JP2000318040A - 非多孔質樹脂膜の製造方法及び脱気装置 - Google Patents
非多孔質樹脂膜の製造方法及び脱気装置Info
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Abstract
くい構造を有する非多孔質樹脂膜を簡易な工程で製造す
る方法、及びその方法で得られた非多孔質樹脂膜を利用
した脱気装置を提供する。 【解決手段】 少なくとも1軸方向に延伸して多孔質化
した多孔質樹脂膜を、その樹脂の融点を超える温度で熱
処理して収縮させ、貫通孔を実質的に閉塞させる非多孔
質樹脂膜の製造方法。処理される液体を膜材4を介して
減圧雰囲気にさらす脱気装置において、前記膜材4が本
発明の製造方法にて得られた非多孔質樹脂膜であること
を特徴とする。
Description
多孔質樹脂膜を原料として、気体透過に有利な構造を有
する非多孔質樹脂膜を製造する方法、及びその方法で得
られた非多孔質樹脂膜を利用した脱気装置に関する。
製造ラインにおいては、薬液塗工の際に種々の欠陥を引
き起こす溶存ガスの存在が問題となっている。
は、薬液を膜材を介して真空脱気する方法が知られてお
り、気体透過性に優れたフッ素樹脂製チューブ等を膜材
として使用した真空脱気装置が提案されている。
昭57−165007号公報に開示の技術が存在する。
この脱気装置は、図2に示すように、フッ素樹脂等のプ
ラスチックチューブ11を真空ポンプ等の減圧装置と連
通接続された脱気用密閉容器12内に収容してなり、プ
ラスチックチューブ11内に脱気処理する液体を導入し
つつ減圧して脱気処理を行うものである。尚、脱気用密
閉容器12は、液体の入口13と出口14、及び減圧装
置との接続口15を備える。
代表されるような従来の脱気装置には、以下に述べるよ
うな課題が存在した。まず、脱気装置の脱気性能は使用
する膜材の気体透過性に依存するものであるため、従来
より使用されているプラスチック製の非多孔質チューブ
では処理効率に限界があり、気体透過性の改良が強く望
まれている。また、膜材の気体透過性を向上させるに
は、多孔化する方法があるが、半導体やLCD製造に使
用される薬液は、基材に対する濡れ性が重要視されるこ
とから、表面張力の低いものが多用される傾向に有り、
このような薬液の性状(濃度、成分)を損なわず脱気処
理するには、使用するチューブを液体透過性のない非多
孔質のチューブとする必要があった。
率を向上させるためには多孔質のチューブとする必要が
あり、表面張力の低い薬液を脱気処理するためには非多
孔質構造のチューブとする必要があるという相反する課
題を包含したものであった。
良する試みとして、特公昭58−12902号公報に
は、延伸法で得られた多孔質焼成物を樹脂の融点以下の
温度雰囲気で熱処理して、ミクロ構造の応力歪を緩和す
る方法が開示されている。しかし、この方法では、融点
以下の温度で熱処理するため、多孔質構造を維持したま
まミクロ構造が変化しているだけであり、貫通孔の閉塞
等は生じていない。従って、液体透過が生じにくい非多
孔質膜は得られず、上述の如き脱気装置には使用するこ
とができなかった。
で、しかも液体透過が生じにくい構造を有する非多孔質
樹脂膜を簡易な工程で製造する方法、及びその方法で得
られた非多孔質樹脂膜を利用した脱気装置を提供するこ
とにある。
を達成すべく、気体透過膜の構造やその構造制御方法に
ついて鋭意研究したところ、延伸法で得られる多孔質樹
脂膜を融点を超える温度で熱処理するという簡単な方法
で、気体透過に有利で、しかも液体透過が生じにくい構
造を有する非多孔質樹脂膜が得られることを見出し、本
発明を完成するに至った。
は、少なくとも1軸方向に延伸して多孔質化した多孔質
樹脂膜を、その樹脂の融点を超える温度で熱処理して収
縮させ、貫通孔を実質的に閉塞させることを特徴とす
る。ここで、貫通孔を実質的に閉塞させるとは、全ての
貫通孔を完全に閉塞させる場合の他、貫通孔がわずかに
残存する場合や、貫通孔が十分に小径化される場合も含
む概念である。
ブ状又は中空糸状であることが好ましい。
ポリテトラフルオロエチレンであることが好ましい。
体を膜材を介して減圧雰囲気にさらす脱気装置におい
て、前記膜材が、上記いずれかに記載の製造方法にて得
られた非多孔質樹脂膜であることを特徴とする。
上記の熱処理工程により、実施例の結果が示すように、
気体透過に有利で、しかも液体透過が生じにくい構造を
有する非多孔質樹脂膜を簡易な工程で製造することがで
きる。その理由の詳細は、明らかでないが、次のように
考えられる。収縮前の多孔質樹脂膜の膜構造は樹脂部か
らなるノードと樹脂繊維からなる開孔部からなり、これ
を融点以上の温度で熱処理(アニール)すると、延伸に
よる収縮応力のため収縮する。このようにして得られた
非多孔質樹脂膜は、例えばポリテトラフルオロエチレン
の場合は不透明の白色あるいは半透明の濃い乳白色をし
ており、ノード部分が互いに密着して開孔部を起因とす
るボイドあるいは密着が進んだときはボイドが生じない
までも樹脂密度が疎の部分をもつ。そのため、通常の非
多孔質膜と比較して気体透過性に優れている。また、貫
通孔を実質的に閉塞させているため、被処理液が膜材を
透過しにくく、表面張力の低い液体でも好適に脱気処理
等が行える。
状である場合、熱処理による収縮の際に収縮量の差や温
度差による変形等が生じにくく、表面部分に非多孔質化
された表面層を形成し易くなる。また、得られた多孔質
樹脂膜の有効膜面積を大きくすることができる。
トラフルオロエチレンである場合、ポリテトラフルオロ
エチレンを延伸して多孔質化した多孔質樹脂膜は、本発
明に好適なミクロ構造や収縮応力を有しており、上記の
如き熱処理工程によって好適に非多孔質化することがで
きる。また、ポリテトラフルオロエチレンは、気体透過
性、耐薬品性、耐熱性等に優れるため、得られる非多孔
質樹脂膜は、特に脱気装置に用いるのに有用である。
して上記の如き非多孔質樹脂膜を用いているため、脱気
処理の際に液成分変化や液もれが発生しにくく、液中に
溶存するガスを効率よく除去することが可能である。
て、製造方法、脱気装置の順で説明する。
樹脂としては、延伸して多孔質化可能な熱可塑性樹脂で
あって、気体透過性をある程度有するものであれば、何
れの樹脂も使用可能である。例えば、フッ素樹脂、ポリ
オレフィン樹脂等が挙げられる。
観点からパーフルオロ系のフッ素樹脂がより好ましい。
具体的にはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、
テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニル
エーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン
−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等を好
適な例として例示することができる。
くとも1軸方向に延伸して多孔質化した多孔質樹脂膜を
用いて熱処理を行うが、当該多孔質樹脂膜の製造方法は
公知であり、何れの製造方法も採用することができる。
以下、PTFEを材料とした多孔質チューブの場合を例
にとり説明する。
剤として適当な有機溶剤を加えたペースト状混合物を円
筒状に予備成形する。原料となるPTFEファインパウ
ダーは、通常、数平均分子量が20万〜2000万のも
のである。前記押出助剤はファインパウダーを濡らし、
加熱により除去出来るものであれば特に制限はなく、沸
点が100〜140℃程度のナフサや石油系炭化水素が
好適に使用される。予備成形は、助剤が絞り出されない
程度の圧力で行なう。予備成形後、成形物を押し出し機
のシリンダーに移して、チューブ状にペースト押出しす
る。
向、あるいは長軸方向と径方向に延伸して多孔質化す
る。このとき、押出助剤を乾燥してから延伸したり、P
TFEの焼成温度以下で加温して延伸してもよい。延伸
倍率としては1.5〜8倍が好ましい。このようにして
多孔質化されたチューブはPTFEの焼成温度以上で固
定して焼成され、PTFEの多孔質チューブ(多孔質樹
脂膜)を得ることができる。
ーブの例であるが、中空糸膜の場合も同様である。ま
た、平膜の場合、溶融押出後にシート状に成形された
後、延伸が行われる点のみが主に相違する。また、他の
樹脂材料を用いる場合も、基本的な製造プロセスは同様
であり、樹脂材料の種類に応じて、押出助剤が適宜選択
されたり、その他の条件が適宜設定される。
た多孔質樹脂膜を樹脂の融点(PTFEでは327℃)
を超える温度で熱処理して収縮させ、貫通孔を実質的に
閉塞させる。このとき、荷重をかけずに収縮させてもよ
く、荷重をかけて収縮の程度を操作してもよい。また、
収縮率は、使用する多孔質樹脂膜の延伸倍率や、熱処理
の温度および時間にも左右される。
が、被処理液が低表面張力で膜を浸透してしまう場合に
は、貫通孔が存在しないように十分に収縮率を大きくす
るのが好ましい。本発明では、延伸する前の長さと比較
して1.0〜2.0倍に相当する収縮率とするのが好ま
しく、1.0〜1.5倍がより好ましい。
処理を行うが、例えばPTFE多孔質チューブの場合、
熱処理の温度を355〜400℃の範囲とするのが好ま
しい。355℃未満では熱処理に時間を要し、400℃
を超えると熱分解が進行する傾向がある。なお、熱処理
の時間は熱処理温度や収縮率に応じて適宜設定すればよ
い。
表面部分に表面層(スキン層)を形成すべく、表面部分
が比較的高温になるように加熱してもよい。その場合、
赤外線ヒータ等の輻射型加熱装置が好適に使用される。
や繊維状物の熱処理に使用可能な公知の装置が何れも採
用でき、収縮率や張力を考慮した条件設定を行えばよ
い。例えば、導入側と引取側とで速度差をつけたり、適
当な張力制御を行ったりすればよい。
れる液体を膜材を介して減圧雰囲気にさらす脱気装置に
おいて、以上の如き製造方法にて得られた非多孔質樹脂
膜を膜材として使用することを特徴とする。従って、膜
材を除く部分については、従来公知の脱気装置がいずれ
も適用可能である。なお、このような脱気装置について
は、特公昭57−165007号公報に詳細が記載され
ている。
積を大きくする目的で、平膜状の膜材の場合、スパイラ
ル状やプリーツ状に膜材を配置したり、チューブ状又は
中空糸状の膜材の場合、束状やとぐろ状に膜材が配置さ
れる。また、補強又は流路形成のために、適宜スペーサ
等が使用される。
ッ素樹脂チューブを膜材として使用した脱気装置につい
て説明する。図1は本発明に係る脱気装置の一実施形態
を示す概略図であり、上記したような方法により得られ
たフッ素樹脂チューブは、図示の如く脱気装置2内に配
設される。
部に配設されるフッ素樹脂チューブ束4とから構成され
る。尚、図1はフッ素樹脂チューブ束4を真空チャンバ
ー3内でとぐろ状に巻回して配設した例であるが、フッ
素樹脂チューブ束4の真空チャンバー3内への配設方法
はこれに限定されない。尚、脱気装置2は、処理すべき
液体の入口31及び出口32、並びに減圧装置との接続
口33を備える。
ブの本数は特に限定されず、数本、数十本、数百本等の
任意の本数で構成することができる。またフッ素樹脂チ
ューブを束とせずに一本のフッ素樹脂チューブのみを真
空チャンバー3内に配設する構成としてもよい。
は、複数本のチューブを端部において熱接着性を有する
フッ素樹脂粉末を用いて融着一体化する方法が好ましく
採用されるが、この方法に限定されるものではない。
は特に限定されないが、前記したパーフルオロ系材料を
好適な例として挙げることができる。
フッ素樹脂チューブ又はフッ素樹脂チューブ束の真空チ
ャンバー3内への接続固定方法は特に限定されず、適宜
任意の方法を採用することができる。
ク、ガラス等、適宜任意の素材から構成することができ
るが、耐久性や耐薬品性の点から金属材料の場合はステ
ンレス鋼を、プラスチック材料の場合はPTFEやPF
Aなどのフッ素樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレ
ン樹脂等を使用することが好ましい。
がボイドあるいは樹脂密度が疎の部分を持つ気体透過性
の高いフッ素樹脂チューブを膜材として使用しているの
で、従来の非多孔質構造のプラスチックチューブからな
る膜材を使用した脱気装置と比較して脱気効率に優れた
ものとなる。また、熱処理による収縮率を操作すること
により、少なくとも膜を介した連続したボイドがないチ
ューブを用いれば、チューブからの液透過を防止するこ
とができ、液の濃度変化や透過が生じることがなく、液
の性状が安定したものとなる。
施例等について説明する。
フロロポリマーズ社製、商品名:フルオンCD−12
3)100重量部に対し、ナフサ(液状潤滑剤)23重
量部を均一に混合し、この混合物をペースト押出して内
径1.5mm、肉厚0.2mmの未焼成チューブを得
た。ついで、これを風乾してから100℃で30分間加
熱してナフサを除去した後、250℃で軸方向に3倍の
延伸を行った。その後、チューブを固定して360℃で
5分間焼成した。こうして得られたチューブの内径は
1.0mm、肉厚は0.13mm、比重は0.88であ
った。このチューブ表面にレッドチェック液(エタノー
ル溶液)を濡らしたところ、液が浸透して赤い染みが残
った。
2分間で、フリーアニールした。得られたチューブは長
さが約60%収縮し、不透明で白色をしており、内径は
1.1mm、肉厚は0.15mm、比重は1.94であ
った。このチューブを前述のレッドチェック液で調べた
ところ、染みが残らなく、走査型電子顕微鏡(SEM)
で膜表面を観察したところ、開孔部が収縮によって閉塞
したことに起因するとみられる亀裂が存在したが、貫通
孔は実質上存在しないことが確認できた。
を長さ3mで100本結束してチューブ束とし、真空チ
ャンバー内に配設して脱気装置とした。この脱気装置を
用い、溶存酸素量8ppmの純水を、液量50ml/m
in、真空チャンバ内圧60Torrの条件で脱気処理
したところ、酸素除去率85%という優れた脱気性能を
示した。
出成形し、ついで、これを風乾してから100℃で30
分間加熱してナフサを除去した後、360℃で5分間焼
成することにより無延伸の焼成チューブを得た。こうし
て得られたチューブは透明で淡い乳白色をしており、内
径1.1mm、肉厚0.15mm、比重2.16であっ
た。
本結束してチューブ束とし、真空チャンバー内に配設し
て脱気装置とした。この脱気装置を用い、溶存酸素量8
ppmの純水を、液量50ml/min、真空チャンバ
内圧60Torrの条件で脱気処理したところ、酸素除
去率70%であり、実施例の装置に比べて脱気性能が劣
っていた。
Claims (4)
- 【請求項1】 少なくとも1軸方向に延伸して多孔質化
した多孔質樹脂膜を、その樹脂の融点を超える温度で熱
処理して収縮させ、貫通孔を実質的に閉塞させる非多孔
質樹脂膜の製造方法。 - 【請求項2】 前記多孔質樹脂膜が、チューブ状又は中
空糸状である請求項1記載の非多孔質樹脂膜の製造方
法。 - 【請求項3】 前記多孔質樹脂膜を構成する樹脂が、ポ
リテトラフルオロエチレンである請求項1又は2に記載
の非多孔質樹脂膜の製造方法。 - 【請求項4】 処理される液体を膜材を介して減圧雰囲
気にさらす脱気装置において、 前記膜材が、請求項1〜3いずれかに記載の製造方法に
て得られた非多孔質樹脂膜であることを特徴とする脱気
装置。
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1999
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