JP2000316180A - 移動通信システムおよび移動通信システムにおけるチャネル割当て方法 - Google Patents

移動通信システムおよび移動通信システムにおけるチャネル割当て方法

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JP2000316180A
JP2000316180A JP11125333A JP12533399A JP2000316180A JP 2000316180 A JP2000316180 A JP 2000316180A JP 11125333 A JP11125333 A JP 11125333A JP 12533399 A JP12533399 A JP 12533399A JP 2000316180 A JP2000316180 A JP 2000316180A
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communication system
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Toshiyuki Futakata
敏之 二方
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 移動通信システム間の電波干渉、および移動
通信システム内の電波干渉を軽減、あるいは除去し、通
信品質の向上を図る。 【解決手段】 自移動通信システムの無線基地局と、自
移動通信システムの無線基地局のサービスエリアの近傍
にサービスエリアを有する他の移動通信システムの無線
基地局との間の電波干渉の情報に基づき、自移動通信シ
ステムの無線基地局の通信に対し、かかる電波干渉が発
生しないチャネルを割り当てる。また、自移動通信シス
テム内の無線基地局間の電波干渉の情報に基づき、かか
る電波干渉をも発生しないチャネルを割り当てる。さら
に、チャネル割当てにより、他の無線基地局によるチャ
ネル使用に与える影響を考慮する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばデジタル信
号を用い無線周波数により通信する複数の移動通信シス
テムのサービスエリアが互いに重なり合っている等、近
傍にあって相互に電波干渉がある時、相互のシステムに
おいて発生する電波干渉、および移動通信システム内の
近接する無線基地局相互間で発生する電波干渉を軽減、
あるいは除去し、通信品質の向上を図ると共に、複数の
移動通信システム総合の周波数有効利用の向上を図るた
めの移動通信システムおよび移動通信システムにおける
チャネル割当て方法に関する。
【0002】
【従来の技術】移動体通信システムは情報通信としてサ
ービスエリアの拡大、利用者(加入者)の急速な拡大が
続いている。急激な加入者の増加に対処するためには、
周波数の有効利用が必須である。その技術的な解決に信
号形式のデジタル化があり、また、一つの無線基地局の
サービスエリアを狭くして、場所的に異なるところで周
波数の再利用率を高める方法がある。わが国では1.9
GHz帯域を使用するシステムは公衆通信用としてPH
Sシステムがあり、また、自営システムとして、デジタ
ルコードレス電話システムがある。ところで、PHSシ
ステムやデジタルコードレス電話に使用される周波数帯
域は同一であり、サービスエリアも人口密集地域、ある
いは大規模事業所内等であり、また、適用される規格も
基本的には同一のものが使用されている。実際に、前者
の公衆通信用では3つのシステムがほぼ同一サービスエ
リアに存在しており、同時に特定の場所でのサービスエ
リア自体はさほど広域ではないが、後者のシステムも前
者のサービスエリアと共通するエリアを共有している場
合がある。
【0003】上記の各システムにはそれぞれに所属する
多数の無線基地局があり、それらは各サービスエリアに
点在し、それぞれ無線基地局からは、システムに含まれ
ている利用者(携帯形電話、自動車電話、移動データ端
末等の移動無線端末の所有者であり、以下移動無線機と
総称する)と交信するため無線信号を送受信している。
各システムには自システムに属する無線基地局の送受信
する信号を制御する制御装置が置かれており、この制御
装置を通して自システムに属する移動無線機が自システ
ムの他の移動無線機、あるいは他システムの移動無線機
等と交信可能となっている。
【0004】今後の移動体通信システムの発展を予想す
るに、同一周波数帯域で、基本的に規格も同一で各種シ
ステムが開発され、実用されるものと思われる。このよ
うな各種システムの混在した環境でシステムが運用され
る場合、技術的には下記のような問題が発生する可能性
があり、解決を求められるようになった。
【0005】以下、デジタルコードレス電話システムを
例にとり、現在知られている問題点とその解決策を説明
する。
【0006】デジタルコードレス電話システムの制御チ
ャネルに関して、基地局毎に異なるタイミングとなるよ
う(干渉電力を監視し)制御を行っている。これは、ス
ロット単位ではなく、スーパ−フレーム(720ms)
のなかで、制御チャネルのタイミングを分散するもので
ある。また、マスタ−基地局のタイミングにその他の基
地局が同期を取る方式が実用化されでいる。(電子情報
通信学会B−II Vol.J−81−B−II N
o.4, 1998,April) 一方、通信チャネルについては、1基地局当りの通信容
量が少ないことから、異なる周波数を用いて通信するこ
とにより(つまり周波数軸で干渉を回避することによ
り)通信を行っている。
【0007】近年デジタル符号をスペクトル拡散し多重
化されたシステム(CDMAと略記)が移動通信システ
ムで多用される様になって来た。このシステムの一種で
あるCDMA−TDD(Code Division
Multiple Access Time Div
ision Duplex)(CDMAを用いた時間分
割多重システム)では、無線基地局からの共通制御チャ
ネルは、バースト的であり、同じ特性を得るためには送
信電力を大きくする必要がある。このために、コードレ
ス電話システムのようなシステムにおいては、他のシス
テムの共通制御チャネルが干渉となり、移動局が受信で
きないことが生じる。
【0008】狭帯域通信では、従来例のように異なる周
波数を用いることによる干渉回避が可能である。これに
対し、CDMAシステムのような広帯域通信において
は、拡散コードの直交性により、干渉を押さえ、キャパ
シティを大きくすることが可能なシステムである.この
ために、異なる周波数への干渉回避が不可能であり、干
渉回避は他のスロットヘ移ることにより実現可能とな
る。特にTDDシステムにおいては、隣接するシステム
の上りタイムスロットと自システムの下りタイムスロッ
トのタイミングが一致している場合には、他システムの
移動局が送信する電力が干渉となり、自システムの移動
機の受信品質が著しく劣化する場合がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、同一地
域に複数のシステムが存在し、その各サービスエリアが
重なり合っている事例が発生する様になった。この場
合、システムの異なる多数の無線基地局が同一サービス
エリアを対象に、無線信号により、各システムに所属す
る移動無線機等と交信することになる結果、各システム
の通信トラフィックが小さな場合は問題を生じなかった
が、システムに含まれる移動無線機が多数となり、そこ
から発生する通信トラフィックが大きくなると、システ
ム相互間で電波干渉が発生する状態が出現するようにな
った。
【0010】これは当然の現象であり、同一周波数帯域
を使用し、基本的には同一のシステム規格を有するシス
テム(以下類似システムと略称)が共存した状態で使用
されるからである。ただし、前者の公衆通信用ではシス
テム自体に相互の電波干渉をさける手段がすでに部分的
に講じられているために干渉の発生は若干軽減されてい
るが、前者と後者の間、もしくは後者相互間では電波干
渉をさける手段が講じられていない場合が多いので、悪
影響の程度も大きいことになる。
【0011】システム上の問題とその解決しようとする
課題は以下のようになる。
【0012】まず、共通制御チャネルは、複数ユーザに
共通の制御信号を送信することから、他の通信チャネル
と異なり送信電力制御が行われないことがある。更に、
TDDでは、バースト送信を行うために送信電力を大き
くする必要がある。例えば、連続的に共通制御チャネル
を送信する場合の電力を1とすると、時間的に2タイム
スロット/16タイムスロットだけで伝送する場合に
は、8倍(約9dB)の電力で送信することになる。セ
ルラシステムのように、セル設計を行い送信電力を決定
する方式では、これらの問題はない。しかしながら、コ
ードレスシステムのような自営システムにおいては、セ
ル設計を行うことが不可能であり、共通制御チャネルの
タイムスロットが同じタイミングである場合には、干渉
となり、制御信号を復調できない場合を生じる。このた
めに、異なるシステム間で共通制御チャネルのタイミン
グをずらす必要がある。
【0013】そこで、本発明は上記のシステム相互間で
発生する電波干渉、および上記のシステム内の近接する
無線基地局相互間で発生する電波干渉を軽減、あるいは
除去し、かつシステムの周波数有効利用を向上するため
の手段を提供する。
【0014】まず、システム設置時に、各無線基地局は
システムの制御を総括する制御装置からの指示に従い、
共通制御チャネルを使用して信号を送信する。但し、複
数の無線基地局が同時に共通制御チャネルを送信するこ
とがないように、制御装置は送信する無線基地局を時間
別に指定して実行させる。この指定に従い、近傍にある
各無線基地局では送信された共通制御チャネルの信号を
受信し、制御装置に自無線基地局番号と受信レベルを通
知する。但し、無線基地局から送信した共通制御チャネ
ルの送信電力が各無線基地局により異なっている場合に
は、送信電力レベルも共通制御チャネルの信号に含めて
送信する。
【0015】図2は移動通信システム内の無線基地局間
における電波の受信レベルの例を示す図である。制御装
置は、以上の動作を各無線基地局について順に行うこと
により図2のような各無線基地局間の受信レベル表を作
成・記憶することが可能となる。ここでは送信電力は既
知であるものとしているが、送信電力と受信レベルを合
わせて報告するようにしてもよい。
【0016】また、上記のような自システム内の各無線
基地局間の受信レベル表に加え、近傍に存在する同類の
システムの無線基地局から送信される共通制御チャネル
の信号の受信を自システムの各無線基地局に実行させ、
図3のような同類の受信レベル表の作成を行う。
【0017】図3は異なる移動通信システムの無線基地
局間における電波の受信レベルの例を示す図である。こ
のような受信レベル表の作成を行うのは、自システムと
近傍の他システム間において電波干渉の発生の有無を事
前に調査しておき、自システムの内で電波干渉の発生す
る可能性のある無線基地局からの共通制御チャネルの信
号送信のタイミングを電波干渉の発生しないタイミング
で行わせ、電波干渉の発生がなくかつシステム総合の周
波数有効利用度の向上を可能とする割当てを実施するた
めである。
【0018】さらに、共通制御チャネルの信号送信のタ
イミングや、通話チャネルの使用に関しては近傍に存在
する同類のシステムと可能な限り協議可能なシステム構
成を構築することにした。
【0019】この結果、制御装置では自システムの無線
基地局を他システムから電波干渉を受けない無線基地局
群(Aグル−プ)と、他システムから電波干渉を受ける
無線基地局群(Bグル−プ)とに分類する。その上で、
制御装置では、Aグル−プに属する無線基地局群には自
システム独自の共通制御チャネルのタイミングを定め、
これに従わせる。Bグル−プに属する無線基地局群には
他システムから電波干渉を受けず、かつ自システムのA
グル−プに属する無線基地局の交信にも電波干渉を与え
ない共通制御チャネルのタイミングを定め、これに従わ
せる。
【0020】以上の決定をA、B両グル−プに属する各
無線基地局へそれぞれ連絡する。
【0021】この情報の通知を受けた各無線基地局で
は、この情報に基づき自無線基地局のタイミングを決め
自無線基地局の支配するサービスエリアに存在する移動
無線機との交信時に適用することになる。
【0022】なお、この図2、及び図3の詳細は後述す
る。これらの表は以下説明する様に制御装置が配下の無
線基地局で使用させる同一無線チャネル内の通話チャネ
ル、すなわちタイムスロット内のあるコードを割当てる
際に、干渉妨害のない通話チャネル割当てを実施する時
に使用される。
【0023】さらに、上記の様な状態に保たれたシステ
ムの運用中において、ある無線基地局で突然、近傍にあ
る他システムの無線基地局から電波妨害を受けたとす
る。これは、無線基地局周辺に新しいビルが建設された
とか、道路の拡幅が行われたとかと言う地形・地物の形
状が変化し、従って電波伝搬状態が変化したことがその
原因と考えられる。この報告を受けた制御装置では、そ
の無線基地局に関する共通制御チャネルのタイミングを
変更する。変更の方法は他システムより電波妨害を受け
ず、かつ、自システムのいずれの無線基地局の交信にも
電波干渉を与えないタイミング定め、これを上記の無線
基地局へ伝え、移動無線機との交信時に適用することで
ある。
【0024】上記で説明した手段をシステムに適用した
場合の作用を説明する。
【0025】制御装置の配下のある無線基地局のサービ
スエリアに存在する移動無線機から発呼があったとす
る。この発呼信号を受信した無線基地局では制御装置に
対し移動無線機と交信すべき通話チャネルを割当てる要
求信号を送信する。この時、制御装置ではその無線基地
局に通話チャネルの割当てが可能か否か判断することに
なる。この判断に際し同時に進行している他の通信に対
して干渉妨害を与えず、逆に新しい交信に対して他の通
信から干渉妨害を受けないことと、他システムへも干渉
妨害の授受のない様にすることが良好な通信の維持と周
波数利用を向上するための通信制御の最大要件である。
【0026】すなわち、時分割多重化されたデジタル信
号を用いた移動通信システムにおいて、システムの属す
る無線基地局のサービスエリアに存在する1つの移動無
線機から発呼信号が制御チャネルを用いて送信して来た
とする。これを受信した無線基地局ではこの情報を制御
装置へ送信する。この信号を受信した制御装置では、こ
の無線基地局のグル−プ種別を判断して、次のプロセス
により干渉妨害の発生する可能性のない通話チャネルの
存在の有無を調査する。
【0027】まず、上記の無線基地局がAグル−プに属
する場合は、その無線基地局をはじめ近傍の無線基地局
で使用中の無線チャネル、無線チャネル内における各タ
イムスロット内の通話チャネルの使用状況と記憶されて
いる図2の表を用いて検討する。
【0028】次に上記の無線基地局がBグル−プに属す
る場合は、その無線基地局をはじめ近傍の無線基地局で
使用中の無線チャネル、無線チャネル内における各タイ
ムスロット内の通話チャネルの使用状況と記憶されてい
る図2による判断に加え、図3の表を用いて、近傍の他
システムの無線基地局で使用中の無線チャネル内の各タ
イムスロット内の通話チャネルの使用状況の調査による
総合的な検討を行う。
【0029】上記の検討の結果、干渉妨害の発生する可
能性のない通話チャネルが存在する事を認識出来た場合
は、発呼を実行させることになる。
【0030】以上の実行では、明らかに自システム内の
各無線基地局間での電波妨害の発生、他システムから受
ける電波妨害の発生の可能性が除去されている。
【0031】上記に加えて、共通制御チャネルの信号送
信のタイミングや、通話チャネルの使用に関しては近傍
に存在する同類のシステムと可能な限り協議可能なシス
テム構成を構築することにしたから、この協議により複
数のシステム総合として、干渉妨害の発生の除去、ない
し軽減が図られると共に周波数有効利用度の向上が可能
となる。
【0032】上記にのべた同類のシステム間の協議の一
例として、電波伝搬特性の変化等何等かの原因でシステ
ム動作中に新しく発生した他システムからの電波妨害に
も直ちに対策を講じることが可能となり、システム運用
が柔軟かつ円滑な動作が可能となる。
【0033】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、無線基地局を備えた移動通信システムであって、自
移動通信システムの無線基地局と、自移動通信システム
の無線基地局のサービスエリアの近傍にサービスエリア
を有する他の移動通信システムの無線基地局との間の電
波干渉の情報に基づき、自移動通信システムの無線基地
局の通信に対し、前記電波干渉が発生しないチャネルを
割り当てるチャネル割当て手段を備えたことを特徴とす
る。
【0034】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の移動通信システムにおいて、前記チャネル割当て手段
は、サービス中に、自移動通信システムの無線基地局と
前記他の移動通信システムの無線基地局との間の電波干
渉が発生した場合には、前記電波干渉の情報に基づき、
自移動通信システムの無線基地局の通信に用いるチャネ
ルの再割当てを行うことを特徴とする。
【0035】請求項3に記載の発明は、請求項2に記載
の移動通信システムにおいて、前記他の移動通信システ
ムの無線基地局が送信する共通制御チャネルのタイミン
グ情報を受信する手段をさらに備え、前記チャネル割当
て手段は、前記チャネルの再割当てにおいて、自移動通
信システムの無線基地局が送信する共通制御チャネルの
タイミングと、前記他の移動通信システムの無線基地局
が送信する共通制御チャネルのタイミングとがずれるよ
うにチャネルの割当てを行うことを特徴とする。
【0036】請求項4に記載の発明は、請求項1ないし
3のいずれかに記載の移動通信システムにおいて、前記
チャネル割当て手段は、チャネル割当てにより、前記他
の移動通信システムの無線基地局によるチャネル使用に
与える影響を考慮して割り当てるチャネルを決定するこ
とを特徴とする。
【0037】請求項5に記載の発明は、請求項1ないし
4のいずれかに記載の移動通信システムにおいて、前記
電波干渉の情報、および/または前記他の移動通信シス
テムの無線基地局によるチャネル使用に与える影響に関
する情報の全部または一部は、前記他の移動通信システ
ムとの通信により取得することを特徴とする。
【0038】請求項6に記載の発明は、請求項1ないし
5のいずれかに記載の移動通信システムにおいて、前記
チャネル割当て手段は、自移動通信システム内の無線基
地局間の電波干渉の情報に基づき、該電波干渉をも発生
しないチャネルを割り当てる(自移動通信システムの無
線基地局と他の移動通信システムの無線基地局との間の
電波干渉の情報に基づくとともに、自移動通信システム
内の無線基地局間の電波干渉の情報にも基づき、自移動
通信システムの無線基地局の通信に対し、他の移動通信
システムの無線基地局との間の電波干渉、および自移動
通信システム内の他の無線基地局との間の電波干渉が発
生しないチャネルを割り当てる)ことを特徴とする。
【0039】請求項7に記載の発明は、請求項6に記載
の移動通信システムにおいて、前記チャネル割当て手段
は、チャネル割当てにより、自移動通信システムの無線
基地局によるチャネル使用に与える影響を考慮して割り
当てるチャネルを決定することを特徴とする。
【0040】請求項8に記載の発明は、請求項1ないし
7のいずれかに記載の移動通信システムにおいて、前記
無線基地局間の電波干渉の情報は、前記無線基地局間で
共通制御チャネルを用いて信号を送受信した場合の電波
の受信レベルであることを特徴とする。
【0041】請求項9に記載の発明は、無線基地局を備
えた移動通信システムにおけるチャネル割当て方法であ
って、自移動通信システムの無線基地局と、自移動通信
システムの無線基地局のサービスエリアの近傍にサービ
スエリアを有する他の移動通信システムの無線基地局と
の間の電波干渉の情報に基づき、自移動通信システムの
無線基地局の通信に対し、前記電波干渉が発生しないチ
ャネルを割り当てることを特徴とする。
【0042】以上の構成によれば、移動通信システムに
おいて電波干渉を可能な限り低減でき、システムとして
加入者容量の増大が図られ、かつ、利用者に良好な通信
品質のサービスを提供可能となる。
【0043】
【発明の実施の形態】以下、図1〜図11を用いて本発
明の実施形態を説明する。
【0044】図1は複数の無線基地局を包含する移動通
信システム(例えば、事業所用デジタルコードレス電話
システム)の構成例を示す図である。この場合、4個の
無線基地局71〜74が示されており、これらがPBX
等制御機能を有する制御装置70に集線されている。各
無線基地局はサービスエリア171〜174を有し、そ
のサービスエリアが集まってシステムのサービスエリア
が形成される。図中の81〜88は移動無線機(携帯電
話(データ)機、携帯端末)を示す。この移動無線機は
サービスエリア171〜174内を通信しながら自由に
他の無線基地局のサービスエリア171〜174へ移行
することが出来る。
【0045】図5は複数の事業所用デジタルコードレス
電話システムの無線基地局配置の例を示す図である。図
中では4個のシステム、システム1、2、3および4が
示されている。システム1は無線基地局1〜5を備え、
各無線基地局のサービスエリアは101〜105で示さ
れている。システム2は無線基地局21および22を備
え、各無線基地局のサービスエリアは121および12
2で示されている。システム3は無線基地局41および
42を備え、各無線基地局のサービスエリアは141お
よび142で示されている。システム4は無線基地局6
1および62を備え、各無線基地局のサービスエリアは
161、162aおよび162bで示されている。以下
の説明で中心となるのはシステム1である。
【0046】システム1で5個の楕円は各中央部に設置
されている各無線基地局1〜5のサ−ビスエリアを示
す。各無線基地局1〜5は矩形で示されている。図5で
楕円の重なりはサ−ビスエリアが重なっていることを示
すが、重なり合ったエリアではそのエリアを支配する各
無線基地局1〜5から送信される無線信号が干渉妨害を
示す可能性のあることを示している。図示されていない
が、システムのサ−ビスエリア内には多数の移動無線機
が存在し、通信中、或いは待機中の状態にある。また、
これも図示されていないが、システムには無線基地局を
統括制御する制御装置が含まれており、各無線基地局と
は伝送路で結合されている。
【0047】さらに図5ではシステム1の他システムと
してシステム2、3および4が示されている。このう
ち、システム2(無線基地局21、22を菱形で表示)
とシステム1とのサ−ビスエリアの重なりは全くない。
一方システム3の無線基地局41(ベース形5角形で図
示)のサ−ビスエリアはシステム1の無線基地局3のサ
−ビスエリアと一部で重なっており、干渉妨害の発生す
る可能性のあることを示している。また、システム4の
無線基地局62(6角形で図示)は従来、システム1の
無線基地局4とサ−ビスエリアの重なりはなかったが、
無線基地局周辺の電波伝搬状態が変化したため、無線基
地局62のサ−ビスエリアが実線で示す楕円162aか
ら破線で示す楕円162bに変化した結果、無線基地局
4のサ−ビスエリア104と重なりが生じ、干渉妨害の
発生する可能性のあることを示している。なお、図示の
システム1の無線基地局数は5であり、近傍に存在する
システム2、3および4の無線基地局数は各々2となっ
ている。実際はさらに多数であるが、簡単のため省略さ
れている。
【0048】図2は前述したように、移動通信システム
内の無線基地局間における電波の受信レベルの例を示す
図であり、図5の様な無線基地局配置を有する場合の測
定例と考えることが出来る。すなわち、通信に使用する
各無線基地局1〜5の無線チャネルに関し、各無線基地
局1〜5が、あらかじめ各無線基地局1〜5を総括制御
する制御装置に無線基地局間で干渉妨害の発生する可能
性の有無、干渉量の測定結果の情報を報告したものであ
る。ここでは送信電力は既知であるものとしているが、
送信電力と受信レベルをあわせて報告するようにしても
よい。図中の各欄の数字は干渉量の大きさを示し、数値
が大きいほど干渉量が大きいことを示している。また空
欄は干渉量が全く測定出来なかったことを意味し、干渉
関係にないことを示す。なお、例えば、無線基地局1送
信、無線基地局4受信の時の干渉量測定値と無線基地局
4送信、無線基地局1受信の時の測定値が異なるのは、
無線基地局1と無線基地局4との送信電力レベル、正確
に実効放射電力が異なっている事を示している。同様な
事は、無線基地局5送信、無線基地局1受信の時は干渉
関係にあるが、逆に無線基地局1送信、無線基地局5受
信の時は干渉量の測定値は得られておらず、これは無線
基地局1の実効放射電力レベルが低く、無線基地局5で
は干渉妨害が発生していない事を示している。
【0049】図3は前述したように、異なる移動通信シ
ステムの無線基地局間における電波の受信レベルの例を
示す図であり、図5の様な無線基地局配置を有する場合
の測定例と考えることが出来る。すなわち、近傍に存在
する同類の他システムの無線基地局から送信された共通
制御チャネルの信号の受信を自システムの各無線基地局
に実行させた結果を示したものである。図中の各欄の数
字の意味は図2と同様である。図3では、無線基地局3
のみがシステム2の無線基地局41から送信された信号
の受信を行った場合を示しており、他の空欄、例えば無
線基地局1では近傍に存在する同類の他システムのすべ
ての無線基地局21、22、41、42、61および6
2から送信された信号が全く受信できなかった場合を示
している。ただし、無線基地局4でシステム4の無線基
地局62から送信された信号の受信として括弧()内の
数字が記されているが、これは以前は無測定値だった
が、電波伝搬特性の変化等何等かの事情により、干渉妨
害が発生するようになった場合を示している。なお、図
3では近傍に存在する他システムの無線基地局から送信
された信号の受信値を示しており、自システムが他シス
テムへ及ぼす妨害については不明である。
【0050】図4は時分割多重化されたデジタル信号を
用いた移動通信システムで使用されているフレーム構成
例のイメージを示す図である。横軸方向は時間軸を表
し、1フレームのタイムスロットは16個である。縦軸
方向はコードあるいは周波数を表す。この図では縦軸方
向のコードあるいは周波数の数は8であり、通話チャネ
ル8個が多重化されている例を示している。
【0051】以下実際のシステム運用例として移動無線
機近傍の通信トラフィックがやや混雑している場合にお
ける通話チャネル用のタイムスロットの割当てを図6
(a)〜(c)により説明する。
【0052】図6は、図5のシステム1の各無線基地局
1〜5がサービスエリアで各移動無線機との通信に使用
している通話チャネルの一例を示す図である。簡単のた
め、システムの有する無線チャネル数を1、この無線チ
ャネル内で割当て可能なタイムスロット数を4とし、か
つタイムスロット内の多重度を1とする。これらの使用
状態が図6(a)の様であったとする。図で○印はその
チャネルが使用中である事、☆印はそのチャネルが不使
用、すなわち、アイドルチャネルである事、従って新し
い発呼があればこれを使用可能である事、△はそのチャ
ネルは不使用であるが、もしも使用すると、隣接無線基
地局で使用中の通話チャネルへ干渉妨害が発生する可能
性があり、実質的に使用不可能な事を示している。図6
(a)の各無線基地局1〜5の状態を説明すると下記の
ように表現出来る。
【0053】・無線基地局1では通話チャネル1が使用
中、通話チャネル4はアイドル、通話チャネル2、3は
使用不可能である。
【0054】・無線基地局2では通話チャネル4はアイ
ドル、通話チャネル1、2、3は使用不可能である。
【0055】・無線基地局3では通話チャネル1、2が
使用中、通話チャネル3、4はアイドルである。
【0056】・無線基地局4では通話チャネル2が使用
中、通話チャネル3、4はアイドル、通話チャネル1は
使用不可能である。
【0057】・無線基地局5では通話チャネル3が使用
中、通話チャネル2、4はアイドル、通話チャネル1は
使用不可能である。
【0058】上記の状態にある時、無線基地局5のサー
ビスエリア内の移動無線機から新しい発呼が起きたとす
る。この発呼要求を無線基地局5から受けた制御装置で
は無線基地局5へどの通話チャネルを与えるのがシステ
ム全体をみて最適か、すなわち、システムとしてもっと
も周波数有効利用が高いかを検討し、実行することにな
る。以下その方法を説明する。制御装置では無線基地局
5で割当て可能な通話チャネルを調査した所、通話チャ
ネル2、もしくは4が割当て可能な事を認識する。そこ
で、もしも通話チャネル2を割当てたとすると、隣接無
線基地局1及び2へおよぼす影響は図6(b)に示され
る。この図の意味は以下である。
【0059】・無線基地局5で新しく通話チャネル2
(図中で□印)が使用開始されても、無線基地局1、
2、3および4のすべての局における干渉妨害の発生は
なく、また、新規の呼のため各無線基地局の所有する使
用可能なアイドル通話チャネルが使用不可能に変化する
こともない。
【0060】一方、もしも通話チャネル4を割当てたと
すると、隣接無線基地局へおよぼす影響は図6(c)に
示されようになる。この図の意味は以下である。
【0061】・無線基地局5で新しく通話チャネル4
(図中で□印)が使用開始されても、今まで通話中のす
べての局における干渉妨害の発生はないが、無線基地局
1、2でアイドル通話チャネル4が使用不可能(図6
(a)中の☆印が△印)に変化するという影響を受ける
ことになる。この結果、無線基地局2では使用可能な通
話チャネルは全くなくなり、新しい呼の発生に対応不可
能となる。また、無線基地局1においても、アイドル通
話チャネル4が使用不可能となるので、現在通話中の通
話チャネル1がアイドルにならない限り、新しい呼の発
生に対応不可能となる。
【0062】上記は一例であり、無線チャネルの有する
タイムスロット数を4と限定し、しかも多重度を1とし
たが、実際のタイムスロット数は8もしくは16であ
り、また、多重度は8チャネルと多数を有しているの
で、上記より複雑となるが通話チャネルの付与法の基本
は上記と同様である。また、実際のシステムでは無線基
地局数が10局以上の例が少なくなく上記の例の様に5
局と限定出来ないが、制御装置における検討事項はこの
例と全く同様である。このように、制御装置における通
話チャネルの割当てが、システム全体の通話トラフィッ
クの容量増加に大きな影響を与える事、従って、周波数
の有効利用率向上に果たす役割の大きい事が明らかにな
った。
【0063】上記は同一システム内において周波数の有
効利用を図った通話チャネル割当て例であるが、以下他
システムと干渉関係にある無線基地局において他システ
ムとの協調を図りつつ自システムにおける通話チャネル
割当てを実行する例を図7(a)〜(c)により説明す
る。
【0064】図7は、図5のシステム1の無線基地局2
および3ならびにシステム3の無線基地局41および4
2がサービスエリアで各移動無線機との通信に使用して
いる通話チャネルの一例を示す図である。図5で説明し
たように無線基地局3は近傍にある他システム3に含ま
れる無線基地局41と互いに干渉関係にある。すなわ
ち、無線基地局3のサービスエリアに存在する移動無線
機との交信時の無線信号が無線基地局41のサービスエ
リアに存在する他システムに属する移動無線機が無線基
地局41との交信信号に相互に干渉妨害を発生する可能
性のあることを示している。
【0065】さて、システム1の無線基地局2、及び無
線基地局3とシステム3の無線基地局41、及び無線基
地局42における通話チャネルの使用状態が図7(a)
の様であったとする。ただし、システム3の無線基地局
41、及び無線基地局42における通話チャネルの使用
状態はシステム3の制御装置が管理しており、システム
1では把握不可であるが、ここでは説明上明記してい
る。また、図中で○、☆、△印等は図6と同様とする。
図7(a)の各無線基地局2、3、41および42の状
態を説明すると下記のように表現出来る。
【0066】・無線基地局2では通話チャネル4はアイ
ドル、通話チャネル1、2、3は使用不可能である。
【0067】・無線基地局3では通話チャネル3、4は
アイドル、通話チャネル1、2は使用中である。
【0068】・無線基地局41では通話チャネル1、
2、3は使用不可能、通話チャネル4はアイドルであ
る。
【0069】・無線基地局42では通話チャネル1、
2、3が使用中、通話チャネル4はアイドルである。
【0070】上記の状態にある時、無線基地局3のサー
ビスエリア内の移動無線機から新しい発呼が起きたとす
る。この発呼要求を無線基地局3から受けた制御装置で
は無線基地局3へどの通話チャネルを与えるのが自シス
テムとしては最適か、すなわちもっとも周波数有効利用
が高いかをまず検討し、ついで他システムとの調整が可
能としてそのシステム運用も考慮した最適通話チャネル
割当てを実行することになる。
【0071】制御装置では無線基地局3で割当て可能な
通話チャネルを調査した所、通話チャネル3、もしくは
4が割当て可能な事を認識する。そこで、もしも通話チ
ャネル3を割当てたとすると、自システムの隣接無線基
地局2へおよぼす影響は図7(b)に示される。
【0072】ついで、他システム3の制御装置との連絡
が可能として、通話チャネル3、もしくは4のいずれを
割当てた方が、他システムのシステム運用に与える悪影
響が少ないかを問い合わせることになる。この連絡を受
けた他システム3の制御装置では無線基地局41、42
における通話チャネルの使用状態を把握しており、その
結果、通話チャネル3を割当てた時の他システム3の無
線基地局41へおよぼす影響は図7(b)に示される。
この図の意味は以下の通りである。
【0073】・無線基地局3で新しく通話チャネル3
(図中で□印)が使用開始されても、無線基地局2、あ
るいは無線基地局41における干渉妨害の発生はなく、
また、新規の呼のため各無線基地局の所有する使用可能
なアイドル通話チャネルが使用不可能に変化することも
ない。
【0074】一方、もしも通話チャネル4を割当てたと
すると、隣接無線基地局2、あるいは無線基地局41へ
およぼす影響は図7(c)に示されようになる。この図
の意味は以下である。
【0075】・無線基地局3で新しく通話チャネル4
(図中で□印)が使用開始されても、今まで通話中の無
線基地局における干渉妨害の発生はないが、無線基地局
2でアイドル通話チャネル4が使用不可能(図7(a)
中の☆印が△印)に変化するという影響を受けることに
なる。この結果、無線基地局2では使用可能な通話チャ
ネルは全くなくなり、新しい呼の発生に対応不可能とな
る。また、無線基地局41においても、同様にアイドル
通話チャネル4が使用不可能となるので、使用可能な通
話チャネルは全くなくなり、新しい呼の発生に対応不可
能となる。
【0076】上記の場合はシステム1の制御装置では通
話チャネル4を割当てることは自システム自体賢明でな
く、当然通話チャネル3を割当てることになる。また、
システム3の制御装置からは通話チャネル4でなく通話
チャネル3を割当てた方がシステム3のシステム運用に
与える悪影響が少ない旨の情報を送信して来ており、こ
の結果はシステム1、システム3を通して極めて周波数
有効利用度の高い割当てが実行されたことになる。
【0077】上記は一例ではあり、無線チャネルの有す
るタイムスロット数を4と限定し、しかも多重度を1と
したが、実際はタイムスロット数が8もしくは16であ
り、また、多重度は8チャネルと多数を有しているの
で、上記より複雑となるが通話チャネルの付与法の基本
は上記と同様である。また、実際のシステムでは無線基
地局数が10局以上の例が少なくなく上記の例の様に5
局と限定出来ないが、制御装置10における検討事項は
この例と全く同様である。
【0078】また、実際問題としては、常に上記のよう
な隣接システムの利害と一致した通話チャネルの割当が
可能とは言い切れないが、通信トラフィックの混雑して
いない前から常に上記のような通話チャネルの割当て情
報を交換することにより、あたかも同一システムのよう
なシステム運用が可能となる結果、複数のシステムを総
合して周波数有効利用度の高い通話チャネル割当てが実
行されることになる。このように、制御装置における通
話チャネルの割当て時の検討が、自システム及び他シス
テム総合の通話トラフィックの容量増加に大きな影響を
与える事、従って、周波数の有効利用率向上に果たす役
割の大きい事が明らかになった。
【0079】以下、図8に示すシステム動作のフローチ
ャートにより図2の作成法、図9〜図11に示すシステ
ム動作のフローチャートにより、上記に説明したシステ
ム内の通話トラフィック状態に加え、隣接した他システ
ムとの協調、他システムからの干渉妨害を受けた場合の
対応等に関し制御装置の行う制御動作を説明する。
【0080】図8は移動通信システム内の無線基地局間
における電波の受信レベルを得るためのフローチャート
である。
【0081】以下、図8に示す手順を図5に示すシステ
ム1に適用した場合を例として説明する。システム1の
制御装置、無線基地局1、2、3、4、及び5は動作を
開始しているがまだ実際のシステム運用は行われていな
いとする。制御装置では配下の無線基地局1ないし5の
すべてに対し、割当てられた時間タイミングにより共通
制御チャネルを用いて信号の送信を規定の送信電力レベ
ルで行うこと、及び、周辺の無線基地局より送信された
信号の受信レベルを測定すること、等を要請する信号を
送付する(S10)。制御装置からの信号を受信した各
無線基地局1ないし5では夫々に与えられた時間タイミ
ングにより共通制御チャネルで信号を送信すると共に、
周辺の無線基地局より送信された信号の受信レベルの計
測を実行する(S20)。なお、各無線基地局から送信
される信号には制御装置10の要請で自無線基地局のI
D(識別情報)のほか、共通制御チャネルの送信電力レ
ベルも含まれている。
【0082】次に制御装置では配下の無線基地局1ない
し5のすべてに対し、割当てられた時間タイミングによ
り上記の測定結果を受信レベルで制御装置へ送信するよ
うに要請する(S30)。この指示を受けた各無線基地
局1ないし5では夫々に与えられた時間タイミングによ
り各受信レベルを制御装置へ送信する(S40)。無線
基地局1ないし5からのこれらの各受信レベルを受信し
た制御装置では、各無線基地局相互間の受信レベルを作
成し記憶する(S50)。
【0083】以上のようなプロセスにより図2は完成さ
れる。同様な動作により、図3も完成され、それ以後に
おいて、制御装置はこの図2、図3を活用した発呼、着
呼等のシステム動作を実施可能となる。
【0084】制御装置の行うシステム動作の内、サービ
スエリア内の通話トラフィック状態がやや多く、配下の
無線基地局に付与すべき通話チャネル割当てに注意が必
要な場合の動作を図9に示すシステム動作のフローチャ
ートにより説明する。
【0085】図9は、システム内の通話トラフィック状
態がやや多く、制御装置の通話チャネル割当てに注意が
必要な場合のシステム動作を示すフローチャートであ
る。システム1の制御装置、無線基地局1、2、3、
4、及び5をはじめサービスエリア内にある多くの移動
無線機はすでにシステム動作を開始しているものとす
る。また、システム内の通話トラフィックは図6(a)
に示されている状態にあるとする。この時に移動無線機
から新しい発呼が起こされ、上り制御チャネルで発呼信
号が送出されたとする(S210)。この信号は最寄り
の無線基地局5で受信され、制御装置へ通話チャネル割
当ての要請信号を送信する(S220)。無線基地局5
よりの通話チャネル割当て要請を受けた制御装置ではシ
ステムのサービスエリア内の通話トラフィックを調査し
た所、図6(a)で示されている状態にあることを認識
し、図2を参考に無線基地局5で使用させる通話チャネ
ルの検討を開始する(S230)。この結果、近傍の無
線基地局で使用している通話チャネルへの干渉妨害を与
えることなく、通話チャネル2もしくは4が可能である
ことが判明する。ただし、通話チャネル2を与えた場合
は、すでに説明した図6(b)のように、近傍の無線基
地局1、2の所有するアイドルチャネルの状態に変化は
ないが、通話チャネル4を与えた場合は、図6(c)の
ように、近傍の無線基地局1、2の所有するアイドルチ
ャネルの状態が使用可能から使用不可能に変化すること
がわかる。従って、通話チャネル4を与えることは賢明
でなく通話チャネル2を与えるべきと判断する。
【0086】そして、無線基地局5に対し、通話チャネ
ル2を与えることを連絡する(S240)。この連絡を
受信した無線基地局5では移動無線機へ通話チャネル2
を使用するように指示する(S250)。移動無線機で
はこの指示信号に従い通話チャネル2でダイヤル信号を
送信する(S260)。この信号は無線基地局5で受信
され、制御装置へ転送される(S270)。制御装置1
0は通信網側へ転送し(S280)、通信網内の被呼電
話機へ伝える。ただし、通信網や被呼電話機は図示され
ていない。以上のプロセスで発呼者と被呼者の間での伝
送路の設定が完了し、被呼者が電話機をハングアップす
ると通話が開始される(S290)。
【0087】次に、システム1、システム3内の通話ト
ラフィック状態が多く、またシステム3内の無線基地局
41と互いに干渉関係にある無線基地局3のサービスエ
リアに存在する移動無線機から発呼要求が出された場合
の制御装置の通話チャネル割当てに関する動作を図10
に示すシステム動作のフローチャートにより説明する。
【0088】図10は、互いに干渉関係にある無線基地
局の一方のサービスエリアに存在する移動無線機から発
呼要求が出された場合の制御装置の通話チャネル割当て
に関するシステム動作を示すフローチャートである。シ
ステム1の制御装置、無線基地局1、2、3、4、及び
5とサービスエリア内にある多くの移動無線機100は
すでにシステム動作を開始しているものとする。同様に
システム3の制御装置30、無線基地局41、42をは
じめサービスエリア内にある多くの移動無線機200も
すでにシステム動作を開始しているものとする。
【0089】さて、無線基地局3のサービスエリアに存
在する移動無線機からの発呼信号(S410)は無線基
地局3により受信され、制御装置に通話チャネル割当て
要求信号が送信される(S420)。この信号を受信し
た制御装置では図9のステップS230で説明したのと
同様の動作を開始し、その結果チャネル3もしくは4が
割当て可能であることを認識するが、今回の発呼無線基
地局3は図3よりBグル−プに属し、他システムからの
干渉妨害の影響を受ける可能性があるので、この情報を
システム3の制御装置へ連絡する(S430)。なお、
Aグループに属する場合にはこの連絡は必要ない。この
信号を受信したシステム3の制御装置ではシステム3の
通話チャネル使用に受ける影響の調査を開始する(S4
40)。
【0090】一方、システム1の制御装置では、通話チ
ャネル3もしくは4の内、いずれを与えた方がシステム
1の周波数有効利用が図れるかを検討する(S46
0)。その結果、通話チャネル3を与えた場合には、す
でに説明した図7(b)のように、近傍の無線基地局2
の所有するアイドルチャネルの状態に変化はないが、通
話チャネル4を与えた場合は、図7(c)のように、近
傍の無線基地局2の所有するアイドルチャネルの状態が
使用可能から使用不可能に変化することがわかる。従っ
て、通話チャネル4を与えることは賢明でなく通話チャ
ネル3を与えるべきと判断するが、システム3の制御装
置からの反応を見守ることにする。
【0091】システム3の制御装置では上記のシステム
1の制御装置で行ったのと同様な検討を開始している。
その結果、通話チャネル3の使用をシステム1に許容し
た場合には、すでに説明した図7(b)のように、無線
基地局41の所有するアイドルチャネルの状態に変化は
ないが、通話チャネル4の使用を許容した場合には、図
7(c)のように、近傍の無線基地局41の所有するア
イドルチャネルの状態が使用可能から使用不可能に変化
することがわかる。システム3の制御装置は、以上のよ
うなシステム3の通話チャネル使用に受ける影響をシス
テム1の制御装置に送信(回答)する(S450)。な
お、ステップS450において、システム3の制御装置
は、かかる影響を送信するのではなく、システム1の制
御装置に対し、通話チャネル4の使用は容認出来ず通話
チャネル3を使用するように指示するようにすることも
できる。
【0092】システム3の制御装置からの回答を受信し
たシステム1の制御装置では、通話チャネルの割当てに
よる自システムおよび他システムの無線基地局への影響
を考慮して割り当てるチャネルを決定する。この場合、
通話チャネル3を割り当てることが両システムにとって
好ましいことを認識し、無線基地局3に通話チャネル3
を使用させることを決定し、無線基地局3へ連絡すると
共にシステム3の制御装置へも回答する(S460)。
【0093】システム1の制御装置からの連絡を受信し
た無線基地局3では移動無線機へ通話チャネル3を使用
するように指示する(S470)。移動無線機ではこの
指示信号に従い通話チャネル3でダイヤル信号を送信す
る(S480)。この信号は無線基地局3で受信され、
システム1の制御装置へ転送される(S490)。シス
テム1の制御装置ではこれを通信網側へ転送し(S50
0)、通信網内の被呼電話機へ伝える。ただし、通信網
や被呼電話機は図示されていない。以上のプロセスで発
呼者と被呼者の間での伝送路の設定が完了し、被呼者が
電話機をハングアップすると通話が開始される(S52
0)。一方、システム1の制御装置からの連絡を受信し
たシステム3の制御装置では、この情報を記憶し今後に
備えることにする(S510)。
【0094】次にシステム1がサービス運用中に自シス
テムの無線基地局4が他システム4の無線基地局62か
ら干渉妨害の発生を検出して、この通知をシステム1の
制御装置が受けた時のシステム動作を図11により説明
する。
【0095】図11は、複数の移動通信システムの運用
中(サービス中)に電波伝搬状態が変化した場合のシス
テム運用の最適化の再調整を図るためのシステム動作を
示すフローチャートである。システム1の制御装置、無
線基地局4の外、無線基地局1、2、3および5をはじ
めサービスエリア内の多数の移動無線機およびシステム
2、3および4は動作およびサービス(サービスエリア
内での通信)を開始しているものとする。
【0096】システムの運用中、各無線基地局は他シス
テムの無線基地局から送信される信号を監視する。その
際、無線基地局が、今まで受信できなかった信号を受信
できるようになり、他システムの無線基地局から干渉妨
害を受けるようになる場合がある。そのような場合とし
ては、例えば上述のように電波伝搬状態が変化した場合
や、近傍の他の移動通信システムが配下の無線基地局に
干渉妨害を生ずるような通話チャネルを割り当てた場合
が考えられる。
【0097】図5の例において、無線基地局4が、今ま
で受信できなかったシステム4の無線基地局62からの
信号を受信できるようになり、無線基地局62から干渉
妨害を受けるようになった場合を考える。なお、サービ
スエリア内の移動無線機により干渉妨害を検出し、無線
基地局4に知らせるようにすることもできる。無線基地
局4は干渉妨害を受けるようになった旨をシステム1の
制御装置へ通知し、チャネルの再割当て(タイムスロッ
トのタイミングの変更)を行い、他システムと干渉妨害
の発生しないチャネル割当てを行う様に要請する信号を
送信する(S610)。この原因はすでに説明した様に
他システム4の無線基地局62(6角形で図示)は従
来、システム1の無線基地局4とサービスエリアの重な
りはなかったが、無線基地局周辺の電波伝搬状態が変化
したため、無線基地局62のサービスエリアが実線で示
す楕円162aから破線で示す楕円162bに変化した
結果、無線基地局4とサービスエリアの重なりが生じ、
干渉妨害が発生したためである。
【0098】この信号を受信(S620)したシステム
1の制御装置では、図3を参考にしてシステム4の無線
基地局62の信号と干渉妨害の発生しないチャネル割当
てを検討する。必要であれば、図3に示す受信レベル表
を作成し直した上で、チャネル割当てを行う。また、チ
ャネル割当ての検討に際しては図2を参考にしてそのチ
ャネル割当てが自システムに干渉を与えないことを確認
する。
【0099】さらに、チャネル割当ての検討に際して
は、必要であれば、共通制御チャネルの再割当て(タイ
ミングの再設定)も行う。共通制御チャネルの再割当て
は、自移動通信システムの無線基地局が送信する共通制
御チャネルのタイミングと、他の移動通信システムの無
線基地局が送信する共通制御チャネルのタイミングとが
ずれるように行う。自システムは、他システムの例えば
共通制御チャネルを受信することにより、他システムの
タイムスロットのタイミング情報(他システムの共通制
御チャネルのタイミング等の情報)を取得することがで
きる。
【0100】そして、新しいチャネル割当てがシステム
4へ悪影響を与えないことを確認するためシステム4の
制御装置へ新しいチャネル割当て情報を送信する(S6
30)。
【0101】この情報はシステム4の制御装置で受信さ
れ(S640)、システム4への悪影響の有無が検討さ
れる。この結果、悪影響がない場合には新しいチャネル
割当てを承認する旨の回答をシステム1の制御装置へ送
信する。もしも、悪影響がある場合には承認しない旨の
回答を送信する(S650)。
【0102】さて、システム4の制御装置から新しいチ
ャネルを承認するか否かの回答を受信したシステム1の
制御装置では(S660)、システム4が承認した場合
には(S670)、無線基地局4へ新しいチャネル割当
てを送信し、以後この割当てを使用するように要請する
(S680)。システム1の制御装置からの新しいチャ
ネル割当てを得た無線基地局4では指示されたチャネル
割当てで自サービスエリア内で通信を行う(S69
0)。
【0103】なお、ステップS630において、システ
ム1の制御装置が新しいチャネル割当ての候補をいくつ
か送信し、それを受信したシステム4の制御装置がその
割当てによるシステム4への影響を回答し、システム1
の制御装置がこの回答を考慮して候補の中から新しいチ
ャネル割当てを決定するようにすることもできる。ま
た、新しいチャネル割当ての候補を受信したシステム4
の制御装置が新しいチャネル割当てを決定するようにす
ることもできる。
【0104】以上説明したシステム1の制御装置等の動
作の結果、自システム内はもとより、他システムとの間
でも干渉妨害の発生しないチャネル割当てが設定され、
その後は、各システムとも通信品質が良く円滑なシステ
ム運用が行われる、かつ他システムを含めてシステム総
合として周波数の有効利用率の向上がはかられることに
なる。
【0105】
【発明の効果】今後ますます増大する無線利用のニーズ
に対応するためには、さらなる周波数の有効利用が求め
られ、かつ多彩なサービスに対応して、同一周波数帯域
で基本的には同一の無線規格を有するシステムが同一の
サービスエリアで混在する可能性が増大するものと考え
られる。
【0106】本発明はこのような複数のシステムが同一
のサービスエリアで混在しても、これらのシステム相互
間でそれぞれ送信信号に関する協調を行い、電波干渉を
可能な限り低減、あるいは除去出来る各種の技術的な方
法を示しており、本発明の適用により、利用者に良好な
通信品質のサービスを提供可能となるので、本発明の効
果は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】複数の無線基地局を包含する移動通信システム
の構成例を示す図である。
【図2】移動通信システム内の無線基地局間における電
波の受信レベルの例を示す図である。
【図3】異なる移動通信システムの無線基地局間におけ
る電波の受信レベルの例を示す図である。
【図4】時分割多重化されたデジタル信号を用いた移動
通信システムで使用されているフレーム構成例のイメー
ジを示す図である。
【図5】事業所用デジタルコードレス電話システムの無
線基地局配置の例を示す図である。
【図6】図5のシステム1の各無線基地局1〜5がサー
ビスエリアで各移動無線機との通信に使用している通話
チャネルの一例を示す図である。
【図7】図5のシステム1の無線基地局2および3なら
びにシステム3の無線基地局41および42がサービス
エリアで各移動無線機との通信に使用している通話チャ
ネルの一例を示す図である。
【図8】移動通信システム内の無線基地局間における電
波の受信レベルを得るためのフローチャートである。
【図9】システム内の通話トラフィック状態がやや多
く、制御装置の通話チャネル割当てに注意が必要な場合
のシステム動作を示すフローチャートである。
【図10】互いに干渉関係にある無線基地局の一方のサ
ービスエリアに存在する移動無線機から発呼要求が出さ
れた場合の制御装置の通話チャネル割当てに関するシス
テム動作を示すフローチャートである。
【図11】複数の移動通信システムの運用中に電波伝搬
状態が変化した場合のシステム運用の最適化の再調整を
図るためのシステム動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1〜5、21、22、41、42、61、62、71〜
74 無線基地局 70 制御装置 81〜88 移動無線機 101〜105、121、122、141、142、1
61、162a、162b、171〜174 無線基地
局のサービスエリア

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無線基地局を備えた移動通信システムで
    あって、自移動通信システムの無線基地局と、自移動通
    信システムの無線基地局のサービスエリアの近傍にサー
    ビスエリアを有する他の移動通信システムの無線基地局
    との間の電波干渉の情報に基づき、自移動通信システム
    の無線基地局の通信に対し、前記電波干渉が発生しない
    チャネルを割り当てるチャネル割当て手段を備えたこと
    を特徴とする移動通信システム。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の移動通信システムにお
    いて、前記チャネル割当て手段は、サービス中に、自移
    動通信システムの無線基地局と前記他の移動通信システ
    ムの無線基地局との間の電波干渉が発生した場合には、
    前記電波干渉の情報に基づき、自移動通信システムの無
    線基地局の通信に用いるチャネルの再割当てを行うこと
    を特徴とする移動通信システム。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の移動通信システムにお
    いて、前記他の移動通信システムの無線基地局が送信す
    る共通制御チャネルのタイミング情報を受信する手段を
    さらに備え、前記チャネル割当て手段は、前記チャネル
    の再割当てにおいて、自移動通信システムの無線基地局
    が送信する共通制御チャネルのタイミングと、前記他の
    移動通信システムの無線基地局が送信する共通制御チャ
    ネルのタイミングとがずれるようにチャネルの割当てを
    行うことを特徴とする移動通信システム。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載の移
    動通信システムにおいて、前記チャネル割当て手段は、
    チャネル割当てにより、前記他の移動通信システムの無
    線基地局によるチャネル使用に与える影響を考慮して割
    り当てるチャネルを決定することを特徴とする移動通信
    システム。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載の移
    動通信システムにおいて、前記電波干渉の情報、および
    /または前記他の移動通信システムの無線基地局による
    チャネル使用に与える影響に関する情報の全部または一
    部は、前記他の移動通信システムとの通信により取得す
    ることを特徴とする移動通信システム。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかに記載の移
    動通信システムにおいて、前記チャネル割当て手段は、
    自移動通信システム内の無線基地局間の電波干渉の情報
    に基づき、該電波干渉をも発生しないチャネルを割り当
    てることを特徴とする移動通信システム。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の移動通信システムにお
    いて、前記チャネル割当て手段は、チャネル割当てによ
    り、自移動通信システムの無線基地局によるチャネル使
    用に与える影響を考慮して割り当てるチャネルを決定す
    ることを特徴とする移動通信システム。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし7のいずれかに記載の移
    動通信システムにおいて、前記無線基地局間の電波干渉
    の情報は、前記無線基地局間で共通制御チャネルを用い
    て信号を送受信した場合の電波の受信レベルであること
    を特徴とする移動通信システム。
  9. 【請求項9】 無線基地局を備えた移動通信システムに
    おけるチャネル割当て方法であって、自移動通信システ
    ムの無線基地局と、自移動通信システムの無線基地局の
    サービスエリアの近傍にサービスエリアを有する他の移
    動通信システムの無線基地局との間の電波干渉の情報に
    基づき、自移動通信システムの無線基地局の通信に対
    し、前記電波干渉が発生しないチャネルを割り当てるこ
    とを特徴とする移動通信システムにおけるチャネル割当
    て方法。
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