JP2000336214A - 遊離基キャッピング性添加剤を含有する組成物及びその使用 - Google Patents

遊離基キャッピング性添加剤を含有する組成物及びその使用

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JP2000336214A JP2000106600A JP2000106600A JP2000336214A JP 2000336214 A JP2000336214 A JP 2000336214A JP 2000106600 A JP2000106600 A JP 2000106600A JP 2000106600 A JP2000106600 A JP 2000106600A JP 2000336214 A JP2000336214 A JP 2000336214A
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チエン−チ・リン
William L Hergenrother
ウイリアム・エル・ハーゲンロザー
Michael W Hayes
マイケル・ダブリユー・ヘイズ
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    • B60C1/0016Compositions of the tread
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08KUse of inorganic or non-macromolecular organic substances as compounding ingredients
    • C08K3/00Use of inorganic substances as compounding ingredients
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
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    • C08K5/34Heterocyclic compounds having nitrogen in the ring
    • C08K5/3412Heterocyclic compounds having nitrogen in the ring having one nitrogen atom in the ring
    • C08K5/3432Six-membered rings
    • C08K5/3435Piperidines

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ペイン効果及びヒステリシス損失が低減され
ており、良好な物性を維持しながら加工性が良好であ
り、損耗中に発生する遊離基を安定化する能力がある、
タイヤトレッド等の用途に有用な組成物を得ること。 【解決手段】 エラストマー100重量部;カーボンブ
ラック、シリカ、及びその組み合わせから成る群から選
ばれる少なくとも1種の補強性充填剤、約5〜約100
重量部;遊離基キャッピング性添加剤、約0.1〜約1
0重量部;及び加硫剤、約0.2〜約5重量部を含んで
成る、加硫可能な、充填剤で補強された、エラストマー
を含有する組成物。その組成物を含んで成る加硫された
組成物の製造方法、及びその組成物から製造されたトレ
ッド用原料を含んで成る空気入りタイヤも提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術的分野】本発明は、充填剤を含有したエラ
ストマー組成物において、分散及び充填剤とゴムの高分
子との相互作用を向上させそしてヒステリシス(hystere
sis)を減少させるための、ゴム高分子への遊離基キャッ
ピング(capping)性添加剤の添加に関する。更に詳細に
は、本発明は、ペイン(Payne)効果を低減させそ
して組成物におけるヒステリシス損失を低下させるため
の、種々のシリカ充填及び/又はカーボンブラック充填
エラストマー組成物への、2,2,6,6−テトラメチ
ル−1−ピペリジニルオキシ(TEMPO)又はそれと
互換性があり遊離基キャッピング性があるその誘導体の
ような添加剤の添加に関する。これらの高分子組成物
は、タイヤに使用するためのトレッド用組成物として特
に有用であり、これらの組成物は、当技術分野における
重要な進歩であって、加硫したエラストマー配合物の内
部で、特に損耗中に、生成する遊離基を捕捉し安定化す
ることができ、それによってヒステリシスを減少させそ
して耐磨耗性を向上させると考えられる。
【0002】
【発明の背景】多くの工業において、補強剤のような他
の成分を適切に配合し次いで加硫した際にヒステリシス
が少ないエラストマー配合物を製造することは屡々望ま
しいことである。そのようなエラストマーは、配合さ
れ、成形され、加硫されて、タイヤ、動力ベルト等のよ
うな製品を組み立てるための部品になった場合、通常の
使用中の力学的応力を受けたときに反撥弾性が大きく、
転がり抵抗が小さく発熱が小さいという性質を示す。
【0003】不都合にも、多くの高分子組成物の通常の
損耗に関連する熱と応力によって炭素−炭素結合が開裂
し、このために遊離基が発生する。このことは、ゴムト
レッド組成物に屡々当てはまり、これによってヒステリ
シス損失の増大やその他の、損耗やトレッド組成物の劣
化に関連する問題が起こる。
【0004】ゴム高分子トレッド組成物中の遊離基は、
高分子中の望ましくない不飽和点例えば2重結合と、又
は酸素と反応することが知られている。いずれの場合で
も、遊離基の反応は組成物にとって有害である。トレッ
ド組成物の使用に必然的に伴う応力が原因で発生する遊
離基が不飽和点と反応すると、組成物のムーニー粘度が
上昇し、それによって耐久性が低下する。組成物それ自
体が脆くなることさえあり得る。
【0005】発生した遊離基が酸素と反応した場合、過
酸化物が組成物中に生成して新たな遊離基を発生し、そ
して望ましくない不飽和点との反応が続いて起こる。あ
るいはまた、新たに発生した遊離基が天然ゴムと反応し
そして高分子鎖を開裂させ、それによって天然ゴムの分
子量が減少し、遂には高分子組成物が崩壊することもあ
り得る。
【0006】組成物が損耗及び/又は摩耗に対する優れ
た耐性を持っているかどうかを決める重要なパラメータ
ーは、ゴム組成物の充填剤分散である。当技術分野にお
いては、組成物の充填剤分散は、充填剤が高分子マトリ
ックスの中に混合される際の均一性と直接関係があると
一般的に見なされている。そのようなものとして、充填
剤で補強されたゴム組成物の充填剤分散が、組成物の貯
蔵弾性率における変化又は「ペイン効果」に関係してい
る場合があると一般に認識されている。貯蔵弾性率にお
ける変化を減少させること、即ち、「ペイン効果」を低
下させることによって、組成物の充填剤分散を向上させ
る可能性がある。
【0007】トレッド組成物の損耗特性を決定するのに
使用されるもう一つの既知のパラメーターは、充填剤で
補強されたゴム組成物の結合ゴム含量である。結合ゴム
含量は、補強性充填剤、例えばカーボンブラック、シリ
カ等、とエラストマー又は高分子マトリックスとの間の
結合又は物理的相互作用と直接関係があると、当技術分
野では一般的に見なされている。シリカ充填ゴム組成物
においては、そのような結合は、これまでは、硫黄結合
をも持っているアルコキシシランカップリング剤、例え
ば、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]テト
ラスルフィド(Si69)、を添加することによって形
成されてきた。硫黄結合がそれ自体を高分子に結合さ
せ、一方アルコキシ官能基はシリカ充填剤に結合するこ
とができる。カーボンブラックを充填したエラストマー
組成物において、カーボンブラックが高い結合ゴム含量
を生み出す正確な過程は、まだ完全には解明されていな
い。
【0008】エラストマーのヒステリシスとは、そのエ
ラストマーから製造された物品を変形させるためにかけ
たエネルギーとそのエラストマーが最初の変形されない
状態に戻る際に放出したエネルギーの差を指す。空気入
りタイヤにおいては、ヒステリシス性質の減少は、タイ
ヤ使用中の転がり抵抗と発熱性の低下と関連している。
これらの性質は、今度は、そのような空気入りタイヤを
使用する車両の燃料消費の低下をもたらす。
【0009】従って、配合された、加硫可能なエラスト
マー組成物の低ヒステリシス性は特に重要である。その
ような配合エラストマー系の例は、当技術分野で公知で
あり、そして、少なくとも1種のエラストマー(即ち、
ゴムのような、弾性を示す天然又は合成高分子)、補強
性充填剤(例えば、微粉砕したカーボンブラック、サー
マルブラック、又はクレー等のような鉱物充填剤)及び
硫黄含有加硫系(即ち、硬化系)のような加硫系で構成
されている。
【0010】天然ゴム、又はジエン系重合体及び共重合
体エラストマーを含有する、加工性が良好な、加硫可能
な、シリカ充填ゴム配合物を製造するための従来の試み
は、混合中の各成分の添加順序(Bomalら、シリカ
充填農業用タイヤトレッドの性質に対する混合手順の影
響、1992年5月)、メタクリル酸亜鉛及びオクテン
酸亜鉛のような解凝集剤、又はメルカプトプロピルトリ
メトキシシランのようなSBR−シリカカップリング剤
の添加(Hewitt、シリカ充填SBRの加工技術、
Elastomerics、33〜37頁、1981
年、3月)、 及びビス[3−(トリエトキシシリル)
プロピル]テトラスルフィド(Si69)加工助剤の使
用(Degussa,PPG)に焦点を当てている。
【0011】沈降シリカも、タイヤ及び機械用品のゴム
成分において補強性粒子状充填剤として使用量が増加し
てきている。しかしながら、シリカ充填ゴム配合物は、
結合ゴム含量が比較的低く、加工性が悪い。
【0012】従って、タイヤトレッド等の用途に有用な
加硫可能な充填剤含有エラストマー原料組成物であっ
て、充填剤の分散が改良され(即ち、「ペイン効果」が
低減している)そして結合ゴム含量が増大しており、そ
のため、良好な物理的性質を維持しながら、ヒステリシ
スが低減しておりそしてムーニー粘度を下げることによ
って加工性が改良されている組成物を開発することは望
ましいことである。また、トレッド組成物の損耗の際に
発生する遊離基を捕捉して安定化し、それが2重結合、
酸素等と反応しないようにする組成物を開発することも
望ましいと考えられる。
【0013】
【発明の概要】従って、本発明の一つの目的は、加硫可
能な、充填剤で補強された、エラストマーを含有する原
料組成物であって、ペイン効果が低減している組成物を
提供することである。
【0014】本発明の他の目的は、加硫可能な、充填剤
で補強された、エラストマーを含有する原料組成物であ
って、ヒステリシスが低減している組成物を提供するこ
とである。
【0015】本発明の更に他の目的は、加硫可能な、充
填剤で補強された、エラストマーを含有する原料組成物
であって、良好な物理的性質を維持しながら、加工性が
改良されている組成物を提供することである。
【0016】本発明の更に他の目的は、加硫可能な、充
填剤で補強された、エラストマーを含有する原料組成物
であって、組成物の損耗中に発生する遊離基をキャッピ
ングし、それによって安定化する能力がある組成物を提
供することである。
【0017】本発明の更なる目的は、上記した、加硫可
能な、充填剤で補強された、エラストマーを含有する原
料組成物の製造方法を提供することである。
【0018】本発明の更なる目的は、上記した、加硫可
能な、充填剤で補強された、エラストマーを含有する原
料組成物を含んで成る空気入りタイヤを提供することで
ある。
【0019】上記の目的は、以下の明細書から明らかに
なる、現存の技術に対する有利な点と共に、本明細書で
以下に説明し特許請求する本発明によって達成される。
【0020】一般的に、本発明は、エラストマー100
重量部;カーボンブラック、シリカ、及びその組み合わ
せから成る群から選ばれる少なくとも1種の補強性充填
剤、エラストマー100重量部当たり約5〜約100重
量部;2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニ
ルオキシ(TEMPO)及びそれと互換性があり遊離基
キャッピング性があるその誘導体、ガルバノキシル、ジ
フェニルピクリルヒドラジル、及びヘキサフェニルエタ
ンのような遊離基キャッピング性添加剤、エラストマー
100重量部当たり約0.1〜約10重量部;加硫剤、
エラストマー100重量部当たり約0.2〜約5重量
部、を含んで成る加硫可能な組成物を提供する。
【0021】本発明は更に、エラストマー100重量部
と、カーボンブラック、シリカ、及びその組み合わせか
ら成る群から選ばれる少なくとも1種の補強性充填剤、
エラストマー100重量部当たり約5〜約100重量
部;2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニル
オキシ(TEMPO)及びそれと互換性があり遊離基キ
ャッピング性があるその誘導体、ガルバノキシル、ジフ
ェニルピクリルヒドラジル(DPPH)、及びヘキサフ
ェニルエタンのような遊離基キャッピング性添加剤、エ
ラストマー100重量部当たり約0.1〜約10重量
部;及び加硫剤、エラストマー100重量部当たり約
0.2〜約5重量部とを混合することを含んで成る加硫
された組成物の製造方法を提供する。
【0022】本発明は更に、エラストマー100重量
部;カーボンブラック、シリカ、及びその組み合わせか
ら成る群から選ばれる少なくとも1種の補強性充填剤、
エラストマー100重量部当たり約5〜約100重量
部;2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニル
オキシ(TEMPO)及びそれと互換性があり遊離基キ
ャッピング性があるその誘導体、ガルバノキシル、ジフ
ェニルピクリルヒドラジル、及びヘキサフェニルエタン
のような遊離基キャッピング性添加剤、エラストマー1
00重量部当たり約0.1〜約10重量部;硬化剤、エ
ラストマー100重量部当たり約0.2〜約5重量部、
を含んで成る加硫された組成物から製造されたトレッド
用原料を含んで成る空気入りタイヤを提供する。
【0023】
【発明の詳細な記述】上記したように、本発明は、加硫
可能な、充填剤で補強された、エラストマーを含有する
組成物の内部において、分散及び補強性充填剤と高分子
マトリックス間の相互作用を向上させるために、そして
より具体的には、損耗に際してトレッド原料組成物内に
発生する遊離基の、その中の望ましくない成分例えば酸
素、炭素2重結合等との反応を防止するために、遊離基
キャッピング性添加剤を使用することに向けられてい
る。発生した遊離基は、2,2,6,6−テトラメチル
−1−ピペリジニルオキシ(TEMPO)又はそれと同
等の誘導体、並びにその他の、遊離基が他の上記の望ま
しくない成分と反応しないようにする添加剤を用いてそ
れをキャップすることによって「安定化」される。これ
らの遊離基の安定化は、加硫可能な、充填剤で補強され
たエラストマー組成物内のヒステリシス損失の低減に有
用であると考えられる。
【0024】本発明の原料組成物は、それが1種以上の
充填剤で充填された加硫可能なエラストマーを含有する
という点ではゴム工業に見られる大部分のエラストマー
組成物に典型的な組成物である。そのような充填剤は、
組成物への要求性能に応じて、補強性充填剤、例えばカ
ーボンブラック、シリカ等であることもでき、また非補
強性充填剤例えばクレー、タルク等であることもでき
る。エラストマー組成物はまた、通常、硬化用のパッケ
ージ又は加硫系を含有しており、それは、通常加硫又は
硬化剤として硫黄を使用している。
【0025】しかしながら、本発明の原料組成物は、遊
離基キャッピング性添加剤を含有しており、それが、ペ
イン効果(△G’)を低減させることによって組成物の
充填剤分散を改良し、そして組成物のヒステリシス損失
(tanδ)を低下させる、もう一つの、コストの低い
道を提供する点において、他の原料組成物とは異なって
いる。本発明は、TEMPO及びその誘導体のような遊
離基キャッピング性添加剤を用いて、向上した充填剤分
散、向上した結合ゴム含量、低減されたヒステリシス、
及び改良された加工性を、いずれも良好な物性を維持し
ながらエラストマー組成物に付与する。
【0026】貯蔵弾性率における変化(△G’)は、組
成物の充填剤凝集体の網目を定量化するために使用され
る。貯蔵弾性率における変化量が減少する場合は、充填
剤分散が改良される可能性があると考えられている。こ
の、貯蔵弾性率における変化は、屡々「ペイン効果」と
呼ばれる。
【0027】本明細書を通して使用されている用語「結
合ゴム含量」は、シリカ充填剤とエラストマー又は高分
子マトリックスとの間の結合に直接関係していると当技
術分野では見なされている。シリカ充填ゴムにおいて
は、そのような結合は、硫黄結合をも有しているアルコ
キシシランカップリング剤を、シリカ補強剤を含有する
エラストマー組成物に添加することによって形成され
る。硫黄結合がそれ自体を高分子に結合させ、一方アル
コキシ官能基はシリカ充填剤に結合することができる。
アルコキシシランカップリング剤と遊離基キャッピング
性添加剤2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジ
ルオキシを組み合わせて含有しているシリカ充填エラス
トマー組成物は、結合ゴム含量を更に増加させ、そのエ
ラストマー組成物のゴムヒステリシス損失(tanδ)
を更に低下させることができることが見出された。
【0028】本明細書を通して使用されており、当技術
分野での通常の意味に従っている用語「phr」は、ゴ
ム又はエラストマー100重量部当たりのそれぞれの材
料の重量部を意味する。
【0029】用語「ゴム組成物」、「エラストマー組成
物」及び「原料組成物」は、本明細書を通して、前もっ
て別の記載がなければ、互換可能に使用することがで
き、そして一般的に、典型的には少なくとも1種のゴ
ム、充填剤、遊離基キャッピング性添加剤、及び加硫系
を含む成分の混合物によって形成される組成物又は配合
物を指す。本明細書を通して使用されている用語「ゴ
ム」、「重合体」及び「エラストマー」も、前もって別
の記載がなければ、互換可能に使用することができ、そ
して一般的に、種々な材料と配合、ブレンド又は混合さ
れたゴム又は高分子マトリックスを指し、そしてそのよ
うな用語は、ゴム混合又はゴム配合の当業者には広く公
知である。
【0030】本発明に従えば、本発明の組成物において
使用される重合されたエラストマーは、例えば、ポリブ
タジエン、ポリイソプレン等、及び、それらの、スチレ
ン、α−メチルスチレン等又はミルセンのようなトリエ
ンとの共重合体及びターポリマーを挙げることができ、
それらはゴム原料(rubber stock)を形成するために配
合される。従ってエラストマーの例としては、ジエンホ
モポリマーA、及びそれのモノビニル芳香族ポリマーと
の共重合体及びターポリマーB、が挙げられる。ジエン
単独重合体の例は、4〜約12個の炭素原子を有するジ
オレフィンモノマーから製造された単独重合体である。
ビニル芳香族重合体の例は、8〜約20個の炭素原子を
有するモノマーから製造された重合体である。本発明に
おいて有用な、共役ジエンモノマー等の例としては、
1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエ
ン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、及び1,
3−ヘキサジエンが挙げられ、そして芳香族ビニルモノ
マーの例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p
−メチルスチレン、ビニルトルエン及びビニルナフタレ
ンが挙げられる。共役ジエンモノマーと芳香族ビニルモ
ノマーは、通常は、重量比約90:10〜約55:4
5、好ましくは約80:20〜約65:35で使用され
る。
【0031】好ましいエラストマーの例としては、ポリ
ブタジエンやポリイソプレンのような単独重合体及びス
チレンブタジエンゴム(SBR)のような共重合体が挙
げられる。共重合体は、ジエン単位約99〜55重量%
及びモノビニル芳香族又はトリエン単位約1〜約45重
量%を含んで成ることができ、合計100%である。本
発明における重合体及び共重合体は、1,2−ミクロ構
造含量が、ジエン含量を基準として、約10〜約80%
であり、好ましい重合体及び共重合体では1,2−ミク
ロ構造含量は約25〜65%である。本発明に従って製
造される重合体の分子量は、プロトンで不活性化した(q
uenched)試料のガムムーニー粘度(ML 4/212゜
F)が約2〜約150になるような分子量であることが
好ましい。共重合体は、当技術分野で公知であるよう
に、複数のモノマーを同時に共重合させて得られるラン
ダム共重合体であることが好ましい。官能化されていな
いシス−ポリブタジエン、エチレン−プロピレン−ジエ
ンモノマー(EPDM)、エマルジョンスチレンブタジ
エンゴム、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SI
B)及び天然ゴムもまた包含される。
【0032】当技術分野で公知の開始剤、例えば有機リ
チウム開始剤、より好ましくは、アルキルリチウム開始
剤をエラストマーを製造するために用いることができ
る。更に詳細には、本発明で使用される開始剤の例とし
て、N−リチオ−ヘキサメチレンイミン、n−ブチルリ
チウムのような有機リチウム化合物、トリブチルスズリ
チウム、ジメチルアミノリチウム、ジエチルアミノリチ
ウム、ジプロピルアミノリチウム、ジブチルアミノリチ
ウム等のようなジアルキルアミノリチウム、及びアルキ
ル基が1〜約12の炭素原子好ましくは1〜約4個の炭
素原子を含有するトリアルキルスタニルリチウムが挙げ
られる。
【0033】重合は、通常、アニオン重合用に従来から
使用されている溶媒中で、例えば、種々の環式又は非環
式ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ペンタン、それらの
アルキル化誘導体及びその混合物の中で行う。セミバッ
チ及び連続重合のような他の重合技術を用いることもで
きる。共重合におけるランダム化を促進し、ビニル含量
を増加させるために、場合によっては、配位剤を重合成
分に添加することができる。添加量範囲は、リチウム1
当量当たり0〜90当量又はそれ以上である。その量
は、求めるビニル量、用いたスチレン量のレベル及び重
合温度並びに用いた個々の極性配位剤の性質に依存す
る。
【0034】配位剤として有用な化合物は有機化合物で
あり、その例として、酸素又は窒素ヘテロ原子及び非結
合電子対を有する化合物が挙げられる。その具体例とし
ては、モノ及びオリゴアルキレングリコールのジアルキ
レンエーテル、「クラウン」エーテル、テトラメチルエ
チレンジアミン(TMEDA)、THF、THFオリゴ
マー、2,2’−ジ(テトラヒドロフリル)プロパンの
ような線状及び環式オリゴマー状オキソラニルアルカ
ン、ジ−ピペリジルエタン、ヘキサメチルホスホルアミ
ド、N,N’−ジメチルピペラジン、ジアザビシクロオ
クタン、ジエチルエーテル、トリブチルアミン等が挙げ
られる。線状及び環式オリゴマー状オキソラニルアルカ
ンについての詳細は、登録された権利譲受人が所有して
いる米国特許第4,429,091号に記載されてい
る。この特許の発明主題(subject matter) は、引用す
ることによって本明細書に組み込まれるものとする。
【0035】重合は、通常、モノマーと溶媒の混合物を
適切な反応容器に仕込み、次いで上記の配位剤と開始剤
溶液を添加することによって開始する。或いはまた、モ
ノマーと配位剤を開始剤に添加することもできる。この
操作は、無水で、空気のない条件下で行われる。反応剤
を、約10℃〜約150℃の温度に加熱し、約0.1〜
約24時間攪拌する。重合が完結した後、生成物の加熱
を止め種々の方法で重合を停止させる。重合を停止させ
るために、停止剤、カップリング剤、又は結合剤を使用
することができるが、本明細書では、これらの反応剤を
纏めて「停止剤」と呼ぶこととする。これらの反応剤の
中のあるものは、停止反応の結果、多官能性高分子を生
成することができる。即ち、本発明の重合体は、上述し
たように少なくとも1種のアミン官能基を保持すること
ができ、そして、停止剤、カップリング剤、又は結合剤
から成る群から選ばれそしてそれに由来する第二の官能
基をも保持することができる。一般的に、用いられる停
止剤の量は、開始剤1モル当たり約0.3〜1モルの範
囲であり、開始剤1モル当たり約0.5〜約0.8モル
が好ましい。
【0036】本発明に従う停止剤には、当技術分野で通
常用いられている停止剤を使用することができ、その例
としては、水素、水、スチーム、イソプロパノールのよ
うなアルコール、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジ
ノン(DMI)、カルボジイミド、N−メチルピロリド
ン、環状アミド、環状尿素、イソシアン酸エステル、シ
ッフ塩、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェ
ノン、等が挙げられる。その他の有用な停止剤の例とし
ては、構造式(R1aZXb(式中、Zは、好ましく
は、スズ又はシリコンである)を有する停止剤が挙げら
れる。R1は、約1〜約20個の炭素原子を有するアル
キル、約3〜約20個の炭素原子を有する環状アルキ
ル、約6〜約20個の炭素原子を有するアリール、又は
約7〜約20個の炭素原子を有するアラルキルである。
例えば、R1の例としては、メチル、エチル、n−ブチ
ル、ネオフィル、フェニル、シクロヘキシル等を挙げる
ことができる。Xは、塩素又は臭素のようなハロゲン又
はアルコキシ(−OR1)であり、aは0〜3であり、
そしてbは、約1〜4であり、但しa+b=4である。
そのような停止剤の例としては、但しそれに限定はされ
ないが、四塩化スズ、(R13SnCl、(R12Sn
Cl2、R1SnCl3、及びR1SiCl3並びにテトラ
エトキシシラン(Si(OEt)4)及びメチルトリフ
ェノキシシラン(MeSi(OEt)3)が挙げられ
る。
【0037】上記の加硫可能な配合物において、シリカ
又はカーボンブラックに加えて、鉱物充填剤を使用する
場合は、重合体が、それぞれテトラエトキシシラン停止
剤又はメチルトリフェノキシシラン停止剤を使用するこ
とによって得られる末端残基であるシリルエトキシ又は
メチルシリルフェノキシ基のようなシラン官能基を含有
することが好ましい。
【0038】停止剤を反応容器に添加し、そして約1〜
約1000分間その容器を攪拌する。その結果、配合材
のシリカにより強い親和力を持ち、従ってヒステリシス
が更に低減したエラストマーが製造される。停止剤の追
加例としては、米国特許第4,616,069号に記載
されている停止剤が挙げられ、この特許は引用すること
によって本明細書に組み込まれるものとする。ただし、
所望の官能基を得るために、重合体に結合したリチウム
部分に反応性があるその他の化合物を選択することもで
きるので、本発明の実施はこれらの停止剤だけに限定さ
れるものではない。不活性化(quenchinng)は、通常、重
合体と不活性化剤を約30℃〜150℃の温度で約0.
05〜2時間攪拌して確実に反応を完了させることによ
って行なわれる。上述したようにして官能基で停止した
重合体を、続いてアルコール又は上記したその他の不活
性化剤を用いて不活性化する。
【0039】最後に、溶剤を、ドラム乾燥、押出し機を
用いた乾燥等の通常の技術によって重合体から除去する
が、これらの技術は、水、アルコール又はスチームを用
いる凝固、熱脱溶剤、或いはその他の適切な方法と組み
合わせて用いることができる。水又はスチームによる凝
固を用いる場合には、オーブン乾燥が望ましいであろ
う。
【0040】上記の弾性重合体は、トレッド原料配合物
におけるゴムの100部として使用することもできる
し、又天然ゴム、合成ゴム及びそれらのブレンド等の通
常用いられるトレッド原料用ゴムとブレンドすることも
できる。そのようなゴムは、当業者には周知であり、そ
の例として合成ポリイソプレンゴム、エマルジョンSB
Rを含むスチレン/ブタジエンゴム、ポリブタジエン、
ブチルゴム、ネオプレン(登録商標)、エチレン/プロ
ピレンゴム、エチレン/プロピレン/ジエンゴム(EP
DM)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SI
B)、アクリロニトリル/ブタジエンゴム(NBR)、
シリコンゴム、フッ素エラストマー、エチレンアクリル
系ゴム、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、エピ
クロロヒドリンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、クロロ
スルホン化ポリエチレンゴム、水素化ニトリルゴム、四
フッ化エチレン/プロピレンゴム等が挙げられる。官能
化された重合体を通常のゴムとブレンドする際、その量
は非常に幅広く、全ゴムの約5〜約99重量%の範囲内
で、変動することができ、通常のゴムが全ゴム(100
部)の内の残りを占める。最少量は、主として、所望の
ヒステリシス低減の程度に依存する。
【0041】補強性充填剤は、エラストマー100重量
部当たり約5〜約100重量部の範囲の量で使用され
る。一般的に、2種の好ましい補強用充填剤、カーボン
ブラック及びシリカがあり、これらの充填剤は、トレッ
ド用組成物内で別々にでも互いに組み合わせてでも使用
することができる。これらの充填剤材料は、低ヒステリ
シス充填剤であると考えられる。当技術分野で公知の他
の補強用充填剤も本発明において使用してもよいけれど
も、それらの有用性と本明細書で議論する遊離基キャッ
ピング性添加剤に対する関係は、本発明の本質的な性質
に影響するものではない。
【0042】先行技術のトレッド原料組成物において充
填剤材料としての使用に適している、ファーネスブラッ
ク、チャンネルブラック、ランプブラック等のカーボン
ブラックならいかなるカーボンブラックでも、本発明に
おいて本質的に使用することができる。組成物が、エラ
ストマー100部当たり(phr)カーボンブラック約
5〜約100重量部を含んで成るのが好ましく、より好
ましくは、約5〜約80重量部であり、最も好ましく
は、約10〜約40重量部である。カーボンブラック
は、一般的に入手出来、商業的に製造されたいかなるカ
ーボンブラックを含んでいてもよいが、表面積(EMS
A)が少なくとも20m2/グラムであるカーボンブラ
ックが好ましく、少なくとも35m2/グラム〜200
2/グラム又はそれ以上であるカーボンブラックがよ
り好ましい。比較的発達した構造と比較的大きい粒子サ
イズ、即ち40nmの粒子サイズ、40m2/グラムの
表面積、を持つカーボンブラックであるFEF(良押出
し性ファーネス)ブラックが特に有用である。そのよう
なカーボンブラックについての詳細な記述は文献に見出
すことができる。例えば、The Vanderbil
t Rubber Handbook, pp.408
−424,RT Vanderbilt Co.,No
rwalk, CT06855(1979) 及び Ru
bber Technology,2d ed.,p
p.51−59, Van NostrandRein
hold Corporation(1973)参照。
【0043】同様に、いかなる公知の補強用シリカ充填
剤も本発明において使用することができ、そしてエラス
トマー100部当たり約5〜約100重量部(phr)
の量で使用するのが好ましく、約5〜約80重量部の量
で使用するのがより好ましく、約5〜約30重量部の量
で使用するのが最も好ましい。有用な上限量は、この型
の充填剤が引き起こす高い粘度によって制約される。使
用できる市販のシリカの例としては、PPG Indu
striesによって製造されたHi−Sil(登録商
標)215、Hi−Sil(登録商標)233及びHi
−Sil(登録商標)190が挙げられる。異なったシ
リカの多くの有用な市販のグレードが、De Guss
a Corporation、Rhone 及びJ.
M.Huber Corporationから入手でき
る。
【0044】本発明に従って、無定型シリカ(酸化シリ
コン)が、ジエン重合体又は共重合体エラストマーを含
有する加硫可能な配合物用の充填剤として用いられる。
シリカは、水中での化学反応によって製造され、水から
超微細な球形の粒子として沈降するので、通常、湿式工
程による含水シリカとして分類される。
【0045】これらの一次粒子は、強固に会合して粒団
になり、それが今度は弱く集合して凝集体になる。BE
T法で測定した表面積は、異なったシリカの補強特性の
最もよい目安となる。本発明にとって関係のあるシリカ
については、表面積は、約32〜約400m2/グラム
であるべきであり、約100〜約250m2/グラムが
好ましく、約150〜約220m2/グラムが最も好ま
しい。シリカ充填剤のpHは、一般的には約5.5〜約
7又は7より少し高い値であり、好ましくは、約5.5
〜約6.8である。
【0046】上で短く触れたようにシリカ充填したエラ
ストマー又は重合体は、全ての種類のカーボンブラック
と、ゴム100部当たり約2〜約50重量部(phr)
の範囲の量で、好ましくは約5〜約40phrで配合す
ることができる。繰り返すが、カーボンブラックは、一
般的に入手出来、商業的に製造されたいかなるカーボン
ブラックを含んでいてもよいが、表面積(EMSA)が
少なくとも20m2/グラムであるカーボンブラックが
好ましく、少なくとも35m2/グラム〜200m2/グ
ラム又はそれ以上であるカーボンブラックがより好まし
い。本願において使用される表面積値は、臭化セチルト
リメチルアンモニウム(CTAB)技術を用いるAST
M試験D−1765によって測定された値である。有用
なカーボンブラックは、ファーネスブラック、チャンネ
ルブラック、ランプブラック等である。より詳細には、
カーボンブラックの例として、超耐磨耗性ファーネス
(SAF)ブラック、高耐磨耗性ファーネス(HAF)
ブラック、良押出し性ファーネス(FEF)ブラック、
微粒性(FF)ブラック、準超耐磨耗性ファーネス(I
SAF)ブラック、中補強性ファーネス(SRF)ブラ
ック、中加工性チャンネルブラック、ハードプロセシン
グ(hard processing)チャンネルブラック及び導電性チ
ャンネルブラックが挙げられる。2種以上の上記のカー
ボンブラックの混合物も本発明のカーボンブラックの製
造に使用することができる。使用できるカーボンブラッ
ク表面積の代表的な値を下記の表Iに纏めて示す。
【0047】
【表1】
【0048】本発明のエラストマー組成物の製造におい
て使用されるカーボンブラックは、ペレット化した形態
でも、ペレット化しない綿状物体の状態でも使用するこ
とができる。より均一な混合のためには、ペレット化し
ていないカーボンブラックが好ましい。
【0049】本発明の組成物は、好ましくはエラストマ
ー100部当たり約0.1〜約10重量部(phr)の
範囲の量で用いられる遊離基キャッピング性添加剤を含
有する。その添加剤は、約0.1〜約5phrの量で用
いるのがより好ましく、約0.1〜約3phrの量で用
いるのが最も好ましい。特に有用な遊離基キャッピング
性添加剤の例としては、但しそれには必ずしも限定され
ないが、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジ
ニルオキシ(TEMPO)及びその誘導体が挙げられ
る。本質的には、その酸素官能基の周りに4個のメチル
基を有する誘導体はいずれも本発明に適しているけれど
も、当技術分野で公知であり、入手可能であり、ヒステ
リシスその他の問題を軽減すると考えられる特に有用な
誘導体の例としては、TEMPOの4−ヒドロキシ及び
4−アミノ誘導体が挙げられる。他の適切な誘導体の例
としては、TEMPOのモノ及びポリアルキルエステ
ル、アリールエステル、及びスルホン酸エステル誘導体
及び4−安息香酸エステル及び4−酢酸エステル誘導体
が挙げられる。他の適切な遊離基キャッピング性添加剤
の例としては、ガルバノキシル、ジフェニルピクリルヒ
ドラジル、及びヘキサフェニルエタン及びこれらの各々
に同等な誘導体が挙げられる。
【0050】一般的に、遊離基キャッピング性添加剤、
例えばTEMPOは、遊離基が持っている、トレッド原
料組成物の他の望ましくない成分を引き寄せるという能
力に対抗する一つの有効な手段であると考えられる。T
EMPOは、これらの他の末端キャッピング性添加剤と
同様に、それ自体を発生した遊離基に結合させそして特
に損耗中の高分子鎖が切断した時に高分子を本質的に末
端キャップ又は捕捉する能力を持っていると考えられ
る。更に、TEMPO中のN−O結合の高い分極性が、
分散及び重合体のシリカ及び/又はカーボンブラック充
填剤との相互作用を向上させ、それによって結合ゴム含
量及び/又は充填剤の分散が向上し、その結果ヒステリ
シス損失が低減すると考えられる。
【0051】しかしながら、TEMPO及びその誘導体
は、TEMPOが揮発性であり、多分有毒であるので、
注意して取り扱わねばならないことに注目すべきであ
る。しかし、揮発性と毒性は、置換反応でTEMPOの
誘導体を製造することによって著しく軽減される。
【0052】用いられる遊離基キャッピング性添加剤
は、シリカ又はカーボンブラックのいずれかあるいはそ
の両方を含有する組成物中で使用されるのである。シリ
カが用いられる場合には、シリカを充填剤として含有す
る加硫したゴム原料において良好な物性を得るために、
シランのようなカップリング剤を使用するのが屡々通例
である。カップリング剤は、屡々、シリカ表面と反応す
る能力のある、少なくとも1個の第一構成成分又は部分
(シラン部分のような)、及び、炭素−炭素2重結合即
ち不飽和を含有するゴム、特に硫黄で加硫できるゴムと
相互作用する能力のあるもう一つの部分を有するシラン
から構成されている。通常、上記のもう一つの部分は、
ポリスルフィドの形態の硫黄であり、そして特には、該
第一部分の間のポリスルフィドブリッジである。このよ
うにして、カップリング剤は、シリカとゴムの間の連結
橋として作用し、それによってシリカのゴム補強作用を
高める。そのようなカップリング剤の、ゴムと反応性の
あるグループ成分、即ち、該もう一つの部分は、例え
ば、メルカプト、アミノ、ビニル、エポキシ、及び硫黄
基のような基の1種又はそれ以上であることができ、好
ましくは硫黄又はメルカプト部分であり、より好ましく
は、少なくとも2個の該第一部分の間のポリスルフィド
ブリッジとしてのポリスルフィドの形態にある硫黄であ
る。
【0053】多くの、シリカとゴムを結びつけるのに使
用するためのカップリング剤及び相溶化剤が公知であ
る。本発明において特に有用であり好ましいシリカ系の
カップリング剤及び相溶化剤のの中には、ポリスルフィ
ド成分又はポリスルフィド構造を含有するシランカップ
リング剤及び/又は相溶化剤、例えば、トリアルコキシ
オルガノシランポリスルフィド、例えば約2〜約8個の
硫黄原子をポリスルフィドブリッジに含有するビス−
(3−トリアルコキシシリルオルガノ)ポリスルフィ
ド、例えばビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)
テトラスルフィド(Si69)、及び、式(R12Si
(OR22又は(R1)Si(OR23(式中、アルコ
キシ基は、同じ基又は異なった基であり、各々のR1
独立して、C1〜約C18の脂肪族、約C6〜約C12
の脂環式、又は約C6〜約C18の芳香族、好ましく
は、C1〜約C10の脂肪族、約C6〜約C10の脂環
式、又は約C6〜約C12の芳香族であり、各々のR2
は独立して、1〜6個の炭素原子を含有する)を有する
アルキルアルコキシシランが含まれる。代表的な例とし
て、オクチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキ
シシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシ
シラン、(3−グリシドキシプロピル)トリエトキシシ
ラン、ヘキシルトリメトキシシラン、エチルトリメトキ
シシラン、プロピルトリエトキシシラン、フェニルトリ
メトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、
シクロヘキシルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキ
シシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、メ
タクリロイルトリメトキシシラン、i−ブチルトリエト
キシシラン等が挙げられる。これらの中で、ビス−(3
−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(S
i69)が好ましい。
【0054】本発明はまた、上記のシラン(Si69)
に置き換えて、1種以上の加工助剤をシリカと共に存在
させて、加硫可能な配合物の同等な加工性及び加硫した
原料のより低いヒステリシスを他の測定された物性を低
下させないで得るために利用することができる。 これ
らの加工助剤の例として、水素化した又は水素化してい
ないC5及びC6蔗糖、例えばソルビトース、マンニトー
ス、及びアラビノースの脂肪酸エステルが挙げられる。
これらの化合物は、少なくとも3個のヒドロキシル基及
び1〜3.5個のエステル基を有している(セスキエス
テル)。それらのポリオキシエチレン誘導体も又有用で
ある。代表的な例として、モノオレイン酸エスエル、ジ
オレイン酸エスエル、トリオレイン酸エスエル及びセス
キオレイン酸エスエルを含むオレイン酸ソルビタン、並
びにラウリン酸、プラミチン酸、及びステアリン酸のソ
ルビタンエステル及びそれらのポリオキシエチレン誘導
体が挙げられる。
【0055】本発明の充填剤で補強したエラストマー配
合物は、公知の加硫剤約0.2〜約5phrを用いて通
常の方法で加硫又は硬化することができる。例えば、硫
黄又は過酸化物系の加硫系を用いることができる。適切
な加硫剤の一般的な開示については、Kirk−Oth
mer,Encyclopedia of Chemi
cal Technology,3rd ed.,Wi
ley Interscience,N.Y.198
2,Vol.20,pp.365−468,特に“Vu
lcanization Agents and Au
xiliaryMaterials”pp.390−4
02を参照することができる。加硫剤は、単独でも組み
合わせてでも使用することができる。
【0056】本発明の組成物において硫黄加硫系を使用
する場合には、硫黄を約0.2phr〜約5phrの量
で用いるのが好ましく、約1.7phrが好ましい。加
硫パッケージには、硫黄の他に1種以上の促進剤又は加
硫剤が含まれ、その例としては、但し必ずしもそれに限
定されないが、ジアルキルジチオカルバミン酸金属塩、
例えばジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZDBD
C)、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチ
オカルバミン酸亜鉛、及びジエチルジチオカルバミン酸
第二鉄;並びに、2−メルカプトベンゾチアゾール、ベ
ンゾチアゾールジスルフィド、例えばメルカプトベンゾ
チアゾールジスルフィド(MBTS)、及びベンゾチア
ゾールスルフェンアミド、例えばN−シクロヘキシル−
2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドを含むチアゾー
ル系促進剤が挙げられる。EPDMターポリマーと共に
用いることができる他の有用な促進剤の例としては、
2,2’−ジベンゾチアジルジスルフィド、テトラメチ
ルチウラムジスルフィド、4,4’−ジチオモルホリ
ン、ジペンタメチレンチウラムヘキサスルフィド(DP
TH)、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラ
メチルチウラムジスルフィド(TMTDS)、N−t−
ブチル−2−ベンゾチアスルフェンアミド(TBB
S)、O,O’−ジブチルホスホロジチオ酸亜鉛等が挙
げられる。個々の加硫系は、更に組成物の用途、例えば
タイヤトレッド用組成物、に依存して変化し得る。それ
に加えて、個々の加硫系は、所望の加硫条件、例えば加
硫時間、加硫温度、加硫圧力にも依存する。
【0057】好ましい態様においては、硫黄加硫パッケ
ージは、硫黄及びN−シクロヘキシル−2−ベンゾチア
ゾールスルフェンアミドを含んで成っている。
【0058】上記の促進剤は、他の加硫剤や促進剤を排
するものではなく、当技術分野でエラストマーの加硫に
効果があることが分かっている他の加硫剤もまた用いる
ことができる。追加の加硫剤のリストに関しては、Th
e VanderbiltRubber Handbo
ok,RT Vanderbilt Co.,Norw
alk,Conneticut 06855(197
9)参照。
【0059】本発明の、加硫可能な、エラストマー組成
物は、エラストマーを、シリカ、カーボンブラック、又
はそれらの組み合わせのような補強性充填剤、TEMP
O又はその適切な誘導体のような遊離基キャッピング性
添加剤、及び他の通常の添加剤、例えば、追加の充填
剤、可塑剤、酸化防止剤、オゾン亀裂防止剤、Si69
のようなアルコキシシラン、プロセスオイル、ワック
ス、加硫剤、顔料等を、標準のゴム混合装置及び方法を
用いて配合又は混合することによって製造することがで
きる。これらの組成物は、タイヤトレッド用組成物にお
いて特に有用であると考えられる。
【0060】本発明の、充填剤で補強したエラストマー
組成物を加硫すると、エラストマー組成物は、多くの目
的のために使用することができる。例えば、本発明のエ
ラストマー組成物は空気入りタイヤ、ベルト及びホース
の形になり得る。そのような空気入りタイヤは、当業者
に周知で容易に明らかになる種々の方法によって、組み
立て、成形し、型に入れそして加硫する。本発明のエラ
ストマー組成物は空気入りタイヤのトレッドに使用され
るのが好ましい。
【0061】実験の一般的方法 加硫可能なエラストマー配合物への遊離基キャッピング
性添加剤の添加が、充填剤分散、結合ゴム含量及びヒス
テリシス損失に与える効果を測定するために、表IIに
示す配合処方を用いて、数種の原料配合物を調製し配合
した。特に、カーボンブラック及びシリカで充填した本
発明の配合物は、遊離基キャッピング性添加剤、2,
2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ
(TEMPO)1.77phrを添加して調製され、一
方、カーボンブラック及びシリカで充填した対照試験配
合物は、遊離基キャッピング性添加剤を全く含有しなか
った。同様に、カーボンブラックで充填した本発明の配
合物は、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジ
ニルオキシ(TEMPO)の4−ヒドロキシ誘導体約1
phrを添加して調製され、一方、カーボンブラックで
充填した対照試験配合物は、そのような添加剤を全く含
有しなかった。 2,2,6,6−テトラメチル−1−
ピペリジニルオキシ(TEMPO)及びその4−ヒドロ
キシ誘導体は、Aldrichから購入し、それ以上精
製せずに使用した。
【0062】これらの配合物の製造においては、標準
の、一般に知られており使用されている配合条件と技術
(例えば、ブラベンダー中で 各成分を混合してマスタ
ーバッチを製造し、次いで加硫用添加剤を添加する)を
適用した。しかし、カーボンブラック及びシリカで充填
した組成物の3個の試料の加工取り出し温度は、155
℃、175℃及び185℃の間で変化させた。得られた
組成物を標準の操作パラメーター下で加硫した。カーボ
ンブラック及びシリカで充填したエラストマー原料組成
物は、シート化し、その次に約171℃で15分間型成
形し、一方、カーボンブラックで充填した原料組成物
は、シート化し、約171℃で20分間型成形した。本
発明のための混合条件の概要を表IIIに示す。
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】
【0065】カーボンブラック及びシリカで充填した試
料について行った種々の試験結果を表IV並びに図1及
び2に示す。
【0066】表IVの試験結果に基づいて、遊離基キャ
ッピング性添加剤をその配合物中に含有しているシリカ
充填エラストマーは、ムーニー粘度と混合後の組成物の
スコーチ時間に関する限り、向上した加工性を示したと
評価される。ムーニー粘度は、TEMPOを含有する配
合物において低下したと評価される。本質的に、本発明
の組成物は、スコーチ時間が、遊離基キャッピング性添
加剤を含有していない対照試験組成物より約2〜6分長
いことが示された。その組成物はより長く使用すること
ができることになるので、この物理的特性は、向上した
加工性を有する組成物を提供すると解釈することができ
る。
【0067】次に、組成物及び対照試験組成物それぞれ
No.1〜3の結合ゴム含量を測定した。結合ゴム含量
を定量する手順は、Rubber Chem.and
Tech.,Vol.40,817頁(1967)に記
載されており、この文献は引用することにより本明細書
に組み込まれるものとする。具体的には、約0.2gの
試料を数個の小片に切断し、微細ステンレス鋼線布で作
られた、予め重量測定した円筒状の籠の中へ入れた。次
いでその籠を、トルエン100mlを含有する2X9イ
ンチの試験管の中に置いた。管に栓をし、室温で、決め
られた時間、通常2日間(シス−ポリブタジエン及びブ
タジエンスチレン重合体に対しては3日間の場合もあ
る)、放置した。管の中の溶媒は変更しなかった。試験
時間が終了した時、円筒状の籠を管から取り出した。膨
潤した試料の重量が必要な場合は、重合体の小片を籠か
ら取り出して紙タオルの上に置き、タオル表面の間で緩
やかに圧力をかけて溶媒を取り除いた。次いで試料の重
量を測定した。乾燥ゲル重量用試料については、重合体
試料を籠の中へ返し、次いでそれを70℃で恒量になる
まで乾燥した。結合ゴムの%は、一般的な数学等式
【0068】
【数1】
【0069】[式中、Wdは乾燥ゲルの重量であり、F
は、ゲル又は溶媒不溶分中の充填剤の重量(最初の試料
中の充填剤の重量と同じ)であり、そしてRは、最初の
試料中の重合体の重量である]によって求めた。試験し
た各々の原料の重合体及び充填剤含量は、その配合物処
方から求めた。カーボンブラック及びシリカで充填した
エラストマー配合物の結合ゴム含量を下記の表IVに示
す。
【0070】
【表4】
【0071】
【表5】
【0072】上記の表IVに示すように、原料配合物の
混合温度が185℃へと高くなると、安定な遊離基であ
る2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオ
キシ(TEMPO)1.77phrを含有するカーボン
ブラック及びシリカで充填したエラストマー配合物であ
る配合物No.3の結合ゴム含量は、TEMPOを添加
しない対照試験配合物No.3(比較実施例)に比較し
て増大する。安定な遊離基である2,2,6,6−テト
ラメチル−1−ピペリジニルオキシ(TEMPO)をシ
リカ充填エラストマー原料配合物に添加することによっ
て、本発明のゴム組成物中の結合ゴム含量は、ゴム組成
物を185℃で混合した場合には、対照試験配合物のゴ
ムより有意に(約13%)高くなる。従って、1.77
phr迄の2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリ
ジニルオキシ(TEMPO)をカーボンブラック及びシ
リカで充填したエラストマー組成物に添加すると、本発
明の、加硫可能な、充填剤を含有するエラストマー組成
物の結合ゴム含量(%)が増大することが示されてい
る。
【0073】動的ひずみ掃引測定を、カーボンブラック
及びシリカで充填したエラストマー配合物に関して、遊
離基安定化添加剤である2,2,6,6−テトラメチル
−1−ピペリジニルオキシ(TEMPO)を添加して
(組成物No.1〜3)、又は、添加しないで(対照N
o.1〜3)行った。ヒステリシス(tanδ)損失に
ついての結果を、ヒステリシス(tanδ)をひずみに
対してプロットしてある図1、及び表IVに示す。充填
剤で補強した、特にシリカ充填エラストマー原料組成物
に遊離基キャッピング性添加剤である2,2,6,6−
テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ(TEMPO)
を添加すると、155℃、170℃及び185℃で練っ
たシリカ充填のエラストマー配合物においてヒステリシ
ス(tanδ)が減少する。しかし、より高い温度で混
合すると、tanδ はより大きく低下する。遊離基キ
ャッピング性添加剤TEMPOを添加すると、185℃
で混合されたエラストマー原料配合物では、tanδが
10%低下し、一方、155℃で混合したゴムではta
nδの低下は2%である。
【0074】図2及び表IVに示すように、動的ひずみ
掃引測定を、更に、カーボンブラック及びシリカで充填
したエラストマー配合物に関して、遊離基安定化添加剤
である2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニ
ルオキシ(TEMPO)を添加して(組成物No.1〜
3)、又は、添加しないで(対照No.1〜3)行っ
た。ペイン効果についての結果を、貯蔵弾性率(G’)
をひずみに対してプロットしてある図2に示す。類似の
結果は表IVにも示してある。△G’は、試験温度にお
ける、伸び0.25%におけるG’マイナス伸び14.
5%におけるG’である。
【0075】充填剤で補強した、特にシリカ充填のエラ
ストマー原料組成物に遊離基キャッピング性添加剤2,
2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ
(TEMPO)を添加すると、155℃、170℃及び
185℃で練ったシリカ充填エラストマー配合物におい
て貯蔵弾性率(G’)が減少し、そしてより重要なこと
には、貯蔵弾性率(G’)の変化量(△G’)が減少す
る。その上に、より高い温度で混合すると、G’及び△
G’はより大きく低下する。それ故に、185℃のよう
な高温で練った、充填剤で補強した、特にシリカ充填の
エラストマー配合物において、遊離基キャッピング性添
加剤2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニル
オキシ(TEMPO)を使用すると、結合ゴム含量が増
大し、充填剤の分散が向上しそしてステリシス損失(t
anδ)が減少する。
【0076】更に、カーボンブラックだけで充填した試
料に関しても試験を行った。これらの試験の結果を表V
に示す。
【0077】表Vに記載したように行った試験結果に基
づいて、配合物内に遊離基キャッピング性添加剤を含ん
でいるカーボンブラック充填エラストマーでは、充填剤
の分散が向上しており、ヒステリシスが減少していたと
言える。
【0078】
【表6】
【0079】
【表7】
【0080】
【表8】
【0081】上記の表Vに示すように、本発明のカーボ
ンブラック充填原料配合物は、安定な遊離基である2,
2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ
(TEMPO)の4−ヒドロキシル誘導体1部を含有し
ていた。配合物No.4のカーボンブラック充填エラス
トマー配合物の結合ゴム含量は、対照試験配合物No.
4(比較実施例)と本質的に同じであったけれども、そ
の組成物のレオメーター試験結果は向上していた。カー
ボンブラック充填エラストマー配合物に、安定な遊離基
である2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニ
ルオキシ(TEMPO)を添加することによって、ヒス
テリシス(tanδ)損失と貯蔵弾性率(G’)の変化
量(△G’)が減少した。充填剤で補強した、特にカー
ボンブラック充填のエラストマー原料組成物に遊離基キ
ャッピング性添加剤2,2,6,6−テトラメチル−1
−ピペリジニルオキシ(TEMPO)を添加すると、カ
ーボンブラック充填エラストマー配合物においてヒステ
リシス(tanδ)が減少する。その上、より高い温度
で混合すると、tanδ はより大きく低下する。
【0082】更に、本発明の組成物の貯蔵弾性率の変化
は、その比較対照物より著しく小さい。表Vに示すよう
に、充填剤で補強した、特にカーボンブラック充填エラ
ストマー原料配合物に遊離基安定化添加剤2,2,6,
6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ(TEMP
O)を添加すると、貯蔵弾性率(G’)が減少し、そし
てより重要なことには、貯蔵弾性率(G’)の変化量
(△G’)が、遊離基キャッピング性添加剤を含有しな
いカーボンブラックで充填したエラストマー配合物と比
較して少なくとも20%減少する。それ故に、充填剤で
補強したエラストマー配合物において、遊離基キャッピ
ング性添加剤を使用すると、結合ゴム含量が増大し、充
填剤の分散が向上しそしてステリシス損失(tanδ)
が減少する。
【0083】上に開示した内容から、本明細書に記載し
た組成物が、本明細書で示した目的を達成できることは
明らかであろう。それ故に、明らかに本発明の範囲内に
入る変更、及び、従って、特定の成分要素の選択が、本
明細書中に記載されそして特許請求されている発明の精
神から離れることなく実施できるのである。とりわけ、
本発明は、結合ゴム含量が大きくそしてステリシス損失
の小さい、加硫可能な、充填剤で補強された、エラスト
マーを含有する組成物を提供する。本発明は、本明細書
でこれまで示し記載してきた特定の態様に限定されるの
ではなくて、「特許請求の範囲」によって規定された範
囲内の変更、修正及び均等関係にある態様を包含するも
のである。
【0084】以下に本発明の本質的な特徴及び好ましい
態様を列挙する。
【0085】1. エラストマー100重量部;カーボ
ンブラック、シリカ、及びその組み合わせから成る群か
ら選ばれる少なくとも1種の補強性充填剤、該エラスト
マー100重量部当たり約5〜約100重量部;遊離基
キャッピング性添加剤、エラストマー100重量部当た
り約0.1〜約10重量部;及び加硫剤、エラストマー
100重量部当たり約0.2〜約5重量部を含んで成る
加硫可能な組成物。
【0086】2. 該エラストマーが、ジエンモノマ
ー、ホモポリマー、或いはジエンモノマーとモノビニル
芳香族モノマー及びトリエンモノマーから成る群から選
ばれるモノマーとの共重合体またはターポリマーを包含
する請求項1に記載の加硫可能な組成物。
【0087】3. 該エラストマーが、少なくとも1種
のジエンと少なくとも1種のモノビニル芳香族モノマー
の共重合体を包含する請求項1に記載の加硫可能な組成
物。
【0088】4. 該エラストマーが、スチレンブタジ
エンゴムを包含する請求項1に記載の加硫可能な組成
物。
【0089】5. 該エラストマーが、天然ゴムを包含
する請求項1に記載の加硫可能な組成物。
【0090】6. 該遊離基キャッピング性添加剤が、
ガルバノキシル、ジフェニルピクリルヒドラジル(DP
PH)、ヘキサフェニルエタン、2,2,6,6−テト
ラメチル−1−ピペリジニルオキシ(TEMPO)及び
それらと互換性があり遊離基キャッピング性があるそれ
らの誘導体から成る群から選ばれる請求項1に記載の加
硫可能な組成物。
【0091】7. 該遊離基キャッピング性添加剤が、
2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキ
シ、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−
1−ピペリジニルオキシ及び4−アミノ−2,6,6−
テトラメチル−1−ピペリジニルオキシから成る群から
選ばれる請求項6に記載の加硫可能な組成物。
【0092】8. 該補強性充填剤がシリカを包含し、
そして該組成物が、トリアルコキシオルガノシランポリ
スルフィド及び、式(R12Si(OR22又は
(R1)Si(OR23(式中、アルコキシ基は、同じ
基又は異なった基であり、各々のR 1は独立して、C1
〜約C18の脂肪族、約C6〜約C12の脂環式、又は
約C6〜約C18の芳香族、好ましくは、C1〜約C1
0の脂肪族、約C6〜約C10の脂環式、又は約C6〜
約C12の芳香族であり、各々のR2は独立して、1〜
約6個の炭素原子を含有する)を有するアルキルアルコ
キシシランから成る群から選ばれるシランカップリング
剤を包含する請求項1に記載の加硫可能な組成物。
【0093】9. 該シランがビス−[3−(トリエト
キシシリル)プロピル]テトラスルフィドである請求項
8に記載の加硫可能な組成物。
【0094】10. 該シリカ充填剤の表面積が、約3
2〜約400m2/グラムである請求項8に記載の加硫
可能な組成物。
【0095】11. 該シリカ充填剤の表面積が、約1
00〜約250m2/グラムである請求項8に記載の加
硫可能な組成物。
【0096】12. 該シリカ充填剤のpHが、約5.
5〜約7である請求項8に記載の加硫可能な組成物。
【0097】13. 該補強性充填剤がカーボンブラッ
クを包含し、そして該カーボンブラック充填剤の表面積
が、約20〜約200m2/グラムである請求項1に記
載の加硫可能な組成物。
【0098】14. 組成物が非官能性高分子を有して
おり、貯蔵弾性率の変化が遊離基キャッピング性添加剤
を含有していない組成物と比較して少なくとも20%減
少している請求項1に記載の加硫可能な組成物。
【0099】15. ヒステリシス損失(tanδ)
が、遊離基キャッピング性添加剤を含有していない組成
物と比較して低下している請求項1に記載の加硫可能な
組成物。
【0100】16. エラストマー100重量部と、カ
ーボンブラック、シリカ、及びその組み合わせから成る
群から選ばれる少なくとも1種の補強性充填剤、該エラ
ストマー100重量部当たり約5〜約100重量部;遊
離基キャッピング性添加剤、エラストマー100重量部
当たり約0.1〜約10重量部;及び加硫剤、エラスト
マー100重量部当たり約0.2〜約5重量部とを混合
することを含んで成る加硫された組成物の製造方法。
【0101】17. 該エラストマーが、ジエンモノマ
ー、ホモポリマー、或いはジエンモノマーとモノビニル
芳香族モノマー及びトリエンモノマーから成る群から選
ばれるモノマーとの共重合体を包含する請求項16に記
載の方法。
【0102】18. 該エラストマーが、少なくとも1
種のジエンと少なくとも1種のモノビニル芳香族モノマ
ーの共重合体を包含する請求項16に記載の方法。
【0103】19. 該エラストマーが、スチレンブタ
ジエンゴムを包含する請求項16に記載の方法。
【0104】20. 該エラストマーが、天然ゴムを包
含する請求項16に記載の方法。
【0105】21. 該遊離基キャッピング性添加剤
が、ガルバノキシル、ジフェニルピクリルヒドラジル
(DPPH)、ヘキサフェニルエタン、2,2,6,6
−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ(TEMP
O)及びそれらと互換性があり遊離基キャッピング性が
あるそれらの誘導体から成る群から選ばれる請求項16
に記載の方法。
【0106】22. 該遊離基キャッピング性添加剤
が、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−
1−ピペリジニルオキシ及び4−アミノ−2,2,6,
6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシから成る群
から選ばれる請求項21に記載の方法。
【0107】23. 該補強性充填剤がシリカを包含
し、そして該組成物が、トリアルコキシオルガノシラン
ポリスルフィド及び、式(R12Si(OR22又は
(R1)Si(OR23(式中、アルコキシ基は、同じ
基又は異なった基であり、各々のR1は独立して、C1
〜約C18の脂肪族、約C6〜約C12の脂環式、又は
約C6〜約C18の芳香族、好ましくは、C1〜約C1
0の脂肪族、約C6〜約C10の脂環式、又は約C6〜
約C12の芳香族であり、各々のR2は独立して、1〜
約6個の炭素原子を含有する)を有するアルキルアルコ
キシシランから成る群から選ばれるシランカップリング
剤を包含する請求項16に記載の方法。
【0108】24. 該シランがビス−[3−(トリエ
トキシシリル)プロピル]テトラスルフィドである請求
項22に記載の方法。
【0109】25. 該混合工程が、該組成物を少なく
とも155℃の温度に加熱することを包含する請求項1
6に記載の方法。
【0110】26. 該混合工程が、該組成物を少なく
とも185℃の温度に加熱することを包含する請求項1
6に記載の方法。
【0111】27. 請求項1に記載の加硫可能な組成
物から製造されたトレッド原料(tread stock)を含ん
で成る空気入りタイヤ。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の、TEMPOを含有するカーボンブラ
ック及びシリカで充填したエラストマー含有原料組成物
及びTEMPOを含まない対照組成物のヒステリシス
(tanδ)損失を、種々の混合温度について、ひずみ
%の関数として示したグラフである。
【図2】本発明の、TEMPOを含有するカーボンブラ
ック及びシリカで充填したエラストマー含有原料組成物
及びTEMPOを含まない対照組成物の貯蔵弾性率
(G’)を、種々の混合温度について、ひずみ%の関数
として示したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 5/3432 C08K 5/3432 (72)発明者 マイケル・ダブリユー・ヘイズ アメリカ合衆国オハイオ州44705カント ン・ノースイースト・バーオークストリー ト2367

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エラストマー100重量部;カーボンブ
    ラック、シリカ、及びその組み合わせから成る群から選
    ばれる少なくとも1種の補強性充填剤、該エラストマー
    100重量部当たり約5〜約100重量部;遊離基キャ
    ッピング性添加剤、エラストマー100重量部当たり約
    0.1〜約10重量部;及び加硫剤、エラストマー10
    0重量部当たり約0.2〜約5重量部を含んで成る加硫
    可能な組成物。
  2. 【請求項2】 エラストマー100重量部と、 カーボンブラック、シリカ、及びその組み合わせから成
    る群から選ばれる少なくとも1種の補強性充填剤、該エ
    ラストマー100重量部当たり約5〜約100重量部;
    遊離基キャッピング性添加剤、エラストマー100重量
    部当たり約0.1〜約10重量部;及び加硫剤、エラス
    トマー100重量部当たり約0.2〜約5重量部とを混
    合することを含んで成る加硫された組成物の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の加硫可能な組成物から
    製造されたトレッド用原料を含んで成る空気入りタイ
    ヤ。
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