JP2000311047A - インテリジェント型手袋型手形入力装置 - Google Patents

インテリジェント型手袋型手形入力装置

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JP2000311047A JP12306299A JP12306299A JP2000311047A JP 2000311047 A JP2000311047 A JP 2000311047A JP 12306299 A JP12306299 A JP 12306299A JP 12306299 A JP12306299 A JP 12306299A JP 2000311047 A JP2000311047 A JP 2000311047A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型かつシンプルな構造を持つと共に、高
精度な分解能で手の動きの計測が可能であり、かつ、フ
ォースフィードバック機能を具えたインテリジェント型
手袋型手形入力装置の提供。 【解決手段】 使用者の指に一端が装着され、指の動き
を伝達するため所定範囲にわたって延びた伝達手段と、
伝達手段の他端を弾性的に支持して所定の中立位置で待
機する弾性手段と、伝達手段の変位を検出する検出手段
とを設ける。使用者の指の曲げ伸ばしに応じて、伝達手
段と検出手段の一方が他方に対して相対的に変位する。
検出手段は、この伝達手段の変位を検出して、手の動き
の検出信号を得る。また、伝達手段に付された弾性手段
の有する付勢力を随時に可変制御することができる調節
手段を設ける。調節手段は弾性手段の有する付勢力の制
御を随時に行い、使用者が指の曲げ伸ばしを行う際に伝
達手段にかける力を変化することによって、フィードバ
ックフォースを反映する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バーチャルリアリ
ティを利用したシステムに対してデータ入力を行う入力
装置に関して、特に実際の手の動き(ジェスチャ)を計
測してシステム内に取り込む3次元データを作成するこ
とができる手袋型入力装置に関し、更には手話電話や手
話入力装置の入力インタフェースとして適用可能なイン
テリジェント型手袋型手形入力装置に関する。
【0002】
【従来の技術】バーチャルリアリティの一形態として、
表示装置上に使用者の分身(キャラクタ)を表示させ、
その表示させたキャラクタを実際に使用者が動くのとほ
ぼ同じ動きをさせることにより、使用者が表示装置に表
示された仮想空間(映像空間)内に自分自身があたかも
存在していると感じることができるとともに、インタラ
クティブに仮想空間で疑似体験ができるようなものがあ
る。その中で、人間のより自然な動きを伝達するため
に、通常の生活や仕事のなかで最も役割の大きいといえ
る手の動き(ジェスチャ)を計測できるデータ入力用グ
ローブ(手袋型入力装置)がある。従来知られたデータ
入力用グローブは、このデータ入力用グローブの各指に
対応して設けられた光ファイバ内を通る光量の変化を解
析することによって各指の曲がり等を検出、つまり手の
動きを計測できるようになっている。この光ファイバを
用いるもの以外にも、機械リンク(例えば、ゴニオメー
タ等)を用いるものや、あるいは圧力や曲げによって抵
抗が変わる素子(例えば、液体導電性インク等)を用い
るものなどが従来から知られている。このようなデータ
入力用グローブを用いたバーチャルリアリティシステム
は、テレロボティックコントロール(すなわち、オペレ
ータによるロボットの遠隔操作)や、対話型医療シミュ
レーションあるいは3次元モデリングCAD(モーショ
ンキャプチャ)等の様々な分野で利用されつつある。
【0003】ところで、人間が物体を操作する際には硬
さや重さといった力の感覚(力覚)が不可欠であり、仮
想空間からの力フィードバックの重要性が従来から認識
されている。そこで、データ入力用グローブに、仮想空
間中の対象物体に接触することによって対象物体から受
けた反力を機械的に発生するためのフォースフィードバ
ック装置が設けられることがある。このフォースフィー
ドバック装置は、仮想空間内において仮想の手(指)が
仮想対象物あるいは仮想環境(例えば、壁)等と接触し
た状況から得られる反力を人間側に戻すものである。つ
まり、何か機械的に力を発生するような装置(フォース
フィードバック装置)に現実の人間の手や指が触れてい
て、その装置が人間に対して反力を与えることによっ
て、人間は仮想空間内からの反力を感じ取ることができ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述したように従来の
データ入力用グローブは、光量の変化を光センサにより
検出して手の動きを計測するものであった。そのため、
所定の角度以上に指が曲げられないと光量の変化を捕ら
えることができずに手の動きが計測されない、すなわち
高精度の計測が難しい、という問題点があった。また、
上述した光センサを利用したデータ入力用グローブは、
指の曲げ角度に比例して光量の変化が生ずるように光フ
ァイバにスリット(傷)を入れていたので、機械振動に
弱く、また長時間使用における機械的摩耗や腐食等を避
けることができず、それゆえ数年使用することによって
計測に誤差を生ずるようになる、という問題点があっ
た。さらに、このような光センサ等を用いたデータ入力
用グローブは高価なものであった。
【0005】また、上述したフォースフィードバックを
行なうようにするためには、そのための機械的な機構を
手の動きを計測するための光センサ等とは別々に構成し
なければならなかった。そのために、フォースフィード
バック機構を具えたデータ入力用グローブは大型化かつ
重量化してしまい、使用者にとって非常に装着しにくく
使いづらいものになる、という問題点もあった。
【0006】また、従来、実用化されていた手袋型入力
装置はいずれも極めて高価なものであり、誰でもが簡便
に利用できるものではなかった。従って、現在では、未
だ、安価で有効・有用な手袋型入力装置が普及しておら
ず、様々な分野で利用可能性があり、また、実用化が要
請されているにもかかわらず、これらの要請に応えるこ
とができなかった。例えば、手袋型入力装置を用いて手
形(手話における手の形態)の入力を行うことができれ
ば、手話電話やコンピュータシステム等における手話入
力装置として利用することができ、聴覚障害を持つ人々
に恩恵をもたらすことができるが、現時点では、そのよ
うな手袋型手形入力装置は存在していない。
【0007】本発明は上述の点に鑑みてなされたもの
で、小型かつシンプルな構造を持つと共に、高精度な分
解能で手の動きの計測が可能であり、かつ、耐久性に富
んだ手袋型の入力装置を提供しようとするものである。
また、製造が極めて容易なシンプルな構造でフォースフ
ィードバックを可能とした手袋型の入力装置を提供しよ
うとするものである。更には、様々な技術分野・産業分
野で比較的安価かつ簡便に利用することのできる手袋型
入力装置を提供しようとするものである。特に、手話電
話やコンピュータシステム等における手話入力インタフ
ェースとして有利に利用することができる手袋型入力装
置を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る手袋型入力
装置は、使用者の手の動きを検出するため手に装着され
る手袋型入力装置であって、使用者の指又は手の所定部
位に一端が装着され、指又は該所定部位の動きを伝達す
るため所定範囲にわたって延びた伝達手段と、前記伝達
手段の他端を弾性的に支持して所定の中立位置で待機す
る弾性手段と、前記伝達手段の変位を検出する検出手段
とを具備し、指又は該所定部位の動きに応じた前記伝達
手段の動きを前記検出手段で検出することにより手の動
きの検出信号を得ることを特徴とするものである。
【0009】検出手段は、指の曲げ伸ばしや手の所定部
位の動きに応じて変位する伝達手段の変位量を検出する
ことができるように構成されている。前記伝達手段は各
指毎に所定の長さを保つように長さ調節されて、その一
端は使用者の指の所定位置又は手の所定部位に固定的に
配置される。伝達手段の反対側の先端には弾性手段が付
され、伝達手段に所定のテンション(張力)を与え、か
つ伝達手段と検出手段とを相対的に所定の位置に位置づ
けている。使用者が指を曲げはじめると、各指の曲げ角
度に応じて、伝達手段は弾性手段の有する付勢力に抗し
て変位する。つまり、伝達手段と検出手段との相対的位
置が変位する。検出手段はこの伝達手段の変位を検出し
て、手の動きの検出信号を得ることができる。
【0010】本発明に係る手袋型入力装置は、使用者の
手の動きを検出するため手に装着される手袋型入力装置
であって、使用者の指又は手の所定部位に一端が装着さ
れ、指又は該所定部位の動きを伝達するため所定範囲に
わたって延びた伝達手段と、前記伝達手段の他端を弾性
的に支持して所定の中立位置で待機する弾性手段と、前
記弾性手段の有する付勢力を制御信号に応じて可変調節
する調節手段とを具備し、前記弾性手段の有する付勢力
の制御によって、フィードバックフォースを制御できる
ようにしたことを特徴とするものである。
【0011】調節手段は、伝達手段に付された弾性手段
の有する付勢力を随時に可変制御することができるよう
に構成される。前記伝達手段は各指毎に所定の長さを保
つように長さ調節されて、その一端は指の所定位置又は
手の所定部位に固定的に配置される。伝達手段の反対側
の先端には弾性手段が付され、伝達手段に所定のテンシ
ョン(張力)を与えている。そのため、調節手段によっ
て弾性手段の有する付勢力を随時に変化することに応じ
て、使用者が指の曲げ伸ばしを行うために伝達手段にか
ける力も変化する。すなわち、指の曲げ伸ばしは弾性手
段の有する付勢力に抗して行われることから、付勢力を
強くすると、それに応じて指の曲げ伸ばしが行いにくく
なる。反対に、付勢力を弱くすると、それに応じて指の
曲げ伸ばしが行いやすくなる。したがって、この調節手
段による弾性手段の有する付勢力の制御を随時に行うこ
とができるようにすることで、フィードバックフォース
を反映した手袋型入力装置を構成できる。
【0012】更に、使用者の指又は手の所定部位の動き
を検出して、検出信号を発生する検出手段を具えていて
もよい。検出手段は指又は手の所定部位の動きに応じて
検出信号を発生し、調節手段はこの検出信号に応じて弾
性手段の有する付勢力の制御を行うことができる。こう
すると、常に指又は手の所定部位の動きに応じたフィー
ドバックフォースを反映することができる。また、指又
は手の所定部位の動きを検出するための機構とフィード
バックフォースを反映させるための機構とを一体的に構
成することができ、当該手袋型入力装置をシンプルな構
造を持った小型のものとすることができる。
【0013】この発明における好ましい実施例として
は、前記検出手段は所定の交流信号によって励磁される
1次巻線及び前記1次巻線と磁気的に結合される2次巻
線を含むコイル部と、磁気応答部材とを有し、前記伝達
手段の移動に応じた出力信号を該2次巻線より得ること
によって手の動きの検出信号を得るように構成すること
があげられる。すなわち、検出手段を構成するコイル部
及び磁気応答部材は、前記伝達手段の所定の範囲での移
動に応じて、前記コイル部と前記磁気応答部材との相対
的な位置関係が変化するように構成する。
【0014】また、この発明における好ましい実施例と
しては、前記調節手段は制御信号によって励磁される励
磁コイルと可動鉄心とを有したソレノイドを含み、可動
鉄心を前記弾性手段に連結し、仮想空間内における反力
に応じて前記制御信号を供給して前記可動鉄心の移動を
制御し、この可動鉄心の移動量に応じて前記弾性手段の
付勢力を制御するように構成することがあげられる。
【0015】以上から明らかなように、本発明によれ
ば、製造が極めて容易になるような小型かつシンプルな
構造を持つと共に耐久性に富み、かつ、高精度な分解能
で手の動きの計測が可能な手袋型入力装置を提供するこ
とができる。また、製造が極めて容易なシンプルな構造
でフォースフィードバックを可能とした手袋型入力装置
を提供することができる。さらに、安価な手袋型入力装
置を提供することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照してこの発
明の実施の形態を説明する。
【0017】図1は、本発明に係る手袋型入力装置を用
いたバーチャルリアリティ(仮想現実)を利用したシス
テムの一実施例を概略的に示したシステム概略図であ
る。図1に示したバーチャルリアリティシステムは、手
袋型入力装置1とコンピュータ2とディスプレイ3等か
ら構成される。バーチャルリアリティシステムはこれら
以外のハードウェアを有する場合もあるが、ここでは必
要最小限の資源を用いた場合について説明する。
【0018】当該実施例における手袋型入力装置1(以
下、データ入力用グローブと呼ぶ)は、使用者の左手に
装着されて使用されるものを例に示している。つまり、
左手用のデータ入力用グローブ1である。勿論、データ
入力用グローブ1は右手に装着できるように形成されて
もよい。また、左右の手にそれぞれ別々のデータ入力用
グローブ1を装着して同時に使用してよいことは言うま
でもない。ディスプレイ3は、仮想対象物(図では球)
を含めた仮想空間を表示し、使用者はディスプレイ3に
より仮想空間を視覚できるようになっている。このよう
なバーチャルリアリティシステムにおいて、使用者はデ
ータ入力用グローブ1を装着した状態で左手の各指を動
かすと、データ入力用グローブ1は使用者の左手の動き
(各指の動き)に合わせて各指の曲がり具合等の変化を
計測して、この計測した値をコンピュータ2に入力可能
な数値データに変換する。コンピュータ2は中央演算処
理装置(CPU)を具えた、例えばパーソナルコンピュ
ータのようなものであって、データ入力用グローブ1か
ら得られる数値データを解析して、ディスプレイ3の画
面X上に表示されている仮想空間内の手(各指)を実際
に行われた使用者の手の動き(各指の動き)にあわせて
動かしながら表示する。データ入力用グローブ1とコン
ピュータ2間及びコンピュータ2とディスプレイ3間に
は、前記数値データや制御データ等を送受信できるよう
に信号伝送手段4で各々結合されている。
【0019】なお、ディスプレイ3は図示したようなも
のに限らず、立体ホログラムを用いて表示するものや、
あるいはHMD(Head Mounted Disp
layの略)等、どのようなものであってもよい。HM
Dは液晶等を用いた表示装置であり、使用者はこのHM
Dを眼前の視野を遮るように装着することで仮想空間を
視覚できる。さらに、ハーフミラー等を用いて、使用者
の眼前の風景に仮想の像を重畳して視覚できるものもあ
る。また、信号伝送手段4は図示したような有線のもの
でなくてもよく、無線等ワイヤレスのものであってもよ
い。また、このようなバーチャルリアリティシステムは
単体で用いられるだけでなく、当該バーチャルリアリテ
ィシステムと現実のロボットシステム等を組み合わせ
て、現実的なロボット等の操作制御を行うことができる
ようにしてよいことは言うまでもない。さらに、コンピ
ュータ2やディスプレイ3を当該入力装置1とは別々に
構成したが、一体的に構成してもよい。
【0020】図2は、本発明に係るデータ入力用グロー
ブの一実施例を概略的に示した全体概略構成図である。
ただし、説明を理解しやすくするために当該データ入力
用グローブを使用者に装着した状態で、かつ、データ入
力用グローブの内部的な構造のみを示した。図3は、図
2に示したデータ入力用グローブの1本の指についての
み拡大して詳細に示した一部拡大図である。
【0021】当該データ入力用グローブ1は、各指の曲
がり具合を検出するための検出器10が各指に対応する
ように装着されて、固定ベルト5によって手首の部分で
固定される。自在バンド6はその長さを自由に調整する
ことができ、指を取り囲むようにしてデータ入力用グロ
ーブ1を固定する(図3参照)。この際、各指の関節位
置とデータ入力用グローブ1の関節位置との相対的位置
にずれが生じないように各指の関節部分の太さにあわせ
て固定する。ガイド7は、中空の例えば円柱や円錐ある
いは直方体といったような適宜の形状に形成され、その
中空部分をワイヤ8が通っている。そのため、指が曲げ
られた際でもワイヤ8は各関節部分で引っかかることな
く滑らかにY方向に自由に往復動できるようになってい
る。ワイヤ8は、各指に沿って各指の第1関節部分の自
在バンド6に設けられた長さ調節機構9から各関節部分
のガイド7を通って検出器10まで形成される。長さ調
節機構9は、ワイヤ8の長さを指の長さにあわせて自由
に調節し、ワイヤ8の一端を固定するものである。固定
ベルト5には検出器10が配置され、この検出器10は
指の動きに合わせてワイヤ8が指先及び手首間をY方向
に往復移動するとその動きを検出できるようになってい
る。
【0022】なお、図2及び図3では各指にワイヤ8を
1本のみ構成した例を示したが、図4Aに示すように各
指の関節毎にワイヤ8を複数具えるように構成してもよ
い。こうすることにより、ワイヤを1本のみ構成した場
合と比較してより各指の動きを詳細に捉えることができ
るようになる。勿論、ワイヤ8に対応して検出器10等
を複数設けることは言うまでもない。また、ワイヤ8は
これに限られるものではなく、糸のようなものであって
もよい。例えば、図示の人差し指の例では、ワイヤ8a
が第1関節、ワイヤ8bが第2関節、ワイヤ8cが第3
関節の動きを各々個別に伝導するものであり、検出器1
0a、10b、10cで各々の動きを検出する。
【0023】また、指の動きを検出するためのワイヤ8
の配置は上述の例に限らず、例えば、各指の間(すなわ
ち、各指の股)や手の甲の摺曲部あるいは手首等に適切
にワイヤ8を配置するようにしてもよい。すなわち、各
指の間の開き具合や、手の甲の褶曲具合、手首の曲げ状
態等を検出しうるようにワイヤ8を配置してもよい。こ
れを図示すると、例えば図4Bに示す図のようになる。
すなわち、各指の間や、親指と小指間、及び手首の部分
(固定バンド5上)にワイヤ81〜86を各々具えるよ
うに構成し、これに対応するように検出器101〜10
6を配置する。各ワイヤ81〜86は、各々長さ調節機
構91〜96によりその長さが一定に保たれる。各指の
間のワイヤ81〜84は隣りあった各指間の開閉動作を
個別に伝達するものであり、検出器101〜104でそ
の動きを検出する。例えば、図示の親指と人差し指の間
が開かれると、ワイヤ81がその動きを伝達して、検出
器101で親指と人指し指の開閉状態を検出する。親指
と小指間のワイヤ85は手の甲の褶曲具合を伝達するも
のであり、検出器105でその動きを検出する。例え
ば、手のひらを握ったり、あるいは親指と小指とを接触
させようと互いの指を近づけたりすると、ワイヤ85が
その動きを伝達して、検出器105で手の甲の褶曲状態
を検出する。ワイヤ86は手首の曲げ状態を伝達するも
のであり、検出器106でその動きを検出する。ワイヤ
86は、一方の先端が手の甲の所定位置に位置するよう
に固定ベルト5上に配置されて、手首の曲げ動作を伝達
し、検出器106で手首の曲げ状態を検出する。
【0024】なお、上述の例では検出器101〜105
を自在バンド6上に配置したが、固定バンド5上に配置
するようにしてもよい。その場合には、検出器101〜
105の位置に例えば滑車(ローラ)などを配置し、ワ
イヤ81〜85の一端が滑車を介して固定バンド5側の
検出器まで届くように構成する。また、親指と小指間だ
けにワイヤ85を配置したものを図示したが、これに限
らず、親指と薬指間や小指と人差し指間、あるいは人差
し指と薬指間等に適宜にワイヤを配置して、手の甲の褶
曲具合を検出できるようにしてもよい。また、これらを
複数組み合わせて用いてもよい。また、上述した図2や
図4Aに示した実施例と図4Bに示した実施例とを適宜
組み合わせて構成してよいことは言うまでもない。
【0025】図3に戻り、ワイヤ8の先端は長さ調節機
構9と結合しており、他方の先端はセンサ部11を通っ
て引っ張りばねからなるコイルばね12と結合してい
る。また、コイルばね12のもう一方の先端はテンショ
ン調節機構13に固定されている。すなわち、ワイヤ8
はこのコイルばね12の有する付勢力によって、常に所
定のテンションがかかった状態に保たれる。テンション
調節機構13は、上位コントローラ(コンピュータ2
等)から与えられる制御信号に応じて、コイルばね12
によるテンションを可変調節するものであり、フォース
フィードバックを実現するものである。その詳細は後述
する。この実施例では、指を曲げていない状態ではコイ
ルばね12が静的状態を保つように調節され、指を曲げ
るとそれに伴ってコイルばね12の有する付勢力に抗し
てワイヤ8が引っ張られるようになっている。検出器1
0は、このワイヤ8が引っ張られることによるワイヤ8
の変位量をセンサ部11で検出して指の動きを検出す
る。さらに、検出器10はワイヤ8の変位の速度あるい
は加速度を検出して、指の動きの速さあるいは加速度を
検出するようにしてもよい。
【0026】ここで、指の動きの検出について具体的な
実施例を用いて説明する。図5は、ワイヤ8の変位を検
出する位置検出手段すなわち検出器10の一実施例を概
略的に示した概略構成図である。当該検出器は、図2及
び図4に示すように各指(あるいは各指の関節)毎に各
々対応して構成される。
【0027】この実施例において、センサ部11は、例
えば特開昭10−153402号に示されたような誘導
式の直線位置検出装置を用いて構成されており、ワイヤ
8の側に所定間隔で固定的に設けられた1又は複数の磁
気応答部材15と、固定ベルト5の側に固定的に設けら
れた1次巻線PWおよび2次巻線S1〜S4とからな
る。1次巻線PWおよび2次巻線S1〜S4は、非磁性
体からなるチューブ14の所定においてその周囲に巻回
されており、サイン相、コサイン相、マイナス・サイン
相、マイナス・コサイン相にそれぞれ対応する4つの2
次巻線S1〜S4は、変位方向に関してそれぞれ異なる
位置に配置されている。例えば、1つの2次巻線(S1
〜S4)がカバーする範囲の長さをP/4とすると、4
つの2次巻線S1〜S4の全体ではPの長さをカバーす
る。また、すベての2次巻線S1〜S4をカバーするよ
うに1相交流励磁される1次巻線PWが設けられてい
る。図示の例では、1次巻線PWの外側に2次巻線S1
〜S4が巻回されているがこれは逆であってもよい。ま
た、図示の例では、各2次巻線S1〜S4のコイル長が
P/4のように描かれているが、これよりも短くてもよ
い。その場合、各2次巻線S1〜S4の間に分割して1
次巻線PWを挿入してもよい。
【0028】ワイヤ8は例えばナイロン糸のような強靱
な非磁性かつ非導電性の糸からなっており、そのうち前
記チューブ14内に入っている及び侵入する可能性のあ
る所定の範囲において、1又は複数の磁気応答部材15
が所定間隔で固定的に設けられている。これにより、指
の動きに連動してワイヤ8が変位すると、これに応じて
磁気応答部材15が変位し、センサ部11において、1
次及び2次巻線に対する磁気応答部材15の相対的位置
が変位する。この磁気応答部材15の相対的変位に応じ
た出力を2次巻線S1〜S4から得ることにより、指の
動きを検出することができる。磁気応答部材15として
は、鉄等の磁性体または銅あるいはアルミニウム等の良
導電体を使用することができる。磁気応答部材15とし
て磁性体を用いた場合は、該磁気応答部材15が近接す
る箇所で1次及び2次巻線間の磁気結合度が上がり、対
応する2次巻線に誘導される電圧レベルが上がる。一
方、磁気応答部材15として良導電体を用いた場合は、
該磁気応答部材15が近接する箇所で渦電流損によって
1次及び2次巻線間の磁気結合度が下がり、対応する2
次巻線に誘導される電圧レベルが下がる。どちらの場合
でも、磁気応答部材15の近接に相関する誘導出力電圧
を2次巻線S1〜S4から得ることができる。
【0029】例えば、1つの磁気応答部材15のサイズ
は、長さにしてP/2若しくはその前後の適宜の値又は
P/2未満の適宜の値であり、複数の磁気応答部材15
を設ける場合は、長さPの周期でこれを繰り返して設け
る。これにより、ワイヤ8の長さPの変位に対応して、
センサ部11の2次巻線S1〜S4の誘導出力電圧は1
周期の変化を示す。指の動きに対応したワイヤ8の変位
量は比較的わずかなものであるので、その最大変位量が
前記長さPを越えないようにセンサ部11の各巻線の寸
法を設計すれば、指の動きに対応したワイヤ8の変位量
を長さPの範囲内のアブソリュート値で検出することが
できる。もちろん、ワイヤ8の変位量が前記長さPを越
える場合であっても、磁気応答部材15を長さPの周期
で複数設けているので、この変位を検出することができ
る。その場合は、周知のように、長さPを越えた回数
(周期数)を別途演算等で求めることにより、長さPを
越えたワイヤ8の変位量を検出することが可能である。
なお、磁気応答部材15の形状は、図示のような細長の
円柱状に限らず、球状あるいは楕円球状等適宜の形状で
あってもよいのは勿論である。なお、図示の都合上、各
巻線を長く描いているが、実際は、もっと短く、かなり
小型化される。
【0030】センサ部11における1次及び2次巻線は
かなり小型のものになるため、ワイヤ8の変位時に磁気
応答部材15のでっぱりが巻線等何かにひっかかること
があるかもしれない。そのような懸念を除去するため
に、1次及び2次巻線を巻回しているチューブ14は、
巻線の全長よりもある程度前後に長くし、すべての磁気
応答部材15の移動範囲をカバーしうるようにするとよ
い。これによって、ワイヤ8の動きに伴う磁気応答部材
15の動きがチューブ14によって保護され、スムーズ
となる。勿論、ワイヤ8における磁気応答部材15の配
置箇所全体を非磁性樹脂等で薄くコーティングして滑ら
かにしてもよい。
【0031】ワイヤ8の末端はコイルばね12の一端
(可動端)に固定され、該コイルばね12の他端(固定
端)は適宜の手段で基部(つまり固定ベルト5)に対し
て固定される。なお、後述するようにテンション調節機
構13を具備する場合は、該コイルばね12の他端(固
定端)がテンション調節機構13で所定位置に固定(半
固定)され、かつ、その固定位置が上位コントローラか
らの制御信号に応じて可変されることにより、コイルば
ね12のテンションが調節され、ワイヤ8を介して指に
加わる負荷荷重が調節されることとなる。すなわち、制
御信号に応じて任意の力覚提示を為すことができる。勿
論、テンション調節機構13を具備しない形態で本発明
を実施することも可能である。
【0032】図5に示した実施例においては、以下に説
明するレゾルバ原理に従う位置検出処理によって、指の
動きに応じた位置検出出力を得るのに適している。図6
は、センサ部11において、レゾルバ原理に従う位置検
出処理を行うために採用する、1次巻線PW及び2次巻
線S1〜S4の結線状態を示す図である。
【0033】1次巻線PWは1相の交流信号(便宜上、
sinωtで示す)によって励磁される。各2次巻線S
1〜S4の配置と磁気応答部材15の配置との関係によ
って、概ね、範囲Pにおける磁気応答部材15の移動
を、0度≦θ≦360度、なる角度表示で示すとする
と、サイン相の2次巻線S1における誘導出力の振幅関
数はsinθで表わすことができ、次のコサイン相の2
次巻線S2における誘導出力の振幅関数はcosθで表
わすことができ、次のマイナス・サイン相の2次巻線S
3における誘導出力の振幅関数は−sinθで表わすこ
とができ、次のマイナス・コサイン相の2次巻線S4に
おける誘導出力の振幅関数は−cosθで表わすことが
できることによる。換言すれば、概ねそのような関係が
得られるように設計する。1つおきに配置された2次巻
線S1とS3は差動接続されて、第1の出力交流信号A
を生じる。もう一方の1つおきに配置された2次巻線S
2とS4も差動接続されて、第2の出力交流信号Bを生
じる。
【0034】よって、磁気応答部材15の相対的変位に
応じて、一方の2次巻線S1,S3の差動接続から得ら
れる第1の出力交流信号Aはサイン関数の振幅関数si
nθを持つもの、つまりA=sinθsinωtで表わ
すことができるものとなり、他方の2次巻線S2,S4
の差動接続から得られる第2の出力交流信号Bはコサイ
ン関数の振幅関数cosθを持つもの、つまりcosθ
sinωtで表わすことができるものとなる。
【0035】こうして、図5及び図6のような配置及び
巻線構成によれば、従来知られたレゾルバにおいて得ら
れるのと同様の、同相交流であって2相の振幅関数を持
つ2つの出力交流信号(サイン出力とコサイン出力)を
データ入力用グローブ1において得ることができること
が理解できる。従って、本実施例の検出器10において
得られる2相の出力交流信号(A=sinθ・sinω
tとB=cosθ・sinωt)は、従来知られたレゾ
ルバの出力と同様の使い方若しくは処理をすることがで
きる。例えば、適切なディジタル位相検出回路30を使
用して、上記2相の出力交流信号A,Bにおけるサイン
関数sinθとコサイン関数cosθの位相値θをディ
ジタルで測定することができる。例えば特開平9−12
6809号に示されたような位相検出方式を使用するこ
とができる。これにより、連続的な指の動きを高分解能
かつアブソリュートで検出することができる。この場
合、位相検出回路30は専用集積回路及び/又はマイク
ロプロッセッサ等を含む回路構成とすることができ、こ
れを使用者の固定ベルト5の側に設け、信号伝送手段4
を介して上位のコンピュータ2に接続するようにすると
よい。そのように、使用者の側にマイクロプロッセッサ
等を具備することによって、様々な付加的な機能を実現
しうるインテリジェントなデータ入力用グローブを構成
することができる。なお、位相検出回路30はディジタ
ル方式に限らず、アナログ方式のものであってもよい。
【0036】なお、図5の構成において、図7に示すよ
うに、1次巻線と2次巻線の関係を逆にして、公知の位
相シフトタイプ位置検出器のように構成してもよい。す
なわち、4つの巻線S1〜S4を1次巻線とし、巻線P
Wを2次巻線とする。この場合、一方の差動接続された
1次巻線S1,S3の対を例えばサイン相の交流信号s
inωtによって励磁し、他方の差動接続された1次巻
線S2,S4の対を例えばコサイン相の交流信号cos
ωtによって励磁する。そうすると、1次巻線S1,S
3による2次側の誘導出力は前記から例えばsinθ・
sinωtに相当するものとなり、また、1次巻線S
2,S4による2次側の誘導出力は前記から例えばco
sθ・cosωtに相当するものとなる。よって、2次
巻線PWに得られるこれらの合成出力は、指の動きに応
じた電気的位相シフトθを含む信号(例えばこれをsi
n(ωt+θ)で示す)となる。この出力信号sin
(ωt+θ)における電気的位相シフトθを公知の位相
測定回路で、ディジタル的に又はアナログ的に検出する
ようにすればよい。この場合も、連続的な指の動きを高
分解能で検出することができる。
【0037】更に、2次巻線S1〜S4の出力に基づき
指の動きの検出データを具体的に得るための構成は、上
記例に限らず、他の適宜の構成を用いてよい。例えば、
最も、単純には、各2次巻線S1〜S4の出力レベルを
単純に比較して、最もレベルの低い1つの2次巻線(S
1〜S4のいずれか)が配置されている位置をワイヤの
変位量として検出するやり方がある。ただし、この場合
は、Pの範囲を4分割した分解能でしか検出することが
できない、という不利がある。このような発想の変形と
しては、2次巻線の数が1個のみ、又は4個以上でも4
個未満でもよい、ということになる。指が伸ばされてい
る状態(すなわち、ワイヤが変位していない状態)若し
くは指が曲げられている状態(すなわち、ワイヤが変位
した状態)のいずれかのみを検出する場合、そのような
実施の形態も有りうる。すなわち、2次巻線の数は4個
に限ることなく、1又は任意の複数であってよい。ある
いは、2個の2次巻線のみを差動接続して設け、差動ト
ランスのように、ワイヤの連続的な移動位置に対応する
アナログ電圧を得ることも可能である。
【0038】図8は、検出器10におけるセンサ部11
の別の実施形態を示すものである。この例においては、
ワイヤ8の側には所定位置に永久磁石16が設けられて
おり、指の動きに応じたワイヤ8の変位に従って永久磁
石16が、1次及び2次巻線PW,S1〜S4に対して
相対的に変位する。1次及び2次巻線PW,S1〜S4
の中心空間内には、長さPの全域にわたって磁性体コア
17が固定的に設けられる。永久磁石16は、磁性体コ
ア17に沿ってその近傍を、ワイヤ8の変位に伴って移
動するように配置されている。磁性体コア17は、比透
磁率が大きく、保磁力の小さな珪素鋼などの磁性体から
なり、その形状は細長の円柱状であってもよいし、珪素
鋼板を積層して形成された細長の直方体形状等、適宜の
形状であってもよい。この磁性体コア17の周囲に1次
巻線PW及び2次巻線S1〜S4が所定の配置で巻回さ
れている。磁性体コア17と1次巻線PW及び2次巻線
S1〜S4は適当な非磁性ケーシングに収納されて、固
定バンド5の所定位置に固定的に配置される。なお、図
示の都合上、各巻線の径を大きく、また、磁性体コア1
7を太く、描いているが、実際は、これらをかなり細く
することができるので、これらを収納した非磁性ケーシ
ングは磁石16等に比べてかなり細い(薄い)ものであ
る。
【0039】このような構成によっても、既に上述した
別の実施例と同じようにして1次巻線PWを1相の交流
信号によって励磁することにより、2次巻線S1〜S4
に位置検出出力信号を出力させ、これにより指の動きを
検出できるようになる。すなわち、磁石16が近接して
いない限り、磁性体コア17の存在によって1次巻線P
Wと2次巻線S1〜S4との間の磁気結合度は大であ
り、2次巻線S1〜S4からは大きなレベルの誘導出力
が得られる。しかし、長尺の磁性体コア17のいずれか
の箇所に対して、そのときのワイヤ8の位置に応じて磁
石16が近接すると、その箇所では、該磁石16から発
される磁束を強く受け、磁気飽和状態となる。換言すれ
ば、そのように磁石16が近接した磁性体コア17の箇
所において部分的に磁気飽和状態となるように磁石16
の性能及びサイズ等を決定するものとし、また、それに
応じた適切な誘導出力の変化が得られるように、各巻線
PW,S1〜S4のコイル長、巻数等を設定するものと
する。磁気飽和状態となった磁性体コア17の箇所で
は、1次PW及び2次巻線S1〜S4間の電磁誘導性能
に関しては磁性体コア17が存在していない空状態と等
価となり、1次PW及び2次巻線S1〜S4間の磁気結
合度は低下する。よって、磁石16の近接に応じた、つ
まりワイヤ8の変位に応じた、誘導出力信号が各2次巻
線S1〜S4から得られることになる。基本的にはこの
ような原理で、2次巻線S1〜S4の出力に基づきワイ
ヤ8の変位量、すなわち、指の動きを検出することがで
きることになる。
【0040】こうして、ワイヤ8の変位に応じて移動す
る永久磁石16が近接する磁性体コア17の特定箇所で
磁気飽和状態となり、その箇所に対応する1次巻線PW
と2次巻線間S1〜S4の磁気結合度が低下する。従っ
て、1次巻線PWと2次巻線間S1〜S4の磁気結合が
指の動きに応じて変化され、これにより、ワイヤ8の変
位量に応じて振幅変調された誘導出力交流信号が、各2
次巻線S1〜S4に誘起されることになる。この図8の
例においても、先にあげた実施例と同様に位相検出回路
を介することにより、当該実施例においても指の動きを
検出することができる。勿論、当該実施例においても、
上述のレゾルバ型の位置検出だけでなく、位相シフト型
の位置検出ができることは言うまでもない。
【0041】センサ部11における1次及び2次巻線の
数及び配置等は、上記各実施例に示したものに限らず、
適宜に変形可能である。
【0042】次に、フォースフィードバック機能を実現
するテンション調節機構13を具えたデータ入力用グロ
ーブの一実施例について図9により説明する。図9にお
いて、テンション調節機構13は、コイルばね12の他
端(固定端)に連結されたストッパ21と、該ストッパ
21を矢印F方向に駆動するための電磁ソレノイド20
とを含んでいる。ストッパ21の所定個所には鍔状また
はその他適宜の形状の突起部21aが形成されている。
ストッパ21の先端はソレノイド20のプランジャ(可
動鉄心)19に連結されている。所定位置に固定ブロッ
ク18が配置されており、コイルばね12の力によりス
トッパ21が矢印Fとは反対方向に駆動されるとき、ス
トッパ21の突起部21aが固定ブロック18によって
係止される。すなわち、電磁ソレノイド20を付勢して
いないとき、コイルばね12の力によりストッパ21が
矢印Fとは反対方向に付勢され、ストッパ21の突起部
21aが固定ブロック18によって係止され、その位置
に対応してコイルばね12の他端(固定端)が固定され
る。通常は、ソレノイド20が付勢されていない状態で
使用され、フィードバックフォースを付加するとき、上
位コントローラ(例えばコンピュータ2)から与えられ
る制御信号によってソレノイド20を付勢する。これに
より、プランジャ19が矢印F方向に駆動され、コイル
ばね12が同方向に伸ばされて、ワイヤ8に対する引っ
張りテンション(つまりコイルばね12による矢印F方
向への付勢力)が増大する。これによって、手指に対し
てフィードバックフォースを与えることができる。通常
のソレノイド20は1個の励磁コイル20aのみからな
る。本実施例においても、1個の励磁コイル20aのみ
からなるソレノイド20を用いて、フィードバックフォ
ースを1段階でオン・オフ制御するだけであってもよ
い。しかし、図示の例では、フィードバックフォースを
多段階制御できるようにするために工夫をした例が示さ
れている。すなわち、図示の例では、ソレノイド20に
おいて3つの励磁コイル20a,20b,20cが順次
縦続配置されており、各励磁コイル20a、20b、2
0cを順次に切換えて通電することにより、プランジャ
ー19が順次吸引されて矢印F方向に直線的に順次移動
するように構成されている。つまり、励磁コイル20
a、20b、20cの順に励磁することによって、プラ
ンジャー19は順に右から左の位置まで3段階に位置を
移動する。これを図で示すと、図10A〜10Cのよう
である。図10Aは右側の励磁コイル20aに通電した
際の概念図、図10Bは中央の励磁コイル20bに通電
した際の概念図、図10Cは左側の励磁コイル20cに
通電した際の概念図である。
【0043】ここで、上述のソレノイドを用いたフォー
スフィードバック機構の動作について簡単に説明する。
通常の状態、すなわち、各励磁コイル20a、20b、
20cに通電していない場合においては、プランジャー
19は右端の位置に保持され、コイルばね12は伸ばさ
れていない状態である(図9参照)。そして、例えば使
用者が指を曲げる動作を行うと、ストッパ21によりコ
イルばね12の一端が所定の基準位置Aに位置付けら
れ、コイルばね12はワイヤ8を介して指の曲げに応じ
た分だけ引っ張られる。この状態で励磁コイル20aの
みに通電すると、プランジャー19は励磁コイル20a
に吸引されて、左方向へ1段階移動する(図10A参
照)。すると、コイルばね12の一端が基準位置Aから
左側へ移動し、励磁前に比べてコイルばね12が伸ばさ
れた状態となって付勢力が強く働くことから、使用者は
より強い力を加えないと励磁前と同じ指の曲げ状態を保
持することができない。あるいは、使用者がより指を深
く曲げようとするには、励磁コイル20aに通電してい
ない状態で指を曲げる場合に比較して、コイルばね12
の有する付勢力に抗する力がより多く必要となる。次
に、励磁コイル20bのみに通電すると、プランジャー
19は励磁コイル20bに吸引されて、左方向へ1段階
移動する(図10B参照)。さらに、励磁コイル20c
のみに通電すると、プランジャー19は励磁コイル20
cに吸引されて、左方向へさらに1段階移動する(図1
0C参照)。こうして、プランジャー19が左方向へ移
動してコイルばね12が引き伸ばされていくことに伴っ
て、コイルばね12の有する付勢力に抗するための力は
より強い力が必要とされる。すなわち、コイルばね12
の付勢力を各励磁コイル20a、20b、20cの励磁
によって調節できるようになっている。
【0044】そこで、例えば使用者が受けるであろう仮
想対象物又は仮想環境からの反力をコンピュータ2(図
1参照)によりその都度計算させ、この計算結果に比例
して各励磁コイル20a、20b、20cを通電するよ
うに構成すれば、随時にコイルばね12の付勢力を変化
させることができ、使用者は指を動かしたときに可変の
フォースフィードバックを受けたような仮想状態を得る
ことができるようになる。例えば、バーチャルリアリテ
ィによって指で物をつかんだとき、フィードバックフォ
ースが弱い場合は軟らかいものをつかんだ感覚を得るこ
とができ、フィードバックフォースが強い場合は硬いも
のをつかんだ感覚を得ることができる。
【0045】なお、各励磁コイル20a、20b、20
cの順次の切換えにあたっては、切換えタイミングや通
電する電流値等を適宜に制御して、プランジャー19が
段階的に動作できるようにすることは勿論である。ま
た、本実施例においては励磁コイルを3個だけ構成した
ものを示したがこれに限らず、励磁コイルは少なくとも
1個以上あればよい。ただし、できるだけ数多く励磁コ
イルを設けたほうが、より細かいフォースフィードバッ
ク制御を行うことができる。さらに、検出器10におい
てセンサ部11とテンション調節機構13を一体的に設
けたものを示したが、どちらか一方を具備してもよい。
勿論、フォースフィードバックは上述したソレノイド2
0による方法だけに限られるものではなく、例えばモー
タ等適宜のアクチュエータを用いてもよい。
【0046】また、本発明におけるデータ入力用グロー
ブの一実施例として、手話手形を入力するための手袋型
手形入力装置として構成する場合は、例えば感圧センサ
や接触センサ等を各指先毎に配置してもよい。図11
は、そのような構成を用いたデータ入力用グローブの一
実施例を示す全体構成概略図である。ただし、指先のセ
ンサ以外の図示は省略している。各指先には例えば感圧
センサ22が配置され、当該感圧センサ22毎に各指先
の接触状態を計測することができるようになっている。
手話手形では指先を他方の手に接触させる形態があるた
め、感圧センサ22によってそのような手形を検出する
ことができる。また、指先の接触状態を検出して、この
接触の強さを例えば仮想対象物又は仮想環境からの反力
を付加する制御信号として用いるようにしてもよい。
【0047】さらに、各指の曲げ伸ばしだけでなく各指
の接触状態や接触位置を検出することにより、各指の位
置関係を的確に捉えて、使用者が為している手話手形を
判定するようにしてもよい。例えば、使用者の指先だけ
でなく使用者の手の所定部分、つまり手のひらや手の甲
あるいは各指の側面といった部分にも感圧センサ22等
を配置して、各感圧センサ22からの接触検知信号の組
み合わせから手話手形の判別を行うようにしてもよい。
手話手形では単に指先を他方の手に接触させる形態以外
にも、指先と手のひらや手の甲とを接触させたり、ある
いは左右の指をクロスする等の複雑な形態がある。そこ
で、使用者の指先及び/又は手の所定部分に感圧センサ
22を設け、その部分での接触を検出できるようにす
る。そして、各感圧センサ22から得られた検出信号を
上位コントローラ(例えばコンピュータ2)に与え、上
位コントローラは与えられた検出信号の組み合わせから
左右の手や各指とがどのような位置関係(どのような接
触状態)にあるかを判定して、手話手形を検出する。
【0048】なお、各感圧センサ22から得られた検出
信号の組み合わせの判定を、上述したようにデータ入力
用グローブとは別々に構成されたコンピュータ2側で実
行させてもよいし、あるいはデータ入力用グローブの例
えば固定ベルト5にCPU等を具えたマイクロコンピュ
ータを設けて、当該マイクロコンピュータに各感圧セン
サからの検出信号を入力して手話手形を検出するように
してもよい。
【0049】なお、上述した各実施例においては、指先
側にワイヤ8を固定して手首側に設けた検出器10によ
ってワイヤ8の動きを検出するようにしたが、これに限
らず、反対に手首側にワイヤ8を固定して指先側に検出
器10を設けるように変更することも可能である。ま
た、センサ部11における1次及び2次巻線PW、S1
〜S4と磁気応答部材15又は磁石16との関係は、上
述した実施例に限らず、1次及び2次巻線PW、S1〜
S4側をワイヤ8の所定位置に配置し、磁気応答部材1
5又は磁石16側を検出器10の側に固定的に設けるよ
うにしてもよい。また、センサ部11は誘導型のものに
限らず他の構成のものを用いてもよい。また、弾性付勢
手段としては、コイルばね12に限らず、ゴムのような
伸縮性のある適宜の弾性部材を用いてもよい。
【0050】なお、センサ部11は手首側(又は指先
側)の1箇所だけに(すなわち、検出器10として一体
的に)構成されるものに限らず、各ガイド7毎に各々設
けるようにしてもよい。これを図示すると、図12に示
す図のようになる。すなわち、各関節毎に配置されたガ
イド7において、例えば、図5に示したような1次及び
2次巻線PW、S1〜S4と磁気応答部材15とからな
るセンサ部11a、11bを各々配置する。これによ
り、各センサ部11、11a及び11bによって各関節
毎における指の動きを検出することができ、センサ部1
1、11a及び11bの検出値から各関節毎の曲がり具
合等(つまり、指全体の外形)の判定を行うことができ
る。こうして、各指1本ずつのワイヤ8のみで複数の関
節の曲げ具合を検出することができるようになる。な
お、この場合において、上述した位相検出回路30(図
7参照)を各センサ部11、11a、11b毎に各々設
けてもよいが、1つの位相検出回路30を複数のセンサ
部11、11a、11bで共用して用いるようにしても
よい。
【0051】本発明は、様々な技術分野・産業分野で比
較的安価かつ簡便に利用することのできる手袋型入力装
置として、広範囲に応用することができる。特に、イン
テリジェント型手袋型手形入力装置として構成すること
により、手話電話やコンピュータシステム等における手
話入力インタフェースとして有利に利用することができ
る。更には、各種のバーチャルリアリティ空間での手袋
型フォースフィードバックインタフェースとして利用可
能である。例えば、医療教育現場における触診などの教
程をバーチャルリアリティ化するインタフェース、バー
チャルモールでの商品を手にとった感覚等をバーチャル
リアリティ化するインタフェース、新素材合成用バーチ
ャルリアリティシミュレータの入出量インタフェース、
バーチャルリアリティを用いたネットワークやプログラ
ム管理システムの入出力インタフェース、CSCW(分
散協調作業)におけるモデリング用入出力インタフェー
ス、などに利用できる。また、遠隔ロボット制御のため
のバイラテラルインタフェースとして利用可能である。
例えば、原子力プラント、宇宙空間などの極限環境にお
ける遠隔ロボットコントローラ、アールキューブプロジ
ェクト用入出力装置、遠隔手術用入出力インタフェー
ス、手術用マイクロロボット制御のための入出力インタ
フェース、などに利用できる。
【0052】
【発明の効果】以上の通り、この発明によれば、小型か
つシンプルな構造を持つと共に、広い範囲にわたって連
続的に高精度な分解能で手の動きが検出可能な手袋型入
力装置を提供することができる。また、非接触の検出方
法により手の動きを検出させることができるようになる
ので、摺動摩耗の心配のない耐久性に富んだ手袋型入力
装置を提供することができる。更には、製造が極めて容
易なシンプルな構造でフォースフィードバックを可能と
した手袋型入力装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る手袋型入力装置を用いたバーチ
ャルリアリティを利用したシステムの一実施例を示すシ
ステム概略図である。
【図2】 本発明に係る手袋型入力装置の一実施例の全
体概略構成を示す概略図である。
【図3】 図2に示した手袋型入力装置の1本の指につ
いてのみ拡大して示す一部拡大図である。
【図4A】 本発明に係る手袋型入力装置の別の実施例
の全体概略構成を示す概略図である。
【図4B】 本発明に係る手袋型入力装置のさらに別の
実施例の全体概略構成を示す概略図である。
【図5】 本発明に係る手袋型入力装置におけるセンサ
部の一実施例を拡大して示した断面図である。
【図6】 本発明に係る手袋型入力装置のセンサ部にお
ける1次及び2次巻線の結線例を示す図である。
【図7】 本発明に係る手袋型入力装置のセンサ部にお
ける1次及び2次巻線の別の結線例を示す図である。
【図8】 本発明に係る手袋型入力装置におけるセンサ
部の別の実施例を拡大して示した断面図である。
【図9】 本発明に係る手袋型入力装置におけるフォー
スフィードバック機能を実現する機構の一実施例を拡大
して示した断面図である。
【図10A】 図9に示したフォースフィードバック機
構において、右端の励磁コイルに通電した際の説明図で
ある。
【図10B】 図9に示したフォースフィードバック機
構において、中央の励磁コイルに通電した際の説明図で
ある。
【図10C】 図9に示したフォースフィードバック機
構において、左端の励磁コイルに通電した際の説明図で
ある。
【図11】 本発明に係る手袋型入力装置の他の実施例
の全体概略構成を示す概略図である。
【図12】 センサ部を各関節のガイド毎に具えた手袋
型入力装置の実施例を、1本の指についてのみ拡大して
示す一部拡大図である。
【符号の説明】
1…データ入力用グローブ(手袋型入力装置)、2…コ
ンピュータ、3…ディスプレイ、4…信号伝送手段、5
…固定ベルト、6…自在バンド、7…ガイド、8(81
〜86、8a〜8c)…ワイヤ、9(91〜96)…長
さ調節機構、10(101〜106、10a〜10c)
…検出器、11(11a、11b)…センサ部、12…
コイルばね、13…テンション調節機構(フォースフィ
ードバック機構)、14…チューブ、15…磁性体、1
6…磁石、17…磁性体コア、18…固定ブロック、1
9…プランジャー(可動鉄心)、20…ソレノイド、2
0a(20b、20c)…励磁コイル、21…ストッ
パ、21a…突起部、30…位相検出回路、PW…1次
巻線、S1〜S4…2次巻線

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 使用者の手の動きを検出するため手に装
    着される手袋型入力装置であって、 使用者の指又は手の所定部位に一端が装着され、指又は
    該所定部位の動きを伝達するため所定範囲にわたって延
    びた伝達手段と、 前記伝達手段の他端を弾性的に支持して所定の中立位置
    で待機する弾性手段と、 前記伝達手段の変位を検出する検出手段とを具備し、 指又は該所定部位の動きに応じた前記伝達手段の動きを
    前記検出手段で検出することにより手の動きの検出信号
    を得ることを特徴とする手袋型入力装置。
  2. 【請求項2】 使用者の手の動きを検出するため手に装
    着される手袋型入力装置であって、 使用者の指又は手の所定部位に一端が装着され、指又は
    該所定部位の動きを伝達するため所定範囲にわたって延
    びた伝達手段と、 前記伝達手段の他端を弾性的に支持して所定の中立位置
    で待機する弾性手段と、 前記弾性手段の有する付勢力を制御信号に応じて可変調
    節する調節手段とを具備し、 前記弾性手段の有する付勢力の制御によって、フィード
    バックフォースを制御できるようにしたことを特徴とす
    る手袋型入力装置。
  3. 【請求項3】 指又は手の所定部位の動きを検出し、検
    出信号を発生する検出手段を更に具えた請求項2に記載
    の手袋型入力装置。
  4. 【請求項4】 前記検出手段は、前記弾性手段の有する
    付勢力に抗して前記所定の位置からの前記伝達手段の動
    きを検出することにより手の動きの検出信号を得ること
    を特徴とする請求項3に記載の手袋型入力装置。
  5. 【請求項5】 前記検出手段は、所定の交流信号によっ
    て励磁される1次巻線及び前記1次巻線と磁気的に結合
    される2次巻線を含むコイル部と、磁気応答部材とを有
    し、 前記伝達手段の移動に応じた出力信号を該2次巻線より
    得ることによって手の動きの検出信号を得るようにした
    ことを特徴とする請求項1、3又は4のいずれかに記載
    の手袋型入力装置。
  6. 【請求項6】 前記調節手段は、制御信号によって励磁
    される励磁コイルと可動鉄心とを有したソレノイドを含
    み、可動鉄心を前記弾性手段に連結し、 仮想空間内における反力に応じて前記制御信号を供給し
    て前記可動鉄心の移動を制御し、この可動鉄心の移動量
    に応じて前記弾性手段の付勢力を制御することを特徴と
    する請求項1乃至5のいずれかに記載の手袋型入力装
    置。
  7. 【請求項7】 使用者の手に装着され手話手形を検出す
    るための手袋型手形入力装置であって、 使用者の指又は手の所定部位に一端が装着され、指又は
    該所定部位の動きを伝達するため所定範囲にわたって延
    びた伝達手段と、 前記伝達手段の他端を弾性的に支持して所定の中立位置
    で待機する弾性手段と、 前記伝達手段の変位を検出する検出手段と、 使用者の指先及び/又は手の所定部分に設けられた接触
    検知手段とを具備することを特徴とする手袋型手形入力
    装置。
  8. 【請求項8】 前記検出手段から得られた指又は手の所
    定部位の動きの検出信号と前記接触検知手段から得られ
    た接触検知信号とに基づき、使用者が為している手話手
    形を判定し、判定した手話手形に対応する手話認識デー
    タを出力する生成手段を更に具えたことを特徴とする請
    求項7に記載の手袋型入力装置。
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