JP2000301730A - インクジェット記録ヘッド、及びインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録ヘッド、及びインクジェット記録装置

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JP2000301730A
JP2000301730A JP11616199A JP11616199A JP2000301730A JP 2000301730 A JP2000301730 A JP 2000301730A JP 11616199 A JP11616199 A JP 11616199A JP 11616199 A JP11616199 A JP 11616199A JP 2000301730 A JP2000301730 A JP 2000301730A
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ink
liquid
seal liquid
discharge port
ejection
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JP11616199A
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English (en)
Inventor
Hiroaki Sato
博昭 佐藤
Yasushi Oki
靖 大木
Susumu Hirakata
進 平潟
Yasushi Suwabe
恭史 諏訪部
Yuji Suemitsu
裕治 末光
Megumi Hasebe
恵 長谷部
Satoru Mori
哲 毛利
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Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インク吐出口の目詰まりを防止するととも
に、印字画像の高画質化が可能なインクジェット記録ヘ
ッド、及びインクジェット記録装置を提供することであ
る。 【解決手段】 インクを吐出するためのインク吐出口1
2と、前記インク吐出口12をシールするシール液体2
2と、入力された画像信号に応じて前記インク吐出口2
2からインクを吐出するインク吐出手段16とを有し、
前記シール液体が、前記インク吐出口12から吐出され
るインクと同様の色相の色材を含有することを特徴とす
るインクジェット記録ヘッド10である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録ヘッド、及びインクジェット記録装置に係り、より詳
しくは、インクを吐出するインク吐出口をシール液体で
シールするインクジェット記録ヘッド、及びインクジェ
ット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のインクジェット記録装置において
は、非動作時のインクの乾燥、増粘に起因するノズルの
目詰まりを防止することが大きな課題である。この課題
を解決するために種々のインク材料が開発されている
が、インク溶媒の蒸発を低減することは依然として困難
である。市販のインクジェット記録装置では、非印字
時、長期休止時には、樹脂製のキャッピング手段等によ
り、ノズルと外気とを遮蔽してインクの乾燥を遅延させ
ようとしている。しかし、このキャッピング手段では、
ノズルの気密状態をより効果的に高めるためには、複雑
な手順と装置が必要となる。また、このキャッピング手
段では、ノズルを空気から完全に遮蔽することができ
ず、保存中に、ノズル内部のインクの乾燥、増粘が徐々
に進行し、ノズルの目詰まりが発生してしまうことがあ
る。
【0003】市販されているインクジェット記録装置で
は、長期休止によるノズルの目詰まりを回復するため
に、様々なメンテナンス動作が必要となっている。例え
ば、ノズル内の詰まりをノズルの外部から負圧により引
き出すバキューム動作による回復では、装置内にポンプ
や廃インクの吸収体が必要であり、装置を複雑化、大型
化し、装置のコストを高めている。また、ノズル面を一
括して負圧にするため、目詰まりの発生していないノズ
ルからも大量のインクを吸い出して廃棄することにな
り、ランニングコストが高くなる。また、ダミージェッ
ト動作やワイピング動作を繰り返して回復する場合で
は、メンテナンス位置にヘッドを移動したり、ヘッド面
にブレードなどの部材を押し当てて摺擦運動する機構が
必要となるなど装置が複雑化してコストが高くなる。イ
ンクジェット記録装置の長期休止後には、印字前にこれ
らの動作を組み合わせてメンテナンス動作をさせてお
り、印字前の待ち時間や、メンテナンス動作による騒音
なども発生し、ユーザーに不利益を与える。
【0004】長期休止後の目詰まりに起因する問題を回
避する手段としては、特開昭52−104130号公報
に開示されているように、インクに不溶のシール液体
と、シール液体の膜を張る手段によって、インク吐出口
を密封してインクを空気から遮蔽し、インクの乾燥を防
ぐ方法が知られている。図7に、シール液体でインク吐
出口が密封されたインクジェット記録ヘッドの断面図を
示す。(a)はインクが吐出していない状態を、(b)
および(c)はインクが吐出した状態を模式的に示して
いる。本発明者らが観察した結果、印字の際にインク吐
出口からインク滴が吐出されると、インクとともにシー
ル液体も記録媒体方向に飛翔することが判明した。シー
ル液体はインク滴表面の全体、または表面の一部を覆う
ようにして、インクとともに飛翔する(図7(b)、
(c))。シール液体およびインクの物性、ドロップサ
イズ、および飛翔速度等を調整することにより、シール
液体は(b)および(c)のいずれの状態もとり得る
が、いずれの状態であっても、記録媒体と最初に接触す
るのはシール液体である。
【0005】ところで、シール液体は、インク吐出口を
シールするという機能上、通常、インクと非相溶性の材
料が用いられる。そのため、シール液体のシール性能を
確保しつつ、シール液体の表面張力や粘度等の諸特性を
インクと全く同一にすることは困難である。従って、イ
ンク滴とともに飛翔するシール液体は、記録媒体に着弾
後、記録媒体に対する浸透性や記録媒体表面における流
動性等において、インクと異なる挙動を示す。図8
(a)に記録媒体上に形成された理想的なインクドット
の形態を、(b)〜(d)に、図7(b)および(c)
のインク滴によって形成され得るインクドットの形態を
示す。前記したように、インクとシール液体では、記録
媒体内部への浸透や記録媒体表面での流動に差があるた
め、シール液体を伴うインク滴は、記録媒体上に理想的
な形状のドット(a)を形成することができず、モザイ
ク状のドット(b)や、中央にシール液体が浸透し、そ
の周囲にインクがシール液体を避けるように浸透したよ
うな形状のドット(c)や、逆に周囲をシール液体でせ
き止められたように、中央部にインクが集中して浸透し
たような形状のドット(d)等を記録媒体上に形成す
る。シール液体が透明である場合、(b)〜(d)に示
すドットは、ドットサイズが適正であれば、光学濃度が
不足し、一方、光学濃度を高くするためには、ドットサ
イズを大きくしなければならず、印字画像の高画質化の
弊害となる。
【0006】このようなインクとともにシール液体が飛
翔するのを防止する方法として、特開昭49−1155
48号公報には、シール液体とぬれ機構により印字装置
の非動作時にインク吐出口を密封し、動作時にはシール
液体の供給路に設けた開閉器によってシール液体の供給
を止める方法が提案されている。しかし、これらの方法
では、連続インク吐出の初期に、シール液体のシール状
態を完全に解除するのは困難であり、連続吐出初期で
は、インクとシール液体からなるインク滴が記録媒体に
着弾することは避けられない。
【0007】また、前記問題点に加えて、前記公報に記
載されている方法では、シール液体はその表面では周囲
のシール液体と区切られているものの、内部では実質的
に周囲のシール液体と連続しているために、吐出開始時
にインク吐出の抵抗が高いという欠点を有している。特
に、印字装置を使用する環境の温度が低くなると、シー
ル液体の粘度が高くなる傾向があり、最悪の場合はイン
クを吐出できないという問題が発生する。このようなシ
ール液体による密封方式を採用するインクジェット記録
ヘッドにおけるインク滴の吐出安定性を改善することを
目的として、特開昭54−69436号公報には、シー
ル液体膜の形成・解除を行う方法が開示されている。ま
た、特開平5−177841号公報には、必要に応じて
シール液体によってノズルをシールする方法や、キャリ
ッジ走査に連動してシール液体によるシールを開閉する
方法が提案されている。しかし、いずれの方法でも、シ
ール液体によりシールされている状態とシールが解除さ
れた状態の切り替えに、ポンプや電磁石、支持体による
開閉などの外力が必要であり、ヘッドの構造の複雑化、
およびそれに伴う印字装置の大型化を招くこととなる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記諸問題を
解決することを目的とする。即ち、インク吐出口の目詰
まりを防止するとともに、印字画像の高画質化が可能な
インクジェット記録ヘッド、及びインクジェット記録装
置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的達成のため本発
明のインクジェット記録ヘッドは、インクを吐出するた
めのインク吐出口と、前記インク吐出口をシールするシ
ール液体と、入力された画像信号に応じて前記インク吐
出口からインクを吐出するインク吐出手段とを有するイ
ンクジェット記録ヘッドにおいて、前記シール液体が、
前記インク吐出口から吐出されるインクと同様の色相の
色材を含有することを特徴とする。本発明のインクジェ
ット記録ヘッドは、インク吐出口がシール液体でシール
されているので、長期休止後であってもインクの乾燥に
よる目詰まりが発生せず、必要時にただちに吐出動作を
行うことが可能となり、長期休止後のメンテナンス工程
を軽減あるいは省略することができる。このため、記録
装置の小型化、低コスト化が可能になるほか、長期休止
後のメンテナンスにより発生していた印字前の待ち時間
やメンテナンスによる騒音を低減でき、大量のインク廃
棄に伴うランニングコストの上昇を抑えることも可能に
なる。また、シール液体がインクと同様な色相を有する
色材を含有しているので、シール液体がインクとともに
飛翔した場合も、記録媒体に着弾後に形成されるインク
ドットは、ドット径を小径化しても十分な光学濃度を有
し、印字画像の高画質化が可能となる。
【0010】本発明のインクジェット記録ヘッドを多色
画像形成用とする場合は、前記インクジェット記録ヘッ
ドは、色相aのインクを吐出するインク吐出口aと、色
相aと異なる色相bのインクを吐出するインク吐出口b
とを有するとともに、インク吐出口aをシールするシー
ル液体aと、インク吐出口bをシールするシール液体b
とを隔離するシール液体隔離手段を有しているのが好ま
しい。
【0011】また、本発明のインクジェット記録ヘッド
は、インク吐出口に位置するシール液体とインク吐出口
の周囲に位置するシール液体とが区切られるように、前
記シール液体を前記インク吐出口内に引き込むシール液
体引き込み手段を有しているのが好ましい。インク吐出
口がシール液体でシールされている状態で、インク吐出
手段が、インク吐出口からインクを吐出させようとした
場合、シール液体の粘性などにより、シール液体のイン
ク吐出口に位置するシール液体ばかりでなく、シール液
体のインク吐出口の周囲に位置するシール液体も、イン
ク吐出を妨げようとする。そこで、この態様では、シー
ル液体引き込み手段が、シール液体のインク吐出口に位
置するシール液体とシール液体のインク吐出口の周囲に
位置するシール液体とが区切られるように、シール液体
をインク吐出口内に引き込む。
【0012】このように、シール液体のインク吐出口に
位置するシール液体とシール液体のインク吐出口の周囲
に位置するシール液体とが区切られるように、シール液
体をインク吐出口内に引き込むので、インク吐出口から
インクを吐出させようとした場合、インク吐出口の周囲
に位置するシール液体のインク吐出を妨げようとする影
響を無くすことができ、安定してインクを吐出すること
ができる。また、本発明は、インク吐出口に位置するシ
ール液体と、インク吐出口周囲のシール液体とを区切ら
れた(分離した)状態にすることによって、インク吐出
口周囲のシール液体からのインク吐出を妨げる影響を無
くすことができ、よって、吐出時の抵抗を低くすること
ができる。このため、シール液体の粘度が上昇するよう
な低温の環境下でも、吐出不良が発生せず、鮮明な画像
を印字することができる。また、吐出抵抗が低いので、
配置するシール液体を厚くしたり、高粘度のシール液体
材料を選択しても、目詰まりに対する性能と吐出性能と
の両立ができ、より長期間にわたって目詰まりを防止す
るようなヘッド設計も可能となる。
【0013】本発明のインクジェット記録ヘッドは、引
き込み信号の出力から、予め定められた吐出基本周期内
に前記シール液体の引き込み及び前記インクの吐出を終
了するように、前記インク吐出手段及び前記シール液体
引き込み手段を制御する制御手段を備えていてもよい。
このように、引き込み信号の出力から、予め定められた
吐出基本周期内にシール液体の引き込み及びインクの吐
出を実行すると、引き込み及びインク吐出を規則的に実
行でき、インクの吐出を安定して行うことができる。こ
こで、予め定められた吐出基本周期内に前記シール液体
の引き込み及び前記インクの吐出を終了すると、インク
吐出後、当該吐出基本周期内に、元の状態(インクが再
供給された状態)となる。よって、シール液体を引き込
んだ状態を毎回基本周期毎に同じ状態にすることができ
る。よって、吐出されたインクの状態(例えば、量や速
度等)を毎回基本周期毎に同じにでき、印字されるイン
クドットの大きさや、インクドットの着弾位置のばらつ
きを少なくすることができ、画質をより向上することが
できる。
【0014】また、本発明は、前記インクジェット記録
ヘッドを備えたインクジェット記録装置である。
【0015】
【発明の実施の形態】<インクジェット記録ヘッド>以
下、図面を参照して、本発明のインクジェット記録ヘッ
ドの第1の実施の形態を説明する。本実施の形態のイン
クジェット記録ヘッド10の構成例を図1に示す。本実
施の形態のインクジェット記録ヘッド10(以下、単に
「ヘッド10」という場合がある)は、インク吐出面に
設けらたインク吐出口12、吐出手段14が設けられた
吐出室16、及び吐出室16にインクを供給するインク
溜18を備えている。ヘッド10には、例えば毛管力や
圧力差によって生じる作用により、ヘッド10外部のイ
ンクタンクとインク供給路(不図示)によってインク2
1が供給されている。インク吐出口12は、非印字状態
ではシール液体22によってシールされている。シール
液体22は、インク吐出口12から吐出されるインクと
同様な色相を有する色材を含有している。
【0016】図1には1つのインク吐出口12のみを示
したが、インク吐出口12はインク吐出面に複数設けら
れていてもよい。なお、図においては、便宜上、インク
吐出口12が横方向に配置された図を示しているが、イ
ンク吐出方向、即ち、記録ヘッド10の配置方向は所望
により適宜選択することができ、一般的にはインク滴は
重力方向(下方)に向けて吐出される。
【0017】本実施の形態に使用可能なインク吐出手段
14には、従来技術によるインクジェット記録ヘッドで
用いられているインク吐出手段、例えば加圧方式、
連続流方式、静電吸引方式等のインク吐出手段を広く
利用することができる他、音響波、圧力波などを集中
させる方式なども利用可能である。加圧方式の吐出手段
としては、サーマルインクジェット方式や圧電方式が利
用できる。
【0018】本実施の形態において使用可能なシール液
体は、インク吐出口12をシールし、インク吐出口12
のインクを空気から遮蔽する機能を有する。このような
機能を維持するシール液体は、少なくともインクに不溶
な成分を含み、インクと相溶せず、かつ、インクとは自
発的に乳化しないものである。
【0019】シール液体とインクが、非相溶性であるた
めには、具体的には、シール液体のインクに対する溶解
度が、ヘッド10あるいは記録装置を使用する環境下で
0.1重量%以下であるのが好ましい。
【0020】さらに、シール液体が不揮発性であると、
ヘッド10の休止中に蒸発せず、シール液体による吐出
口12のシール状態に変化が生じないので好ましい。不
揮発性とは、具体的にはヘッド10あるいは記録装置を
使用する環境下での蒸気圧が0.1mmHg以下である
ことをいう。
【0021】本実施の形態で利用できるシール液体の動
粘度は、目詰まり防止の期間設定、吐出手段14、吐出
口12の直径、記録ヘッド10の吐出周波数、シール液
体の膜厚、シール液体を配置する方法などの設計仕様に
対して適宜選択可能であり、動粘度は低粘度のものから
高粘度のものまで広く利用できる。ただし、一般的に
は、蒸気圧が低く不揮発性の液体は分子量が大きいため
に動粘度が高いものが多い。このため、より長期間シー
ル液体を不揮発にして目詰まりに対するシール性能を維
持させるには動粘度が高いシール液体を選択するのが望
ましく、より低エネルギで吐出させるためには動粘度が
低い方が望ましいことを考え合わせると、ヘッド10あ
るいは記録装置を使用する環境下でのシール液体の動粘
度としては1〜200mm2/sの範囲が望ましい。
【0022】また、本実施の形態において好適に利用で
きるシール液体の表面張力は、ヘッド10あるいは記録
装置を使用する環境下で15〜70mN/mの範囲であ
り、インク吐出口12のインクの表面にシール液体がぬ
れ進むためには、50mN/m以下であることが望まし
く、さらに、使用するインクの表面張力より小さいこと
が望ましい。
【0023】元々これらの性質に適した液体を単独で使
用することもできるし、複数の材料を混合して粘度や表
面張力を好ましい範囲に調整して使用してもよい。
【0024】水性のインクを用いる場合のシール液体と
しては、常温で液体の有機溶媒やオイル類を用いること
ができる。例えば、オクタン、ノナン、テトラデカン、
ドデカンなどの炭化水素、オレイン酸、リノール酸など
の高級脂肪酸、n−デカノール、ジメチルブタノールな
どの非水溶性のアルコール類、フタル酸ジブチル、マレ
イン酸ジブチルなどの可塑剤を用いることができる。あ
るいは植物油、鉱物油、シリコーンオイル、フッ素オイ
ルなどを用いることもできる。これらは、単独で用いて
も、あるいは均一に混合し得るものであれば、複数種を
混合して用いてもよい。
【0025】シール液体は上記有機溶媒やオイル類の材
料中に、インクと同様な色相を有する色材を溶解または
分散させたものである。色材としては、下記の顔料およ
び染料が使用可能である。顔料としては、無機顔料、有
機顔料を問わず、一般に用いられているものを使用する
ことができる。具体的には、例えば、カーボンブラッ
ク、カドミウムレッド、モリブデンレッド、クロムイエ
ロー、カドミウムイエロー、チタンイエロー、酸化クロ
ム、ビリジアン、チタンコバルトグリーン、ウルトラマ
リンブルー、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ
系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、
イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、スレン
系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、チオインジ
ゴ系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料、等の従
来公知の顔料を特に限定することなく用いることができ
る。
【0026】染料としては、アゾ染料、金属錯塩染料、
ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、
カーボニウム染料、キノンイミン染料、キサンテン染
料、シアニン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロ
ソ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、フタロ
シアニン染料、金属フタロシアニン染料、等の油溶性染
料が好ましい。これらの顔料および染料は、単独で用い
てもよいし、適宜組み合わせて使用することも可能であ
るが、シール液体全体に対して0.01〜5重量%の範
囲で含有されることが望ましい
【0027】イエローインクを吐出させる場合にシール
液体に含有される色材としては、例えば、C.I.So
lvent Yellow1,2,3,4,6,7,
8,10,12,13,14,16,18,19,2
1,25,25:1,28,29,30,32,33,
34,36,37,38,40,42,43,44,4
7,48,55,56,58,60,62,64,6
5,72,73,77,79,81,82,83,8
3:1,85,88,89,93,94,96,98,
103,104,105,107,109,112,1
14,116,117,122,123,124,12
8,129,130,131,133,134,13
5,138,139,140,141,143,14
6,147,148,149,150,151,15
2,153,157,158,159,160:1,1
61,162,163,164,165,167,16
8,169,170,171,172等の油溶性染料が
挙げられる。
【0028】マゼンタインクを吐出する場合にシール液
体に含有される色材としては、C.I.Solvent
Red1,2,3,4,7,8,13,14,17,
18,19,23,24,25,26,27,29,3
0,33,35,37,39,41,42,43,4
5,46,47,48,49,49:1,52,68,
69,72,73,74,80,81,82,83,8
3:1,84,84:1,89,90,90:1,9
1,92,106,109,111,117,118,
119,122,124,125,127,130,1
32,135,138,140,143,145,14
6,149,150,151,152,155,16
0,164,165,166,168,169,17
2,175,176,177,179,180,18
1,182,185,188,189,195,19
8,202,203,204,205,206,20
7,208,209,210,212,213,21
4,215,216,217,218,219,22
0,221,222,223,224,225,22
6,227,228,229等の油溶染料が挙げられ
る。
【0029】シアンインクを吐出する場合にシール液体
に含有される色材としては、例えば、C.I.Solv
ent Blue2,4,5,7,10,11,12,
22,25,26,35,36,37,38,43,4
4,45,48,49,50,51,59,63,6
4,66,67,68,70,72,79,81,8
3,91,94,95,97,98,99,100,1
02,104,105,111,112,116,11
7,118,122,127,128,129,13
0,131,132,133,134等の油溶性染料が
挙げられる。
【0030】ブラックインクを吐出する場合にシール液
体に含有される色材としては、例えば、C.I.Sol
vent Black 3,5,6,7,8,13,2
2,22:1,23,26,27,28,29,33,
34,35,39,40,41,42,43,45,4
6,47,48,49,50等の油溶性染料が挙げられ
る。
【0031】前記油溶性染料の中でも、C.I.Sol
vent Yellow 3,14,16,33,5
6、C.I.Solvent Red 18,24,2
7,122,135、C.I.Solvent Blu
e 25,35,48、C.I.Solvent Bl
ack 3,7,22,34,50は、染料の堅牢性が
高いので、特に好ましい。
【0032】シール液体は、印字開始前に、刷毛、布、
ブレードによる塗布などの方法によりインク吐出面に供
給される。この場合、シール液体の供給は手動でもよく
自動でもよい。また、インク吐出面の近傍に管や多孔質
部材を配置し、毛管力、表面張力、または圧力差等によ
って、シール液体をインク吐出面に供給する機構を備え
ていて、自動的に供給してもよい。これらの方法により
インク吐出面に供給されたシール液体は、インク吐出口
12のインク表面にシール液体の膜を形成する。
【0033】本実施の形態において、インク吐出面上の
シール液体の膜厚は、シール性能を維持する期間、吐出
手段14、吐出口12の直径、記録ヘッド10の吐出周
波数、シール液体の動粘度、シール液体を配置する方法
などの設計仕様に対して適宜設定可能である。ただし、
目詰まりに対するシール性能とより低エネルギで吐出さ
せることを考え合わせると、1μm以上200μm以下
であることが好ましい。シール液体の膜厚は、例えば、
シール液体の供給量を調節したり、吐出口12の周縁部
等をシール液体の保持量を規制する形状にすることによ
って制御することができる。尚、シール液体は、予めイ
ンクジェット記録ヘッド10に配置されていても、使用
時にインクジェット記録ヘッド10に適宜供給してもよ
い。
【0034】このように、本実施の形態では、シール液
体により吐出口12がシールされているため、長期休止
後であってもインク21の乾燥による目詰まりが発生し
ないので、必要時にただちに吐出動作を行うことが可能
となり、長期休止後のメンテナンス工程を軽減あるいは
省略することができる。このため、記録装置の小型化、
低コスト化が可能になるほか、長期休止後のメンテナン
スにより発生していた印字前の待ち時間やメンテナンス
による騒音を低減でき、大量のインク廃棄に伴うランニ
ングコストの上昇を抑えることも可能になる。
【0035】図2(a)〜(c)に、第1の実施の形態
のインクジェット記録ヘッドによって形成される印字ド
ットの形状の例を模式的に示す。インク吐出口12から
吐出されたインクと、該インクとともに飛翔したシール
液体は、記録媒体に対して相互に異なる浸透性等を有す
るので、記録媒体に着弾した後、インク部分とシール液
体部分に分離して、印字ドットを形成する。しかし、前
記シール液体は、その成分の一部にインクと同様の色相
を有する色材を含有するので、記録媒体上に形成される
印字ドットは、例えば、図8(b)〜(d)に示すよう
な透明のシール液体を含有する印字ドットよりも、光学
濃度が高くなる。印字ドットのドット径を微小化して
も、光学濃度はインクのみで構成される同一径の印字ド
ットと同程度となり、高画質化が可能となる。
【0036】次に、図3を参照して、本発明のインクジ
ェット記録ヘッドの第2の実施の形態を説明する。尚、
図3中、前述した第1の実施の形態と同一部分には同一
の符号を付して、その説明を省略する。図3は、多色画
像記録用のインクジェット記録ヘッドの上面図を示す。
本実施の形態のインクジェット記録ヘッドは、イエロー
インクを吐出するインク吐出口12a、マゼンタインク
を吐出するインク吐出口12b、シアンインクを吐出す
るインク吐出口12c、お飛翔よびブラックインクを吐
出するインク吐出口12dを備えている。インク吐出口
12a乃至12dは、各々、非印字状態ではシール液体
22a乃至22dによってシールされている。シール液
体22a乃至22dは、各々、シールしているインク吐
出口12a乃至12dから吐出されるインクと同様な色
相を有する色材を含有している。インク吐出口12a乃
至12dは、同一の色相のインクを吐出するインク吐出
口ごとに隔壁50によって領域a乃至dに区画されてい
て、各々のインク吐出口をシールしているシール液体2
2a乃至22dは、互いに混ざり合わないようになって
いる。
【0037】シール液体隔離手段は、相互に異なる色相
を有する色材を含有するシール液体が混ざり合うのを防
止する機能を有する。図3には、シール液体隔離手段と
して隔壁50を利用した態様を示したが、これに限定さ
れず、例えば、領域a乃至dの周囲のヘッド面に表面処
理を施し、シール液体に対して濡れ性の低い領域を形成
して濡れ性の違いによって、シール液体を隔離してもよ
い。
【0038】本実施の形態は、前記第1の実施の形態の
効果を奏するとともに、多色の画像記録を行う場合に、
混色を防止し、高画質な多色画像記録を可能にするとい
う効果も奏する。
【0039】次に、図4を参照して、本発明のインクジ
ェット記録ヘッドの第3の実施の形態を説明する。尚、
図4中、前述した第1の実施の態様を示す図1と同一部
分には同一の符号を付して、その説明を省略する。本実
施の形態のインクジェット記録ヘッド10(以下、単に
「ヘッド10」という場合がある)は、インク吐出面に
設けらたインク吐出口12、吐出手段14が設けられた
吐出室16、吐出室16にインクを供給するインク溜1
8、及びシール液体引き込み手段24を備えている。な
お、シール液体引き込み手段24の配置位置は、インク
ジェット記録ヘッド10内に限定されず、インクジェッ
ト記録ヘッド10外でもよい。
【0040】シール液体引き込み手段24(以下、単に
「引き込み手段24」という場合がある)は、図4に示
すように、インク吐出口12に位置する第1のシール液
体22Aと、インク吐出口12周囲に位置する第2のシ
ール液体22Bと、が区切られるように、シール液体を
インク吐出口12に引き込むものであり、このように、
第1のシール液体と第2のシール液体とが区切られるな
ら、どのような手段であってもかまわない。引き込むシ
ール液体の量は、シール液体の動粘度、表面張力、吐出
口の径、吐出口の形状等により、適宜選択する。一例と
して、吐出口の形状が、吐出方向に断面積の変化しない
構成の場合は、シール液体膜厚以上引き込むと良好に区
切られる。
【0041】引き込み手段24を配置する位置として
は、前述したように、吐出室16やインク溜18など
のヘッド10に配置してもよく、ヘッド10にインク
を供給するインクタンク30や供給流路などヘッド10
以外で記録装置内に配置してもよい。
【0042】吐出室16に引き込み手段24を設ける場
合には、個々の吐出口12に応じて引き込み手段24を
設けることもできる。この場合には、後述するように、
吐出口12ごとに引き込みを制御すれば、シール液体を
ロス無く引き込むことも可能になり、高画質化できると
いう利点を有する。また、複数の吐出口12に対応した
共通の引き込み手段24を設けて一括して引き込み動作
を行うこともできる。この場合には、引き込み手段24
を配置する個数を吐出口12の数より少なくすることが
可能になり、引き込み手段24の構成が簡易になり、装
置が安くなるという利点を有する。
【0043】引き込み手段24としては、大別して負
圧を利用して引き込む方法と、毛管力を利用して引き
込む方法とがある。引き込み手段24の作動状態や引き
込み量を制御しやすいので、ヘッド10内部の圧力を負
圧にする負圧発生手段を用いて引き込む方法が好まし
い。
【0044】引き込み手段24をヘッド10に配置する
場合には、引き込み手段24は、負圧を利用して引き込
むことができる。この場合、液体引き込み手段24と
しての負圧発生手段をインク溜18や吐出室16に配置
するか、負圧発生手段をインク溜18あるいは吐出室
16につながる別室に配置してヘッド10内部を負圧に
して引き込むことができる。
【0045】引き込み手段24をヘッド10以外に配置
する場合には、引き込み手段24としては、負圧を利用
する方法と、毛管力を利用する方法の両方が利用でき
る。負圧を利用する方法としては、ヘッド10外部に
配置した負圧発生手段をヘッド10(インク溜18、イ
ンク吐出口12、別室等)に接続して、これらの内部を
負圧にして引き込む方法、ヘッド10外部に配置した
負圧発生手段を、ヘッド10にインクを供給するインク
供給路やインクタンクに接続して、ヘッド10内部を負
圧にして引き込む方法、負圧発生手段を、ヘッド10
にインクを供給するインク供給路やインクタンクに配置
して、ヘッド10内部を負圧にして引き込む方法が利用
できる。毛管力を利用する方法としては、ヘッド10
にインクを供給するインク供給路やインクタンク内部に
配置されるインク漏れ防止用のスポンジなどの多孔質部
材の孔径などを制御して、インクに対する毛管力を増加
させて引き込む方法、インクの温度などを制御してイ
ンクの表面張力を変化させ、インク供給路やインクタン
ク内部に配置されたスポンジなどの多孔質部材への毛管
力を増加させて引き込む方法などを用いることもでき
る。以上述べた方法は、単独で用いても、組み合わせて
用いてもよい。
【0046】引き込み手段24と吐出口12との間に距
離がある場合は、途中の接続部材の変形などでシール液
体引き込みの応答性が悪くなることがあるため、負圧発
生手段などの引き込み手段24はヘッド10に近接する
部分かヘッド10に配置されていることが望ましく、さ
らには吐出口12に近い部分に設けられていることが望
ましい。さらには負圧発生手段などの引き込み手段24
を吐出室16に設けることも望ましい。
【0047】吐出室16に引き込み手段24を設ける場
合には、個々の吐出口12に応じて引き込み手段24を
設けることもできる。この場合には、吐出口12毎の吐
出毎に引き込みを制御すれば、吐出動作しない吐出口1
2について不必要に引き込み制御することを排除でき、
シール液体をロス無く引き込むことも可能になる。
【0048】負圧発生手段としては、ヘッド10内の
インク溜18等の何れかの内壁やヘッド10外のインク
タンク等の内壁の少なくとも一部を、変形する部材や変
位する部材で内部の容積を増加させて負圧を発生させる
方法、各種のポンプで負圧を発生させる方法などがあ
る。これらのうち、圧力を所定の設定値に制御しやす
く、しかも可逆的に作動させても要する時間が短い点で
容積を増加させる方法が好ましく、応答性も考え合わせ
るとヘッド10内部の容積を増加させる方法がより好適
である。
【0049】上記負圧発生手段としてポンプを用いる場
合は、軸流ポンプ、遠心ポンプなどの回転形ポンプ、ダ
イアフラムポンプやギアポンプ、チューブポンプなどの
容積形ポンプなど、様々な形態のものが利用できるが、
微少な圧力制御が可能でポンプが稼動していない状態に
あっても圧力が維持できるので、ダイアフラムポンプが
好適である。
【0050】容積を増加させて負圧を発生させる方法に
は、変形する部材や変位する部材を利用する。特にヘッ
ド10内部の容積を増加させるには、例えば、インク
溜18や吐出室16の壁面に、電気歪み材料などからな
る変形する部材やピストンなどの変位する部材を配置す
る方法、あるいは、インク溜18や吐出室16につな
がる別室にこれらの変形する部材や変位する部材を配置
する方法を利用できる。あるいはヘッド10の一部や
ヘッド10全体を変形させてヘッド10内部の容積を増
加させてもよく、ヘッド10内部で体積が縮小する部
材を用いて実質的にヘッド10内部の容積を増加させて
もよい。
【0051】上記した変形を生じさせる方法としては、
電気歪み材料のほか、磁気歪み材料、熱による体積膨張
やたわみを生じる材料なども利用できるが、電気信号に
よる制御が簡単であるので、圧電部材などの電気歪み材
料を利用する方法が好適である。また、ばね材やゴム材
などの弾性部材にこれらの変形する部材を組み合わせて
変形を生じさせてもよく、あるいは、これらの弾性部材
に磁気力や静電気力などを作用させて変形させてもよ
い。変形する部材や、弾性部材などを複数の材料で構成
してもかまわない。
【0052】上記した変位を生じさせる方法としては、
ピストンや弁などの可動部材に、上述した電気歪み材
料、磁気歪み材料、熱による体積膨張やたわみを生じる
材料などを組み合わせる方法が利用できる。これ以外に
も、ピストンや弁などの可動部材に磁気力や静電気力な
どを作用させて変位を生じさせてもよい。
【0053】また、ヘッド10内部の容積を増加させる
方法を用いる場合、特に、インク溜18や吐出室16、
あるいはこれらにつながる別室に圧電部材や、圧電部材
によって変形する部材を配置して、ヘッド10内部の容
積を増加させるのが簡易な方法である。即ち、図5に示
すように、圧電部材38を一対の電極40で挟み、これ
を弾性部材(弾性層)42に固着して構成し、一対の電
極40に電圧を印加し、圧電部材38に電界を印加し
て、インク吐出口12の容積が増大するように変形させ
る。特に圧電部材38は、インクジェットヘッド10や
振動子などのデバイスにも実用化されており、高度な製
造技術も確立しているので、装置の仕様に合わせて様々
な形状や材料を適宜選択可能であり、ヘッド10内部の
容積を増加させる方法に利用するのに好ましい。
【0054】圧電部材38としては、電界を印加するこ
とで歪みや変形を生じる振動子などに用いられている材
料を広く利用できる。例えば、水晶、チタン酸ジルコン
酸鉛(PZT)、チタン酸バリウム、ニオブ酸鉛、ニオ
ブ酸リチウム、ビスマスゲルマネイト、タンタル酸リチ
ウムなどの多結晶体や単結晶体、酸化亜鉛、窒化アルミ
ニウムなどの薄膜からなる無機圧電材料、あるいは、ポ
リ尿素、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)や、PVD
Fの共重合体などの圧電性高分子材料、あるいは、無機
圧電材料と圧電性高分子材料との複合圧電材料を用いる
こともできる。
【0055】本実施の形態では、上記した引き込み手段
24により、インク吐出前までに吐出口12に引き込ま
れたシール液体22Aが、吐出口12周囲のシール液体
22Bと区切られていればよい。具体的には、吐出に際
してまず引き込み手段24が作動して、インク吐出口1
2に位置するシール液体22Aが全て吐出口12に引き
込まれ、引き込まれたシール液体22Aと周囲のシール
液体22Bとが区切られる。引き込むシール液体の量
は、シール液体の動粘度、表面張力、吐出口の径、吐出
口の形状等により、適宜選択する。一例として、吐出口
の形状が、吐出方向に断面積の変化しない構成の場合
は、シール液体膜厚以上引き込むと良好に区切られる。
次に、このようにシール液体が区切られた状態で吐出手
段14によりインク吐出口12のインク21がシール液
体22と共に吐出される。なお、吐出時に、吐出口12
内のシール液体は完全にインク21と共に吐出されなく
てもかまわない。1走査が終了したり、1枚の印字が終
了したり、全ての用紙の印字が終了した場合、引き込み
手段24を作動解除して、引き込まれていたインク21
(あるいはインク21とシール液体)を引き込み前の状
態に戻すことで、吐出口12周囲のシール液体がインク
吐出口12のインク21を再びシールして目詰まりを防
止する。
【0056】以上説明したように、本実施の形態におい
ては、吐出口12に位置するシール液体22Aと吐出口
12周囲に位置するシール液体22Bとが区切られる
(分離される)ように、シール液体22をインク吐出口
12内に引き込むことで、吐出口12周囲のシール液体
からの吐出口12からのインク吐出を妨げようとする影
響を無くして、吐出抵抗を下げるものである。以下にこ
の作用を向上させる好ましい手段について説明する。引
き込み手段24はシール液体の引き込みの応答性がよく
なるので吐出口12に近い部分に設ける方が好ましい。
また、引き込み手段24は、引き込み手段24の作動状
態や引き込み量を制御しやすいので負圧発生手段を用い
ることが好ましい。引き込み手段24として負圧発生手
段を用いる場合には、負圧発生手段は可逆的に作動させ
ても要する時間が短いので容積を変化させる方法が好ま
しい。容積を変化させる方法は、電気信号による制御が
簡単なので圧電部材38を用いて容積を増加させる方法
が好ましい。さらには、ヘッド10の壁面を圧電部材3
8により変形させ、容積を増加させて引き込むのが、引
き込み状態や引き込み量を制御しやすく、作動に要する
時間が短く、応答性が良く、簡易であるので好適であ
る。
【0057】また、引き込み手段24に負圧発生手段を
用いる場合には、密閉手段(不図示)を用いることも好
ましく、その場合は引き込みに先立って、あるいは引き
込みとほぼ同時に密閉状態にすることで、負圧発生手段
によって発生した負圧をシール液体の引き込みのみに作
用させることが可能となる。このため、必要な引き込み
量を得るための引き込み手段24の作動量が小さくて済
み、引き込みが完了するまでの時間も短くて済むという
効果を有する。密閉手段としては、弁や仕切りなどで
遮断する方法、ゴムキャップなどにより蓋をする方
法、流路を狭めたり流路を詰める部材を用いて流路を
閉塞する方法などが利用できる。密閉手段は引き込み手
段24に連動するか、または、引き込み手段24によっ
て生じる変位を利用するなどして引き込み手段24が兼
ねる構成であってもよい。これらの方法によって、引き
込み前に密閉状態にしてもよく、また、引き込み途中や
引き込み動作の完了後に密閉状態してもかまわない。密
閉により引き込み状態を保持している場合は、密閉手段
を解放することで引き込み前の状態に復帰させることも
できる。密閉手段は、例えば、インク溜め18に大気連
通口がある場合には、大気連通口50を密閉してもよ
い。また、密閉手段は、インク吐出口12から大気連通
口につながる途中の部分、例えば、インク供給路とイン
ク溜め18との接続部分を密閉してもよい。あるいは圧
力調整機構がある場合には、圧力調整機構と大気が連通
している部分を密閉するか、圧力調整機構につながる途
中の部分を密閉してもよい。これらの大気連通口や圧力
調整機構を複数持つ場合には、各々の部分を個別に密閉
するか、あるいはヘッド10からこれらの大気連通口や
圧力調整機構につながる部分を一括して密閉してもよ
い。
【0058】以上、説明したように、第3の実施の形態
のインクジェット記録ヘッドは、第1の実施の形態と同
様な効果を奏するとともに、第3の実施の形態に特有な
以下の効果を奏する。即ち、本実施の形態によれば、吐
出口12に位置するシール液体22Aと、吐出口12周
囲のシール液体22Bとを区切られた状態(分離した状
態)にすることによって、吐出口12周囲のシール液体
22Bからのインク吐出を妨げる影響を無くすことがで
き、よって、吐出時の抵抗を低くすることができる。こ
のため、シール液体の粘度が上昇するような低温の環境
下でも、吐出不良が発生せず、鮮明な画像を印字するこ
とができる。また、吐出抵抗が低いので、配置するシー
ル液体を厚くしたり、高粘度のシール液体材料を選択し
ても、目詰まりに対する性能と吐出性能との両立がで
き、より長期間にわたって目詰まりを防止するようなヘ
ッド設計も可能となる。
【0059】尚、インク吐出口12に位置するシール液
体22Aと周囲のシール液体22Bとを区切るために、
本実施の形態では、インク吐出口12に位置するシール
液体を必要量引き込む。即ち、インク吐出口12に位置
するシール液体を必要量引き込むように予め定められた
時間、引き込み手段24を駆動する。ところで、特開平
3−132356号公報に記載されているように、ホッ
トメルトインクの固化収縮でシール液体を引き込むもの
もあるが、冷却固化時の収縮では、数分から長い場合に
は数時間の冷却時間を要してしまうのに対し、本実施の
形態では、引き込みに要する時間は、シール液体の動粘
度、表面張力、厚さ、吐出口の径、吐出口の形状により
適宜選ばれるが、効果的に区切るためには、1秒以内に
引き込み、動作を行うことが好ましく、(0.1秒以内
に)ステップ状に引き込み手段を動作させることが好ま
しい。即ち、特開平3−132356号公報に記載の内
容と本願の内容とは本質的に相違する。
【0060】次に、図6を参照して、本発明のインクジ
ェット記録ヘッドの第4の実施の形態を説明する。尚、
図6中、前述した第1の実施の態様を示す図1、および
第3の実施の形態を示す図4と、同一部分には同一の符
号を付して、その説明を省略する。本実施の形態は、後
述する吐出基本信号及び画像信号に基づいて、引き込み
手段24を駆動するための引き込み信号と、画像信号に
応じて吐出手段14を駆動するための吐出信号を制御す
る信号制御手段60を有する。信号制御手段60は、イ
ンク吐出前に毎回シール液体を引き込むように、引き込
み信号を出力して引き込み手段24を駆動してから、吐
出信号を出力して吐出手段14を駆動する。この、引き
込み手段24の駆動から、吐出の終了までを、同一の吐
出口12から連続してインク滴を吐出する場合の吐出周
期(以下「吐出基本周期」と呼ぶ)内に行う。本発明の
信号制御手段60は、引き込んだシール液体が周囲のシ
ール液体と区切られた後にインクを吐出させるように、
引き込み信号から所定の時間遅延させて吐出信号を出力
する。
【0061】信号制御手段60は、同一の吐出口12か
ら連続してインク滴を吐出する場合の吐出周波数(=1
/吐出基本周期)の基本信号(以下「吐出基本信号」と
呼ぶ)と、画像情報に応じて吐出手段14からインクが
吐出する際の吐出/非吐出を選択する画像信号とを元に
して、引き込み信号を出力し、引き込み信号から所定の
遅延時間aだけ遅延した吐出信号を出力する。遅延した
吐出信号を出力するには、信号制御手段60は、画像信
号を遅延させて吐出信号としたり、吐出基本信号に対し
て遅延した信号を元に、画像信号発生させてこれを吐出
信号とする。この遅延時間aは、吐出手段14、吐出口
12の直径、吐出基本周波数、シール液体の膜厚、シー
ル液体の動粘度、シール液体の表面張力などの設計仕様
を考慮して、引き込んだシール液体が周囲のシール液体
と区切られた後の最適な時間を設定する。また、この遅
延時間aは次の引き込みにまでに吐出が終了するように
設定する。
【0062】この信号制御手段60は、ヘッド10に配
置してもよく、ヘッド10以外の記録装置内に配置して
もよく、また、ヘッド10や装置を制御する電気回路な
どと共に配置してもかまわない。
【0063】この信号制御手段60は、遅延させた吐出
信号を出力するために、引き込み手段24を構成する例
えば圧電部材に印加する信号や、吐出手段14を構成す
る例えばヒータに印加する信号を制御してもよく、引き
込み手段24や吐出手段14につながる途中の信号を制
御してもよく、吐出基本信号と画像信号を制御してもよ
く、吐出基本信号と画像信号の生成時に遅延した信号を
発生させて制御してもよい。
【0064】信号制御手段60で画像信号や基本クロッ
ク信号を遅延させるには、各種知られている遅延回路を
利用する。例えば、コンデンサと抵抗からなる遅延回
路、複数個のバッファ回路を縦列接続にした遅延回路、
発信回路とカウンタ回路とコンパレータ回路からなる遅
延回路などを利用して信号制御手段60を構成すること
ができるが、これ以外にも各種の電気回路やIC回路な
どで信号制御手段60を構成してもよく、専用のIC回
路などを作製することも可能である。また、マイコン制
御などにより、入力された信号をデータ化してメモリ上
のデータとの比較などを行うことで遅延を行う信号制御
手段60を構成することも可能である。
【0065】信号制御手段60は、吐出基本信号毎に
シール液体を引き込むように引き込み信号を出力するの
と、画像信号毎にシール液体を引き込むように引き込
み信号を出力する2つの方式がある。 吐出基本信号毎にシール液体を引き込む場合は、信号
制御手段60は、吐出基本信号に応じて引き込み信号を
出力する。この方式では、インクの吐出/非吐出(画像
信号)にかかわらず、吐出口12のシール液体は吐出基
本周期で引き込まれる。毎回必ず引き込みを行うため、
吐出しない場合も引き込みを行っているが、複数の吐出
口12を備えたヘッド10を用いる場合は、全吐出口1
2の引き込みを均等に行うので、毎回の引き込み条件が
同一であるという特徴がある。よって、この方式では、
ヘッド10を、前述したような複数の吐出口12に対応
した共通の引き込み手段24を設けた構成にするのが好
ましく、引き込み手段24の制御が容易で、信号制御手
段60の構成も簡易になるので装置が安くなるという利
点を有する。
【0066】画像信号毎にシール液体を引き込む場合
は、信号制御手段60は、画像信号に応じて引き込み信
号を出力する。この方式では、インクの吐出がある直前
にのみ、オンデマンドで吐出口12のシール液体が引き
込まれる。吐出の直前のみ引き込みを行うので引き込み
に無駄がなく、複数の吐出口12を持つヘッド10を用
いる場合は、各吐出口12各々に対応して引き込みを制
御することが可能である。よって、この方式では、ヘッ
ド10を、複数の吐出口12に対応した個別の引き込み
手段24を設けた構成にするのが好ましく、吐出に最適
な引き込み制御を個別の吐出口12ごとに行うことがで
き、より高画質化が可能になるという利点を有する。
【0067】吐出基本信号毎にシール液体を引き込む場
合は、吐出基本信号毎に、信号制御手段60は引き込み
信号を出力して、シール液体を引き込む。一方、画像信
号毎にシール液体を引き込む場合は、画像信号毎に、信
号制御手段60は引き込み信号を出力して、シール液体
を引き込む。そして、双方共、画像信号に対して遅延時
間a遅延した吐出信号を出力して、更に、引き込んだシ
ール液体22Aが周囲のシール液体22Bと区切れた後
に、インクを吐出させている。即ち、毎回のインク吐出
前に吐出口12にシール液体を引き込んで吐出を行う。
吐出を行う際は、シール液体が区切られた状態で吐出手
段14が作動してインク吐出口12のインクをシール液
体と共に吐出する。なお、吐出時に、吐出口12内のシ
ール液体は完全にインクと共に吐出されなくてもかまわ
ない。さらに、画像信号に対して遅延時間b遅延した引
き込み解除信号を出力して、引き込み手段24を作動解
除して、引き込まれていたインク(あるいはインクとシ
ール液体)を引き込み前の状態に戻し、次の吐出に備え
ることもできる。
【0068】以上、説明したように、第4の実施の形態
のインクジェット記録ヘッドは、第1の実施の形態、お
よび第3の実施の形態と同様な効果を奏するとともに、
第4の実施の形態に特有な以下の効果を奏する。即ち、
本実施の形態によれば、信号制御手段60によって、毎
回のインク吐出前にシール液体引き込み手段24が、シ
ール液体22を吐出口12の内部に引き込んでからイン
クを吐出するので、印字ドットはすべてがシール液体と
インクの混合インク滴により形成され、より安定的に適
正な印字ドットを形成することができるという効果も奏
する。また、吐出したインクの状態(量や速度等)を毎
回一定にでき、ヘッド10とインクの着弾位置との相対
的位置を毎回同じにすることができ、インクの吐出が安
定し、印字される画質がより向上する。引き込み直後だ
と、引き込み手段24やメニスカス液面に残っている振
動の振幅が大きいこともあるので、その場合は振動が十
分小さくなってから吐出させるように設定にすると、よ
り安定して吐出できる。
【0069】<インクジェット記録装置>本発明のイン
クジェット記録装置の第1の態様は、前記第1の実施の
形態のインクジェット記録ヘッドを備えたインクジェッ
ト記録装置である。該インクジェット記録装置には、さ
らに、記録紙等を、インクジェット記録ヘッドによる印
字が可能な位置に搬送する搬送手段が設けられていても
よい。記録紙等が、印字可能な位置に搬送されると、入
力された画像信号に応じて、インクジェット記録ヘッド
のインク吐出口からインク滴が記録紙等の方向へ飛翔
し、記録紙上の所定の位置に着弾し、インクドットを形
成する。前記インクジェット記録ヘッドは、インクを吐
出するためのインク吐出口が、シール液体によりシール
されているので、長期休止後であってもインクの乾燥に
よる目詰まりが発生せず、必要時にただちに吐出動作を
行うことが可能となり、長期休止後のメンテナンス工程
を軽減あるいは省略することができる。このため、記録
装置の小型化、低コスト化が可能になるほか、長期休止
後のメンテナンスにより発生していた印字前の待ち時間
やメンテナンスによる騒音を低減でき、大量のインク廃
棄に伴うランニングコストの上昇を抑えることも可能に
なる。また、前記シール液体は、前記インク吐出口から
吐出されるインクと同様の色相の色材を含有しているの
で、シール液体がインクとともに飛翔した場合も、記録
紙等の記録媒体に着弾後に形成されるインクドットは、
ドット径を小径化しても十分な光学濃度を有し、印字画
像の高画質化が可能となる。
【0070】本発明のインクジェット記録装置の第2の
態様は、前記第2の実施の態様のインクジェット記録ヘ
ッドを備えたインクジェット記録装置である。この態様
のインクジェット記録装置は、第1の態様のインクジェ
ット記録装置と同様な効果を奏するとともに、特に、多
色の画像記録用の装置とした場合に、混色が抑制された
高画質な多色画像記録が可能になるという効果も奏す
る。
【0071】本発明のインクジェット記録装置の第3の
態様は、前記第3の実施の形態のインクジェット記録ヘ
ッドを備えたインクジェット記録装置である。この態様
のインクジェット記録装置は、第1の態様のインクジェ
ット記録装置と同様な効果を奏するとともに、引き込み
手段を備えていることから、以下の特有な効果を奏す
る。即ち、引き込み手段を設けることによって、シール
液体の粘度が上昇するような低温の環境下でも、吐出不
良が発生せず、鮮明な画像を印字することができる。ま
た、吐出抵抗が低いので、配置するシール液体を厚くし
たり、高粘度のシール液体材料を選択しても、目詰まり
に対する性能と吐出性能との両立ができ、より長期間に
わたって目詰まりを防止することも可能となる。尚、引
き込み手段は、インクジェット記録ヘッドの内部に組み
込まれている必要はなく、ヘッド外部に設けられていて
もよい。但し、引き込み手段は、吐出口12に近い部分
に設けると、シール液体の引き込みの応答性がよくなる
ので好ましい。また、引き込み手段は、引き込み手段の
作動状態や引き込み量を制御しやすいので負圧発生手段
を用いることが好ましい。
【0072】本発明のインクジェット記録装置の第4の
態様は、前記第4の実施の形態のインクジェット記録ヘ
ッドを備えたインクジェット記録装置である。この態様
のインクジェット記録装置は、前記第1および第3の態
様の効果を奏するとともに、制御手段によって、毎回の
インク吐出前にシール液体引き込み手段が、シール液体
を吐出口の内部に引き込んでからインクを吐出するの
で、印字ドットはすべてがシール液体とインクの混合イ
ンク滴により形成され、より安定的に適正な印字ドット
を形成することができるという効果も奏する。また、吐
出したインクの状態(量や速度等)を毎回一定にでき、
ヘッドとインクの着弾位置との相対的位置を毎回同じに
することができ、インクの吐出が安定し、印字される画
質がより向上する。引き込み直後だと、引き込み手段や
メニスカス液面に残っている振動の振幅が大きいことも
あるので、その場合は振動が十分小さくなってから吐出
させるように設定にすると、より安定して吐出できる。
尚、制御手段は、ヘッド内部に組み込まれている必要は
なく、ヘッド外部に設けられていてもよい。
【0073】
【実施例】以下、実施例により本発明をより詳細に説明
するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではな
い。 (実施例1)図3に示すイエロー、マゼンタ、シアン、
ブラックの4色ヘッドを用いた。厚さ50μmのノズル
板には直径30μmの吐出口が設けられており、吐出室
にはインク吐出手段(不図示)が配されている。各色の
ノズル板表面には色の異なるシール液体が混合するのを
防ぐための隔壁を設けた。
【0074】シール液体としては複数種類のシリコーン
オイルを混合して調製した液体(動粘度30mm2
s、表面張力20.8mN/m、比重1.0)を主材と
し、これに前記4色の油溶性染料を各々溶解してシール
液体とした。用いた油溶性染料は、イエローヘッド用の
シール液体にはC.I.Solvent Yellow
16を2重量%、マゼンタヘッド用のシール液体には
C.I.SolventRed122を1.5重量%、
シアンヘッド用のシール液体にはC.I.Solven
t Blue 25を1.8重量%、およびブラックヘ
ッド用のシール液体にはにはC.I.Solvent
Black7を2重量%溶解させた。尚、各々のシール
液体の25℃での蒸気圧は0.1mmHg以下であり、
用いたインクに対しての相溶性もなかった。
【0075】使用したインクは色毎に組成が異なるが、
主な材料は、水、ジエチレングリコール、および染料か
らなり動粘度2.0mm2/s程度、表面張力40mN
/m程度、比重1.06程度であった。
【0076】吐出手段はサーマルインクジェット方式で
あり、吐出室の壁面にヒータを設けて構成されている。
ヒータには図示しない信号印加手段により画像信号に応
じたタイミングで所定の信号が印加されるように配線さ
れている。
【0077】このインクジェット記録ヘッドで高画質印
字テストを行った。記録媒体として表面にSiO2をコ
ートしたインクジェット専用紙を用い、主走査、副走査
方向とも1200dpi(ドット/インチ)のアドレス
間隔で印字したところ、十分な階調再現力と解像力を実
現することができた。
【0078】記録媒体上の孤立1ドットの光学濃度
(D)と、ドットサイズ(φ)を測定した。光学濃度は
微小濃度計でドット内をスキャンしてその平均値を求め
た。ドットサイズはドット形状の包絡線を円形換算して
求めた。DY=1.0、φY=45μm、DM=1.2、
φM=43μm、DC=1.1、φC=48μm、DBk
1.3、φBk=55μmであった。(添え字はインクの
色を意味する)
【0079】(比較例1)シール液体として上記主材の
みを用い(色材を含まず)、他の条件は同一として高画
質印字テストを実施したところ、低濃度部分の階調再現
力が不十分であり、細線画像はところどころで途切れが
見られた。この現象は、低濃度部および細線画像部で
は、インクの吐出機会が少なくなるため、インクが吐出
した後、次にインクが吐出するまでに、シール液体が吐
出口表面に濡れ広がる時間的余裕が生じ、低濃度部およ
び細線画像部を構成する印字ドットの多くが、インクと
シール液体の混合ドロップからなることに起因する。シ
ール液体が先に浸透した部分にはインクが浸透しにくく
なるので、図8(b)〜(d)に示したような不適切な
印字ドットが形成される結果、画質劣化として認識され
たと考えられる。また、ドットを目視にて観察したとこ
ろ、ドット内に記録媒体の白地が露出しており、その結
果光学濃度が低くなっていた。実施例1と同様にして求
めた孤立1ドットの、光学濃度(D)およびドットサイ
ズの測定結果は、DY=0.6、φY=48μm、DM
0.8、φM=42μm、DC=0.8、φC=44μ
m、DBk=1.0、φBk=57μmであった。
【0080】実施例1のインクジェット記録ヘッドを、
気温25℃、相対湿度30%RHの環境に30日間放置
しておいた後、通常のインクジェット記録装置のメンテ
ナンス動作は一切行わずに印字テストを行って出力画像
を観察した。インク吐出口に目詰まりによる吐出不良は
発生しておらず、印字された画像にはドットの乱れもな
く、放置前と同じく鮮明な画像が記録されていた。な
お、シール液体を配置しない以外は本実施例の記録ヘッ
ドと同様のヘッドを同じ条件で30日間放置した後、印
字テストを行ってみたが、半分以上の吐出口で目詰まり
が発生しており、部分的にしか印字することができなか
った。
【0081】(実施例2)図5に示す構成の記録ヘッド
を用いた。ヘッド10の内部には、インク溜18および
直径30μmの吐出口12に通じる吐出室16が設けら
れていて、吐出室16にはインク吐出手段14が配され
ている。吐出手段14はサーマルインクジェット方式で
あり、吐出室16の壁面にヒータを設けて構成されてい
る。ヒータは多結晶シリコンからなる発熱体層の上にタ
ンタルからなる保護層を積層して構成されている。ヒー
タには図示しない信号印加手段により画像信号に応じた
タイミングで所定の信号が印加されるように配線されて
いる。
【0082】吐出室16の壁面にはシール液体引き込み
手段24として、圧電部材からなる引き込み手段24が
配置されている。圧電部材は、PZT(チタン酸ジルコ
ン酸鉛)圧電部材を用いて構成され、PZT層の両側に
設けた電極に電圧を印加することによりたわみ変形し、
ヘッド10内部の容積を増加させる。圧電部材からなる
引き込み手段24は、シリコン単結晶基板を熱酸化して
形成した厚さ1.0μmの酸化シリコンの保護層と、ス
パッタ法により形成した厚さ0.8μmの酸化ジルコニ
ウムからなる弾性膜と、スパッタ法により形成した厚さ
0.2μmの白金からなる第1電極と、ゾルゲル法を複
数回繰り返して形成した厚さ1.0μmのPZTの層
と、スパッタ法により形成した厚さ0.1μmの白金か
らなる第2電極により構成されている。この圧電部材か
らなる引き込み手段24は、シリコン単結晶基板上に、
順次、保護層、弾性膜、第1電極、PZT層、第2電極
を積層して形成した後、シリコン単結晶部分をエッチン
グ除去して作成した。また、PZT層と第2電極はフォ
トレジストとエッチングによって所定の形状にパターニ
ング可能で、本実施例では幅400μm、長さ1200
μmの長方形に形成されている。
【0083】こうして作製した引き込み手段24を接着
してインク溜18の壁面を構成した。第1電極と第2電
極との間に20Vの電圧を印加したところ、インク溜1
8の壁面の中央部に最大で2μmの凹状のたわみ変形が
発生し、インク溜18の体積は増加した。ヘッド10の
内部にインクを満たし、この条件でインクを引き込んだ
ところ、吐出口12からヘッド10の内部へ向かって2
5μmの位置までインクが引き込まれた。
【0084】引き込み手段24を制御する信号制御手段
60は、IC回路を用いて作製しヘッド10の外壁に配
置した。信号制御手段60は、吐出信号を出力する回路
に遅延回路を用いて構成し、引き込み解除信号を出力す
る回路を遅延回路とフリップフロップ回路で構成した。
信号制御手段60は、画像信号が入力され、画像信号に
応じて引き込み信号を出力して引き込み手段に印加する
電位を0Vから20Vに切り替え、画像信号を遅延させ
て一定時間後に吐出信号を出力する。画像信号が入力し
てから吐出信号を出力するまでの遅延時間は100μs
に設定した。また、信号制御手段60は、画像信号を遅
延させて、一定時間後に引き込み解除信号を出力して引
き込み手段に印加する電位を20Vから0Vに切り替え
る。画像信号が入力してから引き込み解除信号を出力す
るまでの遅延時間は120μsに設定した。
【0085】図5に示すインクジェット記録ヘッド10
により、実施例1と同様の高画質印字テストを行った。
記録媒体として表面にSiO2をコートしたインクジェ
ット専用紙を用い、主走査、副走査方向とも1200d
pi(ドット/インチ)のアドレス間隔で印字したとこ
ろ、十分な階調再現力と解像力を実現することができ
た。
【0086】印字された記録媒体上の孤立1ドットの光
学濃度(D)と、ドットサイズ(φ)を測定した。光学
濃度は微小濃度計でドット内をスキャンしてその平均値
を求めた。ドットサイズはドット形状の包絡線を円形換
算して求めた。DY=1.1、φY=42μm、DM
1.2、φM=40μm、DC=1.1、φC=45μ
m、DBk=1.3、φBk=48μmであった。
【0087】(比較例2)シール液体として実施例1と
同様の主材のみを用い(色材を含まず)、他の条件は同
一として高画質印字テストを実施した。比較例2におけ
る印字ドットは着弾位置精度およびドットサイズのばら
つきに関しては良好であったが、比較例1よりもさらに
低濃度部分の階調再現力が不十分であり、高濃度部の最
高画像濃度も不足気味であった。また、細線画像は途切
れが目立ち、各ドットの状況は、図8(b)〜(d)に
示したような不適切な形態であった。これは、比較例2
のインクジェット記録ヘッドは、インク吐出毎に毎回シ
ール液体を引き込んで、周囲のシール液体とインク吐出
すべき吐出口のシール液体を区切った後にインク吐出を
行うので、画像部の濃度の高低に関わらず、全ての印字
ドットはインクとシール液体の混合ドロップからなるこ
とに起因するものと考えられる。実施例2と同様にして
測定した孤立1ドットの光学濃度およびドットサイズの
測定結果は、DY=0.6、φY=46μm、DM=0.
7、φM=44μm、DC=0.7、φC=44μm、D
Bk=0.9、φBk=49μmであった。
【0088】実施例2のインクジェット記録ヘッドを、
気温25℃、相対湿度30%RHの環境に30日間放置
しておいた後、通常のインクジェット記録装置のメンテ
ナンス動作は一切行わずに印字テストを行って出力画像
を観察した。インク吐出口に目詰まりによる吐出不良は
発生しておらず、印字された画像にはドットの乱れもな
く、放置前と同じく鮮明な画像が記録されていた。な
お、シール液体を配置しない以外は本実施例の記録ヘッ
ドと同様のヘッドを同じ条件で30日間放置した後、印
字テストを行ってみたが、半分以上の吐出口で目詰まり
が発生しており、部分的にしか印字することができなか
った。
【0089】
【発明の効果】本発明のインクジェット記録ヘッドおよ
びインクジェット記録装置によれば、長期休止後であっ
ても目詰まりが発生しない。また、シール液体とインク
の混合ドロップによる印字においても、簡易なヘッド構
成で、画質劣化を起こすことなく高画質印字を実現する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施の形態に係るインクジェット記録
ヘッドの基本構成を示した図である。
【図2】 本発明のインクジェット記録ヘッドによって
形成された印字ドットの形態例を模式的に示す図であ
る。
【図3】 第2の実施の形態に係るインクジェット記録
ヘッドの基本構成を示した図である。
【図4】 第3の実施の形態に係るインクジェット記録
ヘッドの基本構成を示した図である。
【図5】 第3の実施の形態に係るインクジェット記録
ヘッドの他の構成を示した図である。
【図6】 第4の実施の形態に係るインクジェット記録
ヘッドの他の構成を示した図である。
【図7】 ヘッド断面図とインクドロップの飛翔形態を
模式的に示した図である。
【図8】 理想的な印字ドットの形態例と、従来のイン
クジェット記録ヘッドによって形成された印字ドットの
形態例を模式的に示す図である。
【符号の説明】
10 ヘッド 12 インク吐出口 14 吐出手段 16 吐出室 18 インク溜 22 シール液体 24 シール液体引き込み手段 60 信号制御手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平潟 進 神奈川県足柄上郡中井町境430グリーンテ クなかい 富士ゼロックス株式会社内 (72)発明者 諏訪部 恭史 神奈川県足柄上郡中井町境430グリーンテ クなかい 富士ゼロックス株式会社内 (72)発明者 末光 裕治 神奈川県足柄上郡中井町境430グリーンテ クなかい 富士ゼロックス株式会社内 (72)発明者 長谷部 恵 神奈川県足柄上郡中井町境430グリーンテ クなかい 富士ゼロックス株式会社内 (72)発明者 毛利 哲 神奈川県足柄上郡中井町境430グリーンテ クなかい 富士ゼロックス株式会社内 Fターム(参考) 2C056 EA06 EA17 EC08 EC32 EC37 EC63 HA03 HA05 JA24

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクを吐出するためのインク吐出口
    と、 前記インク吐出口をシールするシール液体と、 入力された画像信号に応じて前記インク吐出口からイン
    クを吐出するインク吐出手段とを有するインクジェット
    記録ヘッドにおいて、 前記シール液体が、前記インク吐出口から吐出されるイ
    ンクと同様の色相の色材を含有することを特徴とするイ
    ンクジェット記録ヘッド。
  2. 【請求項2】 色相aのインクを吐出するインク吐出口
    aと、色相aと異なる色相bのインクを吐出するインク
    吐出口bとを有するとともに、インク吐出口aをシール
    するシール液体aと、インク吐出口bをシールするシー
    ル液体bとを隔離するシール液体隔離手段を有すること
    を特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録ヘッ
    ド。
  3. 【請求項3】 インク吐出口に位置するシール液体とイ
    ンク吐出口の周囲に位置するシール液体とが区切られる
    ように、前記シール液体を前記インク吐出口内に引き込
    むシール液体引き込み手段を有することを特徴とする請
    求項1又は請求項2に記載のインクジェット記録ヘッ
    ド。
  4. 【請求項4】 引き込み信号の出力から、予め定められ
    た吐出基本周期内に前記シール液体の引き込み及び前記
    インクの吐出を終了するように、前記インク吐出手段及
    び前記シール液体引き込み手段を制御する制御手段を備
    えたことを特徴とする請求項3に記載のインクジェット
    記録ヘッド。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に
    記載のインクジェット記録ヘッドを備えたインクジェッ
    ト記録装置。
JP11616199A 1999-04-23 1999-04-23 インクジェット記録ヘッド、及びインクジェット記録装置 Pending JP2000301730A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100337824C (zh) * 2003-12-24 2007-09-19 富士施乐株式会社 喷墨记录头及喷墨记录装置
US7410240B2 (en) 2004-03-04 2008-08-12 Fujifilm Corporation Inkjet recording head and inkjet recording apparatus

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100337824C (zh) * 2003-12-24 2007-09-19 富士施乐株式会社 喷墨记录头及喷墨记录装置
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