JP2000326168A - 工具ホルダ取付装置 - Google Patents

工具ホルダ取付装置

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JP2000326168A
JP2000326168A JP11139129A JP13912999A JP2000326168A JP 2000326168 A JP2000326168 A JP 2000326168A JP 11139129 A JP11139129 A JP 11139129A JP 13912999 A JP13912999 A JP 13912999A JP 2000326168 A JP2000326168 A JP 2000326168A
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JP
Japan
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tool holder
face
main shaft
flange portion
spindle
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JP11139129A
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Masaichi Matsumoto
政一 松本
Masahiro Taguchi
正博 田口
Yusaku Yamamoto
雄策 山本
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Nikken Kosakusho Works Ltd
Original Assignee
Nikken Kosakusho Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】主軸先端面と工具ホルダのフランジ部端面と
の間に、一定量の隙間が形成されるようにした工具ホル
ダの取付装置において、前記一定量の隙間への塵埃,切
粉などの侵入を防止するようにした。 【解決手段】 工作機械の主軸10に設けたテーパ穴1
1に、把持用フランジ部15を有する工具ホルダ13の
テーパシャンク部14を挿入し、前記主軸10に設けた
プルスタッド引込機構により前記テーパシャンク部14
を前記テーパ穴11に密嵌合させて工具ホルダを主軸に
取り付け、かつ前記主軸の先端面10aとこれに対向す
る前記把持用フランジ部の端面15a間に一定量の隙間
が形成されるようにした工具ホルダの取付装置におい
て、 前記主軸先端面10aと対向する前記把持用フラ
ンジ部の端面15aに、少なくとも前記一定量の隙間
相当する厚さの柔軟な弾性体17を取付け、前記一定量
の隙間への塵埃,切粉などの侵入を防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、切削工具を把持し
た工具ホルダをマシニングセンタ等の工作機械の主軸に
取り付けるための工具ホルダ取付装置に関する。
【0002】
【従来の技術】マシニングセンタ等の工作機械に使用さ
れる工具ホルダ1は、図4に示すように、テーパシャン
ク部2と、このテーパシャンク部2の大径側端部に設け
た把持用のフランジ部3と、このフランジ部3の反テー
パシャンク側の端面からテーパシャンク部2と反対の方
向に該テーパシャンク部2の軸線と一致して延設された
筒状の工具取付部4を備えている。前記構成の工具ホル
ダ1を工作機械の主軸5に装着する場合は、工具ホルダ
1のテーパシャンク部2を主軸5に設けたテーパ穴6に
挿入し、このテーパシャンク部2の挿入端に主軸5内に
設けた図示しないプルスタット引込機構のドローバー7
を連結して後方へ引くことにより、テーパシャンク部2
をテーパ穴6に密嵌合させて、工具ホルダ1を主軸5に
取り付けるようにしている。
【0003】ところで、JIS規格またはISO規格に
よれば、主軸5のテーパ穴6に工具ホルダ1のテーパシ
ャンク部2を密嵌合させるために、主軸5の先端面5a
とこれに相対向するテーパシャンク部2のフランジ部3
の端面3a間に所定の許容間隙D(2mm乃至3mm程度)を
設けることが規定されており、そして、この許容間隙D
に対するテーパシャンク部2の製作誤差は±0.4mm と
規定されている。しかし、主軸5の先端面5aとテーパ
シャンク部2のフランジ部3の端面3a間に許容間隙D
を設けた場合、主軸5のテーパ穴6と工具ホルダ1のテ
ーパシャンク部2を密嵌合させることができるが、工具
ホルダ1のフランジ部の端面3aを主軸5の先端面5a
に密着させることができないため主軸5と工具ホルダ1
との拘束はテーパ穴6とテーパシャンク部2との1面拘
束となっている。その結果、切削負荷が工具ホルダ1の
テーパシャンク部2に集中して掛り、テーパ穴6とテー
パシャンク部2との密着面がフレッティングコロージョ
ン現象等により摩擦され易くなるほか、工具ホルダ1と
主軸5との結合剛性が低下して重切削ができなくなると
いう問題が生じる。
【0004】そこで、従来においては、実開平6−15
947号に開示されているように、主軸先端の基準端面
と工具ホルダのフランジ部の端面との間に形成される許
容間隙に相当する厚さの2分割された馬蹄形のスペーサ
を組み合せて、工具ホルダのフランジ部の端面にそれぞ
れねじにより取着するようにし、前記主軸と工具ホルダ
との拘束をテーパ部と端面部との2面拘束とした構造の
工具ホルダ取付装置が提案されている。
【0005】さらに、特許第2571325号の特許公
報に開示されている図5に示すように、主軸5の先端面
5aとこれに対向する工具ホルダ1の鍔部端面3aとの
前記所定の許容間隙をなくすように、前記主軸先端面5
aとこれに対向する工具ホルダ1の鍔部端面3aとの夫
々を、工業規格で定められた許容の製作誤差の数値より
多く延出すると共に、両延出量の合計が前記許容の対向
間隙の数値範囲内で互いに対向方向に夫々延出して夫々
の延出端面同志を接合するようにして、前記主軸と工具
ホルダとの拘束をテーパ部と端面部との2面拘束とする
ように主軸及び工具ホルダを改良した構造のものが提案
されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、上記のような
従来の工具ホルダ取付装置では、スペーサ或いは両端面
部に形成した延出部によって、工具ホルダ1のシャンク
部2と主軸5のテーパ穴6、工具ホルダ1のフランジ部
3の端面3aと主軸5の先端面5aとの2面拘束により
密着できるため、工具ホルダ1と主軸5との結合剛性が
高くなり、重切削を容易に行うことができる。しかし、
その反面、許容間隙に相当する厚さのスペーサを各工具
ホルダ毎に用意しなければならなかったり、工業規格で
定められた製作誤差を解消するような主軸及び工具ホル
ダの構成では、製作公差が極小であるため製作コストが
嵩むことになる。確かに、工具ホルダ1にエンドミル,
正面フライスのような重切削加工刃物を使用する場合
は、前記2面拘束によって結合剛性を高くした方が精度
を向上できるが、すべての工具ホルダ1を前記のように
2面拘束する必要があるかといえば、そうではなく、例
えば、ドリル,タップなどの軽切削加工刃物を使用する
場合は、主軸5と工具ホルダ1のテーパ部6とテーパシ
ャンク部2だけの1面拘束の密着結合で十分であり、例
え主軸5の先端面5aと工具ホルダ1のフランジ部の端
面3a間に製作誤差あるいは所定の許容間隙があって
も、十分に加工に耐え得るものである。
【0007】ところで、前記1面拘束の工具ホルダと前
記2面拘束の工具ホルダを主軸に対して共用する場合に
おいては、前記2面拘束の工具ホルダについては問題が
ないが、1面拘束のテーパ部のみの結合で、主軸先端面
とフランジ部の端面間に間隙がある場合における加工時
には、前記主軸先端面とフランジ部の端面との間隙に塵
埃や切削による切粉が侵入して前記主軸端面に付着す
る。
【0008】従って、この切削加工後に、前記主軸に2
面拘束の工具ホルダを装着する場合は、前記主軸先端面
に付着した塵埃や切粉のため主軸先端面と工具ホルダの
フランジ部の端面との密着が正常に行なわれず、刃物の
振れが増大したりして、高精度の加工が行なえないとい
う問題点があった。
【0009】本発明は上記のような従来の問題を解決し
たもので、本発明の目的は、工作機械の主軸に設けた先
端面と、これに対向する把持用フランジ部の端面間に工
業規格で定められた所定の間隙が形成されるようにした
工具ホルダの取付装置において、前記所定の隙間への塵
埃,切粉などの侵入を防止するようにした工具ホルダ取
付装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに本発明の請求項1に記載の発明は、工作機械の主軸
に設けたテーパ穴に、把持用フランジ部を有する工具ホ
ルダのテーパシャンク部を挿入し、前記主軸に設けたプ
ルスタッド引込機構により前記テーパシャンク部を前記
テーパ穴に密嵌合させて工具ホルダを主軸に取り付け、
かつ前記主軸の先端面とこれに対向する前記把持用フラ
ンジ部の端面間に工業規格で定められた所定の間隙が形
成されるようにした工具ホルダの取付装置において、前
記主軸先端面と対向する前記把持用フランジ部の端面
に、少なくとも前記所定の間隙に相当する厚さの柔軟な
弾性体を取付け、前記所定の隙間への塵埃,切粉などの
侵入を防止するようにしたことを特徴とする。
【0011】請求項2発明は、請求項1に記載の工具ホ
ルダ取付装置において、前記柔軟な弾性体は、リング状
に形成され、前記工具ホルダの前記把持用フランジ部の
端面に着脱自在に取付けたことを特徴とする。
【0012】本発明においては、少なくとも所定の間隙
±製作誤差に相当する厚さの柔軟な弾性体を主軸先端面
に対向する工具ホルダのフランジ部の端面に着脱自在に
取付けた構成にしたので、主軸先端面とこれに対向する
工具ホルダのフランジ部の端面が接合する2面拘束専用
の工具ホルダと共用して使用する場合であっても、主軸
先端面とフランジ部の端面間に塵埃や切粉が残存せず、
互いに共用して使用できると共に、工具ホルダのフラン
ジ部の端面を主軸先端面に確実に密着させることがで
き、高精度加工が可能である。
【0013】また、本発明においては、特に柔軟な弾性
体をリング状に形成して、ホルダのシャンク部を貫通さ
せてフランジ部の端面に着脱可能に取付けたので、工具
ホルダを高速回転させた場合であっても、弾性体が飛び
散ることがなく、安全性が保たれるとともに、経年変化
に伴う新品との取り替えも容易である。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面に基
づいて説明する。図1は本発明の実施の形態における工
具ホルダ取付装置の縦断面図、図2は本発明の実施の形
態における弾性体の一例を示す平面図である。図1にお
いて、10はマシニングセンタ等の工作機械の主軸であ
り、この主軸10には工具装着用のテーパ穴11が形成
されており、さらに、主軸10内には後述する工具ホル
ダ13をテーパ穴11に密嵌合状態に装着するためのプ
ルスタッド機構のドローバー12が設けられている。
【0015】工具ホルダ13は、主軸10のテーパ穴1
1に密嵌合されるテーパシャンク部14と、このテーパ
シャンク部14の大径側端部に形成した把持用のフラン
ジ部15と、このフランジ部15の反テーパシャンク部
側の端面からテーパシャンク部14と反対の方向に軸線
を一致して延設された筒状の工具取付部16を備えてお
り、そして、フランジ部15には、主軸10の端面10
aに突設したドライブキー10bに係合するドライブキ
ー溝15bが形成されている。
【0016】前記主軸10の端面10aと対向する把持
用フランジ部15の端面15aには、少なくとも許容製
作誤差に相当する厚さ(例えば、3〜4mm程度)の柔軟
性材質で、リング状に形成された弾性体17が皿ねじな
どによって着脱自在に取り付けられている。なお、柔軟
性材質としては、耐磨耗性に優れたゴムやテフロン系の
柔軟製樹脂が使用される。
【0017】前記リング状弾性体17は、JIS規格ま
たはISO規格で規定された所定の許容間隙(主軸10
の端面10aとフランジ部15の端面15a間に形成さ
れる間隙で、例えば、3mm程度である)に製作誤差(例
えば、±0.4mm )を加味した、許容間隙±製作誤差に
相当する厚さに設定されるものであり、実際には、厚さ
がほぼ3〜4mmであり、外周径が前記工具ホルダ13の
フランジ部15の外径とほぼ同じ大きさであり、且つ内
径は工具ホルダ13のシャンク部14の最大径が嵌合す
る大きさに形成されたものであるが、前記シャンク部最
大径より多少大きくともよい。
【0018】上記のように構成された本実施の形態にお
ける工具ホルダ取付装置によれば、所定の間隙±製作誤
差に相当する厚さの弾性体17を、主軸10の先端面1
0aと対向する工具ホルダ13のフランジ部の端面15
aに皿ねじによって着脱自在に取付けた構成にしたか
ら、主軸先端面10aとこれに対向する工具ホルダ13
のフランジ部15の端面15aが接合する2面拘束専用
の工具ホルダを共用して使用する場合であっても、主軸
先端面10aとフランジ部の端面15a間に塵埃や切粉
が残存せず、互いに共用できるとともに工具ホルダ13
のフランジ部の端面15aを主軸先端面10aに確実に
密着させることができ、高精度の加工が可能である。
【0019】図3は、本発明における弾性体の他の実施
の形態を示す平面図である。この図3において、図2に
示す弾性体17と異なる点は、弾性体18のフランジ部
の端面15aと対向する面に突起18aを複数形成し、
フランジ部の端面に形成した凹部(図示せず)に圧入嵌
合させて、弾性体18とフランジ部の端面15aとを結
合するように構成したところにある。このような実施の
形態においても、上記図2に示す場合と同様な作用効果
が得られる。
【0020】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、工
作機械の主軸に設けたテーパ穴に、把持用フランジ部を
有する工具ホルダのテーパシャンク部を挿入し、前記主
軸に設けたプルスタッド引込機構により前記テーパシャ
ンク部を前記テーパ穴に密嵌合させて工具ホルダを主軸
に取り付け、かつ前記主軸の先端面とこれに対向する前
記把持用フランジ部の端面間に工業規格で定められた所
定の間隙が形成されるようにした工具ホルダの取付装置
において、前記主軸先端面と対向する前記把持用フラン
ジ部の端面に、少なくとも前記所定の間隙に相当する厚
さの柔軟な弾性体を取付け、前記所定の隙間への塵埃,
切粉などの侵入を防止するようにした構成としたので、
主軸先端面とこれに対向する工具ホルダのフランジ部の
端面が接合する2面拘束対応の主軸に対して、工具ホル
ダを共用する場合であっても、主軸先端面とフランジ部
の端面間に塵埃や切粉が残存せず、互いに使用できると
ともに工具ホルダのフランジ部の端面を主軸先端面に確
実に密着させることができ、高精度の加工が可能であ
る。
【0021】また、本発明によれば、特に柔軟な弾性体
をリング状に形成して、ホルダのシャンク部を貫通させ
てフランジ部の端面に着脱自在に取付けたので、工具ホ
ルダが高速回転しても、弾性体が飛び散ることがなく、
安全性が保たれるとともに、経年変化に伴う新品との取
り替え交換が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における工具ホルダ取付装
置の縦断面図である。
【図2】本発明の実施の形態における弾性体の一例を示
す平面図である。
【図3】本発明における弾性体の他の実施の形態を示す
平面図である。
【図4】従来おける工具ホルダのフランジ部の端面と主
軸先端面間に所定の許容間隙を有する1面拘束の工具ホ
ルダ取付装置の縦断面図である。
【図5】従来おける工具ホルダのフランジ部の端面と主
軸先端面との間に所定の許容間隙をなくした2面拘束の
工具ホルダ取付装置の縦断面図である。
【符号の説明】
10 主軸 10a 先端面 10b ドライブキー 11 テーパ穴 12 プルスタッド機構のドローバー 13 工具ホルダ 14 テーパシャンク部 15 フランジ部 15a フランジ部の端面 15b ドライブキー溝 17,18 弾性体 18a 突起
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年5月21日(1999.5.2
1)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 工具ホルダ取付装置
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、切削工具を把持し
た工具ホルダをマシニングセンタ等の工作機械の主軸に
取り付けるための工具ホルダ取付装置に関する。
【0002】
【従来の技術】マシニングセンタ等の工作機械に使用さ
れる工具ホルダ1は、図4に示すように、テーパシャン
ク部2と、このテーパシャンク部2の大径側端部に設け
た把持用のフランジ部3と、このフランジ部3の反テー
パシャンク側の端面からテーパシャンク部2と反対の方
向に該テーパシャンク部2の軸線と一致して延設された
筒状の工具取付部4を備えている。前記構成の工具ホル
ダ1を工作機械の主軸5に装着する場合は、工具ホルダ
1のテーパシャンク部2を主軸5に設けたテーパ穴6に
挿入し、このテーパシャンク部2の挿入端に主軸5内に
設けた図示しないプルスタット引込機構のドローバー7
を連結して後方へ引くことにより、テーパシャンク部2
をテーパ穴6に密嵌合させて、工具ホルダ1を主軸5に
取り付けるようにしている。
【0003】ところで、JIS規格またはISO規格に
よれば、主軸5のテーパ穴6に工具ホルダ1のテーパシ
ャンク部2を密嵌合させるために、主軸5の先端面5a
とこれに相対向するテーパシャンク部2のフランジ部3
の端面3a間に一定量の許容隙間D(2mm乃至3mm程度)
を設けることが規定されており、そして、この許容隙間
Dに対するテーパシャンク部2の製作誤差は±0.4mm
と規定されている。しかし、主軸5の先端面5aとテー
パシャンク部2のフランジ部3の端面3a間に許容隙間
Dを設けた場合、主軸5のテーパ穴6と工具ホルダ1の
テーパシャンク部2を密嵌合させることができるが、工
具ホルダ1のフランジ部の端面3aを主軸5の先端面5
aに密着させることができないため主軸5と工具ホルダ
1との拘束はテーパ穴6とテーパシャンク部2との1面
拘束となっている。その結果、切削負荷が工具ホルダ1
のテーパシャンク部2に集中して掛り、テーパ穴6とテ
ーパシャンク部2との密着面がフレッティングコロージ
ョン現象等により摩擦され易くなるほか、工具ホルダ1
と主軸5との結合剛性が低下して重切削ができなくなる
という問題が生じる。
【0004】そこで、従来においては、実開平6−15
947号に開示されているように、主軸先端の基準端面
と工具ホルダのフランジ部の端面との間に形成される許
隙間に相当する厚さの2分割された馬蹄形のスペーサ
を組み合せて、工具ホルダのフランジ部の端面にそれぞ
れねじにより取着するようにし、前記主軸と工具ホルダ
との拘束をテーパ部と端面部との2面拘束とした構造の
工具ホルダ取付装置が提案されている。
【0005】さらに、特許第2571325号の特許公
報に開示されている図5に示すように、主軸5の先端面
5aとこれに対向する工具ホルダ1の鍔部端面3aとの
前記一定量の許容隙間をなくすように、前記主軸先端面
5aとこれに対向する工具ホルダ1の鍔部端面3aとの
夫々を、工業規格で定められた許容の製作誤差の数値よ
り多く延出すると共に、両延出量の合計が前記許容の対
隙間の数値範囲内で互いに対向方向に夫々延出して夫
々の延出端面同志を接合するようにして、前記主軸と工
具ホルダとの拘束をテーパ部と端面部との2面拘束とす
るように主軸及び工具ホルダを改良した構造のものが提
案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、上記のような
従来の工具ホルダ取付装置では、スペーサ或いは両端面
部に形成した延出部によって、工具ホルダ1のシャンク
部2と主軸5のテーパ穴6、工具ホルダ1のフランジ部
3の端面3aと主軸5の先端面5aとの2面拘束により
密着できるため、工具ホルダ1と主軸5との結合剛性が
高くなり、重切削を容易に行うことができる。しかし、
その反面、許容隙間に相当する厚さのスペーサを各工具
ホルダ毎に用意しなければならなかったり、工業規格で
定められた製作誤差を解消するような主軸及び工具ホル
ダの構成では、製作公差が極小であるため製作コストが
嵩むことになる。確かに、工具ホルダ1にエンドミル,
正面フライスのような重切削加工刃物を使用する場合
は、前記2面拘束によって結合剛性を高くした方が精度
を向上できるが、すべての工具ホルダ1を前記のように
2面拘束する必要があるかといえば、そうではなく、例
えば、ドリル,タップなどの軽切削加工刃物を使用する
場合は、主軸5と工具ホルダ1のテーパ部6とテーパシ
ャンク部2だけの1面拘束の密着結合で十分であり、例
え主軸5の先端面5aと工具ホルダ1のフランジ部の端
面3a間に製作誤差あるいは一定量の許容隙間があって
も、十分に加工に耐え得るものである。
【0007】ところで、前記1面拘束の工具ホルダと前
記2面拘束の工具ホルダを主軸に対して共用する場合に
おいては、前記2面拘束の工具ホルダについては問題が
ないが、1面拘束のテーパ部のみの結合で、主軸先端面
とフランジ部の端面間に隙間がある場合における加工時
には、前記主軸先端面とフランジ部の端面との隙間に塵
埃や切削による切粉が侵入して前記主軸端面に付着す
る。
【0008】従って、この切削加工後に、前記主軸に2
面拘束の工具ホルダを装着する場合は、前記主軸先端面
に付着した塵埃や切粉のため主軸先端面と工具ホルダの
フランジ部の端面との密着が正常に行なわれず、刃物の
振れが増大したりして、高精度の加工が行なえないとい
う問題点があった。
【0009】本発明は上記のような従来の問題を解決し
たもので、本発明の目的は、工作機械の主軸に設けた先
端面と、これに対向する把持用フランジ部の端面間に
定量の隙間が形成されるようにした工具ホルダの取付装
置において、前記一定量の隙間への塵埃,切粉などの侵
入を防止するようにした工具ホルダ取付装置を提供する
ことにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに本発明の請求項1に記載の発明は、工作機械の主軸
に設けたテーパ穴に、把持用フランジ部を有する工具ホ
ルダのテーパシャンク部を挿入し、前記主軸に設けたプ
ルスタッド引込機構により前記テーパシャンク部を前記
テーパ穴に密嵌合させて工具ホルダを主軸に取り付け、
かつ前記主軸の先端面とこれに対向する前記把持用フラ
ンジ部の端面間に一定量の隙間が形成されるようにした
工具ホルダの取付装置において、前記主軸先端面と対向
する前記把持用フランジ部の端面に、少なくとも前記
定量の隙間に相当する厚さの柔軟な弾性体を取付け、前
一定量の隙間への塵埃,切粉などの侵入を防止するよ
うにしたことを特徴とする。
【0011】請求項2発明は、請求項1に記載の工具ホ
ルダ取付装置において、前記柔軟な弾性体は、リング状
に形成され、前記工具ホルダの前記把持用フランジ部の
端面に着脱自在に取付けたことを特徴とする。
【0012】本発明においては、少なくとも一定量の隙
±製作誤差に相当する厚さの柔軟な弾性体を主軸先端
面に対向する工具ホルダのフランジ部の端面に着脱自在
に取付けた構成にしたので、主軸先端面とこれに対向す
る工具ホルダのフランジ部の端面が接合する2面拘束専
用の工具ホルダと共用して使用する場合であっても、主
軸先端面とフランジ部の端面間に塵埃や切粉が残存せ
ず、互いに共用して使用できると共に、工具ホルダのフ
ランジ部の端面を主軸先端面に確実に密着させることが
でき、高精度加工が可能である。
【0013】また、本発明においては、特に柔軟な弾性
体をリング状に形成して、ホルダのシャンク部を貫通さ
せてフランジ部の端面に着脱可能に取付けたので、工具
ホルダを高速回転させた場合であっても、弾性体が飛び
散ることがなく、安全性が保たれるとともに、経年変化
に伴う新品との取り替えも容易である。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面に基
づいて説明する。図1は本発明の実施の形態における工
具ホルダ取付装置の縦断面図、図2は本発明の実施の形
態における弾性体の一例を示す平面図である。図1にお
いて、10はマシニングセンタ等の工作機械の主軸であ
り、この主軸10には工具装着用のテーパ穴11が形成
されており、さらに、主軸10内には後述する工具ホル
ダ13をテーパ穴11に密嵌合状態に装着するためのプ
ルスタッド機構のドローバー12が設けられている。
【0015】工具ホルダ13は、主軸10のテーパ穴1
1に密嵌合されるテーパシャンク部14と、このテーパ
シャンク部14の大径側端部に形成した把持用のフラン
ジ部15と、このフランジ部15の反テーパシャンク部
側の端面からテーパシャンク部14と反対の方向に軸線
を一致して延設された筒状の工具取付部16を備えてお
り、そして、フランジ部15には、主軸10の端面10
aに突設したドライブキー10bに係合するドライブキ
ー溝15bが形成されている。
【0016】前記主軸10の端面10aと対向する把持
用フランジ部15の端面15aには、少なくとも許容製
作誤差に相当する厚さ(例えば、3〜4mm程度)の柔軟
性材質で、リング状に形成された弾性体17が皿ねじな
どによって着脱自在に取り付けられている。なお、柔軟
性材質としては、耐磨耗性に優れたゴムやテフロン系の
柔軟製樹脂が使用される。
【0017】前記リング状弾性体17は、JIS規格ま
たはISO規格で規定された一定量の許容隙間(主軸1
0の端面10aとフランジ部15の端面15a間に形成
される隙間で、例えば、3mm程度である)に製作誤差
(例えば、±0.4mm )を加味した、許容隙間±製作誤
差に相当する厚さに設定されるものであり、実際には、
厚さがほぼ3〜4mmであり、外周径が前記工具ホルダ1
3のフランジ部15の外径とほぼ同じ大きさであり、且
つ内径は工具ホルダ13のシャンク部14の最大径が嵌
合する大きさに形成されたものであるが、前記シャンク
部最大径より多少大きくともよい。
【0018】上記のように構成された本実施の形態にお
ける工具ホルダ取付装置によれば、一定量の隙間±製作
誤差に相当する厚さの弾性体17を、主軸10の先端面
10aと対向する工具ホルダ13のフランジ部の端面1
5aに皿ねじによって着脱自在に取付けた構成にしたか
ら、主軸先端面10aとこれに対向する工具ホルダ13
のフランジ部15の端面15aが接合する2面拘束専用
の工具ホルダを共用して使用する場合であっても、主軸
先端面10aとフランジ部の端面15a間に塵埃や切粉
が残存せず、互いに共用できるとともに工具ホルダ13
のフランジ部の端面15aを主軸先端面10aに確実に
密着させることができ、高精度の加工が可能である。
【0019】図3は、本発明における弾性体の他の実施
の形態を示す平面図である。この図3において、図2に
示す弾性体17と異なる点は、弾性体18のフランジ部
の端面15aと対向する面に突起18aを複数形成し、
フランジ部の端面に形成した凹部(図示せず)に圧入嵌
合させて、弾性体18とフランジ部の端面15aとを結
合するように構成したところにある。このような実施の
形態においても、上記図2に示す場合と同様な作用効果
が得られる。
【0020】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、工
作機械の主軸に設けたテーパ穴に、把持用フランジ部を
有する工具ホルダのテーパシャンク部を挿入し、前記主
軸に設けたプルスタッド引込機構により前記テーパシャ
ンク部を前記テーパ穴に密嵌合させて工具ホルダを主軸
に取り付け、かつ前記主軸の先端面とこれに対向する前
記把持用フランジ部の端面間に一定量の隙間が形成され
るようにした工具ホルダの取付装置において、前記主軸
先端面と対向する前記把持用フランジ部の端面に、少な
くとも前記一定量の隙間に相当する厚さの柔軟な弾性体
を取付け、前記一定量の隙間への塵埃,切粉などの侵入
を防止するようにした構成としたので、主軸先端面とこ
れに対向する工具ホルダのフランジ部の端面が接合する
2面拘束対応の主軸に対して、工具ホルダを共用する場
合であっても、主軸先端面とフランジ部の端面間に塵埃
や切粉が残存せず、互いに使用できるとともに工具ホル
ダのフランジ部の端面を主軸先端面に確実に密着させる
ことができ、高精度の加工が可能である。
【0021】また、本発明によれば、特に柔軟な弾性体
をリング状に形成して、ホルダのシャンク部を貫通させ
てフランジ部の端面に着脱自在に取付けたので、工具ホ
ルダが高速回転しても、弾性体が飛び散ることがなく、
安全性が保たれるとともに、経年変化に伴う新品との取
り替え交換が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における工具ホルダ取付装
置の縦断面図である。
【図2】本発明の実施の形態における弾性体の一例を示
す平面図である。
【図3】本発明における弾性体の他の実施の形態を示す
平面図である。
【図4】従来おける工具ホルダのフランジ部の端面と主
軸先端面間に一定量の許容隙間を有する1面拘束の工具
ホルダ取付装置の縦断面図である。
【図5】従来おける工具ホルダのフランジ部の端面と主
軸先端面との間に一定量の許容隙間をなくした2面拘束
の工具ホルダ取付装置の縦断面図である。
【符号の説明】 10 主軸 10a 先端面 10b ドライブキー 11 テーパ穴 12 プルスタッド機構のドローバー 13 工具ホルダ 14 テーパシャンク部 15 フランジ部 15a フランジ部の端面 15b ドライブキー溝 17,18 弾性体 18a 突起
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 雄策 大阪府東大阪市元町1丁目6番53号 株式 会社日研工作所内 Fターム(参考) 3C016 AA02 FA03 3C032 AA06 AA18

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 工作機械の主軸に設けたテーパ穴に、把
    持用フランジ部を有する工具ホルダのテーパシャンク部
    を挿入し、前記主軸に設けたプルスタッド引込機構によ
    り前記テーパシャンク部を前記テーパ穴に密嵌合させて
    工具ホルダを主軸に取り付け、かつ前記主軸の先端面と
    これに対向する前記把持用フランジ部の端面間に工業規
    格で定められた所定の間隙が形成されるようにした工具
    ホルダの取付装置において、 前記主軸先端面と対向する前記把持用フランジ部の端面
    に、少なくとも前記所定の間隙に相当する厚さの柔軟な
    弾性体を取付け、前記所定の隙間への塵埃,切粉などの
    侵入を防止するようにしたことを特徴とする工具ホルダ
    取付装置。
  2. 【請求項2】 前記柔軟な弾性体は、リング状に形成さ
    れ、前記工具ホルダの前記把持用フランジ部の端面に着
    脱自在に取付けたことを特徴とする請求項1記載の工具
    ホルダ取付装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7393166B2 (en) * 2006-08-07 2008-07-01 Chin-Chiu Chen Chuck in a processing machine
CN103567794A (zh) * 2012-08-08 2014-02-12 株式会社日研工作所 工具保持件和工具保持件安装结构
JP2016179529A (ja) * 2015-03-24 2016-10-13 ユニパルス株式会社 圧力エア測定装置及びこれを用いた工作機械システム

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