JP2003164907A - タンデム圧延における張力制御方法及び装置 - Google Patents

タンデム圧延における張力制御方法及び装置

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JP2003164907A
JP2003164907A JP2001361658A JP2001361658A JP2003164907A JP 2003164907 A JP2003164907 A JP 2003164907A JP 2001361658 A JP2001361658 A JP 2001361658A JP 2001361658 A JP2001361658 A JP 2001361658A JP 2003164907 A JP2003164907 A JP 2003164907A
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reduction
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Kazuya Asano
一哉 浅野
Toshiyuki Kobori
敏之 小堀
Takayuki Kachi
孝行 加地
Hajime Nagai
肇 永井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 タンデム圧延における張力制御において、特
に、電動圧下装置を備えたスタンドであっても被圧延材
の板厚に影響を与えることなく張力制御を行う。 【解決手段】 張力制御装置から、圧下速度制御系を備
えた圧下装置に圧下速度指令値を与えてロールギャップ
を操作することにより被圧延材のスタンド間張力を制御
するにあたり、圧下速度指令値に複数の離散化されたレ
ベルを設定し、張力制御装置が演算する連続的な圧下速
度指令値に最も近いレベルを基準レベルとし、該基準レ
ベルの一段上のレベルを上限値、一段下のレベルを下限
値とし、該連続的な圧下速度指令値が該上下限値内にあ
るときは、前記基準レベルを離散化された圧下速度指令
値として圧下速度制御系に出力して圧下速度制御を行
い、該連続的な圧下速度指令値が該上限値あるいは下限
値に達したときには、該上限値あるいは下限値を新たな
基準レベルとし、該新たな基準レベルの一段上のレベル
を上限値、一段下のレベルを下限値として同様の制御を
行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、タンデム圧延にお
ける張力制御方法及び装置に係り、特に、電動圧下装置
を備えたスタンドであっても被圧延材の板厚に影響を与
えることなく張力制御を行うことが可能な、タンデム圧
延における張力制御方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】タンデム圧延は複数の圧延スタンドを圧
延方向に直列に配置し、被圧延材を連続的に圧延するも
のである。例えば、薄鋼板の圧延では、熱間圧延の仕上
ミルでは6〜7台、冷間圧延のタンデムミル(以降、冷
延タンデムミルとも称す)においても4〜6台のスタン
ドをタンデム配置するのが一般的である。タンデム圧延
は高品質の製品を高効率で生産することができるため、
現在では薄鋼板は、特殊な材料を除き、タンデム圧延に
よって製造されている。
【0003】タンデム圧延では、被圧延材を安定に通板
すること、および圧延荷重を可及的に小さく抑えつつ必
要な圧下量を得ることを目的として、スタンド間で被圧
延材に張力が付与されている。この張力によって隣接す
るスタンドにおける圧延が相互に影響を及ぼしあう。ま
た、被圧延材が上流側から下流側に移送されることによ
って、上流スタンドの圧延の結果が下流スタンドに伝搬
され、それが張力によって上流スタンドの圧延に影響す
る。
【0004】例えば、何らかの外乱によって被圧延材に
板厚変動が生じると、それによってスタンド間の張力変
動が発生する。しかし、この張力変動は板厚変動を抑え
るという目的ではむしろ好ましいものである。すなわ
ち、張力は板厚変動を抑制する方向に変化するので、板
厚変動を自動的に減少させるように作用することにな
る。従来の冷延タンデムミルにおける板厚制御では、こ
の張力による板厚の修正機能を活用しており、張力制御
は張力実績値があらかじめ定められた上下限値を超えな
いかぎり制御動作を行わず、それを超えたときのみフィ
ードバック制御を行う張力制限制御が行われていた。
【0005】5スタンド冷延タンデムミルにおける従来
の典型的な板厚・張力制御系の例を図1に示す。被圧延
材1は、タンデム配置された圧延スタンド11〜15に
よって連続的に圧延される。各スタンドのワークロール
はミルモータ21〜25によって駆動されており、その
速度はミルモータ速度制御装置31〜35によって制御
されている。また、各スタンドにおいて、2つのワーク
ロール間の距離は、ロール圧下位置制御装置41〜45
によって調整される。
【0006】板厚・張力制御は、板厚と張力の2種類の
制御量と、ロール速度、ロールギャップの2種類の操作
量とを適切に組み合わせることによって行われる。冷延
タンデムミルによる圧延では、ロールギャップ操作が板
厚に及ぼす影響は、上流スタンドでは大きく、下流スタ
ンドでは小さい。一方、ロールギャップ操作が張力に及
ぼす影響は、下流スタンドでも大きい。ロール速度操作
が板厚、張力に及ぼす影響は、上流、下流スタンドと
も、大きな違いはない。そこで、図1では、第1スタン
ド出側および第5スタンド出側に板厚計51、55をそ
れぞれ設置し、前者の測定値に基づいて第1スタンドの
ロールギャップを操作するモニターAGC装置61、お
よび、後者の測定値に基づいて第4スタンドのロール速
度を操作するモニターAGC装置65によって板厚制御
系を構成し、各スタンド間に設置した張力計71〜74
の測定値に基づいて下流側スタンドのロールギャップを
操作する張力制御装置81〜84によって張力制御系を
構成している。
【0007】前述のように、従来の冷延タンデムミルで
は、張力制御装置81〜84には一般に張力制限制御が
用いられていた。張力制限制御は、張力が上下限値を超
えない限り制御が行われず、オープンループとなる。し
たがって、張力が上下限値内にあるとしても、張力の時
間的変動が大きくなる可能性がある。また、張力が上下
限値を超えて張力制限制御が動作すると、張力を上下限
値から急激に目標値に到達させようとするため、それに
よって張力が急変し、板厚変動を引き起こす。
【0008】従来の張力制限制御では、このようにオー
プンループの状態と、制御によって張力を目標値に引き
戻そうとする過程が突然切り替わるため、それが板厚制
御に悪影響を与えるという問題があった。
【0009】これに対して、張力制限制御ではなく、張
力を一定値に制御する方式の張力制御方法が提案されて
いる。例えば、「張力・板厚制御 −コールドタンデム
ミルの建設 II−」(山下、美坂、川上、近藤、塑性
と加工、Vol.14、No.155、pp.976−
987、1973)では、全スタンド間の張力をロール
速度を操作端として一定値に制御する5スタンドタンデ
ムコールドミルの張力制御方法が開示されている。ま
た、「ILQ理論に基づくタンデム冷間圧延機多変数板
厚張力制御の開発」(関、橋本、三代川、野村、三宅、
電気学会金属産業研究会資料、MID−97−12、p
p.23−28、1997)では、最適制御理論の一種
であるILQ(Inverse Linear Qua
dratic)制御を適用することにより、ロール速度
とロールギャップを操作量とし、板厚と張力を制御量と
する多変数制御系を構成する方法が開示されている。こ
の場合も、張力は一定値に制御されることを前提として
いる。
【0010】このような張力一定制御を行えば、張力制
限制御のような張力の急変、およびそれに起因する板厚
変動を防ぐことができる。従来は図1に示したタンデム
ミルのように、中間スタンドでは積極的に板厚制御を行
わないのが一般的であり、これらのスタンドではロール
速度を制御を目的として操作することは行われていなか
った。
【0011】ところが、最近ではマスフロー一定則を用
いて推定したロールギャップ直下の板厚に基づいてロー
ル速度を操作するマスフローAGCが広く用いられるよ
うになり、中間スタンドにおいても板厚制御を目的とし
てロール速度が大きく操作されるようになった。その例
を図2に示す。図2は、第3スタンドにおいてマスフロ
ーAGCを実施した場合の構成例を示すものであり、簡
単のため、第2、3スタンドだけを取り出して示してい
る。図2において、213は第3スタンドのマスフロー
AGC装置であり、第2スタンド出側の板厚計52、第
2スタンド出側の板速計222および第3スタンド出側
の板速計223のそれぞれの測定値から、マスフロー一
定則を用いて第3スタンドのロールバイト直下の板厚を
推定し、それと目標板厚との偏差に基づいて第2スタン
ドのロール速度を操作するものである。
【0012】このようなロール速度操作によって、張力
変動は中間スタンドにおける板厚制御を行わない場合よ
りも増大する可能性があり、これに対処するには張力制
限制御よりも張力一定制御を適用することが望ましい。
【0013】ところで、油圧圧下装置を備えたスタンド
は油圧による圧下位置制御が行われ、ロールが位置決め
される。これに対し、電動圧下装置を備えたスタンドで
は、一般に圧下位置をフィードバック制御する圧下位置
制御系がなく、圧下速度をフィードバック制御する圧下
速度制御系によって圧下速度を制御し、圧下速度が積分
されることによって圧下位置が変化し、ロールギャップ
が変更されるようになっている。図1のタンデムミルの
第3〜4スタンド間の張力制御系のブロック図を図3に
示す。
【0014】図3において、93は第4スタンドの圧下
速度制御装置であり、圧下速度指令値US4を入力するこ
とによって、圧下速度V4を変更することができる。圧
下速度が時間的に積分されたものがロール位置となる。
この積分現象を積分器103で表す。113は第4スタ
ンドのロールギャップS4から第3〜4スタンド間張力
(第3スタンド前方張力)tf3までの伝達関数を表
す。張力計73は、tf3の測定値tf3mを出力する。
減算器133では、張力目標値設定器123から出力さ
れた張力目標値tf3refと、tf3の測定値tf3mの偏
差が算出され、それが張力制御装置83に入力される。
張力制御装置83は該張力偏差に基づいて圧下速度指令
値US4を算出し、出力する。以上によって、張力制御の
フィードバック制御ループが構成される。
【0015】張力制限制御では、ロールギャップ操作は
張力が上下限に達したときに間欠的に行われる。例え
ば、第3〜4スタンド間張力tf3の測定値tf3mが上
下限内にある場合、張力制御装置83が出力する圧下速
度指令値US4は0であり、圧下モータは静止しており、
ロールギャップは変化しない。tf3mが低下して下限に
達すると、張力制御装置83は正の圧下速度指令値US4
を出力し、ロールギャップS4は増加する。その結果、
張力測定値tf3mが目標値に到達すれば、張力制御装置
83が出力する圧下速度指令値US4は再び0となり、圧
下モータは静止する。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】これに対して、張力一
定制御では、ロールギャップ操作が常時行われることに
なる。そのため、電動圧下スタンドでは、圧下速度V4
の指令値が常に変動することになるが、張力変動にはロ
ール偏芯などによる高周波成分も含まれるから、圧下速
度指令値はその影響で目まぐるしく変化することにな
る。このように短い周期で圧下速度指令値が変化するこ
とは、圧下モータを含めた圧下装置の電気系、機械系に
対しては好ましくない。
【0017】これを防ぐには、低域通過フィルタによっ
て張力変動の高周波成分をカットし、低周波成分に対し
てのみ張力制御を行うようにすることが考えられる。し
かし、このことは張力制御のフィードバックループの中
に遅れを持った要素を挿入することになるため、ゲイン
が抑制され、十分な制御性能が得られず、外乱による張
力変動によって板厚変動が生じてしまう。
【0018】このように、従来の張力制御方法では、電
動圧下装置を備えたスタンドでは張力一定制御をうまく
行うことができず、板厚変動を抑制できないという問題
があった。
【0019】本発明は、前記従来の問題点を解決すべく
なされたものであり、電動圧下装置を備えたスタンドで
あっても被圧延材の板厚に影響を与えることなく張力制
御を行うことを課題としている。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明のうち請求項1に記載した発明は、張力制御
装置から、圧下速度制御系を備えた圧下装置に圧下速度
指令値を与えてロールギャップを操作することにより被
圧延材のスタンド間張力を制御するようにしたタンデム
圧延における張力制御方法において、圧下速度指令値に
複数の離散化されたレベルを設定し、張力制御装置が演
算する連続的な圧下速度指令値に最も近いレベルを基準
レベルとし、該基準レベルの一段上のレベルを上限値、
一段下のレベルを下限値とし、該連続的な圧下速度指令
値が該上下限値内にあるときは、前記基準レベルを離散
化された圧下速度指令値として圧下速度制御系に出力し
て圧下速度制御を行い、該連続的な圧下速度指令値が該
上限値あるいは下限値に達したときには、該上限値ある
いは下限値を新たな基準レベルとし、該新たな基準レベ
ルの一段上のレベルを上限値、一段下のレベルを下限値
として同様の制御を行うことにより、前記課題を達成し
たものである。
【0021】又、請求項2に記載した発明は、張力制御
装置から、圧下速度制御系を備えた圧下装置に圧下速度
指令値を与えてロールギャップを操作することにより被
圧延材のスタンド間張力を制御するようにしたタンデム
圧延の張力制御装置において、圧下速度指令値を離散化
して、複数のレベルを設定する手段と、張力制御装置が
演算する連続的な圧下速度指令値に最も近いレベルを基
準レベルとし、該基準レベルの一段上のレベルを上限
値、一段下のレベルを下限値とし、該連続的な圧下速度
指令値が該上下限値内にあるときは、前記基準レベルを
離散化された圧下速度指令値として圧下速度制御系に出
力して圧下速度制御を行い、該連続的な圧下速度指令値
が該上限値あるいは下限値に達したときには、該上限値
あるいは下限値を新たな基準レベルとし、該新たな基準
レベルの一段上のレベルを上限値、一段下のレベルを下
限値として同様の制御を行う手段とを備えることによ
り、前記課題を解決したものである。
【0022】タンデム圧延の操業を安定に行い、製品精
度を良好に保つためには、被圧延材の張力、板厚、形状
をそれぞれ制御する必要がある。このうち、板厚は最も
厳しく管理すべき製品精度の指標であり、最も優先度の
高いものである。張力は制御量であると同時に、板厚を
制御するために変化すべき中間的な状態量でもあり、圧
延の安定性に支障のない範囲では変動を許容できるもの
である。したがって、張力一定制御といえども張力変動
の高周波成分に対しては圧下操作を行う必要はなく、逆
に過剰な圧下操作は圧下系に対して好ましくない。しか
し、張力変動の高周波成分を低域通過フィルタによって
除去しようとすると、張力制御のフィードバックループ
中に遅れが挿入されるためにゲインが上げられず、十分
な制御性能が得られない。そこで、本発明では、張力制
御装置から圧下速度制御系に圧下速度指令値を渡す際
に、低域通過フィルタに代わる非線形な処理を導入する
ことによって圧下速度指令値の細かな変動を除去し、過
剰な圧下操作を抑えつつ十分な制御性能を得られる新規
な方法を提案する。
【0023】まず、圧下速度指令値を離散化し、圧下速
度指令値を段階的に変更することによって圧下速度の細
かな変動を除去する。この際、通常の連続値の離散化を
行ったのでは圧下速度指令値のレベルが短い周期で切り
替わる恐れがある。そこで、現在の張力制御装置の出力
に最も近いレベルを基準レベルとし、一段階上のレベル
を上限値、下のレベルを下限値とし、張力制御装置の出
力が上下限値内にある場合には圧下速度指令値を該基準
レベルに保つ。
【0024】張力制御装置の出力が上限値あるいは下限
値に達したときには、該上限あるいは下限値を新たに基
準レベルとし、新たな基準レベルの一段階上のレベルを
上限値、下のレベルを下限値とし上下限値を新たに設定
して、同様の処理を行う。
【0025】これは、張力制御装置の出力に一種の不感
帯を設けていることになるが、いわばその不感帯を入力
信号自体によってダイナミックにシフトするという新規
な方法により、入力信号に含まれる細かな変動成分が出
力に現れないようにしたものである。
【0026】本発明によれば、ロール偏芯などに起因す
る張力変動の高周波成分による不要な圧下操作が圧下系
に加わることを防止することができ、電動圧下装置を備
えたスタンドにおいても張力一定制御を十分なゲインで
実施することができる。これにより、張力変動自体を低
減するとともに、張力制限制御に見られたような張力制
御のオンオフによる圧下位置の急変動を防止し、板厚制
御への影響を小さくすることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明の
実施形態を詳細に説明する。
【0028】本実施形態は、図1に示した、電動モータ
による圧下装置を備えたタンデムミルに本発明を適用し
た例であり、第3〜4スタンド間の張力制御装置83に
ついて説明するが、他のスタンド間についても同様に適
用可能である。
【0029】本発明を適用した第3〜4スタンド間の張
力制御系のブロック図を図4に示す。図3の張力制御系
との違いは、張力制御装置83の構成だけである。本発
明による張力制御装置83´は、図4に示すように、比
例(P)制御器143と、圧下速度指令値離散化器15
3からなる。比例制御器143の出力は連続的な圧下速
度指令値であるが、本発明では、それをただちに圧下速
度制御系に出力するのではなく、圧下速度指令値離散化
器153によって離散化し、それを圧下速度指令値とす
る。
【0030】図5を用いて、圧下速度指令値離散化器1
53の動作を説明する。図5において、横軸は時間、縦
軸は離散化された圧下速度指令値を表している。実際に
は、離散化された圧下速度は具体的な速度の単位を持っ
ているが、ここでは簡単のため、図5の縦軸に示すよう
に0、1、2、3の4つのレベルに離散化されるものと
する。図5(A)の201は比例制御器143の出力、
すなわち連続的な圧下速度指令値を表しており、時刻T
0における値はレベル1に最も近いので、図5(B)に
示す如く、基準レベル202をレベル1とし、上限値2
03をレベル2、下限値204をレベル0とする。時刻
2までは、比例制御器の出力201が上限値203と
下限値204の間にあるので、基準レベル202をレベ
ル1に保ち、これを圧下速度指令値離散化器153の出
力として圧下速度制御系93に送る。時刻T2では、比
例制御器の出力201が上限値203に達するので、基
準レベル202、上限値203、下限値204を1段階
ずつ増加させ、それぞれレベル2、3、1とし、レベル
2を圧下速度指令値離散化器153の出力とする。次
に、時刻T4において、比例制御器の出力201が下限
値204に達するので、基準レベル202、上限値20
3、下限値204を1段階ずつ減少させ、それぞれレベ
ル1、2、0とし、レベル1を圧下速度指令値離散化器
153の出力とする。
【0031】このように、本発明では比例制御器143
の出力値201の大きさにしたがって基準レベル202
と上下限値203、204をダイナミックに変化させる
ことにより、比例制御器143の出力値201が変動し
ているにもかかわらず、圧下速度指令値の変化を時刻T
2、T4の2回だけに抑えている。これに対して、例えば
切り捨てによって離散化を行った場合には、図5(C)
に示すように、時刻T 1、T2、T3、T4、T5、T6、T
7において計7回も変化しており、このような単なる離
散化では圧下速度指令値の変動を抑えられないことが示
されている。
【0032】
【実施例】本発明による張力制御方法の効果をシミュレ
ートした例について説明する。図1のタンデムミルをシ
ミュレートするモデルを用い、外乱として圧延速度の加
速と、第1スタンドのロール偏芯を仮定した。図6に、
第1〜2スタンド間張力制御による第2スタンド圧下速
度指令値の変更量を示す。以下、シミュレーション結果
を表す図では、縦軸は基準値からの偏差を基準値で正規
化した値を表す。
【0033】本発明による圧下速度指令値離散化を行わ
ない場合は、図6(A)に破線Aで示す如く、第1スタ
ンドのロール偏芯に起因する第1〜2スタンド間張力変
動により、圧下速度指令値が周期的に変動しており、圧
下モータを含めた圧下装置の電気系、機械系に対して好
ましくない。これに対して、本発明による圧下速度指令
値離散化を行った場合には、図6(B)に実線Bで示す
如く、圧下速度指令値は離散化されたレベルで数回切り
替わるだけであり、圧下速度指令値の変動が抑えられて
いる。
【0034】図6(B)には、第2スタンドの圧下位置
も示しているが、圧下位置は本発明による圧下速度指令
値離散化を行った場合(実線B)と行わない場合(破線
A)とでほとんど違いが見られない。これは、このよう
な高周波数の圧下速度変動は、それが圧下系で積分され
るときに減衰して圧下位置には現れなくなるためであ
る。このように、本発明による圧下速度指令値離散化に
おいては、非線形な処理によって張力制御に必要な低周
波数成分のみを取り出し、不要な高周波成分をカットす
ることができるので、張力制御の応答性を損ねずに圧下
速度指令値の変動を抑え、電動モータの負荷を軽減する
ことができる。
【0035】図7に、本発明による張力制御を実施した
場合(実線B)と、従来の張力制限制御を実施した場合
(破線A)の張力および板厚変動をシミュレーションに
よって比較した例を示す。図6で用いたシミュレータを
用い、同様の外乱を仮定し、第2〜3スタンド間張力お
よびそれを制御するために操作される第3スタンドロー
ルギャップ、第5スタンド出側板厚を図示した。
【0036】従来の張力制限制御では、図7(A)に示
す如く、張力が下限値に達したときに、図7(B)に示
す如く、圧下が急上昇し、張力が急増することにより、
図7(C)に示す如く、板厚変動が生じている。これに
対して、本発明による張力制御では、図7(B)に示す
如く、ゆるやかに圧下を上昇させることによって、図7
(A)に示す如く、張力を目標値付近に留めており、図
7(C)に示す如く、張力制御が板厚制御に悪影響を与
えることはない。なお、いずれの張力制御の場合にも、
板厚に周期的な細かな変動が見られるが、これは外乱と
して仮定している第1スタンドのロール偏芯の影響であ
って、板厚精度上問題ないレベルである。
【0037】なお、上記実施例は冷延タンデムミルによ
る圧延の場合について説明したが、熱延タンデムミルに
よる圧延の場合についても同様に適用できることはいう
までもない。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように、本発明による張力
制御では、非線形な処理によって張力制御に必要な低周
波成分のみを取り出し、不要な高周波成分をカットする
ことができるので、張力制御の応答性を損ねずに圧下速
度指令値の変動を抑え、電動モータの負荷を軽減するこ
とができる。そのため、電動圧下装置を備えたスタンド
においても張力を一定に保とうとする制御を行うことが
可能となり、板厚に影響を与えることなく張力制御を実
施することができ、製品の寸法精度を向上させることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の一般的なタンデムミルの例を示すブロッ
ク線図
【図2】同じく中間スタンドにおいてマスフローAGC
を実施した場合の構成例を示すブロック線図
【図3】従来の一般的な張力制御系を示すブロック線図
【図4】本発明による張力制御系を示すブロック線図
【図5】本発明による圧下速度指令値の離散化を示す線
【図6】本発明による離散化を行った場合と行わない場
合の圧下速度指令値の差異を示す線図
【図7】本発明を用いた張力一定制御と従来の張力制限
制御による制御性能の差異を示す線図
【符号の説明】
1…被圧延材 11、12、13、14、15…圧延スタンド 21、22、23、24、25…ミルモータ 31、32、33、34、35…ミルモータ速度制御装
置 41、42、43、44、45…ロール圧下位置制御装
置 51、55…板厚計 61、65…モニターAGC装置 71、72、73、74…張力計 81、82、83、83´、84…張力制御装置 93…圧下速度制御装置 123…張力目標値設定器 133…減算器 143…比例制御器 153…圧下速度指令値離散化器 201…比例制御器(P制御器)の出力 202…圧下速度指令値の基準レベル 203…圧下速度指令値の上限値 204…圧下速度指令値の下限値
フロントページの続き (72)発明者 加地 孝行 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内 (72)発明者 永井 肇 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内 Fターム(参考) 4E002 AD05 BA01 BC03 BC05 CA08 4E024 AA07 BB01 BB03 CC01 EE01

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】張力制御装置から、圧下速度制御系を備え
    た圧下装置に圧下速度指令値を与えてロールギャップを
    操作することにより被圧延材のスタンド間張力を制御す
    るようにしたタンデム圧延における張力制御方法におい
    て、 圧下速度指令値に複数の離散化されたレベルを設定し、 張力制御装置が演算する連続的な圧下速度指令値に最も
    近いレベルを基準レベルとし、該基準レベルの一段上の
    レベルを上限値、一段下のレベルを下限値とし、 該連続的な圧下速度指令値が該上下限値内にあるとき
    は、前記基準レベルを離散化された圧下速度指令値とし
    て圧下速度制御系に出力して圧下速度制御を行い、 該連続的な圧下速度指令値が該上限値あるいは下限値に
    達したときには、該上限値あるいは下限値を新たな基準
    レベルとし、該新たな基準レベルの一段上のレベルを上
    限値、一段下のレベルを下限値として同様の制御を行う
    ことを特徴とするタンデム圧延における張力制御方法。
  2. 【請求項2】張力制御装置から、圧下速度制御系を備え
    た圧下装置に圧下速度指令値を与えてロールギャップを
    操作することにより被圧延材のスタンド間張力を制御す
    るようにしたタンデム圧延の張力制御装置において、 圧下速度指令値を離散化して、複数のレベルを設定する
    手段と、 張力制御装置が演算する連続的な圧下速度指令値に最も
    近いレベルを基準レベルとし、該基準レベルの一段上の
    レベルを上限値、一段下のレベルを下限値とし、該連続
    的な圧下速度指令値が該上下限値内にあるときは、前記
    基準レベルを離散化された圧下速度指令値として圧下速
    度制御系に出力して圧下速度制御を行い、該連続的な圧
    下速度指令値が該上限値あるいは下限値に達したときに
    は、該上限値あるいは下限値を新たな基準レベルとし、
    該新たな基準レベルの一段上のレベルを上限値、一段下
    のレベルを下限値として同様の制御を行う手段と、を備
    えたことを特徴とするタンデム圧延における張力制御装
    置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102513351A (zh) * 2011-12-24 2012-06-27 东北大学 一种带钢冷连轧轧制方法及装置
JP2016155172A (ja) * 2015-02-24 2016-09-01 Jfeスチール株式会社 冷間圧延機の張力制御方法及び冷延鋼板の製造方法

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