JP2000504204A - ヒト癌胎児性抗原に対する特異的結合メンバー;材料および方法 - Google Patents

ヒト癌胎児性抗原に対する特異的結合メンバー;材料および方法

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Abstract

(57)【要約】 ヒト癌胎児性抗原(CEA)に1.0 ×10-8M未満の解離定数で結合し、ヒト肝細胞と実質的に非交差反応性であり、ヒト癌胎児性抗原のA3−B3細胞外ドメインに結合しそして/または可溶性ヒト癌胎児性抗原よりも細胞性ヒト癌胎児性抗原に優先的に結合する、特に有利な特異的結合メンバーについての配列情報および結合情報が提供される。それらは特に腫瘍細胞などの細胞によるCEA発現の測定に有用である。

Description

【発明の詳細な説明】 ヒト癌胎児性抗原に対する特異的結合メンバー;材料および方法 本発明は、ヒト癌胎児性抗原(CEA)に対する特異的結合メンバー並びにそ れに関連した材料および方法に関する。 CEAは、多数のヒト癌腫において発現が増加する腫瘍関連糖タンパク質であ る。CEAは広く使用されている臨床上の腫瘍マーカーであり、それに対して惹 起された抗体は画像診断(Goldenberg,D.M.,Int.J.of Biol.Markers 1992 ,7:183-188)および療法(例えばLedermann 他,Int.J.Cancer 1991,47:659 -664 )に利用されている。CEAは免疫グロブリンスーパーファミリーの1員 であり、正常組織上に見つかる他の抗原メンバー、例えば正常交差反応性抗原( NCA)との相同性を有する(Buchegger,F.他,1984,Int.J.Cancer 33:64 3-649 )。 多数のマウス抗CEA抗体はCEA上の或る範囲のエピトープに結合して存在 し(Hammarstrom 他,1989,Cancer Res.49:4852-4858)、そしてヒトファージ 表示ライブラリーからヒト抗CEA抗体が単離されている(A.D.Griffiths他, EMBO J.12,725-734,1993;A.D.Griffiths 他,EMBO J.13,3245-3260,199 4;WO 93/11236 )。本発明は、CEAに対して10 nM(1×10-8M)未満の解 離定数を有するヒト抗CEA抗体の最初の例と、NCAを発現しない細胞型また は正常ヒト肝細胞系と交差反応しない最初のそのようなヒト抗CEA抗体を獲得 した発明から端を発する。 本明細書中では、大規模な万能ファージ表示ライブラリーをヒトCEAに特異 的なヒト抗体の入手源として使用できることが示される。次いで、改善された性 質を有するヒトCEAに対するヒト抗体 を様々な方法で工作することができる。実施例1には、いかにしてヒト抗CEA 抗体のVHドメインとVLドメインの相補性決定領域(CDR)のオリゴヌクレ オチド指令突然変異誘発によってヒト抗CEA抗体の親和力を高めることができ るかが実証される。例えば、或るライブラリーから得た抗体のVHドメインを別 のライブラリーからのVLドメインと組み合わせ、かくして各VHドメインにつ いて試験されるVLパートナーのプールを拡大するという、抗体鎖入替え(shuf fling)の使用も証明される。実施例1は更に、親抗体に比較して変更された或 る範囲の正常組織に対する特異性を有する新規抗体を作製するための、前記方法 、またはオリゴヌクレオチド突然変異誘発とVL鎖入替えの組合せの使用も実証 する。この新規抗体は親抗体に比較して改善されたヒトCEAに対する親和力も 有する。この方法を使って、特異的腫瘍ターゲティング剤としてのそれの潜在能 力を高めるような形で元の抗体の特異性を変更できることも証明される。VHと VLの特定組合せを使うと、正常ヒト肝細胞系に対する交差反応性が大きく減少 する。 癌の治療や診断における抗CEA抗体の使用は多くの特許〔例えばMatsuokaお よびKuroki(1989)特許第4871834 号;Buchegger およびMach(1991)JP特許第 5047507 号;Chester 他(1995)WO 95/15341 号〕の主題である。本明細書に開 示されるヒト抗体は、それらがヒト抗マウス抗体(HAMA)応答を持たないので反 復処置の使用を可能にするという利点のために、同様な用途に有益であるだろう 〔Schroff他(1985)Cancer Res.45: 879-885; DeJager他(1988)Proc.Am.A ssoc.Cancer Res 29:377〕。HAMA応答は、治療量の減少をもたらす投与抗体の 中和から、アレルギー反応、血清病および腎障害に至るまでの範囲の効果を有す る。 ヒトCEAに対するヒト抗体はヒト腺癌のマウス異種移植片モデ ルにおいて腫瘍限局化に有効であることが本明細書中で示される。 用語法特異的結合メンバー これは、互いに結合特異性を有する一対の分子(分子ペア)のメンバーを表す 。特異的結合ペアの各メンバーは天然から誘導してもよくまたは完全もしくは部 分合成により製造されてもよい。分子ペアの一方のメンバーは、分子ペアの他方 のメンバーの特定の空間的および極性的構造に特異的に結合し、従って該特定構 造に相補的である、表面上の一領域またはキャビティを有する。よって分子ペア の両メンバーは互いに特異的に結合する性質を有する。特異的結合ペアの型の例 は、抗原−抗体、ビオチン−アビジン、ホルモン−ホルモンレセプター、レセプ ター−リガンド、酵素−基質である。本出願は抗原−抗体型反応と関係がある。抗体 これは、天然のものであるかまたは部分もしくは完全合成により製造された免 疫グロブリンである。この用語は、抗体結合ドメインであるかまたはそれと相同 である結合ドメインを有する、任意のポリペプチドまたはタンパク質も包含する 。それらは天然源から誘導することができ、または部分的にもしくは完全に合成 してもよい。抗体の例は免疫グロブリンイソタイプおよびそれらのイソタイプサ ブクラス;抗原結合ドメインを含んで成る断片、例えばFab,scFv,Fv,dAb,Fd ;並びにダイアボディである。 モノクローナル抗体および他の抗体の形を取り、そして元の抗体の特異性を保 持している別の抗体またはキメラ抗体を生産するために組換えDNA技術を使用 することも可能である。そのような技術は、或る抗体の免疫グロブリン可変領域 または相補性決定領域 (CDR)をコードするDNAを、別の免疫グロブリンの定常領域 または定常領域+フレームワーク領域に導入することを伴ってもよい。例えば、 EP-A-184187 、GB-2188638A またはEP-A-239400 を参照のこと。ハイブリドーマ または抗体を産生する他の細胞を遺伝的変異または他の変異にかけることができ るが、そのような変異は生産される抗体の結合特異性を変えても変えなくてもよ い。 抗体は様々な方法で変更することができるので、「抗体」という語は、必要な 特異性を持つ結合ドメインを有するどんな特異的結合メンバーまたは物質でも包 含すると解釈すべきである。従って、この用語は抗体断片、抗体の誘導体、機能 的等価物および同族体を包含し、天然のものにせよ完全にもしくは部分的に合成 のものにせよ、免疫グロブリン結合ドメインを含んで成る任意のペプチドを包含 する。従って、別のポリペプチドに融合された免疫グロブリン結合ドメインまた は等価物を含んで成るキメラ抗体も含まれる。キメラ抗体のクローニングおよび 発現は、EP-A-0120694とEP-A-0125023に記載されている。 完全抗体の断片が抗原結合機能を果たし得ることも証明されている。結合性断 片の例は(i)VL,VH,CLおよびCHlドメインから成るFab断片;(ii )VHドメインとCHlドメインから成るFd断片;(iii)単一抗体のVLド メインとVHドメインから成るFv断片;(iv)VHドメインから成るdAb断 片〔Ward,E.S.他,Nature 341,544-546 (1989)〕;(v)単離されたCDR領 域;(vi)2つの連結されたFab断片を含んで成る二価断片であるF(ab’)2; (vii)VHドメインとVLドメインを会合させて抗原結合部位を形成できるよ うにするペプチドリンカーによってVHドメインとVLドメインが連結されてい る一本鎖Fv分子(scFv)〔Bird他,Science,242,423-426 (1988); Huston他 ,PNAS USA,85,5879-5883 (1988)〕;(viii)二特異性一本鎖Fv二量体(PC T/ US92/09965);および(ix)遺伝子融合により作製された多価または多特異性断 片「ダイアボディ」(WO94/13804; P.Holliger 他,Proc.Natl.Acad.Sci.U SA 90,6444-6448,1993)である。 ダイアボディは、各ポリペプチドが免疫グロブリン軽鎖の結合領域を含んで成 る第一ドメインと免疫グロブリン重鎖の結合領域を含んで成る第二ドメインを含 んで成り、この2つのドメインは(例えばペプチドリンカーによって)連結され ているが互いに会合して抗原結合部位を形成することはできない、ポリペプチド の多量体である。抗原結合部位は、多量体中の1つのポリペプチドの第一ドメイ ンと該多量体中の別のポリペプチドの第二ドメインとの会合により形成される( WO 94/13804 )。 二特異性抗体を使用する予定であるなら、従来の二特異性抗体であることがで き、それらは様々な方法で製造することができ〔Holliger,P.およびWinter G. Current Opinion Biotechnol.4,446-449 (1993)〕、例えば化学的にまたはハ イブリッドハイブリドーマから調製することができ、あるいは上述した二特異性 抗体断片のいずれかであることができる。完全抗体よりもむしろscFv二量体また はダイアボディを使用することが好ましいかもしれない。抗イディオタイプ反応 の影響を潜在的に減少させる可変領域のみを使って、Fc領域を使わずにダイアボ ディおよびscFvを作製することができる。二特異性抗体の他の形態としては、Tr aunecker他,EMBO J.10,3655-3659 (1991)に記載された一本鎖“Janusins”が 挙げられる。 二特異性完全抗体に対抗するものとしての、二特異性ダイアボディ(diabody )も、それらが大腸菌(E.コリ)中で容易に作製できそして発現させることが できるために、特に有用であり得る。適当な結合特異性のダイアボティ(および 抗体断片のような多数の他のポリペプチド)は、ファージ表示(WO94/13804)を 使ってライブ ラリーから容易に選択することができる。例えば抗原Xに対して向けられた特異 性を有するダイアボディの1本のアームを一定に維持しようとするならば、もう 一本のアームが異なるライブラリーを調製し、そして適当な特異性を有する抗体 を選択することができる。抗原結合ドメイン これは、抗原の一部または全部に特異的に結合し且つ相補的である領域を含ん で成る抗体の部分を表す。抗原が大きい場合、抗体は抗原の特定部分にのみ結合 することができるが、その部分はエピトープと呼ばれる。抗原結合ドメインは1 または複数の抗体可変ドメインにより提供することができる。好ましくは、抗原 結合ドメインは抗体軽鎖可変領域(VL)と抗体重鎖可変領域(VH)を含んで 成る。特異的 これは、特異的結合ペアの一方のメンバーがそれの1または複数の特異的結合 相手以外の分子に対して何ら有意な結合を示さないような状況を指すために用い られる。この語は、例えば抗原結合ドメインが、多数の抗原が担持している特定 のエピトープに対して特異的である場合にも用いることができ、その場合には、 該抗原結合ドメインを有する特異的結合メンバーは該エピトープを担持している 様々な抗原と結合するだろう。機能的に等価の変異体形 これは、別の分子(親分子)に対して構造上の相違を有するけれども、有意な 相同性および親分子の生物学的機能の少なくとも部分(例えば特定の抗原または エピトープを結合する能力)を保持している分子(変異体)のことを言う。変異 体は断片、誘導体または突然変異体の形態であることができる。変異体、誘導体 または突然変異体は1もしくは複数のアミノ酸の付加、削除、置換もしくは挿入 による、または別の分子の結合による、親分子の変更によって得ることができる 。それらの変更はヌクレオチドレベルまたはタンパク質レベルで行うことができ る。例えば、コードされるポリペプチドがFab断片であり、それを次いで別の 起源からのFc尾部に連結せしめることができる。あるいは、酵素、フルオレセ イン等のようなマーカーを連結せしめてもよい。 本発明は一般的に、ヒトCEAに対して特異的であるヒト抗体の抗原結合ドメ インを含んで成る特異的結合メンバー(ポリペプチドを含む)を提供する。 1つの観点では、結合ドメインはヒトCEAに対して1.0 ×10-8M未満、好ま しくは5.0 ×10-9M未満の解離定数を有する。 ヒト癌胎児性抗原に対して特異的なヒト抗体抗原結合ドメインを含んで成る特 異的結合メンバーであって、前記結合ドメインがヒト癌胎児性抗原に対して1.0 ×10-8M未満の解離定数を有する特異的結合メンバーは、次のもの: i ) CEA6のVHドメイン(そのアミノ酸配列は図1(a)に示される) とCEA6のVLドメイン(そのアミノ酸配列は図1(b)に示され る); ii ) CEA6のVHドメイン(そのアミノ酸配列は図1(a)に示される) と、TO6D4,TO6D8およびTO6D12(それらのアミノ酸配列は図 4に示される)から選ばれたVLドメイン; iii) CEA6のVLドメイン(そのアミノ酸配列は図1(b)に示される) と、TO6D10,HBA11,HBB11およびHBB6(それらのアミノ酸配 列は図2に示される)から選ばれたVHドメイン;および iv ) TO6D11のもの、即ちTO6D10のVHドメイン(そのアミノ酸配 列は図2に示される)と、TO6D12のVLドメイン(そのアミ ノ酸配列は図4に示される) から選ばれた、VHドメインとVLドメインのペアを含んで成る結合ドメインを 含むことができる。 別の観点では、特異的結合メンバーはヒト肝細胞、例えばヒト肝細胞系と結合 もしくは交差反応しないかまたは有意に結合もしくは交差反応しない。それがヒ トCEAへの結合と比較して有意でないとすれば、ヒト肝細胞との交差反応性結 合は低いだろう。よって、特異的結合メンバーはヒト肝細胞と実質的に非交差反 応性であることができる。同様に、それは他の正常組織または細胞、例えば血管 内皮、筋肉、好中球、赤血球またはリンパ球を結合しないかまたは有意に結合し ない。正常リンパ球および好中球との反応性が無いことは、NCAとの高レベル の交差反応性が無いことを暗示する。 結合ドメインがヒト肝細胞と実質的に非交差反応性である、ヒト癌胎児性抗原 に特異的なヒト抗体抗原結合ドメインを含んで成る特異的結合メンバーは、次の もの: i ) CEA6のVHドメイン(そのアミノ酸配列は図1(a)に示される) と、TO6D4およびTO6D12から選ばれたVLドメイン(それら のアミノ酸配列は図4に示される) ii ) CEA6のVLドメイン(そのアミノ酸配列は図1(b)に示される) と、TO6D10のVHドメイン(そのアミノ酸配列は図2に示さ れる);および iii) TO6D11のもの、即ちTO6D10のVHドメイン(そのアミノ酸配 列は図2に示される)と、TO6D12のVLドメイン(そのアミ ノ酸配列は図4に示される) から選ばれた、VHドメインとVLドメインのペアを含んで成る結合ドメインを 含むことができる。 特異的結合メンバーは細胞性CEAまたは可溶性CEAと結合することができ るが、それは細胞性CEAに優先的に結合するだろう。 結合ドメインが可溶性ヒト癌胎児性抗原よりも細胞性ヒト癌胎児性抗原に優先 的に結合する、ヒト癌胎児性抗原に特異的なヒト抗体抗原結合ドメインを含んで 成る特異的結合メンバーは、次のもの: i ) CEA6のVHドメイン(そのアミノ酸配列は図1(a)に示される) とCEA6のVLドメイン(そのアミノ酸配列は図1(b)に示され る); ii ) CEA6のVHドメイン(そのアミノ酸配列は図1(a)に示される) と、TO6D4およびTO6D12から選ばれたVLドメイン(それら のアミノ酸配列は図4に示される) iii) CEA6のVLドメイン(そのアミノ酸配列は図1(b)に示される) と、TO6D10およびHBB11 から選ばれたVHドメイン(それら のアミノ酸配列は図2に示される);および iv ) TO6D11のもの、即ちTO6D10のVHドメイン(そのアミノ酸配 列は図2に示される)と、TO6D12のVLドメイン(そのアミ ノ酸配列は図4に示される) から選ばれた、VHドメインとVLドメインのペアを含んで成る結合ドメインを 含むことができる。 本発明の更に別の観点による特異的結合メンバーは、ヒトCEAの糖質エピト ープに特異的である。例としては、CEA1,CEA2,CEA3,CEA4およびCEA5のいずれ かのVHとVLペアを含んで成る特異的結合メンバーが挙げられる。それらのV Hドメインのアミノ酸配列は図1(a)に示され、そしてVLドメインのアミノ酸 配列は図1(b)に示される。 更なる観点では、本発明は、ヒトCEAのA3−B3細胞外ドメインに(好ましく は特異的に)結合するヒト抗体抗原結合ドメインを含んで成る特異的結合メンバ ーを提供する。そのような特異的結合メンバーは、次のもの: i ) CEA6のVHドメイン(そのアミノ酸配列は図1(a)に示される) とCEA6のVLドメイン(そのアミノ酸配列は図1(b)に示され る); ii ) CEA6のVHドメイン(そのアミノ酸配列は図1(a)に示される) と、TO6D4,TO6D8およびTO6D12から選ばれたVLドメイン (それらのアミノ酸配列は図4に示される); iii) CEA6のVLドメイン(そのアミノ酸配列は図1(b)に示される) と、HBA11,HBB11およびHBB6から選ばれたVHドメイン(そ れらのアミノ酸配列は図2に示される); iv ) TO6D11のもの、即ちTO6D10のVHドメイン(そのアミノ酸配 列は図2に示される)と、TO6D12のVLドメイン(そのアミ ノ酸配列は図4に示される);および v ) CEA6のVHドメイン(そのアミノ酸配列は図1(a)に示される) と、LOB1C,LOE17およびLOSC2から選ばれたVLドメイン (それらのアミノ酸配列は図3に示される) から選ばれた、VHドメインとVLドメインのペアを含んで成ることができる。 特異的結合メンバーは抗体断片、例えば一本鎖Fv(scFv)の形であってもよい 。Fab,Fab',F(ab')2,Fabc,Facbまたはダイアボディ(G.Winter およびC.M ilstein,Nature 349,293-299,1991;WO 94/13804 )のような他の形の抗体断 片を使うこともできる。特異的結合メンバーは完全抗体の形であってもよい。完 全抗体は抗体イソタイプ、例えばIgG,IgA,IgD,IgEおよびIgM の形態のいずれ か並びにイソタイプサブクラス、例えばIgG1またはIgG4の形態のいずれかである ことができる。 特異的結合メンバーは操作された抗体、例えばCEAに対する1つの抗原結合 アーム(即ち特異的ドメイン)と別の特異性に対する もう1つのアームとを有する二特異性抗体分子(またはF(ab')2のような断片) であるか、または二価もしくは多価分子の形であってもよい。 抗体配列に加えて、特異的結合メンバーは別のアミノ酸、例えばペプチドもし くはポリペプチドを構成するアミノ酸、あるいは抗原を結合する能力に加えて別 の機能的特徴を分子に付与する別のアミノ酸を含んでもよい。例えば、特異的結 合メンバーは標識、酵素またはその断片などを含んでもよい。 結合ドメインは生殖細胞系列(ジャームライン)セグメントまたは再配列され た遺伝子セグメントによりコードされるVHドメインの部分もしくは全部を含ん で成ってもよい。結合ドメインはVLκドメインまたはVLλドメインの部分も しくは全部を含んで成ってもよい。 結合ドメインは下記生殖細胞系列のうちの1つのVH1,VH3またはVH4 遺伝子配列を含んで成ることができる:DP71生殖細胞系列;DP47生殖細胞系列; DP67生殖細胞系列;DP32生殖細胞系列;DP10生殖細胞系列もしくはDP14生殖細胞 系列;またはそれらの再配列された形。“DP”命名法は Tomlinson,I.M.他,J .Mol.Biol.227: 776-798(1992)中に記載されている。 結合ドメインは下記の生殖細胞系列のうちの1つのVλ1,Vλ3またはVκ 1遺伝子配列を含んで成ることができる:生殖細胞系列DPL5;生殖細胞系列DPL2 ;生殖細胞系列DPL16;生殖細胞系列L12a;またはそれらの再配列された形。 結合ドメインは、1もしくは複数のフレームワークおよび/または1もしくは 複数のCDR中に存在することができる、1もしくは複数のヌクレオチド変更( 付加、削除、置換および/または挿入)、例えば約25,20,15,10または5個以 下の変更、4,3,2または 1個の変更、を有する生殖細胞系列遺伝子の変更形もしくは変異体形であること ができる。 結合ドメインは、図1(a)に示されるいずれかのアミノ酸配列を有するVHド メインの一部もしくは全部、または前記アミノ酸配列の機能的に等価の変異体形 を含んで成ることができる。 特に、結合ドメインは、図1(a)にCDR1,CDR2またはCDR3として示されるアミ ノ酸配列を有する1または複数のCDR(相補性決定領域)を含んで成ることが できる。好ましい態様では、結合ドメインは図1(a)に示されるCDR3配列を含ん で成る。CDRの機能的に等価の変異体も本発明に包含され、特に1もしくは複 数のアミノ酸の付加、削除、置換または挿入により指摘のCDR配列とは異なっ ており、且つ本明細書中に開示される本発明の特異的結合メンバーのCEA結合 能力と場合により該特異的結合メンバーの好ましい特徴のうちの1つまたは複数 を保持している変異体が含まれる。特に好ましいCEA6 VH の変異体配列が図2に 示される。本発明の好ましい態様では、特異的結合メンバーは図2に示されるCD R3配列(またはそれの機能的に等価の変異体形)を含む。特異的結合メンバーは 、図2に示されるCDRと隣接して且つそれの間に示されるフレームワーク領域 、または示されるものの変形を包含する異なるフレームワーク領域、の全部また は一部を含んで成ることができる。“HBA11”および“HBB11”のCDR3配列(図2 )のいずれかが使われる場合(例として)、特異的結合メンバーは、どんなフレ ームワーク領域を使うにしても、指摘した位置(図2)にアルギニン(R)残基 を含むことができる。 結合ドメインは図1(b)に示されるいずれかのアミノ酸配列を有するVLドメ インのまたは前記アミノ酸配列の機能的に等価の、変異体形の全部または部分を 含んで成ることができる。 特に、結合ドメインは、図1(b)においてCDR1,CDR2またはCDR3として示され るアミノ酸配列を有する1または複数のCDR(相補性決定領域)を含んで成る ことができる。好ましい態様では、結合ドメインは図1(b)に示されるCDR3配列 を含んで成る。CDRの機能的に等価の変異体形も本発明に含まれ、特に特に1 もしくは複数のアミノ酸の付加、削除、置換または挿入により指摘のCDR配列 とは異なっており、且つ本明細書中に開示される本発明の特異的結合メンバーの CEA結合能力と場合により該特異的結合メンバーの好ましい特徴のうちの1つ または複数を保持している変異体が本発明に含まれる。特に好ましいCEA6 VL の 変異体配列が図3と図4に示される。本発明の好ましい態様では、特異的結合メ ンバーは図3または図4に示されるCDR3配列(またはそれの機能的に等価の変異 体形)を含む。特異的結合メンバーは図3もしくは図4のCDRと隣接して且つ それの間に示されるフレームワーク領域、または示されるものの変形を包含する 異なるフレームワーク領域、の全部または一部を含んで成ることができる。好ま しいフレームワーク変更は図4に示され、それらの変更フレームワーク領域は図 4に示す“TO6D4”,“TO6D8”または“TO6D12”のCDR配列のうちの1つもし くは複数と共に使用してもよいし使用しなくてもよい(だが使用が好ましいだろ う)。 第一抗体の1または複数のCDR配列がその抗体のものではない(例えば別の 抗体の)配列のフレームワーク内に置かれる、いわゆる「CDR移植(grafting )」は、対応米国特許を有するヨーロッパ特許EP-B-0239400中に開示されている 。 特定の変異体VLまたはVHドメインは、本明細書中に与えられるいずれかの 特定配列中に、1または複数のアミノ酸配列変更(付加、削除、置換および/ま たは挿入)、多分約20個以下の変更、約 15個以下の変更、約10個以下の変更、または約5個以下の変更、4個,3個,2 個もしくは1個の変更、を含むことができる。変更は1もしくは複数のフレーム ワーク領域および/または1もしくは複数のCDR中に存在することができる。 本発明に係る特定のVHおよびVL変異体は次のものである:示された配列中 のSer53 の削除を除いて図1(a)中にCEA2 VH について示された配列を含んで成 るVHドメイン;示された配列中のGly53の削除を除いて図1(a)中にCEA3 VH について示された配列を含んで成るVHドメイン;示された配列中のThr10 ( これは下のコード配列中のコドン10のACC によりコードされ得る)からセリンへ の置換を除いて図1(b)中にCEA6について示された配列を含んで成るVLドメイ ン;示された配列中のGln5からVal への置換と残基9〜11のところのAlaGluVal からGluAlaLeu への置換を除いて図2中にCEA6,TO6D10,HBA11,HBB11およびHB B6のいずれかについて示されたVL配列を含んで成るVLドメイン;示された配 列中のLeu33 からMet への置換を除いて図3または図4中にCEA6,LOBIC,LOE17 ,LOSC2,TO6D4,TO6D8およびTO6D12のいずれかについて示されたVL配列を含 んで成るVLドメイン;示された配列に対して指摘の変更を有する上記変異体の アミノ酸配列変異体。 本発明の特異的結合メンバーは、CEAを結合し且つ図1(a),図1(b),図 2,図3および図4に示された配列のいずれかの一部または全部を含んで成る任 意の特異的結合メンバーと、特に本明細書中にその配列が具体的に開示される任 意の特異的結合メンバー(その変異体を含む)と、CEAへの結合を目当てに競 争するものであってもよい。例えば、そのような特異的結合メンバーは、CEA のA3−B3ドメインへの優先的結合を目当てにTO6D11もしくはCEA6と競争するか、 またはCEAの糖質エピトープへの結合を目当てにCEA1と 競争してもよい。結合メンバー間の競争は、例えば、別の未標識の合メンバーの 存在下で検出することができる特定のレポーター分子を1つの結合メンバーに標 識として取り付け、同じエピトープまたは重複するエピトープに結合する特異的 結合メンバーの同定を可能にすることにより、試験管内で容易にアッセイするこ とができる。 1観点では、本発明の特異的結合メンバーは次のアミノ酸配列: (i) Pro Ala Ala Tyr Leu Trp Trp Val Asp Ser、または (ii) Pro Pro Ala Tyr Leu Tyr Trp Arg Ser Ser を含むペブチドを結合する(CEA6はそのような特異的結合メンバーの一態様であ る)。この試験には、上記配列に加えて片側末端に1または複数のアミノ酸(例 えばN末端にCGG)を有するペプチドを使うことができる。本発明の特異的結 合メンバーは、CEAへのそれらの結合が配列(i) もしくは(ii)のいずれかを有 するかまたはそれを含むペプチドにより阻害されるようなものであることができ る。この試験には、どちらか一方の配列に加えて1または複数のアミノ酸(例え ばN末端にCGG)を有するペプチドを使うことができる。 ペプチド(i) および(ii)のいずれかを結合する特異的結合メンバーは、例えば そのペプチドを使って選別することによりファージ表示ライブラリーから単離す ることができる。 本発明に係る特異的結合メンバーは単離された形および/または精製された形 で提供することができる。 本発明は、ヒトの癌、例えば結腸、肺または乳房の腺癌の形態の診断試薬とし ての上記特異的結合メンバーの使用を提供する。 CEAに対する特異的結合メンバーは、CEAを発現している腫瘍の存在およ び位置を具体的に表示するために用いることができる画像診断薬として使用する ことができる。本発明は、CEAを発現 している細胞または腫瘍の存在を決定する方法であって、本発明により提供され る特異的結合メンバーと細胞とを接触させ、そして前記細胞への前記特異的結合 メンバーの結合を測定することを含んで成る方法を提供する。この方法は、生体 内で実施してもよく、または体外に取り出した細胞の試験試料を使って試験管内 で実施してもよい。 本発明は、ここに提供される特異的結合メンバーのヒトCEAへの結合を引き 起こすかまたは許容することを含んで成る方法を提供する。そのような結合は試 験管内または生体内で起こり得る。結合が生体内である場合、この方法は特異的 結合メンバーを哺乳類の1または複数の個体に投与することを含んで成る。本明 細書中で実験的に証明されるように、本発明の特異的結合メンバーはマウスに異 種移植された腫瘍上のヒトCEAと結合し、特異的結合メンバーおよびそれらの 性質の調査と開発を目的とした研究のための有用な実験モデルを提供する。 細胞試料における抗体の反応性は、任意の適当な手段によって測定することが できる。個々のレポーター分子を使った標識付けが1つの可能性である。レポー ター分子は直接的または間接的に検出可能な、好ましくは測定可能なシグナルを 生成することができる。レポーター分子の結合は直接的もしくは間接的な共有結 合によるもの、例えばペブチド結合を介したもの、または非共有結合によるもの であることができる。ペプチド結合を介した結合は、抗体とレポーター分子をコ ードする融合遺伝子の組換え発現の結果としてあってもよい。 1つの好ましい態様は、スペクトル上分離された吸光または発光特性を有する 個々の蛍光色素、リン色素またはレーザー色素と各抗体との共有結合によるもの である。適当な蛍光色素としては、フル オレセイン、ローダミン、フィコエリスリンおよびテキサスレッドが挙げられる 。適当な色素染料としてはジアミノベンジジンが挙げられる。 別のレポーター分子としては、巨大分子のコロイド粒子または粒状物質、例え ば有色の、磁性もしくは常磁性であるラテックスビーズ、および視覚的に観察さ れるか、電気的に検出されるか、または他の形で記録され得る検出可能なシグナ ルを直接的にもしくは間接的に発生させることができる、生物学的もしくは化学 的活性物質が挙げられる。それらの分子は、例えば、色を発生もしくは変化させ るかまたは電気的性質に変化を引き起こす反応を触媒する酵素であってもよい。 それらはエネルギー状態の間の電子遷移が特徴的なスペクトル吸収または発光を 引き起こすように、分子的に励起可能であってもよい。そのような分子としては 、バイオセンサーと共に使われる化学的存在物を挙げることができる。ビオチン /アビジンまたはビオチン/ストレプトアビジンとアルカリホスファターゼ検出 系を使ってもよい。 結合を測定する方式は本発明の特徴でなく、当業者は自らの好みと一般知識に 従って適当な方式を選択することができる。 個々の抗体−レポーター接合体により発せられたシグナルを使って、細胞試料 (標準および試験試料)から関連する抗体結合の絶対的または相対的データを定 量可能に引き出すことができる。加えて、ヨウ化プロピジウムのような一般的な 核染色法を使って、試料中の全細胞集団の数を計数して、全細胞に関する各細胞 集団の定量的比率を提供することができる。 125I,111Inまたは 99mTcの ような放射性核種を抗体に取りつけた時、その抗体が正常組織よりも腫瘍中に選 択的に存在するならば、ガンマカメラを使って腫瘍組織中の放射性標識の存在を 検出しそして定量することができる。得ら れる腫瘍画像の質は、シグナル対ノイズ比に正比例する。CEA抗体を使った癌 の画像診断の概説は、Goldenberg D.M.(同文献)により与えられている。 125Iおよび 99mTcの実験的使用は本明細書中に例示される。 本発明は、例えばエフェクター機能を有するように融合タンパク質としてカッ プリング、結合または操作する時の、治療薬としての上述の特異的結合メンバー の使用にも備える。本発明に係る特異的結合メンバーは、毒素、放射能、T細胞 、キラー細胞または他の分子を、CEAを発現している腫瘍にターゲッティング するために使用することができる。 従って、本発明の更なる観点は、本発明により提供されるような特異的結合メ ンバーの投与を含んで成る治療方法、そのような特異的結合メンバーを含んで成 る医薬組成物、および投与のための薬剤の製造における、例えば医薬上許容され る賦形剤と共に特異的結合メンバーを配合することを含んで成る薬剤または医薬 組成物の製造方法における、そのような特異的結合メンバーの使用を提供する。 本発明に従って提供される組成物は個体に投与することができる。投与は好ま しくは「療法的有効量」で行われるが、これは患者に効用が表れるのに十分な量 である。そのような効用は少なくとも1つの症状の少なくとも緩和であるだろう 。実際の投与量、投与速度および投与スケジュールは、治療しようとするものの 性質および重さに依存するだろう。処方、例えば用量決定などは、一般開業医お よび他の医師の裁量の範囲内である。抗体の適当な用量は当業界で公知である。 Ledermann J.A.他(1991)Int.J.Cancer 47: 659-664;Bagshawe K.D.他(199 1)Antibody,Immunoconjucates and Radio-pharmaceuticals 4: 915-922を参照 のこと。 組成物は単独でまたは処置すべき状態に応じて他の療法と組み合 わせて同時にもしくは連続的に投与することかできる。 本発明に係る医薬組成物および本発明に従った使用のための医薬組成物は、活 性成分に加えて、医薬上許容される賦形剤、担体、緩衝剤、安定剤または当業者 に周知の他の物質を含んで成ることができる。そのような物質は無毒性であるべ きであり、且つ活性成分の効能を妨害してはならない。担体または他の物質の正 確な性質は、経口であるかまたは注射(例えば静注)によることができる投与の 経路に依存するだろう。 経口投与用医薬組成物は、錠剤、カプセル剤、粉剤または液剤の形態であるこ とができる。錠剤はゼラチンのような固形担体または補助剤を含んでもよい。液 体医薬組成物は、一般に液状担体、例えば水、石油、動物油もしくは植物油、鉱 物油または合成油を含んで成る。生理的食塩溶液、ブドウ糖もしくは他の糖類溶 液またはグリコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコールもしく はポリエチレングリコールを含めてもよい。 静注または患部注射のためには、活性成分は発熱物質不含有であり且つ適当な pH、等張性および安定性を有する非経口投与に許容される水性溶液の形であるだ ろう。当業者は、例えば等張の賦形剤、例えば塩化ナトリウム液、リンガー液、 乳酸加リンガー液を使って、適当な溶液を調製することが十分可能である。必要 ならば、保存剤、安定剤、緩衝剤、抗酸化剤および/または他の添加剤を含めて もよい。 本発明の特異的結合メンバーは、コードする核酸からの発現により調製するこ とができる。コードする核酸からの発現を含んで成る特異的結合メンバーの生産 方法が本発明の一局面を構成するので、提供されるいずれかの特異的結合メンバ ーをコードする核酸それ自体も本発明の一局面を構成する。発現は、便利には、 核酸を含有す る組換え宿主細胞を適当な条件下で培養することにより達成することができる。 発現による生産後、任意の適当な技術を使って特異的結合メンバーを単離しそし て/または精製し、次いで例えば少なくとも1つの別の成分を含んでもよい組成 物の処方において、適宜使用することができる。 核酸は図1(a)および図1(b)に示されるアミノ酸配列、または任意の機能的 に等価の形態をコードすることができる。使用する核酸配列は図1(a)または図 1(b)に示されるもののいずれか、あるいはそれらの変異体、対立遺伝子または 誘導体であることができる。1もしくは複数のヌクレオチドの付加、置換、削除 または挿入により、ヌクレオチドレベルで変更を行ってもよく、そのような変更 が遺伝暗号の縮重に応じてアミノ酸レベルに表れてもよいし表れなくてもよい。 多種多様な宿主細胞中でのポリペプチドのクローニングおよび発現系が公知で ある。適当な宿主としては、細菌、哺乳類細胞、酵母およびバキュロウイルス系 が挙げられる。異種ポリペプチドの発現のための技術の現状で利用可能な哺乳類 細胞系としては、チャイニーズハムスター卵巣細胞、HeLa細胞、ベビーハムスタ ー腎臓細胞および多数の他のものが挙げられる。一般に好ましい細菌宿主は大腸 菌(E.コリ)である。 E.コリのような原核細胞中での抗体および抗体断片の発現は技術の現状で十 分に確立されている。概説については、例えばPluckthun,A.,Bio/Technology 9: 545-551(1991)を参照のこと。培養真核細胞中での発現も、特異的結合メン バーの生産のためのオプションとして当業者に利用可能である。最近の概説につ いては、例えばReff,M.E.(1993)Curr.Opinion Biotech.4: 573-576;Tril l,J.J.他(1995)Curr.Opinion Biotech.6: 553-560を参照 のこと。 プロモーター配列、ターミネーター配列、ポリアデニル化配列、エンハンサー 配列、マーカー遺伝子および適当な他の配列を包含する適当な調節配列を含有す る適当なベクターを選択しまたは作製することができる。ベクターは適宜プラス ミド、ウイルスのファージまたはファジミドであることができる。更なる詳細に ついては、例えばMolecular Cloning: A Laboratory Manual: 第2版,Sambrook 他,1989,Cold Spring Harbor Laboratory Press を参照のこと。例えば核酸構 成物の調製、突然変異誘発、塩基配列決定、細胞中へのDNAの導入および遺伝 子発現における核酸の操作、並びにタンパク質の分析のための多数の既知技術お よびプロトコールが、Short Protocols in Molecular Biology,第2版,Ausube l 他編,John Wiley & Sons,1992 中に詳細に記載されている。Sambrook他とAu subel 他の開示は参考として本明細書中に組み込まれる。 本発明の別の観点は、本明細書中に開示されるような核酸を含有する宿主細胞 を提供する。更に別の観点は宿主細胞中にそのような核酸を導入することを含ん で成る方法を提供する。この導入は任意の利用可能な技術を用いることができる 。真核細胞の場合、適当な技術としてはリン酸カルシウムトランスフェクシヨン 、DEAE−デキストラン、エレクトロポレーション、リポソーム媒介トランスフェ クション、レトロウイルスまたは他のウイルス、例えばワクシニア、または昆虫 細胞の場合はバキュロウイルス、を使った形質導入が挙げられる。細菌細胞の場 合、適当な技術としては塩化カルシウム形質転換、エレクトロポレーションおよ びバクテリオファージを使ったトランスフェクションが挙げられる。 導入に続いて、例えば該遺伝子の発現条件下で宿主細胞を培養することにより 、核酸からの発現を引き起こすかまたは可能にするこ とができる。 一態様では、本発明の核酸は宿主細胞のゲノム(例えば染色体)中に組み込ま れる。組み込みは、標準技術に従って、ゲノムとの組換えを促進する配列を含め ることにより促進することができる。 特異的結合メンバーの生産後、例えば本明細書中に開示される方法のいずれか 、例えば医薬品のような組成物の処方に、または開示されるように、特異的結合 メンバーに加えて細胞への該メンバーの結合を測定するための1もしくは複数の 試薬を含んで成るキットのような診断用品の処方に用いることができる。 本発明の別の観点および態様は当業者に明白であろう。本発明を十分に理解す るために、下記の実施例を限定のためではなく例示のためにのみ与える。次の図 面を参照する。 図1は、CEA に特異的な抗体のVH遺伝子(図1(a))およびVL遺伝子(図 1(b))のヌクレオチド配列とアミノ酸配列を示す。 図1(a):免疫してないヒトライブラリーから誘導されたCEA 特異的scFv配列 の整列。図面の上のパネルはクローンCEA1〜CEA7のVH遺伝子のアミノ酸配列を 示し;下のパネルは同クローンのヌクレオチド配列を示す。 CDR=相補性決定領域。 図1(b):免疫してないヒトライブラリーから誘導されたCEA 特異的scFv配列 の整列。図面の上のパネルはクローンCEA1〜CEA7のVL遺伝子のアミノ酸配列を 示し;下のパネルは同クローンのヌクレオチド配列を示す。クローン間の同一配 列はドットにより表される。 図2は、VH CDR3 の変異誘発によりCEA6から誘導されたクローンの配列を示す 。CEA6のVH遺伝子と重鎖CDR3の変異誘発により誘導された4つのクローンのV H遺伝子の整列されたアミノ酸配列。クローン間の同一配列はドットにより表さ れる。 図3は、VL CDR3 の変異誘発によりCEA6から誘導されたクローンの配列を示す 。CEA6のVL遺伝子と重鎖CDR3の変異誘発により誘導された3つのクローンのV L遺伝子の整列されたアミノ酸配列。クローン間の同一配列はドットにより表さ れる。 図4は、CEA6のVL遺伝子と軽鎖入替えにより誘導された3つのクローンのV L遺伝子の整列されたアミノ酸配列を示す。クローン間の同一配列はドットによ り表される。 各クローンの最も相同な生殖細胞系列遺伝子は次のものである: CEA6 L12a TO6D4 DPK9 TO6D8 DPK9 TO6D12 Hu102 図5は、CEA6のフローサイトメトリー分析とCEA を発現しているHeLa細胞上で のCEA6由来クローンの選択を示す。上のパネル(図5a)は、CEA 発現細胞への 検出抗体 9E10 のバックグラウンド結合(scFvの添加なし)を示す。全てのCEA 特異的クローンは蛍光細胞の数(x軸)の約10倍のシフトを示し、よってそれら の細胞への抗CEA scFv結合を証明する。(図5a−陰性対照;図5b−TO6D4 ; 図5c−TO6Dl2;図5d−HBB11 ;図5e−TO6D11;図5f−TO6D10;図5g− CEA6) 図6は、0.01〜1μg/mlの濃度の遊離形CEA の存在下で測定した、CEA6のフロ ーサイトメトリー分析とCEA2 を発現しているHeLa細胞におけるCEA6由来クロー ンの選択を示す。この図は、遊離形CEAがCEAを発現しているHeLa細胞と抗CEA sc Fvを目当てに競争できないことを示す。対照的に、対照抗体(MFE)は1μg/ml 遊離形CEA の濃度で該細胞と競争する。FSG1=陰性対照。MFI=平均蛍光強度 。 図7は、CEA6のフローサイトメトリー分析とCEA 陰性Chang ヒト 肝細胞におけるCEA6由来クローンの選択を示す。上のグラフ(図7a)はCEA6の 一成分が肝細胞に結合していることを証明し、一方でTO6D4 (図7b)、TO6D12 (図7c)、TO6D11(図7e)、TO6D10(図7f)およびFSG1(無関連の非CEA 特異的scFv=陰性対照)(図7g)は同じようには結合しない。HBB11 (図7d )は、蛍光細胞の幅広のピークにより表されるように、前記肝細胞に対する交差 反応性を幾らか示す。 図8はベクター pUC119MCH中のクローニング部位を示す。このベクターはpUC1 19由来であり、次の特徴を有する:CAT リーダー配列(ハイブリッド遺伝子III −pe1Bリーダー);ユニークNcoIおよびSfiI 5’クローニング部位;ユニークN otI 3’クローニング部位;myc タグ(9E10による検出のため);部位特異的標 識のための単一システイン残基;IMAC精製のためのヘキサヒスチジンタグ。 図9は、ヒト結腸腺癌のマウス異種移植モデルにおける99m テクネチウム標識 CEA6 scFV の組織対血液比(種々の組織について)を示す。塗りつぶした棒は注 射後3時間目の値であり、陰影を付けた棒は注射後24時間目の値である。24時間 後、血液中のものに対する組織中に取り込まれた放射能の比は約3.0 である。 図10は、ヒト結腸腺癌のマウス異種移植モデルにおける99m テクネチウム標識 CEA6の注射後3時間および24時間目の生体分布(種々の組織)を示す。塗りつぶ した棒は注射後3時間目の値であり、陰影を付けた棒は注射後24時間目の値であ る。24時間後、注入線量の2〜3%が腫瘍に特異的に局在化することがわかる。 図11は、ベクターpUC119EHIS中のクローニング部位を示す。このベクターはpU C119由来であり、次の特徴を有する:ユニーククローニング部位 SfiI,PstI,X hoI,NotI ;抗Eタグ抗体(Pharmacia)による検出のためのEタグ;IMAC精製の ためのヘキサヒスチジンタ グ。 図12:図12(a)は様々なVH遺伝子セグメントのヌクレオチド配列を示し、図 12(b)は様々なVL遺伝子セグメントのヌクレオチド配列を示す。 図13は、CEA1,CEA2,CEA3,CEA4,CEA5およびCEA6がK1 PSAを認識するかどう かを評価するためのELISA の結果を示す(OD450nm対CEA クローン番号)。 図14は、ELISA による固定化CEA に結合するクローンCEA1,CEA2,CEA3,CEA4 ,CEA5およびCEA6の能力に対する、K1またはCAポリシアル酸(PSA) との予備 インキュベーションの効果を示す。1=生来のCEA に関するシグナル;2=scFv をK1と共に予備インキュベーションした時のシグナル;3=scFvをCAと共に 予備インキュベーションした時のシグナル。(図14a−CEA1;図14b−CEA2;図1 4c−CEA3;図14d−CEA4;図14e−CEA5;図14f−CEA6)。 図15は、ELISA によって測定した490 nmでの吸光度としてプロットした、様々 な精製scFvに対する選ばれたペプチドファージの結合親和力を示す。 図16は、選ばれたペプチドファージを使ったCEA へのscFv CEA6の結合の阻害 を示す。結果は405 nmで測定した吸光度としてプロットされる。 図17は、注射後3,6,18および24時間目の種々の組織に局在化された様々な125 I標識scFvの注入線量の平均百分率を示す。 本明細書中に引用される全ての文書は参考として組み込まれる。 実施例の目録 実施例1:CEA に特異的な抗体の単離 実施例2:CEA へのscFv断片の結合親和力の測定 実施例3:細胞性CEA へのCEA 特異的抗体の結合の証明 実施例4:ヒト肝細胞系に対する抗CEA抗体の特異性の変化の証 明 実施例5:CEA に特異的な抗体のエピトープマッピング 実施例6:ヒト結腸腺癌異種移植片へのCEA 特異的抗体の生体内 限局化 実施例7:CEA6およびTO6D11のドメイン認識の更なる調査 実施例8:CEA1,CEA2,CEA3,CEA4およびCEA5の結合特異性の分 析 実施例9:CEA1,CEA2,CEA3,CEA4,CEA5およびCEA6並びにCEA6 の親和力成熟変異体の免疫細胞化学 実施例10:ヒト結腸腺癌への125I標識抗CEA 抗体の限局化 実施例11:CEA に特異的な抗体のエピトープマッピングの改良 実施例12:CEA に特異的な125I標識scFvの腫瘍取込みおよび正 常組織生体分布の分析実施例1:CEA に結合する抗体の単離および特徴づけ 1.免疫されてないファージ抗体レパートリーの選択による、ヒトCEA に対する 抗体の同定および特徴づけ 抗体レパートリー 次の抗体レパートリーを使った: 扁桃、骨髄および末梢血リンパ球を含むリンパ系組織から誘導された大規模一 本鎖Fvライブラリー。 43人の非免疫処置提供者から、“Quickprep mRNA キット” (Pharmacia)を使って、様々なリンパ系組織のB細胞からポリアデニル化RN Aを調製した。“第一鎖cDNA合成キット”(Pharmacia)を使って、合成を開始 するのにランダムヘキサマーを用いてmRNAから第一鎖cDNAを合成した。以前に記 載されたような〔Marks 他 (1991)J.Mol.Blol.222: 581-597〕VH,VκおよびVλ遺伝子用のファミ リー特異的プライマーを使ってV遺伝子を増幅せしめ、続いてPCR集成により (Gly4,Ser)3 scFvリンカーと一緒に組み換えた。VH−リンカー−VL抗体構 成物をファジミドベクターpCANTAB 6 の SfiI部位と NotI部位の中でクローニ ングした。連結、エレクトロポレーションおよび細胞の平板分離は以前に記載さ れた通りであった(Marks 他,前掲)。ライブラリーは、使用するベクターと挿 入断片の量を増やしそして多重エレクトロポレーションを実施することにより、 以前に記載されたものよりも約1000倍大きな規模になった。これは、Bst NIフィ ンガープリント法によって極めて多様であることが示された約6.0 ×109 個体の 組換え体を有すると計算されるscFvレパートリーをもたらした。 a.ファージ抗体ライブラリーの誘導 上記のファージ抗体ライブラリーをCEA に対する抗体について選択した。ファ ジミド粒子を救済するために次のようにレパートリーを処理した。2lの三角フ ラスコ中の500 mlの予熱した(37℃)2YTAG (100μg/mlアンピシリンと2%グ ルコースが補足された2YT培地)に、該ライブラリーのグリセロール保存(−70 ℃)培養物からの約3×1010個の細胞を接種した。十分に通気しながらOD600n mが0.7 に達するまで(約2時間)培養物を37℃で増殖させた。約10の感染多重 度(moi) にM13K07ヘルパーファージ(Stratagene)を培養物に加えた(OD600n m =1は、培養物1mlあたり5×108 個の細胞に等しい)。培養物を37℃で15分 間静置インキュベートした後、軽く通気しながら(200 rpm )同じ温度で45分間 インキュベートした。培養物を遠心分離し、細胞ペレットから上清を排水した。 細胞を500 mlの2YTAK(100 μg/mlアンピシリンと50μg/mlカナマイシンが補足 された2YT 培地)中に再懸濁し、十分に通気しながら (300 rpm)30℃で一晩インキュベートした。3回のポリエチレングリコール( PEG)沈澱によりファージ粒子を精製・濃縮し〔Sambrook,J.,Fritsch,E.F .& Maniatis,T.(1990)Molecular Cloning - A Laboratory Manual,Cold Sp ring Harbour,New York〕そして1012形質導入単位(tu)/ml(アンピシリン耐 性クローン)になるようにPBS中に再懸濁した。 b.CEA上でのファージ抗体ライブラリーの選別 前記レパートリーから誘導したファージをCEA上で選別した。75mm×12mmの 免疫用チューブ(Nunc; Maxisorp)を、PBS中の組換えヒトCEA(20 ug/ml ,Genzyme)1mlで37℃で一晩コーティングした。PBSで3回洗浄した後、該 チューブを3%MPBS(3%“Marvel”脱脂粉乳、1×PBS)で充たし、37℃で 2時間インキュベートしてブロックした。洗浄を繰り返し、1mlの3%MPBS中の ファジミド粒子(1013 tu )を添加し、チューブを静置状態で37℃で1時間イン キュベートした。チューブをPBST(0.1 %)で20回洗浄し、次いでPBSで20回 洗浄した。1mlの100 mMトリエチルアミンを加えそして該チューブを静置状態で 室温で10分間インキュベートすることによって、結合したファージ粒子をチュー ブから溶出させた。溶出した物質を0.5 mlの1M Tris-HCl (pH 7.4)の入ったチュ ーブの中にピペットで加えることにより、即座に中和した。ファージを4℃で貯 蔵した。溶出したファージ0.75mlを使って、対数増殖期のE.コリ TG110mlに感 染させた(Gibson,T.J.(1984)博士論文,University of Cambridge )。感 染した細胞を2YT ブロス中で軽く通気しながら37℃で1時間増殖させ、次いで24 3 mm×243 mmの皿(Nunc)に入った2YTAG 培地の上に塗布した。この平板を30℃ で一晩インキュベートした。平板からコロニーをかき取って10mlの2YT ブロス中 に移し、−70℃での保存用に15%(v/v) グリセロールを加 えた。 CEA上でのレパートリーの第1回選別からのグリセロール保存培養物をヘル パーファージを使って救済して、第二回選別のためのファジミド粒子を得た。グ リセロール保存培養物250μlを使って50mlの2YTAG ブロスに接種し、そしてO D600nm が0.7 に達するまで(約2時間)、250 mlの三角フラスコ中で十分に通 気しながら37℃でインキュベートした。M13K07ヘルパーファージ(moi =10)を 培養物に加え、次いで該培養物を静置状態で37℃で15分間インキュベートした後 、軽く通気しながら(200 rpm )同じ温度で45分間インキュベートした。培養物 を遠心分離し、細胞ペレットから上清を排水した。細胞を予熱した2YTAK 50ml中 に再懸濁し、十分に通気しながら培養物を30℃で一晩インキュベートした。PE G沈澱(Sambrook他,1990)によりファージ粒子を精製・濃縮し、そして1013 t u /mlになるようにPBS中に再懸濁した。 レパートリーの第1回選別から得られたファージを上述したように第2回選別 した。ファージ増殖および選別工程を第3回と第4回選別に渡って繰り返した。 c.イムノアッセイのための選ばれた単一クローンの増殖 第3回および第4回選別からの個々のコロニーを使って、96ウエルの組織培養 プレート(Corning) の各ウエルに入れた100 μlの2YTAG に接種した。このブレ ートを適度に振盪しながら(200 rpm)30℃で一晩インキュベートした。15%に なるようにグリセロールを各ウエルに加え、それらのマスタープレートを分析の 用意ができるまで−70℃で保存した。 d.抗CEA scFvを同定するためのELISA ファージ上に表示されたscFvまたは可溶性scFvを使って、ELISAによりCEA に 特異的なクローンを同定した。 (i) ファージ ELISA マスタープレートからの細胞を、ウエルあたり100 μlの2YTAGを含む新鮮な9 6ウエルの組織培養プレートに接種した。ウエル中の細胞が対数的に増殖するよ うになるまで(OD600 =0.2 〜1.0 )、それらのプレートを37℃で6〜8時間 インキュベートした。各ウエルにmoi =10でM13K07を加え、静置状態で15分間イ ンキュベートし、次いで穏やかに振盪しながら(100 rpm )45分間インキュベー トした(共に37℃で)。プレートを2000 rpmで10分間遠心分離し、上清を除去し た。各細胞ペレットを100 μlの2YTAK 中に再懸濁し、30℃で一晩インキュベー トした。 各プレートを2000 rpmで遠心分離し、各ウエルから上清100μlを回収し、20 μlEの18%M6PBS (18%脱脂粉乳、6×PBS )中でブロックし、静置状態で室 温で1時間インキュベートした。一方で、PBS 中0.5 μg/ml CEA 100 μlまた は PBSのみ 100μl(未コーティングの対照プレートを与える)のいずれかによ り静止状態で37℃で一晩コーティングしておいたフレキシブルマイクロタイター プレートを、PBS 中で3回洗浄し、次いで静置状態で3MPBS 中で室温で2時間ブ ロックした。それらのプレートをPBSで3回洗浄し、CEAコーティングしたプレー トまたは未コーティングのプレートの両プレートの各ウエルに50μlの予備ブロ ック済ファージを加えた。両プレートを静置状態で37℃で1時間インキュベート した後、ファージを流し出した。PBST中で2分間ずつ3回インキュベートし、次 いでPBS 中で2分間ずつ3回インキュベートすることにより(全て室温で)プレ ートを洗浄した。 CEA コーティングしたプレートと未コーティングのプレートの両プレートの各 ウエルに、3MPBS 中のヤギ抗fd抗体(Pharmacia) の1:10,000希釈液50μlを添加 し、静置状態で37℃で1時間プレートを インキュベートした。各プレートを上記と同様に洗浄し、3MPBS 中のロバ抗ヒツ ジアルカリホスファターゼ接合体(Sigma) の1:5,000希釈液50μlを加え、静置 状態で37℃で1時間インキュベートした。各プレートを上記と同様に洗浄した後 、0.9 %NaCl中で2回すすいだ。色素生成基質pNPP (Sigma)またはAmpak 系(Da ko)のいずれかを使ってアルカリホスファターゼ活性を視覚化した。マイクロタ イタープレートリーダーを使って 405 nm (pNPP)または 492 nm (Ampak) のいずれかで光学濃度を測定することにより、各クローンにより生成さ れる吸光度シグナルを評価した。CEA コーティングしたプレート上に生じたELIS A シグナルが未コーティングのプレート上のELISA シグナルの少なくとも2倍で あったならば、そのクローンを更なる分析のために選択した。 (ii)可溶性ELISA マスタープレートからの細胞を使って、ウエルあたり100 μlの2YTAG を含む 新鮮な96ウエルの組織培養プレートに接種した。それらのプレートを30℃で8時 間インキュベートし、次いで2000 rpmで10分間遠心分離し、上清を除去した。各 細胞ペレットを、1mM IPTGを含む 2YTAK 100μl中に再懸濁し、30℃で一晩イン キュベートした。 各プレートを2000 rpmで遠心分離し、各ウエルから上清 100μlを回収し、20 μlの18%M6PBS 中で静置状態で室温で1時間ブロックした。一方で、PBS 中 0 .5μg/ml CEA 100 μlまたは PBSのみ100 μlのいずれかにより静止状態で37 ℃で一晩コーティングしておいたフレキシブルマイクロタイタープレートを、PB S 中で3回洗浄し、次いで静置状態で3MPBS で37℃2時間ブロックした。それら のプレートをPBS で3回洗浄し、CEA コーティングしたプレートまたは未コーテ ィングのプレートの両方の各ウエルに50μlの予 備ブロック済の可溶性scFvを加えた。それらのプレートを静置状態で37℃にて1 時間インキュベートした後、scFv溶液を流し出した。PBST中で2分間ずつ3回イ ンキュベートし、次いでPBS 中で2分間ずつ3回インキュベートすることにより (全て室温で)、両プレートを洗浄した。 CEA コーティングしたプレートと未コーティングのプレートの両プレートの各 ウエルに、3MPBS 中の抗myc tag マウス抗体9E10 〔Munro,S.& Pelham,H.R.B.(1986)Cell 46,291-300〕の1:200 希釈液10 0 μlを添加し、静置状態で37℃で1時間プレートをインキュベートした。各プ レートを上記と同様に洗浄し、3MPBS 中のヤギ抗マウスアルカリホスファターゼ 接合体(Pierce)の1:5,000希釈液100 μlを加え、静置状態で37℃で1時間イン キュベートした。各プレートを上記と同様に洗浄した後、0.9 %NaCl中で2回す すいだ。色素生成基質pNPP (Sigma)を使ってアルカリホスファターゼ活性を視覚 化した。マイクロタイタープレートリーダーを使って405 nm(pNPP)で光学濃度 を測定することにより、各クローンにより生成される吸光度シグナルを評価した 。CEA コーティングしたプレート上に生じたELISA シグナルが未コーティングの プレート上のELISA シグナルの少なくとも2倍であったならば、そのクローンを 更なる分析のために選択した。 (iii) 特異性ELISA 上述のように未コーティングのウエルよりもCEA を結合すると確認されたクロ ーンを更に特異性について分析した。ファージ上に表示されたscFvまたは溶液中 のscFvを使って、上述した通りに特異性ELISA を実施した。ただし、50mlのFalc onチューブに入れた培地5mlに各クローンを接種しそして増殖させて、ELISA に 使用するファージscFvまたは可溶性scFvを調製した。マイクロタイタープレート の各ウエルを0.5 μg/ml CEA、10fμg/mlウシ血清アルブミン(BSA) 、10μg/ml オボアルブミン、10μg/mlリゾチーム、10μg/mlアオガイヘモシアニン(KLH) ま たはPBS (未コーティングのウエル)のいずれか 100μlによりコーティングし た。ファージ(または可溶性scFv)とマイクロタイタープレートの両方を予備ブ ロックした後、各クローンからの50μlブロック済ファージ(または可溶性scFv )を、CEA 、BSA 、オボアルブミン、リゾチーム、KLH のいずれかでコーティン グしたウエルまたは未コーティングウエルに加えた。上記と同様に、色素生成基 質pNPP (Sigma)を使ってアルカリホスファターゼ活性を視覚化した。CEA でコー ティングしたウエルで生成されるELISA シグナルが、試験抗原のいずれかまたは 未コーティングウエルのシグナルよりも少なくとも5倍大きければ、そのクロー ンをCEA 特異的であるとみなした。 e.CEA 特異的scFv抗体の配列決定 CEA 特異的抗体のヌクレオチド配列を、最初にベクター特異的プライマーを使 って各クローンからの挿入DNAを増幅せしめることにより決定した。2YTAG 寒 天プレート上の個々のコロニーからの細胞を、プライマーpUC19reverseおよびfd tetseq(表1)を使った挿入DNAのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅のた めの鋳型として使用した。増幅条件は94℃で1分、55℃で1分および72℃で2分 の30サイクルに続いて、72℃で10分から成った。PCR生成物をPCR Clean-up K it (Promega)を使って50μl H2Oの最終容量に精製した。各挿入断片調製物2〜 5μlを、Taq 色素−ターミネーターサイクル配列決定システム(Applied Bios ystems)を使った塩基配列決定用の鋳型として使った。各クローンの軽鎖を配列 決定するにはプライマーmycseq10とPCR-L-Linkを使い、そして各クローンの重鎖 を配列決定するにはプライマーPCR-H-LinkとpUC19reverseを使っ た(表1)。 f.初期CEA 特異的scFv抗体の配列 選別から7種類のCEA 特異的抗体か単離された。各クローン名とそれの重鎖お よび軽鎖生殖細胞系列を下記に示す。各VHドメイン遺伝子およびVLドメイン 遺伝子の完全配列は図1(a)と(b)に与えられる。クローン VHファミリー VH 生殖細胞 VLファミリVL 生殖細胞 系列セグメント 系列セグメント CEA1 VH4 DP71 VLambda1 DPL5/2 CEA2 VH3 DP47 VLambda1 DPL5/2 CEA3 VH3 DP47 VLambda1 DPL5/2 CEA4 VH3 DP67 VLambda3 DPL16 CEA5 VH3 DP32 VLambda3 DPL16 CEA6 VH1 DP10 VKappa1 L12a CEA7 VH1 DP10 VKappa1 L12a 2. 初期CEA 特異的scFv抗体の親和力成熟 a.CEA 特異的scFv抗体CEAE6 のCDR3「スパイク」 (i) VH CDR3 「スパイク」レパートリーの作製 63マーの変異原性オリゴヌクレオチドブライマーCEA6HCDOP をまず合成した( 表1参照)。このプライマーは、倹約変異誘発法 〔Ballint およびLarrick(1993)Gene 137: 109-118〕を使ったCEA6 VH CDR3の 7残基のスパイクを可能にした。プライマーLMB3とCEA6HCDOP を使ったPCRに よりCEA6重鎖を増幅せしめた。増幅条件は94℃で1分、55℃で1分および72℃で 1分の25サイクルに続いて、72℃で10分から成った。PCR生成物を1%アガロ ース−TAEゲルを通して分離し、増幅されたVHを表すバンドを切り取り、Genec lean キット(Bio 101) を使ってアガロースゲルから該生成物 を溶出させた。 プライマーfdtetseqとCEA6JH(表1)を使ったPCRにより親のCEA6軽鎖を増 幅せしめた。増幅条件は94℃で1分、55℃で1分および72℃で1分の25サイクル に次いで、72℃で10分から成った。PCR生成物を1%アガロース−TAEゲル を通して分離し、増幅されたVLを表すバンドを切り取り、Geneclean キット(B io 101) を使ってアガロースゲルから該生成物を溶出させた。 約50 ng の増幅され「スパイク」されたCEA6重鎖と50 ng の増幅された親のCE A6軽鎖を組み合わせた。1×反応緩衝液、200 nMのdNTPおよび5単位のTaq ポリ メラーゼの添加後、これを集成物の増幅に使用した。増幅条件は94℃で1分、65 ℃で4分の7サイクルから成った。各集成物5μlを、プライマーfdtetseqとLM B3を使った「プルスルー(pull-through)」増幅において鋳型として使った。増 幅条件は94℃で1分、55℃で2分および72℃で1分の25サイクルに続き、72℃で 10分から成った。 プルスルー増幅生成物を1%アガロース−TAEゲルを通して分離し、「スパ イク」したプルスルーVH−VLを表すバンドを切り取り、Geneclean キットを 使って溶出させた。これを制限エンドヌクレアーゼ Sfi IとNot I(NEB)で消 化し、そして予めSfi IとNot Iで消化しておいたファジミドベクターpCantab 6 (Amershamligation system )中に連結せしめた。連結生成物を用いてエレ クトロコンピテントTG1 細胞を形質転換せしめ、2YTAG プレート上に塗布し、そ して30℃で一晩インキュベートした。このCEA6 VH CDR3の「スパイク」処理から 約1.1 ×107 個のクローンが得られた。 (ii) CEA6 VH CDR3 スパイクレパートリーの選別 CEA6 VH CDR3スパイクレパートリーをCEA 特異的抗体について選択した。初期 ライブラリーについて前に記載された通りに、該レパ ートリーからファジミド粒子を回収した。回収したファージを100μl 3MPBSの 最終容量において1時間予備ブロックした。第1回選別には約1011tuのファージ を使い、その後の選別には109 〜1010tuのファージを使った。第1回選別には、 10 nM の最終濃度になるようにビオチン化CEA を予備ブロック済ファージに加え 、静置状態で37℃にて1時間インキュベートした。製造業者の指示に従って10:1 のビオチン対CEA のモル比においてNHS-SSビオチン(Pierce)を使ってCEA をビオ チン化した。 各選別に向けて、100 μlのDynabeads 懸濁液 (Dynal)を磁石の上で分離し、 ビーズを回収し、1mlの3MPBS 中で2時間予備ブロックした。ビーズを磁石上で 回収し、ファジミド/ビオチン化CEA 混合物中に再懸濁し、そしてくるくる回転 させながら室温で15分間インキュベートした。ビーズを磁石上で集め、PBSTで3 回、次いでPBS 中で3回洗浄した。各洗浄の後、ビーズを磁石上で回収し、次の 洗浄液の中に再懸濁した。最後に、ビーズの半量を10μlの50mMDTT (ジチオト レイトール)中に再懸濁し(ビーズの残りの半量はバックアップとして4℃で保 存する)、室温で5分間インキュベートした。全てのビーズ懸濁液を使って5ml の対数増殖中のTG1 細胞に感染させた。これを静置状態で37℃で15分間インキュ ベートし、次いで適度に振盪させながら45分間インキュベートし、2YTAG プレー ト上に塗布し、そして30℃で一晩インキュベートした。 プレートからコロニーを10mlの2YT ブロス中にかき取り、−70℃での保存に備 えて15%(v/v) グリセロールを加えた。 (iii) CEA6 VH スパイクレパートリーからのCEA 特異的scFv抗体の同定 上記に記載した通りに、CEA 特異的scFv抗体をファージELISA と可溶性ELISA の両方により同定し配列決定した。4つの新規CEA 特 異的scFv抗体が同定された。いずれも、上述のCEA6軽鎖配列(L12a)と、VHの標 的スパイクされた7残基中に1または複数個の変異を有していた。その配列を図 2に与える。 (iv) CEA6 VL/VH CDR3−「スパイク」レパートリーの作製 まず65マーの変異原性オリゴヌクレオチドプライマー CEA6LCDOPを合成した( 表1参照)。このプライマーは、倹約変異誘発法 (Ballint およびLarrick 、前掲)を使ったCEA6 VL CDR3の4残基のスパイクを 可能にした。プライマーCEA6JHとCEA6LCDOP を使ったPCRによりCEA6軽鎖を増 幅せしめた。増幅条件は94℃で1分、55℃で1分および72℃で1分の25サイクル に続いて、72℃で10分から成った。各集成物5μlを、プライマーfdtetseqとLM B3を使った「プルスルー(pull-through)」増幅において鋳型として使った。増 幅条件は94℃で1分、55℃で2分および72℃で1分の25サイクルに次いで、72℃ で10分から成った。 上述の10 nM ビオチン−CEA 選択から得られたCEA6由来重鎖の集団を、プライ マーPCR-H-LinkとLMB3(表1)を使ったPCRにより増幅せしめた。増幅条件は 94℃で1分、55℃で1分および72℃で1分の25サイクルに次いで、72℃で10分か ら成った。PCR生成物を1%アガロース−TAEゲルを通して分離し、増幅さ れたVH集団を表すバンドを切り取り、Geneclean キット(Bio 101) を使ってア ガロースゲルから溶出させた。 約50 ng の増幅され「スパイク」されたCEA6軽鎖と50 ng の増幅された親のCE A6重鎖とを組み合わせた。1×反応緩衝液、200 nMのdNTPおよび5単位のTaq ポ リメラーゼの添加後、これを集成物の増幅に使用した。増幅条件は94℃で1分、 65℃で4分の7サイクルから成った。各集成物5μlを、プライマーfdtetseqと LMB3を使った「プルスルー(pull-through)」増幅において鋳型として使った。 増幅条件は94℃で1分、55℃で2分および72℃で1分の25サイクルに続いて、72 ℃で10分から成った。 プルスルー増幅生成物を1%アガロース−TAEゲルを通して分離し、「スパ イク」したプルスルーVH−VLを表すバンドを切り取り、Geneclean キットを 使って溶出させた。これを制限エンドヌクレアーゼ SfiIと NotI(NEB) で消化 し、そして予め SfiIとNot Iで消化しておいたファジミドベクターpCantab 6 (Amershamligation system)中に連結せしめた。連結生成物を用いてエレクト ロコンピテントTG1 細胞を形質転換せしめ、2YTAG プレート上に塗布し、そして 30℃で一晩インキュベートした。このCEA6 VL CDR3の「スパイク」処理から約6 ×106 個のクローンが得られた。 (V) CEA6 VL/VH CDR3スパイクレパートリーの選択 CEA6 VL/VH CDR3 スパイクレパートリーをCEA 特異的抗体について選択した。 初期ライブラリーについて前に記載した通りに、該レパートリーからファジミド 粒子を回収した。回収したファージを100 μl 3MPBSの最終容量において1時間 予備ブロックした。第1回選別には約1011tuのファージを使い、その後の選別 には109〜1010tuのファージを使った。第1回選別には、10 nM の最終濃度にな るようにビオチン化CEA を予備ブロック済ファージに加え、静置状態で37℃にて 1時間インキュベートした。 各選別に向けて、100 μlのDynabeads 懸濁液 (Dynal)を磁石上で分離し、ビ ーズを回収し、1mlの3MPBS 中で2時間予備ブロックした。ビーズを磁石上で回 収し、ファジミド/ビオチン化CEA 混合物中に再懸濁し、そしてくるくる回転さ せながら室温で15分間インキュベートした。ビーズを磁石上で集め、PBSTで3回 、次いでPBS中で2回洗浄した。次いでCEA6のものより長いオフ速度(off rate; koff)を有するクローンの選択を行った。50 nM の濃度のCEAを含 有するPBS 中でビーズを洗浄した。様々な時点(15分、30分、1時間、3時間お よび18時間)磁性ビーズ上に捕捉されたファージを磁石上で分離し、洗浄溶液を 置換した。最後に、ビーズの半量を10μlの50 mM DTT 中に再懸濁し(ビーズの 残りの半量はバックアップとして4℃で保存する)、そして室温で5分間インキ ュベートした。全ビーズ懸濁液を使って5mlの対数増殖中のTG1 細胞に感染させ た。これを静置状態で37℃で15分間インキュベートし、次いで適度に振盪させな がら45分間インキュベートし、2YTAG プレート上に塗布し、そして30℃で一晩イ ンキュベートした。 (vi) CEA6 VH/VL−スパイクレパートリーからのCEA 特異的scFv抗体の同定 上記に記載した通りに、CEAに特異的なscFv抗体をファージELISAと可溶性ELIS A の両方により同定し配列決定した。3つの新規CEA特異的scFv抗体が同定され た。この3つは全て上述のCEA6重鎖配列(DP10)と、VLの標的スパイクされた4 残基中に変異を有していた。その配列を図3に与える。 b.CEA 特異的scFv抗体CEA6の軽鎖入替え (i) レパートリーの作製 上記のCEA6 VH CDR3スパイククローンの集団を、PBL および扁桃由来のscFvレ パートリーから誘導された軽鎖の全レパートリーを使って組み換えた。CEA6 VH CDR3スパイク重鎖を、プライマーPCR-H-LINK(表1)とLMB3を使ったPCRによ り増幅せしめた。増幅条件は94℃で1分、55℃で1分および72℃で1分の25サイ クルに続いて、72℃で10分から成った。PCR生成物を1%アガロース−TAE ゲルを通して分離し、増幅されたVHを表すバンドを切り取り、Gene-clean キ ット(Bio 101) を使ってアガロースゲルからを溶出させた。 プライマーfdtetseqとPCR-L-LINK(表1)を使ったPCRにより、 扁桃由来軽鎖を増幅せしめた。増幅条件は94℃で1分、55℃で1分および72℃で 1分の25サイクルに続いて、72℃で10分から成った。PCR生成物を1%アガロ ース−TAEゲルを通して分離し、増輻されたVLを表すバンドを切り取り、Ge neclean キット(Bio 101)を使ってアガロースゲルから溶出させた。 約50 ng のCEA6 VH CDR3がスパイクされ増幅された重鎖と50 ngの増幅された 扁桃由来の軽鎖とを組み合わせた。1×反応緩衝液、200 nMのdNTPおよび5単位 のTaq ポリメラーゼの添加後、これを集成物増幅に使用した。増幅条件は94℃で 1分、60℃で1分および72℃で1分30秒の7サイクルに続いて、72℃で10分から 成った。各集成物10μlを、プライマーfdtetseqとLMB3を使った「プルスルー (pull-through)」増幅において鋳型として使った。増幅条件は94℃で1分、60 ℃で1分および72℃で1分30秒の25サイクルに続いて、72℃で10分から成った。 プルスルー増幅生成物を1%アガロース−TAEゲルを通して分離し、プルス ルーVH−VLを表すバンドを切り取り、Geneclean キットを使って溶出させた 。これを制限エンドヌクレアーゼSfiIとNotI(NEB)で消化し、そして予めSfi IとNotIで消化しておいたファジミドベクターpCantab 6 (Amersham ligatio n system)中に連結せしめた。連結生成物を用いてエレクトロコンピテントTG1 細胞を形質転換せしめ、2YTAG プレート上に塗布し、そして30℃で一晩インキュ ベートした。扁桃由来軽鎖を使ったCEA6 VH CDR3スパイク重鎖の軽鎖入替えから 約3×107 個の独立クローンが得られた。 (ii) 軽鎖入替えレパートリーの選択 軽鎖入替えレパートリーを、CEA6 VH/VL CDR3 スパイクレパートリーについて 上述したのと全く同様に、CEA6より長いオフ速度(koff )を有するCEA 特異的 抗体について選別した。 (iii) 軽鎖入替えレパートリーからのCEA 特異的scFv抗体の同定 上記に記載した通りに、CEA 特異的scFv抗体をファージELISA と可溶性ELISA の両方により同定し配列決定した。3つの新規CEA 特異的scFv抗体が同定された 。この3つは全て上述のCEA6重鎖配列(DP10)を有していた。各VLドメイン遺伝 子の配列を下記に要約し、完全配列を図4に与える。 クローン VH生殖細胞系列セグメント VLイソタイプ TO6D4 DP10(CEA6) VKappa TO6D8 DP10(CEA6) VKappa TO6D12 DP10(CEA6) VKappa 3.高親和性抗CEA 抗体の構築 高親和性抗CEA scFvから誘導した重鎖と、高められたオフ速度と減少されたヒ ト肝臓交差反応性を示す抗CEA scFvから誘導した軽鎖との組換え。 scFv抗体CEA6のCDR3をスパイクすることにより得られた抗体は高親和性でCEA と結合する(項目2b)。より高い親和性の抗体を獲得する見込みを高めるため に、高親和性抗CEA scFvから得たVHを、高められたオフ速度と減少されたヒト 肝臓交差反応性を示す抗CEA scFvから得たVLと組み合わせることを決めた(実 施例4)。 クローンTO6D10からの重鎖を、プライマーLMB3とPCR-H-Link(表1)を使って PCRにより増幅せしめた。増幅条件は94℃で1分、55℃で1分および72℃で1 分の25サイクルに続いて、72℃で10分から成った。PCR生成物を1%アガロー ス−TAEゲルを通して分離し、増幅されたVHを表すバンドを切り取り、Gene clean キット(Bio 101) を使って溶出させた。 抗CEA 特異的クローン TO6D8とT06D12から、ブライマーfdtetseqとPCL-L-Link (表1)を使ってPCRにより別々に軽鎖を増幅せし めた。VH増幅について上記したものと同じPCR条件を使った。次いで各VL PCR生成物を別々に上記と同様に1%アガロース−TAEゲルを通して精製 した。 約50 ng の増幅された重鎖と50 ng のいずれかの増幅された軽鎖とを組み合わ せた。1×反応緩衝液、200 nMのdNTPおよび5単位のTaq ポリメラーゼの添加後 、これらを集成物の増幅に使用した。増幅条件は94℃で1分、55℃で1分および 72℃で2分の7サイクルに続いて、72℃で10分から成った。各集成物5μlを、 プライマーfdtetseqとLMB3を使った50μlの「プルスルー(pull-through)」増 幅において鋳型として使った。増幅条件は94℃で1分、55℃で1分および72℃で 2分の25サイクルに続き、72℃で10分から成った。 プルスルー増幅生成物を1%アガロース−TAEゲルを通して分離し、プルス ルーVH−VLを表すバンドを切り取り、Geneclean キットを使って溶出させた 。これらを制限エンドヌクレアーゼSfiIとNotI(NEB)で消化し、そして予めS f1 IとNotIで消化しておいたファジミドベクターpCantab 6 (Amersham liga tion system)中に連結せしめた。連結生成物を用いてエレクトロコンピテントT G1細胞を形質転換せしめ、2YTAG プレート上に塗布し、そして30℃で一晩インキ ュベートした。 c.組換え型クローンTO6D9およびTO6D11の同定 TO6D8 軽鎖(クローンTO6D9 を与える)またはTO6D12軽鎖(クローンTO6D1lを 与える)のいずれかと共にTO6D10重鎖を有するクローンを、配列決定により同定 した。実施例2:CEA へのscFv断片の結合親和力測定 CEA6親クローンに由来する全抗CEA scFvの親和力を表面プラスモン共鳴により 測定し、一方CEA1〜CEA5の親和力を結合阻害ELISA により測定した。 a.表面プラスモン共鳴による親和力測定 実施例1に記載のscFv断片のCEA への結合のオフ速度を、センサーチップに結 合させた脱シアル酸CEA を使って測定した。100 μgのCEAを0.1 M酢酸ナトリ ウム緩衝液 pH 4.0 中に再懸濁し、1.375mUのシアリダーゼ (Sigma)を使って脱 シアル酸した。これを時折振盪しながら37℃で4時間インキュベートした。次い で脱シアル酸CEA を、10 mM リン酸塩緩衝液pH 7.0 中で500 μg のCEA あたり 1単位のガラクトースオキシダーゼを使って酸化した。それを36℃で2時間イン キュベートし、Centricon カラムを使って10 mM 酢酸ナトリウム緩衝液pH 4.0 中に脱塩した。次いでこのCEA をアルデヒドカップリングによってセンサーチッ プ上に固定した。15μlのEDC/NHS カップリング剤(Pierce)を5μl/分の流 速でチップに通した。35μlの5 mMヒドラジン/水をチップに通した後、35μ lのエタノールアミンをチップに通した。60μg/mlの処理CEA 4μlを2μl/ 分の流速でチップに通した後、0.1 M酢酸塩緩衝液 pH 4.0 中の0.1 M水素化シ アノホウ素ナトリウム溶液40μlを5μl/分の流速で通した。この方法を使っ て約1500 RU (共鳴単位)のCEA が結合された。この方法を使って5000 RU およ び800 RU CEAチップを製造した。オフ速度の計算を行う前に、各試料についで精 製scFvによる該チップの飽和(実施例3参照)を証明した。Bia-Evaluationソフ トウエアと、scFv調製物が100 %活性であるという仮定を使って、オンおよびオ フ速度を計算した。その結果を表2に示す。 b.阻害ELISA による親和力測定 CEA1〜CEA5の親和力は、それらのscFvがCEA の脱シアル酸により除去される糖 質構造を認識するために、表面プラスモン共鳴により評価することはできなかっ た。従って、それらの親和力は結合阻害 ELISA により測定した。 実施例1に記載した通りに可溶性scFv ELISAを実施した。PBS 中のscFv調製物 の希釈系列を作って、ELISA 上に約0.2 OD単位のシグナルが生じる時点を一晩評 価した。この濃度のscFvを20 nM から0.1 nMまでに及ぶ濃度の生来のCEA と共に 4℃晩予備インキュベートした。得られたデータを、クロッツプロットとしてプ ロットした〔y軸=最大吸光度/(最大吸光度−CEA 濃度nにおける吸光度); x軸=1/CEA 濃度n〕。このプロットの勾配を解離定数であるとみなした。結 果を表3に示す。実施例3:細胞性CEA への抗CEA 抗体の結合の証明 a.HeLa細胞の表面上へのCEA 発現 これらの実験には全て、金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)で精 製したscFvを使った。これは次のようにして調製した。コロニーを2%グルコー スと100 μg/mlアンピシリンを含む2TY(2TY/G/A )50ml中に接種し、30℃で 一晩インキュベートした。次いでこの一晩培養物を500 mlの2TY/G/A に添加し、 振盪インキュベーター中で30℃にて1時間増殖させた。細胞を8Kで10分間ペレッ ト化し、1 mM IPTG と100 μg/mlアンピシリンを含む2TY 500 ml中に再懸濁し 、そして22℃で一晩増殖させた。予冷したローター(4℃)中で8,000 g にて10 分間細胞をペレット化することにより、周縁質(ペリプラズム)調製物を調製し た。このペレットを25mlの氷冷Tris-HCl,pH 8,20%(w/v) ショ糖,1 mM EDTA 中に再懸濁し、氷上で15分間インキュベートした。次いで製造業者の指示に従 って、NTA −アガロース(Qiagen)を使ったIMACによって周縁質調製物からscFvを 精製した。 CEA を発現している1×105 個のHeLa細胞を、PBS/0.5 %(w/v)BSA(PBS/BSA )中100 μlに調整した、IMAC精製済の抗CEA scFv 5 μg またはヒト胎児ヘモグロビンに特異的な対照scFv(FSG-1)5μg と共に室 温で1時間インキュベートした。細胞を10mlのPBS/BSA 中で1回洗浄し、100 ml のPBS/BSA 中25μg/mlのマウス抗myc 抗体(9E10)と共に1時間インキュベートし た。細胞を10mlのPBS/BSA 中で洗浄し、PBS/BSA 中のFITC接合抗マウス抗体(Sig ma) の1:200 希釈液 100μlと共にインキュベートした。10mlのPBS/BSA 中での 最終洗浄の後、Coulter-EPISXL-MCLフローサイトメーターを使ったフローサイト メトリーにより、細胞蛍光を測定した。FL1 チャンネル(放出波長<550 nm)を 使って1×103 の蛍光現象を測定し、そして細胞数に対して対数目盛の上にプロ ットした。 オフ速度成熟抗CEA scFvの選択結果を図5に示す。 b.抗CEA scFvは可溶性CEA よりも細胞性CEA に優先的に結合する CEA を発現しているHeLa細胞にscFv添加前に可溶性CEA を添加すること以外は 、上記と同様にフローサイトメトリーを実施した。10ng/ mlから1μg/mlまでの 濃度範囲を細胞に添加した(図6)。試験したどの濃度でも、可溶性CEA は細胞 へのモノクローナル抗体の結合を阻害しなかった。可溶性CEA の添加は、同様な 細胞結合親和力を有する無関係のモノクローナル抗体の結合を阻害することがで きた。これは、CEA6とそれの親和力成熟scFv断片が可溶性CEA よりも優先的に細 胞性CEA と結合することを示唆する。実施例4:ヒト肝細胞系に対する親和力成熟抗CEA 抗体の特異性の 変更の証明 1×105 個のChang ヒト肝細胞をIMAC精製済抗CEA scFvまたは対照scFvと共に インキュベートすること以外は、実施例3aに記載したのと全く同じようにフロ ーサイトメトリーを実施した。FL1 チャンネル(放出波長<550 nm)を使って1 ×103 の蛍光現象を測定し、そして細胞数に対して対数目盛の上にプロットした 。その結果を図 7に示す。 図7から、CEA6がヒト肝細胞系と部分的に交差反応することがわかる。HBA11 とHBB11 も幾らか交差反応性を与えたが、一方軽鎖入替えレパートリーからの選 別により単離されたクローンは、このアッセイにおいて肝細胞系との検出可能な 交差反応性を全く示さなかった。よって、採用した選別プロトコールが、ヒト肝 臓に対する交差反応性が減少された抗CEA 抗体を富化したことが証明された。実施例5:CEA に特異的な抗体のエピトープマッピング a.全長CEA またはCEA エピトーブN,A1-B1,A2-B2,A3-B3の発現 CEA は、108 アミノ酸残基のNH2 末端ドメイン(ドメインN)に続いて各々17 8 残基の3つの高相同性中間部ドメイン(A1-B1,A2-B2,A3-B3 )から構成され る。23残基のC末端ドメイン(ドメインM)は翻訳後に取り除かれ、そして細胞 膜中にCEA をつなぎ止める糖リン脂質成分により置換されることが証明されてい る。細菌CMP-KDO シンターゼ(CKS) との融合タンパク質としての全長CEA または エピトーブN,A1-B1,A2-B2 もしくはA3-B3 のcDNAは、J.Shively博士により提 供された〔Hass他(1991)Cancer Res.51:1876-1882〕。 CKS-CEA 遺伝子を含むXL1-Blue細胞を次のようにして培養した。50μg/mlアン ピシリンを含む2mlの2TY の培養液に単一コロニーを接種した。培養物を37℃で 約3〜4時間インキュベートした後、IPTGを1 mMの最終濃度に添加した。更に 5時間増殖を続け、次いで細胞をペレット化し、−70℃で保存した。細胞ペレッ トを3mlの10mM Tris,1mM EDTA,pH 10.0 中に再懸濁した。リゾチーム(6mg )を加え、試料を15分間氷上に置いた。0.3 mlの20%Triton X-100を加え、懸濁 液を混合した。更に3mlの10 mM Tris,1mM EDTA,pH 10.0を加えた。Triton不 溶性画分を遠心分離によりペレット化し、6mlの8M尿素中に再懸濁した。尿素 可溶性物質をPBS(0.15 M NaCl,0.02 Mリン酸ナトリウム,pH 7.2)に対して透析して可溶性タンパク質を 得た。 b.CEA6由来の抗CEA scFvのエピトープマッピング 可溶性タンパク質部分を1μg/mlの濃度で37℃で一晩ELISA プレート上にコー ティングした。約1μg/mlの濃度の精製scFvを用いること以外は実施例1に記載 したのと同様にして、金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)を使って 可溶性抗CEA scFvを精製した。全てのCEA6由来クローンがA3− B3 ドメインに優 先的に結合した。 かくして、親和力成熟操作によりヒト肝細胞に対する特異性は変更されたけれ ども、これは親和力成熟クローンのCEA ドメイン特異性には影響を与えないこと が証明された。 c.CEA1,CEA2,CEA3,CEA4およびCEA5のエピトープマッピング これらのクローンを、脱シアル酸CEA (実施例2に記載した通りに調製)への 結合について可溶性ELISA により試験した。処理済のまたは未処理のCEAを0.5 μg/mlの濃度でELISA プレートにコーティングし、次いで実施例1に記載の通り にELISA を実施した。CEA1,CEA2,CEA3,CEA4およびCEA5は全て、脱シアル酸CE A に対してバックグラウンドより高い検出可能なシグナルを与えなかった(2時 間の発色後0.1 OD単位)が、一方生来のCEA に対するシグナルはいずれも2時間 後に>0.4 OD単位であった。これは、このクローン集団が、シアリダーゼ処理に より除去され得る生来のCEA 上の糖質エピトープを認識することを証明する。こ のクローン集団のうち、発現されたCEA エピトープN,A1-B1,A2-B2またはA3-B3 に結合したものは1つもなかった。E.コリにおいて発現されるタンパク質は グリコシル化されないので、この結果は脱シアル酸CEA を使って得られた観察結 果を確証する。実施例6:ヒト結腸腺癌異種移植片へのCEA 特異的抗体の限局化 ヒト結腸腺癌のマウス異種移植モデルにおいて、放射性標識マウス抗CEA mAb が腫瘍に限局化されることが証明されている〔Pedley他(1991)Int.J.Cancer 47: 597-602〕。本明細書中に記載される抗CEA scFv抗体がそのようなモデルに おいて好結果に腫瘍に限局化され得るかどうかを確立するために実験を組み立て た。 a.放射性標識を可能にするシステイン標識ベクター中へのscFvの サブクローニング プライマーLMB3とftdseqを使ったPCRにより、全ての抗CEA 抗体のscFv挿入 断片を調製した。増幅条件は94℃で1分、55℃で1分および72℃で1分の25サイ クルに続いて、72℃で10分から成った。PCR生成物を1%アガロース−TAE ゲルを通して分離し、増幅されたscFvを表すバンドを切り取り、そしてGeneclea nキット(Bio101 )を使ってアガロースゲルから溶出させた。この生成物を制限 エンドヌクレアーゼ SfiIとNotI(NEB)で消化し、予めSfiIとNotIで消化し ておいたシステイン標識ベクターpUC119MCH(図8)中に連結せしめた(Amersha m ligation system)。この連結生成物を用いてエレクトロコンピテントTG1細胞 を形質転換せしめ、2TYAGプレート上に塗布し、30℃で一晩インキュベートした 。コロニーを取り、scFvを配列決定して、pUC119MCH ベクター中に挿入断片が正 しく組み込まれたかどうかを確認した。 b.IMAC精製scFvのテクネチウム99m 標識 実施例3に記載の通りに抗CEA scFvをIMACにより精製した。次いでそれらをPa k 他(1992)Nucl.Med.Biol.19: 699-677に記載された通りにテクネチウム99 m で標識した。 c.動物モデル ヒト結腸腺癌細胞系LS174Tからの皮下継代により、ヌードマウス においてヒトLS174T異種移植片を確立した。4匹のマウスから成るグループを各 時点に採用した。マウスの尾静脈に3 mCi/mgの比活性で20μg のテクネチウム 99m 標識CEA6 scFv を注射した。注射後3時間または24時間目にマウスを犠牲に し、該抗体の生体分布および組織:血液比を測定した。 CEA6 scFv について得られた結果を図9と図10に示す。注射後24時間目には腫 瘍:血液比は3であり、腫瘍:肝臓比は1.2 であり、そして腫瘍:正常結腸比は 3.6であった。よって、抗CEA scFv CEA6が結腸腺癌のヌードマウスモデルにおい てヒト異種移植腺癌に限局化することが実証された。実施例7:CEA6およびTO6D11のドメイン認識の更なる調査 a.末端システイン残基を介したセンサーチップへのscFvのカップリング pUC119MCH ベクター中に作製した末端システイン残基を含むCEA6またはTO6D11 のモノマー調製物を、次のようなリガンドチオール固定化法を使ってCM5 チップ (Pharmacia)にカップリングさせた。50μlの50 mM 1−エチル−3−(3− ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩 (EDC)試薬 (Pharmacia)と50μ lの200 mM N−ヒドロキシスクシンイミド (NHS)試薬 (Pharmacia)を混合し、 該混合物を5μl/分の流速でチップに通した。次いで20μlの80mM2−(2− ピリジニルジチオ)エタンアミン塩酸塩(PDEA)活性化溶液を同じ流速でチップ に通した。このPDEA溶液は、4.5 mgのPDEA(Sigma)を250 μlほ0.1Mホウ酸緩衝 液pH 8.5 中に溶かすことにより新しく調製した。約100 μg/mlの精製モノマーs cFv溶液20μlを、PBS を使って50μlにし、次いでそのscFv溶液に50μlの50m M蟻酸ナトリウム pH 4 を加え、この混合物 50 μlを同じく5μl/分の流速 でチップに通した。1.5 mgのL-システインと14mgのNaCl を250 μlの0.1 M 蟻酸ナトリウム緩衝液pH 4.3 中に溶かすことにより50 mM L−システイン−1 M NaCl不活性化溶液を調製し、そしてこの溶液20μlを5 μl/分の流速でチップに注入した。この操作は、チップにカップリングしてい るモノマーTO6D11 scFv の375 共鳴単位(RU)の固定化およびモノマーCEA6 scF v の374 RUの固定化を提供した。既知のNドメイン反応性scFvから成る対照チッ プも同じ手順により調製した。 b.精製CEA ドメインの調製 細菌CKS 遺伝子を含まないpUC119EHISベクター(図11)中でクローニングした 実施例5aに記載のCEA ドメインの50ml培養物を、2%グルコースと100 μg/ml アンピシリンを含む2TY(2TYGA)中で30℃にて一晩増殖させた。それらの培養物 を500 mlの2TYGA に接種し、30℃で更に1時間増殖させた。5K,10分の遠心分離 により細胞をペレット化し、予め30℃に温めておいた1 mM IPTG と100 μg/ml アンピシリンを含む2TY 中に該ペレットを再懸濁した。30℃で3時間振盪するこ とにより誘導を行い、次いで上記と同様に細胞をペレット化した。ペレットを10 mlの1×TES(0.2 M Tris-HCl,0.5 mM EDTA,0.5 M ショ糖)中に再懸濁した後 、15mlの0.2 ×TES を加えた。細胞を30分間氷上に置き、次いで4に℃てSorval l SS34ローター中での10K で30分間の遠心分離により細胞破片をペレット化した 。上清を50mlのFalconチューブに移し、25μlの1 M MgCl2 (QIAGEN)を加えた。 リン酸塩緩衝液(300 mM NaCl,50 mMリン酸ナトリウム,pH 8)中で洗浄してお いた2mlのNi-NTAアガロース (Quiagen)を上清に加え、4℃で1時間回転させた 。次いでNi-NTAアガロースを卓上遠心機中で1000 rpmで2分間遠心分離すること によりペレット化し、アガロースペレットを20mlのリン酸塩緩衝液(300 mM NaC l,50 mMリン酸ナトリウム,pH 8)中で2回、次いで10 mM イミダゾールを 含むリン酸塩緩衝液中で1回洗浄した。Biorad Polyprep カラムにアガロースス ラリーを移し、300 mMイミダゾール/リン酸塩緩衝液の1ml×2アリコートの添 加により、カラムからCEA ドメインを溶出させた。 c.センサーチップ上に固定化されたscFvへのCEA メイン調製物の結合 4つのCEA ドメイン調製物(A1-B1,A2-B2,A3-B3,N)各70μlを5μl/分 の流速においてscFv固定化チップに通した。各ドメイbンの注入後、10mlの10 mM HClの注入によりチップを再生した。CEA6とTO6D 11scFv 固定化チップについて は、ドメインA1−B1,A2−B2およびA3−B3はいずれも表面へのおよそ100 RUの結 合をもたらした。CEA6またはTO6D11 scFv 固定化チッブ上へのNドメインの結合 は全く観察されなかった。CEA6およびTO6D11 scFv 固定化チップの両方について 各ドメインのKoff を計算すると(表4)、A3−B3が最長のオフ速度を有するこ とがわかった。この結果は、このドメイン(A3−B3)がCEA とTO6D11により優先 的に認識されるドメインであることを示唆する。ドメインA1−B1,A2−B2および A3−B3は、CEA6およびTO6D11 scFv とそれらの全ドメインとの幾らかの交差反応 性の説明となるかもしれない3ドメイン全てに共通である要素を含まない。これ は、CEA6のドメイン認識の全体的特徴が、TO6D11に対するこの抗体の親和力成熟 の間に変更されなかったことを証明する。 対照として、CEA のNドメインを認識することが示された固定化scFvを有する チップも、様々なドメインをチップに通すことにより試験した。このscFvは54 R U のメイン調製物の結合を与えたが、scFvへの他のドメインの検出可能な結合は 与えなかった。これは、Nドメイン調製物の活性を証明し且つこのscFvの特異性 を再確認す る。実施例8:CEA1,CEA2,CEA3,CEA4およびCEA5の結合特異性の分析 実施例5cに記載した通りに、CEA1,CEA2,CEA3,CEA4およびCEA5は、脱シア ル酸CEA への結合について試験した時に全く検出可能なELISA ジグナルを与えな かった。このことは、それらのクローンがCEA のシアル酸含有糖質成分を認識し ていることを示唆する。それらのクローンの特異性を次のようにして更に調べた 。 a.ポリシアル酸(PSA) への結合についてのCEA1,CEA2,CEA3,CEA4およびCEA5 のELISA試験 平均約200 モノマーのシアル酸ポリマーであるPSA の1変形である、ビオチン 化K1ポリシアル酸は、R.Waibek 博士により提供された。PSA のK1変形をE.コ リのK1株から精製した。E.コリ K1 は、長い直鎖状PSA (K1)鎖の合成を触媒す る膜性CMP-NeuAc ;ポリ−α−2−8−シアロシル シアリルトランスフェラー ゼ複合体を有する。 ストレプトアビジン被覆プレート(Pierce,Reacti-Bind )上にPSA を10μg/ mlの濃度で室温で1時間コーティングした。該プレートを3%MPBS中で室温で1 時間ブロックし、次いで3%MPBS中のCEA1,CEA2,CEA3,CEA4,CEA5およびCEA6 (対照として)のモノマー調製物 100μlを約100 μg/mlの濃度で各ウエルに添 加した。プレートを室温で1時間置いておき、次いでPBST中で3回洗浄し、次い でPBS 中で3回洗浄した。結合したscFvの検出は、1:200 希釈した抗myc tag 抗体(9E10)(MunroおよびPelham,1986)を使って37℃で1時間行った。プレ ートを上記と同様に洗浄し、1:5000希釈したアルカリホスファターゼ接合ヤギ抗 マウスIgG(ierce)使って37℃で1時間展開した。プレートを上記と同様に洗 浄し、0.9 %NaCl中ですすぎ、色素生成基質pNPP (Sigma)を加えた。405 nmで 吸光度を測定した。 クローンCEA1,CEA2,CEA3,CEA4およびCEA5は全て、PSA K1ポリマーに対して シグナルを与えたが、CEA6は全く検出可能なシグナルを与えなかった(図13)。 それらの結果は、CEA1,CEA2,CEA3,CEA4およびCEA5がいずれも遊離形のK1 PSA を認識し、よってシアル酸がそれらのCEA の認識に何らかの役割を果たしている ことを示唆する。 b.遊離形のK1または遊離形のコロン酸(CA)による、CEA へのCEA1,CEA2,CE A3,CEA4およびCEA5の結合の阻害 過剰の遊離形 PSA K1 および遊離形PSA CA (約1μM)を100μlのscFvモノ マー調製物(約100 μg/ml)と共に予備インキュベートし、次いでscFvを使って 実施例1d(ii)に記載したようなELISAにより生来のCEA を検出した。CAは、一 鎖あたり平均約16個のシアル酸残基を有するシアル酸のポリマーである。CEA1, CEA2,CEA3,CEA4およびCEA5の場合、K1とCAの両方について様々な程度に生来の CEA に対するシグナルが阻害された。生来のCEA へのCEA6の結合は、K1またはCA PSAの存在により阻害されなかった(図14)。K1およびCAによるCEA へのscFv結 合の阻害の程度は表5に要約される。CEAへのCEA1,CEA2,CEA3,CEA4および低 レベルでのCEA5の結合が遊離形PSA 分子によって阻害されたということは、それ らのscFvによるCEA の認識の更なる証拠として、CEA に対するそれらの認識の際 のシアル酸結合特異性という一要素を提供する。実施例9:正常結腸粘膜および結腸直腸腫に関するCEA1,CEA2,CEA3,CEA4,CE A5およびCEA6の免疫細胞化学 クローンCEA1〜CEA6の精製モノマー調製物を使って、種々の組織源からのパラ フィン包埋ホルマリン固定試験片(BioMedix)において発現されるCEA を検出し た。試験片をHistoclear中で脱臘し、次 いで100 %エタノール中で2回、70%エタノール中で1回洗浄し、蒸留水中で再 水和し(全て各回5分ずつ)、そしてPBST中ですすいだ。次いで20%酢酸中で15 分間インキュベーションし、PBSTですすぎ、PBS 中1%BSA (PBSB)中で1時間 ブロックすることにより、内因性アルカリホスファターゼ活性をブロックした。 すすぎの後、PBSB中に希釈したモノマーscFv画分を添加し、湿潤雰囲気下で4℃ にて一晩インキュベートした。試験片をPBSTで3回(各回2分ずつ)洗浄した後 、PBSB中に1:100 希釈された9E10と共に室温で1時間インキュベートした。上記 と同様にすすいだ後、アルカリホスファターゼ接合ヤギ抗マウス抗IgG(PBS / 10%ウシ胎児血清中に1:100希釈したもの)を加え、1時間インキュベーション を続けた。結合した抗体を、Fast Red (Sigma)基質を使って検出し、更にヘマト キシリンを使って試験片を対比染色し、封入した。 CEA1,CEA2,CEA3,CEA4およびCEA5は、正常結腸陰窩上皮の弱い染色を与え、 正常胚上皮の不均一染色を与えた。それらの5つのクローンは中程度から高度に まで分化した腺癌の可変的陽性染色を与えた。中程度に分化した腫瘍の染色は腺 の基底面と内腔側に限局化されたが、一方でより完全に分化した腫瘍の染色はム チン生産性杯細胞に限られていた。それらのクローンは「典型的な」抗CEA 染色 パターンを与えなかった。これは、発現の全段階には存在しないかもしれないCE A 上の糖質要素との反応性により説明され得る。 CEA6は正常胚上皮の強い染色を与え、杯細胞および陰窩上皮も反応した。CEA6 による腺癌の染色は、中程度から高度に分化した腫瘍の均一で強い陽性を与えた が、あまり分化してない癌の染色はずっと不均一であった。実施例10:ヒト結腸腺癌異種移植片へのI125 標識抗CEA 抗体の限局化 実施例6は、CEA を発現するヒト結腸腺癌を異種移植したヌードマウスにおけ る腫瘍へのテクネチウム99m 標識CEA6 scFv の限局化のデータを説明している。 同じ動物モデルにおいてTO6D11 scFv と一緒にI125 標識CEA6 scFv を使って、 その実験を繰り返した。 a.scFvモノマー調製物のI125 標識 精製したscFvのI125 による標識は、FrakerおよびSpeck(1978)Biochem.Bi ophysc.Res.Commun.80,849-857 により最初に記載された「ヨードゲン法」 を使って行った。この方法では、CEA6とTO6D11の両方のVH CDR3 中に4個ある、 タンパク質中のチロシン残基にヨウ素を優先的に取り付ける。CDR のヨウ素化は 理論上抗原結合特異性を傷つけ得るけれども、それらを放射性標識後にCEA アフ ィニティーカラム(Dr.David Read,Department of Clinical Oncology,Royal Free Hospital,London から借用したカラム)に通すことにより、CEA6とTO6D1 1の両方を免疫反応性について調べた。これは、標識したタンパク質の7-90%が カラムに結合できることを示し、125I標識がscFvの生体内適用のための実行可 能な標識アプローチであることを証明する。 b.動物モデル ヒト結腸腺癌細胞系LS174Tからの皮下継代により、ヌードマウスにおいてヒト LS174T異種移植片を確立した。4匹のマウスから成るグループを各時点に採用し た。マウスの尾静脈に1 mCi/mgの比活性で10μgのI125 標識scFvを含む溶液 100 μlを注射した。注射3,24または48時間目にマウスを犠牲にし、該抗体の 組織:血液比をガンマカウンティングにより測定した。 CEA6およびTO6D11について得られた結果を表6に示す。CEA6とTO6D11の両方が 全ての時点で腫瘍に限局化し、同じく免疫反応性が傷つけられなかったことを確 証する。CEA6は注射後24時間目に22.5 :1の組織:血液比を与え、注射後48時間目には3.1:1の組織:血液比を与え た。TO6DllはCEA6ほどには効果的に腫瘍に限局化せず、注射後24時間目に5.8: 1の組織:血液比を与えたが、腫瘍を標的しなかったTO6D11は標的したCEA6より も長くそこにとどまっていた。注射後48時間目のTO6D11の組織:血液比は6.6: 1であった。実施例11:CEA に特異的な抗体のエピトーブマッピングの改良 (a) 大型ファージ表示ライブラリーからの特定ペプチドの選択 CEA6により特異的に認識されるCEA 分子上の配列を詳細に分析するために、フ ァージ上に表示された非常に大型の(>1011クローン)組合せペプチドレパート リーの選択に、抗原として精製モノマーCEA6 scFv を使った。使用したペプチド ライブラリーはFisch 他,1996,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93: 7761-7766 により記載された通りに作製した。簡単に言えば、pUC 系プラスミド上にコード される10のランダムアミノ酸を、受容体ファージによりコードされ且つ5アミノ 酸スペーサーにより分離された10アミノ酸と生体内で組み換えた。組換え配列( 25アミノ酸をコードする)のレパートリーを繊維状ファージのgIIIタンパク質 と融合せしめ、それを表示に利用できるようにした。12.5μg/mlテトラサイクリ ンを含む2YT 培地中で30℃で一晩増殖させた培養物からファージを精製した。典 型的なファージ収率は1〜5×1011 t.u./mlのオーダーであった。 実施例3に記載の如く精製されそしてFPLC分画されたCEA6 scFvを使って、PBS 中10μg/mlの濃度で免疫用チューブ(Nunc,Maxi-sorp)を4℃で一晩コーティ ングした。3%(w/v) 脱脂粉乳Marvelを含むPBS (PBSM)を使って該チューブを 室温で1時間ブロックした後、PBSM中で予備ブロックしたファージを含む上清( 5×1011t.u.)を、室温で更に90分間に渡り結合させた。非特異的ファージを実 施例1に記載の通り洗い流し、3mlの100 mMトリエチルアミン を使って特異的ファージを溶出させ、1.5 mlの1M Tris-HCl,pH 8.0 で中和し、 そしてE.コリ TG1中に再感染させた。4回までの選別を実施し、ポリクローナ ル集団中のCEA6特異的ファージの収率を、後述するようなELISA により評価した 。第3回および第4回選別からの個々のファージクローンを、ELISA により特異 性について更にスクリーニングした。 96ウエルのプレートを、CEA6 scFv で、または対照として異なる特異性を有す る別のscFvで、PBS 中10μg/mlの濃度において4℃で一晩コーティングした。プ レートを室温にて1時間PBSMでブロックし、次いでマイクロタイターブレート中 の2YT-tet 中で増殖させた個々のクローンからの上清を、CEA6 scFv でコーティ ングしたプレートに添加する前に、PBSM中で予備ブロックした。1:5000希釈さ れた抗M13 HRP接合体を使ってファージ結合を検出した。検出はOPD基質(Sigma) を使って行った。マイクロタイターブレートリーダー中で490 nmでプレートを読 んだ。 (b) ペプチドライブラリーから選択されたクローンの配列決定 CEA6陽性ファージの塩基配列決定は、下記のオリゴヌクレオチドプライマーを 使った2つのエクソンの別々のPCRにより行った。 エクソン1 オリゴ 4445 5’-ACTTGGTTAGGTCCATGTCCGTCAGC-3’ fdPCRBACK 5’-GCGATGGTTGTTGTCATTGTCGGC-3’ エクソン2 オリゴ 3358 5’-GAAGTGATGCAACACTGGAGC-3’ fdPCRFOR 5’-TAGCCCCCTTATTAGCGTTTGCCA-3' 表7は、ELISA により特異的にscFvを結合することが証明された、CEA6 scFv に関する第3回および第4回選別後に選ばれたペプチドファージの配列の編集を 示す。選ばれたクローンのうち、1/11だけが25アミノ酸ペプチドとして組換え 配列を有した。残りのクローンは受容体ファージによりコードされる10アミノ酸 (Fisch 他,前 掲におけるエクソン2)を含んでいた。 選ばれた配列を、3つの178 アミノ酸ドメイン反復配列(AIB1,A2B2,A3B3) 全てに共通したヒトCEA 配列と整列して示す。表7において下線が引かれた残基 は「A」サブドメイン内の139〜148 位にあり、その場所で、選ばれたペプチド ファージとの最強の相同性が観察される。第3回選別で選ばれたペプチド P3G12 およびP3C8は最も厳格な相同性を示し;加えて、P3G12 (P4C5)およびP3C8 (P4A3 )と同じ配列を有するクローンも第4回選別で単離され、それらの配列を有する ファージの陽性抗原選別を示す。従ってファージP3G12およびP3C8を、PEG沈 澱による精製(実施例1(a)に記載)並びに更なる特異性分析(c)およびELISA によるCEA へのCEA6結合の阻害(d)に採用した。 (c) 共通フレームワークを有するscFvを使った特異性分析 CEA6に対するファージP3G12 およびP3C8の特異性を更に調べるために、上記( a)に記載したような96ウエルプレート上へのコーティングに下記の精製scFvを 採用した: (i) scFv P2-2E10 :ウシヒストンH1に特異的であり、CEA6と同じ生殖細胞系 列VH(DP10)およびVL(L12a)を有するが、両鎖のCDR 中の配列が異なる; (ii) scFv P2-1D2:ウシ全ヒストンに特異的であり、異なるVH(DP75,VH1 か ら)を有するがVLは同じである; (iii)scFv VoDox-1 :化合物ドキソルビシンに特異的であり、異なるVH(DP47 ,VH3 から)を有するがVLは同じである。 全てのscFvを実施例3に記載の通りに精製し、(a)に記載のようにELISA を行 った。図15は試験した各ペプチドについてプロットした吸光度を示す。試験した scFvはいずれも、CEA6 scFv に関して選ばれたペプチドに特異的に結合できない 。CEA6に対する両ペプチドの 特異性を確証するだけでなく、これは両ペプチドとも全てのscFv上に存在するmy c タグまたはhis タグのいずれも認識しないことを確証する。別の実験において 、選ばれたペブチドはヒトIgG1,κとして再構成されたCEA6を結合することを証 明したが、同じイソタイプの無関連ヒト抗体への結合は全く示さなかった。 (d)ペプチドファージを使った結合阻害ELISA CEA へのCEA6 scFv の結合の阻害を、選ばれたペプチドファージ、生来のCEA (陽性対照)または無関連ペプチドファージ(陰性対照)のいずれかを使ったEL ISA により測定した。CEA を0.5 μg/mlの濃度でウエルあたり50μlにおいて96 ウエルプレートに37℃で一晩コーティングした。プレートを3%MPBSでブロック し、その間に1μg/mlのCEA6 scFv を、クローンP3G12,P3C8 もしくはP4A2か らのファージの10倍希釈系列(3%MPBS中)と共に、またはCEA の希釈系列(55 nM から始まる)と共に室温で90分間予備インキュベートした。次いで、予備イ ンキュベートした試料を、ブロック済のプレートに室温で1時間移した。9E10( 1μg/ml)に続いて抗マウスIgG−アルカリホスファターゼ接合体(1/2500) とpNPP基質(Sigma)を使った標準検出法により、結合したCEA6を検出した。 図16は、生来のCEA を使った阻害と比較した、様々な濃度の特異的ファージと 非特異的ファージの両方によるELISA シグナルの減少を示す。P3G12ファージとP 3C8ファージは両方とも>1.0 ×1010t.u./mlの濃度においてCEA 結合を特異的 に阻害するが、一方で無関連のファージ(P4A2)は阻害しない。実施例12:CEA に特異的な 125I標識scFvの腫瘍取込みおよび正常組織生体分布 の分析 実施例10は、異種移植されたヒト結腸癌への 125I標識CEA 特異的scFv CEA6 およびTO6D11の効率的限局化を説明する。別の実験に おいて、CEA6の親和力成熟から誘導されたscFv(HBB11,TO6D10,TO6D4,TO6D12 並びにTO6D11およびCEA6)は全て、注射後24時間目に腫瘍組織に限局化される ことが証明された。その実験では、CEA6とTO6D12は24時間目に最高の腫瘍:血液 比を示した(11:1)。TO6D4 はそれより低かった(4:1)が、24時間目の腫 瘍における注入線量の百分率は最高であった(2%)。TO6D4 は、より遅いクリ アランスを示す、より好ましい腫瘍:腎臓比も与えた。記載される更なる実験は 、それらの観察結果を確かめるために、および取り込まれた放射能を測定するこ とができる一層多数の時点を組み込んだ、CEA6,TO6D12およびTO6D4 の背合わせ の比較を与えるために実施した。 a.125ヨウ素によるモノマーscFvの標識 実施例10に参照したヨウ素法により一本鎖Fvを標識した。標識後、125I−CEA 6、125I−TO6D12および125I−TO6D4 のそれぞれ90%、85%および62%がCEA −セファロースカラムに結合した。 b.腫瘍異種移植片モデル LS174T異種移植片を有する16匹のマウスのグループに、各々のヨウ素化scFvの 静注1回量(1μCi/50μg)を投与した。注射後3,6,18および24時間後に 4匹のマウスのグループを犠牲にし、腫瘍と他の組織をガンマカウンティング用 に取り出した。 3種のscFvは全て腫瘍に優先的に限局化した。最大の腫瘍:血液比は14.6:1 (24時間目の125I-CEA6)、6.6:1 (24時間目の125I-TO6D12)および7.4: 1(18時間目の125I-TO6D4)であった。図17は、様々な時点についてプロット した腫瘍の注入線量の平均百分率/g(%ID/g)を示す。24時間の時点では 、平均%ID/gは0.5%(125I-CEA6)、0.4 %(125I-TO6D12)および1.5 %(125I-TO6D4)であった。TO6D4 は最も好ましい腫瘍:腎臓比を示し、こ のことはこのscFvがよりゆっくりと排泄されることを示唆する。しかしながら、 3つのscFvの全体クリアランス速度の測定は、それらがおよそ2時間の推定t1/ 2 (α)を有し、互いに識別できないことを示した。従って、この実験は、クロ ーンTO6D4 がCEA6のものに比較して最も遅いオフ速度を示さないけれども、それ は生体内投与後により低いクリアランス速度をもたらす特性を獲得したことを証 明する。 表1:CEA 抗体の同定および特徴づけに用いるオリゴヌクレオチドプライマー B=T,GまたはC; H=T,CまたはA; M=CまたはA;Y=Tまたは C。 表2:表面プラスモン共鳴による抗CEA scFvのkoff およびkon の測定 クローン koff(s-1) kon(M-1s-1) 解離定数(M) (koff /kon) CEA6 6.O X 10-3 9.0 X 105 7.0 X 10-9 TO6D4 4.0 X 10-3 4.0 X 105 1.0 X 10-8 TO6D8 2.3 X 10-3 4.O X 105 6.0 X 10-9 TO6D10 1.4 X 10-3 1.0 X 106 1.0 X 10-9 TO6D12 3.3 X 10-3 9.0 X 105 3.0 X 10-9 TO6D11 9.0 X 10-4 1.5 X 106 6.0 X 10-10 HBB11 2.0 X 10-3 1.5 X 106 1.0 X 10-9 HBA11 5.5 X 10-3 9.O X 105 6.0 X 10-9 HBB6 5.7 X 10-3 9.0 X 105 6.0 X 10-9 表3:結合阻害ELISAにより測定した抗CEA scFvの親和力 クローン 解離定数(M) CEA1 1.0 ×10-6 CEA2 5.0 ×10-7 CEA3 5.0 ×10-7 CEA4 1.0 ×10-7 CEA5 1.0 ×10-8 CEA6 7.0 ×10-9 表4:TO6D11またはCEA6 scFv を固定化したセンサーチップに通した時の精製CE A ドメインの結合速度およびオフ速度の相対レベル TO6D11 375 RUチップ CEAドメイン 脱シアル酸CEA A1-B1 A2-B2 A3-B3 N 結合したRU >1000 167 112 100 9 koff(S-1) 9×10-3 7×10-2 7×10-2 4×10-2 - CEA6 394 RUチップ CEAドメイン 脱シアル酸CEA A1-B1 A2-B2 A3-B3 N 結合したRU >1000 115 130 150 30 koff(S-1) 9×10-3 8×10-2 8×10-2 4×10-2 - koff を計算するには少なすぎるNドメインのRUがTO6D11およびCEA6チップ上に 残った。 表5:遊離形K1およびCA PSAによる、CEA へのCEA1,CEA2,CEA3,CEA4,CEA5お よびCEA6の結合の阻害率 クローン 生来のCEA 結合の阻害(%) K1 CA CEA1 53 94 CEA2 90 75 CEA3 0 29 CEA4 25 48 CEA5 2 15 CEA6 7 0 表6:ヒト結腸腺癌のマウスモデルにおけるCEA6,TO6D11およびColin scFvの平 均組織:血液比。 CEA6 TO6D11 hr pi hr pi 3 24 48 3 24 48 血液 1 1 1 1 1 1 肝臓 0.4 0.9 0.8 0.5 0.8 0.6 腎臓 1.3 5.5 4.1 1.8 5.9 6.7 肺 0.6 1.1 0.7 0.7 1.1 0.7 脾臓 0.6 0.7 0.6 0.5 0.6 0.9 結腸 0.4 0.5 0.4 0.4 0.4 0.6 筋肉 0.2 0.4 0.4 0.3 0.3 0.3 骨 0.3 0.5 0.7 0.3 0.4 0.5 腫瘍 0.9 22.5 3.1 1.0 5.8 6.6 hr pi =注射後の時間 表7:CEA6 scFv に対して選択されたペプチドファージの配列 * 下線を引いた配列は最大の相同性の領域を示す。 § 一次配列中に全く共通配列が見られない。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項 【提出日】1997年12月5日(1997.12.5) 【補正内容】請求の範囲(請求項18〜37) 18.前記ヒト抗体抗原結合ドメインが、CEA6のCDR3変異体として図3に示され たCDR3配列を含んで成る、請求項1に記載の特異的結合メンバー。 19.前記ヒト抗体抗原結合ドメインが、CEA6の変異体として図4に示されたア ミノ酸配列のいずれかを有するVLドメインを含んで成るか、または図4に示さ れたCEA6 VL 変異体アミノ酸配列のアミノ酸配列変異体である、請求項1に記載 の特異的結合メンバー。 20.前記ヒト抗体抗原結合ドメインが、CEA6 CDRのCDR1,CDR2またはCDR3配列 変異体として図4に同定されたアミノ酸配列を有する1もしくは複数の相補性決 定領域(CDR) を含んで成る、請求項1に記載の特異的結合メンバー。 21.前記ヒト抗体抗原結合ドメインが、図1(a)に示されたアミノ酸配列を有 するCEA6のVHドメインと、図1(b)に示されたアミノ酸配列を有するCEA6のV Lドメインとを含んで成る、請求項4に記載の特異的結合メンバー。 22.一本鎖Fv(scFv)分子である、上記請求項のいずれか一項に記載の特異 的結合メンバー。 23.前記ヒト抗体抗原結合ドメインを構成するアミノ酸に加えて1または複数 のアミノ酸を含んで成る、上記請求項のいずれか一項に記載の特異的結合メンバ ー。 24.標識またはレポーター分子を含んで成る、上記請求項のいずれか一項に記 載の特異的結合メンバー。 25.前記標識が放射性ヨウ素である、請求項23に記載の特異的結合メンバー。 26.ヒト癌胎児性抗原を発現している細胞の存在を決定する方法 であって、細胞を請求項1に記載の特異的結合メンバーと接触させ、そして前記 細胞への前記特異的結合メンバーの結合を測定することを含んで成る方法。 27.前記結合が試験管内で起こる、請求項25に記載の方法。 28.前記結合が生体内で起こる、請求項25に記載の方法。 29.ヒト癌胎児性抗原への請求項1〜24のいずれか一項に記載の特異的結合メ ンバーの結合を引き起こすかまたは許容することを含んで成る方法。 30.哺乳類への前記特異的結合メンバーの投与を含んで成る、請求項28に記載 の方法。 31.請求項1〜23のいずれか一項に記載の特異的結合メンバーをコードする核 酸。 32.ベクターの一部分である、請求項30に記載の核酸。 33.請求項30または請求項31に記載の核酸を含有する細胞。 34.請求項30または請求項31に記載の核酸からの発現を含んで成る、特異的結 合メンバーの調製方法。 35.請求項32に記載の細胞を培養することを含んで成る、請求項33に記載の方 法。 36.発現後に前記特異的結合メンバーを単離しそして/または精製する、請求 項33または請求項34に記載の方法。 37.前記特異的結合メンバーを組成物の処方において使用する、請求項35に記 載の方法。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 5/10 C12P 21/08 C12P 21/08 G01N 33/574 E G01N 33/574 C12N 5/00 B //(C12P 21/08 C12R 1:91) (31)優先権主張番号 9621295.6 (32)優先日 平成8年10月11日(1996.10.11) (33)優先権主張国 イギリス(GB) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD ,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN, CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,G E,HU,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR ,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV, MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,P L,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK ,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ, VN (72)発明者 アレン,デボラ ジュリー イギリス国,ケンブリッジ シービー1 3エーエル,セジウィック ストリート 75 (72)発明者 マックカフェアティー,ジョン ジェラル ド イギリス国,バブラハム シービー2 4 エーピー,ソーストン ロード,チャーチ ファーム コテージ

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. ヒト癌胎児性抗原に対して特異的なヒト抗体抗原結合ドメインを含んで成 る特異的結合メンバーであって、ここで前記結合ドメインはヒト癌胎児性抗原に 対して1.0 ×10-8M未満の解離定数を有し、ヒト肝細胞と実質的に非交差反応性 であり、ヒト癌胎児性抗原のA3−B3細胞外ドメインに結合しそして/または可溶 性ヒト癌胎児性抗原よりも細胞性ヒト癌胎児性抗原に優先的に結合する、特異的 結合メンバー。 2. 前記結合ドメインがヒト癌胎児性抗原に対して5.0 ×10-9M未満の解離定 数を有する、請求項1に記載の特異的結合メンバー。 3. 血管内皮、筋肉、好中球、赤血球およびリンパ球のうちの1つまたは複数 に実質的に結合しない、請求項1または請求項2に記載の特異的結合メンバー。 4. 前記ヒト抗体抗原結合ドメインがVHドメインとVLドメインを含んで成 り、前記VHドメインとVLドメインが下記のペア: (i) 図1(a)に示されるアミノ酸配列を有するCEA6のVHドメイン と、図1(b)に示されるアミノ酸配列を有するCEA6のVLドメ イン; (ii) 図1(a)に示されるアミノ酸配列を有するCEA6のVHドメイン と、図4に示されるアミノ酸配列を有するTO6D4および TO6D12から選ばれたVLドメイン; (iii) TO6D11のもの、即ち図2に示されるアミノ酸配列を有する TO6D10のVHドメインと、図4に示されるアミノ酸配列を有 するTO6D12のVHドメイン; (iv) 図1(a)に示されるアミノ酸配列を有するCEA6のVHドメイン と、図4に示されるアミノ酸配列を有するTO6D8のVLドメ イン; (v) 図1(b)に示されるアミノ酸配列を有するCEA6のVLドメイン と、図2に示されるアミノ酸配列を有するHBB11 のVHドメ イン; (vi) 図1(b)に示されるアミノ酸配列を有するCEA6のVLドメイン と、図2に示されるアミノ酸配列を有するTO6D10のVHドメ イン; (Vii) 図1(b)に示されるアミノ酸配列を有するCEA6のVLドメイン と、図2に示されるアミノ酸配列を有するHBA11 およびHBB6 から選ばれたVHドメイン; (viii)図1(a)に示されるアミノ酸配列を有するCEA6のVHドメイン と、図3に示されるアミノ酸配列を有するLOBIC,LOE17およ びLOSC2 から選ばれたVLドメイン; (ix) 図1(a)または図2に示されるVHアミノ酸配列のアミノ酸配 列変異体であるVHドメインと、図1(b),図3または図4に 示されるVLアミノ酸配列を有するVLドメイン; (x) 図1(b),図3または図4に示されるVLアミノ酸配列のアミ ノ酸配列変異体であるVLドメインと、図1(a)または図2に 示されるVHアミノ酸配列を有するVHドメイン;および (xi) 図1(a)または図2に示されるVHアミノ酸配列のアミノ酸配 列変異体であるVHドメインと、図1(b),図3または図4に 示されるVLアミノ酸配列のアミノ酸配列変異体であるVL ドメイン から選ばれる、上記請求項のいずれか一項に記載の特異的結合メンバー 5. 前記ヒト抗体抗原結合ドメインが、次の生殖細胞系列:DP71生殖細胞系列 ;DP47生殖細胞系列;DP67生殖細胞系列;DP32生殖細 胞系列;およびDP10生殖細胞系列のうちの1つのVH1,VH3もしくはVH4 遺伝子配列、またはそれらの再配列された形を含んで成る、請求項1に記載の特 異的結合メンバー。 6. 前記ヒト抗体抗原結合ドメインが、次の生殖細胞系列:生殖細胞系列DPL5 ;生殖細胞系列DPL2;生殖細胞系列DPL16 ;および生殖細胞系列L12aのうちの1 つのVλ1,Vλ3 もしくはVκ1 遺伝子配列、またはそれらの再配列された形を 含んで成る、請求項1に記載の特異的結合メンバー。 7. 前記ヒト抗体抗原結合ドメインが、図1(a)に示されるアミノ酸配列のい ずれかを有するVHドメインを含んで成るか、または図1(a)に示されるVHア ミノ酸配列のいずれかのアミノ酸配列変異体である、請求項1に記載の特異的結 合メンバー。 8. 前記ヒト抗体抗原結合ドメインが、図1(a)中にCDR1, CDR2またはCDR3配 列として同定されたアミノ酸配列を有する1もしくは複数の相補性決定領域(CDR ) を含んで成る、請求項1に記載の特異的結合メンバー。 9. 前記ヒト抗体抗原結合ドメインが図1(a)に示されたCDR3配列を含んで成 る、請求項8に記載の特異的結合メンバー。 10. 前記ヒト抗体抗原結合ドメインが、1もしくは複数のアミノ酸の付加、 削除、置換または挿入による、図1(a)にCDR1,CER2またはCDR3配列として同定 されたCDR 配列の変異体であるCDR 配列を含んで成る、請求項1に記載の特異的 結合メンバー。 11. 前記ヒト抗体抗原結合ドメインが、CEA6 VH のアミノ酸配列変異体であ るVHドメインを含んで成る、請求項1に記載の特異的結合メンバー。 12. 前記ヒト抗体抗原結合ドメインが、CEA6の変異体として図2に示された アミノ酸配列のいずれかを有するVHドメインを含んで 成るか、または図2に示されたCEA6 VH 変異体アミノ酸配列のいずれかのアミノ 酸配列変異体である、請求項1に記載の特異的結合メンバー。 13. 前記ヒト抗体抗原結合ドメインが、CEA6のCDR3変異体として図2に示さ れたCDR3配列を含んで成る、請求項1に記載の特異的結合メンバー。 14. 前記ヒト抗体抗原結合ドメインが、図1(b)に示されたアミノ酸配列の いずれかを有するVLドメインを含んで成るか、または図1(b)に示されたVL アミノ酸配列のいずれかのアミノ酸配列変異体である、請求項1に記載の特異的 結合メンバー。 15. 前記ヒト抗体抗原結合ドメインが、図1(b)にCDR1,CDR2またはCDR3配 列として同定されたアミノ酸配列を有する1もしくは複数の相補性決定領域(CDR ) を含んで成る、請求項1に記載の特異的結合メンバー。 16. 前記ヒト抗体抗原結合ドメインが、1もしくは複数のアミノ酸の付加、 削除、置換または挿入による、図1(b)にCDR1,CER2またはCDR3配列として同定 されたCDR 配列の変異体であるCDR 配列を含んで成る、請求項1に記載の特異的 結合メンバー。 17. 前記ヒト抗体抗原結合ドメインが、CEA6のアミノ酸配列変異体として図 3に示されたアミノ酸配列のいずれかを有するVLドメインを含んで成るか、ま たは図3に示されたCEA6 VL 変異体アミノ酸配列のいずれかのアミノ酸配列変異 体である、請求項1に記載の特異的結合メンバー。 18. 前記ヒト抗体抗原結合ドメインが、CEA6のCDR3変異体として図3に示さ れたCDR3配列を含んで成る、請求項1に記載の特異的結合メンバー。 19.前記ヒト抗体抗原結合ドメインが、CEA6の変異体として図4 に示されたアミノ酸配列のいずれかを有するVLドメインを含んで成るか、また は図4に示されたCEA6 VL 変異体アミノ酸配列のアミノ酸配列変異体である、請 求項1に記載の特異的結合メンバー。 20. 前記ヒト抗体抗原結合ドメインが、図4にCEA6 CDRのCDR1,CDR2またはCD R3配列変異体として同定されたアミノ酸配列を有する1もしくは複数の相補性決 定領域(CDR) を含んで成る、請求項1に記載の特異的結合メンバー。 21. 一本鎖Fv(scFv)分子である、上記請求項のいずれか一項に記載の特 異的結合メンバー。 22. 前記ヒト抗体抗原結合ドメインを構成するアミノ酸に加えて1または複 数のアミノ酸を含んで成る、上記請求項のいずれか一項に記載の特異的結合メン バー。 23. 標識またはレポーター分子を含んで成る、上記請求項のいずれか一項に 記載の特異的結合メンバー。 24. 前記標識が放射性ヨウ素である、請求項23に記載の特異的結合メンバー 。 25. ヒト癌胎児性抗原を発現している細胞の存在を決定する方法であって、 細胞を請求項1に記載の特異的結合メンバーと接触させ、そして前記細胞への前 記特異的結合メンバーの結合を測定することを含んで成る方法。 26. 前記結合が試験管内で起こる、請求項25に記載の方法。 27. 前記結合が生体内で起こる、請求項25に記載の方法。 28. ヒト癌胎児性抗原への請求項1〜24のいずれか一項に記載の特異的結合 メンバーの結合を引き起こすかまたは許容することを含んで成る方法。 29. 哺乳類への前記特異的結合メンバーの投与を含んで成る、請求項28に記 載の方法。 30. 請求項1〜23のいずれか一項に記載の特異的結合メンバーをコードする 核酸。 31. ベクターの一部分である、請求項30に記載の核酸。 32. 請求項30または請求項31に記載の核酸を含有する細胞。 33. 請求項30または請求項31に記載の核酸からの発現を含んで成る、特異的 結合メンバーの調製方法。 34. 請求項32に記載の細胞を培養することを含んで成る、請求項33に記載の 方法。 35. 発現後に前記特異的結合メンバーを単離しそして/または精製する、請 求項33または請求項34に記載の方法。 36. 前記特異的結合メンバーを組成物の処方において使用する、請求項35に 記載の方法。
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