JP2000325472A - 呼吸補助肺システム - Google Patents

呼吸補助肺システム

Info

Publication number
JP2000325472A
JP2000325472A JP11142001A JP14200199A JP2000325472A JP 2000325472 A JP2000325472 A JP 2000325472A JP 11142001 A JP11142001 A JP 11142001A JP 14200199 A JP14200199 A JP 14200199A JP 2000325472 A JP2000325472 A JP 2000325472A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
blood
artery
vein
oxygen
arterial
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11142001A
Other languages
English (en)
Inventor
Junichi Ninomiya
淳一 二宮
Toshio Sawairi
利夫 澤入
Fujio Kutsukake
不二夫 沓掛
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nikkiso Co Ltd
Original Assignee
Nikkiso Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nikkiso Co Ltd filed Critical Nikkiso Co Ltd
Priority to JP11142001A priority Critical patent/JP2000325472A/ja
Publication of JP2000325472A publication Critical patent/JP2000325472A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • External Artificial Organs (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 呼吸不全の患者に負荷が少なく、患者の肺機
能を補助する簡便な呼吸補助肺システムを提供する。 【解決手段】 本発明の呼吸補助肺システムは、動脈接
続部16により患者Aの動脈12に接続しこの動脈接続
部16を介して脱血チューブ18に動脈血を分流させ
る。この脱血チューブ18からの動脈血は人工肺24の
入口26から送り込まれ、内部で該動脈血中の二酸化炭
素と酸素とを交換し酸素分圧を上昇させる。人工肺24
の出口36からは、ガス交換済みの酸素分圧の高い血液
が送血チューブ38に送り出され、この血液は静脈接続
部42を介して静脈に送り込まれる。この体外循環路
は、始点が血圧の高い動脈12であり、終点が血圧の低
い静脈14であるため、始点と終点との間の圧力差によ
り、始点である動脈12から終点である静脈への流れが
形成される。そのため、従来のV−Aバイパスのように
血液ポンプなどを備える必要がない簡便な呼吸補助肺シ
ステムを提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸素を付加して二
酸化炭素を排出させる肺の機能を補助する呼吸補助肺シ
ステムに関する。
【0002】
【従来の技術】肺は、取り込んだ酸素を肺を流れる血液
に付加し、二酸化炭素を除去するというガス交換機能を
有する。慢性呼吸不全患者では、呼吸機能の低下、特に
肺の外呼吸機能の低下により、酸素−二酸化炭素の交換
機能が低下し、生体組織の酸素欠乏を招来し、低酸素症
をもたらすことがある。そのため、慢性呼吸不全患者で
は、患者の症状に応じて色々な治療方法が行なわれてい
る。こうした慢性呼吸不全患者の治療方法としては、例
えば、薬を用いた薬物治療、酸素を口から吸引する酸素
療法や人工呼吸器、さらに人工肺を用いて血液中に酸素
を付加するECMO(Extra-corporeal Membrane Oxyge
nation)などの治療方法がある。
【0003】このうち酸素療法や人工呼吸は、マスク、
鼻孔カニューラ、鼻腔カテーテルなどを取り付けて、外
部の酸素ボンベなどから強制的に酸素を肺に送り込み、
不足する酸素の取込みを補っている。また、患者の状態
に応じて、気管を切開し、そこにカテーテルなどを取り
付け、肺に酸素を供給することが行なわれている。
【0004】また、呼吸筋などの低下などにより心肺機
能が低下した重症呼吸不全の患者に対しては、人工ベン
チレータによる機械換気、終末呼気陽圧法やその他の胸
部理学療法が行なわれ、ガス交換能を改善することが行
われている。また、これらによっても低酸素血症が改善
されない場合には、膜型人工肺を用いたECMOが行な
われる。
【0005】このECMOとしては、例えば、V(静
脈)−A(動脈)バイパスという方法があり、頚静脈に
脱血カニューレを挿入し、血液ポンプで吸引し人工肺で
血液中に酸素を付加して、頚動脈に戻すものである。こ
の他にV−Vバイパスなどがあり、こうした方法につい
ては、「人工心肺(理論と実際)」(名古屋大学出版
会、阿部稔雄著、1991年)に記載されている。ま
た、ECMOに使用し得る人工肺が種々開発され、それ
らは特開平7−213601号公報、特開平7−881
77号公報、特開平8−19601号公報、特開平9−
234245号公報などに記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記酸素療法
では、吸引させた酸素により肺に負担をかけることがあ
る。また、酸素療法において酸素を吸引させる場合に
は、顔にマスクや鼻孔カニューラ等を取り付ける必要が
あり、こうした装置を取り付けたまま生活することは煩
わしく、日常生活を送る上で大変不便である。
【0007】一方、ECMOにおけるV−Aバイパスに
よれば、肺への負担やマスク等を顔に取り付ける必要は
なくなるが、静脈から動脈に血液を送り戻すためにポン
プを備える必要があり、装置が大型化することになる。
そのため、このECMOによる治療は、通常、患者をベ
ットなどに横にさせた状態で装置を装着して行われ、軽
度、中程度の症状の呼吸不全の患者には、負荷がかかり
すぎるという問題があった。
【0008】また、このECMOをA(動脈)−V(静
脈)バイパスとして、ポンプなしで作動させることも考
えられてはいるが、実現されていない。
【0009】そこで、本発明は上記課題に鑑みてなされ
たものであり、その目的は、軽度、中程度の症状の呼吸
不全の患者に負荷が少ない、携帯可能な治療システムを
提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の呼吸補助肺システムは、動脈から動脈血の
一部を分流し、血液中の酸素分圧を上昇させて静脈に戻
すことにより患者の肺機能を補助する携帯型の呼吸補助
肺システムであって、先端に前記動脈に接続させる動脈
接続部を備え、この動脈接続部を介して動脈血を分流さ
せる脱血チューブと、前記脱血チューブからの動脈血を
入口に送り込み、内部で該動脈血中の二酸化炭素と酸素
とを交換し、出口から酸素分圧の高い血液を排出させる
人工肺と、前記人工肺に備えられ、前記人工肺に酸素を
供給する携帯可能な酸素供給源と、後端が前記人工肺の
出口に取付けられ、先端に前記静脈に接続される静脈接
続部を備えて前記人工肺から排出される酸素分圧の高い
血液を動脈と静脈との圧力差により静脈に戻す送血チュ
ーブと、を有することを特徴とする。
【0011】上記発明によれば、脱血チューブに分流さ
れた動脈血は、人工肺で二酸化炭素が酸素に交換され、
ガス交換済みの血液が動脈と静脈との圧力差により送血
チューブから静脈に戻される。すなわち、本発明の呼吸
補助肺システムでは、従来のECMOとは異なり患者の
肺を補充するものであり、体外の肺を小型化することが
できるため動脈と静脈との圧力差により体外循環に必要
な圧力をまかなうことが可能となる。従って、従来のよ
うな大きなポンプなどを備えることなく、小型の人工肺
を介する体外循環が行われ、自己の肺のみでは不足して
いるガス交換機能が補足されることになる。
【0012】また、ガス交換に必要となる酸素供給源を
携帯可能なものとすることにより、このシステム全体と
して携帯可能となる。そのため、例えば、患者の外出時
などに臨時にこの呼吸補助肺システムを取り付けて外出
することも可能となり、患者の外出時における肺機能の
負担を軽減させることが可能となる。従って、この呼吸
補助肺システムによれば、軽度または中度等の症状を有
する呼吸不全の患者の生活の質(QOL)の向上を図る
ことが可能となる。
【0013】本発明の呼吸補助肺システムは、動脈から
脱血チューブに動脈を分流させ、人工肺を介して送血チ
ューブにより静脈に戻す体外循環量が毎分100〜10
00mlであることを特徴とする。
【0014】上記発明によれば、上記体外循環量の範囲
内で患者の状態に応じてその量を調節することにより、
軽度及び中程度の呼吸不全の患者のガス交換能を補足す
ることができ、また、上記のような一定の範囲に体外循
環量を制限することによりシステムの小型化を図り携帯
性を向上させることができる。
【0015】本発明は、前記体外循環量が、前記動脈接
続部若しくは静脈接続部の血液透過量、脱血チューブ若
しくは送血チューブの径、または人工肺の容量の少なく
とも一つを調節することによって調節されることを特徴
とする。
【0016】上記発明によれば、システムを構成するチ
ューブの径等を規定することにより体外循環量が調節さ
れるため、外部に調節ポンプなどを取り付けることなく
体外循環量の調節が可能となり、システムの携帯性を確
保することできる。
【0017】また、本発明の呼吸補助肺システムがディ
スポーザブルであることを特徴とする。
【0018】上記発明によれば、必要なときに使用し、
使用後は廃棄させることとすることにより、簡易に本シ
ステムを利用することが可能となる。
【0019】本発明によれば、前記酸素供給源から前記
人工肺への酸素供給量が、毎分0.1〜6リットルであ
ることを特徴とする。
【0020】この範囲の酸素供給量で軽度及び中程度の
呼吸不全の患者の不足するガス交換を補足するができる
とともに、この一定範囲に酸素供給量を限定することに
より酸素供給源を小型化し携帯性を維持、向上させるこ
とができる。
【0021】本発明は、さらに前記動脈に取り付けられ
前記動脈接続部と接続して動脈血を送り出す動脈ポート
と、前記静脈に取り付けられ前記静脈接続部と接続して
送血チューブからの血液を静脈に送り込む静脈ポート
と、が備えられていることを特徴とする。
【0022】上記発明によれば、静脈ポート及び動脈ポ
ートを備えて、これらを患者に取り付けておき、この静
脈ポート及び動脈ポートにそれぞれ静脈接続部および動
脈接続部を接続させることにより、例えば針などで血管
に取り付け等することなく、システム内に動脈血を送り
込み、また、ガス交換後の血液を静脈に戻すことが可能
となる。特に、この静脈ポート、動脈ポートにおいて、
それぞれ静脈接続部、動脈接続部を接続した際にポート
が開放されるように制御することにより、医師などの手
を借りずに家庭内でも本システムの取付け、取外しを簡
易に行うことが可能となる。
【0023】本発明のシステムにおいて、前記動脈ポー
トが鎖骨下動脈または前腕動脈に取り付けられ、前記静
脈ポートが鎖骨下静脈または前腕静脈に取り付けられる
ことを特徴とする。
【0024】本システムは、患者の肺のみでは不足する
ガス交換能を補助(補足)するためのものであり、従来
のように患者のガス交換能を全面的またはこれに近い程
度において担う装置のように取り付ける動脈、静脈を大
動脈、大静脈などに限定する必要はなく、むしろ、携帯
性を向上させ、患者の生活の質の向上が図れる部位を選
択することが好適である。こうした静脈、動脈として
は、上記鎖骨下動脈または前腕動脈など、鎖骨下静脈ま
たは前腕静脈などが挙げられる。従って、こうした静
脈、動脈に静脈ポート、動脈ポートを取り付けることに
より携帯性を向上させることが可能となる。
【0025】本発明のシステムにおいて、前記送血チュ
ーブに、システム内に入り込んだ気泡を除去する気泡除
去部が設けられていることを特徴とする。
【0026】このように気泡除去部を備えることによ
り、患者が自ら本システムを取り付ける際等に、気泡の
除去を容易に行うことが可能となる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態を
図面を用いて説明する。図1には、本実施形態の呼吸補
助肺システムを患者に取り付けた場合の全体構成を示し
ている。
【0028】図1において、呼吸補助肺システム10
は、患者の動脈と静脈との間をバイパスするように取付
けられ、動脈血中のガスを交換して動脈と静脈の血圧差
を利用して静脈に戻すものである。
【0029】ここで、動脈血を分流させる「動脈」とし
ては、鎖骨下動脈、前腕動脈、橈骨動脈、大腿動脈など
が含まれ、これらの動脈から適切な部位を選択する。ま
た、ガス交換後に血液を戻す静脈としては、鎖骨下静
脈、前腕静脈、橈骨静脈、大腿動脈などが挙げられ、こ
れらのうち適切な部位を選択する。
【0030】このように本システムにおいては、特に、
従来のような患者のガス交換能を全面的またはこれに近
い程度において担う装置のように、装置を取り付ける動
脈、静脈を大動脈、大静脈などに限定する必要はなく、
本システムの携帯性の向上、患者の生活の質(QOL)
の向上が図れる部位を任意に選択することができる。例
えば、こうした静脈、動脈としては、上記鎖骨下動脈ま
たは前腕動脈など、鎖骨下静脈または前腕静脈などが挙
げられ、図1においては、本システムを取り付ける血管
として、それぞれ鎖骨下動脈12(以下、単に「動脈」
という)、鎖骨下静脈14(以下、単に「静脈」とい
う)を選択した場合の例を示している。
【0031】前記動脈12から動脈血の一部を分流させ
るために、先端に動脈12との接続部16を備えた脱血
チューブ18が設けられている。この接続部16の構成
としては、動脈血を分流させることができればよいた
め、例えば、注射針などであってもよいが、図1に示す
ように動脈12に埋設させる動脈ポート20と脱血用カ
ニューレ22とから構成してもよい。このように 動脈
ポート20を動脈に固定しておくことにより、繰返しガ
ス交換を行う場合には、その都度、血管に損傷を与える
ことを回避することができる。なお、この動脈ポート2
0は、制御弁などを備えて、脱血用カニューレ22を接
続したときにのみポートが開放されるように構成されて
いることが好ましい。
【0032】接続部16に取付けられた脱血チューブ1
8は、従来から人工肺のバイパス用に用いられているチ
ューブなどを用いることができる。また、脱血チューブ
18の内壁には、分流させた血液の凝固を防止するため
に抗血液凝固剤などを塗布しておくことができる。
【0033】また、脱血チューブ18には、前記接続部
16の近傍に脱血チューブ18内に分流された動脈血の
流れを制御するクランプ23が備えられている。このク
ランプ23の構成は特に限定はなく、鉗子などでもよい
が、携帯性を向上させるため小型のものを用いることが
好ましい。携帯性を考慮したクランプ23としては、例
えば、図2に示すような構成を採用することができる。
【0034】図2に示すクランプ23は、備えられた2
つの取付穴23aにチューブ18を通すことによりチュ
ーブ18に取り付けられている。このクランプ23に
は、内側面にチューブ18を挟み込みチューブ18内の
血液の流通を抑制するための2つの突起部23bが対向
して形成されている。また、クランプ23には、前記突
起部23bによるチューブの挟み込みを固定するために
一端側に顎部23cが備えられ、この顎部23cに他方
の端部23dを係止させることによりチューブ18の挟
込みが固定される。また、クランプ23には、一端側に
開放用の頭部23eが備えられ、この頭部23eを押し
広げることにより、他方の端部23dの係止が解除さ
れ、クランプ23が開放される。
【0035】また、上記脱血チューブ18の後端には、
人工肺24の入口26が接続され、分流させた動脈血を
人工肺24に送り込む。この人工肺24には、図1には
示していないが、内部に酸素−二酸化炭素とを交換する
ガス交換手段、例えば、ガス交換フィルタが備えられ、
このガス交換手段により、人工肺24に送り込まれた血
液中に酸素を付加するとともに、血液中の二酸化炭素を
低減させる。
【0036】上記ガス交換手段の構成は、特に限定はな
いが、例えば、中空糸フィルタや、シート状のフィルタ
を積層して構成したものを用いることができる。このう
ち、中空糸フィルタの場合には、空洞部分に酸素を供給
し、その外部に血液を流すことができる。
【0037】上記人工肺24には、ガス交換に必要とな
る酸素を取込むための酸素供給ポート27が設けられ、
この酸素供給ポート27は、後述する酸素ボンベ28と
酸素供給用チューブ30を介して接続されている。この
酸素供給用チューブ30には、供給用チューブ30を通
過する酸素量を調節するための流量調節絞り32が備え
られている。そのため、人工肺24の酸素供給ポート2
7には、流量調節絞り32による調節下で適切な速度及
び量の酸素が酸素ボンベ28から酸素供給チューブ30
を介して供給される。
【0038】上記人工肺24に接続される酸素ボンベ2
8は、患者のガス交換能力を補足できる範囲内でかつ携
帯可能な毎分0.1〜6リットル程度の酸素供給能力を
有する小型のものが用いられる。酸素ボンベの小型化を
確保するために、ボンベ内の酸素としては、例えば圧縮
酸素、液体酸素などの酸素供給可能な流体を用いること
ができる。また、必要であれば、酸素ボンベ28には、
ボンベ内の酸素残量、酸素ボンベからの酸素供給量をモ
ニタする計測器などを備えてもよい。
【0039】また、上記人工肺24には、内部に設置さ
れたガス交換フィルタを挟んで酸素供給ポート27の反
対側に排出ポート34が設けられ、この排出ポート34
からは、ガス交換時に放散された二酸化炭素及びガス交
換時に血液に付加されなかった余剰の酸素が排出され
る。
【0040】上記人工肺24には、ガス交換が行なわれ
た酸素分圧の高い血液を送り出すために出口36が備え
られている。この出口36には、静脈14に血液を戻す
ための送血チューブ38が接続されている。
【0041】この送血チューブ38は、血液を分流させ
た動脈12と血液を戻す静脈14との血流の圧力差を利
用して、ガス交換後の血液を静脈14へ戻している。す
なわち、本実施形態の呼吸補助肺システム10では、従
来のV−AバイパスやA−Aバイパスのように、血液を
動脈等の圧力の高い血管等に戻すための大きなポンプ等
は必要なく、圧力の高い動脈12(例えば、80〜12
0mmHg)と圧力の低い静脈14(例えば、4〜15mmH
g)との圧力差により、送血チューブ38から血液を体
内に送り出している。そのため、送血の際に血液ポンプ
は必要はない。仮に患者の血圧等が低いなどの理由から
必要な場合には小さな血液ポンプを備えて補助すれば、
ガス交換後の血液を体内に戻すことが可能となる。
【0042】また、送血チューブ38には、呼吸補助肺
システム10の血液流路の空気を取り除くための空気除
去部40が設けられている。この空気除去部40の構成
は、流路から空気が取り除ける構成であれば、いかなる
ものでもよく、例えば三方コック、柔軟な接続管なども
よい。ここでは、空気除去部40として、柔軟な材質、
例えば、ゴムやシリコンなどからなる接続管40aを用
いている。この接続管40aは、送血チューブ38を血
液の流れの方向に向かって先端側38bと後端側38a
とに分断し、これらを接続するように設置されている。
この接続管40aによる流路からの空気の除去について
は、後に詳述する。
【0043】また、この送血チューブ38には、チュー
ブ内の空気を取除く等の際にチューブ内の血液の流れを
止めるために、クランプ39が備えられている。このク
ランプ39は、上記脱血チューブ18に備えられたクラ
ンプ23と同様に特にその構成には限定はないが、図2
に示すような構成とすることができる。
【0044】送血チューブ38の先端には、最終的にガ
ス交換後の血液を静脈14へ戻すために静脈14との静
脈接続部42が設けられている。この静脈接続部42
は、単に針などで構成してもよく、また、図1に示すよ
うに動脈12の接続部16のように送血用カニューレ4
4と静脈ポート46とから構成してもよい。ここでは、
送血チューブ38の先端に送血用カニューレ44を取り
付け、静脈に静脈ポート46を埋設することとしてい
る。このように接続部42を送血用カニューレ44とこ
れを挿入させる静脈ポート46とから構成することによ
り、繰返し使用する際に静脈14への負担を軽減するこ
とができる。なお、この静脈ポート46は、上記動脈ポ
ート20と同様に、内部に制御弁などを備えて、送血用
カニューレ44を接続したときにのみポートが開放され
るように構成されることが好ましい。
【0045】上記呼吸補助肺システム10において、血
液と接触する部分、例えば、接続部16,42、脱血チ
ューブ18、送血チューブ38、人工肺24等には、全
て抗血液凝固剤を塗布して、体外循環中に血液が凝固す
ることを防止することがよい。この抗血液凝固剤として
は、例えば、ヘパリン、その他提供されている抗血液凝
固剤などを用いることができる。また、洗浄、滅菌等の
処理を容易にし、衛生面を確保するために、脱血、送血
ポートを除き本システムをディズポーザブルとすること
ができる。
【0046】また、上記呼吸補助肺システム10の各部
分のサイズ等は、体外循環量(血液流量)が100〜1
000ml/min、好適には、200〜400ml/minの範
囲となるように構成することが好ましい。この体外循環
量の調整は、他の別個の装置を用いることなく本システ
ムの各構成を調節することにより行うことができる。特
に、脱血チューブ18、送血チューブ38の径は、本シ
ステムの容量を規定する主要な要素となるため、これら
チューブ18、38の内径を調節することにより、体外
循環量を調節することができる。また、人工肺のフィル
タ構成により、その抵抗を調節して体外循環量を調節し
てもよい。さらに、体外循環量は、他の構成、例えば、
カニューラの内径などにより調節してもよい。そして、
この範囲内で患者の状態に応じて、適切な体外循環量の
ものを選択して使用する。患者の状態は、患者の血液中
の酸素分圧や、患者の活動状況(通常の日常活動、外出
など)などの種々の要素を総合的に考慮して判断され
る。
【0047】次に、上記の通り構成された呼吸補助肺シ
ステム10の作用を示す。
【0048】先ず、患者の状態に応じた体外循環量の呼
吸補助肺システム10を選択し、患者Aに使用する前に
両接続部16,42、脱血、送血チューブ18,38及
び人工肺24を接続し、この状態で抗血液凝固剤を注入
して血液が通過する面を抗血液凝固剤でコーティングす
る。なお、このように血液が接触する面に既に抗血液凝
固剤がコーティングされたディスポーザブルシステムを
用いるような場合には、この操作は省略することが可能
である。
【0049】血液に抗血液凝固剤を注入した後、患者A
に呼吸補助肺システム10を取付ける作業を開始する。
呼吸補助肺システム10の取付けは、先ず、送血用カニ
ューレ44を患者Aの静脈に埋設されている静脈ポート
46に取り付ける。この取付けにより、送血用カニュー
レ44を介して送血チューブ38の先端側38b、そし
て空気除去部40に静脈血が流れ込む。この静脈血の流
込みにより、送血用カニューレ44から接続管40aま
での空気が血液により押し出されたところで、クランプ
39を閉鎖して送血チューブ38への血液の流入を止め
る。
【0050】一方、動脈12に埋設された動脈ポート2
0に脱血用カニューレ22を取り付ける。この取付後、
前記接続管40aを例えば、送血チューブ38の先端側
38bから取り外すことにより、動脈血は脱血用カニュ
ーレ22を介して脱血チューブ18内に分流し、人工肺
24を介して送血チューブの先端側38bに動脈血が流
れ込む。この動脈血が、さらに接続管40aに到達し、
システム内の空気が除去されたところで、脱血チューブ
をクランプ23で止める。この状態で接続管40aによ
り送血チューブ38の後端側38aと先端側38bとを
接続して、システム内の空気を排除した状態でクランプ
23,39を開放する。このクランプ23,39の開放
により、圧力の高い動脈(例えば、80〜120mmHg)
から圧力の低い静脈(例えば、4〜15mmHg)へと体外
循環路が形成される。この体外循環路が形成された状態
で、ガス交換を開始する。
【0051】ガス交換は、人工肺24に酸素ボンベ28
から酸素を供給することにより行われる。この酸素ボン
ベからの酸素の供給量は、酸素供給量調節絞り32によ
り、例えば、0.1〜6L/min、好適には、0.5〜
2L/minの速度とされ、人工肺24に供給される。人
工肺24の内部では、脱血チューブから流れ込む動脈血
に酸素ボンベ28からの酸素が付加され、その代わりに
動脈血から二酸化炭素が放出され、ガス交換が行われ
る。ここで放出された二酸化炭素及び血液中に付加され
なかった酸素は、排出ポート34から排出される。
【0052】人工肺24においてガス交換が行なわれた
酸素分圧の高い血液は、人工肺24の出口36から送血
チューブ38に送り出され、静脈に戻される。このよう
に酸素分圧の高い血液が静脈に流れ込むことにより、患
者自身の肺における低いガス交換能が予め補足される。
すなわち、通常、静脈血は肺を通過することによりガス
交換が行なわれ動脈に送り込まれるが、本システムで
は、肺に送り込まれる前の静脈血に外部から酸素分圧の
高い血液を送り込むことにより、患者の肺におけるガス
交換能の低下が予め補足される。
【0053】本システムは呼吸補助が必要となったとき
に取付られ、また不要となったときに取り外される。こ
のような度重なる取付、取外しにより、若干であるが血
液が減少することとなる。このような血液の減少を防止
するために本システムの取外しにおいては、先ず脱血カ
ニューレ22を脱血用ポートから取り外し、脱血カニュ
ーレ22を静脈ポートの取付位置、図1では鎖骨よりも
高い位置に保持して、脱血チューブ18内の血液を人工
肺24を介して送血チューブ38に送り込む。そして、
送血チューブ38内の血液がほぼ静脈内に送り込まれた
ところで送血カニューレ44を送血用ポートから取り外
す。この取外し操作により可能な限り、体外循環路から
の血液の回収が可能となる。
【0054】一般に、正常人では、動脈血酸素飽和度S
aO2は96〜97%以上であるが、心肺機能が低下し
た患者では、例えば、SaO2が90%以下に低下する
ことがある。このような患者に上記呼吸補助肺システム
10を取り付け、患者の肺機能を補助することにより正
常人のSaO2程度に改善することが可能となる。特
に、本実施の形態の呼吸補助肺システム10では、従来
の大型化する血液ポンプを備える必要がなく、動脈と静
脈との圧力差により血液を循環させることとしているた
め、小型化が図れ、携帯することが可能となる。そのた
め、本システムは、病床において使用する場合にも有用
であるが、特に、携帯可能であるという点で通常の日常
活動時において使用する場合に有効となる。
【0055】
【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、ガス交換
を行わせる血液を従来のような大型の血液ポンプ等を利
用せずに、動脈と静脈の血圧差を利用して体外循環させ
ることとしているため、呼吸補助肺システムの小型化が
図れ、携帯可能となる。そのため、人工肺を使用してい
る呼吸不全患者の負荷を軽減することができ、患者の生
活の質の向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態の呼吸補助肺システムを患者に取
り付けた状態を示す図である。
【図2】 本呼吸補助肺システムに用いられるクランプ
の一実施形態の構成図である。
【符号の説明】
10 呼吸補助肺システム、12 動脈、14 静脈、
16 動脈接続部、18 脱血チューブ、24 人工
肺、26 入口、36 出口、38 送血チューブ、4
2 静脈接続部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C077 AA03 BB06 DD20 EE01 EE05 HH03 HH07 HH15 JJ03 JJ06 JJ16 KK23 LL05 NN10

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 動脈から動脈血の一部を分流し、血液中
    の酸素分圧を上昇させて静脈に戻すことにより患者の肺
    機能を補助する携帯型の呼吸補助肺システムであって、 先端に前記動脈に接続させる動脈接続部を備え、この動
    脈接続部を介して動脈血を分流させる脱血チューブと、 前記脱血チューブからの動脈血を入口に送り込み、内部
    で該動脈血中の二酸化炭素と酸素とを交換し、出口から
    酸素分圧の高い血液を排出させる人工肺と、 前記人工肺に備えられ、前記人工肺に酸素を供給する携
    帯可能な酸素供給源と、 後端が前記人工肺の出口に取付けられ、先端に前記静脈
    に接続される静脈接続部を備えて前記人工肺から排出さ
    れる酸素分圧の高い血液を動脈と静脈との圧力差により
    静脈に戻す送血チューブと、を有することを特徴とする
    呼吸補助肺システム。
  2. 【請求項2】 動脈から脱血チューブに動脈を分流さ
    せ、人工肺を介して送血チューブにより静脈に戻す体外
    循環量が毎分100〜1000mlであることを特徴と
    する請求項1に記載の呼吸補助肺システム。
  3. 【請求項3】 前記体外循環量が、前記動脈接続部若し
    くは静脈接続部の血液透過量、脱血チューブ若しくは送
    血チューブの径、または人工肺の容量の少なくとも一つ
    を調節することによって調節されることを特徴とする請
    求項2に記載の呼吸補助肺システム。
  4. 【請求項4】 前記呼吸補助肺システムがディスポーザ
    ブルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに
    記載の呼吸補助肺システム。
  5. 【請求項5】 前記酸素供給源から前記人工肺への酸素
    供給量が、毎分0.1〜6リットルであることを特徴と
    する請求項1〜4のいずれかに記載の呼吸補助肺システ
    ム。
  6. 【請求項6】 前記動脈に取り付けられ、前記動脈接続
    部と接続して動脈血を送り出す動脈ポートと、 前記静脈に取り付けられ、前記静脈接続部と接続して送
    血チューブからの血液を静脈に送り込む静脈ポートと、
    が備えられた請求項1〜5のいずれかに記載の呼吸補助
    肺システム。
  7. 【請求項7】 前記動脈ポートが鎖骨下動脈または前腕
    動脈に取り付けられ、 前記静脈ポートが鎖骨下静脈または前腕静脈に取り付け
    られることを特徴とする請求項6に記載の呼吸補助肺シ
    ステム。
  8. 【請求項8】 前記送血チューブに、システム内に入り
    込んだ気泡を除去する気泡除去部が設けられていること
    を特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の呼吸補助
    肺システム。
JP11142001A 1999-05-21 1999-05-21 呼吸補助肺システム Pending JP2000325472A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11142001A JP2000325472A (ja) 1999-05-21 1999-05-21 呼吸補助肺システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11142001A JP2000325472A (ja) 1999-05-21 1999-05-21 呼吸補助肺システム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000325472A true JP2000325472A (ja) 2000-11-28

Family

ID=15305083

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11142001A Pending JP2000325472A (ja) 1999-05-21 1999-05-21 呼吸補助肺システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000325472A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006043045A (ja) * 2004-08-03 2006-02-16 Touden Yasuyuki 送血管およびこれを用いた血液供給装置
JP2017538485A (ja) * 2014-11-19 2017-12-28 ユニバーシティ・オブ・メリーランド・ボルティモアUniversity Of Maryland, Baltimore 人工肺システム及びその使用方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006043045A (ja) * 2004-08-03 2006-02-16 Touden Yasuyuki 送血管およびこれを用いた血液供給装置
JP2017538485A (ja) * 2014-11-19 2017-12-28 ユニバーシティ・オブ・メリーランド・ボルティモアUniversity Of Maryland, Baltimore 人工肺システム及びその使用方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8137299B2 (en) Wearable ultrafiltration device
US10245367B2 (en) Ambulatory lung assist device with implanted blood pump and oxygenator
US6475186B1 (en) Cardiopulmonary bypass system
JPS62500006A (ja) 完全携帯式、半自動機械式心肺機能代行装置およびその方法
US20040193091A1 (en) Methods of using condensed perfusion circuit for cardiopulmonary bypass and cardioplegia
US20230364316A1 (en) Wearable modular extracorporeal life support device for mobile treatment of single and multiorgan failure
US20060030809A1 (en) Apparatus and method for multiple organ assist
CN108525109A (zh) 一种经皮动脉植入的导管装置
JP2004305738A (ja) 血液処理装置
CN211024414U (zh) 一种ecmo密闭式预充装置
JP2000325472A (ja) 呼吸補助肺システム
CN110141704B (zh) 一种ecmo密闭式预充装置
CN213131173U (zh) 一种肾脏内科用血液透析装置
JP7367425B2 (ja) 血液浄化装置
RU2812169C2 (ru) Носимое модульное устройство экстракорпорального жизнеобеспечения для мобильного лечения единичной или полиорганной недостаточности
Sueda et al. Development of an intravascular pumping oxygenator using a new silicone membrane
JP2024036776A (ja) 血液浄化システム
JPH05137781A (ja) 血液浄化装置
WO2005032621A1 (en) Hameoperfusion apparatus for use during cardiac and/or vascular operative procedures
JPH0756027Y2 (ja) 血液濃縮器を内蔵した膜型人工肺
Vertrees et al. A technique of hemoconcentration
JPH02286170A (ja) 体外循環装置
JP2004121789A (ja) 陰圧吸引補助脱血用ベンチュリ式吸引装置及び陰圧吸引補助脱血システム
JPH05137782A (ja) 血液浄化装置
JPH05176992A (ja) 血液浄化装置