JP2000335995A - 融液制御方法及び結晶の成長法 - Google Patents

融液制御方法及び結晶の成長法

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JP2000335995A
JP2000335995A JP2000074078A JP2000074078A JP2000335995A JP 2000335995 A JP2000335995 A JP 2000335995A JP 2000074078 A JP2000074078 A JP 2000074078A JP 2000074078 A JP2000074078 A JP 2000074078A JP 2000335995 A JP2000335995 A JP 2000335995A
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Japan
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melt
partial pressure
control method
oxygen partial
oxygen
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Application number
JP2000074078A
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English (en)
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Takefumi Azami
丈史 莇
Arata Nakamura
新 中村
Taketoshi Hibiya
孟俊 日比谷
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National Space Development Agency of Japan
NEC Corp
Japan Space Forum
Original Assignee
National Space Development Agency of Japan
NEC Corp
Japan Space Forum
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 結晶成長の均一化を妨げる融液中の不規則温
度変動を抑制する。 【解決手段】 FZ法において、融液をとりまく雰囲気
を構成する成分中、例えば、酸素分圧を制御して、酸素
分圧が、特に、1.8E(−5)MPa以上となるよう
にする。これによって、融液内の温度振動が単一周期と
なって、温度振動の乱れが無くなり、均一性の高い結晶
が生成できる。さらに、CZ法においても、融液をとり
まく雰囲気を構成する成分中、例えば、酸素分圧を制御
して、表面酸素分圧を高圧に変化させる。これによっ
て、融液表面におけるマランゴニ対流の強さが低減さ
れ、融液内の温度振動が単一周期となって、温度振動の
乱れが無くなるばかりでなく、結晶中の酸素濃度を制御
することができ、均一性の高い結晶が生成できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、融液の制御方法に
関し、特に、結晶を成長する際に用いられる成長法に関
する。
【0002】
【従来の技術】一般に、融液から結晶を生成する際に
は、育成結晶の物性に影響を与える融液の状態モードを
制御することが必要である。そして、結晶中の不純物濃
度の制御又は不純物濃度の均一性等を高めるための種々
の方法が知られている。
【0003】ところで、例えば、石英るつぼを用いてる
つぼ内の融液から結晶を生成する際には、石英るつぼ
(SiO)とSi融液との界面における石英(SiO
)の溶解による融液中への混入,融液中での濃度勾
配による拡散及び融液流による移動,結晶成長界面か
ら雰囲気中への蒸発(SiO),融液表面からの雰囲
気中への蒸発(SiO)の4つのプロセスがある関係
上、水平磁場,垂直磁場,カスプ磁場等によって酸素濃
度分布の制御を行うことが試みられている。
【0004】さらに、浮力対流の影響を抑制するため
に、融液に回転を与えたり、融液を微小重力下で保持し
て、結晶を生成する方法も知られている。そして、浮力
対流抑制以外にも、例えば,表面張力起因対流、即ち、
マランゴニ対流対策として、融液形状、融液サイズ、融
液内温度差、雰囲気条件等を最適化する方法等が知られ
ている。
【0005】融液の制御において、酸素濃度を制御する
手法として、例えば、特開平7−291783号公報に
記載されたものが知られている。特開平7−29178
3号公報に記載された手法では、シリコン(FZシリコ
ン)中の酸素濃度を高めるため、結晶成長途中のシリコ
ン単結晶のメルトゾーンにおいて、リング状の酸素供給
物を用いることが記載されている。さらに、特開平7−
291783号公報に記載された手法では、フローティ
ングゾーン法(FZ法)によって,溶融の先端に石英板
を接触させつつ,単結晶を生成し,単結晶の周辺部にお
いて、その酸素濃度を中央部の酸素濃度よりも高くする
ことが記載されている。
【0006】ところが、上述のように、直接的にリング
状の酸素供給物又は石英板を用いると,シリコン単結晶
全領域に亘って,不均一な酸素濃度分布が発生するばか
りでなく、酸素濃度の制御が困難となってしまう。この
結果、高品質のデバイスの基板材料として使用できなく
なることがある。一方、Siウェハーの不純物濃度の均
一な領域のみを選択的に使用するようにしても、製造上
のコストが高くなるばかりでなくデバイス特性の信頼性
の点からもの望ましくないものではない。
【0007】上述の説明から明らかなように、従来の融
液制御手法では、所謂不純物縞と呼ばれるストリエーシ
ョン、つまり、結晶中に不純物分布の濃度むらが、顕著
に生じることになってしまう。なお、このストリエーシ
ョンは,結晶の中心軸を通るウェハーに鏡面研磨を施し
た後,例えば,HSO:H=5:1のエッチ
ング液を用いて検出される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来の融
液制御手法では、生成結晶内に発生する不純物濃度縞、
つまり、ストリエーションを除くことが極めて難しいと
いう問題点がある。言い換えると、ストリエーションは
融液中に生じる不規則な温度変動であることが示唆され
ており、従来の融液制御手法では、結晶成長の均一化を
妨げる融液中の不規則温度変動を抑制することが極めて
難しいという問題点がある。
【0009】本発明の目的は、融液中の不規則温度変動
を抑制することのできる融液制御方法及び結晶の成長法
を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、予め定
められた雰囲気中の融液の状態を制御する際に用いら
れ、前記雰囲気中の特定元素成分の状態を予め定められ
た所定の状態に制御するようにしたことを特徴とする融
液制御方法が得られる。そして、この融液制御方法を用
いて、例えば、チョクラルスキー法によって結晶成長を
行う。また、この融液制御方法を用いてフローティング
ゾーン法によって結晶成長を行うようにしもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】以下本発明について発明の実施の
形態に基づいて説明する。
【0012】まず、本発明をフローティングゾーン法
(FZ法)に適用した例について説明する。FZ法にお
いて、例えば、Si融液を取り巻く雰囲気を構成する成
分中の酸素の分圧を制御して、特に、酸素分圧を1.8
E(−5)MPa以上にして、表面張力起因によるマラ
ンゴニ対流を抑制する。その結果、融液の温度振動が単
一周波数モードになり、結晶の高品質化、均一化が高ま
る。
【0013】図1を参照して、図示のFZ法システム
は、高純度アルゴンガスボンベ1及びAr−10%O2
ボンベ4を備えており、高純度アルゴンガスはマスフロ
ーコントローラ2aを介してガス精製装置3に与えられ
て、ここで、不純物が取り除かれる。一方、マスフロー
コントローラ2bによって、Ar−10%O2 ボンベ4
からのアルゴンベース酸素ドープガス及びAr−10%
2 を精密に制御してガス配管15によって高純度Ar
ガスにアルゴンベース酸素ドープガス及びAr−10%
2 を添加する。
【0014】この高純度ArガスとAr−10%O2
を混合したアルゴンベース酸素は弁(バルブ)6aを介
してマスフローコントローラ2c及び2dに分岐されて
マスフローコントローラ2cからFZイメージ炉(赤外
線イメージ炉)8に与えられる。一方、雰囲気酸素分圧
10を測定するため、マスフローコントローラ2dから
アルゴンベース酸素が酸素センサ7に与えられる。この
酸素センサ7は酸素濃淡電池による起電力出力を利用し
たものであり、この酸素分圧測定には、800℃の高温
下で、酸素イオンを伝導する性質を有するジルコニア固
体電解質酸素センサーを用い、参照電極として、Niと
NiOの混合粉末を利用した。そして、この酸素センサ
ー7では活量差が応じた起電力を得ることができる。
【0015】また、雰囲気酸素分圧を精密に制御するた
め、配管15にはバルブ6b及び6cを介してマグネシ
ウム(Mg)脱酸炉5が接続されており、マグネシウム
(Mg)脱酸炉5には雰囲気ガスが導入される。このマ
グネシウム脱酸炉5は金属マグネシウムとその酸化物と
の化学平衡を利用している。つまり、マグネシウム脱酸
炉5は、例えば、金属マグネシウム500gを電気抵抗
炉の中に装填して炉の温度制御によって金属マグネシム
の脱酸効果を利用して雰囲気酸素分圧を精密に制御す
る。
【0016】上述のようにして、酸素分圧を制御しつ
つ、かつ酸素分圧をリアルタイムで測定して、制御され
た雰囲気酸素分圧でFZイメージ炉8によってシリコン
融液11を作製する。図示のように、FZイメージ炉8
には補助ヒータ16が配置されており、この補助ヒータ
16によってシリコンメルトの温度差を付与している。
【0017】このようにして作成したシリコンメルト溶
融部において、Φ0.1mmの細密熱電対9を用いて精
密にシリコンメルトの温度振動を測定した。
【0018】なお、FZイメージ炉8にはバルブ6dを
介して真空ポンプ12が連結されており、酸素センサ7
はデジタルボルトメータ(DVM)14aを介してパソ
コン13に接続されており、さらにパソコン13はDV
M14bを介して熱電対9に接続されている。そして、
パソコン13に酸素分圧及び温度振動が表示される。
【0019】ここで図2を参照して、領域I(PHAS
EI)から領域IV(PHASEIV)で雰囲気酸素分圧を
コントロールした条件における温度振動データをフーリ
エ解析した結果について説明する。
【0020】図2から明らかなように、シリコン融液部
の上下間の温度差がΔTL=52Kのとき、低酸素分圧
の領域II(酸素分圧PO2=3.5×10-7MPa)で
は、複数周期の温度変動を有していることがわかる。一
方、酸素分圧、PO2=9.0×10-6MPaの条件の
領域Iでは、温度振動において0.20Hz付近に周期
化の傾向があるが、完全な単一周期の温度振動ではない
ことが示されている。ところが、さらに、酸素分圧を高
めた領域III (酸素分圧PO2 =1.8×10 -5MP
a)においては、0.70Hzの明瞭な単一周期を有す
ることがはじめて発見された。また、領域IVにおいて、
上下間の温度差ΔTL=48K、酸素分圧PO2 =7.
5×10-6MPaにおいては、0.65Hzと0.20
Hzの2つに周期を有する温度振動が変調していること
も、はじめて明らかになった。
【0021】このことは、表面張力起因対流、つまり、
マランゴニ対流の関係式により、説明できる。
【0022】表面張力起因対流、つまり、マランゴニ対
流は、その強度を無次元マランゴニ数Ma=(| ∂γ/
∂T| )ΔTL/μκで表わすことができる。ここで、
∂γ/∂T:表面張力の温度係数、L:系の代表長、
μ:粘性率、κ:熱拡散率である。
【0023】上式に示されるように、マランゴニ数は、
表面張力の温度係数に依存していることがわかる。即
ち、シリコンメルトの表面張力及び温度係数は、雰囲気
の酸素分圧に依存性があり、かつ、雰囲気酸素分圧が大
きくなるに伴って表面張力の温度係数∂γ/∂Tが小さ
くなることが予測できる。マランゴニ対流の振動モード
は、系のマランゴニ数の増加に伴い、定常流→周期振動
流→非周期振動流と遷移する。
【0024】図2に示すように、酸素分圧を高めると、
複数周期振動から単一周期振動に遷移する。このこと
は、雰囲気酸素分圧を高めたことによって、シリコン融
液において、化学平衡における酸素の吸着が起こり、シ
リコン融液の表面張力の温度係数が低減する。その結
果、表面張力起因対流であるマランゴニ対流の強さが抑
制されることになるのである。
【0025】上述の例で示したように、雰囲気酸素分圧
を制御することは、上式において粘性率μ、熱拡散率κ
が一定、すなわち、融液の物性値が一定ならば、酸素分
圧のパラメータである表面張力の温度係数∂γ/∂Tに
加えて、上下の温度差ΔTと融液の液柱長さLの以上3
つのパラメータは、マランゴニ数Maの制御を実現し、
さらにマランゴニの対流モードの単一周期化できる。
【0026】次に、本発明をチョクラルスキー法(CZ
法)に適用した例について説明する。この例では、CZ
法において、例えば,Si融液をとりまく雰囲気を構成
する成分中の酸素の分圧を制御し、特に、導入する酸素
分圧を制御して、マランゴニ対流を抑制する。これによ
って、流れが安定化して、結晶中の酸素濃度の制御を行
うことができる。その結果、高品質の単結晶を育成でき
ることになる。さらに、導入する酸素分圧を高めると、
融液の温度振動が単一周波数モードになって、結晶の高
品質化及び均一化が高まる。
【0027】図3を参照して、図示のCZ法システムに
おいて、図1に示す構成要素と同一の構成要素について
は、同一の参照番号を付す。CZ法システムはCZイメ
ージ炉21を備えており、図1に関連して説明したよう
にして、マスフローコントローラ2cでは、酸素分圧を
制御しつつ、高純度ArガスとAr−10%O2 とを混
合したアルゴンベース酸素をCZイメージ炉21に与え
る。一方、CZイメージ炉21内の雰囲気酸素分圧22
を測定するため、マスフローコントローラ2dからアル
ゴンベース酸素が酸素センサ7に与えられる。
【0028】図示のように、CZイメージ炉21は、回
転シャフト26を備えており、この回転シャフト26に
は融液保持材25が支持されている。さらに、融液保持
材25を取り囲むようにしてヒータ24が配置されてい
る。そして、融液保持材25にはシリコン融液11が保
持され、後述するようにして、シリコン結晶23が生成
される。
【0029】図示の例では、融液保持材25には、カー
ボンが用いられている。シリコン引き上げの融液保持材
には、一般に、石英ガラスを用いるが、ここでは、雰囲
気酸素分圧22の効果を酸素の供給源のない融液保持材
で実証するため、カーボンを用いた。なお、雰囲気酸素
分圧を利用して酸素濃度を制御する際には、上記のカー
ボン材の他,窒化物、例えば、BN(窒化ホウ素),A
LN(窒化アルミニム)が有効である。
【0030】CZイメージ炉21には真空ポンプ12が
連結されており、酸素センサ7はデジタルボルトメータ
(DVM)14aを介してパソコン13に接続されてい
る。そして、パソコン13に酸素分圧及び温度振動が表
示される。
【0031】図3では、融液の半径と高さとの比が1:
1となるように,Si融液11を生成して、Si融液1
1の上下間(表面と底面)の温度差を50Kとした。さ
らに、雰囲気酸素分圧22が1.0E(−8)〜1.0
E(−4)MPの範囲で、シリコン融液11の表面にお
いて、酸素分圧22がマランゴニ対流の流速へ与える効
果(影響)を明らかにするために、トレーサ粒子(Zr
ジルコニア,Φ450μm)を挿入して、流速を測
定した。この測定結果を図4に示す。
【0032】図4から、導入酸素分圧(雰囲気酸素分
圧)を高めた状態では、トレーサ粒子の流速が低減され
るが分かる。このこと、つまり、トレーサ粒子速度の酸
素分圧依存性は、マランゴニ対流の流速が導入酸素分圧
をパラメータとして制御できることを示すものである。
【0033】ここで、図5(a)及び(b)に、流れの
構造を表わすトレーサ粒子の軌跡を示す。導入酸素分圧
が1.0E(−6)MPaでは、流れの軌跡が3次元的
な複雑な流れ構造を有していることが分かる(図5
(a))。一方,導入酸素分圧を高めて、1.0E(−
4)MPaとすると、流れの軌跡が軸対称的な流れであ
ることが分かる(図5(b))。そして、シリコン表面
におけるマランゴニ対流の流速が低減して、シリコン融
液内部への流れが抑制されると、対流モードの状態遷移
が発生する。
【0034】図6に、導入酸素分圧と結晶中の酸素濃度
との関係を示す。図6から雰囲気酸素分圧を制御するこ
とによって、結晶中の酸素濃度を制御できることが分か
る。
【0035】図7には、導入酸素分圧と温度振動との関
係を示す。図1に関連して説明したように、雰囲気酸素
分圧22を高めた領域(導入酸素分圧PO=1.8×
10 −5MPa)においては、0.70Hzの明瞭な単
一周期を有することが分かる。このことは、マランゴニ
対流の関係式により説明できる。
【0036】図1及び図2で関連して説明したように、
マランゴニ数は,表面張力の温度係数に依存しており、
マランゴニ対流の振動モードは,系のマランゴニ数の増
加に伴い,定常流→周期振動流→非周期振動流と遷移す
る。
【0037】図7に示に示すように、酸素分圧を高める
と、複数周期振動から単一周期振動に遷移する。このこ
とは、雰囲気酸素分圧を高めたことによって、シリコン
融液において,化学平衡における酸素の吸着が起こっ
て、シリコン融液の表面張力の温度係数が低減する。そ
の結果、表面張力起因対流であるマランゴニ対流の強さ
が抑制されることになる。
【0038】そして、雰囲気酸素分圧を制御すること
は、図1及び図2で関連して説明したように、融液の物
性値が一定ならば,酸素分圧のパラメータである表面張
力の温度係数∂γ/∂Tに加えて,温度差ΔTと融液代
表長さLの以上3つのパラメータは,マランゴニ数Ma
の制御を実現し,さらにマランゴニの対流モードの単一
周期化できる。
【0039】ところで、Si(融液)−O(ガス)系
においては,SiO(ガス)の蒸気圧P
SiO VAP1.7E(−4)MPaがSi(融液)の
蒸気圧PSi VAP3.8E(−8)MPaより大きい
ため,導入酸素分子がSiメルト表面での酸素分子と瞬
時にSiO(ガス)として反応する。このことから,シ
リコンメルト表面における表面酸素分圧は,導入酸素分
圧より低くなると予想される。また,化学平衡論による
Si(l)とO(g)の反応によって,1693Kで
SiO (固体)が析出する飽和酸素分圧は,1.3E
(−20)MPaである。
【0040】発明者らによる実験では,導入酸素分圧
1.0E(−4)MPaにおいては,シリコン融液は,
自由表面があることが観測されるものの、1.0E(−
4)MPaより僅かに導入酸素分圧を高めると、SiO
2(固体)が析出をはじめることが観測された。
【0041】また,導入酸素分圧が1.0E(−2)M
Paであると、シリコン融液におけるマランゴニ対流
は,観測されず,表面が,SiO(固体)より覆われ
ることが明らかになった。
【0042】以上の結果から,飽和酸素分圧は,導入酸
素分圧が1.0E(−4)から1.0E(−2)MPa
の範囲に、シリコン表面における飽和酸素分圧が存在す
ることがわかる。これらの結果をもとに,導入酸素分圧
と外挿による表面酸素分圧の関係を図8に示す。導入酸
素分圧が1.0E(−4)MPaであると、表面酸素分
圧は,9.6E(−22)MPaとなる。また,温度振
動において、単周期化における導入酸素分圧1.8E
(−5)MPaは,表面酸素分圧3.1E(−23)M
Paと見積もることができる。
【0043】従って、導入する酸素分圧を制御して、マ
ランゴニ対流を抑制する際には、表面酸素分圧は,化学
平衡論における飽和酸素分圧以下の範囲である。つま
り、シリコン融液の自由表面が存在し,マランゴニ対流
を導入酸素分圧,または,表面酸素分圧をパラメータと
して,流れのモードを制御して,高品質の単結晶を育成
することができる。
【0044】上述のようにして、酸素分圧を利用すれ
ば,シリコン融液のマランゴニの対流を自由にコントロ
ールできることができる。このことは、今後、400m
m時代を迎えるCZ法におけるシリコンの結晶育成にお
ける新たなプロセスパラメータとして利用できるばかり
でなく、総合伝熱解析における数値シミュレーション技
術にも利用することができる。
【0045】なお、上述の例では、融液がSiの場合に
ついて説明したが、他の半導体、金属、又はポリマー等
にも本発明の原理が適用でき、材料は上述の例に限定し
なくてもよい。また、Si以外の材料の場合は、分圧を
制御する成分は酸素に限定されない。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、マラ
ンゴニ対流以外の浮力対流などが効果的に抑制され、例
えば、結晶成長フローティングゾーン法(FZ法)にお
いて、融液内の温度振動が単一周期となって、温度振動
の乱れが無くなるので、均一性の高い結晶を生成できる
という効果がある。
【0047】さらに、結晶成長チョクラルスキー法(C
Z)においても、酸素分圧を制御することによって、融
液内の表面におけるマランゴニ対流を制御することがで
き、これによって、流れの温度振動が単周化されるばか
りでなく、温度振動の乱れがなくなり、かつ酸素濃度分
布を均一とすることができる。その結果、高品質結晶を
提供できるという効果がある。酸素分圧をパラメータと
して,結晶中の酸素濃度を制御することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるFZ法を用いたシステムの一例の
構成を示す図である。
【図2】図1に示すシステムに用いた際の雰囲気酸素分
圧及び温度振動のフーリエスペクトルを示す図である。
【図3】本発明によるCZ法を用いたシステムの一例の
構成を示す図である。
【図4】図3に示すシステムにおいて導入酸素分圧が流
速に及ぼす効果(影響)を示す図である。
【図5】図3に示すシステムにおいて導入酸素分圧が融
液の対流モードへ及ぼす効果(影響)示す図である。
【図6】図3に示すシステムにおいて導入酸素分圧とS
i結晶中の酸素濃度との関係を示す図である。
【図7】図3に示すシステムにおいて導入酸素分圧が温
度振動モードへ及ぼす効果(影響)を示す図である。
【図8】図3に示すシステムにおいて導入酸素分圧と表
面酸素分圧との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 高純度アルゴンボンベ 2a〜2d マスフローコントローラ 3 ガス精製装置 4 アルゴンAr−10%O2ボンベ 5 マグネシウム脱酸炉 6a〜6d バルブ 7 酸素センサ 8 FZイメージ炉 9 熱電対 10,22 雰囲気酸素分圧雰囲気 11 シリコン融液 12 真空ポンプ 13 パソコン 14a,14b デジタルマルチメータ(DVM) 15 配管 16 補助ヒータ 21 CZイメージ炉 23 シリコン結晶 24 ヒータ 25 融液保持材 26 回転シャフト
フロントページの続き (72)発明者 莇 丈史 東京都港区芝五丁目7番1号 日本電気株 式会社内 (72)発明者 中村 新 東京都港区芝五丁目7番1号 日本電気株 式会社内 (72)発明者 日比谷 孟俊 東京都港区芝五丁目7番1号 日本電気株 式会社内 Fターム(参考) 4G077 AA02 BA04 CE03 CF10 EB01 EB04 EH05 HA12 NA01 PA03 5F053 AA12 AA19 AA48 BB14 DD01 FF04 GG01 RR01

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 予め定められた雰囲気中の融液の状態を
    制御する際に用いられ、前記雰囲気中の特定元素成分の
    状態を予め定められた所定の状態に制御するようにした
    ことを特徴とする融液制御方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載された融液制御方法おい
    て、前記融液を取り囲む雰囲気の一部は、るつぼと融液
    界面又はるつぼ開口部の融液表面であることを特徴とす
    る融液制御方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載された融液
    制御方法おいて、融液はSi融液であることを特徴とす
    る融液制御方法。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載された
    融液制御方法おいて、特定元素が酸素であることを特徴
    とする融液制御方法。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載された融液制御方法おい
    て、前記るつぼ融液界面では酸素濃度を制御し、前記る
    つぼ開口部では融液表面の酸素分圧を制御するようにし
    たことを特徴とする融液制御方法。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載された融液制御方法おい
    て、前記るつぼ開口部の融液表面における酸素分圧は、
    融液表面の径方向に変化することを特徴とする融液制御
    方法。
  7. 【請求項7】 請求項5に記載された融液制御方法おい
    て、前記るつぼ開口部融液表面の酸素分圧の径方向に変
    化は、前記るつぼの中心軸から外周に向かって高圧にな
    ることを特徴とする融液制御方法。
  8. 【請求項8】 請求項5乃至7のいずれかに記載された
    融液制御方法おいて、融液表面をとりまく雰囲気は酸素
    分圧を制御したアルゴン雰囲気であることを特徴とする
    融液制御方法。
  9. 【請求項9】 請求項5乃至8のいずれかに記載された
    融液制御方法おいて、酸素検出器で酸素分圧をモニタし
    て前記酸素分圧を調整するようにしたことを特徴とする
    融液制御方法。
  10. 【請求項10】 請求項5乃至9のいずれかに記載され
    た融液制御方法において、前記酸素分圧は1.8E(−
    5)MPa以上の予め定められた所定の状態であること
    を特徴とする融液制御方法。
  11. 【請求項11】 請求項1乃至10のいずれかに記載さ
    れた融液制御方法おいて、マランゴニ対流以外の浮力対
    流を抑制するようにしたことを特徴とする融液制御方
    法。
  12. 【請求項12】 請求項1乃至11のいずれかに記載さ
    れた融液制御方法を用いてチョクラルスキー法によって
    結晶成長を行うようにしたことを特徴とする結晶の成長
    法。
  13. 【請求項13】 請求項12に記載された結晶の成長法
    において、前記融液を取り囲む雰囲気酸素分圧を制御
    し、さらに、育成する結晶の酸素濃度を制御するように
    したことを特徴とする結晶の成長法。
  14. 【請求項14】 請求項1乃至11のいずれかに記載さ
    れた融液制御方法を用いてフローティングゾーン法によ
    って結晶成長を行うようにしたことを特徴とする結晶の
    成長法。
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