JP3993703B2 - 加工用薄鋼板の製造方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のボディー等の構造用部品などのように、構造上の強度が必要とされる箇所に適用される薄鋼板であって、部分的な短時間熱処理により成形性が向上する加工用薄鋼板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
構造用部品の軽量化、高強度化を図るために、通常、高強度鋼板の成形が試みられる。しかし、高強度鋼板は、降伏応力が高く延性に乏しいためプレス成形性に難があり、成形性を改善する検討が行われている。例えば、プレス前に軟質で、その後の電着塗装時の焼付過程で硬化する焼付硬化鋼板や、成形完了後に、高エネルギー密度のビームの照射を行い、硬化させる方法がある。
【0003】
焼付硬化鋼板は焼付後の降伏応力を高めるが、変形強度自体は高々5%程度しか上昇せず、強度の絶対量が不足する。
また成形完了後に、高エネルギー密度のビームの照射を行い、硬化させる方法としては、例えば、特開昭61−99629号公報のように成形後にレーザー照射する方法が開示されている。しかしながら、この場合3次元的に照射するため、処理設備が経済的に高価なものとなる上、鋼の変態による熱歪みによる精度の狂いが非常に大きなものとなる。
【0004】
そこで、鋼板の状態で強度が必要な部分だけ強化し、成形性が必要なところは軟質にする方法が考えだされた。例えば、特開昭60−238424号公報は、鋼板に部分的にレーザー照射して焼入組織にし、硬質部と軟質部を両方存在させ、成形は軟質部で行い、硬質部で強度を持たせる方法が開示されている。しかしながら、硬質化に鋼の変態を利用するため、変態歪みによる鋼板の変形は避けられない。また、変態硬質部と軟質部の硬度差が著しく、変形能に差がありすぎるため、その境界から、破断することが多く、必ずしも成形性の向上を図ることはできなかった。また、特開平9−87737号公報にはアークまたはレーザーを部分的に高張力鋼板に照射して溶融し、鋼板の軟質化を図る方法が開示されている。しかしながら、この方法も鋼を変態させるため、変態歪みの影響を避けることはできない。鋼の変態を利用しない方法としては、例えば、特開平9−143554号公報が開示されている。鋼板に塑性歪みを加えておき、部分的に800℃以上の熱処理をすることにより、回復又は再結晶をおこさせ、軟質化する方法である。しかしながら、この方法も800℃以上に加熱するため、鋼板の熱歪みの問題があり、また、塑性歪みを利用するため、硬質部の延性が著しく劣化する欠点があり、必ずしも高強度のプレス成形体を得るための問題解決とはなっていない。
【0005】
また、テーラードブランク (例えばApplication of Laser-Beam-Welded Sheet Metal, SAE Technical Paper Series, 890853, 1989)のように、一枚板に軟質部と硬質部を造り分けるのではなく、レーザー溶接等の手段で、接合し一枚板に仕上げる方法がある。しかしながら、この方法においても接合部が溶接により硬化するのは避けられず、成形上の障害となる。また溶接により接合するため、材料を細かく接合する事は難しい。
【0006】
このように、高強度の構造用部品を製造するにあたっては、未だ最適な方法が得られていない。そこで、高強度鋼板を、軟鋼板のように容易にプレス成形等の加工成形ができる鋼板の製造方法が強く求められていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、上記のような問題点を解決するべく、薄鋼板からなる各種成形材料およびその製造方法、成形性を向上させる熱処理、最適成形法など鋭意研究を行った。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、短時間熱処理に限定すれば、例えば0.1〜7.0mmの薄鋼板で熱伝導を極力押さえ、局所的な熱処理が可能な事を見い出し、また特定の組織、成分をもつ鋼を用いれば、その短時間熱処理の範囲で鋼の材質を著しく変えられる事を見出した。さらに局所的な熱処理を成形時の変形が必要な部分に施すと驚くほど成形性が向上する事を新たに発見した。本発明は、この成形性向上を目的とする短時間熱処理に最適な材料を追求し更にその材料を得るための方法について鋭意一般研究を行い、成し遂げたものである。
【0009】
その要旨は、
(1)重量比で
C:0.0005%〜0.25%
Si:0.01%〜3.0%
Mn:0.01%〜3.0%
P:0.002%〜0.20%
S:0.001%〜0.03%
N:0.0002%〜0.02%
を含有する鋼において、さらに、Mo,Al,Ni,Cu,Nb,Ti,V,Cr,Bの1種または2種以上を重量%で、
K/Y≧0.77、
K={TS(MPa)-(280+390*C+98*Si+65*Mn+882*P+207*A1+980*Ti+2000*Nb+980*V+200*Mo+38*Ni+55*Cu+22*Cr)}、
Y={30* √Si+40*√Mn+80*√Mo+4* √Ni+35*√Nb+40*√Ti+55*√V+40* √Cr+70*√P+500*√B }、
の範囲で含有した鋼に、熱延を施すに際し、圧延終了後、650℃以上770℃以下の温度から20℃/sec 以上の速さで300℃以下まで冷却を施して、鋼のミクロ組織のうち、鉄炭化物、鉄窒化物、鉄炭窒化物の1種または2種以上の合計の割合が10個/μm2 以上含まれる結晶粒が、占積率で7%以上とする成形性向上熱処理能に優れた加工用熱延鋼板の製造方法、
(2)(1)に記載の成分を有する鋼に、熱延を施すに際し、圧延終了後、(Arl+20) ℃以上の温度から20℃/sec 以上の速さで300℃以下まで冷却を施して、鋼のミクロ組織のうち、ベイナイト、マルテンサイト、の1種または2種以上の合計の割合が、占積率で7%以上とする成形性向上熱処理能に優れた加工用熱延鋼板の製造方法、
(3)(1)に記載の成分を有する鋼に、熱延、脱スケール処理、冷延を施し、ついで冷延鋼板に連続焼鈍後冷却を施すに際し、650℃以上770℃以下の温度から20℃/sec 以上の速さで300℃以下まで冷却を施し、更に過時効処理を施さないか、または300℃以下の過時効処理を施して、鋼のミクロ組織のうち、鉄炭化物、鉄窒化物、鉄炭窒化物の1種または2種以上の合計の割合が10個/μm2 以上含まれる結晶粒が、占積率で7%以上とする成形性向上熱処理能に優れた加工用冷延鋼板の製造方法、
(4)(1)に記載の成分を有する鋼に、熱延、脱スケール処理、冷延を施し、ついで冷延鋼板に連続焼鈍後冷却を施すに際し、(Arl+20) ℃以上の温度から20℃/sec 以上の速さで300℃以下まで冷却を施し、更に過時効処理を施さないか、または300℃以下の過時効処理を施して、鋼のミクロ組織のうち、ベイナイト、マルテンサイト、の1種または2種以上の合計の割合が、占積率で7%以上とする成形性向上熱処理能に優れた加工用冷延鋼板の製造方法、及び
(5)(1)に記載の成分を含有し、
さらに、鋼のミクロ組織のうち、
鉄炭化物、鉄窒化物、鉄炭窒化物の1種または2種以上の合計の割合が10個/μm2 以上含まれる結晶粒、
ベイナイト、
マルテンサイト、
の1種または2種以上の合計の割合が、占積率で7%以上である鋼板に、Acl点以下30sec 以内の局部的な熱処理を施して局部的に軟質化させる事を特徴とする部分軟化加工用薄鋼板の製造方法、
である。
【0010】
ここで成形性向上熱処理能とは、鋼板のAcl変態点以下の熱処理温度で30sec 以内の短時間熱処理により鋼板の引張り強さが変化する能力のことをいう。この熱処理に限定すれば、0.1〜7.0mmの薄鋼板で熱歪みを極力少なく抑える事ができ、また変態歪みも生じ難い。さらに熱伝導も抑えられるので、約1mmの分解能で熱処理を施す事ができる。また、この熱処理により引張り強さが変化する変化量としては、5%以上引張り強さが変化することが、望ましい。この鋼板を用いて局部的に熱処理を行うと鋼板全体の強度はほとんど変化することなく、成形性が著しく向上する。たとえば、変形が必要である部分に局部的に熱処理を行うと、変形が必要である部分の強度が下がり変形が容易に生じ、成形性が向上する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本研究者らは、最強度鋼板の成形性を向上させるAcl変態点以下の温度で30sec 以内の局部熱処理で強度が大きく変わる鋼板組織、鋼板成分について鋭意研究を行ったところ、鋼の鉄炭化物、鉄窒化物、および鉄炭窒化物の大きさを制御してやれば、Acl変態点以下の温度で30sec 以内の熱処理で即座に鉄炭化物、鉄窒化物、および鉄炭窒化物を溶解または粗大化し、鋼板の強度を下げられる事を見出した。
【0012】
またマルテンサイトも同様な効果がある事を見出した。さらに鋼板の強度の変化量は、鉄炭化物、鉄窒化物、および鉄炭窒化物を微細に含む組織、ベイナイト組織、マルテンサイト組織の割合に影響され、占積率で7%以上の分率がある時、その効果が大きい事を見出した。
さらに、鋼板の強度の低下量が鋼板の化学成分にも大きく依存し、
K/Y≧0.77、
K={TS(MPa)-(280+390*C+98*Si+65*Mn+882*P+207*A1+980*Ti+2000*Nb+980*V+200*Mo+38*Ni+55*Cu+22*Cr)}、
Y={30* √Si+40*√Mn+80*√Mo+4* √Ni+35*√Nb+40*√Ti+55*√V+40* √Cr+70*√P+500*√B }、
の範囲に限定する事によって鋼板の強度の低下量を大きくできる事を見出した。
【0013】
そこで、該鋼板をえるための製造法についても鋭意研究を行い、熱延条件、焼鈍条件、冷却条件などについて詳細な検討を行い、最適な製造法を見出した。
以下に本発明を詳細に説明する。
まず、本発明法によって得られる鋼板の組織について説明する。
本発明法により鉄炭化物、鉄窒化物、鉄炭窒化物の1種または2種以上の合計の割合が10個/μm2 以上含まれる結晶粒および、ベイナイト、マルテンサイトを占積率で7%以上である組織を得る事が出来る。本発明法でえられた鋼板は、成形性向上熱処理としてAcl変態点以下の温度で30sec 以内の局部熱処理を行い、部分的に軟化させる。そのため、低温短時間で強度が変わる必要があるので、鋼の中で移動速度の早いC,Nの拡散現象を利用するのが最も適しており、鉄炭化物または鉄窒化物または鉄炭窒化物および、ベイナイト、マルテンサイトを利用するのが最も有効である。
【0014】
鉄炭化物、鉄窒化物、鉄炭窒化物の1種または2種以上の合計の割合が10個/μm2 以上含まれる結晶粒があると鋼は析出強化により高強度化する事ができる。一方この鉄炭化物または鉄窒化物または鉄炭窒化物は、短時間熱処理により溶解、粗大化して容易に低強度化する事ができる。
ベイナイトまたはマルテンサイトは鋼を変態強化により高強度化する事ができる。一方ベイナイトまたはマルテンサイトは短時間熱処理により容易に焼き戻されて、粗大な炭化物が析出し、低強度化する事ができる。鋼板を局部的に低強度化するためには、短時間熱処理で強度の変化する組織を体積割合で一定割合以上含有する事が必要である。すなわち、鉄炭化物、鉄窒化物、鉄炭窒化物の1種または2種以上の合計の割合が10個/μm2 以上含まれる結晶粒、ベイナイト、マルテンサイト組織が鋼全体の割合の中で一定割合以上ある事が必要である。鉄炭化物、鉄窒化物、鉄炭窒化物の1種または2種以上の合計の割合が10個/μm2 以上含まれる結晶粒、ベイナイト、マルテンサイト組織は、鋼の他の組織(例えば、微細な炭窒化物を含まないフェライトやパーライト等)に比べ、強度が高いので鋼板の強度に対する寄与度が大きく、合計の体積割合が、おおむね7%以上あれば、短時間熱処理したときに鋼板の強度を5%以上変化させる事ができる。鉄炭化物、鉄窒化物、鉄炭窒化物の1種または2種以上の合計の割合が10個/μm2 以上含まれる結晶粒、ベイナイト、マルテンサイト組織の強度および短時間熱処理により強度の変化する軟化量は、これらの組織中に含まれる炭素量、窒素量により異なり、炭素量、窒素量が多い場合には、これら組織の体積割合が7%以下のときでも、鋼板の強度は5%以上変化させる事ができる。しかしながら、通常薄鋼板として使用される炭素量(wt%C≦0.25) 、窒素量(wt%N≦0.02) 範囲では、鉄炭化物、鉄窒化物、鉄炭窒化物の1種または2種以上の合計の割合が10個/μm2 以上含まれる結晶粒、ベイナイト、マルテンサイト組織が体積割合で合計7%以上のとき、鋼板の強度は5%以上変化させる事ができるので、7%を下限とする。
【0015】
また、鉄炭化物、鉄窒化物、鉄炭窒化物の1種または2種以上の合計の割合が10個/μm2 以上含まれる結晶粒、ベイナイト、マルテンサイト組織の体積割合が増えれば増えるほど、鋼板の強度を変化させることが容易になるので、上限は規定しないが、加工性は劣化していくので、加工部品に応じて体積割合を調整しておく事が望ましい。
【0016】
ここで言う鉄炭化物とはセメンタイト、ε炭化物、χ炭化物、鉄−炭素コンプレックスなどの鉄炭素化合物、鉄窒化物とはFe4 N,Fe162 、鉄−窒素コンプレックスなどの鉄窒素化合物、鉄炭窒化物とは鉄炭化合物や鉄窒化物が混合した形態や、鉄炭化合物の一部のCがNに置き換わったもの、鉄窒化物の一部のNがCに置き換わったもの等を指す。
【0017】
図1に鉄炭化物、鉄窒化物、鉄炭窒化物の1種または2種以上の合計の割合が10個/μm2 以上含まれる結晶粒、ベイナイト、マルテンサイト組織の合計の占積率と鋼板強度の低下比の関係を示す。鉄炭化物、鉄窒化物、鉄炭窒化物の1種または2種以上の合計の割合が10個/μm2 以上含まれる結晶粒の割合は、顕微鏡視野内の結晶粒ごとの鉄炭化物または鉄窒化物または鉄炭窒化物の個数を数え、10個/μm2 以上含まれる結晶粒個数および平均結晶粒径を測定する事により占積率を算出した。また、ベイナイト、マルテンサイトの占積率も顕微鏡視野内の個数および平均サイズを測定する事により算出した。強度測定は、JIS5号引張試験片を作成し、400℃で30秒の熱処理を行った後、室温まで冷却し、その後室温で引張試験を行った。この時の引張試験強度の低下量(ΔTS)を熱処理前のTSで割った値を強度低下比として示した。鉄炭化物、鉄窒化物、鉄炭窒化物の1種または2種以上の合計の割合が10個/μm2 以上含まれる結晶粒、ベイナイト、マルテンサイト組織の合計の占積率が7%以上のとき、鋼板強度の低下比が著しいことが分かる。
【0018】
次に、鉄炭化物、鉄窒化物、鉄炭窒化物の1種または2種以上の合計の割合が10個/μm2 以上含まれる結晶粒、ベイナイト、マルテンサイト組織の合計の占積率が7%以上であることを特徴とする鋼板の製造方法について詳細に説明する。
まず、鋼のミクロ組織のうち、鉄炭化物、鉄窒化物、鉄炭窒化物の1種または2種以上の合計の割合が10個/μm2 以上含まれる結晶粒を占積率で7%以上得る好適な方法についてのべる。
【0019】
熱延鋼板を製造する場合、熱延を施すに際し、圧延終了後、650℃以上770℃以下の温度から20℃/sec 以上の速さで300℃以下まで冷却を施す。これは、650℃以上770℃以下の温度で、CまたはNの固溶量が最大になり、過飽和度が高まるためである。この温度域から、20℃/sec 以上の冷却を施し、CまたはNの過飽和度が高いまま300℃以下に冷却、巻取を行うと、鉄炭化物、鉄窒化物、鉄炭窒化物の1種または2種以上の合計の割合が10個/μm2 以上含まれる結晶粒が、占積率で7%以上含む熱延鋼板を得る事ができる。これは、鉄炭化物または鉄窒化物または鉄炭窒化物の析出の駆動力が非常に高いので微細に析出するためと考えられる。
【0020】
冷延鋼板を製造する場合、熱延、脱スケール処理、冷延を施し、ついで冷延鋼板に連続焼鈍後冷却を施すに際し、650℃以上770℃以下の温度から20℃/sec 以上の速さで300℃以下まで冷却を施し、更に過時効処理を施さないか、または300℃以下の過時効処理を施す。これは、熱延鋼板と同様に、650℃以上770℃以下の温度で、CまたはNの固溶量が最大になり、過飽和度が高まるためである。この温度域から、20℃/sec 以上の冷却を施し、CまたはNの過飽和度が高いまま300℃以下に冷却すると、鉄炭化物、鉄窒化物、鉄炭窒化物の1種または2種以上の合計の割合が10個/μm2 以上含まれる結晶粒が、占積率で7%以上含む熱延鋼板を得る事ができる。これは、鉄炭化物または鉄窒化物または鉄炭窒化物の析出の駆動力が非常に高いので微細に析出するためと考えられる。冷延鋼板の場合は、過時効処理を施す場合があるが、過時効処理によって、鉄炭化物、鉄窒化物、鉄炭窒化物の1種または2種以上の合計の割合が10個/μm2 以上含まれる結晶粒が失われるので、その後、過時効処理を施さないか、または過時効処理を施したとしても、300℃以下の過時効処理を施す必要がある。
【0021】
ついで、鋼のミクロ組織のうち、ベイナイト、マルテンサイトの1種または2種以上の合計の割合が、占積率で7%以上を得る方法についてのべる。
熱延鋼板を製造する場合、熱延を施すに際し、圧延終了後、(Arl+20)℃以上の温度から20℃/sec 以上の速さで300℃以下まで冷却を施す。ベイナイト、マルテンサイトを7%以上得るためには、オーステナイトを7%以上含む温度域からの冷却が必要である。従って、(Arl+20)℃以上の温度域から冷却をする必要がある。冷却速度は、20℃/sec 以上の速さで冷却すると、低温まで、オーステナイトを未変態のまま冷却でき、低温変態生成物であるベイナイトまたはマルテンサイトを得る事ができる。ベイナイトを得るためには、約500℃以下、マルテンサイトを得るためには、Ms点以下まで冷却すればよいが、焼戻により強度が低下してしまうので、焼戻により強度が低下しないように300℃以下まで冷却し300℃以下を巻取を行う必要がある。
【0022】
冷延鋼板を製造する場合、熱延、脱スケール処理、冷延を施し、ついで冷延鋼板に連続焼鈍後冷却を施すに際し、(Arl+20)℃以上の温度から20℃/sec 以上の速さで300℃以下まで冷却を施し、更に過時効処理を施さないか、または300℃以下の過時効処理を施す。ベイナイト、マルテンサイトを7%以上得るためには、オーステナイトを7%以上含む温度域からの冷却が必要である。従って、(Arl+20)℃以上の温度域から冷却をする必要がある。冷却速度は、20℃/sec 以上の速さで冷却すると、低温まで、オーステナイトを未変態のまま冷却でき、低温変態生成物であるベイナイトまたはマルテンサイトを得る事ができる。ベイナイトを得るためには、約500℃以下、マルテンサイトを得るためには、Ms点以下まで冷却すればよいが、焼戻により強度が低下してしまうので、焼戻により強度が低下しないように300℃以下まで冷却を行う必要がある。また過時効処理を施すと、過時効処理によりベイナイトまたはマルテンサイトが焼き戻されてしまい、強度低下を引き起こすので、過時効処理を施さないか、施したとしても300℃以下の温度域で過時効処理を施すことが必要である。
【0023】
次に鋼の成分を限定する理由について述べる。
Cは、本発明である鉄炭化物または鉄炭窒化物が10個/μm2 以上含まれる結晶粒、ベイナイト、マルテンサイト組織を得るために、必須の元素である。含有量が多くなると、上記組織を得やすくなるが、溶接性は劣化する。従って0.25%以下とする。また、0.0005%未満では、鉄炭化物、鉄窒化物、鉄炭窒化物の1種または2種以上の合計の割合が10個/μm2 以上含まれる結晶粒、ベイナイト、マルテンサイト組織を得るための製造コスト、合金コストが増大し、製造コストが飛躍的に上がり経済的でなくなるので、0.0005%を下限とする。
【0024】
Siは、0.01%未満では、熱処理の際、強度を上昇させる効果が少ないので、0.01%を下限とする。好ましくは、0.2%以上である。3.0%を超えると加工性は劣化するので、3.0%を上限とする。
Mnは、強度確保のために使用されるが、0.01%未満では、製造コストが飛躍的に上がり経済的でなくなるので、0.01%を下限とし、3.0%を超えると加工性は劣化するので、3.0%を上限とする。
【0025】
Pは、0.002%未満では、熱処理の際、強度を上昇させる効果が少ないので、0.002%を下限とする。好ましくは、0.02%以上である。0.20%を超えると靱性が著しく悪化して脆化するので、0.20%を上限とする。
Sは、0.001%未満では製造コストが飛躍的に上がり経済的でなくなるので、0.001%を下限とし、0.03%を超えると熱間圧延時に赤熱脆性を起こし、表面で割れる、いわゆる、熱間脆性を起こすため、0.03%を上限とする。
【0026】
Nは、0.0002%未満では製造コストが飛躍的に上がり経済的でなくなるので、0.0002%を下限とし、0.02%を超えると加工性が劣化してくるので、0.02%を上限とする。
また、本発明では、C,Si,Mn,Mo,Ni,Al,Cu,Nb,Ti,V,Cr,P,Bを次式の範囲で含有させると効果が著しい。
【0027】
K/Y≧0.77、
K={TS(MPa)-(280+390*C+98*Si+65*Mn+882*P+207*Al+980*Ti+2000*Nb+980*V+200*Mo+38*Ni+55*Cu+22*Cr)}、
Y={30* √Si+40*√Mn+80*√Mo+4* √Ni+35*√Nb+40*√Ti+55*√V+40* √Cr+70*√P+500*√B }、
TS(MPa)は鋼の引張強度(MPa)である。
【0028】
本発明法によって得られる鋼板の使用にあたっては、成形性向上熱処理として、Acl以下の温度で、かつ30秒以内の熱処理をされる。
上式のK値はAcl以下の温度で熱処理を行う事から、おもに規定されるものであり、上式のY値は30秒以内の時間内で熱処理を行う事から、おもに規定されるものである。
【0029】
まず、上式のK値について説明する。C,Si,Mn,P,Al,Ti,Nb,V,Mo,Ni,Cu,Crは鋼を強化する元素である。これらの元素は、固溶強化、析出強化、変態強化など、様々な硬化メカニズムにより直接的または間接的に作用し、鋼を強化する。本発明ではAcl変態点以下の温度で熱処理により鋼の強度を軟化させ低強度にする。軟化量は熱処理時間が増加するにつれて増加するが、どんなに長時間熱処理しても鋼が軟化しない強度分があることが判明した。この軟化しない強度分は鋼の成分に大きく依存し、MPa 単位で
(280+390*C+98*Si+65*Mn+882*P+207*Al+980*Ti+2000*Nb+980*V+200*Mo+38*Ni+55*Cu+22*Cr)
で表せる事が分かった。この軟化しない強度分は、成分によって異なり、単位重量あたり、Nbが最も効果が大きく、ついでTi,Pの順となる。この効果の寄与度が、請求項1に示した式の第一項の元素の前に付与された係数である。すなわち、この係数が、Cの場合390、Siの場合98、Mnの場合65、Pの場合882、Alの場合207、Tiの場合980、Nbの場合2000、Vの場合980、Moの場合200、Niの場合38、Cuの場合55、Crの場合22である事が判明した。
【0030】
従って、Acl変態点以下の温度の熱処理で強度が変化しうる鋼の強度分としては
{TS(MPa)-(280+390*C+98*Si+65*Mn+882*P+207*Al+980*Ti+2000*Nb+980*V+200*Mo+38*Ni+55*Cu+22*Cr)}
で表され、この値をKとして定義している。
【0031】
次に上式のY値について説明する。Si,Mn,Mo,Ni,Nb,Ti,V,Cr,P,Bは鋼の軟化速度に影響を及ぼす元素であり、鉄炭化物、鉄窒化物、鉄炭窒化物の溶解、粗大化やベイナイト組織、マルテンサイト組織の軟化を遅らせる元素である。そのため、これらの元素が一定量以上含まれると短時間熱処理により鋼を軟化させる事ができない。この効果は、鋼の成分、含有量に大きく依存し、
{30* √Si+40*√Mn+80*√Mo+4* √Ni+35*√Nb+40*√Ti+55*√V+40* √Cr+70*√P+500*√B }
に比例する事が分かった。この値をYとして定義している。
【0032】
この効果代は、成分によって異なり、単位重量あたり、Bが最も効果が大きく、ついでMo,Pの順となる。この効果の寄与度が、請求項1に示した式の第二項の元素の前に付与された係数である。すなわち、この係数が、Siの場合30、Mnの場合40、Moの場合80、Niの場合4、Nbの場合35、Tiの場合40、Vの場合55、Crの場合40、Pの場合70、Bの場合500である事が判明した。
【0033】
また、この効果は、含有元素の濃度の平方根に比例する事が明らかとなった。このメカニズムは明らかではないが、これらの元素とC,N、転位、空孔との相互作用により、鉄炭化物、鉄窒化物、鉄炭窒化物の溶解、粗大化を遅らしたり、ベイナイトやマルテンサイトからの炭化物の析出や転位の回復を抑制し、ベイナイトやマルテンサイトの軟化を遅らせるからだと思われる。
【0034】
また、さらに本発明の重要な点は、鋼の組織を限定し、鋼の強度のうち軟化しない強度分と鋼の軟化を遅らせる元素量を上手くバランスさせることにより、成形性向上熱処理にすぐれた鋼板を実現したことである。すなわち、K値とY値の比が0.77以上となるとき、短時間熱処理で鋼の強度を5%変化させる事に成功した。
【0035】
この事を式で表現した場合、
K/Y≧0.77、
K={TS(MPa)-(280+390*C+98*Si+65*Mn+882*P+207*Al+980*Ti+2000*Nb+980*V+200*Mo+38*Ni+55*Cu+22*Cr)}、
Y={30* √Si+40*√Mn+80*√Mo+4* √Ni+35*√Nb+40*√Ti+55*√V+40* √Cr+70*√P+500*√B }、
の範囲であるとき、成形性向上熱処理に優れた鋼板とする事ができる。図2に上記説明の概念図をしめす。
【0036】
また、種々の濃度の鋼を用い、短時間熱処理を行ったときの鋼板の強度の低下比を図3に示す。
強度測定は、JIS5号引張試験片を作成し、400℃で30秒の熱処理を行った後、室温まで冷却し、その後室温で引張試験を行った。この時の引張試験強度の低下量(ΔTS)を熱処理前のTSで割った値を強度低下比として示した。
【0037】
図3より、K/Yが0.77を下回ると、効果が殆ど認められず、0.77以上で5%以上の鋼板の強度低下が得られることが分かる。
本発明法によって得られる成形性向上熱処理能に優れた加工用薄鋼板とは、上記組織、組成を満たすものならば、熱延鋼板、冷延鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板でもかまわない。
【0038】
亜鉛めっき鋼板の場合、亜鉛めっき層の劣化を防ぐため、550℃以下の温度で成形性向上熱処理を施すことが必要であるが、本発明法によってえられる鋼板を用いれば、十分可能である。
また、板厚も限定されるものではないが、0.4〜6mmで特に有効である。
本発明法で得られた鋼板をプレス成形するにあたっては、鋼板を部品形状に合わせてブランキングを行ない、成形前にプレスで加工の厳しいところに局部的に成形性向上熱処理を施す。熱処理は部分的であるが、鋼板全体の成形性は著しく向上し、複雑な形状の高強度プレス成形体を得る事ができる。
【0039】
次に部分軟化加工用薄鋼板の製造法について述べる。
本発明で得られた鋼板は、プレス成形前でなく、事前に部品に合わせたパターンで成形性向上熱処理を施して鋼板を部分的に軟化させ、鋼板面内に二次元的に1mm2 以上の単位でパターン化された軟質部と硬質部を作ることができる。この部分軟化鋼板の製造方法は、本発明法によって得られた鋼板に、Acl点以下30sec 以内の局部的な熱処理を施して局部的に軟質化させる事にある。あらかじめ部品形状にあわせて必要部位を軟質化しておくと、部品形状に鋼板を切り出した後、個別に成形性向上熱処理をする必要がないので、部品の部分熱処理製造工程を減らす事ができ、特殊なプレス製造設備が要らず、通常設備で複雑な形状の高強度プレス成形体を得る事ができる。
【0040】
局部的な熱処理はAcl点以下30sec で行う。熱処理温度は、高ければ高いほど、鋼板強度は低下して軟質化するが、温度をAcl変態点以上に上げると変態歪みにより鋼板の形状が著しく悪化するので、Acl変態点上限とする。また、亜鉛めっき鋼板を熱処理する際には熱処理を施してからめっきを施すか、めっき後に局所的な熱処理を施す。熱処理を施してから亜鉛めっきを施す場合には、鋼板が軟質化しない低温で溶融めっきを施すか、または、電気めっきを施して鋼板強度が変化しないように配慮する必要がある。また亜鉛めっきを施してから、局部熱処理する場合には、亜鉛めっきが変質しない550℃以下の熱処理を施す事が、望ましい。
また、熱処理時間は、長ければ長いほど、鋼板強度は低下して軟質化するが、熱伝導により軟質にしたい所以外にも熱が伝わり、軟質化し、硬質部と軟質部のパターン化の精度が著しく悪くなるので、30sec 以内の熱処理とする。
【0041】
図4にパターン例をしめす。本発明の部分軟化鋼板の製造法は、このパターン例に限定されることなく部品形状に合わせたパターン化をする事が出来る。
【0042】
【実施例】
実施例1
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
表1に示す成分の鋼を溶製し、常法に従い連続鋳造でスラブとした。そして、加熱炉中で1200℃まで加熱し、880℃の仕上げ温度で、熱間圧延を行い、500℃の温度で巻取り、ついで、酸洗を施し熱延鋼板とした。
【0043】
更に、60%の圧下率で冷間圧延を行った後、830℃×60秒の再結晶焼鈍を行い、700℃まで徐冷し、その後100℃/sec の冷却速度、250℃の温度まで冷却し、1.2mmの冷延鋼板となした。このとき得られた鋼の組織を表1に併記する。また、一部は電気亜鉛めっきを施し、鋼板の表層に亜鉛層を付与した。
【0044】
得られた冷延鋼板をJIS5号引張試験片に加工し、機械的特性値(熱処理なし)の評価を行った。また、別途、JIS5号引張試験片を作成し、450℃×10sec の熱処理を行い、機械的特性値(熱処理あり)の評価を行った。
また、別途、該鋼板を90ψ〜120ψの円盤に打ち抜き、25℃に保たれた50ψの円筒ポンチ、内径54ψのダイスを用い深絞り成形を行った。しわ押さえ圧を変え、深絞り成形が可能な限界絞り比を求めた。一部の円盤はフランジ相当部を短時間熱処理する目的で、450℃に加熱された内径60ψのダイスで円盤の周辺部を挟み込んで軟質化し、図5に示すような局部的に材料強度の変化した円盤を作成した。その後、熱処理無しの円盤と同様に、25℃に保たれた50ψの円筒ポンチ、内径54ψのダイスを用い深絞り成形を行った。
【0045】
以上の結果を表1に併記する。
表1から明らかなように、本発明によって得られた鋼板を用いれば、短時間熱処理で材料強度を5%以上軟質にする事ができ、成形性向上熱処理を行ったとき、成形性を向上させる事ができる。
実施例2
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
【0046】
表2に示す成分の鋼を溶製し、常法に従い連続鋳造でスラブとした。そして、加熱炉中で1200℃まで加熱し、880℃の仕上げ温度で、熱間圧延を行い、表2に示す冷却開始温度、冷却速度、冷却終点温度で冷却を行い、巻取り、ついで、酸洗を施し熱延鋼板とした。
また別途、更に、60%の圧下率で冷間圧延を行った後、830℃×60秒の再結晶焼鈍を行い、徐冷し、その後表3に示す冷却開始温度、冷却速度、冷却終点温度まで冷却し、冷延鋼板となした。
【0047】
得られた熱延鋼板、冷延鋼板のミクロ組織のうち鉄炭化物、鉄窒化物、鉄炭窒化物の1種または2種以上の合計の割合が10個/μm2 以上含まれる結晶粒、ベイナイト、マルテンサイトの合計の体積分率を表3に示す。
本発明法で鉄炭化物、鉄窒化物、鉄炭窒化物の1種または2種以上の合計の割合が10個/μm2 以上含まれる結晶粒、ベイナイト、マルテンサイトの合計の体積分率が7%以上である鋼板を得られることが分かる。
【0048】
また得られた熱延鋼板、冷延鋼板をJIS5号引張試験片に加工し、機械的特性値(熱処理なし)の評価を行った。また、別途、JIS5号引張試験片を作成し、450℃×10sec の熱処理を行い、機械的特性値(熱処理あり)の評価を行った。
また、別途、該鋼板を90ψ〜120ψの円盤に打ち抜き、25℃に保たれた50ψの円筒ポンチ、内径54ψのダイスを用い深絞り成形を行った。しわ押さえ圧を変え、深絞り成形が可能な限界絞り比を求めた。一部の円盤はフランジ相当部を短時間熱処理する目的で、450℃に加熱された内径60ψのダイスで円盤の周辺部を挟み込んで軟質化し、図5に示すような局部的に材料強度の変化した円盤を作成した。その後、熱処理無しの円盤と同様に、25℃に保たれた50ψの円筒ポンチ、内径54ψのダイスを用い深絞り成形を行った。
【0049】
以上の結果を表2に併記する。
表3から明らかなように、本発明法を用いれば、鉄炭化物、鉄窒化物、鉄炭窒化物の1種または2種以上の合計の割合が10個/μm2 以上含まれる結晶粒、ベイナイト、マルテンサイトの合計の体積分率が7%以上であり、短時間熱処理で材料強度を5%以上軟質にする事ができ、成形性向上熱処理を行ったとき、成形性を向上させる事ができる鋼板を製造する事ができる。
【0050】
【表1】
Figure 0003993703
【0051】
【表2】
Figure 0003993703
【0052】
【表3】
Figure 0003993703
【0053】
【表4】
Figure 0003993703
【0054】
【表5】
Figure 0003993703

【図面の簡単な説明】
【図1】鉄炭化物、鉄窒化物、鉄炭窒化物の1種または2種以上の合計の割合が10個/μm2 以上含まれる結晶粒、ベイナイト、マルテンサイトの合計の体積分率と鋼板強度の低下比(ΔTS/TS)の関係を説明する概念図である。
【図2】鋼板強度、K値、Y値、熱処理により可能な強度の低下量の関係を説明する概念図である。
【図3】K値、Y値の比(K/Y)と400℃×30sec の熱処理による鋼板の強度低下比(ΔTS/TS)を示す図である。
【図4】部分軟化鋼板の軟質部硬質部のパターン例を示す図である。
【図5】円盤状鋼板を局部加熱する装置と局部加熱された円盤を示す図である。
【符号の説明】
1…部分軟化鋼板
2…ブランク(切り板)
3…プレス部品
4…側面から見た450℃に加熱したダイス
5…側面から見た円盤状の鋼板
6…上から見た円盤の未加熱部
7…上から見た円盤の加熱部
A…軟質部
B…硬質部

Claims (4)

  1. 重量
    C:0.0005%〜0.25%
    Si:0.01%〜3.0%
    Mn:0.01%〜3.0%
    P:0.002%〜0.20%
    S:0.001%〜0.03%
    Al:0.012〜0.045%
    N:0.0002%〜0.02%を含有し、さらに、
    Mo:0.01〜0.30%
    Ni:0.1〜1.0%
    Cu:0.2〜2.0%
    Nb:0.01〜0.04%
    Ti:0.01〜0.05%
    V:0.01〜0.04%
    Cr:0.1〜0.3%
    B:0.0005〜0.0020%
    の1種または2種以上を重量%で、
    K/Y≧0.77、
    K={TS(MPa)−(280+390*C+98*Si+65*Mn+882*P+207*A1+980*Ti+2000*Nb+980*V+200*Mo+38*Ni+55*Cu+22*Cr)}、
    Y={30*√Si+40*√Mn+80*√Mo+4*√Ni+35*√Nb+40*√Ti+55*√V+40*√Cr+70*√P+500*√B}、
    の範囲で含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼に、熱延を施すに際し、圧延終了後、650℃以上770℃以下の温度から20℃/sec以上の速さで300℃以下まで冷却を施して、鋼のミクロ組織のうち、鉄炭化物、鉄窒化物、鉄炭窒化物の1種または2種以上の合計の割合が10個/μm以上含まれる結晶粒が、占積率で7%以上とする成形性向上熱処理能に優れた加工用熱延鋼板にし、該鋼板にAcl点以下30sec以内の局部的な熱処理を施して局部的に軟質化させる事を特徴とする部分軟化加工用薄鋼板の製造方法。
  2. 請求項1に記載の成分を有する鋼に、熱延を施すに際し、圧延終了後、(Arl+20)℃以上の温度から20℃/sec以上の速さで300℃以下まで冷却を施して、鋼のミクロ組織のうち、ベイナイト、マルテンサイト、の1種または2種以上の合計の割合が、占積率で7%以上とする成形性向上熱処理能に優れた加工用熱延鋼板にし、該鋼板にAcl点以下30sec以内の局部的な熱処理を施して局部的に軟質化させる事を特徴とする部分軟化加工用薄鋼板の製造方法。
  3. 請求項1に記載の成分を有する鋼に、熱延、脱スケール処理、冷延を施し、ついで冷延鋼板に連続焼鈍後冷却を施すに際し、650℃以上770℃以下の温度から20℃/sec以上の速さで300℃以下まで冷却を施し、更に過時効処理を施さないか、または300℃以下の過時効処理を施して、鋼のミクロ組織のうち、鉄炭化物、鉄窒化物、鉄炭窒化物の1種または2種以上の合計の割合が10個/μm以上含まれる結晶粒が、占積率で7%以上とする成形性向上熱処理能に優れた加工用冷延鋼板にし、該鋼板にAcl点以下30sec以内の局部的な熱処理を施して局部的に軟質化させる事を特徴とする部分軟化加工用薄鋼板の製造方法。
  4. 請求項1に記載の成分を有する鋼に、熱延、脱スケール処理、冷延を施し、ついで冷延鋼板に連続焼鈍後冷却を施すに際し、(Arl+20)℃以上の温度から20℃/sec以上の速さで300℃以下まで冷却を施し、更に過時効処理を施さないか、または300℃以下の過時効処理を施して、鋼のミクロ組織のうち、ベイナイト、マルテンサイト、の1種または2種以上の合計の割合が、占積率で7%以上とする成形性向上熱処理能に優れた加工用冷延鋼板にし、該鋼板にAcl点以下30sec以内の局部的な熱処理を施して局部的に軟質化させる事を特徴とする部分軟化加工用薄鋼板の製造方法。
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