JP2000313829A - 修正液組成物 - Google Patents

修正液組成物

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JP2000313829A
JP2000313829A JP11123846A JP12384699A JP2000313829A JP 2000313829 A JP2000313829 A JP 2000313829A JP 11123846 A JP11123846 A JP 11123846A JP 12384699 A JP12384699 A JP 12384699A JP 2000313829 A JP2000313829 A JP 2000313829A
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Yoichi Inubushi
陽一 犬伏
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Fuji Pigment Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】修正液における無機粉体の凝集や沈降を防止し
て、振蕩攪拌用の金属球を内蔵しない容器に充填して
も、静置後流出可能な修正液を提供する。 【解決手段】白色無機粉体、造膜性高分子分散剤、およ
び非水溶性有機溶剤を必須成分とする白色無機粉末の分
散液である修正液組成において、これにさらに乳化剤を
用いて水を配合して、水がW/O型の乳化状態、すなわ
ち水が微小液滴とてして油成分である非水溶性有機溶剤
の媒体中に分散して存在せしめることを特徴とする修正
液組成物にて、問題解決をはかる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は誤って記された文字
や図形を修正するため、その部分を隠蔽力の高い液組成
物で覆い隠し、乾燥後正しい文字や図形を記すのに用い
る、前記隠蔽力の高い液組成物すなわち修正液に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】修正液は酸化チタンのように隠蔽力の高
い白色無機粉体が、乾燥速度の適度に高い有機溶剤中に
分散させることを主要概念として構成されている。しか
し無機粉体が凝集・沈降しやすく、静置によりケーキン
グを起こして流動性を失い、容器から流出せず使用不可
能になるという問題があった。比重も表面エネルギーも
高い無機粉体を、比重も表面エネルギーも低い有機溶剤
中に分散させることは困難であり、修正液に限らず一般
的に困難な問題であった。無機粉体の表面処理や分散剤
の選択による改良が多々行われてきた。そこではある程
度の改良があったものの、隠蔽力を重要視する修正液で
は、無機粉体の配合割合がとくに高いので到底満足すべ
きものではなかった。修正液におけるこの種の問題を解
決するために、各種分散剤の提案(例えば特開平5−6
5440)やシリカゾルの併用の提案(特公平3−22
79)があった。しかし、さらなる改良は認められるも
のの解決にはいたらず、ケーキングを起こしてもハード
ケーキにはならず、容器に内蔵の金属球とともに振蕩す
れば流動性を回復し再度使用可能になるという程度のも
のであった。すなわち、使用の便宜性を考え、現在の修
正液は振蕩攪拌用の金属球を内蔵したペン型容器に充填
した筆記具として市販されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、修正液にお
ける無機粉体の凝集・沈降を防止して、振蕩攪拌用の金
属球を内蔵しない容器に充填しても、静置後流出可能な
修正液の提供を目的とする。
【0004】
【問題を解決するための手段】本発明は、修正液の配合
組成と液中の分散状態の選択により、問題を解決しよう
とするものである。かかる観点から鋭意検討の結果、白
色無機粉体、造膜性高分子分散剤、および非水溶性有機
溶剤を必須成分とする白色無機粉末の分散液である修正
液組成において、これにさらに乳化剤を用いて水を配合
して、水がW/O型の乳化状態、すなわち水が微小液滴
とてして油成分である非水溶性有機溶剤の媒体中に分散
して存在せしめることを特徴とする修正液組成物に到達
し、問題解決がはかれたのである。
【0005】本発明の詳細を以下に説明する。本発明に
おける白色無機粉体とは、修正液を構成する他種成分と
化学反応をして変質することなく、しかも隠蔽力の優れ
たものを必要とするので、その目的に有用であることが
従来から知られている酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグ
ネシウム、炭酸カルシウム等の無機金属酸化物である。
中でも隠蔽力の優れた酸化チタンがとくに好適であり、
アナターゼ型やルチル型の酸化チタンのいずれも使用可
能である。従来公知の白色無機粉体のうちでも相対的に
隠蔽力に低いものも実施可能であるが、本発明の目的と
する修正液には実用性に乏しく不適当である。
【0006】本発明における白色無機粉体の大きさは、
隠蔽力を大にするためや、また修正液の流動性や分散安
定性を実用的に好ましい範囲に保つために、平均粒径が
0.1μm〜1.5μmの範囲にあるものが使用され
る。平均粒径が上記範囲内であれば微量の過大あるいは
過小粒子の存在は許容できるが、平均粒径過大では修正
液の流動性が悪く修正ペンのペン先での詰まりが起こり
やすく、粒径過小では隠蔽力が低くて好ましくない。白
色無機粉体の修正液中の平均粒径は0.2μm以上1.
2μm以下の範囲であることが好ましい。
【0007】本発明における白色無機粉体の配合割合
は、過少量では隠蔽力に欠け、過大量では修正液の粘度
が高くなり過ぎて流動性を失いペン先から出ないことな
どの実用性を失うことから、適当な配合割合を選んで使
用される。配合割合は、修正液の他種配合物との関連で
異なるが概して25重量%以上65重量%以下の範囲で
実施でき、30重量%以上60重量%以下が修正液とし
て好適である。
【0008】本発明における非水溶性有機溶剤とは炭化
水素類のごとく実質的に水と相溶性のない常温液体の有
機化合物である。修正液にあっては、修正液塗布後下地
の文字や図形の滲みが殆ど生じないうちに速やかに乾燥
して、文字や図形の上書きのできるような比較的低沸点
で乾燥速度の大きな揮発性非水溶性有機溶剤を使用す
る。比較的高沸点で乾燥速度の小さな非水溶性有機溶剤
や水溶性有機溶剤は、下地の滲みや乾燥に長時間を要す
る等の欠点があり実用性に劣るので不適当である。した
がって修正液塗布後2秒から100秒程度の時間内に、
好ましくは3秒から30秒程度の時間内に乾燥する非水
溶性有機溶剤を使用するのが好ましい。しかもさらに重
要なことには、本発明における非水溶性有機溶剤は、酸
化チタン等の白色無機粉体を造膜性高分子分散剤存在下
に分散させるうる溶剤であることが必要であるととも
に、乳化剤を用いて水がW/O型の乳化状態にて系中に
併存させうる溶剤であることが必要である。これらの要
件を満たす溶剤を選んで使用するのである。溶剤の選択
は、当該技術分野の技術者にとって手間はかかるが容易
に行えることである。候補となる溶剤として、主として
炭化水素化合系溶剤が挙げられるが、種々の溶剤を検討
した結果、人体への毒性や引火性なども勘案すると、本
発明ではn−ヘプタン、n−ヘキサン、メチルシクロヘ
キサン、エチルシクロヘキサン等が好適に実施可能な溶
剤の例として挙げることができる。ただし、ケロシンな
らびにミネラルターペンも使用可能だが、過度に用いる
と乾燥速度が遅くなるので注意を要する。
【0009】本発明における非水溶性有機溶剤の配合割
合は、過少量では修正液の粘度が高くて修正ペン先より
インキが出にくくなるし、過大量では粘度が低く過ぎて
修正時ペン先よりインキが出過ぎる、もしくは保管時ペ
ン先保護キャップ中に漏れる等の欠点が生じることを勘
案すると、修正液の他種配合物との関連で異なるが大略
15重量%以上60重量%以下で実施可能であり、20
重量%以上45重量%以下であるのが好適である。
【0010】本発明では、白色無機粉体を溶剤に分散さ
せるために分散剤を使用する。修正液は修正個所に塗布
して溶剤が乾燥した後に、白色無機粉体等の修正液主成
分が紙等の下地に密着し、しかも修正後に、筆記や印刷
に耐える力学強度を有する薄膜を形成する結合剤の役割
を担う成分を含有する必要がある。修正液の配合成分と
して、上記の両者の作用を発揮する物質があれば、配合
が簡素化されて好ましい。しかし、本発明者らの検討に
よると、従来公知の無機分散剤や有機界面活性剤では、
分散剤としても結合剤としても有望な物質は見出せなか
った。
【0011】一方、造膜性高分子においては、無機粉体
に対して必ずしも十分ではないものの分散剤としても、
また結合剤としても作用しうる例が塗料やその他の分野
で知られている。しかし、要求特性が相違するとか、ま
して乳化水を含有する本発明の修正液に参考になるよう
な例はない。本発明者らは分散能を有する結合剤として
可能性のありそうな造膜性高分子で、本発明における非
水溶性有機溶剤に溶解して、無機粉体と後述の乳化水を
安定に分散し、しかも塗布乾燥後適度な力学強度を有す
る薄膜を形成しうる結合剤成分、すなわち造膜性高分子
分散剤を探索した結果、本発明では常温においてゴムあ
るいは樹脂である相溶性の2種成分を併用するするか、
あるいは両者の機能を併有するブロックコポリマーなら
びに熱可塑性エラストマーに、要件を満たすものがある
ことを見出して本発明に到達した。ゴム成分は主として
下地の凹凸や変形あるいは修正液の乾燥に伴うクラック
の発生防止に対処するため、樹脂は主として修正後の筆
記具のペン先による膜の破損に対処するために必要であ
る。
【0012】本発明において使用可能な結合剤は種々あ
るが、上記の薄膜特性に加えて、修正液に使用する非水
溶性有機溶剤に可溶性であること、先述の分散剤使用下
に白色無機粉体の凝集等の分散状態の悪化を引き起こさ
ないこと、さらに重要なのは、後述の水のW/O型乳化
分散状態においても溶解状態と白色無機粉体の良好な分
散状態を保つ物質が選んで使用される。このように多様
な要件を満たす物質として、炭化水素系熱可塑性エラス
トマーが挙げられる。例えば、ポリブタジエンあるいは
ポリイソプレンとポリスチレンのブロックコポリマーを
水素添加した炭化水素系熱可塑性エラストマーである。
また前記エラストマーやスチレンブタジエンゴムと相溶
性があり前記の多様な要件を満たす樹脂とし、テルペン
樹脂、ロジン、水添脂環族系炭化水素樹脂が挙げられ
る。前者のエラストマーではタフテック、後者の炭化水
素系樹脂ではエスコレッツやクイントンの商品名で市販
されていて容易に入手し実施可能である。これら炭化水
素系熱可塑性エラストマーには、少割合の極性基を導入
して極性物質との親和性を向上させたものもあり、この
ような変性炭化水素系熱可塑性エラストマーも使用可能
である。本発明で実施可能なエラストマーは、その構成
要素に応じて界面化学特性や力学特性等々の各種特性に
相異なる特性を有しているので、修正液の要求特性に応
じて単独あるいは複数の併用で使用するのが良い。ゴム
あるいは樹脂とエラストマーと樹脂の併用系の場合も修
正液の要求特性に応じて両成分の組合わせと使用割合を
選べば良い。
【0013】種々のアクリルポリマーやセルロース系ポ
リマー等々でゴム成分と樹脂成分の種々の組合わせを検
討したが、適当な分散媒体がない、無機粉体と乳化水を
同時に安定に分散することができない、力学的に適当な
薄膜ができない等の難点があり本発明の目的を達成する
ことはできなかった。また、熱可塑性エラストマーでも
ポリエステル系やポリアミド系等の極性基を多く含有す
るエラストマーは非水溶性有機溶剤に不溶等の理由での
本発明の目的を達成することはできなかった。本発明で
使用可能な造膜性高分子分散剤は上例以外にもありうる
が、先述の要件を満たすことを条件として探索すれば、
当該分野の技術者には容易に選定可能である。
【0014】本発明の修正液における造膜性高分子分散
剤の配合割合は、他種配合物の種類や配合比によつて異
なるが、概論すれば修正液の全量に対して造膜性高分子
分散剤0.5重量%以上10重量%以下の割合で、本発
明における薄膜形成と分散およびその他の目的を達成す
ることができる。造膜性高分子分散剤の配合割合が過少
では修正膜の密着性が悪いし膜強度が低くて修正作業に
不適当である。反対に過大では修正膜の強度等力学特性
は向上するものの、修正液の粘度が高くなり流動性が悪
化して平滑な表面を有する修正膜の形成が難しくなる
し、あるいは膜が弾力性に富み過ぎて、修正のための筆
記や印刷が適正に行えなくなる等の難点が増すので不適
当である。このような観点から造膜性高分子分散剤は、
1重量%以上8重量%以下の割合で、とくに修正液中の
無機粉体の重量に対して1重量%以上15重量%以下の
割合で配合するのが好適である。
【0015】前記の造膜性高分子分散剤の配合で、修正
液中の無機粉体および乳化水の分散の目的は達成できる
が、長期や高低温の過酷な保管条件における場合など、
より確実な分散安定性を確保したい時には、分散助剤と
してポリジアルキルシロキサン等の有機シリコン系化合
物および/またはアエロジルとして知られる比表面積が
50〜400(m/g)程度の微細なシリカゲルを本
発明の修正液組成物に追加配合することが可能である。
有機シリコン系化合物においては、少量のポリオキシエ
チレン基、ポリオキシプロピレン基やアミノ基等を結合
して分散力を高めた変性有機シリコン系化合物がありこ
れらは好適に使用可能である。以上に述べた以外の従来
公知の分散剤も追加配合すること可能であるが、それら
の中には無機粉体の分散の強化に繋がらないものや、あ
るいは水の乳化分散に好ましくないものがあり、使用に
当たっては注意を要する。有機シリコン系化合物および
/または微細なシリカゲルは、本発明の主要な特徴であ
る水をW/O型の乳化状態で系中に存在せしめることに
対して妨害作用を及ぼすことなく無機粉体の分散の強化
作用を発揮するので好適である。従来から多くの提案が
あるポリオキシアルキレンやその誘導体等の界面活性剤
は追加配合の好ましくない例に該当する。
【0016】本発明における分散助剤である有機シリコ
ン系化合物と微細なシリカゲルの併用は、予期しない効
果をも発揮することが判明した。すなわち、白色無機粉
体の代表例である酸化チタンは光活性を有しているた
め、本発明の必須成分である造膜性高分子分散剤を劣化
変質させ、修正液の流動性を悪化させたり、修正後の膜
を破壊する傾向があるが、これらは光活性を発現した酸
化チタンと優先的に反応し、造膜性高分子分散剤を守る
役目となる犠牲剤として働くのである。このとき分散助
剤自体は変質しているものと思われるが、修正液や修正
膜に欠点の現れないことは驚くべきことであった。しか
しながら、これら物質は本発明においては分散助剤であ
るし、修正液や修正膜が実用上長期にわたって光照射を
受ける機会は少ないので、必ずしも配合の必要はなく、
多くの場合分散安定性の強化の要望に応じて追加配合す
れば良く、その場合の配合割合は、修正液の他種配合物
との関連で異なるが、過少量では効果がなく過大量では
修正インキの粘度が高くなって流動性を失なってしまう
ことから、インキ中1.0重量%以上3.0重量%以下
の割合で使用すれば良く、とくに1.3重量%以上2.
2重量%以下の割合である場合が好適である。有機シリ
コン系化合物と微細なシリカゲルの使用割合によって、
修正液の流動性が変化するので、使用割合は上記の範囲
内で修正液の要求特性に応じて選べば良い。
【0017】以上に述べた白色無機粉体、造膜性高分子
分散剤、および非水溶性有機溶剤のみで修正液を構成す
ると、隠蔽力や膜の特性力学特性等に優れるが、保管時
白色無機粉体の凝集に起因するケーキングが発生し、そ
の再溶解性も悪いため保存安定性に難点がある。本発明
らはこの難点を克服するため鋭意検討の結果、ケーキン
グの少なくとも一因が、修正液の空気中水分の取り込み
による白色粉体の凝集にあるとの心証を得て、水分を遮
断するのではなく、むしろ逆に、白色無機粉体を当初か
ら少量の水分を含有する比較的低沸点の非水溶性有機溶
剤に安定に分散させる方策を追求した。その結果、非水
溶性有機溶剤が含有しうる微量の水分量を上回るある適
当量の水分が必要で、そのため水を非水溶性有機溶剤中
にW/O型の乳化状態で存在させる場合に目的を達成で
きることを見出し本発明に到達したのである。本発明に
おける水は、蒸留水やイオン交換水のごとく高純度の水
は勿論、工業用原料や上水に用いられる程度の純度の水
で十分使用可能である。本発明における水の配合割合
は、修正液中の他種成分の配合割合によっても異なる
が、非水溶性有機溶剤の配合量より少なく、大略5重量
%以上25重量%以下であり、好適なのは7重量%以上
20重量%以下の範囲である。水の配合量が少な過ぎる
と保存安定性の確保が難しい。反対に水の配合量が多過
ぎると白色無機粉体の分散以前の問題として、修正液の
使用時の乾燥速度が遅くて種々の欠陥が露呈するのでそ
もそも修正液としての実用性に欠けるので不適当であ
る。
【0018】本発明における水は、修正液中安定に乳化
状態で存在する必要がある。そのために乳化剤を使用す
る。従来一般的にW/O型用の乳化安定剤として他種多
様の物質が提案されているけれども、本発明の場合のよ
うに大量の白色無機粉体を比較的限定された種類の非水
溶性有機溶剤中に、しかも特定の分散剤や結合剤の存在
下に分散させた系に有効な乳化剤は知られていない。本
発明者らは多くの乳化剤候補を検討したが、本発明の系
にはケン化度が65モル%以上80モル%以下のポリ酢
酸ビニル(ポリビニルアルコール)が有効な乳化剤であ
ることを見出した。ケン化度が上記の範囲以外の場合、
乳化または安定な乳化ができないので不適当である。上
記特定ケン化度のポリ酢酸ビニルの重合度は通常市販の
範囲で使用可能である。また、その配合割合は配合する
水の1重量%以上30重量%以下の範囲であり、とりわ
け3重量%以上25重量%以下の範囲が乳化の安定性と
修正液の塗布後の乾燥速度等から好適である。本発明の
修正液において、上記ポリ酢酸ビニルのケン化物は修正
液に対して凍結防止作用も有しており、−20℃におい
ても凍結しないという望外の効果を発揮し、修正液を極
寒の地でも使用可能としている。また、本発明において
使用される上記ポリ酢酸ビニルのケン化物に追加して、
ソルビタンのステアリン酸モノあるいはセスキエステル
や同オレイン酸モノあるいはセスキエステル等従来一般
的に提案されている乳化剤の比較的小割合を併用するこ
とは可能である。しかし、乳化剤の種類によっては、本
発明の無機粉体と乳化水の共分散に悪影響を及ぼす場合
があるので注意を要する。なお、ポリ酢酸ビニルのケン
化度が上記の範囲であってもスルホン酸基、カルボキシ
ル基あるいはアミノ基等極性基を含有するように変性さ
れた場合は安定な乳化ができないので不適当であった。
【0019】以上に述べたように、本発明は高濃度の白
色無機粉体を非水溶性有機溶剤に分散させた修正液にお
いて、白色無機粉体をケーキングを起こすことなく安定
に分散させるために、水を乳化状態で併存させることを
最大の特徴とする修正液であるが、そのために特定の造
膜性高分子分散剤、乳化安定剤を組合わせざるを得なか
った。本発明で安定な分散が実現したので、従来の振蕩
攪拌用金属球を用いることなくペン型容器に充填して便
利な文具として、あるいはその他の各種方法で使用可能
な修正液を提供することができるようになった。水を乳
化状態で併存させることで修正液は適度のチクソトロピ
ーを発現し、流動性が修正液として好ましいレベルにあ
ること、紙等の浸透性下地に塗布した場合水が速やかに
下地内に浸透して下地のインキを滲ませることなく乾燥
して薄膜化するので修正液として優れている。また、プ
ラスチックスのフィルムやシート等不浸透性下地に対し
ても修正液として使用することも可能である。この場
合、水の下地内への浸透がないので浸透性下地の場合よ
り修正膜の乾燥速度が遅くなるが、実用性のレベルにあ
る。敢えて乾燥速度を高めるには、本発明の組成配合に
おける乳化水の配合割合を少なめに設定すれば良い。本
発明の修正液組成物の配合割合をまとめると修正液イン
キの重量基準で以下のようになる。 白色無機粉体 25重量%以上65重量%以下 造膜性高分子分散剤 0.5重量%以上10重量%以下 非水溶性有機溶剤 15重量%以上60重量%以下 水 5重量%以上25重量%以下 乳化安定剤 水の1重量%以上30重量%以下
【0020】本発明の修正液は、水を乳化状態で配合す
るよう注意する以外は従来公知の分散液の製造方法を応
用して製造できる。もっとも確実なのは、先ず白色無機
粉体、分散剤および結合剤を非水溶性有機溶剤とともに
ボールミルやロールミルのごとき装置にて粉体の凝集を
破砕しつつ分散剤および結合剤を溶解混和させて粉体の
分散液を製造し、これに別途非水溶性有機溶剤に水と乳
化安定剤を混合攪拌して製造したW/O型乳化液をあわ
せて、水の乳化状態が保持されるよう適度の攪拌で均一
化する方法である。その際、過度に強い攪拌や氷結する
ような低温あるいは90℃を越えるような高温は水の乳
化状態を損ない、液相での相分離や無機粉体の凝集等分
散状態も悪化させてしまうので避けるべきである。なお
上述の製造方法において、分散剤および結合剤を予め非
水溶性有機溶剤に溶解した溶液で用いることや当初の分
散液から粗大粉体粒子を除去すること、あるいは乳化安
定剤を予め水に溶解した水溶液として使用する等の便宜
手段をとることは可能である。
【0021】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的
に説明する。下記において部とは重量部である。液の粘
度はBM型回転粘度計を用いて20℃で測定した値であ
る。修正液の保存安定性は、修正液を金属球のない修正
ペンに充填し常温の室内で保管する常温安定性試験と、
同じく−20℃の冷凍庫内に1日保管ついで50℃の温
水浴に1日浸漬するサイクルを4回繰返す熱サイクル安
定性促進試験に供したのち、水性インキと油性インキで
コピー用紙に個別に書いた文字を修正して評価した。評
価は修正液が修正液ペンの先から修正液が順調に流出し
て良好な修正膜を形成するか否か、またその上に修正文
字が異常なく書けるか否かを安定性試験開始時と比較す
ることで行った。修正液がペン先から順調に流出しない
場合は、修正液を取出して目視検査等で無機粉体の凝集
沈殿やケーキングの有無を調べた。
【0022】
【実施例1】メチルシクロヘキサンの365部に炭化水
素系熱可塑性エラストマーであるタフテックM1911
(旭化成(株)製)の35部ならびに脂環族系炭化水素
樹脂であるエスコレッツ5300(トーネックス製)の
23部を添加、攪拌して完全に溶解させた後、高速攪拌
しながら酸化チタンCR60(石原産業(株))の55
0部を加えた。この混合物を0.8〜1.25mmΦの
ジルコンビーズを用いるダイノミルにより分散しベース
ペーストとした。一方、メチルシクロヘキサンの300
部にケン化度70モル%のポリ酢酸ビニルの50部を溶
解しているポリ酢酸ビニル水溶液の250部を攪拌下に
添加してW/O型乳化液を別途調製した。上記ベースペ
ーストの144部に、乳化液の56部を攪拌下に徐々に
添加した。作業はすべて常温下に行った。得られた修正
液はチクソトロピ性の良好な流動性を示し、ペン先から
順調に流出し、紙上で5〜10秒にて乾燥して隠蔽力の
高い薄膜となった。この修正膜は折り曲げにも耐え、そ
の上にボールペンで満足すべき筆記ができた。修正液は
常温安定性試験と熱サイクル安定性促進試験後も同様の
挙動を示し、酸化チタンの凝集沈殿やケーキングは起こ
らなかった。
【0023】
【比較例1】実施例1の調製方法におけるケン化度70
モル%のポリ酢酸ビニルに替えて、ケン化度が70モル
%である、小割合のスルホン酸塩で変性されたポリ酢酸
ビニルを用いて、実施例1の方法を繰返した。調製直後
の修正液は実施例1の場合と同等で満足すべき性能を有
していたが、常温安定性試験と熱サイクル安定性促進試
験後に、酸化チタンの凝集沈殿が起こっていてペン先か
ら流出せず修正液としての機能を失っていた。
【0024】
【実施例2】メチルシクロヘキサンの330部とエチル
シクロヘキサンの35部との混合溶剤にエラストマーで
あるタフテックM1911の132部を添加、攪拌して
完全に溶解させた後、微細なシリカゲルであるアエロジ
ル130(日本アエロジル(株)製)の7部、続いてジメ
チルシリコン系分散剤である変性シリコンオイルX−2
2−3667(信越化学工業(株)製)の20部を添加
し、高速攪拌しながらCR60の550部を加えた。こ
の混合物をダイノミルにより分散しベースペーストとし
た。一方、メチルシクロヘキサンの300部にケン化度
75モル%のポリ酢酸ビニルの40部を溶解しているポ
リ酢酸ビニル水溶液の250部を攪拌下に添加してW/
O型乳化液を別途調製した。上記ベースペーストの14
4部に、乳化液の56部を攪拌下に徐々に添加した。作
業はすべて常温下に行った。得られた修正液はチクソト
ロピ性の良好な流動性を示し、ペン先から順調に流出
し、紙上で10〜20秒にて乾燥して隠蔽力の高い薄膜
となった。この修正膜は折り曲げにも耐え、その上にボ
ールペンで満足すべき筆記ができた。修正液は常温安定
性試験と熱サイクル安定性促進試験後も同様の挙動を示
し、酸化チタンの凝集沈殿やケーキングは起こらなかっ
た。常温安定性試験と熱サイクル安定性促進試験の期間
を2倍にしても酸化チタンの凝集沈殿やケーキングは起
こらなかった。
【0025】
【比較例2】実施例2の調製方法におけるタフテックM
1911の添加量を10部に減量変更するとともに、ア
エロジル130を10部、シリコンオイルX−22−3
667を30部に増量変更して、実施例2の方法を繰返
した。得られた修正液はチクソトロピ性の良好な流動性
を示し、ペン先から順調に流出し、紙上で10〜20秒
にて乾燥して隠蔽力の高い薄膜となった。しかし、膜は
やわらか過ぎてその上にボールペンで筆記不可能であっ
た。
【0026】
【実施例3】エチルシクロヘキサンの408部に炭化水
素系熱可塑性エラストマーであるタフテックM1943
(旭化成(株)製)の40部ならびに脂環族系炭化水素
樹脂であるエスコレッツ5380(トーネックス製)の
23部を添加、攪拌して完全に溶解させた後、高速攪拌
しながらJR800(テイカ(株)製)の500部を加
えた。この混合物をダイノミルにより分散しベースペー
ストとした。一方、エチルシクロヘキサンの300部に
ケン化度75モル%のポリ酢酸ビニルの2部を溶解して
いるポリ酢酸ビニル水溶液の250部を攪拌下に添加し
てW/O型乳化液を別途調製した。上記ベースペースト
の120部に、乳化液の80部を攪拌下に徐々に添加し
た。作業はすべて常温下に行った。得られた修正液はチ
クソトロピ性の良好な流動性を示し、ペン先から順調に
流出し、紙上で15〜25秒にて乾燥して隠蔽力の高い
薄膜となった。この修正膜は折り曲げにも耐え、その上
にボールペンで満足すべき筆記ができた。修正液は常温
安定性試験と熱サイクル安定性促進試験後も同様の挙動
を示し、初期粘度より増粘も認められなかった。
【0027】
【比較例3】実施例3の調製方法におけるケン化度75
モル%のポリ酢酸ビニルに替えて、ケン化度が60モル
%であるポリ酢酸ビニルを用いて、実施例3の方法を繰
返した。調製直後の修正液は実施例3の場合と同等で満
足すべき性能を有していたが、常温安定性試験と熱サイ
クル安定性促進試験後に、インキの酸化チタンが凝集沈
殿し、さらに水が上澄み液となり層分離していた。
【0028】
【実施例4】メチルシクロヘキサンの513部とミネラ
ルターペンの55部との混合溶剤にエラストマーである
タフテックM1911の40部ならびに脂環族系炭化水
素樹脂であるクイントンD200(日本ゼオン(株)
製)の23部を添加、攪拌して完全に溶解させた後、高
速攪拌しながらCR60の346部を加えた。この混合
物を0.8〜1.25mmΦのガラスビーズを用いるコ
ボルミルにより分散しベースペーストとした。一方、メ
チルシクロヘキサンの300部にケン化度73モル%の
ポリ酢酸ビニルの50部を溶解しているポリ酢酸ビニル
水溶液の250部を攪拌下に添加してW/O型乳化液を
別途調製した。上記ベースペーストの144部に、乳化
液の56部を攪拌下に徐々に添加した。作業はすべて常
温下に行った。得られた修正液はチクソトロピ性の良好
な流動性を示し、ペン先から順調に流出し、紙上で10
〜20秒にて乾燥して隠蔽力の高い薄膜となった。この
修正膜は折り曲げにも耐え、その上にボールペンで満足
すべき筆記ができた。修正液は常温安定性試験と熱サイ
クル安定性促進試験後も同様の挙動を示し、層分離なら
びに酸化チタンの凝集沈殿も認められなかった。
【0029】
【比較例4】実施例4の調製方法におけるケン化度73
モル%のポリ酢酸ビニルに替えて、ケン化度が73モル
%である、小割合のカルボン酸塩で変性されたポリ酢酸
ビニルを用いて、実施例4の方法を繰返した。調製直後
の修正液は実施例4の場合と同等で満足すべき性能を有
していたが、常温安定性試験には修正ペンとしての機能
を有していたが、熱サイクル安定性促進試験後に、イン
キの酸化チタンが凝集沈殿していた。
【0030】
【実施例5】メチルシクロヘキサンの300部とケロシ
ンの65部との混合溶剤にゴム成分としてスミテートR
B−11(住友化学工業(株)製)の45部と樹脂成分
としてエスコレッツ5300(トーネックス製)の23
部を添加、攪拌して完全に溶解させた後、微細なシリカ
ゲルであるアエロジル200(日本アエロジル(株)製)
の5部、続いてジメチルシリコン系分散剤であるシルエ
ットFZ−2110(日本ユニカー(株)製)の18部を
添加し、高速攪拌しながらR850(石原産業(株)
製)の550部を加えた。この混合物をダイノミルによ
り分散しベースペーストとした。一方、メチルシクロヘ
キサンの300部にケン化度70モル%のポリ酢酸ビニ
ルの40部を溶解しているポリ酢酸ビニル水溶液の25
0部を攪拌下に添加してW/O型乳化液を別途調製し
た。上記ベースペーストの144部に、乳化液の56部
を攪拌下に徐々に添加した。作業はすべて常温下に行っ
た。得られた修正液はチクソトロピ性の良好な流動性を
示し、ペン先から順調に流出し、紙上で10〜20秒に
て乾燥して隠蔽力の高い薄膜となった。この修正膜は折
り曲げにも耐え、その上にボールペンで満足すべき筆記
ができた。修正液は常温安定性試験と熱サイクル安定性
促進試験後も同様の挙動を示し、酸化チタンの凝集沈殿
やケーキングは起こらなかった。常温安定性試験と熱サ
イクル安定性促進試験の期間を2倍にしても無機粉体の
凝集沈殿やケーキングは起こらなかった。
【0031】
【比較例5】実施例5の調製方法におけるスミテートR
B−11の添加量を70部に増量変更するとともに、ア
エロジル200の10部、シルエットFZ−2110の
25部に増量変更して、実施例5の方法を繰返した。得
られた修正液はチクソトロピ性の良好な流動性を示し、
ペン先から順調に流出し、紙上で10〜20秒にて乾燥
して隠蔽力の高い薄膜となり、常温安定性試験と熱サイ
クル安定性促進試験にも合格した。しかし、膜はやわら
か過ぎてその上にボールペンで筆記不可能であり、さら
に初期粘度より増粘していたため修正液としては不適当
であった。
【0032】
【実施例6】エチルシクロヘキサンの365部に炭化水
素系熱可塑性エラストマーであるタフテックM1953
の40部ならびに樹脂成分としてエスコレッツE532
0(トーネックス製)の25部を添加、攪拌して完全に
溶解させた後、高速攪拌しながらCR60の550部を
加えた。この混合物を1.0〜1.5mmΦのガラスビ
ーズを用いるSGミルにより分散しベースペーストとし
た。一方、エチルシクロヘキサンの300部にケン化度
70モル%のポリ酢酸ビニルの45部を溶解しているポ
リ酢酸ビニル水溶液の250部を攪拌下に添加してW/
O型乳化液を別途調製した。上記ベースペーストの14
4部に、乳化液の56部を攪拌下に徐々に添加した。作
業はすべて常温下に行った。得られた修正液はチクソト
ロピ性の良好な流動性を示し、ペン先から順調に流出
し、紙上で15〜25秒にて乾燥して隠蔽力の高い薄膜
となった。この修正膜は折り曲げにも耐え、その上にボ
ールペンで満足すべき筆記ができた。修正液は常温安定
性試験と熱サイクル安定性促進試験後も同様の挙動を示
し、初期粘度からの増粘も認められなかった。
【0033】
【比較例6】実施例6の調製方法におけるケン化度70
モル%のポリ酢酸ビニルに替えて、ケン化度が70モル
%である、小割合のアミン塩で変性されたポリ酢酸ビニ
ルを用いて、実施例6の方法を繰返した。調製直後の修
正液は実施例6の場合と同等で満足すべき性能を有し、
さらに常温安定性試験にも合格した。しかし、熱サイク
ル安定性促進試験後に層分離はしていなかったが、イン
キの酸化チタンが凝集沈殿していた。
【0034】
【実施例7】メチルシクロヘキサンの40部に樹脂成分
としてスミテートKA−10(住友化学工業(株))の
40部ならびにエラストマーであるタフテックM194
3の20部を添加、攪拌して完全に溶解させた後、高速
攪拌しながらJR800の820部を加えた。この混合
物を0.8〜1.25mmΦのジルコンビーズを用いる
ダイノミルにより分散しベースペーストとした。一方、
メチルシクロヘキサンの300部にケン化度68モル%
のポリ酢酸ビニルの55部を溶解しているポリ酢酸ビニ
ル水溶液の250部を攪拌下に添加してW/O型乳化液
を別途調製した。上記ベースペーストの144部に、乳
化液の56部を攪拌下に徐々に添加した。作業はすべて
常温下に行った。得られた修正液はチクソトロピ性の良
好な流動性を示し、ペン先から順調に流出し、紙上で5
〜10秒にて乾燥して隠蔽力の高い薄膜となった。この
修正膜は折り曲げにも耐え、その上にボールペンで満足
すべき筆記ができた。修正液は常温安定性試験と熱サイ
クル安定性促進試験後も同様の挙動を示し、層分離なら
びに酸化チタンの凝集沈殿やケーキングは起こらなかっ
た。
【0035】
【比較例7】実施例7の調製方法におけるケン化度68
モル%のポリ酢酸ビニルに替えて、ケン化度が90モル
%であるポリ酢酸ビニルを用いて、実施例7の方法を繰
返した。調製直後の修正液は実施例7の場合と同等で満
足すべき性能を有し、常温安定性試験と熱サイクル安定
性促進試験後、インキの粘度が初期粘度より増粘してい
たため修正液としては不適当であった。
【0036】
【実施例8】エチルシクロヘキサンの365部にエラス
トマーであるタフテックM1911の35部ならびに樹
脂であるエスコレッツE5300の23部を添加、攪拌
して完全に溶解させた後、高速攪拌しながらCR60の
550部を加えた。この混合物を0.8〜1.25mm
Φのジルコンビーズを用いるダイノミルにより分散しベ
ースペーストとした。一方、エチルシクロヘキサンの3
00部にケン化度75モル%のポリ酢酸ビニルの50部
を溶解しているポリ酢酸ビニル水溶液の250部を攪拌
下に添加してW/O型乳化液を別途調製した。上記ベー
スペーストの144部に、乳化液の56部を攪拌下に徐
々に添加した。作業はすべて常温下に行った。得られた
修正液はチクソトロピ性の良好な流動性を示し、ペン先
から順調に流出し、紙上で15〜25秒にて乾燥して隠
蔽力の高い薄膜となった。この修正膜は折り曲げにも耐
え、その上にボールペンで満足すべき筆記ができた。修
正液は常温安定性試験と熱サイクル安定性促進試験後も
同様の挙動を示し、酸化チタンの凝集沈殿やケーキング
は起こらず、初期粘度からの増粘も認められなかった。
【0037】
【比較例8】実施例8の調製方法におけるエチルシクロ
ヘキサンの乳化液に替えてケロシンで作製した乳化液を
用いて、さらに、ケン化度75モル%のポリ酢酸ビニル
に替えてケン化度が65モル%である小割合のスルホン
酸塩で変性されたポリ酢酸ビニルを用いて、実施例8の
方法を繰返した。調製直後の修正液は実施例8の場合と
同等で満足すべき性能を有し、常温安定性試験には合格
した。しかし、ケロシンを過度に用いたことから、乾燥
速度が60秒以上と遅く、薄膜形成に著しく時間を要し
たため、総合的に不合格であった。
【0038】
【実施例9】メチルシクロヘキサンの365部にエラス
トマーであるタフテックM1943の9部を添加、攪拌
して完全に溶解させた後、微細なシリカゲルであるアエ
ロジルD17(デグサ製)の7部、続いてジメチルシリコ
ン系分散剤であるシルエットFZ−2122(日本ユニ
カー(株)製)の25部を添加し、高速攪拌しながらR
850の500部を加えた。この混合物をダイノミルに
より分散しベースペーストとした。一方、メチルシクロ
ヘキサンの300部にケン化度70モル%のポリ酢酸ビ
ニルの40部を溶解しているポリ酢酸ビニル水溶液の2
50部を攪拌下に添加してW/O型乳化液を別途調製し
た。上記ベースペーストの144部に、乳化液の56部
を攪拌下に徐々に添加した。作業はすべて常温下に行っ
た。得られた修正液はチクソトロピ性の良好な流動性を
示し、ペン先から順調に流出し、紙上で5〜10秒にて
乾燥して隠蔽力の高い薄膜となった。この修正膜は折り
曲げにも耐え、その上にボールペンで満足すべき筆記が
できた。修正液は常温安定性試験と熱サイクル安定性促
進試験後も同様の挙動を示し、酸化チタンの凝集沈殿や
ケーキングは起こらなかった。常温安定性試験と熱サイ
クル安定性促進試験の期間を2倍にしても酸化チタンの
凝集沈殿やケーキングは起こらなかった。
【0039】
【比較例9】実施例9の調製方法におけるタフテックM
1943の添加量を3部に減量変更するとともに、アエ
ロジルD17を10部、シルエットFZ−2122を3
0部に増量変更して、実施例9の方法を繰返した。得ら
れた修正液はチクソトロピ性の良好な流動性を示し、ペ
ン先から順調に流出し、紙上で5〜10秒にて乾燥して
隠蔽力の高い薄膜となり、常温安定性試験膜には合格し
た。しかし、熱サイクル試験では、インキの酸化チタン
が凝集沈殿し水が上澄み液となり層分離していた。
【0040】
【実施例10】メチルシクロヘキサンの365部にエラ
ストマーであるタフテックM1943の40部ならびに
樹脂であるエスコレッツE5300の20部を添加、攪
拌して完全に溶解させた後、高速攪拌しながらCR60
の550部を加えた。この混合物を0.8〜1.25m
mΦのジルコンビーズを用いるダイノミルにより分散し
た。一方、ケン化度70モル%のポリ酢酸ビニルの40
部を溶解しているポリ酢酸ビニル水溶液の250部を別
途調製した。上記ベースペーストの144部に、上記ポ
リ酢酸ビニル水溶液水溶液の55部を攪拌下に徐々に添
加した。作業はすべて常温下に行った。得られた修正液
はチクソトロピ性の良好な流動性を示し、ペン先から順
調に流出し、紙上で5〜10秒にて乾燥して隠蔽力の高
い薄膜となった。この修正膜は折り曲げにも耐え、その
上にボールペンで満足すべき筆記ができた。修正液は常
温安定性試験と熱サイクル安定性促進試験後も同様の挙
動を示し、初期粘度より増粘もせず良い安定性を示し
た。
【0041】
【発明の効果】修正液の問題点は、白色無機紛体の酸化
チタンの沈降凝集にあり、その再溶解性のため修正ペン
では攪拌用金属球の内蔵使用が当然のごとく考えられて
いた。さらに、酸化チタンの沈降は水分の影響等が原因
のひとつであると推定されることから、修正ペンの密封
性確保に工夫がなされていた。本発明は、上記の難点を
克服するため、逆転の発想すなわち水の予め併存する修
正液を目指し、貯蔵安定性が優れの攪拌用金属球の不要
な修正ペンの作製が可能な修正液を提供できるようにな
った。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 29/04 C08L 29/04 G 53/00 53/00 57/02 57/02 65/00 65/00 93/04 93/04 101/16 101/00 Fターム(参考) 4D075 DB18 EA13 EB10 EB31 EC02 EC35 EC54 4F070 AA06 AA64 AB08 AC12 AC13 AC32 AC80 CA01 CB12 FA05 FA17 4J002 AC001 AF022 BA012 BE023 BP011 CE002 DE028 DE076 DE106 DE136 EA017 EA027 GH01 HA06 4J038 BA231 BA232 CF022 CQ011 CQ012 CR011 CR012 CR071 CR072 DN011 DN012 HA116 HA216 HA286 JA02 KA06 KA08 KA09 KA20 MA07 MA10 MA16 NA01 PB14

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 白色無機粉体、造膜性高分子分散剤、お
    よび非水溶性有機溶剤を必須成分とする白色無機粉末の
    分散液である修正液組成物において、これにさらに乳化
    剤を用いて水を配合し、水をW/O型の乳化状態にて併
    存せしめたことを特徴とする修正液組成物。
  2. 【請求項2】 白色粉体が酸化チタン、酸化亜鉛、酸化
    マグネシウムからなる群から選ばれた少なくとも1種で
    あることを特徴とする請求項1に記載の修正液組成物。
  3. 【請求項3】 造膜性高分子分散剤が、非水溶性有機溶
    剤に溶解性で、無機粉体と乳化水を安定に分散し、しか
    も乾燥後適度な力学強度を有する薄膜を形成しうる、相
    溶性のゴムと樹脂の併用か、あるいは両者の機能を併有
    するブロックコポリマーであることを特徴とする請求項
    1に記載の修正液組成物。
  4. 【請求項4】 非水溶性有機溶剤が、造膜性高分子分散
    剤溶存下に白色無機粉体を分散状態に保ちうるととも
    に、乳化剤存在下に水がW/O型の乳化状態にて併存さ
    せうる揮発性溶剤であることを特徴とする請求項1に記
    載の修正液組成物。
  5. 【請求項5】 乳化剤がケン化度65モル%以上80モ
    ル%以下のポリ酢酸ビニルであることを特徴とする請求
    項1に記載の修正液組成物。
  6. 【請求項6】 修正液組成物において、白色無機粉体が
    25重量%以上65重量%以下、造膜性高分子分散剤が
    0.5重量%以上10重量%以下、非水溶性有機溶剤が
    15重量%以上60重量%以下、水が5重量%以上25
    重量%以下、乳化剤が水の1重量%以上30重量%以下
    の各範囲内から選ばれた割合で構成されていることを特
    徴とする請求項1に記載の修正液組成物。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002294103A (ja) * 2001-03-30 2002-10-09 Pentel Corp 水性修正液
JP2007231140A (ja) * 2006-02-28 2007-09-13 Pentel Corp 修正液
US8110615B2 (en) 2005-08-04 2012-02-07 Sanford, L.P. Correction fluids
JP2012131927A (ja) * 2010-12-22 2012-07-12 Pentel Corp 油性白色インキ
US9109126B2 (en) 2013-07-22 2015-08-18 Sanford, L.P. Ink compositions comprising colorant particles containing polymeric particles

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