JP3674139B2 - 可視光半導体レーザ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、可視光半導体レーザに関し、更に詳細には、信頼性の高い0.6μm 帯可視光半導体レーザに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
可視光半導体レーザ、特に0.6μm 帯赤色半導体レーザは、その高出力化、長寿命化が進み、実用化の域に達しつつある。例えば、ポインター・バーコード・リーダのレーザ装置として、或いは光デスク装置の光ヘッドのレーザ装置としての実用化が進んでいる。
ここで、従来の0.6μm 帯赤色半導体レーザの構造について説明する。従来の0.6μm 帯赤色半導体レーザ10の層構造は、図2に示すように、n−Ga As 基板12上に順次格子整合させて形成した、n−(Alx Ga1-x )0.5 In 0.5Pからなる下部クラッド層14、真性Ga InPからなる活性層16、p−(Alx Ga1-x )0.5 In 0.5Pからなる上部クラッド層18、p−Ga InPからなる中間層20、及び、p−Ga As からなるコンタクト層22から構成されている。従来の赤色半導体レーザ10は、更に、コンタクト層22の上にp−電極(図示せず)及び基板12の下にn−電極(図示せず)が設けられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
0.6μm 帯赤色半導体レーザの実用化を進めるには、レーザの高い信頼性、すなわち室温程度で長時間安定してレーザ光を発振できることが要求される。そして、信頼性を左右する一つの要因は、化合物半導体層(以下、半導体層と言う)を基板上に成長させた際の半導体層表面の平坦性の良否であると言われている。
ところで、Ga InP活性層をn型及びp型の(Alx Ga1-x )Z In1-Z Pからなるクラッド層で挟む層構造をGa As 基板上に有する上述した従来の構成で以て、635nm〜680nm程度の短波長レーザ光を発光する半導体レーザを形成するためには、基板上に半導体層を成膜する際に、基板を水平面に対して少なくとも2〜8°傾斜させることが必要である。例えば、上述の層構造の635nm帯赤色半導体レーザを形成する際には、Ga As 基板の(001)面を(111)A方向に約6°傾斜させることが好ましいと言われている。
しかし、半導体レーザの層構造を構成する基板を微傾斜、例えば水平面に対して2〜8°傾斜させて、基板上に半導体層を成膜すると、ステップバンチングが生じ、半導体層表面の平坦性が失われるという問題があった。基板の傾斜を大きくして、例えば15°程度にすると、半導体層表面の平坦性が良好になるという研究結果もあるが、基板のオフ角(水平面に対する傾斜角)を大きくすると、半導体レーザのリッジ構造の形成に際し、ストライプ形状をストライプの長手方向中心軸に対して対称に形成することが難しく、レーザ特性が悪くなるいう問題があった。
【0004】
以上のように、従来の層構造では、0.6μm 帯の赤色レーザ光を発光する可視光半導体レーザを形成するためには基板を傾斜させて半導体層を成膜する必要があり、一方、基板を傾斜させて半導体層を成膜すると、成膜した半導体層表面の平坦性が悪くなり、その結果、信頼性が低下するという問題があった。
そこで、本発明の目的は、半導体結晶の平坦性を向上させ、これにより高信頼性の可視光半導体レーザを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成するに当たり、GaInPにAsを微小量添加して、例えばGaInP0.95As0.05の組成にすると、基板が例え水平面に対して微小角度傾斜していても基板上の半導体層表面が平坦化し易いという研究結果に着目した。本発明者は、更に、研究を進めて、GaInPAsの4元活性層とその活性層を挟むAlGaInPAsの5元クラッド層とからレーザの層構造を構成することにより、本発明を完成するに到った。
上記目的を達成するために、本発明に係る可視光半導体レーザは、GaAsの傾斜基板上に、GaInPAs活性層と、活性層を挟む(AlXGa1−X)ZIn1−ZP1−YAsYを備えることを特徴としている。
好適には、クラッド層を構成する(AlXGa1−X)ZIn1−ZP1−YAsYが0.4≦Z≦0.6の範囲にあり、Yが0<Y≦0.2の範囲にあることが望ましい。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に、添付図面を参照し、実施例を挙げて本発明の実施の形態を具体的かつ詳細に説明する。
実施例
図1は、本発明に係る可視光半導体レーザの実施例の層構造を示す概念図である。本実施例の可視光半導体レーザ30の層構造は、図1に示すように、n−Ga As 基板32上に順次格子整合させて形成した、膜厚1.5μm のn−(Alx Ga1-x )0.5 In 0.5P0.95As0.05からなる下部クラッド層34と、膜厚80nmの真性Ga InPAsからなる活性層36と、膜厚1.5μm のp−(Alx Ga1-x )0.5 In 0.5P0.95As0.05からなる上部クラッド層38と、膜厚100nmのp−Ga InPからなる中間層40と、及び、膜厚260nmのp−Ga As からなるコンタクト層42とから構成されている。可視光半導体レーザ30の層構造には、更に、コンタクト層42の上にp−電極(図示せず)及び基板32の下にn−電極(図示せず)が設けられている。ここで、Xの値は、通常、0から1である。
【0007】
本実施例の可視光半導体レーザ30の層構造を形成する際、MOCVD法、MBE法等の常用の成膜方法を常用の条件下で実施することにより、Ga As 基板32上に各半導体層を成膜することができる。
【0008】
本実施例の可視光半導体レーザ30は、Egが1.8146eVであって、室温で長時間安定して波長680nmのレーザ光を発光することができた。よって、本実施例の可視光半導体レーザ30は、光ディスク装置の光ヘッドに設けるレーザ装置として十分に使用できる。
また、Ga As 基板32との格子定数差は、僅かに0.18%であって、問題ないと判断できる。更には、(Alx Ga1-x )0.5 In 0.5P0.95As0.05に代えて、(Alx Ga1-x )Z In1-Z P0.95As0.05の組成比率ZをZ=0.516に調整して、一層厳密にGa As 基板に格子整合させるようにしても良い。尚、通常、Zは、Z=0.5である。
尚、本実施例では、(Alx Ga1-x )Z In1-Z P1-Y AsY のYをY=0.05としているが、Yは0<Y≦0.2の範囲の数値を取ることができる。
【0009】
【発明の効果】
本発明によれば、半導体レーザの層構造をGa InPAs活性層と、活性層を挟む(Alx Ga1-x )Z In1-Z P1-Y AsY からなるクラッド層とで構成することにより、可視光半導体レーザ、特に0.6μm 帯赤色半導体レーザを形成する際に、水平面に対して微小角度傾斜させた基板上に半導体層を成膜しても、基板上に平坦な層を成長させることができる。
これにより、高信頼性で良好なレーザ特性を示す0.6μm 帯赤色半導体レーザを実現することができる。また、本発明に係る可視光半導体レーザは、高い信頼性と良好なレーザ特性を示すので、光ディスク装置等のレーザ源として好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る可視光半導体レーザの実施例の層構造を示す概念図である。
【図2】従来の可視光半導体レーザの実施例の層構造を示す概念図である。
【符号の説明】
10……従来の0.6μm 帯赤色半導体レーザ、12……n−Ga As 基板、14……下部クラッド層、16……活性層、18……上部クラッド層、20……中間層、22……コンタクト層、30……本発明に係る可視光半導体レーザの実施例、32……n−Ga As 基板、34……下部クラッド層、36……活性層、38……上部クラッド層、40……中間層、42……コンタクト層。
Claims (3)
- GaAsの傾斜基板が用いられる可視光半導体レーザであって、
上記GaAsの傾斜基板上に、GaInPAs活性層と、該活性層を挟む(AlXGa1−X)ZIn1−ZP1−YAsYからなるクラッド層とが形成されて成ることを特徴とする可視光半導体レーザ。 - 上記GaAsの傾斜基板の傾斜角度が2°〜8°であることを特徴とする請求項1に記載の可視光半導体レーザ。
- 上記GaAsの傾斜基板が、 ( 001 ) の(001)A方向に傾いた面とされたことを特徴とする請求項1または2に記載の可視光半導体レーザ。
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