JP2000321162A - 回転体のバランス修正方法及びバランス修正装置 - Google Patents

回転体のバランス修正方法及びバランス修正装置

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JP2000321162A JP11357702A JP35770299A JP2000321162A JP 2000321162 A JP2000321162 A JP 2000321162A JP 11357702 A JP11357702 A JP 11357702A JP 35770299 A JP35770299 A JP 35770299A JP 2000321162 A JP2000321162 A JP 2000321162A
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Takashi Murozaki
▲隆▼ 室▲崎▼
Kenichi Shibayama
柴山  賢一
Hideki Ichikawa
秀樹 市川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 演算された最適な修正面とその修正面におけ
る修正位置と修正量に基づいてバランス修正を行うこと
により、修正効率及び修正能力の向上を図る。 【解決手段】 計測された動アンバランスに基づいて、
その動アンバランスを修正するための修正面とその修正
面における修正位置と修正量を演算する修正量演算部3
は、バランス修正工程を実施する際に要求される幾つか
の修正条件を記憶する修正条件記憶部3aと、記憶して
いる修正条件を満足できる1つ以上の径方向修正面と修
正位置と修正量との組み合わせから成る修正方法の全て
を求める修正方法演算部3bと、求められた各修正方法
で回転体のアンバランスを修正した場合の残留アンバラ
ンス量を演算する残留アンバランス演算部3cと、演算
された残留アンバランス量を元に最適な修正方法を選択
する修正方法選択部3dとを有している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回転体のバランス
修正方法及びバランス修正装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、回転体のバランス修正方法と
して、回転体の一部を除去するマイナス修正法と、回転
体の一部にバランスウェイトを装着するプラス修正法と
が知られている。例えば、プラス修正法を用いた従来技
術として、特公平6−52984号公報が公知である。
これは、直流電動機用アーマチャのバランス修正に関す
るもので、アーマチャコアには、スロット溝底とシャフ
ト圧入部との間のコア領域に複数個(5個以上)の孔が
開けられている。この孔は、アーマチャコアの同心円周
上に等間隔に位置し、シャフトと平行にアーマチャコア
を貫通している。これらの孔のうち、アーマチャコアの
アンバランス量が集中する点Pのベクトル方向と反対側
の3個の隣合う孔がバランス修正用として選択され、そ
の選択された孔には、前記点Pと反対側の点P′にバラ
ンス修正の偶力が作用するように重量配分された修正ピ
ンが局所的に圧入されることでバランス修正が行われて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来のバラ
ンス修正方法は、図27に示すように、アンバランス量
を集中させる点Pが予め決められた径方向断面内の位置
(静アンバランスを修正する時は回転体100の重心位
置の径方向断面、動アンバランスを修正する時は回転体
100の両端付近の径方向断面)であり、前記P点にア
ンバランスが集中していると仮定した時のアンバランス
量を取り除くようにバランス修正している。この修正方
法では、修正面が予め決められた径方向断面に固定され
るという制約を受けるため、修正効率(除去量又は修正
ピン等の装着量に対するバランス修正量)が悪く、且つ
充分な修正能力(最大修正量)が得られないという問題
があった。また、動アンバランスの修正を1回で行うこ
とができず、2回(アーマチャの両側付近の2点)の修
正が必要であるため、バランス修正に要する工程時間
(サイクルタイム)が長くなり、且つ設備コストが高く
なるという問題があった。本発明は、上記事情に基づい
て成されたもので、その目的は、演算された最適な修正
面と修正位置と修正量に基づいてバランス修正を行うこ
とにより、修正効率及び修正能力を向上できるバランス
修正方法及びバランス修正装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】(請求項1の手段)本発
明のバランス修正方法は、回転体の2箇所以上における
所定の位置で回転体のアンバランス量を計測する計測工
程と、この計測工程で計測されたアンバランス量に基づ
いて、そのアンバランスを修正するための修正面、及び
その修正面における修正位置と修正量とを演算する修正
量演算工程と、この修正量演算工程で演算された修正面
と修正位置と修正量に基づいて回転体のアンバランスを
修正するバランス修正工程とを有する。この修正方法に
よれば、アンバランスを修正するための修正面を演算に
よって求めているので、修正面が固定される制約を受け
ないため、修正効率及び修正能力を向上できる。
【0005】(請求項2の手段)請求項1に記載した回
転体のバランス修正方法において、修正量演算工程で
は、まずバランス修正工程を実施する際に要求される幾
つかの修正条件を記憶し、その修正条件を満足できる1
つ以上の径方向修正面と修正位置と修正量の組み合わせ
から成る修正方法の全てを求める。次に、求められた各
修正方法で回転体のアンバランスを修正した場合の残留
アンバランス量を演算で求め、更に、演算された残留ア
ンバランス量を元に、最適な修正方法を選択している。
この結果、選択された修正面、及びその修正面における
修正位置と修正量に基づいて回転体のアンバランスを修
正することができる。
【0006】(請求項3の手段)請求項1に記載した回
転体のバランス修正方法において、修正量演算工程は、
計測工程で計測されたアンバランス量を1つの静アンバ
ランスと1組の偶アンバランスとに変換する第1の工程
と、この第1の工程で変換された1つの静アンバランス
と1組の偶アンバランスから修正すべき1つの静修正ベ
クトルと1組の偶修正ベクトルとを演算する第2の工程
と、この第2の工程で演算された各修正ベクトルから、
回転体の1つ以上の軸方向断面をバランス修正を行うた
めの修正面として選択し、その各修正面に分割した静修
正ベクトルと偶修正ベクトルとを演算する第3の工程
と、各修正面における静修正ベクトルから各修正面での
アンバランス修正量を演算し、各修正面における偶修正
ベクトルから各修正面でのアンバランス修正位置を演算
する第4の工程とを有している。この修正方法によれ
ば、計測されたアンバランス量に基づいて修正面と、そ
の修正面における修正位置と修正量を演算できるので、
修正面が固定される制約を受けない。
【0007】(請求項4の手段)コアの一部に予めバラ
ンス修正用のバランスウェイトを装着できる空間を有
し、演算によって求められたバランス修正面と修正位置
と修正量とに基づいて空間にバランスウェイトを装着す
ることにより、回転体のアンバランスを修正することが
できる。
【0008】(請求項5の手段)演算によって求められ
たバランス修正面と修正位置と修正量に基づいてコアの
外径部を除去することにより、回転体のアンバランスを
修正することができる。
【0009】(請求項6の手段)コアの一部に予めバラ
ンス修正用のバランスウェイトを装着できる空間を有
し、演算によって求められたバランス修正面と修正位置
と修正量に基づいて、一方の修正面ではコアの外径部を
除去し、他方の修正面では空間にバランスウェイトを装
着することにより、回転体のアンバランスを修正するこ
とができる。
【0010】(請求項7の手段)回転体のコアは、バラ
ンスウェイトを装着できる空間として、シャフトと平行
に延在する均一な断面形状の修正孔を複数個有し、これ
らの修正孔がコアの周方向に等間隔に設けられている。
また、バランスウェイトとしては、修正孔に挿入可能な
棒状の修正ピンを用いることができる。
【0011】(請求項8の手段)シャフトを基準として
径方向の対称位置にある一組の修正孔に対し、1本また
は修正量が異なる2本の修正ピンを使用してバランス修
正を行う場合であって、それぞれ修正量が異なるN本の
修正ピンを準備し、このN本の修正ピンの中で最小の修
正量を有する修正ピンをSで表し、この修正ピンSに対
し単位修正量ずつ順に修正量が大きくなる時に、それぞ
れの修正量を有する修正ピンを順にS+1、S+2、…
…、S+n、……で表し、N本の修正ピンのうち1本ま
たは2本の修正ピンを使用して、単位修正量毎に連続し
て修正できる時の最大修正量をGで表した場合に、 N=n+d(d:整数)……… S=d×(n+1)…………… G=S+n……………………… 上記〜の関係が成立する時に、実際に準備するN本
の修正ピンは、S、S+1、S+2、……、S+nで表
される(n+1)本の修正ピンと、S+n+(n+
1)、S+n+2×(n+1)、……、S+n+(d−
1)×(n+1)で表される(d−1)本の修正ピンで
ある。この構成によれば、少ない種類の修正ピンによっ
て等間隔の修正量を実現することが可能である。
【0012】(請求項9の手段)シャフトを基準として
径方向の対称位置にある一組の修正孔に対し、1本また
は修正量が異なる2本の修正ピンを使用してバランス修
正を行う場合であって、それぞれ修正量が異なるN本の
修正ピンを準備し、このN本の修正ピンの中で最小の修
正量を有する修正ピンをSで表し、この修正ピンSに対
し単位修正量ずつ順に修正量が大きくなる時に、それぞ
れの修正量を有する修正ピンを順にS+1、S+2、…
…、S+n、……で表し、N本の修正ピンのうち1本ま
たは2本の修正ピンを使用して、単位修正量毎に連続し
て修正できる時の最大修正量をGで表した場合に、 N=2×n……………………………… S=n×(n+1)…………………… G=S+n=n×(n+1)+n…… 上記〜の関係が成立する時に、実際に準備するN本
の修正ピンは、n×(n+1)、n×(n+1)+1、
n×(n+1)+2、……、n×(n+1)+nで表さ
れる(n+1)本の修正ピンと、(n+1)×(n+
1)+n、(n+2)×(n+1)+n、……、(2×
n−1)×(n+1)+nで表される(n−1)本の修
正ピンである。この構成によれば、少ない種類の修正ピ
ンによって等間隔の修正量を実現することが可能であ
る。
【0013】(請求項10の手段)請求項1〜9に記載
した回転体のバランス修正方法を実行するバランス修正
装置であって、所定の計測位置で回転体の動アンバラン
スを計測するアンバランス計測部と、計測された動アン
バランスに基づいて、その動アンバランスを修正するた
めの修正面と修正位置と修正量を演算する修正量演算部
と、演算されたバランス修正面と修正位置と修正量に基
づいて回転体にバランス修正を行うバランス修正部とを
備えている。
【0014】(請求項11の手段)請求項10に記載し
た回転体のバランス修正装置において、バランス修正部
は、コアの外径部を除去するためのカッターと、このカ
ッターと回転体とを軸方向に所定量相対移動可能な位置
決め機構とを具備し、コアのアンバランス計測面とは異
なった部位でバランス修正を行う。
【0015】(請求項12の手段)請求項10に記載し
た回転体のバランス修正装置において、バランス修正部
は、修正ピンを仮保持してコアの所定の空間近傍まで運
搬するとともに、装着時の位置ずれを防止する機構を有
する装着ガイドと、この装着ガイドの後方より修正ピン
を所定位置まで押し出す装着ピンとを備え、装着ガイド
と装着ピンとの協同により修正ピンを所定の空間の所定
位置に装着する。
【0016】(請求項13の手段)請求項12に記載し
た回転体のバランス修正装置において、バランス修正部
は、棒状の修正ピンを所定寸法に切断する切断手段と、
切断された所定寸法の修正ピンを装着ガイドへ運搬する
運搬手段とを備えている。
【0017】(請求項14の手段)請求項12に記載し
た回転体のバランス修正装置において、バランス修正部
は、予め数ランクの所定重量の修正ピンを複数準備し、
供給する供給手段と、アンバランス計測部で計測された
アンバランス量に応じて、所定の修正ピンを選択する選
択手段と、選択された所定の修正ピンを装着ガイドへ運
搬する運搬手段とを備えている。
【0018】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。 (実施形態1)図1に本発明を適用したバランス修正機
の全体構成図を示す。実施形態1で説明するバランス修
正機は、回転体1の動アンバランスを計測するアンバラ
ンス計測部2と、このアンバランス計測部2で計測され
た動アンバランスに基づいて、その動アンバランスを修
正するための修正面と修正位置と修正量とを演算する修
正量演算部3と、この修正量演算部3で演算された修正
面と修正位置と修正量に基づいて回転体1のバランス修
正を行うバランス修正部4とを備えている。
【0019】アンバランス計測部2は、回転体1に具備
されたシャフト5の両端部で回転体1の右側動アンバラ
ンスと左側動アンバランスとを計測する。修正量演算部
3は、バランス修正工程を実施する際に要求される幾つ
かの修正条件を記憶する修正条件記憶部3aと、この修
正条件記憶部3aに記憶している修正条件を満足できる
1つ以上の径方向修正面と修正位置と修正量の組み合わ
せから成る修正方法の全てを求める修正方法演算部3b
と、この修正方法演算部3bで求められた各修正方法で
回転体1のアンバランスを修正した場合の残留アンバラ
ンス量を演算する残留アンバランス演算部3cと、この
残留アンバランス演算部3cで演算された残留アンバラ
ンス量を元に、最適な修正方法を選択する修正方法選択
部3dとを有している。バランス修正部4は、修正方法
選択部3dで選択される最適な修正方法である、修正面
と、その修正面における修正位置と修正量に基づいて回
転体1のアンバランスを修正する。
【0020】以下に、修正量演算部3で最適なバランス
修正位置と修正量を求める処理手順を図2に示すフロー
チャートに基づいて説明する。なお、ここでは、回転体
1に修正ピン6(図3参照)を装着してバランス修正を
行うプラス修正法について説明する。回転体1は、例え
ば車両のスタータモータに用いられるアーマチャであ
り、図3に示すように、シャフト5とアーマチャコア7
を有し、そのアーマチャコア7の径方向中央部にシャフ
ト5が圧入されている。アーマチャコア7には、シャフ
ト5の外周に修正ピン6を挿入できる複数本の修正孔8
を有している。これらの修正孔8は、全て均一な断面形
状で、アーマチャコア7の周方向に等間隔に設けられ、
シャフト5と平行にアーマチャコア7を貫通している。
【0021】Step1では、アンバランス計測部2で計測
された右側動アンバランスUrと左側動アンバランスU
lを入力する。Step2では、修正条件記憶部に記憶され
ている修正条件と入力されたUr及びUlとから実施可
能な全ての修正方法(実施可能な1つ以上の修正面と修
正位置と修正量の組み合わせから成る全ての修正方法)
を導出する。例えば、修正条件記憶部に下記の修正条件
を設定した時、 使用する修正ピン6は2種類で、それぞれの修正ピン
6の挿入により、U1gcm、U2gcm変化する。 回転体1には修正用に使用できる修正孔8は5本あ
る。 各修正孔8には等間隔の10箇所に修正ピン6を挿入
することが可能である。 修正ピン6を1本のみ使用して修正する。
【0022】以上の修正条件の下でStep2で導出される
修正方法は、修正ピン6を修正孔8に挿入しない場合を
含めて全部で101通り(2×5×10+1=101)
となる。また、例えば、上記及びの条件が、下記
′及び′の条件に変わった場合、修正方法の導出に
Ur、Ulが使用され、Step2で導出される修正方法
は、全部で441通り(2×10×2×10+2×10
+2×10+1=441)となる。 ′回転体1には修正用の修正孔8が10本あり、その
中からUr、Ulに最も近い角度の2本の修正孔8を修
正用に選択する。 ′それぞれの修正孔8に修正ピン6を1本ずつ使用し
て修正する。
【0023】Step3では、Step2で導出した全ての修正
方法により、修正後の理論的な残留アンバランス量を算
出する。この残留アンバランス量の算出方法を図3を用
いて説明する。計測した回転体1の動アンバランスベク
トルをUr、Ulとし、そのUr、Ulの計測基準(図
中の左側計測基準と右側計測基準)からXr1、Xl1の位
置にアンバランスベクトルUc1の修正ピン6を挿入した
とすると、残留アンバランスベクトルRr、Rlは、 Rr=Ur+Uc1×Xl1/(Xr1+Xl1) Rl=Ul+Uc1×Xr1/(Xr1+Xl1) となり、左右の動アンバランスベクトルとして計算でき
る。更に、修正ピン6をn本挿入した場合は、 Rr=Ur+Uc1×Xl1/(Xr1+Xl1)+…+Ucn×
Xln/(Xrn+Xln) Rl=Ul+Uc1×Xr1/(Xr1+Xl1)+…+Ucn×
Xrn/(Xrn+Xln) となる。
【0024】Step4では、Step3で算出した残留アンバ
ランス量に基づいて、Step2で導出した全ての修正方法
から最適な修正方法を選択する。例えば、対象の回転体
1が、偶アンバランスは大きくても良く、静アンバラン
スが出来るだけ小さい方が良い製品であれば、Step3で
算出したRr+Rlが最も小さくなる修正方法を最適と
して選択する。または、両側の動アンバランスが小さい
ことが必要であれば、|Rr|+|Rl|が最も小さく
なる修正方法を最適として選択する。
【0025】(実施形態2)図4に本発明を適用したバ
ランス修正機の全体構成図を示す。本実施形態では、以
下の観点〜に着目して、回転体1の初期アンバラン
ス量に合わせて使用する修正孔8、挿入する修正ピン6
の量(重さ)、挿入する修正ピン6の位置を調整してバ
ランス修正を行うことを特徴とする。 動アンバランスは静アンバランスと偶アンバランスの
和に変換できること。 修正ピン6の挿入により変化する回転体1の静アンバ
ランス量は、選択した修正孔8と挿入した修正ピン6の
量(重さ)にのみ関係し、挿入する位置には影響されな
いこと。 挿入する修正ピン6の位置を変えることにより、回転
体1の静アンバランス量を変えずに偶アンバランス量を
調整できること。
【0026】従って、この実施形態2で説明するバラン
ス修正機は、上記の実施形態1の場合と修正量演算部3
の構成が以下の様に異なる。修正量演算部3は、アンバ
ランス計測部2で計測された動アンバランス量をそれぞ
れ静アンバランス量と偶アンバランス量とに変換し、修
正すべき静修正ベクトルと偶修正ベクトルとを算出する
修正ベクトル演算部3eと、この修正ベクトル演算部3
eで算出された静修正ベクトルと偶修正ベクトルから修
正すべきバランス修正位置と修正量を演算する演算部3
fとを有している。
【0027】以下に、修正位置と修正量を求める修正量
演算部3の処理手順を図5に示すフローチャートに基づ
いて説明する。なお、ここでは、実施形態1の場合と同
様に、回転体1の修正孔8に修正ピン6を装着してバラ
ンス修正を行うプラス修正法について説明する。Step1
では、アンバランス計測部2で計測された右側動アンバ
ランス量Urと左側動アンバランス量Ulとを入力す
る。Step2では、Ur及びUlと大きさが等しく、逆向
きの修正ベクトル−Ur及び−Ulを求める(Ur及び
Ulと−Ur及び−Ulとの関係を図6に示す)。
【0028】Step3では、−Urと−Ulを回転体1の
重心における静修正ベクトルUsと、重心から軸方向長
さLの偶修正ベクトルUcとに変換する(回転体1の重
心とUs及びUcとの関係を図7に示す)。ここで、動
アンバランス量Ur及びUlと回転体1の重心との距離
をそれぞれLr及びLl(図6参照)とすると、Us及
びUcは、下記の式及びで求められる。 Us=(−Ur)×(−Ul)……………………………………… Uc={Lr×(−Ur)+Ll×(−Ul)}/L……………
【0029】Step4では、Us及びUcに対して修正面
となる軸方向断面P1及びP2を選択する。この修正面
P1及びP2の選択方法を図8を使用して説明する。本
実施形態では、静修正ベクトルUsを優先してバランス
修正できるように、静修正ベクトルUsを基に修正ピン
6を挿入する修正孔8を選択する。ここでは、修正ピン
6を挿入できる修正孔8が10個であるから、図8の矢
印Aで示す範囲(任意の修正孔8を中心とする36度の
範囲)内に静修正ベクトルUsがある場合には、その両
隣の修正孔8の中心を通る平面をそれぞれP1及びP2
とする。
【0030】Step5では、静修正ベクトルUsと偶修正
ベクトルUcを修正面P1及びP2上のベクトルUs1
、Us2 、及びUc1 、Uc2 に分割する。各ベクト
ルの関係を図9に示す。また、修正面P1上に分割した
Us1 とUc1 との関係を図10に示す。Step6では、
修正面P1において、静修正ベクトル量がUs1 で偶修
正ベクトル量がUc1 となる修正ピン6の大きさa1
(修正ピン6の長さ)と修正孔8に対する挿入位置x1
(回転体1の重心から修正ピン6の重心までの軸方向距
離)を求める(図12参照)。
【0031】ここで、アーマチャコア7の中心から修正
孔8の中心までの距離をHr(図11参照)、修正ピン
6の単位長さ当たりの重さをmとすると、a1 及びx1
は下記の関係式及びより求めることができる。 Us1 =a1 ×m×Hr……………………………………………… Uc1 ×L=a1 ×m×Hr×x1 ………………………………… 同様に、修正面P2において、静修正ベクトル量がUs
2 で、偶修正ベクトル量がUc2 となる修正ピン6の大
きさa2 (修正ピン6の長さ)と挿入位置x2(回転体
1の重心から修正ピン6の重心までの軸方向距離)を求
める(図12参照)。
【0032】上記の手順により演算したピン挿入孔(修
正ピン6を挿入する修正孔8)、修正ピン6の長さ、修
正孔8内での修正ピン6の挿入位置に従って、バランス
修正部4にて修正ピン6を修正孔8に挿入し、バランス
修正を行う。この修正量演算部3での演算結果に従って
バランス修正を行った状態を図11及び図12に示す。
ここで、演算結果通りに修正ピン6を挿入すると、修正
ピン6がアーマチャコア7の軸方向端面からはみ出して
しまう場合には以下のように補正を行う。
【0033】本実施形態では、修正後のアンバランス量
がゼロにならなくても規格値内に入れば良く、静アンバ
ランスを優先的に修正したいため、静アンバランス量が
大きく、演算した修正ピン6の長さがアーマチャコア7
の全長より大きくなった場合は、修正ピン6の長さをア
ーマチャコア7の全長に合わせて使用する。また、偶ア
ンバランス量が大きく、演算結果通りに修正ピン6を挿
入すると修正ピン6がアーマチャコア7の端面からはみ
出してしまう場合には、修正ピン6の端面がアーマチャ
コア7の端面と一致するように修正ピン6の挿入位置を
補正する。
【0034】また、本実施形態では、静アンバランスを
優先して修正できるように、静修正ベクトルUsを基に
修正ピン6を挿入する修正孔8を選択したが、静アンバ
ランスが小さく、偶アンバランスが大きい時に前記修正
方法を適用すると、修正ピン6が非常に小さく、修正ピ
ン6の位置をアーマチャコア7の端面付近まで移動して
も偶アンバランスが殆ど発生しなくなってしまう。この
時、偶アンバランスの修正能力を向上させるために、以
下の補正を行う。
【0035】先ず、選択した修正孔8と、その選択した
修正孔8に対向する修正孔8とに同量の修正ピン6を追
加する(例えば、両方の修正ピン6を合わせるとアーマ
チャコア7の長さに等しくなるように修正ピン6の長さ
を補正する)。これにより、静アンバランス量は補正前
と変わらない。次に、選択した修正孔8に対向する修正
孔8の修正ピン6は、アーマチャコア7の中心部に挿入
し、選択した修正孔8の修正ピン6の挿入位置を調整し
て偶アンバランスを修正する。選択した修正孔8の修正
ピン6だけでは偶アンバランスが修正しきれない場合に
は、選択した修正孔8に対向する修正孔8の修正ピン6
の挿入位置を調整して更に偶アンバランスを修正する。
【0036】この実施形態2では、最も単純な2本の修
正ピン6でバランス修正を行っているが、更に多くの修
正ピン6を挿入することにより、修正できる初期アンバ
ランス量を大きくすることができる。例えばStep4で修
正面P1及びP2を両側に18度ずつ広げて図13のよ
うに設定し、Step5で分割したベクトルを更に両側の修
正孔8で修正するように2元ベクトルに分割することに
より、4か所の修正孔8に修正ピン6を挿入できるよう
になる。また、修正面P1及びP2を図14のように設
定すれば、Step6で演算する修正ピン6の大きさを3元
ベクトルに分割でき、6か所の修正孔8に修正ピン6を
挿入してバランス修正を行うことができる。
【0037】次に、上記の実施形態1で説明したバラン
ス修正方法の実施例1及び実施形態2で説明したバラン
ス修正方法の実施例2を以下に示す。この実施例1及び
2では、図15に示す回転体1(アーマチャ)を使用し
た。 アーマチャコア7の全長Lc:29.0mm アーマチャコア7の左側端面から左側計測位置までの距
離Pwl:4.5mm アーマチャコア7の右側端面から右側計測位置までの距
離Pwr:3.5mm
【0038】(実施例1)修正条件記憶部3aには下記
の修正条件を設定した。 使用する修正ピン6は、長さが5mmから2mm間隔で2
7mmまでの12種類、各修正ピン6は、回転体1の修正
孔8に挿入すると0.0407gcm/mmのバランス量を持
つ。 左右それぞれの動アンバランスベクトルについて、ベ
クトル方向と反対側の2つ又は3つの隣合う修正孔8に
1本ずつ修正ピン6を挿入する。 ・動アンバランスベクトルが修正孔8の近傍(±9°以
内)の時は、3つの修正孔8を選択する。 ・動アンバランスベクトルが修正孔8の近傍(±9°以
上)の時は、2つの修正孔8を選択する。 ・左右の動アンバランスベクトルが同方向の時は、近傍
の4つの修正孔8を選択する。
【0039】左右それぞれの動アンバランスベクトル
について選択した2つ又は3つの修正孔8には同一長さ
の修正ピン6を挿入する。 各修正孔8には、2mm間隔で修正ピン6を挿入するこ
とができる。但し、修正ピン6はアーマチャコア7から
はみ出さないこと。(Lmmの修正ピン6は、(29−
L)/2+1通りの挿入が可能) 以上の修正条件により、導出できる修正方法は、修正ピ
ン6を修正孔8に挿入しない場合を含めて全部で828
1通りとなる。これら全ての修正方法によって修正後の
残留アンバランス量を求め、両側の動アンバランスの大
きさの合計が最も小さくなる方法を最適な修正方法とし
て選択する。
【0040】(実施例2)この実施例2では、図13に
示した2元ベクトルの方式に偶アンバランスの修正能力
を向上させるための補正を加えたやり方で回転体1のバ
ランス修正を行った。 使用する修正ピン6は、長さが5mmから1mm間隔で2
7mmまでの23種類。 各修正ピン6は、回転体1の修正孔8に挿入すると
0.0407gcm/mmのバランス量を持つ。 各修正孔8には、修正ピン6がアーマチャコア7から
はみ出さない範囲で1mm間隔に挿入することができる。
(Lmmの修正ピン6は、29−L+1通りの挿入が可
能)
【0041】上記の実施例1(方式1)及び実施例2
(方式2)と従来方式(使用する修正ピン6は5、6、
7mmの3種類から選択)とでバランス修正のテストを実
施した。その結果を図16に示す。この図16では、横
軸に修正に使用した修正ピン6の平均本数、縦軸に初期
アンバランス量を示し、各方式で残留アンバランス量を
0.25gcm 以下にすることができる領域を記述してい
る。この図16から、以下のように最大修正量及び修正
効率の向上が確認できる。・従来方式の最大修正量が
0.8gcm に対し、実施例2では1.1gcm を実現して
いる(最大修正量の向上)。・初期アンバランス0.6
gcm 以上で、従来方式での平均修正ピン使用本数5本以
上に対し、実施例1では4.5本を実現している(修正
効率の向上)。
【0042】図16から、従来方式では、ほんの僅かな
修正を行う場合でも、修正ピン6が3本以上必要である
ことが分かる。また、従来技術で説明したように、動ア
ンバランスを修正するためには2回(2箇所)の修正が
必要である。従って、初期アンバランスが良好でちょっ
とした修正しか必要としないバランス修正工程の場合に
は、従来方式では過剰な設備投資が必要となっていた。
これに対し、例えば実施例1では、数種類の修正ピン6
から1本だけを選んで挿入するといった修正条件の中で
最適な修正方法を選択させることにより、修正が1回の
みのバランス修正工程を実現できる。更には、ある固定
の形状でアーマチャコア7外周を削除するバランス修正
方法しか無いといった修正量を調整できないアプリケー
ションの場合、従来方式ではバランス修正は困難であっ
たが、例えば実施例1では、1種類の修正量を数箇所に
施すといった修正条件の中で最適な修正方法を選択させ
ることにより、バランス修正が可能となる。
【0043】次に、実施形態1及び2に示したプラス修
正法を実行するためのバランス修正装置9について説明
する。図17はバランス修正装置9の基本構成を示す模
式図である。このバランス修正装置9は、アンバランス
計測ユニット10、ピン供給ユニット11、及びピン受
渡しユニット12等より構成される。アンバランス計測
ユニット10は、回転体1の動アンバランスを計測する
ための装置であり、一般的に知られているバランス計測
装置である。動アンバランスが計測された回転体1は、
バランス修正を実施するための修正場所までターンテー
ブル13によって移動される。
【0044】ピン供給ユニット11は、ピン受渡しユニ
ット12へ修正用の修正ピン6を供給するもので、棒状
部材あるいはコイル材を所定寸法の修正ピン6に切断す
る切断装置14(図18参照)、あるいは予め定寸法に
切断された修正ピン6を供給するパーツフィーダ・マガ
ジン等を備えている。切断装置14の一例を図18に示
す。この切断装置14は、棒状部材またはコイル材等か
ら成るピン素材15を供給する供給部16、供給された
ピン素材15を送り出す送り機構17、ピン素材15を
所定寸法で切断するためにピン素材15の切断位置を決
める定寸測定装置18、及びピン素材15を切断する切
断機19等から構成される。
【0045】ピン受渡しユニット12は、ピン供給ユニ
ット11より供給された修正ピン6を受け取り、回転体
1の所定の修正孔8へ修正ピン6を挿入する挿入機構を
具備している。挿入機構の一例を図19に示す。この挿
入機構は、修正ピン6を保持して回転体1の修正孔8の
近傍へ運搬し、且つ挿入時のガイドとなる装着治具20
と、この装着治具20に保持されている修正ピン6を後
方から押し込んで修正孔8内の所定位置まで挿入する挿
入治具21とを備える。なお、図19(a)は挿入機構
の使用状態(修正ピン6を修正孔8へ挿入する挿入途中
の状態)を示す。図19(b)は装着治具20内に修正
ピン6をセットした状態を示す。図19(c)は挿入完
了時の状態を示す。修正ピン6の装着位置は、装着治具
20と挿入治具21との相対位置の変位を計測して決定
するか、回転体1に設けた基準面(軸端等)から挿入治
具21の相対位置を算出して決定することができる。
【0046】なお、バランス修正に使用する修正ピン6
に関しては、以下の手段〜を採用することができ
る。また、各手段〜で得られる修正ピン6を使用し
た回転体1の断面図を図20〜22に示す。 修正量演算部3での演算結果に基づき、上記の切断装
置14等により棒状部材やコイル材から所定長さに切断
した修正ピン6を使用する(図20参照)。 やや軸長の短い一定長さの修正ピン6を複数準備して
おき、演算された修正ピンの長さに相当する複数本の修
正ピン6を同一の修正孔8に挿入する(図21参照)。 予め数ランクの長さ(例えば1、2、3、4mmの4
ランク)の修正ピン6を複数準備しておき、その中から
最適な修正ピン6を選択して使用する(図22参照)。
また、実施形態2では、修正量演算部3でピン挿入孔
(修正ピン6を挿入する修正孔8)、修正ピン6の長
さ、及び修正ピン6の挿入位置を演算しているが、修正
ピン6の長さに関しては常に一定長さの修正ピン6を使
用しても良い(図23参照)。
【0047】ところで、上記の方法で修正ピン6を準
備する場合は、修正ピン6の種類(ランク)を増やす
程、必要な長さに近い修正ピン6を選択できるようにな
り、修正精度を向上できるが、量産化を目的とした自動
化装置においては、予め準備する修正ピン6の種類が増
えるに従って、修正ピン供給部の構造が複雑になってし
まうという問題がある。この解決策として、1個の修正
孔8に複数本の修正ピン6を装着することにより、予め
準備する修正ピン6の種類を削減することが考えられる
が、修正孔8に対し圧入により修正ピン6を装着する場
合には、1本目の修正ピン6を圧入することで修正孔8
が拡張し、2本目以降の修正ピン6が抜き圧不足で圧入
できなくなってしまうため、実現困難である。
【0048】そこで、1個の修正孔8に2本以上の修正
ピン6を装着しない条件で、できるだけ少ない種類の修
正ピン6で精度良くバランス修正を行うことができる修
正ピン6の準備方法について、図24を参照しながら以
下に説明する。図24に示すアーマチャコア7は、シャ
フト5の外周に8個の修正孔8が形成されている。各修
正孔8は、シャフト5と平行にアーマチャコア7を貫通
し、シャフト5から等距離で周方向に等間隔に位置して
いる。ここで、図24(b)に示すように、シャフト5
を基準として径方向の対称位置にある任意の2個の修正
孔8を一組とし、基準となる修正方向を何方か一方の修
正孔8aの向きに決め、その修正孔8aを修正側、他方
の修正孔8bを対向側と呼ぶことにする。
【0049】続いて、任意の一組の修正孔8に対し、修
正側の修正孔8aにU1 の修正量を持つ修正ピン6を装
着し、対向側の修正孔8bにU2 の修正量を持つ修正ピ
ン6を装着する。アーマチャコア7の静アンバランス量
は、アーマチャコア7の重心を始点とするベクトルで表
すことができるので、この場合、図24(a)に示すよ
うに、修正側の修正孔8aの向きに(U1 −U2 )だけ
静アンバランスが変化したことになる。以上の結果、2
個の修正孔8を一組として考えると、U1 、U2 の修正
量を持つ2種類の修正ピン6を準備することにより、U
1 、U2 、及び(U1 −U2 )の3種類の修正量を実現
できることになる。
【0050】上記の考え方を更に発展させて汎用性を持
たせると、以下のように記号を用いて表すことができ
る。 A)それぞれ修正量が異なるN本の修正ピン6を準備
し、このN本の修正ピン6の中で最小の修正量を有する
修正ピン6をSで表し、この修正ピンSに対し単位修正
量ずつ順に修正量が大きくなる時に、それぞれの修正量
を有する修正ピン6を順にS+1、S+2、……、S+
n、……で表す。また、N本の修正ピン6のうち1本ま
たは2本の修正ピン6を使用して、単位修正量毎に連続
して修正できる時の最大修正量をGで表した場合に、 N=n+d(d:整数)……… S=d×(n+1)…………… G=S+n……………………… 上記〜の関係が成立する時に、実際に準備するN本
の修正ピン6は、S、S+1、S+2、……、S+nで
表される(n+1)本の修正ピン6と、S+n+(n+
1)、S+n+2×(n+1)、……、S+n+(d−
1)×(n+1)で表される(d−1)本の修正ピン6
である。
【0051】このN本の修正ピン6は、修正すべき修正
量に応じて以下のように選択して使用する。 a)修正量1〜nの修正 修正側の修正孔8aにはS+nの修正ピンを装着する。
対向側の修正孔8bには(S+n−1)〜Sの修正ピン
を装着する。 b)修正量(n+1)〜{2×(n+1)−1}の修正 修正側の修正孔8aには{S+n+(n+1)}の修正
ピンを装着する。対向側の修正孔8bには(S+n)〜
Sの修正ピンを装着する。
【0052】c)修正量{2×(n+1)}〜{3×
(n+1)−1}の修正 修正側の修正孔8aには{S+n+2×(n+1)}の
修正ピンを装着する。対向側の修正孔8bには(S+
n)〜Sの修正ピンを装着する。 d)修正量{(d−1)×(n+1)}〜{d×(n+
1)−1}の修正 修正側の修正孔8aには{S+n+(d−1)×(n+
1)}の修正ピンを装着する。対向側の修正孔8bには
(S+n)〜Sの修正ピンを装着する。 e)修正量{d×(n+1)}〜{(d+1)×(n+
1)−1}の修正 修正側の修正孔8aにはS〜(S+n)の修正ピンを装
着する。対向側の修正孔8bには装着しない。
【0053】B)次に、上記の関係を満たすS、d、
nの各値を具体的に選択して説明する。例えば、S=
9、d=3、n=2の場合、準備する修正ピンは、9、
10、11、14、17の5種類となる。 (修正量1の修正)修正側の修正孔8aには11の修正
ピンを装着する。対向側の修正孔8bには10の修正ピ
ンを装着する。 (修正量2の修正)修正側の修正孔8aには11の修正
ピンを装着する。対向側の修正孔8bには9の修正ピン
を装着する。
【0054】(修正量3の修正)修正側の修正孔8aに
は14の修正ピンを装着する。対向側の修正孔8bには
11の修正ピンを装着する。 (修正量4の修正)修正側の修正孔8aには14の修正
ピンを装着する。対向側の修正孔8bには10の修正ピ
ンを装着する。 (修正量5の修正)修正側の修正孔8aには14の修正
ピンを装着する。対向側の修正孔8bには9の修正ピン
を装着する。
【0055】(修正量6の修正)修正側の修正孔8aに
は17の修正ピンを装着する。対向側の修正孔8bには
11の修正ピンを装着する。 (修正量7の修正)修正側の修正孔8aには17の修正
ピンを装着する。対向側の修正孔8bには10の修正ピ
ンを装着する。 (修正量8の修正)修正側の修正孔8aには17の修正
ピンを装着する。対向側の修正孔8bには9の修正ピン
を装着する。
【0056】(修正量9の修正)修正側の修正孔8aに
のみ9の修正ピンを装着する。 (修正量10の修正)修正側の修正孔8aにのみ10の
修正ピンを装着する。 (修正量11の修正)修正側の修正孔8aにのみ11の
修正ピンを装着する。
【0057】C)上述した修正ピン6の準備方法では、
特にd=nの時に、準備する修正ピン6の種類に対して
実現できる修正量(ピン長さ)が最も効率的にできる。
そこで、d=nの場合、前記〜の関係を以下の〜
の関係に表すことができる。 N=2×n………………………………… S=n×(n+1)……………………… G=S+n=n×(n+1)+n……… この〜の関係が成立する時に、実際に準備するN本
の修正ピン6をnだけで表すと、n×(n+1)、n×
(n+1)+1、n×(n+1)+2、……、n×(n
+1)+nで表される(n+1)本の修正ピンと、(n
+1)×(n+1)+n、(n+2)×(n+1)+
n、……、(2×n−1)×(n+1)+nで表される
(n−1)本の修正ピンとなる。
【0058】このN本の修正ピン6は、修正すべき修正
量に応じて以下のように選択して使用する。 a)修正量1〜nの修正 修正側の修正孔8aにはn×(n+1)+nの修正ピン
を装着する。対向側の修正孔8bには{n×(n+1)
+n−1}〜n×(n+1)の修正ピンを装着する。 b)修正量(n+1)〜{2×(n+1)−1}の修正 修正側の修正孔8aには{(n+1)×(n+1)+
n}の修正ピンを装着する。対向側の修正孔8bには
{n×(n+1)+n}〜n×(n+1)の修正ピンを
装着する。
【0059】c)修正量{2×(n+1)}〜{3×
(n+1)−1}の修正 修正側の修正孔8aには{(n+2)×(n+1)+
n}の修正ピンを装着する。対向側の修正孔8bには
{n×(n+1)+n}〜n×(n+1)の修正ピンを
装着する。 d)修正量{(n−1)×(n+1)}〜{n×(n+
1)−1}の修正 修正側の修正孔8aには{(2×n−1)×(n+1)
+n}の修正ピンを装着する。対向側の修正孔8bには
{n×(n+1)+n}〜n×(n+1)の修正ピンを
装着する。 e)修正量{n×(n+1)}〜{(n+1)×(n+
1)−1}の修正 修正側の修正孔8aにはn×(n+1)〜{n×(n+
1)+n}の修正ピンを装着する。対向側の修正孔8b
には装着しない。
【0060】D)続いて、上記Cで説明したnの値を具
体的に選択して説明する。例えばn=3の場合、準備す
る修正ピンは、12、13、14、15、19、23の
6種類となる。なお、このD)に示す修正量(必要な修
正ピンの長さ)と使用する修正ピン6との関係を図25
に示す。 (修正量1の修正)修正側の修正孔8aには15の修正
ピンを装着する。対向側の修正孔8bには14の修正ピ
ンを装着する。 (修正量2の修正)修正側の修正孔8aには15の修正
ピンを装着する。対向側の修正孔8bには13の修正ピ
ンを装着する。
【0061】(修正量3の修正)修正側の修正孔8aに
は15の修正ピンを装着する。対向側の修正孔8bには
12の修正ピンを装着する。 (修正量4の修正)修正側の修正孔8aには19の修正
ピンを装着する。対向側の修正孔8bには15の修正ピ
ンを装着する。 (修正量5の修正)修正側の修正孔8aには19の修正
ピンを装着する。対向側の修正孔8bには14の修正ピ
ンを装着する。
【0062】(修正量6の修正)修正側の修正孔8aに
は19の修正ピンを装着する。対向側の修正孔8bには
13の修正ピンを装着する。 (修正量7の修正)修正側の修正孔8aには19の修正
ピンを装着する。対向側の修正孔8bには12の修正ピ
ンを装着する。 (修正量8の修正)修正側の修正孔8aには23の修正
ピンを装着する。対向側の修正孔8bには15の修正ピ
ンを装着する。
【0063】(修正量9の修正)修正側の修正孔8aに
は23の修正ピンを装着する。対向側の修正孔8bには
14の修正ピンを装着する。 (修正量10の修正)修正側の修正孔8aには23の修
正ピンを装着する。対向側の修正孔8bには13の修正
ピンを装着する。 (修正量11の修正)修正側の修正孔8aには23の修
正ピンを装着する。対向側の修正孔8bには12の修正
ピンを装着する。
【0064】(修正量12の修正)修正側の修正孔8a
にのみ12の修正ピンを装着する。 (修正量13の修正)修正側の修正孔8aにのみ13の
修正ピンを装着する。 (修正量14の修正)修正側の修正孔8aにのみ14の
修正ピンを装着する。 (修正量15の修正)修正側の修正孔8aにのみ15の
修正ピンを装着する。
【0065】上記A)〜D)に示した修正ピン6の準備
方法では、実現する修正量の間隔を全て1としたが、実
現する最大修正量に合わせて間隔を変えても良い。例え
ば、n=3の場合で最大修正量Lで15個の等間隔な修
正量を実現するためには、(12/15)×L、(13
/15)×L、(14/15)×L、(15/15)×
L、(19/15)×L、(23/15)×Lの6種類
の修正ピン6を準備すれば良い。また、上記A)〜D)
の方法で準備する修正ピン6とは別の修正ピン6を加え
ても本発明の有効性を活用することができる。例えば、
前述の12、13、14、15、19、23の6種類に
16、17の修正ピンを加えることにより、1から17
までの間隔1の修正量を実現できる。
【0066】このA)〜D)の方法で準備した修正ピン
6を使用してバランス修正を行う場合には、小さな修正
量を得る場合に、修正側の修正孔8aと対向側の修正孔
8bとに修正量差の小さい修正ピン6を装着することが
できる。従って、静アンバランスが小さく、偶アンバラ
ンスが大きなアーマチャコア7を修正する場合でも、特
別な補正をしなくても十分な偶アンバランスの修正能力
を実現できる。特に、実現する最大修正量を持つ修正ピ
ン6が修正孔8の全長の1/2程度になるように修正ピ
ン6を準備することで、大きな偶アンバランス修正能力
を実現できる。
【0067】上述の実施形態1及び2では、回転体1の
修正孔8に修正ピン6を挿入するプラス修正法を説明し
たが、本発明のバランス修正方法は、回転体1の外径部
の一部を除去するマイナス修正法にも適用できる。その
マイナス修正法を実行するバランス修正装置22の基本
構成を図26に示す。このバランス修正装置22は、回
転体1のコア外径部の一部を除去するためのカッター2
3(複数配置しても良い)、回転体1のシャフト5を保
持して回転方向の位置決めを行う保持位置決め手段2
4、この保持位置決め手段24を支持して、カッター2
3と回転体1との軸方向相対位置を変化させる機構を具
備するスライダ25、及び装置全体のベース26等から
構成される。
【0068】なお、カッター23と保持位置決め手段2
4は、軸方向に相対移動できる必要があり、カッター2
3と保持位置決め手段24の何れか、または両方に位置
変更手段を具備している。このバランス修正装置22で
は、アンバランスの測定結果を元にバランス修正位置と
量を算出し、その算出された値に従ってカッター23の
位置を変更し、回転体1のコア外径部を一部除去してバ
ランス修正を行うことができる。
【0069】(本発明の効果)本発明のバランス修正方
法によれば、動アンバランスを修正するための修正面と
修正位置と修正量とを演算によって求めているので、修
正面が固定される制約を受けないため、修正効率及び修
正能力を向上できる。また、本発明では、一度の修正工
程でバランス修正を行うので、実施形態2で説明したプ
ラス修正法を行う場合でも、修正ピン6の挿入方法に制
限を受けることがない。即ち、図19〜23に示すよう
な回転体1(アーマチャ)の場合、アーマチャコア7を
軸方向に貫通している修正孔8の右側開口部がコイルC
によって塞がれるので、修正孔8の左側開口部からしか
修正ピン6を挿入することができない。このため、従来
のバランス修正方法では、静バランス修正の後に動バラ
ンス修正を行う場合、静バランス修正のためにアーマチ
ャコア7の軸方向中央部に修正ピン6を挿入すると、同
じ修正孔8を使用して動バランス修正を行うことが困難
となる。これに対し、本発明のバランス修正方法では、
一度の修正で動アンバランスを修正できるので、修正孔
8の何方か一方の開口部が塞がれていても、何ら問題が
生じることはない。
【0070】更に、本発明のバランス修正方法を実行す
るバランス修正装置9、22においては、修正工程が一
度で済むので、修正量を最小限に抑えることができ、修
正コスト(時間、工具、材料)を抑えることができる。
その結果、静アンバランス修正と動アンバランス修正と
を別工程で行う必要がある従来装置と比較して、サイク
ルタイムを短縮でき、且つ設備コストを低減できる。本
発明は、プラス修正法とマイナス修正法とを組み合わせ
たバランス修正にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】バランス修正工程を示すバランス修正機の全体
構成図である(実施形態1)。
【図2】修正量演算部での演算手順を示すフローチャー
トである(実施形態1)。
【図3】残留アンバランスの算出方法を説明する図面で
ある。
【図4】バランス修正工程を示すバランス修正機の全体
構成図である(実施形態2)。
【図5】修正量演算部での演算手順を示すフローチャー
トである(実施形態2)。
【図6】動アンバランスのベクトルを示す回転体の斜視
図である。
【図7】静修正ベクトルと偶修正ベクトルを示す回転体
の斜視図である。
【図8】座標面の選択方法を説明する回転体の軸方向平
面図である。
【図9】各座標面上のベクトル関係を示す回転体の軸方
向平面図である。
【図10】P1平面上のベクトル関係を示す回転体の側
面図である。
【図11】バランス修正を行った状態を示す回転体の軸
方向平面図である。
【図12】バランス修正を行った状態を示す回転体の側
面図である。
【図13】座標面の選択方法を説明する回転体の軸方向
平面図である。
【図14】座標面の選択方法を説明する回転体の軸方向
平面図である。
【図15】実施例に使用した回転体の側面図である。
【図16】バランス修正のテスト結果を示す図面であ
る。
【図17】プラス修正法を行うバランス修正装置の基本
構成を示す模式図である。
【図18】切断装置の構成を示す模式図である。
【図19】修正ピンを孔へ挿入する挿入機構の説明図で
ある。
【図20】修正ピンの変形例を示す回転体の断面図であ
る。
【図21】修正ピンの変形例を示す回転体の断面図であ
る。
【図22】修正ピンの変形例を示す回転体の断面図であ
る。
【図23】修正ピンの変形例を示す回転体の断面図であ
る。
【図24】アーマチャコアの側面図(a)と軸方向正面
図(b)である。
【図25】修正すべき修正量と使用する修正ピンとの関
係を示す図である。
【図26】マイナス修正法を行うバランス修正装置の基
本構成を示す模式図である。
【図27】従来のバランス修正方法を示す図面である。
【符号の説明】
1 回転体 2 アンバランス計測部(計測工程) 3 修正量演算部(修正量演算工程) 3a 修正条件記憶部(修正条件記憶手段) 3b 修正方法演算部(修正方法算出手段) 3c 残留アンバランス演算部(残留アンバランス演算
手段) 3d 修正方法選択部(修正方法選択手段) 4 バランス修正部(バランス修正工程) 5 シャフト 6 修正ピン(バランスウェイト) 7 アーマチャコア 8 修正孔(空間) 9 バランス修正装置(プラス修正法) 11 ピン供給ユニット(供給手段、選択手段) 12 ピン受渡しユニット(運搬手段) 14 切断装置(切断手段) 20 装着治具(装着ガイド) 21 挿入治具(装着ピン) 22 バランス修正装置(マイナス修正法) 23 カッター
フロントページの続き (72)発明者 室▲崎▼ ▲隆▼ 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 (72)発明者 柴山 賢一 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 (72)発明者 市川 秀樹 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 Fターム(参考) 2G021 AB03 AB06 AK01 AK05 AK10 AK11 AM07 AM08 5H615 AA01 BB01 BB14 PP02 PP06 PP24 SS03 SS09 SS10 SS54 SS57 SS59

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シャフトとコアを有する回転体のバランス
    修正方法であって、 前記回転体の2箇所以上における所定の位置で前記回転
    体のアンバランス量を計測する計測工程と、 この計測工程で計測されたアンバランス量に基づいて、
    そのアンバランスを修正するための修正面、及びその修
    正面における修正位置と修正量とを演算する修正量演算
    工程と、 この修正量演算工程で演算された修正面と修正位置と修
    正量に基づいて前記回転体のアンバランスを修正するバ
    ランス修正工程とを有する回転体のバランス修正方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載した回転体のバランス修正
    方法において、 前記修正量演算工程は、 前記バランス修正工程を実施する際に要求される幾つか
    の修正条件を記憶する修正条件記憶手段と、 この修正条件記憶手段に記憶している修正条件を満足で
    きる1つ以上の径方向修正面と修正位置と修正量の組み
    合わせから成る修正方法の全てを求める修正方法算出手
    段と、 この修正方法算出手段によって求められた各修正方法で
    前記回転体のアンバランスを修正した場合の残留アンバ
    ランス量を、前記修正方法算出手段で求められた全ての
    修正方法について演算で求める残留アンバランス演算手
    段と、 この残留アンバランス演算手段で演算された残留アンバ
    ランス量を元に、前記修正方法算出手段で求めた全ての
    修正方法の中から最適な修正方法を選択する修正方法選
    択手段とを有し、 前記バランス修正工程は、前記修正方法選択手段で選択
    される最適な修正方法に基づいて前記回転体のアンバラ
    ンスを修正することを特徴とする回転体のバランス修正
    方法。
  3. 【請求項3】請求項1に記載した回転体のバランス修正
    方法において、 前記修正量演算工程は、 前記計測工程で計測されたアンバランス量を1つの静ア
    ンバランスと1組の偶アンバランスとに変換する第1の
    工程と、 この第1の工程で変換された1つの静アンバランスと1
    組の偶アンバランスから修正すべき1つの静修正ベクト
    ルと1組の偶修正ベクトルとを演算する第2の工程と、 この第2の工程で演算された各修正ベクトルから前記回
    転体の1つ以上の軸方向断面を、アンバランスを修正す
    る修正面として選択し、選択した各修正面に分割した静
    修正ベクトルと偶修正ベクトルとを演算する第3の工程
    と、 各修正面における静修正ベクトルから各修正面でのアン
    バランス修正量を演算し、各修正面における偶修正ベク
    トルから各修正面でのアンバランス修正位置を演算する
    第4の工程とを有し、 前記バランス修正工程は、前記第4の工程で演算された
    修正位置と修正量に基づいて前記回転体のアンバランス
    を修正することを特徴とする回転体のバランス修正方
    法。
  4. 【請求項4】前記コアの一部に予めバランス修正用のバ
    ランスウェイトを装着できる空間を有し、演算によって
    求められたバランス修正面と修正位置と修正量とに基づ
    いて前記空間に前記バランスウェイトを装着することに
    より、前記回転体のアンバランスを修正することを特徴
    とする請求項1〜3に記載した回転体のバランス修正方
    法。
  5. 【請求項5】演算によって求められたバランス修正面と
    修正位置と修正量に基づいて前記コアの外径部を除去す
    ることにより、前記回転体のアンバランスを修正するこ
    とを特徴とする請求項1〜3に記載した回転体のバラン
    ス修正方法。
  6. 【請求項6】前記コアの一部に予めバランス修正用のバ
    ランスウェイトを装着できる空間を有し、 演算によって求められたバランス修正面と修正位置と修
    正量に基づいて、一方の修正面では前記コアの外径部を
    除去し、他方の修正面では前記空間に前記バランスウェ
    イトを装着することにより、前記回転体のアンバランス
    を修正することを特徴とする請求項1〜3に記載した回
    転体のバランス修正方法。
  7. 【請求項7】前記バランスウェイトを装着できる空間と
    して、前記シャフトと平行に延在する均一な断面形状の
    修正孔を複数個有し、これらの修正孔が前記コアの周方
    向に等間隔に設けられ、 前記バランスウェイトとして前記修正孔に挿入可能な棒
    状の修正ピンを用いたことを特徴とする請求項4及び6
    に記載した回転体のバランス修正方法。
  8. 【請求項8】請求項7に記載した回転体のバランス修正
    方法において、 前記シャフトを基準として径方向の対称位置にある一組
    の前記修正孔に対し、1本または修正量が異なる2本の
    前記修正ピンを使用してバランス修正を行う場合であっ
    て、 それぞれ修正量が異なるN本の修正ピンを準備し、この
    N本の修正ピンの中で最小の修正量を有する修正ピンを
    Sで表し、この修正ピンSに対し単位修正量ずつ順に修
    正量が大きくなる時に、それぞれの修正量を有する修正
    ピンを順にS+1、S+2、……、S+n、……で表
    し、 前記N本の修正ピンのうち1本または2本の修正ピンを
    使用して、前記単位修正量毎に連続して修正できる時の
    最大修正量をGで表した場合に、 N=n+d(d:整数)……… S=d×(n+1)…………… G=S+n……………………… 上記〜の関係が成立する時に、実際に準備するN本
    の修正ピンは、 S、S+1、S+2、……、S+nで表される(n+
    1)本の修正ピンと、 S+n+(n+1)、S+n+2×(n+1)、……、
    S+n+(d−1)×(n+1)で表される(d−1)
    本の修正ピンであることを特徴とする回転体のバランス
    修正方法。
  9. 【請求項9】請求項7に記載した回転体のバランス修正
    方法において、 前記シャフトを基準として径方向の対称位置にある一組
    の前記修正孔に対し、1本または修正量が異なる2本の
    前記修正ピンを使用してバランス修正を行う場合であっ
    て、 それぞれ修正量が異なるN本の修正ピンを準備し、この
    N本の修正ピンの中で最小の修正量を有する修正ピンを
    Sで表し、この修正ピンSに対し単位修正量ずつ順に修
    正量が大きくなる時に、それぞれの修正量を有する修正
    ピンを順にS+1、S+2、……、S+n、……で表
    し、 前記N本の修正ピンのうち1本または2本の修正ピンを
    使用して、前記単位修正量毎に連続して修正できる時の
    最大修正量をGで表した場合に、 N=2×n……………………………… S=n×(n+1)…………………… G=S+n=n×(n+1)+n…… 上記〜の関係が成立する時に、実際に準備するN本
    の修正ピンは、 n×(n+1)、n×(n+1)+1、n×(n+1)
    +2、……、n×(n+1)+nで表される(n+1)
    本の修正ピンと、 (n+1)×(n+1)+n、(n+2)×(n+1)
    +n、……、(2×n−1)×(n+1)+nで表され
    る(n−1)本の修正ピンであることを特徴とする回転
    体のバランス修正方法。
  10. 【請求項10】請求項1〜9に記載した回転体のバラン
    ス修正方法を実行するバランス修正装置であって、 所定の計測位置で前記回転体の動アンバランスを計測す
    るアンバランス計測部と、 計測された動アンバランスに基づいて、その動アンバラ
    ンスを修正するための修正面と修正位置と修正量を演算
    する修正量演算部と、 演算されたバランス修正面と修正位置と修正量に基づい
    て前記回転体にバランス修正を行うバランス修正部とを
    備えていることを特徴とする回転体のバランス修正装
    置。
  11. 【請求項11】請求項10に記載した回転体のバランス
    修正装置において、 前記バランス修正部は、前記コアの外径部を除去するた
    めのカッターと、このカッターと前記回転体とを軸方向
    に所定量相対移動可能な位置決め機構とを具備し、前記
    演算されたバランス修正面と修正位置と修正量に基づい
    てバランス修正を行うことを特徴とする回転体のバラン
    ス修正装置。
  12. 【請求項12】請求項10に記載した回転体のバランス
    修正装置において、 前記バランス修正部は、前記修正ピンを仮保持して前記
    コアの所定の空間近傍まで運搬するとともに、装着時の
    位置ずれを防止する機構を有する装着ガイドと、この装
    着ガイドの後方より前記修正ピンを所定位置まで押し出
    す装着ピンとを備え、前記装着ガイドと前記装着ピンと
    の協同により前記修正ピンを前記所定の空間の所定位置
    に装着することを特徴とする回転体のバランス修正装
    置。
  13. 【請求項13】請求項12に記載した回転体のバランス
    修正装置において、 前記バランス修正部は、棒状の修正ピンを所定寸法に切
    断する切断手段と、切断された所定寸法の修正ピンを前
    記装着ガイドへ運搬する運搬手段とを備えていることを
    特徴とする回転体のバランス修正装置。
  14. 【請求項14】請求項12に記載した回転体のバランス
    修正装置において、 前記バランス修正部は、予め数ランクの所定重量の修正
    ピンを複数準備し、供給する供給手段と、前記アンバラ
    ンス計測部で計測されたアンバランス量に応じて、所定
    の修正ピンを選択する選択手段と、選択された所定の修
    正ピンを前記装着ガイドへ運搬する運搬手段とを備えて
    いることを特徴とする回転体のバランス修正装置。
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