JP2000507936A - アンモニウム化合物および/または尿素の新規用途 - Google Patents

アンモニウム化合物および/または尿素の新規用途

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Abstract

(57)【要約】 人工栄養乳またはパンがゆへの添加物としての、または乳児突然死症候群(sudden infant death syndrome,SIDS)の予防用医薬組成物を製造するための生理的に無毒性のアンモニウム化合物および/または尿素の使用を開示する。また、慣用の成分に加えて、生理的に無毒性のアンモニウム化合物および/または尿素を含有する人工栄養乳またはパンがゆを開示する。さらに、上記人工栄養乳またはパンがゆを乳児に投与することからなるSIDSの予防方法、および生理的に無毒性のアンモニウム化合物および/または尿素を含有する医薬組成物を乳児に投与する、あるいは適切に選択または修飾された非病原性のウレアーゼ産生細菌を乳児の胃腸管に供給することからなるSIDSの予防方法を開示する。最後に、SIDSの危険を診断する方法を開示する。該方法によれば、乳児の糞便を、SIDSの危険を示す、尿素、ウレアーゼ活性および/またはアンモニウムイオンの存在、尿素の存在、ウレアーゼ活性の欠如または異常低活性、およびアンモニウムイオンについてそれぞれ分析する。

Description

【発明の詳細な説明】 アンモニウム化合物および/または尿素の新規用途 本発明は、生理的に無毒性のアンモニウム化合物および/または尿素の新規な 用途、人工栄養乳(infant formula)またはパンがゆ(pap)および揺りかご死(cotd eath)の防止または予防方法に関する。 「揺りかご死」(cot death)または「乳児突然死症候群」(Sudden Infant Death Syndrome,SIDS)と呼ばれる現象はこれまで十分な説明がなされていなか った。 この症候群は、それ以前は明らかに健康な約3〜5か月の月齢の子供がかかり 、大抵の場合、睡眠中に死亡しているのを親が発見する。本発明者が知る限り、 目覚めていると考えられる子供が突然死亡するというSIDSのケースはほとん ど報告されていない。逆に、子供が正常に目覚めていた後、そしてあるケースで は睡眠に入る前に感覚器が比較的よく刺激されていた後に、睡眠に入り、非常に 静かに眠っているというのが一般的なパターンだと思われる。一般に、死亡前に 低酸素症(チアノーゼ)の徴候が観察されたことはない。しかしながら、あるケ ースでは、剖検で慢性低酸素症の徴候がみとめられたことが報告されている[Hun t C E,Clin Perinatol,19,757-771(1992)]。さらに、臨床的に呼吸不全が観 察された子供もおり、時にはSIDSで死んだ子供の兄弟および姉妹にも呼吸不 全が観察されたという報告がなされたこともある。最近、6カ月未満の子供の親 は子供を仰向けで寝かせることを勧められている。なぜなら、この勧めに従った とき、SIDSの発生率が低下したという結果が明らかになったからである。ベ ッドでの仰向けの姿勢が、高い室温に最もよく耐えうる姿勢であることを示す最 近の結果が発表されている[Ponsonby A-L et al,N Engl J Med,329,377-382( 1993)]。 本発明は、哺乳類の代謝に関する、特定の観察およびこれまでに発表された学 説に基づく、SIDSの原因に関する新たな仮説から生まれた。 動物やヒトが生存可能であるためには、酸塩基平衡が保たれるように体の機能 が調節される必要がある。換言すれば、細胞内、細胞外液中および細胞小器官内 は正常なpH値でなければならない。もしそうでない場合は、まずわずかな機能 的不全が起こり、次いで疾病が増加し、最終的には構造、細胞および生物全体の 死が起こる。例えば、細胞外液のpH値(通常は7.40)が7.55より高い かまたは7.20より低いとき、幾つかの疾患における死亡率が増加することが 知られている。 この10年間で酸塩基平衡に関する見解はほとんど変わっていない。しかしな がら、1980年代に、Atkinsonと共同研究者ら[Atkinson D E et al,Curr To p Cell Regul,21,261-302(1982)]は、従来より知られていたが、生理学者や医 師の間では受け入れられなかった、哺乳類の代謝は主な代謝産物として二酸化炭 素、水および尿素を産生するだけでなく、炭酸水素塩(hydrogen carbonate)も産 生するという事実に対して再度注意を喚起した。彼の学説はまた、炭酸水素塩を 産生することによる代謝、中でもアミノ酸代謝を経由する代謝は、代謝最終産物 である二酸化炭素と水を生じるためにプロトンが供給される必要があり、このプ ロセスは量的な理由によりオルニチン回路を経由する必要があることを意味した 。この学説に対する反論の一つは、もしそのような重要なライフプロセスが機能 しなければ、問題になっている動物またはヒトは速やかに死ぬはずであるという ことである。しかしながら、Atkinsonにより提唱されたこのようなシステムの機 能の欠如はそれまで指摘されたことがなく、ましてや証明されたこともなかった 。それが彼の学説の欠陥の一つである。 上記の酸塩基系が起こり得る機能不全であることが、呼吸不全で説明すること ができるSIDSの一部の原因かもしれないという仮説が本発明の基礎となって いる。 上記仮説の基本的な原理は、内因的に産生された炭酸水素塩の不完全なプロト ン化が、Atkinsonによれば、速やかに進行性のアルカリ化をもたらし、それがこ の状態について知られているように、進行性の低換気、すなわち、呼吸不全に至 らしめるのかもしれないということである。炭酸水素塩濃度の増加は、低換気の 生理学的結果の一つであるPCO2が代償的に増加することで確かに打ち消され る。 低換気の他方の結果は、相対的な低酸素血症(通常、小さな子供では酸素飽和 曲線が左に移動しているため、特に著しく低いヘモグロビンの動脈酸素ガス飽和 度ではない)およびその後の二次的な乳酸アシドーシス(lactic acid acidosis )である。従って、これは組み合わされて、pH値の上昇をもたらし、代謝性ア ルカローシスをもたらす。これは、既に述べた乳酸アシドーシスのように、高炭 酸ガス症により最終的に部分的に代償されるだけである。従って、炭酸水素塩の 蓄積およびそれによって起こるアルカローシスが、このプロセスを独占する。従 って、部分的に代償されるだけの代謝性アルカローシスは、すでに左に移動して いる胎児ヘモグロビンのHb解離曲線をさらに増加させる。O2解離曲線に対す るこの効果に加えて、起こり得る体温の上昇はPCO2に影響を及ぼし、従って PCO2が増大し、その結果、進行性の呼吸低下に寄与する。この結果は、増大 するそして最終的には重篤な代謝性アルカローシスであり、それはさらに、動脈 酸素ガス飽和度が比較的良好で、従ってチアノーゼがないにもかかわらず、呼吸 低下、高炭酸ガス症および低酸素症を特に末梢組織で生じさせる。 最終的に、進行性の酸塩基移動(acid-base displacement)および低酸素症のた め呼吸中枢は正常に機能することができず、睡眠中はしばしば子供が暖かすぎる こととも組合わさって(高温はPCO2を増大させる)、このような小さな子供 では低酸素症時の呼吸衝動が機能しない結果、さらに重篤な低酸素症が生じる。 最終的な結果は死であり、これを医師はSIDSと診断する。 子供の炭酸水素イオンの不完全なプロトン化は、肝臓でのアンモニウムイオン の不完全な供給の効果かもしれない。これは、人工栄養乳中の尿素の天然含有量 の欠乏によるのかもしれないし、あるいは母乳中の尿素の豊富な供給量(しばし ば母親の血漿中の2倍である)が正常な方法でアンモニウムイオンに代謝されな いという事実によるのかもしれない。この尿素の分解は通常、新生児の最初は無 菌の腸に徐々にコロニーを形成するウレアーゼ産生細菌によって胃腸管内で起こ る。この細菌のコロニー形成は通常、生後何週間かの間に起こるが、本発明の仮 説によれば、SIDSを引き起こす呼吸不全にかかる子供では、他の方法により これが遅れるか、阻害されるか、または不十分であると考えられる。 母乳がかなりの量の尿素を含有することがよく知られている。また、母乳中の 蛋白質に結合していない窒素の含有量が、母乳中の尿素の含有量に対応する量よ りかなり高いことも知られている。この尿素がある程度(約20%)まで、α− アミノ窒素化合物、すなわち、アミノ酸および蛋白質の形成に基質として利用さ J,Gerok W,Sies H;"pH homeostasis,mechanisms and control"の"Hepatic Press Ltd,London(1988),pp 337-377]は、門脈領域からの(特にアシドーシス 時の)アンモニウム窒素が肝臓でグルタミンの合成に利用される得ることを実験 により示した。また、集中治療室の医師によって、静脈内および経口的に補給さ れた塩化アンモニウムが塩基過剰値を低下させ、従って、このような補給が代謝 性アルカローシスの治療の常用の手段として用いられることも知られている。治 療される患者が自身で呼吸しているとき、アンモニウムの補給はいわゆる代償性 過換気を生じさせるだろう。本発明者は、80mmolの塩化アンモニウムを自 身に経口投与し、それにより、この物質が明らかに非常に速やかに胃腸管から吸 収され、わずかな過換気をもたらし、その結果、RQ(「呼吸商」(Respiratory Quotient)=人の二酸化炭素呼出量と酸素ガス吸収量の間の商−いずれの場合も ml/分で表す)を、休息時0.82〜0.87の値から増加させ、二酸化炭素 排出量を30ml/分増加させ、これは1時間近く続くと思われ、そしてそれは 約80mmolの二酸化炭素に対応することを証明することができた。さらに、 死亡したSIDS患者の硝子体中の尿素濃度を、同月齢の他の原因により死亡し た子供の剖検材料と比較した報告がある[Blumenfeld T A,et al,Am J Clin Pathol,71,219-223(1979)]。SIDSで死亡した子供は他の原因で死亡した 子供と比べて尿素値が低いと思われる。尿素とアンモニウムイオンの正常な腸肝 循環は、仮説によればこれらのケースでは機能していないので、これは尿素の産 生が通常より低いという結果になるはずである。そして分布容積は同じなので、 これは種々の体液中での濃度が低下することを意味する。従って、見い出された 低濃度の尿素は本明細書で提案した仮説と矛盾しない。 SIDSの犠牲者からのある剖検材料においては、前述のように慢性低酸素症 の徴候が認められた。一方で、後にSIDSで死亡した子供が、死亡前にチアノ ーゼの形で低酸素症の臨床上の徴候を示していたとする報告はないようだ。これ らの知見は、左に移動した酸素ガス解離曲線はより簡単によく酸素ガス飽和され たヘモグロビンを与えるが、これはまた末梢において酸素ガスを利用することを 非常により困難にし、極端な状況ではそこで組織低酸素症を起こしかねないとい う事実とよく一致する。確かに、アルカローシスは乳酸アシドーシスによって部 分的に打ち消されるが、この代償機構もまた炭酸水素塩の腎排泄と同様に、最終 的には不十分と考えられることが予測されるかもしれない。Atkinsonによれば、 大量の炭酸水素塩の内因性産生は非常に大量なため、わずか1日か数日間、正常 なプロトン化が欠如すれば致命的なアルカローシスをもたらすであろうことを念 頭におくべきである。 SIDSで死亡した子供は眼の硝子体中の尿素濃度が低いという引用した知見 は、おそらくこのグループの子供が他の子供に比べて、肝臓でより少ない量の尿 素を形成することを示すだろう。これは、従って、腸内での尿素からアンモニウ ムイオンへの細菌による変換が欠損しているか、および/またはSIDSの犠牲 者の蛋白質異化作用が他の子供に比べて低いことを示しているのかもしれない。 しかしながら、初乳は数週間後の母乳に比べてかなり少ない尿素を含有するとい う事実は、新生児と母乳の組成の間に順応性があることを示す。母乳の摂取量が 徐々に増加するという事実を考慮すれば、尿素の一日当たりの摂取量も増加する 。これまで、アンモニウムイオンの摂取に関する発表はなく、腸内で産生された アンモニウムイオンの量および子供の年齢によりそれがどのように変化するかに 関 する発表もないと思われる。 しかしながら、アンモニウムイオンの24時間当たりの尿排泄は生後6週間の 間にかなり減少し、同時に尿素の尿排泄が増加することが知られている。生後6 週間の間に子供の毛細血管内のpHと塩基過剰が徐々に増加することも観察され ている。従って、分娩直後の母親の母乳はアンモニア/アンモニウムイオンも含 有する可能性が高い。そのような場合、これは進行性アルカローシスに対する防 御となり得る。本発明者により行われた3つのケースの試験的研究では、初期( 2〜4週)の母乳は400〜500μmol/lのアンモニア/アンモニウムイ オンと5〜6mmol/lの尿素を含有することが示された。アンモニウムイオ ン含有量は4〜5カ月後、25〜75μmol/lに減少した。 上記の仮説に基づき、本発明は、一つの側面によれば、人工栄養乳またはパン がゆへの添加物としての、またはSIDSの予防用医薬組成物を製造するための 生理的に無毒性のアンモニウム化合物および/または尿素の使用に関する。 本発明の別の側面によれば、慣用の成分に加えて、生理的に無毒性のアンモニ ウム化合物および/または尿素を生理的に無毒性で且つSIDSの予防に有効な 濃度で含有することを特徴とする人工栄養乳またはパンがゆが提供される。 本発明の別の側面によれば、生理的に無毒性のアンモニウム化合物および/ま たは尿素が生理的に無毒性で且つSIDSの予防に有効な濃度で添加されている 人工栄養乳またはパンがゆを、乳児に投与することからなる、SIDSの予防方 法が提供される。 本発明のさらに別の側面によれば、生理的に無毒性のアンモニウム化合物およ び/または尿素を生理的に無毒性で且つSIDSの予防に有効な濃度で含有する 医薬組成物を、乳児に投与することからなる、SIDSの予防方法が提供される 。 本発明のさらに別の側面によれば、適切に選択および/または修飾された非病 原性のウレアーゼ産生細菌を乳児の胃腸管に投与することからなる、SIDSの 予防方法が提供される。 本発明のさらに別の側面によれば、乳児の糞便を、SIDSの危険を示す、尿 素、ウレアーゼ活性および/またはアンモニウムイオンの存在、完全な尿素(in tact urea)の存在、ウレアーゼ活性の欠如または異常低活性、およびアンモニ ウムイオン濃度についてそれぞれ分析することからなる、乳児におけるSIDS の危険を診断する方法が提供される。 本発明に従って、人工栄養乳またはパンがゆに添加すべき尿素の量を算出する とき、本発明によれば、天然の母乳の組成から始めるのが適当であることが見い だされた。しかしながら、この場合、天然の母乳と同様に人工栄養乳は生後何週 間かはやや少ない量の尿素を含有し、その後は幾らか多く尿素を含有すべきであ る。 アンモニウム化合物については、状況は多少複雑である。天然の母乳は初め4 00〜500μmol/lを含有し、この濃度は徐々に減少する。他方、もし新 生児の欠陥のある腸内微生物叢が尿素からアンモニウムイオンを産生しなければ 、アンモニウムイオン含有量は天然の尿素濃度の等モル〜2倍モルであるはずと 考えるのが自然だろう。さらに、成人(そして小さな子供もそうである可能性が 高いが)はアンモニウムイオン−尿素の腸肝循環を有することが知られている。 この機構によって、経口的に補給されたアンモニウムイオンはある程度(50〜 75%)まで制限を受ける[Wheeler R A,et al,J Pediatr Surg,26,575-577 (1991)]。 上記の考察に基づき、本発明による使用の実施態様は、適当であれば、アンモ ニウム化合物および尿素をそれぞれ、0.2〜0.6mmol/l、好ましくは 約0.5mmol/lの濃度で、および1〜5mmol/l、好ましくは約2m mol/lの濃度で、生後1か月の間の乳児に投与するために用意され、投与す ることが意図されている人工栄養乳に添加することを特徴とする。 本発明による使用のもう一つの実施態様は、同じ考察に基づき、適当であれば 、アンモニウム化合物および尿素をそれぞれ、0.1〜5mmol/l、好まし くは0.5〜2mmol/lの濃度で、および1〜10mmol/l、好ましく は4〜6mmol/lの濃度で、生後2〜7か月の間の子供に投与するために用 意 され、投与することが意図されている人工栄養乳に添加することを特徴とする。 これらのいずれの実施態様においても、もし子供が診断で腸内微生物叢にウレ アーゼ産生細菌が欠如することがわかった場合、アンモニウム化合物を主として 添加すべきであり、この場合、尿素を省くことが有利である。一方、尿素単独の 補給は子供が腸内微生物叢に上記のタイプの細菌を有するときに行うことができ る。それぞれの物質は、この両方の場合、上記の範囲の高濃度部分で用いること ができる。しかしながら、アンモニア化合物および尿素はまた、同時に投与する こともでき、この場合、これらの物質はそれぞれの濃度範囲の低濃度部分で用い られる。 本発明による人工栄養乳またはパンがゆは、液状の形態で子供に経口的に与え ることを意図しているが、好ましくは、人工栄養乳またはパンがゆが通常そうで あるように、水と混合することが意図された粉末の形態で市販される。 本発明による人工栄養乳またはパンがゆを、キット中の複数成分系として構成 することはそれ自体で十分に可能である。例えば、キットは慣用の組成を有する 人工栄養乳またはパンがゆの粉末、および一またはそれ以上の別個のパッケージ 中に生理的に無毒性のアンモニウム化合物および/または尿素を含み、該粉末を まず適当な量の水に入れて攪拌し、次いでそこにアンモニウム化合物および/ま たは尿素を入れて攪拌するか、あるいはこれらの成分を逆の順番で水に入れて攪 拌する。 しかしながら、好ましくは、アンモニウム化合物および/または尿素は、慣用 の方法によって行われ得る人工栄養乳またはパンがゆの製造において、人工栄養 乳またはパンがゆの他の成分と混合され、通常は粉末の形態の製品として製造さ れる。この場合、製品に混入するアンモニウム化合物および/または尿素の量は 、粉末を所定量の水に入れ攪拌した後、アンモニウム化合物および尿素をそれぞ れ上記の濃度で含有する液状製品が得られるように調整される。 本発明に従って用いられるアンモニウム化合物は、好ましくは塩化アンモニウ ムであるが、意図された用途に必要とされる水中での安定性および溶解性を有す る生理的に無毒性のアンモニウム化合物も本発明に関して使用することができる 。慣用の人工栄養乳またはパンがゆへの添加物として塩化アンモニウムを使用す るとき、含有されている他の成分からの塩化物の総含有量への寄与を考慮に入れ なければならないので、最終的な人工栄養乳/パンがゆ中の塩化物イオンの総濃 度が好ましくは10〜15mmol/lの範囲内となるように、添加する塩化ア ンモニウムの量を調整する。このレベルを大きく越えないように、おそらく、人 工栄養乳/パンがゆの慣用の塩化物含有成分のいずれかの量を減らす必要がある だろう。 本発明に従って、生理的に無毒性のアンモニウム化合物および/または尿素が 生理的に無毒性で且つSIDSの予防に有効な濃度で添加されている人工栄養乳 またはパンがゆは、SIDSを予防するために食事毎に子供に投与するのが適当 である。 しかしながら、SIDSの予防は、生理的に無毒性のアンモニウム化合物およ び/または尿素を生理的に無毒性で且つSIDSの予防に有効な濃度で含有する 医薬組成物を、乳児に投与することで十分に可能である。このようにしてSID Sの予防を達成することは、子供が母親の母乳だけを与えられている場合に特に 重要である。 乳児がSIDSにかかる危険を調べるために、および早期に予防処置を開始す るために、全ての新生児(なかでも、特に危険グループである早産児および/ま たは帝王切開で生まれた子供)は、決まりごととして、糞便にアンモニウムイオ ンおよび尿素が含まれているか否か、および/またはウレアーゼ活性を示すか否 かの管理をすべきであり、この代謝産物が欠如することがわかった子供はアンモ ニウムイオンを経口的に補給しなければならない。 SIDSを予防するために、母乳の天然の含有物である尿素から、または人工 栄養乳に生理的な量で添加されている尿素からアンモニウムイオンを産生する非 病原性のウレアーゼ産生細菌を乳児の胃腸管に投与することもまた意図されてい る。本発明において、細菌が非病原性でなければならないという規定は、乳児の 健康に危険を引き起こさないように細菌培養物が選択および/または修飾されて いる、すなわち、子供に対する感染の危険と毒素が除かれていることを意味する 。 以下に、本発明を幾つかの実施例によりさらに説明するが、これは本発明を限 定すると解釈すべきではない。 実施例1 塩化アンモニウム(26.5mg)および尿素(120mg)を水(0.9L )に攪拌しながら溶解する。誕生から6か月まで(6か月を含む)の乳児用の粉 末形態の人工栄養乳/母乳補助栄養剤(supplement to the mother's milk)(Sven ska L)をこの溶液に攪拌しながら添加して、均一な分散液を形成させる。このよう にして得られた生成物は、適当な混合の後、月齢0〜6か月の乳児に投与するた めの人工栄養乳/母乳補助栄養剤を構成する。 実施例2 塩化アンモニウム(106mg)および尿素(300mg)を水(0.9L) に攪拌しながら溶解する。月齢2か月からの子供用の粉末形態の人工栄養乳/母 (130g,約0.3L)をこの溶液に約60℃の温度で攪拌しながら添加し、 均一な分散液を形成させる。このようにして得られた生成物は、適当な混合の後 、月齢2か月からの乳児に投与するための人工栄養乳/母乳補助栄養剤を構成す る。 実施例3 塩化アンモニウム(106mg)および尿素(300mg)を水(0.9L) に攪拌しながら溶解する。月齢4か月からの子供用の粉末形態のパンがゆベース 約0.4L)をこの溶液に約45℃まで加温し攪拌しながら添加し、均一な分散 液を形成させる。このようにして得られた生成物は、適当な混合の後、月齢4か 月からの子供に投与するためのパンがゆを構成する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/62 G01N 33/62 A 33/84 33/84 Z

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 人工栄養乳またはパンがゆへの添加物としての、または乳児突然死症候群 (SIDS)の予防用医薬組成物を製造するための生理的に無毒性のアンモニウ ム化合物および/または尿素の使用。 2. アンモニウム化合物および尿素がそれぞれ、適当であれば、0.2〜0. 6mmol/l、好ましくは約0.5mmol/lの濃度で、および1〜5mm ol/l、好ましくは約2mmol/lの濃度で、生後1か月の間の乳児に投与 するために用意され、投与することが意図されている人工栄養乳に添加される請 求項1記載の使用。 3. アンモニウム化合物および尿素がそれぞれ、適当であれば、0.1〜5m mol/l、好ましくは0.5〜2mmol/lの濃度で、および1〜10mm ol/l、好ましくは4〜6mmol/lの濃度で、生後2〜7か月の間の子供 に投与するために用意され、投与することが意図されている人工栄養乳に添加さ れる請求項1記載の使用。 4. 慣用の成分に加えて、生理的に無毒性のアンモニウム化合物および/また は尿素を生理的に無毒性で且つSIDSの予防に有効な濃度で含有することを特 徴とする人工栄養乳またはパンがゆ。 5. 粉末の形態である請求項4記載の人工栄養乳またはパンがゆ。 6. アンモニウム化合物が塩化アンモニウムである請求項4記載の人工栄養乳 またはパンがゆ。 7. 生理的に無毒性のアンモニウム化合物および/または尿素が生理的に無毒 性で且つSIDSの予防に有効な濃度で添加されている人工栄養乳またはパンが ゆを、乳児に投与することからなる、SIDSの予防方法。 8. 生理的に無毒性のアンモニウム化合物および/または尿素を生理的に無毒 性で且つSIDSの予防に有効な濃度で含有する医薬組成物を、乳児に投与する ことからなる、SIDSの予防方法。 9. 適切に選択および/または修飾された非病原性のウレアーゼ産生細菌を乳 児の胃腸管に投与することからなる、SIDSの予防方法。 10. 乳児の糞便を、SIDSの危険を示す、尿素、ウレアーゼ活性および/ またはアンモニウムイオンの存在、完全な尿素の存在、ウレアーゼ活性の欠如ま たは異常低活性、およびアンモニウムイオンについてそれぞれ分析することから なる、乳児におけるSIDSの危険を診断する方法。
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