JP2000325091A - 相同組換え用ジーンターゲティングDNAの製造方法及びcDNAライブラリーのスクリーニング方法 - Google Patents

相同組換え用ジーンターゲティングDNAの製造方法及びcDNAライブラリーのスクリーニング方法

Info

Publication number
JP2000325091A
JP2000325091A JP2000081795A JP2000081795A JP2000325091A JP 2000325091 A JP2000325091 A JP 2000325091A JP 2000081795 A JP2000081795 A JP 2000081795A JP 2000081795 A JP2000081795 A JP 2000081795A JP 2000325091 A JP2000325091 A JP 2000325091A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dna
sequence
primer
restriction enzyme
dna sequence
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000081795A
Other languages
English (en)
Inventor
Kiyotaka Akiyama
清隆 秋山
Taira Sasai
平 笹井
Hirotaka Watabe
博貴 渡部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Tobacco Inc
Original Assignee
Japan Tobacco Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Tobacco Inc filed Critical Japan Tobacco Inc
Priority to JP2000081795A priority Critical patent/JP2000325091A/ja
Publication of JP2000325091A publication Critical patent/JP2000325091A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 医薬品の研究開発に有用なノックアウト動物
やノックイン動物の製造に必須である相同組換え用ター
ゲティングDNA(ベクター)の製造に要する労力、期間
及びコストを飛躍的に低減することができ、またESTの
ような短いDNA配列のジーンターゲティングにも適用可
能なの新規な製造方法、並びに該ターゲティングDNAに
よりジーンターゲティングされた細胞、細菌またはウイ
ルスを正確に選別することができる新規な方法を提供す
る。 【解決手段】 標的DNA配列を含むゲノムDNA断片を分子
内連結(自己環状化)させた環状ゲノムDNAをを鋳型と
し、該標的DNA配列を基に設計した一対のプライマーDNA
を用いた逆PCR反応(inverse PCR;inside-out PCR)を
利用することにより、従来ターゲティングDNAの製造に
必要であったプラークハイブリダイゼーションや制限酵
素地図の作成を必要とせず、製造期間を約1/10以下に短
縮可能な新規製造方法を見出した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、相同組換えによる
ゲノムDNAの修飾に用いられるターゲティングDNA
(ベクター)の製造方法、組換え細胞の製造方法、組換
え非ヒト哺乳動物の製造方法、該ターゲティングDNA
(ベクター)の製造に用いられるゲノムDNAライブラリ
ー、並びに該ターゲティングDNAに関する。さらに本発
明は、cDNAライブラリーから所望のcDNAクローンをス
クリーニングする方法に関する。
【0002】
【従来の技術】生物に生来備わっていない生物学的性状
を付与したり、生物が生来備えている生物学的性状の発
現を抑制したり、さらには該生物のある遺伝子が担う機
能を解析するための方法として、該生物の内在性ゲノム
DNAの所望の部位(標的DNA配列)を人為的に修飾
する遺伝子ターゲティング(ジーンターゲティング)が
注目されている。この方法は、生物の生体において自然
に起こり得る遺伝子相同組換えを、該生物の染色体上に
存在する内在性ゲノムDNAと外来性ターゲティングD
NA(ターゲティングベクター)との間で人為的に起こ
させることにより、該内在性ゲノムDNA中の標的DN
A配列中に該外来性ターゲティングDNA中に含まれる
所望の外来性遺伝子を組込むことを基本原理とするもの
である。ターゲティングDNAの構造を適切に設計する
ことにより、該標的DNA配列中の所望の部位に外来性
遺伝子の挿入のみを行うこともできるし、また該標的D
NA配列と外来性遺伝子との置換により該標的DNA配
列を欠失させると同時に該外来性遺伝子を挿入すること
ができる。
【0003】この方法により、内在性ゲノムDNAの一
部が修飾(欠失、挿入または置換)を有し、該修飾の結
果、(1)生来備わっていない生物学的性状を発現した
り、あるいは逆に(2)生来備わっている生物学的性状
を発現しないような組換え細胞や組換え生物(組換え非
ヒト哺乳動物、組換え細菌、組換えウイルスなど)を作
製することができる。前者(1)は、例えば、生物のあ
る生理活性蛋白をコードする内在性遺伝子の近傍に該遺
伝子の発現を増大させることができる調節遺伝子配列を
挿入することにより該生理活性蛋白の分泌を増大させる
遺伝子活性化(ジーンアクチベーション)と称される技
術の実施において用いることができる。このジーンアク
チベーションを施された組換え細胞は、養子免疫療法に
より種々疾患治療を治療するための細胞医薬として有望
視されている(国際出願公開公報WO91/06667など)。
【0004】一方、現在のところ、相同組換えによるジ
ーンターゲティングは、後者(2)の目的、即ち、標的
としてのある機能を有する蛋白あるいは機能が不明な蛋
白をコードする内在性遺伝子の一部が相同組換えにより
ターゲティングDNA由来の外来性マーカー遺伝子(例
えば、ネオマイシン耐性遺伝子)で置換されることによ
り結果的に該マーカー遺伝子が該内在性遺伝子配列中に
挿入され、該遺伝子のmRNAへの転写が阻害されることに
より該蛋白の機能発現が阻害されている(即ち、標的遺
伝子の不活性化、破壊)組換え細胞や組換え生物(例え
ば、組換え非ヒト哺乳動物、組換え細菌、組換えウイル
スなど)の作製において汎用されている。このようにし
て作製された組換え細胞や組換え動物は、各々ノックア
ウト細胞及びノックアウト動物と称されている。
【0005】この相同組換えによるジーンターゲティン
グは、さらに、ノックイン細胞及びノックイン動物の製
造においても汎用される有用な方法である。このノック
イン細胞及びノックイン動物は、前述のような相同組換
えを、該マーカー遺伝子の上流にレポーター遺伝子(ル
シフェラーゼ遺伝子やβラクタマーゼなど)などの所望
の他の1つ以上の外来性遺伝子を発現可能なように配置
されたターゲティングDNAを用いて行い、標的である
内在性遺伝子の一部のDNA配列が該レポーター遺伝子
とマーカー遺伝子とからなるDNAで置換されることに
より製造され得、該内在性遺伝子のmRNAへの転写が阻害
される(即ち、標的遺伝子の不活性化、破壊)一方で、
該マーカー遺伝子に加えて該レポーター遺伝子などの所
望の外来性遺伝子を発現することができる組換え細胞や
組換え動物である。
【0006】ノックアウト細胞やノックアウト動物は、
該標的内在性遺伝子が不活性化されることにより現れる
細胞の形態学的変化、組織学的変化、個体の表現型上の
変化、疾患症状の発現の有無、あるいは生存率等の種々
の変化を、同一種の正常な細胞あるいは動物のそれを比
較することにより、該不活性化された遺伝子がコードす
る蛋白の生理学的機能の解明を可能とする。
【0007】一方、ノックイン細胞やノックイン動物
は、前述のノックアウト細胞やノックアウト動物におい
て可能となる該不活性化内在性遺伝子の機能解析だけで
なく、該標的内在性遺伝子の機能のさらに詳細な解析、
並びに該標的内在性遺伝子の発現を調節する薬剤の同定
を可能とするものである。即ち、ノックイン細胞やノッ
クイン動物は、該不活性化された標的内在性遺伝子のか
わりに挿入された外来性のルシフェラーゼやβラクタマ
ーゼ等の外来性のレポーター遺伝子を発現するように作
製されていることから、該標的内在性遺伝子の機能が不
明である場合には、該ノックイン細胞やノックイン動物
に医薬上の活性が判明している種々の薬剤や化合物を投
与し、該薬剤の投与に依存する該レポーター遺伝子の発
現の増減を測定することにより、該標的内在性遺伝子が
関わる疾患を推定することが可能となる。また、該内在
性遺伝子の機能並びに該遺伝子の疾患との関わりが明ら
かな場合には、該ノックイン細胞やノックイン動物に種
々の化合物を投与することにより、該化合物の投与に依
存する該レポーター遺伝子の発現の増減を誘導する活性
を有する化合物を同定することができる。そのようにし
て同定された化合物は該標的内在性遺伝子の発現調節剤
として該遺伝子が関わる疾患の治療剤として開発される
価値を有する。
【0008】相同組換えによるジーンターゲティングに
おいて用いられるターゲティングDNA(ターゲティン
グベクター)は、内在性ゲノムDNA中の標的DNA配
列の上流のゲノムDNA配列に相同なDNA配列、及び
該標的DNA配列の下流のゲノムDNA配列に相同なD
NA配列を各々の末端に有し、当該2つの相同なDNA
配列の間にマーカー遺伝子などの外来性遺伝子を含む基
本構造を有する。ターゲティングDNAと内在性ゲノム
DNAとの間で相同組換えを起こさせるためには、ター
ゲティングDNAの2つの相同領域は各々少なくとも約
2乃至5Kbの塩基長が必要とされる。従って、ターゲテ
ィングDNAの製造のためには、標的内在性DNA配列
を含むゲノムDNAをクローニングし、該2つの相同な
長鎖ゲノムDNA配列を得る必要があり、相同組換え用
ターゲティングDNA(ベクター)の製造においては、
この工程が最も時間と労力を必要とする工程である。
【0009】例えば、ノックアウトマウスあるいはノッ
クインマウスの作製を例に挙げるならば、該マウスの作
製に必要なターゲティングDNA(ベクター)、即ち、
マウスの内在性ゲノムDNA中のあるDNA配列(標的
DNA配列)をマーカー遺伝子で置換することにより不
活性化(破壊)するための相同組換えターゲティングD
NAの製造は、これまでのところ概ね下記のような操作
工程が必要とされ、またこの方法が最も汎用されている
唯一の方法である。
【0010】(1)標的DNA配列の一部のDNA配列
を基に該DNA配列を含むDNAにハイブリダイズする
少なくとも約200bp以上の塩基長を有するプローブを
作製し、該プローブを放射性標識し、プラークハイブリ
ダイゼーション用の標識プローブを調製する。 (2)該放射性標識プローブ及び市販または必要に応じ
て調製したマウスゲノムDNAのλファージライブラリ
ーを用いてプラークハイブリダイゼーションを行い、該
標的DNA配列を含む長鎖ゲノムDNAがクローニング
されている陽性λファージプラークを同定、取得する
(Crunsteinら、Proc. Natl. Acid. Sci.USA、第72巻、
第3961頁、1975年)。 (3)該陽性クローンを複数の適当な制限酵素の組み合
わせで消化して得られるゲノムDNA断片を電気泳動に
供して各々のゲノムDNA断片の遺伝子の大きさを解析
する。
【0011】(4)下記工程(5)で調製する2つのゲ
ノムDNA断片を調製するための必要な遺伝子情報を得
るために、該解析結果を基に該長鎖ゲノムDNAの制限
酵素地図を作成する。 (5)該標的DNA配列の上流及び下流に位置する各々
少なくとも2乃至5Kbの遺伝子長を有するゲノムDNA
断片が得られるように、該制限酵素地図を基に、該長鎖
ゲノムDNAを適当な制限酵素で切断する。ここで得ら
れた2つのゲノムDNA断片を、相同組換え用ターゲテ
ィングDNAの両端に各々配置する相同DNA配列とし
て用いる。 (6)ネオマイシン等のマーカー遺伝子が発現可能なよ
うに配置されている発現ベクター、あるいは該マーカー
遺伝子並びにルシフェラーゼ等のレポーター遺伝子が発
現可能なように配置されている発現ベクターを、適当な
制限酵素を用い消化し、線状化発現ベクターDNAを調
製、取得する。 (7)前記(5)で調製した2つの相同ゲノムDNA配
列の各々を、該線状化が発現ベクターDNAの各々の末
端に連結し、目的のターゲティングDNAを得る。
【0012】上記方法により目的のターゲティングDN
Aを得るためには、種々の条件が全て整った条件下でヒ
ト一人が一日約8時間作業を行ったとして、通常約3ヶ
月の期間を必要とする。また、上述のような従来法の実
施においては、下記のような作業上の制約を受けるだけ
でなく種々の煩雑な操作を必要とする。工程(1)にお
いてプラークハイブリダイゼーション用のプローブを作
製するためには、標的DNA配列の塩基配列が少なくと
も約200bp以上決定されていることが必要である。昨
今多数報告されているマウスEST(Expressed Sequen
ce Tag)などは、塩基長が200bpに満たないものも多
数あるため、そのような短い塩基長のマウスESTを標
的DNA配列とする場合には、ターゲティングDNAの
作製は不可能である。工程(2)におけるプラークハイ
ブリダーゼーションは、放射性物質を扱わねばならない
ことから、特殊な施設と取り扱い上の細心の注意を必要
とし操作が非常に煩雑となる。さらに、当該プラークハ
イブリダイゼーションにより再現性を以って陽性プラー
クを同定するためには、通常少なくとも3回の同一操作
が必要とされ時間と労力を要する。
【0013】工程(3)及び(4)においては、工程
(3)で得られた種々の組み合わせの制限酵素で切断し
て得られるゲノムDNA断片の各々を電気泳動に供し各
々の断片の塩基長を解析し、該解析結果を基に正確な制
限酵素地図を作成する必要がある。この制限酵素地図作
成の工程は、上記全行程の中で最も時間と労力を必要と
する工程である。
【0014】ノックアウトマウスあるいはノックインマ
ウスの作製のための次の操作は、そのような方法により
作製されたターゲティングDNAを用いて、ノックアウ
ト胚性幹細胞(Embryonic stem cell;ES細胞)または
ノックアウトES細胞を作製する工程である。該組換え
ES細胞は、これまでのところ概ね下記のようにして作
製されている。 (8)正常マウスの受精卵から取得される胚性幹細胞
(Embryonic stem cell;ES細胞)に、ターゲティング
ベクターをマイクロインジェクションする(Proc. Nat
l. Acad. Sci. USA, Vol.77, No.12, pp.7380-7384, 19
80;米国特許第4,873,191号公報)。 (9)該細胞の内在性ゲノムDNAと該ターゲティング
DNAとの相同組換えの結果生じる該内在性ゲノムDN
Aに該ターゲティングDNAが組込まれたES細胞を、
該ターゲティングDNA中に含まれるマーカー遺伝子の
DNA配列を基に設計されたプライマーと、該ターゲテ
ィングDNAのさらに外側に位置する該内在性ゲノムD
NAの既知の塩基配列を基に設計されたプライマーとを
用いたポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase chain react
ion;PCR反応、(「遺伝子増幅PCR法・基礎と新しい
展開」、共立出版株式会社発行、1992年など))による
遺伝子増幅により得られる遺伝子増幅産物の大きさを解
析することにより選別し、目的のノックアウトES細胞
またはノックインES細胞として回収する。
【0015】上記工程(9)のようなPCRによるES
細胞の選別は、内在性ゲノムDNAに組込まれたターゲ
ティングDNAのさらに外側に位置する該内在性ゲノム
の塩基配列が既知である場合にのみ可能であり、該配列
が不明な場合には、煩雑な試験操作を必要とするサザン
ハイブリダイゼーション(Southern hybridization)法
により解析する必要がある。上述したとおり、ノックア
ウト動物あるいはノックイン動物の作製のために必要な
ターゲティングDNA並びにノックアウトES細胞ある
いはノックインES細胞の作製は、煩雑な操作に加え、
多大な時間と労力を必要とするものあった。
【0016】一方、上述のような従来のターゲティング
DNAの作製のためのツールの1つとしてのゲノムDNAライ
ブラリー(例えば、市販のマウスゲノムDNAライブラリ
ー)と同様に、マウスやヒトのcDNAライブラリーも市販
品の購入や所望に応じ常法に従って作製することにより
入手可能である。cDNAライブラリーには種々のcDNAラ
イブラリーが入手可能であるが、例えば、哺乳動物の蛋
白質の全長をコードするオープンリーディングフレーム
(open reading frame; ORF)あるいはORFに加え5'U
TRや3'UTRを含むcDNAライブラリーが遺伝子解析、医学
及び薬学の研究分野で汎用されている。
【0017】この全長cDNAライブラリーをハイブリダ
イゼーションプローブを用いるプラークハイブリダイゼ
ーションや一対のプライマーを用いるPCR(ポリメラ
ーゼ連鎖反応)によりスクリーニングすることにより、
所望の蛋白の全長をコードするORFを含むcDNAを選別、
取得することが可能である。即ち、昨今の多数報告され
ているESTのような既知または未知の所望の蛋白をコ
ードするORF、5'UTR及び/または3'UTRの一部の塩基
配列を知り得ている場合には、該塩基配列を基にプロー
ブまたはプライマーを設計することによりハイブリダイ
ゼーション法やPCRにより該所望の蛋白の全長(OR
F)をコードするcDNAを入手することが可能であ
る。さらに、該同定されたcDNAの塩基配列を決定す
ることにより該既知または未知の所望の蛋白の全長アミ
ノ酸配列を知ることができる。
【0018】上述のcDNAライブラリーのスクリーニ
ングは、その操作の簡便性の観点から一対のプライマー
を用いるPCRによるスクリーニングが有用である。し
かしながら、このPCRによるスクリーニングを商業的
に業として営む外部サービスが存在する理由の一つでも
あるように、その実験操作を研究者自身が行う場合に
は、後述するようにその操作の煩雑性と多大な時間を要
するものである。即ち、該PCRによるスクリーニング
は下記のような3回のPCRを含む工程からなる。
【0019】(1)各々のcDNAクローンを複数枚の
96ウェルマイクロプレートの各ウェルに配備したcDN
Aライブラリーを作製する(市販品も使用可能。例え
ば、Sawady/Origene社のRapid Screen cDNAライブラリ
ーパネルなど)。 (2)所望の蛋白をコードするORF、5'UTR及び/ま
たは3'UTRの一部の塩基配列を基に設計された一対のプ
ライマーDNAであって、該一対のプライマーは鋳型c
DNAにアニーリングしPCR反応により該一対のプラ
イマーの各々に対して内向きに塩基配列を増幅する一対
のプライマーを作製する。 (3)該一対のプライマーを用いて、該複数枚のマイク
ロプレート各々の全てのウェル中のクローン(約50万ク
ローン)に対してPCRを施した後、PCR産物をゲル
電気泳動することにより遺伝子増幅の認められる陽性ウ
ェル(約5000クローン)を同定する。 (4)前記(3)で同定された陽性ウェルのクローンを
配備したサブプレート各々の全ウェル中のクローン(約
5000クローン)に対してPCRを施した後、PCR産物
をゲル電気泳動することにより遺伝子増幅の認められる
陽性ウェル(約50クローン)を同定する。 (5)前記(4)で同定された陽性ウェルのクローンを
配備したマイクロプレートの全てのクローン(約50クロ
ーン)に対してPCRを施した後、PCR産物をゲル電
気泳動することにより遺伝子増幅の有無を確認する。 (6)遺伝子増幅が確認されたクローンを目的のcDN
Aクローンをして取得する。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】従って、(1)従来の
ターゲティングDNAの製造方法が有していた上述のよう
な種々の問題点を改善し、短期間に低労力で簡便に相同
組換え用ターゲティングDNA(ベクター)を作製で
き、また内在性ゲノムDNAに所望の修飾を施した細胞
の簡便な選別を可能とする新規な方法の開発が強く望ま
れていた。また、(2)cDNAライブラリーをさらに
簡便に且つ迅速にスクリーニングして所望のcDNAを
保持するクローンを同定、取得できる方法の開発が強く
望まれていた。即ち、本発明は、(1)従来のターゲテ
ィングDNAの製造方法が有していた全ての問題点を解決
し、ノックアウト動物やノックイン動物の作製の効率を
増大させる新規且つ有用な方法、(2)該方法により作
製されるターゲティングDNA、(3)cDNAライブラ
リーを極めて簡便に且つ迅速にスクリーニングして所望
のcDNAを保持するクローンを同定、取得できる新規
且つ有用な方法、及び(4)該ターゲティングDNAの製
造において極めて有用であり、且つ該ターゲティングDN
Aの作製の効率を大幅に増大させる新規ゲノムDNAライブ
ラリーを提供することを課題とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究を行い、従来のターゲティングDN
Aの製造方法に比べ、低労力で極めて簡便に相同組換え
用ターゲティングDNA(ベクター)を製造でき、且つ
製造に要する期間を飛躍的に短縮することが可能な新規
且つ有用な本発明の相同組換え用ターゲティングDNAの
製造方法を見出すに至った。本発明のターゲティングDN
Aの製造方法の概略を、図9乃至図11並びに図15に模式
的に示す。さらに、本発明の方法により製造されるター
ゲティングDNAと内在性ゲノムDNAとの相同組換え
により、該内在性ゲノムDNAの一部が修飾された組換
え細胞(例えば、胚性幹細胞など)または組換え生物
(例えば、組換え非ヒト哺乳動物、組換え細菌、組換え
ウイルスなど)を簡便に選別できる新規且つ有用な本発
明の方法を見出すに至った。その選別方法の概略を図12
乃至図14に模式的に示す。また、cDNAライブラリー
を極めて簡便に且つ迅速にスクリーニングして所望のc
DNAを保持するクローンを同定、取得できる新規且つ
有用な本発明の方法を見出すに到った。その方法の概略
を図16に模式的に示す。
【0022】本発明の相同組換え用ターゲティングDN
Aの製造方法の1つは、下記の工程を含むものである。 内在性ゲノムDNAの標的DNA配列に相同組換えに
よる修飾を施そうとする宿主のゲノムDNA断片であっ
て、該標的DNA配列を含むゲノムDNA断片を取得す
る。 該ゲノムDNA断片を該標的DNA配列の外側の部位
で所望の制限酵素により切断する。 該切断したゲノムDNA断片を、分子内連結(自己環
状化)による環状ゲノムDNAを調製する。さらに、所
望に応じ、該連結部位に所望の制限酵素により切断可能
な塩基配列を含むリンカーDNAを挿入した環状ゲノム
DNAを調製する。 逆PCR反応(inverse PCR;inside-out PCR)により、
該環状ゲノムDNAを該標的DNA配列から互いに外向
きに増幅し得る一対のプライマーDNAを調製する。 該環状ゲノムDNAを鋳型とし、該一対のプライマー
DNAを用いて逆PCR反応を行い、該各々のプライマー
DNAと同一の塩基及び/またはそれらに相補的な塩基
配列を各々の末端に有し、前記で用いた制限酵素によ
り認識される塩基配列または前記のリンカーDNAに
含まれる制限酵素認識塩基配列を内部に含む組換えゲノ
ムDNA断片を調製する。 該組換えゲノムDNA断片を、宿主生物の内在性ゲノ
ムDNAに導入したい所望の外来性DNA(例えば、ネ
オマイシン耐性遺伝子などのマーカー遺伝子、ルシフェ
ラーゼあるいはβラクタマーゼなどのレポーター遺伝
子、あるいはその両方の遺伝子など)が発現可能なよう
に配置された発現ベクターDNAを所望の制限酵素で切
断して得られる線状化発現ベクターDNA配列と連結
し、再び環状化する。さらに、前記工程におけるリン
カーDNA配列の挿入を本工程で行うことができる。即
ち、所望に応じ、該連結部位に所望の制限酵素により切
断可能な塩基配列を含むリンカーDNAを挿入した環状
ゲノムDNAを調製する。得られた環状化DNA構築物
は、適当な宿主(例えば、大腸菌など)を該DNA構築
物で形質転換することにより増幅することができる。 該環状化DNA構築物を、該前記で用いた制限酵素
により認識される塩基配列または前記のリンカーDN
Aに含まれる制限酵素認識塩基配列で切断して得られる
組換えゲノムDNA断片を目的のターゲティングDNA
(ベクター)として回収する。該ターゲティングDNA
は、該標的DNA配列の外側に位置する該内在性ゲノム
のDNA配列に相同なDNA配列(相同領域)であっ
て、該内在性ゲノムDNAとの相同組換えに必要な十分
な長さの相同領域を両端に有し、且つ該外来性DNAを
配列の内部に有する。
【0023】本発明の相同組換え用ターゲティングDN
Aの製造方法の他の1つは、下記の工程を含むものであ
る。 内在性ゲノムDNAの標的DNA配列に相同組換えに
よる修飾を施そうとする宿主のゲノムDNA断片であっ
て、該標的DNA配列を含むゲノムDNA断片と、所望
の制限酵素で切断可能な制限酵素認識塩基配列を有する
発現ベクターDNAとからなる環状ゲノムDNAを取得する。 逆PCR反応(inverse PCR;inside-out PCR)により、
該環状ゲノムDNAを該標的DNA配列から互いに外向
きに増幅し得る一対のプライマーDNAを調製する。さ
らに所望に応じ、該一対のプライマーDNAの各々は、そ
の5'末端に所望の制限酵素認識塩基配列を有することが
できる。 該環状ゲノムDNAを鋳型とし、該一対のプライマー
DNAを用いて逆PCR反応を行い、該各々のプライマー
DNAと同一の塩基及び/またはそれらに相補的な塩基
配列を各々の末端に有し、該発現ベクターDNAを内部に
含む組換えゲノムDNA断片を調製する。 所望に応じ、前記で得た組換えゲノムDNA断片を、
各々の末端で分子内連結(自己環状化)することにより
環状ゲノムDNAを調製し、この環状ゲノムDNAで形質転換
した適当な宿主(例えば、大腸菌など)を培養すること
により所望の量の該環状ゲノムDNAを調製する。 前記で得た組換えゲノムDNA断片または前記で増
幅した環状ゲノムDNAを、前記におけるプライマーの
5'末端に配備した制限酵素認識配列を認識する制限酵素
で処理する。この処理により、前記で得た組換えゲノ
ムDNA断片の両末端が、制限酵素切断末端塩基配列を有
することとなる。 前記で得た組換えゲノムDNA断片を、宿主生物の
内在性ゲノムDNAに導入したい所望のマーカー遺伝子
(例えば、ネオマイシン耐性遺伝子など)及び/または
レポーター遺伝子(例えば、ルシフェラーゼあるいはβ
ラクタマーゼなど)を含む外来性DNA(好ましくは、
該組換えゲノムDNA断片と同一の制限酵素切断末端D
NA配列を有する)と連結することにより再び環状ゲノ
ムDNAを調製する。 前記で得た環状ゲノムDNAを、この環状ゲノムD
NAの塩基配列中に含まれる前記の発現ベクターDN
A中の任意に部位で、制限酵素により切断して得られる
組換えゲノムDNA断片を目的のターゲティングDNA
(ベクター)として回収する。該ターゲティングDNA
は、該標的DNA配列の外側に位置する該内在性ゲノム
のDNA配列に相同なDNA配列(相同領域)であっ
て、該内在性ゲノムDNAとの相同組換えに必要な十分
な長さの相同領域を両端に有し、且つ該外来性DNAを
配列の内部に有する。
【0024】本発明のターゲティングDNA(ベクタ
ー)の製造方法は、前述した従来の方法において避ける
ことができなかった下記(1)乃至(3)のような煩雑
な操作を必要としないことから、本発明の方法を用いれ
ば、従来法によるターゲティングDNAの製造に要して
いた約3ヶ月という製造期間を最短で約2週間に短縮す
ることが可能である。: (1)標的DNA配列を含む内在性ゲノムDNA断片の
取得に、時間と労力を要するプラークハイブリダイゼー
ション法を行う必要がある。 (2)プラークハイブリダーゼーションの実施には、放
射性物質とRI(放射性同位体)管理施設等の特殊な試
薬及び施設の使用を必要とする。 (3)多大な時間と労力を要する得られた内在性ゲノム
DNA断片の制限酵素地図の作成が必須である。
【0025】また、従来の方法では、その煩雑な操作の
必要性から複数種類のターゲティングDNAの製造を一
人で同時に行うことが不可能であったが、本発明の方法
を用いれば、その簡便性により、一人で複数種類のター
ゲティングDNAの製造を同時に行うことが可能であ
る。従って、それら2つの効果が合わさることにより、
本発明の製造方法を用いれば、一種類のターゲティング
ベクターの製造のための期間を、最短で約1週間に短縮
できることとなる。また、この製造期間の飛躍的な短縮
により、ターゲティングベクターの製造に要するコスト
を大幅に低減することが可能となる。
【0026】さらに、従来の方法においては、プラーク
ハイブリダイゼーション用のプローブを作製するため
に、標的DNA配列の塩基配列が少なくとも約200bp
以上決定されていることが必要であったため、EST
(Expressed Sequence Tag)のような塩基長が200bp
に満たないDNA配列を標的とするターゲティングDN
Aの作製は不可能であった。一方、本発明の製造方法に
よるターゲティングDNAの製造においては、各々標的
DNA配列の一部に相補的な2種類のPCR用プライマ
ーDNAを設計することが可能な最低約70bpの塩基配
列が決定されていれば十分である。即ち、本発明の製造
方法を用いれば、従来法では不可能であった、塩基長が
200bpに満たないESTのような短いDNA配列を標
的としたターゲティングDNAの製造が可能である。
【0027】本発明の他の一つは、上述の本発明のター
ゲティングDNAを用いた相同組換えにより製造され得
る組換え細胞(例えば、組換えES細胞など)または組
換え生物(例えば、組換え非ヒト哺乳動物、組換え細
菌、組換えウイルス、組換え植物など)、即ち、該ター
ゲティングDNAと内在性ゲノムDNAとの相同組換え
により該内在性ゲノムDNA中の標的DNA配列が修飾
された組換え細胞または組換え生物の選別方法である。
本発明の選別方法は、下記の工程を含む方法である。 前述のようにして製造されたターゲティングDNAの
いずれかの末端から該ターゲティングDNAに含まれる
外来性DNA(例えば、ネオマイシン等のマーカー遺伝
子)の所望の領域までのDNA配列をPCRにより増幅
することが可能な下記A及びBの一対のプライマーDN
Aを設計、調製する。 A)該外来性DNAの一部の塩基配列に相補的なプライ
マーDNA。 B)該ターゲティングDNAのいずれかの末端の塩基配
列に相補的なプライマーDNA。 被験組換え細胞または被験組換え生物の内在性ゲノム
DNAを鋳型とし、前記2つのプライマーDNAを用い
たポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によりDNA増幅を
行う。 ゲル電気泳動によりDNAの増幅が認められない組換
え細胞または組換え生物を同定し、回収する。
【0028】従来のPCRを利用した相同組換えによる
組換え細胞または組換え生物の選別は、該ターゲティン
グDNA中に含まれるマーカー遺伝子のDNA配列を基
に設計されたプライマーと、該ターゲティングDNAの
さらに外側に位置する該内在性ゲノムDNAの既知の塩
基配列を基に設計されたプライマーとを用いたPCRに
基づくものであった。しかしながら、この方法は、内在
性ゲノムDNAに組込まれたターゲティングDNAのさ
らに外側に位置する該内在性ゲノムの塩基配列が既知で
ある場合にのみ可能であり、該外側の配列が不明な場合
には、煩雑な試験操作を必要とするサザンハイブリダイ
ゼーション(Southern hybridization)法による解析を
せざるを得なかった。
【0029】一方、ターゲティングDNAと内在性ゲノ
ムDNAとの相同組換えにおいては、これまでの実験に
よる分析から次のような事実が明らかとなっている。即
ち、ターゲティングDNAが正しい相同組換えにより標
的DNA配列中に組み込まれた場合には、該ターゲティ
ングDNAは末端配列を欠落することなく組み込まれて
いる。しかしながら、ランダムインテグレーション(ra
ndom integration)のように、ターゲティングDNA
が、標的DNA配列以外の部位あるいは誤った形で内在
性ゲノムDNAに組み込まれた場合には、組み込まれた
ターゲティングDNAは、かなり高い確率でその末端配
列を欠落している。
【0030】本発明者らは、この実験的事実に着目し
て、組換え細胞(または組換え生物)の内在性ゲノムD
NA中に組み込まれたターゲティングDNAの末端配列
の有無を上述したPCRにより解析することにより極め
て高い精度で正常な相同組換えが起こった組換え細胞
(または組換え生物)を選別できることを見出し、上述
の本発明の選別方法を完成するに至った。即ち、本発明
の選別方法を用いれば、上述した従来の方法に問題点を
容易に解決することが可能である。
【0031】本発明は、さらに、上述した本発明のター
ゲティングDNAの製造方法により作製されるターゲテ
ィングDNA、該ターゲティングDNAを用いて作製さ
れる組換え細胞または組換え生物(組換え細菌、組換え
ウイルス、組換え非ヒト哺乳動物、組換え植物など)に
関する。該組換え体の作製においては、必要に応じ前記
に概略した本発明の組換え細胞等の選別方法を用いるこ
とができる。
【0032】本発明は、さらなる1つは、cDNAライ
ブラリーから所望のアミノ酸配列または蛋白質をコード
するcDNAを保持するクローン(陽性クローン)を同
定、取得する(スクリーニング)方法に関し、例えば、
下記の工程を含む方法である。 市販のcDNAライブラリーまたは独自に作製したc
DNAライブラリーを準備する。 既知のアミノ酸配列をコードする塩基配列または既知
の蛋白質をコードする塩基配列(ORF、5'UTRまたは
3'UTR)を基に設計される一対のプライマーであって、
逆PCR反応(inverse PCR;inside-out PCR)により、該
cDNAライブラリーの特定のクローン(環状DNAク
ローン)の塩基配列を、該プライマーがアニーリングし
た部位から互いに外向きに塩基配列を増幅し得る一対の
プライマーDNAを調製する。さらに所望に応じ、該一
対のプライマーDNAの各々は、その5'末端に所望の制限
酵素認識塩基配列を有することができる。 該cDNAライブラリーの各々のクローンを鋳型と
し、該各々のクローンに対して該一対のプライマーDN
Aを用いて逆PCR反応を行う。 各々のクローンについてのPCR産物をゲル電気泳動
に供することにより、遺伝子増幅の有無を確認し、遺伝
子増幅の認められるクローンを同定し、目的の陽性クロ
ーンとして得る。 所望に応じ、該陽性クローンの塩基配列を決定し、該
クローンに目的のアミノ酸配列または蛋白質をコードす
る塩基配列(cDNA)が保持されていることを確認す
る。 本発明のcDNAのスクリーニング方法を用いれば、従
来必要とした複数回のPCR反応といった煩雑な操作が
不要とされ、所望のcDNAクローンを極めて簡便且つ
迅速に同定、取得(選別)することができる。
【0033】さらに本発明の他の1つは、生物(例え
ば、マウスまたはヒトなどの哺乳動物)のゲノムDNA
ライブラリーに関する。具体的には、約5乃至12Kbの遺
伝子長を有するゲノムDNA断片を、適切なプラスミドや
ファージに挿入してなる環状ゲノムDNAクローンからな
るゲノムDNAライブラリーである。該ライブラリーは、
該環状ゲノムDNAクローンの各々を、例えば、多数のウ
ェルを有するマイクロプレートに配備してなるライブラ
リーである。本発明のゲノムDNAライブラリーを用いれ
ば、上述した相同組換え用ターゲティングDNAの作製で
必要とする所望のゲノムDNA断片を極めて簡便に取得す
ることが可能である。
【0034】本発明は、具体的には下記のとおりであ
る。 (1)生物の内在性ゲノムDNA中のDNA配列の一部を、相
同組換えにより修飾するためのターゲティングDNAの
製造方法であって、下記工程(a)乃至(e)の工程: (a)該生物のゲノムDNA断片であって該DNA配列[T]
を含むゲノムDNA断片を含むDNA[CL]を、制限酵素
[E1]により、該DNA配列[T]の外側に各々存在する制
限酵素[E1]により切断可能な制限酵素認識DNA配列
[X]で切断し、該制限酵素[E1]による切断末端DNA配
列を両端に有し且つ該DNA配列[T]を含むゲノムDNA断
片[L1]を調製する工程; (b)該ゲノムDNA断片[L1]を該切断末端DNA配列で
分子内連結させることにより、制限酵素認識DNA配列
[X]及び該DNA配列[T]を含む環状ゲノムDNA[C1]を調
製する工程; (c)該環状ゲノムDNA[C1]の各々のDNA鎖を鋳型とし、
下記プライマーDNA[P1]及びプライマーDNA[P2]: プライマーDNA[P1]:5'末端近傍に制限酵素[E2]によ
り切断可能な制限酵素認識DNA配列を有し、且つその
下流に該環状ゲノムDNA[C1]の一方のDNA鎖[I]中
のDNA配列[T]の5'末端側のDNA配列に相補的なDNA配
列を有するプライマーDNAであって、該プライマーD
NAの3'末端が該DNA鎖[I]中のDNA配列[T]の5'末
端側にアニーリングし得るように設計されたプライマー
DNA;及び プライマーDNA[P2]:5'末端近傍に制限酵素[E3]によ
り切断可能な制限酵素認識DNA配列を有し、且つその
下流に該環状ゲノムDNA[C1]の他方のDNA鎖[II]中
のDNA配列[T]の5'末端側のDNA配列に相補的なD
NA配列を有するプライマーDNAであって、該プライ
マーDNAの3'末端が該DNA鎖[II]中のDNA配列
[T]の5'末端側にアニーリングし得るように設計された
プライマーDNA、を用いた逆ポリメラーゼ連鎖反応に
よるDNA増幅により、下記のDNA鎖[III]及びDNA鎖[I
V]: DNA鎖[III]:該プライマーDNA[P1]に相補的なD
NA配列及び該プライマーDNA[P2]と同一のDNA配
列の各々を末端に有し、且つ制限酵素認識DNA配列
[X]を含むDNA鎖;及び DNA鎖[IV]:該プライマーDNA[P1]と同一のDNA
配列及び該プライマーDNA[P2]に相補的なDNA配列
の各々を末端に有し、且つ制限酵素認識DNA配列[X]
を含むDNA鎖、とからなる組換えゲノムDNA断片[L2]
を調製する工程; (d)該組換えゲノムDNA断片[L2]の末端を制限酵素[E
2]及び制限酵素[E3]で消化して組換えゲノムDNA断片
[L2']を得、該組換えゲノムDNA断片[L2']を、制限酵
素[E2]による切断末端DNA配列及び制限酵素[E3]によ
る切断末端DNA配列を各々の末端に有し、且つ該生物
にとって外来である外来性DNAを該外来性DNAが細
胞中で発現できるような配置で含む線状化発現ベクター
DNAと連結させることにより環状ゲノムDNA[C2]を
調製する工程;及び (e)該環状ゲノムDNA[C2]を制限酵素[E1]により制
限酵素認識DNA配列[X]で切断して得られる組換えゲ
ノムDNA断片[L3]をターゲティングDNAとして回収
する工程、を含むことを特徴とするターゲティングDN
Aの製造方法。
【0035】(2)該外来性DNAが、マーカー遺伝子
からなるDNAであることを特徴とする前記(1)に記
載の製造方法。 (3)該外来性DNAが、マーカー遺伝子及びレポータ
ー遺伝子からなるDNAであることを特徴とする前記
(1)に記載の製造方法。 (4)該レポーター遺伝子が、ルシフェラーゼまたはβ
ラクタマーゼをコードする遺伝子であることを特徴とす
る前記(3)に記載の製造方法。 (5)該マーカー遺伝子が、ネオマイシン耐性遺伝子で
あることを特徴とする前記(2)乃至前記(4)のいず
れかに記載の製造方法。 (6)該制限酵素[E2]と制限酵素[E3]が同一の制限酵素
であることを特徴とする前記(1)乃至前記(5)のい
ずれかに記載の製造方法。 (7)該制限酵素[E2]と制限酵素[E3]が各々異なる制限
酵素であることを特徴とする前記(1)乃至前記(5)
のいずれかに記載の製造方法。 (8)該生物が、脊椎動物、昆虫、原生動物、植物、細
菌またはウイルスであることを特徴とする前記(1)乃
至前記(7)のいずれかに記載の製造方法。 (9)該脊椎動物が、非ヒト哺乳動物であることを特徴
とする前記(8)に記載の製造方法。 (10)該非ヒト哺乳動物が、マウスであることを特徴と
する前記(9)に記載の製造方法。 (11)該DNA[CL]が、マウスのゲノムDNA断片をバ
クテリア人工染色体(BAC)または酵母人工染色体(YA
C)中にクローン化してなるマウスゲノムDNA断片の
ライブラリーから選別されるものであることを特徴とす
る前記(10)に記載の製造方法。 (12)該修飾が、該DNA配列[T]のmRNAへの転写を不
能たらしめ、且つ該外来性DNAの発現を可能たらしめ
るものであることを特徴とする前記(1)乃至前記(1
1)のいずれかに記載の製造方法。
【0036】(13)生物の内在性ゲノムDNA中のDNA配列
の一部を、相同組換えにより修飾するためのターゲティ
ングDNAの製造方法であって、下記工程(a)乃至
(f)の工程: (a)該生物のゲノムDNA断片であって該DNA配列[T]
を含むゲノムDNA断片を含むDNA[CL]を、制限酵素
[E1]により、該DNA配列[T]の外側に各々存在する制
限酵素[E1]により切断可能な制限酵素認識DNA配列
[X]で切断し、該制限酵素[E1]による切断末端DNA配
列を両端に有し且つ該DNA配列[T]を含むゲノムDNA断
片[L1]を調製する工程; (b)該ゲノムDNA断片[L1]を該切断末端DNA配列で
分子内連結させることにより、制限酵素認識DNA配列
[X]及び該DNA配列[T]を含む環状ゲノムDNA[C1]を調
製する工程; (c)該環状ゲノムDNA[C1]の各々のDNA鎖を鋳型とし、
下記プライマーDNA[P1]及びプライマーDNA[P2]: プライマーDNA[P1]:5'末端近傍に制限酵素[E2]によ
り切断可能な制限酵素認識DNA配列を有し、且つその
下流に該環状ゲノムDNA[C1]の一方のDNA鎖[I]中
のDNA配列[T]の5'末端側のDNA配列に相補的なDNA配
列を有するプライマーDNAであって、該プライマーD
NAの3'末端が該DNA鎖[I]中のDNA配列[T]の5'末
端側にアニーリングし得るように設計されたプライマー
DNA;及び プライマーDNA[P2]:5'末端近傍に制限酵素[E3]によ
り切断可能な制限酵素認識DNA配列を有し、且つその
下流に該環状ゲノムDNA[C1]の他方のDNA鎖[II]中
のDNA配列[T]の5'末端側のDNA配列に相補的なD
NA配列を有するプライマーDNAであって、該プライ
マーDNAの3'末端が該DNA鎖[II]中のDNA配列
[T]の5'末端側にアニーリングし得るように設計された
プライマーDNA、を用いた逆ポリメラーゼ連鎖反応に
よるDNA増幅により、下記のDNA鎖[III]及びDNA鎖[I
V]: DNA鎖[III]:該プライマーDNA[P1]に相補的なD
NA配列及び該プライマーDNA[P2]と同一のDNA配
列の各々を末端に有し、且つ制限酵素認識DNA配列
[X]を含むDNA鎖;及び DNA鎖[IV]:該プライマーDNA[P1]と同一のDNA
配列及び該プライマーDNA[P2]に相補的なDNA配列
の各々を末端に有し、且つ制限酵素認識DNA配列[X]
を含むDNA鎖、とからなる組換えゲノムDNA断片[L2]
を調製する工程; (d)該組換えゲノムDNA断片[L2]の末端を制限酵素[E
2]及び制限酵素[E3]で消化して組換えゲノムDNA断片
[L2']を得、該組換えゲノムDNA断片[L2']を、制限酵
素[E2]による切断末端DNA配列及び制限酵素[E3]によ
る切断末端DNA配列を各々の末端に有し、且つ該生物
にとって外来である外来性DNAを該外来性DNAが細
胞中で発現できるような配置で含む線状化発現ベクター
DNAと連結させることにより環状ゲノムDNA[C2]を
調製する工程;及び (e)該環状ゲノムDNA[C2]を、制限酵素[E1]により切
断し、該制限酵素切断部位に制限酵素[E4]により切断可
能な制限酵素認識DNA配列[Y]を含むリンカーDNA
を挿入することにより、該制限酵素認識DNA配列[Y]
及び該標的DNA配列[T]を含む組換え環状ゲノムDN
A[C3]を調製する工程; (f)該環状ゲノムDNA[C3]を制限酵素[E4]により制
限酵素認識DNA配列[Y]で切断して得られる組換えゲ
ノムDNA断片[L3]をターゲティングDNAとして回収
する工程、を含むことを特徴とするターゲティングDN
Aの製造方法。
【0037】(14)該外来性DNAが、マーカー遺伝子
からなるDNAであることを特徴とする前記(13)に記
載の製造方法。 (15)該外来性DNAが、マーカー遺伝子及びレポータ
ー遺伝子からなるDNAであることを特徴とする前記
(13)に記載の製造方法。 (16)該レポーター遺伝子が、ルシフェラーゼまたはβ
ラクタマーゼをコードする遺伝子であることを特徴とす
る前記(15)に記載の製造方法。 (17)該マーカー遺伝子が、ネオマイシン耐性遺伝子で
あることを特徴とする前記(14)乃至前記(16)のいず
れかに記載の製造方法。 (18)該制限酵素[E2]と制限酵素[E3]が同一の制限酵素
であることを特徴とする前記(13)乃至前記(17)のい
ずれかに記載の製造方法。 (19)該制限酵素[E2]と制限酵素[E3]が各々異なる制限
酵素であることを特徴とする前記(13)乃至前記(17)
のいずれかに記載の製造方法。 (20)該生物が、脊椎動物、昆虫、原生動物、植物、細
菌またはウイルスであることを特徴とする前記(13)乃
至前記(19)のいずれかに記載の製造方法。 (21)該脊椎動物が、非ヒト哺乳動物であることを特徴
とする前記(20)に記載の製造方法。 (22)該非ヒト哺乳動物が、マウスであることを特徴と
する前記(21)に記載の製造方法。 (23)該DNA[CL]が、マウスのゲノムDNA断片をバ
クテリア人工染色体(BAC)または酵母人工染色体(YA
C)中にクローン化してなるマウスゲノムDNA断片の
ライブラリーから選別されるものであることを特徴とす
る前記(22)に記載の製造方法。 (24)該修飾が、該DNA配列[T]のmRNAへの転写を不
能たらしめ、且つ該外来性DNAの発現を可能たらしめ
るものであることを特徴とする前記(13)乃至前記(2
3)のいずれかに記載の製造方法。
【0038】(25)生物の内在性ゲノムDNA中のDNA配列
の一部を、相同組換えにより修飾するためのターゲティ
ングDNAの製造方法であって、下記工程(a)乃至
(e)の工程: (a)該生物のゲノムDNA断片であって該DNA配列[T]
を含むゲノムDNA断片を含むDNA[CL]を、制限酵素
[E1]により、該DNA配列[T]の外側に各々存在する制
限酵素[E1]により切断可能な制限酵素認識DNA配列
[X]で切断し、該制限酵素[E1]による切断末端DNA配
列を両端に有し且つ該DNA配列[T]を含むゲノムDNA断
片[L1]を調製する工程; (b)該ゲノムDNA断片[L1]と、制限酵素[E4]により切
断可能な制限酵素認識DNA配列[Y]を含むリンカーD
NAとを連結させることにより、制限酵素認識DNA配
列[Y]及び該DNA配列[T]を含む環状ゲノムDNA[C1]を
調製する工程; (c)該組換え環状ゲノムDNA[C1]の各々のDNA鎖を鋳型
とし、下記プライマーDNA[P1]及びプライマーDNA
[P2]: プライマーDNA[P1]:5'末端近傍に制限酵素[E2]によ
り切断可能な制限酵素認識DNA配列を有し、且つその
下流に該環状ゲノムDNA[C1]の一方のDNA鎖[I]中
のDNA配列[T]の5'末端側のDNA配列に相補的なDNA配
列を有するプライマーDNAであって、該プライマーD
NAの3'末端が該DNA鎖[I]中のDNA配列[T]の5'末
端側にアニーリングし得るように設計されたプライマー
DNA;及び プライマーDNA[P2]:5'末端近傍に制限酵素[E3]によ
り切断可能な制限酵素認識DNA配列を有し、且つその
下流に該環状ゲノムDNA[C1]の他方のDNA鎖[II]中
のDNA配列[T]の5'末端側のDNA配列に相補的なD
NA配列を有するプライマーDNAであって、該プライ
マーDNAの3'末端が該DNA鎖[II]中のDNA配列
[T]の5'末端側にアニーリングし得るように設計された
プライマーDNA、を用いた逆ポリメラーゼ連鎖反応に
よるDNA増幅により、下記のDNA鎖[III]及びDNA鎖[I
V]: DNA鎖[III]:該プライマーDNA[P1]に相補的なD
NA配列及び該プライマーDNA[P2]と同一のDNA配
列の各々を末端に有し、且つ制限酵素認識DNA配列
[Y]を含むDNA鎖;及び DNA鎖[IV]:該プライマーDNA[P1]と同一のDNA
配列及び該プライマーDNA[P2]に相補的なDNA配列
の各々を末端に有し、且つ制限酵素認識DNA配列[Y]
を含むDNA鎖、とからなる組換えゲノムDNA断片[L2]
を調製する工程; (d)該組換えゲノムDNA断片[L2]の末端を制限酵素[E
2]及び制限酵素[E3]で消化して組換えゲノムDNA断片
[L2']を得、該組換えゲノムDNA断片[L2']を、制限酵
素[E2]による切断末端DNA配列及び制限酵素[E3]によ
る切断末端DNA配列を各々の末端に有し、且つ該生物
にとって外来である外来性DNAを該外来性DNAが細
胞中で発現できるような配置で含む線状化発現ベクター
DNAと連結させることにより環状ゲノムDNA[C2]を
調製する工程;及び (e)該環状ゲノムDNA[C2]を制限酵素[E4]により制
限酵素認識DNA配列[Y]で切断して得られる組換えゲ
ノムDNA断片[L3]をターゲティングDNAとして回収
する工程、を含むことを特徴とするターゲティングDN
Aの製造方法。
【0039】(26)該外来性DNAが、マーカー遺伝子
からなるDNAであることを特徴とする前記(25)に記
載の製造方法。 (27)該外来性DNAが、マーカー遺伝子及びレポータ
ー遺伝子からなるDNAであることを特徴とする前記
(25)に記載の製造方法。 (28)該レポーター遺伝子が、ルシフェラーゼまたはβ
ラクタマーゼをコードする遺伝子であることを特徴とす
る前記(27)に記載の製造方法。 (29)該マーカー遺伝子が、ネオマイシン耐性遺伝子で
あることを特徴とする前記(25)乃至前記(28)のいず
れかに記載の製造方法。 (30)該制限酵素[E2]と制限酵素[E3]が同一の制限酵素
であることを特徴とする前記(25)乃至前記(29)のい
ずれかに記載の製造方法。 (31)該制限酵素[E2]と制限酵素[E3]が各々異なる制限
酵素であることを特徴とする前記(25)乃至前記(29)
のいずれかに記載の製造方法。 (32)該生物が、脊椎動物、昆虫、原生動物、植物、細
菌またはウイルスであることを特徴とする前記(25)乃
至前記(31)のいずれかに記載の製造方法。 (33)該脊椎動物が、非ヒト哺乳動物であることを特徴
とする前記(32)に記載の製造方法。 (34)該非ヒト哺乳動物が、マウスであることを特徴と
する前記(33)に記載の製造方法。 (35)該DNA[CL]が、マウスのゲノムDNA断片をバ
クテリア人工染色体(BAC)または酵母人工染色体(YA
C)中にクローン化してなるマウスゲノムDNA断片のB
ACライブラリーから選別されるものであることを特徴と
する前記(34)に記載の製造方法。 (36)該修飾が、該DNA配列[T]のmRNAへの転写を不
能たらしめ、且つ該外来性DNAの発現を可能たらしめ
るものであることを特徴とする前記(25)乃至前記(3
5)のいずれかに記載の製造方法。
【0040】(37)生物の内在性ゲノムDNA中のDN
A配列の一部を、相同組換えにより修飾するためのター
ゲティングDNAの製造方法であって、下記工程(a)
乃至(c)の工程: (a)該生物のゲノムDNA断片であって該DNA配列
[T]を含むゲノムDNA断片[L1]と制限酵素[E1]で切断
可能な制限酵素認識DNA配列[X]を有する発現ベクタ
ーDNAとからなる環状ゲノムDNA[C1]の各々のDN
A鎖を鋳型とし、下記プライマーDNA[P1]及びプライ
マーDNA[P2]: プライマーDNA[P1]:5'末端近傍に制限酵素[E2]によ
り切断可能な制限酵素認識DNA配列を有し、且つその
下流に該環状ゲノムDNA[C1]の一方のDNA鎖[I]中
のDNA配列[T]の5'末端側のDNA配列に相補的なD
NA配列を有するプライマーDNAであって、該プライ
マーDNAの3'末端が該DNA鎖[I]中のDNA配列[T]
の5'末端側にアニーリングするように設計されたプライ
マーDNA;及び プライマーDNA[P2]:5'末端近傍に制限酵素[E3]によ
り切断可能な制限酵素認識DNA配列を有し、且つその
下流に該環状ゲノムDNA[C1]の他方のDNA鎖[II]中
のDNA配列[T]の5'末端側のDNA配列に相補的なD
NA配列を有するプライマーDNAであって、該プライ
マーDNAの3'末端が該DNA鎖[II]中のDNA配列
[T]の5'末端側にアニーリングするように設計されたプ
ライマーDNA、を用いた逆ポリメラーゼ連鎖反応によ
るDNA増幅により、下記DNA鎖[III]及びDNA鎖
[IV]: DNA鎖[III]:該プライマー[P1]に相補的なDNA配
列及び該プライマーDNA[P2]と同一のDNA配列を各
々の末端に有し、且つ制限酵素認識DNA配列[X]を含
むDNA鎖;及び DNA鎖[IV]:該プライマー[P1]と同一のDNA配列及
び該プライマーDNA[P2]に相補的なDNA配列を各々
の末端に有し、且つ制限酵素認識DNA配列[X]を含む
DNA鎖、とからなる組換えゲノムDNA断片[L2]を調
製する工程; (b)該組換えゲノムDNA断片[L2]の末端を制限酵素
[E2]及び制限酵素[E3]で消化して組換えゲノムDNA断
片[L2']を得、該組換えゲノムDNA断片[L2']を、制限
酵素[E2]による切断末端DNA配列及び制限酵素[E3]に
よる切断末端DNA配列を各々の末端に有する該生物に
とって外来である外来性DNAと連結させることにより
環状ゲノムDNA[C3]を調製する工程;及び (c)該環状ゲノムDNA[C2]を制限酵素[E1]により制
限酵素認識DNA配列[X]で切断して得られる組換えゲ
ノムDNA断片[L3]をターゲティングDNAとして回収
する工程、を含むことを特徴とするターゲティングDN
Aの製造方法。
【0041】(38)下記工程(a2)乃至(a4): (a2)工程(a)で得た組換えゲノムDNA断片[L2]
を分子内連結することにより環状ゲノムDNA[C2]を調
製する工程; (a3)宿主を該環状ゲノムDNA[C2]で形質転換する
ことにより得られる形質転換宿主を培養することにより
該環状ゲノムDNA[C2]を増幅する工程;及び (a4)該環状ゲノムDNA[C2]を制限酵素[E2]及び/
または制限酵素[E3]により該分子内連結部位で切断し
て、所望の量の該組換えゲノムDNA断片[L2]を調製す
る工程、をさらに含むことを特徴とする前記(37)に記
載の製造方法。 (39)該外来性DNAが、マーカー遺伝子からなるDN
Aであることを特徴とする前記(37)または前記(38)
に記載の製造方法。 (40)該外来性DNAが、マーカー遺伝子及びレポータ
ー遺伝子からなるDNAであることを特徴とする前記
(37)または前記(38)に記載の製造方法。 (41)該レポーター遺伝子が、ルシフェラーゼまたはβ
ラクタマーゼをコードする遺伝子であることを特徴とす
る前記(40)に記載の製造方法。 (42)該制限酵素[E2]と制限酵素[E3]が同一の酵素であ
ることを特徴とする前記(37)乃至前記(41)のいずれ
かに記載の製造方法。 (43)該制限酵素[E2]と制限酵素[E3]が各々異なる酵素
であることを特徴とする前記(37)乃至前記(41)のい
ずれかに記載の製造方法。 (44)該生物が、脊椎動物、昆虫、原生動物、植物、細
菌またはウイルスであることを特徴とする前記(37)乃
至前記(43)のいずれかに記載の製造方法。 (45)該脊椎動物が、非ヒト哺乳動物であることを特徴
とする前記(44)に記載の製造方法。 (46)該非ヒト哺乳動物が、マウスであることを特徴と
する前記(45)に記載の製造方法。 (47)該ゲノムDNA断片[L1]が、マウスのゲノムDN
A断片をバクテリア人工染色体(BAC)または酵母人工
染色体(YAC)中にクローン化してなるマウスゲノムD
NA断片のライブラリーから選別されたクローン中に含
まれるマウスゲノムDNA断片に由来するものであるこ
とを特徴とする前記(46)に記載の製造方法。
【0042】(48)該環状ゲノムDNA[C1]が、該生物
のゲノムDNAを制限酵素で消化して得られる任意のゲ
ノムDNA断片の各々と制限酵素[E1]で切断可能な制限
酵素認識DNA配列[X]を有する発現ベクターDNAと
からなる複数種類の環状ゲノムDNAからなるゲノムD
NAライブラリー中に含まれていることを特徴とする前
記(37)乃至前記(47)のいずれかに記載の製造方法。 (49)該ゲノムDNAライブラリーが、該環状ゲノムD
NAを複数のウェルを有するマイクロプレートに配備し
てなるゲノムDNAライブラリーであることを特徴とす
る前記(48)に記載の製造方法。 (50)該環状ゲノムDNA中に含まれる該ゲノムDNA
断片の大きさが、約5乃至約12Kbであることを特徴とす
る前記(48)または前記(49)に記載の製造方法。 (51) 約5乃至約12Kbの大きさの生物のゲノムDNA
断片を発現ベクターにクローン化してなる複数種類のク
ローンからなるゲノムDNA断片ライブラリー。 (52)該ゲノムDNAライブラリーが、該クローンの各
々を多数のウェルを有するマイクロプレートに配備して
なることを特徴とする前記(51)に記載のゲノムDNA
ライブラリー。 (53)前記(1)乃至前記(50)のいずれかに記載の製
造方法により得られるターゲティングDNA。 (54) 内在性ゲノムDNA中の一部のDNA配列が修飾され
た組換え細胞、組換え細菌または組換えウイルスの製造
方法であって、生物の細胞、細菌またはウイルスを前記
(1)乃至前記(12)または前記(37)乃至前記(50)
のいずれかに記載の製造方法により製造されるターゲテ
ィングベクターDNAで形質転換し、該ターゲティング
DNAと該内在性ゲノムDNAとの間の相同組換えの結
果、該内在性ゲノムDNAに該ターゲティングベクター
DNAが組込まれている細胞、細菌またはウイルスを選
別し、取得することからなる製造方法。 (55)内在性ゲノムDNA中の一部のDNA配列が修飾された
組換え細胞、組換え細菌または組換えウイルスの製造方
法であって、生物の細胞、細菌またはウイルスを前記
(13)乃至前記(36)のいずれかに記載の製造方法によ
り製造されるターゲティングベクターDNAで形質転換
し、該ターゲティングDNAと該内在性ゲノムDNAと
の間の相同組換えの結果、該内在性ゲノムDNAに該タ
ーゲティングベクターDNAが組込まれている細胞、細
菌またはウイルスを選別し、取得することからなる製造
方法。
【0043】(56)該細胞、細菌またはウイルスの選別
が、下記の工程: a)該細胞、細菌またはウイルスの内在性ゲノムDNA
の各々のDNA鎖を鋳型とし、下記のプライマーDNA
[P3]及びプライマーDNA[P4]: プライマーDNA[P3]:該ターゲティングベクターDN
Aの一方のDNA鎖の3'末端側の該リンカーDNA由来
のDNA配列及びそれに隣接する制限酵素[E4]による切
断末端DNA配列の一部に相補的なDNA配列を有する
プライマーDNA;及び、 プライマーDNA[P4]:該ターゲティングベクターDN
Aの他方のDNA鎖に含まれる該外来性DNAの一部の
DNA配列に相補的なDNA配列を有するプライマーD
NA、を用いたポリメラーゼ連鎖反応によるDNA増幅
を行う工程;及び b)ゲル電気泳動によりDNAの増幅が認められない細
胞、細菌またはウイルスを同定し、回収する工程、を含
むことを特徴とする前記(55)に記載の製造方法。
【0044】(57)該細胞、細菌またはウイルスの選別
が、下記の工程: a)該細胞、細菌またはウイルスの内在性ゲノムDNA
の各々のDNA鎖を鋳型とし、下記のプライマーDNA
[P3]及びプライマーDNA[P4]: プライマーDNA[P3]:該ターゲティングベクターDN
Aの一方のDNA鎖[I]の3'末端側の該リンカーDNA
由来のDNA配列及びそれに隣接する制限酵素[E4]によ
る切断末端DNA配列の一部に相補的なDNA配列を有
するプライマーDNA;及び、 プライマーDNA[P4]:該ターゲティングベクターDN
Aの他方のDNA鎖[II]に含まれる該外来性DNAの一
部のDNA配列に相補的なDNA配列を有するプライマ
ーDNA、を用いたポリメラーゼ連鎖反応によるDNA
増幅を行う工程; b)ゲル電気泳動によりDNAの増幅が認められない細
胞、細菌またはウイルスを同定する工程; c)工程b)で同定された細胞、細菌またはウイルスの
内在性ゲノムDNAの各々のDNA鎖を鋳型とし、下記
のプライマーDNA[P5]及びプライマーDNA[P6]: プライマーDNA[P5]:該ターゲティングベクターDN
Aの該DNA鎖[II]の3'末端側の該リンカーDNA由来
のDNA配列及びそれに隣接する制限酵素[E4]による切
断末端DNA配列の一部に相補的なDNA配列を有する
プライマーDNA;及び、 プライマーDNA[P6]:該ターゲティングベクターDN
Aの該DNA鎖[I]に含まれる該外来性DNAの一部の
DNA配列に相補的なDNA配列を有するプライマーD
NA、を用いたポリメラーゼ連鎖反応によるDNA増幅
を行う工程;及び d)ゲル電気泳動によりDNAの増幅が認められない細
胞、細菌またはウイルスを同定し、回収する工程、を含
むことを特徴とする前記(55)に記載の製造方法。
【0045】(58)該細胞、細菌またはウイルスの選別
が、下記の工程: a)該細胞、細菌またはウイルスの内在性ゲノムDNA
の各々のDNA鎖を鋳型とし、下記のプライマーDNA
[P3]及びプライマーDNA[P4]: プライマーDNA[P3]:該ターゲティングベクターDN
Aの一方のDNA鎖[I]の3'末端側の該リンカーDNA
由来のDNA配列及びそれに隣接する制限酵素[E4]によ
る切断末端DNA配列の一部に相補的なDNA配列を有
するプライマーDNA;及び、 プライマーDNA[P4]:該ターゲティングベクターDN
Aの他方のDNA鎖[II]に含まれる該外来性DNAの一
部のDNA配列に相補的なDNA配列を有するプライマ
ーDNA、を用いたポリメラーゼ連鎖反応によるDNA
増幅を行う工程; b)ゲル電気泳動によりDNAの増幅が認められない細
胞、細菌またはウイルスを同定する工程; c)工程b)で同定された細胞、細菌またはウイルスの
内在性ゲノムDNAの各々のDNA鎖を鋳型とし、下記
のプライマーDNA[P5]及びプライマーDNA[P6]: プライマーDNA[P5]:該ターゲティングベクターDN
Aの該DNA鎖[II]の3'末端側の該リンカーDNA由来
のDNA配列及びそれに隣接する制限酵素[E4]による切
断末端DNA配列の一部に相補的なDNA配列を有する
プライマーDNA;及び、 プライマーDNA[P6]:該ターゲティングベクターDN
Aの該DNA鎖[I]に含まれる該外来性DNAの一部の
DNA配列に相補的なDNA配列を有するプライマーD
NA、を用いたポリメラーゼ連鎖反応によるDNA増幅
を行う工程; d)ゲル電気泳動によりDNAの増幅が認められない細
胞、細菌またはウイルスを同定する工程; e)該ターゲティングDNAの各々のDNA鎖を鋳型と
し、該プライマーDNA[P3]及びプライマーDNA[P
5]を用いたポリメラーゼ連鎖反応によるDNA増幅を行
う工程; f)増幅されたDNAの各々の末端側に存在する制限酵
素認識DNA配列[X]に隣接する内側のDNA配列を決
定する工程; g)工程d)で同定された細胞、細菌またはウイルスの
内在性ゲノムDNAの各々のDNA鎖を鋳型とし、工程
f)で決定されたDNA配列を基に下記のプライマーD
NA[P7]及びプライマーDNA[P8]:プライマーDNA
[P7]:該ターゲティングベクターDNAの該DNA鎖
[I]の3'末端側に存在する制限酵素認識DNA配列[X]及
びそれに隣接する内側のDNA配列の一部に相補的なD
NA配列を有するプライマーDNA;及び、 プライマーDNA[P8]:該ターゲティングベクターDN
Aの該DNA鎖[II]の3'末端側に存在する制限酵素認識
DNA配列[X]及びそれに隣接する内側のDNA配列の
一部に相補的なDNA配列を有するプライマーDNA、
を用いたポリメラーゼ連鎖反応によるDNA増幅を行う
工程;及び、 h)ゲル電気泳動によりDNAの増幅が認められる細
胞、細菌またはウイルスを同定し、回収する工程;を含
むことを特徴とする前記(55)に記載の製造方法。
【0046】(59)該生物の細胞が、脊椎動物、昆虫、
原生動物、及び植物からなる群から選ばれるいずれかの
生物の細胞であることを特徴とする前記(54)乃至前記
(58)のいずれかに記載の製造方法。 (60)該脊椎動物が、非ヒト哺乳動物であることを特徴
とする前記(59)に記載の製造方法。 (61)該非ヒト哺乳動物が、マウスであることを特徴と
する前記(60)に記載の方法。 (62)該ターゲティングベクターDNAが、前記(1
1)、前記(23)、前記(35)または前記(47)のいず
れかに記載の製造方法により製造されるターゲティング
ベクターDNAであることを特徴とする前記(61)に記
載の製造方法。 (63)該細胞が、胚性幹細胞であることを特徴とする前
記(60)乃至前記(62)のいずれかに記載の製造方法。 (64)該修飾が、該DNA配列のmRNAへの転写を不能た
らしめ、且つ該外来性DNAの発現を可能たらしめるも
のであることを特徴とする前記(54)乃至前記(63)の
いずれかに記載の製造方法。 (65)前記(54)乃至前記(64)のいずれかに記載の製
造方法により得られる組換え細胞、組換え細菌または組
換えウイルス。 (66)前記(63)に記載の製造方法により得られる組換
え胚性幹細胞。
【0047】(67)内在性ゲノムDNA中の一部のDNA配列
が修飾された組換え非ヒト哺乳動物の製造方法であっ
て、下記(a)乃至(e)の工程: (a)雌性非ヒト哺乳動物[A]の受精卵に、前記(63)
に記載の製造方法により得られる組換え胚性幹細胞を注
入し組換え受精卵を得る工程; (b)該組換え受精卵を、雌性非ヒト哺乳動物[B]の子
宮に移植する工程;及び、 (c)該雌性非ヒト哺乳動物[B]が出産する雄性または
雌性の胎児[P]を得る工程、 (d)下記(1)または(2)のいずれかの工程: (1)該胎児[P]が成長してなる雄性非ヒト哺乳動物[C]
を雌性非ヒト哺乳動物[D]と交配させ該雌性非ヒト哺乳
動物[D]が出産する雄性または雌性の胎児[Q]を得る工
程;または、 (2)該胎児[P]が成長してなる雌性非ヒト哺乳動物[C]
を雄性非ヒト哺乳動物[D]と交配させ該雌性非ヒト哺乳
動物[C]が出産する雄性または雌性の胎児[Q]を得る工
程; (e)該胎児[Q]が成長してなる雄性または雌性の非ヒ
ト哺乳動物[E]から、該組換え胚性幹細胞のゲノムDN
A中の修飾に由来する修飾を、一対の染色体の一方に有
する雄性または雌性の該非ヒト哺乳動物[E]を選別し、
組換え非ヒト哺乳動物として得る工程、からなることを
特徴とする製造方法。
【0048】(68)該雌性非ヒト哺乳動物[A]と該雌性
非ヒト哺乳動物[B]とが同一の個体であることを特徴と
する前記(67)に記載の製造方法。 (69)該雌性非ヒト哺乳動物[A]と該雌性非ヒト哺乳動
物[B]とが各々異なる個体であることを特徴とする前記
(67)に記載の製造方法。 (70)前記(67)乃至前記(69)のいずれかに記載の製
造方法であって、さらに下記の工程(f)及び(g): (f)下記(1)または(2)のいずれかの工程: (1)工程(e)で得られた雄性組換え非ヒト哺乳動物
[E]を雌性非ヒト哺乳動物[F]と交配させ該雌性非ヒト哺
乳動物[F]が出産する雄性または雌性の胎児[R]を得る工
程;または、 (2)工程(e)で得られた雌性組換え非ヒト哺乳動物
[E]を雄性非ヒト哺乳動物[F]と交配させ該雌性非ヒト哺
乳動物[E]が出産する雄性または雌性の胎児[R]を得る工
程;及び、 (g)該胎児[R]が成長してなる雄性または雌性の非ヒ
ト哺乳動物[G]から、該組換え胚性幹細胞のゲノムDN
A中の修飾に由来する修飾を、一対の染色体の両方に有
する雄性または雌性の該非ヒト哺乳動物[G]を選別し、
組換え非ヒト哺乳動物として得る工程、からなることを
特徴とする製造方法。
【0049】(71)該工程(d)が、雄性非ヒト哺乳動
物[C]を雌性非ヒト哺乳動物[D]と交配させ該雌性非ヒト
哺乳動物[C]が出産する雄性または雌性の胎児[Q]を得る
工程からなることを特徴とする前記(67)乃至前記(7
0)のいずれかに記載の製造方法。 (72)該工程(f)が、雄性組換え非ヒト哺乳動物[E]
を雌性非ヒト哺乳動物[F]と交配させ該雌性非ヒト哺乳
動物[F]が出産する雄性または雌性の胎児[R]を得る工程
からなることを特徴とする前記(70)または前記(71)
に記載の製造方法。 (73)該修飾が、該DNA配列のmRNAへの転写を不能た
らしめ、且つ該外来性DNAの発現を可能たらしめるも
のであることを特徴とする前記(67)乃至前記(72)の
いずれかに記載の製造方法。 (74)該非ヒト哺乳動物が、マウスであることを特徴と
する前記(67)乃至前記(73)のいずれかに記載の製造
方法。
【0050】(75)cDNAライブラリーに含まれる所
望のcDNAを保持するクローンを同定し取得する方法
であって、下記工程(a)乃至(c): (a)該cDNAライブラリーの各々のクローンに対し
て、下記プライマーDNA[P1]及びプライマーDNA[P
2]: プライマーDNA[P1]:該所望のcDNAの一方のDN
A鎖[I]の一部のDNA配列に相補的なDNA配列を有
するプライマーDNAであって、該プライマーDNAの
3'末端が該DNA鎖[I]の一部のDNA配列の5'末端側
にアニーリングするように設計されたプライマーDN
A;及び プライマーDNA[P2]:該所望のcDNAの他方のDN
A鎖[II]の一部のDNA配列に相補的なDNA配列を有
するプライマーDNAであって、該プライマーDNAの
3'末端が該DNA鎖[II]の一部のDNA配列の5'末端側
にアニーリングするように設計されたプライマーDN
A、を用いた逆ポリメラーゼ連鎖反応によるDNA増幅
を施す工程; (b)ゲル電気泳動によりDNA増幅が認められるクロ
ーンを同定する工程;及び (c)該同定したクローンを取得する工程、からなる方
法。
【0051】(76)該cDNAライブラリーが、各々の
クローンを多数のウェルを有するマイクロプレートに配
備してなるcDNAライブラリーであることを特徴とす
る前記(75)に記載の方法。 (77)該所望のcDNAが、オープンリーディングフレ
ーム(ORF)を含むことを特徴とする前記(75)または
前記(76)に記載の方法。 (78)該所望のcDNAが、3'UTR、ORF及び5'UTRを含
むことを特徴とする前記(75)乃至前記(77)のいずれ
かに記載の方法。 (79)該プライマー[P1]及びプライマー[P2]の各々が、
下記のいずれか: (a)該所望のcDNAのORFにアニーリングする; (b)一方が該所望のcDNAのORFにアニーリング
し、及び他方が該所望のcDNAの5'UTRにアニーリン
グする; (c)一方が該所望のcDNAのORFにアニーリング
し、及び他方が該所望のcDNAの3'UTRにアニーリン
グする;または (d)一方が該所望のcDNAの5'UTRにアニーリング
し、及び他方が該所望のcDNAの3'UTRにアニーリン
グする、 の特徴を有するものであることを特徴とする前記(75)
乃至前記(78)のいずれかに記載の方法。 (80)該cDNAライブラリーが、哺乳動物のmRNA
に対応するcDNAのライブラリーであることを特徴と
する前記(75)乃至前記(79)のいずれかに記載の方
法。 (81)該哺乳動物が、マウス、ラットまたはヒトである
ことを特徴とする前記(80)に記載の方法。 (82)配列番号25に記載されるアミノ酸配列を有する
タンパクをコードするDNAまたはその断片。 (83)配列番号24に記載される塩基配列を含むDNA
またはその断片。 (84)配列番号24に記載される塩基配列の塩基番号3
乃至524の塩基を含むDNAまたはその断片。 (85)配列番号25に記載されるアミノ酸配列を有する
タンパクまたはその断片。 (86)前記(82)乃至前記(84)のいずれかに記載のD
NA若しくはその断片を含む発現ベクター。 (97)前記(86)に記載の発現ベクターで形質転換され
た形質転換細胞。
【0052】
【発明の実施の形態】以下、本発明で用いる語句の意味
を明らかにすることにより、本発明を詳細に説明する。
本発明における「生物」とは、脊椎動物、昆虫、原生動
物、植物、細菌及びウイルス等のあらゆる生命体を意味
する。好ましくは脊椎動物、細菌またはウイルスであ
り、さらに好ましくは脊椎動物またはウイルスであり、
特に好ましくは脊椎動物である。
【0053】脊椎動物としては、ヒト以外の哺乳動物
(非ヒト哺乳動物)が好ましい。非ヒト哺乳動物として
は、サル、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、イヌ、ネコ、ウ
サギ、ラット、ハムスター、モルモット、及びマウス等
を挙げることができ、好ましくはマウスである。植物と
しては、食用植物、森林植物、観葉植物、あるいは雑草
などのあらゆる植物を挙げることができる。細菌として
は、例えば、外毒素または内毒素を産生する種々の細菌
が好ましく、例えば、グラム陽性病原菌(例えば、ジフ
テリア菌、破傷風菌、ガス壊疽菌、ボツリヌス菌、百日
咳菌、ブドウ球菌、連鎖状球菌など)、あるいはグラム
陰性病原菌(例えば、コレラ菌、大腸菌、緑膿菌、サル
モネラ菌、赤痢菌、髄膜菌炎菌、淋菌、など)などが挙
げられる。本発明のターゲティングDNAを用いて、こ
のような細菌の内在性ゲノムDNAに修飾を施すことに
より、細菌を弱毒化あるいは無毒化し、ワクチンを製造
することが可能である。
【0054】ウイルスとしては、例えば、レトロウイル
ス(例えば、マウス白血病ウイルス等のオンコルナウイ
ルス、レンチウイルス、スプーマウイルスなど)、アデ
ノウイルス(例えば、II型、V型など)、アデノ随伴ウ
イルス、肝炎ウイルス(例えば、A型、B型、C型、非
A非B型、D型など)、ヒト免疫不全ウイルス(HI
V)、インフルエンザウイルス、ヘルペスウイルス、ポ
リオウイルス、ポックスウイルスなどが挙げられる。好
ましくは、レトロウイルス(例えば、マウス白血病ウイ
ルス等のオンコルナウイルス、レンチウイルス、スプー
マウイルスなど)、アデノウイルス(例えば、II型、V
型など)、アデノ随伴ウイルス、肝炎ウイルス(例え
ば、A型、B型、C型、非A非B型、D型など)、ヒト
免疫不全ウイルス(HIV)、インフルエンザウイルス
である。本発明のターゲティングDNAを用いて、この
ようなウイルスの内在性ゲノムDNAに修飾を施すこと
により、細菌を弱毒化、無毒化、あるいは非増殖性とす
ることにより、ワクチンを製造することが可能である。
とりわけ、レトロウイルス(特に、マウス白血病ウイル
ス等のオンコルナウイルス)、アデノウイルス及びアデ
ノ随伴ウイルスについては、ウイルスの複製に必要なD
NA領域のmRNAへの翻訳を阻害するように修飾すること
により、遺伝子治療に汎用されているウイルスベクター
を作製することができる。
【0055】本発明における「ターゲティングDNA」
とは、相同組換えにより、前記生物の内在性ゲノムDN
A中の所望の標的DNA配列を修飾するために用いられ
るDNA構造体を意味する。ここで当該「DNA構造
体」は、各々の末端側に、該標的DNA配列の外側に存
在する各々のゲノムDNA配列に相同なDNA配列(相
同領域)を有し、該2つの相同領域に挟まれるDNA配
列中に該内在性ゲノムDNAにとって外来である所望の
外来性DNAを有するという基本構造からなる。該各々
の「相同領域」の塩基長は、該ターゲティングDNAが
該内在性ゲノムDNAとハイブリダイズして両者の間で
相同組換えが起こすことができる限り、どのような長さ
であってもよいが、好ましくは約2kbp(約2,000bp)以
上である。しかしながら、当該例示の塩基長は、該相同
組換を高い確率で起こさせるために必要な長さを、単に
1,000bpの単位で示しただけである。即ち、当該相同領
域の塩基長は数bp乃至数百bpの単位で増減し得る。
【0056】また、標的DNA配列の「修飾」とは、タ
ーゲティングDNAと内在性ゲノムDNAとの相同組換
えにより、該内在性ゲノムの一部に導入される下記のよ
うなDNA配列の改変を意味する。 (1)該標的DNAの一部または全部のDNA配列の欠
失。 (2)該標的DNAの一部または全部のDNA配列の外
来性DNAとの置換。 (3)該標的DNAの一部または全部のDNA配列中へ
の外来性DNAの挿入。 好ましい「修飾」としては、前記(2)の置換を挙げる
ことができる。また当該「置換」としては、当該置換
が、該標的DNA配列のmRNAへの転写を不可能たらしめ
るような置換であることが好ましい。さらに好ましく
は、該標的DNA配列のmRNAへの転写を不可能たらし
め、且つ該外来性DNAの発現を可能たらしめるような
置換である。
【0057】当該「外来性DNA」としては、所望のい
かなるDNAであってもよいが、例えば、マーカー遺伝
子、レポーター遺伝子、遺伝子増幅遺伝子、内在性ゲノ
ムDNA中の所望の遺伝子のmRNAへの転写を制御する能
力を有する遺伝子発現制御DNA配列、あるいはそれら
の1つ以上を含むDNA配列を挙げることができる。該
「マーカー遺伝子」としては、遺伝子組換え技術分野に
おいて通常使用されるいかなるマーカー遺伝子も用いる
ことができる。例えば、テトラサイクリン、アンピシリ
ン、ネオマイシン、ピューロマイシン、ブラストサイシ
ンまたはカナマイシン等の抗生物質耐性遺伝子等が例示
される。好ましくは、ネオマイシン耐性遺伝子である。
【0058】該「遺伝子増幅遺伝子」としては、ジヒド
ロ葉酸レダクターゼ(DHFR)遺伝子、チミジンキナ
ーゼ遺伝子、グルタミン酸合成酵素遺伝子、アデノシン
デアミナーゼ遺伝子、オルニチンデカルボキシラーゼ遺
伝子、ヒグロマイシン−B−ホスホトランスフェラーゼ
遺伝子、アスパルラートトランスカルバミラーゼ遺伝子
等を例示することができる。さらに、HPRT(フォスフォ
リボシルオトランスフェラーゼ)遺伝子も使用可能であ
る。
【0059】該「レポーター遺伝子」としては、蛍若し
くはウミシイタケなどに由来するルシフェラーゼ、クラ
ゲ由来のGFP(Green Fluorescence Protein)あるい
はβラクタマーゼなどをコードする遺伝子を挙げること
ができる。該「遺伝子発現制御DNA配列」としては、
例えば、遺伝子活性化(ジーンアクチベーション)と称
される技術において用いられるようなDNA配列を挙げ
ることができる(国際出願公開公報WO91/06667など)。
【0060】本発明における「ノックアウト細胞」及び
「ノックアウト動物」とは、例えば、相同組換え用ター
ゲティングDNAを用いて、内在性ゲノムDNA中の標
的DNA配列(例えば、生理活性蛋白をコードする内在
性遺伝子)の一部または全部に、前記に定義したような
「修飾」が導入される結果、該標的DNA配列のmRNAへ
の転写が不能である(不活性化されている)細胞及び生
物を意味する。
【0061】該「細胞」には、前記に定義した種々の
「脊椎動物」の種々の体細胞、生殖細胞(受精卵、精子
など)に由来する生細胞または樹立された細胞株が含ま
れる。さらには、受精卵に含まれる胚性幹細胞(Embryo
nic stem cell;ES細胞)が包含される。また、植物
由来の生細胞または樹立した細胞株も包含される該「動
物」としては、前記に定義した種々の脊椎動物、好まし
くは非ヒト哺乳動物を挙げることができ、より好ましく
はマウスである。
【0062】本発明における「ノックイン細胞」及び
「ノックイン動物」とは、例えば相同組換え用ターゲテ
ィングDNAを用いて、内在性ゲノム中の標的DNA配
列(例えば、生理活性蛋白をコードする内在性遺伝子)
の一部または全部に、前記(2)において例示したよう
な外来性DNAとの置換により修飾が導入された結果、
該標的DNA配列のmRNAへの転写が阻害される(即ち、
標的遺伝子の不活性化、破壊)一方で、該外来性遺伝子
を発現する能力を獲得した細胞や動物を意味する。該外
来性DNAとしては、前記に例示したような種々のマー
カー遺伝子及び/またはレポーター遺伝子を含むDNA
を挙げることができる。好ましくはマーカー遺伝子とレ
ポーター遺伝子を共に含むDNAであることが好まし
い。好ましい具体的態様の一例としては、ネオマイシン
耐性遺伝子等のマーカー遺伝子の上流にルシフェラーゼ
やβラクタマーゼなどのレポーター蛋白をコードする遺
伝子を含む外来性DNAを挙げることができる。
【0063】該「ノックイン動物」で言うところの「動
物」としては、前記に定義した種々の脊椎動物、好まし
くは非ヒト哺乳動物を挙げることができ、より好ましく
はマウスである。該「ノックイン細胞」で言うところの
「細胞」には、前記に定義した種々の「脊椎動物」の種
々の体細胞、生殖細胞(受精卵、精子など)に由来する
生細胞または樹立された細胞株が含まれる。さらには、
受精卵に含まれる胚性幹細胞(Embryonic stem cell;
ES細胞)が包含される。また、植物由来の生細胞また
は樹立した細胞株も包含される。さらに、前記「ノック
イン動物」に由来する種々の体細胞及び生殖細胞も包含
される。
【0064】該ノックアウト細胞やノックアウト動物
は、該標的DNA配列(例えば、生理活性蛋白をコード
する内在性遺伝子)が不活性化されることにより現れる
細胞の形態学的変化、組織学的変化、個体の表現型上の
変化、疾患症状の発現の有無、あるいは生存率等の種々
の変化を、同一種の正常な細胞あるいは動物のそれらと
比較することにより、該不活性化された遺伝子がコード
する蛋白の生理学的機能の解明を可能とする。
【0065】一方、ノックイン細胞やノックイン動物
は、前述のノックアウト細胞やノックアウト動物におい
て可能となる該不活性化内在性遺伝子の機能解析だけで
なく、該標的内在性遺伝子の機能のさらに詳細な解析、
並びに該標的内在性遺伝子の発現を調節する薬剤の同定
を可能とするものである。即ち、ノックイン細胞やノッ
クイン動物は、該不活性化された標的内在性遺伝子の代
わりに、挿入された外来性のルシフェラーゼやβラクタ
マーゼ等の外来性のレポーター遺伝子を発現するように
作製されていることから、該標的内在性遺伝子の機能が
不明である場合には、該ノックイン細胞やノックイン動
物に医薬上の活性が判明している種々の薬剤や化合物を
投与し、該薬剤の投与に依存する該レポーター遺伝子の
発現の増減を測定することにより、該標的内在性遺伝子
が関わる疾患を推定することが可能となる。また、該内
在性遺伝子の機能並びに該遺伝子の疾患との関わりが明
らかな場合には、該ノックイン細胞やノックイン動物に
種々の化合物を投与することにより、該化合物の投与に
依存する該レポーター遺伝子の発現の増減を誘導する活
性を有する化合物を同定することができる。そのように
して同定された化合物は該標的内在性遺伝子の発現調節
剤として該遺伝子が関わる疾患の治療剤として開発され
る価値を有する。
【0066】本発明の「組換え非ヒト哺乳動物」とは、
前述のノックアウト動物及びノックイン動物に各々包含
される、ノックアウト非ヒト哺乳動物及びノックイン非
ヒト哺乳動物を意味する。本発明の「組換え細胞」と
は、前述したノックアウト細胞またはノックイン細胞を
包含する。
【0067】本発明の「ターゲティングDNA」の製造
に用いられる所望の生物のゲノムDNA断片は、修飾を
施そうとする標的DNA配列の一部または全部を基にD
NAプローブまたはPCR用プライマーDNAを作製し、
市販または所望に応じて独自に調製したゲノムDNAラ
イブラリー(本発明のゲノムDNAライブラリーを含む)
を所望の方法でスクリーニングし、該標的DNA配列を
含むゲノムDNA断片を含む陽性クローンを同定するこ
とにより得ることができる。ゲノムDNAライブラリー
としては、例えば、ファージライブラリー、BAC(Ba
cteria Artificial Chromosome)ライブラリーあるいは
YACライブラリー(Yeast Artificial Chromosome)
などを用いることができる。好ましくは、BACライブ
ラリーまたはYACライブラリーであり、特に好ましく
はBACライブラリーである。また、ゲノムライブラリ
ーとしては、本発明のゲノムDNAライブラリーも極めて
有用である。
【0068】ファージライブラリー作製に用いられるフ
ァージベクターとしては、例えば、λDASH-II、λFIX-I
I、λ2001、EMBL3、EMBL4、Charon4A、Charon21A、Char
on32、Charon35、λgt10、λgt11、λZapII、P1ファー
ジ、及びT3ファージなどを挙げることができる。ゲノム
DNAライブラリーのスクリーニングは、常法に従っ
て、例えば下記の方法により行うことができる。 (1)該標的DNA配列の一部または全部を含むDNA
を放射性同位体で標識したDNAプローブを用いるプラ
ークハイブリダイゼーション法(プラークハイブリダイ
ゼーション法)(実験医学別冊、「遺伝子工学ハンドブ
ック」、p.58-64, 1992、羊土社発行などを参照)。 (2)該標的DNA配列を基に設計された一対のプライ
マーDNAを用いるPCR法と該プラークハイブリダイ
ゼーションを組み合せた方法(蛋白質核酸酵素増刊、
「ゲノム解析研究」、Vol.38, No.3, p.591-599,1993、
共立出版株式会社発行などを参照)。 (3)該標的DNA配列を基に設計された一対のプライ
マーDNAを用いるPCR法のみを用いる方法(蛋白質
核酸酵素増刊、「ゲノム解析研究」、Vol.38,No.3, p.5
91-599,1993、共立出版株式会社発行などを参照)。 (4)パルスフィールドゲル電子泳動とサザンハイブリ
ダイゼーションを用いる方法(蛋白質核酸酵素増刊、
「ゲノム解析研究」、Vol.38, No.3, p.591-599,1993、
共立出版株式会社発行などを参照)。所望のゲノムDN
AクローンをYACライブラリーまたはBACライブラ
リーから単離する場合には、前記(2)乃至(3)のい
ずれかの方法を用いることができる。実験操作の簡便性
並びに時間の節減の観点を考慮すると、プラークハイブ
リダイゼーションやラジオグラフィー等の煩雑な操作を
必要としない前記(3)の方法を用いるのが好ましい。
【0069】前記(3)の方法は、48ウェル(48穴)、
96ウェル(96穴)あるいは364ウェル(穴)等の多数の
ウェルを有するマイクロプレートの各ウェルに各々異な
るゲノムDNAクローンを一種類ずつ備えられた複多数
の該マイクロプレートから構成されるYACライブラリ
ーまたはBACライブラリーをいわゆる三次元PCR
(3D-PCR)と呼称される方法を用いてスクリーニングす
ることを特徴とするものである。
【0070】以下に各々異なるクローンが例えば多数の
96穴マイクロプレート(縦8ウェル×横12ウェル)の各
ウェルに保存されているBACライブラリーまたはYA
Cライブラリーを想定した場合の3D-PCRによるスクリー
ニング方法の基本原理を概略する。但し、用いられる市
販のライブラリーによって多少の実験操作の差異がある
ことから、実際のスクリーニングにおいては、該ライブ
ラリーに添付の実験操作マニュアルに従って行うのが好
ましい。 例えば、該96穴マイクロプレートを縦5枚×横3枚に
隣接して並べ、さらに、各プレートの各々に各々別のプ
レートを重ね合計47段とする。縦、横及び高さを各々
X軸、Y軸及びZ軸とすると、X軸方向には合計40ウェ
ル(8ウェル×5枚、座標:X1乃至X40)、Y軸方向に
は合計36ウェル(12ウェル×3枚、座標:Y1乃至Y36)、
Z軸方向には合計47ウェル(47段、座標:Z1乃至Z4
7)が存在することとなる。 Z軸上の座標がZ1である全てのウェルの各クローンサ
ンプルを混合して混合サンプルmZ1を調製する。次い
で、Z軸上の座標がZ2である全てのウェルの各クローン
サンプルを混合して混合サンプルmZ2を調製する。同様
にして、座標Z3乃至Z47の各々について、混合サンプルm
Z3乃至mZ47を調製する。
【0071】X軸上の座標がX1である全てのウェルの
各クローンサンプルを混合して混合サンプルmX1を調製
する。次いで、X軸上の座標がX2である全てのウェルの
各クローンサンプルを混合して混合サンプルmX2を調製
する。同様にして、座標X3乃至X40の各々について、混
合サンプルmX3乃至mX40を調製する。 Y軸上の座標がY1である全てのウェルの各クローンサ
ンプルを混合して混合サンプルmY1を調製する。次い
で、Y軸上の座標がY2である全てのウェルの各クローン
サンプルを混合して混合サンプルmY2を調製する。同様
にして、座標Y3乃至Y36の各々について、混合サンプルm
Y3乃至mY36を調製する。
【0072】修飾を施そうとする標的DNA配列を基
に、一対のプライマーDNAを調製する。 前記乃至で調製した合計123種類の混合サンプル
(即ち、mZ1乃至mZ47、mX1乃至mX40、及びmY1乃至mY3
6)の各々について、該一対のプライマーDNAを用い
て常法によりPCRによるDNA増幅を行う。 PCR産物を電気泳動に供し、DNA増幅が認められ
る複数の混合サンプルを同定する。 同定された複数の混合サンプルの各々の座標から、該
標的DNA配列を含むゲノムDNA断片がクローニング
された陽性クローンが保存されているプレート及びウェ
ルの位置を同定し、目的のゲノムDNAクローンとして
回収する。例えば、前記工程で混合サンプルmX1、mY1
及びmZ1の各々でDNA増幅が認められた場合には、目
的の陽性クローンは座標(X1,Y1,Z1)のウェルに存在す
ることが判明する。
【0073】上述したとおり、ゲノムDNA断片は、本発
明のゲノムDNAライブラリーを上述と同様の方法でスク
リーニングすることによっても得ることができる。本発
明のゲノムDNAライブラリーは、生物(例えば、マウ
ス、ラットまたはヒトなどの哺乳動物、好ましくはマウ
スまたはヒト)のゲノムDNA断片であって約5乃至12Kb
の塩基長を有するゲノムDNA断片を上述のベクター中に
挿入してなる多数のクローンからなるゲノムDNAライブ
ラリーである。好ましくは、該クローンの各々をマイク
ロチューブまたは多数のウェルを有するマイクロプレー
ト中に配備してなるゲノムDNAライブラリーである。こ
こで、該マイクロチューブの各々、または該マイクロプ
レートのウェルの各々に配備されるクローンは、単一の
クローンであってもよいし、あるいは複数種類のクロー
ンの混合物であってもよい。上述したとおりターゲティ
ングDNAと内在性ゲノムとの間で相同組換えを誘発する
ためには、ターゲティングDNA中の5'及び3'側に各々含
まれる相同領域は、各々少なくとも約2乃至約5Kbの塩
基長、両者併せて少なくとも約4乃至約10Kbあるいは約
5乃至12Kbの塩基長を必要とされる。
【0074】以下に、本発明のゲノムDNAライブラリー
の作製方法をマウスゲノムDNAライブラリーの作製を例
にとして例示する。マウスゲノムDNAは、併せて約3×1
06Kbの塩基長を有する。このゲノムDNAを正確に所望の
長さ、例えば約10KbのゲノムDNA断片に切断できるなら
ば、約3×105種類のDNA断片が生ずることとなるが、現
実的には不可能である。従って、本発明のゲノムDNAラ
イブラリーの作製に用いられるゲノムDNA断片は、種々
の制限酵素を用いておおよその所望の長さをなるよう
に、該ゲノムDNAを消化することにより調製することが
できる。ゲノムDNAには、4塩基認識制限酵素により
認識される4塩基配列が、確率上44(=256)塩基ご
と、即ち約250bごとに出現する。従って、4塩基配列認
識制限酵素を用いて、ゲノムDNAを種々の部分消化す
ることにより所望の大きさのゲノムDNA断片を調製す
ることができる。また、該4塩基認識制限酵素による部
分消化だけでなく、所望により5塩基認識制限酵素及び
/または6塩基認識制限酵素による消化も行うことがで
きる。4塩基認識制限酵素としては、Alu I、Hae III、
Hha I、Hpa II、Msp I、NlaIII、Rsa I、Sau3A I、Taq
I及びTspE Iなどが挙げられる。5塩基認識制限酵素と
しては、Cfr13 I、Dde I、EcoR II、Eco 47 I、Hinf
I、Mva I、ScrF I及びSau96 Iなどが挙げられる。6塩
基認識制限酵素は遺伝子工学の分野で汎用されている多
数の制限酵素から所望に応じ選択し使用できる。このよ
うにして作製したゲノムDNA断片の各々を所望のプラ
スミドやファージ中に挿入して得た多数のクローンの各
々を、マイクロチューブまたは多数のウェルを有するマ
イクロプレート中に配備することによりゲノムDNAライ
ブラリーとする。ここで、該マイクロチューブの各々、
または該マイクロプレートのウェルの各々に配備される
クローンは、単一のクローンであってもよいし、あるい
は複数種類のクローンの混合物であってもよい。
【0075】本発明で用いられるPCRによる遺伝子増
幅は、既存のDNAポリメラーゼ及び市販のPCR装置
を用いて、常法及び試薬に添付の取扱いマニュアルにし
たがって行うことができる(実験医学・増刊、「PCRと
その応用」、第8巻、第9号、1990年;並びに「遺伝子
増幅PCR法・基礎と新しい展開」、共立出版株式会社発
行、1992年)。また、PCRの条件は、所望に応じて調
整することができる。
【0076】本発明における「制限酵素認識DNA配
列」とは、遺伝子組換え技術の分野で慣用される任意の
制限酵素(制限エンドヌクレアーゼ)により認識される
DNA配列を意味する。以下にその一例を挙げる。下記
塩基配列中の斜線は該制限酵素による切断部位を意味す
る。 制限酵素:EcoRI、認識DNA配列:G/AATTC; 制限酵素:EcoRV、認識DNA配列:GAT/ATC; 制限酵素:HindIII、認識DNA配列:A/AGCTT; 制限酵素:XhoI、認識DNA配列:C/TCGAG; 制限酵素:XbaI、認識DNA配列:T/CTAGA; 制限酵素:BglII、認識DNA配列:A/GATCT; 制限酵素:PstI、認識DNA配列:CTGCA/G; 制限酵素:PvuII、認識DNA配列:CAG/CTG; 制限酵素:BamHI、認識DNA配列:G/GATCC; 制限酵素:ScaI、認識DNA配列:AGT/ACT; 制限酵素:NotI、認識DNA配列:GC/GGCCGC; 制限酵素:PacI、認識DNA配列:TTAAT/TAA。
【0077】本発明における「制限酵素による切断末端
DNA配列」とは、例えば、DNAが前記に例示したよう
な制限酵素により認識される特定の塩基配列(例えば、
連続する特定の6塩基)で該制限酵素により切断されて
生ずる平滑末端(blunt end,flush end)または付着末
端(cohesive end, sticky end, staggered end, protr
uding end, recessive end)を意味する。
【0078】本発明における「リンカーDNA」とは、
所望に応じ2つのDNA末端の間に挿入され、該2つの
DNA末端を該リンカーDNAを介して連結させるため
の任意のDNA配列を意味する。該リンカーDNAは、
所望に応じどのような塩基配列を有するようにも設計す
ることが可能である。
【0079】本発明の態様に即して、下記に該リンカー
DNAの使用方法の一例を挙げる。例えば、まず、特定
の制限酵素[E]により認識される塩基配列[Y]を内部に有
する連続する50塩基からなるリンカーDNAを人工的に
合成する。このリンカーDNAを、DNA末端[A]及び
[B]を有するDNA[I]と常法により連結させることによ
り、該DNA末端[A]と[B]の間に該リンカーDNAが挿
入された環状DNA[C]を調製することができる。この
環状DNAを、該制限酵素[E]で処理することにより、
該環状DNAは該制限酵素認識DNA配列[Y]で切断さ
れ、制限酵素[E]による切断末端DNA配列を各々の末
端に有する線状化DNA[II]が得られる。該リンカーD
NAを挿入することにより生じる効果としては下記が挙
げられる。 (1)該環状DNA[C]に所望の制限酵素認識部位を挿
入することができる。 (2)該DNA[II]の末端に所望の制限酵素切断末端D
NA配列を持たせることができる。 (3)該DNA[II]のDNA末端に、所望の塩基長を有
する配列既知の塩基配列を付与することができる。
【0080】本発明の「組換え非ヒト哺乳動物」、即
ち、ノックアウト非ヒト哺乳動物及びノックイン非ヒト
哺乳動物は、トランスジェニック動物の製造において通
常使用されるような常法(例えば、最新動物細胞実験マ
ニュアル、エル・アイ・シー発行、第7章、第361〜
第408頁、1990年を参照)に従って作製すること
が可能である。
【0081】本発明で使用される「DNA」なる用語
は、ゲノムDNAから調製されるDNA、化学合成によ
って得られるDNA、mRNAから調製される相補DN
A(cDNA)、RNAまたはDNAを鋳型としてPC
R法で増幅させて得られるDNA及びこれらの方法を適
当に組み合わせて構築される組換えDNAのいずれをも
包含する。
【0082】ゲノムDNAからの所望のDNAの調製
は、前述したゲノムDNAライブラリーから所望のゲノ
ムDNA断片を選択し、常法に従って所望の制限酵素で
切断することにより調製することができる。所望の蛋白
をコードするcDNAを調製する方法としては以下の方
法が例示される。まず、所望の蛋白を発現・産生する前
述のような組織あるいは細胞から該蛋白をコードするm
RNAを調製する。mRNAの調製は、例えばグアニジ
ンチオシアネート法(Chirgwinら、Biochemistry, Vol.
18, p.5294, 1979)、熱フェノール法もしくはAGPC法等
の公知の方法を用いて調製した全RNAをオリゴ(dT)セ
ルロースやポリU−セファロース等によるアフィニティ
クロマトグラフィーにかけることによって行うことがで
きる。
【0083】次いで得られたmRNAを鋳型として、例
えば逆転写酵素を用いる等の公知の方法、例えばオカヤ
マらの方法(Mol.Cell.Biol., Vol.2, p.161, 1982;同
誌、Vol.3, p.280, 1983)やHoffmaらの方法(Gene, Vo
l.25, p.263, 1983)等によりcDNA鎖を合成し、c
DNAの二本鎖cDNAへの変換を行う。このcDNA
をプラスミドベクターもしくはファージベクターに組み
込み、大腸菌を形質転換して、あるいはインビトロパッ
ケージング後、大腸菌に形質移入(トランスフェクト)
することによりcDNAライブラリーを作製する。
【0084】ここで用いられるプラスミドベクターとし
ては、宿主内で複製保持されるものであれば特に制限さ
れず、また用いられるファージベクターとしても宿主内
で増殖できるものであれば良い。常法的に用いられるク
ローニング用ベクターとしてλZipLox、pUC19、λgt1
0、λgt11等が例示される。ただし、後述の免疫学的ス
クリーニングに供する場合は、宿主内で本発明のタンパ
クをコードする遺伝子を発現させうるプロモーターを有
したベクターであることが好ましい。プラスミドにcD
NAを組み込む方法としては、例えばManiatisらの方法
(Molecular Cloning, A Laboratory Manual, second e
dition、p.1.53,1989, ColdSpring Harbor Laborator
y)に記載の方法などが挙げられる。また、ファージベ
クターにcDNAを組み込む方法としては、Hyunhらの
方法(DNA Cloning, a practical approach, Vol.1, p.
49, 1985)などが挙げられる。簡便には、市販のクロー
ニングキット(例えば、GIBCO製あるいは宝酒造製等)
を用いることもできる。このようにして得られる組換え
プラスミドやファージベクターは、原核細胞(例えば、
E.Coli:JM109、HB101、DH5αまたはMC1061/P3等)等の
適当な宿主に導入する。
【0085】プラスミドを宿主に導入する方法として
は、(Molecular Cloning, A Laboratory Manual, seco
nd edition, p.1.74, 1989, Cold Spring Harbor Labor
atory)に記載の塩化カルシウム法または塩化カルシウ
ム/塩化ルビジウム法、エレクトロポレーション法等が
挙げられる。また、ファージベクターを宿主に導入する
方法としてはファージDNAをインビトロパッケージン
グした後、増殖させた宿主に導入する方法等が例示され
る。インビトロパッケージングは、市販のインビトロパ
ッケージングキット(例えば、ストラタジーン製、アマ
シャム製等)を用いることによって簡便に行うことがで
きる。
【0086】目的の蛋白をコードするcDNAは、例え
ば、別個に調製した該目的の蛋白のアミノ酸配列をコー
ドする塩基配列の一部または全部を含むDNAあるいは
該塩基配列と相同性を有するDNAを、32Pまたは[α-
32P]dCTP等の放射性同位体で標識してプローブとなし、
公知のコロニーハイブリダイゼーション法(Crunstein
ら、Proc. Natl. Acid. Sci. USA, Vol.72, p.3961, 19
75)またはプラークハイブリダイゼーション法(Molecu
lar Cloning, A Laboratory Manual, second edition,
Vol.2.108, 1989, Cold Spring Harbor Laboratory)に
よりスクリーニングすることにより得ることができる。
また、cDNAを発現しうるベクター(例えば、λZipL
ox、λgt11ファージベクター)を用いて作製したcDN
Aライブラリーを用いる場合には、該目的の蛋白に反応
性を有する抗体を用いる抗原抗体反応を利用して、目的
のcDNAクローンを選択することができる。大量にク
ローンを処理する場合には、PCR法を利用したスクリ
ーニング法を用いることが好ましい。
【0087】この様にして得られたDNAの塩基配列
は、マキサム・ギルバート法(Maxamら、Proc. Natl. A
cad. Sci. USA., Vol.74, p.560, 1977)、ファージM
13を用いたジデオキシヌクレオチド合成鎖停止の方法
(Sangerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA., Vol.74,
p.5463-5467, 1977)、あるいはダイターミネーターサ
イクルシーケンシング法(Applied Biosysytems社製)
などによって決定することができる。
【0088】本発明において所望に応じて用いられる
「発現ベクター」は、原核細胞及び/または真核細胞の
各種の宿主内で複製保持または自己増殖できるものであ
れば特に制限されず、プラスミドベクターおよびファー
ジベクターが包含される。例えば、大腸菌由来のプラス
ミド(pBR322、pBR325、pUC12、pUC13、pUC19など)、
酵母由来プラスミド(pSH19、pSH15など)、枯草菌由来
プラスミド(pUB110、pTP5、pC194 など)が例示され
る。また、ファージベクターとしては前述したλファー
ジなどの種々のファージ由来のベクターを用いることが
できる。さらに、レトロウイルス、アデノウイルス、ア
デノ随伴ウイルス、ワクシニヤウイルス、核多角体ウイ
ルスなどの動物や昆虫のウイルスを用いることができ
る。
【0089】細菌、特に大腸菌中で所望の蛋白を発現さ
せる場合には、一般に発現ベクターは、少なくともプロ
モーター−オペレーター領域、開始コドン、該所望の蛋
白をコードするDNA、終止コドン、ターミネーター領
域および複製可能単位から構成される。宿主として酵
母、動物細胞または昆虫細胞を用いる場合、発現ベクタ
ーは、少なくともプロモーター、開始コドン、所望の蛋
白をコードするDNA、終止コドンを含んでいることが
好ましい。またシグナルペプチドをコードするDNA、
エンハンサー配列、該所望の蛋白をコードする遺伝子の
5'側および3'側の非翻訳領域、スプライシング接合
部、ポリアデニレーション部位、選択マーカー遺伝子ま
たは複製可能単位などを含んでいてもよい。また、目的
に応じて通常用いられる遺伝子増幅遺伝子(マーカー)
を含んでいてもよい。
【0090】細菌中で所望の蛋白を発現させるためのプ
ロモーター−オペレータ−領域は、プロモーター、オペ
レーターおよび Shine-Dalgarno(SD) 配列(例えば、A
AGGなど)を含むものである。例えば宿主がエシェリ
キア属菌の場合、好適にはTrpプロモーター、lacプロモ
ーター、recAプロモーター、λPLプロモーター、lppプ
ロモーター、tacプロモーターなどを含むものが例示さ
れる。酵母中で所望の蛋白を発現させるためのプロモー
ターとしては、PH05プロモーター、PGKプロモーター、G
APプロモーター、ADHプロモーターが挙げられ、宿主が
バチルス属菌の場合は、SL01プロモーター、SP02プロモ
ーター、penPプロモーターなどが挙げられる。また、宿
主が哺乳動物細胞等の真核細胞である場合、SV40由来の
プロモーター、レトロウイルスのプロモーター、ヒート
ショックプロモーターなどが挙げられる。好ましくは、
SV40プロモーター、レトロウイルスのプロモーターであ
る。しかし、特にこれらに限定されるものではない。ま
た、発現にはエンハンサーの利用も効果的な方法であ
る。好適な開始コドンとしては、メチオニンコドン(AT
G)が例示される。終止コドンとしては、常用の終止コ
ドン(例えば、TAG、TGA、TAA)が例示される。
【0091】ターミネーター領域としては、通常用いら
れる天然または合成のターミネーターを用いることがで
きる。複製可能単位とは、宿主細胞中でその全DNA配
列を複製することができる能力をもつDNAを言い、天
然のプラスミド、人工的に修飾されたプラスミド(天然
のプラスミドから調製されたDNAフラグメント)およ
び合成プラスミド等が含まれる。例えば、E.Coliではプ
ラスミドpBR322、もしくはその人工的修飾物(pBR322
を適当な制限酵素で処理して得られるDNAフラグメン
ト)が、酵母では酵母2μプラスミド、もしくは酵母染
色体DNAが、また哺乳動物細胞ではプラスミドpRSVne
o(ATCC 37198)、 プラスミドpSV2dhfr(ATCC 3714
5)、プラスミドpdBPV-MMTneo(ATCC 37224)、プラス
ミドpSV2neo(ATCC 37149)等が例示される。エンハン
サー配列、ポリアデニレーション部位およびスプライシ
ング接合部位については、例えばそれぞれSV40に由来す
るもの等、当業者において通常使用されるものを用いる
ことができる。選択マーカーとしては、前記に例示した
種々の抗生物質耐性遺伝子(ネオマイシン耐性遺伝子な
ど)や種々の遺伝子増幅遺伝子を用いることができる。
【0092】本発明において所望に応じて用いられる発
現ベクターは、少なくとも、上述のプロモーター、開始
コドン、所望の蛋白をコードするDNA、終止コドンお
よびターミネーター領域を連続的かつ環状に適当な複製
可能単位に連結することによって調製することができ
る。またこの際、所望により制限酵素での消化やT4DNA
リガーゼを用いるライゲーション等の常法により適当な
DNAフラグメント(例えば、所望のリンカーDNA配
列、所望の制限酵素による切断末端DNA配列など)を用
いることができる。
【0093】本発明おいて所望に応じて使用され得る
「形質転換細胞」は、上述の種々のDNAまたは発現ベ
クター等で形質転換された細胞であり、宿主細胞として
の原核細胞あるいは真核細胞を形質転換することにより
調製することができる。また、本発明のターゲティング
DNAで形質転換された細胞(例えば、哺乳動物のES
細胞など)も形質転換細胞と称される。宿主細胞へのD
NA、本発明のターゲティングDNA、あるいは発現ベ
クターの導入(形質転換(形質移入))は従来公知の方
法を用いて行うことができる。例えば、細菌(E.coli、
Bacillus subtilis 等)の場合は、例えばCohenらの方
法(Proc. Natl. Acad. Sci. USA., Vol.69, p.2110, 1
972)、プロトプラスト法(Mol. Gen. Genet., Vol.16
8, p.111, 1979)やコンピテント法(J. Mol.Biol., Vo
l.56, p.209, 1971)によって、Saccharomyces cerevis
iaeの場合は、例えばHinnenらの方法(Proc. Natl. Aca
d. Sci. USA., Vol.75, p.1927, 1978)やリチウム法
(J. Bacteriol., Vol.153, p.163, 1983)によって、
動物細胞の場合は、例えばエレクトロポレーション法や
Grahamの方法(Virology, Vol.52, p.456, 1973)、昆
虫細胞の場合は、例えばSummersらの方法(Mol. Cell.
Biol., Vol.3, p.2156-2165, 1983)によってそれぞれ
形質転換することができる。形質転換細胞は、所望の栄
養培地中で培養することにより維持生存させることがで
きる。
【0094】栄養培地は、宿主細胞(形質転換体)の生
育に必要な炭素源、無機窒素源もしくは有機窒素源を含
でいることが好ましい。炭素源としては、例えばグルコ
ース、デキストラン、可溶性デンプン、ショ糖などが、
無機窒素源もしくは有機窒素源としては、例えばアンモ
ニウム塩類、硝酸塩類、アミノ酸、コーンスチープ・リ
カー、ペプトン、カゼイン、肉エキス、大豆粕、バレイ
ショ抽出液などが例示される。また所望により他の栄養
素(例えば、無機塩(例えば塩化カルシウム、リン酸二
水素ナトリウム、塩化マグネシウム)、ビタミン類、抗
生物質(例えばテトラサイクリン、ネオマイシン、アン
ピシリン、カナマイシン等)など)を含んでいてもよ
い。培養条件(例えば温度、培地のpHおよび培養時
間)は、培養する細胞の特徴に応じて適宜調整すること
ができる。なお、下記にその一例を示すがこれらに限定
されるものではない。
【0095】宿主が細菌、放線菌、酵母、糸状菌である
場合、例えば上記栄養源を含有する液体培地が適当であ
る。好ましくは、pHが5〜8である培地である。宿主が
E.coliの場合、好ましい培地としてLB培地、M9培地(Mi
llerら、 Exp.Mol. Genet, Cold Spring Harbor Labora
tory, p.431, 1972)等が例示される。かかる場合、培
養は、必要により通気、撹拌しながら、通常14〜43℃、
約3〜24時間行うことができる。
【0096】宿主がBacillus属菌の場合、必要により通
気、撹拌をしながら、通常30〜40℃、約16〜96時間行う
ことができる。宿主が酵母である場合、培地として、例
えばBurkholder最小培地(Bostian, Proc. Natl. Acad.
Sci. USA, Vol.77, p.4505, 1980)が挙げられ、pHは
5〜8であることが望ましい。培養は通常約20〜35℃で
約14〜144時間行なわれ、必要により通気や撹拌を行う
こともできる。
【0097】宿主が動物細胞の場合、培地として例えば
約5〜20%の胎児牛血清を含むMEM培地(Science, Vol.
122, p.501, 1952)、DMEM培地(Virology, Vol.8, p.3
96,1959)、RPMI1640培地(J. Am. Med. Assoc., Vol.1
99, p.519, 1967)、199培地(proc. Soc. Exp. Bio
l. Med., Vol.73, p.1, 1950) 等を用いることができ
る。培地のpHは約6〜8であるのが好ましく、培養は
通常約30〜40℃で約15〜72時間行なわれ、必要により通
気や撹拌を行うこともできる。宿主が昆虫細胞の場合、
例えば胎児牛血清を含むGrace's 培地(Proc. Natl.Aca
d. Sci. USA, Vol.82, p.8404, 1985)等が挙げられ、
そのpHは約5〜8であるのが好ましい。培養は通常約
20〜40℃で15〜100時間行なわれ、必要により通気や撹
拌を行うこともできる。
【0098】
【実施例】以下、実施例を以て本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明が該実施例に記載される態様のみに限
定されるものではないことは言うまでもない。
【0099】実施例1 HPRT遺伝子ノックアウトマウス
の作製 <1-1> HPRT遺伝子を含むマウスゲノムBACクローンの取
得 マウスHPRT(Hypoxanthine phosphoribosyl transferas
e)をコードする遺伝子を保持するマウスゲノムDNA断片
を、市販のマウスゲノムDNAのBAC(BacterialArtificia
l Chromosome)ライブラリーであるDOWN TO THE WELL M
OUSE ES BACDNA POOL(Genome Systems社製)を、該ラ
イブラリーに添付の実験操作手順書に記載された3D-PC
R法に準じた方法に従ってスクリーニングすることによ
り得た。このライブラリーは、大腸菌に保持された約9
2,160個のBACクローンの各々が、384穴マイクロプレー
トの各ウェルに保存された合計240枚のプレートからな
り、このライブラリーはGenome Systems社で保管されて
いる。また、3D-PCRによるスクリーニングを実施するた
めに、該ライブラリーとは別に、該ライブラリー中のBA
CクローンのDNAが、種々の規則的組み合わせで混合され
た混合サンプルのチューブが作製されている。該ライブ
ラリープレートの各ウェルには、各々異なる番号が付さ
れているため、各チューブに混合されているBACクロー
ンの種類は明白である。該ライブラリーをスクリーニン
グし、目的のBACクローンを取得しようとする者は、該
種々のBACクローンのDNAの混合サンプルが保存されてい
るチューブの一式を購入し、実験操作説明書に従って3D
-PCRによるスクリーニングを行い、目的のゲノムDNA
断片がクローニングされているBACクローンが保存され
ているウェルの番号を特定する。そのようにして特定さ
れた番号のウェルに保存されているBACクローンを、Gen
ome Systems社から購入できる。
【0100】マウスHPRT遺伝子は、8つのイントロンで
分断された9つのエクソンから構成され、全体で33kbに
も及ぶ(Proc. Natl. Acad. Sci., USA, Vol.81, p.214
7, 1984)。マウスHPRT遺伝子のエクソン3の塩基配列
を基に、各々塩基配列の一部に相補的な一対のPCRプラ
イマー、p3A(配列番号1)及びp3B(配列番号2)を調
製した。購入した全ての混合サンプルチューブの各々に
ついて、下記条件でPCR行った。
【0101】(反応混合物組成)0.5UのTaqポリメラー
ゼ、2.5mMのMgCl2、0.4mMのdNTP、4μMのp3A、及び4μM
のp3B。 (反応サイクル)94℃で3分の反応を1サイクル;50℃で
2分の反応を1サイクル;及び72℃で1分、94℃で1分及び
50℃で1分の反応を30サイクル。得られたPCR産物を、常
法に従ってゲル電気泳動に供し、ゲル上に現れるバンド
の大きさから、期待される塩基長を有するDNAの増幅が
見られる混合サンプルチューブを同定した。本PCRによ
る増幅が期待されるDNAの塩基長は、197bpである。その
結果、各々64N20、118E2及び131H17という番号が付され
たウェル中のBACクローン中にマウスHPRT遺伝子を含む
ゲノムDNA断片がクローニングされていることが判明し
た。当該3つのBACクローンを、Genome Systems社より
購入した。
【0102】<1-2> マウスゲノムBAC DNAの制限酵素に
よる切断、及び環状化 Genome Systems社より購入したBACクローン64N20のDNA
を、アルカリを用いて常法に従って精製した(Nucl. Ac
ids Res., Vol.7, p.1513-1523, 1979)。7種の制限酵
素(EcoRI, HindIII, BamHI, XhoI, PstI, PvuI, PvuII
及びXmnI)について、マウスHPRT遺伝子のゲノムDNAの
制限酵素地図が作製されており、EcoRI、HindIIIまたは
BamHIで切断すると相同組換え用ターゲティングDNAに必
要な相同領域として適した大きさのゲノムDNA断片が得
られるものと予測された(Proc. Natl. Acad. Sci., US
A, Vol.81, p.2147, 1984)。
【0103】精製BAC DNA(各2μg)を、BamHI, HindI
II及びEcoRIの各々で切断した。次いで、生成物(各0.5
μg)を、1UのT4リガーゼを含むTris-HCl緩衝液(840
μl;<組成>66mMのTris-HCl(pH7.6)、6.6mMのMgCl2、1
0mMのDithiothreitol、66μMのATP)中で16℃で一晩保
温することにより、分子内連結させ環状化させた(自己
環状化)。得られた環状DNAをエタノール沈殿させ、20
μlのTE溶液(10mMのTris-HCl(pH7.5)、1mMのEDTA)
中に溶解させた。
【0104】<1-3> 環状DNAを鋳型とした逆PCR 前記実施例で調製した環状DNA(各1μl): (1)EcoRIで切断後環状化した環状化DNA; (2)HindIIIで切断後環状化した環状DNA;及び (3)BamHIで切断後環状化した環状DNA、の各々を下記
2組のPCRプライマーの各々の組み合せを用いた逆PCR
反応(inverse PCR;inside-out PCR)により増幅させ
た。 A)マウスHPRT遺伝子のエクソン2の塩基配列に相補的
な一対のプライマー pr2-1(配列番号3)及びpr2-2(配列番号4)。 B)マウスHPRT遺伝子のエクソン3の塩基配列に相補的
な一対のプライマー pr3-1(配列番号5)及びpr3-2(配列番号6)。PCR産
物のクローニングの効率を上げるために、プライマーpr
2-1及びpr3-1の5'末端近傍には、制限酵素PacI認識DNA
配列(TTAATTAA)を付加した。また、同様にプライマー
pr2-2及びpr3-2の5'末端近傍には、制限酵素NotI認識DN
A配列(GCGGCCGC)を付加した。
【0105】PCRは下記の反応条件で行った。 (反応混合物組成)0.5UのLA Taqポリメラーゼ(宝酒造
製)、2.5mMのMgCl2、0.4mMのdNTP、上記一対のプライ
マー(各4μM)。全量:50μl。 (反応サイクル)94℃で1分の反応を1サイクル;及び9
8℃で20秒及び68℃で10分の反応を30サイクル。得られ
たPCR産物を常法に従ってゲル電気泳動に供した。結果
を図1(分図1(a)、1(b)、及び1(c))に示す。
【0106】図1(a)に示すとおり、前記(A)に記載の一
対のプライマーを用いたPCRで増幅が期待されるDNAの大
きさは下記のとおりである。 (1)EcoRIで切断後環状化した環状DNA: 約5.5kb
(I) (2)HindIIIで切断後環状化した環状DNA: 約4.5kb
(II) (3)BamHIで切断後環状化した環状DNA: 約7.0kb(I
II) 図1(b)に示されるとおり、EcoRIで切断後環状化した環
状DNA及びHindIIIで切断後環状化した環状DNAにおいて
は共に期待される大きさ(各々約5.5kb及び約4.5kb)の
DNAの増幅が認められたが、BamHIで切断後環状化した環
状DNAにおいては期待される大きさのDNAの増幅が認めら
れなかった。
【0107】一方、前記(B)に記載の一対のプライマー
を用いたPCRで増幅が期待されるDNAの大きさは下記のと
おりである。 (1)EcoRIで切断後環状化した環状DNA: 約1.3kb(I
V) (2)HindIIIで切断後環状化した環状DNA: 約7.1kb
(V) (3)BamHIで切断後環状化した環状DNA: 約7.0kb(V
I) 図1(c)に示されるとおり、EcoRIで切断後環状化した環
状DNA、HindIIIで切断後環状化した環状DNA、及びBamHI
で切断後環状化した環状DNAの各々においては共に期待
される大きさ(各々約1.3kb、約7.1kb、及び約7.0kb)
のDNAの増幅が認められた。
【0108】<1-4> HPRT遺伝子を含むマウスゲノムDNA
断片のクローニング 前記実施例の結果から、BamHIで切断後環状化した環状D
NAを鋳型とした前記(B)に記載の一対のプライマーDNAを
用いたPCRにより増幅されるPCR産物を回収することとし
た。該PCR産物を、制限酵素PacI及びNotIで切断した
後、0.7%アガロースゲル電気泳動に供し、約7.0kbの大
きさを有するバンドを含むゲルを切り出した。該ゲル
を、DNA CELL(第一化学社製)を用いた電気溶出に供
し、ゲルから、目的のHPRT遺伝子を含むマウスゲノムDN
A断片を回収した。該DNA断片を、T4リガーゼ(東洋紡
製)を用いて、プラスミドp1108を制限酵素PacI及びNot
Iで切断して調製した線状化プラスミドDNAと連結させ、
組換えプラスミドp1207を作製した(図2)。該組換え
プラスミドp1207で、大腸菌JM109(宝酒造製)を形質転
換した。なお、該プラスミドp1108は、常法に従って、
プラスミドpBlueScript(SK+)(Stratagene製)に、制限
酵素処理によりプラスミドpMAMneo-CAT(Stratagene
製)から切り出したネオマシン耐性遺伝子を含むDNA断
片を挿入し、またリンカーを介して制限酵素PacI認識DN
A配列を挿入することにより作製した。該形質転換され
た大腸菌から、アルカリ法により組換えプラスミドp120
7を回収した。該プラスミドの制限酵素地図を、7種類の
制限酵素(BamHI, HindIII, EcoRI, PstI, BglII, EcoR
V及びXbaI)について作製した(図3(a))
【0109】<1-5> ターゲティングDNAの調製 組換えプラスミドp1207を制限酵素BamHIで切断した。得
られた線状化DNAを以下の試験で用いるターゲティングD
NAとして回収した。
【0110】<1-6> ターゲティングDNAのES細胞
への導入及び相同組換え GENE Pulser(Bio-Rad社製)を用いたエレクトロポレー
ション(200V、360μF、0.4cm gap)により、マウスES
細胞(2×10個;Rouxs Arch. Dev. Biol., Vol.198,
p.48, 1989))に、前記で調製したターゲティングDN
A(100μg)を導入した。該ES細胞を、0.1%ゼラチン
をコーティングした15%FBS(牛胎児血清)含有DMEM培
地を含むシャーレ(10cm、10枚)に蒔き24時間培養し
た。次いで、培地を250μg/mlのG418を含む選択培地に
交換しさらに培養した。7乃至10日間の培養により、35
0個のG418耐性コロニーの生育が観察された。各々のコ
ロニーを回収し、各々個別に、250μg/mlのG418及び5
μg/mlの6-TG(6-Thioguanin)を含む栄養培地中で10
日間培養した。6-TGは、正常なHPRT遺伝子を保持する細
胞においては、該薬剤が核酸合成系に取り込まれること
により、細胞死に至る。この薬剤を用いることにより、
正常な相同組換えにより内在性HPRT遺伝子が不活性化さ
れた細胞のみを選択することができる。この結果、2つ
のクローン(1207-1及び1207-2)の生育が認められた。
【0111】<1-7> 正常な相同組換えの確認 ターゲティングDNAと内在性ゲノムとの間での正常な相
同組換えによるHPRT遺伝子の破壊が起こっていることを
確認するために、該2つの組換えES細胞(1207-1及び12
07-2)の各々について、染色体サザンハイブリダイゼー
ションを行った。各々の細胞のゲノムDNAを、既報に従
って精製した(Am. J. Hum. Genet., Vol.36, p.546, 1
984)。該精製ゲノムDNAを、6種類の制限酵素(BamHI,
HindIII,EcoRI, BglII, EcoRV及びXbaI)で切断して得
られるゲノムDNA断片(5μg)を、0.7%アガロースゲル
電気泳動に供し、ナイロンメンブレン(GeneScreen Plu
s、DuponT社製)に転写した。ターゲティングDNAに含ま
れるアンピシリン耐性遺伝子(Amp)と大腸菌の複製開
始点領域(Ori)を含むDNA断片を、ランダムプライム法
により(α-32P)dCTPで放射性標識してハイブリダイゼー
ションプローブとした。ハイブリダイゼーションは、該
メンブレンを、プローブ(1×105cpm/ml)を加えたラピ
ッドハイブリダイゼーションバッファー(Amersham製)
中で65℃で2時間保温することにより行った。次いで、
メンブレンを、2×SSC(standard salinecitrate; 0.15
M NaCl, 0.015M Na-Citrate)/0.1%SDSで15分間、同
緩衝液で室温で2回、及び0.2×SSC/0.1%SDSで65℃で2回
洗浄した。次いで、メンブレンを、−80℃で一晩、X線
フィルム(XAR-5、Kodak製)に感光させた後、現像した
(図3(b)及び3(c))。
【0112】正常な相同組換えによるジーンタゲティン
グが起こっていれば、本サザンハイブリダイゼションで
観察が期待されるDNAの大きさは下記のとおりである
(図3(a))。 (1)BamHIで切断したゲノムDNA断片: 約12.5kb (2)BglIIで切断したゲノムDNA断片: 約8.6kb (3)EcoRIで切断したゲノムDNA断片: 約6.8kb (4)EcoRVで切断したゲノムDNA断片: 約12.0kb (5)HindIIIで切断したゲノムDNA断片: 約12.6kb (6)XbaIで切断したゲノムDNA断片: 約7.8kb 図3(b)及び3(c)に示されるとおり、2つのいずれの組換
えES細胞においても期待される大きさのDNAのバンドが
検出された。この結果から、本実施例で作製された相同
組換え用ターゲティングDNAが、内在性ゲノムとの正常
な相同組換えにより、マウスES細胞中の内在性HPRT遺伝
子を破壊したことが確認された。また、本発明の方法に
よる相同組換えの頻度は、約0.6%であり、従来の方法
により作製されるターゲティングDNAによる相同組換え
の平均的値と同等であった。
【0113】実施例2 EPO受容体遺伝子ノックアウト
マウスの作製 <2-1> EPO受容体遺伝子を含むマウスゲノムBACクロー
ンの取得 マウスEPO受容体(Erythropietin receptor;Cell, Vo
l.57, p.277, 1989; J. Mol. Biol., Vol.216, p.567,
1990; Mol. Cel. Biol., Vol.10, p.3675, 1990)をコ
ードする遺伝子を保持するマウスゲノムDNA断片を、実
施例<1-1>と同様にして市販のマウスゲノムDNAのBACラ
イブラリーであるDOWN TO THE WELL MOUSEES BAC DNA P
OOL(Genome Systems社製)をスクリーニングすること
により得た。マウスEPO受容体遺伝子のエクソン2の塩
基配列を基に、各々塩基配列の一部に相補的な一対のPC
Rプライマー、EpoR11(配列番号7)及びEpoR21(配列
番号8)を調製した。購入した全ての混合サンプルチュ
ーブの各々について、下記条件でPCR行った。
【0114】(反応混合物組成)1UのTaqポリメラー
ゼ、1.5mMのMgCl2、0.25mMのdNTP、0.4μMのEpoR11、
及び0.4μMのEpoR21。 (反応サイクル)92℃で3分の反応を1サイクル;92℃で
30秒、55℃で30秒及び72℃で1分の反応を30サイクル;
及び、72℃で5分。得られたPCR産物を、常法に従って
ゲル電気泳動に供し、ゲル上に現れるバンドの大きさか
ら、期待される塩基長を有するDNAの増幅が見られる混
合サンプルチューブを同定した。本PCRによる増幅が期
待されるDNAの塩基長は、112bpである。その結果、174M
2という番号が付されたウェル中のBACクローン中にマウ
スEPO受容体遺伝子を含むゲノムDNA断片がクローニング
されていることが判明した。当該BACクローンを、Genom
e Systems社より購入した。
【0115】<2-2> マウスゲノムBAC DNAの制限酵素に
よる切断、及び環状化 Genome Systems社より購入したBACクローン174M2を、標
準的なアルカリ法により精製した(Nucl. Acids Res.,
Vol.7, p.1513-1523, 1979)。パルスフィールドゲル電
気泳動にて、該BACクローンには約120kbのDNAが挿入さ
れていることを確認した。マウスEPO受容体遺伝子のゲ
ノムDNAの制限酵素地図が作製されており、制限酵素Bam
HI、EcoRV、EcoRI、HindIII、XbaI、XhoI、ScaI、PvuI
I、PstIまたはBglIIで切断すると相同組換え用ターゲテ
ィングDNAに必要な相同領域として適した大きさのゲノ
ムDNA断片が得られるものと予測された(Mol. Cel. Bio
l., Vol.10,p.3675, 1990)。精製BAC DNA(2μg)
を、上記10種類の制限酵素の各々で切断し、フェノー
ル・クロロホルム抽出並びにエタノール沈殿の操作の
後、DNAを15μlのTE溶液(10mMのTris-HCl(pH7.5)、1
mMのEDTA)に溶解した。次いで、生成物(0.2μl)を、
1UのT4リガーゼを含むTris-HCl緩衝液(810μlまたは2
70μl;<組成>66mMのTris-HCl(pH7.6)、6.6mMのMgCl2
10mMのDithiothreitol、66μMのATP)中で16℃で一晩保
温することにより、分子内連結させ環状化させた(自己
環状化)。得られた環状DNAをエタノール沈殿させ、20
μlのTE溶液(10mMのTris-HCl(pH7.5)、1mMのEDTA)
中に溶解させた。
【0116】<2-3> 環状DNAを鋳型とした逆PCR 前記実施例で調製した環状DNA(各1μl): (1)BamHIで切断後環状化した環状化DNA; (2)EcoRVで切断後環状化した環状化DNA; (3)EcoRIで切断後環状化した環状化DNA; (4)HindIIIで切断後環状化した環状化DNA; (5)XbaIで切断後環状化した環状化DNA; (6)XhoIで切断後環状化した環状化DNA; (7)ScaIで切断後環状化した環状化DNA; (8)PvuIIで切断後環状化した環状化DNA; (9)PstIで切断後環状化した環状化DNA;及び (10)BglIIで切断後環状化した環状化DNA、の各々をマ
ウスEPO受容体遺伝子のエクソン1の塩基配列に相補的
な一対のプライマーEpoR14(配列番号9)及びEpoR24
(配列番号10)を用いた逆PCR反応(inverse PCR;insi
de-out PCR)により増幅させた。PCR産物のクローニン
グの効率を上げるために、プライマーEpoR14の5'末端近
傍には、制限酵素PacI認識DNA配列(TTAATTAA)を付加
した。また、同様にプライマーEpoR24の5'末端近傍に
は、制限酵素NotI認識DNA配列(GCGGCCGC)を付加し
た。
【0117】PCRは下記の反応条件で行った。 (反応混合物組成)0.5UのLA Taqポリメラーゼ(宝酒造
製)、2.5mMのMgCl2、0.4mMのdNTP、上記一対のプライ
マー(各4μM)。全量:50μl。 (反応サイクル)94℃で1分の反応を1サイクル;94℃
で20秒及び66℃で15分の反応を14サイクル;及び94℃で
20秒及び66℃で15分(1サイクル毎に15秒の増加)の反
応を16サイクル得られたPCR産物を常法に従ってゲル電
気泳動に供した。結果を図4に示す。図4に示されると
おり、XhoIで切断後環状化した環状DNAにおいて約8kbの
DNAの増幅が認められた。さらに、該約8kbのバンドを含
むゲルからDNAを抽出し、得られたDNAをさらにXhoIで切
断して、ゲル電気泳動に供したところ、約7kbと約1kbの
2つのバンドが現れた。
【0118】<2-4> EPO受容体遺伝子を含むマウスゲノ
ムDNA断片のクローニング 前記実施例の結果から、XhoIで切断後環状化した環状DN
Aを鋳型としたPCRにより増幅されるPCR産物を回収する
こととした。該PCR産物を、制限酵素PacI及びNotIで切
断した後、0.7%アガロースゲル電気泳動に供し、約8.0
kbの大きさを有するバンドを含むゲルを切り出した。該
ゲルを、DNA CELL(第一化学社製)を用いた電気溶出に
供し、ゲルから、目的のEPO受容体遺伝子を含むマウス
ゲノムDNA断片を回収した。
【0119】該DNA断片を、T4リガーゼを用いて、プラ
スミドp1108-Lucを制限酵素PacI及びNotIで切断して調
製した線状プラスミドDNAと連結させ、組換えプラスミ
ドpEpoRK/Iを作製した(図5)。該組換えプラスミドpE
poR K/Iで、大腸菌JM109(宝酒造製)を形質転換した。
該プラスミドp1108-Lucは、前述のプラスミドp1108(実
施例<1-4>)を制限酵素SacIで切断し、該切断部位に、
プラスミドpGL3-Basic(Promega製)から制限酵素BamHI
及びHindIIIで切り出したルシフェラーゼ遺伝子を含むD
NA断片を挿入することにより作製した(図6)。該形質
転換された大腸菌から、QUIAGEN Plasmid Maxi Kit(QU
IAGEN製)を用いて組換えプラスミドpEpoR K/Iを回収し
た。
【0120】<2-5> ターゲティングDNAの調製 組換えプラスミドpEpoR K/Iを制限酵素XhoIで切断し
た。得られた線状化DNAを以下の試験で用いるターゲテ
ィングDNAとして回収した。
【0121】<2-6> ターゲティングDNAのES細胞
への導入及び相同組換え GENE Pulser(Bio-Rad社製)を用いたエレクトロポレー
ション(250V、960μF、0.4cm gap)により、マウスES
細胞(6.4×10個;Rouxs Arch. Dev. Biol.,Vol.198,
p.48, 1989)に、前記で調製したターゲティングDN
A(80μg)を導入した。該ES細胞を、マイトマイシン
処理したネオマイシン耐性フィーダー細胞を蒔いてある
シャーレ(15%牛胎児血清含有D-MEM培地、10cm、10枚)
に蒔き24時間培養した。次いで、培地を250μg/mlのG
418を含む選択培地に交換しさらに培養した。10日間の
培養により、204個のG418耐性コロニーの生育が観察さ
れた。各々のコロニーを回収し、各々個別に、D-MEM培
地(15%牛胎児血清含有)中でさらに5日間培養した。
【0122】一部のクローンは、ゲノムDNA回収用とし
て別の96穴マイクロプレート(0.1%ゼラチン溶液で10分
間処理済み)に移しさらに3日間培養した。該96穴マイ
クロプレートから培地を除去し、プレートをリン酸緩衝
液で洗浄した。各ウェルにDNAzol(100μl;GIBCO製)
を加え十分にピペッティングした。各ウェル中のDNAサ
ンプルの各々を、0.2ml容量のPCR用マイクロチューブに
移し、エタノール(50μl)を加え、室温下で5分間静置
した。次いで、各チューブを遠心分離(3,000rpm、30分
間)にかけ、ペレットを回収した。各ペレットを、95%
エタノールで2回洗浄した後、8mMのNaOH(50μl)に溶
解した。このゲノムDNAサンプルを、後述のPCRによるス
クリーニングでの鋳型として用いた。
【0123】<1-7> 正常な相同組換えが起こった細胞
の選別 ターゲティングDNAと内在性ゲノムとの間での正常な相
同組換えによるEPO受容体遺伝子の破壊が起こっている
細胞をPCRにより選別するために、下記の一対のプライ
マーを調製した(図7)。 (1)ターゲティングDNA中に含まれるネオマイシン耐
性遺伝子の一部に相補的なプライマー:neo24(配列番
号11)。 (2)該ターゲティングDNAが正常な相同組換えにより
内在性ゲノムに組み込まれた場合の該ターゲティングDN
Aの末端のさらに外側の内在性ゲノムの一部の塩基配列
に相補的なプライマー:EpoR27(配列番号12)。該プラ
イマーを用いたPCRにより増幅が期待されるDNAの大きさ
は、1,357bpである。各々の組換えES細胞クローンにつ
いて、下記条件でPCRを行った。
【0124】(反応混合物組成)1UのTaqポリメラー
ゼ、1.5mMのMgCl2、0.25mMのdNTP、上記一対のプライマ
ー(各0.4μM)。全量:25μl。 (反応サイクル)94℃で5分の反応を1サイクル;94℃
で30秒、55℃で30秒、及び72℃で3分の反応を35サイク
ル;及び72℃で10分を1サイクル。得られたPCR産物を常
法に従ってゲル電気泳動に供した。その結果204クロー
ン中、1つのES細胞クローン(No.20)で、期待される
1,357bpの大きさのバンドが認められた。
【0125】<2-8> 正常な相同組換えの確認 該組換えES細胞(No.20)について、染色体サザンハイ
ブリダイゼーションを行った。なお、対照としてターゲ
ティングDNAを導入していない野生型ES細胞を用いた。
各々の細胞のゲノムDNAを、既報に従って精製した(Am.
J. Hum. Genet., Vol.36, p.546, 1984)。該精製ゲノ
ムDNAを、5種類の制限酵素(BamHI、BglII、HindIII及
びPvuII)で切断して得られるゲノムDNA断片(10μg)
を、0.8%アガロースゲル電気泳動に供し、アルカリ
(0.25MのHCl及び0.4MのNaOH)で処理した後、Hybond N
+membrane(Amersham社製)に転写した。ハイブリダイ
ゼーションプローブ作製のために、該ターゲティングDN
AのDNA配列を基に設計した一対のプライマーEpoR16(配
列番号13)及びEpoR28(配列番号14)を用いて該ターゲ
ティングDNAを鋳型としてPCRを行った。該PCRにより得
られた約1kbpのDNA断片をランダムプライム法より(α-
32P)dCTPで放射性標識してハイブリダイゼーションプロ
ーブとした。
【0126】ハイブリダイゼーションは、該メンブレン
を、プローブ(0.5ng/ml)を加えたハイブリダイゼーシ
ョンバッファー(6×SSC、5×Denhardt溶液、0.5%SD
S、100μg/mlのSalmon sperm DNA)中で65℃で一晩保温
することにより行った。なお、プレハイブリダイゼーシ
ョンは、同バッファー中で65℃で2時間行った。次い
で、メンブレンを、65℃で、2×SSC(standard salinec
itrate; 0.15M NaCl, 0.015M Na-Citrate)/0.1%SDSで
20分、1×SSC/0.1%SDSで20分、及び0.1×SSC/0.1%SDSで
20分の操作で各々2回づつ洗浄した。次いで、メンブレ
ンを、Imaging plate(富士写真フィルム社製)に露出
させた。解析はBAS2000(富士写真フィルム社製)で行
った。結果を図8に示す。組換えES細胞(No.20)で正常
な相同組換えによるジーンタゲティングが起こっていれ
ば、本サザンハイブリダイゼションで観察が期待される
DNAの大きさは下記のとおりである(図8(a))。 (1)BamHIで切断したゲノムDNA断片: 約7.2kb (2)BglIIで切断したゲノムDNA断片: 約3.0kb (3)HindIIIで切断したゲノムDNA断片: 約11.8kb (4)PvuIIで切断したゲノムDNA断片: 約4.2kb 野生型ES細胞の場合には、下記とおりである。 (1)BamHIで切断したゲノムDNA断片: 約3.5kb (2)BglIIで切断したゲノムDNA断片: 約3.5kb (3)HindIIIで切断したゲノムDNA断片: 約4.3kb (4)PvuIIで切断したゲノムDNA断片: 約3.8kb 図8(b)に示されるとおり、組換えES細胞(No.20)にお
いては、いずれの制限酵素で切断した場合にも期待され
る大きさのDNAのバンドが検出された。この結果から、
本実施例で作製された相同組換え用ターゲティングDNA
が、内在性ゲノムとの正常な相同組換えにより、マウス
ES細胞中の内在性EPO受容体遺伝子を破壊したことが確
認された。
【0127】<2-9> 正常な相同組換えが起こった細胞
の選別 ターゲティングDNAと内在性ゲノムとの間での正常な相
同組換えによるEPO受容体遺伝子の破壊が起こっている
細胞をPCRにより選別方法を、前記実施例<2-7>に記載し
た。下記に示す選別方法は、下記の実験的事実に着目し
た別の有用な選別方法である。ターゲティングDNAが
正しい相同組換えにより標的DNA配列中に組み込まれ
た場合には、該ターゲティングDNAは末端配列を欠落
することなく組み込まれている。しかしながら、ランダ
ムインテグレーション(random integration)のよう
に、ターゲティングDNAが、標的DNA配列以外の部
位あるいは誤った形で内在性ゲノムDNAに組み込まれ
た場合には、組み込まれたターゲティングDNAは、か
なり高い確率でその末端配列を欠落している。従って、
組換え細胞の内在性ゲノムDNA中に組み込まれたター
ゲティングDNAの末端配列の有無をPCRにより解析す
ることにより極めて高い精度で正常な相同組換えが起こ
った組換え細胞の選別が可能である。本方法による選別
の結果を下記に示す。
【0128】下記の一対のPCR用プライマーを調製し
た。 (1)ターゲティングDNA中に含まれるネオマイシン耐
性遺伝子の一部に相補的なプライマー:neo24(配列番
号11)。 (2)該ターゲティングDNAの一方の末端配列(XhoIに
よる切断末端DNA配列を含む)に相補的なプライマー:E
poR21(配列番号8)。該プライマーを用いたPCRにより
増幅が期待されるDNAの大きさは、1,146bpである。各々
の組換えES細胞クローン(実施例<2-6>)について、下
記条件でPCRを行った。
【0129】(反応混合物組成)0.5UのTaqポリメラー
ゼ、0.25mMのdNTP、上記一対のプライマー(各0.4μ
M)。全量:25μl。 (反応サイクル)95℃で2分の反応を1サイクル;95℃で
30秒、55℃で30秒、及び72℃で2分の反応を35サイク
ル;及び72℃で10分を1サイクル。得られたPCR産物を常
法に従ってゲル電気泳動に供した。その結果192クロー
ン中、28個のES細胞クローンで、期待される1,146bpの
大きさのバンドが認められた。ターゲティングDNAの片
方の末端配列を保持するクローンは、約14%であった。
前記(2)に記載のプライマーEpoR-21の代わりに該タ
ーゲティングDNAのもう一方の末端配列に相補的なプラ
イマーを用いて上記と同様にPCRを行った場合にも、同
様の陽性率になることが予想される。従って、内在性ゲ
ノムに組み込まれた該ターゲティングDNAが、導入され
たターゲティングDNAの両方の末端配列を有することをP
CRで確認することにより、正常な相同組換えが起こった
細胞を約100倍(0.14×0.14=約0.02、即ち2%)に濃縮
可能である。
【0130】<2-10> EPO受容体ノックインマウスの作
製 実施例<2-8>で得た内在性EPO受容体遺伝子がされたES細
胞(ノックアウトES細胞)を、C57BL/6マウス(チャー
ルズリバー製)の雄雌を交配して得た胚盤胞に1胚あた
り10乃至15個ずつ注入(マイクロインジェクション)し
た。注入直後に、偽妊娠処理してから3.5日目の仮親ICR
マウス(19匹;チャールズリバー製)の子宮に子宮の片
側あたり約10個ずつの胚盤胞を移植した。その結果、合
計40匹の産児を得、その内の25匹が目的のキメラマウス
でった。毛色への貢献度が70%以上のキメラマウスは、
18匹であった。次いで得られたキメラマウス(雄)を正
常C57BL/6マウス(雌)と交配し、ES細胞由来の毛色遺
伝子によるアグーチ(agouti)色のマウス(一対の染色
体内の一方の染色体上のEPO受容体遺伝子が破壊された
ヘテロノックアウトマウス)を得た。得られた雌雄のヘ
テロマウスを交配し、一対の染色体の両方に存在するEP
O受容体遺伝子が破壊されたホモノックアウトマウスを
得た。
【0131】実施例3 GN遺伝子ノックアウトマウス
の作製 <3-1> マウスゲノムDNAライブラリーの作製 実施例<1-1>及び実施例<2-1>と同様に、マウスGN蛋白
(cDNA:配列番号15;アミノ酸配列:配列番号16)をコ
ードする遺伝子を保持するマウスゲノムDNA断片を、
市販のマウスゲノムDNAのBACライブラリーであるDOWN T
O THE WELL MOUSE ES BAC DNA POOL(Genome Systems社
製)をスクリーニングすることにより得た。該マウスG
N蛋白をコードするの塩基配列を基に作製した該塩基配
列の一部に相補的な一対のPCRプライマーを用いて、全
ての混合サンプルチューブの各々について実施例<1-1>
及び実施例<2-1>と同様の条件ででPCR行った。得られた
PCR産物を、常法に従ってゲル電気泳動に供し、ゲル上
に現れるバンドの大きさから、期待される塩基長を有す
るDNAの増幅が見られる混合サンプルチューブを同定し
た。その結果、221H03、231G13、及び41D14という番号
が付されたウェル中の3つのBACクローン中にマウスGN遺
伝子を含むゲノムDNA断片がクローニングされているこ
とが判明した。当該BACクローンを、Genome Systems社
より購入した。
【0132】Genome Systems社より購入した3つのBAC
クローン(221H03、231G13、及び41D14)を、4塩基認
識制限酵素HaeIII、AluI及びRsaIの各々で部分消化して
マウスゲノムDNA断片を調製した。該ゲノムDNA断片を、
アガロースゲル電気泳動に供して、約6乃至8Kbの塩基
長を有する複数のゲノムDNA断片を回収した。該ゲノムD
NA断片の各々を、制限酵素EcoRVで処理して線状化した
プラスミドp1511-1とT4リガーゼを用いて連結した。得
られたマウスゲノムDNA断片挿入プラスミドp1511-1の各
々で大腸菌JM109を形質転換し、アガロースプレートに
蒔きコロニーを形成させた。各々のクローンを96穴マイ
クロプレート(2枚)の各ウェルに移して、マウスゲノ
ムDNAライブラリーとした。
【0133】<3-2> マウスGN遺伝子を含むプラスミド
クローンの同定、選別 実施例<1-1>及び実施例<2-1>の方法と同様にして、前記
実施例で調製したマウスゲノムDNAライブラリーである
各々のウェルにセットされた各々の環状DNA(プラスミ
ドマウスゲノムDNA)を、マウスGN遺伝子の塩基配列に
相補的な一対のプライマーNY-C-F2(フォーワードプラ
イマー:配列番号17)及びNY-S-R4(リバースプライマ
ー:配列番号18)を用いたPCR反応(通常の内向きのPC
R)により増幅させた。得られたPCR産物を常法に従って
ゲル電気泳動に供した。その結果、マウスGN遺伝子を含
むマウスゲノムDNAを保持するクローンとして下記10個
のクローンが選別された(図17)。 <クローン名> <BACの由来> <4塩基認識制限酵素> (1)p1561 231G13 AluI (2)p1562 231G13 RsaI (3)p1563 231G13 HaeIII (4)p1564 231G13 HaeIII (5)p1565 221H03 HaeIII (6)p1566 221H03 RsaI (7)p1567 221H03 AluI (8)p1568 41D14 AluI (9)p1569 41D14 AluI (10)p1570 41D14 AluI
【0134】<3-3> 環状プラスミドマウスゲノムDNAを
鋳型とした逆PCR 前記で選別されたマウスGN遺伝子を含むマウスゲノムDN
Aを保持する環状プラスミドDNAの各々を鋳型として、マ
ウスGN遺伝子の塩基配列に相補的な一対のプライマーNY
-5'-PF3(フォーワードプライマー:配列番号19)及びN
Y-5'-PR3(リバースプライマー:配列番号20)を用いた
逆PCR反応(Inverse PCR; Inverted PCR; inside-out P
CR)により増幅させた。なお、PCR産物のクローニング
の効率を上げるために、上記各々のプライマーの5'末端
側近傍には制限酵素PacI認識DNA配列(TTAATTAA)を付
加した。また、PCRは下記の反応条件で行った。 (反応混合物組成)2.5UのLA Taqポリメラーゼ(宝酒造
製)、400μM−15μMのdNTP、上記一対のプライマー
(各15mM)、X2GC緩衝液。 (反応サイクル)95℃で1分、95℃で30秒及び65℃で10
分の反応を5サイクル。得られた各々のPCR産物を制限
酵素PacIで処理した後、常法に従ってゲル電気泳動で分
画し、各々のDNA断片を回収した。
【0135】<3-4> DNA断片の大腸菌内での増幅 前記実施例で回収した各々のDNA断片(マウスGN遺伝子
を含むマウスゲノムDNAを保持する各々の線状化プラス
ミドDNA)を、T4リガーゼを用いて自己環状化(分子内
連結)した後、該各々のDNA断片により大腸菌JM109を形
質転換した後、アガロースプレートに蒔いて培養しコロ
ニーを形成させた。生育した各々のコロニーから各々の
プラスミドDNAを回収した。各々のプラスミドDNAを制限
酵素(KpnI、SalI、XhoI、PvuI)で消化した後常法に従
って電気泳動に供して制限酵素地図を作製した。実施例
<3-2>で得た10種類のDNA断片の内の6種類のDNA断片(p
1571, p1572, p1573, p1574, p1575, p1576)に由来す
るプラスミドDNA(各々p1561, p1562, p1564, p1565, p
1566, p1568と命名)についての結果を、図18に示す。
【0136】<3-5> プラスミドDNAへの外来性遺伝子の
挿入 前記で得た6種類のプラスミドDNAの各々を制限酵素Pac
Iで切断し後BAP処理した線状化プラスミドDNAの各々
に、ルシフェラーゼ遺伝子及びネオマイシン耐性遺伝子
を有するDNAカセットをT4リガーゼを用いて連結し再環
状化しプラスミドDNAを調製した。該各々のプラスミド
で大腸菌JM109を形質転換し、アガロースプレートに蒔
きコロニーを形成させた。生育した各々のコロニーから
各々のプラスミドDNAを回収した。各々のプラスミドDNA
を制限酵素(SpeI, EcoRI, MluI)またはRNaseで消化し
た後常法に従って電気泳動に供して制限酵素地図を作製
した。実施例<3-4>で得た10種類のプラスミドDNAの内の
4種類のDNA断片(p1572, p1574, p1575, p1576)に由
来するプラスミドDNA(各々p1577, p1578, p1580, p157
9と命名)についての結果を、図19に示す。各々のプラ
スミドDNA(p1577, p1578, p1580, p1579)をベクターD
NA中の制限酵素部位(プラスミドp1511-1中の制限酵素
部位)で切断して線状化することによりマウスGN遺伝子
のターゲティングDNAを得た。このターゲティングDNA
を、以下の試験で用いるマウスGN遺伝子のターゲティン
グDNAとして用いた。
【0137】実施例4 マウスHE4全長をコードするcD
NAの単離 ヒトのHE4タンパク(Human epididymis-specific prote
in; Biol. Reprod., Vol.45, No.2, p.350-357, 1991)
のホモログと推定される新規なマウスHE4タンパクの全
長をコードするcDNAを単離し、その塩基配列及びアミ
ノ酸配列を決定した。ヒトHE4タンパクをコードするDNA
の塩基配列の相同性を有するマウスEST(expressed seq
uence tag)を得た(配列番号21)。市販のマウス腎臓c
DNAライブラリー(TaKaRa製)に含まれるcDNAクローン
を原料として、1つのウェルにつき約5,000種類のcDNA
クローンを48穴マイクロプレートの各々のウェルにセッ
トして新たなマウス腎臓cDNAライブラリーを作製した。
このcDNAライブラリーの各々のウェルにセットされたcD
NAクローンを鋳型として、前記のマウスESTの塩基配列
に相補的な一対のプライマーHE4-F2(フォーワードプラ
イマー:配列番号22)及びHE4-R2(リバースプライマ
ー:配列番号23)を用いた逆PCR反応(Inverse PCR; In
verted PCR; inside-out PCR)により遺伝子増幅を行っ
た。
【0138】PCRは下記の反応条件で行った。 (反応混合物組成)2.5UのLA Taqポリメラーゼ(宝酒造
製)、0.4mMのdNTP、上記一対のプライマー(各50m
M)、X2GC緩衝液。 (反応サイクル)95℃で1分、95℃で30秒及び65℃で12
分の反応を16サイクル;95℃で30秒、65℃で12分(1サ
イクル毎に15秒の増加)の反応を13サイクル;及び、72
℃で10分の反応を1サイクル。得られた各々のPCR産物
を常法に従ってゲル電気泳動に供した。その結果、複数
のウェルのcDNAクローンで約6KbのDNAの増幅が認めら
れた(図20)。特に顕著な遺伝子増幅が認められた3つ
のクローン(A1、C5及びD5)のPCR産物を回収し、S-400
スピンカラムを用いて精製した後、各々のcDNAクローン
の塩基配列を決定し、マウスHE4の全長をコードするcDN
A(ORFを含む)を得た(cDNA配列:配列番号24、アミノ
酸配列:配列番号25)。
【0139】
【発明の効果】本発明は、種々生物(マウス等の非ヒト
哺乳動物、植物、細菌またはウイルスなど)の内在性ゲ
ノム中の標的DNA配列(例えば、特定の蛋白をコードす
る遺伝子など)を相同組換えにより修飾(置換、欠失あ
るいは挿入など)に用いられるターゲティングDNAの新
規且つ有用な製造方法、該製造方法を用いて作製される
ターゲティングDNA、該ターゲティングDNAを用いること
を特徴とする組換え細胞(ノックアウト細胞あるいはノ
ックイン細胞など)、該ターゲティングDNAを用いるこ
とを特徴とする組換え生物(ノックアウトマウスやノッ
クインマウスに代表されるような組換え非ヒト哺乳動
物、組換え細菌及び組換えウイルスなど)の製造方法、
該ターゲティングDNAの製造において有用なゲノムD
NAライブラリー、並びにcDNAライブラリーから所
望のcDNAを保持するクローンを同定し取得する方法
(スクリーニング方法)に関する。
【0140】本発明のターゲティングDNAの製造方法を
用いれば、従来のターゲティングDNAの製造方法が有し
ていた前述のような種々の問題点を改善し、相同組換え
用ターゲティングDNAの作製に必要な時間及び労力を大
幅に低減することが可能であり、極めて簡便にターゲテ
ィングDNAを作製することができる。またその結果とし
て、ターゲティングベクターの製造に必要なコストを大
幅に低減することができる。即ち、本発明の方法を用い
れば、下記のような簡便性を有する結果、従来法による
ターゲティングDNAの製造に要していた約3ヶ月とい
う製造期間を最短で約2週間に短縮することが可能であ
る。: (1)標的DNA配列を含む内在性ゲノムDNA断片の
取得に、時間と労力を要するプラークハイブリダイゼー
ション法を行う必要がない。 (2)プラークハイブリダーゼーションの実施に必須で
ある放射性物質とRI(放射性同位体)管理施設等の特
殊な試薬及び施設の使用を必要としない。 (3)多大な時間と労力を必要とする内在性ゲノムDN
A断片の制限酵素地図の作成を行う必要がない。
【0141】また、本発明の方法を用いれば、その簡便
性により、一人で複数種類のターゲティングDNAの製
造を同時に行うことが可能である。前記期間の短縮の効
果との相加効果により、本発明の製造方法を用いれば、
一種類のターゲティングベクターの製造のための期間
を、最短で約1週間に短縮できる。また、この製造期間
の飛躍的な短縮により、ターゲティングベクターの製造
に要するコストを大幅に低減することが可能となる。
【0142】さらに、従来法においてはプラークハイブ
リダイゼーション用のプローブの作製のために200bp以
上の塩基配列が既知である必要であったが、本発明の製
造方法においては、標的DNA配列の一部に相補的な2
種類のPCR用プライマーDNAを設計することが可能
な最低約70bpの塩基配列が決定されていれば十分である
ことから、従来法では不可能であった塩基長が200bpに
満たないESTのような短いDNA配列を標的としたタ
ーゲティングDNAの製造が可能である。本発明の他の
一つは、ターゲティングDNAと内在性ゲノムDNAと
の相同組換えにより該内在性ゲノムDNA中の標的DN
A配列が修飾された組換え細胞または組換え生物の新規
且つ有用な選別方法である。
【0143】本発明の選別方法を用いれば、煩雑な操作
を労力を要するサザンハイブリダイゼーションによる選
別を行う必要がなく、ターゲティングDNAと内在性ゲ
ノムDNAとの相同組換えにより該内在性ゲノムDNA
中の標的DNA配列が修飾された該組換え細胞または組
換え生物の選別を極めて簡便に且つ極めて高い精度で選
別することが可能である。
【0144】上述した本発明のターゲティングDNAの製
造方法並びに組換え細胞の選別方法を用いれば、医薬品
の研究開発のツールとして極めて有用なモデル動物であ
るノックアウトマウスやノックインマウスなどのトラン
スジェニック非ヒト哺乳動物の製造に要する期間、労力
及びコストを大幅に低減することが可能である。また、
同様に、遺伝子治療分野において使用される治療用生理
活性蛋白をコードする遺伝子等の運搬体としての組換え
ベクター(レトロウイルスベクター、アデノウイルスベ
クター、アデノ随伴ウイルスベクターなど)の製造に要
する期間、労力及びコストを大幅に低減することが可能
である。
【0145】また、本発明のゲノムDNAライブラリー
を用いることにより、前述のようなターゲティングDN
Aの作製において必須なゲノムDNA断片を極めて容易
且つ短期間で所得することが可能である。
【0146】また本発明のcDNAのスクリーニング方
法を用いれば、従来の方法において必要とされた複数回
のPCRによる陽性クローンのスクリーニングなどの煩
雑で時間のかかる操作が不要となり、cDNAライブラ
リーから簡便且つ迅速に所望のcDNAクローンを同
定、取得することが可能である。
【0147】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Japan Tobacco, Inc. <120> Method for Preparing Gene Targeting DNA for Homologous Recombination And Method for Screening cDNA Library <130> J1-007DP1 <140> <141> <150> JP11-071390 <151> 1999-03-17 <160> 25 <170> PatentIn Ver. 2.1 <210> 1 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially synthesized primer sequence, "p3A" <220> <221> primer_bind <222> (1)..(20) <400> 1 ctataggact gaaagacttg 20 <210> 2 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially synthesized primer sequence, "p3B" <220> <221> primer_bind <222> (1)..(20) <400> 2 tacttacaca gtagctcttc 20 <210> 3 <211> 43 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially synthesized primer sequence, "pr2-1" <220> <221> primer_bind <222> (1)..(43) <400> 3 acgcgttaat taacaaatct aggtcataac ctggttcatc atc 43 <210> 4 <211> 44 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially synthesized primer sequence, "pr2-2" <220> <221> primer_bind <222> (1)..(44) <400> 4 acgcgtgcgg ccgcgtgttt attcctcatg gactgattat ggac 44 <210> 5 <211> 44 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially synthesized primer sequence, "pr3-1" <220> <221> primer_bind <222> (1)..(44) <400> 5 acgcgtttaa ttaacttcat gacatctcga gcaagtcttt gagt 44 <210> 6 <211> 44 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially synthesized primer sequence, "pr3-2" <220> <221> primer_bind <222> (1)..(44) <400> 6 acgcgtgcgg ccgcgctgac ctgctggatt acattaaagc actg 44 <210> 7 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially synthesized primer sequence, "EpoR11" <220> <221> primer_bind <222> (1)..(20) <400> 7 gctccgaaca agttatgtac 20 <210> 8 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially synthesized primer sequence, "EpoR21" <220> <221> primer_bind <222> (1)..(21) <400> 8 tcgagctggt atgagaagct g 21 <210> 9 <211> 45 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially synthesized primer sequence, "EpoR14" <220> <221> primer_bind <222> (1)..(45) <400> 9 gtgttaatta agagagcaaa ggtaagaact gtacatgggc aatgc 45 <210> 10 <211> 44 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially synthesized primer sequence, "EpoR24" <220> <221> primer_bind <222> (1)..(44) <400> 10 gcggcggccg catgcagccc tagcttcagg aagctcaggg ctcc 44 <210> 11 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially synthesized primer sequence, "neo24" <220> <221> primer_bind <222> (1)..(21) <400> 11 actgacacac attccacagc c 21 <210> 12 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially synthesized primer sequence, "EpoR27" <220> <221> primer_bind <222> (1)..(21) <400> 12 ggtagtgccc taattccaac g 21 <210> 13 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially synthesized primer sequence, "EpoR16" <220> <221> primer_bind <222> (1)..(20) <400> 13 gtgtctgaac tcgatgaggc 20 <210> 14 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially synthesized primer sequence, "EpoR28" <220> <221> primer_bind <222> (1)..(20) <400> 14 gcacagaagt tcttcggagc 20 <210> 15 <211> 1199 <212> DNA <213> Mus musculus <220> <221> 5'UTR <222> (1)..(155) <220> <221> CDS <222> (156)..(1031) <220> <221> 3'UTR <222> (1032)..(1199) <400> 15 gcacaccggc cccggcgggc cccggcagag aagcccgcac aggtcccagg aaggtggcgt 60 cagcatctgc agccgcgtcg acgttgtctg agcctccgcg gaggacccag gagagtcgga 120 ctaggaccag ggccccgggc ctccccacgc tccct atg gaa aag cca gct gcc 173 Met Glu Lys Pro Ala Ala 1 5 tca aca gaa ccc caa ggg tct cgg ccc gcc ttg ggc cgt gaa agt gtc 221 Ser Thr Glu Pro Gln Gly Ser Arg Pro Ala Leu Gly Arg Glu Ser Val 10 15 20 cag gtg ccc gat gac cag gac ttc cgc agt ttc cgg tca gag tgt gag 269 Gln Val Pro Asp Asp Gln Asp Phe Arg Ser Phe Arg Ser Glu Cys Glu 25 30 35 gcc gag gtg ggc tgg aac ctg acc tac agc aag gcc ggc gtg tct gtg 317 Ala Glu Val Gly Trp Asn Leu Thr Tyr Ser Lys Ala Gly Val Ser Val 40 45 50 tgg gtg cag gct gtg gag atg gat cga act ctg cac aag atc aag tgt 365 Trp Val Gln Ala Val Glu Met Asp Arg Thr Leu His Lys Ile Lys Cys 55 60 65 70 cgg atg gaa tgc tgt gac gtg cca gct gag acg ctc tac gat gtc ctg 413 Arg Met Glu Cys Cys Asp Val Pro Ala Glu Thr Leu Tyr Asp Val Leu 75 80 85 cat gac ata gaa tac aga aag aag tgg gac agt aat gtc att gag act 461 His Asp Ile Glu Tyr Arg Lys Lys Trp Asp Ser Asn Val Ile Glu Thr 90 95 100 ttc gac atc gcc cgc ttg act gtc aac gct gac gta gga tat tat tcc 509 Phe Asp Ile Ala Arg Leu Thr Val Asn Ala Asp Val Gly Tyr Tyr Ser 105 110 115 tgg agg tgt ccc aag ccc ctg aag aac cgt gat gtc atc acc ctc cgc 557 Trp Arg Cys Pro Lys Pro Leu Lys Asn Arg Asp Val Ile Thr Leu Arg 120 125 130 tcc tgg ctc ccc atg ggc gct gat tac atc att atg aac tac tca gtg 605 Ser Trp Leu Pro Met Gly Ala Asp Tyr Ile Ile Met Asn Tyr Ser Val 135 140 145 150 aaa cac cct aaa tac cca cct cgg aaa gac ttg gtc cga gct gtg tcc 653 Lys His Pro Lys Tyr Pro Pro Arg Lys Asp Leu Val Arg Ala Val Ser 155 160 165 atc cag acg ggc tac ctc atc cag agc acg ggg ccc aag agc tgc gtc 701 Ile Gln Thr Gly Tyr Leu Ile Gln Ser Thr Gly Pro Lys Ser Cys Val 170 175 180 atc acc tac ctg gcc caa gtg gac ccc aaa ggc tcc tta ccc aag tgg 749 Ile Thr Tyr Leu Ala Gln Val Asp Pro Lys Gly Ser Leu Pro Lys Trp 185 190 195 gtg gtg aat aag tca tct cag ttc ctg gcc ccc aag gcc atg aag aag 797 Val Val Asn Lys Ser Ser Gln Phe Leu Ala Pro Lys Ala Met Lys Lys 200 205 210 atg tac aag gcc tgc atc aag tac ccc gag tgg aag cag aaa cac cag 845 Met Tyr Lys Ala Cys Ile Lys Tyr Pro Glu Trp Lys Gln Lys His Gln 215 220 225 230 cct cat ttc aag cca tgg ctg cac ccg gag cag agc cca ttg ccc agc 893 Pro His Phe Lys Pro Trp Leu His Pro Glu Gln Ser Pro Leu Pro Ser 235 240 245 ctg gcg ctg tca gag ttg tcg gtg caa cat gca gac tca ctg gag aac 941 Leu Ala Leu Ser Glu Leu Ser Val Gln His Ala Asp Ser Leu Glu Asn 250 255 260 atc gat gag agt gca gtg aca gag agc cgc gag gag cgg gca ggc ggt 989 Ile Asp Glu Ser Ala Val Thr Glu Ser Arg Glu Glu Arg Ala Gly Gly 265 270 275 gcg gga gga gag ggc agc gac gat gac acc tcg ctc acc tga 1031 Ala Gly Gly Glu Gly Ser Asp Asp Asp Thr Ser Leu Thr 280 285 290 gtgaccggct ctctgcaagg accaagacca gactggggtg gaaccctggg gcactgagcc 1091 ttcctgcact tcctcccttc ccccacctgc ttctgggggg gcactgggct cctgcccagg 1151 tggctgcggc atggctggac atggccccaa taaatgaacc acacagcc 1199 <210> 16 <211> 291 <212> PRT <213> Mus musculus <400> 16 Met Glu Lys Pro Ala Ala Ser Thr Glu Pro Gln Gly Ser Arg Pro Ala 1 5 10 15 Leu Gly Arg Glu Ser Val Gln Val Pro Asp Asp Gln Asp Phe Arg Ser 20 25 30 Phe Arg Ser Glu Cys Glu Ala Glu Val Gly Trp Asn Leu Thr Tyr Ser 35 40 45 Lys Ala Gly Val Ser Val Trp Val Gln Ala Val Glu Met Asp Arg Thr 50 55 60 Leu His Lys Ile Lys Cys Arg Met Glu Cys Cys Asp Val Pro Ala Glu 65 70 75 80 Thr Leu Tyr Asp Val Leu His Asp Ile Glu Tyr Arg Lys Lys Trp Asp 85 90 95 Ser Asn Val Ile Glu Thr Phe Asp Ile Ala Arg Leu Thr Val Asn Ala 100 105 110 Asp Val Gly Tyr Tyr Ser Trp Arg Cys Pro Lys Pro Leu Lys Asn Arg 115 120 125 Asp Val Ile Thr Leu Arg Ser Trp Leu Pro Met Gly Ala Asp Tyr Ile 130 135 140 Ile Met Asn Tyr Ser Val Lys His Pro Lys Tyr Pro Pro Arg Lys Asp 145 150 155 160 Leu Val Arg Ala Val Ser Ile Gln Thr Gly Tyr Leu Ile Gln Ser Thr 165 170 175 Gly Pro Lys Ser Cys Val Ile Thr Tyr Leu Ala Gln Val Asp Pro Lys 180 185 190 Gly Ser Leu Pro Lys Trp Val Val Asn Lys Ser Ser Gln Phe Leu Ala 195 200 205 Pro Lys Ala Met Lys Lys Met Tyr Lys Ala Cys Ile Lys Tyr Pro Glu 210 215 220 Trp Lys Gln Lys His Gln Pro His Phe Lys Pro Trp Leu His Pro Glu 225 230 235 240 Gln Ser Pro Leu Pro Ser Leu Ala Leu Ser Glu Leu Ser Val Gln His 245 250 255 Ala Asp Ser Leu Glu Asn Ile Asp Glu Ser Ala Val Thr Glu Ser Arg 260 265 270 Glu Glu Arg Ala Gly Gly Ala Gly Gly Glu Gly Ser Asp Asp Asp Thr 275 280 285 Ser Leu Thr 290 <210> 17 <211> 37 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially synthesized primer sequence, "NY-C-F2" <220> <221> primer_bind <222> (1)..(37) <400> 17 agccgcgtcg acgttgtctg agcctccgcg gaggacc 37 <210> 18 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially synthesized primer sequence, "NY-S-R4" <220> <221> primer_bind <222> (1)..(30) <400> 18 ccagcccacc tcggcctcac actctgaccg 30 <210> 19 <211> 43 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially sunthesized primer sequence, "NY-5'-PF3" <220> <221> primer_bind <222> (1)..(43) <400> 19 gctcgttaat taagccagct gcctcaacag aaccccaagg gtc 43 <210> 20 <211> 43 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially synthesized primer sequence, "NY-5'-PR3" <220> <221> primer_bind <222> (1)..(43) <400> 20 caagcttaat taactcagac aacgtcgacg cggctgcaga tgc 43 <210> 21 <211> 842 <212> DNA <213> Mus musculus <400> 21 aaatggcgtg aggtggcagg gcgcccgccg tgcccgctgt gcttccttcc cgcctcctgc 60 tcccctcact cggcccctcc ccctccccgc gcgagtgctt aaatcccccc catcctggct 120 gcaggtcata ttcggatcca tgatgcctgc ctgtcgcctc tgcttgctgg ccgctgctcc 180 tactagggtt gctactgttc acccccatct cagccacagg caccgatgca gagaaacccg 240 gcgagtgccc ccagctcgaa ccaattacgg actgtgtgtt ggagtgcact ttggacaagg 300 actgtgcgga caaccgcaag tgctgccagg cgggctgcag ctctgtctgc tccaagccta 360 atggaccgag cgaaggagag ctctcaggga cagatactaa actctcagag actgggacta 420 ctactcaatc agcgggcctt gaccacacta ctaaaccacc gggaggtcaa gtctccacga 480 agccaccggt gtgaccaggg aaggcttagg tgtccgagaa aagcagggca cctgccccag 540 cgtggacata cccaagctcg gcctctgtga ggaccagtgt caggtggaca gccagtgttc 600 tggcaacatg aaatgctgcc gcaatggatg tgggaagatg gcctgcacca cacccaaatt 660 ctgagcttca gcctccagca gcctgaggaa tggagagagg ttgtttctgc cggactgtgc 720 atctggagtc gttcctgtgg cctcctttct ctctggtctt tgcatttctt cctggtccga 780 tgaaagcatc tcctttttct aaccaataaa gtgatcgctt tcagcaatgg agaagctata 840 ac 842 <210> 22 <211> 32 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially synthesized primer sequence, "HE4-F2" <220> <221> primer_bind <222> (1)..(32) <400> 22 gggctgcagc tctgtctgct ccaagcctaa tg 32 <210> 23 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially synthesized primer sequence, "HE4-R2" <220> <221> primer_bind <222> (1)..(30) <400> 23 ctcagccaca ggaccgatgc agagaaaccc 30 <210> 24 <211> 705 <212> DNA <213> Mus musculus <220> <221> 5'UTR <222> (1)..(2) <220> <221> CDS <222> (3)..(527) <220> <221> 3'UTR <222> (528)..(705) <400> 24 cc atg cct gcc tgt cgc ctc tgc ttg ctg gcc gct ggc ctc cta cta 47 Met Pro Ala Cys Arg Leu Cys Leu Leu Ala Ala Gly Leu Leu Leu 1 5 10 15 ggg ttg cta ctg ttc acc ccc atc tca gcc aca ggc acc gat gca gag 95 Gly Leu Leu Leu Phe Thr Pro Ile Ser Ala Thr Gly Thr Asp Ala Glu 20 25 30 aaa ccc ggc gag tgc ccc cag ctc gaa cca att acg gac tgt gtg ttg 143 Lys Pro Gly Glu Cys Pro Gln Leu Glu Pro Ile Thr Asp Cys Val Leu 35 40 45 gag tgc act ttg gac aag gac tgt gcg gac aac cgc aag tgc tgc cag 191 Glu Cys Thr Leu Asp Lys Asp Cys Ala Asp Asn Arg Lys Cys Cys Gln 50 55 60 gcg ggc tgc agc tct gtc tgc tcc aag cct aat gga ccg agc gaa gga 239 Ala Gly Cys Ser Ser Val Cys Ser Lys Pro Asn Gly Pro Ser Glu Gly 65 70 75 gag ctc tca ggg aca gat act aaa ctc tca gag act ggg act act act 287 Glu Leu Ser Gly Thr Asp Thr Lys Leu Ser Glu Thr Gly Thr Thr Thr 80 85 90 95 caa tca gcg ggc ctt gac cac act act aaa cca ccg gga ggt caa gtc 335 Gln Ser Ala Gly Leu Asp His Thr Thr Lys Pro Pro Gly Gly Gln Val 100 105 110 tcc acg aag cca ccg gct gtg acc agg gaa ggc tta ggt gtc cga gaa 383 Ser Thr Lys Pro Pro Ala Val Thr Arg Glu Gly Leu Gly Val Arg Glu 115 120 125 aag cag ggc acc tgc ccc agc gtg gac ata ccc aag ctc ggc ctc tgt 431 Lys Gln Gly Thr Cys Pro Ser Val Asp Ile Pro Lys Leu Gly Leu Cys 130 135 140 gag gac cag tgt cag gtg gac agc cag tgt tct ggc aac atg aaa tgc 479 Glu Asp Gln Cys Gln Val Asp Ser Gln Cys Ser Gly Asn Met Lys Cys 145 150 155 tgc cgc aat gga tgt ggg aag atg gcc tgc acc aca ccc aaa ttc tga 527 Cys Arg Asn Gly Cys Gly Lys Met Ala Cys Thr Thr Pro Lys Phe 160 165 170 175 gcttcagcct ccagcagcct gaggaacgga gagaggttgt ttctgccgga ctgtgcatct 587 ggagtcgttc ctgtggcctc ctttctctct ggtctttgca tttcttcctg gtccgacgaa 647 agcatctcct ttttctaacc aataaagtga tcgttttcag caatggagaa gctataac 705 <210> 25 <211> 174 <212> PRT <213> Mus musculus <400> 25 Met Pro Ala Cys Arg Leu Cys Leu Leu Ala Ala Gly Leu Leu Leu Gly 1 5 10 15 Leu Leu Leu Phe Thr Pro Ile Ser Ala Thr Gly Thr Asp Ala Glu Lys 20 25 30 Pro Gly Glu Cys Pro Gln Leu Glu Pro Ile Thr Asp Cys Val Leu Glu 35 40 45 Cys Thr Leu Asp Lys Asp Cys Ala Asp Asn Arg Lys Cys Cys Gln Ala 50 55 60 Gly Cys Ser Ser Val Cys Ser Lys Pro Asn Gly Pro Ser Glu Gly Glu 65 70 75 80 Leu Ser Gly Thr Asp Thr Lys Leu Ser Glu Thr Gly Thr Thr Thr Gln 85 90 95 Ser Ala Gly Leu Asp His Thr Thr Lys Pro Pro Gly Gly Gln Val Ser 100 105 110 Thr Lys Pro Pro Ala Val Thr Arg Glu Gly Leu Gly Val Arg Glu Lys 115 120 125 Gln Gly Thr Cys Pro Ser Val Asp Ile Pro Lys Leu Gly Leu Cys Glu 130 135 140 Asp Gln Cys Gln Val Asp Ser Gln Cys Ser Gly Asn Met Lys Cys Cys 145 150 155 160 Arg Asn Gly Cys Gly Lys Met Ala Cys Thr Thr Pro Lys Phe 165 170
【0148】「配列表フリーテキスト」 配列番号:1 他の情報:人工配列についての記載:人工的に合成した
プライマー配列p3A。 配列番号:2 他の情報:人工配列についての記載:人工的に合成した
プライマー配列p3B。 配列番号:3 他の情報:人工配列についての記載:人工的に合成した
プライマー配列pr2-1。 配列番号:4 他の情報:人工配列についての記載:人工的に合成した
プライマー配列pr2-1。 配列番号:5 他の情報:人工配列についての記載:人工的に合成した
プライマー配列pr3-1。 配列番号:6 他の情報:人工配列についての記載:人工的に合成した
プライマー配列pr3-2。 配列番号:7 他の情報:人工配列についての記載:人工的に合成した
プライマー配列EpoR11。 配列番号:8 他の情報:人工配列についての記載:人工的に合成した
プライマー配列EpoR21。 配列番号:9 他の情報:人工配列についての記載:人工的に合成した
プライマー配列EpoR14。 配列番号:10 他の情報:人工配列についての記載:人工的に合成した
プライマー配列EpoR24。 配列番号:11 他の情報:人工配列についての記載:人工的に合成した
プライマー配列neo24。 配列番号:12 他の情報:人工配列についての記載:人工的に合成した
プライマー配列EpoR27。 配列番号:13 他の情報:人工配列についての記載:人工的に合成した
プライマー配列EpoR16。 配列番号:14 他の情報:人工配列についての記載:人工的に合成した
プライマー配列EpoR28。 配列番号:17 他の情報:人工配列についての記載:人工的に合成した
プライマー配列NY-C-F2。 配列番号:18 他の情報:人工配列についての記載:人工的に合成した
プライマー配列NY-S-R4。 配列番号:19 他の情報:人工配列についての記載:人工的に合成した
プライマー配列NY-5'-PF3。 配列番号:20 他の情報:人工配列についての記載:人工的に合成した
プライマー配列NY-5'-PR3。 配列番号:22 他の情報:人工配列についての記載:人工的に合成した
プライマー配列HE4-F2。 配列番号:23 他の情報:人工配列についての記載:人工的に合成した
プライマー配列HE4-R2。
【0149】
【図面の簡単な説明】
【図1】(1)マウスHPRTをコードするゲノム遺伝子の
制限酵素地図、並びに(2)マウスHPRT遺伝子のエクソ
ン2またはエクソン3の塩基配列を基に設計したプライ
マーを用いて種々の環状化マウスゲノムDNAを鋳型とし
て逆PCRを行うことにより増幅されるDNAのゲル電気泳動
像を各々示す図。分図1(a)は、マウスHPRTをコードす
るゲノム遺伝子の制限酵素地図、並びに該制限酵素によ
り切断して得られるゲノムDNA断片のおおよその大きさ
を模式的に示す。分図1(b)は、マウスHPRT遺伝子を含
むマウスゲノムDNAを保持するBAC DNAをEcoRI、HindIII
またはBamHIで切断して得られるゲノムDNA断片を環状化
した環状ゲノムDNAを鋳型とし、マウスHPRT遺伝子のエ
クソン2の塩基配列を基に設計した一対のプライマーを
用いた逆PCRにより増幅されるDNAのゲル電気泳動像を示
す。分図1(c) 、マウスHPRT遺伝子を含むマウスゲノム
DNAを保持するBAC DNAをEcoRI、HindIIIまたはBamHIで
切断して得られるゲノムDNA断片を環状化した環状ゲノ
ムDNAを鋳型とし、マウスHPRT遺伝子のエクソン3の塩
基配列を基に設計した一対のプライマーを用いた逆PCR
により増幅されるDNAのゲル電気泳動像を示す。
【図2】プラスミドp1108及びp1207の各々の制限酵素地
図を示す図。
【図3】(1)マウスの内在性ゲノムDNAとターゲティ
ングDNAとの間の正常な相同組換えの結果、マウスHPRT
遺伝子のエクソン3中に該ターゲティングDNAが組み込
まれた組換えES細胞の内在性ゲノムDNAの制限酵素地
図、並びに(2)該組換えES細胞のゲノムDNAを種々の
制限酵素で切断して得られるゲノムDNA断片に対する、
ターゲティングDNA中の一部の塩基配列を基に設計され
たプローブを用いたサザンハイブリダイゼーションにお
けるオートラジオグラフを各々示す図。分図3(a)は、
マウスの内在性ゲノムDNAとターゲティングDNAとの間の
正常な相同組換えの結果、マウスHPRT遺伝子のエクソン
3中に該ターゲティングDNAが組み込まれた組換えES細
胞の内在性ゲノムDNAの制限酵素地図、並びに該制限酵
素により切断して得られるゲノムDNA断片のおおよその
大きさを模式的に示す。分図3(b)は、組換えES細胞120
7-1のゲノムDNAに対するサザンハイブリダイゼーション
でのオートラジオグラフを示す。分図3(c)は、組換えE
S細胞1207-2のゲノムDNAに対するサザンハイブリダイ
ゼーションでのオートラジオグラフを示す。
【図4】マウスEPO受容体遺伝子を含むマウスゲノムDNA
を保持するBAC DNAをXhoIで切断して得られるゲノムDNA
断片を環状化した環状ゲノムDNAを鋳型とし、マウスEPO
受容体遺伝子のエクソン1の塩基配列を基に設計した一
対のプライマーを用いた逆PCRにより増幅されるDNAのゲ
ル電気泳動像を示す図。右レーンは、マウスEPO受容体
遺伝子を含むマウスゲノムDNAを保持するBAC DNAをXhoI
で切断して得られるゲノムDNA断片を環状化した環状ゲ
ノムDNAを鋳型とした場合のPCRにより得られたPCR産物
を制限酵素XhoIで再切断して得られたDNAの結果を示
す。矢印で示した部分に期待される大きさのDNAの増幅
を示すバンドが認められる。真中のレーンは、マウスEP
O受容体遺伝子を含むマウスゲノムDNAを保持するBAC DN
AをXhoIで切断して得られるゲノムDNA断片を環状化した
環状ゲノムDNAを鋳型とした場合の結果を示す。矢印で
示した部分に期待される大きさのDNAの増幅を示すバン
ドが認められる。左レーンは、λファージDNAを制限酵
素HindIIIで切断して得たサイズマーカーの電気泳動の
状態を示す。
【図5】プラスミドpEpoR K/Iの調製方法を模式的に示
す図。
【図6】プラスミドp1108-Lucの制限酵素地図を示す
図。
【図7】マウスの内在性ゲノムDNAとターゲティングDNA
との間の正常な相同組換えの結果、マウスEPO受容体遺
伝子のエクソン1中に該ターゲティングDNAが組み込ま
れた組換えES細胞のPCRによるスクリーニングの手法を
模式的に示す図。
【図8】(1)マウスの内在性ゲノムDNAとターゲティ
ングDNAとの間の正常な相同組換えの結果、マウスEPO受
容体遺伝子のエクソン1中に該ターゲティングDNAが組
み込まれた組換えES細胞の内在性ゲノムDNAの制限酵素
地図、並びに(2)該組換えES細胞のゲノムDNAを種々
の制限酵素で切断して得られるゲノムDNA断片に対す
る、ターゲティングDNA中の一部の塩基配列を基に設計
されたプローブを用いたサザンハイブリダイゼーション
におけるオートラジオグラフを各々示す図。分図8(a)
は、マウスの内在性ゲノムDNAとターゲティングDNAとの
間の正常な相同組換えの結果、マウスEPO受容体遺伝子
のエクソン1中に該ターゲティングDNAが組み込まれた
組換えES細胞の内在性ゲノムDNAの制限酵素地図、並び
に該制限酵素により切断して得られるゲノムDNA断片の
おおよその大きさを模式的に示す。分図8(b)は、組換
えES細胞(No.20)及び野生型マウスES細胞の各々のゲ
ノムDNAに対するサザンハイブリダイゼーションでのオ
ートラジオグラフを示す。
【図9】前述した「課題を解決するための手段」の段落
番号34に記載した本発明の(1)乃至(12)の構成を例示
的に示す図。
【図10】前述した「課題を解決するための手段」の段
落番号34に記載した本発明の(13)乃至(24)の構成を例
示的に示す図。
【図11】前述した「課題を解決するための手段」の段
落番号34に記載した本発明の(25)乃至(36)の構成を例
示的に示す図。
【図12】前述した「課題を解決するための手段」の段
落番号34に記載した本発明の(56)の構成を例示的に
示す図。
【図13】前述した「課題を解決するための手段」の段
落番号34に記載した本発明の(57)の構成を例示的に
示す図。
【図14】前述した「課題を解決するための手段」の段
落番号34に記載した本発明の(58)の構成を例示的に
示す図。
【図15】前述した「課題を解決するための手段」の段
落番号34に記載した本発明の(37)乃至(50)の構成
を例示的に示す図。
【図16】前述した「課題を解決するための手段」の段
落番号34に記載した本発明の(75)乃至(81)の構成
を例示的に示す図。
【図17】マウスGN遺伝子を含むプラスミドクローンの
同定、選別マウスゲノムDNAライブラリーである各々の
ウェルにセットされた各々の環状DNA(プラスミドマウ
スゲノムDNA)を鋳型として、マウスGN遺伝子の塩基配
列に相補的な一対のプライマーNY-C-F2及びNY-S-R4を用
いたPCR反応(通常の内向きのPCR)により増幅されるDN
Aのゲル電気泳動像を示す図。図面の下段は、クローン
の名称を示す。マーカーの大きさは、最上部から、10、
8.0、6.0、4.0、3.0、2.0、1.75、1.5、及び1.0(Kb)を
示す。
【図18】マウスGN遺伝子を含むマウスゲノムDNAを保
持する環状プラスミドDNAの各々を鋳型として、マウスG
N遺伝子の塩基配列に相補的な一対のプライマーNY-5'-P
F3及びNY-5'-PR3を用いた逆PCR反応により増幅して得ら
れるPCR産物を大腸菌内でさらに増幅して得たプラスミ
ドDNAを制限酵素(KpnI、SalI、XhoI、PvuI)で消化し
て生成されるDNA断片の電気泳動像を示す図。図面の下
段は、クローンの名称を示す。マーカーの大きさは、最
上部から、10、8.0、6.0、4.0、3.0、2.0、1.75、1.5、
及び1.0(Kb)を示す。
【図19】制限酵素PacIで切断したマウスGN遺伝子を含
むマウスゲノムDNAを保持するプラスミドDNAをルシフェ
ラーゼ遺伝子及びネオマイシン耐性遺伝子を有するDNA
カセットと連結して再環状化したDNAを大腸菌JM109内で
さらに増幅して得られるプラスミドDNAを制限酵素(Spe
I, EcoRI, MluI)またはRNaseで消化して生成されるDNA
断片の電気泳動像を示す図。図面の下段は、クローンの
名称を示す。マーカーの大きさは、最上部から、10、8.
0、6.0、4.0、3.0、2.0、1.75、1.5、及び1.0(Kb)を示
す。
【図20】マウス腎臓cDNAライブラリーの各々のウェル
にセットされたcDNAクローンを鋳型として、マウスEST
の塩基配列に相補的な一対のプライマーHE4-F2及びHE4-
R2を用いた逆PCR反応により増幅されるDNAのゲル電気泳
動像を示す図。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年3月31日(2000.3.3
1)
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図10
【補正方法】変更
【補正内容】
【図10】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/21 C12N 1/21 5/10 C12Q 1/68 A C12Q 1/68 C12N 5/00 A

Claims (87)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生物の内在性ゲノムDNA中のDNA配列の一
    部を、相同組換えにより修飾するためのターゲティング
    DNAの製造方法であって、下記工程(a)乃至(e)
    の工程: (a)該生物のゲノムDNA断片であって該DNA配列[T]
    を含むゲノムDNA断片を含むDNA[CL]を、制限酵素
    [E1]により、該DNA配列[T]の外側に各々存在する制
    限酵素[E1]により切断可能な制限酵素認識DNA配列
    [X]で切断し、該制限酵素[E1]による切断末端DNA配
    列を両端に有し且つ該DNA配列[T]を含むゲノムDNA断
    片[L1]を調製する工程; (b)該ゲノムDNA断片[L1]を該切断末端DNA配列で
    分子内連結させることにより、制限酵素認識DNA配列
    [X]及び該DNA配列[T]を含む環状ゲノムDNA[C1]を調
    製する工程; (c)該環状ゲノムDNA[C1]の各々のDNA鎖を鋳型とし、
    下記プライマーDNA[P1]及びプライマーDNA[P2]: プライマーDNA[P1]:5'末端近傍に制限酵素[E2]によ
    り切断可能な制限酵素認識DNA配列を有し、且つその
    下流に該環状ゲノムDNA[C1]の一方のDNA鎖[I]中
    のDNA配列[T]の5'末端側のDNA配列に相補的なDNA配
    列を有するプライマーDNAであって、該プライマーD
    NAの3'末端が該DNA鎖[I]中のDNA配列[T]の5'末
    端側にアニーリングし得るように設計されたプライマー
    DNA;及び プライマーDNA[P2]:5'末端近傍に制限酵素[E3]によ
    り切断可能な制限酵素認識DNA配列を有し、且つその
    下流に該環状ゲノムDNA[C1]の他方のDNA鎖[II]中
    のDNA配列[T]の5'末端側のDNA配列に相補的なD
    NA配列を有するプライマーDNAであって、該プライ
    マーDNAの3'末端が該DNA鎖[II]中のDNA配列
    [T]の5'末端側にアニーリングし得るように設計された
    プライマーDNA、を用いた逆ポリメラーゼ連鎖反応に
    よるDNA増幅により、下記のDNA鎖[III]及びDNA鎖[I
    V]: DNA鎖[III]:該プライマーDNA[P1]に相補的なD
    NA配列及び該プライマーDNA[P2]と同一のDNA配
    列の各々を末端に有し、且つ制限酵素認識DNA配列
    [X]を含むDNA鎖;及び DNA鎖[IV]:該プライマーDNA[P1]と同一のDNA
    配列及び該プライマーDNA[P2]に相補的なDNA配列
    の各々を末端に有し、且つ制限酵素認識DNA配列[X]
    を含むDNA鎖、とからなる組換えゲノムDNA断片[L2]
    を調製する工程; (d)該組換えゲノムDNA断片[L2]の末端を制限酵素[E
    2]及び制限酵素[E3]で消化して組換えゲノムDNA断片
    [L2']を得、該組換えゲノムDNA断片[L2']を、制限酵
    素[E2]による切断末端DNA配列及び制限酵素[E3]によ
    る切断末端DNA配列を各々の末端に有し、且つ該生物
    にとって外来である外来性DNAを該外来性DNAが細
    胞中で発現できるような配置で含む線状化発現ベクター
    DNAと連結させることにより環状ゲノムDNA[C2]を
    調製する工程;及び (e)該環状ゲノムDNA[C2]を制限酵素[E1]により制
    限酵素認識DNA配列[X]で切断して得られる組換えゲ
    ノムDNA断片[L3]をターゲティングDNAとして回収
    する工程、を含むことを特徴とするターゲティングDN
    Aの製造方法。
  2. 【請求項2】 該外来性DNAが、マーカー遺伝子から
    なるDNAであることを特徴とする請求項1に記載の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 該外来性DNAが、マーカー遺伝子及び
    レポーター遺伝子からなるDNAであることを特徴とす
    る請求項1に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 該レポーター遺伝子が、ルシフェラーゼ
    またはβラクタマーゼをコードする遺伝子であることを
    特徴とする請求項3に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 該マーカー遺伝子が、ネオマイシン耐性
    遺伝子であることを特徴とする請求項2乃至請求項4の
    いずれかに記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 該制限酵素[E2]と制限酵素[E3]が同一の
    制限酵素であることを特徴とする請求項1乃至請求項5
    のいずれかに記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 該制限酵素[E2]と制限酵素[E3]が各々異
    なる制限酵素であることを特徴とする請求項1乃至請求
    項5のいずれかに記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 該生物が、脊椎動物、昆虫、原生動物、
    植物、細菌またはウイルスであることを特徴とする請求
    項1乃至請求項7のいずれかに記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 該脊椎動物が、非ヒト哺乳動物であるこ
    とを特徴とする請求項8に記載の製造方法。
  10. 【請求項10】 該非ヒト哺乳動物が、マウスであるこ
    とを特徴とする請求項9に記載の製造方法。
  11. 【請求項11】 該DNA[CL]が、マウスのゲノムDN
    A断片をバクテリア人工染色体(BAC)または酵母人工
    染色体(YAC)中にクローン化してなるマウスゲノムD
    NA断片のライブラリーから選別されるものであること
    を特徴とする請求項10に記載の製造方法。
  12. 【請求項12】 該修飾が、該DNA配列[T]のmRNAへ
    の転写を不能たらしめ、且つ該外来性DNAの発現を可
    能たらしめるものであることを特徴とする請求項1乃至
    請求項11のいずれかに記載の製造方法。
  13. 【請求項13】 生物の内在性ゲノムDNA中のDNA配列の
    一部を、相同組換えにより修飾するためのターゲティン
    グDNAの製造方法であって、下記工程(a)乃至
    (f)の工程: (a)該生物のゲノムDNA断片であって該DNA配列[T]
    を含むゲノムDNA断片を含むDNA[CL]を、制限酵素
    [E1]により、該DNA配列[T]の外側に各々存在する制
    限酵素[E1]により切断可能な制限酵素認識DNA配列
    [X]で切断し、該制限酵素[E1]による切断末端DNA配
    列を両端に有し且つ該DNA配列[T]を含むゲノムDNA断
    片[L1]を調製する工程; (b)該ゲノムDNA断片[L1]を該切断末端DNA配列で
    分子内連結させることにより、制限酵素認識DNA配列
    [X]及び該DNA配列[T]を含む環状ゲノムDNA[C1]を調
    製する工程; (c)該環状ゲノムDNA[C1]の各々のDNA鎖を鋳型とし、
    下記プライマーDNA[P1]及びプライマーDNA[P2]: プライマーDNA[P1]:5'末端近傍に制限酵素[E2]によ
    り切断可能な制限酵素認識DNA配列を有し、且つその
    下流に該環状ゲノムDNA[C1]の一方のDNA鎖[I]中
    のDNA配列[T]の5'末端側のDNA配列に相補的なDNA配
    列を有するプライマーDNAであって、該プライマーD
    NAの3'末端が該DNA鎖[I]中のDNA配列[T]の5'末
    端側にアニーリングし得るように設計されたプライマー
    DNA;及び プライマーDNA[P2]:5'末端近傍に制限酵素[E3]によ
    り切断可能な制限酵素認識DNA配列を有し、且つその
    下流に該環状ゲノムDNA[C1]の他方のDNA鎖[II]中
    のDNA配列[T]の5'末端側のDNA配列に相補的なD
    NA配列を有するプライマーDNAであって、該プライ
    マーDNAの3'末端が該DNA鎖[II]中のDNA配列
    [T]の5'末端側にアニーリングし得るように設計された
    プライマーDNA、を用いた逆ポリメラーゼ連鎖反応に
    よるDNA増幅により、下記のDNA鎖[III]及びDNA鎖[I
    V]: DNA鎖[III]:該プライマーDNA[P1]に相補的なD
    NA配列及び該プライマーDNA[P2]と同一のDNA配
    列の各々を末端に有し、且つ制限酵素認識DNA配列
    [X]を含むDNA鎖;及び DNA鎖[IV]:該プライマーDNA[P1]と同一のDNA
    配列及び該プライマーDNA[P2]に相補的なDNA配列
    の各々を末端に有し、且つ制限酵素認識DNA配列[X]
    を含むDNA鎖、とからなる組換えゲノムDNA断片[L2]
    を調製する工程; (d)該組換えゲノムDNA断片[L2]の末端を制限酵素[E
    2]及び制限酵素[E3]で消化して組換えゲノムDNA断片
    [L2']を得、該組換えゲノムDNA断片[L2']を、制限酵
    素[E2]による切断末端DNA配列及び制限酵素[E3]によ
    る切断末端DNA配列を各々の末端に有し、且つ該生物
    にとって外来である外来性DNAを該外来性DNAが細
    胞中で発現できるような配置で含む線状化発現ベクター
    DNAと連結させることにより環状ゲノムDNA[C2]を
    調製する工程;及び (e)該環状ゲノムDNA[C2]を、制限酵素[E1]により切
    断し、該制限酵素切断部位に制限酵素[E4]により切断可
    能な制限酵素認識DNA配列[Y]を含むリンカーDNA
    を挿入することにより、該制限酵素認識DNA配列[Y]
    及び該標的DNA配列[T]を含む組換え環状ゲノムDN
    A[C3]を調製する工程; (f)該環状ゲノムDNA[C3]を制限酵素[E4]により制
    限酵素認識DNA配列[Y]で切断して得られる組換えゲ
    ノムDNA断片[L3]をターゲティングDNAとして回収
    する工程、を含むことを特徴とするターゲティングDN
    Aの製造方法。
  14. 【請求項14】 該外来性DNAが、マーカー遺伝子か
    らなるDNAであることを特徴とする請求項13に記載
    の製造方法。
  15. 【請求項15】 該外来性DNAが、マーカー遺伝子及
    びレポーター遺伝子からなるDNAであることを特徴と
    する請求項13に記載の製造方法。
  16. 【請求項16】 該レポーター遺伝子が、ルシフェラー
    ゼまたはβラクタマーゼをコードする遺伝子であること
    を特徴とする請求項15に記載の製造方法。
  17. 【請求項17】 該マーカー遺伝子が、ネオマイシン耐
    性遺伝子であることを特徴とする請求項14乃至請求項
    16のいずれかに記載の製造方法。
  18. 【請求項18】 該制限酵素[E2]と制限酵素[E3]が同一
    の制限酵素であることを特徴とする請求項13乃至請求
    項17のいずれかに記載の製造方法。
  19. 【請求項19】 該制限酵素[E2]と制限酵素[E3]が各々
    異なる制限酵素であることを特徴とする請求項13乃至
    請求項17のいずれかに記載の製造方法。
  20. 【請求項20】 該生物が、脊椎動物、昆虫、原生動
    物、植物、細菌またはウイルスであることを特徴とする
    請求項13乃至請求項19のいずれかに記載の製造方
    法。
  21. 【請求項21】 該脊椎動物が、非ヒト哺乳動物である
    ことを特徴とする請求項20に記載の製造方法。
  22. 【請求項22】 該非ヒト哺乳動物が、マウスであるこ
    とを特徴とする請求項21に記載の製造方法。
  23. 【請求項23】 該DNA[CL]が、マウスのゲノムDN
    A断片をバクテリア人工染色体(BAC)または酵母人工
    染色体(YAC)中にクローン化してなるマウスゲノムD
    NA断片のライブラリーから選別されるものであること
    を特徴とする請求項22に記載の製造方法。
  24. 【請求項24】 該修飾が、該DNA配列[T]のmRNAへ
    の転写を不能たらしめ、且つ該外来性DNAの発現を可
    能たらしめるものであることを特徴とする請求項13乃
    至請求項23のいずれかに記載の製造方法。
  25. 【請求項25】 生物の内在性ゲノムDNA中のDNA配列の
    一部を、相同組換えにより修飾するためのターゲティン
    グDNAの製造方法であって、下記工程(a)乃至
    (e)の工程: (a)該生物のゲノムDNA断片であって該DNA配列[T]
    を含むゲノムDNA断片を含むDNA[CL]を、制限酵素
    [E1]により、該DNA配列[T]の外側に各々存在する制
    限酵素[E1]により切断可能な制限酵素認識DNA配列
    [X]で切断し、該制限酵素[E1]による切断末端DNA配
    列を両端に有し且つ該DNA配列[T]を含むゲノムDNA断
    片[L1]を調製する工程; (b)該ゲノムDNA断片[L1]と、制限酵素[E4]により切
    断可能な制限酵素認識DNA配列[Y]を含むリンカーD
    NAとを連結させることにより、制限酵素認識DNA配
    列[Y]及び該DNA配列[T]を含む環状ゲノムDNA[C1]を
    調製する工程; (c)該組換え環状ゲノムDNA[C1]の各々のDNA鎖を鋳型
    とし、下記プライマーDNA[P1]及びプライマーDNA
    [P2]: プライマーDNA[P1]:5'末端近傍に制限酵素[E2]によ
    り切断可能な制限酵素認識DNA配列を有し、且つその
    下流に該環状ゲノムDNA[C1]の一方のDNA鎖[I]中
    のDNA配列[T]の5'末端側のDNA配列に相補的なDNA配
    列を有するプライマーDNAであって、該プライマーD
    NAの3'末端が該DNA鎖[I]中のDNA配列[T]の5'末
    端側にアニーリングし得るように設計されたプライマー
    DNA;及び プライマーDNA[P2]:5'末端近傍に制限酵素[E3]によ
    り切断可能な制限酵素認識DNA配列を有し、且つその
    下流に該環状ゲノムDNA[C1]の他方のDNA鎖[II]中
    のDNA配列[T]の5'末端側のDNA配列に相補的なD
    NA配列を有するプライマーDNAであって、該プライ
    マーDNAの3'末端が該DNA鎖[II]中のDNA配列
    [T]の5'末端側にアニーリングし得るように設計された
    プライマーDNA、を用いた逆ポリメラーゼ連鎖反応に
    よるDNA増幅により、下記のDNA鎖[III]及びDNA鎖[I
    V]: DNA鎖[III]:該プライマーDNA[P1]に相補的なD
    NA配列及び該プライマーDNA[P2]と同一のDNA配
    列の各々を末端に有し、且つ制限酵素認識DNA配列
    [Y]を含むDNA鎖;及び DNA鎖[IV]:該プライマーDNA[P1]と同一のDNA
    配列及び該プライマーDNA[P2]に相補的なDNA配列
    の各々を末端に有し、且つ制限酵素認識DNA配列[Y]
    を含むDNA鎖、とからなる組換えゲノムDNA断片[L2]
    を調製する工程; (d)該組換えゲノムDNA断片[L2]の末端を制限酵素[E
    2]及び制限酵素[E3]で消化して組換えゲノムDNA断片
    [L2']を得、該組換えゲノムDNA断片[L2']を、制限酵
    素[E2]による切断末端DNA配列及び制限酵素[E3]によ
    る切断末端DNA配列を各々の末端に有し、且つ該生物
    にとって外来である外来性DNAを該外来性DNAが細
    胞中で発現できるような配置で含む線状化発現ベクター
    DNAと連結させることにより環状ゲノムDNA[C2]を
    調製する工程;及び (e)該環状ゲノムDNA[C2]を制限酵素[E4]により制
    限酵素認識DNA配列[Y]で切断して得られる組換えゲ
    ノムDNA断片[L3]をターゲティングDNAとして回収
    する工程、を含むことを特徴とするターゲティングDN
    Aの製造方法。
  26. 【請求項26】 該外来性DNAが、マーカー遺伝子か
    らなるDNAであることを特徴とする請求項25に記載
    の製造方法。
  27. 【請求項27】 該外来性DNAが、マーカー遺伝子及
    びレポーター遺伝子からなるDNAであることを特徴と
    する請求項25に記載の製造方法。
  28. 【請求項28】 該レポーター遺伝子が、ルシフェラー
    ゼまたはβラクタマーゼをコードする遺伝子であること
    を特徴とする請求項27に記載の製造方法。
  29. 【請求項29】 該マーカー遺伝子が、ネオマイシン耐
    性遺伝子であることを特徴とする請求項25乃至請求項
    28のいずれかに記載の製造方法。
  30. 【請求項30】 該制限酵素[E2]と制限酵素[E3]が同一
    の制限酵素であることを特徴とする請求項25乃至請求
    項29のいずれかに記載の製造方法。
  31. 【請求項31】 該制限酵素[E2]と制限酵素[E3]が各々
    異なる制限酵素であることを特徴とする請求項25乃至
    請求項29のいずれかに記載の製造方法。
  32. 【請求項32】 該生物が、脊椎動物、昆虫、原生動
    物、植物、細菌またはウイルスであることを特徴とする
    請求項25乃至請求項31のいずれかに記載の製造方
    法。
  33. 【請求項33】 該脊椎動物が、非ヒト哺乳動物である
    ことを特徴とする請求項32に記載の製造方法。
  34. 【請求項34】 該非ヒト哺乳動物が、マウスであるこ
    とを特徴とする請求項33に記載の製造方法。
  35. 【請求項35】 該DNA[CL]が、マウスのゲノムDN
    A断片をバクテリア人工染色体(BAC)または酵母人工
    染色体(YAC)中にクローン化してなるマウスゲノムD
    NA断片のBACライブラリーから選別されるものである
    ことを特徴とする請求項34に記載の製造方法。
  36. 【請求項36】 該修飾が、該DNA配列[T]のmRNAへ
    の転写を不能たらしめ、且つ該外来性DNAの発現を可
    能たらしめるものであることを特徴とする請求項25乃
    至請求項35のいずれかに記載の製造方法。
  37. 【請求項37】 生物の内在性ゲノムDNA中のDNA
    配列の一部を、相同組換えにより修飾するためのターゲ
    ティングDNAの製造方法であって、下記工程(a)乃
    至(c)の工程: (a)該生物のゲノムDNA断片であって該DNA配列
    [T]を含むゲノムDNA断片[L1]と制限酵素[E1]で切断
    可能な制限酵素認識DNA配列[X]を有する発現ベクタ
    ーDNAとからなる環状ゲノムDNA[C1]の各々のDN
    A鎖を鋳型とし、下記プライマーDNA[P1]及びプライ
    マーDNA[P2]: プライマーDNA[P1]:5'末端近傍に制限酵素[E2]によ
    り切断可能な制限酵素認識DNA配列を有し、且つその
    下流に該環状ゲノムDNA[C1]の一方のDNA鎖[I]中
    のDNA配列[T]の5'末端側のDNA配列に相補的なD
    NA配列を有するプライマーDNAであって、該プライ
    マーDNAの3'末端が該DNA鎖[I]中のDNA配列[T]
    の5'末端側にアニーリングするように設計されたプライ
    マーDNA;及び プライマーDNA[P2]:5'末端近傍に制限酵素[E3]によ
    り切断可能な制限酵素認識DNA配列を有し、且つその
    下流に該環状ゲノムDNA[C1]の他方のDNA鎖[II]中
    のDNA配列[T]の5'末端側のDNA配列に相補的なD
    NA配列を有するプライマーDNAであって、該プライ
    マーDNAの3'末端が該DNA鎖[II]中のDNA配列
    [T]の5'末端側にアニーリングするように設計されたプ
    ライマーDNA、を用いた逆ポリメラーゼ連鎖反応によ
    るDNA増幅により、下記DNA鎖[III]及びDNA鎖
    [IV]: DNA鎖[III]:該プライマー[P1]に相補的なDNA配
    列及び該プライマーDNA[P2]と同一のDNA配列を各
    々の末端に有し、且つ制限酵素認識DNA配列[X]を含
    むDNA鎖;及び DNA鎖[IV]:該プライマー[P1]と同一のDNA配列及
    び該プライマーDNA[P2]に相補的なDNA配列を各々
    の末端に有し、且つ制限酵素認識DNA配列[X]を含む
    DNA鎖、とからなる組換えゲノムDNA断片[L2]を調
    製する工程; (b)該組換えゲノムDNA断片[L2]の末端を制限酵素
    [E2]及び制限酵素[E3]で消化して組換えゲノムDNA断
    片[L2']を得、該組換えゲノムDNA断片[L2']を、制限
    酵素[E2]による切断末端DNA配列及び制限酵素[E3]に
    よる切断末端DNA配列を各々の末端に有する該生物に
    とって外来である外来性DNAと連結させることにより
    環状ゲノムDNA[C3]を調製する工程;及び (c)該環状ゲノムDNA[C2]を制限酵素[E1]により制
    限酵素認識DNA配列[X]で切断して得られる組換えゲ
    ノムDNA断片[L3]をターゲティングDNAとして回収
    する工程、を含むことを特徴とするターゲティングDN
    Aの製造方法。
  38. 【請求項38】 下記工程(a2)乃至(a4): (a2)工程(a)で得た組換えゲノムDNA断片[L2]
    を分子内連結することにより環状ゲノムDNA[C2]を調
    製する工程; (a3)宿主を該環状ゲノムDNA[C2]で形質転換する
    ことにより得られる形質転換宿主を培養することにより
    該環状ゲノムDNA[C2]を増幅する工程;及び (a4)該環状ゲノムDNA[C2]を制限酵素[E2]及び/
    または制限酵素[E3]により該分子内連結部位で切断し
    て、所望の量の該組換えゲノムDNA断片[L2]を調製す
    る工程、をさらに含むことを特徴とする請求項37に記
    載の製造方法。
  39. 【請求項39】 該外来性DNAが、マーカー遺伝子か
    らなるDNAであることを特徴とする請求項37または
    請求項38に記載の製造方法。
  40. 【請求項40】 該外来性DNAが、マーカー遺伝子及
    びレポーター遺伝子からなるDNAであることを特徴と
    する請求項37または請求項38に記載の製造方法。
  41. 【請求項41】 該レポーター遺伝子が、ルシフェラー
    ゼまたはβラクタマーゼをコードする遺伝子であること
    を特徴とする請求項40に記載の製造方法。
  42. 【請求項42】 該制限酵素[E2]と制限酵素[E3]が同一
    の酵素であることを特徴とする請求項37乃至請求項4
    1のいずれかに記載の製造方法。
  43. 【請求項43】 該制限酵素[E2]と制限酵素[E3]が各々
    異なる酵素であることを特徴とする請求項37乃至請求
    項41のいずれかに記載の製造方法。
  44. 【請求項44】 該生物が、脊椎動物、昆虫、原生動
    物、植物、細菌またはウイルスであることを特徴とする
    請求項37乃至請求項43のいずれかに記載の製造方
    法。
  45. 【請求項45】 該脊椎動物が、非ヒト哺乳動物である
    ことを特徴とする請求項44に記載の製造方法。
  46. 【請求項46】 該非ヒト哺乳動物が、マウスであるこ
    とを特徴とする請求項45に記載の製造方法。
  47. 【請求項47】 該ゲノムDNA断片[L1]が、マウスの
    ゲノムDNA断片をバクテリア人工染色体(BAC)また
    は酵母人工染色体(YAC)中にクローン化してなるマウ
    スゲノムDNA断片のライブラリーから選別されたクロ
    ーン中に含まれるマウスゲノムDNA断片に由来するも
    のであることを特徴とする請求項46に記載の製造方
    法。
  48. 【請求項48】 該環状ゲノムDNA[C1]が、該生物の
    ゲノムDNAを制限酵素で消化して得られる任意のゲノ
    ムDNA断片の各々と制限酵素[E1]で切断可能な制限酵
    素認識DNA配列[X]を有する発現ベクターDNAとか
    らなる複数種類の環状ゲノムDNAからなるゲノムDN
    Aライブラリー中に含まれていることを特徴とする請求
    項37乃至請求項47のいずれかに記載の製造方法。
  49. 【請求項49】 該ゲノムDNAライブラリーが、該環
    状ゲノムDNAを複数のウェルを有するマイクロプレー
    トに配備してなるゲノムDNAライブラリーであること
    を特徴とする請求項48に記載の製造方法。
  50. 【請求項50】 該環状ゲノムDNA中に含まれる該ゲ
    ノムDNA断片の大きさが、約5乃至約12Kbであること
    を特徴とする請求項48または請求項49に記載の製造
    方法。
  51. 【請求項51】 約5乃至約12Kbの大きさの生物のゲノ
    ムDNA断片を発現ベクターにクローン化してなる複数
    種類のクローンからなるゲノムDNA断片ライブラリ
    ー。
  52. 【請求項52】 該ゲノムDNAライブラリーが、該ク
    ローンの各々を多数のウェルを有するマイクロプレート
    に配備してなることを特徴とする請求項51に記載のゲ
    ノムDNAライブラリー。
  53. 【請求項53】 請求項1乃至請求項50のいずれかに
    記載の製造方法により得られるターゲティングDNA。
  54. 【請求項54】 内在性ゲノムDNA中の一部のDNA配列が
    修飾された組換え細胞、組換え細菌または組換えウイル
    スの製造方法であって、生物の細胞、細菌またはウイル
    スを請求項1乃至請求項12または請求項37乃至請求
    項50のいずれかに記載の製造方法により製造されるタ
    ーゲティングベクターDNAで形質転換し、該ターゲテ
    ィングDNAと該内在性ゲノムDNAとの間の相同組換
    えの結果、該内在性ゲノムDNAに該ターゲティングベ
    クターDNAが組込まれている細胞、細菌またはウイル
    スを選別し、取得することからなる製造方法。
  55. 【請求項55】 内在性ゲノムDNA中の一部のDNA配列が
    修飾された組換え細胞、組換え細菌または組換えウイル
    スの製造方法であって、生物の細胞、細菌またはウイル
    スを請求項13乃至請求項36のいずれかに記載の製造
    方法により製造されるターゲティングベクターDNAで
    形質転換し、該ターゲティングDNAと該内在性ゲノム
    DNAとの間の相同組換えの結果、該内在性ゲノムDN
    Aに該ターゲティングベクターDNAが組込まれている
    細胞、細菌またはウイルスを選別し、取得することから
    なる製造方法。
  56. 【請求項56】 該細胞、細菌またはウイルスの選別
    が、下記の工程: a)該細胞、細菌またはウイルスの内在性ゲノムDNA
    の各々のDNA鎖を鋳型とし、下記のプライマーDNA
    [P3]及びプライマーDNA[P4]: プライマーDNA[P3]:該ターゲティングベクターDN
    Aの一方のDNA鎖の3'末端側の該リンカーDNA由来
    のDNA配列及びそれに隣接する制限酵素[E4]による切
    断末端DNA配列の一部に相補的なDNA配列を有する
    プライマーDNA;及び、 プライマーDNA[P4]:該ターゲティングベクターDN
    Aの他方のDNA鎖に含まれる該外来性DNAの一部の
    DNA配列に相補的なDNA配列を有するプライマーD
    NA、を用いたポリメラーゼ連鎖反応によるDNA増幅
    を行う工程;及び b)ゲル電気泳動によりDNAの増幅が認められない細
    胞、細菌またはウイルスを同定し、回収する工程、を含
    むことを特徴とする請求項55に記載の製造方法。
  57. 【請求項57】 該細胞、細菌またはウイルスの選別
    が、下記の工程: a)該細胞、細菌またはウイルスの内在性ゲノムDNA
    の各々のDNA鎖を鋳型とし、下記のプライマーDNA
    [P3]及びプライマーDNA[P4]:プライマーDNA[P
    3]:該ターゲティングベクターDNAの一方のDNA鎖
    [I]の3'末端側の該リンカーDNA由来のDNA配列及
    びそれに隣接する制限酵素[E4]による切断末端DNA配
    列の一部に相補的なDNA配列を有するプライマーDN
    A;及び、 プライマーDNA[P4]:該ターゲティングベクターDN
    Aの他方のDNA鎖[II]に含まれる該外来性DNAの一
    部のDNA配列に相補的なDNA配列を有するプライマ
    ーDNA、を用いたポリメラーゼ連鎖反応によるDNA
    増幅を行う工程; b)ゲル電気泳動によりDNAの増幅が認められない細
    胞、細菌またはウイルスを同定する工程; c)工程b)で同定された細胞、細菌またはウイルスの
    内在性ゲノムDNAの各々のDNA鎖を鋳型とし、下記
    のプライマーDNA[P5]及びプライマーDNA[P6]: プライマーDNA[P5]:該ターゲティングベクターDN
    Aの該DNA鎖[II]の3'末端側の該リンカーDNA由来
    のDNA配列及びそれに隣接する制限酵素[E4]による切
    断末端DNA配列の一部に相補的なDNA配列を有する
    プライマーDNA;及び、 プライマーDNA[P6]:該ターゲティングベクターDN
    Aの該DNA鎖[I]に含まれる該外来性DNAの一部の
    DNA配列に相補的なDNA配列を有するプライマーD
    NA、を用いたポリメラーゼ連鎖反応によるDNA増幅
    を行う工程;及び d)ゲル電気泳動によりDNAの増幅が認められない細
    胞、細菌またはウイルスを同定し、回収する工程、を含
    むことを特徴とする請求項55に記載の製造方法。
  58. 【請求項58】 該細胞、細菌またはウイルスの選別
    が、下記の工程: a)該細胞、細菌またはウイルスの内在性ゲノムDNA
    の各々のDNA鎖を鋳型とし、下記のプライマーDNA
    [P3]及びプライマーDNA[P4]: プライマーDNA[P3]:該ターゲティングベクターDN
    Aの一方のDNA鎖[I]の3'末端側の該リンカーDNA
    由来のDNA配列及びそれに隣接する制限酵素[E4]によ
    る切断末端DNA配列の一部に相補的なDNA配列を有
    するプライマーDNA;及び、 プライマーDNA[P4]:該ターゲティングベクターDN
    Aの他方のDNA鎖[II]に含まれる該外来性DNAの一
    部のDNA配列に相補的なDNA配列を有するプライマ
    ーDNA、を用いたポリメラーゼ連鎖反応によるDNA
    増幅を行う工程; b)ゲル電気泳動によりDNAの増幅が認められない細
    胞、細菌またはウイルスを同定する工程; c)工程b)で同定された細胞、細菌またはウイルスの
    内在性ゲノムDNAの各々のDNA鎖を鋳型とし、下記
    のプライマーDNA[P5]及びプライマーDNA[P6]: プライマーDNA[P5]:該ターゲティングベクターDN
    Aの該DNA鎖[II]の3'末端側の該リンカーDNA由来
    のDNA配列及びそれに隣接する制限酵素[E4]による切
    断末端DNA配列の一部に相補的なDNA配列を有する
    プライマーDNA;及び、 プライマーDNA[P6]:該ターゲティングベクターDN
    Aの該DNA鎖[I]に含まれる該外来性DNAの一部の
    DNA配列に相補的なDNA配列を有するプライマーD
    NA、を用いたポリメラーゼ連鎖反応によるDNA増幅
    を行う工程; d)ゲル電気泳動によりDNAの増幅が認められない細
    胞、細菌またはウイルスを同定する工程; e)該ターゲティングDNAの各々のDNA鎖を鋳型と
    し、該プライマーDNA[P3]及びプライマーDNA[P
    5]を用いたポリメラーゼ連鎖反応によるDNA増幅を行
    う工程; f)増幅されたDNAの各々の末端側に存在する制限酵
    素認識DNA配列[X]に隣接する内側のDNA配列を決
    定する工程; g)工程d)で同定された細胞、細菌またはウイルスの
    内在性ゲノムDNAの各々のDNA鎖を鋳型とし、工程
    f)で決定されたDNA配列を基に下記のプライマーD
    NA[P7]及びプライマーDNA[P8]: プライマーDNA[P7]:該ターゲティングベクターDN
    Aの該DNA鎖[I]の3'末端側に存在する制限酵素認識
    DNA配列[X]及びそれに隣接する内側のDNA配列の
    一部に相補的なDNA配列を有するプライマーDNA;
    及び、 プライマーDNA[P8]:該ターゲティングベクターDN
    Aの該DNA鎖[II]の3'末端側に存在する制限酵素認識
    DNA配列[X]及びそれに隣接する内側のDNA配列の
    一部に相補的なDNA配列を有するプライマーDNA、
    を用いたポリメラーゼ連鎖反応によるDNA増幅を行う
    工程;及び、 h)ゲル電気泳動によりDNAの増幅が認められる細
    胞、細菌またはウイルスを同定し、回収する工程;を含
    むことを特徴とする請求項55に記載の製造方法。
  59. 【請求項59】 該生物の細胞が、脊椎動物、昆虫、原
    生動物、及び植物からなる群から選ばれるいずれかの生
    物の細胞であることを特徴とする請求項54乃至請求項
    58のいずれかに記載の製造方法。
  60. 【請求項60】 該脊椎動物が、非ヒト哺乳動物である
    ことを特徴とする請求項59に記載の製造方法。
  61. 【請求項61】 該非ヒト哺乳動物が、マウスであるこ
    とを特徴とする請求項60に記載の方法。
  62. 【請求項62】 該ターゲティングベクターDNAが、
    請求項11、請求項23、請求項35または請求項47
    のいずれかに記載の製造方法により製造されるターゲテ
    ィングベクターDNAであることを特徴とする請求項6
    1に記載の製造方法。
  63. 【請求項63】 該細胞が、胚性幹細胞であることを特
    徴とする請求項60乃至請求項62のいずれかに記載の
    製造方法。
  64. 【請求項64】 該修飾が、該DNA配列のmRNAへの転
    写を不能たらしめ、且つ該外来性DNAの発現を可能た
    らしめるものであることを特徴とする請求項54乃至請
    求項63のいずれかに記載の製造方法。
  65. 【請求項65】 請求項54乃至請求項64のいずれか
    に記載の製造方法により得られる組換え細胞、組換え細
    菌または組換えウイルス。
  66. 【請求項66】 請求項63に記載の製造方法により得
    られる組換え胚性幹細胞。
  67. 【請求項67】 内在性ゲノムDNA中の一部のDNA配列が
    修飾された組換え非ヒト哺乳動物の製造方法であって、
    下記(a)乃至(e)の工程: (a)雌性非ヒト哺乳動物[A]の受精卵に、請求項63
    に記載の製造方法により得られる組換え胚性幹細胞を注
    入し組換え受精卵を得る工程; (b)該組換え受精卵を、雌性非ヒト哺乳動物[B]の子
    宮に移植する工程;及び、 (c)該雌性非ヒト哺乳動物[B]が出産する雄性または
    雌性の胎児[P]を得る工程、 (d)下記(1)または(2)のいずれかの工程: (1)該胎児[P]が成長してなる雄性非ヒト哺乳動物[C]
    を雌性非ヒト哺乳動物[D]と交配させ該雌性非ヒト哺乳
    動物[D]が出産する雄性または雌性の胎児[Q]を得る工
    程;または、 (2)該胎児[P]が成長してなる雌性非ヒト哺乳動物[C]
    を雄性非ヒト哺乳動物[D]と交配させ該雌性非ヒト哺乳
    動物[C]が出産する雄性または雌性の胎児[Q]を得る工
    程; (e)該胎児[Q]が成長してなる雄性または雌性の非ヒ
    ト哺乳動物[E]から、該組換え胚性幹細胞のゲノムDN
    A中の修飾に由来する修飾を、一対の染色体の一方に有
    する雄性または雌性の該非ヒト哺乳動物[E]を選別し、
    組換え非ヒト哺乳動物として得る工程、からなることを
    特徴とする製造方法。
  68. 【請求項68】 該雌性非ヒト哺乳動物[A]と該雌性非
    ヒト哺乳動物[B]とが同一の個体であることを特徴とす
    る請求項67に記載の製造方法。
  69. 【請求項69】 該雌性非ヒト哺乳動物[A]と該雌性非
    ヒト哺乳動物[B]とが各々異なる個体であることを特徴
    とする請求項67に記載の製造方法。
  70. 【請求項70】 請求項67乃至請求項69のいずれか
    に記載の製造方法であって、さらに下記の工程(f)及
    び(g): (f)下記(1)または(2)のいずれかの工程: (1)工程(e)で得られた雄性組換え非ヒト哺乳動物
    [E]を雌性非ヒト哺乳動物[F]と交配させ該雌性非ヒト哺
    乳動物[F]が出産する雄性または雌性の胎児[R]を得る工
    程;または、 (2)工程(e)で得られた雌性組換え非ヒト哺乳動物
    [E]を雄性非ヒト哺乳動物[F]と交配させ該雌性非ヒト哺
    乳動物[E]が出産する雄性または雌性の胎児[R]を得る工
    程;及び、 (g)該胎児[R]が成長してなる雄性または雌性の非ヒ
    ト哺乳動物[G]から、該組換え胚性幹細胞のゲノムDN
    A中の修飾に由来する修飾を、一対の染色体の両方に有
    する雄性または雌性の該非ヒト哺乳動物[G]を選別し、
    組換え非ヒト哺乳動物として得る工程、からなることを
    特徴とする製造方法。
  71. 【請求項71】 該工程(d)が、雄性非ヒト哺乳動物
    [C]を雌性非ヒト哺乳動物[D]と交配させ該雌性非ヒト哺
    乳動物[C]が出産する雄性または雌性の胎児[Q]を得る工
    程からなることを特徴とする請求項67乃至請求項70
    のいずれかに記載の製造方法。
  72. 【請求項72】 該工程(f)が、雄性組換え非ヒト哺
    乳動物[E]を雌性非ヒト哺乳動物[F]と交配させ該雌性非
    ヒト哺乳動物[F]が出産する雄性または雌性の胎児[R]を
    得る工程からなることを特徴とする請求項70または請
    求項71に記載の製造方法。
  73. 【請求項73】 該修飾が、該DNA配列のmRNAへの転
    写を不能たらしめ、且つ該外来性DNAの発現を可能た
    らしめるものであることを特徴とする請求項67乃至請
    求項72のいずれかに記載の製造方法。
  74. 【請求項74】 該非ヒト哺乳動物が、マウスであるこ
    とを特徴とする請求項67乃至請求項73のいずれかに
    記載の製造方法。
  75. 【請求項75】 cDNAライブラリーに含まれる所望
    のcDNAを保持するクローンを同定し取得する方法で
    あって、下記工程(a)乃至(c): (a)該cDNAライブラリーの各々のクローンに対し
    て、下記プライマーDNA[P1]及びプライマーDNA[P
    2]: プライマーDNA[P1]:該所望のcDNAの一方のDN
    A鎖[I]の一部のDNA配列に相補的なDNA配列を有
    するプライマーDNAであって、該プライマーDNAの
    3'末端が該DNA鎖[I]の一部のDNA配列の5'末端側
    にアニーリングするように設計されたプライマーDN
    A;及び プライマーDNA[P2]:該所望のcDNAの他方のDN
    A鎖[II]の一部のDNA配列に相補的なDNA配列を有
    するプライマーDNAであって、該プライマーDNAの
    3'末端が該DNA鎖[II]の一部のDNA配列の5'末端側
    にアニーリングするように設計されたプライマーDN
    A、を用いた逆ポリメラーゼ連鎖反応によるDNA増幅
    を施す工程; (b)ゲル電気泳動によりDNA増幅が認められるクロ
    ーンを同定する工程;及び (c)該同定したクローンを取得する工程、からなる方
    法。
  76. 【請求項76】 該cDNAライブラリーが、各々のク
    ローンを多数のウェルを有するマイクロプレートに配備
    してなるcDNAライブラリーであることを特徴とする
    請求項75に記載の方法。
  77. 【請求項77】 該所望のcDNAが、オープンリーデ
    ィングフレーム(ORF)を含むことを特徴とする請求項
    75または請求項76に記載の方法。
  78. 【請求項78】 該所望のcDNAが、3'UTR、ORF及び
    5'UTRを含むことを特徴とする請求項75乃至請求項7
    7のいずれかに記載の方法。
  79. 【請求項79】 該プライマー[P1]及びプライマー[P2]
    の各々が、下記のいずれか: (a)該所望のcDNAのORFにアニーリングする; (b)一方が該所望のcDNAのORFにアニーリング
    し、及び他方が該所望のcDNAの5'UTRにアニーリン
    グする; (c)一方が該所望のcDNAのORFにアニーリング
    し、及び他方が該所望のcDNAの3'UTRにアニーリン
    グする;または (d)一方が該所望のcDNAの5'UTRにアニーリング
    し、及び他方が該所望のcDNAの3'UTRにアニーリン
    グする、の特徴を有するものであることを特徴とする請
    求項75乃至請求項78のいずれかに記載の方法。
  80. 【請求項80】 該cDNAライブラリーが、哺乳動物
    のmRNAに対応するcDNAのライブラリーであるこ
    とを特徴とする請求項75乃至請求項79のいずれかに
    記載の方法。
  81. 【請求項81】 該哺乳動物が、マウス、ラットまたは
    ヒトであることを特徴とする請求項80に記載の方法。
  82. 【請求項82】 配列番号25に記載されるアミノ酸配
    列を有するタンパクをコードするDNAまたはその断
    片。
  83. 【請求項83】 配列番号24に記載される塩基配列を
    含むDNAまたはその断片。
  84. 【請求項84】 配列番号24に記載される塩基配列の
    塩基番号3乃至524の塩基を含むDNAまたはその断
    片。
  85. 【請求項85】 配列番号25に記載されるアミノ酸配
    列を有するタンパクまたはその断片。
  86. 【請求項86】 請求項82乃至請求項84のいずれか
    に記載のDNA若しくはその断片を含む発現ベクター。
  87. 【請求項87】 請求項86に記載の発現ベクターで形
    質転換された形質転換細胞。
JP2000081795A 1999-03-17 2000-03-17 相同組換え用ジーンターゲティングDNAの製造方法及びcDNAライブラリーのスクリーニング方法 Pending JP2000325091A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000081795A JP2000325091A (ja) 1999-03-17 2000-03-17 相同組換え用ジーンターゲティングDNAの製造方法及びcDNAライブラリーのスクリーニング方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7139099 1999-03-17
JP11-71390 1999-03-17
JP2000081795A JP2000325091A (ja) 1999-03-17 2000-03-17 相同組換え用ジーンターゲティングDNAの製造方法及びcDNAライブラリーのスクリーニング方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000325091A true JP2000325091A (ja) 2000-11-28

Family

ID=26412493

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000081795A Pending JP2000325091A (ja) 1999-03-17 2000-03-17 相同組換え用ジーンターゲティングDNAの製造方法及びcDNAライブラリーのスクリーニング方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000325091A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111462823A (zh) * 2020-04-08 2020-07-28 西安交通大学 一种基于dna测序数据的同源重组缺陷判定方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111462823A (zh) * 2020-04-08 2020-07-28 西安交通大学 一种基于dna测序数据的同源重组缺陷判定方法
CN111462823B (zh) * 2020-04-08 2022-07-12 西安交通大学 一种基于dna测序数据的同源重组缺陷判定方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Soriano et al. Targeted disruption of the c-src proto-oncogene leads to osteopetrosis in mice
AU756620B2 (en) Mutations in the myostation gene cause double-muscling in mammals
JP7263327B2 (ja) 細胞の遺伝子修飾のための非組込みdnaベクター
JPH05504681A (ja) 感染性タンパク質デリバリーシステム
JP2001518803A (ja) 相同的組換えを用いる配列の改変
CN108823202A (zh) 用于特异性修复人hbb基因突变的碱基编辑系统、方法、试剂盒及其应用
CN109136272A (zh) 用于特异性修复人hbb基因突变的碱基编辑系统、方法、试剂盒及其在人生殖系中的应用
CN101868144A (zh) 具有失活的内源基因座的转基因鸡
AU704341B2 (en) Novel human chromosome 16 genes, compositions, methods of making and using same
AU760577B2 (en) Conditional mutants of influenza virus M2 protein
JP2010522549A (ja) 目的のポリヌクレオチドの発現を増強するためのポリヌクレオチド
JP2000325091A (ja) 相同組換え用ジーンターゲティングDNAの製造方法及びcDNAライブラリーのスクリーニング方法
US20100107265A1 (en) Double-muscling in mammals
JP2004500884A (ja) 遺伝子発現の調節方法及び手段
US5936138A (en) Gene encoding mutant L3T4 protein which facilitates HIV infection and transgenic mouse expressing such protein
KR20010033162A (ko) 생식세포로의 유전자 도입법
US6642369B1 (en) Nucleic acids involved in the responder phenotype and applications thereof
JPH10507070A (ja) Ikarosトランスジェニック細胞及び動物
US20030110524A1 (en) Transgenic organisms and their uses
EP0789757A1 (en) Transgenic organisms and their uses
DE60217081T2 (de) Gen beteiligt an v(d)j rekombination und/oder dna reparatur
US20240000051A1 (en) Influenza a-resistant animals having edited anp32 genes
AU721946B2 (en) Novel human chromosome 16 genes, compositions, methods of making and using same
JP4512813B2 (ja) 誘導的に骨細胞を欠失させることのできるトランスジェニック動物
WO1998046726A1 (en) A-myb NULL MUTANT TRANSGENIC ANIMALS AND USES THEREOF