JP2000342173A - 青果物の鮮度保持方法及び青果物の包装方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な操作によってレタス、アスパラガス、
枝豆、さやえんどう等の青果物の鮮度を効果的に保持す
ることができ、見栄えの良い商品として提供可能とす
る。 【解決手段】 貯溜水にトリマリン鉱石を浸漬させて得
たトルマリン水を用いて、青果物を洗浄した後、出荷す
る。また、収穫した青果物の根を切り落とした切り口を
前記トルマリン水を用いて洗浄した後、出荷する。ま
た、青果物を梱包する梱包体にトルマリン鉱石を同封し
て出荷し、青果物を密封パックする際に、包装体内にト
ルマリン鉱石を封入する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は青果物を鮮度よく保
持するための鮮度保持方法及び青果物を鮮度よく保持す
るための青果物の包装方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】レタス、ブロッコリー、アスパラガス等
の野菜、一般果物等の青果物は生産地から物流を経て市
場に提供されるが、これらの品物はできるだけ鮮度が保
持された状態で消費者に提供されることが望ましい。そ
のため生産地から短時間で消費者に提供するといった物
流の問題と同時に、青果物の鮮度ができるだけ長時間保
持できるように工夫して包装したり、処理したりしてい
る。たとえば、青果物をトレイに収納してラッピングす
る際に酸化防止剤を封入するといった方法である。

【０００３】ところで、レタスなどの野菜は収穫した
後、野菜を洗浄したり、かたちを整えたりしてから物流
にのせられる。この場合の野菜の洗浄は、野菜の汚れを
落として見栄えをよくするとともに、野菜の鮮度を保持
するという意味もある。たとえば、レタスなどでは、収
穫した後、傷んだ葉を取り除き、切り落とした根の部分
を水洗いしてから包装して物流にのせられる。市場で提
供される野菜の見栄えや新鮮さは、商品価値としてきわ
めて重要な要素である。上記のレタスなどでは、葉の色
が黄色に変色（褐変）したり、乾いたりすると商品価値
が低くなるから、低温で管理したり、適宜湿度下で管理
するといったことがなされている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記のようにレタス等
の野菜は、見栄えや新鮮さが商品としての価値に大きく
影響するから、常時点検して、良い状態で品物が提供さ
れるようにしている。たとえば、レタスでは切り落とし
た根の部分の褐変が品物の新鮮さを評価するひとつのポ
イントである。収穫時に切り落とした根元部分を水洗い
するようにしているのは、根元部分をきれいにして異物
や菌などを洗い流し、腐敗などが進まないようにする意
味がある。生鮮野菜は市場に提供されてからできるだけ
短時間のうちに消費されることが望ましく、鮮度の点か
らも消費されるまでに何日もかかることは望ましくな
い。しかしながら、生鮮野菜でも、消費されるまでには
少なくとも数日程度はかかるから、このような場合に、
褐変等が生じると商品価値が急激に下がり、場合によっ
ては商品を廃棄しなければならないといった問題が生じ
る。

【０００５】このように、生鮮野菜、果物等の青果物は
収穫した後、変質しやすいという性質があるから、でき
るだけ変質が生じないように処理して鮮度が保持できる
ようにすることは商品価値を維持する上できわめて有効
である。ただし、青果物は食品として提供されるもので
あるから、その処理については十分な安全性が確保され
るものでなければならない。本発明はこのような変質し
やすい青果物が変質、褐変することを抑え、これによっ
て商品価値を好適に維持することができる青果物の鮮度
保持方法および青果物を鮮度よく提供できる青果物の包
装方法を提供することを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は次の構成を備える。すなわち、青果物の鮮
度保持方法として、貯溜水にトリマリン鉱石を浸漬させ
て得たトルマリン水を用いて、青果物を洗浄した後、出
荷することを特徴とする。また、収穫した青果物の根を
切り落とした切り口を前記トルマリン水を用いて洗浄し
た後、出荷することは、青果物の鮮度を保持し、青果物
の切り口の褐変を防止する上で有効である。また、青果
物を梱包する梱包体にトルマリン鉱石を同封して出荷す
ることは、青果物の輸送途中等における鮮度保持が好適
になされる点で有効である。また、青果物の包装方法と
して、青果物を密封パックする際に、包装体内にトルマ
リン鉱石を封入することは、青果物の鮮度を保持する上
で有効である。また、小片状の基材表面に、トルマリン
鉱石の粉体を塗着させた鮮度保持剤を前記包装体内に同
封することを特徴とする。小片状の鮮度保持剤であるこ
とから、取扱いが容易であるという利点がある。

【０００７】

【発明の概要】本発明に係る青果物の鮮度保持方法は、
トルマリン鉱石による作用を利用して野菜および果物等
の青果物の鮮度を好適に維持する方法を提供するもので
ある。トルマリン鉱石は、青、赤、黒等の色彩を有する
天然鉱物である。青、赤等のトルマリン鉱石は宝石とし
ても使用されている。このトルマリン鉱石は、遠赤外線
を発生させる作用の他、抗菌、殺菌、消臭作用等を奏す
ることが知られている。たとえば、水道水にトルマリン
鉱石を入れておくと、塩素臭が抜け、水質が改善されて
やわらかい水になる。

【０００８】本発明はこのトルマリン鉱石による作用を
野菜、果物等の青果物の鮮度保持に有効に利用するもの
である。なお、本出願でトルマリン水という場合は、容
器内に貯溜した水にトルマリン鉱石を浸漬して得た水の
ことをいう。およそ、１リットルの水にトルマリン鉱石
を１０グラム程度入れればよい。トルマリン鉱石を入れ
ている時間は数分から数十分程度である。１０リットル
の純水にトルマリン鉱石（黒色）を２４時間浸漬して、
その抽出液を計量したところ、以下のような計量結果が
得られた。

【０００９】

【表１】

【００１０】トルマリン水の使用方法としては、レタス
等の野菜を収穫して、水で洗浄する際にトルマリン水を
使用して洗浄する方法が有効である。トルマリン水の抗
菌作用等によって、鮮度保持が好適になされる。レタス
に使用した例では、レタスの褐変が効果的に抑制される
ことが見いだされた。トルマリン水はトルマリン鉱石を
水中に浸漬するだけで得られるから、きわめて操作が簡
単であるという利点がある。

【００１１】トルマリン鉱石の利用方法としては、青果
物をダンボール等で梱包して出荷する際に梱包体にトル
マリン鉱石を同封する方法、青果物を包装する際に包装
体にトルマリン鉱石を同封する方法が青果物の鮮度を保
持する方法として有効である。レタス等の青果物は段ボ
ールに収納して輸送等がなされ貯蔵されるが、これらの
青果物を梱包する際にトルマリン鉱石を同封しておくこ
とによって、効果的に鮮度保持がなされる。トルマリン
鉱石はそのまま同封してもよいし、粒状のトルマリン鉱
石をメッシュ袋あるいは通気性を有する紙袋に収納した
ものを同封してもよい。トルマリン鉱石を同封する他の
方法としては、紙等の基材に粉体状に形成したトルマリ
ン鉱石を塗着させて小片状に形成した鮮度保持剤を使用
する方法もある。この鮮度保持剤は粉体状のトルマリン
鉱石を接着剤とともに混練し基材に塗布して得られる。
小片状であるから取扱いが容易であり、トルマリン鉱石
の使用量を抑えることができるという利点がある。

【００１２】このようにトルマリン鉱石を包装体、梱包
体に同封することによって青果物の鮮度を好適に保持す
ることができ、褐変等の変色を防止して、見栄えのよい
状態を保持することができる。青果物としては、たとえ
ば、レタス、サニーレタス、リーフレタス、ブロッコリ
ー、さやえんどう、枝豆、アスパラガス等に好適に利用
することができる。生鮮野菜等は収穫後、さほど日が経
過しないうちに消費されるものであるが、トルマリン鉱
石を利用して鮮度保持することによって、消費者に良好
な状態で提供することが可能であり、商品価値を下げる
ことなく提供することができるという利点がある。ま
た、鮮度保持が有効になされることから青果物を輸送し
たり貯蔵したりするコストを低減させることができると
いう利点がある。

【００１３】

【実施例】（実施例１）レタスについてトルマリン水に
よる鮮度保持作用を実験した例である。実験方法は、収
穫した直後のレタスを泥とり、芯とりし、根を切り落と
した部分を水で洗浄し、そのままダンボールに入れて常
温で保持して、根の切り口部分の色変化を観察する方法
である。実施例では、貯溜した水道水にトリマリン鉱石
を浸漬させたトルマリン水を用いてレタスの切り口を洗
浄し、比較例は水道水を用いてレタスの切り口を洗浄し
たものである。レタスの切り口の色変化を観察した結果
を表２に示す。

【００１４】

【表２】 上記の実験によると、トルマリン水洗浄によったもの
は、処理後、３日および４日経過した時でも切り口がや
や褐変した程度で、商品価値がさほど低下していない。
これに対して、水道水処理によるものは、処理後３日で
切り口と葉折れ部分がすでにはっきりと褐変し、４日後
には、切り口と葉折れ部分が変色してしまった。比較例
の場合、４日経過した時点では商品価値は急激に低下し
ている。この実験結果は、レタスの切り口の洗浄にトル
マリン水を使用することが、変色防止にきわめて有効で
あることを示す。

【００１５】トルマリン水は貯溜水にトルマリン鉱石を
浸漬するだけで簡単に得ることができるし、従来と同様
に切り口をトルマリン水で洗浄するだけで所要の効果を
得ることができるから、操作上もきわめて簡単である。
レタス等の生鮮野菜は出荷してから消費されるまでにそ
れほど日がかかるものではない。トルマリン水を用いて
処理した場合は、上記実験結果にあるように、収穫して
３日〜４日間は、はっきりとした褐変が生じることを抑
えることができるから、商品価値を低下させない点でき
わめて有効である。収穫して３日〜４日間を鮮度よく保
持することが可能であれば、物流により長距離輸送した
ような場合でも、鮮度のよい状態で消費者に提供するこ
とが可能になる。

【００１６】（実施例２）レタスのカット品について、
トルマリン水による鮮度保持作用を実験した例である。
実験方法は、レタスをカットしたカット品をトレイパッ
クに密封し、常温で保持して切り口の変色等を観察した
ものである。実施例はレタスのカット品をトルマリン水
で洗浄してトレイパックしたもの、比較例はレタスのカ
ット品を通常の水道水で洗浄してトレイパックしたもの
である。観察結果を以下の表３に示す。

【００１７】

【表３】 上記実験結果は、レタスの切り口の変色の程度が実施例
と比較例ではっきりと相違している。すなわち、トルマ
リン水洗浄によるものは、変色がわずかであり、好適に
鮮度が保持されていることがたしかめられた。

【００１８】（実施例３）アスパラガスについてトルマ
リン鉱石の作用を実験した例である。収穫後のアスパラ
ガスをトレイパックして密封し、常温で放置して変色等
を観察した。実施例はアスパラガスをトレイパックする
際にトルマリン鉱石を同封したもの、比較例はアスパラ
ガスのみをトレイパックしたものである。観察結果を以
下の表４に示す。

【００１９】

【表４】 トルマリン鉱石入りと通常パックを比較すると、トルマ
リン鉱石入りのものはトレイパック後、５日経過しても
ほとんど変色しないのに対して、通常パックのものは明
らかに変色した。トルマリン鉱石入りと通常パックによ
る場合での鮮度保持作用の差は明らかであった。

【００２０】（実施例４）ブロッコリーについて、トル
マリン鉱石による鮮度保持作用を実験した例である。収
穫したブロッコリーを小分けにして、トレイパックし、
常温で保持して、その後の変化を観察した。実施例は、
ブロッコリーをトレイパックする際にトルマリン鉱石を
同封したもの、比較例は、単にトレイパックしたもので
ある。トルマリン鉱石は小粒のトルマリン鉱石をメッシ
ュ紙に包んで同封した。実験結果を表５に示す。

【００２１】

【表５】 本実験結果によると、トルマリン鉱石をトレイパック内
に同封したものは、処理後４日経過した時点でも色の変
化、しおれ等がまったく生じない。これに対して、通常
パックによるものは、処理後、３日経過した時点で茎が
乾燥しはじめ、変色がはじまっている。実施例と比較例
を比較すると、トルマリン鉱石をトレイパック内に同封
することによってブロッコリーの鮮度保持がきわめて好
適になされていることがわかる。

【００２２】（実施例５）さやえんどうについて、トル
マリン鉱石による鮮度保持作用を実験した例である。実
験方法は、収穫したさやえんどうを２５本ずつトレイパ
ックし、５℃の冷蔵庫に保管しながら、その後の色変化
等を観察する方法である。実施例はさやえんどうをトレ
イパックする際にトルマリン鉱石を同封してパックした
もの、比較例は単にさやえんどうのみをパックしたもの
である。表６に実験結果を示す。

【００２３】

【表６】 本実験結果によると、トルマリン鉱石をトレイパック内
に同封したものは、処理後２１日経過した時点まで、ほ
とんど変化がみられない。すなわち、鮮度保持がきわめ
て好適になされている。これに対して、比較例では処理
後２１経過時点で茶色の変色がはじまっている。その後
の経過を比較しても、トルマリン鉱石を同封したものに
ついては、鮮度保持が好適になされているのに対して、
通常パック方法によるものは、腐敗がはじまっている。
この実験結果は、トルマリン鉱石が鮮度保持にきわめて
有効であることを示すものである。

【００２４】（実施例６）トルマリン水による消臭作用
について実験した例である。実験方法は、レタスをカッ
トスライスし、次亜塩素酸ナトリウムにより殺菌処理し
て、その塩素臭がどのように変化するかを感応試験し
た。レタスの処理方法は以下の方法１〜３による。方法
１は、レタスの泥とり、芯とりを行った後、レタスを水
道水で洗浄し、カットスライスする。次に、次亜塩素酸
ナトリウム６％溶液を１０倍に希釈した水溶液を使用し
て洗浄殺菌し、トルマリン鉱石を入れた冷水に浸漬し、
冷却、検査してトレイパックする方法である。方法２
は、次亜塩素酸ナトリウムの水溶液を用いて洗浄殺菌す
るまでの工程は工程１と同一で、水道水による冷水処理
の後、トルマリン鉱石を入れた冷水に浸漬し、次に、脱
水して、冷却、検査し、トレイパックする方法である。
方法３は、カットスライスしたレタスを水道水の冷水に
浸漬することを除いて方法１と同一である。上記方法１
〜３によりトレーパックしたカットレタスを常温に置
き、１時間ごと、塩素臭の有無を検査した。試験者は３
名である。表７に実験結果を示す。

【００２５】

【表７】

【００２６】上記の実験結果は、方法３と比較して方法
１、２による処理は消臭作用の点ではっきりと有効であ
ることを示している。また、方法１と方法２とを比較す
ると、脱水処理を施した方法２の方が有効であることを
示す。以上の実験結果は、トルマリン水による処理が消
臭効果の点においても有効であることを示すものであ
る。

【００２７】

【発明の効果】本発明に係る青果物の鮮度保持方法およ
び青果物の包装方法によれば、上述したように、トルマ
リン鉱石の作用を利用することによって、レタス、ブロ
ッッコリー等の野菜あるいは果物の鮮度を効果的に保持
することが可能となり、新鮮な状態で青果物を消費者に
提供することが可能になる。また、青果物の鮮度が好適
に保持できることから、青果物が傷んで商品価値が下が
ることを防止し、廃棄処分するといった問題を回避する
ことが可能になる等の著効を奏する。

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 貯溜水にトリマリン鉱石を浸漬させて得
   たトルマリン水を用いて、青果物を洗浄した後、出荷す
   ることを特徴とする青果物の鮮度保持方法。
2. 【請求項２】 収穫した青果物の根を切り落とした切り
   口を前記トルマリン水を用いて洗浄した後、出荷するこ
   とを特徴とする請求項１記載の青果物の鮮度保持方法。
3. 【請求項３】 青果物を梱包する梱包体にトルマリン鉱
   石を同封して出荷することを特徴とする請求項１または
   ２記載の青果物の鮮度保持方法。
4. 【請求項４】 青果物を密封パックする際に、包装体内
   にトルマリン鉱石を封入することを特徴とする青果物の
   包装方法。
5. 【請求項５】 小片状の基材表面に、トルマリン鉱石の
   粉体を塗着させた鮮度保持剤を前記包装体内に同封する
   ことを特徴とする請求項４記載の青果物の包装方法。