JP2000317495A - スラリ処理方法及びスラリ処理装置 - Google Patents

スラリ処理方法及びスラリ処理装置

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JP2000317495A
JP2000317495A JP11188502A JP18850299A JP2000317495A JP 2000317495 A JP2000317495 A JP 2000317495A JP 11188502 A JP11188502 A JP 11188502A JP 18850299 A JP18850299 A JP 18850299A JP 2000317495 A JP2000317495 A JP 2000317495A
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JP11188502A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Kawane
浩 川根
Hideo Nawata
秀夫 縄田
Hidemi Niinai
英見 二井内
Shigeki Munezane
茂樹 宗実
Sosuke Yoshii
總介 吉井
Takamasa Yamauchi
崇賢 山内
Ken Yoshida
謙 吉田
Takeshi Onodera
毅 小野寺
Toru Eito
徹 栄藤
Kenji Sasaki
健治 佐々木
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スラリ処理方法及びスラリ処理装置におい
て、低コストで効率よくスラリを処理することができ、
高い実用性を実現する。 【解決手段】 処理槽2内でスラリ原液中Aに含まれる
懸濁物質を除去してスラリ原液Aを清澄化するものであ
って、処理槽2の上下方向ほぼ中間部にスラリ原液Aを
所定速度で供給し、このスラリ原液Aに含まれる懸濁物
質を上方の濃厚スラリ層Bで浮遊あるいは沈降する懸濁
物質により濾過して清澄化した処理水を上昇させる一
方、下部に堆積スラリCを堆積させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スラリ処理方法及
びスラリ処理装置に関し、特に、ダム、湖沼、河川、閉
鎖海域、あるいは養殖場などの底部に堆積した汚泥、ス
ラリ等を処理する際に適用されるものである。
【0002】
【従来の技術】近年では、ダムの水質を改善するため
に、ダム底に堆積する土砂(汚泥)等を改質、減容化す
ることが積極的に行われている。この場合、ダム(主ダ
ム)に流入する河川を、例えば、幅20m、全長200
〜300m程度にわたって塞き止め、いわゆる副ダムを
構成する。副ダムの底部に堆積した汚泥は、ポンプ等に
よって引き揚げられ、サイクロンを含む洗浄分離装置に
導入される。洗浄分離装置に導入された汚泥のうち、粗
大粒子は洗浄された後、副ダムの底部等に排出される。
【0003】また、洗浄分離作業において生じた濁質成
分を含む廃水(スラリ原液)は、細砂や、有機物等から
なる汚泥を含んでおり、このような廃水に対しては、各
種ろ過器や脱水分離フィルタ装置等を用いた固液分離処
理が施される。そして、濁質成分を含む廃水は、フィル
タ装置等によって洗浄(清澄化)された上で、副ダムに
戻される。また、湖沼、閉鎖海域等においても、同様
に、これらの底部に堆積した汚泥を引き揚げ、洗浄・分
離した上で洗浄された粗大粒子を再度湖底等に堆積させ
ると共に、廃水を清澄化することが行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、各種ろ
過器や脱水分離フィルタ装置等を用いたスラリ原液の処
理には、次のような問題点が存在していた。すなわち、
従来のろ過器や脱水分離フィルタ装置を用いてスラリ処
理を行う際には、各装置から異物を除去すると共に、砂
等のろ材やフィルタ材の目詰まりを防止する必要があっ
た。このため、頻繁に逆洗操作を行わなければならず、
その都度、スラリ処理を中断しなければならなかった。
また、良好なスラリ処理を行うためには、各種ろ材やフ
ィルタ材を随時、補充・交換する必要がある。このた
め、スラリ処理に要するコストや作業労力が結果的に増
大してしまう。更に、脱水分離フィルタ装置では、細砂
や有機物等を効果的に除去するためにメッシュサイズが
小さいフィルタ材が用いられている。このため、フィル
タが目詰まりしやすく、作業に多大な動力が必要とされ
る。
【0005】本発明はこのような問題を解決するもので
あって、低コストで効率よくスラリを処理することがで
き、高い実用性をもったスラリ処理方法及びスラリ処理
装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めの請求項1の発明のスラリ処理方法は、処理槽にスラ
リ原液を供給し、少なくとも該処理槽内のスラリ原液
が、堆積スラリ層と浮遊あるいは沈降する懸濁物質が存
在するスラリ層との2層に分離された後、該スラリ層に
前記スラリ原液を連続して供給して該スラリ層によるろ
過作用により、該スラリ原液中の懸濁物質をろ過せし
め、前記処理槽の前記スラリ層上部に清澄化した処理水
を得ることを特徴とするものである。
【0007】また、請求項2の発明のスラリ処理方法
は、処理槽内でスラリ原液中に含まれる懸濁物質を除去
して前記スラリ原液を清澄化するスラリ処理方法であっ
て、前記処理槽の上下方向ほぼ中間部に前記スラリ原液
を所定速度で供給し、該スラリ原液に含まれる前記懸濁
物質を前記処理槽内で浮遊あるいは沈降する前記懸濁物
質によりろ過することで、該処理槽の上部に清澄化した
処理水を上昇させることを特徴とするものである。
【0008】また、請求項3の発明のスラリ処理方法で
は、前記スラリ原液を前記懸濁物質が浮遊あるいは沈降
する濃厚スラリ層の下部に供給することで、該濃厚スラ
リ層を通過する前記スラリ原液の上向流を形成すること
を特徴としている。
【0009】また、請求項4の発明のスラリ処理方法で
は、前記上向流を前記濃厚スラリ層の前記懸濁物質の沈
降速度よりも小さい流速1〜5m/hとすることを特徴
としている。
【0010】また、請求項5の発明のスラリ処理方法で
は、前記スラリ原液を下方に向けて供給することを特徴
としている。
【0011】また、請求項6の発明のスラリ処理方法で
は、前記処理槽への前記スラリ原液の供給位置よりも上
方に前記懸濁物質が浮遊あるいは沈降する濃厚スラリ層
を形成する一方、該供給位置よりも下方に堆積スラリ層
を形成することを特徴としている。
【0012】また、請求項7の発明のスラリ処理方法で
は、前記処理槽内に荷電粒子層を設け、前記清澄化した
処理水を通過させることを特徴としている。
【0013】また、請求項8の発明のスラリ処理方法で
は、前記処理槽内に電極群を設け、前記清澄化した処理
水を通過させることを特徴としている。
【0014】また、請求項9の発明のスラリ処理方法で
は、前記処理槽内に凝集剤を注入することを特徴として
いる。
【0015】また、請求項10の発明のスラリ処理方法
では、前記処理槽内に前記スラリ原液を供給する前に、
該スラリ原液に含まれる有機物を分離、回収することを
特徴としている。
【0016】また、請求項11の発明のスラリ処理方法
では、前記処理槽内を上下方向に延びる仕切壁によって
複数に区画し、該区画域ごとに前記スラリ原液を供給す
ることを特徴としている。
【0017】また、請求項12の発明のスラリ処理装置
は、スラリ原液中に含まれる懸濁物質を除去して前記ス
ラリ原液を清澄化するスラリ処理装置であって、前記ス
ラリ原液が導入される処理槽と、該処理槽の上下方向ほ
ぼ中間部に前記スラリ原液を所定速度で供給する原液供
給部と、前記処理槽の上部に設けられて該処理槽内で清
澄化して上昇した処理水の上澄液を放出する上澄液放出
部と、前記処理槽底部に堆積した堆積スラリを外部に排
出する堆積スラリ排出部とを具えたことを特徴とするも
のである。
【0018】また、請求項13の発明のスラリ処理装置
では、前記処理槽の上部に、前記上澄液中の微小懸濁物
質を帯電さしめて分離する帯電物分離手段を設けたこと
を特徴としている。
【0019】また、請求項14の発明のスラリ処理装置
では、前記処理槽に内部を仕切る仕切板を上下方向に延
在して設けたことを特徴としている。
【0020】また、請求項15の発明のスラリ処理装置
では、前記処理槽に内部を複数に区画する仕切壁を上下
方向に延在して設けると共に、該仕切壁によって区画さ
れた各区画域ごとに前記原液供給部を設けたことを特徴
としている。
【0021】また、請求項16の発明のスラリ処理装置
は、スラリ原液をろ過層の下方より上方に通過せしめ、
該スラリ原液中に含有する懸濁物質をろ過するスラリ処
理装置において、前記ろ過層をスラリ原液とすることを
特徴とするものである。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実
施形態を詳細に説明する。
【0023】〔第1実施形態〕図1に本発明の第1実施
形態に係るスラリ処理方法を実現するためのスラリ処理
装置を表す断面、図2に本実施形態のスラリ処理装置の
運転状態を示す部分断面、図3に懸濁物質濃度に対する
その沈降速度を表すグラフを示す。
【0024】本実施形態において、図1に示すように、
スラリ処理装置1は、各種廃水等のスラリ原液から汚泥
や細砂等の懸濁物質を除去し、スラリ原液を清澄化する
際に用いることができるものである。このスラリ処理装
置1は、スラリ原液を導入するための処理槽2を備え
る。この処理槽2は、金属によって、例えば、外径3〜
6m程度、全高3〜6m程度の有底円筒状に形成されて
おり、直立するように立設させられる。また、処理槽2
の上部には、処理槽2内を上昇した上澄液を放出させる
ための上澄液放出口(上澄液放出部)3が設けられてい
る。処理槽2は、例えば、主ダムに隣接する副ダム付近
に設置してもよく、また、バージ等に搭載して水上に浮
かべるようにしてもよい。
【0025】この処理槽2の中間部やや下部には、処理
槽2内にスラリ原液を供給する原液供給部4が接続され
ている。原液供給部4は、ポンプ5を含み、このポンプ
5の吸込口5aは、例えば、洗浄分離装置の廃水移送管
と連通させられる。なお、吸込口5aは、ダム湖底の堆
積汚泥と直接連通させてもよい。一方、ポンプ5の吐出
口には、原液供給管6が接続されている。原液供給管6
は、処理槽2の側壁下部を略水平に貫通する。原液供給
管6には、図1において二点鎖線で示すように、流量調
整弁6aを設けてもよい。そして、原液供給管6の先端
には、原液供給ノズル7が設けられている。この原液供
給ノズル7は、ほぼ処理槽2の中心軸に沿って延在して
おり、鉛直上方を向く上開口7aと、鉛直下方を向く下
開口7bとを有している。
【0026】これにより、ポンプ5を作動させ、原液供
給管6を介して処理槽2の内部下方にスラリ原液を供給
すれば、スラリ原液は、原液供給ノズル7の上開口7a
と下開口7bとから処理槽2内に流入する。この際、上
開口7aから流出するスラリ原液は、そのまま処理槽2
内を上昇する。また、下開口7bから流出したスラリ原
液は、処理槽2の底面及び側面に沿って流れる。従っ
て、処理槽2内には、底部から上方に向かうスラリ原液
の上向流A1 が形成される。一方、処理槽2内の底部に
は、スラリ原液中の懸濁物質が沈降・堆積することによ
り、堆積スラリの層が形成される。なお、上開口7aと
下開口7bとを有する原液供給ノズル7では、処理槽2
内を沈降する懸濁物質が上開口7aに入り込んでも、下
開口7bを通過して処理槽2の底部に堆積する。従っ
て、原液供給ノズル7が閉塞してしまうことはない。
【0027】処理槽2の下部には、堆積スラリ排出部9
が接続されている。処理槽2の底部に堆積し、その自重
によって圧密された堆積スラリは、この堆積スラリ排出
部9によって系外に排出される。堆積スラリ排出部9
は、バルブ8aを介して処理槽2の底部に接続された堆
積スラリ排出機構10と、この堆積スラリ排出機構10
の下部にバルブ8bを介して接続された堆積スラリ排出
管11とからなる。堆積スラリ排出機構10には、図示
しない駆動部によって回転駆動されるスクリュー10a
が内蔵されている。また、堆積スラリ排出機構10の下
部には、バルブを介して清水注入管10bが接続されて
いる。
【0028】処理槽2の底部に堆積した堆積スラリを系
外に排出する際には、バルブ8a及び8bを開放し、堆
積スラリ排出機構10のスクリュー10aを回転させ
る。また、堆積スラリが圧密されて濃度が必要以上に高
くなっている場合には、清水注入管10bから堆積スラ
リ排出機構10の内部に清水を注入する。清水を注入し
ながらスクリュー10aを回転させれば、堆積スラリは
清水と混合されて流動化する。
【0029】更に、処理槽2の内部には、帯電物分離手
段として機能する荷電粒子層12が設けられている。こ
の荷電粒子層12は、2枚のメッシュ14と所定量の荷
電粒子15とからなる。即ち、処理槽2の高さ方向にお
ける中央部付近又は上部には、1枚のメッシュ14が処
理槽2の内部を水平に仕切るように配置されている。こ
のメッシュ14上には、所定量の荷電粒子15が積層さ
れる。そして、積層された荷電粒子15の上にメッシュ
14が積層配置される。また、このスラリ処理装置1で
は、荷電粒子層12を形成するに際し、荷電粒子15と
して、汚泥等の懸濁物質が通常マイナスに帯電している
ことに鑑みて、プラスに帯電させたイオン交換樹脂や、
プラスに帯電させたチタン酸バリウムやアルミナ等から
なる小径の球体を用いている。なお、荷電粒子層12を
形成するに際しては、2枚のメッシュ14同士の間に、
誘電体(球体等)と共に電極棒を配置し、電極棒と処理
槽2に対して高圧の直流電流等を流すようにしてもよ
い。
【0030】ここで、上述したスラリ処理装置1を用い
てスラリ原液を清澄化する方法について図2を用いて説
明する。
【0031】図2に示すように、まず、原液供給部4の
ポンプ5を作動させ、原液供給管6及び原液供給ノズル
7を介して処理槽2の内部下方にスラリ原液Aを供給す
る。原液供給ノズル7の上開口7a及び下開口7bから
流出したスラリ原液Aは、処理槽2内を上昇する上向流
1 を形成する。この際、このスラリ処理装置1では、
ポンプ5の運転速度、又は、流量調整弁6aを手動又は
自動で制御して、上向流A1 の流速を処理槽2内におけ
る懸濁物質の沈降速度よりも低く設定する。この場合、
スラリ原液Aの上向流A1 の流速は、1〜5m/h程
度、より好ましくは、2〜4m/h程度にすると実用上
良好な結果が得られる。この結果、処理槽2内を上昇す
るスラリ原液A中の懸濁物質の一部が沈降することにな
り、所定時間経過後に、処理槽2内の下方領域(荷電粒
子層12よりも下方の領域)に懸濁物質濃度が高い濃厚
スラリ層Bが形成される。
【0032】また、処理槽2内に上向流A1 として供給
されたスラリ原液Aが荷電粒子層12に到達して通過す
ると、スラリ原液Aに含まれる懸濁物質のうちの帯電物
は、この荷電粒子層12の荷電粒子15に付着する。こ
れにより、スラリ原液A中の懸濁物質(帯電物)が荷電
粒子層12を超えて上昇することが抑制されると共に、
荷電粒子層12よりも下方の領域における懸濁物質濃度
が高くなるので、荷電粒子層12の下方における濃厚ス
ラリ層Bの形成が促進される。従って、このスラリ処理
装置1では、運転開始から短時間で、濃厚スラリ層Bを
形成することが可能となる。濃厚スラリ層Bが所望の範
囲内(高さ)に形成されたならば、間欠的又は連続的に
堆積スラリ排出機構10を作動させ、処理槽2の底部に
堆積した余剰の堆積スラリCを系外に排出させる。これ
により、濃厚スラリ層Bが所望の範囲内(例えば、厚さ
1m程度)に維持される。
【0033】図3は本発明に関連して行った実験の結果
を示すものであり、この実験は、スラリ原液を所定の槽
内で攪拌沈降させた場合におけるスラリ原液中の懸濁物
質濃度と、懸濁物質の沈降速度との関係を調べたもので
ある。スラリ原液中の懸濁物質濃度が約2重量%以上で
ある場合は、スラリ原液中の懸濁物質は、相互に付着し
合って凝集し、一群として界面沈降することになる。こ
の場合、上澄液の清澄度は高くなるが、同図に示すよう
に、沈降速度は比較的遅くなる。また、スラリ原液中の
懸濁物質濃度が約2重量%以下である場合、スラリ原液
中の懸濁物質は、凝集することなく、それぞれ単独で沈
降する傾向にある。この場合、同図に示すように、懸濁
物質のうち、粗大粒子の沈降速度は早まるが、微細粒子
の沈降速度は依然として遅いままとなる。従って、スラ
リ原液を槽内に導入してから長時間が経過しても、上澄
液の清澄度は低いままとなる。
【0034】これに対して、濃厚スラリ層Bが形成され
てから、原液供給部4を作動させて処理槽2内にスラリ
原液Aを、濃厚スラリ層Bにおける懸濁物質の沈降速度
よりも小さい流速(1〜5m/h程度、より好ましく
は、2〜4m/h程度)をもった上向流A1 として供給
し続けると、スラリ原液A中の懸濁物質は、濃厚スラリ
層Bで浮遊又は沈降している懸濁物質と相互に付着し合
って凝集する。すなわち、スラリ原液A中の懸濁物質が
濃厚スラリ層Bによって捕捉されることになる。
【0035】このように濃厚スラリ層Bは、実質的にろ
材やフィルタ等を用いたろ過層と同様の機能をもつこと
になる。従って、スラリ原液A中に含まれる懸濁物質が
効果的に除去され、スラリ原液Aが清澄化される。ま
た、スラリ処理を中断して逆洗操作を行う必要は全くな
くなると共に、各種ろ材やフィルタ材を補充・交換する
といったようなことが一切不要となる。更に、このスラ
リ処理装置1を用いてスラリ処理を行う場合、基本的
に、原液供給部4によってスラリ原液Aを処理槽2内に
供給するだけでよいことから、動力の必要性が低減され
る。
【0036】また、濃厚スラリ層Bによって捕捉されな
かった懸濁物質のうちの帯電物は、上向流A1 としての
スラリ原液Aが荷電粒子層12を通過する際に、荷電粒
子15に付着することになる。従って、濃厚スラリ層B
で捕捉されなかった懸濁物質のうちの帯電物が荷電粒子
層12によって回収されることになり、上澄液Dの清澄
度をより向上させることができる。なお、スラリ原液A
中の懸濁物質の大半は、濃厚スラリ層Bによって捕捉さ
れるので、荷電粒子層12に付着する懸濁物質(帯電
物)は微量である。従って、1日に1回程度、上部から
荷電粒子15を取り出し、付着した懸濁物質を除去する
とよい。
【0037】ここで、例えば、外径5m程度、全高6m
程度の処理槽を備え、荷電粒子層を省略したスラリ処理
装置に、濃度5重量%(濁度50000ppm)のスラ
リ原液Aを2m/hの流速をもった上向流として供給し
た場合、上澄液Dの濁度はおよそ1000ppmとな
り、実用上良好な結果が得られる。この際、濃厚スラリ
層Bの濃度は、およそ10重量%(スラリ原液の濃度の
2〜3倍)となり、堆積スラリCの濃度は、およそ40
重量%(スラリ原液の濃度のおよそ8倍)となる。ま
た、このようなスラリ処理装置に対して、荷電粒子層を
設ければ、上澄液Dの濁度を20ppm以下にすること
も可能となる。
【0038】なお、濃厚スラリ層B内を、懸濁物質濃度
が約2重量%以上の濃厚なスラリ原液Aが上昇する場
合、処理槽2内の上向流に起因して、濃厚スラリ層Bが
過剰に膨張し、上澄液Dの清澄度に悪影響を及ぼすおそ
れがある。この場合は、処理槽2の高さをある程度高く
設定することにより、上澄液Dの清澄度を良好に維持す
ることができる。また、このスラリ処理装置1のよう
に、処理槽2内に荷電粒子層12を設ければ、濃厚スラ
リ層Bの過剰な膨張が抑制される。これにより、処理槽
2の全高を低く抑えてスラリ処理装置1をコンパクト化
することができる。
【0039】この結果、本実施形態のスラリ処理装置1
では、極めて清澄化された上澄液D(濁度がスラリ原液
Aの1/10〜1/20程度)が処理槽2内を上昇し、
処理槽2上部に設けられた上澄液放出口3から放出され
る。なお、処理槽2内に供給するスラリ原液Aは、その
懸濁物質濃度が1〜10重量%程度である場合、処理効
率、供給効率が向上すると共に、実用上極めて良好な結
果が得られる。また、スラリ処理装置1の運転開始直後
は、濃厚スラリ層Bを早期に形成するために、懸濁物質
濃度が比較的高いスラリ原液Aを処理槽2内に供給する
とよい。
【0040】〔第2実施形態〕図4に本発明の第2実施
形態に係るスラリ処理方法を実現するためのスラリ処理
装置を表す断面を示す。なお、以下に説明する他の実施
形態では、前述した実施形態で説明したものと同様の機
能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は
省略する。
【0041】本実施形態において、図4に示すように、
スラリ処理装置1Aでは、処理槽2の下部に堆積スラリ
層C’を形成するための領域が確保されている。処理槽
2内に濃厚スラリ層Bが形成されると、濃厚スラリ層B
で凝集した粗大な懸濁物質は、濃厚スラリ層B内を分
離、沈殿する(堆積スラリ)。これを踏まえて、このス
ラリ処理装置1Aでは、処理槽2の下部を延長するか、
又は、原液供給ノズル7を上方に配置することにより、
濃厚スラリ層Bの下方(原液供給ノズル7よりも下方)
に所定厚さの堆積スラリ層C’を形成するようにしてい
る。この堆積スラリ層C’では、堆積スラリCは自重に
よって圧密される。
【0042】このように、濃厚スラリ層Bの下方に所定
厚さの堆積スラリ層C’を形成することにより、排出汚
泥容積を小さくすることが可能となる。また、堆積スラ
リ排出機構10を作動させて堆積スラリCを適量ずつ排
出すれば、濃厚スラリ層Bの膨張を抑制可能となり、処
理槽2の全高を、全体として低く抑えてコンパクト化を
図ることができる。更に、堆積スラリCは圧密されてい
るので、その排出作業は容易である。加えて、堆積スラ
リ層C’を形成しておくことにより、堆積スラリCを排
出する場合に、処理槽2内に生ずる水流の発生が緩和さ
れるので、濃厚スラリ層Bの界面の上下動を抑制するこ
とができる。
【0043】この場合、堆積スラリ排出機構10を作動
させて堆積スラリCを適量ずつ排出することにより、堆
積スラリ層の厚さを1m以上に設定すると好ましい。ま
た、処理槽2のサイズにもよるが、より好ましくは、8
00〜1200mm以上に設定すると好ましい。これに
より、排出汚泥容積を小さくすることが可能となる。ま
た、このスラリ処理装置1Aに対しても、荷電粒子層1
2を設けておけば、上澄液Dの清澄度をより向上させる
ことができる。
【0044】〔第3実施形態〕図5に本発明の第3実施
形態に係るスラリ処理方法を実現するためのスラリ処理
装置を表す断面、図6に凝集剤を注入した濃厚スラリ層
の状態を示す。
【0045】本実施形態において、図5に示すように、
スラリ処理装置1Bは、前述したスラリ処理装置1Aに
対して、薬注ポンプ16と、薬注管17とを設けたもの
である。スラリ処理装置1Bでは、薬注ポンプ16を作
動させることにより、薬注管17を介して処理槽2内に
凝集剤Eを注入することができる。凝集剤Eとしては、
塩化カルシウム(CaCl2)、塩化第二鉄(FeCl
3)、鉄イオン水等の無機凝集剤が用いられる。これに
より、スラリ原液A中の懸濁物質が相互に凝集するのを
促進することができるので、濃厚スラリ層Bを早期に形
成できると共に、濃厚スラリ層Bの懸濁物質濃度を高く
することが可能となる。
【0046】この結果、上向流A1 として供給されるス
ラリ原液Aに含まれる懸濁物質が、濃厚スラリ層Bによ
って効果的に捕捉されることになるので、清澄度の高い
上澄液D(濁度20ppm以下)を効率よく得ることが
できる。また、懸濁物質相互間の凝集性が向上すること
により、濃厚スラリ層Bにおける懸濁物質の沈降速度が
増大する。これにより、濃厚スラリ層Bの界面上昇が抑
制されるので、濃厚スラリ層Bの下方に所定厚さの堆積
スラリ層C’を形成しても処理槽2の全高を低く抑えて
コンパクト化を図ることができる。
【0047】処理槽2内に凝集剤Eを注入するに際して
は、薬注管17を処理槽2の高さ方向における中央部又
は上部に接続し、凝集剤Eを濃厚スラリ層Bに直接注入
するとよく、また、濃厚スラリ層Bの上部付近に凝集剤
Eを注入すると好ましい。これにより、スラリ原液Aに
含まれる懸濁物質のうち粗大粒子が処理槽2内で沈降分
離した後に、凝集剤Eを注入することが可能となる。従
って、沈降分離しにくい懸濁物質に対して直接的に凝集
剤Eを作用させることが可能となると共に、凝集剤Eの
注入量を少なくすることができる。また、濃厚スラリ層
Bに凝集剤Eを注入すれば、凝集剤Eの作用によって凝
集した懸濁物質が濃厚スラリ層B内を沈降することにな
る。従って、互いに凝集した大きな懸濁物質によって、
上向流A 1 として供給されるスラリ原液A中の懸濁物質
が効果的に捕捉される。
【0048】一方、凝集剤Eは、処理槽に対して供給さ
れるスラリ原液Aに注入するようにしてもよい。すなわ
ち、この場合は、図5において二点鎖線で示す薬注管1
7Aを用いて、原液供給管6と薬注ポンプ16とを接続
する。このように処理槽2内にスラリ原液Aを供給する
に先立って、スラリ原液A中に凝集剤Eを注入しておく
ことにより、処理槽2内における懸濁物質の沈降分離効
率を向上させることができる。
【0049】また、処理槽2内に凝集剤Eを注入するに
際しては、薬注ポンプ16を断続的に作動させ、又は、
所定のバルブを断続的に開閉させることにより、凝集剤
Eを処理槽2内に断続的に注入すると好ましい。この場
合は、例えば、スラリ処理を開始すると共に処理槽2内
に凝集剤Eを第一の時間(例えば、10分間)だけ注入
した後、第二の時間(例えば、1時間)だけ凝集剤Eの
注入を停止する。そして、第二の時間(1時間)の経過
後、再び、第一の時間(10分間)内における凝集剤E
の注入と、第二の時間(1時間)内における凝集剤Eの
注入停止を繰り返す。
【0050】図6(a)に示すように、処理槽2内に凝集
剤Eを注入すると、図6(b)に示すように、懸濁物質濃
度が高い濃厚スラリ層B1が形成される。一方、凝集剤
Eの注入を停止した際には、凝集剤Eを注入した場合よ
り懸濁物質濃度が低い濃厚スラリ層B2が形成される。
従って、凝集剤Eの注入タイミングを上述したように設
定することにより、濃厚スラリ層Bの上層部B1におけ
る懸濁物質濃度を常に高くしておくことが可能となる。
【0051】この結果、懸濁物質濃度が高い濃厚スラリ
層Bの上層部B1によって、上向流A1 として供給され
るスラリ原液Aに含まれる懸濁物質が極めて効果的に捕
捉されることになるので、清澄度の高い上澄液Dを効率
よく得ることができる。また、処理槽2から堆積スラリ
Cを排出した場合、濃厚スラリ層Bの上層部B1におけ
る懸濁物質濃度が高いので、濃厚スラリ層Bの界面の上
下動を抑制することができると共に、必要十分な濃厚ス
ラリ層Bを処理槽2内に維持することが可能となる。更
に、凝集剤Eを断続的に注入すれば、凝集剤Eの注入量
を低減させることも可能となる。
【0052】〔第4実施形態〕図7に本発明の第4実施
形態に係るスラリ処理方法を実現するためのスラリ処理
装置を表す断面、図8に図7のVIII−VIII断面を示す。
【0053】本実施形態において、図7及び図8に示す
ように、スラリ処理装置1Cでは、処理槽2内の上部に
帯電物分離手段として機能する電極群18を備える。こ
の電極群18は、複数の円筒状を呈する電極19を水平
かつ平行に並べた状態で配置したものである。各電極1
9に対しては、図示しない電源装置から、例えば、三相
交流電圧が印加される。各電極19に印加する電圧は、
個別に制御可能とされる。
【0054】また、このスラリ処理装置1Cの処理槽2
には、上下方向(処理槽2の高さ方向)に延在する平坦
な仕切板20が配置されている。仕切板20は、堆積ス
ラリ層C’の略中央部から、電極群18の下方付近まで
延在する。仕切板20は、処理槽2の中心軸から何れか
の側方に偏らせた位置に配置される。また、この仕切板
20の両端部は、処理槽2の内周面と接触するように配
置されるので、仕切板20が延在する領域では、処理槽
2の内部は複数(2つ)に区分される。これにより、上
向流A1 が通過する領域2aと、上向流A1 が存在しな
い領域2b(上向きの流れが少ない領域)とを形成する
ことができる。
【0055】このスラリ処理装置1Cの運転時には、処
理槽2内に設けた電極群18の各電極19に電流を供給
して処理槽2内の一部に電界を形成する。上向流A1
して供給されるスラリ原液Aは、処理槽2内の領域2a
を上昇し、濃厚スラリ層Bを通過すると共に、処理槽2
内の電極群18を通過する。この際、上向流A1 に含ま
れる懸濁物質のうちの帯電物が電極群18によって回収
・分離され、電極群18を超えて上昇することが抑制さ
れる。
【0056】また、各電極19に印加する電圧を制御す
ることにより、分離された帯電物を適宜移動させて回収
することができる。すなわち、各電極19に印加する電
圧を制御することにより、電極群18によって回収され
た上向流A1 中の帯電物を、処理槽2内の上向流A1
存在しない領域2bに移動させ、堆積させることが可能
となる。これにより、極めて清澄度の高い上澄液D(濁
度20ppm以下)を効率よく得ることができる。な
お、仕切板20を省略して、原液供給ノズル7の配置位
置や、上向流A1 の流速を適宜制御して、上向流A1
通過する領域と、上向流A1 が存在しない領域(上向き
の流れが少ない領域)とを形成するようにしてもよい。
また、図7において二点鎖線で示すように、このスラリ
処理装置1Cに対しても、薬注管17、17Aを設け
て、処理槽2内に凝集剤Eを注入するようにしてもよ
い。
【0057】〔第5実施形態〕図9に本発明の第5実施
形態に係るスラリ処理方法を実現するためのスラリ処理
装置を表す断面、図10に図9のX−X断面、図11に
図9のXI−XI断面、図12に本実施形態のスラリ処理装
置による処理時間に対するスラリ堆積高さ及び処理水濁
度を表すグラフを示す。
【0058】本実施形態において、図9乃至図11に示
すように、スラリ処理装置1Dでは、処理槽2に内部を
複数に区画する仕切壁51が設けられると共に、この仕
切壁51によって区画された各区画域ごとに原液供給部
4の原液供給ノズル7が設けられている。この仕切壁5
1は四角筒形状の処理槽2内の上下方向中間部に格子状
に設けられており、処理槽2の内部を複数(16個)の
区画域に区画している。原液供給部4は図示しないポン
プと原液供給管6を有しており、原液供給管6は4つの
分岐して処理槽2の側壁部を略水平に貫通する。各原液
供給管6はそれぞれ4つの原液供給ノズル7が設けられ
ており、各原液供給ノズル7は仕切壁51によって区画
された各区画域内の中心に位置しており、鉛直下方を向
く下開口7bを有している。
【0059】従って、原液供給管6を介して処理槽2内
における仕切壁51にて区画された各区画域にスラリ原
液Aを供給すれば、スラリ原液Aは、原液供給ノズル7
の下開口7bから処理槽2内に流入する。この際、下開
口7bから流出したスラリ原液は、処理槽2の下部の堆
積スラリCに沿って流れてから反転し、上方に向かうス
ラリ原液の上向流A1 が形成される。そのため、この処
理槽2内の堆積スラリCの上方に濃厚スラリ層Bが形成
される。一方、処理槽2の下部には、堆積スラリ排出部
9が設けられており、処理槽2の底部に堆積し、その自
重によって圧密された堆積スラリCは、この堆積スラリ
排出部9によって系外に排出される。堆積スラリ排出部
9は、モータ52によって回転する排出フィーダ53
と、堆積スラリ排出管54とからなる。
【0060】このようにスラリ処理装置1Dは、処理槽
2内にて、濃厚スラリ層Bと堆積スラリCとの間に、原
液供給ノズル7の下開口7bから下に向かってスラリ原
液Aを供給するため、フィルタ機能をもつ濃厚スラリ層
Bを破壊することなく、スラリ原液Aを供給できる。な
お、この場合、濃厚スラリ層Bに比べて堆積スラリCは
圧密により懸濁物質濃度が高いためにスラリ原液Aによ
って供給されにくいが、スラリ原液Aの供給速度は1〜
20cm/sec程度が望ましい。また、処理槽2内は仕切壁
51によって区画されて各区画域ごとに原液供給ノズル
7が設けられているため、濃厚スラリ層B及び堆積スラ
リCが厚さにばらつきが出ずに安定してろ過を行い、極
めて清澄度の高い上澄液Dとして処理できる。
【0061】なお、スラリ処理装置1Dの場合、原液供
給ノズル7の位置に対する濃厚スラリ層Bに堆積スラリ
Cを加えたスラリ堆積高さが、処理水(上澄液D)濁度
に大きな影響を与えている。図12に示すように、スラ
リ堆積高さが原液供給ノズル7の高さを越えると処理水
濁度が急激に良く(低下)なることから、スラリ原液A
をろ過するフィルタ層としての濃厚スラリ層Bが形成さ
れることがわかる。即ち、スラリ処理装置1Dによるス
ラリ原液Aの処理を開始してから90分を越えてから上
澄液Dの排出が可能となり、一方、処理を開始して堆積
スラリCがある程度堆積したなら、スラリ堆積高さが原
液供給ノズル7の高さよりも所定高さ(例えば200m
m)高い位置が維持できるように堆積スラリCを排出す
る。
【0062】また、上述した各実施形態において、処理
槽2内において、原液供給部4(原液供給ノズル7)の
上方に濃厚スラリ層Bを形成し、下方に堆積スラリCを
形成するようにしたが、実際には、濃厚スラリ層Bと堆
積スラリCとを合わせた領域は上部から下部にかけて懸
濁物質の濃度が高くなっているものであり、これは水に
対して懸濁物質の比重が高いため、水が上向流A1 の形
成を補助する一方、懸濁物質はその自重により加工し、
処理槽2の下部に懸濁物質が圧密される。
【0063】そして、上述した各実施形態では、原液供
給部4において、原液供給ノズル7から処理槽2内への
スラリ原液Aの供給方向を上方あるいは下方としたが、
この方向に限らず、斜め上方や斜め下方、あるいは水平
方向であってもよい。この場合、処理槽2の中央部から
水平な放射方向に原液供給ノズルとして原液供給管を複
数配設し、各原液供給管の上下及び左右に開口を形成し
て構成するとよい。処理槽2内へのスラリ原液Aの供給
方向が下方である場合、濃厚スラリ層Bに比べて比較的
粘性度の高い堆積スラリCの層側に液流が加わることと
なり、濃厚スラリ層Bを攪拌飛散する不具合が少ない。
このスラリ原液Aの供給速度及び供給量は、濃厚スラリ
層Bを吹き抜けず、大きな攪拌流を商事内程度が好まし
い。
【0064】以下、上述した本発明の実施形態の適用例
について図面に基づいて詳細に説明する。 〔適用例1〕図13に本発明の実施形態としてのスラリ
処理装置1〜1Dの適用例1を表す概略を示す。本適用
例は、図13に示すように、スラリ処理装置1(1A,
1B,1C,1D)を、副ダム30の底部に堆積した堆
積汚泥21を洗浄分離するシステムに適用した例であ
る。堆積汚泥21は、吸引ポンプ22によって副ダムの
底部から吸引され、洗浄分離装置23に導入される。堆
積汚泥21は、サイクロン24を含む洗浄分離装置23
によって洗浄され、洗浄された粗大粒子は、ダム底等に
排出される。ここで、原液供給部4のポンプ5は、廃水
供給管25によって洗浄分離装置23と接続されてい
る。同様に、原液供給部4のポンプ5は、廃水供給管2
6によってサイクロン24と接続されている。これによ
り、原液供給部4のポンプ5を作動させれば、堆積汚泥
21を洗浄分離する際に生ずる細砂を含む廃水や、有機
物等からなる汚泥を含む廃水が洗浄分離装置23及びサ
イクロン24から処理槽2に供給される。
【0065】これら廃水中の汚泥や細砂等の懸濁物質
は、スラリ処理装置1(1A,1B,1C,1D)の処
理槽2内に形成されており、実質的にろ材やフィルタ等
を用いたろ過層と同様の機能をもつ濃厚スラリ層によっ
て捕捉され、清澄な上澄液が上澄液放出口3から放出さ
れる。この際、従来のろ過器や脱水フィルタ装置のよう
に、スラリ処理を中断して逆洗操作を行う必要は全くな
く、また、各種ろ材やフィルタ材を補充・交換するとい
ったようなことは一切不要となる。
【0066】〔適用例2〕図14に本発明の実施形態と
してのスラリ処理装置1〜1Dの適用例2を表す概略を
示す。本適用例は、図14に示すように、スラリ処理装
置1(1A,1B,1C,1D)を、副ダム30の底部
に堆積した堆積汚泥21を洗浄分離するシステムに適用
した例であり、前述した適用例1において、スラリ処理
装置1等と洗浄分離装置23との間に有機物分離回収装
置40を配置したものに相当する。すなわち、有機物分
離回収装置40は、廃水供給管41を介して洗浄分離装
置23と接続されると共に、ポンプ5を介してスラリ処
理装置1等と接続されている。この有機物分離回収装置
40は、堆積汚泥21を洗浄分離する際に生ずる細砂や
有機物等からなる汚泥を含む廃水から有機物を分離・回
収するために用いられる。
【0067】一般に、ダム(副ダム30)等の湖底に堆
積している堆積汚泥21等には、各種有機物が含まれて
いる。このような有機物は、水域の水質悪化を招くもの
であるが、従来、堆積汚泥21に含まれている有機物を
選択的に回収するのは困難であり、堆積汚泥21中の有
機物を処理するに際しては、各種ろ過装置や脱水フィル
タ装置等を用いて、堆積汚泥21に対して固液分離処理
を施した後、固形成分に天日干し、燃焼処理、バイオ分
解処理等を施すのが通例であった。しかしながら、分離
された固形成分には、有機物のほかに無機物も多量に含
まれてしまうことから、従来の有機物分離回収処理に
は、多大な時間及びコストが必要とされるという問題が
あった。これを踏まえて、ここでは有機物を選択的に分
離・回収可能とし、有機物分離回収処理に要する時間及
びコストを低減させることができる有機物分離回収装置
40を新たに設けている。
【0068】この場合、吸引ポンプ22によって副ダム
の底部から吸引された堆積汚泥21は、サイクロンを含
む洗浄分離装置23によって洗浄され、洗浄された粗大
粒子は、ダム底等に排出される。一方、堆積汚泥21を
洗浄分離する際に生ずる細砂や有機物等からなる汚泥を
含む廃水は、洗浄分離装置23の上部から、廃水供給管
41を介して有機物分離回収装置40の処理容器42内
に導入される。処理容器42内では、導入された廃水に
含まれる有機物が分離される。そして、有機物が取り除
かれた廃水(スラリ原液A)がポンプ5によって処理槽
2内に供給されることになる。このようにスラリ処理装
置1等の処理槽2内にスラリ原液Aを供給する前に、ス
ラリ原液Aに含まれる有機物を分離・回収しておくこと
により、スラリ処理装置1等から排出される堆積スラリ
Cに含まれる有機物を大幅に低減させることができる。
【0069】この有機物分離回収装置40は、有機物と
無機物とを含む各種廃水等から有機物を分離・回収する
ための有機物分離回収装置であって、廃水が導入される
処理容器42と、処理容器42の一側に接続されて廃水
を処理容器42内に上向流として供給可能な廃水供給管
41と、処理容器42の他側に設けられて処理容器42
の内部を仕切る堰部材44と、堰部材44よりも一側で
処理容器42に接続された第1の抜出管45と、堰部材
44よりも他側で処理容器42に接続された第2の抜出
管46とを備えている。
【0070】すなわち、この有機物分離回収装置40
は、例えば、略直方体状に形成された処理容器42を有
する。処理容器42の一側(図14における左側)の下
部には、一端が洗浄分離装置23等に接続される廃水供
給管41の他端が接続されている。廃水供給管41のノ
ズル部41aは、鉛直上方を向く状態で処理容器42に
接続されている。これにより、廃水は、処理容器42の
内部に上向流として供給される。なお、この廃水供給管
41の内径は、対象水域等の水質等に応じて廃水(上向
流)の流速を所望値に設定できるように適宜変更され
る。
【0071】また、廃水供給管41の中途には、薬注管
43が接続されており、薬注管43には、図示しない薬
注ポンプが接続されている。薬注管43からは、廃水供
給管41内を流通する廃水に対して塩化カルシウム(C
aCl2)、塩化第二鉄(FeCl3)、鉄イオン水等
の無機凝集剤(凝集剤)が注入される。これにより、処
理容器42内に導入される廃水中の無機物を効率よく凝
集させることができる。更に、処理容器42の他側(図
14における右側)には、所定の高さをもった堰部材4
4が配置されている。堰部材44は、板状に形成される
と共に、処理容器42の底面に固定されており、底面か
ら所定の高さにわたって処理容器42の内部を略鉛直に
仕切る。堰部材44の高さは、対象水域等の水質等に応
じて適宜設定すればよい。
【0072】また、堰部材44よりも一側(図14にお
ける左側、すなわち、廃水供給管41側)では、抜出管
(第1の抜出管)45が処理容器42の下部に接続され
ており、堰部材44よりも他側(図14における右側、
すなわち、廃水供給管41の反対側)では、抜出管(第
2の抜出管)46が処理容器42の下部に接続されてい
る。一方、処理容器42の他側壁部の上部には、取水管
47が接続されている。この取水管47と抜出管45と
は1本に合流させられた後、スラリ処理装置1等のポン
プ5等に接続されている。加えて、処理容器42の他側
壁部の下部には、例えば、1Hz程度の振動を発生可能
な加振器48が配置されている。
【0073】次に、この有機物分離回収装置40を用い
た有機物分離回収方法について説明すると、この有機物
分離回収方法は、有機物と無機物とを含む各種廃水等か
ら有機物を処理容器42で分離・回収する有機物分離回
収方法であって、処理容器42の一側で、廃水を処理容
器42内に上向流として供給すると共に、処理容器42
の他側で、処理容器42の内部を堰部材44によって仕
切り、堰部材44よりも一側で処理容器42内から堆積
物を抜き出すと共に、堰部材44よりも他側で処理容器
42内から堆積物を抜き出す。
【0074】すなわち、まず、廃水供給管41から、処
理容器42の内部に廃水を供給する。この際、廃水供給
管41のノズル部41aは、鉛直上方を向く状態で処理
容器42下部に接続されているので、廃水は、処理容器
42内に上向流として供給されることになる。この場
合、廃水供給管41から供給する廃水の流速は、低速
(例えば、10cm/s程度)に設定するとよい。ま
た、廃水供給管41内の廃水に対しては、図示しない薬
注ポンプを作動させることにより薬注管43から無機凝
集剤を予め注入しておく。
【0075】処理容器42内に上向流として供給された
廃水は、処理容器42内を流通する。この際、廃水には
予め無機凝集剤が注入されているので、廃水中の無機物
は互いに凝集してフロックを形成する。また、無機物
は、有機物と比較して比重が大きい。従って、廃水中の
無機物は、処理容器42内の上部まで吹き上げられるこ
と無く、処理容器42の一側(図14における左側)の
底部に徐々(早期)に堆積していくことになる。また、
処理容器42内に上向流として供給された廃水に含まれ
る有機物の一部は、処理容器42の一側(図14におけ
る左側)の底部に堆積するが、処理容器42の長さ(一
側から他側までの長さ)をある程度大きく設定しておけ
ば、廃水供給管41のノズル部41a付近で発生する渦
流等の影響によって再度処理容器42の上部に吹き上げ
られることになる。
【0076】一方、廃水に含まれる有機物は、無機物と
比較して比重が小さいことから、その大半は、処理容器
42内に発生する流れにのって処理容器42内の他側
(図14における右側)まで達したのち処理容器42の
底部に堆積することになる。ここで、処理容器42の内
部は、上述したように、堰部材44によって一側と他側
とに仕切られている。従って、処理容器42内の底部に
は、堰部材44よりも一側(図14における左側)で無
機物主体の汚泥が堆積することになり、堰部材44より
も他側(図10における右側)では、有機物主体の汚泥
が堆積することになる。また、この有機物分離回収装置
40では、処理容器42の他側壁部の下部に加振器48
を配置させているので、有機物と無機物とをより効率よ
く分級することが可能となる。
【0077】この結果、堰部材44よりも一側に設けら
れている抜出管45からは、主として無機物からなる堆
積物(汚泥)を抜き出すことが可能となり、堰部材44
よりも他側に設けられている抜出管46からは、主とし
て有機物からなる堆積物(汚泥)を抜き出すことが可能
となる。抜出管46から抜き出された堆積物(有機物主
体)に対しては、焼却処理やバイオ分解処理等が施され
る。また、抜出管45から抜き出された堆積物(無機物
主体)は、取水管47から取水された水分と混合させら
れると共に、ポンプ5によってスラリ処理装置1等に供
給され、上述したスラリ処理の対象とされる。
【0078】このように有機物分離回収装置40を上述
した方法により用いれば、各種廃水等に含まれる有機物
の選択的な分離回収処理を容易かつ確実に実現すること
が可能となる。また、抜出管46から抜き出された堆積
物に対しては、焼却処理やバイオ分解処理等が施される
が、この際、当該堆積物に含まれる無機物の量は極めて
少ないので、有機物処理に要する時間及びコストを大幅
に低減させることができる。また、有機物分離回収装置
40は、簡易な構成を有するので低コストで製造可能で
ある。なお、抜出管45から取り出される堆積物は、無
機物を主体とするものであるので、直接、系外(ダム底
等)に放出することも可能である。
【0079】なお、各実施形態のスラリ処理装置の設置
位置としては、このスラリ処理装置1A,1B,1C,
1Dを、副ダム内の底部に複数設置してもよい。即ち、
副ダムの底部からスラリ原液を陸上の吸引ポンプによっ
て吸引し、原液供給管を通してスラリ処理装置1A,1
B,1C,1Dの処理槽に供給する。この場合、副ダム
の水面高さより処理槽の上部を高くしておき、処理槽内
でろ過処理された清澄度の高い上澄液を、処理槽の上部
からオーバーフローさせて副ダムに戻せばよい。そし
て、処理槽の下部に堆積したスラリが所定量を越えた
ら、スラリ原液の供給を停止し、スラリポンプによって
堆積スラリを陸上の処理設備に搬送したり、処理槽を陸
上に搬送して処理してもよい。
【0080】
【発明の効果】以上、実施形態において詳細に説明した
ように請求項1の発明のスラリ処理方法によれば、処理
槽にスラリ原液を供給し、少なくとも処理槽内のスラリ
原液が、堆積スラリ層と浮遊あるいは沈降する懸濁物質
が存在するスラリ層との2層に分離された後、スラリ層
にスラリ原液を連続して供給してスラリ層によるろ過作
用により、スラリ原液中の懸濁物質をろ過せしめ、処理
槽のスラリ層上部に清澄化した処理水を得るようにした
ので、処理槽内にスラリ原液を供給すると、スラリ原液
中に含まれる懸濁物質の一部が沈降して処理槽内に堆積
スラリ層と懸濁物質が浮遊あるいは沈降するスラリ層と
の2層が形成されることとなり、このスラリ層にスラリ
原液を供給することで、懸濁物質が浮遊または沈降して
いる懸濁物質と相互に付着し合って凝集し、ろ過された
処理水がスラリ層の上部で清澄化されて得られる。従っ
て、処理槽内に形成されるスラリ層が各種ろ材やフィル
タ等を用いたろ過層と実質的に同様の機能をもつことに
なるので、スラリ原液中に含まれる懸濁物質が効果的に
除去され、スラリ原液を清澄化することができ、また、
スラリ処理を中断して逆洗操作を行う必要が全くなくな
ると共に、各種ろ材やフィルタ材を補充・交換するとい
ったようなことが一切不要となり、その結果、低コスト
で効率よくスラリを処理することができる。
【0081】また、請求項2の発明のスラリ処理方法に
よれば、処理槽の上下方向ほぼ中間部にスラリ原液を所
定速度で供給し、このスラリ原液に含まれる懸濁物質を
処理槽内で浮遊あるいは沈降する懸濁物質によりろ過す
ることで処理槽の上部に清澄化した処理水を上昇させる
ようにしたので、処理槽内にスラリ原液を供給すると、
スラリ原液中に含まれる懸濁物質の一部が沈降して処理
槽内に懸濁物質濃度が高い濃厚スラリ層が形成されるこ
ととなり、この濃厚スラリ層に対してスラリ原液が通過
することで、スラリ原液中の懸濁物質が濃厚スラリ層で
浮遊または沈降している懸濁物質と相互に付着し合って
凝集し、ろ過された処理水が処理槽内を上昇して清澄化
されることになる。従って、処理槽内に形成される濃厚
スラリ層が各種ろ材やフィルタ等を用いたろ過層と実質
的に同様の機能をもつことになるので、スラリ原液中に
含まれる懸濁物質が効果的に除去され、スラリ原液を清
澄化することができ、また、スラリ処理を中断して逆洗
操作を行う必要が全くなくなると共に、各種ろ材やフィ
ルタ材を補充・交換するといったようなことが一切不要
となり、その結果、低コストで効率よくスラリを処理す
ることができる。
【0082】また、請求項3の発明のスラリ処理方法に
よれば、スラリ原液を懸濁物質が浮遊あるいは沈降する
濃厚スラリ層の下部に供給することで、濃厚スラリ層を
通過するスラリ原液の上向流を形成するようにしたの
で、スラリ原液が上向流となって確実に濃厚スラリ層を
通過することとなり、スラリ原液中の懸濁物質が濃厚ス
ラリ層で浮遊または沈降している懸濁物質と相互に付着
し合って凝集し、スラリ原液中の懸濁物質を確実にろ過
して容易に清澄化した処理水を形成することができる。
【0083】また、請求項4の発明のスラリ処理方法に
よれば、上向流を濃厚スラリ層の懸濁物質の沈降速度よ
りも小さい流速1〜5m/hとしたので、上向流として
供給されるスラリ原液中の懸濁物質が濃厚スラリ層で浮
遊又は沈降している懸濁物質と相互に付着し合って凝集
し、つまり、懸濁物質が濃厚スラリ層によってろ過され
ることになり、この結果、濃厚スラリ層を通過しながら
処理槽内を上昇するスラリ原液が清澄化されることにな
り、清澄度の高い上澄液を容易かつ確実に得ることがで
きる。
【0084】また、請求項5の発明のスラリ処理方法に
よれば、スラリ原液を下方に向けて供給するようにした
ので、スラリ原液は一度下向流となってから上向流とし
て濃厚スラリ層を通過し、ここでスラリ原液中の懸濁物
質が浮遊又は沈降している懸濁物質と相互に付着し合っ
て凝集し、つまり、過されることになり、この結果、フ
ィルタ機能をもつ濃厚スラリ層を破壊することなく、確
実にスラリ原液を清澄化することができる。
【0085】また、請求項6の発明のスラリ処理方法に
よれば、処理槽へのスラリ原液の供給位置よりも上方に
懸濁物質が浮遊あるいは沈降する濃厚スラリ層を形成す
る一方、この供給位置よりも下方に堆積スラリ層を形成
するようにしたので、処理槽内に濃厚スラリ層が形成さ
れると、濃厚スラリ層で凝集した粗大な懸濁物質は濃厚
スラリ層内を分離、沈殿することとなり、処理槽の下部
に、所定厚さの堆積スラリを堆積させるための領域を確
保し、濃厚スラリ層の下方に自重によって圧密された堆
積スラリ層を形成するようにし、排出汚泥容積を小さく
することが可能となり、また、堆積スラリを適量ずつ排
出すれば、濃厚スラリ層の膨張を抑制可能となり、処理
槽の全高を低く抑えてコンパクト化を図ることができ、
更に、堆積スラリは圧密されているのでその排出作業は
容易であり、加えて、堆積スラリ層を形成しておくこと
により、堆積スラリを排出する場合に、処理槽内に生ず
る水流の発生が緩和されるので、濃厚スラリ層の界面の
上下動を抑制することができる。
【0086】また、請求項7の発明のスラリ処理方法に
よれば、処理槽内に荷電粒子層を設けて清澄化した処理
水を通過させるようにしたので、汚泥等の懸濁物質は通
常マイナスに帯電していることに鑑みて、荷電粒子とし
てプラスに帯電させた粒子を用い、清澄化した処理水の
帯電物をこの荷電粒子層に付着させることにより、上向
流となった処理水中の懸濁物質が荷電粒子層を超えて上
昇するのを抑制することができ、また、荷電粒子層より
も下方の領域における懸濁物質濃度が高くなるので、荷
電粒子層の下方における濃厚スラリ層の形成を促進する
ことができ、更に、処理槽内でスラリ原液の上向流が形
成されると、濃厚スラリ層は膨張する傾向にあるが、荷
電粒子層を設けることによって濃厚スラリ層の膨張を抑
制することができる。その結果、スラリ処理を開始して
から短時間で、濃厚スラリ層を形成することが可能とな
り、また、濃厚スラリ層の過剰な膨張を抑制できるの
で、処理槽の全高を低く抑えてコンパクト化を図ること
ができ、更に、濃厚スラリ層で捕捉されなかった懸濁物
質を荷電粒子層によって回収することができるので、上
澄液の清澄度をより向上させることができる。
【0087】また、請求項8の発明のスラリ処理方法に
よれば、処理槽内に電極群を設けて清澄化した処理水を
通過させるようにしたので、例えば、処理槽内の高さ方
向における中央部又は上部に電極群を設け、各電極に電
流を供給して処理槽内の一部に電界を形成することによ
り、上向流となった処理水に含まれる懸濁物質のうちの
帯電物が電極群によって回収・分離され、電極群を超え
て上昇するのを抑制することができ、また、各電極に印
加する電圧を制御することによって分離された帯電物を
適宜移動させて回収することができる。
【0088】また、請求項9の発明のスラリ処理方法に
よれば、処理槽内に凝集剤を注入するようにしたので、
スラリ原液中の懸濁物質が相互に凝集するのを促進する
ことができ、濃厚スラリ層を早期に形成できると共に、
濃厚スラリ層の懸濁物質濃度を高くすることが可能とな
り、この結果、上向流となったスラリ原液に含まれる懸
濁物質が濃厚スラリ層によって効果的に捕捉されること
になり、清澄度の高い上澄液を早期に効率よく得ること
で処理速度を向上することができ、また、懸濁物質相互
間の凝集性が向上することによって濃厚スラリ層におけ
る懸濁物質の沈降速度が増大し、濃厚スラリ層の界面上
昇が抑制されて処理槽の全高を低く抑えてコンパクト化
を図ることができる。
【0089】また、請求項10の発明のスラリ処理方法
によれば、処理槽内にスラリ原液を供給する前にスラリ
原液に含まれる有機物を分離、回収するようにしたの
で、スラリ処理装置から排出される堆積スラリに含まれ
る有機物を大幅に低減させることができる。
【0090】また、請求項11の発明のスラリ処理方法
によれば、処理槽内を上下方向に延びる仕切壁によって
複数に区画し、この区画域ごとにスラリ原液を供給する
ようにしたので、濃厚スラリ層及び堆積スラリが厚さに
ばらつきが出ずに安定してろ過を行い、極めて清澄度の
高い上澄液として処理することができる。
【0091】そして、請求項12の発明のスラリ処理装
置によれば、スラリ原液が導入される処理槽と、処理槽
の上下方向ほぼ中間部に前記スラリ原液を所定速度で供
給する原液供給部と、処理槽の上部に設けられて処理槽
内で清澄化して上昇した処理水の上澄液を放出する上澄
液放出部と、処理槽底部に堆積した堆積スラリを外部に
排出する堆積スラリ排出部とを設けたので、処理槽内に
スラリ原液を供給すると、スラリ原液中に含まれる懸濁
物質の一部が沈降して処理槽内に懸濁物質濃度が高い濃
厚スラリ層が形成されることとなり、この濃厚スラリ層
に対してスラリ原液が通過することで、スラリ原液中の
懸濁物質が濃厚スラリ層で浮遊または沈降している懸濁
物質と相互に付着し合って凝集し、ろ過された処理水が
処理槽内を上昇して清澄化されることになり、清澄化し
て上昇した処理水の上澄液が上澄液放出部から放出され
る一方、堆積した堆積スラリが堆積スラリ排出部から外
部に排出される。従って、処理槽内に形成される濃厚ス
ラリ層が各種ろ材やフィルタ等を用いたろ過層と実質的
に同様の機能をもつことになるので、スラリ原液中に含
まれる懸濁物質が効果的に除去され、スラリ原液を清澄
化することができ、また、スラリ処理を中断して逆洗操
作を行う必要が全くなくなると共に、各種ろ材やフィル
タ材を補充・交換するといったようなことが一切不要と
なり、更に、スラリ原液を処理槽内に供給するだけでス
ラリ処理が行われるので、動力の必要性を低減すること
ができる。その結果、低コストで効率よくスラリを処理
することができ、高い実用性を有することができる。
【0092】また、請求項13の発明のスラリ処理装置
によれば、処理槽の上部に上澄液中の微小懸濁物質を帯
電せしめて分離する帯電物分離手段を設けたので、処理
槽内を上昇する懸濁物質のうちの帯電物は、帯電物分離
手段によって分離されこととなり、スラリ処理を開始し
てから短時間で濃厚スラリ層を形成することが可能とな
り、また、濃厚スラリ層の過剰な膨張を抑制できるの
で、処理槽の全高を低く抑えてコンパクト化を図ること
ができ、更に、濃厚スラリ層で捕捉されなかった懸濁物
質を荷電粒子層によって回収することができるので、上
澄液の清澄度をより向上させることができる。
【0093】また、請求項14の発明のスラリ処理装置
によれば、処理槽に内部を仕切る仕切板を上下方向に延
在して設けたので、処理槽の内部が複数に区分され、上
向流が通過する領域と、上向流が存在しない、あるい
は、少ない領域とを形成することができ、各電極に印加
する電圧を制御することにより、電極群によって回収さ
れた上向流中の帯電物を、処理槽内の上向流が存在しな
い領域に移動させ、堆積させることが可能となる。
【0094】また、請求項15の発明のスラリ処理装置
によれば、処理槽に内部を複数に区画する仕切壁を上下
方向に延在して設けると共に、この仕切壁によって区画
された各区画域ごとに原液供給部を設けたので、濃厚ス
ラリ層及び堆積スラリが厚さにばらつきが出ずに安定し
てろ過を行い、極めて清澄度の高い上澄液として処理す
ることができる。
【0095】また、請求項16の発明のスラリ処理装置
によれば、スラリ原液をろ過層の下方より上方に通過せ
しめ、含有する懸濁物質をろ過するスラリ処理装置にお
いて、ろ過層をスラリ原液としたので、スラリ原液で形
成したろ過層に対してスラリ原液を下方より上方に通過
せしめて懸濁物質をろ過することとなり、スラリ原液中
の懸濁物質が浮遊または沈降している懸濁物質と相互に
付着し合って凝集し、清澄化した処理水を上澄液として
生成することができ、各種ろ材やフィルタ材が不要とな
り、また、動力の必要性を低減することができる。その
結果、低コストで効率よくスラリを処理することがで
き、高い実用性を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るスラリ処理方法を
実現するためのスラリ処理装置を表す断面図である。
【図2】本実施形態のスラリ処理装置の運転状態を示す
部分断面図である。
【図3】懸濁物質濃度に対するその沈降速度を表すグラ
フである。
【図4】本発明の第2実施形態に係るスラリ処理方法を
実現するためのスラリ処理装置を表す断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係るスラリ処理方法を
実現するためのスラリ処理装置を表す断面図である。
【図6】凝集剤を注入した濃厚スラリ層の状態図であ
る。
【図7】本発明の第4実施形態に係るスラリ処理方法を
実現するためのスラリ処理装置を表す断面図である。
【図8】図7のVIII−VIII断面図である。
【図9】本発明の第5実施形態に係るスラリ処理方法を
実現するためのスラリ処理装置を表す断面図である。
【図10】図9のX−X断面図である。
【図11】図9のXI−XI断面図である。
【図12】本実施形態のスラリ処理装置による処理時間
に対するスラリ堆積高さ及び処理水濁度を表すグラフ図
である。
【図13】本発明の実施形態としてのスラリ処理装置の
適用例1を表す概略図である。
【図14】本発明の実施形態としてのスラリ処理装置の
適用例2を表す概略図である。
【符号の説明】
1,1A,1B,1C,1D スラリ処理装置 2 処理槽 3 上澄液放出口(上澄液放出部) 4 原液供給部 6 原液供給管 7 原液供給ノズル 7a 上開口(供給口) 7b 下開口(供給口) 9 堆積スラリ排出部 12 荷電粒子層(帯電物分離手段) 15 荷電粒子 16 薬注ポンプ、 17,17A 薬注管 18 電極群(帯電物分離手段) 19 電極 20 仕切板 40 有機物分離回収装置 51 仕切壁 A スラリ原液 A1 上向流 B,B1,B2…濃厚スラリ層 C 堆積スラリ C‘ 堆積スラリ層 D 上澄液 E 凝集剤
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 二井内 英見 兵庫県高砂市荒井町新浜二丁目1番1号 三菱重工業株式会社高砂研究所内 (72)発明者 宗実 茂樹 兵庫県高砂市荒井町新浜二丁目1番1号 三菱重工業株式会社高砂研究所内 (72)発明者 吉井 總介 兵庫県高砂市荒井町新浜二丁目1番1号 三菱重工業株式会社高砂研究所内 (72)発明者 山内 崇賢 兵庫県神戸市兵庫区和田崎町一丁目1番1 号 三菱重工業株式会社神戸造船所内 (72)発明者 吉田 謙 兵庫県神戸市兵庫区和田崎町一丁目1番1 号 三菱重工業株式会社神戸造船所内 (72)発明者 小野寺 毅 兵庫県神戸市兵庫区和田崎町一丁目1番1 号 三菱重工業株式会社神戸造船所内 (72)発明者 栄藤 徹 兵庫県神戸市兵庫区和田崎町一丁目1番1 号 三菱重工業株式会社神戸造船所内 (72)発明者 佐々木 健治 兵庫県神戸市兵庫区和田崎町一丁目1番1 号 三菱重工業株式会社神戸造船所内 Fターム(参考) 4D054 FA08 FB03 4D059 AA09 BE31 BE39 BE55 BE65 BJ02 BK06 BK30 CB01 CB06 CB08 CB12 CB27 DA07 DA19 DA22 DA24 EB02

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 処理槽にスラリ原液を供給し、少なくと
    も該処理槽内のスラリ原液が、堆積スラリ層と浮遊ある
    いは沈降する懸濁物質が存在するスラリ層との2層に分
    離された後、該スラリ層に前記スラリ原液を連続して供
    給して該スラリ層によるろ過作用により、該スラリ原液
    中の懸濁物質をろ過せしめ、前記処理槽の前記スラリ層
    上部に清澄化した処理水を得ることを特徴とするスラリ
    処理方法。
  2. 【請求項2】 処理槽内でスラリ原液中に含まれる懸濁
    物質を除去して前記スラリ原液を清澄化するスラリ処理
    方法であって、前記処理槽の上下方向ほぼ中間部に前記
    スラリ原液を所定速度で供給し、該スラリ原液に含まれ
    る前記懸濁物質を前記処理槽内で浮遊あるいは沈降する
    前記懸濁物質によりろ過することで、該処理槽の上部に
    清澄化した処理水を上昇させることを特徴とするスラリ
    処理方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のスラリ処理方法におい
    て、前記スラリ原液を前記懸濁物質が浮遊あるいは沈降
    する濃厚スラリ層の下部に供給することで、該濃厚スラ
    リ層を通過する前記スラリ原液の上向流を形成すること
    を特徴とするスラリ処理方法。
  4. 【請求項4】 請求項3記載のスラリ処理方法におい
    て、前記上向流を前記濃厚スラリ層の前記懸濁物質の沈
    降速度よりも小さい流速1〜5m/hとすることを特徴
    とするスラリ処理方法。
  5. 【請求項5】 請求項3記載のスラリ処理方法におい
    て、前記スラリ原液を下方に向けて供給することを特徴
    とするスラリ処理方法。
  6. 【請求項6】 請求項1記載のスラリ処理方法におい
    て、前記処理槽への前記スラリ原液の供給位置よりも上
    方に前記懸濁物質が浮遊あるいは沈降する濃厚スラリ層
    を形成する一方、該供給位置よりも下方に堆積スラリ層
    を形成することを特徴とするスラリ処理方法。
  7. 【請求項7】 請求項1記載のスラリ処理方法におい
    て、前記処理槽内に荷電粒子層を設け、前記清澄化した
    処理水を通過させることを特徴とするスラリ処理方法。
  8. 【請求項8】 請求項1記載のスラリ処理方法におい
    て、前記処理槽内に電極群を設け、前記清澄化した処理
    水を通過させることを特徴とするスラリ処理方法。
  9. 【請求項9】 請求項1記載のスラリ処理方法におい
    て、前記処理槽内に凝集剤を注入することを特徴とする
    スラリ処理方法。
  10. 【請求項10】 請求項1記載のスラリ処理方法におい
    て、前記処理槽内に前記スラリ原液を供給する前に、該
    スラリ原液に含まれる有機物を分離、回収することを特
    徴とするスラリ処理方法。
  11. 【請求項11】 請求項1記載のスラリ処理方法におい
    て、前記処理槽内を上下方向に延びる仕切壁によって複
    数に区画し、該区画域ごとに前記スラリ原液を供給する
    ことを特徴とするスラリ処理方法。
  12. 【請求項12】 スラリ原液中に含まれる懸濁物質を除
    去して前記スラリ原液を清澄化するスラリ処理装置であ
    って、前記スラリ原液が導入される処理槽と、該処理槽
    の上下方向ほぼ中間部に前記スラリ原液を所定速度で供
    給する原液供給部と、前記処理槽の上部に設けられて該
    処理槽内で清澄化して上昇した処理水の上澄液を放出す
    る上澄液放出部と、前記処理槽底部に堆積した堆積スラ
    リを外部に排出する堆積スラリ排出部とを具えたことを
    特徴とするスラリ処理装置。
  13. 【請求項13】 請求項12記載のスラリ処理装置にお
    いて、前記処理槽の上部に、前記上澄液中の微小懸濁物
    質を帯電せしめて分離する帯電物分離手段を設けたこと
    を特徴とするスラリ処理装置。
  14. 【請求項14】 請求項12記載のスラリ処理装置にお
    いて、前記処理槽に内部を仕切る仕切板を上下方向に延
    在して設けたことを特徴とするスラリの処理装置。
  15. 【請求項15】 請求項12記載のスラリ処理装置にお
    いて、前記処理槽に内部を複数に区画する仕切壁を上下
    方向に延在して設けると共に、該仕切壁によって区画さ
    れた各区画域ごとに前記原液供給部を設けたことを特徴
    とするスラリの処理装置。
  16. 【請求項16】 スラリ原液をろ過層の下方より上方に
    通過せしめ、該スラリ原液中に含有する懸濁物質をろ過
    するスラリ処理装置において、前記ろ過層をスラリ原液
    とすることを特徴とするスラリ処理装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003327601A (ja) * 2002-05-07 2003-11-19 Wolff Cellulosics Gmbh & Co Kg 多糖類誘導体の製造および後処理のための連続的な方法
JP2005007386A (ja) * 2003-05-29 2005-01-13 Masaaki Okajima 汚泥の洗浄方法ならびにその装置
JP2007098253A (ja) * 2005-10-04 2007-04-19 Stem:Kk 閉鎖性汽水域の底質改善方法、及び底質改善程度の判定方法
JP2019171309A (ja) * 2018-03-29 2019-10-10 水ing株式会社 凝集沈殿装置及び凝集沈殿方法

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