JP2000354843A - 重金属類を含む固体の処理方法および処理システム - Google Patents

重金属類を含む固体の処理方法および処理システム

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JP2000354843A
JP2000354843A JP11169785A JP16978599A JP2000354843A JP 2000354843 A JP2000354843 A JP 2000354843A JP 11169785 A JP11169785 A JP 11169785A JP 16978599 A JP16978599 A JP 16978599A JP 2000354843 A JP2000354843 A JP 2000354843A
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Minoru Uchida
内田  稔
Satoru Motohashi
哲 本橋
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Chiyoda Chemical Engineering and Construction Co Ltd
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Chiyoda Corp
Chiyoda Chemical Engineering and Construction Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 重金属類を含む固体を無害化処理するに際し
て、大規模な処理設備を要すること無く、確実に上記重
金属類の分離回収を行なうことができる重金属類を含む
固体の処理方法および処理システムを提供する。 【解決手段】 固体を、pHが2.0〜6.0の範囲に
保持された酸性水溶液Rと接触させて、当該固体中の上
記重金属類を酸抽出によって酸性水溶液R中に移行させ
る重金属抽出工程と、この重金属抽出工程を経た固体を
含む酸性水溶液を、固液分離手段8によって固体を含む
スラリーまたはケーキと、重金属類を含む液体分とに固
液分離する重金属類の分離工程とを有し、かつ、上記重
金属抽出工程を、酸性水溶液R中に供給ライン30から
酸素含有気体をばっ気しつつ行なうことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、廃棄物焼却設備等
の各種燃焼設備から排出された飛灰や、汚染土壌等の、
重金属類を含む固体から当該重金属類を分離して安定化
処理するための重金属類を含む固体の処理方法および処
理システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般廃棄物や産業廃棄物の焼却設備にお
いては、排ガス中に、亜鉛、鉛等の重金属類を含む飛灰
が存在しており、当該飛灰は、排ガスを無害化処理する
ための排煙システムにおいて、電気集塵機やバグフィル
タによって捕集されることにより、上記排ガスから除去
されている。また、上記排ガスを無害化処理するための
排ガス処理設備においては、湿式洗煙塔や煙突等におけ
る堆積物を含む固形物、さらには冷却水槽周辺の土壌と
いった、様々な形態の重金属類を含む廃棄物が発生する
虞がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような飛灰は、ケ
イ素、カルシウム、塩素等を主成分とし、これに亜鉛、
水銀、カドミウム、鉛、六価クロム等の低沸点重金属類
を含んでいる。この結果、上記飛灰を埋立て処分した場
合に、現在の地球環境規模で生じている酸性雨の影響を
受け、飛灰中に含まれる重金属類の溶出が生じる可能性
もあることから、近年における地球規模での環境保護の
要請に基づき、別途法令に定める厳しい排出基準に基づ
いて埋立て処理等することが義務付けられている。
【0004】そこで、このような重金属類を含む飛灰や
土壌等の固体の処理方法として、従来より溶融法、セメ
ント固化法、溶媒抽出法等の各種の安定化方法が提案さ
れているが、いずれも実施に際して大きな困難を伴った
り、あるいは経済性に劣る等の種々の問題点が有ること
から、未だ現実的な大規模な処理設備としての実施には
至っておらず、当該重金属類を確実に分離除去し得る技
術の開発が望まれている。
【0005】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たもので、重金属類を含む固体を無害化処理するに際し
て、大規模な処理設備を要すること無く、確実に上記重
金属類の分離回収を行なうことができる重金属類を含む
固体の処理方法および処理システムを提供することを目
的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の本発明
に係る重金属類を含む固体の処理方法は、重金属類を含
む固体から上記重金属類を分離処理するための処理方法
であって、上記固体を、pHが2.0〜6.0の範囲に
保持された酸性水溶液と接触させて、当該固体中の上記
重金属類を酸抽出によって酸性水溶液中に移行させる重
金属抽出工程と、この重金属抽出工程を経た固体を含む
酸性水溶液を、固体を含むスラリーまたはケーキと、重
金属類を含む液体分とに固液分離する重金属類の分離工
程とを有し、かつ、上記重金属抽出工程を、酸性水溶液
中に酸素含有気体をばっ気しつつ行なうことを特徴とす
るものである。
【0007】この際に、請求項2に記載の発明は、上記
重金属抽出工程における酸性水溶液の酸化還元電位を、
0.3V以上に保持することを特徴とするものである。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記
載の発明において固液分離した液体分にアルカリを添加
して中和し、さらにpHが7〜11の範囲に保持するこ
とにより液体分に含まれる重金属類を沈殿させる中和・
沈殿工程と、この中和・沈殿工程から排出されたスラリ
ーまたはケーキを固液分離して重金属類を回収する重金
属類の回収工程とを有することを特徴とするものであ
る。
【0008】さらに、請求項4に記載の発明は、請求項
1〜3のいずれかに記載の発明において、上記固体が、
一般廃棄物および/または産業廃棄物の焼却設備、焼却
灰、焼却飛灰の溶融設備もしくは熱分解ガス化溶融設備
で発生した排ガスに含まれる飛灰であることを特徴とす
るものである。
【0009】次いで、請求項5に記載の本発明に係る処
理システムは、重金属類を含む固体から上記重金属類を
分離処理するための処理システムであって、内部にpH
が2.0〜6.0の範囲に保持された酸性水溶液が貯留
され、供給された固体中の重金属類を酸性水溶液中に抽
出する抽出槽と、この抽出槽を経た固体を含む酸性水溶
液を固液分離する第1の固液分離手段とを有してなり、
かつ、上記抽出槽には、内部の酸性水溶液中に酸素含有
気体を導入する酸素含有気体の供給ラインが設けられて
いることを特徴とするものである。
【0010】ここで、請求項6に記載の発明は、上記第
1の固液分離手段によって固液分離した液体分にアルカ
リを添加して中和するとともに、上記液体分に含まれる
重金属類をpHが7〜11のアルカリ性水溶液中におい
て沈殿させる中和・沈殿槽と、この中和・沈殿槽から排
出されたスラリーまたはケーキを固液分離して重金属類
を回収する第2の固液分離手段とを有することを特徴と
するものである。
【0011】請求項1〜6のいずれかに記載の発明にお
いて、固体とは、廃棄物処理等に伴って発生する排ガス
中に含まれる飛灰や、上記排ガスを無害化処理するため
の排ガス処理設備等において発生する堆積物を含む固形
物、さらには重金属類を含む土壌などが包含される。さ
らに、上記飛灰とは、廃棄物の焼却自体によって排ガス
中に発生する煤塵や、廃棄物の焼却時に、排ガス中に含
まれる塩素成分を除去するために消石灰を吹き込むこと
によって発生する煤塵、焼却した後の燃焼灰や飛灰を溶
融処理する際に発生する煤塵、さらには燃焼焼却に限ら
ず、灰溶融および廃棄物の熱分解ガス化溶融等の溶融処
理において発生する煤塵等の総称である。
【0012】請求項1〜4のいずれかに記載の重金属類
を含む固体の処理方法によれば、重金属抽出工程におい
て、重金属類を含む固体を、酸抽出することによってこ
の固体に含まれていた重金属類を酸性水溶液中に溶解
し、上記固体から分離する。ここで、酸抽出に用いられ
る酸性水溶液としては、塩酸、硫酸、硝酸の水溶液また
はこれらの混合物が使用可能である。この際に、上記酸
抽出は、酸抽出液のpHが2.0〜6.0の範囲で行な
う。
【0013】上記酸抽出のpHを2.0〜6.0の範囲
に限定した理由は、これが2.0に満たないと、酸性度
が強くなり過ぎて、例えば上記飛灰のようにSiO2
主成分とする固体を処理するに際して、固体粒子のマト
リックス(SiO2 、Al23 等)が溶解され、固液
分離操作を困難にするとともに、排水系スラッジの発生
量の増大を招き、よって固体の安定化処理には不適当に
なるとともに、装置材料の腐蝕が激しくなって不適当で
あり、他方6.0を超えると効果的な酸抽出を行なうこ
とができなくなるからである。この際に、処理温度は、
20℃〜80℃の範囲であることが好ましい。
【0014】この重金属抽出工程において、上記範囲の
pHを有する酸性水溶液中において固体に含まれる銅、
鉛、亜鉛、カドミウム、水銀等の重金属類を抽出する場
合に、還元雰囲気であると上記重金属類の金属状態が安
定になってしまい、充分に酸性水溶液中に溶出させるこ
とができなくなる虞がある。そこで、本発明において
は、上記重金属抽出工程を、酸素含有気体をばっ気しつ
つ行なうことにより、酸化還元電位を酸化側に移行させ
る。すると、上記重金属類はイオンの状態で溶媒中にお
いて安定状態となり、上記酸性水溶液中における溶解度
が高くなる。この結果、固体に含まれる重金属類を、確
実に酸性水溶液中に抽出して、当該固体から分離するこ
とが可能になる。
【0015】これを、上記固体に含まれる主要な重金属
類について具体的に見ると、図2〜図5に示すように、
例えば酸性水溶液のpHが3である場合に、上記固体に
含まれる銅(Cu)については、酸化還元電位を0.3
V以上に保持すればCu2+が安定となり、鉛(Pb)に
ついては、酸化還元電位が−0.2V以上である場合に
Pb2+が安定となる。また、カドミウム(Cd)につい
ては、酸化還元電位を−0.5V以上に保持すればCd
2+が安定となり、亜鉛(Zn)については、酸化還元電
位が−0.8V以上である場合に、Zn2+が安定とな
る。したがって、請求項2に記載の発明のように、上記
重金属抽出工程における酸性水溶液の酸化還元電位を、
0.3V以上に保持すれば、飛灰等の一般的な固体に含
まれる主要な重金属類を確実に酸性水溶液中に溶解させ
ることができ、よって固体からの重金属類の分離効率を
大幅に向上させることが可能になる。
【0016】次いで、上記重金属抽出工程工程を経た固
体を含む酸性水溶液をシックナーやフィルタープレス等
の固液分離手段によって固液分離し、固体含有スラリー
またはケーキと、抽出された亜鉛、鉛、銅、カドミウム
等の重金属類を含む液体分とに分離する(重金属類の分
離工程)。これにより、上記固体に含まれる重金属類の
分離回収を高い効率で行なうことができる。
【0017】このようにして分離された重金属類を含む
液体分については、さらに請求項3に記載の発明のよう
に、pHが7〜11、より好ましくは8〜9に保持され
た中和・沈殿工程工程に送り、先ず上記液体分を中和し
て、さらに上記pHの中和剤中に保持する。すると、図
2〜図5に示すように、当該pHにおいては、液体分中
の重金属類はイオンの状態で溶媒中において安定にな
り、この結果上記重金属類の水酸化物、例えばCu(O
H)2 、Pb(OH)2 、Cd(OH)2 およびZn
(OH)2 等が生成して沈殿する。また、上記重金属類
の硫化物CuS、ZnSも、同様に沈殿する。次に、こ
の中和・沈殿工程から排出された重金属類を含むスラリ
ーを、固液分離手段によって固液分離し、重金属類を回
収する。
【0018】請求項1〜3のいずれかに記載の発明は、
重金属を含む土壌等や、各種の廃棄物処理設備から排出
される重金属類を含む飛灰等の、様々な固体の処理に適
用可能であるが、特に請求項4に記載の発明のように、
排出量が多く、よって安定的な飛灰処理が要請されてい
る一般廃棄物および/または産業廃棄物の焼却設備、熱
分解ガス化溶融設備並びに焼却灰、焼却飛灰の溶融設備
で発生した排ガスに含まれるものに適用した場合に、顕
著な効果を奏する。
【0019】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係る重金属類を
含む固体の処理システムを、焼却設備等から排出された
排ガスを無害化処理するに際して、電気集塵機やバグフ
ィルタにおいて捕集された重金属類を含む飛灰の安定化
処理に適用した一実施形態を示すものである。図1にお
いて、符号1は、上記飛灰の前処理を行なう洗浄槽であ
る。この洗浄槽1の後段には、洗浄槽1を経た固体と洗
浄液とを含むスラリーを固液分離する固液分離機2が設
けられ、この固液分離機2において分離された固体分
が、抽出槽3に送られるようになっている。
【0020】この抽出槽3は、隔壁によって分離された
複数(図では4)の槽3a〜3dによって構成されてお
り、これら槽3a〜3dの内部には、pHが2.0〜
6.0の範囲に保持されるとともに、温度が20℃〜8
0℃の範囲内に保持された酸抽出用の塩酸酸性水溶液R
が貯留されている。また、各々の槽3a〜3dには、上
記飛灰が供給された塩酸酸性水溶液Rを攪拌するための
攪拌機4a〜4dと、塩酸酸性水溶液RのpHを制御す
るためのpH制御装置5a〜5dが設けられている。そ
して、初段の槽3aに供給された固体は、順次隔壁をオ
ーバーフローして、後段の槽3b〜3dに送られるよう
になっている。
【0021】ここで、初段の槽3aには、塩酸水溶液の
供給ライン6aが設けられ、以降の槽3b〜3dには、
内部に塩酸またはアルカリ成分を補給してそのpHを調
整するためのpH調節ライン6b〜6dが設けられてい
る。なお、上記アルカリ成分としては、水酸化ナトリウ
ム、炭酸ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウ
ム、水酸化マグネシウム等のアルカリ性物質を水中に溶
解または分散させた水溶液もしくはスラリーが用いられ
ている。
【0022】そして、抽出槽3の各槽3a〜3dには、
それぞれ内部の塩酸酸性水溶液R中に空気(酸素含有気
体)を導入するための供給ライン30が設けられてい
る。次いで、この抽出槽3の下流側には、抽出槽3を経
た固体を含む塩酸酸性水溶液を固液分離する、シックナ
ーやフィルタープレス等の固液分離機(第1の固液分離
手段)8が配設されている。さらに、この固液分離機8
の後段には、当該固液分離機8で分離された固体分を含
むケーキを洗浄する洗浄槽9が設けられ、この洗浄槽9
には、洗浄液として抽出槽3の最後段の槽3dにおける
塩酸酸性水溶液とほぼ等しいpHの塩酸水溶液、好まし
くは上記槽3dのpH±0.5の範囲の塩酸水溶液を供
給するための洗浄液ライン10が配管されている。そし
て、この洗浄槽9において洗浄に使用された後の酸性の
水溶液は、戻りライン23から再び抽出槽3に供給され
るようになっている。また、この洗浄槽9の後段には、
洗浄された固体分にライン11から供給されるCa(O
H)2 等のアルカリ成分を添加して安定させるための安
定化処理設備12が設けられている。
【0023】他方、固液分離機8において分離された液
体分は、移送ライン13から中和槽14に送られるよう
になっている。この中和槽14は、内部にpH7〜11
に保持されたアルカリ性水溶液が蓄えられており、この
中和槽14には固液分離機2において分離されたアルカ
リ性の洗浄液が供給ライン15から導入されている。ま
た、この中和槽14には、内部のpHを7〜11、より
好ましくは8〜9に保持するためのpH制御装置16お
よびこのpH制御装置16からの検出信号に基づいてC
a(OH)2 等のアルカリ成分を添加するための補給ラ
イン17が設けられている。
【0024】そして、この中和槽14の下流側に、重金
属類の沈殿槽18が設けられている。この沈殿槽18
は、内部にpHが7〜11、より好ましくは8〜9に保
持されたアルカリ性水溶液が蓄えらるもので、重金属類
の沈殿を促進するためのNaSHの供給ライン19が配
管されている。さらに、この沈殿槽18の下流側には、
沈殿槽18から排出されたスラリーまたはケーキを固液
分離する固液分離機(第2の固液分離手段)20が設け
られ、この固液分離機20で分離された重金属類が洗浄
槽21において工業用水によって洗浄されて回収される
ようになっている。また、この洗浄槽21から排出され
た洗浄液は、移送ライン22から洗浄槽1に供給されて
いる。なお、図中符号24は、固液分離機20において
分離された液体分を、塩類含有排水として排出する排水
ラインである。
【0025】次に、以上の構成からなる処理システムを
用いた、本発明の重金属類を含む固体の処理方法の一実
施形態について説明する。先ず、排ガスの処理設備から
捕集された飛灰を、洗浄槽1において工業用水により洗
浄した後に、これを固液分離機2に送って固液分離し、
分離された飛灰を抽出槽3の槽3aに供給する。一方、
これらの槽3a〜3dには、pHが2.0〜6.0の範
囲であって、かつ温度が20℃〜80℃に保持された塩
酸酸性水溶液Rが貯留されており、この塩酸酸性水溶液
R中の塩素イオン濃度は、10ミリモル/リットル以
上、好ましくは100ミリモル/リットル以上に保持さ
れている。また、これらの槽3a〜3dの塩酸酸性水溶
液R中には、供給ライン30から空気が供給されてお
り、これにより当該塩酸酸性水溶液中の酸化還元電位が
0.3V以上に保持されている。
【0026】これらの槽3a〜3dにおいて、上記飛灰
と塩酸酸性水溶液Rとを、攪拌機4aによって攪拌しつ
つ一定時間接触させることにより、飛灰中の亜鉛、鉛、
銅、カドミウム等の重金属類を塩酸酸性水溶液R中に酸
抽出する(重金属抽出工程)。この際に、上記重金属抽
出工程を、供給ライン30から送られる空気によって気
しつつ、塩酸酸性水溶液Rの酸化還元電位を0.3以上
に保持して行なう。これにより、上記重金属類はイオン
の状態で溶媒中において安定状態となり、塩酸酸性水溶
液R中における溶解度が高くなる。この結果、飛灰に含
まれる銅、鉛、亜鉛、カドミウム等の重金属類を、確実
に酸性水溶液中に抽出して、飛灰から分離することがで
きる。
【0027】また、これらの槽3b〜3dにおいては、
それぞれの塩酸酸性水溶液のpHが、6〜2の範囲であ
って、かつ漸次高くなるように保持されている。このよ
うな処理条件を保持するために、pH制御装置5b〜5
dからの検出信号により、必要に応じてpH調整ライン
6b〜6dから塩酸水溶液またはアルカリ性水溶液が補
給される。このように、槽3a〜3d内の塩酸酸性水溶
液RのpHを、漸次高くなるように制御しているので、
重金属類の抽出が行なわれた飛灰粒子のマトリックス
(SiO2 、Al2 3 等)の溶解を防止することがで
きる。
【0028】以上の抽出槽3における重金属抽出工程に
おいて、重金属類が抽出された処理飛灰および塩酸酸性
水溶液は、後段の固液分離機8に送られて、飛灰含有ケ
ーキと、重金属類を含む塩酸酸性水溶液とに分離され
る。次いで、上記固液分離機8において分離された重金
属類を含む塩酸酸性水溶液は、移送ライン13を介して
中和槽14に導入される。他方、この中和槽14には、
洗浄槽1において飛灰を洗浄することによりアルカリ性
となった洗浄液が、固液分離機2において分離され、供
給ライン15から供給される。また、pH制御装置16
からの検出信号により、必要に応じて補給ライン17か
らCa(OH)2 、Ca(OH)2 、Mg(OH)2
のアルカリ成分が補給されることにより、中和槽14内
は、pHが7〜11、より好ましくは8〜9に保持され
る。
【0029】そして、この中和槽14において、重金属
類を含む塩酸酸性水溶液が中和され、重金属類の沈殿槽
18へと送られて行く。この沈殿槽18も、中和槽14
と同様のpHに保持されており、この沈殿槽18におい
て一定時間滞留することにより、水酸化物が生成されて
沈殿する。この際に、上記重金属類の沈殿を促進させる
ために、供給ライン19からNaSHが添加される。な
お、このNaSHは、必要に応じて添加すればよく、場
合によっては上述したアルカリ成分のみでもよく、ある
いは当該アルカリ成分を添加して沈殿させ、後述する固
液分離を行なった後に、さらにNaSHを添加して沈殿
を促進させた後に、再び固液分離するようにしてもよ
い。
【0030】次いで、この重金属類の沈殿槽18から排
出された重金属類を含むアルカリ性水溶液は、固液分離
機20に送られて重金属類を含むケーキと弱アルカリ性
水溶液とに分離される。そして、分離された弱アルカリ
性水溶液は、排水ライン24に移送され、必要に応じて
さらに浄化処理が施されて、海域等に放流される。他
方、重金属類を含むケーキは、洗浄槽21に送られ、工
業用水によって洗浄された後に回収されるとともに、洗
浄に使用された後の水溶液は、移送ライン22から再び
洗浄槽1に送られて、洗浄液として再利用される。
【0031】他方、前記固液分離機8において分離され
た処理飛灰を含むケーキは、洗浄槽9に送られて洗浄さ
れる。この際に、洗浄液ライン10から、洗浄液として
抽出槽3における塩酸酸性水溶液とほぼ等しいpHの塩
酸水溶液を供給する。これにより、処理飛灰に付着して
いる前工程の塩酸酸性水溶液が洗浄されるとともに、当
該塩酸酸性水溶液と洗浄液とのpHがほぼ等しいため
に、塩酸酸性水溶液中に溶解した重金属類が沈殿して固
体化することが防止される。また、この洗浄に用いた塩
酸水溶液は、戻りライン23から再び抽出槽3に送られ
て、抽出工程に使用される。この結果、上記塩酸の有効
利用が図られるとともに、洗浄後の塩酸水溶液には、溶
解した重金属類が含まれているために、これを抽出槽3
に戻すことにより、重金属類の回収効率を向上させるこ
とができる。
【0032】次いで、洗浄された処理飛灰を含むケーキ
は、安定化処理設備12に送られて、Ca(OH)2
のアルカリ成分が添加されることにより、融点が高くか
つ特に酸に対して安定したケイ酸塩が生成される。この
ようにして安定化された飛灰は、充分に基準値を満足し
た状態で埋立て処理等することが可能になる。以上のよ
うに、上記構成からなる処理システムおよびこれを用い
た重金属類を含む飛灰の処理方法によれば、重金属類を
含有する飛灰を処理するに際して、大規模な処理設備を
要すること無く、確実に上記重金属類の分離回収して、
飛灰を安定化処理することができる。
【0033】
【実施例】図1に示す処理システムを用いて、塩酸酸性
水溶液Rを空気ばっ気した場合の効果を実証するため
に、以下の実験を行なった。先ず、塩酸酸性水溶液Rの
pHを4の酸性雰囲気下に保持して、飛灰に対する酸抽
出処理を行なった。この際に、空気ばっ気を行なわなか
った場合には、抽出液中の銅イオンおよび鉛イオンの濃
度は、10mg/lであった。これに対して、同一の条
件下において、供給ライン30から供給される空気によ
って、塩酸酸性水溶液の空気ばっ気を行なうことによ
り、当該塩酸酸性水溶液における酸化還元電位を0.5
Vに保持しつつ、飛灰に対する酸抽出処理を行なった結
果、抽出液中の銅イオンおよび鉛イオンの濃度は、50
〜150mg/lと大幅に向上した。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1〜4のい
ずれかに記載の重金属類を含む固体の処理方法および請
求項5および6に記載の処理システムによれば、重金属
抽出工程において、重金属類を含む固体から当該重金属
類を酸抽出することができる。そして、抽出された重金
属類を含む塩酸酸性水溶液と固体とを分離したうえで、
固体を安定化し、他方重金属類を沈殿させて回収してい
るので、大規模な処理設備を要すること無く、上記重金
属類の分離回収を行なうことができる。
【0035】特に、上記重金属抽出工程において、酸性
水溶液中に酸素含有気体をばっ気しつつ行なっているの
で、固体に含まれる重金属類を高い効率で上記酸性水溶
液中に溶解させることができ、よって当該重金属類を確
実に固体から分離して回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る重金属類を含む固体の処理システ
ムの一実施態様を示す概略構成図である。
【図2】銅の酸化還元系の見かけの電位とpHとの関係
を示すグラフである。
【図3】鉛の酸化還元系の見かけの電位とpHとの関係
を示すグラフである。
【図4】カドミウムの酸化還元系の見かけの電位とpH
との関係を示すグラフである。
【図5】亜鉛の酸化還元系の見かけの電位とpHとの関
係を示すグラフである。
【符号の説明】
3 抽出槽 5a〜5d、16 pH制御装置 6a 塩酸水溶液の供給ライン 6b〜6d pH調節ライン 8 固液分離機(第1の固液分離手段) 9 洗浄槽 12 安定化処理設備 14 中和槽 18 沈殿槽 20 固液分離機(第2の固液分離手段) 21 洗浄槽 30 酸素含有気体の供給ライン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4D004 AA37 AA41 AB03 CA13 CA35 CA40 CA50 CB05 CC02 CC03 CC12 DA02 DA03 DA20

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重金属類を含む固体から、上記重金属類
    を分離処理するための処理方法であって、 上記固体を、pHが2.0〜6.0の範囲に保持された
    酸性水溶液と接触させて、当該固体中の上記重金属類を
    酸抽出によって上記酸性水溶液中に移行させる重金属抽
    出工程と、 この重金属抽出工程を経た上記固体を含む酸性水溶液
    を、上記固体を含むスラリーまたはケーキと、上記重金
    属類を含む液体分とに固液分離する重金属類の分離工程
    とを有し、 かつ、上記重金属抽出工程を、上記酸性水溶液中に酸素
    含有気体をばっ気しつつ行なうことを特徴とする重金属
    類を含む固体の処理方法。
  2. 【請求項2】 上記重金属抽出工程における酸性水溶液
    の酸化還元電位を、0.3V以上に保持することを特徴
    とする請求項1に記載の重金属類を含む固体の処理方
    法。
  3. 【請求項3】 上記固液分離した液体分にアルカリを添
    加して中和し、さらにpHが7〜11の範囲に保持する
    ことにより上記液体分に含まれる重金属類を沈殿させる
    中和・沈殿工程と、 この中和・沈殿工程から排出されたスラリーまたはケー
    キを固液分離して上記重金属類を回収する重金属類の回
    収工程とを有することを特徴とする請求項1または2に
    記載の重金属類を含む固体の処理方法。
  4. 【請求項4】 上記固体は、一般廃棄物および/または
    産業廃棄物の焼却設備、焼却灰、焼却飛灰の溶融設備も
    しくは熱分解ガス化溶融設備で発生した排ガスに含まれ
    る飛灰であることを特徴とする請求項1ないし3のいず
    れかに記載の重金属類を含む固体の処理方法。
  5. 【請求項5】 重金属類を含む固体から上記重金属類を
    分離処理するための処理システムであって、 内部にpHが2.0〜6.0の範囲に保持された酸性水
    溶液が貯留され、供給された上記固体中の重金属類を上
    記酸性水溶液中に抽出する抽出槽と、 この抽出槽を経た上記固体を含む酸性水溶液を固液分離
    する第1の固液分離手段とを有してなり、 かつ、上記抽出槽には、内部の酸性水溶液中に酸素含有
    気体を導入する酸素含有気体の供給ラインが設けられて
    いることを特徴とする重金属類を含む固体の処理システ
    ム。
  6. 【請求項6】 上記第1の固液分離手段によって固液分
    離した液体分にアルカリを添加して中和するとともに、
    上記液体分に含まれる重金属類をpHが7〜11のアル
    カリ性水溶液中において沈殿させる中和・沈殿槽と、 この中和・沈殿槽から排出されたスラリーまたはケーキ
    を固液分離して上記重金属類を回収する第2の固液分離
    手段とを有することを特徴とする請求項5に記載の重金
    属類を含む固体の処理システム。
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