JP2000346484A - 水素吸蔵合金を利用した熱利用システム - Google Patents

水素吸蔵合金を利用した熱利用システム

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JP2000346484A JP15862999A JP15862999A JP2000346484A JP 2000346484 A JP2000346484 A JP 2000346484A JP 15862999 A JP15862999 A JP 15862999A JP 15862999 A JP15862999 A JP 15862999A JP 2000346484 A JP2000346484 A JP 2000346484A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の2段サイクルは、水素駆動部αにおい
て、加熱水に触れる容器(水素の放出を行う第1容器S
1 )と、放熱水に触れる容器(水素の吸蔵を行う第3容
器S3 )とを水素通路で連通させ、他の容器(第2容器
S2 )に通じる水素通路をバルブで閉じる構造を採用し
ていた。そこで、他の容器(第2容器S2)に昇圧水を
触れさせることで、他の容器(第2容器S2 )の水素吸
蔵合金の水素吸蔵を禁止して、水素通路からバルブを廃
止できる装置を考案した。しかし、考案した昇圧水供給
路15は、専用回路であったため、コストアップ等の要
因になっていた。 【解決手段】 昇圧水は、加熱水から分流させ、オリフ
ィス15Aで流量を絞って作られるものであり、昇圧水
供給路15が加熱水循環路22と共用されるため、冷房
装置における熱媒体回路全般をシンプル化できる。ま
た、昇圧水循環専用のポンプが不要になる。さらに、オ
リフィス15Aによって昇圧水温度が設定でき、昇圧水
の設定が容易に行える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水素吸蔵合金の水
素の吸蔵と放出とを繰り返して行わせ、水素の放出時に
生じる吸熱作用、あるいは水素の吸蔵時に生じる放熱作
用を利用して冷熱出力を得る水素吸蔵合金を利用した熱
利用システムに関する。
【0002】
【発明の背景】水素吸蔵合金を利用した熱利用システム
として、2段サイクルなどの多段サイクルが知られてい
る。従来の多段サイクルは、水素の放出を行う水素吸蔵
合金を封入する容器および水素の吸蔵を行う水素吸蔵合
金を封入する容器のみを水素通路で連通し、他の容器内
の水素吸蔵合金に連通する水素通路をバルブで閉じるも
のであった。水素通路をバルブで開閉するものは、バル
ブから水素の洩れが発生するなどの懸念がある。
【0003】そこで、上記の懸念を解決する手段とし
て、本願発明者は、特願平9−25564号を発明し
た。この発明は、水素の放出および吸蔵を行う水素吸蔵
合金を封入する一対の容器以外の容器を昇圧用の熱媒体
で温め、前記一対の容器以外の容器内を水素放出圧と同
圧以上に保つものであり、昇圧用の熱媒体と接触する室
内の水素吸蔵合金の水素吸蔵を禁止したものである。こ
れによって、水素通路にバルブを用いなくとも、水素を
放出する容器から水素を吸蔵する容器へ水素が確実に移
動する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】特願平9−25564
号では、昇圧用の熱媒体として、単独の回路を採用して
いた。つまり、昇圧用の熱媒体回路は、加熱用の熱媒体
回路、放熱用の熱媒体回路、冷熱出力用の熱媒体回路と
は別に設けられていた。このため、回路構成が複雑にな
るとともに、昇圧用の熱媒体駆動用のポンプ等が必要に
なり、コストアップや故障確率の上昇の要因になってい
た。
【0005】
【発明の目的】本発明は、上記の事情に鑑みてなされた
もので、その目的は、水素通路開閉用のバルブを設ける
ことなく作動可能な多段サイクルにおいて、熱媒体回路
を単純化できる水素吸蔵合金を利用した熱利用システム
の提供にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】〔請求項1の手段〕水素
吸蔵合金を利用した熱利用システムは、同一平衡水素圧
で水素平衡温度が異なる三種類以上の水素吸蔵合金をそ
れぞれ収容する3つ以上の容器と、これらの各容器を連
通する水素通路と、前記3つ以上の各容器に触れる熱媒
体温度を変更して、前記3つ以上の各容器の間で水素の
移動を行わせる熱媒体変更手段と、を備え、水素吸蔵合
金の水素の放出時の吸熱、あるいは水素の吸蔵時の放熱
を利用したものであって、少なくとも、水素の吸蔵に関
与する水素吸蔵合金を封入する容器以外の容器内を、水
素放出圧と同圧以上に保つ昇圧用の熱媒体は、前記三種
類以上の水素吸蔵合金のうちの最も高温の水素平衡温度
である水素吸蔵合金を収容する容器から、前記三種類以
上の水素吸蔵合金のうちの最も低温の水素平衡温度であ
る水素吸蔵合金を収容する容器へ水素を移動させる時
に、最も高温の水素平衡温度である水素吸蔵合金を収容
する容器と接触させる加熱用の熱媒体の一部によりなる
ことを特徴とする。
【0007】〔請求項2の手段〕請求項1の水素吸蔵合
金を利用した熱利用システムにおいて、前記昇圧用の熱
媒体は、前記加熱用の熱媒体の一部を分流させ、オリフ
ィスで流量を絞って作られることを特徴とする。
【0008】〔請求項3の手段〕請求項1または請求項
2の水素吸蔵合金を利用した熱利用システムにおいて、
前記昇圧用の熱媒体は、水素駆動部の第2容器から第1
冷熱出力部の第1容器の順で流れることを特徴とする。
【0009】
【発明の作用および効果】〔請求項1の作用および効
果〕昇圧用の熱媒体は加熱用の熱媒体の一部によってな
るため、昇圧用の熱媒体の専用回路が不要になる。つま
り、加熱用の熱媒体を駆動するポンプによって昇圧用の
熱媒体も駆動されるため、昇圧用の熱媒体専用のポンプ
が不要になる。また、昇圧用の熱媒体回路が、加熱用の
熱媒体回路と共用されるため、熱媒体回路をシンプル化
できる。このように、熱媒体回路がシンプル化できると
ともに、昇圧用の熱媒体専用のポンプが不要になること
により、コストを抑えることができるとともに、故障確
率を減らすことができる。
【0010】〔請求項2の作用および効果〕「セル方
式」における「昇圧熱媒」による熱の授受は規定時間内
の出力確保と成績係数悪化防止のため発生するが、その
機能から出入の熱量は小さい。オリフィスによるバイパ
ス流量は、「昇圧熱媒」の機能を損なわない温度が水素
駆動部の中温合金、第1冷熱出力部の高温合金に供給さ
れるよう、セルパートと合金の加熱または冷却の顕熱量
とそれぞの機能発揮の必要熱量を確認して規定する。そ
れぞれの所定温度以上の保持が条件である。水素駆動部
の中温合金セルパートに流入させる「昇圧熱媒」温度は
通過により降温するため流出する温度が所定の温度以上
となるように設定、第1冷熱出力部の高温合金セルパー
トに流入させる「昇温熱媒」温度は通過により昇温する
ため流入温度をまず所定の温度以上となるように設定す
る。
【0011】〔請求項3の作用および効果〕「昇圧熱
媒」のバイパス回路の中温合金セルパートと高温合金セ
ルパートを巡る順番は、 水素駆動部の中温合金用セルパートは、その前のプロ
セスでは第2冷熱出力部になっており冷熱出力水と同等
の温度(例えば13℃)であったためこれを加熱し昇温
させるため、流量が少なければ温度差が大きい方が都合
よく、 第1冷熱出力部の高温セルパートは、その前のプロセ
スでは水素駆動部として高温であり、第1冷熱出力部に
おいて高温合金の水素移動排除の機能を果たすには十分
な温度であるが、高温合金として次の第2冷熱出力部の
吸蔵を機能するためには冷却(放熱)を実施したほうが
都合よく、またそれはバイパス回路の熱媒を加熱する熱
回収となり、若干でも成績係数を向上させる。よって、
昇圧用の熱媒体は、第1冷熱出力部の高温合金を収容す
る第1容器から水素駆動部の中温合金を収容する第2容
器の順で流れるよりも、水素駆動部の第2容器から第1
冷熱出力部の第1容器の順で流れるようが良い。
【0012】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を、実
施例および変形例に基づき説明する。 〔実施例の構成〕この実施例は、水素吸蔵合金を利用し
た熱利用システムを室内空調用の冷房に適用したもの
で、この冷房装置1を図1〜図11を用いて説明する。
なお、本実施例の冷房装置1は、多段サイクルの一例と
して2段サイクルを用いたものである。
【0013】冷房装置1の概略構成を図2を用いて説明
する。冷房装置1は、水素吸蔵合金を用いた熱交換ユニ
ット2と、水素吸蔵合金を加熱する加熱水(加熱用の熱
媒体に相当する、本実施例では水)を作り出す燃焼装置
3と、水素吸蔵合金を冷却させる放熱水(放熱用の熱媒
体に相当する、本実施例では水)を放熱によって冷却す
る放熱水冷却手段4と、水素吸蔵合金の水素放出作用に
よって生じた吸熱によって冷却された冷熱出力水(冷熱
出力用の熱媒体に相当する、本実施例では水)で室内を
空調する室内空調機5と、搭載された各電気機能部品を
制御する制御装置6とから構成される。
【0014】なお、熱交換ユニット2、燃焼装置3、放
熱水冷却手段4および制御装置6は、室外機7として室
外に設置されるもので、室内には室内空調機5が配置さ
れる。また、本実施例に示す冷房装置1は、1つの室外
機7に対して、複数の室内空調機5が接続可能な所謂マ
ルチエアコンである。
【0015】(熱交換ユニット2の説明)熱交換ユニッ
ト2は、水素吸蔵合金と複数の熱媒体との熱交換を行う
熱交換器8と、複数の熱媒体の供給および排出を行う分
配器9とから構成される。この熱交換器8と分配器9と
から第1、第2、第3容器S1 、S2 、S3 (後述す
る)に触れる熱媒体の種類を変更する熱媒体変更手段が
構成される。なお、本実施例に示す熱交換器8は回転中
心側に円筒穴8aを備えた円筒形状を呈するもので、水
平方向に配置された円柱状の分配器9が前記円筒穴8a
内に回動自在に挿入され、分配器9の周囲を回転するよ
うに設けられている(図2では便宜上、分配器9が垂直
方向に配置された図を示す)。
【0016】熱交換器8は、図3、図4に示すような、
偏平でリング円盤形状を呈したリング円盤Rを多数積層
したもので、1つのリング円盤Rは、内部に水素吸蔵合
金を収納する偏平な合金収容室10{図5(a)のハッ
チング内参照、後述する第1〜第3容器S1 〜S3 }を
複数放射状に配置し、積層方向の合金容器(合金収容室
10を構成する容器)と合金容器との間に熱媒体通路1
1{図5(b)のハッチング内参照}を形成するもので
ある。
【0017】1つのリング円盤Rは、ステンレスあるい
は銅など、水素透過の無い金属をプレス成形した一対の
プレート12、13(図3参照)を対向して接合して構
成されるもので、その一対のプレート12、13は、一
方の面に合金収容室10形成用の窪みが形成され、他方
の面に熱媒体通路11形成用の窪みが形成されたもので
ある。そして、熱交換器8は、図3に示すように一対の
プレート12、13よりなるリング円盤Rを多数積層
し、合金容器の外端に水素通路S4 を確保するための連
結パイプS5 および端部閉塞蓋S6 を組付けるととも
に、円筒穴8aの内周に分配器摺接シール用の円筒パイ
プS7 を組付け、真空ろう付けや溶接等の接合方法によ
り接合したものである。なお、円筒パイプS7 には、分
配器9の外周面に形成された固定側給排穴A1(後述す
る)から、熱交換器8内の各熱媒体通路11への熱媒体
の供給と排出を行う回転側給排穴A2 (後述する)が形
成されている。
【0018】1つのリング円盤Rに形成される合金容器
の数は、2段サイクルの場合は3×n(n=正の整数)
であり、この実施例では、1つのリング円盤Rに6つの
合金容器が形成される例を示す。なお、3段サイクルの
場合は4×nである。1つのリング円盤Rに形成される
複数の合金容器は、円盤中心の周囲に巻付けられる形状
で配置される。これによって、熱交換ユニット2の占め
るスペース内における水素吸蔵合金の充填有効率が高く
なり、結果的に熱交換ユニット2を小型化できる。
【0019】多数のリング円盤Rを積層して構成される
合金容器は、高温合金HMが封入された第1容器S1 、
この第1容器S1 内に水素通路S4 を介して連通し、中
温合金MMが封入された第2容器S2 、この第2容器S
2 内に水素通路S4 を介して連通し、低温合金LMが封
入された第3容器S3 に分類される。
【0020】水素吸蔵合金は、水素平衡圧力が異なる3
種を用いたもので、第1容器S1 内に封入される高温合
金HMは同一平衡水素圧で水素平衡温度が最も高い高温
度水素吸蔵合金の粉末であり、第2容器S2 内に封入さ
れる中温合金MMは中温度水素吸蔵合金の粉末であり、
第3容器S3 内に封入される低温合金LMは同一平衡水
素圧で水素平衡温度が最も低い低温度水素吸蔵合金の粉
末である。この関係を図6のPT冷凍サイクル線図を用
いて説明すると、水素吸蔵合金の特性が、相対的に高温
側(図示左側)にあるのが高温合金HM、低温側にある
のが低温合金LM、両者の中間にあるのが中温合金MM
である。なお、粉末状の各合金HM、MM、LMは、第
1〜第3容器S1 〜S3 の内部に充填され、真空引きを
行い、活性化処理を施し、水素を高圧充填した後、合金
充填用開口部14を金属蓋(図示しない)で封止して封
入されるものである。
【0021】円筒状の熱交換器8は、円柱形状を呈する
分配器9の周囲を回転するように設けられている。熱交
換器8は、回転駆動手段(例えば、電動モータによって
熱交換器8を直接的あるいはギヤやベルト等を介して間
接的に回転駆動する手段)によって連続的に回転駆動さ
れるものである。
【0022】分配器9の構成を図7、図8に示す。分配
器9は、第1〜第3容器S1 〜S3に触れる熱媒体を切
り換えて供給するもので、円筒状の熱交換器8が分配器
9の周囲で回転することによって、各合金容器の間(積
層方向の間)の各熱媒体通路11に供給される熱媒体が
切り換えられ、水素通路S4 で連結される第1〜第3容
器S1 〜S3 が水素駆動部α→第1冷熱出力部β→第2
冷熱出力部γに移行する(図9参照)。
【0023】水素駆動部αは第1容器S1 内の水素、お
よび第2容器S2 内に残されている水素の一部を第3容
器S3 内に移動させる部位である。第1冷熱出力部βは
第3容器S3 内に移動した水素を第2容器S2 に移動さ
せる部位である。第2冷熱出力部γは第2容器S2 内の
水素および第3容器S3 内に残されている水素の一部を
第1容器S1 に移動させる部位である。なお、水素駆動
部α、第1冷熱出力部β、第2冷熱出力部γは、略12
0°間隔に設けられたもので、分配器9の外周面に形成
された各固定側給排穴A1 (後述する)の連通範囲によ
って区画されている。
【0024】水素駆動部αは、第1容器S1 と接触する
加熱水(例えば80℃ほど)が供給される第1加熱域α
1 、第2容器S2 と接触する昇圧水(例えば58℃ほ
ど)が供給される第2加熱補助域α2 、第3容器S3 と
接触する放熱水(例えば28℃ほど)が供給される第3
放熱域α3 を備える。第1冷熱出力部βは、第1容器S
1 と接触する昇圧水(例えば56℃ほど)が供給される
第1水素移動制限域β1 、第2容器S2 と接触する放熱
水(例えば28℃ほど)が供給される第2放熱域β2 、
第3容器S3 と接触する冷熱出力水(例えば13℃ほ
ど)が供給される第3冷熱出力域β3 を備える。第2冷
熱出力部γは、第1容器S1 と接触する放熱水(例えば
28℃ほど)が供給される第1放熱域γ1 、第2容器S
2 と接触する冷熱出力水(例えば13℃ほど)が供給さ
れる第2冷熱出力域γ2 、第3容器S3 と接触する冷熱
出力水(例えば13℃ほど)が供給される第3冷熱出力
補助域γ3 を備える。
【0025】この実施例では、「セル方式」としての出
力熱媒回路として、第2冷熱出力部γにおいても、低温
合金セルパートに出力熱媒(冷熱出力水)を供給して出
力熱媒回路を構成する。その回路順は、出力回路として
接続する第1冷熱出力部βの低温合金セルパート、第2
冷熱出力部γの中温合金セルパートに流入させる前に、
一旦第2冷熱出力部γの低温合金セルパートを通過させ
る。これは、第2冷熱出力部γの低温合金セルパート
は、その前のプロセスでは第1冷熱出力部βの出力セル
パートとしての温度に達しており、室内熱交換器から戻
りの出力熱媒がそのセルパートを通過することにより容
器と合金の顕熱分だけでも、更に第2冷熱出力部βにお
ける低温合金LMの予備放出反応熱(吸熱)も加わっ
て、冷却された上で、その後に第1冷熱出力部βの低温
合金セルパート、第2冷熱出力部γの中温合金セルパー
トに流入すると、負荷の軽減となる。この通過により、
低温合金セルパートは次が水素駆動部αの吸蔵として放
熱熱媒温度(例示では30℃)の昇温させる必要に対
し、若干でも昇温することになり、熱回収となって成績
係数のアップに寄与できる。なお、第1冷熱出力部βの
低温合金セルパート、第2冷熱出力部γの中温合金セル
パートに対する回路の構成はシリーズ接続とパラレル接
続、その混成が存在するが、サイクルに使用する合金種
や出力に合わせた設定が存在するため、ここでは論外と
する。
【0026】そして、回転駆動手段により熱交換器8が
回転することにより、第1容器S1の群が第1加熱域α1
→第1水素移動制限域β1 →第1放熱域γ1 を繰り返
し、第2容器S2 の群が第2加熱補助域α2 →第2放熱
域β2 →第2冷熱出力域γ2を繰り返し、第3容器S3
の群が第3放熱域α3 →第3冷熱出力域β3 →第3冷熱
出力補助域γ3 を繰り返す。
【0027】次に、分配器9と熱交換器8との熱媒体の
受渡しについて説明する。分配器9は、図7に示すよう
に、第1容器S1 の各間に形成される熱媒体通路11に
熱媒体を給排するための第1ブロック9aと、第2容器
S2 の各間に形成される熱媒体通路11に熱媒体を給排
するための第2ブロック9bと、第3容器S3 の各間に
形成される熱媒体通路11に熱媒体を給排するための第
3ブロック9cとを備えるとともに、第1ブロック9a
と第2ブロック9bの間に配置されて熱媒体の流れを1
20°捩じって変更する第1ジョイント9dと、第2ブ
ロック9bと第3ブロック9cの間に配置されて熱媒体
の流れを120°捩じって変更する第2ジョイント9e
とから構成される。
【0028】なお、この実施例の分配器9は、図8
(b)に示すように、第1〜第3容器S1 〜S3 に直列
的に熱媒体を供給する直列接続供給タイプを示すが、図
8(a)に示すように、第1〜第3容器S1 〜S3 に並
列的に熱媒体を供給する並列接続供給タイプを採用して
も良い。第1〜第3ブロック9a〜9cのそれぞれは、
水素駆動部α、第1冷熱出力部β、第2冷熱出力部γに
対応して配置されるもので、各部に応じて熱媒体の給排
用の固定側給排穴A1 が形成されている。
【0029】各固定側給排穴A1 を図7を用いて具体的
に説明する。第1ブロック9aには、第1加熱域α1 に
移行した第1容器S1 間の熱媒体通路11に加熱水を給
排するための固定側給排穴A1 、第1水素移動制限域β
1 に移行した第1容器S1 間の熱媒体通路11に昇圧水
を給排するための固定側給排穴A1 、第1放熱域γ1 に
移行した第1容器S1 間の熱媒体通路11に放熱水を給
排するための固定側給排穴A1 が形成されている。第2
ブロック9bには、第2加熱補助域α2 に移行した第2
容器S2 間の熱媒体通路11に昇圧水を給排するための
固定側給排穴A1 、第2放熱域β2 に移行した第2容器
S2 間の熱媒体通路11に放熱水を給排するための固定
側給排穴A1 、第2冷熱出力域γ2 に移行した第2容器
S2 間の熱媒体通路11に冷熱出力水を給排するための
固定側給排穴A1 が形成されている。第3ブロック9c
には、第3放熱域α3 に移行した第3容器S3 間の熱媒
体通路11に放熱水を給排するための固定側給排穴A1
、第3冷熱出力域β3 に移行した第3容器S3 間の熱
媒体通路11に冷熱出力水を給排するための固定側給排
穴A1 、第3冷熱出力補助域γ3 に移行した第3容器S
3 間の熱媒体通路11に冷熱出力水を給排するための固
定側給排穴A1 が形成されている。なお、各固定側給排
穴A1 のそれぞれは、供給側と排出側が軸方向にずれて
配置されている。
【0030】熱交換器8の内周面には、上述したよう
に、分配器摺接シール用の円筒パイプS7 が接合されて
おり、この円筒パイプS7 には、分配器9の固定側給排
穴A1を介して熱媒体の給排を行う複数の回転側給排穴
A2 が形成されている。本実施例の熱交換器8は、合金
容器が周方向に6つ形成されたリング円盤Rを軸方向に
多数積層したものであるため、積層方向に隣接する第1
容器S1 の群は、第1ブロック9aの周囲に周方向に6
つ配置され、積層方向に隣接する第2容器S2 の群は、
第2ブロック9bの周囲に周方向に6つ配置され、積層
方向に隣接する第3容器S3 の群は、第3ブロック9c
の周囲に周方向に6つ配置される。このため、円筒パイ
プS7 には、第1容器S1 の6つの群のために供給側と
排出側の合わせて12コの回転側給排穴A2 が形成され
ており、第2容器S2 の6つの群のために供給側と排出
側の合わせて12コの回転側給排穴A2 が形成されてお
り、第3容器S3 の6つの群のために供給側と排出側の
合わせて12コの回転側給排穴A2 が形成されている。
なお、各回転側給排穴A2 のそれぞれは、供給側と排出
側が軸方向(合金容器の積層方向)にずれて配置されて
いる。
【0031】上述したように、積層方向に隣接する合金
容器と合金容器との間に熱媒体通路11が形成されてお
り、合金容器には第1、第2、第3容器S1 、S2 、S
3 のそれぞれの範囲内で積層方向に貫通する貫通穴A3
が設けられており、各熱媒体通路11は、貫通穴A3 を
介して隣接する熱媒体通路11に連通している。この実
施例の熱交換器8は、円筒パイプS7 の回転側給排穴A
2 の供給側から熱交換器8内に供給された熱媒体を、各
熱媒体通路11に分配して供給する並列接続供給タイプ
を採用している。このため、各合金容器には、熱媒体供
給用の貫通穴A3 と、熱媒体排出用の貫通穴A3 の両方
が形成されている。なお、熱交換器8は、各合金容器に
熱媒体供給用の貫通穴A3 と熱媒体排出用の貫通穴A3
の両方が形成されたリング円盤R1 (図10、a参照)
と、第1容器S1 の群と第2容器S2 の群との境界の仕
切、及び第2容器S2 の群と第3容器S3 の群との境界
の仕切に用いられ、各合金容器に貫通穴A3 のない仕切
用のリング円盤R2(図10、b参照)とを組み合わせ
て構成されるものである。
【0032】熱交換器8内に供給された熱媒体の流れを
図11を参照して説明する。回転側給排穴A2 の供給側
(図11の上方)から熱交換器8内に供給された熱媒体
は、各熱媒体通路11を連通させる熱媒体供給用の貫通
穴A3 を介して熱交換器の軸方向(図11の下方向)に
流れ、その熱媒体供給用の貫通穴A3 から各熱媒体通路
11に分配して供給される。各熱媒体通路11を通過し
た熱媒体は、各熱媒体通路11を連通させる熱媒体排出
用の貫通穴A3 にて収集されるとともに、その熱媒体排
出用の貫通穴A3 を介して熱交換器の軸方向(図11の
下方向)に流れる。そして、熱媒体排出用の貫通穴A3
によって、図11の下方に流れた熱媒体は、回転側給排
穴A2 の排出側(図11の下方)から分配器9の固定側
給排穴A1(排出側)に排出される。つまり、熱交換器
8の各容器S1 、S2 、S3 内において、合金容器の積
層方向に貫通して設けられた貫通穴A3 によって熱媒体
は軸方向へ流れるため、熱交換器8の内周に設けられる
回転側給排穴A2 の供給側と排出側とを軸方向にずらし
て配置することができる。
【0033】(燃焼装置3の説明)本実施例の燃焼装置
3は、燃料であるガスを燃焼して熱を発生させ、発生し
た熱によって加熱水を加熱するガス燃焼装置を用いたも
ので、ガスの燃焼を行うガスバーナ16、このガスバー
ナ16へガスの供給を行うガス量調節弁17およびガス
開閉弁18を備えたガス供給回路19、ガスバーナ16
へ燃焼用の空気を供給する燃焼ファン20、ガスの燃焼
熱と加熱水とを熱交換する熱交換器21等から構成され
る。そして、ガスバーナ16のガス燃焼で得られた熱
で、加熱水を例えば80℃程に加熱し、加熱された加熱
水を加熱水循環ポンプP1 を備えた加熱水循環路22を
介して第1加熱域α1 に供給するものである。
【0034】第2加熱補助域α2 と第1水素移動制限域
β1 とに昇圧水を供給する昇圧水供給路15は、図1に
示すように、加熱水循環路22から分岐して、水素駆動
部αの第2容器S2 から第1冷熱出力部βの第1容器S
1 の順で流れるように設けられたもので、下流側に配置
したオリフィス15Aによって流速を下げ、第2加熱補
助域α2 の昇圧水の温度を例えば58℃程(第2容器S
2 の内部を水素放出圧より高くして、中温合金MMが水
素の放出を行う温度)にするとともに、第1水素移動制
限域β1 の昇圧水の温度を例えば56℃程(第1容器S
1 内において高温合金HMが水素の吸蔵および放出を行
わない温度)にするものである。なお、昇圧水供給路1
5の上流端(加熱水循環路22との分岐点)は、図1
(a)に示すように水素駆動部αの第1容器S1 の上流
側であっても良いし、図1(b)に示すように水素駆動
部αの第1容器S1 の下流側であっても良い。
【0035】図1(a)は、高温合金セルパート流入前
分岐=水素駆動部αの「加熱水」が高温合金セルパート
に流入する前の回路(加熱水循環路22)に分岐を設け
てバイパスを引出し、そのバイパス流量を分岐したバイ
パス回路(昇圧水供給路15)が再びメイン回路(加熱
水循環路22)に合流する手前に設けたオリフィス15
Aの作用により規定するものである。図1(b)は、高
温合金セルパート流出後分岐=水素駆動部αの「加熱
水」が高温合金HMの水素放出用の熱量を供給して機能
を果たし降温した状態となって高温合金セルパートから
流出してくる回路(加熱水循環路22)の、加熱ユニッ
トに戻る回路のユニットより遠い部分に分岐を設けてバ
イパスを引出し、そのバイパス流量を、分岐後のメイン
回路(加熱水循環路22)に設けたオリフィス22A
(バイパス流の圧力を確保するためのメイン流に対する
通過抵抗)と、分岐したバイパス回路(昇圧水供給路1
5)が再びメイン回路(加熱水循環路22)に合流する
手前に設けたオリフィス15A(バイパス流の圧力も反
映させて流量を設定)の、双方の作用に規定するもので
ある。
【0036】ここで、「昇圧熱媒」のバイパス回路の中
温合金セルパートと高温合金セルパートを巡る順番は、
水素駆動部αの中温合金用セルパートは、その前のプ
ロセスでは第2冷熱出力部γになっており冷熱出力水と
同等の温度(例えば13℃)であったためこれを加熱し
昇温させるため、流量が少なければ温度差が大きい方が
都合よく、第1冷熱出力部βの高温セルパートは、そ
の前のプロセスでは水素駆動部αとして高温であり、第
1冷熱出力部βにおいて高温合金HMの水素移動排除の
機能を果たすには十分な温度であるが、高温合金HMと
して次の第2冷熱出力部γの吸蔵を機能するためには冷
却(放熱)を実施したほうが都合よく、またそれはバイ
パス回路の熱媒を加熱する熱回収となり、若干でも成績
係数を向上させる。よって、昇圧用の熱媒体は、第1冷
熱出力部βの第1容器S1 から水素駆動部αの第2容器
S2 の順で流れるよりも、水素駆動部αの第2容器S2
から第1冷熱出力部βの第1容器S1 の順で流れるよう
が良い。
【0037】(室内空調機5の説明)室内空調機5は、
上述のように室内に配置されるもので、内部に室内熱交
換器23、この室内熱交換器23に供給される冷熱出力
水と室内空気とを強制的に熱交換し、熱交換後の空気を
室内に吹き出させるための室内ファン24を備える。室
内熱交換器23には、第3冷熱出力域β3 および第2冷
熱出力域γ2 から供給される冷熱出力水を循環させる冷
熱出力水循環路25が接続され、この冷熱出力水循環路
25の途中(室外機7内)には、冷熱出力水を循環させ
る冷熱出力水ポンプP2 (出力ポンプに相当する)が設
けられている。
【0038】(放熱水冷却手段4の説明)放熱水冷却手
段4は、水冷開放型の冷却塔であり、この放熱水冷却手
段4によって冷却された放熱水は、放熱水循環ポンプP
3 を備えた放熱水循環路26によって第3放熱域α3 、
第2放熱域β2 、第1放熱域γ1 に供給される。放熱水
冷却手段4は、第3放熱域α3 、第2放熱域β2 、第1
放熱域γ1 を通過した放熱水を、上方から下方へ流し、
流れている間に外気と熱交換して放熱するとともに、流
れている間に一部蒸発させて、蒸発時に流れている放熱
水から気化熱を奪い、流れている放熱水を冷却するもの
である。また、この放熱水冷却手段4は、図示しない放
熱ファンを備え、この放熱ファンの生じる空気流によっ
て放熱水の蒸発および冷却を促進するように設けられて
いる。なお、この実施例では、放熱水冷却手段4として
水冷開放型の冷却塔を示すが、放熱水(放熱用の熱媒
体)が空気に触れずに熱交換する水冷密閉型あるいは空
冷密閉型の冷却手段を用いても良い。
【0039】ここで、上記に示す加熱水循環路22、冷
熱出力水循環路25および放熱水循環路26は、それぞ
れシスターンT1 、T2 、T3 を備えており、シスター
ンT1 、T2 、T3 内の水位が所定水位以下に低下する
と、それぞれに設けられた給水バルブT4 、T5 、T6
が開き、給水管27から供給される水道水をシスターン
T1 、T2 、T3 内に補充するように設けられている。
また、熱交換ユニット2の下部にはドレンパンPが配置
され、熱交換ユニット2に発生したドレン水を排水管2
8から排水するように設けられている。なお、放熱水冷
却手段4で溢れた水も排水管28から排水するように設
けられている。
【0040】(制御装置6の説明)制御装置6は、室内
空調機5に設けられたコントローラからの操作指示や、
複数設けられた各センサの入力信号に応じて、上述の加
熱水循環ポンプP1 、冷熱出力水ポンプP2 、放熱水循
環ポンプP3 、給水バルブT4 、T5 、T6 、放熱水冷
却手段4の放熱ファンなどの電気機能部品、および燃焼
装置3の電気機能部品(図示しない点火装置、ガス量調
節弁17、ガス開閉弁18、燃焼ファン20等)を制御
するとともに、室内空調機5に室内ファン24の作動指
示を与えるものである。
【0041】(冷房運転の作動説明)上記の冷房装置1
による冷房運転の作動を、図6のPT冷凍サイクル線図
を参照して説明する。冷房運転が室内空調機5のコント
ローラによって指示されると、制御装置6によって、燃
焼装置3、回転駆動手段、放熱ファンおよび加熱水循環
ポンプP1 、冷熱出力水ポンプP2 、放熱水循環ポンプ
P3 が作動するとともに、冷房が指示された室内空調機
5の室内ファン24をONする。
【0042】回転駆動手段によって、熱交換器8が連続
的に回転移動する。これによって、多数の合金容器が、
水素駆動部α→第1冷熱出力部β→第2冷熱出力部γの
順で移動する。つまり、各第1容器S1 が第1加熱域α
1 →第1水素移動制限域β1 →第1放熱域γ1 の順で移
動し、各第2容器S2 が第2加熱補助域α2 →第2放熱
域β2→第2冷熱出力域γ2 の順で移動し、各第3容器
S3 が第3放熱域α3 →第3冷熱出力域β3 →第3冷熱
出力補助域γ3 の順で移動する。
【0043】水素駆動部αへ移行すると、第1容器S1
が加熱水に触れ、第2容器S2 が昇圧水に触れ、第3容
器S3 が放熱水に触れる。第1容器S1 が加熱水(80
℃)に触れることにより、第1容器S1 の内圧が上昇
し、高温合金HMが水素を放出する。第2容器S2 が昇
圧水(58℃)に触れることにより、第2容器S2 の内
圧が上昇し、中温合金MMが水素を放出する。第3容器
S3 が放熱水(28℃)に触れることにより、第3容器
S3 の内圧が下がり、低温合金LMが水素を吸蔵する。
【0044】このように、第1容器S1 が第1加熱域α
1 で加熱水に触れ、第2容器S2 が第2加熱補助域α2
で昇圧水に触れ、第3容器S3 が第3放熱域α3 の放熱
水に触れることにより、第1容器S1 内が80℃:1.
0MPa、第2容器S2 内が58℃:1.0MPa、第
3容器S3 内が28℃:0.9MPaとなり、第1容器
S1 の高温合金HMが水素を放出(図6の)するとと
もに、第2容器S2 の中温合金MMも少量の水素を放出
(図6の’)し、第3容器S3 の低温合金LMは高
温、中温合金HM、MMから放出された水素を吸蔵する
(図6の)。そして、水素駆動部αを通過すると、そ
の後第1冷熱出力部βへ移動する。
【0045】第1冷熱出力部βへ移行すると、第1容器
S1 が昇圧水に触れ、第2容器S2が放熱水に触れ、第
3容器S3 が冷熱出力水に触れる。第1容器S1 が昇圧
水(56℃)に触れることにより、第1容器S1 の内圧
が高温合金HMが水素の吸蔵および放出を行わない圧力
に設定される。第2容器S2 が放熱水(28℃)に触れ
ることにより、第2容器S2 の内圧が下がり、中温合金
MMが水素を吸蔵し、第3容器S3 の低温合金LMが水
素を放出する。低温合金LMが水素を放出するため、第
3容器S3 内で吸熱が生じ、第3容器S3 に触れた冷熱
出力水が例えば7℃に冷やされる。なお、低温合金LM
は、冷熱出力水が13℃くらいでは、第3容器S3 の内
圧が第2容器S2 の内圧より高くなるように設けられて
いる。
【0046】このように、第1容器S1 が第1水素移動
制限域β1 で昇圧水に触れ、第2容器S2 が第2放熱域
β2 で放熱水に触れ、第3容器S3 が第3冷熱出力域β
3 の冷熱出力水に触れることにより、第1容器S1 内が
56℃:0.5MPa、第2容器S2 内が28℃:0.
4MPa、第3容器S3 内が13℃:0.5MPaとな
り、第3容器S3 の低温合金LMが水素を放出(図6の
)し、第2容器S2の中温合金MMが水素を吸蔵(図
6の)する。第3容器S3 の低温合金LMが水素を放
出する際、吸熱作用により第3容器S3 に触れる冷熱出
力水から熱を奪い冷熱出力水の温度を低下させる。な
お、第1容器S1 は、昇圧水に触れて高温合金HMは水
素の吸蔵および放出は行わない。そして、第1冷熱出力
部βを通過すると、その後第2冷熱出力部γへ移動す
る。
【0047】第2冷熱出力部γへ移行すると、第1容器
S1 が放熱水に触れ、第2容器S2および第3容器S3
が冷熱出力水に触れる。第1容器S1 が放熱水(28
℃)に触れることにより、第1容器S1 の内圧が下が
り、高温合金HMが水素を吸蔵する。中温合金MMおよ
び低温合金LMが水素を放出するため、第2容器S2 お
よび第3容器S3 内で吸熱が生じ、第2容器S2 および
第3容器S3 に触れた冷熱出力水が例えば7℃に冷やさ
れる。なお、中温合金MMも、冷熱出力水が13℃くら
いでは、第2容器S2 の内圧が第1容器S1 の内圧より
高くなるように設けられている。
【0048】このように、第1容器S1 が第1放熱域γ
1 で放熱水に触れることにより、第1容器S1 内が28
℃:0.1MPa、第2容器S2 内が13℃:0.2M
Pa、第3容器S3 内が13℃:0.5MPaとなり、
第2容器S2 の中温合金MMが水素を放出(図6の)
するとともに、第3容器S3 の低温合金LMも水素を放
出(図6の’)し、第1容器S1 の高温合金HMが水
素を吸蔵する(図6の)。第2容器S2 の中温合金M
Mおよび第3容器S3 の低温合金LMが水素を放出する
際、吸熱作用により第2容器S2 および第3容器S3 に
触れる冷熱出力水から熱を奪い冷熱出力水の温度を低下
させる。そして、第2冷熱出力部γを通過すると、その
後水素駆動部αへ移動する。
【0049】なお、熱交換ユニット2の第3冷熱出力域
β3 、第2冷熱出力域γ2 および第3冷熱出力補助域γ
3 で熱を奪われた低温の冷熱出力水は、冷熱出力水循環
路25を介して室内空調機5の室内熱交換器23に供給
されて、室内に吹き出される空気と熱交換されて室内を
冷房する。
【0050】〔実施例の効果〕上記の実施例で示したよ
うに、昇圧水は加熱水の一部であり、昇圧水供給路15
が加熱水循環路22と共用されるため、昇圧水専用回路
が不要になる。つまり、加熱水循環ポンプP1 によって
昇圧水も駆動されるため、昇圧水循環用のポンプが不要
になる。また、昇圧水供給路15が加熱水循環路22と
共用されるため、熱媒体回路全般をシンプル化できる。
このように、熱媒体回路全般をシンプル化できるととも
に、昇圧水循環用のポンプが不要になることにより、冷
房装置1のコストを抑えることができるとともに、冷房
装置1の故障確率を減らすことができる。
【0051】一方、「セル方式」における「昇圧熱媒」
による熱の授受は規定時間内の出力確保と成績係数悪化
防止のため発生するが、その機能から出入の熱量は小さ
い。オリフィス15Aによるバイパス流量は、「昇圧熱
媒」の機能を損なわない温度が水素駆動部αの中温合金
MM、第1冷熱出力部βの高温合金HMに供給されるよ
う、セルパートと合金の加熱または冷却の顕熱量とそれ
ぞの機能発揮の必要熱量を確認して規定する。それぞれ
の所定温度以上の保持が条件である。水素駆動部αの中
温合金セルパートに流入させる「昇圧熱媒」温度は通過
により降温するため流出する温度が所定の温度以上とな
るように設定、第1冷熱出力部βの高温合金セルパート
に流入させる「昇温熱媒」温度は通過により昇温するた
め流入温度をまず所定の温度以上となるように設定す
る。
【0052】〔変形例〕上記の実施例では、水素駆動部
αにおいて、昇圧水によって容器(第2容器S2 )内を
水素放出圧より高く保つようにして、その容器の水素吸
蔵合金(中温合金MM)から水素を放出させた例を示し
たが、水素駆動部αにおいて昇圧水の触れる容器の水素
吸蔵合金(中温合金MM)から水素の放出禁止を行うよ
うにしても良い。上記の実施例では、第2冷熱出力部γ
において、冷熱出力水によって容器(第3容器S3 )内
を水素放出圧より高く保つようにして、その容器の水素
吸蔵合金(低温合金LM)から水素を放出させた例を示
したが、第2冷熱出力部γにおいて冷熱出力水の触れる
容器の水素吸蔵合金(低温合金LM)から水素の放出禁
止を行うようにしても良い。
【0053】上記の実施例では、熱交換器8の外周側で
熱媒体がターンして内側に戻る熱媒体通路11を採用し
た並列接続供給タイプを採用した例を示したが、図12
(a)に示すように、熱媒体がターンしない熱媒体通路
11を採用した並列接続供給タイプを採用しても良い。
また、図12(b)、(c)に示すような直列接続供給
タイプや、図12(d)に示すような並列接続供給と直
列接続供給の混成タイプを採用しても良い。
【0054】上記の実施例では、冷房専用の装置を例に
示したが、冷暖房装置に適用しても良い。具体的な一例
を示すと、燃焼装置3で加熱された加熱水を室内空調機
5の室内熱交換器23に導いて室内暖房を行うように設
けても良い。また、燃焼装置3で加熱された加熱水を床
暖房マット、浴室乾燥機などに接続し、加熱水の供給に
よって床暖房、浴室暖房などを行うように設けても良
い。
【0055】上記の実施例では、一対のプレート12、
13を接合したリング円盤R内に複数の合金容器を構成
した例を示したが、図13に示すように、一対のプレー
トで1つの合金容器を構成するように設けても良い。つ
まり、一対のプレートで1つの合金容器を構成し、それ
らを周方向に組合わせてリング円盤状に構成し、そのリ
ング円盤状の複数の合金容器を軸方向に積層して筒状の
熱交換器8を構成しても良い。また、上記の実施例で
は、熱交換器8の外周囲形状を円筒に設けた例を示した
が、例えば外周囲形状を六角筒形状に設け、中心側に回
転側給排穴A2 が形成される円筒穴8aを設けるように
しても良い。
【0056】上記の実施例では、熱交換器8を回転駆動
手段によって連続的に回転させた例を示したが、熱交換
器8を間欠的に回転移動させても良い。上記の実施例で
は熱交換器8の回転軸(分配器9)を水平に配置した例
を示したが、垂直に配置したり、斜めに配置しても良
い。また、第1容器S1 、第2容器S2 、第3容器S3
の配置順序を変形し、各合金容器に触れる熱媒体の切替
も熱交換ユニットが成り立つようにしても良い。上記の
実施例では、熱交換ユニット2の一例として、2段サイ
クルを用いた例を示したが、3段サイクル以上としても
良い。
【0057】上記の実施例では、1つの室外機7に複数
の室内空調機5が接続可能なマルチエアコンを示した
が、1つの室外機7に1つの室内空調機5が接続される
エアコンに本発明を適用しても良い。上記の実施例で
は、熱交換ユニット2によって得られた冷熱出力用の熱
媒体(実施例中では冷熱出力水)で室内を冷房する例を
示したが、冷熱出力用の熱媒体で冷蔵運転や冷凍運転に
用いるなど、本発明を他の冷却装置として用いても良
い。上記の実施例では、1つの熱交換ユニット2(1つ
の分配器9と1つの熱交換器8によって構成されるユニ
ット)を用いた例を示したが、複数の熱交換ユニット2
を搭載して冷却能力を増大させ、ビル用空調システムな
ど大きな冷却能力が要求される冷却装置に用いても良
い。
【0058】上記の実施例では、加熱用の熱媒体(実施
例中では加熱水)を加熱する加熱手段として、ガスを燃
焼するガス燃焼装置を用いたが、石油を燃焼する石油燃
焼装置など、他の燃焼装置を用いても良いし、内燃機関
の排熱によって加熱用の熱媒体を加熱する加熱手段、ボ
イラーによる蒸気、電気ヒータを用いた加熱手段など、
他の加熱手段を用いても良い。なお、内燃機関の排熱を
利用する際は、車両用に用いることもできる。上記の実
施例では、各熱媒体の一例として、水道水を用いたが、
不凍液やオイルなど他の液体の熱媒体を用いても良い
し、空気など気体の熱媒体を用いても良い。
【0059】上記の実施例では、水素吸蔵合金が水素を
放出する際の吸熱作用により冷熱出力を得る冷却装置を
例に示したが、水素吸蔵合金が水素を吸蔵する際の放熱
作用により温熱出力を得る加熱装置(例えば暖房装置な
ど)に本発明を適用しても良い。上記の実施例では、熱
交換器8が回転して熱媒体が変更される例を示したが、
固定された熱交換器8に熱媒体を切り換えて供給するよ
うに設けても良い。上記の実施例では、複数の容器を軸
方向に重ねた熱交換器8を示したが、内部の水素吸蔵合
金と熱媒体とが熱交換されるいかなる熱交換器を用いて
も良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱媒体の流れを示す説明図である(実施例)。
【図2】冷房装置の概略構成図である(実施例)。
【図3】熱交換器の断面図である(実施例)。
【図4】リング円盤の平面図である(実施例)。
【図5】合金収容室および熱媒体通路の説明図である
(実施例)。
【図6】PT冷凍サイクル線図である(実施例)。
【図7】分配器による熱媒体の流れを示す説明図である
(実施例)。
【図8】分配器における並列接続供給と直列接続供給の
説明図である(実施例)。
【図9】熱交換ユニットの作動説明図である(実施
例)。
【図10】リング円盤の平面図である(実施例)。
【図11】熱交換器内における熱媒体の流れを示す説明
図である(実施例)。
【図12】熱交換器内における熱媒体の流れを示す説明
図である(変形例)。
【図13】リング円盤の平面図である(変形例)。
【符号の説明】
HM 高温合金(高温水素吸蔵合金) MM 中温合金(中温水素吸蔵合金) LM 低温合金(低温水素吸蔵合金) S1 第1容器 S2 第2容器 S3 第3容器 S4 水素通路 1 冷房装置 8 熱交換器 9 分配器 15 昇圧水供給路(昇圧用の熱媒体が流れる回路) 15A オリフィス 22 加熱水循環路(加熱用の熱媒体が流れる回路)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】同一平衡水素圧で水素平衡温度が異なる三
    種類以上の水素吸蔵合金をそれぞれ収容する3つ以上の
    容器と、 これらの各容器を連通する水素通路と、 前記3つ以上の各容器に触れる熱媒体温度を変更して、
    前記3つ以上の各容器の間で水素の移動を行わせる熱媒
    体変更手段と、を備え、 水素吸蔵合金の水素の放出時の吸熱、あるいは水素の吸
    蔵時の放熱を利用した水素吸蔵合金を利用した熱利用シ
    ステムであって、 少なくとも、水素の吸蔵に関与する水素吸蔵合金を封入
    する容器以外の容器内を、水素放出圧と同圧以上に保つ
    昇圧用の熱媒体は、 前記三種類以上の水素吸蔵合金のうちの最も高温の水素
    平衡温度である水素吸蔵合金を収容する容器から、前記
    三種類以上の水素吸蔵合金のうちの最も低温の水素平衡
    温度である水素吸蔵合金を収容する容器へ水素を移動さ
    せる時に、最も高温の水素平衡温度である水素吸蔵合金
    を収容する容器と接触させる加熱用の熱媒体の一部によ
    りなることを特徴とする水素吸蔵合金を利用した熱利用
    システム。
  2. 【請求項2】請求項1の水素吸蔵合金を利用した熱利用
    システムにおいて、 前記昇圧用の熱媒体は、前記加熱用の熱媒体の一部を分
    流させ、オリフィスで流量を絞って作られることを特徴
    とする水素吸蔵合金を利用した熱利用システム。
  3. 【請求項3】請求項1または請求項2の水素吸蔵合金を
    利用した熱利用システムにおいて、 前記昇圧用の熱媒体は、水素駆動部の第2容器から第1
    冷熱出力部の第1容器の順で流れることを特徴とする水
    素吸蔵合金を利用した熱利用システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2011054950A3 (de) * 2009-11-06 2012-06-14 Behr Gmbh & Co. Kg Wärmepumpe nach dem adsorptionsprinzip
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