JP2000356477A - 溶解炉の炉体傾動角度検出装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 炉体傾動動作及び停止時に発生する慣性力、
衝撃等により生じる重錘の慣性力による検出器部でのチ
ャタリング現象を防止し、また操業状態に応じた炉体の
傾動速度に於いても確実な角度検出が可能となる炉体傾
動角度検出器を提供する。 【解決手段】 金属材料の溶解、溶融金属の精錬等に使
用される溶解炉の一方側に溶解炉内の溶湯を出湯する出
湯樋を設け、該出湯樋から前記溶解炉を傾動させて前記
溶湯を出湯する溶解炉において、該溶解炉の他方側に流
体１０を貯留したケーシング６を配設し、該ケーシング
６に回転軸８を貫通させ、該回転軸８の一端でかつ、前
記ケーシング６の流体１０内に浸漬するように重鎮９を
設けたことを特徴とする溶解炉の炉体傾動角度検出装置
５。２は傾動床、１１は検出器、１２は回転板である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はスクラップ等の金属
材料の溶解、溶融金属の精錬等に使用される溶解炉の炉
体傾動角度検出装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】精錬用の電気炉は、上部に設けられた電
極間、あるいは上部と炉底に設けられた電極間に電流を
流し金属を溶融し、溶融金属の精錬を行なう、交流及び
直流電気炉が知られている。このような電気炉において
近年出鋼の方式として炉底出鋼方式が採用され、その中
でも出鋼口を炉心より偏心した位置で炉底の最深部より
一段高い位置に設けてある偏心炉底出鋼方式が多く採用
されている。

【０００３】この方式の場合、出鋼口からの溶鋼鍋内へ
のスラグの巻き込みを防止するため、出鋼開始時に出鋼
口上面まで溶鋼がくるように、また操業中に於いても常
に出鋼口上面に溶鋼がある状態となっている。特に出鋼
完了時における溶鋼鍋内へのスラグの巻き込み防止対策
として、出鋼完了後に炉体を高速にて正立状態へ戻す高
速後傾が最近の操業方法として採用されている。

【０００４】従来の溶解炉における炉体傾動角度の検出
方法として、例えば、実開昭５３−５１４０６号公報に
示されているように炉体側壁に中心軸を介し回転自在に
装着し、且つ重錘によって常時一定位置を保持する如く
装着した可動板周縁の接点に作動させる如くして、炉体
を前傾、水平及び後傾の所定位置に停止させるようにし
た装置が採用されている。

【０００５】図６は従来の溶解炉における炉体傾動角度
検出装置５の構造を示す断面図である。炉体傾動角度の
検出方法としては、傾動床２上に取付けられたケーシン
グ６を介し、回転軸８を中心にし回転自由に支持された
重錘９が炉体の傾動角度に応じた動きを行なうことを利
用し、検出器１１にて検出する構成となっている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところが重錘式の検出
器では操業時の炉体傾動動作及び停止時に発生する慣性
力、衝撃等により生じる重錘の慣性力により、検出器部
でのチャタリング現象が発生し正確な位置検出が可能と
なるまでにタイムロスが生じる問題があった。

【０００７】また、本検出器からの信号を炉体傾動制御
に使用していることから、炉体傾動停止時のシャクリ現
象が発生していた。また、前記のような理由により炉体
の後傾速度に制約があり、出鋼完了時における溶鋼鍋内
へのスラグの巻き込み防止及び電気炉の安定操業の面で
大きな問題となっていた。

【０００８】本発明は、このような現状に鑑み、従来の
重錘式の問題点であった炉体傾動動作及び停止時に発生
する慣性力、衝撃等により生じる重錘の慣性力による検
出器部でのチャタリング現象を防止し、また操業状態に
応じた炉体の傾動速度に於いても確実な角度検出が可能
となる炉体傾動角度検出器を供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】その目的を達成するため
の手段としてその要旨とするところは、金属材料の溶
解、溶融金属の精錬等に使用される溶解炉の一方側に溶
解炉内の溶湯を出湯する出湯樋を設け、該出湯樋から前
記溶解炉を傾動させて前記溶湯を出湯する溶解炉におい
て、該溶解炉の他方側に流体１０を貯留したケーシング
６を配設し、該ケーシング６に回転軸８を貫通させ、該
回転軸８の一端でかつ、前記ケーシング６の流体１０内
に浸漬するように重鎮９を設けたことを特徴とする溶解
炉の炉体傾動角度検出装置５にある。

【００１０】

【発明の実施の形態】本発明による実施の形態について
記述する。

【００１１】図５は本発明の炉体傾動角度検出装置５を
電気炉に取付けた断面図である。電気炉の炉体１は傾動
床２上に支持され取付けられており、傾動床２は炉体１
内の溶鋼を出鋼するため、傾動床２下部に設置している
軌道３上を転動可能なように構成され、一端は油圧シリ
ンダー４で保持されている。該傾動床２は通常操業時に
おいては出鋼側に３０°、後傾側に５°程度の傾動動作
が前記油圧シリンダー４によって行なわれる。通常、本
発明の炉体傾動角度検出装置５は、該傾動床２上に設置
される。

【００１２】図１は本発明の断面図であり、傾動床２上
に固定されたケーシング６より軸受７を介して回転自由
に支持された回転軸８の一端に重錘９を設け、該ケーシ
ング６内に配されており、該ケーシング６内には流体１
０を回転軸の貫通部近傍まで満しており、流体１０は低
粘性の油等を使用するが、これに替わるものでも使用可
能である。回転軸８のもう一方の端部には検出器１１を
作動させるための回転板１２が取付けられる。尚、ケー
シング６上部には流体１０の供給ノズル１４、ケーシン
グ６下部には流体１０を排出するための排出ノズル１５
を設け、各ノズルの先端にはバルブ１７を設置してい
る。

【００１３】電気炉操業に応じた傾動床２の傾動動作に
よりケーシング６内の重錘９も回転軸８を中心に傾動す
るが、この時、重錘９が持つ慣性力をケーシング６内の
流体１０の抵抗で抑制させることで、スムーズな重錘９
の動きが得られる。

【００１４】図２は図１の正面図でありケーシング６よ
り一端を取り出した回転軸８の先端には検出器１１を作
動させるための回転板１２が取付られており、傾動床２
の傾動動作に応じ、ケーシング６内の重錘９及び回転軸
８により連結された該回転板１２が回転軸８を中心に回
転移動する。回転板１２の外周にケーシング６側に固定
されている検出器１１を作動させるための、突起１３を
任意の位置に設けておくことで、電気炉操業において炉
体傾動制御に必要とされる傾動角度を精度良く検出出来
ることになる。

【００１５】図３は炉体１が正立位置より（α°）傾動
した状態におけるケーシング６内の重錘９の状態を示す
図であり、ケーシング６内の重錘９は正立の状態より
（α°）角度移動をした状態で停止する。ケーシング６
の側面にはケーシング６内の流体１０のレベルを外部よ
り確認出来るよう確認窓１６を設けている。（α°）に
おける位置を検出する場合には図４に示すようにケーシ
ング６側に固定された検出器１１を回転板１２の外周に
設けられた突起１３で作動させることで可能となる。

【００１６】尚、本発明は前記実施例にのみ限定される
ものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り種々変更
を加え得ることは勿論である。

【００１７】

【発明の効果】以上、説明したように本発明の溶解炉に
おける炉体傾動角度検出装置によれば （１）操業時の炉体傾動動作及び停止時に発生する慣性
力、衝撃等により生じる重錘の慣性力をケーシング内の
流体抵抗で抑制することで、重錘を安定状態とさせるこ
とが可能であり、炉体傾動制御に必要とされる傾動角度
を精度良く検出出来ることになる。また従来重錘の不安
定な動きが原因で発生していた炉体傾動停止時のシャク
リ現象が解消されることになる。 （２）炉体傾動制御に必要とされる傾動角度を精度良く
検出出来ることによって電気炉の安定操業が可能とな
る。また炉体の後傾速度を速くすることができるため、
出鋼完了時における溶鋼鍋内へのスラグの巻き込み防止
対策として効果的である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の断面図を示す。

【図２】図１の正面図を示す。

【図３】傾動床が（α°）傾動した状態における重錘の
状態を示す図。

【図４】検出部の構造を示す図。

【図５】本発明の炉体傾動角度検出装置を電気炉に取付
けた断面図。

【図６】従来の溶解炉における炉体傾動角度検出装置の
構造を示す断面図。

【符号の説明】

１ 炉体 ２ 傾動床 ３ 軌道 ４ 油圧シリンダー ５ 傾動角度検出装置 ６ ケーシング ７ 軸受 ８ 回転軸 ９ 重錘 １０ 流体 １１ 検出器 １２ 回転板 １３ 突起 １４ 供給ノズル １５ 排出ノズル １６ 確認窓 １７ バルブ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 金属材料の溶解、溶融金属の精錬等に使
   用される溶解炉の一方側に溶解炉内の溶湯を出湯する出
   湯樋を設け、該出湯樋から前記溶解炉を傾動させて前記
   溶湯を出湯する溶解炉において、該溶解炉の他方側に流
   体を貯留したケーシングを配設し、該ケーシングに回転
   軸を貫通させ、該回転軸の一端でかつ、前記ケーシング
   の流体内に浸漬するように重鎮を設けたことを特徴とす
   る溶解炉の炉体傾動角度検出装置。