JP2000354761A - 光触媒プレコート成形材料および光触媒プレコート成形体と光触媒プレコートフィン - Google Patents

光触媒プレコート成形材料および光触媒プレコート成形体と光触媒プレコートフィン

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JP2000354761A
JP2000354761A JP11167472A JP16747299A JP2000354761A JP 2000354761 A JP2000354761 A JP 2000354761A JP 11167472 A JP11167472 A JP 11167472A JP 16747299 A JP16747299 A JP 16747299A JP 2000354761 A JP2000354761 A JP 2000354761A
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photocatalyst
layer
molding
molding material
precoat
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JP11167472A
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English (en)
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Fumio Mihara
二三男 見原
Masashi Kato
正志 加藤
Tsuyoshi Katsumata
堅 勝又
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MA Aluminum Corp
Original Assignee
Mitsubishi Aluminum Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、成形に耐えることができて剥離し
難く、成形品とした場合に必要な部分に均一に光触媒を
設けることができる光触媒プレコート成形材料とそれを
用いた成形体および熱交換器用のフィンの提供を目的と
する。 【解決手段】 本発明は、アルミニウム又はアルミニウ
ム合金からなる金属基材1と、該金属基材の表面に形成
されたベーマイト処理層、リン酸クロメート処理層、ア
ルマイト層、無孔質アルマイト層のいずれかからなる下
地層2と、該下地層上に形成された光触媒層3とを具備
してなることを特徴とする。更に、前記光触媒層3上に
形成された潤滑層4を具備してなる構造とすることもで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成形性の悪い光触
媒層を備えつつ成形性を改良した成形材料および該光触
媒をプレコートした成形材料からなる熱交換器用のフィ
ンに関する。
【0002】
【従来の技術】TiO2等の光触媒に紫外線などの光が
照射されると空気に触れている光触媒の表面部分に電子
が励起されてO2+あるいはOH-が生成され、これらに
よって有機物を分解する作用を得ることができ、光触媒
によって抗菌、浄化作用などの浄化機能(作用)を得る
ことができることが知られている。このような光触媒
は、微粒子状あるいは膜状として利用されることが一般
的で浄化機能(作用)が必要な部材の表面に塗布される
か接着剤により接着されて使用されている。
【0003】一方、最近の衛生ブームから、あるいはア
レルギー対策の面から、エアコン用フィンに抗菌・防カ
ビ性能が要求されてきている。このような背景から本願
発明者は、アルミニウム製の熱交換器用フィンに前記光
触媒を適用できるか否かについて検討したところ、完成
品のフィンに光触媒を塗布することは可能であるもの
の、完成品のフィンに光触媒を塗布する方法にあって
は、フィンの全面に均一に光触媒を塗布することが難し
く、生産性が悪いとい問題があるという結論に至った。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで本願発明者は、
フィンを成形する前のアルミニウムの板材に光触媒を塗
布し、この板材を成形加工してフィンを形成することを
想定し、光触媒を塗布したアルミニウム板を成形加工し
てフィン材を形成した。ところが、アルミニウムと光触
媒の密着性は極めて悪く、光触媒の表面滑性も悪いの
で、成形加工時にアルミニウム板から光触媒層が容易に
剥離してしまうことが判明した。
【0005】このため、フィンを含めた成形品一般に光
触媒を適用しようとしても、成形加工時に容易に光触媒
が剥離してしまうと考えられるので、アルミニウムの成
形用部材に加工前に光触媒を塗布する形で成形部材に光
触媒を適用することが困難な問題があった。
【0006】本発明は前記の背景に基づき、成形に耐え
ることができて剥離し難く、成形品とした場合に必要な
部分に均一に光触媒を設けることができ、生産性に優れ
た光触媒プレコート成形材料とそれを用いた成形体およ
び熱交換器用のフィンの提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は前記課題を解決
するために、アルミニウムまたはアルミニウム合金から
なる金属基材と、該金属基材の表面に形成されたベーマ
イト処理層、クロメート処理層、アルマイト層、無孔質
アルマイト層のいずれかからなる下地層と、該下地層上
に形成された光触媒層とを具備してなる。本発明におい
て、前記光触媒層上に形成された潤滑層を具備してなる
ことが好ましい。本発明において、前記光触媒層がTi
2、ZnO、SnO2、SrTiO3、WO3、Bi
23、Fe23の中から選択されるいずれかを主体とし
てなることを特徴とすることが好ましい。本発明におい
て、前記潤滑層がノニオン型高分子活性剤からなること
が好ましい。前記ノニオン型高分子活性剤の潤滑層の厚
さを0.02μm以上とすることが好ましい。
【0008】本発明の光触媒プレコート材料は、アルミ
ニウムまたはアルミニウム合金からなる金属基材と、該
金属基材の表面に形成されたベーマイト処理層、クロメ
ート処理層、アルマイト層、無孔質アルマイト層のいず
れかからなる下地層と、該下地層上に形成された光触媒
層と、該光触媒層上に形成された潤滑層を具備してなる
光触媒プレコート成形材料を成形加工し、加工後に潤滑
層を除去してなることを特徴とする。前記潤滑層を成形
加工後に除去することもできる。本発明のプレコートフ
ィンは、先のいずれかに記載の光触媒プレコート材料が
成形加工されてなることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態について説明するが、本発明は以下の実施形態
に限定されるものではない。図1は本発明に係る光触媒
プレコート成形材料の第1実施形態を示すもので、この
第1実施形態の光触媒プレコート成形材料Aは、アルミ
ニウムあるいはアルミニウム合金からなる板状の基材1
と、この基材1の表面部分に形成された下地層2と、下
地層2の上に被覆された光触媒層3と、光触媒層3の上
に被覆された潤滑層4とを具備して板状に形成されてい
る。
【0010】前記基材1は、アルミニウムあるいはアル
ミニウム合金からなり、JIS1000系等の純アルミ
ニウム系、JIS2000系等のAl-Cu系、JIS
3000系のAl-Mn系、JIS4000系のAl-S
i系、JIS5000系等のAl-Mg系、JIS60
00系等のAl-Mg-Si系、JIS7000系等のA
l-Zn-Mg系のいずれの系のものを用いても良い。
【0011】前記JIS1000系等の純アルミニウム
系のもの、JIS2000系のもの、JIS3000系
のものは種々の部品などに用いられているので、これら
の用途に供する場合に本発明を適用できる。
【0012】JIS4000系のものは、建築パネルな
どに用いられるので、これらの用途に供する場合に本発
明を適用することができる。JIS5000系のもの
は、内外装板、装飾部品、銘板等に広く使用されるの
で、これらの用途に供する場合に本発明を適用すること
ができる。JIS6000系のものは、建築、装飾品な
どに使用されるので、これらの用途に供する場合に本発
明を適用することができる。JIS7000系のものは
フィンなどに使用されるので、これらの用途に供する場
合に本発明を適用することができる。
【0013】なお、本発明の光触媒プレコート材料A
は、これらの用途の中でも、防カビ性が要求される熱交
換器用のフィン、抗菌、抗カビ性が要求される台所用ア
ルミ製品である食品用の容器、レンジフード、換気扇カ
バー、レンジフェンス、レンジカバー、レンジ下敷き、
あるいは防汚性が要求される各種パネル、BSアンテナ
等に特に有効に供することができる。
【0014】前記下地層2は、基材を構成するアルミニ
ウムあるいはアルミニウム合金をベーマイト処理する
か、クロメート処理するか、アルマイト処理することで
得られる。前記ベーマイト処理により形成されるベーマ
イト皮膜は、基材を構成するアルミニウムあるいはアル
ミニウム合金を80℃以上の高温で水と反応させて水和
酸化物皮膜(γ-AlOOH)としたものである。この
ベーマイト皮膜を形成するには、通常、アミン、アンモ
ニア、アルコールアミン、アミドなどを添加して弱アル
カリ性とした処理浴に80〜100℃の温度で浸漬して
行なう。なお、耐食性を向上させる目的で上述の処理の
後処理として加圧蒸気処理を施しても良い。このように
形成されたベーマイト皮膜は緻密で耐食性に富み、基材
1に対する密着性に優れている。
【0015】前記クロメート処理は、リン酸クロメート
処理、あるいは、クロム酸クロメート処理を行なうこと
が好ましく、中でもリン酸クロメート処理は、基材を構
成するアルミニウムあるいはアルミニウム合金をクロム
酸塩や重クロム酸塩を含む処理浴に浸漬してリン酸クロ
メート皮膜を形成するものである。
【0016】このクロメート皮膜には、クロム酸塩系の
ものとしてアロジン法などにより形成するもの、リン酸
−クロム酸塩系のものとしてリン酸亜鉛法などにより形
成するもの、オール無機タイプの塗布型クロメートな
ど、種々のものが知られているがいずれのものを用いて
も差し支えない。クロム酸クロメート処理は、フッ化水
素を添加したクロム酸溶液を基本浴として、フェリシア
ン化カリウムあるいはタングステン酸塩などの添加剤を
必要量添加した浴を用い、酸化クロムの皮膜を形成する
方法である。
【0017】前記アルマイト処理は、基材を構成するア
ルミニウムあるいはアルミニウム合金を酸の溶液に浸漬
して陽極処理を行なう陽極酸化処理によって皮膜を形成
するものである。用いる酸の溶液としては、硫酸、シュ
ウ酸、クロム酸、これら酸の混合溶液など適宜のものを
用いることができる。これらにより、多孔質層と無孔質
バリア層からなるアルマイト皮膜を得ることができる。
なお、被膜形成後に基材を熱水で煮沸するか熱水蒸気に
さらすことで多孔質部分を封孔しても良い。
【0018】前記無孔質アルマイト層を形成するための
処理は、無孔質アルマイト皮膜(バリア型アルマイト皮
膜)を形成する方法として知られているもので、硼酸溶
液や酒石酸アンモニウム溶液などの中性溶液にて陽極酸
化処理することで緻密で薄い酸化皮膜を得ることができ
る。
【0019】これらの下地層2は基材1と光触媒層3と
の密着性の低下を防止するためのもので、基材1と光触
媒層3との間にこれらの層に対して密着性の悪い酸化層
などが存在するとこの酸化層を起点として光触媒層3塑
性が加工中に剥離するなどの問題を起こす。この点にお
いて前述のベーマイト層、クロメート層、多孔質アルマ
イト層、無孔質アルマイト層であるならば、基材1に対
して良好な密着性を有することは勿論、光触媒層3に対
しても良好な密着性を発揮する。ここで光触媒層3の下
地として用いる層が仮に有機膜であると、光触媒層3が
発揮させる有機物分解作用によって下地層を損傷させる
ので、下地層2は前述の無機質層であって、基材1に対
して密着性の良好なもの、更には光触媒層3と密着性の
良好なものを用いることが必要である。
【0020】前記光触媒層3は、TiO2(チタニ
ア)、ZnO、SnO2、SrTiO3、WO3、Fe2
3の中から選択される光触媒性半導体材料に、シリカ
(SiO2が主体)、ジルコニア(ZrO2が主体)、過
酸化チタンなどのバインダーを混合してなるものであっ
て、これらの混合物を下地層2上に塗布し、乾燥、加熱
して焼き付けるなどの手段により得ることができる。こ
れらの混合物を塗布するには、ロールコート、グラビア
コートなどの常法を適用することができる。
【0021】そして光触媒層3の厚さは0.2〜10μ
mの範囲とされることが好ましい。光触媒層3の厚さが
0.2μmを下回るようであると、光触媒層3として十
分な厚さを確保することができず、抗菌、抗カビ性能等
の浄化作用を得られにくくする。また、光触媒層3の厚
さを10μmを超えた厚さとすると抗菌、抗カビ性能は
有するが材料の無駄が多く、製造コストの面で不利であ
る。これらのなかでもTiO2は、無害で化学的に安定
であり、紫外線により光励起を起こして確実に抗菌、抗
カビ作用を奏し優れた浄化機能(作用)を奏する。
【0022】前記潤滑層4は、ポリエチレングリコール
系、ポリオキシエチレンラウリルエーテル系、ポリビニ
ルメチルエーテル系などのノニオン型高分子活性剤を含
む層である必要がある。ここで用いるノニオン型高分子
活性剤とは、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエー
テル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、
ポリオキシエチレンアルキル脂肪酸アミド、ポリオキシ
エチレン硬化ヒマシ油エーテル、ポリオキシエチレン1
2−ヒドロキシステアリン酸エステル、ポリオキシエチ
レンアルキル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンロジ
ンエステル、ポリオキシエチレングリセリンアルキル脂
肪酸モノまたはジエステル、ポリオキシエチレントリメ
チロールプロパンアルキル脂肪酸モノまたはジエステ
ル、ポリオキシエチレンペンタエリスリトールアルキル
脂肪酸モノまたはジエステル、ポリオキシエチレンポリ
オキシアルキレンエーテルの群の中から選ばれるものが
好ましい。更に、これらの中でもエチレンオキサイドの
付加によりKarabinos法による曇数が15.0以上のもの
が好ましく、特に、融解点が約50〜60℃で、Karabi
nos法による曇数が約16〜18のポリエチレンオキサ
イド鎖を有するノニオン型高分子活性剤が好ましい。
【0023】前述の融解点が約50〜60℃で、Karabi
nos法による曇数が約16〜18のポリエチレンオキサ
イド鎖を有するノニオン型高分子活性剤が含有された潤
滑層4を最外層に有する構造であるならば、プレス加
工、特に、ドローレス加工に際して潤滑特性に優れ、金
型が損傷し難く、作業効率良くフィンなどの成形品を加
工することができる。なお、これらの条件を満たすノニ
オン型潤滑層4を実用的に製造する方法の一例として、
特開平7−041696号公報に開示の製造方法を適用
することができる。
【0024】前記ノニオン型高分子活性剤を水などの溶
媒に所定量溶解させ、この塗料溶液をロールコート、グ
ラビアコートなどの適宜な塗布手段で光触媒層3の上に
塗布し乾燥させることで図1に断面構造を示す潤滑層4
を備えた光触媒プレコート材料Aを得ることができる。
この乾燥後の潤滑層4は厚さが0.02μm以上、好ま
しくは0.02μm〜1.0μmの範囲であることが好ま
しい。潤滑層4の厚さが0.02μmよりも薄い場合
は、塑性加工した場合の潤滑性が低下し、加工不良、金
型の焼付きなどを起こし易くなる。潤滑層4の厚さが
1.0μmよりも厚い場合は潤滑性には問題ないもの
の、潤滑剤が無駄になり易く、製造コストの面で不利と
なる。
【0025】以上の構成の光触媒プレコート材料Aをプ
レス加工、絞り加工、しごき加工等の塑性加工により必
要な形状に加工して種々の目的に使用することができ
る。この塑性加工の際に、光触媒プレコート材料Aの表
面に設けた潤滑層4の作用により、塑性加工する場合の
金型やダイスなどとの摩擦を少なくするので、成形不良
や金型への焼き付を生じることがない。そして、所望の
形状への成形後、必要に応じて潤滑層4を洗浄等の手段
で除去することで加工品を得ることができる。この潤滑
層4は成形品の状態で残留していても良いし、特に洗浄
等の手段で除去しても差し支えない。
【0026】以上のように製造された光触媒プレコート
成形材料Aからなる成形品は、光触媒層3を表面部分の
全面に均一に有しているので、光触媒層3に紫外線等の
エネルギー光が照射されると、空気に触れている光触媒
層4の表面部分に電子が励起されてO2+あるいはOH-
が生成され、これらによって有機物を分解する作用を得
ることができ、光触媒によって成形品表面の抗菌、抗カ
ビ、浄化作用などの浄化機能(作用)を得ることができ
る。
【0027】ここで成形品が熱交換器用のフィンである
ならば、フィンにカビを生じないようにできるので、抗
菌性と防カビ性を発揮するフィンを有する熱交換器を提
供することができる。なお、熱交換器用のフィンであれ
ば、フィンの表面に水滴が付着する状態で使用されるの
で、成形後の表面部分に潤滑層4が残留していても、潤
滑層4は水滴によって徐々に除去されるので、潤滑層4
を特に除去しなくとも良い。また、本実施形態の構造を
成形品として利用する場合、フィン以外に、レンジフー
ド、容器など種々の成形品用途として広く供することが
できる。その外、先に基材1の構成材料として説明した
種々の用途に本実施形態の光触媒プレコート成形材料A
を広く適用できるのは勿論である。その場合、いずれの
用途に供しても抗菌、防カビ性能等の優れた浄化機能
(作用)を得ることができる。
【0028】図2は本発明に係る光触媒プレコート成形
材料を用いて得られたフィンを備えたエアコン用の熱交
換器の一例を示すもので、この例の熱交換器Bは、フィ
ン部材が多数積層された構成のフィン(光触媒プレコー
ト成形体)14に蛇行状態のチューブ13を配して構成
されている。この構造の熱交換器Bはフィン14が先に
説明した光触媒プレコート成形材料Aを塑性加工してな
るものから構成されている。
【0029】このように熱交換器Bのフィン14・・・を
光触媒プレコート材料Aから構成すると、光触媒プレコ
ート材料Aの全表面に光触媒層3を均一に設けているの
で、熱交換器Bのフィン14・・・の全面で均一な抗菌、
抗カビ作用などの浄化機能(作用)を得ることができ
る。即ち、成形前のアルミニウム板またはアルミニウム
合金板の全面に光触媒層3を予め全面塗布しておけばフ
ィン14・・・の全面で浄化機能(作用)を確実に得るこ
とができる。
【0030】
【実施例】JIS規定純アルミニウム系の1N30、1
050、1200およびJIS3003系、3004系
のアルミニウム合金からなる厚さ100μm、200μ
m、300μmのアルミニウム基板(基材)を複数用意
した。これらの基板をリン酸クロメート処理してCr量
として20mg/m2の割合のリン酸クロメート層を形
成した。次に、このリン酸クロメート層の上に厚さ0.
5μmのTiO2層(光触媒層)を形成し、続いてこの
TiO2層上に厚さ0.15μmの潤滑層を形成した。
【0031】潤滑層は以下のように製造した。オートク
レーブに以下に示す原料及び触媒を仕込み、窒素ガスを
用いてオートクレーブ内の空気を窒素に置換する。その
後、オートクレーブの内部温度を120℃に上げ、規定
量のエチレンオキサイドをオートクレーブ内に吹き込
み、反応温度を120〜160℃に維持しつつ吹き込み
を完了させ、続けて同温度で1時間反応を完結させ、ノ
ニオン型高分子潤滑剤を得た。原化合物はロジンを用
い、仕込み量270g、モル数を0.1、触媒をKOH
とし、仕込み量を0.14、エチレンオキサイド吹き込
み量880g、モル数を20モル、収量を900gとし
た。
【0032】得られたノニオン型潤滑剤は、ポリオキシ
エチレン(200)エステルである。このポリオキシエ
チレン(200)エステルを先の光触媒層上に厚さ0.
15μmになるように被覆したものを実施例1の試料と
した。更に、試料1と同等の積層構造であるが、潤滑層
の厚さのみを0.02μmとしたものを実施例2とし
た。
【0033】実施例1の試料に対し、アルミニウムある
いはアルミニウム合金の基板、下地層、光触媒層は同じ
ものを用い、最上の潤滑層のみを省略したものを比較例
1の試料とした。実施例1の試料に対し、下地層と潤滑
層を両方省略した構造(基板+光触媒層)を比較例2と
した。実施例1の試料に対し、基板と下地層と光触媒層
は同等として、潤滑層として厚さ0.01μmのものを
用いた試料を比較例3とした。実施例1の試料に対し、
下地層を省略し、光触媒層と潤滑層は同等なものとした
試料を比較例4とした。
【0034】実施例1、2の試料と比較例1、2、3の
試料に対し、摩擦係数をバウデン摩擦試験機で測定する
潤滑性測定試験を行なった。その結果を後に記載する表
1に示す。後の表1において〇印は動摩擦係数が0.1
5以下のもの、△印は動摩擦係数が0.16〜0.25の
もの、×印は動摩擦係数が0.26以上のものを示して
いる。
【0035】更に、これらの試料に対して試料を揮発性
プレス油(出光石油製商品名AF−2A)を用いて日高
精機社製フィンプレス機を用いて連続プレス加工し、
9.52φドローレスと9.52φドローを用い、プレス
回数を10000ショットとして熱交換器用のフィンを
成形した場合に、成形品の不良と金型への焼付性につい
て評価した。この結果を加工性Aとして表1に示す。表
1の加工性Aにおいて〇印のものは成型不良が5%以下
で金型への焼付けが生じないもの、△印のものは成型不
良が5〜15%で金型への焼付けが少々生じたもの、×
印の試料は成型不良が15%以上で金型への焼付けが多
く発生したものである。
【0036】次に前述の試料に対してプレス油を用いる
ことなく連続プレス加工し、成形品の不良と金型への焼
付性について評価した。この結果を加工性Bとして表1
に示す。表1の加工性Bにおいて〇印のものは成型不良
が5%以下で金型への焼付けが生じないもの、△印のも
のは成型不良が5〜15%で金型への焼付けが少々生じ
たもの、×印の試料は成型不良が15%以上で金型への
焼付けが多く発生したものである。
【0037】 「表1」 試料種別 潤滑性 プレス加工性A プレス加工性B 実施例1 〇 〇 〇 実施例2 〇 〇 〇 比較例1 × 〇 × 比較例2 × × × 比較例3 △ 〇 △ 比較例4 〇 〇 △
【0038】表1に示す結果から、比較例1〜4の試料
は潤滑性と加工性Aと加工性Bのいずれかにおいて問題
を有するが、実施例1、2の試料は潤滑性とプレス加工
性Aとプレス加工性Bのいずれにも合格することが判明
した。このことから、実施例1、2の試料の構造であれ
ば、塑性加工に耐える光触媒層をアルミニウム基板また
はアルミニウム合金基板上に有し、塑性加工を行なう品
物に対して均一な光触媒層を付与できることが明らかに
なった。
【0039】次に実施例1で用いた下地層を形成した前
記複数の基板に対し、石原産業製の光触媒塗料ST−K
03(商品名)を塗布量として0.15g/m2(膜厚
0.09μm)、0.30g/m2(膜厚0.18μm)、
0.60g/m2(膜厚0.36μm)の割合で塗布し、
250℃で30秒間焼付け乾燥させて各試料を作成し、
それぞれの接触角(°)を初期値として測定した。接触
角の測定には、協和界面科学株式会社製の接触角計CA
-Dを用いた。続いてこれらの試料を昭和シェル製の揮
発油RF−190(商品名)に2分間浸漬した後に乾燥
し、乾燥後に残留油分が存在する状態で接触角を測定し
た。
【0040】次に、乾燥後の基板にブラックライトラン
プ(BBLランプ)を用いて約1mW/cm2の紫外線を照射
し、0.5時間経過後、1時間経過後、3時間経過後、
6時間経過後、10時間経過後、24時間経過後、48
時間経過後のそれぞれの接触角を測定した。以上の結果
を以下の表2に示す。表2において初期とは揮発油浸漬
前の接触角を示し、油汚染後は揮発油に浸漬後の接触角
を示す。
【0041】 「表2」 油汚染 BBLランプ紫外線照射量約1mW/cm2照射時 試料 初期値 後 0.5 1 3 6 10 24 48 1 0.15g 22 82 83 87 75 46 19 25 6 2 0.30g 22 84 81 88 50 20 5 6 5 3 0.60g 25 84 83 86 35 11 10 5 5
【0042】表2に示す結果から、光触媒層の厚さが厚
い方(試料1の膜厚は0.09μm、試料2の膜厚は0.
18μm、試料3の膜厚は0.36μm)が残留油分を
分解して接触角を小さくする能力が向上していることが
明らかである。以上のことから、0.09μm〜0.36
μmの厚さの光触媒層を備えた本発明構造であるなら
ば、油汚染乾燥後の残留油分が存在する状態であって
も、比較的短時間、紫外線を照射することで接触角を大
幅に小さくできることが明らかであり、油汚染後の接触
角を小さくできたことから、光触媒層が有機物の残留油
分を分解したことが明らかであり、光触媒機能が生じる
ことを確認できた。また、このことから、各光触媒層が
抗菌、抗カビ等の浄化機能(作用)を奏し得るものと推
定できる。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように本発明方法によれ
ば、アルミニウムまたはアルミニウム合金の基材に下地
層を介して光触媒層を設けたので、光触媒層をアルミニ
ウムまたはアルミニウム合金の基材上に良好な密着性で
もって設けることができる。また、光触媒層の上に潤滑
層を設けることでプレス加工や押出加工などの塑性加工
に耐える構造とすることができるので、塑性加工の前に
基材全面に下地層を介して光触媒層を設けておけば、塑
性加工後の全面に均一に光触媒層を設けた光触媒プレコ
ート成形材料からなる成形品を得ることができる。この
ように得られた成形品であるならば、成形品の全面にお
いて空気に触れて光が当たっている光触媒層の表面部分
に電子を励起させてO2+あるいはOH-を生成させるこ
とができ、これらの作用によって有機物を分解する作用
を得ることができる。このため、成形品の全面において
光触媒によって抗菌、浄化作用などの浄化機能(作用)
を得ることができる。
【0044】前記光触媒層として、TiO2、ZnO、
SnO2、SrTiO3、WO3、Bi 23、Fe23
中から選択されるいずれかを主体としてなるものを用い
ることで光触媒による浄化機能(作用)を具体的に確実
に得ることができる。
【0045】前記潤滑層としてノニオン型高分子活性剤
を含むものを用いるならば、プレス加工や絞り加工、し
ごき加工の際に金型との焼き付きを確実に防止できると
ともに、成形不良を生じさせることなく成形が可能であ
り、光触媒層の剥離や脱落を生じていない成形品を確実
に得ることができる。
【0046】以上の構成の光触媒プレコート成形材料を
用いてエアコン用熱交換器などのフィンを構成するなら
ば、フィンの全面において均一の抗菌性、抗カビ性を有
する優れた浄化作用を奏する熱交換器用フィンを得るこ
とができる。また、本発明の熱交換器用フィンであるな
らば、抗菌性、抗カビ性に優れるので最近の衛生ブーム
あるいはアレルギー対策上も好ましいものを提供でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る光触媒プレコート成形材料の第
1実施形態の構造を示す断面図。
【図2】 本発明に係る光触媒プレコート成形材料から
構成されたフィンを備えた熱交換器の一例を示す正面
図。
【符号の説明】
A・・・光触媒プレコート成形材料、1・・・基材、2・・・下
地層、3・・・光触媒層、4・・・潤滑層、B・・・熱交換器、
14・・・フィン(光触媒プレコート成形体)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01J 23/30 B01J 35/02 ZABJ 23/745 311Z 35/02 ZAB 37/02 301M 311 F28F 19/02 501D 37/02 301 B01D 53/36 G F28F 19/02 501 Z B01J 23/74 301A (72)発明者 勝又 堅 静岡県裾野市平松85番地 三菱アルミニウ ム株式会社技術開発センター内 Fターム(参考) 4D048 AA17 BA07X BA07Y BA15Y BA16Y BA21Y BA22Y BA27Y BA44X BB03 BB11 BC07 EA01 4G069 AA03 AA08 BA04A BA04B BA17 BA48A BB02A BB02B BB04A BB04B BB06A BB14B BC12A BC22A BC25A BC35A BC50A BC50B BC58B BC66A CA01 CA11 DA06 EE01 EE06 FA04 FB23

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム又はアルミニウム合金から
    なる金属基材と、該金属基材の表面に形成されたベーマ
    イト処理層、クロメート処理層、アルマイト層、無孔質
    アルマイト層のいずれかからなる下地層と、該下地層上
    に形成された光触媒層とを具備してなることを特徴とす
    る光触媒プレコート成形材料。
  2. 【請求項2】 前記光触媒層上に形成された潤滑層を具
    備してなることを特徴とする請求項1記載の光触媒プレ
    コート成形材料。
  3. 【請求項3】 前記光触媒層がTiO2、ZnO、Sn
    2、SrTiO3、WO3、Bi23、Fe23の中か
    ら選択されるいずれかを主体としてなることを特徴とす
    る請求項1または2記載の光触媒プレコート成形材料。
  4. 【請求項4】 前記潤滑層がノニオン型高分子活性剤か
    らなることを特徴とする請求項2または3に記載の光触
    媒プレコート成形材料。
  5. 【請求項5】 前記ノニオン型高分子活性剤の潤滑層の
    厚さが0.02μm以上とされたことを特徴とする請求
    項4記載の光触媒プレコート成形材料。
  6. 【請求項6】 アルミニウム又はアルミニウム合金から
    なる金属基材と、該金属基材の表面に形成されたベーマ
    イト処理層、クロメート処理層、アルマイト層、無孔質
    アルマイト層のいずれかからなる下地層と、該下地層上
    に形成された光触媒層と、該光触媒層上に形成された潤
    滑層を具備してなる光触媒プレコート成形材料を成形加
    工してなることを特徴とする光触媒プレコート成形体。
  7. 【請求項7】 成形加工後に潤滑層を除去してなること
    を特徴とする請求項6記載の光触媒プレコート成形体。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし5のいずれかに記載の光
    触媒プレコート成形材料が成形加工されてなることを特
    徴とする光触媒プレコートフィン。
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WO2012169660A1 (ja) * 2011-06-07 2012-12-13 株式会社ダイセル 光触媒塗膜、及びその製造方法

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