JP2000310098A - 多種断面シールド掘進機及び同機の機械式同期回転機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】安全で、経済的に多種類の断面形状のトンネル
を構築可能なマシンを提供すること。 【解決手段】円形断面Ａを掘削するメインカッターヘッ
ド５３の背面に、二つの円弧５７，５８で囲まれた形状
を持つサブカッターヘッド５４を配設し、メインカッタ
ーヘッドとサブカッターヘッドとを互いに逆方向に回転
させると共に、メインカッターヘッドとサブカッターヘ
ッドとの回転角速度比を所定の比に設定する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、上下水道、自動車
道、地下鉄、共同溝、或いは、河川、貯水などの地下ト
ンネルの構築、並びに、地下鉄駅、地下駐車場、地下貯
蔵施設などの地下大空間の構築に適用するための異形断
面シールド掘進機及び当該掘進機の機械式同期回転機構
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より近代的都市機能の充実のため
に、地下空間の効率的な築造が要請されている。このよ
うな要請により円形断面のシールド掘進機は、格段の進
歩を遂げ、今日に至っている。

【０００３】一方、近年になって角形や楕円形など、円
形断面以外の地下空間の必要性が高まり、これに対応す
べく、いろいろなシールド掘進機が開発され、実用に供
されるようになった。しかしながら、それぞれ、一長一
短があり、今後の研究開発が待たれている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
状況に鑑み、安全で、より経済的にいろいろな断面形状
のトンネルを構築可能なマシンを提供し、市民生活の快
適化と利便性の向上に役立つインフラストラクチュアー
の拡充に寄与しようとするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、請求項１に記載の発明に係る多種断面シールド掘進
機は、進行方向に対して直角方向に回転して円形断面を
掘削するメインカッターヘッドの外縁又は先端より内側
の後面で、メインカッターヘッドの中心を通る所定の方
位のうち、少なくとも一つの位置に、二つの円弧で囲ま
れた形状をもつサブカッターヘッドを配設し、メインカ
ッターヘッドとサブカッターヘッドとを互いに逆方向に
回転させると共に、メインカッターヘッドとサブカッタ
ーヘッドとの回転角速度比を所定の比に設定することを
特徴としている。

【０００６】請求項１に記載の発明によれば、メインカ
ッターヘッドによって円形断面を掘削した後、メインカ
ッターヘッドが掘り残した円形断面の外側をサブカッタ
ーヘッドによって補正掘削する。サブカッターヘッドの
回転方向は、メインカッターヘッドの回転方向と逆方向
であるが、メインカッターヘッドとサブカッターヘッド
との回転角速度比を所定の比に設定することにより、正
方形、楕円形、三角形、及びその他の多角形断面を掘削
できる。

【０００７】例えば、メインカッターヘッドとサブカッ
ターヘッドとの回転角速度比を１対２に設定することに
より、正方形断面を掘削できる。また、メインカッター
ヘッドとサブカッターヘッドとの回転角速度比を１対１
に設定することにより、楕円形断面を掘削することがで
きる。また、メインカッターヘッドとサブカッターヘッ
ドとの回転角速度比を２対３に設定することにより、三
角形断面を掘削することができる。

【０００８】また、請求項５に記載の発明に係る多種断
面シールド掘進機は、外側のメインシャフトによりメイ
ンカッターヘッドの回転力を付与し、内側のサブシャフ
トによりメインカッターヘッドの外縁又は先端より内側
の後面に取り付けたサブカッターヘッドの回転力を付与
する同一軸心を共有する内外二重構造からなるセンター
シャフトを装備することを特徴としている。

【０００９】このようなセンターシャフト方式の場合に
は、シールドジャッキによる推力又は地山からの圧力を
メインシャフトが全て受け持ち、メインカッターヘッド
の回転中心を通る軸心をもつサブカッターヘッドの回転
を司るシャフトに対しては推力又は圧力の影響が非常に
小さくなる。

【００１０】また、請求項６に記載の発明に係る多種断
面シールド掘進機は、周辺又は中間に配置した支柱によ
り支持され、駆動モーターから回転力を得た旋回ベアリ
ングにより回転するメインカッターヘッドの回転中心に
一致する軸心をもつシャフトを装備し、該シャフトを介
してメインカッターヘッドの外縁又は先端より内側の後
面に取り付けたサブカッターヘッドを回転するようにし
たことを特徴としている。

【００１１】このような周辺又は中間支持方式の場合に
は、シールドジャッキによる推力又は地山からの圧力を
支柱が受け持ち、メインカッターヘッドの回転中心を通
る軸心をもつサブカッターヘッドの回転を司るシャフト
に対しては推力又は圧力の影響が非常に小さくなる。

【００１２】一方、請求項７に記載の発明に係る多種断
面シールド掘進機における機械式同期回転機構は、駆動
モーターのシャフトに取り付けた二つのピニオンギアの
うち、一方のピニオンギアを介してメインカッターヘッ
ドの回転を行い、他方のピニオンギアを介してサブカッ
ターヘッドの回転を行い、これらのギア数とギア比とを
任意に設定してメインカッターヘッドとサブカッターヘ
ッドとを互いに反対方向に回転させ、且つ、所定の回転
角速度比を保つようにしたことを特徴としている。この
ような機械式同期回転機構にすることにより、累積誤差
は、零ないし極めて小さくなる。また、容易に修正する
ことができる。

【００１３】また、請求項８に記載の発明に係る多種断
面シールド掘進機における機械式同期回転機構は、駆動
モーターにより得られた外側のメインシャフトの回転力
の一部を該メインシャフトの後部に取り付けたギアを介
してサブシャフトの後部に取り付けたギアへ伝達し、こ
れらのギア数とギア比を任意に設定してメインカッター
ヘッドと反対方向にサブカッターヘッドを回転させ、且
つ、所定の回転角速度比を保つようにしたことを特徴と
している。このような機械式同期回転機構にすることに
より、累積誤差は、零ないし極めて小さくなる。また、
容易に修正することができる。

【００１４】また、請求項９に記載の発明に係る多種断
面シールド掘進機における機械式同期回転機構は、駆動
モーターのシャフトに取り付けたピニオンギアにより外
側の旋回ギアを旋回させると同時に、該ピニオンギアの
内側に配置したギアにも回転力を伝え、更に、旋回ギア
の旋回中心に一致するように装備したサブシャフトの後
部に装着したギアに伝達し、これらのギア数とギア比を
任意に設定してメインカッターヘッドとサブカッターヘ
ッドとを互いに反対方向に回転させ、且つ、所定の回転
角速度比を保つようにしたことを特徴としている。この
ような機械式同期回転機構にすることにより、累積誤差
は、零ないし極めて小さくなる。また、容易に修正する
ことができる。

【００１５】

【発明の実施の形態】以下、図面を参酌しながら本発明
の実施の形態について説明する。なお、この実施の形態
では、正方形断面のトンネルを掘削する土圧式のボック
スシールド掘進機について説明する。

【００１６】図１に示すように、このボックスシールド
掘進機５１は、掘進機本体５２の前方にメインカッター
ヘッド５３を備える一方、メインカッターヘッド５３の
後面に二つのサブカッターヘッド５４を備えている。

【００１７】図２に示すように、本体５２は、断面正方
形の筒形に形成され、メインカッターヘッド５３は、車
輪状に形成され、放射状に設けられた４本のスポーク５
５、及び外径が本体５２の一辺の寸法と同寸法のカッタ
ーリング５６から形成されている。一方、サブカッター
ヘッド５４は、二つの円弧状の側面５７，５８を持ち、
所謂翼形断面形状又は凸レンズ断面形状に形成されてい
る。

【００１８】ここで、一方の円弧状側面５７は、半径Ｒ
₁ の円弧の一部で形成され、他の一方の円弧状側面５８
は、半径Ｒ₂ の円弧の一部で形成されている。

【００１９】但し、 Ｒ₁ ＝Ｒ₂ ・・・・・ （１） であり、Ｒ₁ は、カッターリング５６の半径である。

【００２０】サブカッターヘッド５４の横幅ｗは、適
宜、設定されるが、サブカッターヘッドの横幅ｗがあま
り狭いと、正方形断面を掘削する時、コーナーの半径が
大きくなる。また、楕円形断面を掘削する時、円形に近
づく。また、三角形断面を掘削する時、頂点の半径が大
きくなる。逆に、サブカッターヘッドの横幅ｗがあまり
広いと、サブカッターヘッド５４の長さが長くなり、メ
インシャフトに当たったり、周辺支持又は中間支持の支
柱の配置が難しくなる。

【００２１】図１に示すように、本体５２の中心には、
芯鞘形のシャフト５９が設けられ、隔壁６０に固定され
ているボス部６１によって回転自在に支持されている。
このシャフト５９は、円筒状のメインシャフト６２及び
中実状のサブシャフト６３から形成されている。ボス部
６１の内側には、ダストシール６４及び軸受６５が設け
られている。

【００２２】隔壁６０の背面に取り付けられているケー
シング６６の後端板６７には、駆動モーター６８が取り
付けられている。この駆動モーター６８の回転軸６９に
は、メインピニオン７０及びサブピニオン７１が固定さ
れており、メインピニオン７０は、メインシャフト６２
に固定されているメインギア７２に噛合し、サブピニオ
ン７１は、後端板６７に取り付けたフリーギア７３を介
してサブシャフト６３に固定されているサブシャフトギ
ア７４に噛合している。

【００２３】従って、駆動モーター６８が回転すると、
メインシャフト６２とサブシャフト６３とは、互いに、
反対方向に回転する。ここで、メインシャフト６２、即
ち、メインカッターヘッド５３と、サブシャフト６３、
即ち、サブカッターヘッド５４との回転角速度比が１対
２に設定されている。図１中、符号７５は、メインシャ
フト６２を支持するコロ軸受を示している。

【００２４】上記サブカッターヘッド５４は、芯鞘形の
シャフト５９と平行に、かつ、メインカッターヘッド５
３に回転自在に設けた吊り下げシャフト７６の後端部に
取り付けられている。吊り下げシャフト７６の前端部の
傘歯車７７は、メインカッターヘッド５３のスポーク５
５内に配した動力伝動軸７８の外端部に設けた傘歯車７
９と噛合している。また、動力伝動軸７８の内端部に設
けた傘歯車８０は、サブシャフト６３の前端部に設けた
傘歯車８１に噛合している。

【００２５】メインカッターヘッド５３に取り付けた吊
り下げシャフト支持用のボス部８２の内側には、軸受８
３、及びダストシール８４が設けられている。更に、吊
り下げシャフト７６は、コロ軸受８５によってメインカ
ッターヘッド５３に支持されている。

【００２６】上記の例では、説明の都合上、サブカッタ
ーヘッド５３が二つの場合について説明したが、掘削断
面が大きい場合は、上下左右、即ち、サブカッターヘッ
ド５３を各スポーク５５に設けることが望ましい。

【００２７】また、上記の例では、動力伝動手段とし
て、傘歯車を用いたが、図３の例にならって傘歯車の代
わりにサブシャフト６３と吊り下げシャフト７６の回転
方向が変わらないように奇数個から成る平歯車を用いて
も差し支えない。

【００２８】また、図３に示すように、メインシャフト
６２の回転を動力伝動手段９０を用いてサブシャフト６
３に伝動させてもよい。即ち、メインシャフト６２の後
端部に固定したドーナツ盤状の補強板９１に補強板と同
形の中間板９２を介してドーナツ盤状のギア９３を設け
る一方、その後方にサブシャフト６３に固定したギア９
４を配設する。そして、メインシャフトのギア９３に噛
合するギア９５、及びサブシャフトのギア９４に噛合す
るギア９６を固定した回転軸９７をケーシング６６の後
端板６７に回転自在に取り付けるのである。

【００２９】図３に示すように、サブシャフト６３と吊
り下げシャフト７６の前端部に夫々ピニオン８６，８７
を設ける一方、その中間部に二つのフリーギア（平歯
車）８８，８９を配してサブシャフト６３の回転を吊り
下げシャフト７６に伝動させるのである。

【００３０】次に、図１及び図２に示すボックスシール
ド掘進機によって正方形断面のトンネルを掘削する場合
について説明する。この場合は、上述したように、メイ
ンカッターヘッド５３とサブカッターヘッド５４の回転
角速度比が１対２に設定されているから、駆動モーター
６８が回転すると、メインカッターヘッド５３が時計方
向に１回転する間に、サブカッターヘッド５４が、メイ
ンカッターヘッド５３と一緒に時計方向に回転しながら
反時計方向に２回自転する。

【００３１】従って、図４に示すように、円形のメイン
カッターヘッド５３によって円形断面Ａを掘削した後、
メインカッターヘッド５３が掘り残した四隅部の三角形
のコーナー部分Ｂを翼形断面形状のサブカッターヘッド
５４が補正掘削して正方形断面Ｃにする。

【００３２】即ち、図４に示すように、円形のメインカ
ッターヘッド５３が、時計方向に半回転して符号０の位
置から符号２４の位置に達する間に、翼形断面形状又は
凸レンズ断面形状のサブカッターヘッド５４は、メイン
カッターヘッド５３と一緒に時計方向に回転しながら、
符号ａ，ｂ，ｃ，ｄ，ｅで示すように反時計方向に１回
自転し、円形のメインカッターヘッド５３が掘り残した
右側の二つの三角形のコーナー部分Ｂを補正掘削する。

【００３３】更に、メインカッターヘッド５３が、時計
方向に半回転すると、サブカッターヘッド５４は、メイ
ンカッターヘッド５３によって符号２４の位置から符号
０の位置に移動する間に反時計方向に１回自転し、左側
の二つの三角形のコーナー部分Ｂを補正掘削する。従っ
て、ボックスシールド掘進機５１によって正方形断面Ｃ
のトンネルを掘削することができる。

【００３４】ところで、サブカッターヘッド５４の吊り
下げシャフト７６をメインカッターヘッド５３の外縁又
は先端寄りに移すと、図５に示すように、サブカッター
ヘッド５４による補整掘削代Ｄが大きくなり、各辺ａが
大きな円弧の一部からできている略正方形断面Ｃ’のト
ンネルを掘削することができる。また、サブカッターヘ
ッド５４の横幅ｗを広くしても、より大きな断面形状の
トンネルを掘削することができる。また、このボックス
シールド掘進機５１を横又は縦方向に連接することによ
り、横又は縦長の長方形断面のトンネルを掘削すること
ができる。

【００３５】次に、楕円形シールド掘進機によって楕円
形断面のトンネルを掘削する場合について説明する。

【００３６】この場合は、図６に示すように、楕円形の
本体５２ａをもつ楕円形シールド掘進機５１ａを使用す
る。その他の部分は、ボックスシールド掘進機５１のも
のと変わりがないため、同じ部品には同じ符号を付けて
詳細な説明を省略することとする。

【００３７】この場合は、メインカッターヘッド５３と
サブカッターヘッド５４との回転角速度比が１対１に設
定されているから、駆動モーター６８が回転すると、メ
インカッターヘッド５３が時計方向に１回転する間に、
サブカッターヘッド５４が、メインカッターヘッド５３
と一緒に時計方向に回転しながら反時計方向に１回自転
する。

【００３８】従って、図７に示すように、円形のメイン
カッターヘッド５３によって円形断面Ａを掘削した後、
メインカッターヘッド５３が掘り残した両側の三日月形
の部分Ｅを翼形断面形状のサブカッターヘッド５４が補
正掘削して楕円形断面Ｆにする。

【００３９】即ち、図７に示すように、円形のメインカ
ッターヘッド５３が時計方向に１回転して符号０の位置
から符号０の位置に戻る間に、翼形断面形状又は凸レン
ズ断面形状のサブカッターヘッド５４は、符号ａ，ｂ，
ｃ，ｄ，ｅ，ｆ，ｇ，ｈ，ｉで示すように、時計方向に
回転しながら反時計方向に１回自転し、円形のメインカ
ッターヘッド５３が掘り残した二つの三日月形の部分Ｅ
を補正掘削する。

【００４０】従って、楕円形シールド掘進機５１ａによ
って楕円形断面Ｆのトンネルを掘削することができる。
次に、三角形シールド掘進機によって三角形断面のトン
ネルを掘削する場合について説明する。

【００４１】この場合は、図８に示すように、三角形の
本体５２ｂをもつ三角形シールド掘進機５１ｂを使用す
る。その他の部分は、ボックスシールド掘進機５１のも
のと変わりがないため、同じ部品には同じ符号を付けて
詳細な説明を省略することとする。

【００４２】また、この場合は、メインカッターヘッド
５３とサブカッターヘッド５４の回転角速度比が２対３
に設定されているから、駆動モーター６８が回転する
と、メインカッターヘッド５３が時計方向に２／３回転
する間に、サブカッターヘッド５４は、メインカッター
ヘッド５３と一緒に時計方向に回転しながら反時計方向
に１回自転する。

【００４３】従って、図９に示すように、円形のメイン
カッターヘッド５３によって円形断面Ａを掘削した後、
メインカッターヘッド５３が掘り残した三つの山形部分
Ｇを翼形断面形状のサブカッターヘッド５４が補正掘削
して三角形断面Ｈにする。

【００４４】即ち、図９に示すように、円形のメインカ
ッターヘッド５３が時計方向に２／３回転して符号０の
位置から符号３２の位置に達する間に、翼形断面形状又
は凸レンズ断面形状のサブカッターヘッド５４が、符号
ａ，ｂ，ｃ，ｄ，ｅ，ｆ，ｇ，ｈ，ｉで示すように、反
時計方向に１回自転し、円形のメインカッターヘッド５
３が掘り残した右下の山形部分Ｇ₁ を補正掘削する。

【００４５】引続き、円形のメインカッターヘッド５３
が、時計方向に２／３回転して符号３２の位置から符号
１６の位置に達する間に、翼形断面形状又は凸レンズ断
面形状のサブカッターヘッド５４が、符号ａ’，ｂ’，
ｃ’，ｄ’，ｅ’，ｆ’，ｇ’，ｈ’，ｉ’で示すよう
に、反時計方向に１回自転し、円形のメインカッターヘ
ッド５３が掘り残した頂上部の山形部分Ｇ₂ を補正掘削
する。

【００４６】引続き、円形のメインカッターヘッド５３
が、時計方向に２／３回転して符号１６の位置から符号
０の位置に達する間に、翼形断面形状又は凸レンズ断面
形状のサブカッターヘッド５４が、符号ａ”，ｂ”，
ｃ”，ｄ”，ｅ”，ｆ”，ｇ”，ｈ”，ｉ”で示すよう
に、反時計方向に１回自転し、円形のメインカッターヘ
ッド５３が掘り残した左下の山形部分Ｇ₃ を補正掘削す
る。

【００４７】従って、三角形シールド掘進機５１ｂによ
って三角形断面Ｈのトンネルを掘削することができる。
上記以外の多角形についても、回転角速度比を変えるこ
とにより切削可能である。

【００４８】

【発明の効果】上記のように、請求項１に記載の発明
は、進行方向に対して直角方向に回転して円形断面を掘
削するメインカッターヘッドの外縁又は先端より内側の
後面で、メインカッターヘッドの中心を通る所定の方位
のうち、少なくとも一つの位置に、二つの円弧で囲まれ
た形状をもつサブカッターヘッドを配設し、メインカッ
ターヘッドとサブカッターヘッドとを互いに逆方向に回
転させると共に、メインカッターヘッドとサブカッター
ヘッドとの回転角速度比を所定の比に設定するようにし
たため、正方形、楕円形、三角形、及びその他の多角形
断面を掘削することができる。

【００４９】例えば、回転角速度比を１対２に設定する
ことにより、正方形断面を掘削できる。また、上記回転
角速度比を１対１に設定することにより、楕円形断面を
掘削することができる。また、上記回転角速度比を２対
３に設定することにより、三角形断面を掘削することが
できる。

【００５０】また、請求項５に記載の発明は、外側のメ
インシャフトによりメインカッターヘッドの回転力を付
与し、内側のサブシャフトによりメインカッターヘッド
の外縁又は先端より内側の後面に取り付けたサブカッタ
ーヘッドの回転力を付与する同一軸心を共有する内外二
重構造からなるセンターシャフトを装備しているため、
シールドジャッキによる推力又は地山からの圧力をメイ
ンシャフトが全て受け持ち、メインカッターヘッドの回
転中心を通る軸心をもつサブカッターヘッドの回転を司
るシャフトに対しては推力又は圧力の影響が非常に小さ
くなる。

【００５１】また、請求項６に記載の発明は、周辺又は
中間に配置した支柱により支持され、駆動モーターから
回転力を得た旋回ベアリングにより回転するメインカッ
ターヘッドの回転中心に一致する軸心をもつシャフトを
装備し、該シャフトを介してメインカッターヘッドの外
縁又は先端より内側の後面に取り付けたサブカッターヘ
ッドを回転するようにしたため、シールドジャッキによ
る推力又は地山からの圧力を支柱が受け持ち、メインカ
ッターヘッドの回転中心を通る軸心をもつサブカッター
ヘッドの回転を司るシャフトに対しては推力又は圧力の
影響が非常に小さくなる。

【００５２】一方、請求項７に記載の発明は、駆動モー
ターのシャフトに取り付けた二つのピニオンギアのう
ち、一方のピニオンギアを介してメインカッターヘッド
の回転を行い、他方のピニオンギアを介してサブカッタ
ーヘッドの回転を行い、これらのギア数とギア比とを任
意に設定してメインカッターヘッドとサブカッターヘッ
ドとを互いに反対方向に回転させ、且つ、所定の回転角
速度比を保つようにしたため、累積誤差が、零ないし極
めて小さく、且つ、容易に修正することができる。

【００５３】また、請求項８に記載の発明は、駆動モー
ターにより得られた外側のメインシャフトの回転力の一
部を該メインシャフトの後部に取り付けたギアを介して
サブシャフトの後部に取り付けたギアへ伝達し、これら
のギア数とギア比を任意に設定してメインカッターヘッ
ドと反対方向にサブカッターヘッドを回転させ、且つ、
所定の回転角速度比を保つようにしたため、累積誤差
が、零ないし極めて小く、且つ、容易に修正することが
できる。

【００５４】また、請求項９に記載の発明は、駆動モー
ターのシャフトに取り付けたピニオンギアにより外側の
旋回ギアを旋回させると同時に、該ピニオンギアの内側
に配置したギアにも回転力を伝え、更に、旋回ギアの旋
回中心に一致するように装備したサブシャフトの後部に
装着したギアに伝達し、これらのギア数とギア比を任意
に設定してメインカッターヘッドとサブカッターヘッド
とを互いに反対方向に回転させ、且つ、所定の回転角速
度比を保つようにしたため、累積誤差が、零ないし極め
て小さく、且つ、容易に修正することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る多種断面シールド掘進機の縦断面
図である。

【図２】同シールド掘進機の正面図である。

【図３】本発明に係る多種断面シールド掘進機の他の例
を示す縦断面図である。

【図４】角形断面掘削説明図である。

【図５】吊り下げシャフトをメインカッターヘッドの外
縁寄りに移した多種断面シールド掘進機の正面図であ
る。

【図６】楕円形断面掘削用シールド掘進機の正面図であ
る。

【図７】楕円形断面掘削説明図である。

【図８】三角形断面掘削用シールド掘進機の正面図であ
る。

【図９】三角形断面掘削説明図である。

【符号の説明】

５３ メインカッターヘッド ５４ サブカッターヘッド

Claims (9)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 進行方向に対して直角方向に回転して円
   形断面を掘削するメインカッターヘッドの外縁又は先端
   より内側の後面で、メインカッターヘッドの中心を通る
   所定の方位のうち、少なくとも一つの位置に、二つの円
   弧で囲まれた形状をもつサブカッターヘッドを配設し、
   メインカッターヘッドとサブカッターヘッドとを互いに
   逆方向に回転させると共に、メインカッターヘッドとサ
   ブカッターヘッドとの回転角速度比を所定の比に設定す
   ることを特徴とする多種断面シールド掘進機。
2. 【請求項２】 メインカッターヘッドとサブカッターヘ
   ッドとの回転角速度比を１対２に設定することを特徴と
   する請求項１記載の多種断面シールド掘進機。
3. 【請求項３】 メインカッターヘッドとサブカッターヘ
   ッドとの回転角速度比を１対１に設定することを特徴と
   する請求項１記載の多種断面シールド掘進機。
4. 【請求項４】 メインカッターヘッドとサブカッターヘ
   ッドとの回転角速度比を２対３に設定することを特徴と
   する請求項１記載の多種断面シールド掘進機。
5. 【請求項５】 外側のメインシャフトによりメインカッ
   ターヘッドの回転力を付与し、内側のサブシャフトによ
   りメインカッターヘッドの外縁又は先端より内側の後面
   に取り付けたサブカッターヘッドの回転力を付与する同
   一軸心を共有する内外二重構造からなるセンターシャフ
   トを装備することを特徴とする請求項１、２、３又は４
   記載の多種断面シールド掘進機。
6. 【請求項６】 周辺又は中間に配置した支柱により支持
   され、駆動モーターから回転力を得た旋回ベアリングに
   より回転するメインカッターヘッドの回転中心に一致す
   る軸心をもつシャフトを装備し、該シャフトを介してメ
   インカッターヘッドの外縁又は先端より内側の後面に取
   り付けたサブカッターヘッドを回転するようにしたこと
   を特徴とする請求項１、２、３又は４記載の多種断面シ
   ールド掘進機。
7. 【請求項７】 駆動モーターのシャフトに取り付けた二
   つのピニオンギアのうち、一方のピニオンギアを介して
   メインカッターヘッドの回転を行い、他方のピニオンギ
   アを介してサブカッターヘッドの回転を行い、これらの
   ギア数とギア比とを任意に設定してメインカッターヘッ
   ドとサブカッターヘッドとを互いに反対方向に回転さ
   せ、且つ、所定の回転角速度比を保つようにしたことを
   特徴とする多種断面シールド掘進機における機械式同期
   回転機構。
8. 【請求項８】 駆動モーターにより得られた外側のメイ
   ンシャフトの回転力の一部を該メインシャフトの後部に
   取り付けたギアを介してサブシャフトの後部に取り付け
   たギアへ伝達し、これらのギア数とギア比を任意に設定
   してメインカッターヘッドと反対方向にサブカッターヘ
   ッドを回転させ、且つ、所定の回転角速度比を保つよう
   にしたことを特徴とする多種断面シールド掘進機におけ
   る機械式同期回転機構。
9. 【請求項９】 駆動モーターのシャフトに取り付けたピ
   ニオンギアにより外側の旋回ギアを旋回させると同時
   に、該ピニオンギアの内側に配置したギアにも回転力を
   伝え、更に、旋回ギアの旋回中心に一致するように装備
   したサブシャフトの後部に装着したギアに伝達し、これ
   らのギア数とギア比を任意に設定してメインカッターヘ
   ッドとサブカッターヘッドとを互いに反対方向に回転さ
   せ、且つ、所定の回転角速度比を保つようにしたことを
   特徴とする多種断面シールド掘進機における機械式同期
   回転機構。