JP2000309822A - 超微細組織鋼の製造方法 - Google Patents

超微細組織鋼の製造方法

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JP2000309822A
JP2000309822A JP11246698A JP24669899A JP2000309822A JP 2000309822 A JP2000309822 A JP 2000309822A JP 11246698 A JP11246698 A JP 11246698A JP 24669899 A JP24669899 A JP 24669899A JP 2000309822 A JP2000309822 A JP 2000309822A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 より低い変形抵抗下、より少ない圧下量と特
に遅い冷却速度で、平均粒径3ミクロン以下のフェライ
トを母相とする超微細組織鋼を製造することのできる新
しい方法を提供する。 【解決手段】 原料溶製後にAc3点以上の温度に加熱
してオーステナイト化し、次いでAe3点以下Ar3点
−150℃、または550℃以上の温度で、圧下率50
%以上の圧縮加工を加え、その後冷却して平均粒径3μ
m以下のフェライトを母相とする超微細組織鋼の製造方
法において、圧縮加工時の歪み速度を0.001〜10
/Sの範囲のものとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、超微細組
織鋼の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、
この発明は、高強度の溶接用鋼等として有用な超微細組
織鋼の高い生産性での製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】従来、制御圧延−加速冷却技
術は低合金鋼において、微細なフェライトを得るための
有効な方法であった。すなわち、オーステナイト未再結
晶域における累積圧下率とその後の冷却速度を制御によ
って、微細な組織が得られている。しかし、得られるフ
ェライト粒径はせいぜいSi−Mn鋼で10μm、Nb
鋼で5μmが限界であった。さらに、特公昭62−39
228、特公昭62−7247に述べられているよう
に、2相域も含めたAr1〜Ar3+100℃の温度域
で合計減面率が75%以上の圧下を加え、その後20K
/s以上で冷却することによって、3−4μm程度のフ
ェライト粒が得られることが報告されている。しかしな
がら、たとえば特公平5−65564に述べられている
ように、3μm未満となってくると、極めて大きな圧下
量と冷却速度(40K/s以上)が必要である。20K
/s以上の急冷は、板厚が薄い場合にのみ成り立ち得る
手段であり、実際的に広く一般溶接構造用鋼の製造方法
としては成立しがたい。また、強加工そのものについて
も、ロール圧延では、オーステナイト低温域での50%
を越える大圧下を行うことは、その変形抵抗の大きさや
ロールのかみこみ制限から、一般的にむずかしい。ま
た、未再結晶域での累積圧下には一般的には70%以上
必要であり、鋼板の温度低下によりそれも難しい。
【0003】制御圧延鋼の変態フェライト相は、一般に
集合組織を形成することが知られており、強圧下の結果
得られたフェライト相は小傾角粒界を有するようにな
る。すなわち、単純な強加工では、集合組織が形成さ
れ、大角粒界からなるフェライト粒を得ることはできな
いのである。したがって、特公昭62−39228、特
公昭62−7247に示された以上の強加工を行って
も、大傾角粒界からなるより微細なフェライト組織を得
ることは困難である。
【0004】このような状況において、この出願の発明
者らは、Ac3点以上に加熱しオーステナイト化した
後、Ar3以上の温度で、圧下率50%以上の圧縮加工
を加え、ついで冷却することにより、平均粒径3μm以
下のフェライトを母相とする超微細組織鋼を得る方法を
開発した(特願平9−256682、特願平9−256
802、特願平10−52545)。この新しい製造方
法によって、平均粒径が3μm以下で、方位差角15°
以上の大角粒界に囲まれたフェライトを母相とする超微
細組織鋼が提供可能となった。
【0005】だが、この新たな方法については実際的に
はさらに改善が望まれてもいた。ひとつにはより微細な
組織をえることが、また、工業的見地からは、熱間加工
時の変形抵抗はできるだけ低いことが望ましいからであ
る。特に1パスで50%以上の加工をオーステナイト低
温域で行う場合、変形抵抗が大きく、これをできるだけ
低下させることが望ましいからである。すなわち、平均
粒径で3μm、望ましくは2μm以下のフェライトを主
相とする組織をオーステナイト低温域加工と制御冷却で
得ることに関して、より低い変形抵抗下、より少ない圧
下量と特に遅い冷却速度で得る方法が求められていると
言える。
【0006】この出願の発明は、以上のとおりの事情に
鑑みてなされたものであって、より低い変形抵抗下、よ
り少ない圧下量と特に遅い冷却速度で、平均粒径3μm
以下、さらには2μm以下のフェライトを母相とする超
微細組織鋼を製造することのできる新しい方法を提供す
ることを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】この出願の発明は、前記
の課題を解決するものとして、まず第1には、原料溶製
後にAc3点以上の温度に加熱してオーステナイト化
し、次いでAe3点以下Ar3−150℃、または55
0℃以上の温度で、圧下率50%以上の圧縮加工を加
え、その後冷却して平均粒径3μm以下のフェライトを
母相とする超微細組織鋼の製造方法において、圧縮加工
時の歪み速度を0.001〜10/sの範囲のものとす
ることを特徴とする超微細組織鋼の製造方法を提供す
る。
【0008】そして、この出願の発明は、第2には、以
上の方法により製造された平均粒径2μm以下のフェラ
イトを母相とする超微細組織鋼を提供し、第3には、歪
み速度を0.01〜1/sの範囲のものとする前記の製
造方法を、第4には、加工後の冷却速度を10K/s以
下とする前記の製造方法をも提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】以上のとおりのこの出願の発明
は、発明者の検討の結果、圧縮加工時における温度とひ
ずみ速度の制御が、組織の微細化と変形抵抗の低下に極
めて有効であること、より具体的には、Ae3点以下の
温度における50%を超える強加工−制御冷却によって
フェライト−パーライト組織を形成する場合、歪み速度
が1/s以下でも平均粒径3μm以下、さらには2μm
以下の微細なフェライト粒径が得られることを見出し、
この知見に基づいて完成されたものである。
【0010】そこで、さらに詳しくこの発明の製造方法
について説明すると、この発明の製造方法においては、 <A>原料の溶製によるAc3点以上の温度に加熱する
オーステナイト化と、 <B>Ae3点以下Ar3点−150℃、または550
℃以上の温度で、圧下率50%以上の圧縮加工 <C>その後の冷却を基本的なプロセス要件としてい
る。なお、ここで、Ae3点とは、オーステナイト−フ
ェライト平衡変態点で、状態図上で(デルタフェライト
を除く)フェライトの存在できる最高温度である。ま
た、Ar3点とは、無加工時におけるオーステナイト、
フェライト変態の開始温度を示している。そして、この
発明の方法では、<B>圧縮加工時に、歪み速度を、
0.001〜10/sの範囲としている。
【0011】たとえば図1に例示した上下に動くアンビ
ルによる平面圧縮加工について示したように、圧縮加工
による素材の厚みが、t秒の時間によってl0 からlに
変形したとすると、ひずみ(ε)は、 ε=ln (l0 /l) で表わされることから、歪み速度は、ε/t、すなわち ln =(l0 /l)/t として表わされる。
【0012】この発明においては、以上のとおりの歪み
速度は、前記のとおり0.001〜10/sであってよ
り適当には0.01〜1/sである。歪み速度が10/
sより大きい場合には、変形抵抗が大きく、また、フェ
ライトの微細化効果が少ない。また、歪み速度が0.0
01/sより小さい場合には、加工に極めて時間がかか
ることになり、工業的にはいずれの場合にも不利であ
る。
【0013】圧縮加工は、この発明においては、より適
当には、図1に例示したアンビル加工の方法が採用され
る。たとえばこのアンビル圧縮加工の場合には、減面率
で1パス90%を超える強加工も可能な方法であって、
素材(sample)の上下に位置するアンビルの駆動速度を制
御することにより、圧縮加工時における歪み速度の制御
が可能になる。
【0014】また、この発明の製造方法においては、<
C>冷却の工程において、冷却速度が10K/s以下と
することが有効でもある。この発明の製造方法によっ
て、平均粒径が3μm以下、さらには2.5μm以下の
フェライト、そして方位差角15°以上の大角粒界に囲
まれたフェライトを母相とする超微細組織鋼が製造可能
とされる。フェライト−フェライト粒界における大角粒
界の割合は80%以上である。溶接可能な高強度の鋼が
経済的に得られることになる。この鋼の化学組成につい
ては、特に限定されることはないが、好ましくは、0.
3重量%以下のC(炭素)と、Si、Mn、P、S、N
および不可避的不純物を含有するFeにより構成するこ
とができる。より好ましくは、重量%で、Siが2%以
下、Mnが3%以下、Pが0.1%以下、Sが、0.0
2%以下、Nが0.005%以下とすることが考慮され
る。
【0015】一方、重量%で3%以下のCr,Ni,M
o,Cu,また、Ti:0.003−0.1%,Nb:
0.003−0.05%,V:0.005−0.2%が
含まれていてもよい。しかし、高価な元素であるNi、
Cr、Mo、Cu等を用いることなく、超微細組織が得
られ、高強度鋼が安価に製造できる。溶製のための原料
は、以上の化学組成に応じて各元素の添加割合が定めら
れることになる。
【0016】そこで以下、実施例を示し、さらに詳しく
この発明について説明する。
【0017】
【実施例】(実施例1〜5) (比較例1)表1の組成の鋼(1)を900℃に加熱
し、完全にオーステナイト化した後に表2の加工温度に
冷却し、直ちに圧下率75%で、図1に例示した平面歪
み圧縮加工を行った。Ae3点は817℃である。フォ
ーマスターで測定したAr3点は670℃であった。歪
み速度と、圧縮加工後の冷却速度を表2に示す条件で行
った。得られた組織についてのフェライトの平均粒径、
第2相の種類、その体積率、大角粒界(方位差角≧15
°)の割合、加工時の平均変形抵抗を表2に示した。フ
ェライト粒の方位差角は電子線後方散乱(EBSD)方
で測定した。平均粒径の測定は、直線切断法によって行
った。第2相は主としてパーライトおよび炭化物であっ
た。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】以上の実施例1〜5および比較例1との対
比より明らかなように、歪み速度が0.01〜1/sで
最も微細なフェライト粒が得られ、また変形抵抗に関し
ては、歪み速度を小さくすると顕著な低下が確認され
る。また、実施例2および5からは、冷却速度が速い場
合にフェライト粒径の微細化が進むこともわかる。 (実施例6〜18)実施例1〜5と同様にして表3の条
件において圧縮加工を行い冷却した。
【0021】その結果を表3に示したが、歪み速度0.
001〜10/sにおいて、微細なフェライト粒が得ら
れることがわかる。また、加工温度の低下が組織の微細
化に有効であることがわかった。
【0022】
【表3】
【0023】(実施例19) (比較例2〜6)前記実施例において、オーステナイト
粒径が17μmの材料に対し、加工温度750℃、圧下
率75%で、歪み速度を0.1/s、冷却速度を10K
/sとしたときの断面SEM像を観察した。図2はこれ
を示した写真である。
【0024】また、図3は、歪み速度を10/sとした
場合のものである。歪み速度を小さくすることで、フェ
ライト粒の微細化が図られていることがわかる。また、
図4は、同様にして製造した微細組織鋼のフェライト組
織について、フェライト粒径dとビッカース硬さ(H
v)との関係を示したものであるホールペッチ型の直線
関係が認められる。図中の温度は加工温度を示す。
【0025】平均粒径2.3μmのフェライト粒径のも
ののビッカース硬さは203であり、TS=3.435
Hvの関係式によると、引張強さでは約700MPaに
相当する。参考のために、微小な引張試験片(平行部長
さ3.5mm×幅2mm×厚さ0.5mm)を作製し、
クロスヘッド速度0.13mm/minで引張試験を行
ったところ、引張強さ675MPaが得られた。
【0026】表4には、加工温度をAe3点(817
℃)を超える850℃とした場合の比較例を示してい
る。フェライト粒径はいずれの場合も5μmを超えてい
ることがわかる。
【0027】
【表4】
【0028】
【発明の効果】以上詳しく説明したとおり、この出願の
発明によって、より低い変形抵抗下、より少ない圧下量
と特に遅い冷却速度で、平均粒径3μm以下のフェライ
トを母相とする超微細組織鋼を製造することのできる新
しい方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】アンビル圧縮加工と歪みについて示した要部断
面図である。
【図2】この発明の鋼の断面を示した図面に代わるSE
M写真である。
【図3】比較例としての図面に代わるSEM写真であ
る。
【図4】フェライト粒径とビッカース硬さとの関係を示
した図である。
【手続補正書】
【提出日】平成12年8月14日(2000.8.1
4)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 超微細組織鋼の製造方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、超微細組
織鋼の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、
この出願の発明は、高強度の溶接用鋼等として有用な超
微細組織鋼高い生産性製造することのできる新しい
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】従来、制御圧延−加速冷却技
術は、低合金鋼において、微細なフェライトを得るため
の有効な方法であった。すなわち、オーステナイト未再
結晶域における累積圧下率とその後の冷却速度を制御
ることによって、微細な組織が得られている。しかし、
得られるフェライト粒径はせいぜいSi−Mn鋼で10
μm、Nb鋼で5μmが限界であった。さらに、特公昭
62−39228、特公昭62−7247に述べられて
いるように、2相域も含めたAr1〜Ar3+100℃
の温度域で合計減面率が75%以上の圧下を加え、その
後20K/s以上で冷却することによって、3−4μm
程度のフェライト粒が得られることが報告されている。
しかしながら、たとえば特公平5−65564に述べら
れているように、3μm未満となってくると、極めて大
きな圧下量と冷却速度(40K/s以上)が必要であ
る。20K/s以上の急冷は、板厚が薄い場合にのみ成
り立ち得る手段であり、実際的に広く一般溶接構造用鋼
の製造方法としては成立しがたい。また、強加工そのも
のについても、ロール圧延では、オーステナイト低温域
での50%を越える大圧下を行うことは、その変形抵抗
の大きさやロールのかみこみ制限から、一般的にむず
かしい。また、未再結晶域での累積圧下には一般的には
70%以上必要であり、鋼板の温度低下によりそれも難
しい。
【0003】制御圧延鋼の変態フェライト相は、一般に
集合組織を形成することが知られており、強圧下の結果
得られたフェライト相は小傾角粒界を有するようにな
る。すなわち、単純な強加工では、集合組織が形成さ
れ、大角粒界からなるフェライト粒を得ることはできな
いのである。したがって、特公昭62−39228、特
公昭62−7247に示された以上の強加工を行って
も、大傾角粒界からなるより微細なフェライト組織を得
ることは困難である。
【0004】このような状況において、この出願の発明
者らは、Ac3点以上に加熱しオーステナイト化した
後,Ar3以上の温度で、圧下率50%以上の圧縮加工
を加え、ついで冷却することにより、平均粒径3μm以
下のフェライトを母相とする超微細組織鋼を得る方法を
開発した(特願平9−256682、特願平9−256
802、特願平10−52545)。この新しい製造方
法によって、平均粒径が3μm以下で、方位差角15°
以上の大角粒界に囲まれたフェライトを母相とする超微
細組織鋼が提供可能となった。
【0005】だが、この新たな方法については実際的に
はさらに改善が望まれてもいた。ひとつにはより微細な
組織をえることが、また、工業的見地からは、熱間加工
時の変形抵抗はできるだけ低いことが望ましいからであ
る。特に1パスで50%以上の加工をオーステナイト低
温域で行う場合、変形抵抗が大きく、これをできるだけ
低下させることが望ましいからである。すなわち、平均
粒径で3μm、望ましくは2μm以下のフェライトを主
相とする組織をオーステナイト低温域加工と制御冷却で
得ることに関して、より低い変形抵抗下、より少ない圧
下量と特に遅い冷却速度で得る方法が求められていると
言える。
【0006】この出願の発明は、以上のとおりの事情に
鑑みてなされたものであって、より低い変形抵抗下、よ
り少ない圧下量と特に遅い冷却速度で、平均粒径3μm
以下、さらには2μm以下のフェライトを母相とする超
微細組織鋼を製造することのできる新しい方法を提供す
ることを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】この出願の発明は、前記
の課題を解決するものとして、まず第1には、原料溶製
後にAc3点以上の温度に加熱してオーステナイト化
し、次いでAe3点以下Ar3−150℃、または55
0℃以上の温度で、圧下率50%以上の圧縮加工を加
え、その後冷却して平均粒径3μm以下で方位差角15
°以上の大角粒界に囲まれたフェライトを母相とし、フ
ェライト−フェライト粒界における前記大角粒界の割合
が80%以上の超微細組織鋼の製造方法であって、圧縮
加工時の歪み速度を0.001〜0.1/sの範囲のも
のとすることを特徴とする超微細組織鋼の製造方法を提
供する。
【0008】そして、この出願の発明は、第2には、
r3−100℃以上の温度で圧縮加工を加える超微細組
織鋼の製造方法を提供し、第3には、加工後の冷却速度
を10K/s以下とする前記の製造方法をも提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】以上のとおりのこの出願の発明
は、発明者の検討の結果、圧縮加工時における温度とひ
ずみ速度の制御が、組織の微細化と変形抵抗の低下に極
めて有効であること、より具体的には、Ae3点以下の
温度における50%を超える強加工−制御冷却によって
フェライト−パーライト組織を形成する場合、歪み速度
が1/s以下でも平均粒径3μm以下、さらには2μm
以下の微細なフェライト粒径が得られることを見出し、
この知見に基づいて完成されたものである。
【0010】そこで、さらに詳しくこの発明の製造方法
について説明すると、この発明の製造方法においては、 <A>原料の溶製によるAc3点以上の温度に加熱する
オーステナイト化と、 <B>Ae3点以下Ar3点−150℃または550
℃以上の温度、さらにはAr3点−100℃以上の温度
で、圧下率50%以上の圧縮加工 <C>その後の冷却を基本的なプロセス要件としてい
る。なお、ここで、Ae3点とは、オーステナイト、フ
ェライト平衡変態点で、状態図上で(デルタフェライト
を除く)フェライトの存在できる最高温度である。ま
た、Ar3点とは、無加工時におけるオーステナイト、
フェライト変態の開始温度を示している。
【0011】そして、この発明の方法では、前記<B>
圧縮加工時に、歪み速度を、0.001〜0.1/sの
範囲としている。
【0012】たとえば図1に例示した上下に動くアンビ
ルによる平面圧縮加工について示したように、圧縮加工
による素材の厚みが、t秒の時間によってI0 からI
に変形したとすると、ひずみ(ε)は、 ε=ln(l0 /l) で表わされることから、歪み速度は、ε/t、すなわち ε/t =〔ln(l0 /l)〕/t として表わされる。
【0013】この発明においては、以上のとおりの歪み
速度は、前記のとおり0.001〜0.1/sであって
より適当には0.01〜0.1/sである。
【0014】歪み速度が0.1/sより大きい場合に
は、変形抵抗が大きく、また、フェライトの微細化効果
が少ない。また、歪み速度が0.001/sより小さい
場合には、加工に極めて時間がかかることになり、工業
的にはいずれの場合にも不利である。
【0015】圧縮加工は、この発明においては、より適
当には、図1に例示したアンビル加工の方法が採用され
る。
【0016】たとえばこのアンビル圧縮加工の場合に
は、減面率で1パス90%を超える強加工も可能な方法
であって、素材(sample)の上下に位置するアンビルの駆
動速度を制御することにより、圧縮加工時における歪み
速度の制御が可能になる。
【0017】また、この発明の製造方法においては、<
C>冷却の工程において、冷却速度が10K/s以下と
することが有効でもある。
【0018】この発明の製造方法によって、平均粒径が
3μm以下、さらには2.5μm以下のフェライト、そ
して方位差角15°以上の大角粒界に囲まれたフェライ
トを母相とする超微細組織鋼が製造可能とされる。フェ
ライト−フェライト粒界における大角粒界の割合は80
%以上である。溶接可能な高強度の鋼が経済的に得られ
ることになる。この鋼の化学組成については、特に限定
されることはないが、好ましくは、0.3重量%以下の
C(炭素)と、Si、Mn、P、S、Nおよび不可避的
不純物を含有するFeにより構成することができる。よ
り好ましくは、重量%で、Siが2%以下、Mnが3%
以下、Pが0.1%以下、Sが、.02%以下、Nが
0.005%以下とすることが考慮される。
【0019】一方、重量%で3%以下のCr,Ni,M
o,Cu,Al,また、Ti:0.003−0.1%,
Nb:0.003−0.05%,V:0.005−0.
2%が含まれていてもよい。しかし、高価な元素である
Ni、Cr、Mo、Cu等を用いることなく、超微細組
織が得られ、高強度鋼が安価に製造できる。
【0020】溶製のための原料は、以上の化学組成に応
じて各元素の添加割合が定められることになる。
【0021】そこで以下、実施例を示し、さらに詳しく
この発明について説明する。
【0022】
【実施例】(実施例1〜) (比較例1)表1の組成の鋼(1)を900℃に加熱
し、完全にオーステナイト化した後に表2の加工温度に
冷却し、直ちに圧下率75%で、図1に例示した平面歪
み圧縮加工を行った。Ae3点は817℃である。フォ
ーマスターで測定したAr3点は670℃であった。歪
み速度と、圧縮加工後の冷却速度を表2に示す条件で行
った。得られた組織についてのフェライトの平均粒径、
第2相の種類、その体積率、大角粒界(方位差角≧15
°)の割合、加工時の平均変形抵抗を表2に示した。フ
ェライト粒の方位差角は電子線後方散乱(EBSD)方
で測定した。平均粒径の測定は、直線切断法によって行
った。第2相は主としてパーライトおよび炭化物であっ
た。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】以上の実施例1〜および比較例1との対
比より明らかなように、歪み速度が0.01〜0.1
sで最も微細なフェライト粒が得られ、また変形抵抗に
関しては、歪み速度を小さくすると顕著な低下が確認さ
れる。
【0026】また、実施例およびからは、冷却速度
が速い場合にフェライト粒径の微細化が進むこともわか
る。 (実施例13)実施例1〜と同様にして表3の条
件において圧縮加工を行い冷却した。
【0027】その結果を表3に示したが、歪み速度0.
001〜0.1/sにおいて、微細なフェライト粒が得
られることがわかる。また、加工温度の低下が組織の微
細化に有効であることがわかった。
【0028】
【表3】
【0029】(実施例14) (比較例2〜6)前記実施例において、オーステナイト
粒径が17μmの材料に対し、加工温度750℃、圧下
率75%で、歪み速度を0.1/s、冷却速度を10K
/sとしたときの断面SEM像を観察した。図2はこれ
を示した写真である。
【0030】また、図3は、歪み速度を10/sとした
場合のものである。
【0031】歪み速度を小さくすることで、フェライト
粒の微細化が図られていることがわかる。
【0032】また、図4は、同様にして製造した微細組
織鋼のフェライト組織について、フェライト粒径dとビ
ッカース硬さ(Hv)との関係を示したものであるホー
ルペッチ型の直線関係が認められる。図中の温度は加工
温度を示す。
【0033】平均粒径2.3μmのフェライト粒径のも
ののビッカース硬さは203であり、TS=3.435
Hvの関係式によると、引張強さでは約700MPaに
相当する。参考のために、微小な引張試験片(平行部長
さ3.5mm×幅2mm×厚さ0.5mm)を作製し、
クロスヘッド速度0.13mm/minで引張試験を行
ったところ、引張強さ675MPaが得られた。
【0034】表4には、加工温度をAe3点(817
℃)を超える850℃とした場合の比較例を示してい
る。フェライト粒径はいずれの場合も5μmを超えてい
ることがわかる。
【0035】
【表4】
【0036】
【発明の効果】以上詳しく説明したとおり、この出願の
発明によって、より低い変形抵抗下、より少ない圧下量
と特に遅い冷却速度で、平均粒径3μm以下のフェライ
トを母相とする超微細組織鋼を製造することのできる新
しい方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】アンビル圧縮加工と歪みについて示した要部断
面図である。
【図2】この発明の鋼の断面を示した図面に代わるSE
M写真である。
【図3】比較例としての図面に代わるSEM写真であ
る。
【図4】フェライト粒径とビッカース硬さとの関係を示
した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長井 寿 茨城県つくば市千現1丁目2番1号 科学 技術庁金属材料技術研究所内 Fターム(参考) 4K032 AA01 AA05 AA16 AA21 AA27 AA29 AA31 CB02 CC02 CC03 CD01 CD02

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原料溶製後にAc3点以上の温度に加熱
    してオーステナイト化し、次いでAe3点以下Ar3−
    150℃または550℃以上の温度で、圧下率50%以
    上の圧縮加工を加え、その後冷却して平均粒径3μm以
    下のフェライトを母相とする超微細組織鋼の製造方法に
    おいて、圧縮加工時の歪み速度を0.001〜10/s
    の範囲のものとすることを特徴とする超微細組織鋼の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1の方法により製造された平均粒
    径2μm以下のフェライトを母相とする超微細組織鋼。
  3. 【請求項3】 加工後の冷却速度を10K/s以下とす
    る請求項1または2の製造方法。
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