JP2000312133A - 弾性表面波装置 - Google Patents

弾性表面波装置

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JP2000312133A
JP2000312133A JP11120867A JP12086799A JP2000312133A JP 2000312133 A JP2000312133 A JP 2000312133A JP 11120867 A JP11120867 A JP 11120867A JP 12086799 A JP12086799 A JP 12086799A JP 2000312133 A JP2000312133 A JP 2000312133A
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acoustic wave
surface acoustic
electrode
wave filter
reflector
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Kenji Urabe
賢志 浦辺
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は良好な帯域特性を有するとともに、
高次モードの振動によるスプリアス信号が抑制された帯
域外特性を有する弾性表面波装置を提供する。 【解決手段】 反射器13(23)、入力用IDT1
1、21及び出力用IDT12、22、反射器14(2
4)から成る複数の弾性表面波フィルタ10、20を互
いに接続した弾性表面波装置において、前記すだれ状電
極指12a、13a、23a、24aからなる反射器電
極12、13、23、24は、電極幅hと電極間隔幅a
との比率h/(a+h)が、各弾性表面波フィルタ1
0、20で相違している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、弾性表面波装
置、特に縦結合共振器型弾性表面波装置に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来の縦結合共振器型弾性表面波装置を
構成する弾性表面波フィルタは、圧電基板上に入力用イ
ンターデジタル電極(入力用IDT)と出力用インター
デジタル電極(出力用IDT)を弾性表面波(SAW)
の伝搬方向に沿って配置し、これらの入力用IDT、出
力用IDTを挟んで両側にすだれ状の第1及び第2反射
器電極(単に反射器という)を配置して構成されてい
る。一般に入力用IDT及び出力用IDTは、互いに異
なる電位となる電極指が互いに噛み合って構成されてい
る。そして、各電極指の幅及び電極指の間隔は、1/4
λ(波長λ:1次モードの定在波の波長)となるように
設定されている。
【0003】このような弾性表面波フィルタは、圧電基
板上に形成した複数の縦結合型共振器型の弾性表面波フ
ィルタであり、入力用IDT、出力用IDTを一つの反
射器で挟持した、一対の反射器内で所定弾性波の振動エ
ネルギ−を閉じこめるようにしたものがある。そして、
一対の反射器には通過周波数域を形成する1次モード、
2次モード以外に、より高次モードの振動も定在波とし
て存在することになる。
【0004】このような構造の弾性表面波フィルタを複
数用いた弾性表面波装置としては、例えば減衰レベルを
大きくするために、2つの弾性表面波フィルタを複数直
列接続した弾性表面波装置が知られている(特開平9−
294049)。この概略図を図7に示す。
【0005】図7において、1は圧電基板、10は第1
の弾性表面波フィルタであり、11は入力用IDT、1
2は出力用IDT、13は入力用IDT11に近接した
反射器、14は出力用IDT12に近接した反射器電極
である。また、20は第2の弾性表面波フィルタであ
り、21は入力用IDT、22は出力用IDT、23は
入力用IDT21に近接した反射器、24は出力用ID
T21に近接したすだれ状反射器である。
【0006】そして、図7においては、第1の弾性表面
波フィルタ10の出力用IDT12の一方の電極指12
aと第2の弾性表面波フィルタ20の入力用IDT21
の他方の櫛状電極指21bとは接続導体膜30によって
接続され、これによって両弾性表面波フィルタ10、2
0とが直列的に接続されている。
【0007】また、別の構造としては、例えば挿入損失
を小さくするために、複数の縦結合共振器型の弾性表面
波フィルタを互いに並列接続した弾性表面波装置が知ら
れている(特開平6−334476)。その概略図を図
8に示す。
【0008】図8において、第1の弾性表面波フィルタ
10の入力側IDT11の一方の電極指11aと第2の
弾性表面波フィルタ20の入力用IDT21の他方の電
極指21bとは接続導体膜31によって、また、第1の
弾性表面波フィルタ10の出力側IDT12の一方の電
極指12aと第2の弾性表面波フィルタ20の出力用I
DT22の他方の電極指22bとは接続導体膜32によ
って、両弾性表面波フィルタ10、20とが並列的に接
続されている。
【0009】図7の直列接続された弾性表面波フィルタ
10、20において、例えば反射器と入出力用IDTと
の間の電極指ピッチ、即ち、反射器と入出力用IDTと
の近接しあう電極指間のピッチがすべで同一の寸法とな
っており、少なくとも互いに接続しあう弾性表面波フィ
ルタ10、20で同一となっていた。
【0010】尚、図8の並列接続された弾性表面波装置
についても同様である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかし、図7で示す直
列接続して成る弾性表面波装置を開示した特開平9−2
94049号では、入力用IDT11、21出力用ID
T12、22の交叉電極指の対数、交叉幅、電極ピッチ
等、通過帯域を形成する1次、2次モード共振に直接影
響を与えるパラメータを変化させるため、通過帯域の特
性を変化してしまうという問題があり、良好な通過帯域
特性を維持したままスプリアスのみを効果的に抑圧する
ことができなかった。
【0012】また、図8で示す並列接続して成る弾性表
面波装置を開示した特開平6−334476では、通過
帯域の肩特性(減衰極特性)の改善が可能であるもの
の、スプリアスの抑圧手法については開示されていな
い。
【0013】即ち、1次、2次モード共振を利用した二
重モードフィルタを構成しようとした場合、1次、2次
モード以外の高次モードがスプリアスとして存在するた
め、良好な減衰特性を得られないという問題点が存在
し、このような高次モードがスプリアスを抑制し、良好
な減衰量を得ることができなかった。
【0014】本発明は、上述した問題点に鑑みて案出さ
れたものであり、良好な帯域特性を有するとともに、高
次モードの振動によるスプリアス信号が抑制された帯域
外特性を有する弾性表面波装置を提供するものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、圧電基板上
に、複数のすだれ状電極指の反射器電極と、異なる電位
の電極指が互いに噛合する入力用インターデジタル電極
と、異なる電位の電極指が互いに噛合する出力用インタ
ーデジタル電極とから構成される複数の弾性表面波フィ
ルタを互いに接続して形成して成る弾性表面波装置にお
いて、前記すだれ状電極指からなる反射器電極は、電極
指幅hと隣接する電極指間の間隔aとしたとき、電極比
率h/(a+h)が、互いに接続しあう弾性表面波フィ
ルタ間で異なることを特徴とする弾性表面波装置であ
る。
【0016】また、第2の発明は、前記複数の弾性表面
波フィルタは直列接続されて構成された弾性表面波装置
である。
【0017】そして、一つの弾性表面波フィルタの反射
器電極における電極比率(h/(a+h))をη1 、他
の弾性表面波フィルタの反射器電極における電極比率を
η2、電極比率η1 とη2 との差の絶対値をΔηsとし
た時、Δηsが0.02≦Δηs≦0.06を満たす。
【0018】また、第3の発明は、前記複数の弾性表面
波フィルタは並列接続されて構成された弾性表面波装置
である。
【0019】そして、一つの弾性表面波フィルタの反射
器電極における電極比率(h/(a+h))をη1 、他
の弾性表面波フィルタの反射器電極における電極比率を
η2、電極比率η1 とη2 との差の絶対値をΔηpとし
た時、Δηpが、 0.02≦Δηp≦0.08 を満たすように設定されている。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の弾性表面波装置を
図面に基づいて説明する。
【0021】図1は本発明の複数の弾性表面波フィルタ
が直列接続した弾性表面波装置の平面概略図であり、図
2は複数の弾性表面波フィルタが並列接続した弾性表面
波装置の平面概略図である。尚、従来と同一部分は同一
符号を付す。
【0022】図において、1は圧電基板、10は第1の
弾性表面波フィルタであり、11は入力用交叉指状電極
(以下、単に入力用IDTという)、12は出力用交叉
指状電極(以下、単に出力用IDTという)、13は入
力用IDT11に近接した第1のすだれ状反射器電極
(以下、単に反射器という)、14は出力用IDT12
に近接した第2のすだれ状反射器電極(以下、単に反射
器という)である。また、20は第2の弾性表面波フィ
ルタであり、21は入力用IDT、22は出力用ID
T、23は入力用IDT21に近接したすだれ状反射器
電極、24は出力用IDT22に近接したすだれ状反射
器電極である。
【0023】圧電基板1は、ニオブ酸リチウム、タンタ
ル酸リチウム、四ホウ酸リチウムなどの圧電単結晶基
板、水晶基板、PZ(ジルコン酸鉛)、PZT(チタン
酸ジルコン酸鉛)などの圧電セラミック基板などから成
る。この圧電単結晶基板、水晶基板においては、結晶軸
及び伝搬方向に応じて所定カットが施されており、ま
た、圧電セラミック基板においては伝搬方向に応じて所
定方向の分極処理が施されている。
【0024】このような圧電基板1上には、弾性表面波
の伝搬方向にそって、第1の弾性表面波フィルタ10
は、第1の反射器13、入力用IDT11、出力用ID
T12、第2の反射器14が配置されて構成され、ま
た、第2の弾性表面波フィルタ20は、第1の反射器2
3、入力用IDT21、出力用IDT22、第2の反射
器24が配置されて、複数の弾性表面波フィルタ10、
20が形成されて構成されている。
【0025】また、反射器13、14、23、24は複
数の電極指が平行に並設されてなり、各電極指の両端部
は共通バーによって接続され、全体としてすだれ状とな
っている。
【0026】具体的には、第1の弾性表面波フィルタ1
0の反射器13、14は、隣接する電極指の間隔a1
有して電極幅h1 の複数の電極指で13a、14aとで
構成されている。また、第2の弾性表面波フィルタ20
の反射器23、24は、隣接する電極指の間隔a2 を有
して電極幅h2 の複数の電極指で23a、24aとで構
成されている。
【0027】また、第1の弾性表面波フィルタ10にお
いて、入力用IDT11は、異なる電位の一対の櫛状電
極指11a、11bが互いに噛み合って構成されてい
る。また、出力用IDT12は、異なる電位の一対の櫛
状電極指12a、12bが互いに噛み合って構成されて
いる。第2の弾性表面波フィルタ20においても、入力
用IDT21及び出力用IDT22は、異なる電位の一
対の櫛状電極指21a、21b、22a、22bが互い
に噛み合って構成されている。
【0028】その配列方向が弾性表面波の伝搬方向に設
定されている。即ち、圧電基板1のカット方向や分極方
向が整えられ、且つ反射器13、入力用IDT11、出
力用IDT12、反射器14を構成する各電極指が伝搬
方向と直交する方向に延びている。また、第2の弾性表
面波フィルタ20(図1で下段側)も同様の構成となっ
ている。このことから第1の弾性表面波フィルタ10、
第2の弾性表面波フィルタ20は、縦結合型の弾性表面
波フィルタと言える。
【0029】例えば、弾性表面波フィルタ10、20に
おいて、圧電基板1上に形成される反射器13、14、
23、24、入力用IDT11、21、出力用IDT1
2、22を構成する各電極指は、薄膜金属の被着と選択
的な除去によるフォトリソグラフィ技術によって形成さ
れる。
【0030】また、各電極11a〜22bは、例えばア
ルミニウムからなり、その膜厚は弾性表面波の波長λ
(1次モードの定在波)及び基板の特性によって概略規
定される膜厚(規格化膜厚)に設定されている。
【0031】入力用IDT11、21、出力用IDT2
1、22は、互いに異なる電位の複数の電極指が互いに
噛み合うようにして構成されており、例えば隣接しあう
異なる電位の電極指11aと11b、12aと12b、
21aと21b、22aと22bの幅、電極指間の間隔
は各々1/4λに設定されている。即ち、電極指のピッ
チでは1/2λ(0.5λ)となっている。
【0032】尚、図1では、第1の弾性表面波フィルタ
10において、入力用IDT11を構成する一方電極
指、例えば11aはホット側となっており、他方の電極
指11bは接地側となっている。また、電極指11a
は、反射器13に接続されている。また、出力用IDT
12の他方電極指、例えば12bは例えば接地されてお
り、一方の電極指11bはホット側となっている。
【0033】そして、入力用IDT11及び反射器13
には、反射器13の信号側入力パッド13bが、入力用
IDT11の電極指11bにはグランド電極パッド11
c、出力用IDT12には、グランド電極パッド12c
が形成され、夫々外部回路に接続されている。
【0034】第2の弾性表面波フィルタ20において、
入力用IDT21を構成する一方電極指、例えば21a
は接地側となっており、他方の電極指21bはホット側
となっている。また、出力用IDT22の他方電極指、
例えば22bは例えば接地されており、一方の電極指2
2aはホット側となっている。そして、接地側の電極指
22bは、反射器24に接続されている。
【0035】そして、入力用IDT21の電極指21a
及び反射器24には、グランド電極パッド21c、24
bが形成され、出力用IDT22の電極指22aには信
号側出力パッド22cが形成され、夫々外部回路に接続
されている。
【0036】そして、第1の弾性表面波フィルタ10と
第2の弾性表面波フィルタ20とは互いに接続用導体膜
30によって直列的に接続されている。例えば、第1の
弾性表面波フィルタ10の出力用IDT12の一方側の
電極指12aは、接続用導体膜30によって、第2の弾
性表面波フィルタ20の入力用IDT21の他方側の電
極指21bに電気的に接続されている。
【0037】この接続用導体膜30は、図に示すように
導体パターンで形成することができる。即ち、各種電極
11〜24の同一形成工程で、金属薄膜の選択的除去に
より形成することができる。尚、接続用導体膜30以外
の接続手段としては、例えば直接ボンディングワイヤで
接続したり、例えば外部回路の配線パターンを介して間
接的にボンディングワイヤで接続したり、また、外部回
路基板の配線パターンに接続される半田バンプなどで接
続してもよい。
【0038】上述の弾性表面波装置では、第1の弾性表
面波フィルタ10の入力用IDT11に入力された信号
が、直列接続された第2弾性表面波フィルタ20の出力
用IDT22から出力されることになり、全体で一つの
フィルタ回路を構成している。
【0039】本発明の特徴的なことは、第1の弾性表面
波フィルタ10を構成する前記反射器13、14 を構成
する電極化比率(金属化領域比率:メタライズレシオ)
η1と第2の弾性表面波フィルタ20を構成する前記反
射器23、24 を構成する金属化領域比率η2 とで相違
させていることである。金属化領域比率(メタライズレ
シオ)ηとは、反射器を構成する複数の電極指におい
て、その電極指の幅をh、隣接しあう電極指の間隔aと
した場合、η=h/(a+h)で表される。即ち、反射
器における弾性表面波の伝搬方向における金属化領域比
率である。そして、メタライズレシオηを小さくする
と、反射器におけるモード結合係数が変化して、その結
果、通過帯域より低周波側に存在する縦高次モードスプ
リアスの周波数を高周波側にシフトさせることができ
る。
【0040】そして、第1の弾性表面波フィルタ10に
おける反射器13、14のη1 と、第2の弾性表面波フ
ィルタ20における反射器23、24のメタライズレシ
オη2 とを相違させている。
【0041】特に、図1に示すように直列接続しあう第
1の弾性表面波フィルタ10と第2の弾性表面波フィル
タ20とのメタライズレシオη1 、η2 とが相違させる
ことにより、第1又は第2の弾性表面波フィルタ10、
20との間の高次モードスプリアス、特に縦3次モード
をはじめとする、反射器間の多重反射に起因する振動モ
ードの周波数を互いに相違させることになり、2つのフ
ィルタ10、20の特性が合成されてなる装置全体の通
過帯域特性上、高次スプリアスのレベルが互いに相殺さ
れて低下され、良好な減衰極性を得ることができる。
【0042】本発明者は、第1の弾性表面波フィルタ1
0を構成する反射器13、14のメタライズレシオη1
を同一値にし、また、第2の弾性表面波フィルタ20を
構成する反射器23、24のメタライズレシオη2 を同
一値にし、また、第1及び第2の弾性表面波フィルタ1
0、20を構成する入力用IDT11、21、出力用I
DT12、22の形状を同一にした直列接続しあう弾性
表面波装置を作成するとともに、第1の弾性表面波フィ
ルタ10のメタライズレシオη1 と第2の弾性表面波フ
ィルタ20のメタライズレシオη2 とを相違させ、その
相違差の絶対値Δηsを0〜0.08の範囲に変化させ
た。そして、特に、通過帯域特性の低周波側に発生する
スプリアスの抑圧状態を調べた。
【0043】なお、第1及び第2の弾性表面波フィルタ
10、20において、入力用IDT11、21、出力用
IDT12、22の対数を255本、反射器13、1
4、23、24の電極指13a、14a、23a、24
aを130本、交叉幅13λ、規格化膜厚約3%の条件
にて測定した。
【0044】その結果、図3、図4に示すように、Δη
sが大きくなると、規格化周波数(実周波数/中心周波
数)0.9986〜0.9988(無単位)付近に発生
する高次モードスプリアスが、高周波数側にシフトする
とともに、そのレベルが低下する傾向を示す。具体的に
は、通過帯域の特性を拡大した特性図である図4に示す
ように、特性a(Δηs=0)では、0.9986付近
で大きなスペリアスが発生し、特性b(Δηs=0.0
2)、特性c(Δηs=0.04)、特性d(Δηs=
0.06)、特性e(Δηs=0.08)になるに従
い、そのスペリアスは抑制されることになる。
【0045】その結果、第1の発明のように弾性表面波
装置のメタライズレシオの差の絶対値をΔηsが0でな
い場合(特性b〜e)は、従来の弾性表面波装置のよう
にΔηs=0に比較して、0.9986近傍に発生して
いた高次モードの振動によるスプリアス(減衰量−12
dB)を、特性b〜fでは−13dBよりも充分大きな
減衰量のスプリアスに抑制できる。これより、帯域近傍
におけるスプリアスを充分に抑制できる選択性の優れた
特性の弾性表面波装置となる。
【0046】しかし、メタライズレシオの差の絶対値を
Δηsが0.080と大きくし過ぎると、スプリアス
は、高周波側にシフトし過ぎて、逆に通過帯域が狭くな
り、挿入損失を悪化する傾向を示している。
【0047】その結果、第2の発明のように、図1に示
す直列接続しあう第1の弾性表面波フィルタ10と第2
の弾性表面波フィルタ20の反射器13(14)と23
(24)とのメタライズレシオの差の絶対値Δηsの適
正範囲は、0.02≦Δηs≦0.06の範囲(特性b
〜d)とすることが望ましい。
【0048】メタライズレシオの差の絶対値のΔηsが
0.02未満では、上述したように、通過帯域の低域に
発生するスプリアスを充分に減衰させることが困難とな
る。
【0049】例えば、−13dBよりも大きな減衰量は
期待できない。その結果、選択性が不良な弾性表面波装
置となる。
【0050】メタライズレシオの差の絶対値Δηsが大
きくなるに従い通過帯域が狭くなる傾向を示しめしてい
る。例えばメタライズレシオの差の絶対値のΔηsが
0.06を越えると通過帯域の特性劣化が生じる為、良
好な通過帯域特性が得られない。
【0051】以上により、第1の弾性表面波フィルタ1
0と第2の弾性表面波フィルタ20とが直列的に接続さ
れた弾性表面波装置において、フィルタ特性(選択性)
を良好となる時には、反射器のメタライズレシオηを互
いに相違させることが重要となり、そのメタライズレシ
オ差の絶対値Δηsを0.02≦Δη≦0.06とする
ことが重要である。
【0052】尚、3素子や4素子など多段に接続しても
同様の効果を得ることができる。
【0053】図2は、縦結合型第1の弾性表面波フィル
タ10と第2の弾性表面波フィルタ20とが互いに並列
的に接続された弾性表面波装置である。尚、第1の弾性
表面波フィルタ10と第2の弾性表面波フィルタ20を
構成する反射器、入力用IDT、出力用IDTについて
は、図1と同一符号を付す。
【0054】図2では、第1の弾性表面波フィルタ10
と第2の弾性表面波フィルタ20ととが並列接続されて
いる。即ち、第1の弾性表面波フィルタ10の入力用I
DT11を構成する一方電極指11aと第2の弾性表面
波フィルタ20の入力用IDT21を構成する他方電極
指21bとが入力側導体膜31によって接続されてい
る。また、第1の弾性表面波フィルタ10の出力用ID
T12を構成する一方電極指12aと第2の弾性表面波
フィルタ20の出力用IDT22を構成する他方電極指
22aとが出力側導体膜32によって接続されている。
【0055】そして、第1の弾性表面波フィルタ10の
入力用IDT11の一方の電極指11aは、反射器13
に接続し、第2の弾性表面波フィルタ20の入力用ID
T21の他方の電極指21bは、反射器23に接続して
いる。そして、反射器13、23の電極パットが入力信
号電位パッド13d、23dとなり、外部回路に接続す
る。
【0056】また、第1の弾性表面波フィルタ10の出
力用IDT12の一方の電極指12aは、反射器14に
接続し、第2の弾性表面波フィルタ20の出力用IDT
22の他方の電極指22bは、反射器24に接続してい
る。そして、反射器14、24の電極パットが出力信号
電位パッド14c、24cとなり、外部回路に接続す
る。
【0057】尚、図2において、入力側接続導体膜3
1、出力側接続導体膜32は、各種電極11〜24を形
成する際に、同一金属材料で、同一工程にて形成され
る。
【0058】そして、第1の弾性表面波フィルタ10の
反射器13、14は、隣接する電極指の間隔a3 を有し
て電極幅h3 の複数の電極指で13a、14aとで構成
されている。また、第2の弾性表面波フィルタ20の反
射器23、24は、隣接する電極指の間隔a4 を有して
電極幅h4 の複数の電極指で23a、24aとで構成さ
れている。
【0059】上述の弾性表面波装置では、第1の弾性表
面波フィルタ10の入力用IDT11及び第2の弾性表
面波フィルタ20の入力用IDT21に共通的に入力し
た信号が、第1の弾性表面波フィルタ10の出力用ID
T12と第2の弾性表面波フィルタ20の出力用IDT
22とが合成されて出力されることになる。これによ
り、全体で一つのフィルタ回路を構成している。
【0060】本発明の特徴的なことは、第1の弾性表面
波フィルタ10を構成する前記反射器13、14 のメタ
ライズレシオη1 と、第2の弾性表面波フィルタ20を
構成する前記反射器23、24 のメタライズレシオη2
とが相違していることである。即ち、第1の弾性表面波
フィルタ10における反射器13、14のη1 と、第2
の弾性表面波フィルタ20における反射器23、24の
メタライズレシオη2とを相違させている。
【0061】このように、並列接続しあう第1の弾性表
面波フィルタ10及び第2の弾性表面波フィルタ20の
メタライズレシオη1 、η2 とが相違による通過帯域特
性の低周波側の近傍の高次スプリアス及び通過帯域の特
性について調べた。
【0062】尚、第1及び第2の弾性表面波フィルタ1
0、20において、入力用IDT11、21、出力用I
DT12、22の対数を255本、反射器13、14、
23、24の電極指13a、14a、23a、24aを
130本、交叉幅13λ、規格化膜厚約3%の条件にて
測定した。
【0063】その結果、図5、図6に示すように、両フ
ィルタ10、20のメタライズレシオη1 、η2 の差の
絶対値Δηを増加させることにより、0.997〜0.
9975付近に発生する高次モードスプリアスが、高周
波数側にシフトできるとともに、そのレベルが低下する
傾向を示す。
【0064】具体的には、通過帯域の特性を拡大した特
性図である図6において、特性f(Δη=0)では、
0.9971付近で大きなスペリアスが発生し、特性g
(Δη=0.02)、特性h(Δη=0.04)、特性
i(Δη=0.06)、特性j(Δη=0.08)、特
性k(Δη=0.10)になるに従い、そのスペリアス
は抑制されることになる。
【0065】その結果、第1の発明のように弾性表面波
装置のメタライズレシオの差の絶対値をΔηpが0でな
い場合(特性g〜k)は、従来の弾性表面波装置のよう
にΔηp=0に比較して、0.9971近傍に発生して
いた高次モードの振動によるスプリアス(減衰量−1
5.8dB)を、特性g〜kでは−16.5dBよりも
充分大きな減衰量のスプリアスに抑制できる。これよ
り、帯域近傍におけるスプリアスを充分に抑制できる選
択性の優れた特性の弾性表面波装置となる。
【0066】しかし、メタライズレシオの差の絶対値Δ
ηpが0.08を越えて、例えば0.10になると、ス
プリアスが高周波側にシフトし過ぎて、逆に通過帯域が
狭くなり、減衰量を悪化する傾向を示している。
【0067】その結果、第3の発明のように、図2に示
す並列接続しあう第1の弾性表面波フィルタ10と第2
の弾性表面波フィルタ20の反射器13(14)と23
(24)とのメタライズレシオの差の絶対値Δηpの適
正範囲は、0.02≦Δηp≦0.08の範囲(特性g
〜k)とすることが望ましい。
【0068】メタライズレシオの差のΔηpが0.02
未満では、上述したように、通過帯域の低域に発生する
スプリアスを充分に減衰させることが困難となる。例え
ば、−16dBよりも大きな減衰量は期待できない。そ
の結果、選択性が不良な弾性表面波装置となる。
【0069】メタライズレシオの絶対値の差Δηpが大
きくなるに従い通過帯域が狭くなる傾向を示しめしてい
る。例えばメタライズレシオの絶対値の差Δηpが0.
08を越えると通過帯域の特性劣化が生じる為、良好な
通過帯域特性が得られない。
【0070】以上により、第1の弾性表面波フィルタ1
0と第2の弾性表面波フィルタ20とが並列的に接続さ
れた弾性表面波装置において、フィルタ特性(選択性)
を良好となる時には、反射器のメタライズレシオηを互
いに相違させることが重要となり、そのメタライズレシ
オ差の絶対値Δηpを0.02≦Δηp≦0.08とす
ることが重要である。
【0071】上述のように、通過帯域の低周波側近傍に
発生する縦高次モードのスプリアスを抑制する手法につ
いて、本発明は、反射器のメタライズレシオを第1の弾
性表面波フィルタと第2の弾性表面波フィルタとで相違
させている。
【0072】このような作用効果は、入力用IDT、出
力用IDTの形状、電極指間のピッチや交叉長を制御し
ても行なえるが、仮に入力用IDT、出力用IDTを制
御した場合には、フィルタ特性全体のフィルタ特性を大
きく変動してしまう。例えば、図3や図5において、通
過帯域から離れた例えば1.01付近のピークや0.9
95付近のピークの減衰量が大きく変動してしまい、根
本的なフィルタ特性の変動となるため、入力用IDT、
出力用IDTの形状の制御に無関係な本発明はフィルタ
特性の設計上有利となる。
【0073】なお、本発明者は、3素子以上に他段に接
続しても同様の効果を得ることができることを確認し
た。
【0074】
【発明の効果】以上のように、弾性表面波フィルタを構
成する反射器の電極指幅と隣接すしあう電極指の間隔と
の比率(メタライズレシオ)を、互いに接続しあう弾性
表面波フィルタ間で相違させている。これにより、通過
帯域の低域側近傍に発生する高次モード振動によるスプ
リアスのレベルを低下させ、良好な減衰特性を得ること
ができる。
【0075】特に、互いに直列接続された弾性表面波装
置においては、メタライズレシオの差の絶対値Δηs
を、0.02≦Δηs≦0.06とすることにより、さ
らに、互いに並列接続された弾性表面波装置において
は、メタライズレシオの差の絶対値Δηpを、0.02
≦Δηp≦0.08とすることにより、帯域特性の劣化
を抑えることができる。
【0076】しかも、反射器内の制御であるため、フィ
ルタ特性全体の大きな変動がないため、特性を安定化さ
せた状態で良好な減衰特性、帯域特性を得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の弾性表面波装置、即ち、弾性表面波フ
ィルタが互いに直列接続した弾性表面波装置の平面図で
ある。
【図2】本発明の弾性表面波装置、即ち、弾性表面波フ
ィルタが互いに並列接続した弾性表面波装置の平面図で
ある。
【図3】図1に示す弾性表面波装置におけるメタライズ
レシオの差の絶対値Δηsの違いによる減衰特性を示す
特性図である。
【図4】図3の通過帯域部分の特性図である。
【図5】図2に示す弾性表面波装置におけるメタライズ
レシオの差の絶対値Δηpの違いによる減衰特性を示す
特性図である。
【図6】図5の通過帯域部分の特性図である。
【図7】従来の弾性表面波装置、即ち、弾性表面波フィ
ルタが互いに直列接続した弾性表面波装置の平面図であ
る。
【図8】従来の弾性表面波装置、即ち、弾性表面波フィ
ルタが互いに並列接続した弾性表面波装置の平面図であ
る。
【符号の説明】
10・・・第1の弾性表面波フィルタ 20・・・第2の弾性表面波フィルタ 1・・・圧電基板 11・・・入力用IDT 12・・・出力用IDT 13、14反射器 h、h1 、h2 、h3 、h4 ・・・・電極指幅 a、a1 、a2 、a3 、a4 ・・・・電極指の間隔

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧電基板上に、複数のすだれ状電極指の
    反射器電極と、異なる電位の電極指が互いに噛合する入
    力用インターデジタル電極と、異なる電位の電極指が互
    いに噛合する出力用インターデジタル電極とから構成さ
    れる複数の弾性表面波フィルタを互いに接続して形成し
    て成る弾性表面波装置において、 前記すだれ状電極指からなる反射器電極は、電極指幅h
    と隣接する電極指間の間隔aとしたとき、電極比率h/
    (a+h)が、互いに接続しあう弾性表面波フィルタ間
    で異なることを特徴とする弾性表面波装置。
  2. 【請求項2】 前記複数の弾性表面波フィルタは直列接
    続されており、一つの弾性表面波フィルタの反射器電極
    における電極比率(h/(a+h))をη1 、該一つの
    弾性表面波フィルタに接続される他の弾性表面波フィル
    タの反射器電極における電極比率をη2 、電極比率η1
    とη2 との差の絶対値をΔηsとした時、Δηsが 0.02≦Δηs≦0.06 を満たすことを特徴とする請求項1に記載の弾性表面波
    装置。
  3. 【請求項3】 前記複数の弾性表面波フィルタは並列接
    続されており、一つの弾性表面波フィルタの反射器電極
    における電極比率(h/(a+h))をη1 、該一つの
    弾性表面波フィルタに接続される他の弾性表面波フィル
    タの反射器電極における電極比率をη2 、電極比率η1
    とη2 との差の絶対値をΔηpとした時、Δηpが、 0.02≦Δηp≦0.08 を満たすことを特徴とする請求項1に記載の弾性表面波
    装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7002438B2 (en) * 2002-02-27 2006-02-21 Fujitsu Media Devices Limited Surface acoustic wave device with reflection electrodes having pitches that vary
JP2007142703A (ja) * 2005-11-17 2007-06-07 Epson Toyocom Corp フィルタ

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