3’末端に作成した。このPCR断片は、pSP72(プロメガ(Promega ))のEcoRI部位中にクローン化した。 J.実施例10:プロリル4−ヒドロキシラーゼの組換え遺伝子を発現する昆虫 細胞における組換えコラーゲン遺伝子の発現 1.コラーゲン遺伝子を含有する組換えベクターの作製 pVLC1A1:このバキュロウイルス転移ベクターは、真核生物発現ベクタ ーCMV−COL1A1(Geddis et al.,Matrix 13:399-405(1993))とポリへ ドリンベースのバキュロウイルス転移ベクターpVL1392(Luckow et al. ,Virology 170:31-39(1989))を使用して作成した。CMV−COL1A1は、 ヒトプロコラーゲンIのα1鎖の完全長cDNA配列(COL1A1)をコード する配列を含有する。 XbaIによるCMV−COL1A1の消化により、6塩基対の5’非翻訳、 および222塩基対の3’非翻訳を含むCOL1A1の完全長cDNAを作成し 、そしてこの断片をpVL1392のXbaI部位中にクローン化してプラスミ ドpVLC1A1を得た。 pVLC1A2:このバキュロウイルス転移ベクターは、ベクターpUC−H P2010(Kuivaniem et al.,Biochem .J. 252:633-640(1988))とポリヘド リンベースのバキュロウイルス転移ベクターpVL1392(Luckow et al.,V irology 170:31-39(1989))を使用して作製した。pUC−HP2010は、p UC19のSphI部位にヒトプロコラーゲンIのα鎖の完全長cDNA配列( COL1A2)をコードする配列を含有する。 pUC−HP2010は、SphIで消化し、GTACオーバーハングをT4 DNAポリメラーゼで除去し、この平滑末端化断片をpSP72(プロメガ (Promega))のEcoRV部位中にクローン化する。BglII部位はPCRに より翻訳開始部位の6塩基対上流に作成して、プラスミドpSP72−C1A2 Tを得る。COL1A2の完全長cDNAは、pSP72−C1A2TをBgl II−BamHIで切断することにより作成する。pSP72−C1A2Tからの BglII−BamHI断片は、完全長COL1A2配列に加えて6塩基対の5’ 非翻訳、および278塩基対の3’非翻訳を有しており、この断片は、pVL1 392のBplII−BamHI部位中にクローン化してpVLC1A2を得る。 pVLC3A1:プラスミドpBS−SM38(Ala-Kokko et al.,Biochem. J. 260:509-516(1989)に記載の配列から得られる、ジーンバンク(GenBank)受 け入れ番号X14420)中にヒトIII型プロコラーゲンのproα1鎖の、9 2塩基対の5’非翻訳領域および715塩基対の3’非翻訳領域を含む完全長c DNAに、BglII部位をPCRにより翻訳開始コドンの16塩基対上流に作成 して、プラスミドpBS−C3A1を得た。pBS−C3A1は、BglIIおよ びXbaI制限酵素で消化して、16塩基対の5’非翻訳領域、および715塩 基対の3’非翻訳領域を含むヒトIII型プロコラーゲンのproα1鎖の完全長 cDNAを含有するBglII/XbaI断片を、次にpVL1392(Luckow e t al.,Virology 170:31-39)に連結してプラスミドpVLC3A1を得た。 pVLC3A1 5’UT/C2A1:バキュロウイルス転移ベクターは、Ba ldwin et al.,Biochem .J. 262:521-528(1989)に記載の配列を使用して作成し 、pGEMC2A1およびポリヘドリンベースのバキュロウイルス転移ベクター pVL1392(Luckow et al.,Virology 170:31-39(1989))を得た。pGE MC2A1は、I型コラーゲンからのエキソンIをコードする配列を含有し、II 型コラーゲンはエキソン2Bから開始する。 pGEMC2A1をXbaI−DraIで消化して、完全長cDNA融合配列 、および6塩基対の5’非翻訳領域および396塩基対の3’非翻訳領域を含む 断片を作成し、この断片をpVL1392のXbaI−SmaI部位中にクロー ン化して、プラスミドpVLC1A1/C2A1を得る。次にCOLIIベクター のBglII−XbaI部位中にオリゴヌクレオチドをクローン化することにより 、5’非翻訳領域をGATCTGATATTに変更した。 pVLC3AlNP/C2A1:pGEMC2A1を、XbaI−BamHI で消化し、完全長cDNA融合配列を、pBS(SK−)のXbaI−BamH I部位にクローン化してプラスミドpBSC1A1/C2A1を得る。pBSC 1A1/C2A1をBg1II−NarIで消化して、N−プロペプチドを含まな い完全長cDNAを作成し、III型コラーゲンからの16塩基対の5’非翻訳を 含むN−プロペプチドは、鋳型としてプラスミドpBS−C3A1を使用するP CRにより合成した。III型N−プロペプチドを合成するのに使用したオリゴヌ クレオチドは、以下の通りであった:5’オリゴ(5'-TACTCTAGACTCAGATCTGATAT T-3')および3’オリゴ(5'-GGGAGAATAGTTCTGAGGACCAGT-3')。II型コラーゲン からのテロペプチドの35塩基対断片は、オリゴヌクレオチドにより合成した( 化学合成)。以下のオリゴヌクレオチドを使用した:5'-CAGATGGCTGGAGGATTTGAT GAAAAGG CT GGTGG-3';および5'-CGCCACCAGCCTTTTCATCAAATCCTCCAGCCATCTG-3'。 これらの断片をBg1II−NarIで消化したpBSC1A1/C2A1中に連 結した。このハイブリッド完全長cDNAをBg1II−DraIで切り出して、 pVL1392のBglII−NotI(NotI部位はクレノウおよびdNTP でオーバーハングを充填することにより平滑末端化される)部位中にクローン化 して、プラスミドpVLC3A1NP/C2A1を得た。 pVLC4A1:R.Niecht K*lnにより作製したベクターα1CMVC(Braz el et al.,Eur .J.Biochem. 168:529-536(1987)、およびSoininen et al.,FE BS Lett.225:188-194(1987)に発表された配列に基づく)およびポリヘドリンベ ースのバキュロウイルス転移ベクターpVL1392(Luckow et al.,Virolog y 170:31-39(1989))を使用して、バキュロウイルス転移ベクターを作成した。 α1CMVCをClaIで消化して、18塩基対の5’非翻訳および203塩 基対の3’非翻訳を含む完全長cDNAを作成し、この断片を、クレノーポリメ ラーゼ(ファルマシア・バイオテク(Pharmacia Biotech))とdNTPの混合 物を使用して平滑末端化して、pVL1392のSmaI部位中にクローン化し て、プラスミドpVLC4A1を得た。 pVLE26:ベクターpBluescript(SK−)(Pihlajaniemi et al.,J .Biol.Chem. 265:16922-16928(1990))中のcDNAクローンE−2 6とポリヘドリンベースの転移ベクターpVL1392(Luckow et al.,Virol ogy 170:31-39(1989))を使用して、バキュロウイルス転移ベクターを作成した 。cDNAクローンE−26は、ヒトXIII型コラーゲンのα1鎖をコードするが 、これをpBS(SK−)のEcoRI部位中に連結する(クローンE−26と 命名された作製体)。E−26クローンは、例えば、Pihlajaniemi et al.,J Biol.Chem. 265:16922-16928(1990)に記載されている。cDNA E−26は 、ヒト臍帯静脈上皮細胞から得られるλgt11 cDNAライブラリー(クロ ーンテク(Clontech))から得て、この挿入配列をEcoRIで消化して放出さ せた。このEcoRI断片をpBR322のEcoRI部位中に連結して、クロ ーンE−26を得た。クローンE−26をEcoRIで消化して、XIII型コード 配列をカバーするE−26 cDNAを作成する。123塩基対の5’非翻訳領 域および117塩基対の3’非翻訳領域も含まれており、この断片をpVL13 92のEcoRI部位中にクローン化してプラスミドpVLE26を得る。 pVLhuXIII:本バキュロウイルス転移ベクターを、クローンE−26(Pihl ajaniemi et al.,J .Biol.Chem. 265:16922-16928(1990))、ゲノムヒトXIII型 コラーゲン配列(Tikka et al.,J .Biol.Chem. 266:17713-17719(1991))およ びポリヘドリンベースのバキュロウイルス転移ベクターpVL1932(Luckow et al.,Virology 170:31-39(1989))を使用して構築した。pBShuXIIIと呼 ばれるクローンを構築したが、これは、pBS(SK−)のNotI−EcoR I部位に、PCRにより作製されたXIII型コラーゲン遺伝子からのヌクレオチド 1〜272をカバーするゲノムヒトXIII型コラーゲンの5’末端と共に、ヒトXI II型コラーゲンのα1鎖のクローンE−26を含有しており、XIII型コラーゲン の完全長cDNAを与える(Tikka et al.,J .Biol.Chem. 266:17713-17719(19 91))。ゲノムヒトXIII型コラーゲンの5’末端を、鋳型としてCL412(ヒト ゲノムライブラリー(Clontech)から単離されたラムダクローン)を、およびP CRプライマー:5’プライマー(5'-ATGCGGCCGCACGCGAGAGGATGGTAGC-3')、およ び3’プライマー(5'-TAGCTGTCTCCATTTGCTGCTC-3')を使用して作製した。5’− PCR−プライマーは、XIII型配列に先行する新規なNotI制限部位を含んで おり、これをヌクレオチド216と217の間のPstI部位(Tikka et al.,J .Biol.Chem. 266:17713-17719(1991))と同様に、NotIおよびPstIで 消化したクローンE−26中に5’−PCR−産物をクローン化するために、使 用した(Pihlajaniemi et al.,J .Biol.Chem. 265:16922-16928(1990))。pB ShuXIIIをNotI−EcoRIで消化して、10塩基対の5’非翻訳領域と 117塩基対の3’非翻訳領域を有する完全長cDNAを作製し、この断片をp VL1392のNotI−EcoRI部位中にクローン化してプラスミドpVL huXIIIを得る。 pVLmoXIII:本バキュロウイルス転移ベクターを、ベクターpBSmoXII Iとポリヘドリンベースのバキュロウイルス転移ベクターpVL1392(これ はLuckow et al.,Virology 170:31-39(1989)に記載されている)を使用して構 築した。pBSmoXIIIは、マウスXIII型コラーゲンの α1鎖をコードするpBluescript中のcDNAクローン689(ここ で、5’末端はPCRにより作製し、3’末端はプラスミドmoC−2からの断 片の連結により作製した)からなる。クローン689は、以下のようにマウス牌 臓RNAから得られたcDNAである:全マウス牌臓RNAを逆転写酵素および プライマー5'-ACACACACAGGCCAGT-3'と反応させる。次にこの逆転写酵素産物を、 プライマー:5’プライマー(5'-ATGAATTCGCCAGTCCCAGGTTAGAGGCA-3')、および 3’プライマー(5'-ATGAATTCAAGTTCTACTCGCGTAGGCGC-3')を用いる1回目のP CR反応の鋳型として使用し、これらの産物をプライマー:5’プライマー(5'- ATGAATTCGTTCCAGCAGCCTTGGACTGGTAAGC-3')、および3’プライマー(5'-ATGAATT CCCGAAGATGTCTCCAGGATGT-3')との2回目のPCR反応の鋳型として使用した。 このPCR断片は、マウスXIII型コラーゲンのα1鎖のcDNA配列からのヌク レオチド466〜969をカバーする。cDNAクローンGUT219.2.4 は鋳型として、PCRプライマー:5’プライマー(5'-ATAAGCTTGAATTCCGAGGGCA TGGTGGCGG-3')、および3’プライマー(5'-CGAGGCCCGACGATGGACAT-3')と共に使 用した。GUT219.2.4は、新生児マウス消化管RNA由来のcDNAラ イブラリーから、プライマーとしてランダムヘキサマー、およびユー−プライム −cDNA(You-Prime-cDNA)合成キット(ファルマシア(Pharmacia))を使用 して、逆転写酵素−マウスXIII型コラーゲンのNC1〜NC4ドメインのPCR クローンでプローブ結合することにより得られた。これらのRT−PCRクロー ンは以下のようにして得た:新生児マウス消化管DNAを鋳型として、プライマ ー:5’プライマー(5’-ACCTTTGGCCCTGGGGGCGCAGGGAGC-3’)、および3’プラ イマー(5’-AGGGAGAGAAAGGCGATGCTGGCA-3’)と共に使用して、M91断片を産生し た。このM91断片を使用して、マウスおよびヒト由来のプライマーの組合せを使 用する、5’および3’の両方向の以後のRT-PCR反応のプライマーを設計した。ク ローン689をEcoRIとBamHIで消化して、この557塩基対のEcoRI-BamHI断片をpBlue scrlptのEcoRIおよびBamHI部位中に連結してプラスミドP40−5を得た。プラ スミドP40−5をHindIIIとBbvIIで消化して、HindIIIとBbvII で消化した5’−PCR断片と連結して、プラスミドP40−1を得た。プラス ミドP40−1は、翻訳開始領域とヌクレオチド1419のBamHI部位まで のコード配列を含むクローンを含有する。 マウスXIII型コラーゲンの3’末端を、以下のようにプラスミドP40−1に 付加した。マウスのXIII型コラーゲンのcDNAであるMOABCD.5を使用 して、590塩基対のStuI−SacI断片を得た。交互に(alternatively) スプライスされるエキソン4A、4B、12、13、および33を除いてマウス XIII型コラーゲンのコード配列をカバーするために、cDNAクローンGUT2 29A、GUT219.1.4、RG.6、および18からMOABCD.5を 作製した。プライマーとしてランダムヘキサマーを使用し、ユウ−プライム−c DNA合成キット(You-Prime-cDNA synthesis kit)(ファルマシア(Pharmacia) )を使用して、マウスXIII型コラーゲンのNC1〜NC4ドメインの逆転写酵素 −PCRクローンでプローブ結合して、新生児マウスの消化管RNAから作製し たcDNAライブラリーから、クローンGUT229AとGUT2l9.1.4 を得る。これらのRT−PCRクローンを以下のようにして得た:新生児マウス 消化管DNAを鋳型として使用して、プライマー:5’プライマー(5'-ACCTTTG GCCCTGGGGGCGCAGGGAGC-3')と3’プライマー(5'-AGGGAGAGAAAGGCGATGCTGGCA-3 ’)を使用して、M91断片を作製した。M91断片を使用して、マウスおよび ヒト起源のプライマーの組合せを使用する5’および3’方向の以後のRT−P CR反応のためのプライマーを設計した。マウス消化管ポリ(A+)RNAを鋳 型として、そしてプライマー(5'-GACTGC AGTCGACATCGATTTTTTTTTTTTTTTTT-3') を使用し、次にプライマー:MR−15(5'-GCCTCCAGGAATGAAGGGAGAAGT-3')と プライマーテイル(primer Tail)(5'-GACTCGAGTCGACATCG-3')を使用する第1回 目のPCR、およびプライマー:MR−1(5’-GGGGGAGAGGGGGAAGAA-3')とプ ライマーテイル(5'-GACTCGAGTCGACATCG-3')を使用する第2回目のPCRにより 、逆転写酵素反応を行った。これらの生成物を、ベクターpCRII(インビトロ ゲン(InVitrogen))に連結し、マウスXIII型コラーゲンのNC1〜NC4ドメイ ンのPCRクローンをプロ ーブとして使用して、このライブラリーからクローンRG.6を単離した。RT −PCRを使用してクローン18を得た。逆転写反応は,鋳型として新生児マウ スGUT RNA、そしてプライマーとしてオリゴ(dT)17を使用し、次に プライマー:M−11(5'-ATGCCATCGGAGGAGGCAG-3')とMR−13(5'-GTTCCA GCAGCCTTGGACTGGTAAGC-3')を使用する第1回目のPCR、およびプライマー: MR−15(5'-GCCTCCAGGAATGAAGGGAGAAGT-3')とMR−13(5'-GTTCCAGCAGC CTTGGACTGGTAAGC-3')を使用する第2回目のPCRにより、行った。これらの生 成物をpCR1000(インビトロゲン(InVitrogen))に連結し、M91断片 とプローブ結合することによりクローンI8を得た。NotIを使用して各ライ ブラリーベクターから、GUT229A、GUT219.2.4、RG.6、お よび18挿入体を放出させた。これらのNotI断片をプラスミドpBlues criptのNotI部位に連結して、GUT229A、GUT219.1.4 、およびRG.6を得た。 MOABCD.5は、以下のようにして構築した:クローンpBluescr ipt−GUT219.1.4を、BamHIとEcoRIで消化し、得られた 960塩基対断片を、BamHI/EcoRI pBluescript−GU T229Aに連結して、クローンMOAB.3を得た。プラスミドpBlues cript−18をStuIとHindIIIで消化し、得られた310塩基対断 片を、StuI/HindIII消化MOAB.3に連結して、クローンMOAB C.5を得た。プラスミドpBluescript−RG.6をXbaIとHi ndIIIで消化し、得られた250塩基対断片をXbaI/HindIII消化MO ABC.5に連結して、クローンMOABCD.5を得た。 MOABCD.5をStuIとSacIで消化し、得られた673塩基対のS tuI−SacI断片を、クローン689(プラスミドP40)のstuIおよ びSacI部位に連結して、プラスミドmoC−2を得た。プラスミドmoC− 2をBamHIとSacIで消化し、この1504塩基対のBamHI−Sac I断片を、プラスミドP40−1のBamHIおよびSa cI部位に連結してプラスミドpBSmoXIIIを得た。pBSmoXIIIをEco RIで消化して、7塩基対の5’非翻訳と288塩基対の3’非翻訳を有する、 完全長XIII型コラーゲン変異種(variant)を作製し、この断片をpVL1392 のEcoRI部位にクローン化してプラスミドpVLmoXIIIを得た。マウス のXIII型コラーゲンの_1鎖の別の交互にスプライスされた完全長cDNA変異 種を構築し、pVLmoXIII(−E12/−E13)と名付けた。この構築物は 、エキソン12をコードする配列を欠く以外は、pVLmoXIIIと同じである。 pVLC15A1:本バキュロウイルス転移ベクターを、XV型プロコラーゲン cDNA(Kivirikko et al.,J .Biol.Chem. 269:4773-4779(1994))のヌクレオ チド14〜1374をカバーするPCR断片を使用して構築した。XV型プロコラ ーゲンのcDNAは、例えば、Maniatis et al.,Molecular Cloning A Laborat ory Manual ,Cold Spring Harbor、ニューヨーク州(1989)とAusubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology ,Greene Publishing Associates and Wiley Interscience、ニューヨーク州(1989)に記載の方法を使用して、ヒト 臍帯血RNAから作製した。このcDNAを鋳型として使用して、PCRプライ マー:5’プライマー(5'-GATATCACCCTTCGTCCTCCGCTAAGCTC-3'),および3’プ ライマー(5'-GAATTCTGGCCTCCACTTCCCCAGGCAT-3')を用いて、XV型プロコラーゲ ンのヌクレオチド14〜1374をカバーするPCR断片を作製した。このPC R断片は、5’末端にEcoRVリンカー配列を有し、3’末端にEcoRIリ ンカー配列を有する。このPCR断片をEcoRVとEcoRIで消化し、pB luescript(SK−)のEcoRV−EcoRI部位に連結した。この 構築物をSph1(Kivirikko et al.,J .Biol.Chem. 269:4773-4779(1994) に記載の配列のヌクレオチド1355に対応する配列でPCR断片を切断する) とEcoRI(pBluescriptのポリリンカー位で消化する)で消化し た。Kivirikko et al.,J .Biol.Chem. 269:4773-4779(1994)のヌクレオチド 1355〜4330をカバーするクローンSK5−3のSph1−EcoRI断 片を、上記のSphIおよびEcoRIで消化した 構築物で連結して、構築物pBShuXVを得た。クローンSK5−3は、ヒトの 胎盤(Clontech)由来のλgt11 cDNAライブラリーから単離し、SK5 −3挿入体は、EcoRIで消化して放出され、この挿入体を、pBluesc ript(SK−)のEcoRI部位に連結してSK5−3を得た。pBShu XVをEcoRV(pBluescriptポリリンカー位で切断)とHincII (XV型コラーゲンのcDNA配列のヌクレオチド4309で切断)で消化して 、76塩基対の5’非翻訳領域と53塩基対の3’非翻訳領域を有する、COL XVの完全長cDNAを作製し、この断片をpV11392(Luckow et al.,Vir ology 170:31-39(1989))のSma1部位にクローン化してプラスミドpVLC L5A1を得る。 M18K:本バキュロウイルス転移ベクターを、ポリヘドロンベースのバキュ ロウイルス転移ベクターpVL1393(インビトロゲン(InVitrogen))とp Bluescript SK M18kok.11(pBsM18kok.11 )(これは、クローンSXT−5B5、MM−103(Rehn et al.,J .Biol. Chem. 269:13929-13953(1994))、およびMM21.3から作製される)を使用し て構築した。 cDNA SXT−5B5を同定し、以下のようにしてマウス胚(クロンテク (Clontech))から作製したλgt10 cDNAライブラリーからクローン化し た。マウスのXIII型コラーゲンのプローブG2を使用してライブラリーをスクリ ーニングして、クローンME−lを同定した。G2は、鋳型として新生児マウス の消化管RNAと、プライマー:5’プライマーMR−6(5'-CCGGTGAGCCTGCTTG TCCT-3')、および3’プライマーMR−11(5'-ATGCCATCGGAGGAGGCAG-3')を 使用して、RT−PCRにより作製した。このPCR生成物をベクターPCR− 1000(インビトロゲン(InVitrogen))に連結し、構築物をさらにEcoR I−HindIIIで消化してプローブG2を得た。ME−1は、マウスα1(XVI II)mRNA(Rehn et al.,Proc .Natl.Acad.Sci.USA 91:4234-4238(1994) に記載されている)の2.3kbをカバーし、これを使用してマウス胚ライブラリ ーを再スクリーニングし、クローンSXT−5B5をクローン化し、EcoRI で消化して これを単離し、SXT−5B5挿入体をpBluescriptSKのEcoR I部位に連結して、マウスα1(XVIII)鎖クローンSXT−5(SXT−5は 、Rehn et al.,Proc .Natl.Acad.Sci.USA 91:4234-4238(1994)に記載され ている)の540塩基対の末端5’配列を含有するプラスミドpBs(SK)S XT−5B5を得た。 cDNAクローンMM−103は、チオシアン酸グアニジウム法(Chomczynsk l et al.,Anal.Biochem.162:156-159(1987))により単離した成体マウス肝( BALP/c株)からのポリ(A)RNAのλgt10 cDNAライブラリー から、次にオリゴ(dT)−セルロースクロマトグラフィーを2回行って、得た 。オリゴ(dT)プライマーとタイムーセーバー−cDNA合成キット(Time-Sa ver-cDNA synthesis kit)(ファルマシア(Pharmacia))を使用して、このRNAか らcDNAライブラリーを構築した。このライブラリーをME−lからのプロー ブでスクリーニングし、NotIで消化してクローンMM−103を単離した。 挿入体MM−103をpBluescriptSKのNotI部位に連結して、 pBs(SK)MM−103を得た。(Rehn et al.,J .Biol.Chem. 269:13953 (1994))。 cDNAクローンMM−21.3を同定し、オリゴ(dT)法(前述、Rehn e t al.,J .Biol.Chem. 269:13924-13935(1994))を使用して成体マウス肝(BA LB/c株)ポリ(A)RNAから作製してあったλgt10 cDNAライブ ラリーから、このライブラリーをプローブSXT−5B5とME−1でスクリー ニングしてクローン化した。このクローンをNotIで消化し、pBluesc riptSKのNotI部位に連結して、プラスミドpBs(SK)MM−21 .3を得て、これは、マウスα1(XVIII)鎖(Rehn et al.,Proc .Natl.Acad .Sci.USA 91:4234-4238(1994))のヌクレオチド360〜2572をカバーする 。 プラスミドpBs(SK)SXT−5B5をEcoRIで消化し、得られた5 40塩基対断片を、プラスミドpBs(SK)MM−21.3のEcoRI消化 した5kb断片(挿入体+Bluescript)にさらにクローン化して、プラ スミドpBsM18kc.ABを得た。pBsM18kc. ABをEcoRVとNsiIで消化して2.5kb断片を得て、プラスミドpBs MMI03をNsiIとNotIで消化してl.5kb断片を得た。これらの2つ の断片を、EcoRV−NotI消化したベクターpBluescriptに連 結して、プラスミドpBsM18kok.11を得て、これは、22塩基対の5 ’非翻訳領域と180塩基対の3’非翻訳領域を有する、マウスXVIII型コラー ゲンのα1鎖(1315のアミノ酸残基)の最も短い変異種の完全長cDNAを 含有する。pBsM18kok.11をEcoRV−NotIで消化し、この断 片をpV1.1393のSmaI−NotI部位にクローン化してプラスミドM 18Kを得た。 M18VA2K:ポリヘドロンベースのバキュロウイルス転移ベクターpVL 1393(インビトロゲン(InVitrogen))と、pBsv2.5(これは、クロー ンPE17.24(Rehn et al.,J .Biol.Chem. 269:13929-13953(1994))と PX4.3(Rehn et al.,J .Biol.Chem. 269:13929-13953(1994))から作製 される)、およびプラスミドpBsM18kok.11(前述、構築物M18K を参照)を使用してpBsM18VA2Kを作製して、本バキュロウイルス転移 ベクターを構築した。 18.5日令のマウス胚ポリ(A)RNAから作製したcDNAプールから、 プライマー(5'-GATGGCAAATAGCACCC-3')を使用して、cDNAクローンPE17 .24を単離する。この合成からのcDNAをλgt10ベクターに連結し、生 成物を、ME−1からのプローブを使用してスクリーニングする。こうしてクロ ーンPE17.24を同定し、挿入体をNotIで消化して単離し、pe17. 24挿入体をpBluescriptSKのNotI部位に連結して、pBs( SK)PE17.24を得た。 pBsPE17.24をEcoRIで消化し、XVIII型コラーゲンNCIドメ インの長い764残基型をカバーするために、得られた4.8kb断片(挿入体+ Bluescript)にPX4.3のEcoRI消化した90塩基対断片を連 結することにより、クローンPE17.24とPX4.3からプラスミドv2. 5を作製した。 3塩基対の5’非翻訳領域と180塩基対の3’非翻訳領域を含む、最も 長い変異種α1(XVIII)鎖(1774のアミノ酸残基)をコードする完全長c DNAを構築するために、プラスミドv2.5をCla1で消化し、得られた1 .5kb断片を、pBsM18kok.11(前述したプラスミド、構築物M18 Kを参照)のCla1消化した7.3kb断片(挿入体+Bluescript、 Bluescript中の他のCla1部位)に連結して、クローンpBsM1 8VA2Kを得た。pBsM18VA2Kを、EcoRVとNotIでさらに消 化して、得られた断片を、pVL1393のSmaI−NotI部位にクローン 化してM18VA2Kを得た。 M18NC1:cDNAクローンSXT−5BT(前述、構築物M18Kを参 照)とME−1(Rehn et al.,Proc .Natl.Acad.Sci.USA 91.:4234-4238(19 94))、およびポリヘドロンベースのバキュロウイルス転移ベクターpVL139 3(インビトロゲン(InVitrogen))を使用して、本バキュロウイルス転移ベクタ ーを構築した。SXT−5B5を同定し、前述のようにクローン化した(構築物 M18Kを参照)。ME−1は、マウスα(XVIII)mRNA(Rehn et al.,Pr oc .Natl.Acad.Sci.USA 91:4234-4238(1994)に記載されている)の2.3kb をカバーし、これは、マウスXVIII型コラーゲンα1鎖の最も短い変異種のN− 末端非コラーゲン性ドメイン(NC1)をコードする(クローンME−lの性状 解析と単離は前述、構築物M18Kを参照)。 ME−1を鋳型として、プライマー:5’プライマー−T7、17量体プライ マー(5'-AATACGACTCACTATAG-3')、および3’プライマーM18Bacl(5'-GAA GGGGCTTGATAAATGAGGATCCAT-3')(フレーム内終結コドンとBamHI消化部位を 含む)を使用して、PCRによりNC1ドメインの3’末端に、終結コドンを作 製する。この400塩基対のPCR生成物をEcoRIとBamHIで消化し、 EcoRI−BamHI消化したpBluescriptSKに連結して、プラ スミドpBsNCIIを作製し、pBsSXT−5B5をEcoRIで消化し、得 られた540塩基対断片をさらに、EcoRI消化したpBsNCILにクロー ン化して、プラスミドpBsM18NC1(NC1ドメインと22塩基対の5’ 非翻訳配列をコードする)を得 た。pBsM18NC1をEcoRV−NotIで消化し、得られた断片をpV I1393のSmaI−NotI部位にクローン化して、プラスミドM18NC 1を得る。 M18VA2N:ポリヘドロンベースのバキュロウイルス転移ベクターpVL 1393(インビトロゲン(InVitrogen))と、プラスミドpBsM18NC1( 前述、構築物M18NC1を参照)、およびプラスミドpBsV2.5(構築物 M18VA2Kを参照)を使用して、本バキュロウイルス転移ベクターを構築し た。プラスミドpBsV2.5をClaIで消化し、得られた1.5kb断片を、 pBsM18NClのClaI消化した4. 8kb断片にクローン化して、プラ スミドpBsM18VA2.3(XVIII型コラーゲンのα1鎖の最も長い変異種 アミノ末端非コラーゲン性ドメイン(NCI−764)をコードする)を得た。 pBsM18VA2.3をEcoRV−NotIで消化し、得られる断片を、 pVL1393のSmaI−NotI部位にクローン化して、プラスミドM18 VA2Nを得る。 M18C:ベクターpBluescript(SK)MM−103(前述、構 築物M18Kを参照)とポリヘドロンベースのバキュロウイルス転移ベクターp VL1393(インビトロゲン(InVitrogen))を使用して、バキュロウイルス転 移ベクターを構築した。pBluescript(SK)MM−103は、pB luescriptSKのNotI部位でマウスXVIII型コラーゲンのa1鎖の C−末端のためのcDNAをコードする。pBs(SK)MM−103をEco RI−NotIで消化して、180塩基対の3’非翻訳領域を有するC−末端非 コラーゲン性ドメイン(アミノ酸残基997〜1315)に対応する、ヌクレオ チド3010〜3012に翻訳開始コドンを有するヌクレオチド2802〜40 80(Rehn et al.,J .Biol. Chem. 269:13929-13953(1994)を参照)をカバー するcDNA断片を得た。この断片を、pVL1393のEcoRI−NotI 部位にクローン化して、プラスミドM18Cを得る。 2.コラーゲン修飾酵素を含有する組換えベクターの構築 pVLβ:ポリヘドロンベースのバキュロウイルス転移ベクターpVL1 392と、EcoRI部位にヒト・プロリル4−ヒドロキシラーゼのβ−サブユ ニットについての完全長cDNAを含有するベクターpBs(SK−)S138 (Pihalajaniemi et al.,EMBO .J. 6:643(1987))を使用して、本バキュロウイ ルス転移ベクターを構築した。ヒト・プロリル4−ヒドロキシラーゼに対する精 製抗体でスクリーニングしたヒト肝臓癌λgt11cDNA発現ライブラリーか ら、β−サブユニットクローンHB−95を得た。ヒト・プロリル4−ヒドロキ シラーゼのβ−サブユニットのプローブとしてHB−95を使用して、ヒト胎盤 (クロンテク(Clontech))由来のλgt11ライブラリーから、クローンS13 8(ヒト・プロリル4−ヒドロキシラーゼβ−サブユニット)を同定し、同定さ れたλgt11クローンからEcoRIで挿入体を放出させて、EcoRI断片 をpBS(SK−)(ストラタジーン(Stratagene))のEcoRI部位に挿入し てベクターpBs(SK−)Sl38を構築した。 pBs(SK−)S138をEcoRI−BamHIで消化して、完全長cD NA+44塩基対の5’非翻訳および207塩基対の3’非翻訳領域をを作製し 、この断片をpVL1392(Vuori et al.,Proc .Natl.Acad. Sci.USA 89: 7467-7470(1992))のEcoRI−BamHI部位にクローン化して、プラスミ ドpVLβを得た。 pVLα:SmaI部位にヒト・プロリル4−ヒドロキシラーゼα−サブユニ ット(Helakoski et al.,Proc .Natl.Acad.Sci.USA 86:4392-4396(1989)) の完全長cDNAを含有するベクターpBS(SK−)PA59と、ポリヘドロ ンベースのバキュロウイルス転移ベクターpVL1392を使用して、本バキュ ロウイルス転移ベクターを構築した。クローンPA59(ヒト・プロリル4−ヒ ドロキシラーゼβ−サブユニット)を以下のようにして得た。プロリル4−ヒド ロキシラーゼのα−サブユニットからのペプチド(Gln-Val-Ala-Asn-Tyr-Gly) をコードするオリゴヌクレオチド混合物を使用して、HT1080細胞からのc DNAライブラリーをスクリーニングした。1つの陽性クローンHTA−2を得 て、HTA−2配列由来の36量体オリゴヌクレオチド(α−サブユニットのヌ クレオチド1430〜146 5)を使用して、ヒト胎盤λgt11ライブラリー(クロンテク(Clontech)) をスクリーニングした。2つの陽性クローンPA−11とPA−15を単離し、 これらのクローンで胎盤ライブラリーを再スクリーニングして完全長クローンP A59を得た。 クローンPA59をHinP1とAccIで消化してλgt11挿入体を放出 させ、PA59断片をクレノウ(ファルマシアバイオテク(Pharmacia Biotech) )で平滑末端にし、平滑末端(blunt ended)PA59断片をpBS(SK−)( ストラタジーン(Stratagene))のSmaI部位にクローン化して、ベクターpB S(SK−)PA59を構築した。 pBS(SK−)PA59をPstIとB amHIで消化して、完全長cDNA+61塩基対の5’非翻訳領域および55 1塩基対の3’非翻訳領域を含有するPstI−PstIおよびPstI−Ba mHI断片を作製し、これらの断片をpVLl392(Vuori et al.,Proc .Nat l.Acad.Sci.USA 89:7467-7470(1992))のPstI−BamHI部位にクロー ン化して、プラスミドpVLαを得た。 p2Bacβ:pBS(SK−)S138をEcoRIで消化してS138ク ローンを放出させ、次にS138断片をpBS(KS−)S138のEcoRI 部位に挿入して、pBS(KS−)S138を構築した。pBS(KS−)S1 38をBamHIで消化して、44塩基対の5’非翻訳領域と207塩基対の3 ’非翻訳領域を含有するヒト・プロリル4−ヒドロキシラーゼの完全長β−サブ ユニットを得た。この断片をp2BacのBamHI部位にクローン化して、p 2Bacβを得た。 pBs(SK−)PA59をPCRにより突然変異させて、NotI部位をプ ロリル4−ヒドロキシラーゼのα−サブユニットの開始コドンの46塩基対上流 に置いて、以下のようにプラスミドpBS(SK−)PA59/5’UTNot Iを得た。このプラスミドpBS(SK−)PA59とプライマー:5’プライ マー(5'-GCCCTCGCGGCCGCCTTTCCAGGT-3')、および3’プライマー(5'-TGACATATCC TTAAGGACCAGTTC-3')を、第1回目のPCR反応で使用し、pBS(SK−)PA 59とプライマー:5’プライマー(5'- CGAGGTATCGATAAGCTTG-3')、および3’プライマー(第1回目のPCR反応から の断片)を使用して、第2回目のPCR反応を行う。第2回目のPCR生成物を ClaIとAf1IIで消化し、pBS(SK−)PA59に連結して、pBS( SK−)PA59/5’UTNotIを得る。pBS(SK−)PA59/5’ UTNotIをNotIで消化して、46塩基対の5’非翻訳領域と551塩基 対の3’非翻訳領域を含有するプロリル4−ヒドロキシラーゼの完全長α−サブ ユニットを有する断片を得る。この断片をp2BacβのNotI部位にクロー ン化して、プラスミドp2Bacβを得る。3.プロリル4−ヒドロキシラーゼ を有する昆虫細胞中での組換えコラーゲン遺伝子の発現 組換えヒト・コラーゲンI、II、III、IV、XIII、XV、およびXVIIIは、バキュ ロウイルス発現ベクターを用いて、昆虫細胞で発現されている。 III 型コラーゲンの発現。pVLC3A1は、ヒトIII型コラーゲンの完全なp roα1鎖をコードする組換え発現ベクターである。昆虫細胞でのヒト・プロリ ル4−ヒドロキシラーゼの発現のために、同様のバキュロウイルス発現ベクター pVLα、pVLβ、およびp2Bacβを作製した。これらの構築物を、バキ ュロゴールド(Baculo Golda)トランスフェクションキット(ファルミゲン(Pha rmigen))を使用して、昆虫細胞に種々の組合せでトランスフェクトした。 昆虫細胞(Sf9またはハイファイブ(High Five)、インビトロゲン(InVitro gen))を、10%胎児牛血清(バイオクリア(BioClear))を補足したTNM−F H培地(シグマ(Sigma))または無血清HyQ CCM3培地(ハイクローン(Hy Clone))中で、単層としてまたはシエーカーフラスコ中の懸濁液として27℃で 培養した。組換えタンパク質を産生するために、5〜6×105/mlの密度で接 種した昆虫細胞を、組換えウイルスで感染多重度5〜10で、そしてヒト・プロ リル4−ヒドロキシラーゼの(サブユニットおよび(サブユニット(Vuori et a l.,Proc .Natl.Acad.Sci.USA 89:7467-7470(1992)))についてのウイルスで 感染多重度(multiplicity)1で感染させた。培地に毎日アスコルビン酸(80μ g/ml)を加えた。感染 の48〜120時間後細胞を回収し、0.15M NaClと0.02Mリン酸 塩(pH7.4)で洗浄し、0.3M NaCl、0.2%トリトンX−100 および0.07Mトリス緩衝液(pH7.4)でホモジナイズし、10,000 gで20分間遠心分離した。ホモジナイズ化緩衝液に不溶性の残存細胞ペレット を、1%SDSでさらに可溶化し、SDS−PAGE1で解析した。細胞培養培 地を、限外ろ過セル(Cmicon)でPM−100膜を使用して10倍濃縮した。細 胞ホモジネートの上清のアリコートと濃縮した細胞培養培地を、変性性SDS− PAGEで解析し、次にクーマシーブリリアントブルーで染色するか、またはヒ トIII型プロコラーゲンのN−プロペプチドに対する抗体を用いるウェスタンブ ロッティング法で解析した。 さらに詳しくは、Sf9およびハイファイブ(High Five)細胞を、pr0α1 (III)鎖をコードする組換えバキュロウイルスで感染させ、感染の72時間後 に回収し、0.2%トリトンX−100を含有する緩衝液でホモジナイズし、遠 心分離した。次に、トリトンX−100可溶性タンパク質画分と濃縮した細胞培 養培地のアリコートを、ペプシン処理無しまたは22℃で1時間ペプシン処理後 解析した。試料を8%SDS−PAGEで電気泳動し、Aでクーマシー染色およ びBでヒトIII型プロコラーゲンのN−プロペプチドに対する抗体を使用するウ ェスタンブロッティングにより解析した。図6に示すように、レーン1は分子量 マーカー:レーン2〜3は、細胞抽出物;レーン4〜5は、Sf9細胞培養物か らの培地;レーン6〜7は、細胞抽出物;そしてレーン8〜9は、ハイファイブ (High Five)細胞培養物からの培地である。奇数番号レーンの試料は、ペプシ ンで消化した。ウェスタンブロッティングで使用した抗体は、III型プロコラー ゲンのN−プロペプチドとのみ反応するため、ペプシン消化試料を認識しない。 矢印は、proα1(III)とα1α1(III)鎖を示す。 他のアリコートは、ヒトIII型プロコラーゲン(Farmos Diagnostica)のトリ マー性N−プロペプチドについてラジオイムノアッセイ、および4−ヒドロキシ プロリン(Kivirikko et al.,Anal .Biochem. 19:249-255(1967))についての 比色法により試験した。さらに別のアリコートを、ペプシン で22℃で1時間(Bruckneret al.,Anal .Biochem. 110:360-368(198l))消化 し、トリプシンとキモトリプシンの混合物による迅速消化により、ペプシン耐性 組換えIII型コラーゲンの熱安定性を測定した。 Sf9とハイファイブ(High Five)細胞中のトリトンX−100可溶性タン パク質(図6B、レーン2と6)および細胞培養培地(図6B、レーン4と8) の試料中で、ウェスタンブロッティングにより、proα1(III)の発現レベ ルが見られた。ペプシン消化後、クーマシー染色ゲル中のハイファイブ(High F ive)細胞でIII型コラーゲンの(1鎖が見られた(図6A、レーン7)。使用し た抗体はproα1(III)鎖のN−プロペプチドとのみ反応し、これはおそら くペプシンで消化されたため、ペプシン耐性(1(III)鎖は、ウェスタンブロ ット中に検出されなかった(図6B、レーン3、5、7、および9)。 Sf9とハイファイブ(High Five)細胞を、プロリル4−ヒドロキシラーゼ の2つの型のサブユニットをコードするウイルス有りまたは無しで、proα1 (III)鎖をコードするウイルスで感染させた(表III)。総III型プロコラーゲン の発現レベルは、トリマー性N−プロペプチドについてのラジオイムノアッセイ で測定し、細胞中で生成した4−ヒドロキシプロリンの量は、比色法で測定した 。両方の値を使用して、すべてのproα1(III)鎖が3重らせん分子を形成 し、proα1(III)鎖中のすべてのヒドロキシル化可能なプロリン残基が4 −ヒドロキシプロリンに変換されると仮定して、産生されたIII型コラーゲンの 量を計算した。III型プロコラーゲンの既知の構造とIII型コラーゲン中の4−ヒ ドロキシプロリンの量に基づき、試料中のIII型コラーゲンの量を、得られたN −プロペプチド値に7を掛け、4−ヒドロキシプロリン値に8を掛けて計算した 。すべての測定は、感染の72時間後に行った。 表IIに示すように、異なる実験で得られた値にかなりの変動が見られた。この 変動にもかかわらず、表IIは:まず、生成した4−ヒドロキシプロリンの量は、 すべての実験でプロリル4−ヒドロキシラーゼをコードするウイルスで感染した 細胞中では、これがない場合より顕著に高かった。第2に、 ハイファイブ(High Five)細胞で得られた発現レベルは、Sf9細胞で得られ たレベルより常に高かった。第3に、プロリル4−ヒドロキシラーゼをコードす るウイルスで同時感染した細胞では、産生されたIII型コラーゲンのレベルは、 ラジオイムノアッセイ値より4−ヒドロキシプロリン値から計算した時に常に高 く、III型プロコラーゲンのN−プロペプチドの一部が分解されているか、また は完全に4−ヒドロキシル化proα1(III)鎖の一部が3重らせんでないま ま残ったことを示唆していた。最も高いIII型コラーゲン発現値は、ハイファイ ブ(High Five)細胞中であり、これはまたプロリル4−ヒドロキシラーゼを発 現し、これらの細胞中の細胞性III型コラーゲンの量は、約41〜81μg/5 ×106細胞であった(表111)。ラジオイムノアッセイで測定した時の、培養培 地中に分泌されたIII型コラーゲンの量は、Sf9細胞中の総量の約25〜50 %であり、ハイファイブ(High Five)細胞中の総量の約10〜30%であった 。 ハイファイブ(High Five)細胞をシェーカーフラスコ中で懸濁液で増殖させ た実験も行った。上記と同様にこれらの実験で、プロリル4−ヒドロキシラーゼ をコードするウイルスの同様の作用が見られた。この実験で見られた最も高い発 現レベルは、72時間で培養物1リットル当たり約40mgまでのIII型コラーゲ ンが産生され、産生されたコラーゲンの約80〜90%は細胞ペレット中に乱さ れ、10〜20%は培地中にあった。 表III プロリル4−ヒドロキシラーゼのAおよびBサブユニット有りおよび無しの、ヒ トIII型プロコラーゲンのproα1鎖を発現する昆虫細胞からのトリトンX− 100抽出物のプロリル4−ヒドロキシラーゼ活性 細胞は、組換えポリペプチドを発現しないか、またはproα1(III)鎖の みを発現するか、または後者+プロリル4−ヒドロキシラーゼのαおよびβサブ ユニットを発現した。解析は、感染の72時間後に行った。 値は、dpm/10μlのトリトン抽出物、ハイファイブ(High Five)細胞につ いての3つの実験で得られた二重測定値の平均、およびSf9細胞の1つの実験 の二重測定値の平均として示す。 I型コラーゲンおよびII型コラーゲンの発現 ヒト・コラーゲンIのproα 1およびproα2鎖の発現のために、バキュロウイルス発現ベクタ−pVLC 1A1とpVLC1A2を作製し、ヒト・コラーゲンIIのpr0α1鎖の発現の ために、pVLC3A15’UT/C2A1を作製した。 特に明記しない場合は、昆虫細胞は培養し、前述した方法に従って組換えコラ ーゲンを産生した。 プロリル4−ヒドロキシラーゼの存在下で、および細胞ホモジネートの上清の ペプシン消化後の、proα1(I)、およびproα1(I)とproα2( I)の発現レベルが、銀染色した5%SDS−PAGEで見られた。図7、レー ン(DIAI)を参照。銀染色したSDS−PAGEは、これらの細胞中の3重 らせんプロコラーゲンIの形成を証明した。proα2鎖のC−末端ドメインに 対してヒスチジン標識を使用して、金属キレート親和性カラムでヘテロトリマー コラーゲンIから、ホモトリマーコラーゲンが分離できる。 クーマシー染色した5%SDS PAGEで、プロリル4−ヒドロキシラ ーゼの存在下でproα1(II)の発現レベルが見られた。図8を参照(図中、 レーン1は、I型コラーゲンのホモトリマーの発現を示し:レーン2は、II型プ ロコラーゲンの標準試料であり;レーン6は、III型プロコラーゲンの標準試料 であり;レーン3〜5は、種々の量のヒトIII型プロコラーゲンを含有するヒトI I型プロコラーゲンの3つの異なる構築物を比較している。レーン3は、III型プ ロコラーゲンのC−末端を有するII型プロコラーゲンである;レーン4は、III 型プロコラーゲンからのN−末端非コラーゲン性領域を有するII型プロコラーゲ ンである:そしてレーン5は、III型プロコラーゲンのN−末端およびC−末端 領域を有するII型プロコラーゲンである)。 ヒトII型コラーゲンの発現のためのいくつかのバキュロウイルスベクターを構 築した。これらのベクターの1つにおいて、ヒトII型コラーゲンの5’非翻訳領 域を、ヒトIII型コラーゲンの5’非翻訳領域で置換した。別のベクターでは、 全ヒトII型コラーゲン遺伝子を発現した。別の昆虫発現ベクターでは、II型コラ ーゲンのN−プロペプチドを、III型コラーゲンのN−プロペプチドで置換した 。これらのベクターの3つすべては、異なるレベルでヒトII型コラーゲンを発現 することがわかった。発現は、クーマシーブルー染色SDS−PAGEとウェス タンブロット解析により検出した。 IV 型、XIII型、およびXVIII型コラーゲンの発現 pVLC4A1は、ヒト・ コラーゲンIVのproα1鎖をコードする組換えバキュロウイルス発現ベクター である。pVLhuXIIIは、ヒト・コラーゲンXIIIのproα1鎖をコードする 組換えバキュロウイルスベクターである。pVLC15A1は、ヒト・コラーゲ ンXVのproα1鎖をコードする組換え発現ベクターである。M18KとM18 VA2Kは、ヒトXVIII型コラーゲンのproα1鎖の2つの変異種をコードす る組換え発現ベクターである。 特に明記しない場合は、昆虫細胞は培養し、前述方法に従って組換えコラーゲ ンを産生した。pVLC4A1、pVLhuXIII、pVLC15A1、M18K 、およびM18VA2Kは、昆虫細胞中に形質転換され、組換えコラーゲンはう まく発現されている。 4.組換えコラーゲンの精製と解析 組換えIII型コラーゲンの精製 昆虫細胞中で産生された精製ヒトIII型コラー ゲンの性質は、種々の組織から抽出されたIII型コラーゲンの性質に非常によく 似ていた(Kielty et al.,Connective Tissue and Its Heritable Disorders:Mo lecular ,Genetic and Medical Aspects, pp.E103-147(1993);Kivirikko et al .,Ann .Med. 25:113-125(1993);van der Rest et al.,Adv .Mol.Cell Biol. 6 :1-67(1993);Brewton et al.,Extracellular Matrix Assembly and Struct ure pp.129-170(1994);Pihlajaniemi et al.,Prog .Nucleic Acid Res.Mol.B iol. 50:225-262(1995);Prockop et al.,Annu .Rev.Biochem. 64:403-434(199 5))。特に、CDスペクトルで測定した時、4−ヒドロキシプロリンの含量と3 重らせんのTmは、真正のIII型コラーゲンとほとんど同じであった。組換えコ ラーゲン中のヒドロキシリジンの含量は、種々の組織から抽出したIII型コラー ゲンの約半分であり、昆虫細胞は高いレベルのリジルヒドロキシラーゼ活性を有 するはずであることを示している。 組換えIII型プロコラーゲンを発現する昆虫細胞を、0.15M NaClと 0.02Mリン酸塩(pH7.4)の溶液で洗浄し、冷0.2M NaCl、0 .1%トリトンX−100および0.05Mトリス緩衝液(pH7.4)でホモ ジナイズし(20×106細胞/ml)、氷上で30分インキュベートし、16, 000×gで30分間遠心分離した。特に明記しない場合は、以下のすべての工 程は4℃で行った。上清を、平衡化したDEAEセルロースカラム(DE−52 、Whatman)でクロマトグラフィーを行い、0.2M NaClと0.05Mト リス緩衝液(pH7.4)で溶出し、ボイド容積を集めた。試料のpHを2.0 〜2.5に下げ、試料を最終濃度150μg/mlのペプシンで22℃で1時間消 化した。試料を中和して、次に氷上で一晩インキュベートしてペプシンを不可逆 的に不活性化した。最終濃度2Mになるように固体NaClを加えて、16,0 00×gで1時間遠心分離して、組換えIII型コラーゲンを沈殿させた。ペレッ トを0.5M NaCl、0.5M尿素および0.05Mトリス緩衝液(pH7 .4)で1日溶解し、試料 を上記のようにペプシンで2回目の消化を行った。次に試料を、セファクリルH R−500ゲルろ過カラム(ファルマシア(Pharmacia))でクロマトグラフィー を行い、0.2M NaClと0.05Mトリス(pH7.4)の溶液で溶出し 、0.1M酢酸に対して透析して凍結乾燥した。 III型プロコラーゲンは、単層としてまたはシェーカーフラスコ中の懸濁液中 で培養したハイファイブ(High Five)細胞中で発現された。感染の72時間後 細胞を回収し、0.1%トリトンX−100を含有する緩衝液中でホモジナイズ して遠心分離し、細胞ホモジネートの上清をDEAEセルロースカラムに通して 核酸を除去した。III型プロコラーゲンを含有するフロースルー画分をプールし ペプシンで消化した。これによりIII型プロコラーゲンがIII型コラーゲンに変換 され、非コラーゲン性タンパク質のほとんどが消化された。次にIII型コラーゲ ンを塩沈殿で濃縮し、可溶化し、上記のようにペプシンで処理した。最後にセフ ァクリルSHR−500カラムでゲルろ過して、III型コラーゲンをペプシンお よび他の残存する混入物質から分離した。III型コラーゲンを含有する画分をプ ールし、透析し、凍結乾燥した。 精製したIII型コラーゲンを、還元条件下(図9、レーン2)および非還元条 件下(図9、レーン3)で5%SDS−PAGEにより解析した。クーマシー染 色ゲルで混入物質は見られず、III型コラーゲン(1鎖はジスルフィド結合して いた。精製したIII型コラーゲンについてアミノ酸とCDスペクトル解析を行っ た。得られた組換えIII型のアミノ酸組成は、ヒトIII型コラーゲンについて報告 されているアミノ酸組成によく対応した。唯一の例外はヒドロキシリジンの量で あり、これは、真正ヒトIII型コラーゲン中の5残基/1000アミノ酸ではな く、組換えIII型コラーゲン中では3残基/1000アミノ酸であった。CDス ペクトル解析で測定した組換えIII型コラーゲンの融解温度は、40℃であった 。 ハイファイブ(High Five)細胞は、Sf9細胞より常に高い産生速度を与え 、最も高い産生速度は、単層で培養したハイファイブ(High Five)細胞で見ら れた最高約80μgの細胞性組換えヒトIII型コラーゲン/5× 106細胞の範囲であり、これは約120μgのIII型プロコラーゲンに対応す る。ハイファイブ(High Five)細胞をシェーカーフラスコ中の懸濁液で培養し た時、産生される細胞性III型コラーゲンの最大量は、約40mg/1までの範囲で あり、約60mg/lのIII型プロコラーゲンに対応する。 組換えIII型コラーゲンのコンフォメーションの完全性(Conformational Integ rity) トリマーへのproα1(III)の会合を、非還元条件下でSDS−P AGE解析を使用して調べた。ハイファイブ(High Five)細胞を、proα1 (III)とヒト・プロリル4−ヒドロキシラーゼの(および(サブユニットをコ ードするウイルスで同時感染させた。感染の72時間後、細胞を回収し、0.2 %トリトンX−100を含有する緩衝液中でホモジナイズし、残存する細胞ペレ ットを1%SDS中でさらに可溶化した。トリトン可溶性タンパク質のアリコー トを、ペプシンで22℃で1時間処理した。合成された基本的にすべてのpro α1(III)鎖は、高分子量タンパク質バンドの消失に基づくジスルフィド結合 したトリマーであることがわかった(図10、レーン2)。ペプシン消化後、組 換えIII型プロコラーゲンに対応するバンドを、III型コラーゲンに対応するバン ドに変換し、タンパク質はトリマーの形で残り、(1(III)鎖の間のジスルフ ィド結合の存在を示していた(図10、レーン3)。発現された実質的にすべて のIII型プロコラーゲンは、トリトンX−100含有緩衝液に可溶性であり、ト リトンX−100不溶性でSDS可溶性画分中にはIII型プロコラーゲンに対応 するバンドは見られなかった(図10、レーン4)。 異なる細胞培養条件下で発現したIII型コラーゲンの熱安定性を、種々の温度 に加熱した後、トリプシンとキモトリプシンの混合物で消化して調べた(Bruckne r et al.,Anal .Biochem. 110:360-368(1981))。ハイファイブ(High Five)細 胞を、proα1(III)鎖とヒト・プロリル4−ヒドロキシラーゼの(および (サブユニットをコードするウイルスで感染させた。感染の72時間後、細胞を 回収し、0.2%トリトンX−100を含有する緩衝液でホモジナイズし、遠心 分離した。これらの実験において、通常通り感染中に培地に毎日アスコルビン酸 を加えるかまたは省略した。トリトンX− 100可溶性タンパク質をまず、ペプシンで22℃で1時間消化して、III型プ ロコラーゲンをIII型コラーゲンに変換し(Pihlajanieml et al.,EMBO J. 6:643 -649(1987))、次にペプシン処理試料のアリコートについて、トリプシン/キモ トリプシン消化を行った。次に試料を8%SDS−PAGEで電気泳動し、クー マシー染色で解析した。図11A〜11Dは、多くのコラーゲン生成物について 、この熱安定性の結果を示す。パネルAに示すように、細胞を、proα1(II I)鎖をコードするウイルスでのみ感染させて、培地からアスコルビン酸を除い た;パネルB、細胞を、proα1(III)鎖をコードするウイルスでのみ感染さ せて、通常通り培地にアスコルビン酸が存在した:パネルC、細胞を、proα 1(III)鎖とプロリル4−ヒドロキシラーゼの(および(サブユニットをコー ドするウイルスで同時感染させたが、培地からアスコルビン酸を除いた;パネル D、細胞を3つのウイルスで感染させて、培地中にはアスコルビン酸が存在した 。レーンPは、以後のトリプシン/キモトリプシン消化のないペプシンで消化し た試料であり、レーン27〜42は、記載の温度でトリプシン/キモトリプシン 混合物で処理した試料を示す。矢印は、(1(III)鎖の位置を示す。これらの 結果により証明されるように、プロリル4−ヒドロキシラーゼとアスコルビン酸 の存在無しでproα1(III)鎖が発現される時、III型コラーゲンのTmは約 32〜34℃であった(図11A)。アスコルビン酸とプロリル4−ヒドロキシラ ーゼのいずれかが存在して他方が存在しないと、熱安定性に対する作用は実質的 に増加しなかった(図11Bと11C)。これに対して、プロリル4−ヒドロキシ ラーゼとアスコルビン酸の存在下でproα1(III)鎖を産生すると、III型コ ラーゲンのTmは顕著に上昇し、約38〜40℃であった(図11D)。 I型コラーゲンおよびII型コラーゲンの精製と解析 I型コラーゲンとII型コ ラーゲンを、前述のように精製した。組換え昆虫細胞から発現された組換えヒト II型コラーゲンは、トリプシンおよびキモトリプシン消化に対して耐性を示した 。これらのプロテアーゼ消化実験は、3重らせんII型ヒト・コラーゲンが組換え 昆虫細胞中で生成されることを示した。 組換え昆虫細胞から発現された組換えヒトII型コラーゲンの熱安定性を測定し 、未変性のヒトI型コラーゲンと比較した。これらの結果は、組換えII型コラー ゲンは3重らせん構造を有することを示した。組換えII型コラーゲンのTmは最 大約40℃であった。 A.実施例11:プロリル4−ヒドロキシラーゼの組換え遺伝子を発現する酵母 細胞中の組換えコラーゲン遺伝子の発現 1.コラーゲン遺伝子を含有する組換えベクターの構築 pPIC9ColIII:このプラスミドは、α−接合因子(α−mating factor) 分泌シグナル(α−MFSS)に結合したヒトColIII遺伝子を含有する(お よび、未変性のヒト分泌シグナルの欠失を含有する)。 COLIII遺伝子の3’末端を、翻訳開始コドンの4195塩基対下流(Ec oRI部位)から終結コドン(4401塩基対)まで、pBluescript SM38を鋳型として使用し、PCRプライマー:5’プライマー(5'-GAAGGTG AATTCAAGGCTGA-3')、および3’プライマー(5'-GCGTCTAGAGCGGCCGCTTATAAAAAGC AAACAGGGCC-3')を使用してPCRにより合成した。PCR断片の3’末端に、 NotIとXbaI部位を作製した。PCR断片をEcoRIとXbaIで消化 して、pBluescript−SM38のEcoRIとXbaI部位にクロー ン化(pBS−SM38は、Ala-Kokko et al.Biochem .J. 260:509-516(1989) に記載の配列に由来する)、ジーンバンク(GenBank)受け入れ番号X1 4420)して、プラスミドpBluescript−SM38/Bを得た。 ColIII遺伝子の5’末端を、翻訳開始コドンの73塩基対下流から176 塩基対(BamHI部位)まで、pBluescriptSM38を鋳型として 使用して、PCRプライマー:5’プライマー(5'-GCGATCGATGCGGCCGCGCAGGAAG CTGTTGAAGGAGG-3')、および3’プライマー(5'-GAGAACGGATCCTGAGTCAC-3')を 使用してPCR(配列については、Ala-Kokko et al.Biochem .J260:509-516( 1989)を参照)により合成した。PCR断片の5’末端に、ClaIとNotI部 位を作製した。pBluescript−SM38/BをClaIとBamHI で消化して、この消化物からの断片と 5’PCR断片をT4 リガーゼで連結して、プラスミドpBluescrip t−SM38/11を得た。 プラスミドpBluescript−SM38/11をNotIにより消化し 、NotI−NotIコラーゲン断片(73〜4401塩基対)を酵母発現ベク ターpPIC9(インビトロゲン(InVitrogen))中のα−因子シグナル配列でフ レーム内にクローン化して、プラスミドpPIC9COLIIIを得た。 pHIL−D2/colIII。ColIII遺伝子の3’末端を、翻訳開始コドン の4195塩基対下流(EcoRI部位)から終結コドン(4401塩基対)ま で、pBluescript−SM38を鋳型DNAとして使用して、プライマ ー:5’プライマー(5'-GAAGGTGAATTCAAGGCTGA-3')、および3’プライマー(5'- GCGTCTAGATTATAAAAAGCAAACAGGGCC-3')を使用してPCRにより合成した。pBl uescript−C3A1をEcoRIとXbaIで消化して、大きな断片を 単離し、3’PCR断片をEcoRIとXbaIで消化する。これらの2つの断 片と消化したpBluescript−C3A1ベクターをT4 リガーゼで連 結して、pBluescript−C3A1/10を得た。pBluescri pt−C3A1/10の翻訳開始コドンの16塩基対上流にBg1II部位を作製 し、(ヌクレオチド−16〜4401)からのコラーゲン配列を含有する、pB luescript−C3A1/10からのBglII−XbaI断片をpHIL −D2(インビトロゲン(InVitrogen))のEcoRI部位に連結して、プラスミ ドPHII−D2/colIIを得る。 pAO815β。pYM25をHpaIで消化し、サッカロミセス・セレビッ シェ(Saccharomyces cerevisiae)のARG4遺伝子を含有する断片を単離し、 pAO815(インビトロゲン(InVitrogen))のEcoRV部位にクローン化し てHIS4遺伝子をARG4で置換して、プラスミドpARG815を得た。 ヒト・プロリル4−ヒドロキシラーゼ(Vuori et al.,Proc .Natl.Acad.Sc i.USA 89:7467-7470(1992))のβ−サブユニットのcDNAを、翻 訳開始コドンから終結コドンまでPCRにより合成し、PCR断片の5’末端と 3’末端にEcoRI部位を作製した。pVL1382/_HDEL(Vuorl et al.,1992,EMBO J. 11:4213-4217)を鋳型DNAとして使用して、プライマー :5’プライマー(5'-GGCGAATTCATGCTGCGCCGCGCTCTGCT-3')、および3’プライ マー(5'-GCGGAATTCTTACAGTTCATCGTGCACAGC-3')を使用した。このPCR断片をE coRIで消化し、pBluescriptSKにクローン化して、pBlue scriptSKβ/20を得た。pBluescriptSKβ/20をEc oRIで消化し、この断片をpAO815(インビトロゲン(InVitrogen))のE coRI部位にクローン化して、プロリル4−ヒドロキシラーゼのβ−サブユニ ットの単一の発現カセットを有するプラスミドpAO815βを得た。 pARG815α。プロリル4−ヒドロキシラーゼのα−サブユニットの5’ 末端を、翻訳開始コドンから689塩基対下流(HindIII部位)までPCR により合成し、断片の5’末端にHindIIIとSmaI部位を作製した。pB s(SK−)PA59を鋳型DNAとして使用して、プライマー:5’プライマ ー(5'-GCGAAGCTTCCCGGGATGATCTGGTATATATTA-3')、および3’プライマー(5'-GGA TCTAGTTCAAGAAGCTT-3')を使用した。pA−59(Vuorl et al.,Proc .Natl.A cad.Sci.USA 89:7467-7470(1992))をHindIIIで消化し、大きい断片を単 離し、5’PCR断片と連結してpA−59/15を得た。 α−サブユニットの3’末端を、PCRにより翻訳開始コドンの1373塩基 対(pstI部位)下流から翻訳終結コドンまで合成し、断片の3’末端にSm aIとBamHI部位を作製した。pBs(SK−)PA59を鋳型DNAとし て使用して、プライマー:5’プライマー(5'-AGTGATGTGTCTGCAGGAGGAGC-3')、 および3’プライマー(5'-GCGGGATCCCCCGGGTCATTCCAATTCTGACAACG-3')を使用 した。pA−59/15をPstIとBamHIで消化し、大きい断片を単離し 、3’PCR断片と連結してpA−59/3を得た。pA−59/3をSmaI で消化し、SmaI−SmaI α−サブユニットをpARG815のEcoR I部位にクローン化して、pARG8 15αを得た。 pARG815αβ。pAO815βをBglIIとBamHIで消化して発現 カセットを切り出し、この発現カセットをpARG815αのBamHI部位に クローン化してベクターpARG8l5αβを得た。 pAO815ββ−pAO815αβに類似しているが、ヒト・プロリル4− ヒドロキシラーゼ遺伝子のβ−サブユニットの2つのカセットを含有する。pA O8l5βをBglIIとBamHIで消化して発現カセットを切り出し、この発 現カセットをpARG815αβのBamHI部位にクローン化して、ベクター pARG815αββを得た。 そのシグナル配列のないβ−サブユニットを、PCRにより翻訳開始コドンの 52塩基対下流から翻訳終結コドンまで合成した。5’末端と3’末端にEco RI制限部位を作製した。このPCR断片を、pSP72(プロメガ(Promega) )のEcoRI部位にクローン化した。 2.プロリル4−ヒドロキシラーゼを有する酵母細胞中での組換えコラーゲン遺 伝子の発現 ピヒア・パストリス(Pichia pastoris)宿主株GS200 his4arg 4を、上記プラスミドおよび関連するプラスミドの組合せとともに安定に形質転 換して、以下の組換え株を産生した。 ピヒア・パストリス(P.pastoris)ColIIIαβ−α−MFSSと、ヒト・ プロリル4−ヒドロキシラーゼの両方のサブユニットを有するヒトColIII遺 伝子を有する。 ピヒア・パストリス(P.pastoris)nColIII−ピヒア・パストリス(P.p astoris)nCOLIIIαβに似ているが、未変性のColIIIシグナル配列を使 用する。 ピヒア・パストリス(P.pastoris)αβ−ヒト・プロリル4−ヒドロキシラ ーゼの両方のサブユニットを有する。 ピヒア・パストリス(P.pastoris)αββは、ヒト・プロリル4−ヒドロキ シラーゼを有し、α:β遺伝子比は1:2である。 ピヒア・パストリス(P.pastoris)αは、ヒト・プロリル4−ヒドロキシラ ーゼα遺伝子を含有する。 ピヒア・パストリス(P.pastoris)βは、ヒト・プロリル4−ヒドロキシラ ーゼβ遺伝子を含有する。 第5パラグラフに記載したピヒア・パストリス(P.pastoris)株を、ロータ リーシェーカー中で、OD600が5.0になるまで増殖させた。試料を採取し 、PAGEゲル上に流した。ウェスタンブロット解析を行い、proColIII N−末端ペプチド、ヒト・プロリル4−ヒドロキシラーゼのα−サブユニット とヒト・プロリル4−ヒドロキシラーゼのβ−サブユニットに対する抗体で解析 した。 第6パラグラフで記載したウェスタンブロット解析は、ヒト・コラーゲンIII とヒト・プロリル4−ヒドロキシラーゼの両方が、ピヒア・パストリス(P.pas toris)中で産生されていることを証明した。 ピヒア・パストリス(P.pastoris)中で産生されたヒト・コラーゲンの3重 らせん構造について試験するために、ペプシン消化実験を行った。ほとんどのタ ンパク質はタンパク質分解酵素であるペプシンにより分解されるが、コラーゲン の3重らせん領域はペプシン耐性である。ピヒア・パストリス(P.pastoris) ColIIIαβの細胞溶解物からのコラーゲンをペプシンで消化し、消化産物を SDS−PAGEで分離した。これらの実験の結果は、3重らせんのヒト・コラ ーゲンIIIが組換えピヒア・パストリス(P.pastoris)細胞中で産生されること を示した。 上記のピヒア・パストリス(P.pastoris)株中のヒト・プロリル4−ヒドロ キシラーゼ活性を測定するために、実験を行った。ピヒア・パストリス(P.pas toris)は、内因性のプロリル4−ヒドロキシラーゼ活性は持たない。測定は、 基本的にKivirikko,Methods in EnzmologyVolume 82,pgs.245-302、Acade mic Press、サンディエゴ、カリフォルニア州に記載の14C標識プロリンを用 いて行った。組換え細胞中でプロリル4−ヒドロキシラーゼが見いだされた。 B.実施例12:プロリル4−ヒドロキシラーゼの組換え遺伝子を発現する哺乳 動物細胞中の組換えコラーゲン遺伝子の発現 1.コラーゲン遺伝子を含有する組換えセムリキ森林熱ウイルス(SemlikiFores t Virus)ベクターの構築 pSFVmoXIII:前記pVLmoXIII(Rehn et al.、投稿中;Peltonen et al.、投稿中)について記載したクローンと配列に基づき作製したpBSmoXI II、および真核生物発現ベクターpSFV−1(Liljestrom et al.,Bio/Tech nology 9:1356-1361(1991))を使用して、セムリキ森林熱(Semliki Forest)発 現ベクターを構築した。pBSmoXIIIをEcoRIで消化して、7塩基対の5 ’非翻訳領域と288塩基対の3’非翻訳領域を有する完全長XIII型コラーゲン 変異種を作製し、この断片をクレノウで平滑末端にし、pSFV−1のSmaI 部位にクローン化して、プラスミドpSFVmoXIIIを得た。アンビオン(Ambi on)のメガスクリプト(MEGAscripta)インビトロ転写キットを使用してインビ トロ転写により、pSFVmoXIIIプラスミドを用いてRNAを産生した。べビ ーハムスター腎(BNK)細胞を、Lilegestrom et al.,Current Protocols in Molecular Biology 2:16-20(1991)に記載のように、前記RNAでトランスフェ クトした。SDS−ポリアクリルアミドゲルで分画した細胞抽出物のウェスタン ブロット解析により、BHK細胞中で、マウスXIII型コラーゲンの完全長鎖の合 成を観察した。 高等真核生物の細胞中の他のコラーゲン遺伝子の効率的な発現は、上記セムリ キ森林熱ウイルス(Semliki Forest virus)ベクターに基づくであろう。セムリ キ森林熱ウイルス(Semliki Forest virus)は、広い宿主範囲を有し、上記の哺 乳動物細胞株の感染も可能であるため、ウイルスとして好適である。さらに詳し くは、この系は染色体組込みをベースとしないため、セムリキ森林熱ウイルス( Semliki Forestvirus)は広範囲の宿主に使用でき、従って構造−機能相関の解 明および種々のハイブリッド分子の影響の試験を目的とする研究において、組換 えコラーゲンの修飾物を得るための迅速な方法であろう。さらに、セムリキ森林 熱ウイルス(Semlikl Forest virus)は、高 い組換え発現レベル(10μg/1×106細胞を超える)を与えると予測され る。 HeLa細胞およびワクシニアウイルス(vaccinla virus)ベースの発現系も また、哺乳動物細胞中のコラーゲンの発現に使用でき、好ましくは6つのIV型コ ラーゲン鎖のホモ−およびヘテロ−トリマーアイソフォームとして、IV型コラー ゲンを発現するのに使用されるであろう。 引用したすべての特許、特許出願、および刊行物は、参考のため本明細書に組 み込まれる。 明細書の前記説明は、当業者が本発明を実施することを可能にするものである と考えられる。免疫学、生化学、または関連分野の当業者には明白な、本発明の 実施のための上記方法の種々の改変は、以下の請求の範囲に包含されるものであ る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) //(C12P 21/02 C12N 5/00 C C12R 1:645) (C12P 21/02 C12R 1:91) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S D,SZ,UG),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AU,AZ ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CN,CU, CZ,EE,GE,GH,HU,IL,IS,JP,K G,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LT,LV ,MD,MG,MK,MN,MX,NO,NZ,PL, RO,RU,SG,SI,SK,TJ,TM,TR,T T,UA,US,UZ,VN,YU (72)発明者 ピーラジャニエミ,タイナ フィンランド国 エフアイエヌ―90460 オウルンサロ ナウリスクジャ ルンコテ ィー 1ビー3

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.コラーゲンIV型、V型、VI型、VII型、VIII型、IX型、X型、XI型、XII型、 XIII型、XIV型、XV型、XVI型、XVII型、XVIII型およびXIX型からなる群から選択 されるコラーゲンのポリペプチドの産生方法であって、 a.(i)コラーゲンサブユニットをコードする核酸配列を有するポリヌクレ オチド分子を含む第1の発現ベクターおよび(ii)少なくとも1種のコラーゲン 翻訳後酵素またはそのサブユニットをコードする核酸配列を有するポリヌクレオ チド分子を含む第2の発現ベクターで感染、トランスフェクト、または形質転換 された宿主細胞を培養し、ならびに、 b.前記コラーゲンのポリペプチドを精製する ことを含む、前記方法。 2.宿主細胞が、酵母細胞、植物細胞、昆虫細胞および哺乳動物細胞からなる群 から選択される、請求項1に記載の方法。 3.宿主細胞が、さらに、第2のコラーゲンサブユニットをコードする核酸配列 を有するポリヌクレオチド分子を含む第3の発現ベクターで感染、トランスフェ クト、または形質転換されている、請求項1に記載の方法。 4.宿主細胞が、さらに、第3のコラーゲンサブユニットをコードする核酸配列 を有するポリヌクレオチド分子を含む第4の発現ベクターで感染、トランスフェ クト、または形質転換されている、請求項3に記載の方法。 5.前記コラーゲン翻訳後酵素が、プロリル-4-ヒドロキシラーゼ、リシルオキ シダーゼ、リシルヒドロキシラーゼ、C−プロテイナーゼ、およびN−プロテイ ナーゼからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。 6.コラーゲン翻訳後酵素サブユニットが、プロリル-4-ヒドロキシラーゼのα サブユニットおよびプロリル-4-ヒドロキシラーゼのβサブユニットからなる群 から選択される、請求項1に記載の方法。 7.コラーゲンIV型、V型、VI型、VII型、VIII型、IX型、X型、XI型、XII型、 XIII型、XIV型、XV型、XVI型、XVII型、XVIII型およびXIX型からなる群から選択 されるプロコラーゲンのポリペプチドの産生方法であって、 a.(i)コラーゲンサブユニットをコードする核酸配列を有するポリヌクレ オチド分子を含む第1の発現ベクターおよび(ii)少なくとも1種のコラーゲン 翻訳後酵素またはそのサブユニットをコードする核酸配列を有するポリヌクレオ チド分子を含む第2の発現ベクターで感染、トランスフェクト、または形質転換 された宿主細胞を培養し、ならびに、 b.前記プロコラーゲンのポリペプチドを精製する ことを含む、前記方法。 8.宿主細胞が、酵母細胞、植物細胞、昆虫細胞および哺乳動物細胞からなる群 から選択される、請求項7に記載の方法。 9.宿主細胞が、さらに、第2のコラーゲンサブユニットをコードする核酸配列 を有するポリヌクレオチド分子を含む第3の発現ベクターで感染、トランスフェ クト、または形質転換されている、請求項7に記載の方法。 10.宿主細胞が、さらに、第3のコラーゲンサブユニットをコードする核酸配 列を有するポリヌクレオチド分子を含む第4の発現ベクターで感染、トランスフ ェクト、または形質転換されている、請求項9に記載の方法。 11.前記コラーゲン翻訳後酵素が、プロリル-4-ヒドロキシラーゼ、リシルオ キシダーゼおよびリシルヒドロキシラーゼからなる群から選択される、請求項7 に記載の方法。 12.コラーゲン翻訳後酵素サブユニットが、プロリル-4-ヒドロキシラーゼの αサブユニットおよびプロリル-4-ヒドロキシラーゼのβサブユニットからなる 群から選択される、請求項7に記載の方法。 13. a.(i)コラーゲンサブユニットをコードする核酸配列を有するポリ ヌクレオチド分子を含む第1の発現ベクターおよび(ii)少なくとも1種のコラ ーゲン翻訳後酵素またはそのサブユニットをコードする核酸配列を有するポリヌ クレオチド分子を含む第2の発現ベクターで感染、トランスフェクト、または形 質転換された宿主細胞を培養し、ならびに、 b.コラーゲンポリペプチドを精製する ことを含む方法にしたがって製造された、コラーゲンIV型、V型、VI型、VII型 、VIII型、IX型、X型、XI型、XII型、XIII型、XIV型、XV型、XVI型、XVII型、X VIII型およびXIX型からなる群から選択されるコラーゲンのポリペプチド。 14.宿主細胞が、酵母細胞、植物細胞、昆虫細胞および哺乳動物細胞からなる 群から選択される、請求項13に記載のコラーゲンのポリペプチド。 15.宿主細胞が、さらに、第2のコラーゲンサブユニットをコードする核酸配 列を有するポリヌクレオチド分子を含む第3の発現ベクターで感染、トランスフ ェクト、または形質転換されている、請求項13に記載のコラーゲンのポリペプ チド。 16.宿主細胞が、さらに、第3のコラーゲンサブユニットをコードする核酸配 列を有するポリヌクレオチド分子を含む第4の発現ベクターで感染、トランスフ ェクト、または形質転換されている、請求項15に記載のコラーゲンのポリペプ チド。 17.前記コラーゲン翻訳後酵素が、プロリル-4-ヒドロキシラーゼ、リシルオ キシダーゼ、リシルヒドロキシラーゼ、C−プロテイナーゼ、およびN−プロテ イナーゼからなる群から選択される、請求項13に記載のコラーゲンのポリペプ チド。 18.コラーゲン翻訳後酵素サブユニットが、プロリル-4-ヒドロキシラーゼの αサブユニットおよびプロリル-4-ヒドロキシラーゼのβサブユニットからなる 群から選択される、請求項13に記載のコラーゲンのポリペプチド。 19.前記ポリペプチドがグリコシル化されていない、請求項13に記載のコラ ーゲンのポリペプチド。 20.前記ポリペプチドが部分的に脱グリコシル化されている、請求項13に記 載のコラーゲンのポリペプチド。 21.(i)コラーゲンサブユニットをコードする核酸配列を有するポリヌクレ オチド分子を含む第1の発現ベクターおよび(ii)少なくとも1種のコラーゲン 翻訳後酵素またはそのサブユニットをコードする核酸配列を有するポリヌクレオ チド分子を含む第2の発現ベクターで感染、トランスフェクト、または形質転換 されている宿主細胞。 22.前記宿主細胞が、さらに、第2のコラーゲンサブユニットを含む第3の発 現ベクターで感染、トランスフェクト、または形質転換されている、請求項21 に記載の宿主細胞。 23.前記宿主細胞が、さらに、第3のコラーゲンサブユニットを含む第4の発 現ベクターで感染、トランスフェクト、または形質転換されている、請求項22 に記載の宿主細胞。
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