JP2000332340A - 半導体レーザ装置およびその製造方法 - Google Patents

半導体レーザ装置およびその製造方法

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JP2000332340A
JP2000332340A JP14131099A JP14131099A JP2000332340A JP 2000332340 A JP2000332340 A JP 2000332340A JP 14131099 A JP14131099 A JP 14131099A JP 14131099 A JP14131099 A JP 14131099A JP 2000332340 A JP2000332340 A JP 2000332340A
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Hideo Yamanaka
英生 山中
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 半導体レーザ装置において、半導体層と反射
率制御層の界面の酸化量を制御し、COD破壊を防止
し、信頼性を向上させる。 【解決手段】 バー状に劈開した半導体レーザ素子の試
料32を、反射率制御層を形成するためのスパッタ源34に
セットする。次にArガス等の不活性ガスおよびμ波を
導入し、プラズマを発生させ、そのプラズマを電磁石コ
イル33による電磁界により試料32方向へ加速し、半導体
レーザ装置の試料32の共振器面に照射することにより、
共振器面をミリング処理し、共振器面から1nm以内の
距離にある半導体層中の1つのIII族原子が関わるすべ
ての結合のうち酸素原子と結合する割合を40%以下好
ましくは10%以下にする。その後、同一真空槽内で反
射率制御層を形成する。ミリング処理する際の基板電位
は−60V以上−5V以下とすることが望ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体レーザ装置
に関し、特に光出射端面に反射率制御層を備えた半導体
レーザ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】800nm帯の波長を発振するIII−V
族化合物からなる半導体レーザ装置が広く知られている
が、このようなレーザ装置の寿命を決定する大きな要因
として、光共振器面の光損傷破壊(COD:Catastophic O
ptical Damage)が挙げられる。このCODによる半導
体レーザ装置の劣化は共振器内部で発生した光に対して
共振器端が吸収領域となることにより発生する。これは
半導体レーザ装置を構成する半導体層と共振器面に形成
される保護層との界面において、酸素の吸着による表面
酸化および半導体表面組成の変成によるダングリングボ
ンドの形成により、半導体界面特有の深い準位が生じ
て、前記界面近傍の禁制帯幅が実質的に狭くなることに
よるものである。
【0003】これまで、上記界面に形成される酸化層お
よび変成層を除去または改質する手法として幾つかの方
法が、下記の公開公報および学会誌に提案されている。
【0004】特開平3-101183号では、半導体レーザの光
出射端面に保護膜を形成する前に、同一真空容器内で劈
開した出射端面に酸化層除去のプラズマクリーニングを
実施した後、Si膜をパッシベートし、その後、必要に
応じて反射率制御のための酸化物又は窒化物を形成する
ことが記載されている。具体的には、半導体表面の露出
が行われる劈開作業環境を10-6Pa以下にし、その後
プラズマクリーニングを、0.4Pa圧力、加速電圧8
00Vで、窒素/水素イオンを用いて実施することによ
り、半導体酸化の回避を行うというものである。しか
し、この方法でどの程度まで光出射面の酸化量が減少し
たか記載されていない。また、上記劈開作業を行う超高
真空装置と、その装置の中に劈開作業を行うための構造
物が必要であり、真空装置自体が高価かつ複雑になり、
量産目的には適応していない。
【0005】また、特開平9-162496号では、光共振器界
面の酸化量についての除去作業は実施せず、そのかわり
窒化物をパッシベーション層として設けることが記載さ
れている。それにより半導体レーザの光損傷レベルおよ
び信頼性が向上されている。
【0006】また、特開平10-84161号では、半導体レー
ザ装置の光出射端面を窒素プラズマにより処理して化合
物半導体のIII族を窒素と結合させ、端面近傍の禁制帯
幅を広げることがなされ、それによりCODを向上でき
ることが記載されている。
【0007】また、1998年発行のIEEE Int.Laser Conf.
TuE20に記載されているように、半導体レーザ端面への
イオン照射および初期層(InterLayer)の付加により、
CODレベルおよび信頼性の向上がなされている。ま
た、このプロセスを行うことにより光出射面の半導体酸
化膜が減少していることがXPS法(X線を化合物に照
射し、化合物から飛び出す光電子のエネルギーにより化
合物の結合エネルギーとその強度を測定し化合物の組成
等を決定する方法、ここでは、Ga等のIII族原子を含
む半導体レーザの光出射面にX線を照射し、Ga3d、
As3dまたはGa2p等の酸化によるケミカルシフト
ピークを検出して光出射面の酸化量を測定する)から確
認されており、信頼性の大幅な向上が確認されている。
【0008】しかしながらこの報告では、酸化量がどの
程度まで減少すれば半導体レーザの信頼性向上に寄与す
るか明確でないということと、測定に用いたGa3dの
ケミカルシフトピークは、界面から5nmと比較的深い
ところの情報であり、本出願人が注目している界面から
1nm以下の酸化量を測定するにはS/Nが悪く不適当
である。実際に、本出願人が検討したところ、Ga3d
のケミカルシフト量の測定では酸化量が検出限界以下で
あっても、Ga2pのケミカルシフト量の測定を行った
ところ、酸化によるケミカルシフト量が観測されてい
る。
【0009】また、1980年発行のIEEE J.Quantam Elec.
QE-16,728では、上記のように、イオン照射によるミリ
ングを実施したことが記載されているが、ミリング量が
30nm〜50nmと多く、またその効果についても記
載されていない。
【0010】よって、半導体界面酸化量の半導体レーザ
デバイス特性への影響は正確に確認されていないのが実
情であり、また、酸化層除去の手法は幾つか提案されて
いるが、その効果が定量的に確認されたことはない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、これま
で、半導体界面の酸化量制御、半導体レーザのCOD向
上および信頼性の向上に対し明確な解決策がなかった。
従って、半導体界面酸化量と半導体レーザの寿命の関係
を、XPS(X線光電子分光法)に見られるIII族元素
の酸化によるケミカルシフトにより、界面から1nm以
下の酸化量と半導体レーザデバイス特性の関係を明確に
することにより信頼性の高い、量産性のある半導体界面
酸化量の制御手法を確立し、信頼性の高い半導体レーザ
装置を得ることが必要である。
【0012】本発明は上記事情に鑑みて、光出射面の酸
化量を40%以下に制御し、信頼性の高い半導体レーザ
装置を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の半導体レーザ装
置は、少なくとも一種類以上のIII族原子を含むIII−V
族化合物からなる半導体層を積層してなり、該半導体層
の光出射端面に反射率制御層を備えた半導体レーザ装置
において、光出射端面から1nm以下の距離にある半導
体層において、III族原子のうち一種類の原子が関わる
すべての結合のうち、酸素原子と結合している割合が4
0%以下であることを特徴とするものである。
【0014】また、前記酸素原子と結合している割合は
10%以下であることがより好ましい。
【0015】上記一種類のIII族原子は、Ga原子、A
l原子またはIn原子のいずれか一つであることが望ま
しい。
【0016】上記反射率制御層は、Al、Si、Tiま
たはTaの酸化物、およびAlまたはSiの窒化物から
なる群から選ばれるうち少なくとも一つからなることが
望ましい。
【0017】本発明の半導体レーザ装置の製造方法は、
少なくとも一種類以上のIII族原子を含むIII−V族化合
物からなる半導体層を積層し、該半導体層の光出射端面
に反射率制御層を真空成膜装置を用いて形成する半導体
レーザ装置の製造方法において、光出射端面から1nm
以下の距離にある半導体層において、III族原子のうち
一種類の原子が関わるすべての結合のうち、酸素原子と
結合している割合が40%以下になるように、反射率制
御層の形成前に、真空成膜装置内で光出射端面をイオン
ミリングすることを特徴とするものである。
【0018】上記真空成膜装置は、ECRスパッタ装
置、蒸着装置、CVD装置のいずれか一つであることが
望ましい。
【0019】また、光出射端面の電位を−60V以上−
5V以下に設定し、イオンミリングを行うことが好まし
い。
【0020】
【発明の効果】本発明の半導体レーザ装置によれば、半
導体レーザ装置の半導体層と反射制御層の界面から1n
m以下の距離にある半導体層のIII族原子のうち一種類
の原子が関わっている結合のうち、酸素原子と結合して
いる割合を40%以下、好ましくは10%以下にするこ
とにより、酸素による半導体層の酸化および組成の変成
の少ない光出射面を形成することができるので、光出射
面のCOD破壊を防ぐことができ、信頼性を向上するこ
とができる。
【0021】また、本発明の半導体レーザ装置の製造方
法によれば、半導体レーザ装置の半導体層と反射制御層
の界面から1nm以下の距離にある半導体層のIII族原
子のうち一種類の原子が関わっているすべての結合のう
ち、酸素原子と結合している割合が40%以下になるよ
うに、反射率制御層の形成前に、真空成膜装置内で界面
をイオンミリングすることにより、酸素による酸化また
は変成された半導体層を除去することができるので、光
出射面のCOD破壊を防ぐことができ、その結果、レー
ザ寿命を向上することができる。
【0022】また、上記ミリングを行う時、基板電位を
−60V以上−5V以下にすることにより、光共振器面
を傷つけることなくミリングすることができる。また、
基板電位を前記の範囲に調整すれば、既存のECRスパ
ッタ装置、蒸着装置、CVD装置を用いることができ、
量産性に適しているという利点がある。
【0023】また本発明による半導体レーザ装置および
その製造方法によれば、レーザの特性に大きく寄与する
共振器面表面から1nmの深さにある半導体層の酸素結
合量を検出しているので、これまで明確にされていなか
った酸素結合量とレーザ寿命つまり信頼性との関係を定
量的に評価することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を図面
を用いて詳細に説明する。
【0025】図1は本発明の第1の実施の形態による半
導体レーザ素子を示す斜視図である。この図は、半導体
レーザ素子単体の形状であり、後の図2に示すバー状の
試料を劈開してなるものである。
【0026】図1に示すように、有機金属気相成長法に
より、n−GaAs基板1上にn−Ga1-z1Alz1As
下部クラッド層(0.55≦z1≦0.7)2、i−In0.49
0.51P下部光導波層(厚さdb=110nm)3、In
x3Ga1-x3As1-y3y3量子井戸活性層(厚さda=8
nm)4、i−In0.49Ga0.51P上部光導波層(厚さ
db=110nm)5、p−Ga1-z1Alz1As上部第1
クラッド(厚さdc=100nm)6、p−In0.49Ga
0.51Pエッチング阻止層7、第1上部クラッド層8、p
−GaAsコンタクト層9を順次積層し、その上に、絶
縁膜10(図示せず)を形成する。
【0027】この後、通常のリソグラフィにより、幅30
〜250μm程度のストライプで、これに連続する周辺部
に平行な幅10μm程度のストライプの絶縁膜10を除去
し、この絶縁膜10をマスクとして、ウェットエッチング
により、p−In0.49Ga0.51Pエッチング阻止層7の
上部まで除去して、リッジストライプを形成する。エッ
チング液として、硫酸と過酸化水素系の溶液を用いる。
このエッチング液を用いることにより、自動的にエッチ
ングをp−In0.49Ga0.51Pエッチング阻止層7の上
部で停止させることができる。
【0028】マスクとして使用した絶縁膜10を除去した
後、全面に絶縁膜11を形成し、通常のリソグラフィによ
り、リッジストライプ上の絶縁膜11の一部を該リッジス
トライプに沿って除去し、電流注入窓を作成する。その
上全面にp側電極12を形成し、p側電極12の上にAuメ
ッキ13を5μm以上行う。その後、基板の厚さが100〜1
50μmになるまで行い、n側電極14を形成する。 こ
の半導体レーザ装置の発振する波長帯に関しては、In
x3Ga1-x3As1-y3y3(0≦x3≦0.4、0≦y3≦0.6)
からなる活性層の組成を制御することにより、750<
λ<1100(nm)の範囲で制御が可能である。
【0029】各半導体層の成長法としては、固体あるい
はガスを原料とする分子線エピタキシャル成長法を用い
てもよい。
【0030】上記構造は、n型基板上へ各半導体層を形
成してなるものであるが、p型基板を用いてもよく、こ
の場合、上記各半導体層の導電性を反転するだけでよ
い。
【0031】次に、上記のように作成した試料を、図2
に示すように、バー状の試料21に劈開し、光出射面22を
露出させる。この光出射面22をコーティング可能な治具
に大気中でセットして、この治具をECRスパッタ源内
にセットし真空排気を行う。劈開からスパッタ源にセッ
トされスパッタ源内が真空になるまでのこの間に、半導
体界面は大気にさらされることにより酸化される。到達
真空度が5×10-6Paに達したところで、ECRスパ
ッタ源によるミリング作業を行った後、反射率制御膜の
作成を引き続き同一真空装置内で行う。
【0032】ここで、ミリング作業を行うECRスパッ
タ源の構造を図3に示す。通常、成膜を行う場合(成膜
モード)は、例えば、O2ガスあるいはArガスおよび
μ波をスパッタ源34内に導入することによりECRプラ
ズマを発生させる。このプラズマを電磁石コイル33によ
る電磁界により試料32方向へ加速させる。その加速され
たプラズマにより、電圧を印可されたAl等のターゲッ
ト31は前記O2ガスと反応し、Al23膜を試料32上に
成膜する。
【0033】ターゲットに電圧印可を行わない場合(ミ
リングモード)は、ECRプラズマにより試料32がミリ
ングされる。本発明では、このミリングモードにおいて
半導体界面のミリングを行う。この際、ターゲットに誘
起されるECRプラズマによる電位を−50V以上にす
るためには適宜DCバイアスを付加する場合もある。
【0034】ここで、このミリングモードでのアース電
位に対する基板電位のArガス圧依存性を図4に示す。
図4に示すように、ECRスパッタ源内部に成膜モード
で堆積する膜の影響により実効μ波強度が変化するの
で、適宜この依存性を確認する必要がある。この電位は
半導体表面に到達する実効的なアルゴン粒子のエネルギ
ーに相当する。電位が低すぎると酸化層除去にとどまら
ず半導体基板自体を変質させてしまう。よって、この変
質を避けるには基板電位としては−60V(基板に到達
する粒子の運動エネルギー60eVに相当)以上、好ま
しくは−50eV以上でミリング条件の設定を行うこと
が望ましい。
【0035】また、ミリング速度を制御するためにAr
ガスに対し最大100%程度の原子量の小さい不活性ガス
(He、Ne)を混合したり、ガスに還元性を持たすた
めにH2を、また、界面の窒化を促進するためにN2を混
合することもある。
【0036】一般的なミリングはミリング時間に依存し
て半導体界面が削れるが、前述のように加速粒子のエネ
ルギーが−60V以下と低いため表面酸化層を除去した
後の半導体層のミリング速度は0になる。しかしなが
ら、長時間プラズマにさらされると半導体組成の変質や
ECRイオン源内に堆積した膜の基板上への堆積が発生
するため、通常処理時間は60秒以内に終了する。この
ような低加速ミリングによる酸化層除去効果は、ミリン
グ時間より基板電位に依存している。
【0037】(実施例)上記第1の実施の形態により半
導体レーザ装置を作成し、そのストライプ幅を50μ
m、発振波長を809nm、半導体層のサフィクスをz1
=0.64、x3=0.12、y3=0.24とし、(100)面が露出
する方向に大気中で所定の共振器長(0.9mm)、長
さ10〜20mmのバー状に劈開した。
【0038】この半導体レーザ装置の(100)端面に
Arガス100%でミリング処理を、下記のaからeの
4条件について行った。条件aはミリングなし、bは基
板電位−5eV相当、Arガス圧3×10-1(Pa)、μ
波導入電力100W、cは基板電位−30eV相当、A
rガス圧1×10-1(Pa)、μ波導入電力300W、d
は基板電位−50eV相当、Arガス1×10-1(P
a)、μ波導入電力500W、eは基板電位−70eV
相当、Arガス圧1×10-1(Pa)、μ波導入電力70
0Wとし、それぞれのミリング時間は30秒とした。
【0039】上記ミリング終了後、真空槽内で反射率制
御層を行うことを目的とした酸化物、窒化物を所望の反
射率に対応した膜厚だけを成膜モードで成膜した。この
処理終了後、同一真空装置内でECRスパッタによりA
23を反射率32%、発振波長808nmとなるよう
に、λ/2膜厚形成した。また、反対側の端面には反射
率95%以上のλ/4膜厚の酸化物の積層構造、例えば
Al23/SiO2の2層を5回繰り返し形成した。
【0040】次に、上記aからeのミリング条件と半導
体光出射面の残留酸素量の関係の測定を行った。測定に
はXPS(X線光電子分析法)を用い、装置にはPHI
Quantum 2000を用いた。表面の酸化情報
を得るためにGa2Pの酸化によるケミカルシフトを測
定し、その結果からGaの酸素結合の割合を各ミリング
条件により導出した。
【0041】上記のように形成された反射率制御層の膜
厚は厚いので、このままでは光出射面と反射制御層の界
面に存在するGa2Pの測定は不可能である。そこで、
表面の反射率制御層を分析装置内で2nmから2.5n
mの厚さになるまでエッチング除去した。Ga2PのB
inding Energy(eV)に相当する光電子
の脱出深さは約3nmであるため、この形態でのXP
S、Ga2Pの測定は半導体界面から1nm以内の極界
面の情報を得られることになる。この際のXPSの条件
は表1に示すように、電子線をAlターゲットに入射さ
せて発生する単色化X線を半導体界面に照射し、試料の
直径100μm範囲を分析領域とした。また、分析前の
エッチングはイオンの加速エネルギーを0.5eVに設
定し行った。
【0042】
【表1】
【0043】上記条件aとcのXPSの測定結果を図5
に示す。図5に示すように、Ga2pの酸化によるケミ
カルシフトピークは1117.5eVから1118eV
付近である。条件aとcについてGa2pのケミカルシ
フトピークを比較すると、aのミリングなし条件では強
度1.00であるのに対して、条件cでは0.6程度で
ある。よって、ミリング処理によりGa原子の酸素との
結合が減少したことがわかる。この測定結果をもとに、
カーブフィッチング・デコンボリューションをガウス関
数およびローレティアン関数の畳み込み関数を用いて
(参考文献「ぶんせき」1995年11月発行、p32
田中彰博)、共振器面の酸素結合量の割合を導出し
た。
【0044】条件aからeまでの各ミリング条件に対
し、酸素結合量をミリング時の基板電位に対してプロッ
トした結果を図6に示す。図6に示すように、ミリング
時の基板電位の上昇と共に酸素結合の割合が急激に減少
していくことが確認できた。
【0045】次に上記分析した素子とは別に、反射率制
御層を形成した素子を幅500μmに劈開後、Inロウ
材を介して銅製ヒートシンク上にp側を設置する形態で
ロウ付けを実施し、上記aからeの条件で処理した半導
体レーザ素子の信頼性試験を行った。駆動条件は、50
℃環境、出力500mW、APC駆動とした。試験開始
後200Hから1000Hの間の駆動電流の単位時間当
たりの電流増加量のメディアン値から駆動電流が初期値
に対し10%上昇する駆動時間を推定寿命とした。この
試験結果を図8に示す。図7に示すように基板電位の減
少とともに(つまり、図6に示す酸化量の減少ととも
に)レーザ寿命が向上していることが確認できた。図6
および図7の結果から界面酸素量を40%以下に減少さ
せることにより、レーザ寿命が最大で2桁以上改善され
た。しかしながら、基板電位がもっとも低い−70eV
は酸化量が少ないにも関わらずレーザ寿命に若干の低下
が見られる。これは半導体界面を処理するエネルギーが
高すぎ、半導体自体が変質しているため、かえって端面
に発生する非発光再結合電流が増加していると考えられ
る。
【0046】次に本発明の第2の実施の形態である半導
体レーザ装置について説明し、その半導体レーザ装置の
斜視図を図8に示す。
【0047】図8に示すように、n−GaAs基板91上
に、n−In0.49(Ga1-z1Alz10.51P下部クラッ
ド層(0≦z1≦0.5)92、i−Inx2Ga1-x2As1-y2
y2下部光導波層(x2≒0.49y2、0.1≦y2≦0.9、厚
さdb=75〜400nm)93、Inx3Ga1-x3As1-y3y3
量子井戸活性層(0≦x3≦0.4、0≦y3≦0.6)94、i−
Inx2Ga1-x2As1-y2y2上部光導波層(x2≒0.49y
2、0.1≦y2≦0.9、厚さdb=75〜400nm)95、p−In
0.49(Ga1-z1Alz10.51P上部クラッド層96、p−
GaAsコンタクト層97を成長する。引き続き絶縁膜98
(図示)を形成する。
【0048】この後、通常のリソグラフィにより、幅30
〜250μm程度のストライプでこれに連続する周辺部に
平行な幅10μm程度のストライプの絶縁膜98を除去
し、この絶縁膜98をマスクとして、ウェットエッチング
により、i−Inx2Ga1-x2As1-y2y2上部光導波層
の上部まで除去して、リッジストライプを形成する。こ
の際のエッチング液としては、硫酸と過酸化水素系の溶
液を用いており、この溶液を用いることにより、自動的
にエッチングをi−Inx2Ga1-x2As1-y2y2上部光
導波層の上部で停止させることができる。
【0049】マスクとして使用した絶縁膜98を除去した
後、全面に絶縁膜99を形成し、通常のリソグラフィによ
り、リッジストライプ上の絶縁膜99の一部を該リッジス
トライプに沿って除去し、電流注入窓を形成する。その
上全面にp側電極100を形成し、p電極100の上に金メッ
キ層101を5μm以上形成する。その後、基板の研磨を
行い裏面にn側電極102を形成する。
【0050】その後、この試料をバー状に劈開して形成
した共振器面を、第1の実施の形態と同様にスパッタ源
内においてミリング処理を行った。その後共振器面の一
面に高反射コート103、他面に低反射率コート104を行
い、その後、チップ化して半導体レーザ素子を形成する
金メッキ101はチップの劈開領域の20μm程度の領
域にはメッキを行わないようにする。
【0051】この半導体レーザ素子の発振する波長帯に
関しては、Inx3Ga1-x3As1-y3y3(0≦x3≦0.
4、0≦y3≦0.6)からなる組成の活性層より、750<
λ<1100(nm)の範囲までの制御が可能である。
【0052】本実施の形態による半導体レーザ素子にお
いても、共振器面をミリング処理することにより、変成
した半導体層を除去しているので、COD破壊を防止す
ることができ、実施例1と同様にレーザ寿命を向上させ
ることができる。
【0053】本半導体レーザ素子の各半導体層の成長法
としては、分子線エピタキシャル成長法を用いてもよ
い。
【0054】また、上記2つの実施の形態による半導体
レーザ装置の反射率制御層には、Al、Si、Tiまた
はTaの酸化物の複合層、Si、AlまたはBの窒化物
の複合層、または従来技術に記載されている酸化物と窒
化物の複合層を用いることができる。
【0055】また、ミリング処理は、ECRスパッタ源
以外の方式を用いたイオンビーム源を有するスパッタ装
置、蒸着装置、CVD装置においても上記基板電位の調
整を行えば同様の効果を得ることができる。
【0056】なお、本発明は、半導体レーザ装置の光共
振器面の酸化量制御以外に、GaAsFETのゲート酸
化膜と半導体層の界面および他の半導体デバイスの表面
酸化量制御にも用いることができ、同様の効果を得るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による半導体レーザ
素子を示す斜視図
【図2】半導体レーザ素子のバー状の試料を示す斜視図
【図3】ECRスパッタ源の構成を示す図
【図4】ECRμ波投入電力と基板電位のArガス圧依
存性を示すグラフ
【図5】XPS測定結果を示すグラフ
【図6】基板電位と半導体界面の残留酸素量の関係を示
すグラフ
【図7】基板電位と半導体レーザ寿命の関係を示すグラ
【図8】本発明の第2の実施例による半導体レーザ素子
を示す斜視図
【符号の説明】
11,91 GaAs基板 15,16,103,104 反射率制御層 22 共振器面 34 スパッタ源

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一種類以上のIII族原子を含
    むIII−V族化合物からなる半導体層を積層してなり、
    該半導体層の光出射端面に反射率制御層を備えた半導体
    レーザ装置において、 前記光出射端面から1nm以下の距離にある前記半導体
    層において、前記III族原子のうち一種類の原子が関わ
    るすべての結合のうち、酸素原子と結合している割合が
    40%以下であることを特徴とする半導体レーザ装置。
  2. 【請求項2】 前記酸素原子と結合している割合が10
    %以下であることを特徴とする請求項1記載の半導体レ
    ーザ装置。
  3. 【請求項3】 前記一種類のIII族原子が、Ga原子、
    Al原子またはIn原子のいずれか一つであることを特
    徴とする請求項1または2記載の半導体レーザ装置。
  4. 【請求項4】 前記反射率制御層が、Al、Si、Ti
    またはTaの酸化物、およびAlまたはSiの窒化物か
    らなる群から選ばれるうち少なくとも一つからなること
    を特徴とする請求項1、2または3記載の半導体レーザ
    装置。
  5. 【請求項5】 少なくとも一種類以上のIII族原子を含
    むIII−V族化合物からなる半導体層を積層し、該半導
    体層の光出射端面に反射率制御層を真空成膜装置を用い
    て形成する半導体レーザ装置の製造方法において、 前記光出射端面から1nm以下の距離にある前記半導体
    層において、前記のIII族原子のうち一種類の原子が関
    わるすべての結合のうち、酸素原子と結合している割合
    が40%以下になるように、前記反射率制御層の形成前
    に、前記真空成膜装置内で前記光出射端面をイオンミリ
    ングすることを特徴とする半導体レーザ装置の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 前記真空成膜装置が、ECRスパッタ装
    置、蒸着装置、CVD装置のいずれか一つであることを
    特徴とする請求項5記載の半導体レーザ装置の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 前記光出射端面の電位を−60V以上−
    5V以下に設定し、前記イオンミリングを行うことを特
    徴とする請求項5または6記載の半導体レーザ装置の製
    造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1289080A2 (en) * 2001-09-03 2003-03-05 Fuji Photo Film Co., Ltd. Semiconductor laser device containing controlled interface oxygen at both end facets
JP2004538652A (ja) * 2001-08-09 2004-12-24 コムラーセ アクティエボラーグ 無汚染レーザーミラーおよびそれらの不動態化を得る方法
CN1319228C (zh) * 2003-09-01 2007-05-30 松下电器产业株式会社 半导体激光器的制造方法

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