JP2000501816A - 内燃機関 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 燃料直接噴射と火花点火とを行う内燃機関、特に自動車のための内燃機関は、シリンダヘッド（１１）と、シリンダ孔（１２）内を摺動可能な往復ピストン（１４）との間で閉じられた少なくとも１つの燃焼室（１０）を有しており、該燃焼室（１０）が、空気吸入のための少なくとも１つの吸気弁（１５）によって閉鎖可能である。燃料を直接噴射する際に、混合気の確実な燃焼を保証する、混合気形成の十分な均質性を得るために、前記燃焼室（１０）の手前の上端部に、該燃焼室（１０）に向かって開かれた室（１７）が前置されていて、該室（１７）が、前記燃焼室（１０）に比べて著しく小さい、燃焼室に向かって連続的に拡大する内径横断面を有している。噴射と点火は前記室（１７）において行われる。

Description

【発明の詳細な説明】 内燃機関 背景技術 本発明は、請求項１の上位概念で述べた形式の、燃料直接噴射と火花点火とを 行う内燃機関、特に自動車のための内燃機関に関する。 このような内燃機関では、燃料直接噴射、即ち燃料の燃焼室への直接噴射及び 、純粋な空気の吸気弁を介した吸気は、アイドリング時及び少なくとも下方の部 分負荷時において絞り制御しないことにより燃料消費量を著しく削減するという 目的で行われる。このためには、燃焼室内には、一方では良好に点火可能で燃焼 可能な均質な燃料・空気混合物から成る、他方ではできるだけ純粋な空気から成 る層状給気が必要である。 しかしながらこれまでの直接噴射機構では、燃焼室において著しく不安定で場所 に依存した混合気形成が行われる。 混合気雲内における不均質性という一般的な問題を回避するために公知の内燃 機関では、燃料・空気混合物を燃焼室に送り込むということに移行してきた（ド イツ連邦共和国特許出願公開第３９２００８９号明細書参照）。この場合は、燃 料・空気混合物のための噴射ノズルと、シリンダヘッドに配置されている所属の 点火プラグとは以下のように互いに配属されている。 即ち、噴射ノズルが、点火プラグの、燃焼室内に突入する両点火電極の間の、点 火火花が形成される空間に向けられていて、噴射ノズルの噴射方向でこれらの電 極の後方に燃焼室の中心が位置しているように互いに配属されている。 発明の効果 請求項１の特徴部に記載の形式の本発明による内燃機関は、純粋な燃料の直接 噴射を維持しながら、点火までに十分に均質な混合気を形成することができ、こ れにより確実な燃焼が保証されるという利点を有する。この場合、アイドリング から部分負荷への、及び部分負荷から全負荷への特に良好な移行特性が得られる 。同時に、均質な希薄運転時又は排ガス戻し案内を行う運転時における火炎コア の形成という問題を特に克服するという利点も有する。 別の請求項に記載された構成によれば、請求項１で記載された内燃機関の有利 な構成及び改良が可能である。 本発明の有利な構成によれば、室が鐘形に形成されていて、該室の体積が、往 復ピストンの上死点において存在する最小の燃焼室体積の約３０〜５０％である 。これによれば、アイドリングから出発して負荷が増加するにつれて、鐘頭部の 方向で徐々に増加する室の体積領域が均質で燃焼可能な混合物で満たされる。 本発明の有利な構成によれば、往復ピストンの、燃焼室を制限する端面に、対 称的な凹部が一体成形されていて、該凹部が、室の鐘形形状を、燃焼室とともに １つの洋なし形状になるように補完する。この凹部により、互いに向かい合って 位置する往復ピストンの端面とシリンダ壁との間に、下死点から上死点への往復 ピストンの上昇行程時に、圧搾ギャップが形成され、この圧搾ギャップを通って 規定された空気が室内に流入し、混合調整が助成される。 本発明の別の構成によれば、燃料噴射が、燃料と空気との混合が、アイドリン グ時及び下方の部分負荷時には室において、上方の部分負荷時及び全負荷時には 室及び燃焼室において行われるように制御されている。噴射時間窓の規定により 、噴射時期までの混合均質性が影響され、混合気の構成が、室で行われるように 、又は室及び燃焼室で行われるように、そしてその場所で層状給気又は均質な混 合が行われるように制御される。この噴射窓は、噴射時期と同様に、内燃機関の 負荷と回転数とに応じて特性マップによって制御可能であるか、又は燃焼室から の「フィード・バック」を介して、燃焼室圧力センサによって制御可能である。 本発明の有利な構成では、アイドリング時及び下方の部分負荷時には、往復ピ ストンがほぼ下死点に位置してる際に、相応に小さな燃料量が噴射されて、上方 の部分負荷時及び全負荷時には、往復ピストンが吸気 行程でその上死点から下降運動をする際に、相応に大きな燃料量が噴射されるよ うに、噴射時間窓の制御が行われる。本発明により設けられた室によれば、アイ ドリング時及び下方の部分負荷時には、一方では約１８０度のクランクシャフト 角度にわたる混合気形成の均質性が得られ、他方では燃焼室における燃料と残り の空気との広い混合が回避されるような層状給気が得られる。これに対し上方の 部分負荷及び全負荷時には、室からの燃料は燃焼室充填物と３６０度のクランク シャフト角度にわたって混合され、噴射時点までに十分に均質に混合される。 このような特性は、本発明の別の構成によれば、噴射ノズルが、噴射噴流の到 達距離及び／又は横断面を調節可能であるように形成されているならば助成され る。アイドリング時及び下方の部分負荷時には、噴射噴流が短い到達距離でかつ 広い横断面であるように調節され、上方の部分負荷時及び全負荷時には、噴射噴 流が長い到達距離でかつ狭い横断面であるように調節されている。 本発明の有利な構成によれば、燃料噴射と点火のために必要な噴射ノズルと、 点火電極を有した点火プラグとがシリンダヘッドに配置されていて、互いに相対 的に、室内に突入する点火プラグの点火電極が、噴射ノズルの噴射噴流の外側に 位置するように配置されている。これにより燃料噴射時に、点火プラグに噴射さ れることがなく、従って点火プラグの外側絶縁部及び電極に対す熱衝撃が生じず 、外側絶縁部上の堆積物も形成されない。これにより点火プラグの耐用期間は延 びる。 本発明の選択的な構成によれば、点火プラグと噴射ノズルとが１つの構成ユニ ットにまとめられていて、該構成ユニットが交換可能にシリンダヘッドに装着さ れていてもよいし、それぞれシリンダヘッドに設けられた孔に別個に装着されて もよい。点火プラグと噴射ノズルのこのような配置は、双軸的又は同軸的に行わ れ、同軸的に配置されている場合は、噴射ノズルの噴射開口は中央に位置してい る。 図面 次に図面につき本発明の実施例を詳しく説明する。 第１図は、燃料直接噴射と火花点火とを行う内燃機関のエンジンブロックの部 分縦断面図、 第２図及び第３図は、第２実施例及び第３実施例を示した第１図と同様の図で ある。 実施例の説明 第１図に概略的に縦断面図で示した、燃料直接噴射及び火花点火を行う自動車 のための内燃機関は、燃焼室１０を有している。この燃焼室１０は、シリンダヘ ッド１１と、エンジンブロック１３のシリンダ孔１２内で摺動可能な往復ピスト ン１４との間で閉じられている。往復ピストン１４は内燃機関の運転中に、シリ ンダ孔１２内において、下死点及び上死点の間で上昇・下降運動を行う。この往 復ピストン１４は、コンロッド（図示せず）を介してクランクシャフト（図示せ ず）に連結されている。シリンダヘッド１１には、少なくとも１つの吸気弁１５ と少なくとも１つの排気弁１６とが、内燃機関のガス交換を制御するために設け られている。吸気弁１５は吸気管に接続されていて、排気弁１６は排ガス装置に 接続されている。燃焼室１０の手前には室１７が前置されていて、この室１７は シリンダヘッド１１に線対称に加工成形されている。 弁１５，１６の間で真中に配置された室１７の内径横断面は、シリンダ孔１２の 内径横断面よりも著しく小さく、燃焼室１０に向かって徐々に拡径している。有 利には室１７は鐘形に形成されていて、これにより、室１７の内径横断面が鐘底 部１７１又は鐘ヘッドを起点とし鐘開口部にまで連続的に拡径することが保証さ れる。 シリンダヘッド１１には、電磁石によって制御される燃料噴射のための噴射ノ ズル１８が、その噴射開口１９が室１７の鐘底部１７１で開口するように装着さ れている。シリンダヘッド１１にはさらに点火プラグ２０が、その両点火電極２ ０１，２０２が室１７内に突入するように装着されている。噴射ノズル１８と点 火プラグ２０とは双軸的に配置されていて、この場合、両軸線は互いに、両点火 電極２０１，２０２が、噴 射ノズル１８によって室１７内に噴射される噴射噴流２１の外側に位置するよう に傾けられている。噴射ノズル１８の軸線と点火プラグ２０の軸線との正確な配 向を保証するために、噴射ノズル１８と点火プラグ２０とはねじ込みヘッド２２ によって１つの構成ユニットにまとめられていて、共通してこのねじ込みヘッド ２２を、シリンダヘッド１１に設けられた対応するねじ山付き孔２３にねじ込む 又は対応するねじ山付き孔２３からねじ外すだけで両者を交換することができる 。鐘形の室１７の体積は、往復ピストン１４の上死点において存在する最小の燃 焼室体積の約３０〜５０％である。このような鐘形の室体積は、往復ピストン１ ４の端面にほぼ対称的に加工成形された凹部２４によって洋なし形になるように 補完される。往復ピストン１４の下死点から、第１図に示した上死点への上昇運 動時に、往復ピストン１４とシリンダヘッド１１の互いに向かい合って位置する 端面の間に、圧搾ギャップ２５が形成される。この圧搾ギャップ２５を通って規 定された空気が室１７内に流入し、混合調整を助成する。この混合調整は、室１ ７内に配置された、渦流の強さを高める渦流エッジ２６によって改善される。 内燃機関の運転中に、制御装置（図示せず）によって噴射ノズル１８を用いて 噴射時間窓が生ぜしめられる。この噴射時間窓によって、混合気の形成が、アイ ドリング又は下方の部分負荷のために所望されるよう に、層状給気を行う室１７内のみで行われるか、又は、上方の部分負荷時及び全 負荷時に所望されるように、均質な混合気を形成する燃焼室１０内全体で行われ るかが制御される。噴射時間窓の選択は、点火プラグ２０による点火時期の決定 とは無関係に行うことができる。 この時間窓によって、アイドリング時及び下方の部分負荷時には、往復ピスト ン１４がほぼ下死点に位置する際に相応に小さい燃料量が噴射される。既に述べ たように、噴射は室１７内に行われ、この場合点火プラグ２０には噴射されない 。圧縮行程時、即ち往復ピストン１４が下死点から上死点へと運動する際に、吸 い込まれた渦流空気が室１７内に流入し、良好に点火され得る均質な混合気が室 １７の内側にだけ形成される。 上方の負荷及び全負荷時には、吸気行程、即ち往復ピストン１４の下降運動時 に既に、相応に大きな燃料量が噴射されるので、この燃料は室１７から外へ燃焼 室充填物と、クランクシャフト角度約３６０゜にわたって点火時期までにほぼ均 質に混合される。均質なリーンバーン運転又は排ガス戻し案内が行われる運転時 には、付加的に再度僅かな燃料量が、往復ピストン１４の下死点領域において噴 射されて、これにより点火時点には室１７内に、ほぼ化学量論的な混合気が存在 している。これにより、良好に燃焼し得る混合気から 成る薄い層が室１７内で、極めて希薄な混合気が燃焼室１０内で得られ、室１７ 内で広がる十分なエネルギの火花の前部が、燃焼室１０内の希薄な混合気を確実 に点火することができるという利点が得られる。 付加的に噴射ノズル１８が、その噴射噴流の到達距離及び／又は横断面が制御 可能であるように形成されていると有利である。これによりアイドリング時及び 下方の部分負荷時には短い到達距離及び広い横断面を有した噴射噴流が調節され て、上方の部分負荷時及び全負荷時には大きい到達距離及び狭い横断面を有した 噴射噴流が調節される。 図２に部分的に縦断面図で示した内燃機関は、上述の内燃機関と比べて僅かに 変更されている。この場合、噴射ノズル１８と点火プラグ２０とは１つの組付け 構成ユニットにはまとめられておらず、別個にシリンダヘッド１１に装着されて いる。さらに往復ピストン１４は、摺動運動方向に対して直角に配向された、燃 焼室１０を制限するための扁平な端面を有しており、燃焼室１０を制限する端面 における凹部の形成は省略されている。その他の点では、第１図に対して記載し た内燃機関の構成及び作用形式と一致する。 部分的に断面して部分を示した第３図の内燃機関では、噴射ノズル１８と点火 プラグ２０とが同軸的に配置できることが詳しく示されている。この場合、これ らは１つの構成ユニットを形成している。噴射ノズル １８の噴射開口１９は中央に配置されていて、点火プラグ２０は、中央電極２０ ３しか支持していない。点火は室１７の壁に向かって、従ってやはり、中央の噴 射開口１９を起点とする噴射噴流２１の外側で行われる。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号 ＦＩ テーマコート゛(参考） Ｆ０２Ｄ 41/08 ３３５ Ｆ０２Ｄ 41/08 ３３５ 41/34 41/34 Ｈ Ｆ０２Ｍ 61/14 ３１０ Ｆ０２Ｍ 61/14 ３１０Ｐ ３１０Ｓ 61/18 ３６０ 61/18 ３６０Ｊ (72)発明者 マティアス キューゼル ドイツ連邦共和国 Ｄ−70806 コルンヴ ェストハイム アルディンガー シュトラ ーセ 28

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １. 燃料直接噴射と火花点火とを行う内燃機関、特に自動車のための内燃機関 であって、シリンダヘッド（１１）と、シリンダ孔（１２）内を摺動可能な往復 ピストン（１４）との間で閉じられた少なくとも１つの燃焼室（１０）を有して おり、該燃焼室（１０）が、空気吸入のための少なくとも１つの吸気弁（１５） によって閉鎖可能である形式のものにおいて、 前記燃焼室（１０）の手前の上端部に、該燃焼室（１０）に向かって開か れた室（１７）が前置されていて、該室（１７）が、前記燃焼室（１０）に比べ て著しく小さい、燃焼室に向かって連続的に拡大する内径横断面を有しており、 前記室（１７）において噴射と点火が行われることを特徴とする内燃機関。 ２. 室（１７）が鐘形に形成されていて、該室（１７）の体積が、往復ピスト ン（１４）の上死点において存在する最小の燃焼室体積の約３０〜５０％である 、請求項１記載の内燃機関。 ３. 室（１７）がシリンダヘッド（１１）に形成されている、請求項１又は２ 記載の内燃機関。 ４. 往復ピストン（１４）の、燃焼室（１０）を制限する端面に、ほぼ対称的 な凹部（２４）が真中に一 体成形されていて、該凹部（２４）が、室（１７）の鐘形形状を、燃焼室（１０ ）とともに１つの洋なし形状になるように補完する、請求項１から３までのいず れか１項記載の内燃機関。 ５. 室（１７）に、燃料及び空気の渦流を形成するための渦流エッジ（２６） が設けられている、請求項１から４までのいずれか１項記載の内燃機関。 ６. 燃料噴射が、燃料と空気との混合が、アイドリング時及び下方の部分負荷 時には室（１７）において行われ、上方の部分負荷時及び全負荷時には室（１７ ）及び燃焼室（１０）において行われるように制御されている、請求項１から５ までのいずれか１項記載の内燃機関。 ７. アイドリング時及び下方の部分負荷時には、往復ピストン（１４）がほぼ 下死点に位置してる際に、相応に小さな燃料量が噴射されて、上方の部分負荷時 及び全負荷時には、往復ピストン（１４）が吸気行程でその上死点から下降運動 をする際に、相応に大きな燃料量が噴射される、請求項６記載の内燃機関。 ８. 上方の部分負荷時及び全負荷時に、均質な希薄運転が行われる際、又は排 ガス戻し案内を行う運転が行われる際に、往復ピストン（１４）がほぼ下死点に 位置している時にさらに別の僅かな燃料量が噴射される、請求項７記載の内燃機 関。 ９. 請求項１から８までのいずれか１項記載の内燃機関であって、燃料噴射の ための噴射ノズル（１８）と、点火のための、点火電極（２０１，２０２）を有 した点火プラグ（２０）とを備えていて、これら噴射ノズル（１８）と点火プラ グ（２０）とが、シリンダヘッド（１１）に配置されている形式のものにおいて 、 点火プラグ（２０）と噴射ノズル（１８）とが、室（１７）内に突入する 前記点火電極（２０１，２０２）が、噴射ノズル（１８）の噴射噴流（２１）の 外側に位置するように配向されていることを特徴とする、請求項１から８までの いずれか１項記載の内燃機関。 10．点火プラグ（２０）と噴射ノズル（１８）とが１つの構成ユニット（２２） にまとめられていて、該構成ユニット（２２）が交換可能にシリンダヘッド（１ １）に装着されている、請求項９記載の内燃機関。 11．点火プラグ（２０）と噴射ノズル（１８）とが、双軸的又は同軸的に配置さ れている、請求項９又は１０記載の内燃機関。 12．点火プラグ（２０）と噴射ノズル（１８）とが同軸的に配置されている場合 に、噴射ノズル（１８）の噴射開口（１９）が中央に配置されている、請求項１ １記載の内燃機関。 13．噴射ノズル（１８）が、噴射噴流（２１）の到達距離及び／又は横断面を制 御可能であるように形成されており、アイドリング時及び下方の部分負荷時には 、噴射噴流（２１）が短い到達距離でかつ広い横断面であるように調節されて、 上方の部分負荷時及び全負荷時には、噴射噴流（２１）が長い到達距離でかつ狭 い横断面であるように調節されている、請求項９から１２までのいずれか１項記 載の内燃機関。