JP2000303891A - 内燃機関の燃料噴射装置 - Google Patents

内燃機関の燃料噴射装置

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JP2000303891A
JP2000303891A JP11830299A JP11830299A JP2000303891A JP 2000303891 A JP2000303891 A JP 2000303891A JP 11830299 A JP11830299 A JP 11830299A JP 11830299 A JP11830299 A JP 11830299A JP 2000303891 A JP2000303891 A JP 2000303891A
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pressure
fuel
rail pressure
main injection
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JP11830299A
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Hiroshi Mushigami
広志 虫上
Tamon Tanaka
多聞 田中
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Mitsubishi Motors Corp
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Mitsubishi Motors Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 内燃機関の燃料噴射装置に関し、予備噴射を
行なった場合でも主噴射時における蓄圧室内の圧力を正
確に把握できるようにし、目標主噴射量に合った主噴射
を実現して排ガス特性及び性能特性を向上させることを
可能にする。 【解決手段】 予備噴射の前に圧力検出手段15により
蓄圧室3内の圧力を検出し、予備噴射制御手段34によ
り検出圧力と目標予備噴射量とに基づいて噴射弁4を駆
動して予備噴射を実行する。そして、圧力検出手段15
による検出圧力と目標予備噴射量とから圧力演算手段3
8により主噴射時の蓄圧室3内の圧力を演算により導出
し、圧力演算手段38による演算圧力と目標主噴射量と
に基づいて主噴射制御手段35により噴射弁4を駆動し
て主噴射を実行する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の燃料噴
射装置に関し、特に蓄圧室に蓄えた高圧燃料を噴射弁か
ら各気筒内に噴射する内燃機関の燃料噴射装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】噴射燃料の微粒化を図るため、蓄圧室に
蓄えた高圧燃料を噴射弁から各気筒内に直接噴射するよ
うにした内燃機関の燃料噴射装置が知られている。例え
ばディーゼルエンジンにおいては、高圧ポンプから供給
される高圧燃料をコモンレールに蓄圧しておき、インジ
ェクタを作動させて直接燃焼室内に高圧燃料を噴射する
コモンレール式燃料噴射装置が実用化されている。
【0003】この種の方式の燃料噴射装置では、噴射弁
からの実噴射量は蓄圧室内の圧力により左右されるた
め、機関の運転状態に応じて決まる目標噴射量と蓄圧室
内の燃料圧力とにより噴射弁の開放時間(一般には通電
時間)を決定して噴射弁を駆動制御するようになってい
る。このとき、噴射弁からの実噴射量を目標噴射量に一
致させるためには、より精度良く蓄圧室内の圧力を検出
又は推定することが必要となる。
【0004】そこで、例えば、特許2817397号公
報に開示されるように、燃料供給停止時に複数回の燃料
噴射を実施してこの噴射による圧力低下を検出すること
で、噴射弁から噴射される実噴射量を正確に算出し、算
出した実噴射量と基本噴射量(目標噴射量)との偏差に
基づいて噴射弁への通電時間等を補正する技術が提案さ
れている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した方
式の燃料噴射装置では、任意のタイミングでの燃料噴射
が可能であり、主噴射の他、エンジンの運転状態に応じ
て主噴射前の予備噴射(圧縮行程噴射,パイロット噴射
等)や主噴射後のポスト噴射等の多段噴射を行なうこと
が可能になっている。例えば、コモンレール式燃料噴射
装置をそなえたディーゼルエンジンでは、図6(a)に
示すように、NOx の低減を図るため圧縮行程上死点近
傍で噴射される主噴射の直前に予備噴射としてのパイロ
ット噴射を実施している。
【0006】このように主噴射に先立ちパイロット噴射
を行なった場合、図6(b)に示すように、蓄圧室(コ
モンレール)内の圧力(レール圧)はパイロット噴射に
おいて噴射された燃料分だけ降下してしまう。蓄圧室内
の圧力は、一般に蓄圧室にそなえられる圧力センサによ
り検出されるが、ECUでは処理能力の制約から連続的
にデータを取得するのではなく、通常は主噴射やポスト
噴射による圧力脈動域を避けて予備噴射(パイロット噴
射)前の所定のタイミング(直列4気筒の場合、例えば
90〜105°BTDC)でデータを取得するようにな
っている。このため、実際の主噴射時圧力はパイロット
噴射前に検出した圧力に対して小さく、検出圧力から噴
射弁への通電時間を算出したのでは実際の噴射量は目標
主噴射量よりも少なくなってしまい、排ガス特性や性能
特性の悪化を招いてしまう虞がある。
【0007】したがって、このような予備噴射を行う内
燃機関に上記の技術(特許2817397号)を適用す
る場合には、パイロット噴射直後(主噴射前)の蓄圧室
内の圧力を検出する必要がある。しかしながら、パイロ
ット噴射から主噴射までの短期間ではパイロット噴射に
よる圧力脈動の影響をうけることになり、精度の高い圧
力検出(パイロット噴射による圧力低下分の検出)は困
難である。さらに、パイロット噴射前のデータ取得に加
えてパイロット噴射直後にもデータ取得を行なう場合に
はECUの負荷が大きくなり、他の制御に影響を与えて
しまう虞もある。
【0008】なお、パイロット噴射による主噴射時の圧
力低下を抑制するため、パイロット噴射直後(主噴射の
前)に高圧ポンプからの燃料の圧送を行なってレール圧
を回復させることも考えられるが、通常は燃料の圧送タ
イミングは、例えば、特公平7−122422号公報に
開示されているように、主噴射によるレール圧低下を抑
制して噴射特性の悪化を防止するために、図6(c)に
示すように、主噴射タイミングに同期又は前後するよう
に設定されている。このため、主噴射前にパイロット噴
射において低下したレール圧を回復させることも困難で
ある。
【0009】本発明は、このような課題に鑑み創案され
たもので、予備噴射を行なった場合でも主噴射時におけ
る蓄圧室内の圧力を正確に把握できるようにし、目標主
噴射量に合った主噴射を実現して排ガス特性及び性能特
性を向上させることを可能にした、内燃機関の燃料噴射
装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の内燃機関の燃料噴射装置では、目標噴射量
設定手段によって機関の運転状態に基づき設定された目
標主噴射量及び目標予備噴射量に基づいて、燃料ポンプ
から圧送され蓄圧室に高圧状態で蓄えられた燃料を各気
筒毎に設けられた噴射弁から気筒内に噴射するが、ま
ず、予備噴射の前に圧力検出手段により蓄圧室内の圧力
を検出し、予備噴射制御手段により検出圧力と目標予備
噴射量とに基づいて噴射弁を駆動して予備噴射を実行す
る。
【0011】そして、圧力検出手段による検出圧力と目
標予備噴射量とから圧力演算手段により主噴射時の蓄圧
室内の圧力を演算により算出し、この圧力演算手段によ
る演算圧力と目標主噴射量とに基づいて主噴射制御手段
により噴射弁を駆動して主噴射を実行する。これによ
り、予備噴射を行なった場合でも主噴射時における蓄圧
室内の圧力が正確に把握でき、目標主噴射量に合った主
噴射が実現される。
【0012】なお、より好ましくは、蓄圧室内の燃料が
燃料タンクに返戻される返戻通路に燃料温度を検出する
燃温検出手段をそなえ、燃温検出手段の検出値を圧力演
算手段における主噴射時の蓄室内圧力の演算に反映させ
る。これにより、主噴射時における蓄圧室内の圧力をよ
り正確に把握でき、さらに目標主噴射量に合った主噴射
が実現される。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を説明する。図1〜図5は本発明の一実施形態
としての内燃機関の燃料噴射装置を示すものであり、こ
こでは、ディーゼルエンジンのコモンレール式燃料噴射
装置として本発明の内燃機関の燃料噴射装置を構成した
場合について示している。
【0014】図1に示すように、本コモンレール式燃料
噴射装置1は、主として燃料ポンプとしてのサプライポ
ンプ2,蓄圧室としてのコモンレール3,噴射弁として
のインジェクタ4及びこれらを制御するECU5と各種
のセンサとから構成されている。サプライポンプ2は、
燃料タンク6内から燃料を吸い上げ、加圧してコモンレ
ール3に圧送する装置であり、燃料を燃料タンク6内か
ら吸い上げるフィードポンプ(低圧ポンプ)7と、フィ
ードポンプ7が吸い上げた燃料を加圧してコモンレール
3に圧送する高圧ポンプ8とから構成されている。フィ
ードポンプ7としては例えばベーンポンプが用いられ、
ベーンをそなえたロータの回転により連続的に燃料を吸
入圧縮して高圧ポンプ8へ吐出するようになっている。
高圧ポンプ8としては例えばプランジャポンプが用いら
れ、プランジャの往復動によりプランジャ室内に燃料を
吸入して圧縮し、逆止弁8bを通してコモンレール3へ
圧送するようになっている。
【0015】高圧ポンプ8からコモンレール3への燃料
の圧送タイミングは、主噴射によるレール圧低下を抑制
して噴射特性の悪化を防止するため、後述するインジェ
クタ4の主噴射タイミングに同期又は略同期するように
なっている(図4参照)。なお、本実施形態では、フィ
ードポンプ7におけるロータ,及び高圧ポンプ8におけ
るプランジャは、例えばエンジンのクランクシャフトと
連動するカムシャフトによって駆動されるようになって
いる。
【0016】また、高圧ポンプ8には吐出量制御弁(P
CV:Pump Control Valve)8aがそなえられている。
PCV8aはプランジャ室とフィードポンプ7からの供
給配管10との間の連通を制御する電磁弁であり、プラ
ンジャの上昇時にPCV8aを閉じることによりプラン
ジャ室が密閉され燃料が昇圧されるとともに、PCV8
aの開閉タイミングを変化させることで、プランジャ室
内での圧縮燃料量、すなわち、コモンレール3への吐出
量が調整されるようになっている。なお、燃料タンク6
とサプライポンプ2とを結ぶ供給配管12上には、フィ
ルタ13がそなえられている。燃料タンク6内の燃料は
このフィルタ13により不純物を除去された後にサプラ
イポンプ2に吸入されるようになっている。
【0017】コモンレール3は、サプライポンプ2から
供給された高圧燃料を蓄えておくための装置であり、サ
プライポンプ2とは高圧供給配管14により連結されて
いる。コモンレール3には圧力検出手段としてのレール
圧センサ15とプレッシャリミッタ16とがそなえられ
ている。レール圧センサ15は、レール圧を検出する圧
力センサであり、検出したレール圧はECU5へ出力さ
れるようになっている。また、プレッシャリミッタ16
はレール圧が所定値を越えたときに開く弁であり、レー
ル圧が所定の上限値に達したところで開弁して圧力を逃
がし、所定の下限値までレール圧が低下したところで閉
弁してレール圧を維持するようになっている。なお、プ
レッシャリミッタ16から排出された燃料は、リターン
配管(返戻通路)17を通って燃料タンク6へ戻される
ようになっている。
【0018】インジェクタ4は、エンジンの各気筒内に
直接燃料を噴射する装置であり、コモンレール3におい
て蓄圧された高圧燃料が高圧供給配管18を介して供給
されるようになっている。図1では直列4気筒型エンジ
ンに本装置を適用した場合について示しており、インジ
ェクタ4は合計で4本そなえられている。また、コモン
レール3と各インジェクタ4とはそれぞれ独立した高圧
供給配管18により連結されている。
【0019】各インジェクタ4にはインジェクタ制御弁
4aがそなえられている。インジェクタ制御弁4aは、
噴射口であるノズル4bの開閉を制御するための電磁弁
であり、インジェクタ制御弁4aへの通電が行なわれな
い状態ではノズル4bは開じられて噴射は行なわれない
ようになっている。一方、インジェクタ制御弁4aへの
通電が行なわれるとノズル4bが開いて噴射が開始さ
れ、通電されている間噴射が行なわれるようになってい
る。したがって、インジェクタ4からの燃料噴射の開始
/終了はインジェクタ制御弁4aへの通電状態により制
御することができ、ECU5ではインジェクタ制御弁4
aへの通電タイミングを制御することにより燃料噴射量
や燃料噴射時期を制御するようになっている。
【0020】また、インジェクタ制御弁4aにはそれぞ
れリターン配管19が接続されている。リターン配管1
9はインジェクタ制御弁4aの開閉動作に伴いオーバー
フローする燃料を燃料タンク6に戻すための配管であ
り、プレッシャリミッタ16と燃料タンク6とを結ぶリ
ターン配管17に接続されている。また、リターン配管
17上の各インジェクタ4からのリターン配管19との
接続部よりも下流側には燃温検出手段としての燃温セン
サ20がそなえられている。燃温センサ20は燃料温度
を検出するセンサであり、検出した燃料温度はECU5
へ出力されるようになっている。
【0021】次に、上記の各装置の制御を行なうECU
5について説明する。ECU5はその機能要素としてレ
ール圧A/D変換手段30,燃温A/D変換手段31,
レール圧制御手段32,インジェクタ制御手段33をそ
なえている。レール圧A/D変換手段30はレール圧セ
ンサ15から入力されるレール圧データを読み込んでA
/D変換する手段であり、直列4気筒エンジンの場合に
は、予備噴射(パイロット噴射及び圧縮行程噴射)より
も前のタイミング(例えば、90〜105°BTDC)
で180°CAに1回の割合でデータを読み込みA/D
変換するようになっている。また、燃温A/D変換手段
31は燃温センサ30から入力される燃料温度データを
所定の周期で読み込んでA/D変換する手段である。
【0022】レール圧制御手段32は、コモンレール3
内のレール圧を制御する手段であり、PCV8aへの通
電タイミングを制御してその開閉タイミングを変化させ
ることで高圧ポンプ8からコモンレール3への圧送量を
調整しレール圧を制御するようになっている。レール圧
制御手段32では、検出レール圧とエンジンの運転状態
(エンジン回転速度,噴射量)に応じて設定される目標
レール圧との偏差をフィードバックしながら、目標レー
ル圧と後述する目標噴射量とに基づいてPCV8aの通
電時間を制御し、噴射後の検出レール圧が目標レール圧
に保たれるように高圧ポンプ8からコモンレール3への
高圧燃料の圧送量を調整するようになっている。
【0023】インジェクタ制御手段33は、インジェク
タ4のインジェクタ制御弁4aへの通電開始タイミング
と通電時間(パルス幅)とを制御することにより燃料噴
射開始時期と燃料噴射量とを制御する手段である。通電
開始タイミングはクランク角センサ21から出力される
パルスを用いて計っている。コモンレール式燃料噴射装
置1では、予備噴射(圧縮行程噴射,パイロット噴射
等),主噴射,追加噴射(ポスト噴射)等の多段噴射が
可能であり、インジェクタ制御手段33ではエンジンの
運転状態(エンジン回転速度,アクセル開度等)に応じ
て各段の噴射時期,噴射量を調整するようになってい
る。
【0024】ここで上記の各噴射形態について説明する
と、予備噴射は主噴射と同一サイクル内で主噴射に先立
ち行なわれる噴射であり、主に圧縮行程噴射とパイロッ
ト噴射とがある。圧縮行程噴射は高回転高負荷時に行な
われる燃料噴射であり、圧縮行程中期に行なわれる。パ
イロット噴射は低負荷時においては騒音を低減し排ガス
性能を向上させるために行なわれ、高負荷時においては
出力の向上のために行なわれる燃料噴射であり、圧縮行
程後期に行なわれる。主噴射は出力を得るための本来の
燃料噴射であり、圧縮行程の末期(上死点近傍)に行な
われる。追加噴射(ポスト噴射)は、排気通路にそなえ
られる触媒に未燃燃料を供給し、触媒の活性化を図るた
めに行なう燃料噴射であり、膨張行程の初期に行なわれ
る。ECU5ではエンジンの運転状態に応じて必要な燃
料噴射形態を選択するようになっており、インジェクタ
制御手段33はその選択に基づいてインジェクタ4の制
御を行なうようになっている。
【0025】インジェクタ制御手段33は、上記の各噴
射形態におけるインジェクタ4の制御を行なう予備噴射
制御手段34,主噴射制御手段35,追加噴射制御手段
36と、目標噴射量設定手段37とから構成されてい
る。まず、目標噴射量設定手段37は、選択された噴射
形態におけるインジェクタ4の目標噴射量、すなわち、
目標予備噴射量,目標主噴射量,目標追加噴射量を設定
する手段であり、エンジンの運転状態(エンジン回転速
度,悪アクセル開度等)に応じて各目標噴射量を設定す
るようになっている。
【0026】予備噴射制御手段34は、予備噴射を行な
う場合にインジェクタ4を駆動する手段であり、エンジ
ンの運転状態に応じて予備噴射開始時期を決定するとと
もに、目標噴射量設定手段37で設定された目標予備噴
射量とレール圧A/D変換手段30でA/D変換された
検出レール圧とからインジェクタ4の噴射時間を決定す
るようになっている。そして、決定した予備噴射開始時
期と噴射時間とに応じてインジェクタ制御弁4aへ駆動
パルスを出力するようになっている。
【0027】主噴射制御手段35は、主噴射を行なう場
合にインジェクタ4を駆動する手段である。主噴射制御
手段35では、エンジンの運転状態に応じて主噴射開始
時期を決定するとともに、目標噴射量設定手段37で設
定された目標主噴射量とレール圧A/D変換手段30で
A/D変換された検出レール圧とからインジェクタ4の
噴射時間を決定するようになっている。
【0028】ところが、従来の課題を説明する際に述べ
たように、主噴射に先立ち予備噴射を行なったときに
は、レール圧は予備噴射に伴う蓄圧燃料の消費によりレ
ール圧センサ15によるレール圧の検出時よりも少なか
らず低下してしまう(図6参照)。そこで、主噴射制御
手段35では、主噴射に先立ち予備噴射が行なわれたと
きには、レール圧演算手段(圧力演算手段)38により
主噴射時のレール圧を演算により求めるようになってい
る。
【0029】図2を用いてレール圧演算手段38の機能
について説明すると、レール圧演算手段38は、主噴射
に先立って予備噴射を行なうときに機能する手段であ
り、レール圧降下マップ39,燃温補正マップ40の2
つのマップと、演算部41とをそなえている。レール圧
降下マップ39は、予備噴射量に応じて検出レール圧P
c に対する予備噴射後のレール圧降下ΔPc を決定する
マップであり、予備噴射量と検出レール圧Pc とをレー
ル圧降下ΔPc を決定する際のパラメータとしている。
ここでは、予備噴射量としては、実際にインジェクタ4
から噴射された予備噴射量ではなく、エンジンの運転状
態に応じて目標噴射量設定手段37により設定された目
標予備噴射量を用いるようになっている。レール圧降下
マップ39の特性としては、例えば図3に傾きの異なる
複数の直線で示すように、目標予備噴射量が多いほど、
検出レール圧Pc が高いほど、レール圧降下ΔPc が大
きくなるように設定されている。
【0030】燃温補正マップ40は、燃料温度に応じて
レール圧降下ΔPc に対する補正係数Ktfを決定するマ
ップである。燃温補正マップ40の特性としては、例え
ば図4に曲線で示すように、ある標準燃料温度を基準
(Ktf=1)として、検出した燃料温度が標準燃料温度
よりも高いほど補正係数Ktfは大きく(Ktf>1)、検
出した燃料温度が標準燃料温度よりも低いほど補正係数
Ktfも小さく(Ktf<1)なるように設定されている。
【0031】そして、演算部41では、決定されたレー
ル圧降下ΔPc に補正係数Ktfを乗じて燃料温度による
補正を行ない、予備噴射後の実際のレール圧降下(補正
レール圧降下)ΔPcm(ΔPcm=ΔPc ×Ktf)を演算
するとともに、検出レール圧Pc から補正レール圧降下
ΔPcmを除算することにより、主噴射時レール圧Pcm
(Pcm=Pc −ΔPcm)を演算するようになっている。
なお、レール圧降下マップ39,燃温補正マップ40に
おる各特性は、コモンレール3の容積が一定であること
を前提にして、予備噴射前のレール圧Pc と予備噴射量
とから理論的に求めたものを用いている。
【0032】そして、主噴射制御手段35では、レール
圧演算手段38において演算された主噴射時レール圧P
cmを主噴射時における実際のレール圧とみなし、この主
噴射時レール圧Pcmと目標主噴射量とからインジェクタ
4の駆動時間を決定して、駆動時間に応じた幅のパルス
をインジェクタ制御弁4aに入力するようになってい
る。
【0033】追加噴射制御手段36は、追加噴射を行な
う場合にインジェクタ4を駆動する手段である。追加噴
射制御手段36では、エンジンの運転状態に応じて追加
噴射開始時期を決定するとともに、目標噴射量設定手段
37で設定された目標追加噴射量とレール圧A/D変換
手段30でA/D変換された検出レール圧とからインジ
ェクタ4の噴射時間を決定して、決定した追加噴射開始
時期と噴射時間とに応じてインジェクタ制御弁4aへ駆
動パルスを出力するようになっている。
【0034】なお、レール圧が検出されてから追加噴射
までの間には、予備噴射,主噴射や高圧ポンプ8からの
圧送によりレール圧は増減しているが、予備噴射及び主
噴射による燃料消費と高圧ポンプ8からの圧送による燃
料供給が略釣り合っているとすれば、検出レール圧と追
加噴射時の実レール圧との差は大きくないと考えられ
る。また、追加噴射では主噴射のように厳密な噴射量制
御は必要としない。そこで、追加噴射制御手段36で
は、上記のように予備噴射前の検出レール圧を追加噴射
時のレール圧とみなして噴射時間を決定している。
【0035】本発明の一実施形態としての内燃機関の燃
料噴射装置は上述のように構成されているので、主噴射
に先立ち予備噴射を行なう場合には、例えば、図5に示
すようなフローに従って燃料噴射制御が行なわれる。以
下、図5に示すフローチャートを参照しながら、本内燃
機関の燃料噴射装置による燃料噴射制御について説明す
る。
【0036】図5に示すように、ECU5では、まず、
燃料噴射制御開始割込みが発生したか否かを判定する。
燃料噴射制御開始割込みはクランク角センサ21の出力
に連動しており、クランク角が所定値になったときに割
込みが発生する(ステップS100)。燃料噴射制御開
始割込みが発生すると、ECU5のレール圧A/D変換
手段30では、レール圧センサ15で検出されるレール
圧Pc を読み込みA/D変換して記憶する。また、燃温
A/D変換手段31では、燃温センサ20で検出される
燃料温度を読み込みA/D変換して記憶する(ステップ
S110)。
【0037】次に、ECU5では、エンジンの運転状態
に基づき、予備噴射を行なうか否かを判定する(ステッ
プS120)。予備噴射の条件が成立しないときにはス
テップ160に進み、主噴射制御手段35では、通常ど
おりに検出レール圧Pc と目標主噴射量Qmainとから、
インジェクタ制御弁4aへの通電時間を算出する。そし
て、算出した通電時間に応じた幅のパルスをインジェク
タ制御弁4aに入力して、主噴射を行なう(ステップS
170)。
【0038】一方、条件が成立して予備噴射が行なわれ
たときには、主噴射制御手段35では、まず、レール圧
演算手段38により主噴射時のレール圧を演算する。す
なわち、目標予備噴射量と検出レール圧Pc とに対応す
るレール圧降下ΔPc をレール圧降下マップ39から読
み出すとともに(ステップS130)、燃料温度に対応
する燃温補正係数Ktfを燃温補正マップ40から読み出
す(ステップS140)。そして、検出レール圧Pc か
ら補正したレール圧降下ΔPcm(ΔPcm=ΔPc ×Kt
f)を除算して、主噴射時レール圧Pcm(Pcm=Pc −
ΔPcm)を演算する(ステップS150)。
【0039】主噴射時レール圧Pcmが演算されると、主
噴射制御手段35では得られた主噴射時レール圧Pcmと
目標主噴射量Qmainとからインジェクタ制御弁4aへの
通電時間を算出する(ステップS160)。そして、算
出した通電時間に応じた幅のパルスをインジェクタ制御
弁4aに入力して主噴射を行なう(ステップS17
0)。
【0040】このように本内燃機関の燃料噴射装置によ
れば、目標予備噴射量と検出レール圧Pc とをパラメー
タとするレール圧降下マップ39によって、予備噴射に
よるレール圧降下分に対する補正(レール圧降下ΔPc
)を検出レール圧Pc に施すことにより、ECU5の
負荷を増大することなく精度良く主噴射時のレール圧を
演算して算出することができる。
【0041】また、燃料温度をパラメータとする燃温補
正係数マップ40によって、標準燃料温度との燃料差に
対する補正をレール圧降下ΔPc に施すことにより、さ
らに正確に主噴射時のレール圧を演算することができ
る。したがって、本内燃機関の燃料噴射装置によれば、
予備噴射前の検出レール圧Pc に基づきインジェクタ4
の駆動時間を設定した場合でも、目標主噴射量に対して
実際の主噴射量が不足してしまうことがなく、主噴射時
の燃料噴射精度が良くなり、排ガス特性や性能特性を向
上させることができるという利点が得られる。
【0042】なお、本発明は上述した実施形態に限定さ
れるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種
々変形して実施することができる。例えば、上述の実施
形態では、レール圧降下は、目標予備噴射量と検出レー
ル圧とをパラメータとするマップを用いて設定していた
が、目標予備噴射量と検出レール圧とから直接演算する
ようにしてもよい。燃温補正係数についても同様であ
り、検出した燃料温度から直接演算するようにしてもよ
い。
【0043】また、上述の実施形態では、主噴射の後に
行なう追加噴射(ポスト噴射)については予備噴射前の
検出レール圧に基づき噴射時間を設定するようにしてい
るが、この追加噴射についても演算により追加噴射時の
レール圧を導出することはもちろん可能である。この場
合には、さらに主噴射に伴うレール圧の上昇に対する補
正と圧送に伴うレール圧の降下に対する補正が必要とな
る。そこで、上記の目標予備噴射量と検出レール圧とを
パラメータとするレール圧降下マップ,燃料温度をパラ
メータとする補正マップに加えて、目標主噴射量と主噴
射時レール圧とをパラメータとするレール圧降下マップ
と高圧ポンプからの圧送量をパラメータとするレール圧
上昇マップとをそなえるようにする。ただし、追加噴射
の時期によっては上述したように主噴射によるレール圧
の脈動の影響をうけるため、実際のレール圧と演算によ
るレール圧とが必ずしも一致しない可能性はある。
【0044】また、上述の実施形態ではコモンレールに
蓄圧された高圧燃料を直接ノズル部に供給し噴射するタ
イプのインジェクタをそなえたコモンレール式燃料噴射
装置に本発明を適用した場合について説明しているが、
他のタイプのインジェクタ、例えば、コモンレールに蓄
圧した高圧オイルとは別に低圧燃料をノズル部に導き、
段付きピストンを介して高圧オイルの油圧でノズル部の
低圧燃料を加圧して噴射するタイプのインジェクタをそ
なえたコモンレール式燃料噴射装置に本発明を適用する
ことも可能である。
【0045】さらに、上述の実施形態では本発明をディ
ーゼルエンジンのコモンレール式燃料噴射装置として構
成した場合について説明したが、本発明の適用例として
はこれに限定されず、蓄圧室に蓄えた高圧燃料を噴射弁
から各気筒内に噴射するようなタイプの内燃機関の燃料
噴射装置であれば本発明を適用することはもちろん可能
である。
【0046】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の内燃機関
の燃料噴射装置によれば、主噴射に先立ち予備噴射を行
なった場合でも、主噴射時における蓄圧室内の圧力を正
確に把握することができるので、目標主噴射量に対して
実際の主噴射量が不足してしまうことがなく、主噴射時
の燃料噴射精度が良くなり、排ガス特性や性能特性を向
上させることができるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての内燃機関の燃料噴
射装置のシステム構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態としての内燃機関の燃料噴
射装置にかかる圧力演算手段の機能を説明するための機
能ブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態としての内燃機関の燃料噴
射装置にかかるレール圧降下マップの特性の一例を示す
図である。
【図4】本発明の一実施形態としての内燃機関の燃料噴
射装置にかかる燃温補正係数マップの特性の一例を示す
図である。
【図5】本発明の一実施形態としての内燃機関の燃料噴
射装置にかかる燃料噴射制御の流れを示すフローチャー
トである。
【図6】従来の課題を説明するためのタイムチャートで
あり、(a)は噴射弁への通電信号の時間変化を示す
図、(b)は蓄圧室内の圧力変化を示す図、(c)は高
圧ポンプのカムリフトの時間変化を示す図であり、各図
の時間軸は相互に一致している。
【符号の説明】
2 サプライポンプ(燃料ポンプ) 3 コモンレール(蓄圧室) 4 インジェクタ(噴射弁) 5 ECU 6 燃料タンク 7 フィードポンプ 8 高圧ポンプ 15 レール圧センサ(圧力検出手段) 20 燃温センサ(燃温検出手段) 34 予備噴射制御手段 35 主噴射制御手段 37 目標噴射量設定手段 38 圧力演算手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02M 47/00 F02M 47/00 E 51/00 51/00 A Fターム(参考) 3G066 AA07 AB02 AC01 AC09 AD12 BA12 BA23 BA25 BA51 CA01S CA09 CA18 CA20U CB01 CB12 CC05U CD25 CD26 CE21 DA01 DA04 DA09 DC05 DC15 DC18 3G301 HA02 HA06 JA21 LB06 LB07 LB11 MA11 MA18 MA23 MA26 ND01 PB01Z PB08A PB08Z PE01Z

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも主噴射と該主噴射と同一サイ
    クル内で該主噴射前に噴射される予備噴射とを実行可能
    な内燃機関の燃料噴射装置において、 燃料ポンプから圧送される燃料を蓄える蓄圧室と、 該機関の各気筒毎に設けられ該蓄圧室から供給される燃
    料を該気筒内に噴射する噴射弁と、 該機関の運転状態に基づき目標主噴射量及び目標予備噴
    射量を設定する目標噴射量設定手段と、 該予備噴射前に該蓄圧室内の圧力を検出する圧力検出手
    段と、 該圧力検出手段の検出圧力と該目標予備噴射量とに基づ
    いて該噴射弁を駆動する予備噴射制御手段と、 該検出圧力と該目標予備噴射量とから該主噴射時の該蓄
    圧室内の圧力を演算する圧力演算手段と、 該圧力演算手段による演算圧力と該目標主噴射量とに基
    づいて該噴射弁を駆動する主噴射制御手段とをそなえた
    ことを特徴とする、内燃機関の燃料噴射装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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Cited By (2)

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