JP2000327962A - インクジェット記録用インク - Google Patents

インクジェット記録用インク

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JP2000327962A
JP2000327962A JP13539599A JP13539599A JP2000327962A JP 2000327962 A JP2000327962 A JP 2000327962A JP 13539599 A JP13539599 A JP 13539599A JP 13539599 A JP13539599 A JP 13539599A JP 2000327962 A JP2000327962 A JP 2000327962A
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dye
water
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weight
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JP13539599A
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English (en)
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Hiroyuki Ueki
弘之 植木
Kiyokore Ikeda
潔是 池田
Mitsuru Kishimoto
充 岸本
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Oki Electric Industry Co Ltd
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Oki Data Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速印字インクジェットプリンタのノズルな
どのインク流路での目詰まりを防ぐインクジェット記録
用インクを提供する。 【解決手段】 水溶性高分子化合物と少なくとも2種類
の炭素数が3以上である水溶性有機溶剤とを含有する。
このとき、前記炭素数が3以上である水溶性有機溶剤の
うち少なくとも1種類をアルカンジオールとすることが
できる。また、少なくとも2種類の染料を含有すること
ができる。このとき、少なくとも2種類の染料のうち水
に対する溶解度の最も高い染料の溶解度を水に対する溶
解度の最も低い染料の溶解度の3倍以上とすることがで
きる。さらに、水溶性高分子化合物として25℃におい
て固体であるものを用いることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェットプ
リンタに用いる記録用インクに関し、特に目詰まりせず
安定にインク滴を形成できるインク組成に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】インクジェットプリンタには低騒音、低
ランニングコストかつカラー印字の容易さなどの利点が
ある。近年、インクジェットプリンタがコンピュータな
どのデジタル信号出力装置として普及するにつれ、電子
写真方式のプリンタ以上の高速印字が望まれるようにな
った。この高速印字インクジェットプリンタに用いられ
る記録用インクには、水性染料、顔料などを主体とした
インクがある。
【0003】水性染料を主体としたインクはカラー印刷
時の発色性、さらにインク中溶剤の人体、環境への影響
の少なさなどの理由から多く用いられている。
【0004】このような水性インクには、高速印刷時に
安定して一様なインク滴を形成しうること、プリンタの
長期休止によって染料などの固形分が析出してヘッドノ
ズルを詰まらせないことなどが要求される。
【0005】従来のインクジェット記録装置では、高速
印刷を可能とするインク吐出ヘッドの特性にあわせて粘
度、表面張力などの物性値を最適化することが行われて
いる。例えば、インクに水溶性高分子化合物を加えて粘
度を調整したり、界面活性剤を加えて表面張力を調整し
ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、粘度調
整剤として用いられる水溶性高分子化合物のうち低分子
量の物質では希望する粘度を得るには多量に添加しなけ
ればならない。しかし、高分子量の物質は少量で目的粘
度に到達できる反面、常温では固体の物が多く、インク
として長期保存した場合に析出し、吐出不良の原因とな
る問題があった。
【0007】本発明はこのような粘度調整剤として用い
られる常温で固体である水溶性高分子化合物を加えたイ
ンクにおける固形成分析出の問題を解決するものであ
り、その目的は、高速印字インクジェットプリンタのノ
ズルなどのインク流路での目詰まりを防ぐインクジェッ
ト記録用インクを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明に係るインクジェット記録用インクは、水溶性
高分子化合物と少なくとも2種類の炭素数が3以上であ
る水溶性有機溶剤とを含有する。このとき、前記炭素数
が3以上である水溶性有機溶剤のうち少なくとも1種類
をアルカンジオールとすることができる。
【0009】また、上記本発明に係るインクジェット記
録用インクは、少なくとも2種類の染料を含有すること
ができる。このとき、染料の溶解性を示す値を、各染料
の印字物を水に浸漬したときの浸漬前後の光学濃度の変
化率とすると、前記少なくとも2種類の染料のうち、水
に対する溶解度の最も高い染料の溶解性を示す値を、水
に対する溶解度の最も低い染料の溶解性を示す値の3倍
以上とすることができる。
【0010】さらに、上記本発明に係るインクジェット
記録用インクは、前記水溶性高分子化合物として25℃
において固体であるものを用いることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】( 第1の実施の形態 )以下に本発
明のインク組成物について説明する。
【0012】本発明のインクにおいては、着色剤として
種々の水溶性染料が用いられる。その例としては、C.
I.ダイレクト.イエロー86,132,144、C.
I.ダイレクト.レッド227、C.I.ダイレクト.
ブルー199、C.I.ダイレクト.ブラック154な
どの直接染料、C.I.アシッド.イエロー23、C.
I.アシッド.レッド52、C.I.アシッド.ブルー
9などの酸性染料、塩基性染料および反応性染料があ
り、それぞれ単独または複数同時に用いられいる。これ
らの着色剤の好ましい添加量は0.1〜10重量%であ
る。
【0013】粘度調整剤として用いられる水溶性高分子
化合物には、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリ
コール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロ
リドンなどがある。これら粘度調整剤の好ましい添加量
は0.1〜20重量%である。
【0014】湿潤剤として用いられる水溶性有機溶剤は
水と相溶性があり、粘度調整剤などの水に対する溶解度
の低い溶剤や染料の溶解度を向上し、またはインクの乾
燥によるノズル詰まりを防ぐために用いるもので、エチ
レングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、
プロピレングリコールなどのグリコール類、エチレング
リコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノ
エチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテ
ル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチ
レングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコ
ールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコー
ルモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブ
チルエーテルなどのグリコールエーテル類、2−ピロリ
ドン、N−メチル−2−ピロリドンなどから適宜選択す
ることができ、使用量はインク全量に対して1〜40重
量%が好ましい。
【0015】また、このインクには表面張力調整剤とし
て界面活性剤を添加することも可能であり、その例とし
てアニオン界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン界面
活性剤、非イオン界面活性剤などがある。
【0016】さらにまた、pH調整剤として水酸化リチ
ウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩
類、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの
アミン類を添加してもよい。
【0017】つぎに、第1の実施の形態における実施例
および比較例について説明するが、本発明はこれらの実
施例および比較例に示した湿潤剤、粘度調整剤、染料等
の種類や組み合わせに限定されるものではない。
【0018】(実施例1) 下記処方によりインクを調整した。 マゼンタ染料……2.0重量部 ジエチレングリコール……10.0重量部 1,5−ペンタンジオール……10.0重量部 ポリエチレングリコール#20000……1.0重重部 イオン交換水……残部 (実施例2) 下記処方によりインクを調整した。 マゼンタ染料……2.0重量部 ジエチレングリコール……10.0重量部 1,3−プロパンジオール……10.0重量部 ポリエチレングリコール#20000……1.0重重部 イオン交換水……残部 (実施例3) 下記処方によりインクを調整した。 マゼンタ染料……2.0重量部 グリセリン……10.0重量部 1,5−ペンタンジオール……10.0重量部 ポリエチレングリコール#20000……1.0重重部 イオン交換水……残部 (実施例4) 下記処方によりインクを調整した。 マゼンタ染料……2.0重量部 グリセリン……10.0重量部 1,3−プロパンジオール……10.0重量部 ポリエチレングリコール#20000……1.0重重部 イオン交換水……残部 (実施例1)〜(実施例4)のインクのそれぞれを直径
7cmのシャーレに0.2ml量りとり、均一にひろげ
て大気開放下で3日間放置し、染料や粘度調整剤の固形
成分の析出の有無を調べた。
【0019】このシャーレを用いる試験について説明す
る。通常、プリンタはヘッドをキャップで覆うなどして
密封する機構を有するが、必ずしも密封できるとは限ら
ない。したがって、ヘッドノズルなどのオリフィス面に
インク滴が付着して凝固してしまう可能性がある。この
ような場合には、インク吐出に曲がりを生ずるなどし
て、インクの安定吐出の信頼性が劣る。このような場合
を想定して、シャーレをオリフィス面と見立ててインク
滴の様子を確認するために行う手法である。
【0020】(比較例1) 下記処方によりインクを調整した。 マゼンタ染料……2.0重量部 ジエチレングリコール……10.0重量部 1,5−ペンタンジオール……10.0重量部 イオン交換水……残部 (比較例2) 下記処方によりインクを調整した。 マゼンタ染料……2.0重量部 ジエチレングリコール……10.0重量部 1,3−プロパンジオール……10.0重量部 イオン交換水……残部 (比較例3) 下記処方によりインクを調整した。 マゼンタ染料……2.0重量部 1,5−ペンタンジオール……10.0重量部 グリセリン……10.0重量部 イオン交換水……残部 (比較例4) 下記処方によりインクを調整した。 マゼンタ染料……2.0重量部 1,3−プロパンジオール……10.0重量部 グリセリン……10.0重量部 イオン交換水……残部 (比較例5) 下記処方によりインクを調整した。 マゼンタ染料……2.0重量部 ジエチレングリコール……10.0重量部 グリセリン……10.0重量部 イオン交換水……残部 (比較例6) 下記処方によりインクを調整した。 マゼンタ染料……2.0重量部 1,5−ペンタンジオール……20.0重量部 ポリエチレングリコール#20000……1.0重重部 イオン交換水……残部 (比較例7) 下記処方によりインクを調整した。 マゼンタ染料……2.0重量部 グリセリン……20.0重量部 ポリエチレングリコール#20000……1.0重重部 イオン交換水……残部 (比較例8) 下記処方によりインクを調整した。 マゼンタ染料……2.0重量部 ジエチレングリコール……10.0重量部 エチレングリコール……10.0重量部 ポリエチレングリコール#20000……1.0重重部 イオン交換水……残部 (比較例1)〜(比較例8)のインクのそれぞれについ
て、(実施例1)〜(実施例4)と同様にシャーレを用
いた試験を行った。表1に、(実施例1)〜(実施例
4)および(比較例1)〜(比較例8)の試験結果を示
す。
【0021】
【表1】 また、表1の湿潤剤のそれぞれは、以下の特徴を有す
る。 ・ジエチレングリコール:炭素数4で直鎖構造を有する
グリコールエーテル。 ・1,5−ペンタンジオール:炭素数5で直鎖構造を有
するアルカンジオール。 ・1,3−プロパンジオール:炭素数3で直鎖構造を有
するアルカンジオール。 ・グリセリン:炭素数3で直鎖構造を有しないトリオー
ル。 ・エチレングリコール:炭素数2で直鎖構造を有するア
ルカンジオール。
【0022】表1の結果から、以下のことがわかる。 粘度調整剤(ポリエチレングリコール#20000)
を添加していない場合には、いずれも固形成分が析出し
ない(比較例1〜比較例5)。 粘度調整剤を添加している場合には、2種類の湿潤剤
のいずれにも炭素数が3以上のものを用いている場合に
は、いずれも固形成分が析出しない(実施例1〜実施例
4)。 粘度調整剤を添加し、湿潤剤として炭素数が3であっ
て直鎖構造を有するものを1種類のみ用いている場合に
は、固形成分が析出する(比較例6)。 粘度調整剤を添加し、湿潤剤として炭素数が3であっ
ても直鎖構造を有しないもののみを用いている場合に
は、固形成分が析出する(比較例7)。 粘度調整剤を添加し、2種類の湿潤剤のうち1種類に
炭素数が2のものを用いている場合には、固形成分が析
出する(比較例8)。
【0023】上記ないしについて説明する。(比較
例6)では、湿潤剤が1種類のみであるので、炭素数が
3以上で直鎖構造を有するものを用いていても染料の固
形成分が析出する。(比較例7)では湿潤剤としてグリ
セリンのみを用いているが、グリセリンは炭素数が3の
トリオールで直鎖構造を有していないので、粘度調整剤
であるポリエチレングリコールとの親和性が低く、単独
で用いると固形成分が析出する。(比較例8)では湿潤
剤としてジエチレングリコールとエチレングリコールと
を用いている。ジエチレングリコールは炭素数4で直鎖
構造を有するが、エチレングリコールは炭素数2である
ので、粘度調整剤であるポリエチレングリコールとの親
和性が低く、固形成分が析出する。
【0024】以上の結果は、インク中の固形成分である
染料および粘度調整剤(25℃で固体であるポリエチレ
ングリコール#20000)の析出を抑制するのに適し
た湿潤剤の組み合わせは、炭素数が3以上のものを2種
類用い、さらに2種類の湿潤剤のうち少なくとも1種類
に1,5−ペンタンジオールまたは1,3−プロパンジ
オールのアルカンジオール(直鎖状のジオール)を用い
る処方であるということを示している。また、表1には
示していないが、1,5−ペンタンジオールが最も固形
成分の析出を抑制することができた。これは、他のもの
と比較して1,5−ペンタンジオールの炭素鎖が長い
(炭素数が大きい)ので、ポリエチレングリコールとの
親和性が高いという理由による。なお、(比較例1)〜
(比較例5)に示したように、粘度調整剤であるポリエ
チレングリコール#20000を用いていない処方では
固形成分が析出しないが、インクの粘度が低くなるの
で、印字ヘッドの特性に適した物性値のインクは得られ
ない。
【0025】第1の実施の形態で得たインクジェット記
録用インクを高速印字インクジェットプリンタに用いる
と、ヘッドノズルなどのインク流路におけるインクの目
詰まりを防止して、安定吐出における信頼性の向上を図
ることができる。
【0026】( 第2の実施の形態 )第1の実施の形態で
は、アルカンジオールを用いることによってインク中の
固形成分の析出を抑制することができることを示した。
しかし、インクに用いられる染料との関係については考
慮していない。
【0027】インクジェット用インクにおいて目的の色
相を得るためには様々な工夫がなされている。特にブラ
ックインクにおいては、単一のブラック染料を用いたイ
ンクは青味がかった色合いとなり、印刷した際の光学濃
度が充分に得られないなどの欠点があった。また、印刷
物の耐水性を向上させた染料は一般に水に対する溶解度
が低く、インクに添加することができる量を多くするこ
とが困難であり、充分な光学濃度を得ることができない
という欠点もあった。
【0028】そこで青色の補色であるイエロー染料を加
えたり、色合いの異なる複数のブラック染料を用いて自
然な黒味を得る方法などが用いられている。しかし、多
種多量の染料をインクに用いると、長期間の保存で染料
の析出が生じやすくなる。特に高粘度インクを得るため
に常温で固体である高分子化合物を粘度調整剤として添
加したインクにおいては、インク中の固形成分の析出が
より顕著なものとなる。第2の実施の形態では、このよ
うな高粘度インクであっても溶解度の観点から適当な染
料を選んで混合することによって、インク自体の色相を
適正化しつつ同時に固形成分の析出を抑制することが可
能となる手法を示す。
【0029】以下に第2の実施の形態における実施例お
よび比較例について説明するが、本発明はこれらの実施
例および比較例に示した湿潤剤、粘度調整剤、染料等の
種類や組み合わせに限定されるものではない。
【0030】(実施例5) 下記処方によりインクを調整した。 ブラック染料A……2.0重量部 ブラック染料B……4.0重量部 1,3−プロパンジオール……10.0重量部 グリセリン……10.0重量部 ポリエチレングリコール#20000……1.0重量部 イオン交換水……残部 (実施例6) 下記処方によりインクを調整した。 ブラック染料A……2.0重量部 ブラック染料B……1.0重量部 イエロー染料A……0.4重量部 1,3−プロパンジオール……10.0重量部 グリセリン……10.0重量部 ポリエチレングリコール#20000……1.0重量部 イオン交換水……残部 (実施例7) 下記処方によりインクを調整した。 ブラック染料A……2.0重量部 ブラック染料B……1.0重量部 1,3−プロパンジオール……10.0重量部 グリセリン……10.0重量部 ポリエチレングリコール#20000……1.0重量部 イオン交換水……残部 (実施例8) 下記処方によりインクを調整した。 ブラック染料A……2.0重量部 イエロー染料A……1.0重量部 1,3−プロパンジオール……10.0重量部 グリセリン……10.0重量部 ポリエチレングリコール#20000……1.0重量部 イオン交換水……残部 (比較例9) 下記処方によりインクを調整した。 ブラック染料A……2.0重量部 1,3−プロパンジオール……10.0重量部 グリセリン……10.0重量部 ポリエチレングリコール#20000……1.0重量部 イオン交換水……残部 (比較例10) 下記処方によりインクを調整した。 ブラック染料A……2.0重量部 イエロー染料B……0.4重量部 1,3−プロパンジオール……10.0重量部 グリセリン……10.0重量部 ポリエチレングリコール#20000……1.0重量部 イオン交換水……残部 (比較例11) 下記処方によりインクを調整した。 ブラック染料A……2.0重量部 イエロー染料B……1.0重量部 1,3−プロパンジオール……10.0重量部 グリセリン……10.0重量部 ポリエチレングリコール#20000……1.0重量部 イオン交換水……残部 上記インクを直径7cmのシャーレに0.2ml量りと
り、均一にひろげて大気開放下で1週間放置し、染料や
粘度調整剤の固形成分の析出の有無を調べた。表2に、
(実施例5)〜(実施例8)および(比較例9)〜(比
較例11)の試験結果を示す。
【0031】
【表2】 表2から、以下のことがわかる。 ブラック染料Aのみを単独で用いた場合には、固形成
分が析出する(比較例9)。 イエロー染料Bをブラック染料Aに添加して用いた場
合には、固形成分が析出する(比較例10,11)。 ブラック染料Bをブラック染料Aに混合して用いた場
合には、固形成分が析出しない(実施例5〜7)。 イエロー染料Aを他のブラック染料に添加して用いた
場合には、固形成分が析出しない(実施例6,8)。
【0032】染料の水に対する溶解度(水溶液濃度)
は、印字後の耐水性に影響する。水に対する溶解度の低
い染料は、印字結果を水に浸漬した際に色や濃度の変化
が少ない。すなわち、水溶性の低い染料は耐水性が良好
であると言える。したがって、染料の水に対する溶解度
は印字結果の耐水性に置き換えることができる。特にイ
ンクジェット記録用インクを調整する際には、印字結果
の評価に基づいて検討することがより実際的である。そ
こで、第2の実施の形態で用いた各染料の水に対する溶
解度を下記処方のモデルインクを用いて評価した。 染料……2.0重量部 2−ピロリドン……10.0重量部 ジエチレングリコール……10.0重量部 イオン交換水……残部 評価方法は、各染料について上記処方のモデルインクを
用いてゼロックス4024紙にベタパターンを印字した
後に、5分間イオン交換水に浸漬した。印字物の光学濃
度(OD値)を浸漬前および浸漬後に測定し、{(浸漬前
OD値−浸漬後OD値)/浸漬前OD値}×100(%)
で表わされるOD値の変化率を求めた。また、4種類の
染料のうちOD値変化率が最も低い染料のOD値変化率
に対する他の染料のOD値変化率の比も求めた。
【0033】表3に、(実施例5)〜(実施例8)およ
び(比較例9)〜(比較例11)の各インクに用いた染
料の浸漬前後のOD値、OD値の変化率および変化率の
比を示す。
【0034】
【表3】 表3からは、ブラック染料Aが最も浸漬前後のOD値の
変化率が低いので、耐水性が良好であり、すなわち水に
対する溶解度が低いことがわかる。また、ブラック染料
BのOD値の変化率が最も高くブラック染料Aの6.2
倍であり、次いでイエロー染料A(3.3倍)、イエロ
ー染料B(2.3倍)の順に変化率が低くなっている。
【0035】表2および表3から、以下のことがわか
る。ブラック染料Aは水に対する溶解度が低いので単独
では固形成分が析出するが、水に対する溶解度がブラッ
ク染料Aよりも高いブラック染料Bやイエロー染料Aと
ともに用いることによって、固形成分の析出を抑制する
ことができる。また、ブラック染料Aよりも水に対する
溶解度が高いイエロー染料Bをブラック染料Aに添加し
ても固形成分が析出するのは、イエロー染料Bではブラ
ック染料Aの溶解度の低さを補うことができず、相溶性
を増加するまでには至らなかったからである。
【0036】このため、水に対する溶解度の低い染料に
溶解度の高い染料を添加して相溶性を増加するために
は、浸漬前後のOD値変化率が溶解度の低い染料に対し
て3.3倍以上であれば良く、2.3倍では不充分であ
ると言える。したがって、浸漬前後のOD値変化率の比
が約3倍以上の染料であれば良いと考えられる。この溶
解度の低い染料と溶解度の高い染料との組み合わせは、
OD値の変化率を計算して適宜選択することができる。
なお、極端に溶解度を増加させることは、耐水性が低下
するので実用的ではない。
【0037】以上の結果は、水に対する溶解度の高い染
料を溶解度の低い染料と同時に用いることによって、染
料の相溶性が増加し、粘度調整剤(25℃で固体のポリ
エチレングリコール#20000)の溶解度が高くなっ
て固形成分の析出を抑制することができると同時に、溶
解度の低い染料が印字後の耐水性を向上させるというこ
とを示している。また、第2の実施の形態においては試
験を行っていないが、溶解度の高い染料を単独で用いる
ことは、印刷した際の耐水性が劣るので実用的ではな
い。
【0038】相溶性が増加するという作用は、溶解度の
低い物質に溶解度の高い物質を添加することによって、
溶解度の低い物質が溶けやすくなることである。水に対
する溶解度の低い染料に溶解度の高い染料を添加するこ
とによって相溶性が作用し、固形成分の析出が抑制され
ていると考えられる。第2の実施の形態においては、相
溶性を増加する物質として染料を選んだ点に特徴があ
る。
【0039】また、溶解度の高い染料の添加量を調整す
ることによって、印刷した際に媒体表面に染料が会合し
て引き起こされるブロンジングを抑制し、かつ光学濃度
を向上させることができる。
【0040】ブロンジングとは、例えば黒ベタを印刷し
たときにまれに染料が媒体表面で会合を起こして茶褐色
に光って見えることをいい、印刷面での色光が互いに干
渉し合うことによって発生する。ブロンジングを防ぐた
めには、媒体への染料の浸透を早める、染料の溶解度を
上げる等の方法があるが、媒体への染料の浸透を早める
と光学濃度が下がる可能性がある。第2の実施の形態に
おいては、耐水性が優れているが溶解度の低い染料を用
いたインクであっても、溶解度の高い染料を加えること
によって相溶性が増加し、また全体の染料濃度が高くな
るので光学濃度も向上させることができる。
【0041】第2の実施の形態で得たインクジェット記
録用インクを高速印字インクジェットプリンタに用いる
と、ヘッドノズルなどのインク流路におけるインクの目
詰まりを防止して、安定吐出における信頼性の向上を図
ることができる。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように、本願の請求項1に
係る発明は、粘度調整剤として水溶性高分子化合物を含
有するインクに湿潤剤として炭素数が3以上の水溶性有
機溶剤を2種類以上用いることによって、水溶性有機溶
剤の炭素数が大きく水溶性高分子化合物との親和性が高
いことから、固形成分の析出を抑制することができると
いう効果を有する。また、本願の請求項2に係る発明
は、水溶性有機溶剤のうち少なくとも1種類にアルカン
ジオールを用いることによって、アルカンジオールが直
鎖構造であって水溶性高分子化合物との親和性が高いこ
とから、請求項1に係る発明と比較してさらに固形成分
の析出を抑制することができるという効果を有する。こ
のようにして、高分子量の粘度調整剤を用いつつ、大気
開放下においても長期間固形成分の析出を抑制すること
ができる高粘度インクを得ることができ、印字ヘッドの
特性に適した物性値を有するインクジェット記録用イン
クを処方することができるという効果を有する。
【0043】また、本願の請求項3に係る発明は、少な
くとも2種類の染料を用いることによって、染料の含有
量をむやみに増加させることなくインクの色相を任意に
調整して光学濃度の高いインクを得ることができるとい
う効果を有する。また、本願の請求項4に係る発明は、
各染料の印字物を水に浸漬したときの浸漬前後の光学濃
度の変化率を染料の溶解性を示す値としたときに、少な
くとも2種類の染料のうち、水に対する溶解度の最も高
い染料の溶解性を示す値を、水に対する溶解度の最も低
い染料の溶解性を示す値の3倍以上とすることによっ
て、水に対する溶解度の低い染料を用いていても溶解度
の高い染料を添加することで相溶性が作用してインクの
溶解度が増加し、耐水性を保持しつつ固形成分の析出を
抑制することができ、また、相溶性を増加する物質とし
て染料を用いることから、インク全体の染料濃度を高く
することができ、インクの色相を任意に調整して光学濃
度の高いインクを得ることができるという効果を有す
る。このようにして、大気開放下においても長期間固形
成分の析出を抑制し、かつインクの色相を任意に調整す
ることができる高粘度インクを得ることができ、印字ヘ
ッドの特性に適した物性値を有するインクジェット記録
用インクを処方することができるという効果を有する。
【0044】さらに、本願の請求項5に係る発明は、2
5℃において固体である水溶性高分子化合物を粘度調整
剤として用いることによって、少量で希望する粘度を得
て耐水性を保持することができるという効果を有する。
フロントページの続き (72)発明者 岸本 充 東京都港区芝浦4丁目11番地22号 株式会 社沖データ内 Fターム(参考) 2C056 FC02 2H086 BA53 BA56 BA59 4J039 AB02 AD06 AD23 AE07 BC07 BC09 BC13 BC36 BC50 BE03 BE04 BE05 BE12 BE22 BE23 EA11 EA15 EA16 EA17 EA19 EA38 EA41 EA42 EA44 GA24

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水溶性高分子化合物と少なくとも2種類
    の炭素数が3以上である水溶性有機溶剤とを含有するイ
    ンクジェット記録用インク。
  2. 【請求項2】 前記炭素数が3以上である水溶性有機溶
    剤のうち少なくとも1種類がアルカンジオールである、
    請求項1に記載のインクジェット記録用インク。
  3. 【請求項3】 少なくとも2種類の染料を含有する、請
    求項1または2に記載のインクジェット記録用インク。
  4. 【請求項4】 前記少なくとも2種類の染料のうち、水
    に対する溶解度の最も高い染料の溶解性を示す値が水に
    対する溶解度の最も低い染料の溶解性を示す値の3倍以
    上であり、 該染料の溶解性を示す値が、各染料の印字物を水に浸漬
    したときの浸漬前後の光学濃度の変化率である、請求項
    3に記載のインクジェット記録用インク。
  5. 【請求項5】 前記水溶性高分子化合物が25℃におい
    て固体である、請求項1ないし4のいずれか1項に記載
    のインクジェット記録用インク。
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