JP2000306654A - スパークプラグの製造方法及びスパークプラグ - Google Patents

スパークプラグの製造方法及びスパークプラグ

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JP2000306654A
JP2000306654A JP11110072A JP11007299A JP2000306654A JP 2000306654 A JP2000306654 A JP 2000306654A JP 11110072 A JP11110072 A JP 11110072A JP 11007299 A JP11007299 A JP 11007299A JP 2000306654 A JP2000306654 A JP 2000306654A
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melting point
point metal
electrode
spherical
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Wataru Matsutani
渉 松谷
Hirotetsu Nasu
弘哲 那須
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Niterra Co Ltd
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NGK Spark Plug Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Ir等の高融点金属にて発火部を形成する場
合でも電極側にこれを強固に接合することができ、しか
も球状のチップを用いて材料歩留まりを向上させつつ、
その球状形態をさらに有効利用して横飛火等の不具合を
生じにくくしたスパークプラグ及びその製造方法を提供
する。 【解決手段】 高融点金属の発火部31を、球状高融点
金属部材(又はその加工物)のレーザー溶接接合により
形成する。その溶接ビード10は、中心電極3の先端面
外縁エッジ3eを溶かし込んでこれを消滅させつつ、幅
方向の一方の縁が中心電極3の外周面に接続し、他方の
縁側が被固着金属部材60の球状面に連なる形で形成さ
れる。電界集中しやすい中心電極3の先端面外縁エッジ
3eが消滅し、さらにその溶接ビード10が連なる発火
部31の形状も、鋭いエッジが形成されない球状面であ
るから、横飛火等の問題が極めて生じにくくなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【従来の技術】従来、自動車エンジン等の内燃機関用の
スパークプラグとして、耐火花消耗性向上のために電極
の先端にPtやIr等の耐消耗性金属を主体とするチッ
プを溶接して発火部を形成したものが使用されている。
ところで上記のような耐消耗性金属はいわゆる貴金属で
あるから非常に高価であり、その使用量を削減するため
に、球状の金属チップを用いて発火部を形成したスパー
クプラグが、例えば特開昭57−38582号公報に開
示されている。該公報技術では、球状チップは、中心電
極の先端面に抵抗溶接により接合されており、球状の表
面がそのまま火花放電ギャップに臨む形となっている。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記公報に
開示されたスパークプラグには下記のような欠点があ
る。 抵抗溶接によるチップ接合は、チップ材質が、比較的
低融点のPt(純Ptの場合、融点は1769℃)であ
る場合には比較的容易に行うことができる。しかし、こ
れに比べてはるかに高融点のIr(Ir単体金属の場
合、融点は2443℃)等が使用される場合は、抵抗発
熱のみで十分な強度の溶接部を形成することが実際には
非常に困難であり、高温の燃焼ガスのアタックを受ける
とチップ剥離等の不具合も発生しやすくなる。また、公
報第5図では、中心電極の先端面の外周エッジが残留す
る形でチップが溶接されている。このエッジは電界集中
しやすく、横飛火等の問題を生じやすい(特に、接地電
極の曲げ部に近い側)。 球状面の頂点位置にて火花ギャップが最も小さくなる
関係上、スパークプラグの使用条件によっては、発火部
の局部摩耗が進みやすい場合がある。 Ir等の高融点金属で発火部を形成することは、例え
ば上記のように抵抗溶接の適用が困難になるなど、球状
のチップを用いているといえども、製造上の制約が多
い。このような高融点金属発火部を、比較的温度上昇し
にくく正イオンのアタックも受けにくい接地電極側に適
用することは、スパークプラグの無駄なコストアップに
つながる場合がある。
【0003】本発明は、Ir等の高融点金属にて発火部
を形成する場合でも電極側にこれを強固に接合すること
ができ、しかも球状のチップを用いて材料歩留まりを向
上させつつ、その球状形態をさらに有効利用して横飛火
等の不具合を生じにくくしたスパークプラグ及びその製
造方法を提供することを第一の課題とする。他方、球状
のチップを用いて材料歩留まりを向上させつつ、発火部
の局部摩耗を一層起こりにくくしたスパークプラグ及び
その製造方法を提供することを第二の課題とする。ま
た、高融点金属で構成する発火部の数を限定しつつ、火
花放電ギャップ形成部分の耐消耗性の問題も十分にクリ
アでき、加えて製造コストも比較的安価に抑さえること
ができるスパークプラグ及びその製造方法を提供するこ
とを第三の課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】本発明の
スパークプラグの製造方法の第一は、中心電極と、その
中心電極との間に火花放電ギャップが形成されるよう、
先端部側面が中心電極の先端面と対向する形にて配置さ
れる接地電極とを備え、火花放電ギャップに対応する位
置において、少なくとも中心電極の先端面に、Ir、R
h、W、Re及びRuのいずれかを主成分とする高融点
金属からなる高融点金属発火部が形成されたスパークプ
ラグの製造方法において、高融点金属からなる球状高融
点金属部材を製造し、その球状高融点金属部材、又はそ
の球状高融点金属部材の球状面に由来する凸曲面が残留
するように該球状高融点金属部材に所定の加工を施した
部材を被固着部材として、中心電極の先端面上に被固着
部材を位置決めした後、形成される溶接ビード中に中心
電極の先端面外縁エッジを溶かし込んでこれが消滅する
ように、その被固着部材の接合されるべき基端部の周方
向に沿ってレーザー溶接を施すことにより、幅方向の一
方の縁が中心電極の外周面に接続し、他方の縁側が被固
着部材の球状面又は凸曲面に連なる形で、被固着部材と
中心電極とにまたがる周方向の溶接ビードを形成するこ
とを特徴とする。
【0005】例えば球状高融点金属部材(球状チップに
相当する)に何ら加工を施さずに使用した場合、上記の
製造方法により、以下のような構成のスパークプラグを
製造できる。すなわち、中心電極と、その中心電極との
間に火花放電ギャップが形成されるよう、先端部側面が
中心電極の先端面と対向する形にて配置される接地電極
とを備え、火花放電ギャップに対応する位置において、
少なくとも中心電極の先端面に、Ir、Rh、W、Re
及びRuのいずれかを主成分とする高融点金属からなる
高融点金属発火部が形成されるとともに、高融点金属発
火部の表面は、火花放電ギャップに面する部分が少なく
とも球状面に形成され、中心電極の先端面外縁エッジを
溶かし込んでこれを消滅させる形にて、幅方向の一方の
縁が中心電極の外周面に接続し、他方の縁側が発火部の
球状面に連なる形で、被固着部材と中心電極とにまたが
る周方向の溶接ビードが形成される。
【0006】上記の本発明の製造方法の第一によれば、
中心電極側の発火部を形成するための球状金属部材を、
Ir、Rh、W、Re及びRuのいずれかを主成分とす
る高融点金属にて構成している。これらはいずれもPt
よりも高融点である。そして、この高融点金属の発火部
を、球状高融点金属部材(又はその加工物)のレーザー
溶接接合により形成している。レーザー溶接の採用によ
り、球状金属部材に対して効率よく熱を集中することが
できるから、その形成材質が相当高融点であっても局所
的な溶融状態を形成しやすい。その結果、広幅で深くし
かも均一な溶接ビードを形成することができるので、高
融点金属を用いているにも拘わらず十分な強度の溶接部
を形成することができ、チップ剥離等の不具合も発生し
にくくなる。
【0007】さらに、その溶接ビードは、中心電極の先
端面外縁エッジを溶かし込んでこれを消滅させつつ、幅
方向の一方の縁が中心電極の外周面に接続し、他方の縁
側が被固着部材の球状面又は凸曲面に連なる形で形成さ
れる。その結果、電界集中しやすい中心電極の先端面外
縁エッジが消滅し、さらにその溶接ビードが連なる発火
部の形状も、鋭いエッジが形成されない球状面又は凸曲
面であるから、横飛火等の問題が極めて生じにくくな
る。また、局所的な電界集中による発火部の偏った消耗
も生じにくく、耐久性を向上させることができる。かく
して、本発明の第一の課題が解決される。
【0008】また、本発明のスパークプラグの製造方法
の第二は、中心電極と、その中心電極との間に火花放電
ギャップが形成されるよう、先端部側面が中心電極の先
端面と対向する形にて配置される接地電極とを備え、火
花放電ギャップに対応する位置において、中心電極の先
端面及び/又は接地電極の側面に、Ir、Pt、Rh、
W、Re及びRuのいずれかを主成分とする発火部形成
金属からなる発火部が形成されたスパークプラグの製造
方法において、プレス面が平坦に構成された一対の圧縮
部材間にて、発火部形成金属からなる球状金属部材をプ
レスすることにより、又は該球状金属部材の中心を挟ん
でその両側の外面部分を平面研削することにより、被固
着部材として、厚さ方向両側に互いにほぼ平行な1対の
平坦面が形成され、かつ残余の外周面が外向きに膨出す
る曲面とされた偏平チップ部材を製造し、その偏平チッ
プ部材を、1対の平坦面の一方の側にて中心電極及び/
又は接地電極の被固着面に重ね合わせてこれを溶接接合
することを特徴とする。
【0009】この方法では、球状金属部材を用いつつ
も、それを上記のようなプレス加工により偏平形状とし
た後、中心電極あるいは接地電極に接合するようにし
た。球状金属部材使用による発火部形成金属の使用量節
減の効果に加え、発火部の火花放電ギャップ側の面を平
坦に形成できるから、ギャップ間距離が比較的一定した
領域を広く確保することができ、ひいては局部摩耗等の
問題が生じにくくなる。他方、被固着部材の外周面は外
向きに膨出する曲面(いわゆる太鼓状面)となる。従っ
て、発火部形成金属からなる円板状のチップを使用する
従来の多くのスパークプラグと比較して、電位集中によ
り減耗しやすい鋭いエッジ部分が生じにくいので、発火
部の耐久性を向上させることができる。かくして、本発
明の第二の課題が解決される。なお、発火部の火花放電
ギャップに面する平坦面は、被固着部材として球状高融
点金属部材を溶接接合した後、その接合基端側と反対側
の外面位置、すなわち火花ギャップに臨むことが予定さ
れた外面位置を研磨加工することで形成することもでき
る(例えば、上記本発明の製造方法の第一を採用する場
合)。
【0010】前記した材質の球状高融点金属部材は加工
性がやや悪いことは事実であるが、上記平坦面を形成す
る程度のプレス加工や平面研削であればほとんど問題な
く行うことができ、発火部形成のための工数と材料歩留
まりの向上に大きく寄与することができる。なお、球状
高融点金属部材の表面に、火花放電ギャップに面する平
坦面を平面研削や一軸プレスにより形成する場合は、次
のようなスパークプラグの構造となる:中心電極と、そ
の中心電極との間に火花放電ギャップが形成されるよ
う、先端部側面が中心電極の先端面と対向する形にて配
置される接地電極とを備え、火花放電ギャップに対応す
る位置において、それら中心電極の先端面と接地電極の
側面との少なくとも一方に高融点金属発火部が形成され
るとともに、高融点金属発火部の表面には、火花放電ギ
ャップに面する位置に平坦面が形成され、かつその平坦
面の外周縁に連なる周方向の側面部分が、外向きに膨出
する曲面形態をなす。例えば、平坦面を平面研削等の除
去加工により形成する場合は、発火部の側面部分は、球
状高融点金属部材の球状面形態を引き継いだものとな
り、一軸プレスにより形成した場合は、球面よりは外側
にさらに膨出した回転楕円体表面に近い形状となる。い
ずれにしても、外向きに膨出する曲面形態をなすことに
変わりはない。
【0011】さて、上記製造方法の第二においても、第
一と製造方法と同様に、中心電極の被固着面たる先端面
上に、Ir、Rh、W、Re及びRuのいずれかを主成
分とする高融点金属からなる偏平チップ部材を位置決め
した後、形成される溶接ビード中に中心電極の先端面外
縁エッジを溶かし込んでこれが消滅するように、その被
固着部材の接合されるべき基端部の周方向に沿ってレー
ザー溶接を施すことにより、幅方向の一方の縁が中心電
極の外周面に接続し、他方の縁側が被固着部材の球状面
又は凸曲面に連なる形で、被固着部材と中心電極とにま
たがる周方向の溶接ビードを形成することができる。こ
れにより得られるスパークプラグの構造は、次のような
ものとなる:中心電極と、その中心電極との間に火花放
電ギャップが形成されるよう、先端部側面が中心電極の
先端面と対向する形にて配置される接地電極とを備え、
火花放電ギャップに対応する位置において、少なくとも
中心電極の先端面に、Ir、Rh、W、Re及びRuの
いずれかを主成分とする高融点金属からなる高融点金属
発火部が形成されるとともに、高融点金属発火部の表面
には、火花放電ギャップに面する位置に平坦面が形成さ
れ、かつその平坦面の外周縁に連なる周方向の側面部分
が、外向きに膨出する凸曲面をなし、中心電極の先端面
外縁エッジを溶かし込んでこれを消滅させる形にて、幅
方向の一方の縁が中心電極の外周面に接続し、他方の縁
側が発火部の凸曲面に連なる形で、被固着部材と中心電
極とにまたがる周方向の溶接ビードが形成される。これ
により、前記した第一及び第二の課題が一挙に解決され
ることは明らかであろう。
【0012】次に、本発明の製造方法の第三は、中心電
極と、その中心電極との間に火花放電ギャップが形成さ
れるよう、先端部側面が中心電極の先端面と対向する形
にて配置される接地電極とを備えたスパークプラグの製
造方法であって、火花放電ギャップに対応する位置にお
いて、中心電極の先端面に、Ir、Rh、W、Re及び
Ruのいずれかを主成分とする高融点金属からなる高融
点金属部材を接合することにより高融点金属発火部を形
成する工程と、火花放電ギャップに対応する位置におい
て、接地電極の側面に、Ptを主成分とするPt系金属
部材を接合することによりPt系金属発火部を形成する
工程とを含み、Pt系金属部材を、厚さ方向両側に1対
の平坦面が形成されたチップ部材として形成し、そのチ
ップ部材を、1対の平坦面の一方の側にて前記接地電極
の被固着面に重ね合わせ、その重ね合わせ方向に通電す
ることにより、その重ね合わせ面間に層状の溶接部を形
成する形で抵抗溶接を行う一方、中心電極の先端面上に
被固着部材を位置決めした後、その被固着部材の接合さ
れるべき基端部の周方向に沿ってレーザー溶接を施すこ
とにより、前記接地電極側の層状の溶接部よりも広幅の
溶接ビードを形成することを特徴とする。
【0013】この場合、得られるスパークプラグの構成
は以下のようなものとなる:中心電極と、その中心電極
との間に火花放電ギャップが形成されるよう、先端部側
面が中心電極の先端面と対向する形にて配置される接地
電極とを備え、火花放電ギャップに対応する位置におい
て接地電極の側面に、Ptを主成分とし、接地電極の側
面との間に形成される層状の溶接部を介して該接地電極
に接合されるPt系金属発火部が形成され、また、火花
放電ギャップに対応する位置において中心電極の先端面
に、Ir、Rh、W、Re及びRuのいずれかを主成分
とする高融点金属からなる高融点金属発火部が形成され
るとともに、その高融点金属発火部は、その接合基端部
の周方向に沿って形成され、かつ接地電極側の層状の溶
接部よりも広幅の溶接ビードを介して、中心電極先端面
に接合される。
【0014】以下、上記方式の作用・効果について説明
する。接地電極の側面に発火部を形成する場合、金属部
材をレーザー溶接にて接合するには、横方向に伸びる電
極に金属部材を位置決めした状態で、レーザービーム発
生部と電極とを、金属部材の周方向に相対回転させる必
要があるため、幾分面倒である。しかしながら、Pt系
金属部材を採用すれば、Ptを主成分とするPt系金属
は前記した材質の高融点金属よりは低融点であり、抵抗
溶接等の簡易な溶接方法を採用しても十分な接合強度を
達成できる。
【0015】また、中心電極側を負とする極性で使用す
る一般的なスパークプラグでは、中心電極先端部に形成
された発火部は温度上昇しやすく、火花放電に由来する
正イオンのアタックも非常に受けやすいため消耗しやす
いが、接地電極側の発火部は、これに比べれば温度上昇
が小さく正イオンのアタックも受けにくいので、中心電
極側の発火部ほどには消耗は進行しにくい。従って、接
地電極側の発火部は、Pt系金属でも耐消耗性レベルは
十分であり、抵抗溶接を採用しても剥離等の問題はほと
んど生じない。さらに、Pt系金属は、前記した高融点
金属と比較すれば加工性も良好で、発火部形成のための
金属部材の製造も容易である。他方、中心電極側の発火
部は、消耗の進行を抑さえるために前記した高融点金属
により構成する。従って、高融点金属部材のレーザー溶
接接合が必須であるが、レーザービーム発生部と電極と
は電極の中心電極回りに相対回転させればよいから、接
地電極側と比較すればレーザー溶接の実施は比較的行い
やすい。また、中心電極側の高融点発火部は、温度上昇
しやすく正イオンのアタック等も受けやすいので、接地
電極側の発火部よりも剥離等の問題を発生しやすい傾向
にある。そこで、高融点発火部を中心電極に接合する溶
接ビードの幅を、Pt系金属発火部を接地電極側に接合
する層状の溶接層の厚さよりも広くすることにより、高
融点発火部の剥離等の不具合発生確率を、接地電極側の
発火部と同等レベルもしくはそれ以下に低減することが
可能となる。
【0016】以上、総合すれば、上記本発明の第三の方
法により、消耗の進行しやすい中心電極側の発火部のみ
を、接合工程上の制約が多い上記高融点金属にて構成
し、他方、消耗の進行しにくい接地電極側の発火部を、
接合工程が比較的単純でしかも加工による被固着金属部
材の製造も容易なPt系金属にて構成することで、スパ
ークプラグの製造コストを大幅に削減することができ、
ひいてはスパークプラグの無駄なコストアップを防止す
ることができる。また、中心電極側の発火部の接合強度
もより良好となる。すなわち、本発明の第三の課題を解
決することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態に付
き、図面に示す実施例を参照して説明する。図1及び図
2は、本発明に係るスパークプラグの一実施例を示す。
該スパークプラグ100は、筒状の主体金具1、先端部
21が突出するようにその主体金具1の内側に嵌め込ま
れた絶縁体2、先端に形成された高融点金属発火部31
を突出させた状態で絶縁体2の内側に設けられた中心電
極3、及び主体金具1に一端が溶接等により結合される
とともに他端側が側方に曲げ返されて、その側面が中心
電極3の先端部と対向するように配置された接地電極4
等を備えている。また、接地電極4には上記高融点金属
発火部31に対向するPt系金属発火部32が形成され
ており、それら高融点金属発火部31と、Pt系金属発
火部32との間の隙間が火花放電ギャップgとされてい
る。
【0018】なお、本明細書でいう「発火部」とは、接
合された被固着部材のうち、溶接による組成変動の影響
を受けていない部分(例えば、溶接により接地電極ない
し中心電極の材料と合金化した部分を除く残余の部分)
を指すものとする。
【0019】主体金具1は、低炭素鋼等の金属により円
筒状に形成されており、スパークプラグ100のハウジ
ングを構成するとともに、その外周面には、プラグ10
0を図示しないエンジンブロックに取り付けるためのね
じ部7が形成されている。なお、1eは、主体金具1を
取り付ける際に、スパナやレンチ等の工具を係合させる
工具係合部であり、六角状の軸断面形状を有している。
【0020】次に、絶縁体2の軸方向には貫通孔6が形
成されており、その一方の端部側から端子金具13が挿
入・固定され、同じく他方の端部側から中心電極3が挿
入・固定されている。また、該貫通孔6内において端子
金具13と中心電極3との間に抵抗体15が配置されて
いる。この抵抗体15の両端部は、導電性ガラスシール
層16,17を介して中心電極3と端子金具13とにそ
れぞれ電気的に接続されている。これら抵抗体15と導
電性ガラスシール層16,17とが焼結導電材料部を構
成している。なお、抵抗体15は、ガラス粉末と導電材
料粉末(及び必要に応じてガラス以外のセラミック粉
末)との混合粉末を原料とし、後述のガラスシール工程
においてこれを加熱・プレスすることにより得られる抵
抗体組成物で構成される。なお、抵抗体15を省略し
て、一層の導電性ガラスシール層により端子金具13と
中心電極3とを一体化した構成としてもよい。
【0021】中心電極3及び接地電極4は、少なくとも
その表層部がNi又はFeを主成分とする耐熱合金(例
えば、Niを主体とするものとして、INCONEL 600(商
標名)等のNi基耐熱合金)にて構成されている。な
お、本明細書において、合金組成における「主成分」と
は、最も重量含有率の高い成分を意味し、必ずしも「5
0重量%以上を占める成分」を意味するものではない。
【0022】一方、中心電極側の高融点金属発火部31
(ひいては、それを形成するための後述する球状高融点
金属部材)は、Ir、Rh、W、Re及びRuのいずれ
かを主成分とする高融点金属、例えばIrを主成分とす
る高融点金属を主体に構成されている。これらの高融点
金属の使用により、中心電極の温度が上昇しやすい環境
下においても、発火部の耐消耗性を良好なものとするこ
とができる。また、上記のような耐熱合金に対する溶接
性も良好である。
【0023】高融点金属発火部をIrを主体に構成する
場合、Irが高温域において酸化・揮発しやすい性質を
有しているため、そのまま発火部に使用すると、火花消
耗よりも酸化・揮発による消耗が問題となる欠点があ
る。そこで、高融点金属発火部を、Irを主成分とし
て、Pt、Rh、Ru、Pd及びReの1種または2種
以上を添加したIr合金を主体に構成することで、この
ようなIrの酸化揮発を効果的に抑制することができ、
発火部の耐消耗性を良好なものとすることができる。
【0024】具体的な材質としては、下記のものを例示
できる。 (1)Irを主体としてRhを3〜50重量%(ただし
50重量%は含まない)の範囲で含有する合金を使用す
る。該合金の使用により、高温でのIr成分の酸化・揮
発による発火部の消耗が効果的に抑制され、ひいては耐
久性に優れたスパークプラグが実現される。
【0025】上記合金中のRhの含有量が3重量%未満
になるとIrの酸化・揮発の抑制効果が不十分となり、
発火部が消耗しやすくなるためプラグの耐久性が低下す
る。一方、Rhの含有量が50重量%以上になると合金
の融点が低下し、プラグの耐久性が同様に低下する。以
上のことから、Rhの含有量は前述の範囲で調整するの
がよく、望ましくは7〜30重量%、より望ましくは1
5〜25重量%、最も望ましくは18〜22重量%の範
囲で調整するのがよい。
【0026】(2)Irを主体としてPtを1〜20重
量%の範囲で含有する合金を使用する。該合金の使用に
より、高温でのIr成分の酸化・揮発による発火部の消
耗が効果的に抑制され、ひいては耐久性に優れたスパー
クプラグが実現される。なお、上記合金中のPtの含有
量が1重量%未満になるとIrの酸化・揮発の抑制効果
が不十分となり、発火部が消耗しやすくなるためプラグ
の耐久性が低下する。一方、Ptの含有量が20重量%
以上になると合金の融点が低下し、プラグの耐久性が同
様に低下する。
【0027】(3)Irを主体としてRhを0.1〜3
5重量%の範囲で含有し、さらにRuを0.1重量%以
上含有する合金を使用する。これにより、高温でのIr
成分の酸化・揮発による発火部の消耗がさらに効果的に
抑制され、より耐久性に優れたスパークプラグが実現さ
れる。Rhの含有量が0.1重量%未満になるとIrの
酸化・揮発の抑制効果が不十分となり、発火部が消耗し
やすくなるためプラグの耐消耗性が確保できなくなる場
合がある。一方、Rhの含有量が35重量%を超える
と、Ruを含有する合金の融点が低下して耐火花消耗性
が損なわれ、プラグの耐久性が同様に確保できなくなる
場合がある。それ故、Rhの含有量は上記範囲で調整さ
れる。
【0028】.一方、Ruの含有量が0.1重量%未満
になると、該元素の添加によるIrの酸化・揮発による
消耗を抑制する効果が不十分となる。なお、Ruの含有
量の上限は、発火部の火花消耗抑制効果の必要レベルに
応じて、例えば17重量%程度のまでの範囲で適宜調整
される。
【0029】Ruが合金中に含有されることにより発火
部の耐消耗性が改善される原因の一つとして、例えばこ
の成分の添加により、合金表面に高温で安定かつ緻密な
酸化物皮膜が形成され、単体の酸化物では揮発性が非常
に高かったIrが、該酸化物皮膜中に固定されることが
推測される。そして、この酸化物皮膜が一種の不動態皮
膜として作用し、Ir成分の酸化進行を抑制するものと
考えられる。また、Rhを添加しない状態では、Ruを
添加しても合金の高温での耐酸化揮発性はそれほど改善
されないことから、上記酸化物皮膜はIr−Ru−Rh
系等の複合酸化物であり、これが緻密性ないし合金表面
に対する密着性においてIr−Ru系の酸化物皮膜より
優れたものとなっていることも考えられる。
【0030】また、Ruの添加により、さらに次のよう
な重要な効果を達成することができる。すなわち、Ru
を合金中に含有させることにより、Ir−Rh二元合金
を使用する場合と比較して、Rh含有量を大幅に削減し
ても耐消耗性を十分に確保でき、ひいては高性能のスパ
ークプラグをより安価に構成できるようになる。この場
合、Rhの含有量は0.1〜3重量%となっているのが
よい。
【0031】(4)Irを主体としてPt、Re及びP
dの少なくともいずれかを合計で1〜30重量%の範囲
で含有し、さらにRhを1〜49重量%の範囲で含有し
た合金を使用する。Irを主体として上記範囲のPt、
ReないしPdを含有する合金により構成することで、
高温でのIr成分の酸化・揮発による消耗が効果的に抑
制さるとともに、合金がさらに上記範囲のRhを含有す
ることにより、その加工性が劇的に改善される。チップ
としては、原料を所定の組成となるように配合・溶解し
て得られる溶解合金に対し所定の加工を施して形成され
たものが使用できる。なお、ここでいう「加工」とは、
プレス、鍛造、転造、研削、あるいはそれらの2種以上
を組み合わせたものを意味するものとする。
【0032】Rhの含有量が1重量%未満になると、合
金の加工性改善効果が十分に達成できなくなり、例えば
プレスや転造等の加工率が極端に大きくなった場合に、
加工中に割れやクラックなどが生じやすくなって、チッ
プを製造する際の材料歩留まりが低下する場合がある。
一方、49重量%を越えると合金の融点が低下し、プラ
グの耐久性低下を招く場合がある。それ故、Rhの含有
量は前述の範囲で調整するのがよく、望ましくは2〜2
0重量%の範囲で調整するのがよい。特に、Pdないし
Ptの合計含有量が5重量%以上である場合には合金が
さらに脆くなり、所定量以上のRhを添加しないと、加
工がさらに困難になる場合がある。この場合、Rhは2
重量%以上、望ましくは5重量%以上、さらに望ましく
は10重量%以上添加するのがよい。なお、Rhの含有
量が3重量%以上である場合には、Rhは加工性の改善
だけでなく、高温でのIr成分の酸化・揮発の抑制に対
しても効果を生ずる場合がある。
【0033】PtないしPdの合計含有量が1重量%未
満になるとIrの酸化・揮発の抑制効果が不十分とな
り、チップが消耗しやすくなるためプラグの耐久性が低
下する。一方、含有量が30重量%以上になると合金の
融点が低下し、プラグの耐久性が同様に低下したり(例
えばPd単独添加の場合)、あるいは高価なPtないし
Pdの含有量が増大してチップの材料コストが増大する
割には、チップの消耗抑制効果がそれほど期待できなく
なる問題が生ずる。以上のことから、PtないしPdの
合計含有量は前述の範囲で調整するのがよく、望ましく
は3〜20重量%の範囲で調整するのがよい。
【0034】また、高融点金属チップを上記のIr合金
をベースとして構成する場合に、Irの酸化揮発を防止
する目的で、Y、Zr、Si、La、W、Ni及びCr
から選ばれる1種又は2種以上の元素の酸化物、炭化
物、窒化物及びホウ化物の1種又は2種以上を配合する
ことができる。例えば、元素周期律表の3A族(いわゆ
る希土類元素)及び4A族(Ti、Zr、Hf)に属す
る金属元素の酸化物(複合酸化物を含む)を0.1〜1
5重量%の範囲内で含有させることができる。これによ
り、Ir成分の酸化・揮発による消耗がさらに効果的に
抑制される。上記酸化物の含有量が0.1重量%未満に
なると、当該酸化物添加によるIrの酸化・揮発防止効
果が十分に得られなくなる。一方、酸化物の含有量が1
5重量%を超えると、チップの耐熱衝撃性が低下し、例
えばチップを電極に溶接等により固着する際に、ひびわ
れ等の不具合を生ずることがある。なお、上記酸化物と
しては、Yが好適に使用されるが、このほかにも
La、ThO、ZrO等を好ましく使用する
ことができる。
【0035】他方、接地電極側のPt系金属発火部32
は、Pt単体の他、Pt−Ni合金(例えばPt−1〜
30重量%Ni合金)、Pt−Ir合金、Pt−Ir−
Ni合金等にて構成される。
【0036】図2に示すように、高融点金属発火部31
の表面は、火花放電ギャップgに面する部分が球状面に
形成されている。そして、高融点金属発火部31は、中
心電極3の先端面外縁エッジを溶かし込んでこれを消滅
させる形にて、幅方向の一方の縁が中心電極3の外周面
に接続し、他方の縁側が発火部31の球状面に連なる形
で周方向の溶接ビード10が形成され、中心電極3に接
合されている。他方、Pt系金属発火部32は、接地電
極4の側面との間に形成される層状の溶接部20を介し
て該接地電極4に接合される。
【0037】上記のような発火部31,32の形成方法
の一例を説明する。まず、高融点金属発火部31である
が、図3(a)、(b)にに示すように、中心電極3の
元になるロッド状の素材3’の先端面に、凹部形成パン
チ50により位置決め凹部3bを形成する。次いで、
(c)に示すように、素材3’の先端部外周面を切削す
ることにより、円錐台状のテーパ面3cと、その先端に
一体化される突出部3aとを形成し、中心電極3が完成
する。
【0038】そして、(d)、(e)に示すように、そ
の位置決め凹部3bに、発火部31の構成高融点金属か
らなる被固着部材60の接合基端側を嵌め入れて位置決
めした後、(f),(g)に示すように、位置決め凹部
3bの開口周縁に沿って(すなわち、被固着部材60の
接合側基端部の周方向に沿って)、環状の溶接ビード1
0を形成することにより、被固着部材60を中心電極3
に接合して発火部31となす。このとき、形成される溶
接ビード10中に、(e)に示す中心電極3の先端面外
縁エッジ3eを溶かし込んでこれが消滅するように溶接
を行う。なお、位置決め凹部3bの形成により、被固着
部材60を正確かつ安定に位置決めすることができ、ひ
いては発火部31の形成一精度を高めることができる。
ここでは、レーザー光源52に対し、中心電極3の中心
軸線周りにおいて、被固着部材60を装着した中心電極
3を相対的に回転させながら、被固着部材60外周面に
向けてパルス状レーザー光LBを照射することにより、
周方向の溶接ビード10を全周レーザー溶接部の形で形
成している。なお、被固着部材60を位置決め凹部3b
の底面に向けて、ピン等の押さえ部材による押圧により
付勢することで、その浮き上がりを防止しつつレーザー
溶接することが、溶接欠陥等の発生を防ぐ上でより望ま
しい。なお、同様の効果は、レーザー溶接に先立って、
被固着部材60を位置決め凹部3bに対し抵抗溶接等に
より仮止めすることによっても達成できる。
【0039】なお、図4に示すように、中心電極3に突
出部を形成せず、そのテーパ面3cの先端に位置決め凹
部4bを形成して被固着部材60を装着し、溶接ビード
10を形成するようにしてもよい。
【0040】また、図2に示すように、接地電極4側の
Pt系金属発火部32は、次のようにして形成される。
まず、中心電極3側の発火部31に対応する位置におい
て接地電極4の側面に同様の位置決め凹部4bを形成す
る。そして、例えばPt系金属ロッドを放電加工等によ
り輪切りにしたり、あるいはPt系金属板の打抜き加工
により形成された円板状チップ(チップ部材)を被固着
部材32’として、これを位置決め凹部4bに嵌め入れ
る。続いて、接地電極4と被固着部材32’を通電電極
150,150により挟持し、溶接電源151により通
電することで、層状の溶接部20を形成する。ここで、
高融点金属発火部31側の溶接ビード10の幅wは、上
記抵抗溶接による溶接部20の厚さtよりも大きく形成
される。
【0041】なお、接地電極側の発火部も、中心電極側
と同様の高融点金属にて構成してもよいが、この場合、
高融点金属部材の接地電極への接合は、中心電極側と同
様にレーザー溶接にて行う必要がある。
【0042】図3に戻り、この実施例では、被固着部材
60はその外面のうち、少なくとも接合基端側に位置す
る部分が球状面を成しており、位置決め凹部3bの内面
もこれに対応した球状面に形成されている。これによ
り、被固着部材60を位置決め凹部3b内にがたつきな
く一層安定に保持できるので、発火部の形成位置精度が
さらに高められる。具体的には、被固着金属部材60
は、球状に形成された球状高融点金属部材(以下、球状
高融点金属部材60ともいう)であり、その形状の対称
性により、外面の任意の部分が接合基端側部をなす球状
面として機能しうる。従って、位置決め凹部3bへの被
固着金属部材60の3次元的な装着姿勢を考慮する必要
がなくなり、ひいては位置決め凹部3bへの被固着金属
部材60の位置決め装着工程を大幅に簡略化することが
できる。なお、球状高融点金属部材60の外径は、スパ
ークプラグ100の寸法に応じ、例えば0.4〜1.5
mm程度のものが使用できる。
【0043】位置決め凹部3bは、被固着部材60側の
球状面とほぼ同じ曲率を有するものとして形成できる。
こうすれば、被固着部材60側の球状面を位置決め凹部
3bの内面に密着させることができるようになり、被固
着部材60をさらに安定に位置決めすることができる。
例えば、図3(c)に示すように、その位置決め凹部3
bの開口部3eの中心位置Gが中心電極3の中心軸線O
上にほぼ位置するようにすれば、被固着部材60を位置
決め凹部3b内に装着することにより、該被固着部材6
0の中心位置ひいては発火部31の中心位置を、中心電
極3の中心軸線O上に自動的にしかも正確に位置合わせ
することが可能となり、発火部31の偏心等が極めて生
じにくくなる。なお、位置決め凹部3bの内面を、円錐
面状に形成しても同様の効果が達成できる。
【0044】次に、発火部表面の火花発生位置を局所化
させず、適度にこれを分散させる効果を高めたい場合に
は、図6(d)に示すように、発火部31(あるいは対
向する発火部32)の火花放電ギャップに面する表面
に、発火部31(あるいは32)に平坦面31aを形成
することができる。この場合、図6(a)に示すよう
に、球状高融点金属部材60の接合基端側と反対側の外
面位置、すなわち火花放電ギャップに臨むことが予定さ
れた外面位置に、予め平面研削等により平坦面31aを
形成した後、これを被固着部材61として接合基端側を
位置決め凹部3b内に嵌め入れ、さらに(b)に示すよ
うに溶接ビード10を形成して(d)に示す発火部31
を得る。なお、平坦面31aを、火花放電ギャップの形
成方向(この場合中心電極3の中心軸線Oの方向)とほ
ぼ直交する向きに位置決めする場合は、例えば中心軸線
Oの方向にて中心電極3に接近・離間可能に設けられた
位置決めパンチUPの、該中心軸線Oと直交するパンチ
先端面を平坦面31aに押しつけて、姿勢保持しながら
溶接ビード10を形成するようにする。
【0045】他方、図6(c)に示すように、位置決め
凹部3b内に球状高融点金属部材60を嵌め入れ、さら
に溶接ビード10を形成してこれを固着・接合した後、
(d)に示す平坦面31aを平面研削等により形成して
もよい。この方法によれば、被固着部材は加工前の球状
の状態にて位置決め凹部3bへ装着されるから、図6
(b)に示すようなパンチUP等による姿勢保持等は不
要となる。
【0046】なお、図6(e)に示すように、底面が平
坦な位置決め凹部3dを形成しておき、ここに平坦面3
1d’を形成した被固着部材61を、該平坦面31d’
が下向きとなるように装着し、同様に溶接ビード10を
形成すれば、火花放電ギャップに球状の表面が面した発
火部を形成することができる。
【0047】次に、球状高融点金属部材60の製造方法
のいくつかの例について説明する。図7に示す方法で
は、上下方向を向く軸線Jの回りに回転する回転冷却部
材75の上面側に形成された回転冷却面75aに対し、
溶融高融点金属液滴72を落下させ、その液滴72を回
転冷却面75上にて回転半径方向に遠心力により転動さ
せつつ凝固させることにより、球状高融点金属部材60
を得る。この方法では、落下液滴の表面張力による球状
化作用と、回転冷却面75a上への落下後の転動作用と
により球形度の高い部材を得ることができ、しかも回転
冷却部材75を高速回転させながら液滴72を連続的に
滴下することで、大量の部材を極めて能率的に製造でき
る。この実施例では、セラミック製の滴下ノズル70内
に溶融高融点金属71を供給し、その先端のノズル開口
部70aから液的72を滴下させるようにしている。溶
融高融点金属71の温度を一定に制御すれば、ノズル開
口部70aから滴下する液滴72の体積はほぼ一定とな
るので、寸法精度の高い球状高融点金属部材60を得る
ことができる。
【0048】また、図8に示すようなアトマイズ法を採
用してもよい。この実施例では、(a)に示すように、
同軸的に配置された内ノズル78と外ノズル79とから
なる噴霧ノズルに対し、内ノズル内に溶融高融点金属7
1を供給し、先端側の開口部71aから流出させなが
ら、両ノズル78,79間の隙間79に不活性ガスある
いは水等の噴霧媒体を開口部77aから噴射することに
より、溶融高融点金属71を噴霧・凝固させる。これに
より、各々球状に凝固した高融点金属部材60’を得
る。なお、アトマイズ法では、得られる高融点金属部材
60’が幾分ばらつきやすいが、この場合はフルイSV
等により必要な粒径の部材60を分級して使用すること
ができる。
【0049】また、球状高融点金属部材60、高融点金
属粉末を球状に成形後、これを焼成して製造することも
できる。その成形方法としては、例えば転動造粒法を採
用することができる。例えば、高融点金属原料粉末11
0を、図9(a)に示す転動造粒装置130により球状
に成形することができる。転動造粒装置130は公知の
ものが使用でき、例えばやや平たい円筒状をなして上面
側が開放した造粒容器132を有し、その底部下面中央
に一端がほぼ直交形態で結合された回転軸132を介し
て図示しない回転駆動部により回転駆動されるようにな
っている。
【0050】そして、造粒容器132は一定の周速にて
回転駆動され、そこに原料粉末110が水あるいは有機
溶媒等(例えばスプレー噴霧等による)とともに供給さ
れる。図9(b)に示すように、投入された原料粉末1
10は、回転する造粒容器132内に形成される傾斜し
た粉末層の上を転がりながら球状に凝集して成形体Gと
なる。
【0051】他方、図10に示すように、プレス成形に
より球状成形体を作るようにしてもよい。ここでは、対
向するパンチ先端面に半球状の凹部91a,92aを有
したプレスパンチ91,92により、ダイ90のダイ孔
90a内にて高融点金属粉末Pをプレス成形する。
【0052】図11に示すように、以上のような方法に
より球状に成形された成形体GあるいはG’は公知の焼
結炉にて焼結され、球状高融点金属高融点金属部材60
となる。なお、プレス成形にて作られた球状成形体G’
には、パンチ合わせ面に対応して鍔状のバリBを生ずる
ことがあるが、これはひとまず焼結してバリB”を有す
る焼結体60”とし、次いでバレル研磨等の研磨を施し
て研磨除去することが可能である。一方、転動造粒法に
て製造された成形体Gの場合、球状の成形体をバラ積み
状態で焼成したときに、溶着等によるバリが発生するこ
とがあるが、このバリも研磨により除去することができ
る。
【0053】以下、本発明のスパークプラグの製造方法
の別の実施例について説明する。例えば、前述のよう
に、図1のタイプのスパークプラグにおいて、発火部3
1,32に火花放電ギャップに面する平坦面を形成した
い場合は、次にような方法も可能である(なお、発火部
31は前記した高融点金属、発火部32はPt系金属に
て構成するものとする)。すなわち、図12に示すよう
に、プレス面80aが平坦に構成された一対の圧縮部材
たるプレスパンチ80,80間にて球状高融点金属部材
60をプレスするか、又は図13に示すように、球状高
融点金属部材60の中心を挟んでその両側の外面部分を
平面切削することにより、被固着部材として、厚さ方向
両側に互いにほぼ平行な1対の平坦面62a,62bが
形成され、かつ残余の外周面62cが外向きに膨出する
曲面とされた偏平チップ部材62を製造する。なお、球
状高融点金属部材60のプレス加工は温間ないしは熱間
にて行うことが望ましい。
【0054】そして、図14に示すように、その偏平チ
ップ部材62を、1対の平坦面62a,62aの一方の
側62bにて中心電極3の先端面に重ね合わせ、さらに
図15に示すように、その状態で偏平チップ部材62の
接合すべき基端側の周方向に沿って溶接ビード10を形
成する。なお、ここでも溶接ビード10中に中心電極3
の先端面外縁エッジを溶かし込んでこれを消滅させる形
にてレーザー溶接が施されている。その結果、溶接ビー
ド10は、幅方向の一方の縁が中心電極3の外周面に接
続し、他方の縁側が偏平チップ部材62の球状面又は凸
曲面に連なる形で、偏平チップ部材62と中心電極3と
にまたがる環状形態に形成されることとなる。他方、接
地電極4側には、Pt系金属により同様に形成された偏
平チップ部材62を抵抗溶接して、層状の溶接部20を
形成する形にて発火部32が形成される。なお、ここで
も抵抗溶接に代えてレーザー溶接を採用できる場合、発
火部32は前記した高融点金属にて形成することが可能
である。
【0055】この実施例では、図14に示すように、中
心電極3側及び接地電極4側のいずれにおいても位置決
め凹部3d,4dが、底面が平坦な形状にて形成され、
ここに偏平チップ部材62,62’の片側の平坦面62
b,62b’が下となるように位置決め・装着される。
その結果、図15に示すように、それぞれの偏平チップ
部材62,62に基づいて形成される発火部31,32
は、それら偏平チップ部材62,62の他方の平坦面に
由来する平坦面31a,32aがほぼ平行に対向して、
火花放電ギャップgを形成することとなる。なお、図1
6(a),(b)に示すように、片側の発火部31又は
32を、球状金属部材をそのまま用いることにより、火
花放電ギャップgに面する外面を球面状となるように形
成してもよい。
【0056】次に、図17に示すように、球状高融点金
属部材60を転造加工(例えば熱間転造加工)すること
により、その転造回転の軸線Lの方向に延伸した柱状又
は線状の延伸高融点金属部材64を作り、その延伸高融
点金属部材64又はこれに所定の加工を施したものを被
固着部材として使用することもできる。すなわち、図1
及び図2のように、接地電極4の側面が中心電極3の先
端面に対向する、いわゆる平行型スパークプラグでは、
球状チップをそのまま電極に固着して発火部を形成する
ことも可能である。しかし、多極スパークプラグなど、
接地電極の先端面が中心電極の側面に対向するタイプの
スパークプラグにおいては、中心電極の外面周方向に発
火部を形成する場合もあり、これには球状チップを直接
適用することができない。しかしながら、上記のような
延伸高融点金属部材64を採用すれば、多極スパークプ
ラグをはじめとする平行型以外の各種形状のスパークプ
ラグにも球状チップを適用でき、ひいては発火部を形成
する貴金属等の耐消耗性金属の使用量を削減できる効果
が達成されるのである。以下、詳しく説明する。
【0057】この実施例では、図17(a)に示すよう
に、加工作用面82a,82aを平坦に形成した転造ラ
ム82,82間に球状高融点金属部材60を挟み入れ、
所定の圧力で押圧しながら両ラム82,82を、加工作
用面82a,82aに沿う所定の方向に相対移動させる
ことにより、球状高融点金属部材60を両加工作用面8
2a,82a間にて転造するようにしている。
【0058】なお、延伸高融点金属部材64は、ほぼ円
形の軸断面を有するものとなり、その加工減面率に応じ
て、図18(a)のように比較的短尺のものや、あるい
は同図(b)のように長尺なもの等、各種製造可能であ
る。いずれの場合も、転造加工上がりの状態では、両端
面64a,64aが、もとの球状高融点金属部材に由来
する凸状の曲面となる。
【0059】以下、上記の延伸高融点金属部材64の、
スパークプラグへの具体的な適用例について説明する。
まず、図19は、図1等と同様の平行型スパークプラグ
への適用例を示しており、比較的短尺の延伸高融点金属
部材64を、その軸線方向における両端面の一方におい
て、中心電極3の先端面に溶接接合して高融点金属発火
部31を形成している。中心電極3の先端面には、延伸
高融点金属部材64の接合基端部を位置決め保持する位
置決め用凹部3dを形成しておく。なお、延伸高融点金
属部材64の接合基端部側の端面は、前記した曲面状の
ままで使用することができる。この場合、位置決め用凹
部3dの底面は、これに対応した凹状曲面とすること
で、位置決めの安定性を増すことができる。他方、延伸
高融点金属部材64の接合基端部側の端面を平坦面に加
工することもでき、この場合は、位置決め用凹部3dの
底面は、これに対応した平坦面としておくのがよい。
【0060】また、球状高融点金属部材60を使用する
図6の例と同様、図19(c)に示すように、延伸高融
点金属部材64の火花放電ギャップに面する側の端面
を、延伸高融点金属部材64の中心電極3への接合後又
は前において、平面研削加工等により平坦面31aとす
ることもできる。
【0061】一方、延伸高融点金属部材64は、接地電
極の先端面が中心電極の側面と対向する形のスパークプ
ラグ、例えば図21に示すような多極スパークプラグの
高融点金属発火部の形成に使用することもできる。ま
た、図22に示す、多極スパークプラグの一変形態様で
あるセミ沿面放電型のスパークプラグ、すなわち、絶縁
体2の先端部が火花放電ギャップg内に進入した形態の
スパークプラグ102へも同様に適用可能である。この
場合、発火部334は、接地電極4の先端面4aの対向
位置に対応して、中心電極330の外周面周方向に環状
に形成されるものである。これは次のようにして、延伸
高融点金属部材64を用いて簡単に形成可能である。す
なわち、図20に示すように、中心電極330の外周面
に形成された周溝331内に、被固着部材としての延伸
高融点金属部材340を巻付け配置し、その状態で該延
伸高融点金属部材を溶解することにより、該周溝331
内を溶融高融点金属にて埋める形にて発火部334を形
成する。高融点金属素材として、熱間伸線等による高融
点金属線材を使用するのではなく、断線等のトラブルが
生じにくい延伸高融点金属部材64を使用することで、
高融点金属の材料歩留まりを大幅に向上することができ
る。
【0062】具体的には、すなわち、図20(a)に示
すように、中心電極素材330の先端部に、周溝(例え
ば台形状断面を有するもの)331を形成し、その周溝
331に環状に成形した延伸高融点金属部材340を嵌
め込んでかしめる。そして、同図(b)に示すように、
中心電極素材330を所定速度で回転させながら、レー
ザービーム337を延伸高融点金属部材340に照射す
る。これにより、同図(c)に示すように延伸高融点金
属部材340が溶融して、発火部334が周溝331内
にいわば肉盛溶接される形態で形成される。ここで、電
極素材の金属成分の一部が、発火部334に合金化する
場合がある。なお、図22のセミ沿面放電型スパークプ
ラグ102のように、発火部334を中心電極330の
先端面縁部に形成する場合は、図20図(d)に示すよ
うに、先端面の周縁に発火部334が露出するように、
電極素材330の先端部を切断、研磨あるいは切削等に
より除去するようにする。
【0063】また、図24に示すように、絶縁体2の先
端部に突出配置された高融点金属中心電極66と、その
中心電極66との間に火花放電ギャップgが形成される
よう、該中心電極66に対向配置される接地電極4とを
備えたスパークプラグ103を製造する際にも、上記の
延伸高融点金属部材64を利用できる。この場合、図7
〜図11に示すいずれかの方法にて、高融点金属中心電
極66を構成すべき高融点金属材料より、球状の高融点
金属部材60を製造する。そして、例えば、図17に示
す方法にて、球状高融点金属部材60を転造加工するこ
とにより延伸高融点金属部材64を作る。
【0064】次いで、図23(c)に示すように、軸線
方向の貫通孔6’を有する絶縁体粉末(例えばアルミナ
系セラミック粉末)の成形体2’の該貫通孔6’の先端
部内側に延伸高融点金属部材66’を、先端が突出する
形態で一体に組み込む。そして、その絶縁体粉末成形体
2’を、該延伸高融点金属部材66とともに一体焼成す
ることにより、図24に示すように、軸線方向先端部に
延伸高融点金属部材66’に基づく中心電極66が一体
化された絶縁体2を得る。なお、図24のスパークプラ
グ103では、その得られた絶縁体2に対し、中心電極
66の後端部と、かつ貫通孔6内に反対側から挿通され
た端子金具13とを導通させる導電性ガラスシール層1
7を充填形成している。この場合、図23(a)に示す
ように、延伸高融点金属部材64の一端側を、例えばパ
ンチ84,84により押し潰すことにより、同図(b)
に示すような広幅部66a等の係止凸部を形成し、係止
凸部付きの延伸高融点金属部材66’を作る。これを絶
縁体粉末成形体2’の貫通孔6’の内面に形成された係
合段部6a’に係合させることで、延伸高融点金属部材
66’の貫通孔6’からの抜止めを図っている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスパークプラグの一実施例を示す全体
縦断面図。
【図2】図1のスパークプラグの要部を示す縦断面図。
【図3】その中心電極側の発火部の形成方法の一例を示
す工程説明図。
【図4】その変形例を示す工程説明図。
【図5】接地電極側の発火部の形成方法の一例を示す工
程説明図。
【図6】火花放電ギャップに面する平坦面を有する発火
部の形成方法を、その変形例とともに示す工程説明図。
【図7】回転冷却部材により液滴を冷却して球状高融点
金属部材を形成する方法を示す工程説明図。
【図8】アトマイズ法により球状高融点金属部材を形成
する方法を示す工程説明図。
【図9】粉末成形・焼結により球状高融点金属部材を得
る方法において、球状成形体を転動造粒法により形成す
る工程を示す説明図。
【図10】同じく、球状成形体をプレス成形法により製
造する工程を示す説明図。
【図11】球状成形体を焼結して球状高融点金属部材を
得る様子を表す説明図。
【図12】球状高融点金属部材を一軸プレスして偏平チ
ップ部材を得る方法を示す説明図。
【図13】球状高融点金属部材の表面を研削して偏平チ
ップ部材を得る方法を示す説明図。
【図14】偏平チップ部材を用いて発火部を形成する方
法を示す説明図。
【図15】偏平チップ部材を用いたスパークプラグの火
花放電ギャップ部分を示す縦断面図。
【図16】図15のいくつかの変形例を示す縦断面図。
【図17】球状高融点金属部材を転造することにより延
伸高融点金属部材を形成する方法を示す説明図。
【図18】延伸高融点金属部材のいくつかの例を示す模
式図。
【図19】延伸高融点金属部材を用いたスパークプラグ
の発火部の形成方法の第一の例を示す工程説明図。
【図20】同じく第二の例を示す工程説明図。
【図21】多極スパークプラグにおける発火部の形成形
態の一例を示す縦断面図。
【図22】セミ沿面放電型スパークプラグにおける発火
部の形成形態の一例を示す縦断面図。
【図23】高融点金属中心電極を一体焼成した絶縁体の
製造方法の一例を示す工程説明図。
【図24】それを用いたスパークプラグの一例を示す縦
断面図。
【符号の説明】
1 主体金具 2 絶縁体 2’ 絶縁体粉末成形体 3 中心電極 3b 位置決め凹部 3d 位置決め凹部 4 接地電極 4b 位置決め凹部 g 火花放電ギャップ 10 溶接ビード 20 層状の溶接部 31 発火部 31a 平坦面 31c 側面部 32 対向する発火部 32a 平坦面 60 球状高融点金属部材 62 偏平チップ部材 61a,62b 平坦面 64,66’ 延伸高融点金属部材 66 高融点金属中心電極 71 溶融高融点金属 72 溶融高融点金属液滴 75 回転冷却部材 100〜103 スパークプラグ 110 原料粉末 334 発火部 330 中心電極 331 周溝

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中心電極と、その中心電極との間に火花
    放電ギャップが形成されるよう、先端部側面が前記中心
    電極の先端面と対向する形にて配置される接地電極とを
    備え、前記火花放電ギャップに対応する位置において、
    少なくとも前記中心電極の先端面に、Ir、Rh、W、
    Re及びRuのいずれかを主成分とする高融点金属から
    なる高融点金属発火部が形成されたスパークプラグの製
    造方法において、 前記高融点金属からなる球状高融点金属部材を製造し、 その球状高融点金属部材、又はその球状高融点金属部材
    の球状面に由来する凸曲面が残留するように該球状高融
    点金属部材に所定の加工を施した部材を被固着部材とし
    て、前記中心電極の先端面上に前記被固着部材を位置決
    めした後、形成される溶接ビード中に前記中心電極の先
    端面外縁エッジを溶かし込んでこれが消滅するように、
    その被固着部材の接合されるべき基端部の周方向に沿っ
    てレーザー溶接を施すことにより、幅方向の一方の縁が
    前記中心電極の外周面に接続し、他方の縁側が前記被固
    着部材の球状面又は凸曲面に連なる形で、前記被固着部
    材と前記中心電極とにまたがる周方向の前記溶接ビード
    を形成することを特徴とするスパークプラグの製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記被固着部材として前記球状高融点金
    属部材を溶接接合した後、その接合基端側と反対側の外
    面位置、すなわち前記火花ギャップに臨むことが予定さ
    れた外面位置に、研磨加工により平坦面を形成する請求
    項1記載のスパークプラグの製造方法。
  3. 【請求項3】 中心電極と、その中心電極との間に火花
    放電ギャップが形成されるよう、先端部側面が前記中心
    電極の先端面と対向する形にて配置される接地電極とを
    備え、前記火花放電ギャップに対応する位置において、
    前記中心電極の先端面及び/又は前記接地電極の側面
    に、Ir、Pt、Rh、W、Re及びRuのいずれかを
    主成分とする発火部形成金属からなる発火部が形成され
    たスパークプラグの製造方法において、 プレス面が平坦に構成された一対の圧縮部材間にて、前
    記発火部形成金属からなる球状金属部材をプレスするこ
    とにより、又は該球状金属部材の中心を挟んでその両側
    の外面部分を平面研削することにより、前記被固着部材
    として、厚さ方向両側に互いにほぼ平行な1対の平坦面
    が形成され、かつ残余の外周面が外向きに膨出する曲面
    とされた偏平チップ部材を製造し、 その偏平チップ部材を、前記1対の平坦面の一方の側に
    て前記中心電極及び/又は前記接地電極の被固着面に重
    ね合わせてこれを溶接接合することを特徴とするスパー
    クプラグの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記中心電極の前記被固着面たる先端面
    上に、Ir、Rh、W、Re及びRuのいずれかを主成
    分とする高融点金属からなる前記偏平チップ部材を位置
    決めした後、形成される溶接ビード中に前記中心電極の
    先端面外縁エッジを溶かし込んでこれが消滅するよう
    に、その被固着部材の接合されるべき基端部の周方向に
    沿ってレーザー溶接を施すことにより、幅方向の一方の
    縁が前記中心電極の外周面に接続し、他方の縁側が前記
    被固着部材の球状面又は凸曲面に連なる形で、前記被固
    着部材と前記中心電極とにまたがる周方向の前記溶接ビ
    ードを形成する請求項3記載のスパークプラグの製造方
    法。
  5. 【請求項5】 中心電極と、その中心電極との間に火花
    放電ギャップが形成されるよう、先端部側面が前記中心
    電極の先端面と対向する形にて配置される接地電極とを
    備えたスパークプラグの製造方法であって、 前記火花放電ギャップに対応する位置において、前記中
    心電極の先端面に、Ir、Rh、W、Re及びRuのい
    ずれかを主成分とする高融点金属からなる高融点金属部
    材を接合することにより高融点金属発火部を形成する工
    程と、 前記火花放電ギャップに対応する位置において、前記接
    地電極の側面に、Ptを主成分とするPt系金属部材を
    接合することによりPt系金属発火部を形成する工程と
    を含み、 前記Pt系金属部材を、厚さ方向両側に1対の平坦面が
    形成されたチップ部材として形成し、そのチップ部材
    を、前記1対の平坦面の一方の側にて前記接地電極の被
    固着面に重ね合わせ、その重ね合わせ方向に通電するこ
    とにより、その重ね合わせ面間に層状の溶接部を形成す
    る形で抵抗溶接を行う一方、 前記中心電極の先端面上に前記被固着部材を位置決めし
    た後、その被固着部材の接合されるべき基端部の周方向
    に沿ってレーザー溶接を施すことにより、前記接地電極
    側の層状の溶接部よりも広幅の溶接ビードを形成するこ
    とを特徴とするスパークプラグの製造方法。
  6. 【請求項6】 中心電極と、その中心電極との間に火花
    放電ギャップが形成されるよう、該中心電極に対向配置
    される接地電極とを備え、前記火花放電ギャップに対応
    する位置においてそれら中心電極と接地電極との少なく
    とも一方に、Ir、Rh、W、Re及びRuのいずれか
    を主成分とする高融点金属からなる高融点金属発火部を
    形成したスパークプラグの製造方法であって、 前記高融点金属発火部を構成すべき高融点金属材料にて
    球状高融点金属部材を製造し、 前記球状高融点金属部材を転造加工することにより、そ
    の転造回転の軸線方向に延伸した柱状又は線状の延伸高
    融点金属部材を作り、 その延伸高融点金属部材又はこれに所定の加工を施した
    ものを前記被固着部材として、これを前記中心電極及び
    /又は前記接地電極に接合することにより、前記高融点
    金属発火部を形成することを特徴とするスパークプラグ
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記接地電極は、その先端面が前記中心
    電極の側面と対向する形に配置されるものであり、 前記発火部は、前記接地電極の先端面の対向位置に対応
    して、前記中心電極の外周面周方向に環状に形成される
    ものであり、 前記中心電極の外周面に形成された周溝内に前記被固着
    部材としての前記延伸高融点金属部材を巻付け配置し、
    その状態で該延伸高融点金属部材を溶解することによ
    り、前記周溝内を溶融高融点金属にて埋める形にて前記
    発火部を形成する請求項6記載のスパークプラグの製造
    方法。
  8. 【請求項8】 絶縁体の先端部に突出配置された高融点
    金属中心電極と、その中心電極との間に火花放電ギャッ
    プが形成されるよう、該中心電極に対向配置される接地
    電極とを備えたスパークプラグの製造方法であって、 前記高融点金属中心電極を構成すべき高融点金属材料に
    て、球状の高融点金属部材を製造し、 前記球状高融点金属部材を転造加工することにより、そ
    の転造回転の軸線方向に延伸した柱状又は線状の延伸高
    融点金属部材を作り、軸線方向の貫通孔を有する絶縁体
    粉末成形体の該貫通孔の先端部内側に、その前記延伸高
    融点金属部材を、先端が突出する形態で一体に組み込む
    とともに、その絶縁体粉末成形体を、これに組み込まれ
    た延伸高融点金属部材とともに一体焼成することによ
    り、前記延伸高融点金属部材に基づく中心電極が軸線方
    向先端部に一体化された絶縁体を得ることを特徴とする
    スパークプラグの製造方法。
  9. 【請求項9】 中心電極と、その中心電極との間に火花
    放電ギャップが形成されるよう、先端部側面が前記中心
    電極の先端面と対向する形にて配置される接地電極とを
    備え、前記火花放電ギャップに対応する位置において、
    少なくとも前記中心電極の先端面に、Ir、Rh、W、
    Re及びRuのいずれかを主成分とする高融点金属から
    なる高融点金属発火部が形成されるとともに、 前記高融点金属発火部の表面は、前記火花放電ギャップ
    に面する部分が少なくとも球状面に形成され、 前記中心電極の先端面外縁エッジを溶かし込んでこれを
    消滅させる形にて、幅方向の一方の縁が前記中心電極の
    外周面に接続し、他方の縁側が前記発火部の球状面に連
    なる形で、前記被固着部材と前記中心電極とにまたがる
    周方向の溶接ビードが形成されていることを特徴とする
    スパークプラグ。
  10. 【請求項10】 中心電極と、その中心電極との間に火
    花放電ギャップが形成されるよう、先端部側面が前記中
    心電極の先端面と対向する形にて配置される接地電極と
    を備え、前記火花放電ギャップに対応する位置におい
    て、少なくとも前記中心電極の先端面に、Ir、Rh、
    W、Re及びRuのいずれかを主成分とする高融点金属
    からなる高融点金属発火部が形成されるとともに、 前記高融点金属発火部の表面には、前記火花放電ギャッ
    プに面する位置に平坦面が形成され、かつその平坦面の
    外周縁に連なる周方向の側面部分が、外向きに膨出する
    凸曲面をなし、 前記中心電極の先端面外縁エッジを溶かし込んでこれを
    消滅させる形にて、幅方向の一方の縁が前記中心電極の
    外周面に接続し、他方の縁側が前記発火部の前記凸曲面
    に連なる形で、前記被固着部材と前記中心電極とにまた
    がる周方向の溶接ビードが形成されていることを特徴と
    するスパークプラグ。
  11. 【請求項11】 中心電極と、その中心電極との間に火
    花放電ギャップが形成されるよう、先端部側面が前記中
    心電極の先端面と対向する形にて配置される接地電極と
    を備え、 前記火花放電ギャップに対応する位置において前記接地
    電極の側面に、Ptを主成分とし、前記接地電極の側面
    との間に形成される層状の溶接部を介して該接地電極に
    接合されるPt系金属発火部が形成され、 また、前記火花放電ギャップに対応する位置において前
    記中心電極の先端面に、Ir、Rh、W、Re及びRu
    のいずれかを主成分とする高融点金属からなる高融点金
    属発火部が形成されるとともに、その高融点金属発火部
    は、その接合基端部の周方向に沿って形成され、かつ前
    記接地電極側の層状の溶接部よりも広幅の溶接ビードを
    介して、前記中心電極先端面に接合されていることを特
    徴とするスパークプラグ。
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