JP2000312957A - 連続鋳造機の湯面レベル制御方法 - Google Patents

連続鋳造機の湯面レベル制御方法

Info

Publication number
JP2000312957A
JP2000312957A JP12115299A JP12115299A JP2000312957A JP 2000312957 A JP2000312957 A JP 2000312957A JP 12115299 A JP12115299 A JP 12115299A JP 12115299 A JP12115299 A JP 12115299A JP 2000312957 A JP2000312957 A JP 2000312957A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
frequency
notch
level
molten metal
case
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP12115299A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3050230B1 (ja
Inventor
Kazuharu Hanazaki
一治 花崎
Toshihiko Murakami
敏彦 村上
Masahiko Oka
正彦 岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority to JP11121152A priority Critical patent/JP3050230B1/ja
Priority to PCT/JP2000/000398 priority patent/WO2000066293A1/ja
Priority to EP00901917A priority patent/EP1097765A4/en
Application granted granted Critical
Publication of JP3050230B1 publication Critical patent/JP3050230B1/ja
Publication of JP2000312957A publication Critical patent/JP2000312957A/ja
Priority to US09/739,870 priority patent/US6466001B2/en
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Continuous Casting (AREA)
  • Control Of Non-Electrical Variables (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 連続鋳造機の非定常バルジング性湯面レベル
変動を抑止する制御方法を提供する。 【解決手段】 連続鋳造の湯面レベル制御系の制御リー
プに非定常バルジング周波数を選択的に減衰させるフィ
ルタ要素を介在させる。フィルタ要素には下記式で表さ
れるノッチフィルタを用いるとよい。湯面レベル変動を
オンラインで周波数解析し、非定常バルジング周波数お
よび変動ピーク高さを測定し、ノッチフィルタの特性パ
ラメータのノッチ周波数f=ω/2π、ノッチ比率g、
帯域定数Qおよび湯面レベル制御器の比例ゲインを自動
的に決定するとさらによい。 【数9】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶融金属(以下、
溶湯ともいう)の連続鋳造機において2次冷却帯で発生
する鋳片の非定常バルジングに起因する鋳型内湯面レベ
ル変動を防止する制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図1は連続鋳造機の湯面レベル制御系統
を示す概要図である。同図において、符号1は溶湯、2
はタンディッシュ、3は浸漬ノズル、4は鋳型、5は鋳
片、6は凝固シェル、7は未凝固部、8は2次冷却帯ロ
ール、9はピンチロール、10は駆動モータ、11は湯
面レベル計、12は湯面レベル制御器、13はストッパ
駆動装置、14はストッパである。
【0003】図1において、鋳型に注入された溶湯1は
鋳型4で冷却され、凝固シェル6が形成され、内部は未
凝固部7が次第に凝固しつつ、鋳片5を形成し、複数の
2次冷却帯ロール8に支持されつつ、順次下方に引き抜
かれる。湯面レベル制御は、溶湯1の湯面レベルを湯面
レベル計11で検出し、レベル設定値との偏差がゼロに
なるように、制御則(比例・積分動作による制御機能)
を備えた湯面レベル制御器12がストッパ駆動装置13
を介してストッパ14を駆動し、溶湯1の流入量を制御
する。
【0004】図2は非定常バルジングの発生状況を示す
模式図であり、同図(a) は鋳片が膨張した場合、同図
(b) は鋳片が収縮した場合を示す。同図において図1と
同一要素は同一符号で表す。
【0005】同図(a) のように、鋳片5の凝固シェル6
が十分な厚さをもたないとき、溶湯の静圧によって鋳片
5は2次冷却帯ロール8の間で膨張する。このとき、湯
面レベルは矢印Aのように下がる。鋳造速度が一定で、
シェル厚さが連続的に変化していれば、凝固シェル6の
一旦膨張した部分は再度2次冷却帯ロール8で押さえら
れ、2次冷却帯ロール8と接しなくなった部分は膨張す
る。鋳片5の特定の部分では膨張と収縮を繰り返すが、
2次冷却帯ロール8の特定位置からみれば、鋳片の膨張
形状は一定となる。このとき、鋳片5の体積は変動しな
いので、鋳型4内の湯面レベルが変動することはない。
【0006】しかし、何らかの原因で膨張した凝固シェ
ル6の特定個所に、他の部分より低温部があると、この
部分が膨張形状を維持したまま2次冷却帯ロール8に押
さえられるため、同図(b) に示すように、シェルの厚さ
方向が押さえられることになり、鋳片の体積が変動し
て、未凝固部7の体積変動となって、湯面レベルは矢印
Bのように上昇する。
【0007】一旦湯面レベルの変動が発生すると、凝固
したシェル6に薄い部分と厚い部分が混在する状態にな
り、このシェル厚さの不均一な部分でバルジングを起こ
し、これがさらに湯面レベル変動となって、ロール間を
周期とするシェル厚さ変動となって不均一性が拡大す
る。この状態では湯面レベルの周期的な変動が発生す
る。この状態を非定常バルジングという。非定常バルジ
ングが大きくなると、鋳片の品質が悪化したり、ブレー
クアウトの危険性もある。
【0008】一般に、2次冷却帯のロール間隔はすべて
同間隔ではなく、鋳型に近い部分のロールセグメントで
はロール間隔が小さく、鋳型から遠いセグメントでは大
きくなっており、1機の連続鋳造機には2種以上のロー
ル間隔のセグメントが用いられている。従って、前記の
非定常バルジングも、変動周期は1種類ではなく2また
はそれ以上の周波数成分が含まれることがある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記の非定常バルジン
グを抑制するため、例えば特開平4−65742号公報
には2次冷却帯のロール間隔を不均等にすることによっ
て、規則的周期的な温度変動を防止する技術が開示され
ている。しかし、同公報に開示された技術は、予備セグ
メントを多種類必要とするため、設備費の増大を招く。
【0010】特開平5−23811号公報には、非定常
バルジングを正弦波状に変動するものと仮定して、湯面
レベル変動を打ち消すように制御信号に補償用の正弦波
を重畳させ、湯面レベル変動を防止しようとする技術が
開示されている。
【0011】しかし、同公報に開示された方法は、非定
常バルジングによる変動をロール間隔と鋳造速度により
定まる正弦波又は一定傾斜で増大/減少するランプ状の
変動と仮定したものであり、非定常バルジングが複数の
周波数成分を含む場合には対応できない。
【0012】そのほか、H無限大制御モデルを適用する
方法が考えられる。この方法は外乱が正弦波状に変動す
るとして、外乱の周波数帯域で制御器の感度を低くして
制御系が安定になるように制御器を設計する方法であ
る。H無限大制御モデルは外乱に一定の周期性が存在す
る場合には安定性に優れているといわれる制御手法であ
り、非定常バルジングのような問題には一見好適な手法
と見られる。
【0013】しかし、H無限大制御は非定常バルジング
に起因する外乱の帯域(変動の周波数範囲)が鋳造速度
に応じて変化する場合、制御の安定性を優先すると応答
性が劣化する問題がある。さらに、H無限大制御モデル
の設計には、CAD(コンピュータ支援による設計シス
テム)が必要であり、鋳造条件が多様に変化する連続鋳
造プロセスに対しては、例えばオンラインで調整するの
は困難であり、オフラインで行うにしても、鋳造条件変
化にともなってタイムリーに調整するのは困難である。
【0014】上述のように、非定常バルジングの発生原
因は、なんらかの原因で発生した湯面レベル変動が鋳型
内での凝固シェル厚さの不均一を発生させることにはじ
まる。この不均一部分が2次冷却帯ロールに到ると、小
さな湯面変動を発生させる。これが繰返されると2次冷
却帯ロール間隔を鋳造速度で割った周波数で湯面変動が
拡大して振動が大きくなるという現象である。
【0015】前記の従来技術はこの現象に則した対応を
していないため、制御性の面で限界があった。すなわ
ち、ロール間隔が複数種類存在する場合は、複数種類の
変動周波数があり、凝固鋳片厚みと強度が操業条件(鋳
造速度、冷却パターン、溶鋼凝固温度又は化学組成等)
によって変化するため、2次冷却帯のどのセグメントで
バルジングが発生するかは一様ではない。また同一の鋳
造条件であっても同様の非定常バルジングになるとは限
らない。
【0016】本発明は上記従来技術の問題を解決しよう
とするもので、その課題は、連続鋳造機における非定常
バルジングを精度良く、かつ簡便な方法で抑制する制御
方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】図3は図1の制御系統を
示すブロックダイアグラムである。同図において、図1
と同一要素は同一符号で示す。同図は従来技術の制御方
法を示している。同図において、符号15は湯面レベル
の設定値と偏差との差を演算する偏差計算部、16は比
例・積分動作を実行する制御則部、17はストッパ駆動
装置の伝達関数、18はストッパの伝達関数、19は鋳
型の伝達関数、20は湯面レベル計の伝達関数である。
また、同図のSPは湯面レベルの設定値(mm)、PV
は湯面レベル計で測定した湯面レベル値(mm)、MV
は制御器の出力値(mm)、KpとTp は制御則の比例
ゲイン(−)と積分時間(s)、Tc とLc はストッパ
駆動装置の時定数(s)および無駄時間(s)、Kq
ストッパの流量特性のゲイン(−)、Lw はストッパ部
からタンディッシュに溶湯が落下するまでの無駄時間
(s)、Aは鋳型の断面積(mm2 )、Ts およびLs
は湯面レベル計の時定数(s)と無駄時間(s)をあら
わす。
【0018】図3に示すような従来技術の制御系統を用
いた場合、非定常バルジングが発生することがある。こ
の理由は、同図に示すフィードバック制御系の特定周波
数におけるループゲインが1より大きくて(ループを1
巡した信号がもとの信号より大きくなって)制御系が不
安定となるためである。
【0019】図4は非定常バルジング発生時の湯面レベ
ル変動を示すグラフの一例である。同図に示すように、
鋳造速度Vcを大きくすると非定常バルジングによる湯
面レベル変動が大きくなり、速度を落すと小さくなる。
高速鋳造では、局部的な温度不均一が出やすく、また速
度変更時に不連続的な温度の段差が発生するため、非定
常バルジングが発生しやすいためと考えられる。
【0020】図5は図3に示した制御系の制御系ゲイ
ン、すなわち外乱入力に対する湯面変動の大きさを周波
数別に示すグラフである。同図は外乱入力の振幅と湯面
レベル変動の振幅比を縦軸の制御系ゲインrとして表し
ている。同図において、制御系ゲインが1.0を超えて
いる部分(周波数の領域)では、その周波数の外乱に対
して湯面レベル変動が増幅され、外乱入力に重畳するた
め、湯面変動幅がさらに増大することを示している。
【0021】図6は図4のバルジング性湯面レベル変動
振幅の周波数のスペクトルを示すグラフである。同図に
おいて、振幅がピークとなる周波数f2 (Hz)は、鋳
造速度Vc (m/min)と2次冷却帯ロール間隔d
(mm)とから、 f2 =Vc×(1000/60)/d (2) で決まる値になる。この周波数を非定常バルジング周波
数という。
【0022】鋳片の厚さが90〜120mm程度の中厚
スラブ連続鋳造では鋳造速度Vcは3〜8m/minに
達し、2次冷却帯ロールの間隔は160〜250mmで
あることから、非定常バルジング周波数は、0.1Hz
〜0.4Hzの帯域に発生する。図5に示すように、制
御系のゲインが1を超える部分があって、その周波数領
域に外乱である非定常バルジング周波数が含まれている
と、制御が不安定になりやすい。
【0023】図7は複数の非定常バルジング周波数を含
む湯面レベル変動のグラフである。図8は図7の湯面レ
ベル変動振幅の周波数スペクトルを示すグラフである。
図8に示す例では、非定常バルジング周波数のピークは
3つあり、それぞれf1 、f2 、f3 とすると、(3) 〜
(5) 式の関係が成り立つ。
【0024】 f1 =Vc×(1000/60)/2πRSC (3) f2 =Vc×(1000/60)/d1 (4) f3 =Vc×(1000/60)/d2 (5) ここで、d1 は鋳型直下の2次冷却帯ロールの間隔、d
2 はさらに下部のロール間隔に相当する(図1参照)。
【0025】上記のf1 に相当する低い周波数の変動は
2次冷却帯ロールの間隔に由来すバルジング性湯面変動
ではなく、ロール(ロール半径;RSC)自体の偏心によ
って、湯面変動が生じたものである。この変動は湯面レ
ベル制御器の比例ゲインを大きくすることによって抑制
可能である。
【0026】このほか、より小さな周波数ピークが現わ
れることがあるが、問題になるのはピーク高さ、すなわ
ち湯面レベル変動振幅が大きい周波数であり、通常の連
続鋳造では図8のようにロール間隔に起因する1つまた
は2つの非定常バルジング周波数が問題になることが多
い。以下の説明では、図8に示すロール偏心起因のf1
と非定常バルジング周波数(以下、主要周波数ともい
う)f2 、f3 が発生した場合について説明する。
【0027】図3に示すような制御系でフィードバック
制御を行うことによって、湯面レベルの変動が大きくな
るのは、制御系のループゲインが非定常バルジング周波
数で共振をおこすためである。発明者らは非定常バルジ
ングに起因する湯面変動の周波数でループゲインを小さ
くし、他の制御特性を損なうことなく、湯面レベル変動
を抑制する方法を検討した。また、図8のように、複数
の非定常バルジング周波数で湯面レベル変動が発生する
場合に対応してループゲインを小さくする方法を検討し
た。
【0028】発明者らはさらに、鋳造条件によって非定
常バルジングの発生の状況が異なる場合にも適用可能な
制御系を検討した。
【0029】非定常バルジング周波数が鋳造速度と2次
冷却帯ロール間隔のみから決まるものであれば、鋳造速
度が変動するのに対応して制御系の周波数特性を変更す
ればよいが、この方法には問題がある。すなわち、鋳造
条件によって非定常バルジング周波数のピーク位置が変
化することである。同一鋼種、同一寸法、同一鋳造速度
であっても、また、他の要因(例えばロールの偏心、2
次冷却水の圧力変動など)によっても擬似的な周波数ピ
ークが見られ、バルジングの発生状況は一様ではない。
従って、常時プロセスを監視して、変動のピークの周波
数と振幅の大きさを検出し、これに対応して制御系のパ
ラメータを調整することが望ましいことを見出した。
【0030】発明者らは、非定常バルジング周波数が複
数ある場合にも有効な制御パラメータの調整方法を検討
し、応答性を損なうことなく自動調整する方法を見出し
た。
【0031】上記の知見に基づいて完成した本発明の要
旨は、以下の(1) 〜(7) にある。
【0032】(1) 湯面レベル制御器を用いた連続鋳造機
の鋳型内の湯面レベル制御において、非定常バルジング
に起因する湯面レベル変動の周波数を予め求めて非定常
バルジング周波数とし、湯面レベル制御系のフィードバ
ックループ中に該非定常バルジング周波数を選択的に減
衰させるフィルタ要素を介在させ、非定常バルジング性
湯面変動を抑止することを特徴とする連続鋳造機の湯面
レベル制御方法。
【0033】(2) フィルタ要素が、複数の非定常バルジ
ング周波数に対して、それぞれの周波数成分を選択的に
減衰させる複数フィルタの結合であることを特徴とする
前記(1) 項に記載の連続鋳造機の湯面レベル制御方法。
【0034】(3) フィルタ要素が、複数の非定常バルジ
ング周波数の帯域にわたって周波数成分を選択的に減衰
させるノッチフィルタであることを特徴とする前記(1)
項に記載の連続鋳造機の湯面レベル制御方法。
【0035】(4) 連続鋳造の湯面レベル信号を実時間で
周波数スペクトル解析し、非定常バルジングに起因する
ピーク成分の周波数を抽出することにより、非定常バル
ジング周波数を求めることを特徴とする前記(1) から
(3) のいずれかに記載の連続鋳造機の湯面レベル制御方
法。
【0036】(5) 湯面レベル制御器を用いた連続鋳造機
の鋳型内の湯面レベル制御において、湯面レベル制御系
のフィードバックループ中に特定の帯域にわたって周波
数成分を選択的に減衰させるノッチフィルタを介在さ
せ、連続鋳造の湯面レベル信号を実時間で周波数スペク
トル解析し、非定常バルジングに起因する複数のピーク
成分の周波数と振幅とを抽出し、該周波数と振幅とに基
づいて、ノッチフィルタのノッチ周波数、ノッチ比率お
よび帯域定数を設定し、湯面レベル制御器の比例ゲイン
を設定することを特徴とする連続鋳造機の湯面レベル制
御方法。
【0037】(6) ノッチフィルタが下記(1) 式で表され
る伝達関数を有するノッチフィルタであり、(1) 式のノ
ッチフィルタのノッチ角周波数ω、ノッチ比率g、帯域
定数Q、および湯面レベル制御器の比例ゲインKp を設
定する際、Kp =RKp・Kp0として比例ゲインの基準値
p0に乗ずべき修正係数をRKpとし、湯面レベル信号の
周波数スペクトル解析によって得られた非定常バルジン
グ性湯面レベル変動のピーク周波数の内、0.1Hz未
満の周波数域で振幅が最大となる周波数f1 と、0.1
Hを超える周波数域で振幅が最大となる周波数f2 を選
び、これらの周波数のピーク高さH1 、H2 を求め、
(1) 式のノッチ角周波数ω=2πfに対応するノッチ周
波数fをf=(f1 ・f2 1/2 と決定し、帯域定数Q
をQ=(f2 −f1 )/fと決定し、あらかじめ定めら
れた湯面レベル変動幅基準値をH10およびH20、比例ゲ
イン修正係数RKpの基準値をRI 、RII、RIII および
IV、ならびにノッチ比率基準値をgI 、gII、gIII
およびgIVとしたとき、下記ケース(I) 〜ケース(IV)の
それぞれの場合について、 ケース(I) ; H1 ≦H10、H2 ≦H20の場合は、 RKp=RI 、g=gI 、 ケース(II); H1 >H10、H2 ≦H20の場合は、 RKp=RII、g=gII、 ケース(III) ;H1 ≦H10、H2 >H20の場合は、 RKp=RIII 、g=gIII 、 ケース(IV) H1 >H10、H2 >H20の場合は、 RKp=RIV、g=gIV、 として、RKpとgとを決定し、ノッチフィルタおよび湯
面レベル制御器のパラメータとして設定することを特徴
とする請求項5に記載の連続鋳造機の湯面レベル制御方
法。
【0038】
【数3】
【0039】ただし、ω=2πfである。 (7) ノッチフィルタが下記(1) 式で表される伝達関数を
有するノッチフィルタであり、(1) 式のノッチフィルタ
のノッチ角周波数ω、ノッチ比率g、帯域定数Q、およ
び湯面レベル制御器の比例ゲインKp を設定する際、K
p =RKp・Kp0として比例ゲインの基準値Kp0に乗ずべ
き修正係数をRKpとし、湯面レベル信号の周波数スペク
トル解析によって得られた非定常バルジング性湯面レベ
ル変動のピーク周波数の内、0.1Hz以上の周波数域
で振幅が最大およびこれに次ぐ大きさをもつ周波数を選
んで、これらをf2 およびf3 (f2 <f3 )とし、こ
れらの周波数のピーク高さH1 、H2 を求め、(1) 式の
ノッチ角周波数ω=2πfに対応するノッチ周波数fを
f=(f2 ・f3 1/2 と決定し、帯域定数QをQ=
(f3 −f2 )/fと決定し、あらかじめ定められた湯
面レベル変動幅基準値をH10およびH20、比例ゲイン修
正係数RKpの基準値をRI 、RII、RIII およびRIV
ならびにノッチ比率基準値をgI 、gII、gIII および
IVとしたとき、下記ケース(I) 〜ケース(IV)のそれぞ
れの場合について、 ケース(I) ; H1 ≦H10、H2 ≦H20の場合は、 RKp=RI 、g=gI 、 ケース(II); H1 >H10、H2 ≦H20の場合は、 RKp=RII、g=gII、 ケース(III) ;H1 ≦H10、H2 >H20の場合は、 RKp=RIII 、g=gIII 、 ケース(IV) H1 >H10、H2 >H20の場合は、 RKp=RIV、g=gIV、 として、RKpとgとを決定し、ノッチフィルタおよび湯
面レベル制御器のパラメータとして設定することを特徴
とする請求項5に記載の連続鋳造機の湯面レベル制御方
法。
【0040】
【数4】
【0041】
【発明の実施の形態】図9は本発明の制御方法を示すブ
ロックダイアグラムである。同図は、図3に示す制御系
にフィルタ要素21を付加したものである。
【0042】同図において、制御則部16、ストッパ駆
動装置の伝達関数17、ストッパの伝達関数18、鋳型
の伝達関数19、湯面レベル計の伝達関数20は制御ル
ープを構成している。フィルタ要素21は制御ループの
どの位置に挿入しても、ループ一巡のゲイン(各伝達関
数の積)は不変であるが、同図の例ではフィルタ要素2
1を湯面レベル値PVの信号処理装置として挿入された
構成を示している。同図のFFT解析部22、自動チュ
ーニング部23および制御則部の比例ゲインKp にかか
る修正係数RKpについては後述する。
【0043】フィルタ要素21は非定常バルジング周波
数において、ループゲインを遮断または小さくし、非定
常バルジング性の湯面レベル変動が、フィードバック制
御系によりさらに増大することを防止するものである。
【0044】図9において、フィルタ要素21の伝達関
数には、例えば(1) 式で定義される1段のノッチフィル
タを適用できる。
【0045】
【数5】
【0046】ここで、ωはノッチフィルタのノッチ周波
数の角速度で、ω=2πf(fはノッチ周波数)、g:
ノッチ比率、Q:帯域定数、である。
【0047】図10はノッチフィルタのフィルタゲイン
を示すグラフである。同図において、ノッチ周波数fで
フィルタゲイン(出力と入力の比)が最も低く、その時
の減衰比率はg(ノッチ比率)となる。また、帯域定数
Qは、同図における谷形状の鋭ささを表す数値で、減衰
率が(0.5)1/2 =0.707倍になるときの周波数
幅Δfに対するfの比であり、Qが大きいほど谷の形状
は幅狭く鋭くなる。
【0048】図11はフィルタ要素21の構成を示すブ
ロック図で、同図(a) はノッチフィルタを1段のみ有す
る場合、同図(b) はノッチフィルタを2段有する場合で
ある。同図(a) の場合、1つのノッチフィルタでフィル
タ要素21を構成しており、その伝達関数は前記の式
(1) で表される、同図(b) の場合、2つのノッチフィル
タ21aおよび21bでフィルタ要素21が構成されて
いる。ノッチフィルタ21aおよび21bの伝達関数F
1 (s)、F2 (s)は各々、下記(6) 、(7) 式で表さ
れる。
【0049】
【数6】
【0050】上記(6) 、(7) 式の添え字2または3を付
したQ、ωおよびgは(1) 式の添え字のない同符号と対
応し、f2 =ω2 /2π、f3 =ω3 /2πであり、f
2 、f3 は、図8の主要周波数のf2 、f3 に対応す
る。
【0051】例えば、図5のように、非定常バルジング
の周波数が単一のピークで表されるときは、非定常バル
ジング周波数と等しいノッチ周波数のノッチフィルタ
F(s)を1段のみ挿入すればよい。
【0052】図8のように、非定常バルジング周波数が
複数ある時は、振幅が最大の周波数およびこれに次ぐ振
幅の周波数に対応する2段のノッチフィルタ21aおよ
び21b(フィルタの伝達関数はそれぞれF1 (s)お
よびF2 (s)である)で構成されたフィルタ要素21
をフィードバックループの中に挿入すればよい。
【0053】図11(b) のようにノッチフィルタを多段
とする構成は、2種または3種以上の非定常バルジング
周波数が混在し、かつそれぞれの周波数が離れていると
き(「周波数が離れている」との判定条件は後述する)
に有効な方法である。実際にはこのようなケースはまれ
で、2種類または3種類以上のロール間隔があっても、
比較的接近していることが多い。
【0054】一方、2種の非定常バルジング周波数f2
およびf3 が接近しているときはノッチフィルタを2段
にする必要はなく、f2 およびf3 を包含する範囲で図
9に示すノッチフィルタの帯域幅Δfを広くすればよ
い。
【0055】以下に、ノッチフィルタの特性の調整方法
について述べる。 (A) まず、非定常バルジング周波数が、図6のように単
一の周波数f2 成分のみである場合のノッチフィルタの
パラメータ;g、f、Qの設定方法を説明する。
【0056】図5の制御系の特性のグラフにおいて、制
御系のゲインrが1を超える周波数領域に非定常バルジ
ング周波数が含まれるため、湯面レベルの変動幅が拡大
するのであるから、ノッチフィルタのノッチ周波数fを
非定常バルジング周波数f2に合わせ、同時に、ノッチ
フィルタのノッチ比率gを、制御系ゲインrの逆数にな
るように調整する。
【0057】図12は、ノッチフィルタのノッチ比率g
の調整方法を模式的に示す制御系ゲインのグラフであ
る。同図において、ノッチ周波数は非定常バルジング周
波数f2 と同じ値に設定され、ノッチ比率gはr×g=
1.0となるように設定する。
【0058】このように、非定常バルジング周波数にお
いて、制御系のゲイン(外乱入力振幅に対する湯面レベ
ル変動振幅の比)は1を超えることがなくなるので、制
御は安定する。
【0059】(B) つぎに、非定常バルジング周波数が、
図8のように複数の周波数成分が含まれ、かつその周波
数が比較的接近している場合のフィルタ要素の設計方法
を説明する。
【0060】まず、図8に示す2次冷却帯ロールの偏心
に起因する低周波数のピーク(図8ではf1 <0.1H
z)は前述の理由により、ノッチフィルタで振幅を減衰
させる必要はない。検討の対象としては、周波数が0.
1Hz以上で、相互に接近した2つ以上の非定常バルジ
ング周波数が複数存在する場合である。ただし、図8の
例で0.4Hz近傍に見られるピークのように、最大ピ
ーク高さの1/2未満のピークは無視する。
【0061】残った複数の周波数ピークのうち、最大振
幅の周波数とこれに次ぐ振幅の周波数をえらび、f2
3 (f2 <f3 )とする。すなわち非定常バルジング
の主要周波数とする。
【0062】図13は非定常バルジングの主要周波数f
2 〜f3 の周波数帯域で減衰特性をもつノッチフィルタ
をフィードバックループに挿入したときの制御系ゲイン
のグラフである。
【0063】図14は図13に示す制御系ゲインに対応
する制御系の位相のグラフである。図13に示すよう
に、本発明の方法ではフィルタ要素として主要周波数f
2 、f3 をカバーする1段の広帯域ノッチフィルタをフ
ィードバックループに挿入して、f2 〜f3 での制御系
ゲインを1以下にする。
【0064】さらに調整すべき制御系パラメータとし
て、(1) 式で示されるノッチフィルタの伝達関数のノッ
チ周波数:f、ノッチ比率:gおよび帯域定数Q、なら
びに制御則部16の比例ゲインKp (図9参照)の4つ
がある。制御則部の積分時間Tp は、ノズルの詰まり、
鋳造速度Vcの増・加減速の外乱補償用に設定された値
であり、非定常バルジング性の湯面レベル変動には影響
しないため、修正する必要はない。
【0065】まず、Qはノッチフィルタの帯域幅と、周
波数0.1Hz以下の低周波域位相遅れのバランスを考
慮して決定する。制御系の遮断周波数すなわち、図13
に示すノッチ周波数fが0.2〜0.5Hzの場合は、
Q=5程度とし、図14に示す位相遅れを18°以下に
なるようにする。
【0066】このとき、バルジングの主要周波数f2
よびf3 とノッチフィルタのゲインとの関係を以下のよ
うに検討する。
【0067】図15は図10のノッチフィルタのゲイン
と主要周波数との関係を示すグラフで、同図(a) は
2 、f3 の間が接近している場合、同図(b) は離れて
いる場合である。ノッチ周波数をf=(f2 ・f3
1/2 と仮定した場合、同図(a) に示すように、ノッチ周
波数fにおけるゲインはgであり、f2 、f3 における
ノッチフィルタのゲインは|F(jω2 )|および|F
(jω3 )|となる(jωは角周波数ωの正弦波の虚数
部、|F|は複素数Fの絶対値を表す)。このゲイン
が、gの1.1倍以下であれば、f2 とf3 とは接近し
ていると判定する。反対に図15(b) に示すように、f
2 、f3 におけるノッチフィルタのゲインがgの1.1
倍を超えていれば、f2 とf3 とは離れていると判定す
る。
【0068】f2 とf3 とが離れている場合は、前述の
ノッチフィルタを2段で構成する方法が望ましい。
【0069】f2 とf3 とが接近している場合はノッチ
周波数をf=(f2 ・f3 1/2 、Q=(f3 −f2
/fとする。
【0070】次にノッチ比率gおよび比例ゲインKp
以下のように求める。
【0071】図8において、主要周波数f2 、f3 (た
だし、f2 <f3 )における湯面レベル変動の振幅値を
1 、H2 とすると、本発明の制御方法においては、ノ
ッチフィルタのパラメータgおよび制御則部の比例ゲイ
ンKp を、H1 、H2 の大小関係に基づいて決定する。
すなわち、周波数の異なった非定常バルジング湯面変動
が2種あるとき、いずれが振幅が大きい方を重点的に対
策をとるという考え方である。この場合、湯面レベル変
動の振幅H1 およびH2 の程度を判断する基準、H10
よびH20をあらかじめ定めておく。H10およびH20は1
〜3mmの値で設定されるもので、通常の湯面レベル変
動として許容しうる値である。
【0072】湯面レベル変動の周波数解析によって、変
動のピーク高さH1 、H2 を実測し、H1 >H10、H2
>H20の条件判定を行う。この条件判定は次の4ケース
に分けられる。
【0073】ケース(I) : H1 ≦H10、H2 ≦H20 周波数の低い方の変動も高い方の変動のいずれも許容範
囲内の場合である。このときは制御が良好であり、比例
ゲインKp は変更しない。
【0074】ケース(II): H1 >H10、H2 ≦H20 低い周波数f2 の変動が大きく、高い周波数f3 の変動
が小さい場合である。この場合、ノッチ比率gはそのま
まで、f2 に対する安定性を増すため、Kpを大きくす
る。
【0075】ここで、Kp の修正係数をRKpを導入す
る。湯面レベル制御器の比例ゲインKp の基準値をKp0
とし、このKp0に対してRKpを乗じた値を実際に使用す
る比例ゲイン(Kp =RKp・Kp0)とする。比例ゲイン
の基準値Kp0は、非定常バルジングが起きにくく操業が
安定している低炭素の鋼種で調整した値を用いる。この
p0に対して乗ずるRKpは通常1以下である。
【0076】 ケース(III) : H1 ≦H10、H2 >H20 高い周波数f3 での変動が大きく、低い周波数f2 での
変動が小さい場合である。この場合、ノッチ比率gを小
さくし、かつf3 での安定性を向上させるため、f2
変動が増大しない範囲で比例ゲインKp を小さくする
(RKpを小さくする)。
【0077】ケース(IV): H1 >H10、H2 >H20 いずれの周波数でも湯面レベル変動が大きい場合であ
る。周波数の高いf3 の方がパウダ巻き込みの危険性が
あるので、ノッチ比率g、比例ゲインKp を小さくした
いが、Kp を過度に小さくするとf2 側で変動が増大
し、パウダが焼結して凝固が不安定になる現象(パウダ
ベア)起因によるブレークアウトの危険がある。ここで
は、ノッチ比率gはケース(III) と同様の小さい値と
し、比例ゲイン補正係数RKpは以下のように、ケース(I
I)とケース(III) の補正係数の案分比例計算を行う。 RIV=αRIII +βRII ただし、α+β=1、0<α<1、0<β<1 であ
る。
【0078】図16は比例ゲインKp に乗ずる修正係数
Kpの設定方法を模式的に示す概要図である。H1 −H
2 平面上で(I) で示す領域がケース(I) 、(II)がケース
(II)、(III) がケース(III) 、(IV)がケース(IV)にそれ
ぞれ対応する。RKpの値は各領域の台地の高さで表さ
れ、領域(I) の台地の高さRI は1.0で最も高い。R
Kpは領域(II)、(III) ではこれより小さいRIIおよびR
III であり、領域(IV)ではRIVは領域(II)、と(III) の
高さを案分比例した高さとして表している。
【0079】H1 軸に沿って領域(I) と領域(II)の間で
Kpがスロープ状に変化しているのは、H10またはH20
を境界にしてRKp(または制御則部の比例ゲイン)が急
激に変化するのを防止するためで、スロープの幅はH1
軸上で0.5〜1mmである。H2 軸に沿って領域(I)
と領域(III) の間でのスロープ、領域(II)または(III)
から領域(IV)へのスロープについても、同様である。領
域(I) の高さは1.0であり、領域(II)、(III) および
(IV)の高さはあらかじめ基準値(RII〜RIV)として設
定しておく。
【0080】つぎに、ノッチ比率gの設定方法について
述べる。図17はノッチ比率gの調整方法を模式的に示
す概要図である。gについても、Kp の設定方法と同様
の手法を用いることができる。図14と同様、H1 −H
2 平面上で(I) で示す領域が上記のケース1、(II)がケ
ース2、(III) がケース3、(IV)がケース4にそれぞれ
対応する。領域(I) は制御が安定しているため、ノッチ
比率g=gI =1.0、すなわち、ノッチフィルタによ
る減衰はなく、図10に示すような、谷状の落ち込みの
ない、フラットな特性である。
【0081】図17の領域(II)では例えば、g=gII
0.2としている。図10でいえば、ノッチフィルタの
周波数fにおける谷底の位置は0.2であって、ノッチ
フィルタは周波数fでフィードバック信号の振幅を8割
減衰させるということになる。領域(II)〜(IV)のgの値
(gII〜gIV)は、RKpと同様にあらかじめ定めてお
く。
【0082】(1) 式の特性を実現するノッチフィルタは
積分要素と加減算・掛け算要素の組み合わせで、アナロ
グ回路で実現することもできるし、ディジタル系(制御
用コンピュータ)で構成してもよい。
【0083】上記のノッチフィルタのパラメータの設定
はオンラインで行なうのが望ましい。なぜなら、非定常
バルジングの発生位置は鋳造条件によって2次冷却帯の
上流側または下流側に移動し、その位置によって2次冷
却帯ロールの間隔が異なっているので、非定常バルジン
グの周波数はこれらのロール間隔に対応した周波数が表
れ、または複数の周波数の組合わせとなる。当初、特定
の周波数を決めておき、その後は鋳造速度に比例して、
ノッチフィルタの遮断周波数を変化させるだけでは不十
分な制御精度が得られない。
【0084】従って、上記のノッチフィルタのパラメー
タ、f、Q、gを実時間で計算して、常にノッチフィル
タの遮断周波数を最適に設定するのが望ましい。この自
動計算を行なうには、図9に示したように、FFT解析
部22および自動チューニング部23を備える構成とす
るのが望ましい。
【0085】図9において、FFT解析部22は湯面レ
ベル計の信号を入力し、レベル変動の周波数解析を行う
FFT(高速フーリエ変換)機能を有する。FFT解析
結果として、図6または図8のような、湯面レベルの変
動周波数に対する変動振幅の関係(周波数スペクトル)
が得られる。また、自動チューニング部23はこのFF
T解析結果に基づいて、主要周波数f2 、f3 、および
そのピーク高さH1 、H2 を算出し、前記(1) 式で表さ
れるフィルタ要素21内のノッチフィルタのパラメータ
(f=ω/2π、Q、g)および制御則部16の比例ゲ
インKp を自動設定する。図9において、自動チューニ
ング部23からフィルタ要素21または制御則部16へ
の点線矢印はこれらのパラメータ設定を意味している。
【0086】(C) 上記の説明では、非定常バルジングに
起因する主要周波数として、f2 およびf3 を選び、ノ
ッチフィルタおよび制御器の比例ゲインのパラメータ設
定方法について述べた。その前提として、0.1Hz未
満の周波数域で見られるピーク周波数f1 は2次冷却帯
のロール偏心に由来するものとし、ロール偏心による湯
面レベル変動周波数は非定常バルジング周波数とは離れ
た低周波数であるため、湯面レベル制御器の比例ゲイン
を大きくすることによって抑制できるとした。しかし、
ときには非定常バルジング性で、かつ0.1Hz未満の
緩慢な湯面レベル変動が発生することがある。
【0087】本発明では、このような場合においても、
以下のように対応可能である。
【0088】まず、湯面レベル信号を実時間で周波数ス
ペクトル解析し、0.1Hz未満の湯面レベル変動の最
大のものの振幅をH1 とし、0.1Hz以上の周波数域
で湯面レベル変動の最大のものの振幅をH2 としたと
き、H1 >0.7H2 、すなわち、低周波数域の湯面レ
ベル変動が、真の非定常バルジング性湯面レベル変動に
比較して無視できない程度に大きいときは、周波数f1
およびf2 について、この2つの周波数をカバーする帯
域のノッチフィルタとする。
【0089】このノッチフィルタのパラメータ(Q、
f、g)および制御器の比例ゲイン(Kp )の設定方法
は上記(B) 項に述べた方法と同様で、f2 、f3
1 、f2と読み替えるだけでよい。
【0090】
【実施例】図9に示す制御系を構成し、湯面レベル変動
の制御試験を行った。フィルタ要素21には、式(1) で
表現される1段のノッチフィルタを用いた。
【0091】鋳造条件は、鋳片の組成は、重量%でC:
0.08%、Si:0.5%、Mn1.2%、を含有す
る普通鋼で、鋳片寸法は厚さ90mm×幅1350m
m、鋳造速度は3.0〜8.0m/minであった。2
次冷却帯の各ロールセグメントのロール構成(ロールピ
ッチ×ロール本数)は、鋳型直下から順に、第1セグメ
ント:160mm×5本、第2セグメント:177mm
×6本、第3〜第5セグメント:210mm×6本、第
6〜第8セグメント:250mm×6本×であった。こ
の条件では鋳片の最終凝固位置は第3セグメントの第2
〜3本目のロール近傍であった。
【0092】試験の最初は従来例として、フィルタ要素
21(図9参照)をオフ(湯面レベル計の信号を直接湯
面レベル制御器に入力する)として制御を行い、鋳造速
度を順次高めていった。フィルタ要素21がダミーの状
態でもFFT解析部22は常時湯面レベル信号を監視し
て、周波数解析を行なっており、フィルタ要素21(ノ
ッチフィルタ)および制御則部に設定すべきパラメー
タ:Kp f、Q、gを計算している。
【0093】湯面変動が大きくなったところで、本発明
例としてフィルタ要素21をオンに切替えた。この時点
で、フィルタ要素および制御則部には、最新のデータに
基づくパラメータが設定された。
【0094】図18は制御試験における湯面レベル変動
のグラフである。同図の前半(ノッチフィルタオフ)が
従来例、後半(ノッチフィルタオン)が本発明例であ
る。
【0095】図19は従来例および本発明の制御方法の
湯面レベル制御試験で得られた湯面レベル変動振幅の周
波数スペクトルである。同図のグラフAは従来例、グラ
フBは本発明例である。
【0096】同図に示すように、グラフA、Bとも同一
周波数の3つのピークが現われた。それぞれのピークの
周波数と振幅は、f1 :0.098Hz、f2 :0.2
85Hz、f3 :0.333Hzであった。このうちf
1 は2次冷却帯のロール偏心に起因するものであり、f
2 およびf3 が主要周波数である。グラフAでは周波数
0.285Hzの湯面レベル変動が役1.9mmであっ
たが、グラフBでは1.5mmとなり、非定常バルジン
グ抑制効果があった。図16および図17に示すよう
に、ノッチフィルタをオフからオンに切り替えたことに
よって湯面レベル変動が25%程度抑制できた。
【0097】
【発明の効果】本発明により連続鋳造機の湯面レベル制
御に伴って発生する非定常バルジングを抑制することに
より、広範囲の鋼種での高速鋳造と高品質の鋳片製造が
可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】連続鋳造機の湯面レベル制御系統を示す概要図
である。
【図2】非定常バルジングの発生状況を示す模式図であ
り、同図(a) は鋳片が膨張した場合、同図(b) は鋳片が
収縮した場合を示す。
【図3】図1の制御系統を示すブロックダイアグラムで
ある。
【図4】非定常バルジング発生時の湯面レベル変動を示
すグラフの一例である。
【図5】図3に示した制御系の制御ゲインのグラフであ
る。
【図6】図4のバルジング性湯面レベル変動振幅の周波
数のスペクトルを示すグラフである。
【図7】複数の非定常バルジング周波数を含む湯面レベ
ル変動のグラフである。
【図8】図7の湯面レベル変動の周波数スペクトルを示
すグラフである。
【図9】本発明の制御方法を示すブロックダイアグラム
である。
【図10】ノッチフィルタのフィルタゲインを示すグラ
フである。
【図11】フィルタ要素21の構成を示すブロック図
で、同図(a) はノッチフィルタを1段のみ有する場合、
同図(b) はノッチフィルタを2段有する場合である。
【図12】ノッチフィルタのノッチ比率gの調整方法を
模式的に示す制御系ゲインのグラフである。
【図13】非定常バルジング周波数f2 〜f3 の周波数
帯域で減衰特性をもつノッチフィルタをフィードバック
ループに挿入したときの制御系ゲインのグラフである。
【図14】図13に示す制御系ゲインに対応する制御系
の位相のグラフである。
【図15】図10のノッチフィルタのゲインと主要周波
数との関係を示すグラフで、同図(a) は主要周波数
2 、f3 の間が接近している場合、同図(b) は離れて
いる場合である。
【図16】比例ゲインKp に乗ずる修正係数RKpの設定
方法を模式的に示す概要図である。
【図17】ノッチ比率gの調整方法を模式的に示す概要
図である。
【図18】制御試験における湯面レベル変動のグラフで
ある。
【図19】従来例および本発明の制御方法の湯面レベル
制御試験で得られた湯面変動の周波数スペクトルであ
る。
【符号の説明】
1:溶湯 2:タンディッシュ 3:浸漬ノズル 4:鋳型 5:鋳片 6:シェル 7:未凝固部 8:2次冷却帯ロール 9:ピンチロール 10:駆動モータ 11:湯面レベル計 12:湯面レベル制御器 13:ストッパ駆動装置 14:ストッパ 15:偏差計算部 16:制御則部 17:ストッパ駆動装置の伝達関数 18:ストッパの伝達関数 19:鋳型の伝達関数 20:湯面レベル計の伝達関数 21:ノッチフィルタ 22:FFT解析部 23:自動チューニング部 SP:湯面レベルの設定値 PV:湯面レベル値 Kp :制御則の比例ゲイン Kp0:比例ゲインの基準値 RKp:比例ゲインの修正係数 Tp :制御則の積分時間 MV:制御器の出力値、 Kq :ストッパ流量特性のゲイン A :鋳型の断面積 Tc :ストッパ駆動装置の時定数 Lc :ストッパ駆動装置の無駄時間 Lw :溶湯の落下無駄時間 Ts :湯面レベル計の時定数 Ls :湯面レベル計の無駄時間 f1 、f2 :非定常バルジング周波数 H1 、H2 :非定常バルジングの振幅 H10、H20:非定常バルジングの振幅基準値 RI 、RII、RIII 、RIV:比例ゲイン修正係数の基準
値 gI 、gII、gIII 、gIV:ノッチ比率の基準値 r :制御系ゲイン g :ノッチ比率 f :ノッチ周波数 Q :帯域定数
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年1月11日(2000.1.1
1)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 連続鋳造機の湯面レベル制御方法
【特許請求の範囲】
【数1】 ただし、ωはノッチ角周波数、gはノッチ比率、Qは帯
域定数である。
【数2】
【数3】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶融金属(以下、
溶湯ともいう)の連続鋳造機において2次冷却帯で発生
する鋳片の非定常バルジングに起因する鋳型内湯面レベ
ル変動を防止する制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図1は連続鋳造機の湯面レベル制御系統
を示す概要図である。同図において、符号1は溶湯、2
はタンディッシュ、3は浸漬ノズル、4は鋳型、5は鋳
片、6は凝固シェル、7は未凝固部、8は2次冷却帯ロ
ール、9はピンチロール、10は駆動モータ、11は湯
面レベル計、12は湯面レベル制御器、13はストッパ
駆動装置、14はストッパである。
【0003】図1において、鋳型に注入された溶湯1は
鋳型4で冷却され、凝固シェル6が形成され、内部は未
凝固部7が次第に凝固しつつ、鋳片5を形成し、複数の
2次冷却帯ロール8に支持されつつ、順次下方に引き抜
かれる。湯面レベル制御は、溶湯1の湯面レベルを湯面
レベル計11で検出し、レベル設定値との偏差がゼロに
なるように、制御則(比例・積分動作による制御機能)
を備えた湯面レベル制御器12がストッパ駆動装置13
を介してストッパ14を駆動し、溶湯1の流入量を制御
する。
【0004】図2は非定常バルジングの発生状況を示す
模式図であり、同図(a) は鋳片が膨張した場合、同図
(b) は鋳片が収縮した場合を示す。同図において図1と
同一要素は同一符号で表す。
【0005】同図(a) のように、鋳片5の凝固シェル6
が十分な厚さをもたないとき、溶湯の静圧によって鋳片
5は2次冷却帯ロール8の間で膨張する。このとき、湯
面レベルは矢印Aのように下がる。鋳造速度が一定で、
シェル厚さが連続的に変化していれば、凝固シェル6の
一旦膨張した部分は再度2次冷却帯ロール8で押さえら
れ、2次冷却帯ロール8と接しなくなった部分は膨張す
る。鋳片5の特定の部分では膨張と収縮を繰り返すが、
2次冷却帯ロール8の特定位置からみれば、鋳片の膨張
形状は一定となる。このとき、鋳片5の体積は変動しな
いので、鋳型4内の湯面レベルが変動することはない。
【0006】しかし、何らかの原因で膨張した凝固シェ
ル6の特定個所に、他の部分より低温部があると、この
部分が膨張形状を維持したまま2次冷却帯ロール8に押
さえられるため、同図(b) に示すように、シェルの厚さ
方向が押さえられることになり、鋳片の体積が変動し
て、未凝固部7の体積変動となって、湯面レベルは矢印
Bのように上昇する。
【0007】一旦湯面レベルの変動が発生すると、凝固
したシェル6に薄い部分と厚い部分が混在する状態にな
り、このシェル厚さの不均一な部分でバルジングを起こ
し、これがさらに湯面レベル変動となって、ロール間を
周期とするシェル厚さ変動となって不均一性が拡大す
る。この状態では湯面レベルの周期的な変動が発生す
る。この状態を非定常バルジングという。非定常バルジ
ングが大きくなると、鋳片の品質が悪化したり、ブレー
クアウトの危険性もある。
【0008】一般に、2次冷却帯のロール間隔はすべて
同間隔ではなく、鋳型に近い部分のロールセグメントで
はロール間隔が小さく、鋳型から遠いセグメントでは大
きくなっており、1機の連続鋳造機には2種以上のロー
ル間隔のセグメントが用いられている。従って、前記の
非定常バルジングも、変動周期は1種類ではなく2また
はそれ以上の周波数成分が含まれることがある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記の非定常バルジン
グを抑制するため、例えば特開平4−65742号公報
には2次冷却帯のロール間隔を不均等にすることによっ
て、規則的周期的な温度変動を防止する技術が開示され
ている。しかし、同公報に開示された技術は、予備セグ
メントを多種類必要とするため、設備費の増大を招く。
【0010】特開平5−23811号公報には、非定常
バルジングを正弦波状に変動するものと仮定して、湯面
レベル変動を打ち消すように制御信号に補償用の正弦波
を重畳させ、湯面レベル変動を防止しようとする技術が
開示されている。
【0011】しかし、同公報に開示された方法は、非定
常バルジングによる変動をロール間隔と鋳造速度により
定まる正弦波又は一定傾斜で増大/減少するランプ状の
変動と仮定したものであり、非定常バルジングが複数の
周波数成分を含む場合には対応できない。
【0012】そのほか、H無限大制御モデルを適用する
方法が考えられる。この方法は外乱が正弦波状に変動す
るとして、外乱の周波数帯域で制御器の感度を低くして
制御系が安定になるように制御器を設計する方法であ
る。H無限大制御モデルは外乱に一定の周期性が存在す
る場合には安定性に優れているといわれる制御手法であ
り、非定常バルジングのような問題には一見好適な手法
と見られる。
【0013】しかし、H無限大制御は非定常バルジング
に起因する外乱の帯域(変動の周波数範囲)が鋳造速度
に応じて変化する場合、制御の安定性を優先すると応答
性が劣化する問題がある。さらに、H無限大制御モデル
の設計には、CAD(コンピュータ支援による設計シス
テム)が必要であり、鋳造条件が多様に変化する連続鋳
造プロセスに対しては、例えばオンラインで調整するの
は困難であり、オフラインで行うにしても、鋳造条件変
化にともなってタイムリーに調整するのは困難である。
【0014】上述のように、非定常バルジングの発生原
因は、なんらかの原因で発生した湯面レベル変動が鋳型
内での凝固シェル厚さの不均一を発生させることにはじ
まる。この不均一部分が2次冷却帯ロールに到ると、小
さな湯面変動を発生させる。これが繰返されると2次冷
却帯ロール間隔を鋳造速度で割った周波数で湯面変動が
拡大して振動が大きくなるという現象が生じた。
【0015】前記の従来技術はこの現象に則した対応を
していないため、制御性の面で限界があった。すなわ
ち、ロール間隔が複数種類存在する場合は、複数種類の
変動周波数があり、凝固鋳片厚みと強度が操業条件(鋳
造速度、冷却パターン、溶鋼凝固温度又は化学組成等)
によって変化するため、2次冷却帯のどのセグメントで
バルジングが発生するかは一様ではない。また同一の鋳
造条件であっても同様の非定常バルジングになるとは限
らない。
【0016】本発明は上記従来技術の問題を解決しよう
とするもので、その課題は、連続鋳造機における非定常
バルジングを精度良く、かつ簡便な方法で抑制する制御
方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】図3は図1の制御系統を
示すブロックダイアグラムである。同図において、図1
と同一要素は同一符号で示す。同図は従来技術の制御方
法を示している。同図において、符号15は湯面レベル
の設定値と偏差との差を演算する偏差計算部、16は比
例・積分動作を実行する制御則部、17はストッパ駆動
装置の伝達関数、18はストッパの伝達関数、19は鋳
型の伝達関数、20は湯面レベル計の伝達関数である。
また、同図のSPは湯面レベルの設定値(mm)、PV
は湯面レベル計で測定した湯面レベル値(mm)、MV
は制御器の出力値(mm)、KpとTp は制御則の比例
ゲイン(−)と積分時間(s)、Tc とLc はストッパ
駆動装置の時定数(s)および無駄時間(s)、Kq
ストッパの流量特性のゲイン(−)、Lw はストッパ部
からタンディッシュに溶湯が落下するまでの無駄時間
(s)、Aは鋳型の断面積(mm2 )、Ts およびLs
は湯面レベル計の時定数(s)と無駄時間(s)をあら
わす。
【0018】図3に示すような従来技術の制御系統を用
いた場合、非定常バルジングが発生することがある。こ
の理由は、同図に示すフィードバック制御系の特定周波
数におけるループゲインが1より大きくて(ループを1
巡した信号がもとの信号より大きくなって)制御系が不
安定となるためである。
【0019】図4は非定常バルジング発生時の湯面レベ
ル変動を示すグラフの一例である。同図に示すように、
鋳造速度Vcを大きくすると非定常バルジングによる湯
面レベル変動が大きくなり、速度を落すと小さくなる。
高速鋳造では、局部的な温度不均一が出やすく、また速
度変更時に不連続的な温度の段差が発生するため、非定
常バルジングが発生しやすいためと考えられる。
【0020】図5は図3に示した制御系の制御系ゲイ
ン、すなわち外乱入力に対する湯面変動の大きさを周波
数別に示すグラフである。同図は外乱入力の振幅と湯面
レベル変動の振幅比を縦軸の制御系ゲインrとして表し
ている。同図において、制御系ゲインが1.0を超えて
いる部分(周波数の領域)では、その周波数の外乱に対
して湯面レベル変動が増幅され、外乱入力に重畳するた
め、湯面変動幅がさらに増大することを示している。
【0021】図6は図4のバルジング性湯面レベル変動
振幅の周波数のスペクトルを示すグラフである。同図に
おいて、振幅がピークとなる周波数f2 (Hz)は、鋳
造速度Vc (m/min)と2次冷却帯ロール間隔d
(mm)とから、 f2 =Vc×(1000/60)/d (2) で決まる値になる。この周波数を非定常バルジング周波
数という。
【0022】鋳片の厚さが90〜120mm程度の中厚
スラブ連続鋳造では鋳造速度Vcは3〜8m/minに
達し、2次冷却帯ロールの間隔は160〜250mmで
あることから、非定常バルジング周波数は、0.1Hz
〜0.4Hzの帯域に発生する。図5に示すように、制
御系のゲインが1を超える部分があって、その周波数領
域に外乱である非定常バルジング周波数が含まれている
と、制御が不安定になりやすい。
【0023】図7は複数の非定常バルジング周波数を含
む湯面レベル変動のグラフである。
【0024】図8は図7の湯面レベル変動振幅の周波数
スペクトルを示すグラフである。図8に示す例では、非
定常バルジング周波数のピークは3つあり、それぞれf
1 、f2 、f3 とすると、(3) 〜(5) 式の関係が成り立
つ。
【0025】 f1 =Vc×(1000/60)/2πRSC (3) f2 =Vc×(1000/60)/d1 (4) f3 =Vc×(1000/60)/d2 (5) ここで、d1 は鋳型直下の2次冷却帯ロールの間隔、d
2 はさらに下部のロール間隔に相当する(図1参照)。
【0026】上記のf1 に相当する低い周波数の変動は
2次冷却帯ロールの間隔に由来するバルジング性湯面変
動ではなく、ロール(ロール半径;RSC)自体の偏心に
よって、湯面変動が生じたものである。この変動は湯面
レベル制御器の比例ゲインを大きくすることによって抑
制可能である。
【0027】このほか、より小さな周波数ピークが現わ
れることがあるが、問題になるのはピーク高さ、すなわ
ち湯面レベル変動振幅が大きい周波数であり、通常の連
続鋳造では図8のようにロール間隔に起因する1つまた
は2つの非定常バルジング周波数が問題になることが多
い。以下の説明では、図8に示すロール偏心起因のf 1
と非定常バルジング周波数(以下、主要周波数ともい
う)f2 、f3 が発生した場合について説明する。
【0028】図3に示すような制御系でフィードバック
制御を行うことによって、湯面レベルの変動が大きくな
るのは、制御系のループゲインが非定常バルジング周波
数で共振をおこすためである。発明者らは非定常バルジ
ングに起因する湯面変動の周波数でループゲインを小さ
くし、他の制御特性を損なうことなく、湯面レベル変動
を抑制する方法を検討した。また、図8のように、複数
の非定常バルジング周波数で湯面レベル変動が発生する
場合に対応してループゲインを小さくする方法を検討し
た。
【0029】発明者らはさらに、鋳造条件によって非定
常バルジングの発生の状況が異なる場合にも適用可能な
制御系を検討した。
【0030】非定常バルジング周波数が鋳造速度と2次
冷却帯ロール間隔のみから決まるものであれば、鋳造速
度が変動するのに対応して制御系の周波数特性を変更す
ればよいが、この方法には問題がある。すなわち、鋳造
条件によって非定常バルジング周波数のピーク位置が変
化することである。同一鋼種、同一寸法、同一鋳造速度
であっても、また、他の要因(例えばロールの偏心、2
次冷却水の圧力変動など)によっても擬似的な周波数ピ
ークが見られ、バルジングの発生状況は一様ではない。
従って、常時プロセスを監視して、変動のピークの周波
数と振幅の大きさを検出し、これに対応して制御系のパ
ラメータを調整することが望ましいことを見出した。
【0031】発明者らは、非定常バルジング周波数が複
数ある場合にも有効な制御パラメータの調整方法を検討
し、応答性を損なうことなく自動調整する方法を見出し
た。
【0032】上記の知見に基づいて完成した本発明の要
旨は、以下の(1) 〜(7) にある。
【0033】(1) 湯面レベル制御器を用いた連続鋳造機
の鋳型内の湯面レベル制御において、非定常バルジング
に起因する湯面レベル変動の周波数を予め求めて非定常
バルジング周波数とし、湯面レベル制御系のフィードバ
ックループ中に該非定常バルジング周波数を選択的に減
衰させるフィルタ要素を介在させ、該フィルタ要素を伝
達関数が下記(1) 式で表されるノッチフィルタで構成
し、非定常バルジング性湯面変動を抑止することを特徴
とする連続鋳造機の湯面レベル制御方法。
【0034】
【数4】
【0035】ただし、ωはノッチ角周波数、gはノッチ
比率、Qは帯域定数である。
【0036】(2) フィルタ要素が、複数の非定常バルジ
ング周波数に対して、それぞれの周波数成分を選択的に
減衰させる複数のノッチフィルタの結合であることを特
徴とする前記(1) 項に記載の連続鋳造機の湯面レベル制
御方法。
【0037】(3) フィルタ要素が、複数の非定常バルジ
ング周波数の帯域にわたって周波数成分を選択的に減衰
させるノッチフィルタであることを特徴とする前記(1)
項に記載の連続鋳造機の湯面レベル制御方法。
【0038】(4) 連続鋳造の湯面レベル信号を実時間で
周波数スペクトル解析し、非定常バルジングに起因する
ピーク成分の周波数を抽出することにより、非定常バル
ジング周波数を求めることを特徴とする前記(1) から
(3) のいずれかに記載の連続鋳造機の湯面レベル制御方
法。
【0039】(5) 湯面レベル制御器を用いた連続鋳造機
の鋳型内の湯面レベル制御において、湯面レベル制御系
のフィードバックループ中に特定の帯域にわたって周波
数成分を選択的に減衰させるノッチフィルタを介在さ
せ、連続鋳造の湯面レベル信号を実時間で周波数スペク
トル解析し、非定常バルジングに起因する複数のピーク
成分の周波数と振幅とを抽出し、該周波数と振幅とに基
づいて、ノッチフィルタのノッチ周波数、ノッチ比率お
よび帯域定数を設定し、湯面レベル制御器の比例ゲイン
を設定することを特徴とする連続鋳造機の湯面レベル制
御方法。
【0040】(6) ノッチフィルタが下記(1) 式で表され
る伝達関数を有するノッチフィルタであり、(1) 式のノ
ッチフィルタのノッチ角周波数ω、ノッチ比率g、帯域
定数Q、および湯面レベル制御器の比例ゲインKp を設
定する際、Kp =RKp・Kp0として比例ゲインの基準値
p0に乗ずべき修正係数をRKpとし、湯面レベル信号の
周波数スペクトル解析によって得られた非定常バルジン
グ性湯面レベル変動のピーク周波数の内、0.1Hz未
満の周波数域で振幅が最大となる周波数f1 と、0.1
Hz以上の周波数域で振幅が最大となる周波数f2 を選
び、これらの周波数のそれぞれのピーク高さH1 、H2
を求め、(1) 式のノッチ角周波数ω=2πfに対応する
ノッチ周波数fをf=(f1 ・f21/2 と決定し、帯
域定数QをQ=(f2 −f1 )/fと決定し、あらかじ
め定められた湯面レベル変動幅基準値をH10および
20、比例ゲイン修正係数RKpの基準値をRI 、RII
IIIおよびRIV、ならびにノッチ比率基準値をgI
II、gIII およびgIVとしたとき、下記ケース(I) 〜
ケース(IV)のそれぞれの場合について、 ケース(I) ; H1 ≦H10、H2 ≦H20の場合は、 RKp=RI 、g=gI 、 ケース(II); H1 >H10、H2 ≦H20の場合は、 RKp=RII、g=gII、 ケース(III); H1 ≦H10、H2 >H20の場合は、 RKp=RIII 、g=gIII 、 ケース(IV) H1 >H10、H2 >H20の場合は、 RKp=RIV 、g=gIV、 として、RKpとgとを決定し、ノッチフィルタおよび湯
面レベル制御器のパラメータとして設定することを特徴
とする前記(5) 項に記載の連続鋳造機の湯面レベル制御
方法。
【0041】
【数5】
【0042】ただし、ω=2πfである。
【0043】(7) ノッチフィルタが下記(1) 式で表され
る伝達関数を有するノッチフィルタであり、(1) 式のノ
ッチフィルタのノッチ角周波数ω、ノッチ比率g、帯域
定数Q、および湯面レベル制御器の比例ゲインKp を設
定する際、Kp =RKp・Kp0として比例ゲインの基準値
p0に乗ずべき修正係数をRKpとし、湯面レベル信号の
周波数スペクトル解析によって得られた非定常バルジン
グ性湯面レベル変動のピーク周波数の内、0.1Hz以
上の周波数域で振幅が最大およびこれに次ぐ大きさをも
つ周波数を選んで、これらをf2 およびf3 (f2 <f
3 )とし、これらの周波数のピーク高さH1 、H2 を求
め、(1) 式のノッチ角周波数ω=2πfに対応するノッ
チ周波数fをf=(f2 ・f31/2 と決定し、帯域定
数QをQ=(f3 −f2 )/fと決定し、あらかじめ定
められた湯面レベル変動幅基準値をH10およびH20、比
例ゲイン修正係数RKpの基準値をRI 、RII、RIII
よびRIV、ならびにノッチ比率基準値をgI 、gII、g
III およびgIVとしたとき、下記ケース(I) 〜ケース(I
V)のそれぞれの場合について、 ケース(I) ; H1 ≦H10、H2 ≦H20の場合は、 RKp=RI 、g=gI 、 ケース(II); H1 >H10、H2 ≦H20の場合は、 RKp=RII、g=gII、 ケース(III); H1 ≦H10、H2 >H20の場合は、 RKp=RIII 、g=gIII 、 ケース(IV) H1 >H10、H2 >H20の場合は、 RKp=RIV 、g=gIV、 として、RKpとgとを決定し、ノッチフィルタおよび湯
面レベル制御器のパラメータとして設定することを特徴
とする前記(5) 項に記載の連続鋳造機の湯面レベル制御
方法。
【0044】
【数6】
【0045】
【発明の実施の形態】図9は本発明の制御方法を示すブ
ロックダイアグラムである。同図は、図3に示す制御系
にフィルタ要素21を付加したものである。
【0046】同図において、制御則部16、ストッパ駆
動装置の伝達関数17、ストッパの伝達関数18、鋳型
の伝達関数19、湯面レベル計の伝達関数20は制御ル
ープを構成している。フィルタ要素21は制御ループの
どの位置に挿入しても、ループ一巡のゲイン(各伝達関
数の積)は不変であるが、同図の例ではフィルタ要素2
1を湯面レベル値PVの信号処理装置として挿入された
構成を示している。同図のFFT解析部22、自動チュ
ーニング部23および制御則部の比例ゲインK p にかか
る修正係数RKpについては後述する。
【0047】フィルタ要素21は非定常バルジング周波
数において、ループゲインを遮断または小さくし、非定
常バルジング性の湯面レベル変動が、フィードバック制
御系によりさらに増大することを防止するものである。
【0048】図9において、フィルタ要素21には、例
えば(1) 式で定義される伝達係数を有する1段のノッチ
フィルタを適用できる。
【0049】
【数7】
【0050】ここで、ωはノッチフィルタのノッチ周波
数の角速度で、ω=2πf(fはノッチ周波数)、g:
ノッチ比率、Q:帯域定数、である。
【0051】図10はノッチフィルタのフィルタゲイン
を示すグラフである。同図において、ノッチ周波数fで
フィルタゲイン(出力と入力の比)が最も低く、その時
の減衰比率はg(ノッチ比率)となる。また、帯域定数
Qは、同図における谷形状の鋭さを表す数値で、減衰率
が(0.5)1/2 =0.707倍になるときの周波数幅
Δfに対するfの比であり、Qが大きいほど谷の形状は
幅狭く鋭くなる。
【0052】図11はフィルタ要素21の構成を示すブ
ロック図で、同図(a) はノッチフィルタを1段のみ有す
る場合、同図(b) はノッチフィルタを2段有する場合で
ある。同図(a) の場合、1つのノッチフィルタでフィル
タ要素21を構成しており、その伝達関数は前記の式
(1) で表される、同図(b) の場合、2つのノッチフィル
タ21aおよび21bでフィルタ要素21が構成されて
いる。ノッチフィルタ21aおよび21bの伝達関数F
1 (s)、F2 (s)は各々、下記(6) 、(7) 式で表さ
れる。
【0053】
【数8】
【0054】上記(6) 、(7) 式の添え字2または3を付
したQ、ωおよびgは(1) 式の添え字のない同符号と対
応し、f2 =ω2 /2π、f3 =ω3 /2πであり、f
2 、f3 は、図8の主要周波数のf2 、f3 に対応す
る。
【0055】例えば、図5のように、非定常バルジング
の周波数が単一のピークで表されるときは、非定常バル
ジング周波数と等しいノッチ周波数のノッチフィルタ
F(s)を1段のみ挿入すればよい。
【0056】図8のように、非定常バルジング周波数が
複数ある時は、振幅が最大の周波数およびこれに次ぐ振
幅の周波数に対応する2段のノッチフィルタ21aおよ
び21b(フィルタの伝達関数はそれぞれF1 (s)お
よびF2 (s)である)で構成されたフィルタ要素21
をフィードバックループの中に挿入すればよい。
【0057】図11(b) のようにノッチフィルタを多段
とする構成は、2種または3種以上の非定常バルジング
周波数が混在し、かつそれぞれの周波数が離れていると
き(「周波数が離れている」との判定条件は後述する)
に有効な方法である。実際にはこのようなケースはまれ
で、2種類または3種類以上のロール間隔があっても、
比較的接近していることが多い。
【0058】一方、2種の非定常バルジング周波数f2
およびf3 が接近しているときはノッチフィルタを2段
にする必要はなく、f2 およびf3 を包含する範囲で図
9に示すノッチフィルタの帯域幅Δfを広くすればよ
い。
【0059】以下に、ノッチフィルタの特性の調整方法
について述べる。
【0060】(A) まず、非定常バルジング周波数が、図
6のように単一の周波数f2 成分のみである場合のノッ
チフィルタのパラメータ;g、f、Qの設定方法を説明
する。
【0061】図5の制御系の特性のグラフにおいて、制
御系のゲインrが1を超える周波数領域に非定常バルジ
ング周波数が含まれるため、湯面レベルの変動幅が拡大
するのであるから、ノッチフィルタのノッチ周波数fを
非定常バルジング周波数f2に合わせ、同時に、ノッチ
フィルタのノッチ比率gを、制御系ゲインrの逆数にな
るように調整する。
【0062】図12は、ノッチフィルタのノッチ比率g
の調整方法を模式的に示す制御系ゲインのグラフであ
る。同図において、ノッチ周波数は非定常バルジング周
波数f 2 と同じ値に設定され、ノッチ比率gはr×g=
1.0となるように設定する。
【0063】このように、非定常バルジング周波数にお
いて、制御系のゲイン(外乱入力振幅に対する湯面レベ
ル変動振幅の比)は1を超えることがなくなるので、制
御は安定する。
【0064】(B) つぎに、非定常バルジング周波数が、
図8のように複数の周波数成分が含まれ、かつその周波
数が比較的接近している場合のフィルタ要素の設計方法
を説明する。
【0065】まず、図8に示す2次冷却帯ロールの偏心
に起因する低周波数のピーク(図8ではf1 <0.1H
z)は前述の理由により、ノッチフィルタで振幅を減衰
させる必要はない。検討の対象としては、周波数が0.
1Hz以上で、相互に接近した2つ以上の非定常バルジ
ング周波数が複数存在する場合である。ただし、図8の
例で0.4Hz近傍に見られるピークのように、最大ピ
ーク高さの1/2未満のピークは無視する。
【0066】残った複数の周波数ピークのうち、最大振
幅の周波数とこれに次ぐ振幅の周波数をえらび、f2
3 (f2 <f3 )とする。すなわち非定常バルジング
の主要周波数とする。
【0067】図13は非定常バルジングの主要周波数f
2 〜f3 の周波数帯域で減衰特性をもつノッチフィルタ
をフィードバックループに挿入したときの制御系ゲイン
のグラフである。
【0068】図14は図13に示す制御系ゲインに対応
する制御系の位相のグラフである。
【0069】図13に示すように、本発明の方法ではフ
ィルタ要素として主要周波数f2 、f3 をカバーする1
段の広帯域ノッチフィルタをフィードバックループに挿
入して、f2 〜f3 での制御系ゲインを1以下にする。
【0070】さらに調整すべき制御系パラメータとし
て、(1) 式で示されるノッチフィルタの伝達関数のノッ
チ周波数:f、ノッチ比率:gおよび帯域定数Q、なら
びに制御則部16の比例ゲインKp (図9参照)の4つ
がある。制御則部の積分時間T p は、ノズルの詰まり、
鋳造速度Vcの増・加減速の外乱補償用に設定された値
であり、非定常バルジング性の湯面レベル変動には影響
しないため、修正する必要はない。
【0071】まず、Qはノッチフィルタの帯域幅と、周
波数0.1Hz以下の低周波域位相遅れのバランスを考
慮して決定する。制御系の遮断周波数すなわち、図13
に示すノッチ周波数fが0.2〜0.5Hzの場合は、
Q=5程度とし、図14に示す位相遅れを18°以下に
なるようにする。
【0072】このとき、バルジングの主要周波数f2
よびf3 とノッチフィルタのゲインとの関係を以下のよ
うに検討する。
【0073】図15は図10のノッチフィルタのゲイン
と主要周波数との関係を示すグラフで、同図(a) はf
2 、f3 の間が接近している場合、同図(b) は離れてい
る場合である。ノッチ周波数をf=(f2 ・f31/2
と仮定した場合、同図(a) に示すように、ノッチ周波数
fにおけるゲインはgであり、f2 、f3 におけるノッ
チフィルタのゲインは|F(jω2 )|および|F(j
ω3 )|となる(jωは角周波数ωの正弦波の虚数部、
|F|は複素数Fの絶対値を表す)。このゲインが、g
の1.1倍以下であれば、f2 とf3 とは接近している
と判定する。反対に図15(b) に示すように、f2 、f
3 におけるノッチフィルタのゲインがgの1.1倍を超
えていれば、f2 とf3 とは離れていると判定する。
【0074】f2 とf3 とが離れている場合は、前述の
ノッチフィルタを2段で構成する方法が望ましい。
【0075】f2 とf3 とが接近している場合はノッチ
周波数をf=(f2 ・f31/2 、Q=(f3 −f2
/fとする。
【0076】次にノッチ比率gおよび比例ゲインKp
以下のように求める。
【0077】図8において、主要周波数f2 、f3 (た
だし、f2 <f3 )における湯面レベル変動の振幅値を
1 、H2 とすると、本発明の制御方法においては、ノ
ッチフィルタのパラメータgおよび制御則部の比例ゲイ
ンKp を、H1 、H2 の大小関係に基づいて決定する。
すなわち、周波数の異なった非定常バルジング湯面変動
が2種あるとき、いずれが振幅が大きい方を重点的に対
策をとるという考え方である。この場合、湯面レベル変
動の振幅H1 およびH2 の程度を判断する基準、H10
よびH20をあらかじめ定めておく。H10およびH20は1
〜3mmの値で設定されるもので、通常の湯面レベル変
動として許容しうる値である。
【0078】湯面レベル変動の周波数解析によって、変
動のピーク高さH1 、H2 を実測し、H1 >H10、H2
>H20の条件判定を行う。この条件判定は次の4ケース
に分けられる。
【0079】ケース(I) : H1 ≦H10、H2 ≦H20 周波数の低い方の変動も高い方の変動のいずれも許容範
囲内の場合である。このときは制御が良好であり、比例
ゲインKp は変更しない。
【0080】ケース(II): H1 >H10、H2 ≦H20 低い周波数f2 の変動が大きく、高い周波数f3 の変動
が小さい場合である。この場合、ノッチ比率gはそのま
まで、f2 に対する安定性を増すため、Kpを大きくす
る。
【0081】ここで、Kp の修正係数をRKpを導入す
る。湯面レベル制御器の比例ゲインK p の基準値をKp0
とし、このKp0に対してRKpを乗じた値を実際に使用す
る比例ゲイン(Kp =RKp・Kp0)とする。比例ゲイン
の基準値Kp0は、非定常バルジングが起きにくく操業が
安定している低炭素の鋼種で調整した値を用いる。この
p0に対して乗ずるRKpは通常1以下である。
【0082】ケース(III) : H1 ≦H10、H2 >H20 高い周波数f3 での変動が大きく、低い周波数f2 での
変動が小さい場合である。この場合、ノッチ比率gを小
さくし、かつf3 での安定性を向上させるため、f2
変動が増大しない範囲で比例ゲインKp を小さくする
(RKpを小さくする)。
【0083】ケース(IV): H1 >H10、H2 >H20 いずれの周波数でも湯面レベル変動が大きい場合であ
る。周波数の高いf3 の方がパウダ巻き込みの危険性が
あるので、ノッチ比率g、比例ゲインKp を小さくした
いが、Kp を過度に小さくするとf2 側で変動が増大
し、パウダが焼結して凝固が不安定になる現象(パウダ
ベア)起因によるブレークアウトの危険がある。ここで
は、ノッチ比率gはケース(III) と同様の小さい値と
し、比例ゲイン補正係数RKpは以下のように、ケース(I
I)とケース(III) の補正係数の案分比例計算を行う。
【0084】RIV=αRIII +βRII ただし、α+β=1、0<α<1、0<β<1 であ
る。
【0085】図16は比例ゲインKp に乗ずる修正係数
Kpの設定方法を模式的に示す概要図である。H1 −H
2 平面上で(I) で示す領域がケース(I) 、(II)がケース
(II)、(III) がケース(III) 、(IV)がケース(IV)にそれ
ぞれ対応する。RKpの値は各領域の台地の高さで表さ
れ、領域(I) の台地の高さRIは1.0で最も高い。RK
pは領域(II)、(III) ではこれより小さいRIIおよびR
III であり、領域(IV)ではRIVは領域(II)、と(III) の
高さを案分比例した高さとして表している。
【0086】H1 軸に沿って領域(I) と領域(II)の間で
Kpがスロープ状に変化しているのは、H10またはH20
を境界にしてRKp(または制御則部の比例ゲイン)が急
激に変化するのを防止するためで、スロープの幅はH1
軸上で0.5〜1mmである。H2 軸に沿って領域(I)
と領域(III) の間でのスロープ、領域(II)または(III)
から領域(IV)へのスロープについても、同様である。領
域(I) の高さは1.0であり、領域(II)、(III) および
(IV)の高さはあらかじめ基準値(RII〜RIV)として設
定しておく。
【0087】つぎに、ノッチ比率gの設定方法について
述べる。
【0088】図17はノッチ比率gの調整方法を模式的
に示す概要図である。gについても、Kp の設定方法と
同様の手法を用いることができる。図14と同様、H1
−H 2 平面上で(I) で示す領域が上記のケース1、(II)
がケース2、(III) がケース3、(IV)がケース4にそれ
ぞれ対応する。領域(I) は制御が安定しているため、ノ
ッチ比率g=gI =1.0、すなわち、ノッチフィルタ
による減衰はなく、図10に示すような、谷状の落ち込
みのない、フラットな特性である。
【0089】図17の領域(II)では例えば、g=gII
0.2としている。図10でいえば、ノッチフィルタの
周波数fにおける谷底の位置は0.2であって、ノッチ
フィルタは周波数fでフィードバック信号の振幅を8割
減衰させるということになる。領域(II)〜(IV)のgの値
(gII〜gIV)は、RKpと同様にあらかじめ定めてお
く。
【0090】(1) 式の特性を実現するノッチフィルタは
積分要素と加減算・掛け算要素の組み合わせで、アナロ
グ回路で実現することもできるし、ディジタル系(制御
用コンピュータ)で構成してもよい。
【0091】上記のノッチフィルタのパラメータの設定
はオンラインで行なうのが望ましい。なぜなら、非定常
バルジングの発生位置は鋳造条件によって2次冷却帯の
上流側または下流側に移動し、その位置によって2次冷
却帯ロールの間隔が異なっているので、非定常バルジン
グの周波数はこれらのロール間隔に対応した周波数が表
れ、または複数の周波数の組合わせとなる。当初、特定
の周波数を決めておき、その後は鋳造速度に比例して、
ノッチフィルタの遮断周波数を変化させるだけでは不十
分な制御精度が得られない。
【0092】従って、上記のノッチフィルタのパラメー
タ、f、Q、gを実時間で計算して、常にノッチフィル
タの遮断周波数を最適に設定するのが望ましい。この自
動計算を行なうには、図9に示したように、FFT解析
部22および自動チューニング部23を備える構成とす
るのが望ましい。
【0093】図9において、FFT解析部22は湯面レ
ベル計の信号を入力し、レベル変動の周波数解析を行う
FFT(高速フーリエ変換)機能を有する。FFT解析
結果として、図6または図8のような、湯面レベルの変
動周波数に対する変動振幅の関係(周波数スペクトル)
が得られる。また、自動チューニング部23はこのFF
T解析結果に基づいて、主要周波数f2 、f3 、および
そのピーク高さH1 、H2 を算出し、前記(1) 式で表さ
れるフィルタ要素21内のノッチフィルタのパラメータ
(f=ω/2π、Q、g)および制御則部16の比例ゲ
インKp を自動設定する。図9において、自動チューニ
ング部23からフィルタ要素21または制御則部16へ
の点線矢印はこれらのパラメータ設定を意味している。
【0094】(C) 上記の説明では、非定常バルジングに
起因する主要周波数として、f2 およびf3 を選び、ノ
ッチフィルタおよび制御器の比例ゲインのパラメータ設
定方法について述べた。その前提として、0.1Hz未
満の周波数域で見られるピーク周波数f1 は2次冷却帯
のロール偏心に由来するものとし、ロール偏心による湯
面レベル変動周波数は非定常バルジング周波数とは離れ
た低周波数であるため、湯面レベル制御器の比例ゲイン
を大きくすることによって抑制できるとした。しかし、
ときには非定常バルジング性で、かつ0.1Hz未満の
緩慢な湯面レベル変動が発生することがある。
【0095】本発明では、このような場合においても、
以下のように対応可能である。
【0096】まず、湯面レベル信号を実時間で周波数ス
ペクトル解析し、0.1Hz未満の湯面レベル変動の最
大のものの振幅をH1 とし、0.1Hz以上の周波数域
で湯面レベル変動の最大のものの振幅をH2 としたと
き、H1 >0.7H2 、すなわち、低周波数域の湯面レ
ベル変動が、真の非定常バルジング性湯面レベル変動に
比較して無視できない程度に大きいときは、周波数f1
およびf2 について、この2つの周波数をカバーする帯
域のノッチフィルタとする。
【0097】このノッチフィルタのパラメータ(Q、
f、g)および制御器の比例ゲイン(Kp )の設定方法
は上記(B) 項に述べた方法と同様で、f2 、f3 をf
1 、f2と読み替えるだけでよい。
【0098】
【実施例】図9に示す制御系を構成し、湯面レベル変動
の制御試験を行った。フィルタ要素21には、式(1) で
表現される1段のノッチフィルタを用いた。
【0099】鋳造条件は、鋳片の組成は、重量%でC:
0.08%、Si:0.5%、Mn1.2%、を含有す
る普通鋼で、鋳片寸法は厚さ90mm×幅1350m
m、鋳造速度は3.0〜8.0m/minであった。2
次冷却帯の各ロールセグメントのロール構成(ロールピ
ッチ×ロール本数)は、鋳型直下から順に、第1セグメ
ント:160mm×5本、第2セグメント:177mm
×6本、第3〜第5セグメント:210mm×6本、第
6〜第8セグメント:250mm×6本×であった。こ
の条件では鋳片の最終凝固位置は第3セグメントの第2
〜3本目のロール近傍であった。
【0100】試験の最初は従来例として、フィルタ要素
21(図9参照)をオフ(湯面レベル計の信号を直接湯
面レベル制御器に入力する)として制御を行い、鋳造速
度を順次高めていった。フィルタ要素21がダミーの状
態でもFFT解析部22は常時湯面レベル信号を監視し
て、周波数解析を行なっており、フィルタ要素21(ノ
ッチフィルタ)および制御則部に設定すべきパラメー
タ:Kp f、Q、gを計算している。
【0101】湯面変動が大きくなったところで、本発明
例としてフィルタ要素21をオンに切替えた。この時点
で、フィルタ要素および制御則部には、最新のデータに
基づくパラメータが設定された。
【0102】図18は制御試験における湯面レベル変動
のグラフである。同図の前半(ノッチフィルタオフ)が
従来例、後半(ノッチフィルタオン)が本発明例であ
る。
【0103】図19は従来例および本発明の制御方法の
湯面レベル制御試験で得られた湯面レベル変動振幅の周
波数スペクトルである。同図のグラフAは従来例、グラ
フBは本発明例である。
【0104】同図に示すように、グラフA、Bとも同一
周波数の3つのピークが現われた。それぞれのピークの
周波数と振幅は、f1 :0.098Hz、f2 :0.2
85Hz、f3 :0.333Hzであった。このうちf
1 は2次冷却帯のロール偏心に起因するものであり、f
2 およびf3 が主要周波数である。グラフAでは周波数
0.285Hzの湯面レベル変動が役1.9mmであっ
たが、グラフBでは1.5mmとなり、非定常バルジン
グ抑制効果があった。図16および図17に示すよう
に、ノッチフィルタをオフからオンに切り替えたことに
よって湯面レベル変動が25%程度抑制できた。
【0105】
【発明の効果】本発明により連続鋳造機の湯面レベル制
御に伴って発生する非定常バルジングを抑制することに
より、広範囲の鋼種での高速鋳造と高品質の鋳片製造が
可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】連続鋳造機の湯面レベル制御系統を示す概要図
である。
【図2】非定常バルジングの発生状況を示す模式図であ
り、同図(a) は鋳片が膨張した場合、同図(b) は鋳片が
収縮した場合を示す。
【図3】図1の制御系統を示すブロックダイアグラムで
ある。
【図4】非定常バルジング発生時の湯面レベル変動を示
すグラフの一例である。
【図5】図3に示した制御系の制御ゲインのグラフであ
る。
【図6】図4のバルジング性湯面レベル変動振幅の周波
数のスペクトルを示すグラフである。
【図7】複数の非定常バルジング周波数を含む湯面レベ
ル変動のグラフである。
【図8】図7の湯面レベル変動の周波数スペクトルを示
すグラフである。
【図9】本発明の制御方法を示すブロックダイアグラム
である。
【図10】ノッチフィルタのフィルタゲインを示すグラ
フである。
【図11】フィルタ要素21の構成を示すブロック図
で、同図(a) はノッチフィルタを1段のみ有する場合、
同図(b) はノッチフィルタを2段有する場合である。
【図12】ノッチフィルタのノッチ比率gの調整方法を
模式的に示す制御系ゲインのグラフである。
【図13】非定常バルジング周波数f2 〜f3 の周波数
帯域で減衰特性をもつノッチフィルタをフィードバック
ループに挿入したときの制御系ゲインのグラフである。
【図14】図13に示す制御系ゲインに対応する制御系
の位相のグラフである。
【図15】図10のノッチフィルタのゲインと主要周波
数との関係を示すグラフで、同図(a) は主要周波数f
2 、f3 の間が接近している場合、同図(b) は離れてい
る場合である。
【図16】比例ゲインKp に乗ずる修正係数RKpの設定
方法を模式的に示す概要図である。
【図17】ノッチ比率gの調整方法を模式的に示す概要
図である。
【図18】制御試験における湯面レベル変動のグラフで
ある。
【図19】従来例および本発明の制御方法の湯面レベル
制御試験で得られた湯面変動の周波数スペクトルであ
る。
【符号の説明】 1:溶湯 2:タンディッシュ 3:浸漬ノズル 4:鋳型 5:鋳片 6:シェル 7:未凝固部 8:2次冷却帯ロール 9:ピンチロール 10:駆動モータ 11:湯面レベル計 12:湯面レベル制御器 13:ストッパ駆動装置 14:ストッパ 15:偏差計算部 16:制御則部 17:ストッパ駆動装置の伝達関数 18:ストッパの伝達関数 19:鋳型の伝達関数 20:湯面レベル計の伝達関数 21:ノッチフィルタ 22:FFT解析部 23:自動チューニング部 SP:湯面レベルの設定値 PV:湯面レベル値 Kp :制御則の比例ゲイン Kp0:比例ゲインの基準値 RKp:比例ゲインの修正係数 Tp :制御則の積分時間 MV:制御器の出力値、 Kq :ストッパ流量特性のゲイン A :鋳型の断面積 Tc :ストッパ駆動装置の時定数 Lc :ストッパ駆動装置の無駄時間 Lw :溶湯の落下無駄時間 Ts :湯面レベル計の時定数 Ls :湯面レベル計の無駄時間 f1 、f2 :非定常バルジング周波数 H1 、H2 :非定常バルジングの振幅 H10、H20:非定常バルジングの振幅基準値 RI 、RII、RIII、RIV:比例ゲイン修正係数の基準
値 gI 、gII、gIII、gIV:ノッチ比率の基準値 r :制御系ゲイン g :ノッチ比率 f :ノッチ周波数 Q :帯域定数
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡 正彦 大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金 属工業株式会社内 Fターム(参考) 4E004 MB02 MB15 MC20 5H309 AA01 BB03 BB08 CC09 DD27 EE05 FF09 GG03 HH01 HH12 HH25 JJ06

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 湯面レベル制御器を用いた連続鋳造機の
    鋳型内の湯面レベル制御において、非定常バルジングに
    起因する湯面レベル変動の周波数を予め求めて非定常バ
    ルジング周波数とし、湯面レベル制御系のフィードバッ
    クループ中に該非定常バルジング周波数を選択的に減衰
    させるフィルタ要素を介在させ、非定常バルジング性湯
    面変動を抑止することを特徴とする連続鋳造機の湯面レ
    ベル制御方法。
  2. 【請求項2】 フィルタ要素が、複数の非定常バルジン
    グ周波数に対して、それぞれの周波数成分を選択的に減
    衰させる複数フィルタの結合であることを特徴とする請
    求項1に記載の連続鋳造機の湯面レベル制御方法。
  3. 【請求項3】 フィルタ要素が、複数の非定常バルジン
    グ周波数の帯域にわたって周波数成分を選択的に減衰さ
    せるノッチフィルタであることを特徴とする請求項1に
    記載の連続鋳造機の湯面レベル制御方法。
  4. 【請求項4】 連続鋳造の湯面レベル信号を実時間で周
    波数スペクトル解析し、非定常バルジングに起因するピ
    ーク成分の周波数を抽出することにより、非定常バルジ
    ング周波数を求めることを特徴とする請求項1〜3のい
    ずれかに記載の連続鋳造機の湯面レベル制御方法。
  5. 【請求項5】 湯面レベル制御器を用いた連続鋳造機の
    鋳型内の湯面レベル制御において、湯面レベル制御系の
    フィードバックループ中に特定の帯域にわたって周波数
    成分を選択的に減衰させるノッチフィルタを介在させ、
    連続鋳造の湯面レベル信号を実時間で周波数スペクトル
    解析し、非定常バルジングに起因する複数のピーク成分
    の周波数と振幅とを抽出し、該周波数と振幅とに基づい
    て、ノッチフィルタのノッチ周波数、ノッチ比率および
    帯域定数を設定し、湯面レベル制御器の比例ゲインを設
    定することを特徴とする連続鋳造機の湯面レベル制御方
    法。
  6. 【請求項6】 ノッチフィルタが下記(1) 式で表される
    伝達関数を有するノッチフィルタであり、(1) 式のノッ
    チフィルタのノッチ角周波数ω、ノッチ比率g、帯域定
    数Q、および湯面レベル制御器の比例ゲインKp を設定
    する際、Kp=RKp・Kp0として比例ゲインの基準値K
    p0に乗ずべき修正係数をRKpとし、湯面レベル信号の周
    波数スペクトル解析によって得られた非定常バルジング
    性湯面レベル変動のピーク周波数の内、0.1Hz未満
    の周波数域で振幅が最大となる周波数f1 と、0.1H
    を超える周波数域で振幅が最大となる周波数f2 を選
    び、これらの周波数のピーク高さH1 、H2 を求め、
    (1) 式のノッチ角周波数ω=2πfに対応するノッチ周
    波数fをf=(f1 ・f2 1/2 と決定し、帯域定数Q
    をQ=(f2 −f1 )/fと決定し、あらかじめ定めら
    れた湯面レベル変動幅基準値をH10およびH20、比例ゲ
    イン修正係数RKpの基準値をRI 、RII、RIII および
    IV、ならびにノッチ比率基準値をgI 、gII、gIII
    およびgIVとしたとき、下記ケース(I) 〜ケース(IV)の
    それぞれの場合について、 ケース(I) ; H1 ≦H10、H2 ≦H20の場合は、 RKp=RI 、g=gI 、 ケース(II); H1 >H10、H2 ≦H20の場合は、 RKp=RII、g=gII、 ケース(III) ;H1 ≦H10、H2 >H20の場合は、 RKp=RIII 、g=gIII 、 ケース(IV) H1 >H10、H2 >H20の場合は、 RKp=RIV、g=gIV、 として、RKpとgとを決定し、ノッチフィルタおよび湯
    面レベル制御器のパラメータとして設定することを特徴
    とする請求項5に記載の連続鋳造機の湯面レベル制御方
    法。 【数1】
  7. 【請求項7】 ノッチフィルタが下記(1) 式で表される
    伝達関数を有するノッチフィルタであり、(1) 式のノッ
    チフィルタのノッチ角周波数ω、ノッチ比率g、帯域定
    数Q、および湯面レベル制御器の比例ゲインKp を設定
    する際、Kp=RKp・Kp0として比例ゲインの基準値Kp0
    に乗ずべき修正係数をRKpとし、湯面レベル信号の周波
    数スペクトル解析によって得られた非定常バルジング性
    湯面レベル変動のピーク周波数の内、0.1Hz以上の
    周波数域で振幅が最大およびこれに次ぐ大きさをもつ周
    波数を選んで、これらをf2 およびf3 (f2 <f3
    とし、これらの周波数のピーク高さH1 、H2 を求め、
    (1) 式のノッチ角周波数ω=2πfに対応するノッチ周
    波数fをf=(f2 ・f3 1/2 と決定し、帯域定数Q
    をQ=(f3 −f2 )/fと決定し、あらかじめ定めら
    れた湯面レベル変動幅基準値をH10およびH20、比例ゲ
    イン修正係数RKpの基準値をRI 、RII、RIII および
    IV、ならびにノッチ比率基準値をgI 、gII、gIII
    およびgIVとしたとき、下記ケース(I) 〜ケース(IV)の
    それぞれの場合について、 ケース(I) ; H1 ≦H10、H2 ≦H20の場合は、 RKp=RI 、g=gI 、 ケース(II); H1 >H10、H2 ≦H20の場合は、 RKp=RII、g=gII、 ケース(III) ;H1 ≦H10、H2 >H20の場合は、 RKp=RIII 、g=gIII 、 ケース(IV) H1 >H10、H2 >H20の場合は、 RKp=RIV、g=gIV、 として、RKpとgとを決定し、ノッチフィルタおよび湯
    面レベル制御器のパラメータとして設定することを特徴
    とする請求項5に記載の連続鋳造機の湯面レベル制御方
    法。 【数2】
JP11121152A 1999-04-28 1999-04-28 連続鋳造機の湯面レベル制御方法 Expired - Fee Related JP3050230B1 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11121152A JP3050230B1 (ja) 1999-04-28 1999-04-28 連続鋳造機の湯面レベル制御方法
PCT/JP2000/000398 WO2000066293A1 (fr) 1999-04-28 2000-01-27 Regulation du niveau de la surface du metal dans un moule en moulage continu
EP00901917A EP1097765A4 (en) 1999-04-28 2000-01-27 CONTROL OF THE MELTING LEVEL IN CONTINUOUS CASTING
US09/739,870 US6466001B2 (en) 1999-04-28 2000-12-20 Method and apparatus for controlling the molten metal level in a mold in continuous casting

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11121152A JP3050230B1 (ja) 1999-04-28 1999-04-28 連続鋳造機の湯面レベル制御方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP3050230B1 JP3050230B1 (ja) 2000-06-12
JP2000312957A true JP2000312957A (ja) 2000-11-14

Family

ID=14804147

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11121152A Expired - Fee Related JP3050230B1 (ja) 1999-04-28 1999-04-28 連続鋳造機の湯面レベル制御方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3050230B1 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006263812A (ja) * 2005-02-25 2006-10-05 Jfe Steel Kk 連続鋳造機の鋳型内湯面レベル制御方法及び連続鋳造鋳片の製造方法
JP2013103269A (ja) * 2011-11-16 2013-05-30 Jfe Steel Corp 連続鋳造機の制御装置および制御方法
JP2014111267A (ja) * 2012-12-05 2014-06-19 Nippon Steel & Sumitomo Metal 連続鋳造機の湯面レベル制御装置、方法及びプログラム

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109676106B (zh) * 2019-02-13 2021-01-29 衡阳镭目科技有限责任公司 一种控制连铸结晶器液面波动的方法及装置

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006263812A (ja) * 2005-02-25 2006-10-05 Jfe Steel Kk 連続鋳造機の鋳型内湯面レベル制御方法及び連続鋳造鋳片の製造方法
JP4725291B2 (ja) * 2005-02-25 2011-07-13 Jfeスチール株式会社 連続鋳造機の鋳型内湯面レベル制御方法及び連続鋳造鋳片の製造方法
JP2013103269A (ja) * 2011-11-16 2013-05-30 Jfe Steel Corp 連続鋳造機の制御装置および制御方法
JP2014111267A (ja) * 2012-12-05 2014-06-19 Nippon Steel & Sumitomo Metal 連続鋳造機の湯面レベル制御装置、方法及びプログラム

Also Published As

Publication number Publication date
JP3050230B1 (ja) 2000-06-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3318742B2 (ja) 連続鋳造設備のモールド湯面制御装置
WO2000066293A1 (fr) Regulation du niveau de la surface du metal dans un moule en moulage continu
JP3050230B1 (ja) 連続鋳造機の湯面レベル制御方法
US5311924A (en) Molten metal level control method and device for continuous casting
JP3271242B2 (ja) 連続鋳造機モールド内湯面レベル制御装置
JP5831145B2 (ja) 連続鋳造機モールド内湯面レベル制御装置及び制御方法
JPH04182019A (ja) 圧延機の板厚制御装置
KR100332911B1 (ko) 쌍롤형박판제조장치에서의주조속도를이용한압하력제어장치및방법
Lee et al. High performance hybrid mold level controller for thin slab caster
JP4725291B2 (ja) 連続鋳造機の鋳型内湯面レベル制御方法及び連続鋳造鋳片の製造方法
JP3309809B2 (ja) 連続鋳造機における湯面レベル制御方法
JP3494135B2 (ja) 連続鋳造機の湯面レベル制御方法及び湯面レベル制御装置
CN112180997A (zh) 基于ccd液位检测的薄带连铸熔池液位控制方法和装置
JP3160805B2 (ja) 連続鋳造設備のモールドレベル制御装置
JP5751144B2 (ja) 連続鋳造機の制御装置および制御方法
CN114867570B (zh) 时变系统的迭代学习控制的故障检测
Jabri et al. Suppression of periodic disturbances in the continuous casting process
JP3389903B2 (ja) 金属帯の圧延制御方法
JPH0587351B2 (ja)
JPH09146608A (ja) 連続鋳造機モールド内湯面レベル制御方法
KR100314838B1 (ko) 피이드백자동두께제어장치및그필터의설계방법
KR20010058101A (ko) 연속주조공정에서 몰드레벨 변동억제를 위한 주조속도피드포워드 방법
JP2653124B2 (ja) 連続鋳造鋳型内の湯面レベル制御方法
JPH10272546A (ja) 連続鋳造における湯面レベル変動防止方法およびその装置
JP2003164907A (ja) タンデム圧延における張力制御方法及び装置

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20000229

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees