JP2000310363A

JP2000310363A - 樹脂チューブ

Info

Publication number: JP2000310363A
Application number: JP11058797A
Authority: JP
Inventors: Tsunemi Yoshioka; 常己吉岡; Shoji Miyata; 尚司宮田; Shigeo Yoshii; 茂雄吉井; Yasuhisa Mizuno; 靖久水野
Original assignee: Hanshin Kasei Kogyo Co Ltd
Current assignee: Hanshin Kasei Kogyo Co Ltd
Priority date: 1999-02-26
Filing date: 1999-03-05
Publication date: 2000-11-07

Abstract

(57)【要約】【課題】耐熱性、耐薬品性に優れ且つ焼却処理を含む
廃棄処理の容易な樹脂チューブを提供する。【解決手段】樹脂チューブ（１）は、外側層（２）と
内側層（３）の２層に層構成される。外側層（２）は、
ＭＦＲ０．１〜１．５で且つ密度０．９４０〜０．９７
０のポリエチレン、または、ＭＦＲ０．２〜１０で且つ
密度０．９２５〜０．９４０の低密度ポリエチレン若し
くは線状低密度ポリエチレンによって構成され、内側層
（３）は、メタロセン触媒によって得られた密度０．８
６０〜０．９１０のメタロセンポリエチレン又は当該メ
タロセンポリエチレンを５０重量％以上含むポリエチレ
ンによって構成される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、樹脂チューブに関する
ものであり、詳しくは、耐熱性、耐薬品性に優れ、か
つ、焼却処理を含む廃棄処理の容易な２層構造の樹脂チ
ューブに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】流体移送用の柔軟な樹脂チューブは、継
手などに対する接続や長さの加工が極めて簡便であるた
め、医療用の管、理化学実験用のチューブ、産業用ある
いは家庭用の簡易配管材などとして広く使用されてい
る。樹脂チューブは、適度な弾性と剛性が必要であり、
また、製造コストを低減するため、通常、ビニル系樹
脂、ナイロン系樹脂などによって製造される。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の樹脂
チューブは、例えば、医療器具に適用せんとした場合、
加熱滅菌に耐え得るだけの耐熱性がなく、また、継手な
どに長期間に渡って接続していた場合など、環境温度に
よって塑性変形する。更に、薬品によって変質し易いと
言う問題もある。しかも、素材によっては、公害防止の
観点から、簡単に焼却処理できないと言う問題もある。
本発明は、斯かる実情に鑑みてなされたものであり、そ
の目的は、耐熱性、耐薬品性に優れ、かつ、焼却処理を
含む廃棄処理の容易な樹脂チューブを提供することにあ
る。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明の樹脂チューブは、外側層と内側層の２層に
層構成された樹脂チューブであって、外側層は、ＭＦＲ
０．１〜１．５で且つ密度０．９４０〜０．９７０のポ
リエチレン、または、ＭＦＲ０．２〜１０で且つ密度
０．９１８〜０．９４０の低密度ポリエチレン若しくは
線状低密度ポリエチレンによって構成され、内側層は、
メタロセン触媒によって得られた密度０．８６０〜０．
９１０のメタロセンポリエチレン又は当該メタロセンポ
リエチレンを５０重量％以上含むポリエチレンによって
構成されていることを特徴とする。

【０００５】すなわち、上記の樹脂チューブにおいて、
準剛性の外側層は、柔軟な内側層を補完し、チューブ全
体の形状を保持する。そして、各特定のポリエチレンに
よって構成された外側層および内側層は、高い耐熱性を
発揮し、内側層は、優れた耐薬品性を発揮する。しか
も、ポリエチレンで構成された外側層および内側層は、
焼却した場合に毒性物質を生成することがない。

【０００６】また、上記の樹脂チューブにホース継手な
どを相対的に挿入した場合、準剛性の外側層によって柔
軟な内側層が被覆された構造は、継手の挿入部に対し、
内側層における密着性と弾性を発現させる。

【０００７】

【発明の実施の形態】本発明に係る樹脂チューブの実施
形態を図面に基づいて説明する。図１は、樹脂チューブ
の層構成を示す図であり、軸線に沿った一部破断の断面
図である。図２は、継手に接続した樹脂チューブの内側
層の変形状態を示す一部破断の断面図である。

【０００８】本発明の樹脂チューブは、図１に符号
（１）で示す様に、外側層（２）と内側層（３）の２層
に層構成された可撓性、柔軟性を有する樹脂チューブで
ある。樹脂チューブ（１）は、医療用の輸液管、輸液セ
ットのチューブ、かん腸用チューブ、カテーテルの素
材、理化学実験用のチューブ、あるいは、産業用空圧機
器のエアー配管、水用の配管、各種の保護管や案内管な
どの簡易配管材として使用される。

【０００９】樹脂チューブ（１）の外側層（２）は、主
に形状を保持するに足る程度の剛性を備え、かつ、上記
の各用途に適用した場合にある程度の内圧および外圧に
対して弾性変形し、しかも、焼却時に毒性物質を生成し
ない材料で構成される。すなわち、本発明において、外
側層（２）の材料としては、フィリップス触媒または多
段チーグラー触媒を用いて得られる樹脂であって、ＭＦ
Ｒ（メルトフローレート）が０．１〜１．５で且つ密度
が０．９４０〜０．９７０のポリエチレン、または、Ｍ
ＦＲが０．２〜１０で且つ密度が０．９１８〜０．９４
０の低密度ポリエチレン若しくは線状低密度ポリエチレ
ンが使用される。

【００１０】また、内側層（３）は、耐熱性および耐薬
品性を備え、かつ、継手などに対して形状追従性を発揮
し、しかも、焼却時に毒性物質を生成しない材料で構成
される。すなわち、本発明において、内側層（３）の材
料としては、メタロセン触媒（シングルサイト触媒）を
使用した気相法、液相法または溶液法によって得られる
樹脂であって、密度が０．８６０〜０．９１０のポリエ
チレン（以下、適宜「メタロセンポリエチレン」と言
う。）または、当該メタロセンポリエチレンを５０重量
％以上含むポリエチレンが使用される。

【００１１】上記メタロセン樹脂は、非常にシャープな
分子量分布（例えばＭｗ／Ｍｎ＝２〜３．５）及び非常
にシャープな組成分布を有する極めて均質なポリマーで
あり、柔軟性と耐薬品性に優れており、しかも、外側層
（２）を構成するポリエチレンとの溶着力が高いという
特性を有する。また、メタロセン樹脂が５０重量％以上
の割合で混合されたポリエチレン、例えば、メタロセン
樹脂が９０〜６０重量％、通常の低密度ポリエチレンが
１０〜４０重量％の割合で混合されたポリエチレンを使
用した場合は、成形性を一層向上できる。

【００１２】本発明の樹脂チューブ（１）は、２層ダイ
構造の所謂サイジングフォーマーを使用した公知の押出
成形によって製造されるが、用途によって種々の寸法仕
様に設計される。例えば、樹脂チューブ（１）の外径
は、６〜１２ｍｍ程度、内径は、４〜９ｍｍ程度に設定
される。そして、適度な柔軟性、耐熱性および継手に対
する密着性などに関して好適な物性を得るため、樹脂チ
ューブ（１）の外側層（２）と内側層（３）の厚さは、
１０／９０〜４０／６０の比率で設定されるのが好まし
い。

【００１３】上記の様な本発明の樹脂チューブ（１）に
おいて、準剛性の外側層（２）は、柔軟な内側層（３）
を補完し、チューブ全体の形状を保持する。そして、各
特定のポリエチレンによって構成された外側層（２）及
び内側層（３）は、高い耐熱性を発揮し、特に、内側層
（３）は、優れた耐薬品性を発揮する。従って、医療用
の輸液チューブ等として使用する場合、加熱や薬品によ
る滅菌処理が容易にできる。しかも、ポリエチレンで構
成された外側層（２）及び内側層（３）は、焼却した場
合に毒性物質を生成することがない。従って、本発明の
樹脂チューブ（１）は、焼却処理を含め、簡単に廃棄処
理できる。

【００１４】また、本発明の樹脂チューブ（１）は、継
手に対して使用した場合、優れた気密性が得られる。具
体的には、本発明の樹脂チューブ（１）は、図２に示す
様に、例えば、所謂ホース継手などの汎用の継手（５）
に接続して使用される。すなわち、継手（５）の挿入部
（５ｃ）は、例えば、複数の拡径部をタケノコ状に配列
して構成されており、樹脂チューブ（１）は、その端部
へ挿入部（５ｃ）を相対的に挿入することにより接続さ
れる。

【００１５】その場合、樹脂チューブ（１）において、
準剛性の外側層（２）によって柔軟な内側層（１）が被
覆された構造は、挿入された継手（５）の挿入部（５
ｃ）に対し、内側層（３）における密着性と弾性を発現
させる。換言すれば、内側層（３）は、継手（５）の挿
入部（５ｃ）の凹凸に倣って変形し、外側層（２）は、
内側層（３）の外周側への変形を規制するため、本発明
の樹脂チューブ（１）は、継手などに対する形状追従性
と十分な締付力を発揮できる。勿論、挿入部がストレー
トで平滑な継手に対しても、同様に、十分な締付力を発
揮できる。従って、本発明の樹脂チューブ（１）を使用
した場合には、かしめ継手などの機械的な締付構造の継
手を使用しなくとも、簡単に配管できる。

【００１６】また、本発明の樹脂チューブ（１）は、耐
熱性に優れているため、常設の配管として長期間に渡っ
て使用した場合でも、環境温度による塑性変形が極めて
少なく、継手などに対する前述の様な密着性を長く維持
でき、漏れを防止できる。

【００１７】

【発明の効果】本発明の樹脂チューブによれば、高い耐
熱性と優れた耐薬品性を発揮するため、医療用の輸液チ
ューブ等として使用する場合など、加熱や薬品による滅
菌処理が容易である。しかも、焼却した場合に毒性物質
を生成することがないため、焼却処理を含め、簡単に廃
棄処理できる。また、本発明の樹脂チューブによれば、
ホース継手などに対して優れた気密性が得られるため、
簡単に配管できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】樹脂チューブの層構成を示す一部破断の断面図

【図２】継手に接続した樹脂チューブの内側層の変形状
態を示す一部破断の断面図

【符号の説明】

１：樹脂チューブ２：外側層３：内側層５：継手

フロントページの続き (72)発明者吉井茂雄富山県富山市小中163番地阪神化成工業株式会社内 (72)発明者水野靖久神奈川県川崎市川崎区千鳥町３−１日本ポリケム株式会社材料開発センター内Ｆターム(参考） 3H111 AA02 BA15 BA34 CB03 CB14 DA11 DA26 DB10 4F100 AK04A AK06A BA02 DA02 GB07 GB66 GB90 JA06A JA13A JA13B JB01 JJ03 JK01 JK06 JK07 JL00 JL08B YY00A YY00B

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】外側層と内側層の２層に層構成された樹
脂チューブであって、外側層は、ＭＦＲ０．１〜１．５
で且つ密度０．９４０〜０．９７０のポリエチレン、ま
たは、ＭＦＲ０．２〜１０で且つ密度０．９１８〜０．
９４０の低密度ポリエチレン若しくは線状低密度ポリエ
チレンによって構成され、内側層は、メタロセン触媒に
よって得られた密度０．８６０〜０．９１０のメタロセ
ンポリエチレン又は当該メタロセンポリエチレンを５０
重量％以上含むポリエチレンによって構成されているこ
とを特徴とする樹脂チューブ。