JP2000352857A - 帯電ロール - Google Patents

帯電ロール

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JP2000352857A
JP2000352857A JP11167152A JP16715299A JP2000352857A JP 2000352857 A JP2000352857 A JP 2000352857A JP 11167152 A JP11167152 A JP 11167152A JP 16715299 A JP16715299 A JP 16715299A JP 2000352857 A JP2000352857 A JP 2000352857A
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surface layer
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charging
conductive
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Kentaro Ueishi
健太郎 上石
Tatsuji Watanabe
龍児 渡辺
Takuya Shindo
卓也 信藤
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Fujifilm Business Innovation Corp
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Fuji Xerox Co Ltd
Suzuka Fuji Xerox Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 抵抗ムラおよびピンホールリークがなく、ま
た環境が変化しても帯電電位の変動が小さく、さらに帯
電部材から感光体表面へブリード汚染が発生しない帯電
部材を提供すること。 【解決手段】 導電性支持体にイオン導電性弾性体層お
よび電子導電性物質を分散させた表面層を順次積層させ
た帯電ロールであって、前記表面層が静電塗装により形
成された塗膜であることを特徴とする帯電ロール。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子写真方式の複写
機、プリンター、ファクシミリなどに使用される画像形
成装置において接触帯電器に用いる帯電部材に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真感光体を用いた電子写真プロセ
スにおける帯電プロセスは従来より金属ワイヤーに高電
圧を印可して発生するコロナにより感光体の帯電を行な
っている。しかしこの方法ではコロナ放電発生時にオゾ
ンやNOx等のコロナ生成物により感光体表面が変質
し、そのため画像ボケや黒筋などが発生し、また帯電効
率も悪かった。したがって、このようなコロナ放電によ
る帯電に替え、感光体を直接帯電させる方法が多数考案
されている。感光体を直接帯電させる方法としては、感
光体表面に帯電部材、例えば帯電ロール、帯電ブレー
ド、帯電ブラシ、帯電チップ、帯電フィルムなどを接触
させて帯電処理を行う接触帯電方式が用いられている。
この帯電方式では帯電部材に印可する電圧が少なく、か
つオゾン発生量が非常に少ないという利点がある。特に
帯電ロールは帯電ブラシ、帯電ブレード、帯電チップの
タイプに比べ感光体への接触状態が安定しており、ピン
ホールリークの発生が抑制され、また放置ニップ形成の
状態が安定している。
【0003】接触帯電方式による帯電ロールとして、導
電性を有するSUS金属、Niメッキ金属などの芯金の
外周に、中抵抗104-9logohmcmの弾性体を配
置している。このように弾性体を中抵抗とするのは、帯
電効率を向上させ、また感光体欠陥への帯電電流リーク
に起因する電圧降下が生じて帯電不良が起こるのを防止
するためである。前記の中抵抗の弾性体としては、たと
えばゴムに導電性材料として導電性カーボンブラックや
金属酸化物などの導電性材料を混合分散配合したものが
用いられるが、このような弾性体を使用した帯電ロール
は、抵抗面内ムラが大きく帯電均一性に欠け、またや感
光体表面へのピンホールリーク現象や帯電ロール表面層
の絶縁破壊などが発生し易い。これは金属芯金(導電性
支持体)から供給される電流が低抵抗導電経路(導電性
材料)を通るため、電流集中が発生しやすいためであ
る。これに対し、イオン導電性弾性材であるウレタンポ
リマーやエピクロロヒドリン系弾性材は分子鎖中にエー
テル結合やエステル結合、ウレタン結合などの親水性基
を有しているためイオン性物質が均一に分散相溶し抵抗
均一性に優れている。しかし、このような親水性基を含
むポリマーは吸水しやすく、吸水した場合イオン導電性
が増大するが、逆に乾燥すると電荷担体の遊離イオンの
濃度が低減し、イオン導電性が減少する。このため前記
ポリマーが吸水した状態と乾燥した状態とでは電気抵抗
は大きく変化する。すなわち、環境が低温・低湿ならば
吸水は少なくイオン導電性は低下する。一方高温・高湿
は下ではポリマーは吸水し導電性は向上する。このよう
な電解質ポリマーや無機電解質を用いた帯電ロールの場
合、イオン導電性が環境により大きく変化するため、帯
電部材の電位変動が大きくなり、一定の電圧を保持した
場合感光体への帯電量が、不安定になる。さらに、安定
した帯電電位を与えるために大きな電源装置が必要にな
る。
【0004】このような帯電部材を用いた画像形成装置
では温度・湿度などの弾性部材の吸水性に与える環境が
大きく変化すると、帯電電位の変化がこれに追従し、こ
のため画像濃度が不安定になりやすく、適正な画像濃度
を得るのが困難である。また前記の親水性基含有ポリマ
ーを用いる帯電ロールのイオン自体が感光体表面に滲み
出たり、親水性基含有ポリマー自体の表面タック性、低
分子のオリゴマーの漏洩およびブリード、異物の付着な
どが発生しやくすなり、感光体表面を汚染、侵食、溶
解、付着したり、画像上にも汚れ、黒点、白点などのデ
イフェクトを発生する原因となる。
【0005】また、特開平10−260568号公報に
は、残留トナー粒子が帯電ロールに固着するのを防止し
た帯電ロールとして、イオン導電性弾性材料であるエピ
クロルヒドリンゴムの弾性体の表面に、ヘキサメチレン
ジイソシアネートを主成分とするイソシアヌレートから
なる表面層、あるいはポリビニルブチラール樹脂を前記
イソシアヌレートで硬化させる表面層を設けた帯電ロー
ルが提案されているが、このような表面層を設けること
によっては電気的および機械的特性が安定せず、また表
面層を厚膜化あるいは積層化することができない。ま
た、この方法によっては、前記のような親水性基含有ポ
リマーを用いるために生ずる、ブリードや吸水性を抑制
することは困難である。
【0006】さらに、特開平10−301362号公報
には、前記親水性基含有ポリマーを使用する弾性体の環
境変化による帯電部材の電位変動を小さくするため、エ
ピクロルヒドリンゴムのごとき親水性基含有ポリマーに
カーボンブラック等の導電性粒子を添加した弾性体を使
用するか、あるいはこの弾性体の上にさらに導電性粒子
を含む表面層をスプレー塗装により塗設した帯電ロール
が提案されている。しかし、表面塗工する手段として上
記のスプレー塗装をはじめとし、ディップ塗装、フロー
コーティングなどの通常の表面処理手段によっては、弾
性体の端部まで均一に充分に被覆することができないた
め、ブリード成分の漏洩や吸水による電気抵抗の変動が
大きくなり帯電性能は不安定になってしまう。また均一
な膜厚に塗布することが難しいため、膜厚むらによるピ
ンホールリークや感光体汚染が発生しやすく、また長期
の安定的な保存ができない。
【0007】また、特開平10−301365号公報に
は、弾性体層を、エキシマレーザなどによる非化学的エ
ッチングを施して弾性体層に対する接着強度を上げた、
フッ素樹脂のチューブで覆うことが提案されている。し
かし、このようなフッ素樹脂のチューブを利用して、前
記親水性基含有ポリマーからなる弾性体層を覆っても、
帯電ロールの金属シャフト付近に解放された部分がある
ため、同様にブリードや吸水が発生し、端部のブリード
や端部の帯電不良が発生しやすい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記のごとき
問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、帯電ム
ラおよびピンホールリーク現象がなく、また環境が変化
しても帯電電位の変動が小さく、さらに帯電部材から感
光体表面へブリード汚染が発生しない帯電部材を提供す
ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的は、以下の帯電
ロールを提供することにより解決される。 (1)導電性支持体にイオン導電性弾性体層および電子
導電性物質を分散させた表面層を順次積層させた帯電ロ
ールであって、前記表面層が静電塗装により形成された
塗膜であることを特徴とする帯電ロール。 (2)イオン導電性弾性体層がウレタンゴムまたはエピ
クロロヒドリンゴムに4級アンモニウム塩を1種または
2種以上配合したイオン導電性弾性体層であることを特
徴とする前記(1)に記載の帯電ロール。 (3)表面層が脂肪族ポリエステル樹脂、メラミン樹
脂、導電性カーボンブラックおよびフッ素系高分子化合
物の微粉末を含む塗布液から形成された表面層であるこ
とを特徴とする前記(1)または(2)に記載の帯電ロ
ール。 (4)表面層の膜厚が2〜500μmであることを特徴
とする前記(1)ないし(3)のいずれか1に記載の帯
電ロール。 (5)表面層の電気抵抗が、イオン導電性弾性体層の電
気抵抗と同等かあるいはイオン導電性弾性体層の電気抵
抗の±1桁以内に制御されていることを特徴とする前記
(1)ないし(4)のいずれか1に記載の帯電ロール。 (6)表面層が、イオン導電性弾性体層の全表面積の少
なくとも70%を覆うように形成されていることを特徴
とする前記(1)ないし(5)のいずれか1に記載の帯
電ロール。 (7)表面層が、イオン導電弾性体層の表面に加え、導
電性支持体の少なくとも1つの端面を残して導電性支持
体の表面にも形成されていることを特徴とする前記
(1)ないし(6)のいずれか1に記載の帯電ロール。 (8)表面層が、イオン導電弾性体層上にベル型静電塗
装によって形成されたことを特徴とする前記(1)ない
し(7)のいずれか1に記載の帯電ロール。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。本発明は導電性支持体にイオン導電性弾性体層と、
電子導電性物質を分散させた表面層を順次設けた帯電用
部材であって、前記電子導電性物質を分散させた表面層
を静電塗装により形成させることを特徴とする。本発明
においては、弾性体層にイオン導電性弾性体を使用して
いるため、抵抗均一性に優れピンホールリークの発生を
大幅に防ぐことができる。また、イオン導電性弾性体の
表面を電子導電性物質を分散させた表面層で覆っている
ため、イオン導電性弾性体が本来有している環境変化に
基づく帯電電位の変動を抑制することができる。そし
て、電子導電性物質を分散させた表面層を静電塗装によ
り形成するため、他の塗布方法を用いた場合よりも表面
層はピンホールが少なく、また、膜厚が均一になるため
電気的にも均一にすることができる。さらに、他の塗布
方法よりも塗着効率が高く生産性にも優れている。
【0011】図を用いて本発明の帯電部材を説明する。
図1には、本発明の帯電ロールの基本的な一例を、帯電
ロール100の軸方向に直角に切断した断面図を概略的
に示す図であり、100は帯電ロール、101はロール
の軸となる導電性支持体、102はイオン導電性弾性体
層103は電子導電性物質を分散させた表面層をそれぞ
れ示す。表面層は、図示しないが、離型性、耐摩耗性、
抵抗調整層などの機能を有する機能を個々に分担させた
積層構成であっても構わない。図2は、本発明の他の帯
電ロールを軸方向に平行に切断した断面図を概略的に示
す図であり、この例では、導電性支持体は段付きシャフ
トで構成されている。105は表面層が感光体表面に接
する部分(円周面)であり、106は感光体表面に接し
ない表面層部分(軸方向端面)である。この例では、表
面層は弾性体層の全表面を被覆している。
【0012】帯電ロールの軸としての導電性支持体は、
鉄、ニッケルメッキ処理鉄、銅、ステンレスなどを用い
ることができる。イオン導電性弾性体層において、エピ
クロロヒドリンゴム、ポリエーテルウレタン、ポリエス
テルウレタンゴム、クロロプレンゴム、NBR、EPD
MブレンドNBRゴム、SBRゴム、ブチルゴム等にア
ルカリ金属、4級アンモニウム塩構造を有する各種アル
キルアンモニウム塩を0.01〜10%混合させ、好ま
しくは0.1〜5%の範囲で抵抗調整させるのが好まし
い。表面層に使用されるバインダー樹脂としてはポリエ
ステル、ポリアミド、ポリウレタン、メラミン樹脂、P
MMAまたはPMBAのようなアクリル樹脂、ポリビニ
ルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリアリレー
ト、ポリカーボネート、フェノキシ樹脂、ポリ尿素、ポ
リ酢酸ビニル等を挙げることができる。
【0013】表面層の電気抵抗は、弾性体層の電気抵抗
に対して±1桁の範囲内にあるような電気抵抗に制御す
ることが好ましく、より好ましくは±0.5桁の範囲内
にあるように電気抵抗を調整することにより、表面層が
負担する帯電時のDC成分印可電圧によるピンホールリ
ーク現象を大幅に抑えることができる。本発明のように
弾性体層としてイオン導電性材料を用いると、カーボン
ブラックなどの電子導電性物質を用いた場合のような急
激な電流集中と帯電不良は発生しにくいものの、表面層
との電気抵抗の差が、±1桁の範囲を超える、さらには
±2桁以上離れてしまうと、表面層が絶縁破壊したり、
帯電不良が発生しやすいので、弾性体層と表面層の電気
抵抗は、前記のように±1桁の範囲内に調節することが
望ましい。
【0014】本発明の帯電ロールにおける表面層の厚さ
は2〜500μmの範囲にすることが好ましい。特に2
0〜200μmの範囲が好ましい。一回の塗装で厚い膜
厚を得ようとすると、塗膜中に溶剤が残存しやすいの
で、厚い塗膜を形成する場合には、たとえば一回で2〜
80μmの膜(乾燥膜)を形成することを、複数回繰り
返して積層することにより、所望の膜厚および所望の表
面性を備えた表面層を形成することが好ましい。また、
複数回繰り返す際、電子導電性物質の添加量を変えるこ
とにより電気抵抗値が異なる層を積層することも可能
で、このようにすることにより帯電ロールの抵抗値を適
性な値に調節することが容易にできる。
【0015】表面層の厚さをごく厚くする場合には、弾
性体層の全表面を覆わなくてもよい。すなわち、表面層
より弾性体層が低抵抗の場合、あるいは表面層より弾性
体層が低抵抗になった場合(弾性体層は環境変動により
抵抗値が変化するので、その全表面を表面層で被覆しな
い場合、たとえば高温・高湿条件下において表面層より
低抵抗値になる場合がある。)において、弾性体層の、
前記表面層の円周面105が覆っている部分にだけ表面
層を形成した場合、仮に表面層が30μm程度の厚さで
あると、弾性体層の被覆部と非被覆の境界においては、
感光体表面までは50〜30μm程度の間隙が存在する
だけであるので、このような構造をもつ帯電ロールで帯
電させると、表面層で被覆されていない弾性体層の端部
から帯電が始まるという問題が発生する。(一般的に、
感光体表面との間隙が100μm程度以下であると非被
覆部分から帯電しやすい。)したがって、逆に、たとえ
ば300μm〜500μmのごとく極く厚い表面層を形
成する場合には、弾性体層の端部(上記表面層の軸方向
端面106が覆っている部分)、あるいはこれに加え前
記円周面が覆う部分の一部を表面層で被覆しなくても、
被覆していない部分から帯電現象が始まるといった前記
の問題は発生しない。弾性体層の表面をどの程度表面層
によって覆うかということは、表面層の被覆厚さ、帯電
ロールの形状、帯電ロールのロール径、長さ、硬度、粗
さ等を考慮して適宜選択される。たとえば上記のごとく
300μm〜500μm程度の厚さで表面層を形成する
場合には、弾性体層の全表面の少なくとも70%を覆う
ことにより本発明の目的を達成することができる。要
は、帯電ロールの表面層非被覆部分から帯電が始まらな
いように弾性体層に対する表面層の被覆割合および膜厚
を適性に選択することが必要となる。また、弾性体層の
全表面の少なくとも70%を表面層で覆うことにより、
弾性体層が有する吸水性を抑え、吸水によって生じる帯
電電圧変動を1桁以内に抑制することが可能である。静
電塗装の場合には、ゴムやプラスチックなどの絶縁部材
でロール表面をカバーまたはマスキングすることによ
り、選択的に露出した導電性部分に塗料が塗着するた
め、必要に応じた塗工をすることができる。
【0016】しかし、弾性体層の端部等を表面層で被覆
しない場合、非被覆部分が少なくてもその部分から吸水
したり、あるいはその部分から低分子物質がブリードし
たりして、帯電電位の変動または感光体へのブリード成
分の付着等が無視できない場合、あるいはさらに帯電電
圧変動等の特性を良好にするためには、弾性体層の全表
面を表面層で被覆することが好ましい。全面被覆する場
合は、弾性体層の端面とシャフトが接する部分から膜厚
に相当する間隙を残してシャフトをシールドあるいはキ
ャップして静電塗装を行えばよい。なお弾性体層の端部
は、直角に切り込む場合や端面にR面加工を施しても、
なだらかにカーブするいわゆるC面加工を施してもよ
い。また、弾性体層だけでなく、導電性支持体(シャフ
ト)の一部を前記表面層で覆うことも可能である。たと
えば、金属シャフトが図2に示すように段付きのシャフ
トの場合、小径の部分にのみシールドまたはキャップを
施すことは容易に行うことが可能である。また、このよ
うに金属シャフトの一部も表面層で覆うことにより弾性
体層の被覆をより完全に達成することができる。なお、
シャフトの両端面の少なくとも1端面は電流供給のため
に開放しておくことが必要なことは勿論である。
【0017】静電塗装するに際しては、導電性支持体
(シャフト)は、表面層を形成しない部分を絶縁性樹脂
でシールドしたり、またはその部分を保護部材でキャッ
プすることにより塗液の付着を防止するが、このような
シールドあるいはキャップをしない部分には、被膜が均
一の厚さでしかもピンホールが発生せずに良好な被膜が
形成される。したがって、前記シールドやキャップを適
性に行えば、弾性体層の端部を、該端部が導電性支持体
と接する箇所にまで良好な状態で表面層で覆うことが可
能である。これに対し、表面層をスプレー塗装、ディッ
プ塗装等の手段で行う場合には、弾性体層の端部を均一
に塗布することは難しく、特に弾性体層の端部と導電性
支持体が接する箇所の近傍では膜厚が薄くなってしま
う。このため端部での電流リークの発生やこれに伴う帯
電不良が発生しやすい。
【0018】本発明の帯電ロールは例えば第3図に示す
ような接触帯電型電子写真装置に適用できる。図3中、
7は感光体、8は本発明の帯電ロール、9は1次帯電用
電源である。感光体7の周囲には、画像入力装置10、
現像装置11、転写装置12、クリーニング装置13お
よび除電器14が設けられている。なお、15は定着装
置である。
【0019】以上説明したように、本発明の帯電ロール
は、吸水性をもつイオン導電性弾性体層の上に吸水性の
ない表面層を静電塗装により形成しているため、均一な
厚さで電気的ピンホールがない表面層を形成することが
可能であり、かつ電気的ピンホールのみならず、物理的
な塗膜欠陥(ピンホール等)もないため、この塗膜欠陥
を通って帯電ロールへ水分が浸入したり、また帯電ロー
ルからブリード成分が滲み出したりすることを効果的に
防止することができる。したがって、本発明の帯電ロー
ルは、環境による抵抗変動(帯電電位変動)を±1桁以
内に抑制することが可能で、環境変化(高温高湿、低温
低湿)にもかかわらず安定した帯電電位を長期間維持す
ることができる。また、本発明の帯電ロールは、電子写
真感光体へのブリード成分による汚染を防止できるほ
か、ピンホールリークを抑制できる等の効果が得られ
る。これに対し、スプレー塗装等により表面層の形成を
行うと、塗工漏れ、ピンホール発生、端部塗工不良、膜
厚不均一性などにより、絶縁破壊が発生しやすく、ま
た、安定した帯電電位を長期間維持することができな
い。さらに感光体表面へ弾性体層の成分のブリードも発
生する。また絶縁耐圧を上げるため表面層を厚くする必
要がないため、離型性、耐摩耗性、ブリード防止等の機
能を付与するための層を別途設けることができる。ま
た、本発明の帯電ロールは、金属芯体に印可された電圧
が弾性体を通して流れる割合が多く、余分な電流漏洩も
すくなく、高効率の帯電性を維持可能である。また、イ
ソシアネート等で表面処理を施した場合に比べ吸水が抑
制され、帯電性の環境変化による影響が軽減され、安定
した帯電性の維持が可能である。また、金属芯金にまで
容易に塗装が可能なため、イオン成分や低分子ゴム成分
の漏洩を完全に防止することが可能である。また、本発
明の帯電ロールは、2層という簡易な層構造であるうえ
に、表面層を1回の静電塗装工程により容易にかつ塗着
効率よく均一な塗膜を形成することができるため、製造
工程が少なく、短時間でかつ低コストで製造をすること
ができる。
【0020】
【実施例】以下に実施例を示し本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明はこれらの実施例により限定される
ものではない。なお、文中の「部」は「重量部」を示
す。 実施例1 導電性支持体101としてシャフト(φ8mmのステン
レス芯金)を用いて、中抵抗の弾性体層を以下の配合お
よび加工方法により形成した。 GECO系エピクロルヒドリン原料ゴム 100部 (商品名:エピクロマCG102、ダイソー製、組成比:エピクロルヒドリ ン40mol%、エチレンオキサイド56mol%、アリルグリ シジルエーテル4mol%) 炭酸カルシウム 30部 (商品名:タマパールTR−222H、奥多摩工業製) サブ(商品名:ネオファクチス U−8 天満サブ化工製) 10部 テトラメチルアンモニウムクロライド 1.0部 (日本樹脂製エレガンスR115) ステアリン酸(商品名:脂肪酸SA−200、旭電化製) 0.5部 加硫促進剤(商品名:ノクセラTT、大内新興化学製) 1.0部 加硫促進剤(商品名:ノクセラDM、大内新興化学製) 1.5部 加硫促進剤(商品名:バルノックR、大内新興化学製) 1.0部 加硫剤(商品名:サルファックス、鶴見化学製) 0.25部
【0021】上記配合物を混練して均一な組成のコンパ
ウンドとした後、上記ステンレス芯金の上に、一次加硫
(蒸気缶、4.5×102kpa、150℃×1時
間)、2次加硫(155℃×7時間)によって外径φ1
4mm×長さ310mmになるように成形して、ローラ
状の中抵抗弾性体層102を設けた。この中抵抗弾性ロ
ーラの電気抵抗は2×107Ω・cm、ローラゴム硬度
は38度(JIS A)であった。次に、直鎖ポリエス
テル樹脂(商品名:バイロン30SS、東洋紡(株)
製)80部、及びメラミン樹脂(商品名:スーパーベッ
カミンG−821−60、大日本インキ(株)製)20
部に、導電性カーボン(商品名:FW200、デグサ社
製)5部、フッ素樹脂微粉(商品名:ルブロンL−5、
ダイキン工業社製)10重量部をサンドミルを用いて、
混合分散させた。
【0022】次いで、前記分散物をキシレンで希釈して
(分散物100部に対し、キシレン150部の割合)、
表面層形成用塗料を調製し、粘度調整を行った。前記シ
ャフトと弾性体層の端面が接する部分から膜厚に相当す
る間隙を残してシャフトをマスキングした後、ベル型静
電塗装機(ランズバーグインダストリー社製)を用い、
導電性ゴムロールに乾燥時膜厚が35μmとなるよう
に、弾性体層の全表面に表面層を形成した後、この表面
層を160℃で、30分間乾燥させ、図1に示すような
帯電ロールを作製した。
【0023】この帯電ロールについて、抵抗測定セル
(商品名:16008A、YHP社製)および抵抗計
(商品名:R8340A、アドバンテスト社製)を用い
て、印加電圧100Vで体積抵抗を測定した。帯電ロー
ルの体積抵抗は、105.2Ωcmを示した。表面層の電
気抵抗は104.5Ωcmであり、イオン導電性弾性体層
と表面層の電気抵抗の差は、0.7桁であった。また、
放電絶縁破壊を起こす電圧を測定したところ、2200
Vであった。このときの表面被覆率は95.6%であっ
た。表面被覆率は、次の式を用いて算出した。 表面被覆率=(表面層の全表面積)/(帯電ロールの全
表面積)×100 この帯電ロールを図3に示すように複写機における感光
体7に対して、接触回転するように設置し、その導電性
支持体101に電源9から750VのDC電源と2kV
で2kHZのAC電源を重畳したものを印可しつつ、2
3℃×55%RHの環境下で、連続4万枚の帯電試験を
行ったところ、帯電ロールへのトナーの固着はほとんど
なく、均一で良好な帯電が行われた。このとき感光体7
の表面の汚染状態を調べたところ、帯電ロールからのブ
リード成分による汚れはなかった。また、この帯電ロー
ルを感光体に接触させ,40℃×95%RHで30日間
保管テストを行ったところ、ブリード成分による感光体
の汚染は発生しなかった。さらに、同一配合で同様に帯
電ロールを複数(10例)作製した場合、各帯電ロール
の抵抗分布は狭く(1桁以内)、製造安定性は極めてよ
かった。また絶縁耐圧はいずれの例も3000Vを超え
ていた。
【0024】比較例1 EPDM原料ゴム(ムーニー粘度20)100部に、加
硫剤(ジクミルパーオキサイド)1部、メタクリル酸エ
ステル3部、酸化亜鉛1部、及びケッチェンブラック1
0部とファーネスブラックSAF20部を添加して2本
ロール上にて30分混練、混合してゴム原料を準備し
た。これを外径6mmの芯材(ステンレス棒)を取り付
けた金型中に測り取り、プレス成形してから160℃の
温度にて30分間加熱して一次加硫を行った後、金型か
ら取り出して160℃の温度にて30分間加熱して二次
加硫を行い、導電性弾性体層としての導電性ゴム層を前
記ステンレス芯材の周囲に形成した。この導電性ゴム層
は、ゴム硬度が55°(JIS.A硬度)、その膜厚方
向の抵抗値が1.0×104Ωcm(22℃×55%R
H)であった。次に、前記導電性弾性体層の上に表面層
を、実施例1と同様に静電塗装により形成した。得られ
た帯電ロールについて実施例1と同様のテストをおこな
った。この帯電ロールの体積抵抗は、105.0Ωcmを
示した。表面層の電気抵抗は105.3Ωcmであり、イ
オン導電性弾性体層と表面層の電気抵抗の差は、0.3
桁であった。また放電絶縁破壊を起こす電圧を測定した
ところ、2000Vであった。このときの表面被覆率は
95.6%であった。さらに、同一配合で同様に帯電ロ
ールを複数(10例以上)作製した場合、各帯電ロール
の抵抗分布は広く(2桁)、製造安定性はよくなかっ
た。また、2000V以下で絶縁破壊を起こすものが数
例みられた。
【0025】比較例2 ポリオールとしてポリエーテル系ポリオール(住友バイ
エルウレタン社製、SBUポリオール0363、水酸基
価=24mgKOH/g)を用いた。このポリオール1
00gにケッチェンブラックEC(ライオンアクゾー社
製)2gを添加して3本ロールで混練分散した。このポ
リオール102gに、反応調整剤として、1,8−ジア
ザビシクロー(5.4.0)ウンデセン−7のオクチル
酸塩であるu−catSA102(サンアプロ社製)
0.7gを、更に発泡剤として水1.0を添加して混合
し、混合ポリオール成分(ポリオールミックス)とし
た。イソシアネート成分としてポリメリックMDI(住
友バイエルウレタン社製、スミジュール44v−20、
NCO=31.5%)を用いた。イソシアネートと混合
ポリオール成分との官能基モル比[NCO]/[OH]
=1.02になるようにポリオールミックス100gに
対してポリメリックMDI20.2gを計量混合し、内
面を鏡面仕上げし、かつ外径6mmの芯材(ステンレス
棒)を取り付けた円筒状の金型に成形品密度が0.2g
/cm3になるように混合液を注入し、45℃で15分
架橋した後、脱型し芯材に導電性弾性体層を形成した。
次いで実施例1で使用したのと同じ表面層形成用塗料を
用い、実施例1と同様にマスキングを行った後、スプレ
ー塗装法によって表面層を形成して、帯電ロールを作製
した。得られた帯電ロールの体積抵抗は、105.3Ωc
mを示した。表面層の電気抵抗は106.5Ωcmであ
り、イオン導電性弾性体層と表面層の電気抵抗の差は、
1.2桁であった。また、帯電ロールの表面層は、膜厚
が均一でなく1200Vで絶縁破壊を起こした。このと
きの表面被覆率は95.6%であった。また、この帯電
ロールを感光体に接触させ,40℃×95%RHで30
日間保管テストを行ったところ、ブリード成分による感
光体の汚染が発生した。さらに、同一配合で同様に帯電
ロールを複数(10例以上)作製した場合、各帯電ロー
ルの抵抗分布は広く(2桁以上)、製造安定性はよくな
かった。また、2000V以下で絶縁破壊を起こすもの
が数例みられた。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の帯電ロー
ルは、吸水性をもつイオン導電性弾性体層の上に吸水性
のない表面層を静電塗装により形成しているため、均一
な厚さで電気的ピンホールがない表面層を形成すること
が可能であり、かつ電気的ピンホールのみならず、物理
的な塗膜欠陥(ピンホール等)もないため、この塗膜欠
陥を通って帯電ロールへ水分が浸入したり、また帯電ロ
ールからブリード成分が滲み出したりすることを効果的
に防止することができる。したがって、本発明の帯電ロ
ールは、環境による抵抗変動(帯電電位変動)を±1桁
以内に抑制することが可能で、環境変化(高温高湿、低
温低湿)にもかかわらず安定した帯電電位を長期間維持
することができる。また、本発明の帯電ロールは、電子
写真感光体へのブリード成分による汚染を防止できるほ
か、ピンホールリークを抑制できる等の効果が得られ
る。これに対し、スプレー塗装等により表面層の形成を
行うと、塗工漏れ、端部塗工不良、膜厚均一性がよくな
く、絶縁破壊が起こるのみならず、安定した帯電電位を
長期間維持することができない。さらに感光体表面へ弾
性体層の成分のブリードも発生する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の帯電ロールの一例を示すもので、その
軸方向に直角な切断面を概略的に示す図である。
【図2】本発明の帯電ロールの他の一例を示すもので、
その軸方向に平行な切断面を概略的に示す図である。
【図3】本発明の帯電ロールを使用する接触帯電型電子
写真装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
100:帯電ロール、101:導電性支持体、102:
弾性体層、103:表面層、105:円周面、106:
軸方向端面、7:感光体、8:帯電用部材、9:、電源
10:画像入力装置、11:現像装置、12:転写装
置、13:クリーニング装置、14:除電器、15:定
着装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16C 13/00 F16C 13/00 A (72)発明者 渡辺 龍児 三重県鈴鹿市伊船町1900番地 鈴鹿富士ゼ ロックス株式会社内 (72)発明者 信藤 卓也 三重県鈴鹿市伊船町1900番地 鈴鹿富士ゼ ロックス株式会社内 Fターム(参考) 2H003 BB11 CC05 3J103 AA02 AA14 AA51 EA20 FA15 FA30 GA02 GA52 GA57 GA58 GA60 HA04 HA12 HA20 HA41 HA43 HA53 4F006 AA31 AA37 AB19 AB32 AB35 AB72 BA07 CA01 4J002 AC071 AC081 AC091 BB151 BB181 CH041 CK021 EN136 FD116

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体にイオン導電性弾性体層お
    よび電子導電性物質を分散させた表面層を順次積層させ
    た帯電ロールであって、前記表面層が静電塗装により形
    成された塗膜であることを特徴とする帯電ロール。
  2. 【請求項2】 イオン導電性弾性体層がウレタンゴムま
    たはエピクロロヒドリンゴムに1種または2種以上の4
    級アンモニウム塩を配合したイオン導電性弾性体層であ
    ることを特徴とする請求項1に記載の帯電ロール。
  3. 【請求項3】 表面層が脂肪族ポリエステル樹脂、メラ
    ミン樹脂、導電性カーボンブラックおよびフッ素系高分
    子化合物の微粉末を含む塗布液から形成された表面層で
    あることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の
    帯電ロール。
  4. 【請求項4】 表面層の膜厚が2〜500μmであるこ
    とを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項
    に記載の帯電ロール。
  5. 【請求項5】 表面層の電気抵抗が、イオン導電性弾性
    体層の電気抵抗と同等かあるいはイオン導電性弾性体層
    の電気抵抗の±1桁以内に制御されていることを特徴と
    する請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の帯
    電ロール。
  6. 【請求項6】 表面層が、イオン導電性弾性体層の全表
    面積の少なくとも70%を覆うように形成されているこ
    とを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項
    に記載の帯電ロール。
  7. 【請求項7】 表面層が、イオン導電弾性体層の表面に
    加え、導電性支持体の少なくとも1つの端面を残して導
    電性支持体の表面にも形成されていることを特徴とする
    請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の帯電ロ
    ール。
  8. 【請求項8】 表面層が、イオン導電弾性体層上にベル
    型静電塗装によって形成されたことを特徴とする請求項
    1ないし請求項7のいずれか1項に記載の帯電ロール。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004113448A1 (ja) * 2003-06-18 2004-12-29 Bridgestone Corporation 高分子組成物、並びにこれを用いた高圧ホース、球技用ボール及び自転車用タイヤチューブ
JP2007206484A (ja) * 2006-02-03 2007-08-16 Canon Chemicals Inc 帯電ロール、プロセスカートリッジ及び電子写真装置
JP2009156906A (ja) * 2007-12-25 2009-07-16 Canon Inc 帯電部材、プロセスカートリッジ及び電子写真装置
JP2013071965A (ja) * 2011-09-27 2013-04-22 Tokai Rubber Ind Ltd ゴム組成物および帯電ロール
CN106629380A (zh) * 2016-12-27 2017-05-10 国网山东省电力公司临沂供电公司 多功能电器设备吊装绝缘抱箍

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