JP2000340894A - 半導体レーザ素子、投受光ユニットおよび光ピックアップ装置 - Google Patents

半導体レーザ素子、投受光ユニットおよび光ピックアップ装置

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JP2000340894A
JP2000340894A JP2000046448A JP2000046448A JP2000340894A JP 2000340894 A JP2000340894 A JP 2000340894A JP 2000046448 A JP2000046448 A JP 2000046448A JP 2000046448 A JP2000046448 A JP 2000046448A JP 2000340894 A JP2000340894 A JP 2000340894A
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light
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JP2000046448A
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English (en)
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Yasuhiko Nomura
康彦 野村
Masakane Goto
壮謙 後藤
Kotaro Furusawa
浩太郎 古沢
Nobuhiko Hayashi
伸彦 林
Atsushi Tajiri
敦志 田尻
Yasuaki Inoue
泰明 井上
Masayuki Shono
昌幸 庄野
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Sanyo Electric Co Ltd
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Sanyo Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低雑音特性が向上され、動作電流が低減され
るとともに、温度特性および信頼性が向上された半導体
レーザ素子、それを備えた投受光ユニットおよび光ピッ
クアップ装置を提供することである。 【解決手段】 MQW活性層7中に不純物としてSi、
SeまたはZnが5×1015〜1×1019cm-3の範囲
内で添加されている。MQW活性層7中の量子井戸層7
1の合計の厚みは20nm以上80nm以下に設定され
る。MQW活性層7の量子井戸層71の数は4以上7以
下である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体レーザ素
子、それを備えた投受光ユニットおよび光ピックアップ
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、光ディスク装置用の光源とし
て半導体レーザ素子が用いられている。光ディスク装置
では、半導体レーザ素子から出射されるレーザ光が強い
可干渉性を有すると、光ディスクからの戻り光により雑
音が発生する。そのため、このような半導体レーザ素子
には、低雑音特性が要求される。半導体レーザ素子にお
いて低雑音特性を実現する方法の1つとして可飽和吸収
領域による自励発振現象が利用されている(特開平6−
196801号公報および応用物理第66巻第9号(1
997)の第951頁〜第956頁参照)。
【0003】一方、近年、ノート型パーソナルコンピュ
ータの小型化および薄型化により、それに搭載される光
ディスク装置にも薄型化が要請されており、これに対応
すべく光ピックアップ装置の小型化および薄型化が進展
しつつある。光ピックアップ装置を小型化および薄型化
するために、ホログラム素子を用いるとともに各種光学
部品を一体化することが提案されている(特開平10−
241199号参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、光ピッ
クアップ装置を小型化および薄型化すると、半導体レー
ザ素子の放熱のためのヒートシンクも小型化する必要が
ある。ヒートシンクを小型化すると、熱容量が小さくな
り、十分な放熱効果が得られない。自励発振型の半導体
レーザ素子の温度が上昇すると、自励発振が停止すると
いう現象が生じる。また、温度の上昇により素子の劣化
が生じ、レーザ発振が停止することもある。
【0005】さらに、自励発振型の半導体レーザ素子の
光出力を上げると、自励発振が停止してしまう場合があ
る。
【0006】そのため、低雑音化を図りつつ温度特性お
よび信頼性を向上させるとともに動作電流を低減するこ
とが望まれる。
【0007】本発明の目的は、低雑音特性が向上され、
動作電流が低減されるとともに、温度特性および信頼性
が向上された半導体レーザ素子、それを備えた投受光ユ
ニットおよび光ピックアップ装置を提供することであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段および発明の効果】本発明
に係る半導体レーザ素子は、活性層中にシリコン、セレ
ン、亜鉛、ベリリウム、硫黄または炭素が不純物として
5×1015cm-3以上1×1019cm-3以下の濃度に添
加されたものである。
【0009】本発明に係る半導体レーザ素子において
は、上記の不純物が5×1015cm-3以上1×1019
-3以下の濃度に添加されることにより、発振するレー
ザ光の可干渉性が低くなり、高い光出力での動作時およ
び温度上昇時にも、自励発振が安定に行われる。それに
より、低雑音特性が向上する。
【0010】活性層中の不純物の濃度が5×1016cm
-3以上1×1018cm-3以下であることが好ましい。そ
れにより、可干渉性がより低下し、高い光出力での動作
時および温度上昇時にも、より安定な自励発振が得られ
る。したがって、低雑音特性がより向上する。
【0011】活性層中の不純物の濃度がほぼ1×1017
cm-3であることがさらに好ましい。ここで、「ほぼ1
×1017cm-3」とは、1×1017cm-3に対して上下
に1割程度の誤差を含むことを意味する。それにより、
可干渉性がさらに低下し、高い光出力での動作時および
温度上昇時にも、さらに安定な自励発振が得られる。し
たがって、低雑音特性がさらに向上する。
【0012】活性層が、少なくともガリウムおよび砒素
を含む化合物半導体からなってもよい。活性層が、少な
くともGaAsもしくはAlGaAsからなってもよ
い。また、活性層上に、平坦部およびリッジ部からなる
クラッド層が設けられ、クラッド層のリッジ部の両側面
および平坦部上に電流ブロック層が設けられてもよい。
電流ブロック層が、少なくともガリウムおよび砒素を含
む化合物半導体からなってもよい。電流ブロック層が、
少なくともGaAsもしくはAlGaAsからなっても
よい。また、電流ブロック層が、酸化膜または窒化膜か
らなってもよい。
【0013】活性層が複数の量子井戸層を含む量子井戸
構造を有し、複数の量子井戸層の合計の厚みが20nm
以上80nm以下であることが好ましい。これにより、
しきい値電流を低く保ちつつ低雑音特性を向上させるこ
とが可能となる。
【0014】複数の量子井戸層の数が5以上7以下であ
ることが好ましい。それにより、しきい値電流および動
作電流が十分に低減される。
【0015】本発明に係る投受光ユニットは、光ピック
アップ装置に用いられる投受光ユニットであって、第1
の面を有する第1の支持部材と、第1の支持部材に設け
られた第1の配線部材と、第1の支持部材の第1の面上
に設けられかつ第1の配線部材と電気的に接続された上
記の半導体レーザ素子とを備えたものである。
【0016】本発明に係る投受光ユニットにおいては、
活性層中に不純物が所定の範囲内の濃度に添加された半
導体レーザ素子が用いられているので、低雑音特性が向
上し、しきい値電流および動作電流が低減されるととも
に、信頼性が向上する。
【0017】投受光ユニットが、第1の配線部材上に配
置されたヒートシンクをさらに備え、半導体レーザ素子
がヒートシンク上に配置されることが好ましい。それに
より、放熱性が良好となり、温度特性が向上する。
【0018】投受光ユニットが、半導体レーザ素子のレ
ーザ光の出射方向側に配置されかつ半導体レーザ素子か
ら出射されたレーザ光に基づく帰還光を回折する第1の
回折素子をさらに備えてもよい。
【0019】この場合、半導体レーザ素子から出射され
たレーザ光に基づく帰還光が第1の回折素子で回折され
る。これにより、帰還光を光検出器に導くことが可能と
なる。
【0020】投受光ユニットが、半導体レーザ素子と第
1の回折素子との間に配置されかつ半導体レーザ素子か
ら出射されたレーザ光を複数の光束に分割する第2の回
折素子をさらに備えてもよい。
【0021】この場合、半導体レーザ素子から出射され
たレーザ光が第2の回折素子により複数の光束に分割さ
れるので、情報の再生、トラッキングサーボおよびフォ
ーカスサーボを行うことが可能となる。
【0022】第1の支持部材は第1の面に平行な偏平形
状を有し、半導体レーザ素子は、第1の面に平行な方向
に光を出射するように配置されることが好ましい。
【0023】これにより、投受光ユニットが小型化およ
び薄型化される。この場合にも、活性層中に不純物が所
定の範囲内の濃度に添加された半導体レーザ素子が用い
られているので、高い光出力での動作時および温度上昇
時にも、低雑音特性が得られる。
【0024】投受光ユニットが、第1の支持部材上に配
置された第2の支持部材と、第2の支持部材に設けられ
た第2の配線部材と、第2の支持部材に設けられ、第2
の配線部材と電気的に接続されかつ半導体レーザ素子か
ら出射された光に基づく帰還光を検出する検出器とをさ
らに備えてもよい。
【0025】この場合、半導体レーザ素子から出射され
た光に基づく帰還光が第2の支持部材に設けられた検出
器により検出される。これにより、情報の再生を行うこ
とが可能となる。
【0026】第2の支持部材が、第1の面に平行な偏平
形状を有することが好ましい。これにより、投受光ユニ
ットの小型化および薄型化が図られる。この場合にも、
活性層中に不純物が所定の範囲内の濃度に添加された半
導体レーザ素子が用いられているので、高い光出力での
動作時および温度上昇時にも、良好な低雑音特性が得ら
れる。
【0027】投受光ユニットが、第1の回折素子により
回折された帰還光を光検出器に導く光学系をさらに備え
てもよい。この場合、第1の回折素子により回折された
帰還光が光学系により光検出器に導かれる。それによ
り、情報の再生を行うことができる。
【0028】本発明に係る光ピックアップ装置は、光を
光学記録媒体に照射する光ピックアップ装置であって、
上記の投受光ユニットと、投受光ユニットの半導体レー
ザ素子から出射された光を光学記録媒体上に集光する集
光手段とを備えたものである。
【0029】本発明に係る光ピックアップ装置において
は、活性層中に不純物が所定の範囲内の濃度に添加され
た半導体レーザ素子が用いられているので、低雑音特性
が向上し、しきい値電流および動作電流が低減されると
ともに、信頼性が向上する。
【0030】
【発明の実施の形態】図1は本発明の一実施例における
半導体レーザ素子の構造を示す模式的断面図である。
【0031】図1の半導体レーザ素子100において
は、n−GaAs基板1上に、n−GaAsからなるn
−バッファ層2、n−AlGaAsからなるn−バッフ
ァ層3、n−AlGaAsからなるn−クラッド層4、
n−AlGaAsからなるn−キャリアブロック層5、
SiドープのAlGaAsからなる光ガイド層6および
多重量子井戸活性層(以下、MQW活性層と呼ぶ)7が
順に形成されている。
【0032】MQW活性層7は、SiドープのAlGa
Asからなる6つの量子井戸層71とSiドープのAl
GaAsからなる5つの障壁層72とが交互に積層され
てなる多重量子井戸構造を有する。
【0033】MQW活性層7上には、SiドープのAl
GaAsからなる光ガイド層8、p−AlGaAsから
なるp−キャリアブロック層9、p−AlGaAsから
なる第1クラッド層10およびp−AlGaAsからな
るp−エッチング停止層11が順に形成されている。
【0034】p−エッチング停止層11の中央部のスト
ライプ状の領域上に、p−AlGaAsからなるp−第
2クラッド層12およびp−GaAsからなるp−第1
コンタクト層13が順に形成されている。p−第2クラ
ッド層12およびp−第1コンタクト層13がリッジ部
を構成する。本実施例では、リッジ部の下端の幅W1は
2.4μmである。
【0035】p−第2クラッド層12およびp−第1コ
ンタクト層13の両側面およびp−エッチング停止層1
1上には、アンドープのAlGaAsからなる第1電流
ブロック層14、n−AlGaAsからなるn−第2電
流ブロック層15およびn−GaAsからなるn−第3
電流ブロック層16が順に形成されている。
【0036】p−第1コンタクト層13上およびn−第
3電流ブロック層16上には、p−GaAsからなるp
−第2コンタクト層17およびp−GaAsからなるp
−第3コンタクト層18が順に形成されている。p−第
3コンタクト層18上にp側電極19が形成され、n−
GaAs基板1の裏面にn側電極20が形成されてい
る。
【0037】本実施例の半導体レーザ素子においては、
MQW活性層7中に不純物としてSiが添加される。後
述するように、この不純物の濃度およびMQW活性層7
の複数の量子井戸層71の厚みの合計(以下、総厚dと
呼ぶ)を最適化することにより、不純物準位に起因した
光吸収が生じる。その結果、容易に自励発振が得られ
る。
【0038】図2および図3は図1の半導体レーザ素子
の製造方法を示す模式的工程断面図である。
【0039】まず、図2(a)に示すように、MOCV
D法(有機金属化学的気相成長法)またはMBE法(分
子線エピタキシャル成長法)により成長温度700〜9
00℃で第1結晶成長を行う。
【0040】n−GaAs基板1上に、n−バッファ層
2、n−バッファ層3、n−クラッド層4、n−キャリ
アブロック層5、Siドープ光ガイド層6、Siドープ
MQW活性層7、Siドープ光ガイド層8、p−キャリ
アブロック層9、p−第1クラッド層10、p−エッチ
ング停止層11、p−第2クラッド層12およびp−第
1コンタクト層13を順に成長させる。第1結晶成長に
おける各層2〜13の材料、Al組成、層厚およびキャ
リア濃度を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】ここで、Al組成は、Alx Ga1-x As
におけるXである。なお、n−GaAs基板1のキャリ
ア濃度は2×1018cm-3である。
【0043】n−バッファ層2の成長には、原料ガスと
してAsH3 およびTMGを用い、ドーパントガスとし
てH2 Seを用いる。n−バッファ層3、n−クラッド
層4およびn−キャリアブロック層5の成長には、原料
ガスとしてAsH3 、TMGおよびTMAを用い、ドー
パントガスとしてH2 Seを用いる。光ガイド層6、M
QW活性層7および光ガイド層8の成長には、原料ガス
としてAsH3 、TMGおよびTMAを用い、ドーパン
トガスとしてSiH4 を用いる。p−キャリアブロック
層9、p−第1クラッド層10、p−エッチング停止層
11およびp−第2クラッド層12の成長には、原料ガ
スとしてAsH3 、TMGおよびTMAを用い、ドーパ
ントガスとしてDEZを用いる。p−第1コンタクト層
13の成長には、原料ガスとしてAsH3 およびTMG
を用い、ドーパントガスとしてDEZを用いる。
【0044】ここで、AsH3 はアルシンであり、TM
Gはトリメチルガリウムであり、TMAはトリメチルア
ルミニウムであり、H2 Seはセレン化水素であり、S
iH 4 はモノシランであり、DEZはジエチルジンクで
ある。
【0045】第1結晶成長後、p−第1コンタクト層1
3上にSiO2 等の酸化膜を形成し、通常のフォトリソ
グラフィ技術により中央部のストライプ状の領域を除い
て酸化膜を除去することにより、p−第1コンタクト層
13上にストライプ状の酸化膜21を形成する。
【0046】次に、図2(b)に示すように、酸化膜2
1をマスクとしてp−エッチング停止層11が露出する
までエッチングによりp−第1コンタクト層13および
p−第2クラッド層12を除去する。
【0047】さらに、図3(c)に示すように、酸化膜
21をマスクとして成長温度600〜900℃で第2結
晶成長を行う。p−第2クラッド層12およびp−第1
コンタクト層13の側面上およびp−エッチング停止層
11の上面に、アンドープの第1電流ブロック層14、
n−第2電流ブロック層15およびn−第3電流ブロッ
ク層16を選択成長させる。この場合、酸化膜21上に
は結晶成長が生じない。なお、第2結晶成長の前に平坦
部のp−エッチング停止層11をエッチングにより除去
し、p−第1クラッド層10上に電流ブロック層14〜
16を成長させてもよい。第2結晶成長における各層1
4〜16の材料、Al組成、層厚およびキャリア濃度を
表2に示す。
【0048】
【表2】
【0049】第1電流ブロック層14の成長には、原料
ガスとしてAsH3 、TMGおよびTMAを用いる。n
−第2電流ブロック層15の成長には、原料ガスとして
AsH3 、TMGおよびTMAを用い、ドーパントガス
としてH2 Seを用いる。n−第3電流ブロック層16
の成長には、原料ガスとしてAsH3 およびTMGを用
い、ドーパントガスとしてH2 Seを用いる。
【0050】酸化膜21をフッ酸系エッチャントにより
除去した後、図3(d)に示すように、成長温度600
〜900℃で第3結晶成長を行う。p−第1コンタクト
層13上およびn−第3電流ブロック層16上に、p−
第2コンタクト層17およびp−第3コンタクト層18
を結晶成長させる。第3結晶成長における各層17,1
8の材料、Al組成、層厚およびキャリア濃度を表3に
示す。
【0051】
【表3】
【0052】p−第2コンタクト層17およびp−第3
コンタクト層18の成長には、原料ガスとしてAsH3
およびTMGを用い、ドーパントガスとしてDEZを用
いる。
【0053】最後に、図1に示したように、p−第3コ
ンタクト層18上に、厚さ約50nmのCrAuおよび
厚さ約1.5μmのAuからなるp側電極19を形成
し、n−GaAs基板1の裏面に、AuGe/Ni/A
uからなるn側電極20を形成する。
【0054】なお、p−第1コンタクト層13の厚さ
は、非常に薄くても素子特性上問題がなく、5nm〜1
000nmの範囲内であればよい。
【0055】ここで、MQW活性層7中のSi濃度およ
び量子井戸層71の総厚dを変えて複数の半導体レーザ
素子を作製し、可干渉性の程度を示すγ値およびしきい
値電流を測定した。
【0056】この測定では、MQW活性層7中のSi濃
度を1×1015cm-3から5×10 19cm-3まで変化さ
せた。また、MQW活性層7中の各量井戸層71の厚さ
を5nm、7nmおよび8nmとし、6つの量子井戸層
71の総厚dを30nm、42nmおよび48nmと変
えた。なお、γ値が0.9を越えると戻り光ノイズのた
めに光ピックアップ装置の特性が劣化する。図4および
表4に半導体レーザ素子のγ値のSi濃度依存性の測定
結果を示す。
【0057】
【表4】
【0058】図4に示すように、MQW活性層7中のS
i濃度が5×1015〜1×1019cm-3の範囲内でγ値
が0.9よりも小さくなっている。また、Si濃度が5
×1016〜1×1018cm-3の範囲内でγ値がさらに小
さくなり、Si濃度が1×1017cm-3でγ値が最小と
なっている。
【0059】したがって、自励発振を安定に起こすため
には、MQW活性層7中のSi濃度が5×1015cm-3
以上1×1019cm-3以下であることが好ましく、5×
10 16cm-3以上1×1018cm-3以下であることがよ
り好ましく、ほぼ1×1017cm-3であることが最も好
ましい。
【0060】また、図4に示すように、MQW活性層7
中の量子井戸層71の数が等しい場合には、総厚dが大
きくなるほどγ値が低くなることがわかる。
【0061】図5および表5にしきい値電流の量子井戸
層71の総厚依存性およびおよびγ値の量子井戸層71
の総厚依存性の測定結果を示す。
【0062】
【表5】
【0063】しきい値電流の測定では、MQW活性層7
中のSi濃度を1×1017cm-3とした。また、γ値の
測定では、MQW活性層7中のSi濃度を1×1016
-3、1×1018cm-3および1×1017cm-3とし
た。
【0064】図5に示すように、量子井戸層71の総厚
dが大きくなるほどγ値が低くなる。また、MQW活性
層7中のSi濃度が1×1017cm-3の場合にγ値が最
も低くなる。一方、量子井戸層71の総厚dが80nm
よりも大きくなると、しきい値電流が増大する。したが
って、量子井戸層71の総厚dは20nm以上80nm
以下であることが好ましい。
【0065】上記のように、本実施例の半導体レーザ素
子100においては、MQW活性層7中に不純物として
Siを添加し、不純物の濃度および量子井戸層71の総
厚dを最適化することにより、不純物準位に起因した光
吸収が生じ、容易に自励発振が行われるとともに、しき
い値電流が低減される。
【0066】次に、MQW活性層7にSiの代わりにS
eを添加した半導体レーザ素子を作製し、γ値を測定し
た。同様に、MQW活性層7にSiの代わりにZnを添
加した半導体レーザ素子を作製し、γ値を測定した。こ
の測定では、MQW活性層7中の各量子井戸層71の厚
さを7nmとし、6つの量子井戸層71の総厚dを42
nmとした。図6および表6にγ値のSe濃度依存性お
よびZn濃度依存性の測定結果を示す。
【0067】
【表6】
【0068】図6に示すように、Se濃度が5×1015
〜1×1019cm-3の範囲内ではγ値が0.9よりも小
さくなり、5×1016〜1×1018cm-3の範囲内では
さらに小さくなり、ほぼ1×1017cm-3で最小となっ
ている。また、Zn濃度が5×1015〜1×1019cm
-3の範囲内でγ値が0.9よりも小さくなり、5×10
16〜1×1018cm-3の範囲内ではさらに小さくなり、
ほぼ1×1017cm-3で最小となっている。
【0069】したがって、自励発振を安定に起こすため
には、Se濃度およびZn濃度は、5×1015cm-3
上1×1019cm-3以下であることが好ましく、5×1
16cm-3以上1×1018cm-3以下であることがより
好ましく、ほぼ1×1017cm-3であることが最も好ま
しい。
【0070】なお、図1の半導体レーザ素子100にお
いて、リッジ部の下端の幅W1は、1.5μm以上4.
0μm以下であることが好ましく、2.0μm以上3.
2μm以下であることがより好ましい。ただし、リッジ
部の上端の幅が0とならないことが必要である。例え
ば、リッジ部の下端の幅W1を1.5μmとする場合に
は、p−第2クラッド層12の厚みを0.5μmにす
る。
【0071】また、p−第1クラッド層10の厚みは、
0.02μm以上0.5μm以下であることが好まし
く、0.08μm以上0.25μm以下であることがさ
らに好ましい。さらに、n−第2電流ブロック層15の
Al組成は0.50以上0.75以下であることが好ま
しく、0.56以上0.64以下であることがさらに好
ましい。
【0072】また、上記の半導体レーザ素子100にお
いては、MQW活性層7へドーピングにより不純物を添
加しているが、周知の熱拡散法やイオン注入法によりM
QW活性層7に不純物を添加してもよい。
【0073】具体的には、第1結晶成長の後、例えばA
sH3 雰囲気中で基板温度850℃にて30分間保持す
ることにより、Znがドープされたp−AlGaAsか
らMQW活性層7にZnを熱拡散させてもよい。この場
合、p−AlGaAsからなるp−第1クラッド層10
のキャリア濃度を高く設定することにより、MQW活性
層7により効果的にZnを拡散させることができる。
【0074】さらに、MQW活性層7中の量子井戸層7
1の数が3以下の場合には、電流を増加させたときに光
の利得の飽和が生じるため、しきい値電流および動作電
流が上昇する。一方、量子井戸層71の数が8以上にな
ると、各量子井戸層71の厚みのばらつきが大きくなる
ため、発光エネルギー幅が広がり、しきい値電流および
動作電流が上昇する。特に、量子井戸層71の合計の厚
みを一定に保ちつつ量子井戸層71の数を増加させるた
めには、各量子井戸層71の厚さを小さくする必要があ
る。量子井戸層71の厚さが小さくなれば、量子準位の
層厚依存性が大きくなるため、発光エネルギー幅がより
広がりやすくなる。したがって、MQW活性層7の量子
井戸層71の数は4以上7以下であることが好ましい。
【0075】図7は本発明の他の実施例における半導体
レーザ素子の構造を示す模式的断面図である。
【0076】図7の半導体レーザ素子200において、
n−GaAs基板1上のn−バッファ層2からp−第1
コンタクト層13までは、図1の半導体レーザ素子10
0と同様である。ただし、p−第1クラッド層10の厚
さは0.25μmであり、p−第1コンタクト層13の
厚さは0.1μmである。
【0077】本実施例では、p−第2クラッド層12お
よびp−第1コンタクト層13からなるリッジ部の下端
の幅W2は2.0μmである。
【0078】p−第2クラッド層12およびp−第1コ
ンタクト層13の両側面およびp−エッチング停止層1
1上には、厚さ0.88μmのSiO2 またはSiNx
からなる電流ブロック層32が形成されている。p−第
1コンタクト層13上には、厚さ0.3μmのp−Ga
Asからなるp−第2コンタクト層37および厚さ0.
3μmのp−GaAsからなるp−第3コンタクト層3
8が順に形成されている。
【0079】p−第2コンタクト層37およびp−第3
コンタクト層38のキャリア濃度は、それぞれ図1のp
−第2コンタクト層17およびp−第3コンタクト層1
8のキャリア濃度と同様である。
【0080】p−第3コンタクト層38上にはp側電極
39が形成され、n−GaAs基板1の裏面にはn側電
極40が形成されている。なお、p側電極39は、p−
コンタクト層38から電流ブロック層32にわたる領域
全面に形成してもよい。
【0081】電流ブロック層32の材料としてSiO2
またはSiNx を用いた図7の半導体レーザ素子200
において、MQW活性層7中のSi濃度を変えてγ値を
測定したところ、γ値のSi濃度依存性の測定結果は図
4とほぼ同等になった。
【0082】したがって、図7の半導体レーザ素子20
0においても、MQW活性層7中のSi濃度は、5×1
15cm-3以上1×1019cm-3以下であることが好ま
しく、5×1016cm-3以上1×1018cm-3以下であ
ることがより好ましく、ほぼ1×1017cm-3であるこ
とが最も好ましい。
【0083】なお、図7の半導体レーザ素子200にお
いて、リッジ部の下端の幅W2は、1.3μm以上3.
6μm以下であることが好ましく、1.8μm以上3.
0μm以下であることがより好ましい。ただし、リッジ
部の上端の幅が0とならないことが必要である。例え
ば、リッジ部の下端の幅W2を1.3μmとする場合に
は、p−第2クラッド層12の厚さを0.4μmにす
る。
【0084】また、p−第1クラッド層10の厚さは、
0.08μm以上0.7μm以下であることが好まし
く、0.10μm以上0.35μm以下であることがさ
らに好ましい。
【0085】図8は図1の半導体レーザ素子100を用
いた光ピックアップ装置用の投受光ユニットの構成を示
す側部断面図、図9は図8の投受光ユニットの下フレー
ム部の上面の構成を示す平面図、図10は図8の投受光
ユニットの上フレーム部の下面の構成を示す平面図であ
る。また、図11および図12は図8の投受光ユニット
の外観を示す斜視図である。
【0086】なお、図8〜図10中には、3次元の方向
が明確となるようにx軸、y軸およびz軸が記入されて
いる。x軸方向は鉛直方向であり、z軸方向は半導体レ
ーザ素子100の光出射方向であり、y軸方向はxz平
面に直交する水平方向である。
【0087】図8〜図12において、投受光ユニット
は、樹脂モールドよりなる下フレーム部111Aと上フ
レーム部111Bとが接着固定された筐体を有する。下
フレーム部111Aと上フレーム部111Bとは互いに
対向する主面を有する。下フレーム部111Aの主面上
には、導電性ヒートシンク103、透過型3分割用回折
格子106、透過型ホログラム素子107および反射ミ
ラー112が取り付けられている。さらに、導電性ヒー
トシンク103の上面の内部には、ビームパワーモニタ
用のフォトダイオード104aが取り付けられている。
また、上フレーム部111Bの主面には、反射ミラー1
12で反射された帰還光を検出するフォトダイオード1
04bが取り付けられている。
【0088】導電性ヒートシンク103の主面には半導
体レーザ素子100が取り付けられている。半導体レー
ザ素子100の前方には、透過型3分割用回析格子10
6が配置されている。透過型3分割用回折格子106
は、半導体レーザ素子100側の表面に等ピッチの凹凸
からなる回折格子面106aを有しており、半導体レー
ザ素子100から出射されたレーザ光を0次および±1
次の3本の回折光に分割して出射する。
【0089】透過型ホログラム素子107は、透過型3
分割用回折格子106の光出射側に、透過型3分割用回
折格子106と対向するように固定されている。透過型
ホログラム素子107は、透過型3分割用回折格子10
6側の表面に、凹凸のピッチが漸次的に変化する曲線群
からなるホログラム面107aが形成された透光性基板
からなる。
【0090】上記の投受光ユニットにおいて、半導体レ
ーザ素子100からのレーザ光の出射方向は、下フレー
ム部111Bと上フレーム部111Aとが対向する方向
と直交する方向(z軸方向)である。また、フォトダイ
オード104bの検出領域(受光面)は、下フレーム部
111Aと上フレーム部111Bとが対向する方向と直
交するyz平面とほぼ平行に形成されている。
【0091】図13(a),(b)はフォトダイオード
104bの検出領域を示す。図13(a)に示すよう
に、透過型3分割用回折格子106の回折方向がy軸方
向の場合には、0次の回折光に基づく帰還光が入射する
検出領域141の両側に、y軸方向に沿って±1次の回
折光に基づく2つの帰還光がそれぞれ入射する分割領域
142,142が配置される。
【0092】また、図13(b)に示すように、透過型
3分割用回折格子106の回折方向がx軸方向の場合に
は、0次の回折光に基づく帰還光が入射する分割領域1
41の両側に、z軸方向に沿って±1次の回折光に基づ
く帰還光がそれぞれ入射する分割領域142,142が
配置される。
【0093】図9に示すように、下フレーム部111A
には、フォトダイオード104aからの信号を出力する
リードフレーム131、半導体レーザ素子100に電力
を供給するリードフレーム132、およびフォトダイオ
ード104aと半導体レーザ素子100とに共通する、
例えばアース用のリードフレーム133が設けられてい
る。リードフレーム133上には導電性シートシンク1
03が載置されている。各リードフレーム131,13
2,133の一端は下フレーム部111Aに固定され、
他端は下フレーム部111Aから外部に突出している。
【0094】また、図10に示すように、上フレーム部
111Bには、フォトダイオード104bの分割された
各検出領域からの信号を出力する複数のリードフレーム
141、およびフォトダイオード104bの各検出領域
に共通の、例えばアース用のリードフレーム142が設
けられている。リードフレーム142上にはフォトダイ
オード104bが載置されている。各リードフレーム1
41,142の一端は上フレーム部111Bに固定さ
れ、他端は上フレーム部111Bから外部に突出してい
る。
【0095】また、光ピックアップ装置は、上記の投受
光ユニットに接続されるハウジングを有する。ハウジン
グには透過型ホログラム素子107と光学記録媒体との
間でレーザ光の光軸方向を変化させる反射ミラーおよび
レーザ光を光学記録媒体の表面に集光させる対物レンズ
が取り付けられている。
【0096】図14は図8〜図12の投受光ユニットを
用いた光ピックアップ装置の側面図であり、図15は図
14の光ピックアップ装置におけるレーザ光の進行状態
を示す平面図である。
【0097】この光ピックアップ装置では、半導体レー
ザ素子100の前端面側から出力されたレーザ光は、透
過型3分割用回折格子106で0次および±1次の3本
の回折光に分割された後、透過型ホログラム素子107
に入射する。透過型ホログラム素子107を透過した3
本の回折光は反射ミラー108で上方に反射された後、
対物レンズ109の集光作用により光学記録媒体1に主
スポットおよび2つの副スポットとして集光される。
【0098】光学記録媒体101に主スポットおよび2
つの副スポットとして集光された3本の回折光は、光学
記録媒体101で、この光学記録媒体101に記録され
た情報を含む3本の帰還光として反射され、対物レンズ
109を通り反射ミラー108で反射された後、透過型
ホログラム素子107に入射する。
【0099】透過型ホログラム素子107を1次(また
は−1次)回折で透過した3本の帰還光は、透過型3分
割用回折格子106の回折格子面106aの右側もしく
は左側を透過した後、反射ミラー112で上方側に反射
されてフォトダイオード104bに入射される。フォト
ダイオード104bに入射した帰還光は、電気信号に変
換されてリードフレーム141より出力され、この出力
に基づいて光学記録媒体101に記録された情報の再
生、トラッキングサーボおよびフォーカシングサーボが
行われる。
【0100】本例の光ピックアップ装置の投受光ユニッ
トでは、半導体レーザ素子100に接続されているリー
ドフレーム131,132,133は下フレーム部11
1Aに設けられ、フォトダイオード104bに接続され
ているリードフレーム141,142は上フレーム部1
11Bに設けられている。すなわち、リードフレーム1
31〜133とリードフレーム141,142とは同一
平面ではなく、x軸方向に高低差をもって異なるフレー
ム部に設けられている。このため、リードフレームを設
けるために下フレーム部111Aおよび上フレーム部1
11Bの横幅を広げる必要が無くなり、光ピックアップ
装置の投受光ユニットの筐体の横幅を小型にすることが
可能となる。
【0101】また、この光ピックアップ装置の投受光ユ
ニットでは、下フレーム部111Aと上フレーム部11
1Bとの接合面に沿って相互に移動させることにより、
帰還光がフォトダイオード104bの最適位置に入射す
るように位置決めすることができる。そして、位置決め
した後、下フレーム部111Aと上フレーム部111B
とを接着固定して光ピックアップ装置の投受光ユニット
が製造される。このため、フォトダイオード104bに
帰還ビームを導く反射ミラー112に移動機構を設ける
必要が無くなり、反射ミラー112の取り付け構造が簡
素化されている。これにより、下フレーム部111Aと
上フレーム部111Bとからなる筐体の厚さ(x軸方向
の幅)を小さくすることができる。
【0102】次に、図1の半導体レーザ素子100を図
8の下フレーム部111Aの導電性ヒートシンク103
上に搭載し、自励発振が停止する光出力を測定した。こ
の測定では、MQW活性層7中のSi濃度を1×1015
×cm-3から5×1019cm -3まで変化させた。MQW
活性層7中の各量子井戸層71の厚さは7nmであり、
6つの量子井戸層71の層厚dは42nmである。
【0103】なお、この測定は、リードフレーム131
〜133を有する下フレーム部111Aに、透過型3分
割回折格子106および透過型ホログラム素子107を
取り付けない状態で行った。図16および表7に自励発
振が停止する光出力のSi濃度の依存性の測定結果を示
す。
【0104】
【表7】
【0105】なお、自励発振が停止する光出力以上で
は、発振がシングルモードになる。図16に示すよう
に、MQW活性層7中のSi濃度が5×1015〜1×1
19cm -3の範囲内では、自励発振が停止する光出力が
16mWよりも高くなっている。また、Si濃度が5×
1016〜1×1018cm-3の範囲内では、自励発振が停
止する光出力が21mW以上とさらに高くなり、Si濃
度が1×1017cm-3で最も高くなっている。
【0106】したがって、高出力でかつ低雑音特性を得
るためには、MQW活性層7中のSi濃度が5×1015
cm-3以上1×1019cm-3以下であることが好まし
く、5×1016cm-3以上1×1018cm-3以下である
ことがより好ましく、ほぼ1×1017cm-3であること
が最も好ましい。
【0107】このように、上記実施例の半導体レーザ素
子を用いた投受光ユニットにおいては、高い光出力での
動作時にも、低雑音特性が向上する。
【0108】次に、自励発振が停止する光出力の温度依
存性を測定した。この測定においても、図1の半導体レ
ーザ素子100を図8の下フレーム部111Aの導電性
ヒートシンク103上に搭載した状態で測定を行った。
図17および表8に自励発振が停止する光出力の温度依
存性の測定結果を示す。
【0109】
【表8】
【0110】図17に示すように、MQW活性層7中の
Si濃度が5×1019cm-3の場合および1×1015
-3の場合には、65℃で自励発振が停止している。S
i濃度が5×1015cm-3および1×1019cm-3の場
合には、自励発振が停止する光出力が全体的に高くなっ
ている。また、Si濃度が1×1018cm-3の場合に、
自励発振が停止する光出力が全体的により高くなり、S
i濃度が5×1016cm-3の場合に、自励発振が停止す
る光出力がさらに高くなっている。Si濃度が1×10
17cm-3の場合には、自励発振する光出力が全温度範囲
で最も高くなっている。
【0111】したがって、温度上昇時にも低雑音特性を
得るためには、MQW活性層7中のSi濃度が5×10
15cm-3以上1×1019cm-3以下であることが好まし
く、5×1016cm-3以上1×1018cm-3以下である
ことがより好ましく、ほぼ1×1017cm-3であること
が最も好ましい。
【0112】このように、上記実施例の半導体レーザ素
子を用いた投受光ユニットにおいては、温度上昇時に
も、低雑音特性が向上する。
【0113】次に、図1の半導体レーザ素子100を図
8〜図12投受光ユニットに搭載して図14の光ピック
アップ装置を構成し、ジッター特性を測定した。この測
定では、MQW活性層7中のSi濃度を1×1015cm
-3から5×1019cm-3まで変化させた。MQW活性層
7中の各量子井戸層71の厚さは7nmであり、6つの
量子井戸層71の層厚dは42nmである。図18およ
び表8に光ピックアップ装置におけるジッター値のSi
濃度依存性の測定結果を示す。ジッター値が20nsを
越えると、光ピックアップ装置の読み取りエラーが生じ
やすくなる。
【0114】
【表9】
【0115】図18に示すように、MQW活性層7中の
Si濃度が5×1015〜1×1019cm-3の範囲内でジ
ッター値が20ns以下となっている。また、Si濃度
が5×1016〜1×1018cm-3の範囲内でジッター値
がさらに小さくなり、Si濃度が1×1017cm-3でジ
ッター値が最小となっている。
【0116】したがって、光ピックアップ装置におい
て、読み取りエラーの発生を防止するためには、MQW
活性層7中のSi濃度が5×1015cm-3以上1×10
19cm -3以下であることが好ましく、5×1016cm-3
以上1×1018cm-3以下であることがより好ましく、
ほぼ1×1017cm-3であることが最も好ましい。
【0117】このように、上記実施例の半導体レーザ素
子を用いた光ピックアップ装置においては、低雑音特性
が向上し、読み取りエラーの発生が防止される。
【0118】なお、上記実施例では、半導体レーザ素子
100,200のMQW活性層7にSi、SeまたはZ
nが添加されているが、MQW活性層7中に不純物とし
てBe、SまたはCを上記の濃度に添加しても同様の効
果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における半導体レーザ素子の
構造を示す模式的断面図である。
【図2】図1の半導体レーザ素子の製造方法を示す模式
的工程断面図である。
【図3】図1の半導体レーザ素子の製造方法を示す模式
的工程断面図である。
【図4】図1の半導体レーザ素子におけるγ値のSi濃
度依存性の測定結果を示す図である。
【図5】図1の半導体レーザ素子におけるしきい値電流
の量子井戸層の総厚依存性およびγ値の量子井戸層の総
厚依存性の測定結果を示す図である。
【図6】γ値のSe濃度依存性およびZn濃度依存性の
測定結果を示す図である。
【図7】本発明の他の実施例における半導体レーザ素子
の構造を示す模式的断面図である。
【図8】図1の半導体レーザ素子を用いた光ピックアッ
プ装置用の投受光ユニットの構成を示す側部断面図であ
る。
【図9】図8の投受光ユニットの下フレーム部の上面の
構成を示す平面図である。
【図10】図8の投受光ユニットの上フレーム部の下面
の構成を示す平面図である。
【図11】図8の投受光ユニットの外観を示す斜視図で
ある。
【図12】図8の投受光ユニットの外観を示す斜視図で
ある。
【図13】図8〜図12の投受光ユニットのフォトダイ
オードの検出領域を示す平面図である。
【図14】図8〜図12の投受光ユニットを用いた光ピ
ックアップ装置の側面図である。
【図15】図14の光ピックアップ装置におけるレーザ
光の進行状態を示す平面図である。
【図16】自励発振が停止する光出力のSi濃度依存性
の測定結果を示す図である。
【図17】自励発振が停止する光出力の温度依存性の測
定結果を示す図である。
【図18】光ピックアップ装置におけるジッター値のS
i濃度依存性の測定結果を示す図である。
【符号の説明】
1 n−GaAs基板 4 n−クラッド層 7 MQW活性層 10 p−第1クラッド層 12 p−第2クラッド層 13 p−第1コンタクト層 14 第1電流ブロック層 15 n−第2電流ブロック層 16 n−第3電流ブロック層 17 p−第2コンタクト層 18 p−第3コンタクト層 37 p−第2コンタクト層 38 p−第3コンタクト層 71 量子井戸層 72 障壁層 100,200 半導体レーザ素子 103 導電性ヒートシンク 104b フォトダイオード 106 透過型3分割用回折格子 107 透過型ホログラム素子 108 反射ミラー 109 対物レンズ 111A 下フレーム部 111B 上フレーム部 112 反射ミラー 131,132,133,141,142 リードフレ
ーム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 古沢 浩太郎 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内 (72)発明者 林 伸彦 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内 (72)発明者 田尻 敦志 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内 (72)発明者 井上 泰明 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内 (72)発明者 庄野 昌幸 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 活性層中にシリコン、セレン、亜鉛、ベ
    リリウム、硫黄または炭素が不純物として5×1015
    -3以上1×1019cm-3以下の濃度に添加されたこと
    を特徴とする半導体レーザ素子。
  2. 【請求項2】 前記活性層中の不純物の濃度が5×10
    16cm-3以上1×1018cm-3以下であることを特徴と
    する請求項1記載の半導体レーザ素子。
  3. 【請求項3】 前記活性層中の不純物の濃度がほぼ1×
    1017cm-3であることを特徴とする請求項1または2
    記載の半導体レーザ素子。
  4. 【請求項4】 前記活性層が、少なくともガリウムおよ
    び砒素を含む化合物半導体からなることを特徴とする請
    求項1〜3のいずれかに記載の半導体レーザ素子。
  5. 【請求項5】 前記活性層が、少なくともGaAsもし
    くはAlGaAsからなることを特徴とする請求項4記
    載の半導体レーザ素子。
  6. 【請求項6】 前記活性層上に、平坦部およびリッジ部
    からなるクラッド層が設けられ、前記クラッド層の前記
    リッジ部の両側面および前記平坦部上に電流ブロック層
    が設けられたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか
    に記載の半導体レーザ素子。
  7. 【請求項7】 前記電流ブロック層が、少なくともガリ
    ウムおよび砒素を含む化合物半導体からなることを特徴
    とする請求項6記載の半導体レーザ素子。
  8. 【請求項8】 前記電流ブロック層が、少なくともGa
    AsもしくはAlGaAsからなることを特徴とする請
    求項7記載の半導体レーザ素子。
  9. 【請求項9】 前記電流ブロック層が、酸化膜または窒
    化膜からなることを特徴とする請求項6記載の半導体レ
    ーザ素子。
  10. 【請求項10】 前記活性層が複数の量子井戸層を含む
    量子井戸構造を有し、前記複数の量子井戸層の合計の厚
    みが20nm以上80nm以下であること特徴とする請
    求項1〜9のいずれかに記載の半導体レーザ素子。
  11. 【請求項11】 前記複数の量子井戸層の数が5以上7
    以下であることを特徴とする請求項10記載の半導体レ
    ーザ素子。
  12. 【請求項12】 光ピックアップ装置に用いられる投受
    光ユニットであって、 第1の面を有する第1の支持部材と、 前記第1の支持部材に設けられた第1の配線部材と、 前記第1の支持部材の第1の面上に設けられかつ前記第
    1の配線部材と電気的に接続された請求項1〜11のい
    ずれかに記載の半導体レーザ素子とを備えたことを特徴
    とする投受光ユニット。
  13. 【請求項13】 前記第1の配線部材上に配置されたヒ
    ートシンクをさらに備え、前記半導体レーザ素子は前記
    ヒートシンク上に配置されたことを特徴とする請求項1
    2記載の投受光ユニット。
  14. 【請求項14】 前記半導体レーザ素子のレーザ光の出
    射方向側に配置されかつ前記半導体レーザ素子から出射
    されたレーザ光に基づく帰還光を回折する第1の回折素
    子をさらに備えたことを特徴とする請求項12または1
    3記載の投受光ユニット。
  15. 【請求項15】 前記半導体レーザ素子と前記第1の回
    折素子との間に配置されかつ前記半導体レーザ素子から
    出射されたレーザ光を複数の光束に分割する第2の回折
    素子をさらに備えたこと特徴とする請求項12〜14の
    いずれかに記載の投受光ユニット。
  16. 【請求項16】 前記第1の支持部材は前記第1の面に
    平行な偏平形状を有し、半導体レーザ素子は、前記第1
    の面に平行な方向に光を出射するように配置されたこと
    を特徴とする請求項12〜15のいずれかに記載の投受
    光ユニット。
  17. 【請求項17】 前記第1の支持部材上に配置された第
    2の支持部材と、 前記第2の支持部材に設けられた第2の配線部材と、 前記第2の支持部材に設けられ、前記第2の配線部材と
    電気的に接続されかつ前記半導体レーザ素子から出射さ
    れた光に基づく帰還光を検出する検出器とをさらに備え
    たことを特徴とする請求項12〜16のいずれかに記載
    の投受光ユニット。
  18. 【請求項18】 光を光学記録媒体に照射する光ピック
    アップ装置であって、 請求項12〜17のいずれかに記載の投受光ユニット
    と、 前記投受光ユニットの前記半導体レーザ素子から出射さ
    れた光を光学記録媒体上に集光する集光手段とを備えた
    ことを特徴とする光ピックアップ装置。
JP2000046448A 1999-03-25 2000-02-23 半導体レーザ素子、投受光ユニットおよび光ピックアップ装置 Pending JP2000340894A (ja)

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