JP2000327773A - 縦型攪拌式薄膜蒸発機の洗浄方法 - Google Patents

縦型攪拌式薄膜蒸発機の洗浄方法

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JP2000327773A
JP2000327773A JP13915699A JP13915699A JP2000327773A JP 2000327773 A JP2000327773 A JP 2000327773A JP 13915699 A JP13915699 A JP 13915699A JP 13915699 A JP13915699 A JP 13915699A JP 2000327773 A JP2000327773 A JP 2000327773A
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film evaporator
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vertical stirring
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English (en)
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Yasuhito Tachibana
泰人 立花
Shigeru Okita
茂 沖田
Minoru Noda
稔 野田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶融状態のナイロン樹脂を通過させて処理し
た後に、縦型攪拌式薄膜蒸発機の内部に付着して残存す
るナイロン樹脂等を効率的に洗浄して除去する。 【解決手段】 ナイロン樹脂を溶解し得る溶剤を投入し
て薄膜蒸発機内の残留物を溶解させ、残留物を溶解させ
た溶液を抜出す。更にその後、水を投入して縦型攪拌式
薄膜蒸発機内を洗浄し、洗浄水を抜出すことにより、縦
型攪拌式薄膜蒸発機内を洗浄する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶融状態のナイロ
ン樹脂を縦型攪拌式薄膜蒸発機を通過させて処理した後
に装置内部を洗浄する方法に関する。更に詳しくは、縦
型攪拌式薄膜蒸発機の内部に残存するナイロン樹脂等を
洗浄によって除去する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリマー製造プロセスにおいては、ポリ
マー溶液の濃縮、ポリマー中に含まれるモノマー、オリ
ゴマー、溶剤の除去など、いわゆる脱揮工程が広範囲に
含まれている。これらのプロセスでは従来、フラッシュ
缶、流下式薄膜蒸発機、強制循環型蒸発機などが選択さ
れてきた。しかし、これらの蒸発装置は、最終処理液が
自然落下し得る程度の低粘度のポリマー材料にしか使え
ない。近年、高粘度のポリマー材料にも対応可能な脱揮
装置として縦型攪拌式薄膜蒸発機が使われるようになっ
て来た。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記の縦型攪拌式薄膜
蒸発機は高粘度ポリマー材料にも対応可能なため、種々
の用途に使用されつつあるが、装置内に高粘度化ポリマ
ーや劣化ポリマーが残存・蓄積すると、これらが少しず
つ製品中に流れ出し、その結果製品の品質を低下させる
という問題を生じる。従って、一定時間運転した後に装
置を停止し、装置内に残存・蓄積した高粘度化ポリマー
や劣化ポリマーを除去することが必要となるが、長時間
運転の間に蓄積された高粘度化ポリマーや劣化ポリマー
を完全に除去することは極めて困難である。
【0004】装置内に残存・蓄積した高粘度化ポリマー
や劣化ポリマーを除去する方法としては、別種または同
種の溶融ポリマーを流し、共洗いして除去する方法、あ
るいは物理的手法によって残存ポリマーを剥離させる方
法が一般的であるが、この方法ではナイロン樹脂を完全
には除去しきれず、縦型攪拌式薄膜蒸発機の内部をクリ
ーンな状態にすることは極めて困難であった。そこで本
発明は、ナイロン樹脂処理後の縦型攪拌式薄膜蒸発機の
効率的な洗浄方法を提供することを、主たる目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために鋭意検討を重ねた結果、縦型攪拌式薄膜蒸発機を
用いてナイロン樹脂を処理した後、ナイロン樹脂を溶解
し得る溶剤を用いて洗浄すれば、縦型攪拌式薄膜蒸発機
の内部を短時間でクリーン化できることを見出し、本発
明に到達した。
【0006】すなわち本発明は次のとおりである。 1. 溶融状態のナイロン樹脂を縦型攪拌式薄膜蒸発機
を通過させて処理した後に該薄膜蒸発機内を洗浄する
際、ナイロン樹脂を溶解し得る溶剤を投入して薄膜蒸発
機内の残留物を溶解させ、残留物を溶解させた溶液を抜
出すことを特徴とする縦型攪拌式薄膜蒸発機の洗浄方
法。 2. 溶融状態のナイロン樹脂を縦型攪拌式薄膜蒸発機
を通過させて処理した後に該薄膜蒸発機内を洗浄する
際、ナイロン樹脂を溶解し得る溶剤を投入して薄膜蒸発
機内の残留物を溶解させ、残留物を溶解させた溶液を抜
出した後、水を投入して縦型攪拌式薄膜蒸発機内を洗浄
し、洗浄水を抜出すことを特徴とする縦型攪拌式薄膜蒸
発機の洗浄方法。 3. 溶剤が水溶性溶剤であることを特徴とする前記1
又は2項記載の縦型攪拌式薄膜蒸発機の洗浄方法。 4. 溶剤がε−カプロラクタム、又は、ε−カプロラ
クタムとアルコール及び/又はポリオールとの混合液で
ある前記3項記載の縦型攪拌式薄膜蒸発機の洗浄方法。
【0007】5. ナイロン樹脂が、ナイロン6、ナイ
ロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6・
10、ナイロン6・12、ナイロン6T単位及び/又は
ナイロン6I単位を含有する半芳香族ナイロン、又は、
これらナイロンの共重合体のいずれかである前記1〜4
項のいずれかに記載の縦型攪拌式薄膜蒸発機の洗浄方
法。 6. ナイロン樹脂が、ナイロン6、ナイロン66、又
はナイロン6/ナイロン66共重合体のいずれかである
前記1〜4項のいずれかに記載の縦型攪拌式薄膜蒸発機
の洗浄方法。 7. 縦型攪拌式薄膜蒸発機が、内周面が加熱蒸発面と
なっている円筒形で縦型の減圧可能な密閉式容器を設
け、該容器の上部に原料供給口を、下部に処理液取出口
を設けるとともに、該容器の中心軸上部に上部回転軸
を、下部に下部回転軸を設け、上部回転軸の上部側に原
料供給口から導入された原料液を容器内周面に分散させ
る分散ユニットを、その下側に原料液を容器内周面全体
に攪拌しながら薄膜化させる薄膜ユニットを設け、更に
下部回転軸に薄膜化ユニットから流下する処理液を処理
液取出口へ向け排出するスクリュー排出機構を設けけ、
かつ、上部回転軸と下部回転軸とを相対回転可能に接続
し、互いに独立の駆動源により回転駆動させる装置構造
の薄膜蒸発装置である前記1〜6項のいずれかに記載の
縦型攪拌式薄膜蒸発機の洗浄方法。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。本発明法において用いるナイロン樹脂は、
ラクタム、アミノカルボン酸、ジカルボン酸/ジアミン
の混合物、ジカルボン酸誘導体/ジアミンの混合物、ジ
カルボン酸/ジアミンの塩、およびこれらの2種以上の
混合物を重合して得られるナイロン樹脂を意味する。
【0009】ラクタムの具体例としては、2−アゼチジ
ノン、2−ピロリジノン、δ−バレロラクタム、ε−カ
プロラクタム、エナントラクタム、カプリルラクタム、
ウンデカラクタム、ラウロラクタムなどを挙げることが
でき、これらのうち、ε−カプロラクタム、ウンデカラ
クタム、ラウロラクタムが好ましく、特にε−カプロラ
クタムが好ましい。なお、これらのラクタムは2種以上
の混合物で使用することもできる。アミノカルボン酸の
具体例としては、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘ
プタン酸、8−アミノオクタン酸、9−アミノノナン
酸、10−アミノデカン酸、11−アミノウンデカン
酸、12−アミノドデカン酸などを挙げることができ、
これらのうち、6−アミノカプロン酸、11−アミノウ
ンデカン酸、12−アミノドデカン酸が好ましく、特に
6−アミノカプロン酸が好ましい。なお、これらのアミ
ノカルボン酸は2種以上の混合物で使用することもでき
る。
【0010】ジカルボン酸/ジアミンの混合物、ジカル
ボン酸誘導体/ジアミンの混合物、ジカルボン酸/ジア
ミンの塩で用いられるジカルボン酸の具体例としては、
シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン
酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン
酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシリン酸、テ
トラデカン二酸、ペンタデカン二酸、オクタデカン二酸
のような脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボ
ン酸のような脂環式ジカルボン酸、フタル酸、イソフタ
ル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸のような
芳香族ジカルボン酸などが挙げられ、アジピン酸、セバ
シン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸が
好ましく、特にアジピン酸、テレフタル酸、イソフタル
酸が好ましい。なお、これらのジカルボン酸は2種以上
の混合物で使用することもできる。
【0011】ジカルボン酸/ジアミンの混合物、ジカル
ボン酸誘導体/ジアミンの混合物、ジカルボン酸/ジア
ミンの塩で用いられるジアミンの具体例としては、1,
4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,
6−ジアミノヘキサン、2−メチル−1,5−ジアミノ
ペンタン(MDP)、1,7−ジアミノヘプタン、1,
8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,
10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカ
ン、1,12−ジアミノドデカン、1,13−ジアミノ
トリデカン、1,14−ジアミノテトラデカン、1,1
5−ジアミノペンタデカン、1,16−ジアミノヘキサ
デカン、1,17−ジアミノヘプタデカン、1,18−
ジアミノオクタデカン、1,19−ジアミノノナデカ
ン、1,20−ジアミノエイコサンなどの脂肪族ジアミ
ン、シクロヘキサンジアミン、ビス−(4−アミノヘキ
シル)メタンのような脂環式ジアミン、m−キシリレン
ジアミン、p−キシリレンジアミンのような芳香族ジア
ミンなどが挙げられ、特に脂肪族ジアミンが好ましく、
とりわけヘキサメチレンジアミンが好ましく用いられ
る。なお、これらのジアミンは2種以上の混合物で使用
することもできる。
【0012】本発明法の適用が好ましいナイロン樹脂と
しては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナ
イロン12、ナイロン6・10、ナイロン6・12、ナ
イロン6T及び/または6I単位を含有する半芳香族ナ
イロンまたはこれらナイロン樹脂の共重合体が挙げられ
る。とりわけ、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6
/ナイロン66共重合体が好ましい。
【0013】ナイロン樹脂は例えばナイロン原料を触媒
の存在下または不存在下で加熱して行うナイロン重合方
法により製造される。その重合時に攪拌はあっても無く
てもよいが、均質な生成物を得るには攪拌した方が好ま
しい。重合温度は目的とする前重合物の重合度、反応収
率、反応時間に応じて任意に設定可能であるが、最終的
に得られるナイロン樹脂の品質を考慮すれば低温の方が
好ましい。反応率についても任意に設定できる。圧力に
ついても特に制限はなく,反応に伴って縮合水などの揮
発性成分が生成する場合には、それらを系外に抜き出す
ために系内を減圧としてもよい。逆に揮発を抑制する目
的で加圧系としてもよい。
【0014】本発明法で扱うナイロン樹脂は、必要に応
じてカルボン酸化合物またはアミン化合物で末端を封鎖
してあってもよい。モノカルボン酸及び/又はモノアミ
ンを添加して末端封鎖する場合には、得られたナイロン
樹脂の末端アミノ基または末端カルボキシル基濃度が末
端封鎖剤を使用しない場合に比べて低下する。一方、ジ
カルボン酸又はジアミンで末端封鎖した場合には末端ア
ミノ基と末端カルボキシル基濃度の和は変化しないが、
アミノ末端基とカルボキシル末端基との濃度の比率が変
化する。
【0015】カルボン酸化合物の具体例としては、酢
酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナン
ト酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、ウンデカン酸、ラウ
リル酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン
酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノー
ル酸、アラキン酸のような脂肪族モノカルボン酸、シク
ロヘキサンカルボン酸、メチルシクロヘキサンカルボン
酸のような脂環式モノカルボン酸、安息香酸、トルイル
酸、エチル安息香酸、フェニル酢酸のような芳香族モノ
カルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル
酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン
酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラ
シリン酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、オク
タデカン二酸のような脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキ
サンジカルボン酸のような脂環式ジカルボン酸、フタル
酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボ
ン酸のような芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。
【0016】アミン化合物の具体例としては、ブチルア
ミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミ
ン、オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ノニ
ルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシル
アミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペン
タデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルア
ミン、ノナデシルアミン、イコシルアミンのような脂肪
族モノアミン、シクロヘキシルアミン、メチルシクロヘ
キシルアミンのような脂環式モノアミン、ベンジルアミ
ン、β−フェニルエチルアミンのような芳香族モノアミ
ン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタ
ン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプ
タン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノ
ナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノ
ウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,13−
ジアミノトリデカン、1,14−ジアミノテトラデカ
ン、1,15−ジアミノペンタデカン、1,16−ジア
ミノヘキサデカン、1,17−ジアミノヘプタデカン、
1,18−ジアミノオクタデカン、1,19−ジアミノ
ノナデカン、1,20−ジアミノエイコサンなどの脂肪
族ジアミン、シクロヘキサンジアミン、ビス−(4−ア
ミノヘキシル)メタンのような脂環式ジアミン、キシリ
レンジアミンのような芳香族ジアミンなどが挙げられ
る。
【0017】ナイロン樹脂の末端基濃度に特に制限はな
いが、繊維用途で染色性を高める必要がある場合や樹脂
用途でアロイ化に適した材料を設計する場合等には末端
アミノ基濃度が高い方が好ましい。また、長期エージン
グ条件下での着色やゲル化を抑制したい場合などは逆に
末端アミノ基濃度が低い方が好ましい。更に再溶融時の
ラクタム再生、オリゴマー生成による溶融紡糸時の糸切
れ、連続射出成形時のモールドデポジット、フィルムの
連続押出におけるダイマーク発生を抑制したい場合には
末端カルボキシル基濃度及び末端アミノ基濃度が共に低
い方が好ましい。適用する用途によって末端基濃度を調
製すればよいが、末端アミノ基濃度、末端カルボキシル
基濃度共に、好ましくは、1.0×10-5〜15.0×
10-5eq/g、より好ましくは2.0×10-5〜1
2.0×10-5eq/g、特に好ましくは3.0×10
-5〜11.0×10-5eq/gである。また、末端封鎖
剤の添加方法としては重合初期にカプロラクタム等の原
料と同時に仕込む方法、重合途中で添加する方法、ナイ
ロン樹脂を溶融状態で縦型攪拌式薄膜蒸発機を通過させ
る際に添加する方法などが採用される。末端封鎖剤はそ
のまま添加してもよいし、少量の溶剤に溶解して添加し
てもよい。
【0018】縦型攪拌式薄膜蒸発機に供給する際のナイ
ロン樹脂は未反応のモノマー、オリゴマー、溶剤などの
揮発性成分を含有していてもかまわないが、脱気効率を
良くするためには、その含有率は低いほど好ましく、通
常は50%以下、好ましくは40%以下、更に好ましく
は30%以下とする。
【0019】本発明法で用いる縦型攪拌式薄膜蒸発機と
は、減圧機能を有する縦長容器であって、その上部から
原料(液状物)を投入すると、原料の自然落下あるいは
強制掻き下げによって原料の薄膜が形成され、容器下部
に移動すると同時に原料中に含まれる揮発性成分が減圧
除去される構造になっている装置のことを意味する。こ
のような要件を満足する装置であれば特に限定されない
が、次のような構造を有する装置が好ましい。
【0020】内周面が加熱蒸発面となっている円筒形で
縦型の減圧可能な密閉式容器を設け、該容器の上部に原
料供給口を、下部に処理液取出口を設けるとともに、該
容器の中心軸上部に上部回転軸を、下部に下部回転軸を
設け、上部回転軸の上部側に原料供給口から導入された
原料液を容器内周面に分散させる分散ユニットを、その
下側に原料液を容器内周面全体に攪拌しながら薄膜化さ
せる薄膜ユニットを設け、更に下部回転軸に薄膜化ユニ
ットから流下する処理液を処理液取出口へ向け排出する
スクリュー排出機構を設けけ、かつ、上部回転軸と下部
回転軸とを相対回転可能に接続し、互いに独立の駆動源
により回転駆動させる装置構造の薄膜蒸発装置である。
【0021】その代表的な一例を図1に示す。縦型攪拌
式薄膜蒸発機の縦断面図を模式的に示す図1において、
容器本体(1)は縦型の円筒型で下方を倒立円錐台形状
にした密閉式容器からなり、その上部に原料供給口
(2)が、下部に排出筒(1a)を介して処理液取出口
(3)が設けられている。容器本体(1)の外側は加熱
ジャケット(10)で囲まれ、この加熱ジャケット(1
0)に供給ノズル(11)から熱媒が供給され、排出ノ
ズル(12)から排出されることにより、容器本体
(1)の内周面(1w)がほぼ全周にわたり加熱される
ようになっている。また、容器本体(1)の上部には蒸
気出口(4)が設けられ、この蒸気出口(4)に凝縮機
(5)を介して接続された真空ポンプ(6)の吸引作用
により内部が減圧されるようになっている。さらに容器
本体(1)の中心軸(O)に沿って上部側に上部回転軸
(7)が設置され、下部側に下部回転軸(8)が設置さ
れている。これら回転軸(7,8)は、上部回転軸の軸
受が下部回転軸内の内蔵軸受として配されるように、互
いに相対回転可能に接続されるとともに、それぞれ機外
に設けられた互いに異なる駆動源により別々に回転駆動
されるようになっている。
【0022】上下2本の回転軸(7,8)のうち、上部
回転軸(7)の方には原料供給口(2)に対応する位置
に分散ユニット(13)が連結され、さらにその下側に
薄膜化ユニット(14)が連結されている。分散ユニッ
ト(13)は、回転胴(13a)の外周に複数枚の螺旋
翼(13b)を設けて構成され、また、薄膜化ユニット
(14)は、回転胴(14a)の外周に複数枚の攪拌翼
(14b)を多段に設けて構成されている。下部回転軸
(8)の方には、容器本体(1)の倒立円錐台部分に対
応して複数枚の掻き下げ翼(15)が取り付けられ、さ
らに掻き下げ翼(15)の直下から排出筒(1a)に対
応する部分にスクリュー翼(9)からなる排出機構が取
り付けられている。
【0023】上記縦型攪拌式薄膜蒸発機に溶融状態のナ
イロン樹脂を原料供給口(2)から容器本体(1)内に
供給すると、回転駆動される分散ユニット(13)の螺
旋翼(13b)によって内周面に分散させられると共
に、下側の薄膜化ユニット(14)に向けて強制的に掻
き下げられる。薄膜化ユニット(14)に送り込まれた
溶融状態のナイロン樹脂は、多段に設けられた攪拌翼
(14b)により順次攪拌を加えられながら容器本体
(1)の加熱内周面上で薄膜化され、下方へ移動する間
にモノマーやオリゴマー等の揮発性成分が減圧除去さ
れ、同時に重合が進行する。ナイロン樹脂からの揮発性
成分は上方の蒸気出口(4)から排出され、また揮発性
成分が除去され重合が進行したナイロン樹脂は掻き下げ
翼(15)により掻き下げられ、最終的にスクリュー翼
(9)により処理液出口(3)から系外に抜き出され
る。
【0024】上記装置における攪拌翼(14b)の形状
や取付け位置等は特に制限されないが、揮発性成分の除
去効率及び溶融ナイロン樹脂の移送効率等の点からは、
中心軸(O)に平行な方向に対する攪拌翼の傾斜角を1
0〜60度、好ましくは12〜50度、特に好ましくは
15〜45度とするのがよい。また、上下方向に隣接す
る攪拌翼(14b,14b)の間の上側翼の下端と下側
翼の上端との距離Lは、翼スパン(翼先端が描く円の直
径)の1/100〜1/3、好ましくは1/50〜1/
4、特に好ましくは1/30〜1/5にするのがよい。
この距離Lは、下段ほどナイロン樹脂の粘度が高くなる
ことが多いので下段に位置するほど小さくしていくこと
が好ましい。
【0025】また、上記縦型攪拌式薄膜蒸発機における
加熱は、図示の例のような加熱ジャットによるほか、容
器本体の外殻に電気ヒーターを設けて加熱する方法、容
器本体中に筒状の伝熱面を設置して加熱する方法等であ
ってもよい。また、容器本体を分割し、それぞれ独立し
て加熱するようにしてもよい。更に、必要に応じて容器
本体とは別個に設けた熱交換器中を通すことにより加熱
するようにしてもよい。
【0026】縦型攪拌式薄膜蒸発機を通過させる際のナ
イロン樹脂の温度は、溶融状態で通過させることができ
れば特に制限は無いが、一般にはそのナイロン樹脂の融
点以上は必要であり、高くても400℃以下、好ましく
は350℃以下、特に好ましくは300℃以下とするこ
とがよい。また、その際の圧力についても特に制限は無
いが、通常0.01〜700mmHg、好ましくは0.
05〜600mmHg、更に好ましくは0.1〜500
mmHgである。ナイロン樹脂は酸素存在下で加熱する
と着色・劣化しやすいので、溶融状態で縦型攪拌式薄膜
蒸発機を通過させる際の雰囲気中の酸素濃度は500p
pm以下とすることが好ましく、更に好ましくは100
ppm以下である。
【0027】縦型攪拌式薄膜蒸発機に供給するためのナ
イロン樹脂を製造するための重合工程と、縦型攪拌式薄
膜蒸発機を通過させて処理する工程とは、一貫した連続
プロセスで行ってもよいし、また、バッチ式プロセスで
行ってもよい。少量他品種生産の場合にはバッチ式が有
効であるが、同一品種を多量に長期間にわたって生産す
る場合には連続式で実施することが好ましい。
【0028】ナイロン樹脂を縦型攪拌式薄膜蒸発機によ
り処理して得られるナイロン樹脂の重合度は、その用途
により異なるが、一般的に、0.01g/mL硫酸溶液
の25℃における硫酸相対粘度で2.0〜8.0、好ま
しくは2.2〜7.5、更に好ましくは2.3〜6.
5、最も好ましくは2.3〜5.0である。この硫酸相
対粘度が低すぎると所望の機械物性の発現が不十分であ
り、8.0を越えると溶融粘度が高すぎて成形が困難と
なる。
【0029】さらに、本発明法では、縦型攪拌式薄膜蒸
発機の後に溶融押出機を連結することによって各種添加
剤や充填材の配合を引続いて行ない、重合に連続した工
程でナイロン樹脂組成物まで製造することもできる。
【0030】その際に配合する各種添加剤や充填材の具
体例としては、酸化防止剤や耐熱安定剤(ヒンダードフ
ェノール系、ヒドロキノン系、ホスファイト系およびこ
れらの置換体、ハロゲン化銅、ヨウ素化合物等)、耐候
剤(レゾルシノール系、サリシレート系、ベンゾトリア
ゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系
等)、離型剤及び滑剤(脂肪族アルコール、脂肪族アミ
ド、脂肪族ビスアミド、ビス尿素及びポリエチレンワッ
クス等)、顔料(硫化カドミウム、フタロシアニン、カ
ーボンブラック等)、染料(ニグロシン、アニリンブラ
ック等)、結晶核剤(タルク、シリカ、カオリン、クレ
ー等)、可塑剤(p−オキシ安息香酸オクチル、N−ブ
チルベンゼンスルホンアミド等)、帯電防止剤(アルキ
ルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、4級アンモニ
ウム塩型カチオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソ
ルビタンモノステアレートのような非イオン系帯電防止
剤、ベタイン系両性帯電防止剤等)、難燃剤(メラミン
シアヌレート、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウ
ム等の水酸化物、ポリリン酸アンモニウム、臭素化ポリ
スチレン、臭素化ポリフェニレンオキシド、臭素化ポリ
カーボネート、臭素化エポキシ樹脂あるいはこれらの臭
素系難燃剤と三酸化アンチモンとの組み合わせ等)、充
填剤(グラファイト、硫酸バリウム、硫酸マグネシウ
ム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化アンチモ
ン、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化
鉄、硫化亜鉛、亜鉛、鉛、ニッケル、アルミニウム、
銅、鉄、ステンレス、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド
繊維等の粒子状、繊維状、針状、板状充填材)、他の重
合体(他のポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレン
エーテル、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー、
ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ABS樹脂、S
AN樹脂、ポリスチレン等)などが挙げられる。
【0031】ナイロン樹脂(組成物)は、従来のナイロ
ン樹脂(組成物)同様に、通常の方法でペレットとする
ことができるし、また、通常の成形方法によって成形品
とすることができる。ここでいう成形品は、射出成形等
による狭義の成形品の他、繊維やフィルム等をも含むも
のである。
【0032】溶融状態のナイロン樹脂を縦型攪拌式薄膜
蒸発機を通過させて処理した後に、縦型攪拌式薄膜蒸発
機内部を本発明法により洗浄する際には、まず、ナイロ
ン樹脂を溶解し得る溶剤を投入して薄膜蒸発機内の残留
物を溶解させ、残留物が溶解した溶液を抜出すことを要
する。
【0033】その際に用いられる溶剤はナイロン樹脂を
溶解し得るものであれば特に制限は無い。具体例として
は、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p
−クレゾール、o−クロロフェノール、m−クロロフェ
ノール、p−クロロフェノール、レゾルシノールなどの
フェノール系溶剤あるいはこれらフェノール系溶剤とメ
タノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ベ
ンジルアルコール、シクロヘキサノールなどのアルコー
ルとの混合物、2−アゼチジノン、2−ピロリジノン、
δ−バレロラクタム、ε−カプロラクタム、エナントラ
クタム、カプリルラクタム、ウンデカラクタム、ラウロ
ラクタムなどのラクタム類あるいはこれらの混合物、ギ
酸水溶液、塩化リチウム、塩化カリウム、塩化カルシウ
ム、塩化マグネシウムなどの金属ハロゲン化物を溶解し
たアルコール溶液、ベンジルアルコールなどのアラルキ
ルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコ
ール、トリエチレングリコール、グリセリンなどのポリ
オール類、これらポリオール類のアルキルエーテル、部
分アルキルエーテルなどが挙げられ、これらは混合物で
あってもかもわない。
【0034】縦型攪拌式薄膜蒸発機に溶剤を投入してナ
イロン樹脂を溶解し、該溶剤を抜き出した後に、蒸発機
内に残存している溶剤を除去するためには、高温あるい
は真空にして溶剤を除去する方法、水を投入して溶剤を
洗い出す方法などを用いることができるが、水を投入し
て溶剤を洗い出す方法が好ましい。従って、蒸発機内を
洗浄するための溶剤としては水溶性のものが好ましい。
中でもフェノール/エタノール混合溶剤、ε−カプロラ
クタム、ギ酸水溶液、塩化リチウム、塩化カリウム、塩
化カルシウム、塩化マグネシウムなどの金属ハロゲン化
物を溶解したアルコール溶液、ベンジルアルコール、ト
リエチレングリコール、あるいはこれらの混合物が好ま
しく、特にε−カプロラクタム、又は、ε−カプロラク
タムとトリエチレングリコールとの混合物が好ましい。
【0035】洗浄に使用する溶剤の量については蒸発機
内部に残存するナイロン樹脂を溶解するのに十分な量で
あれば特に制限は無い。通常は蒸発機の容量の5%〜1
00%、好ましくは10%〜90%、更に好ましくは2
0%〜80%を占める量である。また、洗浄方法として
はバッチ式であっても、溶剤を連続的に循環させてもか
まわない。バッチ式の場合、1回の洗浄で終了してもよ
いし、いったん溶剤を抜き出した後、新たな溶剤を投入
して洗浄を繰り返してもかまわない。連続循環式の場
合、同じ溶剤で長時間洗浄を行ってもよいし、適当な時
間が経過した後、いったん溶剤を廃棄し、新しい溶剤を
用いて洗浄を繰り返してもかまわない。
【0036】その洗浄時に蒸発機内部の攪拌翼を回転さ
せても回転させなくてもかまわないが、回転させた方が
ナイロン樹脂の溶解が早いので好ましい。また、その洗
浄時に蒸発機を加熱しても加熱しなくてもかまわない。
一般には加熱した方がナイロン樹脂が溶解し易く、洗浄
には有利である。加熱する場合の温度としては、溶剤が
分解したり、発火したりしない温度範囲であれば加熱温
度に特に制限は無い。溶剤の沸点より高い温度で行う場
合には蒸発機の上部に還流用のコンデンサーを設置する
ことが望ましい。
【0037】溶剤で洗浄した後、蒸発機内に残存する溶
剤を除去する場合には、溶剤の沸点以上に加熱して揮発
除去させる方法、減圧下または加熱/減圧下で蒸発除去
させる方法が採用できる。また、溶剤が水溶性の場合に
は水で洗浄を行う方法、あるいは該溶剤に混和し、かつ
該溶剤よりも揮発しやすい溶剤で洗浄した後、2番目の
溶剤を揮発除去する方法などが採用される。操作が簡便
かつ安全であるという観点から水による洗浄が好まし
い。
【0038】
【実施例】以下に実施例をあげて本発明法を具体的に説
明する。なお、実施例及び比較例に記した分析及び測定
は次の方法に従って行った。 (1)硫酸相対粘度(ηr) 0.01g/mLの98%硫酸溶液を調製し、オストワ
ルド粘度計を用いて25℃で測定した。 (2)末端カルボキシル基濃度[COOH] ポリアミド樹脂0.5〜2.0gを正確に秤量し、ベン
ジルアルコール20mLに195℃で溶解させた。この
溶液に指示薬としてフェノールフタレインを添加し、
0.02規定の水酸化カリウムのエタノール溶液で滴定
した。 (3)末端アミノ基濃度[NH2] ポリアミド樹脂0.5〜2.0gを正確に秤量し、フェ
ノール・エタノール混合溶液(比率:84/16重量
%)25mLに室温で溶解させた。この溶液に指示薬と
してチモールブルーを添加し、0.02規定の塩酸で滴
定した。
【0039】(4)融点 一旦溶融させた後に急冷したポリアミド樹脂約7mgを
正確に秤量し、Perkin−Elmer社製DSC−
7で20℃/分の昇温速度で融点を測定した。 (5)引張特性 引張強度、引張破断伸度はASTM D638に従って
測定した。 (6)アイゾット衝撃値 ASTM D256に従って測定した。 (7)曲げ特性 ASTM D790に従って測定した。 (8)ペレット色調 カラーマシンによるペレットのYI値(Yellow
Index)にて評価した。
【0040】[実施例1]30Lのステンレス製オート
クレーブにε−カプロラクタム10kg、水200gを
仕込み、窒素置換の後密閉して、250℃で10時間加
熱・攪拌することによりナイロン6プレポリマーを調製
した。このプレポリマーを、内径155mmφ×高さ4
30mmの円筒と該円筒内壁と2mmのクリアランスを
保って回転する傾斜多段攪拌翼からなる縦型攪拌式薄膜
蒸発機(樹脂温度:247〜276℃、減圧度:0.5
〜5mmHg、攪拌翼回転数:800〜1000rp
m)に導入し、溶融状態かつ減圧下で重合・脱気処理を
行った。ナイロン6プレポリマー及び最終的に得られた
ナイロン6樹脂の分析値及び各種評価結果(洗浄前)を
表1に示す。
【0041】12時間運転後、ナイロン6プレポリマー
の供給を止め、同じ条件で1時間運転を続けポリマーを
排出した。運転停止後、真空をブレークし、ポリマー供
給口より4kgのε−カプロラクタムを投入した。窒素
気流下、250℃、攪拌翼の回転数50rpmで6時間
運転した後、ポリマー排出口より洗浄溶剤を抜き出し
た。同じ溶剤洗浄操作をもう1回繰り返した後、50℃
まで放冷し、水4Lを投入して50℃、攪拌翼の回転数
50rpmで6時間運転した後、ポリマー排出口より洗
浄水を抜き出した。同じ水洗浄操作をもう1回繰り返し
た後、蒸発機内壁及び攪拌翼表面を目視にて観察した結
果、ナイロン6樹脂は残存しておらず、完全に除去され
ていた。また、この後、洗浄前と同じ条件で運転を行っ
た結果、表1に示すように洗浄の前後でほぼ同等品質の
ナイロン6樹脂が得られた。
【0042】[実施例2]ε−カプロラクタムの代わり
にε−カプロラクタムとトリエチレングリコールとの8
0/20wt%混合物を用いた以外は実施例1と同様に
して洗浄を行った。結果を表1に示す。蒸発機内壁及び
攪拌翼表面を目視にて観察した結果、ナイロン6樹脂は
残存しておらず、完全に除去されていた。また、この
後、洗浄前と同じ条件で運転を行った結果、表1に示す
ように洗浄の前とほぼ同等品質のナイロン6樹脂が得ら
れた。 [実施例3]ε−カプロラクタムの代わりに85%ギ酸
を用い、80℃で運転する以外は実施例1と同様にして
洗浄を行った。結果を表1に示す。蒸発機内壁及び攪拌
翼表面を目視にて観察した結果、ナイロン6樹脂は残存
しておらず、完全に除去されていた。また、この後、洗
浄前と同じ条件で運転を行った結果、表1に示すように
洗浄の前とほぼ同等品質のナイロン6樹脂が得られた。
【0043】
【表1】
【0044】[比較例1]実施例1と同様にして薄膜蒸
発機を12時間運転し、残存ポリマーを排出した後、洗
浄を全く行わずに蒸発機内壁及び攪拌翼表面を観察した
結果、ナイロン樹脂が残存していた。また、この後、洗
浄せずに同じ条件で運転を再開した結果、表2に示すよ
うに得られたナイロン6樹脂の品質が低下した。 [比較例2]実施例1と同様にして薄膜蒸発機を運転
し、残存ポリマーを排出した後、洗浄用ポリマーとして
ポリプロピレンを供給し、同一条件で6時間運転を行っ
た。ポリプロピレンを排出させた後、蒸発機内壁及び攪
拌翼表面を観察した結果、ナイロン樹脂はほとんど除去
されていたが、ポリプロピレンが残存していた。また、
この後、同じ条件でナイロン6樹脂の処理を再開した結
果、表2に示すように得られたナイロン6樹脂の品質が
低下した。
【0045】
【表2】
【0046】[実施例4]30Lのステンレス製オート
クレーブにε−カプロラクタム10kg、ナイロン66
塩(AH塩)200g、水10gを仕込み、窒素置換の
後密閉して、180℃で5時間、220℃で7時間加熱
・攪拌することによりナイロン6/ナイロン66共重合
プレポリマーを調製した。このプレポリマーを、内径1
55mmφ×高さ430mmの円筒と該円筒内壁と2m
mのクリアランスを保って回転する傾斜多段攪拌翼から
なる縦型攪拌式薄膜蒸発機(樹脂温度:247〜276
℃、減圧度:0.5〜5mmHg、攪拌翼回転数:80
0〜1000rpm)に導入し、溶融状態かつ減圧下で
重合・脱気処理を行った。ナイロン6/ナイロン66共
重合プレポリマー及び最終的に得られたナイロン6/ナ
イロン66共重合樹脂の分析値及び各種評価結果(洗浄
前)を表3に示す。
【0047】12時間運転後、プレポリマーの供給を止
め、同じ条件で1時間運転を続けポリマーを排出した。
運転停止後、真空をブレークし、ポリマー供給口より4
kgのε−カプロラクタムを投入した。窒素気流下、2
50℃、攪拌翼の回転数50rpmで6時間運転した
後、ポリマー排出口より洗浄溶剤を抜き出した。同じ溶
剤洗浄操作をもう1回繰り返した後、50℃まで放冷
し、水4Lを投入して50℃、攪拌翼の回転数50rp
mで6時間運転した後、ポリマー排出口より洗浄水を抜
き出した。同じ水洗浄操作をもう1回繰り返した後、蒸
発機内壁及び攪拌翼表面を目視にて観察した結果、ナイ
ロン樹脂は残存しておらず、完全に除去されていた。ま
た、この後、洗浄前と同じ条件で運転を行った結果、表
3に示すように洗浄の前とほぼ同等品質のナイロン6/
ナイロン66共重合樹脂が得られた。
【0048】[実施例5]ε−カプロラクタムの代わり
にε−カプロラクタムとトリエチレングリコールとの8
0/20wt%混合物を用いた以外は実施例4と同様に
して洗浄を行った。結果を表3に示す。蒸発機内壁及び
攪拌翼表面を目視にて観察した結果、ナイロン樹脂は残
存しておらず、完全に除去されていた。また、この後、
洗浄前と同じ条件で運転を行った結果、表3に示すよう
に洗浄の前とほぼ同等品質のナイロン6/ナイロン66
共重合樹脂が得られた。 [実施例6]ε−カプロラクタムの代わりに85%ギ酸
を用い、80℃で運転する以外は実施例4と同様にして
洗浄を行った。結果を表3に示す。蒸発機内壁及び攪拌
翼表面を目視にて観察した結果、ナイロン樹脂は残存し
ておらず、完全に除去されていた。また、この後、洗浄
前と同じ条件で運転を行った結果、表3に示すように洗
浄の前とほぼ同等品質のナイロン6/ナイロン66共重
合樹脂が得られた。
【0049】
【表3】
【0050】[比較例3]実施例4と同様にして薄膜蒸
発機を12時間運転し、残存ポリマーを排出した後、洗
浄を全く行わずに蒸発機内壁及び攪拌翼表面を観察した
結果、ナイロン樹脂が残存していた。また、この後、洗
浄せずに同じ条件で運転を再開した結果、表4に示すよ
うに得られたナイロン6/ナイロン66共重合樹脂の品
質が低下した。 [比較例4]実施例4と同様にして薄膜蒸発機を運転
し、残存ポリマーを排出した後、洗浄用ポリマーとして
ポリプロピレンを供給し、同一条件で6時間運転を行っ
た。ポリプロピレンを排出させた後、蒸発機内壁及び攪
拌翼表面を観察した結果、ナイロン樹脂はほとんど除去
されていたが、ポリプロピレンが残存していた。また、
この後、同じ条件でナイロン6/ナイロン66共重合樹
脂の処理を再開した結果、表4に示すように得られたナ
イロン6/ナイロン66共重合樹脂の品質が低下した。
【0051】
【表4】
【0052】[実施例7]30Lのステンレス製オート
クレーブにアジピン酸/ヘキサメチレンジアミン等モル
塩の80%水溶液を投入し、内温240℃、内圧18k
g/cm2、滞留時間80分の条件でナイロン66プレ
ポリマーを調製した。このプレポリマーを、内径155
mmφ×高さ430mmの円筒と該円筒内壁と2mmの
クリアランスを保って回転する傾斜多段攪拌翼からなる
縦型攪拌式薄膜蒸発機(樹脂温度:279〜316℃、
減圧度:0.5〜5mmHg、攪拌翼回転数:800〜
1000rpm)に導入し、溶融状態かつ減圧下で処理
することにより重合を行った。プレポリマー及び最終的
に得られたナイロン樹脂の分析値を及び各種評価結果
(洗浄前)を表5に示す。
【0053】12時間運転後、プレポリマーの供給を止
め、同じ条件で1時間運転を続けポリマーを排出した。
運転停止後、真空をブレークし、ポリマー供給口より4
kgのε−カプロラクタムを投入した。窒素気流下、2
70℃、攪拌翼の回転数50rpmで6時間運転した
後、ポリマー排出口より洗浄溶剤を抜き出した。同じ溶
剤洗浄操作をもう1回繰り返した後、50℃まで放冷
し、水4Lを投入して50℃、攪拌翼の回転数50rp
mで6時間運転した後、ポリマー排出口より洗浄水を抜
き出した。同じ水洗浄操作をもう1回繰り返した後、蒸
発機内壁及び攪拌翼表面を目視にて観察した結果、ナイ
ロン樹脂は残存しておらず、完全に除去されていた。ま
た、この後、洗浄前と同じ条件で運転を行った結果、表
5に示すように洗浄の前とほぼ同等品質のナイロン66
樹脂が得られた。
【0054】[実施例8]ε−カプロラクタムの代わり
にε−カプロラクタムとトリエチレングリコールとの8
0/20wt%混合物を用いた以外は実施例7と同様に
して洗浄を行った。結果を表5に示す。蒸発機内壁及び
攪拌翼表面を目視にて観察した結果、ナイロン樹脂は残
存しておらず、完全に除去されていた。また、この後、
洗浄前と同じ条件で運転を行った結果、表5に示すよう
に洗浄の前とほぼ同等品質のナイロン66樹脂が得られ
た。 [実施例9]ε−カプロラクタムの代わりに85%ギ酸
を用い、80℃で運転する以外は実施例7と同様にして
洗浄を行った。結果を表5に示す。蒸発機内壁及び攪拌
翼表面を目視にて観察した結果、ナイロン樹脂は残存し
ておらず、完全に除去されていた。また、この後、洗浄
前と同じ条件で運転を行った結果、表5に示すように洗
浄の14前とほぼ同等品質のナイロン66樹脂が得られ
た。
【0055】
【表5】
【0056】[比較例5]実施例7と同様にして薄膜蒸
発機を12時間運転し、残存ポリマーを排出した後、洗
浄を全く行わずに蒸発機内壁及び攪拌翼表面を観察した
結果、ナイロン樹脂が残存していた。また、この後、洗
浄せずに同じ条件で運転を再開した結果、表6に示すよ
うに得られたナイロン66樹脂の品質が低下した。 [比較例6]実施例7と同様にして薄膜蒸発機を運転
し、残存ポリマーを排出した後、洗浄用ポリマーとして
ポリプロピレンを供給し、同一条件で6時間運転を行っ
た。ポリプロピレンを排出させた後、蒸発機内壁及び攪
拌翼表面を観察した結果、ナイロン樹脂はほとんど除去
されていたが、ポリプロピレンが残存していた。また、
この後、同じ条件でナイロン66樹脂の処理を再開した
結果、表6に示すように得られたナイロン66樹脂の品
質が低下した。
【0057】
【表6】
【0058】
【発明の効果】本発明の洗浄方法により、ナイロン樹脂
を処理した後の縦型攪拌式薄膜蒸発機内部に付着・残存
するナイロン樹脂を高効率で除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の洗浄方法で用いられる縦型攪拌式薄膜
蒸発機の一例を模式的に示す縦断面図である。
【符号の説明】 (O)中心軸、 (1)容器本体、 (2)原料投
入口、 (3)処理物取出口、 (4)蒸気排出
口、 (6)真空ポンプ、 (7)上部回転軸、
(8)下部回転軸、 (9)スクリュー翼、
(10)加熱ジャケット、 (13)分散ユニット、
(13b)螺旋翼、 (14)薄膜化ユニット、
(14b)攪拌翼
【手続補正書】
【提出日】平成11年11月30日(1999.11.
30)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3B116 AA33 AB51 BB03 BC00 4D076 AA12 AA14 AA24 BA19 CD03 CD16 CD22 DA10 DA25 EA02X EA02Z EA12X EA12Z EA14X EA14Z EA20Z EA23X EA23Z EA24Z EA26X FA02 FA04 FA13 FA24 HA20 4J001 DA01 DB01 DB02 GC01

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融状態のナイロン樹脂を縦型攪拌式薄
    膜蒸発機を通過させて処理した後に該薄膜蒸発機内を洗
    浄する際、ナイロン樹脂を溶解し得る溶剤を投入して薄
    膜蒸発機内の残留物を溶解させ、残留物を溶解させた溶
    液を抜出すことを特徴とする縦型攪拌式薄膜蒸発機の洗
    浄方法。
  2. 【請求項2】 溶融状態のナイロン樹脂を縦型攪拌式薄
    膜蒸発機を通過させて処理した後に該薄膜蒸発機内を洗
    浄する際、ナイロン樹脂を溶解し得る溶剤を投入して薄
    膜蒸発機内の残留物を溶解させ、残留物を溶解させた溶
    液を抜出した後、水を投入して縦型攪拌式薄膜蒸発機内
    を洗浄し、洗浄水を抜出すことを特徴とする縦型攪拌式
    薄膜蒸発機の洗浄方法。
  3. 【請求項3】 溶剤が水溶性溶剤であることを特徴とす
    る請求項1又は2記載の縦型攪拌式薄膜蒸発機の洗浄方
    法。
  4. 【請求項4】 溶剤がε−カプロラクタム、又は、ε−
    カプロラクタムとアルコール及び/又はポリオールとの
    混合液である請求項3記載の縦型攪拌式薄膜蒸発機の洗
    浄方法。
  5. 【請求項5】 ナイロン樹脂が、ナイロン6、ナイロン
    66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6・1
    0、ナイロン6・12、ナイロン6T単位及び/又はナ
    イロン6I単位を含有する半芳香族ナイロン、又は、こ
    れらナイロンの共重合体のいずれかである請求項1〜4
    のいずれかに記載の縦型攪拌式薄膜蒸発機の洗浄方法。
  6. 【請求項6】 ナイロン樹脂が、ナイロン6、ナイロン
    66、又はナイロン6/ナイロン66共重合体のいずれ
    かである請求項1〜4のいずれかに記載の縦型攪拌式薄
    膜蒸発機の洗浄方法。
  7. 【請求項7】 縦型攪拌式薄膜蒸発機が、内周面が加熱
    蒸発面となっている円筒形で縦型の減圧可能な密閉式容
    器を設け、該容器の上部に原料供給口を、下部に処理液
    取出口を設けるとともに、該容器の中心軸上部に上部回
    転軸を、下部に下部回転軸を設け、上部回転軸の上部側
    に原料供給口から導入された原料液を容器内周面に分散
    させる分散ユニットを、その下側に原料液を容器内周面
    全体に攪拌しながら薄膜化させる薄膜ユニットを設け、
    更に下部回転軸に薄膜化ユニットから流下する処理液を
    処理液取出口へ向け排出するスクリュー排出機構を設け
    け、かつ、上部回転軸と下部回転軸とを相対回転可能に
    接続し、互いに独立の駆動源により回転駆動させる装置
    構造の薄膜蒸発装置である請求項1〜6のいずれかに記
    載の縦型攪拌式薄膜蒸発機の洗浄方法。
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