JP2000313999A - フッ化ピッチ含有複合メッキ液および複合メッキ被膜の形成方法 - Google Patents

フッ化ピッチ含有複合メッキ液および複合メッキ被膜の形成方法

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JP2000313999A
JP2000313999A JP11118670A JP11867099A JP2000313999A JP 2000313999 A JP2000313999 A JP 2000313999A JP 11118670 A JP11118670 A JP 11118670A JP 11867099 A JP11867099 A JP 11867099A JP 2000313999 A JP2000313999 A JP 2000313999A
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Michio Saito
道雄 斎藤
Mitsuaki Yamada
光昭 山田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フッ化ピッチを含む複合メッキ被膜につい
て、フッ化ピッチの脱落を抑制する。 【解決手段】 複合メッキ液は、金属塩、フッ化ピッチ
およびヘキサフルオロエチレンパーフルオロアルコキシ
ビニルエーテル共重合体を含んでいる。この複合メッキ
液は、例えば、フッ化ピッチを10〜50g/l、ヘキ
サフルオロエチレンパーフルオロアルコキシビニルエー
テル共重合体を10〜50g/lそれぞれ含んでいる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、メッキ液およびメ
ッキ被膜の形成方法、特に、複合メッキ液および複合メ
ッキ被膜の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】金属製や樹脂製の基材に対し
て撥水性を付与するための被膜として、ポリテトラフル
オロエチレンなどのフッ素系樹脂からなるものが知られ
ている。ところが、フッ素系樹脂は、軟化流動しにくい
ため、細かな金属管の内面や複雑な凹凸形状を有する部
材の表面に対して均一な被膜を形成するのが困難であ
る。そこで、複雑な形状等を有する部材の表面等に対し
て均一な撥水性を付与することができる被膜として、撥
水性を有する複合メッキ被膜が提案されている。
【0003】例えば、特開平7−26397号公報に
は、金属母材層中にフッ化ピッチ微粒子を分散共析させ
た複合メッキ被膜が示されている。この複合メッキ被膜
は、高い撥水性を示すフッ化ピッチ微粒子を金属母材層
中に含んでいるために撥水性が高く、しかも慣用的なメ
ッキ手法により形成することができることから、複雑な
形状等を有する部材の表面等に対しても均一に形成する
ことができる。
【0004】ところが、この複合メッキ被膜は、その表
面に摩擦力が加わった場合、金属母材層中に分散された
フッ化ピッチ微粒子が脱落しやすい。したがって、この
複合メッキ被膜は、それから脱落したフッ化ピッチ微粒
子により周辺環境を汚染するおそれがあり、また、形成
初期には高い撥水性を発揮し得るが、摩擦を受けると撥
水性が徐々に低下してしまうものと予想される。
【0005】本発明の目的は、フッ化ピッチを含む複合
メッキ被膜について、フッ化ピッチの脱落を抑制するこ
とにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る複合メッキ
液は、金属塩、フッ化ピッチおよびヘキサフルオロエチ
レンパーフルオロアルコキシビニルエーテル共重合体を
含んでいる。この複合メッキ液は、例えば、フッ化ピッ
チを10〜50g/l、ヘキサフルオロエチレンパーフ
ルオロアルコキシビニルエーテル共重合体を10〜50
g/lそれぞれ含んでいる。
【0007】本発明に係る複合メッキ被膜の形成方法
は、基材に対して複合メッキ被膜を形成するための方法
であり、金属塩、フッ化ピッチおよびヘキサフルオロエ
チレンパーフルオロアルコキシビニルエーテル共重合体
を含む複合メッキ液を用意する工程と、当該複合メッキ
液中に基材を浸漬し、基材に対してメッキ法を適用する
工程とを含んでいる。このような複合メッキ被膜の形成
方法は、例えば、メッキ法により得られた複合メッキ被
膜を熱処理する工程をさらに含んでいる。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の複合メッキ液は、金属塩
が溶解され、かつフッ化ピッチおよびヘキサフルオロエ
チレンパーフルオロアルコキシビニルエーテル共重合体
が分散された水溶液からなる。
【0009】本発明で用いられる金属塩は、複合メッキ
被膜の金属母材層を形成するための材料であり、例え
ば、ニッケル、銅、亜鉛、スズ、鉄、鉛、カドミウム、
クロム、金や銀などの貴金属類、およびこれらの合金な
どの塩が用いられる。このような金属の塩としては、塩
化ニッケルなどの塩化物塩、炭酸ニッケルなどの炭酸
塩、スルファミン酸ニッケルなどのスルファミン酸塩な
どを例示することができる。
【0010】また、フッ化ピッチは、ピッチをフッ素ガ
スを用いてフッ素化することにより製造できる公知の物
質であり、例えば、特開昭62−275190号公報に
開示されている。
【0011】このようなフッ化ピッチを製造するために
用いられるピッチは、一般に芳香族縮合六員環平面がメ
チレンなどの脂肪族炭化水素基により架橋しながら積層
した層構造を有するものであり、通常、石油蒸留残渣、
ナフサ熱分解残渣、エチレンボトム油、石炭液化油およ
びコールタールなどの石油系または石炭系重質油を蒸留
して沸点が200℃未満の低沸点成分を除去したもの、
ナフタレン等の縮合によって合成されたもの、およびこ
れらをさらに熱処理や水添処理したものである。具体的
には、等方性ピッチ、メソフェースピッチ、水素化メソ
フェースピッチ、石油系または石炭系重質油を蒸留して
低沸点成分を除去した後に生成するメソフェース球体か
らなるメソカーボンマイクロビーズなどを挙げることが
できる。
【0012】上述のピッチを用いて目的とするフッ化ピ
ッチを製造する際には、ピッチとフッ素ガスとを直接反
応させる。この反応時の温度は、0〜350℃程度に設
定するのが好ましく、ピッチの軟化点以下に設定するの
がより好ましい。また、反応時のフッ素ガス圧は、特に
限定されるものではないが、一般に0.07〜1.5気
圧に設定するのが好ましい。なお、フッ素ガスとして
は、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオンなどの不活性ガ
スを用いて希釈したものが用いられてもよい。
【0013】本発明で利用可能なフッ化ピッチとして好
ましいものは、実質的に炭素原子とフッ素原子とからな
り、フッ素と炭素との原子比(フッ素/炭素)が、例え
ば0.5〜1.8程度の粉末状のものである。このよう
なフッ化ピッチは、次の(a)、(b)、(c)および
(d)の特性を示す。
【0014】(a)粉末X線回折において、2θ=13
゜付近に最大強度のピークを示し、2θ=40゜付近に
最大強度ピークよりも強度の小さなピークを示す。 (b)X線光電子分光分析において、290.0±1.
0eVにCFに相当するピークおよび292.5±0.
9eV付近にCF2に相当するピークを示し、CFに相
当するピークに対するCF2に相当するピークの強さの
比が0.15〜1.5程度である。 (c)真空蒸留により膜を形成することができる。 (d)30℃における水に対する接触角が141°±8
°である。
【0015】また、本発明では、透明樹脂状のフッ化ピ
ッチを使用することもできる。透明樹脂状のフッ化ピッ
チは、例えば、フッ化ピッチをフッ素ガス雰囲気下にお
いて0.1〜3℃/分程度、好ましくは0.5〜1.5
℃/分程度の昇温速度で250〜400℃程度まで昇温
し、所定時間、例えば1〜18時間程度、好ましくは6
〜12時間程度反応させることにより製造することがで
きる。この方法によれば、例えば次のような特性を示す
透明樹脂状のフッ化ピッチを得ることができる。
【0016】 F/C原子比:1.5〜1.7 光透過率(250〜900nm):90% 分子量:1,500〜2,000 軟化点:150〜250℃
【0017】なお、フッ化ピッチは、上述の粉末状のも
のと透明樹脂状のものとが併用されてもよい。
【0018】さらに、本発明で用いられるヘキサフルオ
ロエチレンパーフルオロアルコキシビニルエーテル共重
合体は、アルコキシ基としてメトキシ基やエトキシ基な
どを含む公知のフッ素樹脂であり、例えばダイキン工業
株式会社の商品名“AD−2CR”を挙げることができ
る。
【0019】本発明の複合メッキ液は、水中に上述の金
属塩を溶解した水溶液を調製し、この水溶液中に上述の
フッ化ピッチおよびヘキサフルオロエチレンパーフルオ
ロアルコキシビニルエーテル共重合体を均一にかつ微粒
子状に分散させると製造することができる。ここで調製
する水溶液中における金属塩の濃度は、通常、30〜6
0重量%に設定するのが好ましい。金属塩の濃度が30
重量%未満の場合は、所要の厚さの金属母材層が形成さ
れにくい場合がある。逆に、60重量%を超える場合
は、複合メッキ液の粘度が高くなり、複合メッキ液の均
一性を維持するのが困難になるおそれがある。
【0020】また、本発明の複合メッキ液中におけるフ
ッ化ピッチの含有量は、通常、10〜50g/lに設定
するのが好ましく、12〜38g/lに設定するのがよ
り好ましい。フッ化ピッチの含有量が10g/l未満の
場合は、複合メッキ被膜の撥水性が十分に高まらないお
それがある。逆に、50g/lを超える場合は、複合メ
ッキ被膜からフッ化ピッチの微粒子の脱落が起こり易く
なるおそれがある。
【0021】さらに、本発明の複合メッキ中におけるヘ
キサフルオロエチレンパーフルオロアルコキシビニルエ
ーテル共重合体の含有量は、通常、10〜50g/lに
設定するのが好ましく、12〜38g/lに設定するの
がより好ましい。ヘキサフルオロエチレンパーフルオロ
アルコキシビニルエーテル共重合体の含有量が10g/
l未満の場合は、複合メッキ被膜からのフッ化ピッチの
脱落を効果的に抑制することができないおそれがある。
逆に、50g/lを超える場合は、複合メッキ被膜の撥
水性が低下するおそれがある。
【0022】なお、本発明の複合メッキ液に含まれるフ
ッ化ピッチとヘキサフルオロエチレンパーフルオロアル
コキシビニルエーテル共重合体との合計量は、通常、4
0〜60g/lに設定するのが好ましく、45〜55g
/lに設定するのがより好ましく、50g/lに設定す
るのが特に好ましい。
【0023】本発明の複合メッキ液は、上述の各種成分
の他に、一次光沢剤、二次光沢剤、複合メッキ被膜を着
色するための顔料などの、メッキ液に通常添加され得る
各種の添加剤を含んでいてもよい。
【0024】本発明の複合メッキ液は、上述の通り、上
述の金属塩が溶解された水溶液中にフッ化ピッチ、ヘキ
サフルオロエチレンパーフルオロアルコキシビニルエー
テル共重合体およびその他の添加剤などを添加して混合
・分散させると製造することができる。この際、フッ化
ピッチおよびヘキサフルオロエチレンパーフルオロアル
コキシビニルエーテル共重合体を微粒子状で水溶液中に
均一に分散させるために、界面活性剤を添加するのが好
ましい。利用可能な界面活性剤としては、水溶性のカチ
オン系界面活性剤、水溶性の非イオン系界面活性剤およ
びメッキ液のpH値においてカチオン性を示し得る水溶
性の両性界面活性剤を挙げることができる。
【0025】ここで、水溶性のカチオン系界面活性剤と
しては、例えば、第4級アンモニウム塩、第2級アミン
塩および第3級アミン塩を用いることができる。また、
水溶性の非イオン系界面活性剤としては、例えば、ポリ
オキシエチレン系、ポリエチレンイミン系およびエステ
ル系のものを用いることができる。さらに、水溶性の両
性界面活性剤としては、例えば、カルボン酸系やスルホ
ン酸系のものを用いることができる。なお、これらの界
面活性剤としては、複合メッキ被膜中に残留した場合を
考慮して、分子中に炭素−フッ素結合を有するフッ素系
界面活性剤を用いるのが特に好ましい。
【0026】水溶液に対する界面活性剤の添加量は、通
常、フッ化ピッチとヘキサフルオロエチレンパーフルオ
ロアルコキシビニルエーテル共重合体との合計量1.0
gに対して20〜60mgに設定するのが好ましく、3
0〜50mgに設定するのがより好ましい。この添加量
が20mg未満の場合は、フッ化ピッチとヘキサフルオ
ロエチレンパーフルオロアルコキシビニルエーテル共重
合体とが均一にかつ微粒子状で分散しにくくなる。逆
に、60mgを超えると、界面活性剤が複合メッキ被膜
中に残留し、当該メッキ被膜の撥水性を著しく低下させ
たり、複合メッキ被膜の変色を招くおそれがある。
【0027】上述の複合メッキ液を用いて複合メッキ被
膜を形成する場合は、上述のようにして調製された複合
メッキ液中に所定の基材を浸漬し、当該基材に対してメ
ッキ法を適用する。
【0028】この際、フッ化ピッチおよびヘキサフルオ
ロエチレンパーフルオロアルコキシビニルエーテル共重
合体による微粒子が複合メッキ被膜を構成する金属母材
層中でムラなく均一に分散するようにするため、複合メ
ッキ液は十分に撹拌するのが好ましい。撹拌方法は、特
に限定されるものではないが、例えば、スクリュー撹
拌、マグネチックスターラーによる撹拌など、公知の種
々の方法を採用することができる。また、メッキ法とし
ては、公知の無電解メッキ法や電解メッキ法を採用する
ことができる。この際のメッキ条件は、一般的な複合メ
ッキ法において採用されているものと同様に設定するこ
とができる。具体的には、基材の性質や複合メッキ液の
種類などに応じて、液温、pH値および電流密度などを
適宜設定することができる。
【0029】このような複合メッキ被膜の形成方法で
は、複合メッキ液中に含まれる金属塩が還元されて金属
になり、当該金属が基材上に電着する。これにより、基
材上に金属母材層が形成される。この際、複合メッキ液
中に含まれるフッ化ピッチおよびヘキサフルオロエチレ
ンパーフルオロアルコキシビニルエーテル共重合体が同
時に共析し、金属母材層中に微粒子状で均一に分散す
る。これにより、基材上には目的とする複合メッキ被膜
が形成される。
【0030】このようにして形成された複合メッキ被膜
は、さらに熱処理するのが好ましい。このような熱処理
を施すことにより、複合メッキ被膜の撥水性をより高め
ることができる。ここでの熱処理は、通常、処理温度を
150〜300℃に設定し、処理時間を30分〜2時間
に設定するのが好ましい。熱処理温度が150℃未満の
場合は、十分な熱処理効果を得るために熱処理時間を長
く設定する必要があり、効率的ではない。逆に、処理温
度が300℃を超える場合は、複合メッキ被膜が劣化す
るおそれがある。
【0031】このような複合メッキ被膜が適用される基
材は、通常、複合メッキ被膜により撥水性を付与する必
要があるものであり、例えば、下記の通りである。
【0032】◎防錆性が要求される部材。例えば、各種
の建築用資材や船舶用資材など。 ◎着雪・着氷があると不都合が生じるおそれのある部
材。例えば、製氷板、送電線、パラボラアンテナなど。 ◎耐汚染性、撥油性、耐熱焦げ付き性などが要求される
部材。例えば、食器洗い機の内面、洗濯機水槽内面、レ
ンジフード、換気扇、テーブルコンロ天板、テーブルコ
ンロ汁受け皿、オーブン皿、焼き肉用鉄板、ロストル、
ジンギスカン鍋、フライパン、ごとく、焼き網、ガスコ
ンロ、オーブン、電子レンジ、炊飯器、バーベキューコ
ンロ、ホットプレート、鍋、オーブントースター、電気
ポット、電磁誘導ヒーター、システムキッチン天板、流
し台(シンク)、水栓、混合水栓、ガス管内外面コート
など。 ◎結露防止性が要求される部材。例えば、浴室の内装
材。 ◎撥水性および防汚性が要求される部材。例えば、浴
槽。 ◎熱伝導性が損なわれると不都合のある部材。例えば、
排気トップ、熱交換器のフィン部、炭素繊維表面コー
ト、炭素材コート、LNG気化器蒸発板、コピーローラ
ーなど。 ◎離型性が要求される部材。例えば、金型。 ◎撥水性および離氷性が要求される部材。例えば、航空
機およびヘリコプター用部品。 ◎摺動性が要求される部材。例えば、ガスバルブ内面コ
ートなど。 ◎良好な液切れ性が要求される部材。例えば、マイクロ
シリンジのニードル、ピペット、ディスペンサ、分液ロ
ートおよび一般のノズルなどの液体供給管。
【0033】このような基材を構成する具体的な材質
は、電気メッキ法を適用可能なものであれば特に限定さ
れるものではないが、例えば、銅、ステンレス鋼、一般
鋼、アルミニウムおよびアルミニウム合金などの各種金
属、炭素プレートや黒鉛プレートなどの炭素材などであ
る。
【0034】基材は、複合メッキ被膜との密着性を高め
るために、当該複合メッキ被膜が形成される部位が予め
微細な凹凸状に粗面化されていてもよい。このような粗
面化の方法としては、フッ化水素酸,フッ化アンモニウ
ムまたは塩酸などのエッチング剤水溶液を用いて基材を
化学的に処理する方法、或いはショットブラスト処理,
サンドブラスト処理,液体ホーニング処理およびスチー
ルワイヤやスチールウールを用いた研摩処理などの機械
的処理方法を採用することができる。
【0035】また、基材は、複合メッキ被膜が形成され
る面に、ニッケルメッキ層や銅メッキ層などの下地メッ
キ層を備えていてもよい。
【0036】上述のような複合メッキ被膜は、それに含
まれるフッ化ピッチおよびヘキサフルオロエチレンパー
フルオロアルコキシビニルエーテル共重合体の微粒子の
ために、良好な撥水性を発揮し得る。また、この複合メ
ッキ被膜は、その表面に摩擦力を加えたような場合であ
ってもフッ化ピッチの微粒子が脱落しにくい。この結
果、この複合メッキ被膜は、摩擦を受けた場合であって
も周辺の環境を汚染するおそれが少なく、また、撥水性
が長期間良好に維持され得る。この理由は詳らかではな
いが、フッ化ピッチと共に金属母材層中に分散している
ヘキサフルオロエチレンパーフルオロアルコキシビニル
エーテル共重合体の微粒子が、フッ化ピッチの微粒子を
金属母材層中に安定に保持する効果を発揮し得るためと
思われる。
【0037】
【実施例】実施例1〜3 スルファミン酸ニッケルを360g/l、塩化ニッケル
を45g/l、ホウ酸を30g/lおよびフッ素系界面
活性剤(大日本インキ株式会社の商品名“メガファック
ス150Br”)を1.5g/l含むニッケルメッキ水
溶液を調製した。これにフッ化ピッチ(大阪瓦斯株式会
社の試作品名“N−7−25”)とヘキサフルオロエチ
レンパーフルオロアルコキシビニルエーテル共重合体
(ダイキン工業株式会社の商品名“AD−2CR”:下
記の表1において”PFA”と表示する)とを合計量が
50g/lになるよう表1に示す割合で添加して微粒子
状に均一に分散させ、さらに炭酸ニッケルを適宜添加し
てpHが4.2に調整された複合メッキ液を得た。
【0038】得られた複合メッキ液に板状基材を浸漬し
て電解メッキ処理を施し、当該板状基材に複合メッキ被
膜を形成した。ここでは、板状基材として大きさが5.
0cm×5.0cmの鏡面を有するステンレス板(SU
S430)を用い、また、メッキ処理の条件を下記のよ
うに設定した。
【0039】 電流密度:3A/dm2 浴温度:50℃ 通電量:1,500クーロン 被膜の厚さ:10μm
【0040】実施例4〜6 実施例1〜3で得られた複合メッキ被膜を熱処理した。
ここでの熱処理条件は、300℃で30分に設定した。
【0041】比較例1 ヘキサフルオロエチレンパーフルオロアルコキシビニル
エーテル共重合体を用いずに、実施例1〜3で用いたも
のと同じフッ化ピッチのみを50g/lの割合で含む複
合メッキ液を調製し、実施例1〜3の場合と同様に複合
メッキ被膜を形成した。
【0042】比較例2 比較例1で得られた複合メッキ被膜を熱処理した。ここ
での熱処理条件は、300℃で30分に設定した。
【0043】評価 各実施例および各比較例で得られた複合メッキ被膜につ
いて、蒸留水を滴下した場合の接触角および転落角を測
定し、また、フッ化ピッチ粉末の脱落試験および焦付き
試験を実施した。なお、接触角および転落角は、形成直
後の複合メッキ被膜に対する場合(形成直後)および十
条キンバリー株式会社の商品名”キムワイプ”を用いて
表面を50回強く拭いた場合(摩擦処理後)のそれぞれ
について測定した。また、焦付き試験は、摩擦処理後の
複合メッキ被膜について実施した。測定方法および試験
方法は下記の通りである。結果を表1に示す。
【0044】(接触角)接触角計(協和界面科学株式会
社製の”CA−A型”)を用いて測定した。
【0045】(転落角)接触角の測定で用いた接触角計
に直径が3mmの水滴を滴下して滴下面を水平面から徐
々に傾けて行き、水滴が流れるときの角度を転落角とし
た。
【0046】(フッ化ピッチ粉末の脱落試験)上述のよ
うに複合メッキ被膜を摩擦処理した場合において、キム
ワイプに付着したフッ化ピッチ粉末の付着状況を目視で
判定した。評価の基準は次の通りである。 ○:付着なし。 △:僅かな付着がある。 ×:多量の付着がある。
【0047】(焦付き試験)タマゴ、醤油および砂糖の
混合液を調製し、これを複合メッキ被膜に滴下した。そ
して、複合メッキ被膜を250℃に加熱して混合液を焦
付かせ、その付着状態を目視で評価した。評価の基準は
下記の通りである。 ○:焦付きの付着なし。 △:焦付きの付着が僅かにある。 ×:著しい焦付きの付着がある。
【0048】
【表1】
【0049】
【発明の効果】本発明の複合メッキ液は、フッ化ピッチ
と共にヘキサフルオロエチレンパーフルオロアルコキシ
ビニルエーテル共重合体を含んでいるため、高い撥水性
を示し、しかもフッ化ピッチの脱落が少ない複合メッキ
被膜を実現することができる。
【0050】また、本発明に係る複合メッキ被膜の形成
方法は、本発明に係る上述の複合メッキ液を用いている
ので、高い撥水性を示し、しかもフッ化ピッチの脱落が
少ない複合メッキ被膜を形成することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J038 BA241 CE051 GA12 HA106 HA246 HA266 JC15 MA08 NA05 NA07 NA10 PA19 PB02 PB06 PC02 PC08

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属塩、フッ化ピッチおよびヘキサフルオ
    ロエチレンパーフルオロアルコキシビニルエーテル共重
    合体を含む複合メッキ液。
  2. 【請求項2】前記フッ化ピッチを10〜50g/l、前
    記ヘキサフルオロエチレンパーフルオロアルコキシビニ
    ルエーテル共重合体を10〜50g/lそれぞれ含む請
    求項1に記載の複合メッキ液。
  3. 【請求項3】基材に対して複合メッキ被膜を形成するた
    めの方法であって、 金属塩、フッ化ピッチおよびヘキサフルオロエチレンパ
    ーフルオロアルコキシビニルエーテル共重合体を含む複
    合メッキ液を用意する工程と、 前記複合メッキ液中に前記基材を浸漬し、前記基材に対
    してメッキ法を適用する工程と、を含む複合メッキ被膜
    の形成方法。
  4. 【請求項4】前記メッキ法により得られた複合メッキ被
    膜を熱処理する工程をさらに含む、請求項3に記載の複
    合メッキ被膜の形成方法。
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