JP4291914B2 - 液晶フィルム及び光学素子 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、光学分野、光エレクトロニクス分野、液晶表示装置分野、セキュリティ分野、意匠用途等で有用であり、また、大面積でも製造可能にして取り扱い性の良好な新規フィルム及び光学素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶は液体(liquid)と結晶(crystal)の両方の性質を持つ中間的な相(mesophase)であり、液体としての流動性と結晶としての異方性を合わせ持つという特徴がある。液晶状態を呈しうる物質(以下「液晶物質」という。)としては、いわゆる低分子液晶物質及び高分子液晶物質等の様々なものが知られており、その種類や温度等の環境によって特有の分子配向の秩序を有するために、その分子配向を利用し、あるいは制御することによって様々な用途に応用でき、工業的に大きな分野を形成している。
【0003】
液晶は、分子形状や、分子配列からネマチック(nematic)液晶、スメクチック(smectic)液晶、ディスコチック(discotic)液晶等に大別される。これらのうちスメクチック液晶とは、棒状分子等の液晶物質が、一次元結晶、二次元液体とも言うべき、層構造を有する液晶である。スメクチック液晶は、この層構造内における秩序等から、スメクチックA相(SmA相)、スメクチックB相(SmB相)、スメクチックC相(SmC相)、スメクチックE相(SmE)、スメクチックF相(SmF相)、スメクチックG相(SmG相)、スメクチックH相(SmH相)、スメクチックI相(SmI相)、スメクチックJ相(SmJ相)、スメクチックK相(SmK相)、スメクチックL相(SmL相)等に分類できる。これらのスメクチック相の中には、相中の各層の配向ベクトルが少しずつある角度でねじられていき、全体としてみると配向ベクトルがある一定のらせん構造を呈するものがある。
【0004】
らせん構造を形成したスメクチック液晶は、様々な性質を有し、特に複屈折性、旋光性、偏光分離特性、回折特性、選択反射特性といった様々の光学的性質を示すものであり様々な光学分野への応用が期待される。
【0005】
例えばらせん構造の配向を有するフィルムを、らせん軸が基板面に平行になるように基板上に形成した場合、基板面に入射した光を回折させることができる。例えば Jpn.J.Appl.Phys.21巻、224頁(1982年)では、2枚のガラス基板で作製した数百μmギャップの液晶セル中に、キラルスメクチックC液晶物質をらせん軸が基板に平行となるように配向させたものでHe−Neレーザー光を回折させている。この時、同じ次数の回折光が正と負で2本観察されるが、その回折角度は等しくなる。
【0006】
しかしながら、このように2枚のガラス基板で作成した液晶セル中にキラルスメクチック液晶物質を封入し配向させた素子の場合、キラルスメクチック液晶のらせんピッチは温度による影響を受けやすいため安定した性状が得られず、また大面積で軽量な光学素子を低コストで得ることも困難である。従って、何らかの方法で配向を固定化し、らせんピッチが変化しないようにしなければ、安定した性状の素子として利用することができない。
【0007】
また、らせん軸が素子平面に対し平行な素子の示す光学的特性とは異なる、多様な光学的特性を有する素子が得られれば、さらに多様な光学分野への応用が期待できる。
【0008】
【発明が解決しようとしている課題】
本発明の目的は、安定した性状を有し、且つらせん軸が素子平面に対し平行な素子とは異なる光学的特性を有するフィルム及び光学素子を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、らせん構造を有するスメクチック液晶相の配向が固定化された液晶フィルムにおいて、前記らせん構造のらせん軸方位がフィルム平面に対し傾いていることを特徴とする液晶フィルムが提供される。
【0010】
また、本発明によれば、前記液晶フィルムが、らせん構造を有するスメクチック液晶相を呈する液晶材料を、ガラス転移温度以上の温度においてらせん構造で配向させた後、冷却してガラス状態とし、当該液晶相の配向を固定化してなる液晶フィルムであることを特徴とする前記液晶フィルムが提供される。
【0011】
さらに、本発明によれば、前記液晶フィルムが、らせん構造を有するスメクチック液晶相を呈する液晶材料を、当該液晶材料が前記液晶相を呈する温度においてらせん構造で配向させた後、当該配向を保持したまま重合し、前記液晶相の配向を固定化してなる液晶フィルムであることを特徴とする前記液晶フィルムが提供される。
【0012】
さらに、本発明によれば、前記液晶フィルムを少なくとも含む光学素子が提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の液晶フィルムは、らせん構造を有するスメクチック液晶相が固定化された液晶フィルムである。
【0014】
前記スメクチック液晶相とは液晶相を構成する分子が、一次元結晶、二次元液体ともいうべき、層構造を有する液晶相である。前記スメクチック液晶相としては、例えば、スメクチックA相、スメクチックB相、スメクチックC相、スメクチックE相、スメクチックF相、スメクチックG相、スメクチックH相、スメクチックI相、スメクチックJ相、スメクチックK相、スメクチックL相等が挙げられるが、その中でも特に、スメクチックC相、スメクチックI相、スメクチックF相、スメクチックJ相、スメクチックG相、スメクチックK相、スメクチックH相等の棒状分子が液晶相の層法線方向に対し傾いている相が好ましい。
【0015】
また、前記各種のもの等のスメクチック液晶相のうち、キラルスメクチックC相(SmC*相)、キラルスメクチックI相(SmI*相)、又はキラルスメクチックF相(SmF*相)等の光学活性を示し強誘電性を示すもの、又はキラルスメクチックCA相(SmCA*相)、キラルスメクチックIA相(SmIA*相)、又はキラルスメクチックFA相(SmFA*相)等の光学活性を示し反強誘電性を示すもの、又はキラルスメクチックCγ相(SmCγ相)、キラルスメクチックIγ相(SmIγ相)、キラルスメクチックFγ相(SmFγ相)等の光学活性を示しフェリ誘電性を示すもの等の各種キラルスメクチック相が、らせん構造を有するスメクチック相として特に好ましい。しかしながら、キラルであることは必須条件ではなく、例えばJ. Mater. Chem.6巻、1231頁(1996年)やJ. Mater. Chem.7巻、1307頁(1997年)などに記載されるようなアキラルでありかつらせん構造を有するスメクチック相等であってもよい。
【0016】
上述の各種のスメクチック相のうち、らせん構造の安定性、らせんピッチの可変の容易さ、合成の容易さ、あるいは粘性が低いことによる配向性の容易さ等の観点から、最も好ましいのはキラルスメクチックC相あるいはキラルスメクチックCA相である。
【0017】
前記らせん構造とは、液晶相を構成する分子の配列が、各層ごとに少しずつ変化し、全体として分子の配列が回転した構造を形成していることをいう。前記分子の配列の変化としては、スメクチック液晶相における層の法線方向に対する分子の長軸方向の傾き方向が、隣り合う層で少しずつ回転した構造等を挙げることができる。
【0018】
前記らせん構造におけるらせんの中心軸をらせん軸といい、またらせん一回転分のらせん軸方向の距離をらせんピッチという。
【0019】
本発明の液晶フィルムにおいては、前記らせん構造を有するスメクチック液晶相の配向が固定化されている。液晶相の配向が固定化されているとは、特定の液晶相を示している液晶材料が、その液晶が呈する相及び配向を保持し、液晶フィルムが使用される条件下において配向が乱れない状態、具体的には固体等の状態とされていることをいう。
【0020】
前記液晶材料としては、前記らせん構造を有するスメクチック液晶相を相系列中に有し、且つその配向が固定化できるものであれば特に限定されない。例えば各種の低分子液晶物質、高分子液晶物質、又はこれらの混合物等を用いることができる。本発明でいう液晶材料とは、最終的に得られる組成物が所望の液晶性を呈するものであればよく、単独又は複数種の低分子及び/又は高分子液晶物質と単独又は複数種の低分子及び/又は高分子の非液晶性物質とからなる組成物であっても構わない。また液晶材料中には、本発明の効果を損ねない範囲で、例えば界面活性剤、重合開始剤、重合禁止剤、増感剤、安定剤、触媒、染料、顔料、紫外線吸収剤、密着性向上剤等の各種添加剤等を配合することもできる。前記液晶材料中の液晶物質の含有割合は、通常30−100重量%、好ましくは50−100重量%、さらに好ましくは70−100重量%とすることができる。
【0021】
前記低分子液晶物質としては、シッフ塩基系化合物、ビフェニル系化合物、ターフェニル系化合物、エステル系化合物、チオエステル系化合物、スチルベン系化合物、トラン系化合物、アゾキシ系化合物、アゾ系化合物、フェニルシクロヘキサン系化合物、ピリミジン系化合物、シクロヘキシルシクロヘキサン系化合物、又はこれらの組成物等を用いることができる。
【0022】
前記高分子液晶物質としては、各種の主鎖型高分子液晶物質、側鎖型高分子液晶物質、又はこれらの組成物等を用いることができる。
【0023】
前記主鎖型高分子液晶物質としては、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリカーボネート系、ポリイミド系、ポリウレタン系、ポリベンズイミダゾール系、ポリベンズオキサゾール系、ポリベンズチアゾール系、ポリアゾメチン系、ポリエステルアミド系、ポリエステルカーボネート系、若しくはポリエステルイミド系等のもの、又はこれらの組成物等が挙げられる。前記主鎖型高分子液晶物質としては、特に液晶性を与えるメソゲン基とポリメチレン、ポリエチレンオキサイド、ポリシロキサン等の屈曲鎖とが交互に結合した半芳香族ポリエステル系高分子液晶物質や、屈曲鎖のない全芳香族ポリエステル系高分子液晶物質が好ましい。
【0024】
また前記側鎖型高分子液晶物質としては、ポリアクリレート系、ポリメタクリレート系、ポリビニル系、ポリシロキサン系、ポリエーテル系、ポリマロネート系、ポリエステル系等の直鎖状又は環状構造の骨格鎖を有する物質に側鎖としてメソゲン基が結合したもの等、又はこれらの組成物等が挙げられる。前記側鎖型高分子液晶物質としては、骨格鎖に屈曲鎖からなるスペーサーを介して液晶性を与えるメソゲン基が結合したものが好ましい。また、主鎖、側鎖両方にメソゲンを有する分子構造のものも好ましい。
【0025】
前記液晶材料としては、上記のごとき低分子液晶物質及び/又は高分子液晶物質にカイラル剤を配合又は光学活性単位を導入したものが、所望のらせん構造を有するスメクチック液晶相を呈するうえで好ましい。例えばスメクチックC相、スメクチックI相、スメクチックF相等を呈する液晶物質に、カイラル剤を配合するか、または光学活性単位を当該液晶物質に導入することにより、キラルスメクチックC相、キラルスメクチックI相、キラルスメックチックF相等の、よりらせん構造を呈しやすいキラルスメクチック相を呈しうる液晶物質とすることができる。このようなカイラル剤の配合量、光学活性単位の導入量、光学純度、配向させる際の温度条件等を適宜調節することによって、らせんピッチを調節することができ、さらにはフィルムの特性、例えば回折素子として用いる場合には回折角度を、選択反射素子として用いる場合には、選択反射波長を調節することができる。
【0026】
らせん構造が右らせんになるか左らせんになるかは、使用するカイラル剤や光学活性単位の掌性に依存するので、どちらの掌性のものを選択するかで右らせん、左らせんいずれの構造のものも作製することができる。
【0027】
前記配向が固定化された液晶フィルムとしては、具体的には、(A)らせん構造を有するスメクチック液晶相を呈する液晶材料を、ガラス転移温度以上の温度においてらせん構造で配向させた後、冷却してガラス状態とし、当該液晶相の配向を固定化してなるフィルム、又は(B)らせん構造を有するスメクチック液晶相を呈する液晶材料を、当該液晶材料が前記液晶相を呈する温度においてらせん構造で配向させた後、当該配向を保持したまま重合し、前記液晶相の配向を固定化してなるフィルム等を挙げることができる。
【0028】
前記(A)のフィルムを形成する液晶材料としては、前記高分子液晶物質を主成分とする液晶材料等の、ガラス転移温度以上の温度において所望のらせん構造を形成し、冷却することによってガラス状態となりうる液晶材料を用いることができる。通常上記のような性質を有する高分子液晶物質を主成分とする液晶材料が好適に用いられる。
【0029】
また前記(B)のフィルムを形成する液晶材料としては、紫外光や可視光、電子線、熱等によって反応しうる置換基を有する物質を含むものを用いることができる。前記置換基としては、ビニル基、アクリル基、メタクリル基、ビニルエーテル基、シンナモイル基、アリル基、アセチレニル基、クロトニル基、アジリジニル基、エポキシ基、イソシアネート基、チオイソシアネート基、アミノ基、水酸基、メルカプト基、カルボン酸基、アシル基、ハロカルボニル基、アルデヒド基、スルホン酸基、シラノール基等を挙げることができ、好ましくはこれらのうち多重結合を有する基やエポキシ基、アジリジニル基等を挙げることができ、より好ましくはアクリル基、メタクリル基、ビニル基、ビニルエーテル基、エポキシ基、シンナモイル基等を挙げることができる。これら置換基は前記液晶物質及び/又は非液晶物質及び/又は添加剤の1種以上のいずれに含まれていても良く、2種以上の物質の場合、同種及び/又は異種の置換基が含まれていてもよい。また、1種類の物質中に同種及び/又は異種の置換基が2つ以上含まれていてもよい。
【0030】
本発明の液晶フィルムは、前記らせん構造のらせん軸方位がフィルム平面に対し傾いていることを特徴とする。
【0031】
前記らせん軸方位と前記フィルム平面とがなす角(以下「傾き角度」という。)は、通常、絶対値として1度〜85度、好ましくは1度〜50度、さらに好ましくは1度〜30度とすることができる。傾き角度が1度未満の場合、らせん軸方位がフィルム平面とほぼ平行にある配向状態とほぼ同等の効果しか得ることができず、また85度を越える場合にはフィルム平面に対してほぼ垂直方向にある配向状態とほぼ同等の効果しか得られないおそれがあるため好ましくない。
【0032】
本発明の液晶フィルム中のらせん軸方位は、フィルム内において均一でも良く、フィルム内において均一でなく異なっていても良い。具体的には、膜厚方向に一定の傾き角度を有するらせん軸方位をもったフィルムや、らせん軸方位が膜厚方向に変化したフィルム等とすることができる。即ち、フィルム内において、傾き角度が、フィルム表面からの距離に拘わらず一定であってもよく、フィルム表面からの距離に応じて傾き角度が異なったものであってもよい。
【0033】
膜厚方向にらせん軸方位が変化した液晶フィルムにおける、変化の態様としては連続的増加、連続的減少、間欠的増加、間欠的減少、連続的増加と連続的減少を含む変化、若しくは増加及び減少を含む間欠的変化等を挙げることができる。ここで間欠的変化とは、厚さ方向の途中で傾き角度が変化しない領域を含んでおり、段階的な変化となっているものである。
【0034】
またらせん軸の向きが、微視的には配向性を持った配向領域(ドメイン)で構成され、巨視的にはらせん軸が様々な向きのマルチドメイン相でも良いし、全て同一方向にそろったモノドメイン相でも良い。更にはらせん構造を形成する部分はフィルムの全面であっても良いし、一部であっても良い。
【0035】
本発明の液晶フィルムの全光線透過率は、通常40%以上、好ましくは60%以上、特に好ましくは80%以上である。全光線透過率が40%より低い場合、得られる光学素子としての効果、例えば回折効果が低下するといった恐れがある。
【0036】
本発明の液晶フィルム中のらせんピッチは、特に限定されないが、0.2〜20μmが好ましく、0.3〜10μmがより好ましい。また、らせんピッチはフィルム内で一定でも良いが、フィルム内の場所により異なっていても良く、連続的に変化していても良い。前記らせんピッチは、本発明の液晶フィルムの製造にあたり、温度などの配向条件を調節したり、光学活性部位の光学純度、光学活性物質の配合割合等を調節すること等の公知の方法により、容易に調整できる。
【0037】
本発明の液晶フィルムの製造方法は、特に限定されないが、液晶材料を2つの界面の間に展開し、前記液晶材料を、らせん軸方位が前記界面に対し傾いたらせん構造を有するスメクチック液晶相に配向させた後、当該液晶相の配向を固定化することにより形成させることができる。ここで、配向を固定化する方法としては、(A)らせん構造を有するスメクチック液晶相を呈する液晶材料を、ガラス転移温度以上の温度においてらせん構造で配向させた後、冷却してガラス状態とする方法;又は(B)らせん構造を有するスメクチック液晶相を呈する液晶材料を、当該液晶材料が前記液晶相を呈する温度においてらせん構造で配向させた後、当該配向を保持したまま重合する方法等が挙げられる。
【0038】
前記液晶材料を展開するための2つの界面としては、特に制限はなく、気相界面、液相界面又は固相界面のいずれをも用いることができる。また同一の2つの界面を用いてもよく、さらには異なる界面を組み合わせて用いることもできる。但し得られる製品の実用性、及び製造の容易さの観点から、2つの固相界面を使用するか、固相界面と気相界面との組合せとすることが望ましい。
【0039】
前記気相界面としては、空気界面、窒素界面等を挙げることができる。前記液相界面としては、水、有機溶剤、液体状の金属、他の液晶、溶融状態の高分子化合物等を挙げることができる。前記固相界面としては、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリケトンサルファイド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアリレート、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ-4-メチルペンテン-1樹脂、トリアセチルセルロースなどのセルロース系プラスチックス、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、高分子液晶などのプラスチックフィルム基板;アルミ、鉄、銅などの金属基板;青板ガラス、アルカリガラス、無アルカリガラス、ホウ珪酸ガラス、フリントガラス、石英ガラス等のガラス基板;セラミック基板等の各種基板;シリコンウエハー等の各種半導体基板等を挙げることができる。また、上記基板上に他の被膜、例えばポリイミド膜、ポリアミド膜、ポリビニルアルコール膜等有機膜を設けたもの、若しくは酸化珪素等の斜め蒸着膜を設けたもの、ITO(インジウム−錫酸化物)等の透明電極を形成したもの、金、アルミニウム、銅等の金属膜を蒸着やスパッタ等により形成したもの、更には各種半導体素子、例えばアモルファスシリコンの薄膜トランジスタ(TFT)等も挙げることができる。
【0040】
また、これらの基板は、必要に応じて配向処理を施してから用いることができる。配向処理を施した基板を用いた場合、得られる液晶フィルム中のらせん軸の向きを基板の配向処理の方向に規定された一定の方向とすることができるが、らせん軸の向きは必ずしも基板の配向処理の方向と一致するとは限らず、若干ずれる場合がある。尚、配向処理を施さない基板を用いた場合、得られる液晶フィルムは、各ドメインのらせん軸の向きがランダムであるマルチドメイン相となる場合もあるが、その場合でも所望の効果を得ることができる。
【0041】
前記基板の配向処理としては、特に限定されないが、ラビング法、斜方蒸着法、マイクログルーブ法、延伸高分子膜法、LB(ラングミュア・ブロジェット)膜法、転写法、光照射法(光異性化、光重合、光分解等)、剥離法等が挙げられる。特に、製造工程の容易さの観点から、ラビング法、光照射法が好ましい。らせん軸をフィルム面に対し傾斜させるためには、上記配向処理を行い、基板にプレチルトを発現させることができるようにすることが好ましい。
【0042】
また、配向処理を行った基板を用いなくても、界面間に展開した液晶材料に磁場や電場、ずり応力、流動、延伸、温度勾配等を作用させることによっても得られる液晶フィルム中のらせん軸の向きを一定の方向とすることができる。
【0043】
前記液晶材料を前記界面の間に展開する方法としては、特に限定されず、公知の各種方法を用いることができる。例えば、2枚の前記基板を界面として用い、その間に前記液晶材料を添加する場合であれば、2枚の前記基板を用いてセルを作成し、そのセルに前記液晶材料を注入するか、又は前記液晶材料を2枚の前記基板でラミネートすることにより、展開することができる。
【0044】
また、1枚の基板と気相とを界面として用いる場合であれば、基板上に、液晶材料を直接塗布する又は適当な溶媒に溶解し溶液とした前記液晶材料を塗布することにより展開することが望ましい。特に、製造工程の容易さの観点から、溶液の塗布により展開することが望ましい。前記溶媒としては、前記液晶材料の種類、組成等に応じて適宜適切なものを選択することができるが、通常はクロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オルソジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類、フェノール、パラクロロフェノールなどのフェノール類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、1、2−ジメトキベンゼンなどの芳香族炭化水素類、イソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルコール類、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等のグリコールエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ピリジン、トリエチルアミン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ブチロニトリル、二硫化炭素、及びこれらの混合溶媒などが用いられる。
【0045】
また前記溶媒には、溶液の表面張力を調整し、塗工性を向上させるなどために、必要に応じて界面活性剤を添加しても良い。
【0046】
前記溶液中の前記液晶材料の濃度は、用いる液晶材料の種類や溶解性、製造する液晶フィルムの膜厚等に応じて適宜調節することができるが、通常3〜50重量%、好ましくは5〜30重量%の範囲とすることができる。
【0047】
前記塗布の方法は、特に限定されないが、スピンコート法、ロールコート法、プリント法、浸漬引き上げ法、カーテンコート法、マイヤーバーコート法、ドクターブレード法、ナイフコート法、ダイコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、オフセットグラビアコート法、リップコート法、スプレーコート法等を用いることができる。塗布後、必要に応じて溶媒を除去し、前記液晶材料を、前記基板上の均一な層として展開することができる。
【0048】
前記展開した液晶材料を、らせん軸方位が界面に対し傾いているらせん構造を有するスメクチック液晶相に配向させる方法は、特に限定されないが、前記液晶材料がらせん構造を有するスメクチック液晶相をとりうる温度において展開を行った場合、展開と同時に所望の液晶相が得られる場合がある。また、展開された液晶材料を一度、らせん構造を有するスメクチック液晶相よりも高い温度で発現する相、例えばスメクチックA相、キラルネマチック相、等方相等から、らせん構造を有するスメクチック液晶相が発現する温度に冷却することにより配向させ、らせん軸方位が界面に対し傾いているらせん構造を有するスメクチック液晶相とすることもできる。但し、いずれの場合であっても、続く固定化の工程を前記方法(A)により行うときは、液晶材料のガラス転移点以上の温度において配向させる。
【0049】
また、この際、必要に応じて、らせん軸方位を特定の方向に制御することができる。この制御は、例えば、前記界面として、前記配向処理を施した1枚以上の基板を使用することにより行うことができる。界面として2枚の基板を用いる場合は、そのうち1枚のみに配向処理が施されていても良く、2枚とも配向処理が施されていても良い。
【0050】
具体的に例えば、前述の前記液晶材料を注入するためのセルとしてラビングポリイミドガラス等を2枚用いて液晶材料のらせんのほどけない厚膜セルとしたものを用いることにより、らせん軸方位を特定方向とすることができる。また、2枚の配向処理をしたプラスチックフィルム等で前記液晶材料をラミネートすることでも、らせん軸方位を特定方向とすることができる。これらの場合、2枚の基板の配向処理の方向を反平行(配向処理方向が逆。例えばラビング処理の場合、ラビング方向が逆。)にするとらせん軸が基板に対し一様に傾いた構造が得られ、平行(配向処理方向が同一)にすると液晶フィルムの膜厚方向の途中でらせん軸の傾きが変わったもの等も得ることができる。
【0051】
また前述したように、配向処理を行った基板を用いなくても、界面上に展開した液晶材料はらせん軸の向きが一定となる場合もあるし、磁場や電場、ずり応力、流動、延伸、温度勾配等を作用させることによっても得られる液晶フィルム中のらせん軸の向きを一定の方向とすることができる。
【0052】
前記液晶材料の配向の固定化は、前記方法(A)又は前記方法(B)等により行うことができる。
【0053】
前記方法(A)では、ガラス転移温度以上の温度において、前記の方法等により、らせん軸方位がフィルム平面に対し傾いているらせん構造を有するスメクチック液晶相に配向させた前記液晶材料を、冷却し、液晶材料がガラス状態となる温度まで降温させることにより、前記液晶材料を、結晶状態とすることなく、ガラス状態として配向を固定化することができる。冷却の手段は、特に制限はなく、展開又は配向の工程における加熱雰囲気中からガラス転移点以下の雰囲気中、例えば室温中に出すだけで固定化に十分な所望の冷却を行うことができる。また、生産の効率等を高めるために、空冷、水冷等の強制冷却を行ってもよい。
【0054】
前記方法(B)では、らせん軸方位がフィルム平面に対し傾いているらせん構造を有するスメクチック液晶相に配向させた前記液晶材料を、該配向を保持したまま重合させる。重合法としては特に制限はないが、熱重合や光重合、γ線等の放射線重合、電子線重合、重縮合、重付加等の反応を用いることができる。中でも反応制御が容易で、製造上有利な可視光や紫外光を利用した光重合あるいは電子線重合を利用することが好ましい。
【0055】
本発明の光学素子は、前記本発明の液晶フィルムを少なくとも含む。
【0056】
具体的には、前記液晶フィルムを、そのまま、又は必要に応じて適宜加工することにより本発明の光学素子とすることができる。例えば、基板上に液晶フィルムを形成した場合、この液晶フィルムを剥離して光学素子とすることもできるし、基板上に形成したそのままの状態で光学素子とすることもできるし、また基板とは異なる別の基板に液晶フィルムを積層して光学素子とすることもできる。また、同じ又は異なる性質を有するフィルムを複数層設けた光学素子とすることもできる。
【0057】
前記別の基板は特に限定されず、例えばポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリケトンサルファイド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアリレート、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ-4-メチルペンテン-1樹脂、トリアセチルセルロース等のセルロース系プラスチックス、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等のプラスチック基板や前記ガラス基板、セラミック基板、紙、金属板、また、偏光板、位相差板、反射板、拡散板等の他の光学素子が使用できる。本発明の液晶フィルムは、配向処理が施された基板を用いてらせん軸の向きを一定方向に規定した液晶フィルムを得た後に配向処理が施された基板を除去しても、配向乱れなどを起こさずに、らせん軸の向きが規定されたままの素子として使用することができる。
【0058】
また、表面保護、強度増加、環境信頼性向上等の目的のために上述した透明プラスチックフィルム等の保護層やハードコート層等を必要に応じて前記配向が固定化された液晶フィルム上等に設けることもできる。
【0059】
本発明の光学素子に光を入射させると、液晶フィルム中のらせん構造の態様等に応じて、複屈折性、旋光性、偏光分離特性、導波路、選択反射、回折等の特性、あるいはそれらが複合された特性を得ることができる。したがって、本発明の光学素子は、これらの性質を利用し、複屈折性素子、旋光素子、偏光分離素子、導波路素子、選択反射素子、回折素子等あるいはそれらが複合された素子等の様々な光学素子とすることができる。
【0060】
特に本発明の光学素子はらせん軸方位がフィルム平面に対し傾いているため、回折素子として使用する場合、垂直入射光に対する同次数の2本の回折光の角度が異なるという特徴を有する。また、特定の次数の回折光強度を大きくすることができる。
【0061】
【発明の効果】
本発明の液晶フィルムは、らせん軸方位がフィルム平面に対し傾いているらせん構造を有するスメクチック液晶相の配向が固定化された液晶フィルムであるため、らせんピッチやフィルムの膜厚等のパラメータを自在に設定でき、しかもこれらのパラメータを安定な状態で保持することができる。従って、耐熱性、耐衝撃性、耐薬品性が高く、高強度且つ軽量であり、寸法安定性が良好といった特徴を有し、低コストで大面積製造可能な、らせん軸が素子平面に対し平行な素子とは異なる光学的特性を有する液晶フィルムとして用いることができる。
【0062】
本発明の光学素子は前記液晶フィルムを少なくとも含むため、複屈折性、旋光性、偏光分離特性、選択反射特性、回折特性等の様々な性質を自在に且つ安定な状態で設定することができ、しかもこれらのパラメータを安定な状態で保持することができる。従って、耐熱性、耐衝撃性、耐薬品性が高く、高強度且つ軽量であり、寸法安定性が良好といった特徴を有し、低コストで大面積製造可能で、且つ取り扱い性が容易で他の系への組込も極めて容易な、らせん軸が素子平面に対し平行な素子とは異なる光学的特性を有する液晶フィルムとして、光学分野、光エレクトロニクス分野、液晶表示分野、セキュリティー分野、意匠用途等において有用である。
【0063】
【実施例】
以下実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0064】
なお実施例において、固有粘度の測定、液晶相系列の決定、屈折率の測定、膜厚測定、全光線透過率測定並びに1次回折光の観察及び回折角の測定は、以下の方法に従って行った。
(1)固有粘度の測定
ウベローデ型粘度計を用い、フェノール/テトラクロロエタン(60/40重量比)混合溶媒中、30℃で測定した(0.5g/dL)。
(2)液晶相系列の決定
DSC(Perkin Elmer DSC−7)測定および光学顕微鏡(オリンパス光学(株)製BH2偏光顕微鏡)観察により決定した。
(3)屈折率の測定
アッベ屈折計(アタゴ(株)製Type−4)により屈折率を測定した。
(4)膜厚測定
日本真空技術(株)製表面形状測定装置Dektak 3030ST型を用いた。また、干渉波測定(日本分光(株)製 紫外・可視・近赤外分光光度計V−570)と屈折率のデータから膜厚を求める方法も併用した。
(5)全光線透過率測定
ガードナー社製ヘイズガードプラスを用いて測定した。
(6)1次回折光の観察及び回折角の測定
He−Neレーザー光(波長λ=632.8nm)をサンプルに垂直に照射して1次回折光を観察し、またその回折角を求めた。
【0065】
【実施例1】
4,4’−ビフェニルジカルボン酸ジメチル 200mmol、(R)−2−メチル−1,4−ブタンジオール(enantiomeric excess、e.e.=50.0%) 120mmol、1,6−ヘキサンジオール 80mmol、および触媒としてオルトチタン酸テトラ−n−ブチルを用い、220℃で2時間、溶融重合することにより液晶性ポリエステルを合成した(固有粘度 0.18dL/g)。
【0066】
この液晶性ポリエステルの10wt%のテトラクロロエタン溶液を調製し、これをラビング処理を施したポリイミド膜を有するポリフェニレンサルファイドフィルム基板上にスピンコート法により塗布し、ホットプレート上60℃で溶媒を除去した。次いで恒温槽中180℃で10分間熱処理してスメクチックA相で配向させた後、キラルスメクチックC相に配向する温度である120℃まで4℃/分で降温し、恒温槽から取り出して室温まで冷却し、液晶性ポリエステルの配向をガラス状態として固定化した。こうして得られた基板上の液晶性ポリエステルからなるフィルムを、トリアセチルセルロースフィルム上に接着剤を用いて転写し、さらに保護層としてオーバーコート層を設け、光学素子を作製した。該素子中のフィルムは、らせん構造を有するキラルスメクチックC相でガラス固定化されており、均一な膜厚(1.1μm)であった。偏光顕微鏡観察、膜断面の電子顕微鏡観察より、該フィルムに形成されたらせん構造のらせんピッチは約1.0μmであることがわかった。らせん軸は基板面に対し膜厚方向に約10度傾いており、その角度は膜厚方向で一定であった。また膜面内におけるらせん軸の方向は、ラビング方向と一致せず反時計回りに約10度ずれていた。このフィルムの全光線透過率を測定したところ、95%であった。また、このフィルムにHe−Neレーザーを照射するとスクリーン上に1次の回折スポットが2点観察され、その回折角は43及び37度であった。
【0067】
【実施例2】
4,4’−ビフェニルジカルボン酸ジメチル 200mmol、(R)−1,3−ブタンジオール(enantiomeric excess、e.e.=95.0%) 80mmol、1,5−ペンタンジオール 120mmol、および触媒としてオルトチタン酸テトラ−n−ブチルを用い、220℃で2時間、溶融重合することにより液晶性ポリエステルを合成した(固有粘度 0.20dL/g)。
【0068】
この液晶性ポリエステルの10wt%のN−メチル−2−ピロリドン溶液を調製し、これをラビング処理を施したPETフィルム基板上にスピンコート法により塗布し、ホットプレート上60℃で溶媒を除去した。次いで恒温槽中120℃で10分間熱処理した後、恒温槽から取り出して室温まで冷却し、液晶性ポリエステルの配向をガラス状態として固定化した。
こうして得られた基板上の液晶性ポリエステルからなるフィルムに、さらに保護層としてオーバーコート層を設け、光学素子を作製した。該素子中のフィルムは、らせん構造を有するキラルスメクチックCA相でガラス固定化されており、均一な膜厚(1.2μm)であった。偏光顕微鏡観察、膜断面の電子顕微鏡観察より、該フィルムに形成されたらせん構造のらせんピッチは約0.8μmであることがわかった。らせん軸は基板面に対し膜厚方向に約5度傾いており、その角度は膜厚方向で一定であった。また膜面内におけるらせん軸の方向は、ラビング方向と一致せず時計回りに約10度ずれていた。このフィルムの全光線透過率を測定したところ、95%であった。また、このフィルムにHe−Neレーザーを照射するとスクリーン上に1次の回折スポットが2点観察され、その回折角は56及び50度であった。
【0069】
【実施例3】
【0070】
【化1】
Figure 0004291914
【0071】
上記2官能性低分子液晶(1)と単官能性キラル液晶(2)、ラセミ体の単官能性液晶(3)との10:80:10(重量比)混合物の15重量%、光重合開始剤としてイルガキュアー907(商品名、チバ・スペシャリティーケミカルズ製)を0.2重量%、増感剤としてカヤキュアーDETX(商品名、日本化薬製)0.02重量%、及び界面活性剤としてメガファックF−144D(商品名、大日本インキ製)0.05重量%を含むγ−ブチロラクトン溶液を調製した。当該溶液をラビング処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)基板上にスピンコート法により塗布し、60℃で溶媒を除去した。次いで恒温槽中で100℃で3分間熱処理し、スメクチックA相で配向させた後、キラルスメクチックC相に配向する温度である60℃まで5℃/分で降温し、さらに60℃で3分熱処理した。その際、窒素置換して、酸素濃度を3%以下にした。その後、60℃のまま120W/cmの高圧水銀灯を有する紫外線照射装置を用いて800mJ/cm2の照射エネルギーで光重合させることにより、当該液晶材料の配向を固定化した。こうして得られたPET基板上のフィルムは、らせん構造を有するキラルスメクチックC相で固定化されており、均一な膜厚(1.2μm)であった。偏光顕微鏡観察、膜断面の電子顕微鏡観察より該フィルムに形成されたらせん構造のらせんピッチは約1.3μmであることが分かった。らせん軸は基板面に対し膜厚方向に約5度傾いており、その角度は膜厚方向で一定であった。また膜面内におけるらせん軸の方向はラビング軸と一致せず、反時計回りに約13度ずれていた。
【0072】
このフィルムの全光線透過率を測定したところ、93%であった。また、このフィルムにHe−Neレーザーを照射するとスクリーン上に1次の回折スポットが2点観察され、その回折角は30度及び28度であった。

Claims (8)

  1. らせん構造を有するスメクチック液晶相の配向が固定化された液晶フィルムにおいて、前記らせん構造のらせん軸方位がフィルム平面に対し傾いていることを特徴とする液晶フィルム。
  2. 前記らせん軸方位と前記フィルム平面とのなす角が1度〜85度であることを特徴とする請求項1記載の液晶フィルム。
  3. 前記液晶フィルムの全光線透過率が40%以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の液晶フィルム。
  4. 前記液晶フィルムが、らせん構造を有するスメクチック液晶相を呈する液晶材料を、ガラス転移温度以上の温度においてらせん構造で配向させた後、冷却してガラス状態とし、当該液晶相の配向を固定化してなる液晶フィルムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の液晶フィルム。
  5. 前記液晶フィルムが、らせん構造を有するスメクチック液晶相を呈する液晶材料を、当該液晶材料が前記液晶相を呈する温度においてらせん構造で配向させた後、当該配向を保持したまま重合し、前記液晶相の配向を固定化してなる液晶フィルムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の液晶フィルム。
  6. 前記スメクチック液晶相が、キラルスメクチックC相であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1記載の液晶フィルム。
  7. 前記スメクチック液晶相が、キラルスメクチックCA相であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の液晶フィルム。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項記載の液晶フィルムを少なくとも含む光学素子。
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