JP2000502910A - トランスジェニック有蹄動物を産生するための有蹄動物胚幹様細胞、その細胞を作製および使用する方法 - Google Patents

トランスジェニック有蹄動物を産生するための有蹄動物胚幹様細胞、その細胞を作製および使用する方法

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Abstract

(57)【要約】 25日齢のブタ胚または34〜40日齢のウシ胚の性腺隆起から始原生殖細胞を抽出するように、始原生殖細胞が、有蹄動物の胚盤胞後胚から抽出される。始原生殖細胞は、長期間の培養(30日以上)において培養され、形態学においておよび多能性を維持していることに関して胚幹細胞と類似した細胞を生じる。細胞は、培養物中に数ヶ月間維持され得、そして所望の位置で細胞の遺伝的相補物に所望の遺伝物質を挿入するために相同組換え技術を用いて遺伝学的に操作され得る。遺伝学的に操作された細胞は、キメラ有蹄動物を産生するために、その細胞が由来するのと同一の動物種から入手される胚盤胞に挿入され得る。このキメラ有蹄動物は、この遺伝子操作を介して所望の薬学的産物を産生し得る。

Description

【発明の詳細な説明】 トランスジェニック有蹄動物を産生するための有蹄動物胚幹様細胞、 その細胞を作製および使用する方法 発明の分野 本発明は、一般に、未分化細胞およびそのような細胞を産生する方法の分野に 関する。より詳細には、本発明は、多能性の有蹄動物細胞、特にブタ細胞に関し 、そしてこのような細胞から産生されるトランスジェニックおよびキメラ有蹄動 物に関する。 発明の背景 胚幹細胞(ES細胞)は、マウス線維芽細胞のフィーダー層またはバッファロー ラット肝細胞で馴化した培地を用いてマウス胚から最初に培養された。マウス胚 から確立したESC株は、大きな核、突出した核小体、および比較的小さな細胞質 からなる特徴的な表現型を有する。このような細胞は、適切な培養条件を用いて 比較的無期限に増殖され得る。これらは、レチノイン酸を用いるか、またはフィ ーダー層または馴化培地の除去によって自発的に、インビトロで分化するように 誘導され得る。さらに、これらの細胞は、マウス胚盤胞中に注入され得て、体細 胞性または生殖系列性キメラを形成する。この後者の性質は、マウスESCをゲノ ムへの特異的変化を有するトランスジェニックマウスの産生のために用いられる ことを可能にしている。M.Evansら、Nature 292,154 (1981); G.Martin,Pro c.Natl.Acad.Sci.USA 78,7638 (1981); A.Smithら、Developmental Biolo gy 121,1 (1987); T.Doetschmanら、Developmental Biology 127,224 (1988) (; A.Handysideら、Roux's Arch Dev.Biol.198,48 (1989))を参照のこと。 マウス胚幹細胞の培養を可能にする活性な化合物は、分化阻害活性 (DIA)(白 血病阻害因子 (LIF)としても知られる)と同定されている。A.Smith,J.Tiss.c ult.Meth.13,89 (1991); J.Nicholsら、Development 110,1341 (1990)を参 照のこと。組換え形態のLIFは、マウス胚からESCを取得するために用いられ得 る。例えば、S.Peaseら、Developmental Biology 141,344 (1990)を参照のこ と。さらに、1992年11月24日に発行されたWilliamsらの米国特許第5,166,065号 を参照のこと。 マウス胚を用いた研究に続いて、いくつかのグループが、ヒツジ、ブタおよび ウシ由来の幹細胞株を発達させることを試みている。いくつかの報告は、幹細胞 様外観を有する細胞株がマウスに用いられるのと類似した培養条件を用いてブタ 胚から培養されることを示している。例えば、M.Evansら、PCT出願WO90/03432; E.Notarianniら、J.Rerprod.Fert.,補追 41,51 (1990); J.Piedrahitaら 、Theriogenology 34,879 (1990); E.Notarianniら、Proceedings of the 4th World Congress on Genetics Applied to Livestock Productions,58(Edinbu rgh,July 1990)を参照のこと。 トリ胚由来の胚幹細胞の培養に関する試みがなされている。ウイルス性または 化学的な形質転換を伴わずにニワトリ細胞の連続株を確立することは困難であり 、そしてほとんどの初代のニワトリ株は2〜3ヶ月以上生存しない。孵化していな い胚由来の細胞の培養は困難であり、そして報告された条件下ではこのような細 胞は2週間以上生存しない。E.Mitraniら、Differentiation 21,56-61 (1982) ;E.Sandersら、Cell Tissue Res.220,539 (1981)を参照のこと。 米国特許第5,340,740号において、Petilleらは、馴化培地の存在下でマウスフ ィーダー層においてニワトリ胚細胞を培養し、そして培養幹細胞を取得した。 胚幹(ES)細胞、胚盤胞の多能性増殖は、インビトロで培養および操作され、 次いで生殖系列を含む全ての組織に対して正常に寄与する胚の環境に戻され得る (総説については、Robertson,E.G.(1986) Trends in Genetics 2:9-13を参 照のこと)。インビトロで増殖したES細胞は、キメラ(生殖系列キメラを含む) の形成に効率的に寄与するだけでなく、さらに、これらの細胞は、生殖系列キメ ラを産生する能力を失うことなくインビトロで操作され得る(Robertson,E.J. ら、(1986) Nature,323:445-447)。 従って、ES細胞は、トランスジェニックマウスのようなトランスジェニック動 物の作製のための経路、このような動物に新規遺伝物質を導入するための、接合 子注入およびウイルス感染(WagnerおよびStewart (1986)、Experimental Appro aches to Embryonic Development.J.RossantおよびA.Pedersen編、Cambridge ; Cambridge University Press)のような多くの従来技術と比較して多数の重要 な利点を有する経路を提供する。 しかし、ES細胞および特定のEC(胚性癌腫)細胞株は、線維芽細胞(例えば、 マウスSTO細胞、例えば、Martin,G.R.およびEvans,M.J.(1975) Proc.Natl. Acad.Sci.USA 72:1441-1445)のフィーダー層で培養されるか、または特定の 細胞(例えば、Koopman,P.およびCotton,R.G.H.(1984) Exp.Cell Res.15 4:233-242; Smith,A.G.およびHooper,M.L.(1987) Devel.Biol.121:l-91)に よって馴化された培地で培養された場合に、インビトロで幹細胞表現型を保持す るだけであることが知られている。フィーダー細胞または馴化培地の非存在下で は、ES細胞は、広範な種々の細胞型に自然に分化し、これは胚形成の間および成 体の動物で見出される細胞に類似する。しかし、ES細胞の多能性を維持すること を担う因子は、十分に特徴付けされていないままである。 上記の方法は、出発物質としてのES細胞の使用を含む。このような細胞の非常 に限られた数が利用可能である。多数のES細胞を産生することを可能にする任意 の方法が非常に所望されている。 発明の要旨 胚幹細胞表現型を示す有蹄動物細胞(特にブタ細胞)の産生方法が、得られる 多能性細胞および細胞から産生されるキメラ有蹄動物(例えば、ブタ)として開 示される。始原生殖細胞が、有蹄動物胚の生殖隆起から、発達の特定の時期(例 えば、25日齢のブタ胚)において単離される。始原生殖細胞が特定の種の胚から 好ましく摘出される発達の時期は、種により変化する。例えば、始原生殖細胞は 、好ましくは、34〜40日齢のウシ胚から摘出される。そのような摘出のための適 切な胚発達時期の決定は、本明細書中および当該分野で提供される指示を用いて 容易に行われ得る。PG細胞は、不活性化STO細胞上において、増殖誘導条件下で 、長期間の細胞培養(30日以上)により、培養された。得られた細胞は、形態学 的にES細胞(大きい核(large nucleus)、突出した核小体(prominent nucleoli) 、および分化した成体細胞と比較して減少した細胞質を含む)に類似した。細胞 は、 培養により数代継代され得、培養により数ヶ月間維持され得、そして液体窒素中 での凍結保存で生存し得る。 本発明の目的は、ES細胞表現型を示す有蹄動物細胞(例えば、ブタ細胞)を産 生する方法を提供することである。 別の目的は、開始物質として生殖細胞を使用して多能性細胞を提供することで ある。 別の目的は、本発明の多能性細胞を使用してキメラ有蹄動物(例えば、ブタお よびウシ)を提供することである。 なお別の目的は、本発明の細胞により産生されるキメラまたはトランスジェニ ック有蹄動物から、有用な薬学的産物を提供することである。 本発明の利点は、多数の多能性細胞が、多能性細胞の供給源を提供するために は十分に発達していないと考えられる胚の細胞から、迅速かつ効率的に産生され 得ることである。 別の利点は、本発明の多能性細胞が、相同組換え方法論によって広範な異なる キメラ有蹄動物(例えば、ブタ)を産生するために使用され得ることである。 本発明のなお別の利点は、数千の多能性細胞が、1つの有蹄動物胚より摘出さ れた生殖細胞から迅速かつ効率的に産生され得ることである。 本発明の特徴は、開始物質が、有蹄動物胚(例えば、25日齢のブタ胚または34 〜40日齢のウシ胚)の生殖隆起から単離された始原生殖細胞であることである。 本発明の別の目的は、以下の工程を含むプロセスにより産生されるトランスジ ェニック有蹄動物細胞を提供することである: (a)始原生殖細胞を有蹄動物胚の生殖隆起から収集する工程; (b)生殖細胞を30日を超える期間にわたって培養する工程; (c)培養細胞から、有蹄動物胚幹細胞に類似し、そして胚幹細胞表現型を示す 培養生殖細胞を選択する工程;および (d)外来DNAを培養生殖細胞に導入する工程。 本発明のなお別の目的は、以下の工程を含むプロセスにより産生されるタンパ ク質を提供することである: (a)始原生殖細胞を有蹄動物胚の生殖隆起から収集する工程; (b)生殖細胞を30日を超える期間にわたって培養する工程; (c)培養細胞から、有蹄動物胚幹細胞に類似し、そして胚幹細胞表現型を示す 培養生殖細胞を選択する工程; (d)外来DNAを培養生殖細胞に導入する工程、ここで、DNAは、ヒトタンパク質 をコードする; (e)(d)の細胞をレシピエント胚中に入れる工程、この胚は、着床前の時期のも のである; (f)(e)の胚を発達の完結に適切な環境中に含ませて、トランスジェニック有蹄 動物を形成する工程;および (g)タンパク質を(f)のトランスジェニック有蹄動物から抽出する工程。 本発明のなお別の目的は、以下の工程を含むプロセスにより産生されるキメラ 有蹄動物を提供することである: (a)始原生殖細胞を有蹄動物胚の生殖隆起から収集する工程; (b)生殖細胞を30日を超える期間にわたって培養する工程; (c)培養細胞から、有蹄動物胚幹細胞に類似し、そして胚幹細胞表現型を示す 培養生殖細胞を選択する工程; (d)細胞核を(c)の生殖細胞から摘出する工程、および必要に応じて、外来DNA を核中に導入する工程; (e)(d)の核を、脱核された卵母細胞および脱核された生殖細胞からなる群より 選択される細胞中に挿入する工程;および (f)(e)の胚を発達の完結に適切な環境中に含ませて、トランスジェニック有蹄 動物を形成する工程。 本発明の別の目的は、有蹄動物から抽出された生物学的物質を提供することで ある。特に、この物質は、細胞、組織、器官、および体液からなる群より選択さ れる。 本発明のこれらおよび他の目的、利点、および特徴が、以下により完全に記載 される、胚幹細胞表現型を示す有蹄動物細胞、その作製方法、ならびにキメラお よびトランスジェニック有蹄動物の詳細な説明を読んだ際に当業者に明らかにな る。好ましい実施態様の説明 胚幹細胞表現型を示す本発明の有蹄動物細胞およびこのような有蹄動物細胞を 作製するための方法論を記載する前に、本発明は記載される特定の細胞、方法、 またはキメラ有蹄動物に限定されず、このような細胞、方法、および有蹄動物は 、もちろん変化し得ることが理解される。本明細書中で用いられる用語法は、特 定の実施態様を記載する目的のためのみであり、そして限定的であることを意図 しないことがまた理解される。なぜなら、本発明の範囲は、添付の請求の範囲に よってのみ限定されるからである。 他に定義されない限り、本明細書中で用いられる全ての技術的および科学的用 語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を 有する。本明細書中で記載されるものと類似のまたは等価な任意の方法および物 質が、本発明の実施または試験において用いられ得るが、好ましい方法および物 質はここに記載される。本明細書中で言及される全ての刊行物が、引用されるそ の刊行物に関連する方法および/または物質を開示および記載するために、本明 細書中に参考として援用される。 本明細書中で議論される刊行物は、本出願の出願日以前のその開示について引 用される。先行発明のためにこのような開示および出願日の日付を誤る(antida te)ような権利が本発明に与えられないと認められるものとして解釈されるもの は本明細書中にはない。定義 用語「有蹄動物」は、ブタ(porcine)(ブタ(pig))、ウシ(bovine)(ウシ (cattle))、ヒツジ(ovine)(ヒツジ(sheep))、およびヤギ(caprine)(ヤ ギ(goat))の任意の種または亜種を意味するために用いられる。一般に、この用 語は蹄を有する農場動物を包含する。 用語「ブタ(porcine)」および「ブタ(pig)」は、本明細書中で相互交換可能に 用いられ、そして任意のブタ種および/またはブタの亜種をいい、そして同一の 意味がウシ(cow)、ヒツジ(sheep)、およびヤギ(goat)にも適用される。 用語「胚幹細胞表現型」および「胚幹様細胞」は、未分化であり従って多能性 である細胞を記載するために、本明細書中で相互交換可能に用いられ、これらの 細胞は、同一の動物の他の分化した成熟細胞から(例えば、同一の動物の分化し た成熟細胞に比較して、顕著により大きい核(25%以上)、顕著により大きくそ して突出した核小体、およびより小さい(25%以下)細胞質によって)視覚的に区 別される。 用語「始原生殖細胞」は、有蹄動物の胚(例えば、25日齢のブタ胚または34〜 40日齢のウシ胚)の生殖隆起から単離された未分化の細胞を記載するために用い られる。 用語「胚生殖細胞」および「ES細胞表現型を示す生殖細胞」は、胚幹細胞表現 型を示す本発明の細胞を記載するために使用される。 用語「胚幹細胞」は、胚盤胞期の胚、特に授精後8日以内での胚盤胞期のブタ 胚の細胞内質量から、その天然の形態で単離された未分化の細胞を意味するため に用いられる。胚幹細胞は、多能性であり、そして同一の動物の成熟細胞よりも 顕著により大きい核、より突出した核小体、およびより小さい細胞質を有する。 用語「STO細胞」は、胚線維芽細胞マウス細胞をいい、市販されておりそしてA TCC CRL 1503およびATCC 56-Xとして寄託された細胞を含む。 用語「キメラ」は、2つの異なる生物由来の遺伝物質を含む生物を記載するた めに用いられる。詳細には、キメラは、胚幹細胞表現型を示す第一の生物から抽 出された本発明の細胞を、第二の異なる生物の初期の胚(胚盤胞のような着床前 の胚)に挿入することによって産生される。このような方法論から生じる動物は 、第一および第二の生物由来の遺伝物質を含み、従って「キメラ」生物である。 胚幹細胞表現型を示す細胞が、外因性の物質を含むために遺伝的に操作される場 合、得られるキメラは、その外因性の物質をいくつかのしかし全てではないその 細胞内に含む。 用語「トランスジェニック」は、その細胞内に外因性遺伝物質を含む動物を記 載するために用いられる。本発明の細胞は、それらに加えられたDNAを有し得、 次いでこれらの細胞はキメラ動物を作製するための様式と類似の様式で用いられ 得る。得られる動物は、キメラおよびトランスジェニックであり得る。「トラン スジェニック」動物は、代表的には、ホモ接合性までの生殖に用いられた細胞内 に外因性の物質を含むキメラ雄を、交雑または戻し交配することによって産生さ れ得る。得られる子孫の25パーセントは、トランスジェニック(すなわち、外因 性遺伝物質をそれらの細胞の全ての中に両方の対立遺伝子内に含む動物)である 。得られる動物の50%は、外因性遺伝物質を1つの対立遺伝子内に含み、そして 25%が外因性遺伝物質を含まない。ブタの胚幹様細胞 天然の始原生殖細胞は、25日目のブタの胚の生殖隆起から単離された。細胞は 、細胞がアルカリホスフェート活性に対して陽性と試験されれば、背部腸間膜上 のどこからでも単離され得る。細胞は、授精後約23〜27日の範囲において、一度 に単離され得る。この範囲外の細胞は、本発明を使用して所望の結果が得られ得 るか否かを決定するために試験され得る。一般に、25日よりも早く回収するほど 入手可能な細胞が少なくなり、そして25日より後は、多能性を示す細胞のパーセ ントが減少する。25日目の時点では、アルカリホスファターゼ活性を示す(AP -陽性)約10,000の細胞が所定のブタの胚から単離され得る。単離された細胞の 純度は、一般に、約70%〜90%の範囲内である。 1ウェルあたり2〜4千のAP陽性細胞が、96ウェル組織培養プレートにプレー トされた。細胞は、空気中5%CO2雰囲気下39℃で、不活性化されたSTO細胞上で 培養された。 3つの異なる成長因子の組み合わせの全てが、培地と共に使用された。成長因 子は、1,000単位/mlの白血病抑制因子(LIF)、60ng/mlの幹細胞因子、および20ng /mlの塩基性線維芽細胞成長因子である。PG細胞は3日間増殖され、そして初代 培養において少なくとも5日間生存したが、この限定された期間の間にPG細胞の 増殖を著しく誘導する成長因子は無かった。しかし、同様に抽出された始原生殖 細胞は、非常により長い期間にわたり(30日にわたり)培養され、AP染色および 形態学の両方により評価された場合、細胞は、形態学ではES細胞に似ており、そ してAP陽性であった。LIFの使用は、必須ではないようである(すなわち、増殖 培地は、幹細胞因子および塩基性線維芽細胞成長因子のみを含み得る)。有蹄動物の胚幹様細胞 ウシ、ヒツジ、およびヤギを含む他の有蹄動物は、ブタの胚幹様細胞に関して 先に記載の様式に類似する様式で操作され得る。まず、特定の有蹄動物は授精さ れ、ここで、授精は、好ましくは、便宜上人為的である。胚は、発生がブタの胚 の25日±2日目またはウシの胚の34〜40日目にほぼ等しくなる時点で抽出される 。詳細には、始原生殖細胞は、生殖隆起の形成の始めに蓄積されたにちがいない が、これらの細胞が分化されるように発達され得ないはずである。細胞は、背部 腸間膜または生殖隆起から収集され得る。異なる動物については、胚は、異なる 時点で抽出され得、そして細胞は、胚の生殖腺の領域から抽出され得、そして多 能性を示す細胞のための陽性試験としてアルカリホスファターゼ活性(および形 態)を使用して試験される。AP陽性細胞が単離される場合、同一の形態を有する 同一のコロニー由来の細胞が培養される(例えば、適切な条件および培養培地を 使用する不活性化されたSTO細胞)。細胞は、胚幹細胞表現型を示す所望の細胞 を発達させるために、長い期間にわたり(30日にわたり)培養されなければなら ない。キメラブタ 本発明の方法論により産生される細胞は、トランスジェニック動物を生産する ように次々に交配され得るキメラ動物の調製において特に有用である。詳細には 、胚幹細胞表現型を示す本発明の細胞は、種々の異なる様式で遺伝的に操作され 得る。例えば、所望の遺伝子を保有する遺伝子構築物をこれらの細胞に挿入する ためにエレクトロポレーションを使用することは可能である。(外来性のDNAを 含むように)遺伝的に操作された後に、細胞は、同一種の有蹄動物の胚盤胞に( 例えば、ブタの細胞をブタの胚盤胞に)微量注入され得る。次いで、その胚盤胞 は、偽妊娠の雌ブタの中に置かれる。次いで、養母は、着床した胚盤胞を出産ま で保有する。マウスに関連する同様の手順が公知である。M.Evansら、Nature 29 2,154(1981);G.Martin、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78,7638(1981);A.Smithら、 Developmental Biology 121,1(1987);T.Doetschmanら、Developmental Biology 127,224(1988)(;A.Handysideら、Roux's Arch Dev.Biol.198,48(1989)を参照 のこと。 1995年2月7日にCordellに発行された米国特許第5,387,742号もまた参照のこと 。これらの公開された手順は、当業者により改変されて一般の有蹄動物および特 にブタに適用され得る(公開されたPCT出願WO94/26884を参照のこと。これはそ の全体を本明細書中で参考として援用する)。 上記のプロセスに従って生産されるキメラブタは、任意の所望の薬学的に活性 な産物の生産のために使用され得る。例えば、外来性DNAは、ヒトインスリンを コードする遺伝子であり得、ここで遺伝子はエレクトロポレーションを介して本 発明の細胞に加えられ得る。次いで、ヒトインスリン遺伝子を含むその細胞は、 上記のようにブタの胚盤胞に含まれて、抽出され生成されそして薬物として投与 され得るヒトインスリンを産生する細胞を含むキメラブタを生産し得る。キメラ有蹄動物 胚幹細胞の形態学を示し、そして本発明の方法論に従って産生される細胞は、 ウシ、ヒツジ、およびヤギを含む他のキメラ有蹄動物を生産するために使用され 得る。上記のように、ES細胞表現型を示す細胞は、外来性遺伝物質を組み込むよ うに遺伝的に操作される。代表的には、細胞は、所望の遺伝子を保有するベクタ ーを挿入するためにエレクトロポレーションに供される。次いで、遺伝的に操作 された細胞は、生殖細胞で得られた種と同一の種の有蹄動物の胚盤胞に微量注入 される。胚盤胞は、出産まで胚盤胞を保有することを許容された偽妊娠の有蹄動 物の雌に挿入される。従って、本発明は、胚幹細胞表現型の特徴を有する操作さ れた有蹄動物細胞および第一の遺伝的相補物を、元の生殖細胞が抽出された同一 の種の宿主の胚(好ましくは、胚盤胞期で)に挿入する工程を含む。宿主の胚は 一般に第一の遺伝的相補物と異なる第二の遺伝的相補物を有する。利用性 本発明の方法論および細胞は、種々の異なる使用を有する。上記のようにブタ を含むキメラ有蹄動物を生産するために使用されることに加えて、細胞は、発生 学的な発達を研究するために使用され得る。例えば、胚幹細胞表現型を示す本発 明の細胞は、標識またはマーカー遺伝子で遺伝的に操作され得る。次いで、マー カーは、動物の成長の間の分布を観察するために胚盤胞に挿入され得る。 有蹄動物の胚幹細胞は、任意の選択マーカーをコードする外来性ヌクレオチド セグメントを含み得る。適切なマーカーの例は、ADA(アデノシンデアミナーゼ )およびdHFR(ジヒドロ葉酸レダクターゼ)を含むハイグロマイシン(Hph)(Yate sら、1985)、ネオマイシン(Neo)(Mansourら、1988,Nature 336:348-352)、およ びピューロマイシン(Pac)マーカーである。マーカーは、目的の連結された導入 遺伝子の細胞系統を追跡するのに有用である。 胚幹細胞表現型を示す本発明の細胞を使用する特定の利点のいくつかは、以下 のようである。第一に、目的の遺伝子が導入され得、そしてインビトロでその組 み込みおよび発現が特徴付けられる。第二に、導入された外来性遺伝子のES細胞 増殖での効果が、インビトロで研究され得る。第三に、導入された新規な外来性 遺伝子を有する特徴付けられたES様細胞が、胚盤胞注入または胚の凝集により胚 に効率的に導入され得、得られるトランスジェニックまたはキメラの発生での導 入された遺伝子の結果が、出生の前後の間にモニターされる。第四に、導入され た遺伝子を組み込むES細胞ゲノム内の部位が操作され得、遺伝子標的化および遺 伝子置換についての道を開いている(Thomas,K.R.およびCapecci,M.R.(1987)Cel l 51:503-512)。1995年11月7日にCapecciらに発行された米国特許第5,464,764 号をまた参照のこと。遺伝子は切断され得、そして有蹄動物の発生に対するこの 効果が経時的に研究され得る。 キメラおよびトランスジェニック動物は、組換え遺伝技術により生産される有 用なタンパク質の作製のための代わりの「工場」である。ブタ、ウシ、ヒツジ、 およびヤギのような大きな動物は、微生物または小動物のような組換え宿主から は得られないいくつかの産物のための潜在的な工場である。このような生産物の 例は、ヒトに移植可能な器官である。 実施例 以下の実施例は、当業者に、胚幹細胞表現型を示す有蹄動物細胞ならびに本発 明のキメラおよびトランスジェニック有蹄動物の作製および使用方法の完全な開 示および記述を提供するように記載される。そしてこれらは、本発明者がそれら の発明として考えるものの範囲を限定することを意図せず、またこのように解釈 されるべきではない。使用される数(例えば、量、時間、温度など)に関する精 度を確保するための努力がなされているが、いくらかの実験の誤差および偏差が 説明されるべきである。他で示さない限り、部は重量部であり、分子量は重量平 均分子量であり、温度は摂氏度であり、そして圧力は大気圧であるかその付近で ある。 実施例1 始原生殖細胞の収集 始原生殖細胞を、24〜25±1日のブタの胚または34〜40日のウシの胚の生殖隆 起から抽出する。1つの胚あたりおよそ30,000の細胞を、抽出し得る。抽出され た細胞のサンプルを、細胞の形態、細胞の核型、およびアルカリホスファターゼ (AP)活性についての染色を試験することにより試験する。形態学的基準に合いか つAP陽性である細胞が、所望され、そして代表的には、抽出されたサンプルの70 〜90%を構成する。これらの細胞もまた、代表的には、正常な染色体を有する。 胚のドナーをAndersonら、Theriogenology 42:204-212(1994)により記載され るように調製した。妊娠の24〜25±1日において、174の胚を、17の交雑させた 未経産雌ブタのドナー(Hampshire×Yorkshire;およそ6月齢)の子宮から解剖 した。目に見える場合、生殖隆起を解剖し、そして取り出した;そうでなければ 、生殖隆起の原基を含む背部腸間膜を取り出した(Cookeら、Meth.Enzymol 225 :37-58 1993)。 抽出した組織を、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で一回洗浄し、そしてEDTAの0 .02%溶液中で室温でおよそ20分間インキュベートした。次に、鋭いピンセット を使用して、切除した組織の穏やかな分離により、PGCを解離した。得られた細 胞の懸濁液を収集し、そしておよそ800×gで5分間遠心分離した。ペレット内の 生殖細胞を、標準PGC培養培地に再懸濁した。 実施例2 収集されたEG細胞の形態学およびアルカリホスファターゼ活性についての試験 以前に記載されたように、好ましい実施態様において、始原生殖細胞を新生の 生殖隆起から収集する。なぜなら、それらの初期の発生時期がその後の分化およ び多能性の欠損を阻害するからである。 収集した細胞が適切な発生時期であるかもしれないことを確認するために、収 集した細胞を、多能性であるPGCを同定するために用いられ得る形態学的基準に ついて試験すべきである (DeFeliciおよびMcLaren,Exp .Cell Res.142:476-48 2,1982)。多能性をさらに実証するために、抽出された細胞のサンプルを、アル カリホスファターゼ(AP)活性について引き続き試験する。多能性細胞のための マーカーは、しばしば培養中の幹細胞を同定するために有用である。EG細胞は、 代表的にはアルカリホスファターゼ(AP)活性を表し、そしてAP陽性細胞は、代 表的には生殖細胞である。AP活性は、インビトロにおいてEG細胞の分化とともに 急速に失う。APの発現は、マウス (Wobusら、Exp .Cell.Res.152:212-219,19 84; Peaseら、Dev .Bio.141:344-352,(1990)、ラット(Ouhibiら、Mol .Repro .Dev. 40:311-324,1995)、ブタ (Talbotら、Mol .Repro.Dev.36:139-147,1 993b)、および雌ウシ(Talbotら、Mol .Repro.Dev.42:35-52,1995)のES細胞 およびES様細胞において実証された。AP活性はまた、マウスPGC (Chiquoine,An at.Rec 118:135-146,1954)、マウスEG細胞(Matsuiら、Cell 70:841-847,199 2; Resnickら、Nature 359:550-551,1992)、およびブタPGCにおいて検出されて いる。EG細胞コロニーの形態学的な評価と併用して、AP発現は、培養中の未分化 の幹細胞を同定するための簡便なマーカー(market)である。 実施例1で生成された細胞懸濁液からの細胞サンプルを、光学顕微鏡を用いて 、推定PGCの指標である形態学的基準の存在について評価した。基準は以下の存 在からなる:(1)同一の種の成熟細胞の核よりも直径が約25%大きい核、(2 )大きく突出した仁、および(3)同一の種の成熟細胞の細胞質容量よりも容量 が25%大きい細胞質容量、または細胞質に対する核の高い比(すなわち他の細胞 に比較して高い比)。引き続き、この基準に見合う細胞を、80%エタノール中で 固定することによってアルカリホスファターゼ活性について試験し(Buehrおよ びMcLaren,Meth .Enzymol.225:58-77,1993)、そしてそれらをAP細胞化学キ ット(Sigma Chemical Co.;St.Louis,Mo.)からのプロトコルを用いて染色し た。 結果は、AP活性が、新鮮なPGC、ならびにEG細胞の初代培養および継代培養に おいて一貫して発現されたことを示した。それゆえ、形態学的基準およびAP活性 の両方について試験結果が陽性であった細胞は、ES様細胞を示し、そしてこれら の細胞は、代表的には全ての収集された細胞の70〜90%をなす。 実施例3 ブタEG細胞は、インビトロで分化することによって多能性を示す マウスES細胞は、インビトロで複数の細胞型(骨格筋様、心筋様、ニューロン 様、および造血様細胞を含む)に分化し得る(Martin,G.R.,Proc .Natl.Acad .Sci.U.S.A.78:7634-7638 ,1981; Smith,A.G.およびHooper,M.L.,Dev .Bi ol.121:1-9 ,1987; Bain,Gら、Dev .Biol.168:342-357,1995))。雌ウシ ( Talbot,N.C.ら、Mol .Reprod.Dev.42:35-52,1995)、ブタ (Talbotら、In Vi tro Cell Dev .Biol.29A:543-554 ,1993a,b)、およびヒツジ(Talbotら、Mol Reprod.Dev.36:139-147 ,1993b)の原外胚葉由来の細胞株は全て、種々の細胞 型にインビトロで分化し得ることを示す。同様に、インビトロで種々の細胞型に 分化するブタEG細胞の能力を、内胚葉様細胞、栄養膜様細胞、上皮様細胞、線維 芽細胞様細胞、およびニューロン様細胞に分化する能力も含めて試験した。 単層培養において分化を誘導するために、層EG細胞を、新鮮なSTOフィーダー 層上への継代なしに2週間培養した。懸濁培養において分化を誘導するために、 細胞を上記のようにゼラチン化したプレート上に継代し、線維芽細胞による汚染 の可能性を排除した。培養の4〜7日後、コロニーをマウス(mouth)ピペット によって静かにプレートから取り出し、そして0.25%トリプシン-EDTA中で10〜1 5分間インキュベートした後に脱凝集した。分離した細胞を、35mm非粘着ペトリ 皿(Falcon)上で0.3μMレチノイン酸(Sigma)を含む少量の(a microdrop of )PGC培養培地で培養した。懸濁培養を、分化した表現型の指標である胚様体形 成について毎日モニターした。細胞培養培地は、1日おきに替えた。 形態学的基準に基づき、このように処理したEG細胞の結果は、以下を含む少な くとも5つの分化した表現型を示す:(1)内胚葉様細胞、(2)栄養膜様細胞 、(3)上皮様細胞、(4)線維芽細胞様細胞、および(5)ニューロン様細胞 。 ニューロン様表現型は、小さい細胞体から出現する複数の神経突起を示した。 ニューロン様細胞はまた、しばしば神経ロゼットと命名されたクラスターを形成 した。線維芽細胞様表現型は、培養中で迅速に増殖しそして伸長し、フィーダー 細胞および迅速に増殖する未分化の幹細胞と容易に混合した。上皮様表現型は、 細胞間に可視の境界を有する多角形型の細胞の単層を形成した。これに対し、未 分化のEG細胞は、はっきりした細胞境界を示さない。栄養膜様細胞は、直径がEG 細胞よりも大きい個々の細胞から構成される緩くパックされたコロニーにおいて ときどき見出された。 EGコロニーが複数の層を有するテントのような隆起を形成した場合、コロニー はしばしばコロニーの境界で内胚葉層を形成した。上記のように測定されたAP発 現は、EG細胞の分化に伴って迅速に減少した。例えば、内胚葉の分化の際に、コ ロニーはその外層からAP活性を失ったが、AP活性は、幹細胞からなる胚様体のコ アに残存した。内胚葉様表現型の外層において分化が起こったので、本発明者ら は、コロニーのコアの細胞は未分化のままであったと考える。それゆえ、胚様体 のコア内のEG細胞は、その未分化状態に起因してAP活性をなお示した。 分化はまた、懸濁培養中のEG細胞内で誘導され得た。懸濁培養中での約7日後 、EG細胞は、単純な胚様体を形成し、各々は上記のように未分化の幹細胞のコア から分離された大きな内胚葉細胞の外層を含んでいた。 インビトロで分化するEG細胞の能力は、本技術のEG細胞が全能性であり、そし て以前に記載されたマウスEG細胞型と効力において類似であることを実証する。 実施例4 培養EG細胞は正常核型を示す 培養における迅速な増殖のために、樹立されたES細胞は、異常な核型を含むこ とが報告されている (Abbondanzo,S.J.ら、Meth .Enzymol.225:803-823,1993 )。さらに、凍結保存された(cyropreserved)ES細胞の反復的な凍結および解凍 は、染色体異常を誘導する危険性を増大させ得る。EG細胞を用いる場合に、首尾 よい生殖系列の遺伝子操作(例えば、遺伝子ターゲッティング)の可能性を最大 にするために、正常二倍体核型を示すEG細胞株が好ましい。さらに、雄性のEG細 胞株が、雌性のEG細胞株よりも好ましい。ブタEG細胞株が正常核型を示したかど うかを決定するために、本明細書中に記載のように培養したブタEG細胞を試験し た。各EG細胞株からの約10〜20の中期段階の核型を、細胞の染色体を構造および 数の異常の両方について検査することによって試験した。 EG細胞を4ウェルの培養ディッシュに置き、そして0.02μg/mlコルセミド(GI BCO BRL)を含むPGC培養培地中で、39℃にて、5%CO2、95%空気中で一晩培養 した。続いて、細胞をPBS中で洗浄し、0.25%トリプシンEDTAで10〜15分間39℃ で処理し、取り出し、そして800×gで5分間遠心分離した。細胞を冷却したCarn oyの固定液(無水メタノール対氷酢酸の3:1容量)中で5分間固定し、PBS中 で洗浄し、上記のように遠心分離し、そして0.5mlのカルノア固定液中に再懸濁 した。ピペット一滴分の得られた細胞懸濁液を、カルノア固定液で予め洗浄した 顕微鏡スライド上に移した。スライドを風乾し、ギムザ染色し (GIBCO BRL)、そ して水道水で濯いだ。2回目の乾燥の後、スライドにカバースライドを載せ、そ して油浸下で光学顕微鏡を用いて400×の倍率で観察した。 表2に結果を示す。検査した全てのEG細胞株は、ブタ染色体の正常な相補物( すなわち、36の常染色体および2つの性染色体)を有した。さらに、染色体の形 または数における切断、欠失、付加、または他の異常を観察しなかった。3つの 細胞株(PEGC142、PEGC273、およびPEGC367)は、正常雄性二倍体核型を示し、 そして1つの細胞株(PEGC62)は、正常雌性二倍体核型を示した。さらに、凍結 保存およびその後の培養を生存したEG細胞はまた、染色体の異常または表現型の 特徴における明らかな変化を示さなかった。 実施例5 初代EG細胞培養 実施例1に記載のように抽出された、単一の若い雌ブタの胚由来の全ての始原 生殖細胞をプールした。これらの生殖細胞を、不活化STOフィーダー細胞の単層 が既に播種された96ウェル組織培養プレートに分けた。生殖細胞を、ウェルあた り約30,000細胞の密度でプレーティングし、そして空気中5%CO2の雰囲気にお いて39℃で培養した。プレーティングの約4〜7日後、高密度にまとめられたEG 様コロニーをフィーダー層から拾い、そして0.25%トリプシン-EDTA (GIBCO BRL ; Grand Island,NY)の微小滴中で39℃で10〜15分間脱凝集させた。 脱凝集した細胞を、上記のように調製された4ウェルマルチディッシュ中の新 鮮なフィーダー層上に播種した。この手順は、EG細胞コロニーが50%を超えるコ ンフルエンシーに達するまで繰返され得る。 さらなる継代培養のために、EGコロニーおよびフィーダー細胞を含むプレート を、4〜7日間隔でPBSで洗浄し得、そして0.25%トリプシン-EDTAで39℃で10〜 15分間処理し得る。処理したEG細胞を取り除き、そして800×重力で5分間遠心 分離する。再懸濁生殖細胞を4ウェルマルチディッシュ中の新鮮なフィーダー層 上に再プレーティングする前に、遠心分離されたペレットをPGC培養培地中に再 懸濁する。5%CO2、95%空気中で39℃で全ての培養物を維持し、一日おきにPGC 培養培地を交換する。本例において、EG細胞株を単離し、そしてブタLIF(1,000 単位/ml)(Alexion Pharmaceuticals,New Haven,CT)を補充した培地およびこれ を補充しない培地の両方において維持した。LIF補充培地で培養されても培養さ れなくてもEG細胞間の差異は観察されなかった。本明細書中に記載されるEG細胞 培養を、5ヶ月を超えて継続し得る。 基本培地は、15%(v/v)ウシ胎児血清(FBS)、L-グルタミン(1mM)、MEM非必須ア ミノ酸(0.1M)、2-メルカプトエタノール(10μM)、ペニシリン (100単位/ml)、お よびストレプトマイシン(0.5mg/ml)を含むダルベッコ改変イーグル培地 (DMEM) であった。これは、インビトロでの動物細胞の維持および増殖のための一般的な 組織培養培地である。 表3.動物細胞のインビトロ培養のためのダルベッコ改変イーグル培地(DMEM) 成分 mM gm/L ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM) -- 13.4 (Sigma-hybrimax D 6655)は以下を含む: NaCl 110.0 6.4 Na2HPO4 0.80 0.109 グルコース 25.0 4.5 フェノールレッド-Na 0.043 0.016 L-アルギニン 0.39 0.084 L-システイン 0.40 0.063 L-グルタミン 4.01 0.584 グリシン 0.40 0.030 L-ヒスチジン 0.271 0.042 L-イソロイシン 0.80 0.105 L-ロイシン 0.80 0.105 L-リジン 1.01 0.146 L-メチオニン 0.20 0.030 L-フェニルアラニン 0.40 0.066 L-セリン 0.40 0.042 L-スレオニン 0.80 0.095 L-トリプトファン 0.08 0.016 L-チロシン 0.60 0.104 L-バリン 0.80 0.094 塩化コリン 0.03 0.004 葉酸 0.01 0.004 myo-イノシトール 0.04 0.007 ナイアシンアミド 0.04 0.004 D-パントテン酸 0.02 0.004 成分 mM gm/L ピリドキサール 0.02 0.004 リボフラビン 0.001 0.0004 チアミン 0.012 0.004 塩化カルシウム 1.8 0.265 硝酸第二鉄 0.0002 0.0001 硫酸マグネシウム 0.83 0.100 塩化カリウム 5.37 0.400 NaCHO3 7.6 1.5 1Lに至るまで蒸留水 1N HClで7.3にpHを調節し、濾過滅菌し、そして4℃で2週間まで保存した。 単離され、そして長期培養で維持されたブタEG細胞株の結果を、表4に例示す る。異なる若い雌ブタのPGCから単離された4つのEG細胞株は長期培養を生存し ;1つの細胞株は29を超える継代を生存した。これらのEG細胞は、6ヶ月を超え て行われた反復継代培養において無期限に増殖した。 EG細胞株は、マウスES細胞と形態的に類似の高密度に集約したコロニーを生成 したが、ブタEGコロニーは、マウスES細胞より平らでありかつより半透明であっ た。ブタEG細胞は、マウスおよびブタのES細胞の両方においてしばしば見られる 、脂質様液胞を含まなかった(Gerfen,R.W.およびWheeler,M.B.,Anim .Biotec h 6:1-14 ,1995)。EGコロニーの大きさおよび形状は変化し、そして個々のEG細胞 は、直径が5〜15μmであり、STOフィーダー細胞の直径の約1/3であった。各ブ タEG細胞は、1つまたは2つの突出した仁を有する大きな核および相対的に少量 の細胞質を含んだ (Gerfen,R.W.およびWheeler,M.B.,Anim .Biotech 6:1-141 995)。 3つの細胞株を、生殖隆起から回収されたPGCから単離し、そして1つの細胞 株を、背部腸間膜から回収されたPGCから単離した(表5)。単離されたEG細胞 株のうち、形態、増殖、およびAP活性において明らかな差異は観察されなかった 。EG細胞は、初代培養および継代培養のPGC細胞およびEG細胞において一致して 観察されるが、STOフィーダー細胞において観察されない、AP活性を示した。EG 細胞がインビトロで分化した場合、それらは急速にAP活性を失う。8〜12回の継 代の後、4つ全ての単離されたEG細胞株は、38の染色体(36の常染色体および2 つの性染色体)の正常なブタ相補物を有した。明らかな異常、付加、または欠失 は、上記の単離されたEG細胞由来の染色体において見出されなかった。 実施例6 ES 細胞表現型を示す生殖細胞の単離 実施例5のEG培養手順の後、30日を超えて培養を続け、そして4〜7日毎に、 新しいフィーダー細胞層への各継代で単離細胞サンプルを試験する。延長した培 養を行う場合、細胞群は、ニューロン様細胞、栄養芽細胞様フィラメント、なら びに内胚葉様細胞、上皮様細胞、および線維芽細胞様細胞を含むいくつかの細胞 型に分化する。分化細胞は捨てる。細胞形態を試験し、そして大きな核および顕 著な仁を有する細胞を選択することにより、胚性幹細胞表現型を推定的に示す細 胞のサンプルを抽出する。試験結果が陽性であるか、または所望の形態を有する と思われるコロニーを単離し、そして0.25%トリプシン-EDTA溶液を用いて任意 のこのようなコロニーを脱凝集する。解離した細胞を新鮮なフィーダー層に移す 。 Hogan,Bら,Cold Spring Harbor Laboratory Press ,NY,第2版,253-290頁 ,(1994)の方法に従って、フィーダー細胞を調製し、そして維持する。簡単には 、10μg/mlのマイトマイシンC(Sigma)を含む培地中での2時間のインキュベー シ ョンによりSTO細胞を不活化する。ES細胞をフィーダー層に移す約24時間前に、 STO細胞を、ウェルあたり5×104細胞の密度で96ウェルプレート (Falcon; Fra nklin Lakes,NJ)に、またはウェルあたり2.5×105細胞で4ウェルマルチディッ シュプレート(Nunclon; Roskilde,Denmark)にプレーティングする。 ES細胞を長期間(30日にわたって)培養する。これらの細胞は試験され得、そ して試験結果がAP陽性であり、そして期特異的な(stage-specific)胚性抗原-1(S SEA-1)を発現する。細胞は10回以上継代され得、そして5ヶ月にわたって未分化 状態を維持する。細胞株は、液体窒素中での凍結保存後で生存し、そして後の使 用のためにEG細胞の有効性を確実にするために、各継代で細胞を凍結保存し、こ れは早くも3継代目には始める。凍結保存および解凍は、Robertson,E.J.,IRLP ress ,Oxford,71-112頁 ,(1987)と同様である。 実施例7 キメラ動物を産生するためのES細胞表現型を示すEG細胞の使用 胚幹細胞表現型を示す上記のように調製したEG細胞は、ES細胞由来のキメラ動 物を生成するために使用された方法と同様の方法により、キメラ有蹄動物を生成 するために使用され得る。本明細書中で参照として援用されるWO 94/26884を、 全ての図や絵を含めて参照のこと。 外因性遺伝子を含むヌクレオチド配列のような第一の遺伝的相補物でのインビ トロの胚幹細胞表現型を示す生殖細胞の形質転換は、当業者に公知の任意の方法 で達成される。上記の方法の例は、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム 沈澱、ポリブレン沈澱、形質導入(レトロウイルス)、レセプター媒介DNA伝達 、リポフェクチン、マイクロインジェクション、または他の手段を含む。 例示の実施態様において、外因性マーカーDNA配列を宿主細胞ゲノムの特定の 部位に取り込ませる。形質転換した宿主細胞が、胚幹細胞表現型を示す多能性ま たは全能性生殖細胞である場合、上記ES細胞表現型を示す生殖細胞がキメラ有蹄 動物に取り込まれ、宿主ゲノムの特定の位置における特定の遺伝子的変化を起こ す。導入された遺伝子が取り込まれるES細胞表現型を示す生殖細胞ゲノムにおけ る部位は、操作され得、遺伝子ターゲティングおよび遺伝子置き換えのために道 を開く (Thomas,K.R.およびCapecci,M.R.(1987) Cell 51:503-512)。さら に、1995年11月7日に発行されたCaPecciらの米国特許第5,464,764号を参照のこ と。キメラからトランスジェニック動物への進行のための必要条件は、ES細胞表 現型を示す生殖細胞の子孫である配偶子が存在すること、およびこの配偶子が、 キメラの子孫を産生するために用いられることである。安定な細胞培養物の存在 は、同じ変換した遺伝的相補物を有するES表現型を示す生殖細胞のクローンの発 達を可能にし、同じ遺伝的相補物を有するキメラ有蹄動物を交雑させる機会が生 じる。このような交雑は、トランスジェニックである25%の子孫を生じ、つまり 、この動物の細胞のすべてが外因性遺伝物質を両方の対立遺伝子に含む。 個々の細胞株は、染色体DNAへの外因性DNAの相同または非相同組換えを検出す るために容易にスクリーニングされる。本発明の方法により産生された細胞株を 使用して、特定の染色体位置における導入遺伝子を有するキメラおよびトランス ジェニック有蹄動物が生成される。トランスジェニック有蹄動物の安定な、遺伝 的に変換した株は、特定の位置に特定の遺伝子を導入することにより容易に産生 される。相同組換えは、遺伝子ノックアウトまたは遺伝子置き換え(上記)を産 生するため、ならびに単一の遺伝子を特定の位置に組み込むために使用され、ト ランスジェニック動物を産生するための以前の方法では問題を生じている、複数 コピーの遺伝子および予測不可能な数および位置のコピーの導入を避ける。 キメラの有蹄動物を産生する方法は、好ましくは全能性であり、そして第一の 遺伝的相補物を有するES細胞表現型を示す生殖細胞を、第二の遺伝的相補物を有 するレシピエント胚に導入してキメラ胚を作製する初期段階を含む。 第一の遺伝的相補物マーカー遺伝子のようなヌクレオチド配列は、ゲノムDNA からの単離、cDNAからの調製、直接の合成、組換え技術、またはそれらの組み合 わせにより得られる。適切な調節配列が含まれる。 形質転換する第一の遺伝的相補物、例えば、マーカー遺伝子のような単離され たヌクレオチド配列(皮膚色素遺伝子など)は、特定の目的またはトランスジェ ニック有蹄動物を産生するために選択される。形質転換の限界は、一般的に当業 者に公知のそれらの限界である。第一の遺伝的相補物は、宿主(レシピエント) の種にとって外来の(外因性の)ヌクレオチド配列であり得、または宿主種にと って自然であり得る。後者の場合、ヌクレオチド配列は、宿主に自然に存在する ものから変換され得る。 第一の遺伝的相補物として使用するのに所望であり、そしてキメラ、続いて、 有蹄動物のトランスジェニック取り込まれる外因性のヌクレオチド配列は、以下 をコードするヒト遺伝子を含む: 1)血液凝固因子(例えば、第VIII因子および第IX因子) 2)TNFα(脂肪細胞の阻害に有用) 3)以下のような成長因子 a)EGF(新生児下痢のあとに破壊された胃腸壁の修復のために有用である) b)NGF(神経成長因子) 4)鉄結合ラクトフェリン 5)人工血液または貧血の処置のためのヘモグロビン 6)ホルモン(例えば、インシュリン、FSHβ、GH、LHβ、PMSG);および 7)以下で示される遺伝子 a)SLAまたはMHC(疾患抵抗と関連する) b)サイトカイン遺伝子 c)相補物遺伝子。 血管新生因子、薬学的または診断的タンパク質、および抗体は、例えば、乳汁 中に、トランスジェニック有蹄動物により産生され得る他の有用な産物である。 形質転換され得る、適切なES細胞表現型を示す生殖細胞(実施例1〜3)を選 択した後、それは同種のレシピエント胚に、所望の期(一般的には、桑実胚期ま たは未分化胚芽細胞期(着床前の時期))に導入される。他の期、例えば1細胞 期、2細胞期または8細胞期もまた、適切である。次いで、胚は、適切に調製さ れたレシピエント母体に即座に移入されるか、または約10日までの間、培養中に 維持される(Polge,C.(1982) Cole,K.J.A.ら(編)、Control of Pig Reprod uction,London; Butterworth Scientific; 1982:277-291;およびWebel,S.K.ら (1970)J.Animal Science,30:565-568)。 マイクロインジェクションを含む、この細胞を宿主胚に導入するためのいかな る方法も適切である。導入が成功した場合、キメラ有蹄動物が産生される。キメ リズムは、通常、発現産物の検出または同定プローブとのハイブリダイゼーショ ンにより、ES細胞表現型を示す形質転換生殖細胞を介して導入された遺伝子を検 出するために適切なアッセイにより検出される。例えば、宿主未分化胚芽細胞ゲ ノムには存在しない皮膚色素遺伝子は、動物において斑点として検出され得る。 キメラ胚をキメラ成体を形成するための発達の完了のために適切な環境におき 、そして、キメラ胚を性的成熟まで発達させる。キメラ動物を、別のキメラと交 配させ、子孫を生じさせ得る。子孫の25%がトランスジェニックである。 子孫における第一の遺伝的相補物(導入遺伝子)を、その発現産物またはその 特異的なヌクレオチド配列のいずれかを検出することにより検出することにより 、子孫がトランスジェニック有蹄動物であるかどうかを決定することが好ましい 。遺伝子マーカーは、導入遺伝子の細胞系列を追跡するのに有用である。 ES細胞表現型を示す形質転換生殖細胞が導入された胚から産生される有蹄動物 は推定キメラである。当然、このように産生された全ての動物が実際にキメラに なるわけではない。というのは、技術的なばらつきと運があるからである。 次いで、推定キメラ有蹄動物を交配させて、子孫を生産する。親として使用さ れるキメラ動物のいくつかは、形質転換配偶子を有する。形質転換配偶子が受精 に使用された場合、産まれる子孫はトランスジェニック動物である。なぜなら、 細胞の全てが形質転換配偶子により形成された接合子由来の子孫であるからであ る。従って、全ての子孫細胞は、トランスジェニックであると予期される。しか し、全てのキメラブタの子孫がトランスジェニックであるわけではない。なぜな ら、すべてのキメラ有蹄動物が形質転換配偶子を有しているわけではないか、ま たは、全ての配偶子が形質転換されている訳ではないからである。 トランスジェニック動物を産生するためには、遺伝的相補物、例えば、初期に 、本発明の胚幹細胞表現型を示す生殖細胞の形質転換に使用する単離されたヌク レオチド配列は、宿主のゲノム中に取り込まれなければならない。形質転換ヌク レオチド配列が外因性DNAを含む場合、その外因性DNAは、宿主の内因性DNA中に 取り込まれていなければならない。取り込みは、一般的に、非相同組換えにより 達成される。しかし、相同組換えもまた、DNA取り込みを達成するための手段で あ り得る。相同組換えは、本明細書中で、関連または同一のDNA配列間の組換えと して定義され;非相同組換えは、関連しないDNA配列間の組換えとして定義され る。 タンパク質産生の結果として産生される変換した組織または乳汁のタンパク質 あるいは化合物を有するトランスジェニック有蹄動物は、薬学的、治療的、生医 学的、プロセッシングによる、製造した、または合成タンパク質を含み、そのタ ンパク質は例えば、以下の通りである: 1)血液タンパク質(凝固因子VIIIおよびIX、補体因子または成分、ヘモグロ ビン、または他の血液タンパク質など); 2)ホルモン(インシュリン、成長ホルモン、甲状腺ホルモン、カテコールア ミン、性腺刺激ホルモン、PMSG、刺激ホルモン、黄体刺激ホルモン、オキシトシ ン、ドパミンなど); 3)成長因子、例えば、EGF,PDGF,NGF,IGFなど; 4)サイトカイン、例えば、インターロイキン、CSF、GMCSF、TNF、TGFα、TG Fβなど; 5)酵素(組織プラスミノーゲンアクチベーター、ストレプトキナーゼ、コレ ステロール生合成酵素または分解酵素、消化酵素、ステロイド産生酵素、キナー ゼ、ホスホジエステラーゼ、メチラーゼ、デメチラーゼ、デヒドロゲナーゼ、セ ルラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、アロマターゼ、シトクロ ーム、アデニル酸シクラーゼまたはグアニル酸シクラーゼなど); 6)ホルモンまたは他のレセプター(LDL、HDL、ステロイド、タンパク質、ペ プチド、脂質、またはプロスタグランジンなど); 7)結合タンパク質(ステロイド結合タンパク質、成長ホルモンまたは成長因 子結合タンパク質など); 8)免疫系タンパク質(抗体、SLAまたはMHC遺伝子); 9)抗原(細菌性抗原、寄生虫性抗原、ウイルス性抗原、アレルゲンなど) 10)翻訳因子または転写因子、腫瘍性タンパク質、または腫瘍原性タンパク質 、乳汁タンパク質(カゼイン、ラクトアルブミン、ホエーなど);および 11)筋肉タンパク質(ミオシン、トロポミオシンなど) 遺伝子操作された同一の子孫の産生を、ES細胞表現型を示す生殖細胞からの核 の胚細胞または未受精卵母細胞への移入によって達成し、その結果得られた細胞 株、組織、器官、または子孫は、移入した核(単数または複数)の遺伝物質の全 てまたは一部を含む。 特定の細胞由来のES細胞表現型を示す生殖細胞(外来遺伝子(単数または複数 )を有するかまたは有さないかのいずれか)を、外来細胞質(例えば、脱核した 卵母細胞または脱核した胚細胞)へ、顕微操作によって移入する。得られる細胞 を培養し、新たな株を樹立し、キメラ胚、組織、および/または器官を形成する ために使用するか、または遺伝子操作された子孫の生産のために代理母へ移入す る。複数の細胞またはES細胞表現型を示す単一の生殖細胞または核の脱核した卵 母細胞または脱核した胚細胞への移入を顕微操作を介して達成する。移入した細 胞または核の融合を、電気パルス、融合薬剤(例えば、センダイウイルスもしく はポリエチレングリコール)への曝露によってか、または細胞膜のイオン流を変 えるイオノホアへの曝露によって達成する。ES細胞表現型を示す有蹄動物生殖細 胞から生じる遺伝子操作された個体は、有蹄動物の新たな品種または血統のため の創始動物として役立つ。例えば、トランスジーンを有するES細胞表現型を示す 生殖細胞を、クローン化された細胞、組織、器官(例えば、腎臓移植片)、また は動物の生産のための、同一の核DNAを有する細胞を生成するために、脱核した 卵母細胞に融合し得る。 トランスジーンを、種々の方法によってES細胞を表現型を示す生殖細胞へ導入 し得る。これらの方法は、エレクトロポレーション、マクロインジェクション、 リポフェクション、レトロウイルス感染、およびリン酸カルシウムを含む。細胞 を、抗生物質G418(構築物がneo遺伝子を含む場合)用いるかまたは他の適切な スクリーニング用の薬物もしくは化合物を用いてスクリーニングし得る(例えば 、ブタneo発現細胞の選別のためのG418の最適な用量の決定については、Wheeler 、WO94/26884を参照のこと)。スクリーニング後に残っているコロニーをクロー ン化し、そして当業者に公知の方法(PCR、サザン分析、ノーザン分析、または ウェスタン分析を含むが、これらに限定されない)を介してトランスジーンの組 込 みについて調べる。 実施例8 ES 様生殖細胞由来のキメラの産生 トランスジーンを含む本発明のES細胞表現型発現生殖細胞約1〜30(好ましく は5〜20)個を、マイクロマニピュレーター(Narishige Inc.,Tokyo,Japan) に取り付けられたガラス注入針(直径25〜30μm)によって細胞塊(桑実胚)中 に置くかまたは胞胚腔(胚盤胞および拡張した胚盤胞)に置く。注入後、胚を直 ぐに、胚提供後24時間後に発情中のレシピエントの雌ブタ、雌ウシ、雌ヒツジま たは雌ジカに移入する。 キメラを、それらが容易にスクリーニングされるように、例えば、外被色マー カー(すなわち、ウシについてはMeishan×Duroc、Angus×Hereford、ヒツジに ついてはDorset×Lincoln(ホモ接合性黒色系統)、ヤギについてはSaanen×Tog genburgまたはBlackまたはBrown Nubian)を使用して、設計し得る。得られた個 々のキメラは、各々の胚細胞系統由来の異なる色の皮膚および毛の色のつぎはぎ (patch)部分を有する。 核移入を介するキメラまたはクローンの産生を、以下の段階(1細胞、2細胞 、4細胞、8細胞、16細胞、32細胞、桑実胚、胚盤胞、および孵化した胚盤胞) の着床前の胚とのES細胞表現型を示す生殖細胞の凝集によって達成する。クロー ンの核移入子孫はまた、同じ段階(1-、2-、4-、8-、16-、32-細胞、桑実胚、胚 盤胞、および孵化した胚盤胞)の脱核した着床前の胚とのES細胞発現表現型胚細 胞の融合またはその注入によって産生する。 ES細胞からのキメラの調製において有用な培地および溶液処方物はまた、ES細 胞表現型を示す生殖細胞を使用するキメラの産生においても有用である。このよ うな培地および溶液処方物は、Wheeler(WO94/26884)(全ての図、図面、およ び参考文献を含めてその全体が本明細書に援用される)によって記載される。 実施例9 ブタキメラの産生 実施例8に記載されたように、インビボで分化するブタEG細胞株の能力および 宿主胚盤胞の注入後にキメラ子ブタを産生するブタES細胞株の能力を試験した。 Durocの雌ブタ(約6ヶ月齢)を、宿主胚盤胞ドナーとして使用し、そしてDuroc またはHampshire×Yorkshire交雑雌ブタ(1年齢以上)いずれかを、レシピエン トとして使用した。胚ドナーおよび胚レシピエントの発情周期を、Andersonら( 1994)と同様に同調させた。外被色マーカーを、推定のキメラ子ブタの予備的同 定のために使用した。EG細胞株を、Hampshire×Yorkshire交雑胚(黒色および白 色色素沈着、その両方が相互優性対立遺伝子である)から単離し、そして宿主胚 はDurocs(赤色色素沈着は、劣性対立遺伝子である)であった。胚盤胞期の胚を 発情期の第1日の6日後にDuroc雌ブタから集めた。 インビトロ継代段階7〜15のブタEG細胞株を、注入のために使用した。支持細 胞層からひろい取ったEG細胞のコロニーを、0.25%トリプシン-EDTA中で5〜10 分間インキュベートし、そして各々約10〜20個の細胞を含む小細胞塊に解離させ た。各々1つのEG細胞塊を、上記のように、そしてButlerら(1987)と同様に宿 主胚盤胞の胞胚腔へ注入した。注入した胚盤胞を、その発情周期の4日目(ドナ ー雌ブタから後れること2日)のレシピエントの子宮に外科的に移入した。複数 雄親媒精を宿主胚ドナーについて使用し、そして宿主胚盤胞を、EG細胞の注入後 プールし、充分な数の胚が移入後妊娠を維持することを確実にした。出生時にお いて、子ブタを首尾良いキメリズムの予測となる二重色素沈着について調べた。 推定のキメラ子ブタを、出生後5日目に屠殺し、そして組織サンプルを、耳、 脳、下垂体、肺、肝臓、心臓、脾臓、腎臓、筋肉、精巣、精巣上体、膵臓、小腸 、甲状腺から、および3つの別々の表皮部位から切り出した。DNAを、切り出し た各組織サンプルから単離し、そしてRohrer,G.Aら、Genetics,136:231-245, (1994)と類似の標準PCR増幅によって分析した。EG細胞株、推定上のキメラの 血液細胞、および宿主胚盤胞の親由来の血液細胞からのDNAもまた単離し、そし てマイクロサテライト(MS)マーカーSW472のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅 によって分析した。PCR増幅産物を2%アガロースゲル中での1時間のゲル電気 泳動によって分離し、そしてDNAバンドを、標準的な分子生物学手順(Maniatis 、最新版)に従うエチジウムブロマイド染色を用いて可視化した。 表5に示すように、186の宿主胚盤胞の全てが3つの細胞株由来のEG細胞を用 いて注入され、そして7匹のレシピエントに移入された。6匹のレシピエントが 妊娠し(妊娠率=86%)、そして41匹の子ブタが産まれた(出生時に4匹が死ん だ)。1匹の雄(子ブタ番号363)は、EG細胞株PEGC142(Hampshire×Yorkshire 交雑)のDuroc宿主胚盤胞への注入から生じる明白な皮膚−色素沈着キメリズム を示した。EG細胞由来の白色縞が、子ブタの脇腹および背中ならびに左後足に顕 著に観察された。 キメラ子ブタ番号363を出生後5日目に屠殺し、そして種々の主要な器官から の組織を集め、そして上記のようにPCRによって分析した。キメリズムを、マイ クロサテライトDNAマーカーのPCR増幅によって確認した。 電気泳動のバンドのサイズは、サテライトマーカーMS SW472(Rohrer,J.A.ら 、Genetics,136:231-245 1994)の代表的な対立遺伝子より大きかったが、EG細 胞と色素沈着キメラ間の同一のバンドパターンが、EG細胞がキメラブタの組織に 寄与していることを確実にした。2つのDNAバンドを、EG細胞株PEGC142および子 ブタ363の両方から得られたDNAサンプルのPCR増幅によって増幅したが、宿主胚 ドナー雌ブタおよび雄親(sire)からの増幅したDNA中にバンドはなかった。 キメラ組織は、脳、下垂体、肺、腎臓、筋肉、精巣、精巣上体、小腸、甲状腺 、ならびに耳、脇腹、背中、および後足からの皮膚を含んだ。EG細胞特異的バン ドは、肝臓サンプルのレーンで軽く染色され、そして心臓、脾臓、および膵臓か らのサンプル中では検出されなかった。これらの組織でのキメラ所見の欠如は、 肝臓におけるキメラへのEG細胞寄与の低い割合、および心臓、脾臓、および膵臓 へのほとんどないかまたは全くない寄与を示し得る。 マイクロサテライトDNAの分析のために、ポリアクリルアミドゲルが、アガロ ースゲルよりより一般的に使用される。従って、マイクロサテライトSW871を、 遺伝子マーカーとして使用して、皮膚−色素沈着キメラ中のキメリズムを確認し た。皮膚−色素沈着キメラを示すブタを、出生後5日目の屠殺し、そして組織サ ンプルを血液、脳、下垂体、肺、肝臓、心臓、脾臓、腎臓、筋肉、精巣、精巣上 体、膵臓、小腸、甲状腺、および皮膚から集めた。DNAを各組織から単離し、そ してMS SW871のポリメラーゼ(Pomroys)連鎖反応(PCR)増幅によって分析した 。 宿主胚盤胞の親、EG細胞株、および皮膚−色素沈着キメラからの組織サンプルか らのMS SW871のPCR増幅後、増幅したフラグメントを、8%ポリアクリルアミド ゲルを使用する電気泳動によって分析した。PCR条件は、Rohrerら、Genetics,1 36:231-245(1994)によって記載され、そしてプライマーをPCR前に32Pを用いて 末端標識した。ゲルをオートラジオグラフィーによって可視化した。宿主胚盤胞 の親、EG細胞株、および皮膚−色素沈着キメラからの組織サンプルのマイクロサ テライトプロフィールは、キメリズムを確実にした。ゲルを観察した時、MS SW8 71の120塩基対対立遺伝子が、注入したEG細胞株(PEGC142)および皮膚−色素沈 着キメラ(子ブタ363)由来のほとんど組織の両方に存在したが、宿主胚盤胞の 親には存在しなかった。調べた血液、脳、下垂体、肺、腎臓、筋肉、精巣、精巣 上体、膵臓、小腸、甲状腺、および皮膚を含むほとんどの組織がキメラであった 。 実施例10 ES 細胞表現型を示す生殖細胞異種移植片(異種移植)の使用 これらの移植物質の宿主生物による拒絶を低減する、外因性の主要組織適合性 抗原、または他の外来もしくは内因性抗原、および/あるいは遺伝子を有する細 胞、組織または器官を、本発明により産生し得る。外因性の外来DNAまたは相同D NAを、エレクトロポレーション、リン酸カルシウムへの曝露、マイクロインジェ クション、リポフェクション、レトロウイルスベクターもしくは他のウイルスベ クター、または微生物ベクター、あるいは他の手段によって、ES細胞表現型を示 す有蹄動物生殖細胞に移入する。ES細胞表現型を示す生殖細胞をこのDNAの取り 込みもしくは抗原の発現についてスクリーニングするか、胚へ直接移入してキメ ラを産生させるか、または核移入系において使用して有蹄動物をクローン化する 。 これらの細胞、組織、および器官を、異種移植のために胚、胎児、新生児、また は生じた成体から採取する。この様式において、ヒト化した有蹄動物の移植片が 可能である。 置換のための分化した細胞の産生、傷害性の、非機能性の、または障害性の細 胞もしくは組織の修復もしくは拡大は別の用途である。外因性の外来DNAまたは 相同DNAを、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム、マイクロインジェク ション、リポフェクション、レトロウイルスベクターもしくは他のウイルスベク ター、または微生物ベクター、あるいは他の手段によって、ES細胞表現型を示す 有蹄動物生殖細胞に移入する。ES細胞表現型を示す生殖細胞をこのDNAの取り込 みについてスクリーニングするか、胚へ直接移入してキメラを産生させるか、ま たは核移入系において使用して有蹄動物をクローン化する。これらの細胞および 組織を、欠損の修復または拡大における使用のために、胚または生じた成体から 採取する。例えば、有蹄動物の胎児および新生児由来の器官を、心臓発作または 脊髄損傷を有するパーキンソン病患者の処置に使用し得る。生物学的分子の産生 食物補助剤(food supplement)、添加剤などの製造および処理において使用 される製剤、診断薬、または抗体を、本発明に従ってES細胞表現型を示す、ブタ 、ウシ、ヒツジ、およびヤギの生殖細胞を使用して産生する。外因性の外来DNA または相同DNAを、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム、マイクロイン ジェクション、リポフェクション、レトロウイルスベクターもしくは他のウイル スベクター、または微生物ベクター、あるいは他の手段によって、ES細胞表現型 を示す有蹄動物生殖細胞に移入する。ES細胞表現型を示す生殖細胞をこのDNAの 取り込みについてスクリーニングするか、胚へ直接移入してキメラを産生させる か、または核移入系において使用して有蹄動物をクローン化する。これらのタン パク質または他の分子を、さらなる精製のために、胚、胎児、新生児、または生 じた成体から採取する。例えば、ヒト血液凝固第IX因子を、血友病の処置のため に、ブタ、ウシ、ヒツジ、およびヤギの乳において産生し得る。 トランスジェニックブタ、ウシ、ヒツジ、およびヤギは、改変した組織または 乳タンパク質を産生し得、これは商業用の用途または実験的な用途のために回収 され得る。この様式で産生され得る製剤、治療、処理、製造、または合成タンパ ク質として、以下が挙げられる:血液タンパク質(凝固第VIII因子、および凝固 IX因子、相補因子または成分、ヘモグロビンまたは他のタンパク質など)、ホル モン(インシュリン、成長ホルモン、甲状腺ホルモン、性腺刺激ホルモン、PMSG 、刺激ホルモン、黄体刺激ホルモン、オキシトシン、ドーパミン、カテコールア ミンなど);成長因子(EGF、PDGF、NGF、IGFなど);サイトカイン(インター ロイキン、CSF、GMCSF、TNF、TGFα、TGFβなど);酵素(組織プラスミノーゲ ンアクチベーター、ストレプトキナーゼ、コレステロール生合成酵素もしくはコ レステロール生分解酵素、消化酵素、ステロイド誘発性酵素、キナーゼ、ホスホ ジエステラーゼ、メチラーゼ、デメチラーゼ、デヒドロゲナーゼ、セルラーゼ、 プロテアーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、アロマターゼ、シトクロームアデニ ル酸シクラーゼもしくはシトクロームグアニル酸シクラーゼなど)、ホルモンま たは他のレセプター(LDL、HDL、ステロイド、タンパク質、ペプチド、脂質、ま たはプロスタグランジンなど);結合タンパク質(ステロイド結合タンパク質、 成長ホルモンまたは成長因子結合タンパク質など);免疫系のタンパク(抗体、 SLA、またはMHC遺伝子産物);抗原(細菌、寄生虫、ウイルス、アレルゲンなど );翻訳因子または転写因子、腫瘍タンパク質またはプロト(proto)腫瘍タン パク質、乳タンパク質(カゼイン、ラクトアルブミン、乳清など);筋肉タンパ ク質(ミオシン、トロポミオシンなど)。 トランスジーンのヌクレオチド配列は、トランスジェニックブタ、ウシ、ヒツ ジ、およびヤギから最終的に採取されるタンパク質の前駆形態をコードし得る。 好ましくは、トランスジーンの発現を、例えば、組織特異的転写開始配列の使用 を通じて目的の組織に標的化する。あるいは、組織を、当業者に周知の技術によ ってスクリーニングし得、選択された組織由来のmRNAを試験するためのプローブ としてそれを使用することによりトランスジーンの発現を決定し得る。適切な組 織においてトランスジーンを発現するキメラまたはトランスジェニック動物を交 配し、そして子孫からトランスジーン産物を採集する。家畜における遺伝的特色の増強 ES細胞表現型を示すブタ、ウシ、ヒツジ、およびヤギの生殖細胞を、疾患の耐 性;増殖速度および効率;乳の産生、質、および組成;再生効率および能力を改 善するために使用する。さらに、成体への発達および成長の間に特定の遺伝子の 発現を制御することによる改善された能力(病原体に対する自己免疫、増殖プロ モーターの分泌の増大、乳汁の分泌を含む生殖プロセスの刺激)が可能である。 一般に、ES細胞表現型を示す有蹄動物生殖細胞から得られる操作された個体は、 ブタ、ウシ、ヒツジ、およびヤギの新しい品種または株のための基礎となる動物 として働く。例えば、改変した乳タンパク質組成物は、子孫の生存性の増大およ び成長の促進を可能にする。 有害な対立遺伝子、遺伝子またはDNA配列を除去するかまたは改変することに より、ES細胞表現型を示す生殖細胞中での相同組換えを使用することを達成する 。ES細胞表現型を示すこのようなトランスジェニック生殖細胞を、宿主胚に導入 し、そしてトランスジェニック個体の生成を行う。これらの遺伝予操作された個 体はまた、ブタ、ウシ、ヒツジ、およびヤギの新しい品種または株のための基礎 となる動物としても有用である。 本発明は、本明細書中で、最も実施可能であり、そして好ましい実施態様と考 えられるものを示し、そして記載している。しかし、本発明の範囲内にある新た な発展が作製され得ること、および本開示を読むことにより当業者が改変を思い つくことが認識される。
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Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.胚幹細胞表現型を示す未分化の有蹄動物細胞の持続性培養物を産生する方法 であって: 有蹄動物の胚から始原生殖細胞を収集する工程; 30日より多い期間にわたって該生殖細胞を培養する工程; 有蹄動物の胚幹細胞に類似し、かつ胚幹細胞表現型を示す細胞を該培養した生 殖細胞から選択する工程、 を包含する、方法。 2.アルカリホスファターゼ活性に関して陽性である細胞を前記収集した生殖細 胞から予め選択する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法であって; ここで前記始原生殖細胞が、22〜28日齢のブタ胚および34〜40日齢のウシ胚か らなる群から選択される胚の背部腸間膜または生殖隆起から収集される、 方法。 3.前記培養工程が、15%(v/v)ウシ胎児血清、およびL-グルタミン(1mM)を 含有するダルベッコ改変イーグル培地において空気中5%±2% C02の雰囲気下 で39℃±3℃の温度にて不活化STO細胞で行われ; ここで前記有蹄動物の胚が25日±1日齢のブタ胚であり;そして なおさらにここで前記プロセスが、胚幹細胞表現型を示す1,000以上のブタ胚 幹細胞で生じ;そして ここで胚幹細胞表現型を示す前記選択された細胞が、該STO細胞において培養 される場合に少なくとも120日間該表現型を維持する、 請求項2に記載の方法。 4.有蹄動物の胚の生殖隆起に由来する胚幹細胞表現型を示す未分化の有蹄動物 細胞の持続性有蹄動物細胞培養物であって; ここで該細胞がブタ細胞であり、そして該培養物が、胚幹細胞表現型を示す2, 000以上のブタ胚幹細胞を含む、 培養物。 5.キメラ有蹄動物を作製する方法であって: (a)キメラ有蹄動物の胚を形成させるために、生殖細胞に由来し、胚幹細胞 表現型を示し、そして第1の遺伝的相補物を有する有蹄動物細胞を、該生殖細胞 と同一種のレシピエント胚に導入する工程であって、該レシピエントは第2の遺 伝的相補物を有する、工程;および (b)キメラ有蹄動物の胚を、発生の完了に適した環境下に配置して、キメラ 有蹄動物を形成させる工程、 を包含する、方法。 6.前記細胞を、胚盤胞段階のような着床前段階で前記胚に導入し; ここで、前記第1の遺伝的相補物が前記第2の遺伝的相補物と異なり;そして ここで、該第1の遺伝的相補物が、胚幹細胞表現型を示す前記細胞の該遺伝的 相補物に安定に組み込まれた外因性ヌクレオチド配列を含む、 請求項1に記載の方法。 7.前記第一の遺伝的相補物が、前記キメラにおいて回収可能な形態および量で 発現されるヒト血液タンパク質、ヒトホルモン、ヒト成長因子、ヒトサイトカイ ン、ヒト酵素、ヒトホルモンレセプター、ヒト結合タンパク質、抗原、翻訳因子 、転写因予、腫瘍タンパク質、プロト腫瘍タンパク質、ヒト乳タンパク質、ヒト 筋肉タンパク質、およびヒト第IX因子からなる群から選択されるタンパク質をコ ードする外因性ヌクレオチド配列を含む、請求項6に記載の方法。 8.前記第1の遺伝的相補物が、ブタ死骸組成物、ブタ死骸体重、ブタ疾患抵抗 性およびブタ乳産生を改善する群から選択されるタンパク質をコードするブタヌ クレオチド配列を含む、請求項6に記載の方法。 9.以下の工程を包含するプロセスによって産生されるトランスジェニック有蹄 動物: (a)有蹄動物胚の生殖隆起から始原生殖細胞を収集する工程; (b)30日より多い期間にわたって該生殖細胞を培養する工程; (c)有蹄動物の胚幹細胞に類似し、そして胚幹細胞表現型を示す培養生殖細 胞を該培養細胞から選択する工程; (d)該培養生殖細胞に外因性DNAを導入する工程; (e)着床前段階にあるレシピエント胚に(d)の細胞を配置する工程;および (f)発生の完了に適切な環境下に(e)の胚を入れて、トランスジェニック有 蹄動物を形成させる工程。 10.前記有蹄動物が、(f)のトランスジェニック有蹄動物を交配させること によって生じる子孫である、請求項9に記載のトランスジェニック有蹄動物。
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