JP2000308373A - 積層型圧電素子および圧電アクチュエータ - Google Patents

積層型圧電素子および圧電アクチュエータ

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JP2000308373A
JP2000308373A JP11108004A JP10800499A JP2000308373A JP 2000308373 A JP2000308373 A JP 2000308373A JP 11108004 A JP11108004 A JP 11108004A JP 10800499 A JP10800499 A JP 10800499A JP 2000308373 A JP2000308373 A JP 2000308373A
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displacement
piezoelectric
laminated
hinge
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JP11108004A
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Mizuaki Suzuki
瑞明 鈴木
Akihiro Iino
朗弘 飯野
Masao Kasuga
政雄 春日
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Seiko Instruments Inc
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Seiko Instruments Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 直線変位に対する角度変位を大きくすること
ができる積層型圧電素子および圧電アクチュエータを得
ること。 【解決手段】 積層型圧電素子11は、電極が形成され
た薄板状の圧電素子が複数枚、積層構成された圧電素子
体に対して、長手中央に厚さ方向に幅W1の素子分離溝
11aが形成されている。この素子分離溝11aは、積
層構造体を第1の圧電素子部11bと第2の圧電素子部
11cとに分離するための溝である。第1の圧電素子部
11bおよび第2の圧電素子部11cにそれぞれ電圧を
印加することにより直線変位がそれぞれ生じるが、素子
分離溝11aの幅W1が小さいことから、第1の圧電素
子部11bの表面と第2の圧電素子部11cの表面とを
結ぶ線分に大きな角度変位が発生する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリンタ、複写
機、ファクシミリ装置、光通信機器等における光学系
(反射鏡)、光検出系(光センサ、光ダイオード)、発
光系(レーザダイオード)の角度調整等に用いて好適な
積層型圧電素子および圧電アクチュエータに関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来より、電極が形成された薄板状の圧
電素子が複数枚、積層構成された積層型圧電素子を駆動
源とした圧電アクチュエータが用いられている。上記積
層型圧電素子は厚み方向に電圧が印加されることで、印
加電圧の極性に応じて伸張または収縮するという特性を
有している。また、圧電アクチュエータは、積層型圧電
素子の直線変位を例えば角度変位に変換する機構を備え
ている。ここで、図5を参照して従来の圧電アクチュエ
ータについて説明する。
【0003】図5において、変位部1は、積層型の圧電
素子2、圧電素子3および変位調整部4を介して固定部
5に支持されており、固定部5に対して角度変位が生じ
るように構成されている。圧電素子2および圧電素子3
は印加電圧に応じて収縮するという性質を備えており、
変位調整部4を挟んで、変位部1と固定部5との間にそ
れぞれ介挿されている。また、圧電素子2は、一端部が
ヒンジ6aを介して変位部1の面1bに接続されてお
り、他端部がヒンジ6bを介して固定部5の面5bに接
続されている。同様にして、圧電素子3は、一端部がヒ
ンジ7aを介して面1bに接続されており、他端部がヒ
ンジ7bを介して面5bに接続されている。
【0004】変位調整部4は、両端部にヒンジ部4aお
よびヒンジ部4bが形成されており、圧電素子2と圧電
素子3との間に位置するようにして、変位部1と固定部
5との間に介挿されている。この変位調整部4の剛性
は、一方の圧電素子3のみに電圧を印加したとき、他方
の圧電素子2のヒンジ6aおよびヒンジ6bを支点にし
て、変位部1の面1a、1bと、固定部5の面5a、5
bとの間に角度変位が生じるように設定されている。
【0005】上記構成において、例えば圧電素子3に電
圧が印加されると、圧電素子3に直線変位が生じること
で、圧電素子2のヒンジ6a、ヒンジ6bを支点とし
て、変位部1に角度変位が生じる。つまり、従来の圧電
アクチュエータにおいては、直線変位が角度変位に変換
されているのである。なお、上述した圧電アクチュエー
タの詳細については、特開平5−304323号公報を
参照されたい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の圧電
アクチュエータにおいては、圧電素子の直線変位が、で
きるだけ大きな角度変位に変換されることが望ましい。
かかる要請に応えるためには、直線変位を大きくする
か、または図5に示す圧電素子3と圧電素子2との間隔
を小さくすることにより、直線変位から角度変位への変
換倍率を高くする方法が考えられる。
【0007】しかしながら、圧電素子の直線変位を大き
くする方法では、圧電素子の積層枚数を増やすなどしな
ければならないため、大型化してしまい小型化が要請さ
れている装置の使用には適さない。一方、図5に示す圧
電素子3と圧電素子2との間隔を小さくする方法では、
圧電素子2と圧電素子3との間に変位調整部4が位置し
ているという物理的な制約を受けることから、圧電素子
2と圧電素子3との間隔を小さくすることができず、角
度変位を大きくするのにも限界がある。本発明はこのよ
うな背景の下になされたもので、直線変位に対する角度
変位を大きくすることができる積層型圧電素子および圧
電アクチュエータを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1にかかる発明は、電極が形成された薄板状
の圧電素子が複数枚、積層された構造をなし、断面凹形
状になるように厚さ方向に幅小の溝(図1の素子分離溝
11aに相当)が形成され、前記溝を挟んで第1の圧電
素子部(図1の第1の圧電素子部11bに相当)および
第2の圧電素子部(図1の第2の圧電素子部11cに相
当)を有している。
【0009】この請求項1にかかる発明によれば、例え
ば、第1の圧電素子部(図1の第1の圧電素子部11b
に相当)にプラスの直線変位が生じるような電圧を印加
するとともに、第2の圧電素子部(図1の第2の圧電素
子部11cに相当)にマイナスの直線変位が生じるよう
な電圧を印加すると、第1の圧電素子部の表面と第2の
圧電素子部との表面とを結ぶ線分に角度変位(傾き)が
発生する。この角度変位は、第1の圧電素子と第2の圧
電素子との間隔が小さいほど大きくなる。従って、請求
項1にかかる発明によれば、溝(図1の素子分離溝11
aに相当)を形成する構成としたことにより、第1の圧
電素子部と第2の圧電素子部との間隔を、従来のものに
比較して小さくすることが容易となるため、直線変位か
らより大きな角度変位が得られる。
【0010】また、請求項2にかかる発明は、電極が形
成された薄板状の圧電素子が複数枚、積層された構造を
なし、断面凹形状になるように厚さ方向に幅小の溝(図
2および図4の素子分離溝11aに相当)が形成され、
前記溝を挟んで第1の圧電素子部(図2および図4の第
1の圧電素子部11bに相当)および第2の圧電素子部
(図2および図4の第2の圧電素子部11cに相当)を
有している積層型圧電素子(図2および図4の積層型圧
電素子11に相当)と、被角度変位対象(図2および図
4の反射鏡15に相当)と前記第1の圧電素子部および
前記第2の圧電素子部との間に介挿されており、前記第
1の圧電素子部および第2の圧電素子部の各直線変位を
角度変位に変換する変位変換機構(図2の変位変換機構
14および図4の変位変換/拡大機構31に相当)とを
備えている。
【0011】この請求項2にかかる発明によれば、例え
ば、第1の圧電素子部(図2および図4の第1の圧電素
子部11bに相当)にマイナスの直線変位が生じるよう
な電圧を印加するとともに、第2の圧電素子部(図2お
よび図4の第2の圧電素子部11cに相当)にプラスの
直線変位が生じるような電圧を印加すると、第1の圧電
素子部の表面と第2の圧電素子部との表面とを結ぶ線分
に角度変位(傾き)が発生する。すなわち、変位変換機
構(図2の変位変換機構14および図4の変位変換/拡
大機構31に相当)により上記直線変位が角度変位に変
換されることで、被角度変位対象(図2および図4の反
射鏡15に相当)の角度調整が可能となる。ここで、被
角度変位対象に生じる角度変位は溝の形成により第1の
圧電素子部と第2の圧電素子部との間隔を小さくするこ
とが可能となるため、従来のものに比して大きい。
【0012】また、請求項3にかかる発明は、請求項2
に記載の圧電アクチュエータにおいて、前記変位変換機
構(図2の変位変換機構14に相当)は、前記被角度変
位対象(図2の反射鏡15に相当)を支持する支持部
(図2の支持部14eに相当)と、前記支持部と前記第
1の圧電素子部との間を連結し、変位末端において前記
支持部と連結するヒンジ部(図2の第1のヒンジ部14
bに相当)を有する第1の連結部(図2の第1の連結部
14aに相当)と、前記第1の連結部に対して幅小の間
隙をもって対称配置されかつ前記支持部と前記第2の圧
電素子部との間を連結し、変位末端において前記支持部
と連結するヒンジ部(図2の第2のヒンジ部14dに相
当)を有する第2の連結部(図2の第2の連結部14c
に相当)とを備えることを特徴とする。
【0013】この請求項3にかかる発明によれば、例え
ば、第1の圧電素子部(図2の第1の圧電素子部11b
に相当)にマイナスの直線変位が生じるような電圧を印
加するとともに、第2の圧電素子部(図2の第2の圧電
素子部11cに相当)にプラスの直線変位が生じるよう
な電圧を印加すると、第1の圧電素子部の表面と第2の
圧電素子部との表面とを結ぶ線分に角度変位(傾き)が
発生する。すなわち、第1の連結部(図2の第1の連結
部14aに相当)と第2の連結部(図2の第2の連結部
14cに相当)との間に変位が生じ、これにより各ヒン
ジ部を介して支持部(図2の支持部14eに相当)言い
換えれば被変位対象(図2の反射鏡15に相当)に角度
変位が生じる。ここで、上記被角度変位対象に生じる角
度変位は、第1の連結部と第2の連結部との間隔を小さ
くしているため、従来のものに比較して大きい。
【0014】また、請求項4にかかる発明は、請求項2
に記載の圧電アクチュエータにおいて、前記変位変換機
構(図4の変位変換/拡大機構31に相当)は、前記被
角度変位対象(図4の反射鏡15に相当)を支持する支
持部(図4の支持部31sに相当)と、前記支持部と前
記第1の圧電素子部(図4の第1の圧電素子部11bに
相当)との間を連結し、変位末端において前記支持部を
連結するヒンジ部(図4のヒンジ部31hに相当)を有
し、前記第1の圧電素子部の変位をてこの原理により拡
大する第1の変位拡大部(図4の第1の直線変位拡大部
31eおよび変位変換/拡大部31gに相当)と、前記
第1の変位拡大部に対して幅小の間隙をもって対称配置
され、前記支持部と前記第2の圧電素子部(図4の第2
の圧電素子部11cに相当)との間を連結しかつ変位末
端において支持部を連結するヒンジ部(図4のヒンジ部
31pに相当)を有し、前記第2の圧電素子部の変位を
てこの原理により拡大する第2の変位拡大部(図4の第
2の直線変位拡大部31mおよび第2の変位変換/拡大
部31oに相当)とを備えることを特徴とする。
【0015】この請求項4にかかる発明によれば、例え
ば、第1の圧電素子部(図4の第1の圧電素子部11b
に相当)にプラスの直線変位が生じるような電圧を印加
するとともに、第2の圧電素子部(図4の第2の圧電素
子部11cに相当)にマイナスの直線変位が生じるよう
な電圧を印加すると、第1の圧電素子部および第2の圧
電素子部の各直線変位が、第1の変位拡大部および第2
の変位拡大部により、それぞれてこの原理により拡大さ
れ、それぞれのヒンジ部を介して角度変位に変換され
る。ここで、上記被角度変位対象に生じる角度変位は、
第1および第2の変位拡大部により直線変位が拡大され
ており、かつ第1の変位拡大部と第2の変位拡大部との
間隔を小さくしているため、飛躍的に増大される。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明にか
かる圧電アクチュエータの実施の形態1、2について詳
述する。
【0017】(実施の形態1)図1は、本発明の実施の
形態1による積層型圧電素子11の構成を示す斜視図で
ある。この図において、積層型圧電素子11は、電極が
形成された薄板状の圧電素子が複数枚、積層構成されて
なり、印加電圧に応じて厚み方向に直線変位が生じる。
この積層型圧電素子11は、略直方体形状の圧電素子体
に対して、長手中央に厚さ方向に幅W1の素子分離溝1
1aが形成されており、断面略凹形状とされている。こ
の素子分離溝11aは、積層構造体を第1の圧電素子部
11bと第2の圧電素子部11cとに分離するための溝
である。上記第1の圧電素子部11bと第2の圧電素子
部11cとは、連結部11dを介して下部において連結
されている。
【0018】第1の電極12Aおよび第1の電極12B
は、第1の圧電素子部11bの両側面に対向するように
して形成されており、第1の圧電素子部11bを駆動す
るための電圧が印加される。一方、第2の電極13Aお
よび第2の電極13Bは、第2の圧電素子部11cの両
側面に対向するようにして形成されており、第2の圧電
素子部11cを駆動するための電圧が印加される。この
ように、積層型圧電素子11においては、第1の電極1
2Aおよび12Bと、第2の電極13Aおよび13Bと
をそれぞれ独立させた構成としているので、第1の圧電
素子部11bと第2の圧電素子部11cとはそれぞれ独
立して駆動制御を可能にしている。
【0019】図2は、上述した積層型圧電素子11を用
いた圧電アクチュエータ10の構成を示す側面図であ
る。なお、図2においては、理解を容易にするため第1
の電極12Aおよび第2の電極13Aの図示が省略され
ている。変位変換機構14は、積層型圧電素子11によ
る直線変位を角度変位に変換するための機構であり、第
1の圧電素子部11bおよび第2の圧電素子部11cに
取り付けられている。すなわち、変位変換機構14にお
いて、第1の連結部14aおよび第2の連結部14c
は、間隙14fを隔てて対称配置されており、それぞれ
の下端部が第1の圧電素子部11bおよび第2の圧電素
子部11cにそれぞれ垂設されている。
【0020】また、第1の連結部14aおよび第2の連
結部14cは、他の部分より幅小の第1のヒンジ部14
bおよび第2のヒンジ部14dが同図上方向に延びるよ
うにして形成されており、反射鏡15を支持する支持部
14eと第1の圧電素子部11bおよび第2の圧電素子
部11cとを連結している。上記第1のヒンジ部14b
および第2のヒンジ部14dは、支持部14eに対して
角度変位を付与するためのものであり、屈曲可能とされ
ている。ここで、間隙14fの幅W2は、素子分離溝1
1aの幅W1より小さい。反射鏡15は、例えば、レー
ザ光を反射させるためのものであり、圧電アクチュエー
タ10により角度制御される。
【0021】ここで、上述した実施の形態1による圧電
アクチュエータ10をマルチビーム用レーザビームプリ
ンタにおける光軸調整装置に適用した場合の構成例につ
いて図3を参照して説明する。図3において、第1のレ
ーザ発振器161は、第1のレーザ光L1を発生するレー
ザ発振部と、この第1のレーザ光L1を平行光に変換す
るコリメート光学系とを備えている。反射鏡15は、上
記第1のレーザ光L1を反射させることでハーフミラー
17へ導き、この第1のレーザ光L1の反射角度は、圧
電アクチュエータ10により制御される。
【0022】第2のレーザ発振器162は、第1のレー
ザ発振器161に併設されており、第1のレーザ発振器
161と同様にして、第2のレーザ光L2を発生するレー
ザ発振部と、該第2のレーザ光L2を平行光に変換する
コリメート光学系とから構成されている。この第2のレ
ーザ光L2は、ハーフミラー17に導かれる。このハー
フミラー17は、入射される光の反射光強度と透過光強
度とが等しくなるような光学デバイスであり、反射鏡1
5により反射された第1のレーザ光L1を透過光として
ポリゴンスキャナ18へ導くとともに、第2のレーザ光
2を反射光としてポリゴンスキャナ18へ導く。
【0023】ポリゴンスキャナ18は、多面体柱の側面
が多数毎のミラーで囲まれた構成をしており、回転駆動
される。第1のレーザ光L1および第2のレーザ光L
2は、ポリゴンスキャナ18の回転により、結像面20
の主走査方向に振られるのである。fθレンズ19は、
ポリゴンスキャナ18と結像面20との間に介挿されて
おり、像高が入射傾角に比例するレンズであり、結像面
20上に結像された像をポリゴンスキャナ18の回転角
に比例させて走査するためのものである。原点検出素子
21は、結像における原点を検出する素子である。光軸
誤差検出素子22は、結像面20において第1のレーザ
光L1の光軸に対する第2のレーザ光L2の光軸の光軸誤
差dを検出する素子である。
【0024】上記構成において、第1のレーザ発振器1
1および第2のレーザ発振器162からぞれぞれ第1の
レーザ光L1および第2のレーザ光L2が照射されると、
第1のレーザ光L1は、反射鏡15により所定の反射角
度をもってハーフミラー17へ反射された後、透過光と
してポリゴンスキャナ18へ導かれる。一方、第2のレ
ーザ光L2は、ハーフミラー17により反射光としてポ
リゴンスキャナ18へ導かれる。これにより、上記第1
のレーザ光L1および第2のレーザ光L2は、回転してい
るポリゴンスキャナ18により反射されることで、fθ
レンズ19を介して結像面20において主走査方向へ振
られる。
【0025】ここで、結像面20における第1のレーザ
光L1の光軸と第2のレーザ光L2の光軸とが一致するよ
うにして設計されているが、例えば、反射鏡15の反射
角度が設計時の角度からずれてしまった場合には、光軸
誤差dが生じる。この光軸誤差dは、光軸誤差検出素子
22により検出される。このように、光軸誤差dが検出
された場合には、圧電アクチュエータ10により反射鏡
15の反射角度の調整を行う必要がある。以下、この調
整方法について図2および図1を参照しつつ説明する。
【0026】まず、角度調整においては、光軸誤差検出
素子22からの検出結果(光軸誤差d)のフィードバッ
クを受けながら、光軸誤差dがゼロになるように、第1
の圧電素子部11b、第2の圧電素子部11cに対する
印加電圧が調整される。例えば、第1の圧電素子部11
bに対してマイナスの直線変位を与えるような電圧が第
1の電極12Aおよび12Bに印加されるとともに、第
2の圧電素子部11cに対してプラスの直線変位を与え
る電圧が第2の電極13Aおよび13Bに印加されたも
のとする。
【0027】これにより、図2に示す第1の連結部14
aが同図下方へ変位するとともに、第2の連結部14c
が上方へ変位することで、第1のヒンジ部14bおよび
第2のヒンジ部14dを介して、支持部14e(反射鏡
15)に同図時計回りの角度変位が生じる。ここで、間
隙14fの幅W2(素子分離溝11aの幅W1)が非常に
小さいことから、第1の圧電素子部11bおよび第2の
圧電素子部11cの直線変位に対して十分大きな角度変
位が得られる。そして、図3に示す反射鏡15の角度が
変位することにより、第1のレーザ光L1と第2のレー
ザ光L2との光軸誤差dが変化し、この光軸誤差dがゼ
ロになるように第1の圧電素子部11bおよび第2の圧
電素子部11cにぞれぞれ印加される電圧が制御され
る。
【0028】以上説明したように、上述した実施の形態
1による積層型圧電素子11によれば、積層型圧電素子
11に素子分離溝11aを形成することにより、第1の
圧電素子部11bと第2の圧電素子部11cとの間の幅
1を従来のものに比して、小さくすることが可能とな
るため、第1の圧電素子部11b、第2の圧電素子部1
1cのそれぞれの直線変位から、より大きな角度変位を
得ることができる。さらに、上記積層型圧電素子11を
用いた圧電アクチュエータ10によれば、積層型圧電素
子11に幅小の素子分離溝11aを形成し、かつ変位変
換機構14を設けた構成としたので、第1のヒンジ部1
4bと第2のヒンジ部14dとの間隙14fの幅W2
さらに幅小とすることが可能となるため、直線変位に対
してより大きな角度変位を得ることができる。
【0029】さらに、上述した実施の形態1による圧電
アクチュエータ10によれば、第1の圧電素子部11b
および第2の圧電素子部11cにそれぞれ第1の電極1
2A、12Bおよび第2の電極13A、13Bを設けた
構成としたので、電源制御を独立して行うことができ
る。
【0030】(実施の形態2)図4は本発明の実施の形
態2による圧電アクチュエータ30の構成を示す側面図
である。この図において図2の各部に対応する部分には
同一の符号を付けその説明を省略する。図4において
は、図2に示す変位変換機構14に代えて変位変換/拡
大機構31が設けられている。この変位変換/拡大機構
31は、積層型圧電素子11の直線変位を角度変位に変
換する際の変換倍率を高くするための機構である。変位
変換/拡大機構31において、基部31aは、穴31b
に収容された積層型圧電素子11を支持している。
【0031】支持部31cおよび支持部31kは、基部
31aの両角部に、垂設されるようにして、ヒンジ部3
1dおよびヒンジ部31lを介してそれぞれ形成されて
いる。第1の直線変位拡大部31eおよび第2の直線変
位拡大部31mは、間隙31tを隔てて対称配置されて
おり、略L字状とされている。また、第1の直線変位拡
大部31eおよび第2の直線変位拡大部31mは、それ
ぞれの短辺部が第1の圧電素子部11bおよび第2の圧
電素子部11cにそれぞれ取り付けられているととも
に、それぞれの長辺部がヒンジ部31fおよびヒンジ3
1nを介して基部31aに接続されている。これらの第
1の直線変位拡大部31eおよび第2の直線変位拡大部
31mは、第1の圧電素子部11bおよび第2の圧電素
子部11cの直線変位を、ヒンジ部31fおよびヒンジ
部31nを支点としたてこの原理により拡大する役目を
している。
【0032】第1の変位変換/拡大部31gおよび第2
の変位変換/拡大部31oは、他の部分より幅小のヒン
ジ部31hおよびヒンジ部31pが同図上方向に延びる
ようにしてそれぞれ形成されている。これらの第1の変
位変換/拡大部31gおよび第2の変位変換/拡大部3
1oは、第1の直線変位拡大部31eおよび第2の直線
変位拡大部31mの上方であって、かつ、幅W2(<幅
1)の間隙31uを隔てて対称配置されている。
【0033】また、第1の変位変換/拡大部31gの端
部は、ヒンジ部31iを介して第1の直線変位拡大部3
1eに接続されており、さらにヒンジ部31jを介して
支持部31cに接続されている。同様にして、第2の変
位変換/拡大部31oの端部は、ヒンジ部31qを介し
て第2の直線変位拡大部31mに接続されており、さら
にヒンジ部31rを介して支持部31kに接続されてい
る。さらに、ヒンジ部31hおよびヒンジ部31pは、
間隙31uを隔てるようにして、反射鏡15を支持する
支持部31sに接続されている。これらのヒンジ部31
hおよびヒンジ部31pは、支持部31sに対して角度
変位を付与するためのものであり、屈曲可能とされてい
る。
【0034】上記構成において、反射鏡15の角度を調
整すべく、上述した実施の形態1と同様にして、例え
ば、第1の圧電素子部11bに対してプラスの直線変位
を与えるような電圧が第1の電極12Aおよび12B
(図1参照)に印加されるとともに、第2の圧電素子部
11cに対してマイナスの直線変位を与える電圧が第2
の電極13Aおよび13Bに印加されたものとする。
【0035】これにより、図4に示す第1の直線変位拡
大部31eがヒンジ部31fを支点として同図右端部が
下がるように変位する。このとき、てこの原理により、
第1の圧電素子部11bの変位に対して、ヒンジ部31
fの同図右端部の変位が拡大される。さらに、第1の直
線変位拡大部31eの変位がヒンジ部31iを介して第
1の変位変換/拡大部31gに生じるため、第1の変位
変換/拡大部31gは、ヒンジ部31jを支点として同
図反時計回りに角度変位が生じる。ここで、てこの原理
により第1の直線変位拡大部31eの右端部の変位に対
して十分大きな角度変位が得られる。
【0036】同様にして、第2の圧電素子部11cに対
してマイナスの直線変位を与える電圧が第2の電極13
Aおよび13B(図1参照)に印加されると、第1の直
線変位拡大部31eとは逆に第2の直線変位拡大部31
mがヒンジ部31nを支点として同図左端部が持ち上が
るように変位する。これにより、第2の直線変位拡大部
31mの変位がヒンジ部31qを介して第2の変位変換
/拡大部31oに生じるため、第2の変位変換/拡大部
31oは、ヒンジ部31rを支点として同図反時計回り
に角度変位が生じる。
【0037】ここで、上述した第1の変位変換/拡大部
31gの場合と同様にして、てこの原理により第2の直
線変位拡大部31mの左端部の変位に対して十分大きな
角度変位が得られる。このようにして、ヒンジ部31h
およびヒンジ部31pを介して支持部31s(反射鏡1
5)に同図時計回りの角度変位が生じる。ここで、実施
の形態2における反射鏡15の角度変位は、幅W2が小
さい変位変換/拡大機構31を設けたことにより、前述
した実施の形態1における反射鏡15の角度変位に比し
て飛躍的に増大される。
【0038】以上、本発明の実施の形態1、2について
詳述してきたが、具体的な構成例は、これらの実施の形
態1、2に限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱
しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、上述した実施の形態1、2においては、圧電ア
クチュエータ10および圧電アクチュエータ30をマル
チビーム用レーザビームプリンタに適用した例について
説明したが、適用範囲はこれに限定されることなく、マ
イクログリッパ、各種角度調整機構等あらゆるものに適
用可能である。さらに実施の形態2においては、第1の
直線変位拡大部31e(第2の直線変位拡大部31m)
および第1の変位変換/拡大部31g(および第2の変
位変換/拡大部31o)の上方にさらに同様の機構を複
数段設けて、変位拡大率をさらに増大するように構成し
てもよい。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1にかかる
発明によれば、溝を形成する構成としたことにより、第
1の圧電素子部と第2の圧電素子部との間隔を、従来の
ものに比較して小さくすることが容易となるため、直線
変位からより大きな角度変位を得ることができるという
効果を奏する。
【0040】また、請求項2にかかる発明によれば、積
層型圧電素子に溝を形成したことにより、第1の圧電素
子部と第2の圧電素子部との間隔を小さくすることがで
きることから、被角度変位対象に対してより大きな角度
変位を生じさせることができるという効果を奏する。
【0041】また、請求項3にかかる発明によれば、第
1の連結部と第2の連結部との間隙を小さくしたことに
より、被角度変位対象に対してより大きな角度変位を生
じさせることができるという効果を奏する。
【0042】また、請求項4にかかる発明によれば、第
1の変位拡大部および第2の変位拡大部により変位が拡
大されており、かつ第1の変位拡大部と第2の変位拡大
部との間隔を小さくしているため、被角度変位対象に生
じる角度変位を飛躍的に増大させることができるという
効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1による積層型圧電素子1
1の構成を示す斜視図である。
【図2】同実施の形態1による積層型圧電素子11を用
いた圧電アクチュエータ10の構成を示す側面図であ
る。
【図3】本発明の実施の形態1による圧電アクチュエー
タ10の一適用例を示す斜視図である。
【図4】同実施の形態2による圧電アクチュエータ30
の構成を示す側面図である。
【図5】従来の圧電アクチュエータの構成を示す側面図
である。
【符号の説明】
10 圧電アクチュエータ 11 積層型圧電素子 11a 素子分離溝 11b 第1の圧電素子部 11c 第2の圧電素子部 14 変位変換機構 14e 支持部 15 反射鏡 30 圧電アクチュエータ 31 変位変換/拡大機構

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電極が形成された薄板状の圧電素子が複
    数枚、積層された構造をなし、断面凹形状になるように
    厚さ方向に幅小の溝が形成され、前記溝を挟んで第1の
    圧電素子部および第2の圧電素子部を有していることを
    特徴とする積層型圧電素子。
  2. 【請求項2】 電極が形成された薄板状の圧電素子が複
    数枚、積層された構造をなし、断面凹形状になるように
    厚さ方向に溝が形成され、前記溝を挟んで第1の圧電素
    子部および第2の圧電素子部を有している積層型圧電素
    子と、 被角度変位対象と前記第1の圧電素子部および前記第2
    の圧電素子部との間に介挿されており、前記第1の圧電
    素子部および第2の圧電素子部の各直線変位を角度変位
    に変換する変位変換機構とを備えることを特徴とする圧
    電アクチュエータ。
  3. 【請求項3】 前記変位変換機構は、 前記被角度変位対象を支持する支持部と、 前記支持部と前記第1の圧電素子部との間を連結し、変
    位末端において前記支持部と連結するヒンジ部を有する
    第1の連結部と、 前記第1の連結部に対して幅小の間隙をもって対称配置
    されかつ前記支持部と前記第2の圧電素子部との間を連
    結し、変位末端において前記支持部と連結するヒンジ部
    を有する第2の連結部とを備えることを特徴とする請求
    項2に記載の圧電アクチュエータ。
  4. 【請求項4】 前記変位変換機構は、 前記被角度変位対象を支持する支持部と、 前記支持部と前記第1の圧電素子部との間を連結し、変
    位末端において前記支持部を連結するヒンジ部を有し、
    前記第1の圧電素子部の変位をてこの原理により拡大す
    る第1の変位拡大部と、 前記第1の変位拡大部に対して幅小の間隙をもって対称
    配置され、前記支持部と前記第2の圧電素子部との間を
    連結しかつ変位末端において支持部を連結するヒンジ部
    を有し、前記第2の圧電素子部の変位をてこの原理によ
    り拡大する第2の変位拡大部とを備えることを特徴とす
    る請求項2に記載の圧電アクチュエータ。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107968596A (zh) * 2017-12-10 2018-04-27 绍兴康健精密不锈钢有限公司 一种基于多级放大原理的作动器
JP2021058089A (ja) * 2021-01-18 2021-04-08 有限会社メカノトランスフォーマ 圧電アクチュエータ
JPWO2022004848A1 (ja) * 2020-07-03 2022-01-06

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WO2022004848A1 (ja) * 2020-07-03 2022-01-06 京セラ株式会社 圧電素子
JP7483888B2 (ja) 2020-07-03 2024-05-15 京セラ株式会社 圧電素子
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