【発明の詳細な説明】
水性放射線硬化性塗料の製法
本発明は、(a)1分子当たり最低2個のエチレン系不飽和基を有するオリゴ
マー及び/又はポリマー水非相容性バインダー少なくとも1種、(b)場合によ
り填料及び/又は顔料、(c)場合により光開始剤及び(d)場合により他の助
剤及び/又は添加剤を含有する水非相容性放射線硬化性前塗料A)からなる水性
放射性硬化性塗料の製法に関し、これは、水非相容性放射線硬化性前塗料A)を
第1工程で、塗料に対して0.2〜5重量%、有利に1〜3重量%の少なくとも
1つの1級アミノ基及び/又は2級アミノ基及び少なくとも1つの3級アミノ基
を有するジ−及び/又はポリアミンB)少なくとも1種と反応させ、第2工程で
、成分B)のアミノ基を酸で中和し、かつ第3の引き続く工程で、工程1及び2
で製造された水溶性塗料を水を用いて水性相に変え、その際同時に適用粘度に調
節することを特徴とする。
従来技術
アクリル酸エステルをベースとする放射線硬化性被覆剤は公知である。
ドイツ特許(DE−PS)第2625538号明細
書から、還元剤もしくは連鎖移動剤としてアミンを含有する光重合可能な被覆剤
が公知である。このような遊離のアミンの使用は、これが、軟化剤として作用し
うること、かつ表面への不所望な負担及び悪臭をもたらすという欠点を有する。
なお重合可能な基を有する分子中にアミノ基を導入することにより、硬化の際
に重合導入され、前記の欠点は有さないアミンが得られる。導入の公知の方法は
、二重結合の多い分子へのアミンの付加であり、これはマイケル付加と同様に進
行し、例えばF.Moeller,Houben-Weyl,Bd.. 11/1(1957)、277〜280頁に記載さ
れている。米国特許(US−PS)第号2759913明細書は、アミンを活性
化、オレフィン系不飽和化合物、例えばアクリレートに、活性化エチレン系二重
結合の完全な反応をもたらす当量で付加することを教示している。アミノアルコ
ールのアクリレートへの付加に関する体系的な研究が、N.Ogata及びT.Asahara(
Bull.Chem.Soc.Jap.39、1486〜1490頁、1966)によりなされてい
る。
ヨーロッパ特許(EP−A)第280222号明細書から、アクリル酸又はメ
タクリル酸及び多価アルコールのエステルと1級モノアミンとからなる付加生成
物が公知であり、その際、モノアミンとエステルの(メタ)アクリル系二重結合
とのモル比は0.05:1〜0.4:1である。ヨーロッパ特許(EP−A)第
280222号明細書に記載の付加生成物は、空気中で硬化する放射線硬化性物
質中で使用される。しかし、ヨーロッパ特許(EP−A)第280222号明細
書から公知の生成物の貯蔵安定性は不十分である。例えば、この付加生成物を貯
蔵する場合には、明らかな粘度上昇が記される。更に、4価ポリオールと1級モ
ノアミンとの付加生成物の場合には相容性の問題が生ずる。このような生成物は
混濁しているか、もしくは乳白色の外観を有する。殊に、このヨーロッパ特許(
EP−A)第280222号明細書中に記載されているアミン変性された物質の
場合には、得られた付加生成物中で、例えばベンゾフェノンで開始される系のた
めに、十分に高い窒素含有率を保持するために比較的高い割合のモノアミンを必
要とすることが欠点である。慣用の放射線量で実際に十分でかつ完全に進行する
光重合をもたらすためには、十分に高い窒素含有率が必要である。
米国特許(US)第4547562号明細書及び同第4675374号明細書
から、ポリアクリレート及びモノ−、ジ−又はポリアミンをベースとする放射線
硬化性溶剤不含組成物が公知である。好適なジ−及びポリアミンとして、1つ以
上の1級アミノ基を有する種類が挙げられている。これらのポリアミンを使用す
ると、高架橋され、高分子の、かつ従って高粘度の被覆剤が得られ、これは反応
希釈剤及び溶剤の添加無し
には、高すぎる適用粘度を有するか、又は固体生成物をもたらす。
米国特許(US−PS)第4045416号明細書及び米国特許(US−PS
)第3845056号明細書は最後に、ポリアクリレートと少なくとも1つのア
ミン−水素を有するアミンとの反応により得られるアミンアクリレートをベース
とする放射線硬化性被覆剤に関している。好適なアミンとして、1級及び2級モ
ノアミン並びにポリアミンが挙げられている。これらの米国特許では、ポリアミ
ン成分として、1つより多い1級アミノ基を有するポリアミン、もっぱら2級ア
ミノ基を有するポリアミン又は2級及び3級アミノ基を有するポリアミンが挙げ
られている。1つより多い1級アミノ基を有するポリアミンを使用する場合には
、低い貯蔵安定性を有する不均一な付加生成物が得られ、もっぱら2級アミノ基
を有するポリアミン、例えばピペラジンの使用は、不十分な反応性に基づくか、
又は非相容性による不均一な混合物をもたらす。2級及び3級アミノ基を有する
ポリアミンの使用は、分子のアクリル酸−もしくはメタクリル酸エステル官能性
の低下しかもたらさない。
近年、溶剤不含であり、かつ同時に、可能な限り反応希釈剤の不在下に良好な
反応性及び良好な処理粘度を有する放射線硬化性被覆剤に対する強い要望が生じ
ている。
課題及び解決
従って、このことから生じる課題は、前記の欠点を克服し、かつ充分な貯蔵安
定性、良好な反応性、低い粘度及び匹敵して良好に生じる塗膜特性、例えばこと
に塗膜硬度を有する溶剤不含放射線硬化性塗料を提供することにある。
更に、ことにエコロジカルな理由からモノマー添加物、又はいわゆる反応希釈
剤の使用が、同様に有機溶剤の添加が完全に断念されるべきである。
生じる被覆は、基材上、ことに重要な基材、例えば箔被覆された圧縮木材上で
、又はプラスチック、例えばポリビニルクロリド又はポリプロピレン上で良好な
付着を示さなければならない。
意外にも、次のもの:
(a)1分子当たり少なくとも2つのエチレン系不飽和基を有する水非相容性
オリゴマー及び/又はポリマーバインダー少なくとも1種 40〜100重
量重量%、有利に50〜95重量%
(b)填料及び/又は顔料 0〜40重量%、有利に0〜30重量%
(c)UV−使用での光開始剤 0〜6重量%、有利に3〜5重量%並び
に
(d)他の助剤及び/又は添加剤 0〜20重
量%、有利に0〜15重量%
を含有する水非相容性の、通常高粘度の慣用の放射線硬化性前塗料A)を、優れ
た特性を有する水性放射線硬化性塗料に変えることができることを発見した。
本発明の方法は次の連続する工程を含む:
1. 予め処方された水非相容性前塗料A)に、少なくとも1つの1級及び
少なくとも1つの3級アミノ基を有するジ−及び/又はポリアミンB)を、前塗
料A)に対して0.2〜5重量%、有利に1〜3重量%添加し
2. 成分B)のアミノ基を酸を用いて中和し、並びに
3.工程1及び2で製造された水溶性塗料を水性相に変え、かつ水の添加に
より所望の適用粘度に調節する。
本発明のもう1つの実施形では、本発明の方法の第1工程で、成分(a)〜(
d)から水非相容性前塗料A)を処方し、その際同時に、前塗料A)に対して成
分B)を0.2〜5重量%、有利に1〜3重量%を添加する。
本発明の有利な1実施形では、アミノ基の中和(工程2)及び所望の適用粘度
の調節(工程3)を希酸水溶液の使用下に1つの工程で行う。
ジ−及び/又はポリアミンB)としては、1級及び3級アミノ基を有するジア
ミンが有利である。
本発明の実施
水非相容性前塗料A)の成分
前塗料A)の水非相容性は室温で、水性処方物に対して水中で<10重量%、
有利に<5重量%の前塗料A)、殊に水非相容性バインダー(a)の可溶性と定
義される。
オリゴマー及び/又はポリマー水非相容性バインダ(a)は、前塗料A)に対
して40〜100重量%、有利に50〜95重量%の割合で前塗料A)中に含有
されている。
オリゴマー水非相容性バインダー(a)は例えば、アクリル酸及び/又はメタ
クリル酸と二価脂肪族アルコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリ
コール−1,2及び−1,3、ブタンジオール−1,4、ペンタンジオール−1
,2、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール−1,6、2−メチルペンタ
ンジオール−l,5、2−エチルブタンジオール−1,4、ジメチロールシクロ
ヘキサン及びジエチレングリコールとの、有利に三価アルコール、例えばグリセ
リン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン及びトリメチロールブタ
ンとの、有利に四価アルコール、例えばペンタエリトリットとの、並びに有利に
多価アルコール、例えばジ(トリメチロールプロパン)、ジ(ペンタエリトリッ
ト)及びソルビトールとのエス
テルである。更に、多価脂環式アルコール、例えば1,4−ビス−(ヒドロキシ
メチル)−シクロヘキサン、多価芳香脂肪族アルコール、例えば1,3−キシリ
レンジオール並びに多価フェノール、例えば2,2−ビス−(4−ヒドロキシフ
ェニル)−プロパン(ビスフェノール−A)が好適である。
有利なポリマー水非相容性バインダー(a)は例えば、前記の多価アルコール
を、アクリル酸又はメタクリル酸でエステル化する前に、アルコキシル化により
例えばエチレンオキシド又はプロピレンオキシドと反応させて、高分子量のポリ
エーテルアルコールに変えることにより得られる。
アクリル酸及び/又はメタクリル酸でエステル化されるヒドロキシル基含有ポ
リエーテルを、二価及び/又は多価アルコールと様々な量のエチレンオキシド及
び/又はプロピレンオキシドとを良く知られた方法で反応させることにより得る
(例えば、Houben-Weyl,Band XIV,2,Makromolekulare Stoffe II,(1963)参
照)。テトラヒドロフラン又はブチレンオキシドの重合生成物も使用することが
できる。ポリマーの水非相容性バインダー(a)として、ポリエステルアクリレ
ート及び/又はポリエステルメタクリレートもこれに該当する。ポリエステル(
メタ)アクリレートを製造するために、多価アルコールとして、ヒドロキシル基
含有ポリエステル(ポリエステルポリオール)を使用
する。これらは、ジカルボン酸をジオール及びトリオールで、良く知られた公知
の方法でエステル化することにより製造することができる(例えば、P.J.Flory,
J.Am.Chem.Soc.58,1877(1936)及びJ.Am.Chem.Soc.63,3083(1953)参照
)。ポリエーテルアクリレート及びポリエステルアクリレートの製造は例えば、
ドイツ特許(DE−A)第3836370号明細書中に記載されている。
バインダー(a)として好適なポリエーテル−又はポリエステルアクリレート
は例えば、市場で入手可能
記載のポリエーテルアクリレート及びポリエステルアクリレートの他に、バイ
ンダー(a)として例えば次のものをオリゴマー及び/又はポリマーの形で使用
することができる:製造が例えばヨーロッパ特許(EP−B)第0167199
号明細書及びヨーロッパ特許(EP−B)第0204161号明細書中に記載さ
れている水非相容性ウレタンアクリレート、エポキシド樹脂に(メタ)アクリル
酸を付加することにより得られ、かつ市場で入手される水非相容性エポキシドア
クリレート並びに、官能基、例えばヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基
、チオール基、エポキシド基及び/又はイソシアネート基を有する(メタ)アク
リレートコポリマーと少なくとも1個のエチレン系不飽和二重結合並びに(メタ
)アクリレートコポリマー
の官能基に反応しうる基を有する化合物との反応により得られる水非相容性エチ
レン系不飽和、有利にアクリロイル基含有アクリレートコポリマー。
水非相容性前塗料A)中に場合により、前塗料A)に対して0〜40重量%、
有利に0〜30重量%の量で存在する填料及び/又は顔料(b)は無機及び/又
は有機材料であってよい。
無機填料及び/又は顔料の例として、次のものを挙げることができる:二酸化
チタン、硫酸塩、例えば硫酸バリウム(重晶石)又は硫酸カリウム(石膏)又は
ケイ酸塩、例えばカオリン、雲母又は石英粉末。無機填料及び/又は顔料(d)
の場合には、「填料」及び「顔料」との概念的区別は往々にして殆ど不可能であ
ることを考慮すべきである。それというのも、物質、例えば硫酸バリウム又は二
酸化チタンは同時に、填料としても顔料としても作用するためである。
有機填料及び/又は顔料としては、例及び典型的として多くのものを挙げるこ
とができる:スス、アゾ染料−顔料又はフタロシアニン染料−顔料。
成分(b)の有利な成分は艶消し剤である。
艶消し剤として通常、高い寸法安定性、より大きい粒子は塗料表面に不均一性
をもたらすので有利には1〜15μmだが50μmを越えない粒度及び比較的狭
い粒度分布を有し、並びに塗装の際の塗膜形成プロセスの間に艶消し剤の浮遊を
もたらす比較的低い密度を
有する粒子を使用する。
艶消し剤として、大きい空孔容積及び相応する低い密度を有する多孔性層状ケ
イ酸塩を使用するのが有利である。このような層状ケイ酸塩の例には、有利に1
〜10マイクロメーターの平均粒子を有するGrace社
して、前記の要求を満たすプラスチック粒子を使用することもできる。粒度1〜
10マイクロメーター、寸法安定性を保証する高い硝子転移温度並びに大きな空
プのようなポリアミド粒子を使用するのが有利である。
艶消し剤と一緒に、パラフィンワックスを使用するのが有利であり、これを、
艶消し剤を水性塗料処方物に添加する前に、これに添加するか、かつ/又は艶消
し剤と一緒に塗料処方物中に添加する。このようなパラフィンワックスは艶消し
剤粒子の表面を覆い、これが、粒子の密度の更なる低減及び粒子の疎水化をもた
らす。
水非相容性前塗料A)は場合により成分(c)として、前塗料(A)に対して
0〜6重量%、有利に3〜5重量%の割合の、放射線硬化性被覆剤中で通常使用
される光開始剤、例えばベンゾフェノン、ベンゾイン又はベンゾインエーテル、
有利にベンゾフェノンをUV−組成物中に含有する。前塗料(A)中に使用され
たバインダー(a)は本発明の方法によりアミン変性されており、従って、相乗
効果を有するので、相乗剤の使用を放棄することができる。
更に、水非相容性前塗料A)は場合により、前塗料(A)に対して0〜20重
量%、有利に0〜15重量%の量で慣用の助剤及び/又は添加剤(d)、例えば
消泡剤、流展剤、塗膜形成助剤、例えばセルロース誘導体、滑剤並びに前塗料A
)に対して10重量%までの少量で、溶剤、例えばメトキシプロパノールを含有
する。滑剤は例えば、前塗料A)に対して0.5〜3重量%の割合で、流展剤は
0.2〜1重量%の割合で、前塗料A)中に存在して良い。
成分B)
成分B)としては1級及び3級アミノ基を有するジ−及び/又はポリアミン、
例えばN,N−ジアルキルジアミノアルカン、例えばジメチルアミノプロピオニ
トリルの接触水素化により得られるN,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパ
ンを使用する。このジアミンの製造は例えば、Houben-Weyl、Bd11/1、1957
、p.565、ヨーロッパ特許(EP−A)第0316761号明細書又はP.La
ppe、H.Springer及びJ.Weber、Chem.-Ztg.111(4)、p.117〜125(198
7)中に記載されている。
他の好適なジアルキルアミノプロパンは、N,N−ジエチル−1,3−ジアミ
ノプロパン、N,N−ジ−
n−プロピル−1,3−ジアミノプロパン、4−モルホリノプロピルアミン、3
−(N−ピペリジニル)プロヒルアミン、N,N−ジフェニル−1,3−ジアミノ
プロパンである。
成分(B)としては更に、次のものが該当する:N,N−ジアルキル−1,2
−ジアミノエタン−誘導体、例えばジメチルアミノエチルアミン、ジエチルアミ
ノエチルアミン、N−β−アミノエチルモルホリン(製造は例えばHouben Weyl
、Bd11/1、1957、p.563参照)、2級アミンを1−シアンブタジエン−
1,3に、ニトリルの生成下に1,4−付加し、引き続き接触水素化することに
より製造することができるN,N−ジアルキル−1,5−ジアミノペンタン誘導
体(製造は、Houben-Weyl、Bd.11/1、1957、p.276参照)。好適なN,
N−ジアルキル−1,5−ジアミノペンタン誘導体の例は、ジメチルアミノペン
チルアミン、ジエチルアミノペンチルアミン、4−モルホリノペンチルアミンで
ある。
成分B)としては、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパンが特に有利
である。
本発明の方法
本発明の方法は連続する次の工程を含む:
1. 予め処方された水非相容性前塗料A)に成分B)を塗料A)に対して
0.2〜5重量%、有利に1〜3重量%添加する、
2. 成分B)のアミノ基を酸を用いて中和する、並びに
3. 工程1及び2で製造された水溶性塗料を水性相に変え、かつ水の添加
により所望の適用粘度に調節する。
本発明の有利な実施態様では、成分B)の3級アミノ基の中和(工程2)及び
所望の適用粘度の調節(工程3)を、希酸水溶液を使用して1つの工程で行う。
本発明方法の工程1では、成分B)の予め処方された水非相容性前塗料A)へ
の添加を、液相で攪拌しながら、有利に室温で実施する。その際温度は、約40
℃まで上がってよい。温度を高めることにより、成分B)の導入を促進すること
ができる。
再生産性のために、導入は可能な限り完全に進行すべきであり、このことは、
40℃を上回る温度で、数時間以内に達成される。A)及びB)から得られた混
合物の粘度は、時間的に一定である。
反応は通常、溶剤を用いずに実施されるが、固体のジ−及び/又はポリアミン
B)を溶液として配量導入するために溶剤を使用することもできる。溶剤はマイ
ケル−付加を行った後に除去することができる。
付加反応の際に不所望な重合が生じないように、反応混合物に第1工程で通常
、重合抑制剤を添加する。好適な重合抑制剤には、公知の製品、例えば置換され
たフェノール、例えば2,6−ジ−t−ブチル−p−
クレゾール、ヒドロキノン、例えばメチルヒドロキノン、及びチオエーテル、例
えばチオジグリコール又はフェノチアジンが該当する。
本発明方法の第2工程では、第1工程で製造された成分A)及びB)からなる
混合物を、殊に3級アミノ基を少なくとも1種の酸を用いて攪拌下に、有利には
室温で中和することにより、水希釈可能な形に移行する。酸を水溶液の形で使用
するのが有利である。
塩基性基を中和するために好適な酸は例えば、有機酸、例えば乳酸、酢酸又は
ギ酸、又は鉱酸、例えばリン酸又は有利には塩酸である。
本発明方法の第3工程は、工程1及び2で製造された水溶性塗料を水性相に変
え、かつ攪拌下、有利に室温で水を用いて所望の適用粘度に調節することを包含
する。生じた水性放射線硬化性塗料の調節されるべき適用粘度は通常、それぞれ
の適用に依存している。噴霧塗料の場合の低い粘度も、同様に塗料をローラー塗
布するために必要なより高い粘度も実現可能である。
本発明の方法の1つの変法では、工程2(成分Bのアミノ基を中和)及び工程
3(工程1及び工程2で製造された水溶性塗料を水性相に変え、並びに水を用い
て所望の適用粘度に調節)を水を用いての酸の適当な希釈液を使用することによ
り1つの工程にまとめる。
本発明のもう1つの実施態様では、第1工程で成分B)を前塗料A)の成分(
a)〜(d)の全量に対し
て、0.2〜5重量%、有利に1〜3重量%の割合で、成分(a)〜(d)から
なる前塗料A)の処方の際に既に添加する。
この変成された第1工程には既に記載した工程2(成分Bの3級アミノ基を中
和)及び工程3(工程1及び工程2で製造された水溶性塗料を水性相に変え、並
びに水を用いて所望の適用粘度に調節)が続く。前記のように、工程2及び3は
この場合にも1つの工程にまとめることができる。
本発明の方法で製造された水性放射線硬化性塗料の使用
本発明の方法で製造された水性放射線硬化性塗料は、噴霧、ローラ、流し塗布
、浸漬、ドクタ、刷け塗り、注型又はバクメート塗布(Vakumat-Applikation)に
より、基材、有利にガラス、木材上に、木工製品又は紙上に施与することができ
る。
塗膜の硬化を、施与の直後に、又は存在する水の蒸発後にUV−又は放射線に
より行う。この硬化法のための装置及び条件は、文献から公知であり(例えば、
R.Holmes、U.V.and E.B.Curing Formulations for Printing Inks、Coatings and
Paints, SITA-Technology,Academic Press、London,Uneited Kingdom 1984、
79〜111頁参照)、かつ更なる記載は必要ではない。
本発明の方法で製造された塗料は、印刷用インキと
しても好適である。
本発明の方法により製造された放射線硬化性塗料は、際立った貯蔵安定性を有
する。これは、均一で、良好な放射線硬化性を有し、かつ放射線硬化後に、優れ
た特性を有する塗膜をもたらす。
本発明の水性塗料は特に、ガラス、木材、紙、プラスチック又は全ての種類の
下塗りされた基材上の上塗り塗料として有利であり、かつ殊にガラス、木材、紙
及びプラスチック用の下塗り処方物としても殊に使用することができる。
次で本発明を実施例に基づき詳述する。部は特に記載の無い限り重量部を示す
。
例:
例1:水非相容性前塗料A)からの水相容性無光沢塗料の製造
水非相容性前塗料A1)を、次の成分を混合することにより製造する:
(a):ポリエーテルアクリレート(LaromaerRP033F、BASF AG社)
58.00部、
(b):艶消し剤として、Grace社の層状ケイ酸塩SyloidRED50 1
2.00部
(c):ベンゾフェノン(IrgacureR500、Ciba社) 3.00部並び
に
(d):表面助剤(Lanco WaxR1362D、Langer
&Co.社) 2.00部
消泡剤(BykR022、Byk社) 0.30部及び
消泡剤(BykR024、Byk社) 0.30部。
水非相容性前塗料A1)の製造に引き続き、第1工程で、先ずN,N−ジメチ
ル−1,3−ジアミノプロパン2.00部を成分B)として添加し、次いで、室
温で3時間攪拌する。1つの工程にまとめられた工程2及び3で引き続き、3%
塩酸水溶液24.40部を添加する。
均一な塗料が生じ、これは施与されると均一な被覆をもたらす。PVC−基材
(ポリビニルクロリド)上の例1に記載の塗料での12マイクロメーター厚の被
覆の光度は、60度の角度でのDIN67530では10単位である。
比較例1:成分B)の添加により水相容性を生じさせずに3%塩酸水溶液中へ
水非相容性前塗料A1)を分散
先ず、例1の記載により水非相容性前塗料A1)を製造し、引き続きこれに3
%塩酸水溶液26.40部を添加する。不均一な塗料が生じ、これは施与すると
、不均一な被覆をもたらす。PVC−基材(ポリビニルクロリド)上の比較例1
に記載の塗料での12マイクロメーター厚の被覆の光度は、60度の角度でのD
IN67530では40〜60単位である(不均一)。
例2:水非相容性前塗料A2)からの水相容性シルクマット塗料の製造
水非相容性前塗料A2)を次の成分を混合することにより製造する:
(a):ポリエーテルアクリレート(LaromaerRP083F、BASF AG社)
64.00部、
(b):艶消し剤として、Grace社の層状ケイ酸塩SyloidRED50 6
.00部
(c):ベンゾフェノン(IrgacureR500、Ciba社) 3.00部
(d):表面助剤(Lanco WaxR1362D、Langer& Co.社) 1.0
0部及び
消泡剤(BykR325、Byk社) 1.00部。
水非相容性前塗料A2)の製造に引き続き、第1工程で、先ずN,N−ジメチ
ル−1,3−ジアミノプロパン2.50部を成分B)として添加し、次いで40
℃で3時間攪拌する。1つにまとめた工程2及び3で、引き続き3%塩酸水溶液
25.00部を添加する。
均一な塗料が生じ、これは施与すると均一な被覆をもたらす。PVC−基材(
ポリビニルクロリド)上の例2に記載の塗料での12マイクロメーター厚の被覆
の光度は、60度の角度でのDIN67530では2
8単位である。
比較例2:成分B)の添加により水相容性を生じさせずに3%塩酸水溶液中へ
水非相容性前塗料A2)を分散
先ず、例1の記載により水非相容性前塗料A2)を製造し、引き続きこれに3
%塩酸水溶液27.50部を添加する。不均一で、薄片状の塗料が生じ、これは
施与すると、不均一な被覆をもたらす。PVC−基材上の比較例2に記載の塗料
での12マイクロメーター厚の被覆の光度は、60度の角度でのDIN6753
0では75単位である(不均一)。
例3:水非相容性前塗料A3)からの水相容性光沢塗料の製造
水非相容性前塗料A3)を次の成分を混合することにより製造する:
(a):ポリエーテルアクリレート(LaromaerRP084F、BASF AG社)
70.00部、
(c):ベンゾフェノン(IrgacureR500、Ciba社) 4.00部
(d):表面助剤(Lanco WaxR1362D、Langer&Co.社) 1.00
部及び
消泡剤(BykR325、Byk社) 1.00
部。
水非相容性前塗料A3)の製造に引き続き、第1工程で、先ずN,N−ジメチ
ル−1,3−ジアミノプロ
パン2.50部を成分B)として添加し、次いで40℃で3時間攪拌する。1つ
にまとめた工程2及び3で、引き続き3%塩酸水溶液24.00部を添加する。
均一な塗料が生じ、これは施与すると均一な被覆をもたらす。PVC−基材(
ポリビニルクロリド)上の例3に記載の塗料での12マイクロメーター厚の被覆
の光度は、60度の角度でのDIN6753Oでは78単位である。
比較例3:成分B)の添加により水相容性を生じさせずに3%塩酸水溶液中へ
水非相容性前塗料A3)を分散
先ず、例3の記載により水非相容性前塗料A3)を製造し、引き続きこれに3
%塩酸水溶液26.50部を添加する。不均一な塗料が生じ、これは施与すると
、不均一な被覆をもたらす。PVC−基材上の比較例3に記載の塗料での12マ
イクロメーター厚の被覆の光度は、60度の角度でのDIN67530では72
単位である(不均一)。
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(72)発明者 カール―ハインツ ディッカーホフ
ドイツ連邦共和国 ドレンシュタインフル
ト ガルテンヴェーク 26
(72)発明者 ヨルゲ プリート
ドイツ連邦共和国 ミュンスター ローゼ
ンエック 9