JP2000319395A - ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物 - Google Patents

ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物

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JP2000319395A
JP2000319395A JP11125220A JP12522099A JP2000319395A JP 2000319395 A JP2000319395 A JP 2000319395A JP 11125220 A JP11125220 A JP 11125220A JP 12522099 A JP12522099 A JP 12522099A JP 2000319395 A JP2000319395 A JP 2000319395A
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JP
Japan
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pas
polyarylene sulfide
temperature
polymer
resin composition
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JP11125220A
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English (en)
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Haruo Shiguma
治雄 志熊
Masaya Okamoto
正哉 岡本
Toru Bando
徹 板東
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Idemitsu Kosan Co Ltd
Idemitsu Petrochemical Co Ltd
Japan Petroleum Energy Center JPEC
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Petroleum Energy Center PEC
Idemitsu Kosan Co Ltd
Idemitsu Petrochemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】機械的強度、特に、衝撃強度、曲げ強度に優
れ、しかも、流動性も良好なポリアリーレンスルフィド
樹脂組成物を提供する。 【解決手段】示差走査熱量計による結晶化曲線をにおい
て特別のパタ−ンを示すポリアリーレンスルフィド、及
びそのようなポリアリーレンスルフィドと無機充填剤と
からなる樹脂組成物である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なポリアリー
レンスルフィド(以下「PAS」と略称する)及びそれ
を用いた樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、示差走
査熱量計による特定の結晶化曲線のパタ−ンを示すPA
S,及びそのようなPASとガラス繊維等の無機充填剤
との樹脂組成物であって、流動性を低下させることな
く、衝撃強度等の機械的強度が改良されたPAS樹脂組
成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリフェニレンスルフィドに代表される
PASは、優れた耐熱性、難燃性、剛性、耐溶剤性、電
気絶縁性を活かし、自動車、電気・電子関連の部品等に
使用されてきた。しかし、自動車エンジン廻りなど、よ
り過酷な環境下で使用される部品に用いるには、PAS
をガラス繊維等で複合化した従来タイプの樹脂組成物で
も、なお機械的強度が不充分である。
【0003】この場合、通常採りうる手段であるPAS
の分子量を増大させる方法により、機械的強度の増強を
図っても、流動性が低下し、成形性が悪くなる。従っ
て、流動性を低下させることなく、機械的強度を増強さ
せる技術の開発が要望されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、流動性を低
下させることなく機械的強度、特に、衝撃強度、曲げ強
度等が優れたPAS、及びそのようなPASと無機充填
剤から成る樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、示差走査熱量
計による結晶化曲線において特別のパタ−ンを示すPA
Sが上記目的に特に有効であることを見いだし、この知
見に基づいて完成されたものである。即ち、本発明は、
以下を要旨とするものである。
【0006】〔1〕示差走査熱量計による結晶化曲線の
測定において、320℃の温度で5分間保持後、10℃
/分の降温条件下で得られる結晶化曲線のピ−クの半値
幅が12℃以上であるポリアリーレンスルフィド。 〔2〕半値幅が15℃以上である上記〔1〕に記載のポ
リアリーレンスルフィド。
【0007】〔3〕(1)固有粘度ηinh (dl/l) が
0.1〜0.5、かつ、(2)ゲルパーミエーションク
ロマトグラフィにより求めた分子量分布が5.0以下で
ある上記〔1〕又は〔2〕に記載のポリアリーレンスル
フィド。 〔4〕(A)上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のポ
リアリーレンスルフィドと(B)無機充填剤から成るポ
リアリーレンスルフィド樹脂組成物。
【0008】〔5〕無機充填剤が、ガラス繊維、炭素繊
維、チタン酸カルシウムウイスカ、マイカ、シリカ及び
炭酸カルシウムから選ばれた1種又は2種以上である上
記〔4〕に記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成
物。 〔6〕(A)ポリアリーレンスルフィドが30〜80重
量%、(B)無機充填剤が70〜20重量%の割合で配
合された上記〔4〕又は〔5〕に記載のポリアリーレン
スルフィド樹脂組成物。
【0009】〔7〕上記〔4〕〜〔6〕のいずれかに記
載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を射出成形し
てなる自動車部品又は電気・電子部品。
【0010】
【発明の実施の形態】〔PAS〕本発明の新規なPAS
は、示差走査熱量計による結晶化曲線の測定において、
320℃の温度で5分間保持後、10℃/分の降温条件
下で得られる結晶化曲線のピ−クの半値幅が12℃以
上,好ましくは15℃以上、特に好ましくは20℃以上
となることを特徴とするPASである。
【0011】この半値幅が12℃未満のPASは同程度
の分岐度指数(g値)を有する半値幅12℃以上のPA
Sに比較して械的強度が劣り,脆い欠点がある。すなわ
ち、PASの機械的強度は、もともと分岐度指数に依存
し、分岐度指数が大きいPAS程機械的強度が優れる
が、半値幅が12℃以上のPASは、同じ分岐度指数で
半値幅が12℃未満のPASと比較すると衝撃強度等の
機械的強度が優れ、しかも、流動性が良好になる。半値
幅が15℃以上、特に20℃以上になれば、この効果は
一層著しくなる。
【0012】なお、分岐度指数(g値)は、PASの直
鎖の度合を表す指数であり、1.0が直鎖型PASを表
し、分岐度合が増すとともに1.0より小さくなること
を意味している。
【0013】〔結晶化曲線の測定方法〕本発明における
結晶化曲線の測定方法は以下のとおりである。まず、加
熱溶融後、加圧成形した厚さ100μmのフイルム状試
料を準備する。次いで、示差走査熱量計を用いて、32
0℃の温度で5分間保持する。その後、10℃/分で降
温させ、結晶化曲線、即ち発熱曲線を測定し記録する。
得られた結晶化曲線のピ−ク(発熱ピ−ク)の半値幅を
通常の方法で計算する。なお、ピ−クが複数ある場合
は、それらのピ−クの半値幅の合計を半値幅とする。複
数のピ−クが重なって現れるときも同様に、それらのピ
−クの半値幅の合計とする。
【0014】なお、半値幅とは、発熱ピークの最大値の
半分のところのピーク幅をいう。ここで、100μmの
フイルム状試料は、通常の示差走査熱量計の試料調整方
法によればよく、具体的には、例えば、パウダ−状ポリ
マ−を一定量採取し、アルミニウム板とポリイミドフイ
ルムに挟み、320℃の温度で約3分加熱溶融後、プレ
スを用いて加圧し100μmのフイルム状にすればよ
い。
【0015】本発明のPASは、以上の要件を満たすも
のであればよいが、これに加えて、固有粘度ηinh (dl
/g) が0.1〜0.5、さらには、0.2〜0.4、ゲ
ルパーミエーションクロマトグラフィー(以下「GP
C」と略称する)により求めた分子量分布が5.0以
下、さらには、4.0以下、特に3.5以下であるもの
が好ましい。固有粘度ηinh が0.1未満では破壊じん
性が低くなり、0.5を超えると流動性が低下し、同時
に成形加工性が悪化する可能性がある。また、GPCに
より求めた分子量分布が5.0を超えると破壊じん性の
低下が著しい。ここで、GPCにより求めた分子量分布
とは、GPCにより求めた重量平均分子量(以下「M
w」と略称する)と数平均分子量(以下「Mn」と略称
する)の比(Mw/Mn)をいう。このMwは、1〜2
0万、さらには2〜15万,特に、2〜10万であり、
Mnは0.5〜5万、さらには1〜3万のものが好まし
く、係るものであれば、目的の破壊じん性を確保でき
る。
【0016】本発明のPASは、構造式〔−Ar−S
−〕(ただし、Arはアリーレン基、Sはイオウであ
る)で示される繰り返し単位を70モル%以上含有する
重合体であり、その代表的例は、下記化学式(I)
【0017】
【化1】
【0018】(式中、Rは炭素数6以下のアルキル基、
アルコキシ基、フェニル基、カルボキシル基もしくはそ
の金属塩、ニトロ基、及びフッ素、塩素、臭素等のハロ
ゲン原子から選ばれる置換基であり、mは0〜4の整数
である。)で示される繰り返し単位を70モル%以上有
するポリアリーレンスルフィドである。
【0019】当該繰り返し単位が70モル%未満だと結
晶性ポリマーとしての特徴である本来の結晶成分が少な
く、機械的強度が不充分となる場合がある。さらに、単
独重合体のほか共重合体でもよい。その共重合構成単位
として、メタフェニレンスルフィド単位、オルソフェニ
レンスルフィド単位、p−p’−ジフェニレンケトンス
ルフィド単位、p−p’−ジフェニレンスルホンスルフ
ィド、p−p’−ビフェニレンスルフィド単位、p−
p’−ジフェニレンメチレンスルフィド単位、p−p’
−ジフェニレンクメニルスルフィド単位、ナフチルスル
フィド単位などが挙げられる。
【0020】また、本発明のPASは、実質的に線状構
造を有するポリマーの他に、モノマーの一部分として3
個以上の官能基を有するモノマーを少量使用して重合し
た分岐構造、あるいは架橋構造を有するポリマーであっ
てもよい。また、これを前記の実質的に線状構造を有す
るポリマーにブレンドして用いてもよい。
【0021】〔PASの製造方法〕本発明のPASは以
下の方法によって製造することができる。即ち、重合工
程において原料の硫黄源と水酸化リチウム等のアルカリ
金属水酸化物を一定の比率で投入することにより重合を
行うことが特徴である。具体的方法を以下に示す。 (I)第一の方法 非プロトン性有機溶媒中に水酸化リチウム及び非水酸化
リチウムの固体状物が含有された混合物中に、硫黄化合
物及びジハロゲン化芳香族化合物を投入するPASの製
造法において、(a)非プロトン性有機溶媒中に水酸化
リチウム及び非水酸化リチウムの固体状物が含有された
混合物中に、液状または気体状の硫黄化合物を投入し、
水酸化リチウムと硫黄化合物を直接反応させる工程、
(b)非水酸化リチウムの固体状物を分離する工程、
(c)反応液中の硫黄含有量を調整する工程、(d)水
酸化リチウムが反応液中の硫化リチウムの21〜100
モル%の割合で存在するように調整する工程、(e)反
応液中にジハロゲン化芳香族化合物を投入し、重縮合さ
せる工程、および(f)副生した塩化リチウムを含むP
AS生成反応液にアルカリ金属水酸化物またはアルカリ
土類金属水酸化物を投入して、リチウムイオンと水酸イ
オンとを反応させ、その反応物である水酸化リチウムと
してリチウムイオンを回収する工程を含むことを特徴と
するPASの製造法である。
【0022】以下、各工程ごとに順を追って説明する。 (1)硫黄化合物を吹き込む工程(上記(a)工程) 本発明において、非プロトン性有機溶媒、例えばN−メ
チル−2−ピロリドン(以下、NMPと略称する)中に
水酸化リチウム及び非水酸化リチウム(例えば塩化ナト
リウム)の固体状物が含有された混合物中に、液状又は
気体状の硫黄化合物、例えば硫化水素ガスを吹き込み、
水酸化リチウムと硫黄化合物とを直接反応させる。この
反応によって、水酸化リチウムをNMPに可溶なチオリ
チウム(LiSH) に変性し、NMPに不要な非水酸化リチ
ウム(例えば塩化ナトリウム)の固体状物を分離可能と
なる。この反応時の系内温度を150℃未満に保つ必要
があり、150℃を超えるとNMPに可溶なチオリチウ
ム(LiSH) が更に、NMPに不要な硫化リチウム(Li
2S)に変性して前記したNMPに不要な非水酸化リチウ
ム(例えば塩化ナトリウム)の固体状物を分離不能とな
るからである。
【0023】硫黄化合物の投入量は、硫黄原子として水
酸化リチウムの0.5〜2倍モルの範囲から選択され
る。0.5倍モルより少なければ水酸化リチウムが一部
残存してしまい、2倍モルを超えれば反応は既に飽和に
達していることから毒性の強い硫黄化合物の過剰な投入
となり好ましくない。硫黄化合物としては、硫化水素ガ
スが好適であり、この硫化水素ガスを吹き込むに際し、
常圧でも加圧してもよい。吹き込み時間としては通常、
10〜180分程度である。また、吹き込み速度も通
常、10〜1000cc/分程度である。更に、吹き込
み方法は、例えばNMP中に水酸化リチウム及び非水酸
化リチウム(例えば塩化ナトリウム)の固体状物が含有
された混合物を攪拌しながらその中へバブリングする一
般的方法を用いることができる。
【0024】なお、非プロトン性有機溶媒としては、一
般に、非プロトン性の極性有機化合物(例えばアミド化
合物、ラクタム化合物、尿素化合物、有機硫黄化合物、
環式有機リン化合物等)であって、これらの単独溶媒あ
るいは混合溶媒として使用することができる。具体的化
合物名として、アミド化合物としては、N,N−ジメチ
ルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,
N−ジメチルアセトアミドなど挙げることができる。
【0025】ラクタン化合物としては、カプロラクタ
ム、N−メチルカプロラクタン、N−エチルカプロラク
タン等のN−アルキルカプロラクタム類、N−メチル−
2−ピロリドン(NMP)、N−エチル−2−ピロリド
ン、N−イソプロピル−2−ピロリドン等を挙げること
ができる。尿素化合物としては、テトラメチル尿素、
N,N’−ジメチルエチレン尿素等を挙げることができ
る。
【0026】有機硫黄化合物としては、ジメチルスルホ
キシド、ジエチルスルホキシド、ジフェニルスルホン、
1−メチル−1−オキソスルホラン等を挙げることがで
きる。環式有機リン化合物としては、1−メチル−1−
オキソホスホラン、1−ノルマルプロピル−1−オキソ
ホスホラン、1−フェニル−1−オキソホスホラン等を
挙げることができる。
【0027】前記非プロトン性有機溶媒の中でも、好ま
しくはN−アルキルカプロラクタム及びN−アルキルピ
ロリドンであり、より好ましくはN−メチル−2−ピロ
リドンである。また、本発明に用いる非水酸化リチウム
の固体状物とは、水酸化リチウム以外の固体状物をい
い、例えば塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マウ
グネシウム、塩化バリウム等アルカリ金属塩化物やアル
カリ土類金属塩化物等である。
【0028】前記工程で分離可能な非水酸化リチウムの
固体状物は、これら塩化ナトリウム等アルカリ金属塩化
物やアルカリ土類金属塩化物等である。 (2)非水酸化リチウムの固体状物の分離((b)工
程) 前記工程で硫黄化合物を投入することにより、NMPに
不要な水酸化リチウムがNMPに可溶なチオリチウム
(LiSH) に変性することにより、NMPに不要な非水酸
化リチウム(例えば塩化ナトリウム)の固体状物を分離
可能となる。この分離には、ガラス製フィルターG4を
用いた濾過や遠心分離等の公知の方法を用いることがで
きる。なお、分離の際、系内の温度は通常、20〜15
0℃である。
【0029】(3)硫黄含有量の調整((c)工程) この工程では、前記非水酸化リチウム(例えば塩化ナト
リウム)の固体状物を分離した後の反応液から脱硫化水
素操作により過剰硫黄分を排除し、併せて前記硫化水素
の吹き込みにより副生した水を排除する。すなわち、次
の重合工程でジクロロ芳香族化合物と反応を行わせるた
め、系内の硫黄/リチウム原子比を1/2以下にするこ
とが好ましく、1/2に調整することがさらに好まし
い。1/2より大きい場合、反応が進行しにくい。ま
た、重合工程で水の存在は、前段のオリゴマー生成の段
階では若干量の存在が却って反応を促進する面があり、
後段の高分子化の段階では相分離剤として有効に機能す
るが、前段及び後段ともに過剰な存在は却ってオリゴマ
ーがNMP中から水(NMP中の)によって排除され
て、反応を抑制されるという面がある。従って、水は、
水酸化リチウムに対して好ましくは10〜200%であ
る。
【0030】なお、硫黄含有量および水の調整方法とし
ては、系内の反応液に加温して窒素バブリング等を施し
除去する方法が有効である。通常、反応液を160〜2
00℃に加温することにより、NMPに可溶なチオリチ
ウム(LiSH) はNMPに不溶な硫化リチウム(Li2S) に
変性し、硫化水素が発生するからである。
【0031】(4)水酸化リチウムを添加調整する工程
((d)工程) この工程では、前記反応液中に生成される硫化リチウム
(Li2S) に対して水酸化リチウムを21〜100モル%
の割合で存在するように調整する。従って、水酸化リチ
ウムは、重縮合に必要な原料ジクロロ芳香族化合物及び
必要な直接の硫黄源である硫化リチウム(Li2S) に加
え、その硫化リチウム(Li2S) に対して21〜100モ
ル%、好ましくは24〜88モル%、より好ましくは2
6〜60モル%の割合で存在することが必要である。2
1モル%より少なければ、得られたPASの結晶化曲線
の半値幅を1.2以上にすることは困難であり、流動性
と機械的強度を改良することはできず、100モル%を
超えてても更なる向上は見られない。
【0032】(5)重縮合、後処理((e)工程) この工程では、予め調整された硫化リチウム、水酸化リ
チウムを含む反応液にジクロロ芳香族化合物を投入し、
重縮合し、得られたポリマーを分離、洗浄してPASを
得る。本発明に用いるジクロロ芳香族化合物としては、
p−ジクロロベンゼン、p−ジブロモベンゼン、2,5
−ジクロロトルエン、2,5−ジブロモトルエン、2,
5−ジクロロ−tert−ブチルベンゼン、2,5−ジ
ブロモ−tert−ブチルベンゼン、2,5−ジクロロ
ビフェニル等があり、中でもp−ジクロロベンゼン、p
−ジブロモベンゼンが50モル%以上含むものを好適に
用いることができる。
【0033】また、本発明の効果を損なわない範囲で、
コモノマ−や分岐剤を共重合してもよい。コモノマーと
しては、2,3−ジクロロフェノール、2,3−ジブロ
モフェノール、2,4−ジクロロフェノール、2,4−
ジブロモフェノール、2,5−ジクロロフェノール、
2,5−ジブロモフェノール、2,4−ジクロロアニリ
ン、2,4−ジブロモアニリン、2,5−ジクロロアニ
リン、2,5−ジブロモアニリン、3,3’−ジクロロ
−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジブロモ
−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ
−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジブ
ロモ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ジ(3−ク
ロロ−4アミノ)フェニルメタン、m−ジクロロベンゼ
ン、m−ジブロモベンゼン、o−ジクロロベンゼン、o
−ジブロモベンゼン、4,4’−ジクロロジフェニルエ
−テル、4,4’−ジクロロジフェニルルホン等が挙げ
られる。また、分岐剤としては、1,2,4−トリクロ
ロベンゼン、1,3,5−トリクロベンゼン、1,2,
3−トリクロロベンゼン等が挙げられる。
【0034】これらのコモノマ−や分岐剤は、単独でも
二種以上組み合わせてもよい。反応容器としては、例え
ば1リットルのステンレス製オートクレーブ(攪拌翼と
して、パドル翼を備え、回転数300〜700rpm)
を挙げることができる。重合温度としては、220〜2
60℃が好ましく、重合時間としては1〜6時間が好ま
しい。ジクロロ芳香族化合物の投入量としては、ジクロ
ロ芳香族化合物/系内に存在する硫黄=0.9〜1.2
(モル比)が好ましく、より好ましくは0.95〜1.
05(モル比)が好ましい。モル比が0.9より小さけ
れば分子量が伸びないし、1.2より大きければ、やは
り分子量が伸びない。
【0035】重合反応は、一段でもよく、また、前段で
予備重合し、後段で高分子量化を図る二段重合、あるい
は多段階に反応を進める多段重合でもよい。中でも、各
種グレードの生産に好都合な二段重合がよい。なお、重
合温度、時間その他重合条件は、前段では比較的低温で
190〜240℃で、重合時間2〜10時間程度で、後
段は比較的高温で240〜270℃で、重合時間1〜3
時間程度である。また、前記した水の取扱い等前段と後
段で使い分ける場合もある。
【0036】後処理としては、通常、用いられる方法で
行えばよい。例えば、冷却後沈殿物を遠心分離や濾過等
により分離し、得られたポリマーを加温または室温下有
機溶剤、水等で洗浄を繰り返し、精製することができ
る。この場合、ポリマ−に残存するリチウムの量が10
0ppm未満になるまで洗浄すれば、目的のポリマ−を
効率的に製造することができる。なお、かかる洗浄はポ
リマーが固体状のままでもよく、あるいは液体状にして
溶融洗浄を行ってもよい。
【0037】(6)リチウムイオンを回収する工程
((f)工程) この工程では、前記重縮合工程で副生した塩化リチウム
(NMPに溶解)を含むPAS生成反応液(ポリマーを
除去した後)にアルカリ金属水酸化物またはアルカリ土
類金属水酸化物を投入して、リチウムイオンを水酸イオ
ンと反応させて得た水酸化リチウムとして回収する。
【0038】ここで用いるアルカリ金属水酸化物または
アルカリ土類金属水酸化物としては、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム等である。中
でも水酸化ナトリウムが好ましい。その投入量は、リチ
ウムイオン1モルに対して水酸基が0.9〜1.1モ
ル、好ましくは0.95〜1.05モルになるようにす
る。0.9モルより少なければリチウムの回収ロスにな
り、1.1モルを超えれば続く操作との関連で生成する
PASの純度低下を招くことがある。なお、この場合の
反応温度は、特に制限がないがアルカリ金属水酸化物ま
たはアルカリ土類金属水酸化物を水溶液状で投入する場
合は、室温〜230℃、好ましくは65〜150℃であ
り、固体状で投入する場合には60〜230℃、好まし
くは90〜150℃である。反応温度が低い場合は溶解
温度が低く、反応速度が著しく遅くなる。反応温度が高
い場合はNMPの沸点以上になり、加圧下で行わなけれ
ばならずプロセス的に不利になる。また、反応時間は特
に制限はない。
【0039】(II)第二の方法 非プロトン性有機溶媒の存在下でジハロ芳香族化合物に
硫化リチウムおよび水酸化リチウムを投入して一段又は
多段重縮合反応させるPASの製造法であって、水酸化
リチウムの投入量を硫化リチウム投入量に対して21〜
100モル%の割合とすることを特徴とするPASの製
法である。
【0040】第二の方法は、前記した第一の方法おい
て、硫黄源として硫化水素に代えて硫化リチウムを投入
するものであって、いわゆるリチウムサイクルは系外で
行うことしている。その他の原料および反応条件は、第
一の方法と同様である。すなわち、NMPほかの非プロ
トン性有機溶媒の存在下で、ジハロ芳香族化合物に硫化
リチウムをジクロロ芳香族化合物/硫化リチウムを0.
9〜1.2(モル比)の割合で投入し、その硫化リチウ
ムに見合う水酸化リチウムを21〜100モル%の割合
で投入する。反応は二段法が好ましく、前段で原料ほか
の一部を投入して予備重合し、後段で残りの原料ほか水
を水/硫化リチウムを0.1〜2.5(モル比)で投入
して高分子量化する。反応条件は、重合温度として前段
190〜240℃で、後段240〜270℃で、重合時
間として前段2〜10時間で、後段1〜3時間である。
【0041】後段では、重縮合反応の進行につれて塩化
リチウムが生成され、NMP中に溶解していくが水の存
在下(水はNMPに溶解している)で、塩化リチウム濃
度が高まっていくとポリマー反応液相に相分離が生じ
て、塩化リチウム−NMP相/ポリマ−−NMP液相が
生成し、ポリマーの高分子化が一層進むことになる。反
応終了後、得られたポリマーを通常、用いられる方法で
後処理すればよい。例えば、冷却後沈殿物を遠心分離や
濾過等により分離し、得られたポリマーを加温または室
温下で有機溶剤や水等で、ポリマ−中に残存するリチウ
ムの量が100ppm以下になるまで洗浄を繰り返し、
精製することができる。
【0042】〔PAS樹脂組成物〕本発明のPAS樹脂
組成物は、(A)上述のPASと(B)無機充填剤から
なり、(A)のPASを好ましくは30〜80重量%、
より好ましくは50〜70重量%、特に好ましくは55
〜65重量%、(B)無機充填剤を好ましくは70〜2
0重量%、より好ましくは30〜50重量%、特に好ま
しくは45〜35重量%配合したものである。
【0043】無機充填剤が70重量%を超えると流動性
が低下する場合があり、20重量%より少なくなると寸
法安定性が悪くなる可能性がある。なお、この場合、樹
脂組成物中にカップリング剤を存在させることが好まし
く、カップリング剤は、無機充填剤に予めカップリング
処理していれば、その処理程度に応じて添加量を調整す
ればよく、それが充分であれば追加的には必要ではない
し、全く未処理であれば、PAS樹脂100重量部に対
して0.1〜3.0重量部を添加すればよい。その際、
カップリング剤の添加量が3.0重量部より多くても増
量効果が期待できないし、0.1重量部より少なければ
機械的強度が低下する場合がある。
【0044】本発明に用いる無機充填剤としては、ガラ
ス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、チタン酸カリウムウ
イスカ、炭化ケイ素ウイスカ、マイカセラミック繊維、
ウオストナイト、マイカ、タルク、シリカ、アルミナ、
カオリン、クレー、シリカアルミナ、カーボンブラッ
ク、炭酸カルシウム、酸化チタン、炭酸リチウム、二硫
化モリブデン、黒鉛、酸化鉄、ガラスビーズ、燐酸カル
シウム、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、燐酸マグ
ネシウム、窒化ケイ素、ハイドロタルサイト等を挙げる
ことができる。これらの無機充填剤を一種又は二種以上
組み合わせて使用することができる。また、これらの中
にあっては、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム
ウイスカ、マイカ、シリカ、及び炭酸カルシウムが性
能、及び経済性の点で好ましく、特にガラス繊維がよ
い。
【0045】本発明に用いるガラス繊維としては、特に
制限はなく、アルカリガラス、低アルカリガラス、無ア
ルカリガラスのいずれでもよく、また、繊維長は好まし
くは0.1〜8mm、より好ましくは0.3〜6mmで
あって、繊維径は好ましくは0.1〜30μm、より好
ましくは0.5〜25μmである。繊維長が0.1mm
より小さければ補強効果が低いし、8mmより大きけれ
ば、流動性が低下する。また、繊維径は0.1μmより
小さければ流動性が低下するし、30μmより大きけれ
ば強度が低下する。更に、ガラス繊維の形態としては、
特に制限はなく、例えばロービング、ミルドファイバ
ー、チョップトストランドなどの各種のものが挙げられ
る。これらのガラス繊維は単独でも二種以上を組み合わ
せて用いることもできる。
【0046】また、ガラス繊維には、樹脂との親和性を
高めるために、アミノシラン系、エポキシシラン系、ビ
ニルシラン系、メタクリルシラン系等のシラン系カップ
リング剤やテトラメチル・オルソチタネート、テトラエ
チル・オルソチタネートほかチタネート系カップリング
剤、クロム錯化合物、ホウ素化合物で表面処理されたも
のであってもよい。
【0047】前記したように、これらのカップリング剤
をガラス繊維に表面処理する代わり、別個に添加して用
いてもよい。なお、本発明の樹脂組成物には、本発明の
効果を損なわない範囲で耐候剤、紫外線吸収剤、酸化防
止剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤等添加剤を添加してよ
い。前記したようにPAS、無機充填剤を所定の配合比
で配合し、リボンタンブラー、ヘンシェルミキサー、バ
ンバリミキサー、ドラムタンブラー、単軸スクリュー押
出機等により混練することができる。混練温度は、通常
280〜320℃が適当である。 〔用途〕前記したPAS樹脂組成物は、流動性を損なわ
ず機械的強度に優れ、薄肉で複雑な形状を有し、高温で
高強度の材料性能が要求される自動車部品、特にエンジ
ンまわり、ラジエータ部品、キャップ、ホースクリッ
プ、配線用コネクターの他、電気・電子部品に好適に用
いることができる。
【0048】
【実施例】本発明について、更に、実施例を用いて詳細
に説明する。なお、実施例で用いた試験方法は、以下の
とおりである。
【0049】〔示差走査熱量計による結晶化曲線の半値
幅測定〕 (1)測定試料の作製 パウダ−状試料を0.5g採取し、アルミニウム板とポ
リイミドフイルムに挟み、320℃の温度で3分間加熱
・溶融後、卓上テストプレス(進藤金属工業製)を用い
て加圧し,100μmのプレスフイルム得た。 (2)示差走査熱量計による結晶化曲線の測定 (1)のプレスフイルムから3.5mgを採取し、パ−
キンエルマ−社製示差走査熱量計(DSC−7型)を用
いて以下のようにして結晶化曲線を測定した。
【0050】まず、試料を昇温速度10℃/分で室温か
ら320℃まで昇温する。次いで,320℃で5分間保
持後、10℃/分の速度で降温させる。この降温過程の
結晶化曲線(即ち、発熱曲線)を記録する。この曲線の
ピ−ク(発熱ピ−ク)の半値幅を通常の方法で測定し
た。ピ−クが2以上認められた場合は、それらのピ−ク
の半値幅の合計とした。
【0051】〔固有粘度〕サンプル0.04g±0.0
01gをα−クロロナフタレン10cc中に235℃、
15分間内で溶解させ、206℃の恒温槽内で得られる
粘度とポリマーを溶解させていないα−クロロナフタレ
ンの粘度との相対粘度を測定した。
【0052】固有粘度ηihr は、次式で示される値を用
いた。 ηihr =ln( 相対粘度) / ポリマー濃度 [dl/g]
【0053】〔GPC(ゲルパ−ミエ−ションクロマト
グラフイー )による分子量分布〕ポリマ−サンプル9.
3mgをα−クロロナフタレン溶媒(4cc)で、予め
240℃で溶解させる。次いで、濾過し、放冷してスラ
リ−状にする。この試料を超高温GPC装置(カラムオ
−プン:センシュ−科学社製)を用いて、α−クロロナ
フタレン溶媒(液クロ用:和光純薬製)のカラム温度2
10℃,試料濃度0.23%,溶媒流速1ml/min
で測定した。その他の測定条件は以下の通りである。
【0054】 GPCカラム : TSK−GEL GMHHR−M(S) 東ソ−製 30cm × 2本 UV検出波長 : 360nm 注入量 : 250μl 得られた溶出曲線から、MwとMnを蛍光PS換算によ
り補正して求めた。このMwとMnの比(Mw/Mn)
を分子量分布とした。
【0055】〔分岐度指数(g値)の測定〕GPC測定
系の前に粘度計を設置し,直鎖型PASの固有粘度ηih
r を求め、これとGPCで測定た重量平均分子量(M
w)との関係式を求める。同様に分岐型PASについて
も 固有粘度ηihr と重量平均分子量(Mw)との関係
式を求める。分岐型PASと直鎖型PASの関係式はズ
レを生じるが、同一のMwにおける分岐型PASの固有
粘度[η]b と直鎖型PASの固有粘度[η]l を求め
て、下記の式から分岐度指数(g値)を算出する。 g値 = [η]b / [η]l
【0056】〔零剪断粘度(η0 )〕パウダ−状ポリマ
−を卓上テストプレス(進藤金属工業(株)製)で、厚
さ1m/mのシ−トを作製した。このシ−トについて、
レオメトリックス社製のRMS800を用い、窒素雰囲
気、温度320℃下での溶融粘度(η)の周波数依存性
を測定した。周波数は0.1〜100rad/secの
範囲である。
【0057】溶融粘度(η)の周波数依存性曲線から、
ポリマ−(ニ−トポリマ−)の零剪断粘度(η0 )を以
下に示すFerryの式から算出した。 1/η(ω)= 1/η0 +Bσ(ω) ここで、Bは定数、σは剪断応力、ωは周波数である。 〔ポリマ−中の残存リチウム量の測定〕ポリマ−を白金
皿に採取して550℃で灰化後、酸で分解し、プラズマ
発光装置(セイコ−インスツルメンツ(株)SPS−1
500VR型)で定量した。 〔ポリマ−中の残存塩素量の測定〕三菱化学(株)製T
SK−10型を用いて電量滴定した。
【0058】〔破壊じん性評価用試験片の作製方法〕 (1)ペレット化 パウダ−状ポリマ−(ニ−トポリマ−)を20mmφ単
軸押出機(田辺プラスチック社製)を用い、温度300
〜320℃,回転数80rpmで溶融混練して、ペレッ
ト化した。
【0059】(2)射出成形 ペレット化した試料を、インラインスクリュ−式 射
出成形機(日本製鋼社(株)製:J750EP)を用い
て射出成形し、長さ127mm、幅12.7mm、厚み
3.2mmである短冊型の試験片を作製した。成形条件
はシリンダ−温度320℃,金型温度135℃である。 〔破壊じん性評価方法〕オ−トグラフ(島津製作所
(株)製IS5000型:スパン間隔40mm,クロス
ヘッド速度1mm/min)を用いて、3点曲げ試験に
より破壊じん性を測定した。評価に用いた試験片は、射
出成形した長さ127mm、幅12.7mm,厚み3.
2mmの短冊型の試験片を中心部を真ん中にして切削加
工し、60mm×12.7mm×3.2mmとし、その
中心部を、「プラスチックの破壊靭性」(成澤邦夫著、
シグマ出版(株)出版、1993年)59ペ−ジ記載の
方法でUノッチ加工し、更にUノッチの先端に剃刀刃で
0.1mmの予き裂を入れたものを試験片とした。
【0060】3点曲げ試験により破壊時の荷重を求め、
破壊後の試験片のノッチの深さを顕微鏡で読み取り、式
(3)から破壊じん性値(K1c)を算出した。 K1c = PS/BW3/2 f(a/W) ここで,Pは荷重Max(N),Sはスパン間隔(m
m),Bは試料の厚さ(mm),Wは試料の高さ(m
m),aは切欠き+予き裂(mm) f(a/W)は、「Frcture Mechanic
s」(T.L.Anderson著、CRC Pres
s発行)Capter2,63ペ−ジ記載のSingl
e Edge Notched Bend法に準拠して
求めた。
【0061】〔無機充填剤との複合材料試験片の作製と
アイゾット衝撃強度、曲げ強度、スパイラルフロ−の測
定方法〕 (1)複合材料試験片の作製 パウダ−状ポリマ−60重量部、ガラス繊維(旭フアイ
バ−ガラス(株)製:FT591)40重量部をドライ
ブレンドした後、20mmφ単軸押出機を用い、温度3
20℃,回転数80rpmで溶融混練しペレット化し
た。
【0062】次いで、このペレットをインラインスクリ
ュ−式射出成形により、ASTM−D790に準拠した
短冊型の試験片を作製した。成形条件は、射出圧力10
00Kgf/cm2(設定49%)、樹脂温度が320
℃、金型温度135℃である。 (2)アイゾット衝撃強度測定方法 ノッチなしのアイゾット衝撃強度をASTM−D256
に準拠して測定した。単位はKJ/m2である。
【0063】(3)曲げ強度測定方法 ASTM−D790に準拠して測定した。単位はMPa
である。 (4)スパイラルフロ−長さ(SFL)測定方法 東芝機械(株)社製の30トン射出成形機(IS30E
PN)を用い、金型厚み1mmのスパイラルフロ−金型
により評価した。成形条件は、射出圧力1000Kgf
/cm2(設定49%),樹脂温度320℃,金型温度
135℃,射出時間10秒で、流動末端までの長さ(m
m)を測定した。
【0064】〔実施例1〕容積10リットルのオートク
レーブに硫化リチウム10モル(459.5g)、p−
ジクロロベンゼン10モル(1470g)、水酸化リチ
ウム3.0モル(71.85g),水(H2 O)7モル
(126.1g)及びNMP(N−メチル−2ピロリド
ン)4.3リットルを入れ、窒素雰囲気下、200℃で
5時間反応させた後、260℃に昇温し3時間反応させ
直鎖型ポリマ−を合成した。次いで、これを80℃に冷
却し、液相を分離し、沈殿したポリマーを得た。得られ
たポリマーを冷水で3回洗った。
【0065】ポリマーを再び容積10リットルのオート
クレーブに入れ、NMP5リットル及び酢酸30ccを
加え、150℃で1時間洗浄した。冷却後、固体のポリ
マーを冷水で、水の電気伝導度が20μS/cm以下に
なるまで洗浄した。洗浄後,120℃の気流乾燥機で2
4時間乾燥させ、更に24時間120℃で真空乾燥させ
た。ポリマ−中に残存するリチウム量は70ppm,残
存する塩素量700ppmであった。得られたポリマー
の結晶化曲線を測定すると、ピ−ク温度が251.7℃
の主ピ−クとピ−ク温度が240.0℃のピ−クが認め
られた。これらピ−クの半値幅の和は25℃であった。
また、固有粘度ηihr は0.23であった。
【0066】次に、得られたポリマーとガラス繊維とか
らなる複合材料試験片を上述の方法で作成し、アイゾッ
ト衝撃強度、曲げ強度及びスパイラルフロー長さ(SF
L)を測定した。ポリマ−及び複合材料の測定結果を表
1に示す。
【0067】〔実施例2〕容積10リットルのオートク
レーブに硫化リチウム10モル(459.5g)、p−
ジクロロベンゼン10モル(1470g)、水酸化リチ
ウム1.3モル(31.14g),水(H2 O)12モ
ル(216.2g)及びNMP(N−メチル−2ピロリ
ドン)4.3リットルを入れ、窒素雰囲気下、220℃
で3時間反応させ,1.2.4−トリクロロベンゼン
(TCB)0.1モル(18.15g)を添加した。更
に、220℃で0.5時間反応させた後、、260℃に
昇温し1時間反応させ分岐型ポリマ−を合成した。これ
を80℃に冷却し、液相を分離し、沈殿したポリマーを
得た。得られたポリマーを冷水で3回洗った。
【0068】ポリマーを再び容積10リットルのオート
クレーブに入れ、NMP5リットル及び酢酸30ccを
加え、150℃で1時間洗浄した。冷却後、固体のポリ
マーを冷水で、水の電気伝導度が10μS/cm以下に
なるまで洗浄した。洗浄後,120℃の気流乾燥機で2
4時間乾燥させ、更に24時間120℃で真空乾燥させ
た。重合試料に残存するリチウム量は35ppm,残存
する塩素量1900ppmであった。得られたポリマ−
の固有粘度ηihr は0.21,分岐度指数(g値)は、
0.76であり、結晶化曲線は、ショルダ−を含むブロ
−ドな曲線を示し、主ピ−クのピ−ク温度が223.4
℃ショルダ−ピ−クのピ−ク温度は233.0℃であ
り、この2つのピ−クの半値幅和はは28.5℃であっ
た。実施例1と同様にポリマ−の性質と複合材料の物性
の測定結果を表1に示した。
【0069】〔実施例3〕容積10リットルのオートク
レーブに硫化リチウム10モル(459.5g)、p−
ジクロロベンゼン10モル(1470g)、水酸化リチ
ウム−水和物 2.0モル(83.93g),水1.5
モル(27.02g)及びNMP(N−メチル−2ピロ
リドン)4.3リットルを入れ、200℃で5時間反応
させ,常温に冷却し、プレポリマ−を得た。プレポリマ
−にNMP0.2リットル、水0.3モル(5.4g)
を加え260℃に昇温し3時間反応させた。100℃に
冷却し、液相を分離し、沈殿した直鎖型ポリマーを得
た。得られたポリマーをイオン交換水で3回洗った。
【0070】ポリマーを再び容積10リットルのオート
クレーブに入れ、NMP5リットル及び酢酸30ccを
加え、150℃で1時間洗浄した。冷却後、固体のポリ
マーをイオン交換水で、水の電気伝導度が10μS/c
m以下になるまで洗浄した。洗浄後,120℃の気流乾
燥機で24時間乾燥させ、更に24時間120℃で真空
乾燥させた。重合試料に残存するリチウム量は10pp
m,残存する塩素量1200ppmであった。得られた
ポリマーの結晶化曲線を測定すると、ピ−ク温度が24
6.0℃の主ピ−クとピ−ク温度が236.4℃のピ−
クが認められ、2つのピ−クの半値幅の和は19℃であ
った。また、固有粘度([η]ihr )は0.27であっ
た。実施例1と同様にポリマ−の性質と複合材料の物性
値の測定結果を表1に示した。
【0071】〔実施例4〕容積10リットルのオートク
レーブに硫化リチウム10モル(459.5g)、p−
ジクロロベンゼン10モル(1470g)、水酸化リチ
ウム1.3モル(31.14g),水(H2 O)12モ
ル(216.2g)及びNMP(N−メチル−2ピロリ
ドン)4.3リットルを入れ、窒素雰囲気下、220℃
で3時間反応させ,1.2.4−トリクロロベンゼン
(TCB)0.1モル(18.15g)を添加した。更
に、220℃で0.5時間反応させた後、、260℃に
昇温し1時間反応させ分岐型ポリマ−を合成した。これ
を80℃に冷却し、液相を分離し、沈殿した分岐型ポリ
マーを得た。得られたポリマーを冷水で3回洗った。
【0072】ポリマーを再び容積10リットルのオート
クレーブに入れ、NMP5リットル及び酢酸30ccを
加え、150℃で1時間洗浄した。冷却後、固体のポリ
マーを冷水で、水の電気伝導度が10μS/cm以下に
なるまで洗浄した。洗浄後,120℃の気流乾燥機で2
4時間乾燥させ、更に24時間120℃で真空乾燥させ
た。重合試料に残存するリチウム量は10ppm,残存
する塩素量1500ppmであった。得られたポリマ−
の固有粘度ηihr は0.23,分岐度指数(g値)は、
0.78であり、結晶化曲線は、ピ−ク温度が239.
0℃のシングルピ−クであり、ピ−クの半値幅は15℃
であった。ポリマ−の性質と複合材料の物性値の測定結
果を表1に示した。
【0073】〔比較例1〕市販品、LN2G(ト−プレ
ン社製直鎖型PASポリマ−)を用いた。ポリマ−の固
有粘度ηihr 0.23,分岐度指数(g値)は、1.0
であった。また、結晶化曲線は、ピ−ク温度が239.
2℃のシングルピ−クであり、このピ−クの半値幅は1
1.5℃であった。各測定結果を表1に示した。 〔比較例2〕市販品、LF3G(ト−プレン社製直鎖型
PAS)を用いた。ポリマ−の固有粘度η]ihr は0.
22,分岐度指数(g値)は、0.81であった。ま
た、結晶化曲線はピ−ク温度が248.9℃のシングル
ピ−クで,このピ−クの半値幅は7℃であった。各測定
結果を表1に示した。 〔比較例3〕市販品、T−1(ト−プレン社製セミリニ
ア型PAS)を用いた。この固有粘度ηihr は0.1
6,結晶化曲線はピ−ク温度が233.7℃のシングル
ピ−クで、ピ−クの半値幅は11℃であった。各測定結
果を表1に示した。 〔比較例4〕市販品、#140(東ソ−社製架橋型PA
S)を用いた。この固有粘度ηihrは0.16,結晶化
曲線はピ−ク温度が247.0℃のシングルピ−クで、
ピ−クの半値幅は7℃であった。各測定結果を表1に示
した。
【0074】
【表1】
【0075】
【発明の効果】本発明による結晶化曲線のピ−クの半値
幅が12℃以上を有するPASを用いたガラス繊維で強
化されたPAS樹脂組成物は、同程度の分岐度指数を有
する結晶化曲線のピ−クの半値幅が12℃未満のPAS
を用いたものと比較して、アイゾッド衝撃強度,曲げ強
度が向上し、しかもスパイラルフロ−長さが長いから流
動性も良好である(分岐度指数が共に1.0の実施例1
と比較例1との比較及び、分岐度指数が0.78の実施
例2と分岐度指数が0.81の比較例2との比較)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 7/08 C08K 7/08 7/14 7/14 C08L 81/02 C08L 81/02 // B29C 45/00 B29C 45/00 B29K 81:00 B29L 31:30 31:34 (72)発明者 岡本 正哉 千葉県市原市姉崎海岸1番地1 (72)発明者 板東 徹 千葉県袖ケ浦市上泉1280番地 Fターム(参考) 4F206 AA34K AB11 AB16 AB17 AB25 AC01 AH17 AH33 JA07 JD03 JF01 JL02 4J002 CL062 CN011 DA016 DA026 DA036 DE116 DE136 DE146 DE186 DE226 DE236 DE286 DG026 DJ006 DJ016 DJ036 DJ046 DJ056 DL006 FA042 FA046 FA066 FA086 FD012 FD016 GN00 GQ00 4J030 BA03 BA49 BB28 BB29 BB31 BC08 BD23 BF01 BG04 BG27

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】示差走査熱量計による結晶化曲線の測定に
    おいて、320℃の温度で5分間保持後、10℃/分の
    降温条件下で得られる結晶化曲線のピ−クの半値幅が1
    2℃以上であるポリアリーレンスルフィド。
  2. 【請求項2】半値幅が15℃以上である請求項1に記載
    のポリアリーレンスルフィド。
  3. 【請求項3】(1)固有粘度ηinh (dl/l) が0.1〜
    0.5、かつ、(2)ゲルパーミエーションクロマトグ
    ラフィにより求めた分子量分布が5.0以下である請求
    項1又は2に記載のポリアリーレンスルフィド。
  4. 【請求項4】(A)請求項1〜3のいずれかに記載のポ
    リアリーレンスルフィドと(B)無機充填剤から成るポ
    リアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  5. 【請求項5】無機充填剤が、ガラス繊維、炭素繊維、チ
    タン酸カルシウムウイスカ、マイカ、シリカ及び炭酸カ
    ルシウムから選ばれた1種又は2種以上である請求項4
    に記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  6. 【請求項6】(A)ポリアリーレンスルフィドが30〜
    80重量%、(B)無機充填剤が70〜20重量%の割
    合で配合された請求項4又は5に記載のポリアリーレン
    スルフィド樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 請求項4〜6のいずれかに記載のポリア
    リーレンスルフィド樹脂組成物を射出成形してなる自動
    車部品又は電気・電子部品。
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