JP2000310781A - 液晶フィルム及び光学素子 - Google Patents

液晶フィルム及び光学素子

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JP2000310781A
JP2000310781A JP11120528A JP12052899A JP2000310781A JP 2000310781 A JP2000310781 A JP 2000310781A JP 11120528 A JP11120528 A JP 11120528A JP 12052899 A JP12052899 A JP 12052899A JP 2000310781 A JP2000310781 A JP 2000310781A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】安定した性状を有し、且つらせん軸が素子平面
に対し平行な素子とは異なる光学的特性を有するフィル
ム及び光学素子を提供する。 【解決手段】らせん構造を有するスメクチック液晶相の
配向が固定化された液晶フィルムにおいて、前記らせん
構造のらせん軸方位がフィルム平面に対し傾いているこ
とを特徴とする液晶フィルム及び前記液晶フィルムを少
なくとも含む光学素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光学分野、光エレクト
ロニクス分野、液晶表示装置分野、セキュリティ分野、
意匠用途等で有用であり、また、大面積でも製造可能に
して取り扱い性の良好な新規フィルム及び光学素子に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】液晶は液体(liquid)と結晶(crystal)の
両方の性質を持つ中間的な相(mesophase)であり、液体
としての流動性と結晶としての異方性を合わせ持つとい
う特徴がある。液晶状態を呈しうる物質(以下「液晶物
質」という。)としては、いわゆる低分子液晶物質及び
高分子液晶物質等の様々なものが知られており、その種
類や温度等の環境によって特有の分子配向の秩序を有す
るために、その分子配向を利用し、あるいは制御するこ
とによって様々な用途に応用でき、工業的に大きな分野
を形成している。
【0003】液晶は、分子形状や、分子配列からネマチ
ック(nematic)液晶、スメクチック(smectic)液晶、ディ
スコチック(discotic)液晶等に大別される。これらのう
ちスメクチック液晶とは、棒状分子等の液晶物質が、一
次元結晶、二次元液体とも言うべき、層構造を有する液
晶である。スメクチック液晶は、この層構造内における
秩序等から、スメクチックA相(SmA相)、スメクチ
ックB相(SmB相)、スメクチックC相(SmC
相)、スメクチックE相(SmE)、スメクチックF相
(SmF相)、スメクチックG相(SmG相)、スメク
チックH相(SmH相)、スメクチックI相(SmI
相)、スメクチックJ相(SmJ相)、スメクチックK
相(SmK相)、スメクチックL相(SmL相)等に分
類できる。これらのスメクチック相の中には、相中の各
層の配向ベクトルが少しずつある角度でねじられてい
き、全体としてみると配向ベクトルがある一定のらせん
構造を呈するものがある。
【0004】らせん構造を形成したスメクチック液晶
は、様々な性質を有し、特に複屈折性、旋光性、偏光分
離特性、回折特性、選択反射特性といった様々の光学的
性質を示すものであり様々な光学分野への応用が期待さ
れる。
【0005】例えばらせん構造の配向を有するフィルム
を、らせん軸が基板面に平行になるように基板上に形成
した場合、基板面に入射した光を回折させることができ
る。例えば Jpn.J.Appl.Phys.21
巻、224頁(1982年)では、2枚のガラス基板で
作製した数百μmギャップの液晶セル中に、キラルスメ
クチックC液晶物質をらせん軸が基板に平行となるよう
に配向させたものでHe−Neレーザー光を回折させて
いる。この時、同じ次数の回折光が正と負で2本観察さ
れるが、その回折角度は等しくなる。
【0006】しかしながら、このように2枚のガラス基
板で作成した液晶セル中にキラルスメクチック液晶物質
を封入し配向させた素子の場合、キラルスメクチック液
晶のらせんピッチは温度による影響を受けやすいため安
定した性状が得られず、また大面積で軽量な光学素子を
低コストで得ることも困難である。従って、何らかの方
法で配向を固定化し、らせんピッチが変化しないように
しなければ、安定した性状の素子として利用することが
できない。
【0007】また、らせん軸が素子平面に対し平行な素
子の示す光学的特性とは異なる、多様な光学的特性を有
する素子が得られれば、さらに多様な光学分野への応用
が期待できる。
【0008】
【発明が解決しようとしている課題】本発明の目的は、
安定した性状を有し、且つらせん軸が素子平面に対し平
行な素子とは異なる光学的特性を有するフィルム及び光
学素子を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、らせん
構造を有するスメクチック液晶相の配向が固定化された
液晶フィルムにおいて、前記らせん構造のらせん軸方位
がフィルム平面に対し傾いていることを特徴とする液晶
フィルムが提供される。
【0010】また、本発明によれば、前記液晶フィルム
が、らせん構造を有するスメクチック液晶相を呈する液
晶材料を、ガラス転移温度以上の温度においてらせん構
造で配向させた後、冷却してガラス状態とし、当該液晶
相の配向を固定化してなる液晶フィルムであることを特
徴とする前記液晶フィルムが提供される。
【0011】さらに、本発明によれば、前記液晶フィル
ムが、らせん構造を有するスメクチック液晶相を呈する
液晶材料を、当該液晶材料が前記液晶相を呈する温度に
おいてらせん構造で配向させた後、当該配向を保持した
まま重合し、前記液晶相の配向を固定化してなる液晶フ
ィルムであることを特徴とする前記液晶フィルムが提供
される。
【0012】さらに、本発明によれば、前記液晶フィル
ムを少なくとも含む光学素子が提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の液晶フィルムは、らせん
構造を有するスメクチック液晶相が固定化された液晶フ
ィルムである。
【0014】前記スメクチック液晶相とは液晶相を構成
する分子が、一次元結晶、二次元液体ともいうべき、層
構造を有する液晶相である。前記スメクチック液晶相と
しては、例えば、スメクチックA相、スメクチックB
相、スメクチックC相、スメクチックE相、スメクチッ
クF相、スメクチックG相、スメクチックH相、スメク
チックI相、スメクチックJ相、スメクチックK相、ス
メクチックL相等が挙げられるが、その中でも特に、ス
メクチックC相、スメクチックI相、スメクチックF
相、スメクチックJ相、スメクチックG相、スメクチッ
クK相、スメクチックH相等の棒状分子が液晶相の層法
線方向に対し傾いている相が好ましい。
【0015】また、前記各種のもの等のスメクチック液
晶相のうち、キラルスメクチックC相(SmC*相)、
キラルスメクチックI相(SmI*相)、又はキラルス
メクチックF相(SmF*相)等の光学活性を示し強誘
電性を示すもの、又はキラルスメクチックCA相(Sm
A*相)、キラルスメクチックIA相(SmIA*相)、
又はキラルスメクチックFA相(SmFA*相)等の光学
活性を示し反強誘電性を示すもの、又はキラルスメクチ
ックCγ相(SmCγ相)、キラルスメクチックIγ相
(SmIγ相)、キラルスメクチックFγ相(SmFγ
相)等の光学活性を示しフェリ誘電性を示すもの等の各
種キラルスメクチック相が、らせん構造を有するスメク
チック相として特に好ましい。しかしながら、キラルで
あることは必須条件ではなく、例えばJ. Mater. Chem.
6巻、1231頁(1996年)やJ.Mater. Chem.7
巻、1307頁(1997年)などに記載されるような
アキラルでありかつらせん構造を有するスメクチック相
等であってもよい。
【0016】上述の各種のスメクチック相のうち、らせ
ん構造の安定性、らせんピッチの可変の容易さ、合成の
容易さ、あるいは粘性が低いことによる配向性の容易さ
等の観点から、最も好ましいのはキラルスメクチックC
相あるいはキラルスメクチックCA相である。
【0017】前記らせん構造とは、液晶相を構成する分
子の配列が、各層ごとに少しずつ変化し、全体として分
子の配列が回転した構造を形成していることをいう。前
記分子の配列の変化としては、スメクチック液晶相にお
ける層の法線方向に対する分子の長軸方向の傾き方向
が、隣り合う層で少しずつ回転した構造等を挙げること
ができる。
【0018】前記らせん構造におけるらせんの中心軸を
らせん軸といい、またらせん一回転分のらせん軸方向の
距離をらせんピッチという。
【0019】本発明の液晶フィルムにおいては、前記ら
せん構造を有するスメクチック液晶相の配向が固定化さ
れている。液晶相の配向が固定化されているとは、特定
の液晶相を示している液晶材料が、その液晶が呈する相
及び配向を保持し、液晶フィルムが使用される条件下に
おいて配向が乱れない状態、具体的には固体等の状態と
されていることをいう。
【0020】前記液晶材料としては、前記らせん構造を
有するスメクチック液晶相を相系列中に有し、且つその
配向が固定化できるものであれば特に限定されない。例
えば各種の低分子液晶物質、高分子液晶物質、又はこれ
らの混合物等を用いることができる。本発明でいう液晶
材料とは、最終的に得られる組成物が所望の液晶性を呈
するものであればよく、単独又は複数種の低分子及び/
又は高分子液晶物質と単独又は複数種の低分子及び/又
は高分子の非液晶性物質とからなる組成物であっても構
わない。また液晶材料中には、本発明の効果を損ねない
範囲で、例えば界面活性剤、重合開始剤、重合禁止剤、
増感剤、安定剤、触媒、染料、顔料、紫外線吸収剤、密
着性向上剤等の各種添加剤等を配合することもできる。
前記液晶材料中の液晶物質の含有割合は、通常30−1
00重量%、好ましくは50−100重量%、さらに好
ましくは70−100重量%とすることができる。
【0021】前記低分子液晶物質としては、シッフ塩基
系化合物、ビフェニル系化合物、ターフェニル系化合
物、エステル系化合物、チオエステル系化合物、スチル
ベン系化合物、トラン系化合物、アゾキシ系化合物、ア
ゾ系化合物、フェニルシクロヘキサン系化合物、ピリミ
ジン系化合物、シクロヘキシルシクロヘキサン系化合
物、又はこれらの組成物等を用いることができる。
【0022】前記高分子液晶物質としては、各種の主鎖
型高分子液晶物質、側鎖型高分子液晶物質、又はこれら
の組成物等を用いることができる。
【0023】前記主鎖型高分子液晶物質としては、ポリ
エステル系、ポリアミド系、ポリカーボネート系、ポリ
イミド系、ポリウレタン系、ポリベンズイミダゾール
系、ポリベンズオキサゾール系、ポリベンズチアゾール
系、ポリアゾメチン系、ポリエステルアミド系、ポリエ
ステルカーボネート系、若しくはポリエステルイミド系
等のもの、又はこれらの組成物等が挙げられる。前記主
鎖型高分子液晶物質としては、特に液晶性を与えるメソ
ゲン基とポリメチレン、ポリエチレンオキサイド、ポリ
シロキサン等の屈曲鎖とが交互に結合した半芳香族ポリ
エステル系高分子液晶物質や、屈曲鎖のない全芳香族ポ
リエステル系高分子液晶物質が好ましい。
【0024】また前記側鎖型高分子液晶物質としては、
ポリアクリレート系、ポリメタクリレート系、ポリビニ
ル系、ポリシロキサン系、ポリエーテル系、ポリマロネ
ート系、ポリエステル系等の直鎖状又は環状構造の骨格
鎖を有する物質に側鎖としてメソゲン基が結合したもの
等、又はこれらの組成物等が挙げられる。前記側鎖型高
分子液晶物質としては、骨格鎖に屈曲鎖からなるスペー
サーを介して液晶性を与えるメソゲン基が結合したもの
が好ましい。また、主鎖、側鎖両方にメソゲンを有する
分子構造のものも好ましい。
【0025】前記液晶材料としては、上記のごとき低分
子液晶物質及び/又は高分子液晶物質にカイラル剤を配
合又は光学活性単位を導入したものが、所望のらせん構
造を有するスメクチック液晶相を呈するうえで好まし
い。例えばスメクチックC相、スメクチックI相、スメ
クチックF相等を呈する液晶物質に、カイラル剤を配合
するか、または光学活性単位を当該液晶物質に導入する
ことにより、キラルスメクチックC相、キラルスメクチ
ックI相、キラルスメックチックF相等の、よりらせん
構造を呈しやすいキラルスメクチック相を呈しうる液晶
物質とすることができる。このようなカイラル剤の配合
量、光学活性単位の導入量、光学純度、配向させる際の
温度条件等を適宜調節することによって、らせんピッチ
を調節することができ、さらにはフィルムの特性、例え
ば回折素子として用いる場合には回折角度を、選択反射
素子として用いる場合には、選択反射波長を調節するこ
とができる。
【0026】らせん構造が右らせんになるか左らせんに
なるかは、使用するカイラル剤や光学活性単位の掌性に
依存するので、どちらの掌性のものを選択するかで右ら
せん、左らせんいずれの構造のものも作製することがで
きる。
【0027】前記配向が固定化された液晶フィルムとし
ては、具体的には、(A)らせん構造を有するスメクチ
ック液晶相を呈する液晶材料を、ガラス転移温度以上の
温度においてらせん構造で配向させた後、冷却してガラ
ス状態とし、当該液晶相の配向を固定化してなるフィル
ム、又は(B)らせん構造を有するスメクチック液晶相
を呈する液晶材料を、当該液晶材料が前記液晶相を呈す
る温度においてらせん構造で配向させた後、当該配向を
保持したまま重合し、前記液晶相の配向を固定化してな
るフィルム等を挙げることができる。
【0028】前記(A)のフィルムを形成する液晶材料
としては、前記高分子液晶物質を主成分とする液晶材料
等の、ガラス転移温度以上の温度において所望のらせん
構造を形成し、冷却することによってガラス状態となり
うる液晶材料を用いることができる。通常上記のような
性質を有する高分子液晶物質を主成分とする液晶材料が
好適に用いられる。
【0029】また前記(B)のフィルムを形成する液晶
材料としては、紫外光や可視光、電子線、熱等によって
反応しうる置換基を有する物質を含むものを用いること
ができる。前記置換基としては、ビニル基、アクリル
基、メタクリル基、ビニルエーテル基、シンナモイル
基、アリル基、アセチレニル基、クロトニル基、アジリ
ジニル基、エポキシ基、イソシアネート基、チオイソシ
アネート基、アミノ基、水酸基、メルカプト基、カルボ
ン酸基、アシル基、ハロカルボニル基、アルデヒド基、
スルホン酸基、シラノール基等を挙げることができ、好
ましくはこれらのうち多重結合を有する基やエポキシ
基、アジリジニル基等を挙げることができ、より好まし
くはアクリル基、メタクリル基、ビニル基、ビニルエー
テル基、エポキシ基、シンナモイル基等を挙げることが
できる。これら置換基は前記液晶物質及び/又は非液晶
物質及び/又は添加剤の1種以上のいずれに含まれてい
ても良く、2種以上の物質の場合、同種及び/又は異種
の置換基が含まれていてもよい。また、1種類の物質中
に同種及び/又は異種の置換基が2つ以上含まれていて
もよい。
【0030】本発明の液晶フィルムは、前記らせん構造
のらせん軸方位がフィルム平面に対し傾いていることを
特徴とする。
【0031】前記らせん軸方位と前記フィルム平面とが
なす角(以下「傾き角度」という。)は、通常、絶対値
として1度〜85度、好ましくは1度〜50度、さらに
好ましくは1度〜30度とすることができる。傾き角度
が1度未満の場合、らせん軸方位がフィルム平面とほぼ
平行にある配向状態とほぼ同等の効果しか得ることがで
きず、また85度を越える場合にはフィルム平面に対し
てほぼ垂直方向にある配向状態とほぼ同等の効果しか得
られないおそれがあるため好ましくない。
【0032】本発明の液晶フィルム中のらせん軸方位
は、フィルム内において均一でも良く、フィルム内にお
いて均一でなく異なっていても良い。具体的には、膜厚
方向に一定の傾き角度を有するらせん軸方位をもったフ
ィルムや、らせん軸方位が膜厚方向に変化したフィルム
等とすることができる。即ち、フィルム内において、傾
き角度が、フィルム表面からの距離に拘わらず一定であ
ってもよく、フィルム表面からの距離に応じて傾き角度
が異なったものであってもよい。
【0033】膜厚方向にらせん軸方位が変化した液晶フ
ィルムにおける、変化の態様としては連続的増加、連続
的減少、間欠的増加、間欠的減少、連続的増加と連続的
減少を含む変化、若しくは増加及び減少を含む間欠的変
化等を挙げることができる。ここで間欠的変化とは、厚
さ方向の途中で傾き角度が変化しない領域を含んでお
り、段階的な変化となっているものである。
【0034】またらせん軸の向きが、微視的には配向性
を持った配向領域(ドメイン)で構成され、巨視的には
らせん軸が様々な向きのマルチドメイン相でも良いし、
全て同一方向にそろったモノドメイン相でも良い。更に
はらせん構造を形成する部分はフィルムの全面であって
も良いし、一部であっても良い。
【0035】本発明の液晶フィルムの全光線透過率は、
通常40%以上、好ましくは60%以上、特に好ましく
は80%以上である。全光線透過率が40%より低い場
合、得られる光学素子としての効果、例えば回折効果が
低下するといった恐れがある。
【0036】本発明の液晶フィルム中のらせんピッチ
は、特に限定されないが、0.2〜20μmが好まし
く、0.3〜10μmがより好ましい。また、らせんピ
ッチはフィルム内で一定でも良いが、フィルム内の場所
により異なっていても良く、連続的に変化していても良
い。前記らせんピッチは、本発明の液晶フィルムの製造
にあたり、温度などの配向条件を調節したり、光学活性
部位の光学純度、光学活性物質の配合割合等を調節する
こと等の公知の方法により、容易に調整できる。
【0037】本発明の液晶フィルムの製造方法は、特に
限定されないが、液晶材料を2つの界面の間に展開し、
前記液晶材料を、らせん軸方位が前記界面に対し傾いた
らせん構造を有するスメクチック液晶相に配向させた
後、当該液晶相の配向を固定化することにより形成させ
ることができる。ここで、配向を固定化する方法として
は、(A)らせん構造を有するスメクチック液晶相を呈
する液晶材料を、ガラス転移温度以上の温度においてら
せん構造で配向させた後、冷却してガラス状態とする方
法;又は(B)らせん構造を有するスメクチック液晶相
を呈する液晶材料を、当該液晶材料が前記液晶相を呈す
る温度においてらせん構造で配向させた後、当該配向を
保持したまま重合する方法等が挙げられる。
【0038】前記液晶材料を展開するための2つの界面
としては、特に制限はなく、気相界面、液相界面又は固
相界面のいずれをも用いることができる。また同一の2
つの界面を用いてもよく、さらには異なる界面を組み合
わせて用いることもできる。但し得られる製品の実用
性、及び製造の容易さの観点から、2つの固相界面を使
用するか、固相界面と気相界面との組合せとすることが
望ましい。
【0039】前記気相界面としては、空気界面、窒素界
面等を挙げることができる。前記液相界面としては、
水、有機溶剤、液体状の金属、他の液晶、溶融状態の高
分子化合物等を挙げることができる。前記固相界面とし
ては、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポ
リエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリ
エーテルケトン、ポリケトンサルファイド、ポリエーテ
ルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンサルフ
ァイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレ
ンナフタレート、ポリアセタール、ポリカーボネート、
ポリアリレート、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ
ビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リ-4-メチルペンテン-1樹脂、トリアセチルセルロース
などのセルロース系プラスチックス、エポキシ樹脂、フ
ェノール樹脂、高分子液晶などのプラスチックフィルム
基板;アルミ、鉄、銅などの金属基板;青板ガラス、ア
ルカリガラス、無アルカリガラス、ホウ珪酸ガラス、フ
リントガラス、石英ガラス等のガラス基板;セラミック
基板等の各種基板;シリコンウエハー等の各種半導体基
板等を挙げることができる。また、上記基板上に他の被
膜、例えばポリイミド膜、ポリアミド膜、ポリビニルア
ルコール膜等有機膜を設けたもの、若しくは酸化珪素等
の斜め蒸着膜を設けたもの、ITO(インジウム−錫酸
化物)等の透明電極を形成したもの、金、アルミニウ
ム、銅等の金属膜を蒸着やスパッタ等により形成したも
の、更には各種半導体素子、例えばアモルファスシリコ
ンの薄膜トランジスタ(TFT)等も挙げることができ
る。
【0040】また、これらの基板は、必要に応じて配向
処理を施してから用いることができる。配向処理を施し
た基板を用いた場合、得られる液晶フィルム中のらせん
軸の向きを基板の配向処理の方向に規定された一定の方
向とすることができるが、らせん軸の向きは必ずしも基
板の配向処理の方向と一致するとは限らず、若干ずれる
場合がある。尚、配向処理を施さない基板を用いた場
合、得られる液晶フィルムは、各ドメインのらせん軸の
向きがランダムであるマルチドメイン相となる場合もあ
るが、その場合でも所望の効果を得ることができる。
【0041】前記基板の配向処理としては、特に限定さ
れないが、ラビング法、斜方蒸着法、マイクログルーブ
法、延伸高分子膜法、LB(ラングミュア・ブロジェッ
ト)膜法、転写法、光照射法(光異性化、光重合、光分
解等)、剥離法等が挙げられる。特に、製造工程の容易
さの観点から、ラビング法、光照射法が好ましい。らせ
ん軸をフィルム面に対し傾斜させるためには、上記配向
処理を行い、基板にプレチルトを発現させることができ
るようにすることが好ましい。
【0042】また、配向処理を行った基板を用いなくて
も、界面間に展開した液晶材料に磁場や電場、ずり応
力、流動、延伸、温度勾配等を作用させることによって
も得られる液晶フィルム中のらせん軸の向きを一定の方
向とすることができる。
【0043】前記液晶材料を前記界面の間に展開する方
法としては、特に限定されず、公知の各種方法を用いる
ことができる。例えば、2枚の前記基板を界面として用
い、その間に前記液晶材料を添加する場合であれば、2
枚の前記基板を用いてセルを作成し、そのセルに前記液
晶材料を注入するか、又は前記液晶材料を2枚の前記基
板でラミネートすることにより、展開することができ
る。
【0044】また、1枚の基板と気相とを界面として用
いる場合であれば、基板上に、液晶材料を直接塗布する
又は適当な溶媒に溶解し溶液とした前記液晶材料を塗布
することにより展開することが望ましい。特に、製造工
程の容易さの観点から、溶液の塗布により展開すること
が望ましい。前記溶媒としては、前記液晶材料の種類、
組成等に応じて適宜適切なものを選択することができる
が、通常はクロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭
素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロ
エチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オ
ルソジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類、フ
ェノール、パラクロロフェノールなどのフェノール類、
ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、
1、2−ジメトキベンゼンなどの芳香族炭化水素類、イ
ソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール等
のアルコール類、グリセリン、エチレングリコール、ト
リエチレングリコール等のグリコール類、エチレングリ
コールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメ
チルエーテル、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等
のグリコールエーテル類、アセトン、メチルエチルケト
ン、酢酸エチル、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピ
ロリドン、ピリジン、トリエチルアミン、テトラヒドロ
フラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミ
ド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ブチロニ
トリル、二硫化炭素、及びこれらの混合溶媒などが用い
られる。
【0045】また前記溶媒には、溶液の表面張力を調整
し、塗工性を向上させるなどために、必要に応じて界面
活性剤を添加しても良い。
【0046】前記溶液中の前記液晶材料の濃度は、用い
る液晶材料の種類や溶解性、製造する液晶フィルムの膜
厚等に応じて適宜調節することができるが、通常3〜5
0重量%、好ましくは5〜30重量%の範囲とすること
ができる。
【0047】前記塗布の方法は、特に限定されないが、
スピンコート法、ロールコート法、プリント法、浸漬引
き上げ法、カーテンコート法、マイヤーバーコート法、
ドクターブレード法、ナイフコート法、ダイコート法、
グラビアコート法、マイクログラビアコート法、オフセ
ットグラビアコート法、リップコート法、スプレーコー
ト法等を用いることができる。塗布後、必要に応じて溶
媒を除去し、前記液晶材料を、前記基板上の均一な層と
して展開することができる。
【0048】前記展開した液晶材料を、らせん軸方位が
界面に対し傾いているらせん構造を有するスメクチック
液晶相に配向させる方法は、特に限定されないが、前記
液晶材料がらせん構造を有するスメクチック液晶相をと
りうる温度において展開を行った場合、展開と同時に所
望の液晶相が得られる場合がある。また、展開された液
晶材料を一度、らせん構造を有するスメクチック液晶相
よりも高い温度で発現する相、例えばスメクチックA
相、キラルネマチック相、等方相等から、らせん構造を
有するスメクチック液晶相が発現する温度に冷却するこ
とにより配向させ、らせん軸方位が界面に対し傾いてい
るらせん構造を有するスメクチック液晶相とすることも
できる。但し、いずれの場合であっても、続く固定化の
工程を前記方法(A)により行うときは、液晶材料のガ
ラス転移点以上の温度において配向させる。
【0049】また、この際、必要に応じて、らせん軸方
位を特定の方向に制御することができる。この制御は、
例えば、前記界面として、前記配向処理を施した1枚以
上の基板を使用することにより行うことができる。界面
として2枚の基板を用いる場合は、そのうち1枚のみに
配向処理が施されていても良く、2枚とも配向処理が施
されていても良い。
【0050】具体的に例えば、前述の前記液晶材料を注
入するためのセルとしてラビングポリイミドガラス等を
2枚用いて液晶材料のらせんのほどけない厚膜セルとし
たものを用いることにより、らせん軸方位を特定方向と
することができる。また、2枚の配向処理をしたプラス
チックフィルム等で前記液晶材料をラミネートすること
でも、らせん軸方位を特定方向とすることができる。こ
れらの場合、2枚の基板の配向処理の方向を反平行(配
向処理方向が逆。例えばラビング処理の場合、ラビング
方向が逆。)にするとらせん軸が基板に対し一様に傾い
た構造が得られ、平行(配向処理方向が同一)にすると
液晶フィルムの膜厚方向の途中でらせん軸の傾きが変わ
ったもの等も得ることができる。
【0051】また前述したように、配向処理を行った基
板を用いなくても、界面上に展開した液晶材料はらせん
軸の向きが一定となる場合もあるし、磁場や電場、ずり
応力、流動、延伸、温度勾配等を作用させることによっ
ても得られる液晶フィルム中のらせん軸の向きを一定の
方向とすることができる。
【0052】前記液晶材料の配向の固定化は、前記方法
(A)又は前記方法(B)等により行うことができる。
【0053】前記方法(A)では、ガラス転移温度以上
の温度において、前記の方法等により、らせん軸方位が
フィルム平面に対し傾いているらせん構造を有するスメ
クチック液晶相に配向させた前記液晶材料を、冷却し、
液晶材料がガラス状態となる温度まで降温させることに
より、前記液晶材料を、結晶状態とすることなく、ガラ
ス状態として配向を固定化することができる。冷却の手
段は、特に制限はなく、展開又は配向の工程における加
熱雰囲気中からガラス転移点以下の雰囲気中、例えば室
温中に出すだけで固定化に十分な所望の冷却を行うこと
ができる。また、生産の効率等を高めるために、空冷、
水冷等の強制冷却を行ってもよい。
【0054】前記方法(B)では、らせん軸方位がフィ
ルム平面に対し傾いているらせん構造を有するスメクチ
ック液晶相に配向させた前記液晶材料を、該配向を保持
したまま重合させる。重合法としては特に制限はない
が、熱重合や光重合、γ線等の放射線重合、電子線重
合、重縮合、重付加等の反応を用いることができる。中
でも反応制御が容易で、製造上有利な可視光や紫外光を
利用した光重合あるいは電子線重合を利用することが好
ましい。
【0055】本発明の光学素子は、前記本発明の液晶フ
ィルムを少なくとも含む。
【0056】具体的には、前記液晶フィルムを、そのま
ま、又は必要に応じて適宜加工することにより本発明の
光学素子とすることができる。例えば、基板上に液晶フ
ィルムを形成した場合、この液晶フィルムを剥離して光
学素子とすることもできるし、基板上に形成したそのま
まの状態で光学素子とすることもできるし、また基板と
は異なる別の基板に液晶フィルムを積層して光学素子と
することもできる。また、同じ又は異なる性質を有する
フィルムを複数層設けた光学素子とすることもできる。
【0057】前記別の基板は特に限定されず、例えばポ
リイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエーテ
ルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテル
ケトン、ポリケトンサルファイド、ポリエーテルスルフ
ォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、
ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタ
レート、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアリ
レート、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリビニルア
ルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ-4-メ
チルペンテン-1樹脂、トリアセチルセルロース等のセル
ロース系プラスチックス、エポキシ樹脂、フェノール樹
脂等のプラスチック基板や前記ガラス基板、セラミック
基板、紙、金属板、また、偏光板、位相差板、反射板、
拡散板等の他の光学素子が使用できる。本発明の液晶フ
ィルムは、配向処理が施された基板を用いてらせん軸の
向きを一定方向に規定した液晶フィルムを得た後に配向
処理が施された基板を除去しても、配向乱れなどを起こ
さずに、らせん軸の向きが規定されたままの素子として
使用することができる。
【0058】また、表面保護、強度増加、環境信頼性向
上等の目的のために上述した透明プラスチックフィルム
等の保護層やハードコート層等を必要に応じて前記配向
が固定化された液晶フィルム上等に設けることもでき
る。
【0059】本発明の光学素子に光を入射させると、液
晶フィルム中のらせん構造の態様等に応じて、複屈折
性、旋光性、偏光分離特性、導波路、選択反射、回折等
の特性、あるいはそれらが複合された特性を得ることが
できる。したがって、本発明の光学素子は、これらの性
質を利用し、複屈折性素子、旋光素子、偏光分離素子、
導波路素子、選択反射素子、回折素子等あるいはそれら
が複合された素子等の様々な光学素子とすることができ
る。
【0060】特に本発明の光学素子はらせん軸方位がフ
ィルム平面に対し傾いているため、回折素子として使用
する場合、垂直入射光に対する同次数の2本の回折光の
角度が異なるという特徴を有する。また、特定の次数の
回折光強度を大きくすることができる。
【0061】
【発明の効果】本発明の液晶フィルムは、らせん軸方位
がフィルム平面に対し傾いているらせん構造を有するス
メクチック液晶相の配向が固定化された液晶フィルムで
あるため、らせんピッチやフィルムの膜厚等のパラメー
タを自在に設定でき、しかもこれらのパラメータを安定
な状態で保持することができる。従って、耐熱性、耐衝
撃性、耐薬品性が高く、高強度且つ軽量であり、寸法安
定性が良好といった特徴を有し、低コストで大面積製造
可能な、らせん軸が素子平面に対し平行な素子とは異な
る光学的特性を有する液晶フィルムとして用いることが
できる。
【0062】本発明の光学素子は前記液晶フィルムを少
なくとも含むため、複屈折性、旋光性、偏光分離特性、
選択反射特性、回折特性等の様々な性質を自在に且つ安
定な状態で設定することができ、しかもこれらのパラメ
ータを安定な状態で保持することができる。従って、耐
熱性、耐衝撃性、耐薬品性が高く、高強度且つ軽量であ
り、寸法安定性が良好といった特徴を有し、低コストで
大面積製造可能で、且つ取り扱い性が容易で他の系への
組込も極めて容易な、らせん軸が素子平面に対し平行な
素子とは異なる光学的特性を有する液晶フィルムとし
て、光学分野、光エレクトロニクス分野、液晶表示分
野、セキュリティー分野、意匠用途等において有用であ
る。
【0063】
【実施例】以下実施例によりさらに詳細に説明するが、
本発明はこれらに限定されるものではない。
【0064】なお実施例において、固有粘度の測定、液
晶相系列の決定、屈折率の測定、膜厚測定、全光線透過
率測定並びに1次回折光の観察及び回折角の測定は、以
下の方法に従って行った。 (1)固有粘度の測定 ウベローデ型粘度計を用い、フェノール/テトラクロロ
エタン(60/40重量比)混合溶媒中、30℃で測定
した(0.5g/dL)。 (2)液晶相系列の決定 DSC(Perkin Elmer DSC−7)測定
および光学顕微鏡(オリンパス光学(株)製BH2偏光
顕微鏡)観察により決定した。 (3)屈折率の測定 アッベ屈折計(アタゴ(株)製Type−4)により屈
折率を測定した。 (4)膜厚測定 日本真空技術(株)製表面形状測定装置Dektak
3030ST型を用いた。また、干渉波測定(日本分光
(株)製 紫外・可視・近赤外分光光度計V−570)
と屈折率のデータから膜厚を求める方法も併用した。 (5)全光線透過率測定 ガードナー社製ヘイズガードプラスを用いて測定した。 (6)1次回折光の観察及び回折角の測定 He−Neレーザー光(波長λ=632.8nm)をサ
ンプルに垂直に照射して1次回折光を観察し、またその
回折角を求めた。
【0065】
【実施例1】4,4’−ビフェニルジカルボン酸ジメチ
ル 200mmol、(R)−2−メチル−1,4−ブ
タンジオール(enantiomeric exces
s、e.e.=50.0%) 120mmol、1,6
−ヘキサンジオール 80mmol、および触媒として
オルトチタン酸テトラ−n−ブチルを用い、220℃で
2時間、溶融重合することにより液晶性ポリエステルを
合成した(固有粘度0.18dL/g)。
【0066】この液晶性ポリエステルの10wt%のテ
トラクロロエタン溶液を調製し、これをラビング処理を
施したポリイミド膜を有するポリフェニレンサルファイ
ドフィルム基板上にスピンコート法により塗布し、ホッ
トプレート上60℃で溶媒を除去した。次いで恒温槽中
180℃で10分間熱処理してスメクチックA相で配向
させた後、キラルスメクチックC相に配向する温度であ
る120℃まで4℃/分で降温し、恒温槽から取り出し
て室温まで冷却し、液晶性ポリエステルの配向をガラス
状態として固定化した。こうして得られた基板上の液晶
性ポリエステルからなるフィルムを、トリアセチルセル
ロースフィルム上に接着剤を用いて転写し、さらに保護
層としてオーバーコート層を設け、光学素子を作製し
た。該素子中のフィルムは、らせん構造を有するキラル
スメクチックC相でガラス固定化されており、均一な膜
厚(1.1μm)であった。偏光顕微鏡観察、膜断面の
電子顕微鏡観察より、該フィルムに形成されたらせん構
造のらせんピッチは約1.0μmであることがわかっ
た。らせん軸は基板面に対し膜厚方向に約10度傾いて
おり、その角度は膜厚方向で一定であった。また膜面内
におけるらせん軸の方向は、ラビング方向と一致せず反
時計回りに約10度ずれていた。このフィルムの全光線
透過率を測定したところ、95%であった。また、この
フィルムにHe−Neレーザーを照射するとスクリーン
上に1次の回折スポットが2点観察され、その回折角は
43及び37度であった。
【0067】
【実施例2】4,4’−ビフェニルジカルボン酸ジメチ
ル 200mmol、(R)−1,3−ブタンジオール
(enantiomeric excess、e.e.
=95.0%) 80mmol、1,5−ペンタンジオ
ール 120mmol、および触媒としてオルトチタン
酸テトラ−n−ブチルを用い、220℃で2時間、溶融
重合することにより液晶性ポリエステルを合成した(固
有粘度 0.20dL/g)。
【0068】この液晶性ポリエステルの10wt%のN
−メチル−2−ピロリドン溶液を調製し、これをラビン
グ処理を施したPETフィルム基板上にスピンコート法
により塗布し、ホットプレート上60℃で溶媒を除去し
た。次いで恒温槽中120℃で10分間熱処理した後、
恒温槽から取り出して室温まで冷却し、液晶性ポリエス
テルの配向をガラス状態として固定化した。こうして得
られた基板上の液晶性ポリエステルからなるフィルム
に、さらに保護層としてオーバーコート層を設け、光学
素子を作製した。該素子中のフィルムは、らせん構造を
有するキラルスメクチックCA相でガラス固定化されて
おり、均一な膜厚(1.2μm)であった。偏光顕微鏡
観察、膜断面の電子顕微鏡観察より、該フィルムに形成
されたらせん構造のらせんピッチは約0.8μmである
ことがわかった。らせん軸は基板面に対し膜厚方向に約
5度傾いており、その角度は膜厚方向で一定であった。
また膜面内におけるらせん軸の方向は、ラビング方向と
一致せず時計回りに約10度ずれていた。このフィルム
の全光線透過率を測定したところ、95%であった。ま
た、このフィルムにHe−Neレーザーを照射するとス
クリーン上に1次の回折スポットが2点観察され、その
回折角は56及び50度であった。
【0069】
【実施例3】
【0070】
【化1】
【0071】上記2官能性低分子液晶(1)と単官能性
キラル液晶(2)、ラセミ体の単官能性液晶(3)との
10:80:10(重量比)混合物の15重量%、光重
合開始剤としてイルガキュアー907(商品名、チバ・
スペシャリティーケミカルズ製)を0.2重量%、増感
剤としてカヤキュアーDETX(商品名、日本化薬製)
0.02重量%、及び界面活性剤としてメガファックF
−144D(商品名、大日本インキ製)0.05重量%
を含むγ−ブチロラクトン溶液を調製した。当該溶液を
ラビング処理を施したポリエチレンテレフタレート(P
ET)基板上にスピンコート法により塗布し、60℃で
溶媒を除去した。次いで恒温槽中で100℃で3分間熱
処理し、スメクチックA相で配向させた後、キラルスメ
クチックC相に配向する温度である60℃まで5℃/分
で降温し、さらに60℃で3分熱処理した。その際、窒
素置換して、酸素濃度を3%以下にした。その後、60
℃のまま120W/cmの高圧水銀灯を有する紫外線照
射装置を用いて800mJ/cm2の照射エネルギーで
光重合させることにより、当該液晶材料の配向を固定化
した。こうして得られたPET基板上のフィルムは、ら
せん構造を有するキラルスメクチックC相で固定化され
ており、均一な膜厚(1.2μm)であった。偏光顕微
鏡観察、膜断面の電子顕微鏡観察より該フィルムに形成
されたらせん構造のらせんピッチは約1.3μmである
ことが分かった。らせん軸は基板面に対し膜厚方向に約
5度傾いており、その角度は膜厚方向で一定であった。
また膜面内におけるらせん軸の方向はラビング軸と一致
せず、反時計回りに約13度ずれていた。
【0072】このフィルムの全光線透過率を測定したと
ころ、93%であった。また、このフィルムにHe−N
eレーザーを照射するとスクリーン上に1次の回折スポ
ットが2点観察され、その回折角は30度及び28度で
あった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西村 涼 神奈川県横浜市中区千鳥町8番地 日石三 菱株式会社中央技術研究所内 (72)発明者 小松 伸一 神奈川県横浜市中区千鳥町8番地 日石三 菱株式会社中央技術研究所内 Fターム(参考) 2H088 EA47 EA48 FA09 FA29 GA04 HA03 HA16 HA18 JA14 KA22 KA30 MA18 MA20 2H090 HB02Y HB08Y HC05 JB03 JB05 JB07 KA09 LA19 MA04 MA06 MB01 MB13 MB14 4H027 BA03 BA06 BA12 BA13 BD01 BE02 BE06 BE07

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 らせん構造を有するスメクチック液晶相
    の配向が固定化された液晶フィルムにおいて、前記らせ
    ん構造のらせん軸方位がフィルム平面に対し傾いている
    ことを特徴とする液晶フィルム。
  2. 【請求項2】 前記らせん軸方位と前記フィルム平面と
    のなす角が1度〜85度であることを特徴とする請求項
    1記載の液晶フィルム。
  3. 【請求項3】 前記液晶フィルムの全光線透過率が40
    %以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の液
    晶フィルム。
  4. 【請求項4】 前記液晶フィルムが、らせん構造を有す
    るスメクチック液晶相を呈する液晶材料を、ガラス転移
    温度以上の温度においてらせん構造で配向させた後、冷
    却してガラス状態とし、当該液晶相の配向を固定化して
    なる液晶フィルムであることを特徴とする請求項1〜3
    のいずれか1項記載の液晶フィルム。
  5. 【請求項5】 前記液晶フィルムが、らせん構造を有す
    るスメクチック液晶相を呈する液晶材料を、当該液晶材
    料が前記液晶相を呈する温度においてらせん構造で配向
    させた後、当該配向を保持したまま重合し、前記液晶相
    の配向を固定化してなる液晶フィルムであることを特徴
    とする請求項1〜3のいずれか1項記載の液晶フィル
    ム。
  6. 【請求項6】 前記スメクチック液晶相が、キラルスメ
    クチックC相であることを特徴とする請求項1〜5のい
    ずれか1記載の液晶フィルム。
  7. 【請求項7】 前記スメクチック液晶相が、キラルスメ
    クチックCA相であることを特徴とする請求項1〜5の
    いずれか1項記載の液晶フィルム。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項記載の液晶
    フィルムを少なくとも含む光学素子。
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