JP2000296800A - 人工衛星の姿勢制御装置 - Google Patents
人工衛星の姿勢制御装置Info
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- Control Of Position, Course, Altitude, Or Attitude Of Moving Bodies (AREA)
Abstract
数・減衰係数などの動特性パラメータを安全かつ確実に
推定し、また、人工衛星に働く重力傾度トルクによって
ホイール以外のアクチュエータを用いないでもホイール
に蓄積された角運動量を確実に放出する。 【解決手段】 人工衛星の姿勢角または姿勢角速度をフ
ィードバックして人工衛星の姿勢を制御するためのホイ
ール駆動信号を発生する姿勢制御演算部2と、姿勢制御
演算部からのホイール駆動信号に擾乱を加えてホイール
に与えるための擾乱信号発生器4と、人工衛星の姿勢角
または姿勢角速度信号の高周波成分を除去する低域通過
フィルタ5と、擾乱が加えられたホイール駆動信号と低
域通過フィルタを介した人工衛星の姿勢角または姿勢角
速度信号とに基づいて人工衛星の動特性を推定する動特
性推定器6とを備える。
Description
て人工衛星の姿勢を制御する人工衛星の姿勢制御装置に
関するものである。
62巻第603号pp.4190−4198に示された
従来の人工衛星の姿勢制御装置を示したブロック図であ
る。図8において、1は人工衛星本体、2は人工衛星本
体1の姿勢制御のための演算を行う姿勢制御演算部、3
は人工衛星本体1の姿勢制御を行うアクチュエータであ
るホイール、4は人工衛星本体1に加えるべき擾乱信号
を発生させる擾乱信号発生器、6はスラスタ22の駆動
信号と人工衛星本体1の姿勢角・姿勢角速度から人工衛
星本体1の動特性を推定する動特性推定器、21は人工
衛星全体の角運動量を制御する角運動量制御演算部、2
2は人工衛星本体1に加える擾乱を発生させるためのア
クチュエータであるスラスタである。
1の構造振動の振動数や減衰係数などを推定するには、
なんらかの形で振動を励起する必要がある。そのため、
擾乱信号発生器4で発生した不確定に変動する信号をも
とにスラスタ22を噴射して人工衛星本体1を加振す
る。この際、スラスタ22による加振は、人工衛星全体
の角運動量(人工衛星本体1の角運動量とホイール3の
角運動量の合計)がほぼ0付近で変動するようにする。
これは、以下に述べる姿勢制御において、ホイール3の
蓄積角運動量が飽和するのを防ぐためである。この角運
動量を0付近に保つ働きをするのが角運動量制御演算部
21であり、人工衛星全体の角運動量をフィードバック
して擾乱信号の符号を調節し、スラスタ22の駆動信号
とする。
演算部2にフィードバックされホイール3で制御され
る。この姿勢制御によりスラスタ22が加振トルクを発
生していても人工衛星本体1の姿勢が大きく乱れること
はない。また、人工衛星全体の角運動量は、ホイール3
の駆動では変化せずスラスタ22のみによって変化する
が、角運動量制御演算部21によってこれが0付近に保
たれているので、ホイール3に蓄積される角運動量が過
大になることもない。このときのスラスタ22の駆動信
号と人工衛星本体1の姿勢角・姿勢角速度信号をテレメ
トリで地上に伝送して動特性推定器6に入力する。動特
性推定器6では、人工衛星本体1の入出力伝達関数を求
め、その極(伝達関数の分母=0とするときの根)から
構造振動の振動数と減衰係数を推定する。
1020に示された説明文をもとに、従来の人工衛星の
姿勢制御装置の動作原理を示した図である。図9におい
て、図8に示す構成と同一部分は同一符号を付してその
説明は省略する。新たな符号として、23はホイール角
運動量の値からスラスタ駆動信号を発生するスラスタ駆
動演算部である。
1の姿勢制御では、通常、その姿勢角や姿勢角速度をフ
ィードバックして、姿勢制御演算部2においてその姿勢
角が目標値(図の場合には0)になるように必要なPD
(比例微分)制御などの制御演算を行い、ホイール駆動
信号を発生してホイール3を駆動する。人工衛星に対し
て外乱が作用すると、その外乱の作用を打ち消して人工
衛星本体1の姿勢を保つために、ホイール3は駆動され
ることになるが、外乱の性質によってはホイール3のも
つ角運動量が許容値以上に高まる可能性がある。そこ
で、ホイール3のもつ角運動量をスラスタ駆動演算部2
3に入力し、ホイール3のもつ角運動量がある値を超え
ないようにスラスタ22を駆動して、ホイール3のもつ
角運動量を放出するような制御動作が同時に行われる。
人工衛星の姿勢制御装置は、スラスタ22を用いて構造
振動に対する加振を行うので、人工衛星本体1に対する
トルク入力が比較的大きくなって、加振中に人工衛星本
体1に比較的大きな姿勢角速度を生じ、人工衛星本体1
の安全面で問題があった。また、スラスタ22で発生す
るトルクの大きさは必ずしも明確にはわからないので、
人工衛星の動特性のうち、構造振動の振動数や減衰係数
は推定することができても、姿勢制御系の設計にとって
やはり重要なパラメータである人工衛星の慣性モーメン
トについては明確にはならないという問題点があった。
放出する際には、ホイール3以外に別のアクチュエータ
をさらに必要とし、別のアクチュエータとしてスラスタ
22を用いる場合には、角運動量を放出するために推薬
を必要とするという問題点があった。
なされたもので、加振による構造振動の励起を低く抑え
て、人工衛星の姿勢変動の少ない安全なパラメータ推定
を行うとともに、姿勢制御にとって必要となる慣性モー
メントの推定も同時に行うことのできる人工衛星の姿勢
制御装置を得ることを目的としている。
される角運動量が許容値を超えるような外乱が作用する
場合にも、別のアクチュエータを必要とすることなく、
人工衛星の姿勢を傾けるだけでホイールの角運動量を放
出することのできる人工衛星の姿勢制御装置を提供する
ことを目的としている。
の姿勢制御装置は、ホイールを用いて人工衛星の姿勢を
制御する人工衛星の姿勢制御装置において、人工衛星の
姿勢角または姿勢角速度をフィードバックして人工衛星
の姿勢を制御するためのホイール駆動信号を発生する姿
勢制御演算部と、上記姿勢制御演算部からのホイール駆
動信号に擾乱を加えて上記ホイールに与えるための擾乱
信号発生器と、人工衛星の姿勢角または姿勢角速度信号
の高周波成分を除去する低域通過フィルタと、上記擾乱
信号発生器による擾乱が加えられたホイール駆動信号と
上記低域通過フィルタを介した人工衛星の姿勢角または
姿勢角速度信号とに基づいて人工衛星の動特性を推定す
る動特性推定器とを備えたことを特徴とするものであ
る。
発生器による擾乱が加えられたホイール駆動信号と上記
低域通過フィルタを介した人工衛星の姿勢角または姿勢
角速度信号とを用いて人工衛星の入出力伝達関数を推定
し、その入出力伝達関数の低周波特性から人工衛星の慣
性モーメントを推定すると共に、入出力伝達関数の共振
特性から構造振動の振動数と減衰係数とを推定すること
を特徴とするものである。
装置は、ホイールを用いて人工衛星の姿勢を制御する人
工衛星の姿勢制御装置において、ホイールの角運動量が
放出されるように人工衛星の姿勢角目標値を設定する姿
勢角目標値設定部と、人工衛星の姿勢角または姿勢角速
度をフィードバックして上記姿勢角目標値設定部の出力
との誤差が零となるように人工衛星の姿勢制御を行い上
記ホイールにホイール駆動信号を与える姿勢制御演算部
とを備えたことを特徴とするものである。
星の軌道運動中の適切な区間において、ある定められた
角度に人工衛星の姿勢角目標値を設定することを特徴と
するものである。
星全体の軌道座標系における慣性乗積を設定する慣性乗
積設定部と、当該慣性乗積設定部から与えられた慣性乗
積を実現する姿勢角を求める姿勢角算出部と、入力され
る軌道回転角の値によって上記姿勢角算出部からの姿勢
角とそれ以外の姿勢角とを切り換えて姿勢角目標値とし
て出力する目標値切換部とを備えたことを特徴とするも
のである。
外乱予測値と人工衛星の慣性モーメント及び軌道回転角
に基づいて人工衛星全体の軌道座標系における慣性乗積
を設定することを特徴とするものである。
星の軌道運動中の適切な区間において、人工衛星の有す
る角運動量をフィードバックして人工衛星の姿勢角目標
値を設定することを特徴とするものである。
星全体の軌道座標系における角運動量の値を求める角運
動量演算部と、当該慣性乗積設定部からの出力に応じた
慣性乗積を実現する姿勢角を求める姿勢角算出部と、入
力される軌道回転角の値によって上記姿勢角算出部から
の姿勢角とそれ以外の姿勢角とを切り換えて姿勢角目標
値として出力する目標値切換部とを備えたことを特徴と
するものである。
人工衛星の慣性モーメントと慣性乗積に基づいて姿勢角
を求めることを特徴とするものである。
実施の形態1を図について説明する。図1は実施の形態
1に係る人工衛星の姿勢制御装置の構成を示すブロック
図である。図1において、1は人工衛星本体、2は人工
衛星本体1の姿勢制御のための演算を行う姿勢制御演算
部、3は人工衛星本体1の姿勢制御を行うアクチュエー
タであるホイール、4は姿勢制御演算部2の出力に加え
るべき擾乱信号を発生させる擾乱信号発生器、5は人工
衛星本体1の姿勢角速度または姿勢角信号の高周波成分
を除去するための低域通過フィルタ、6はホイール駆動
信号と低域通過フィルタ5の出力から人工衛星本体1の
動特性を推定する動特性推定器である。
1には姿勢の自由度としてロール・ピッチ・ヨーの3軸
があるが、動特性の推定は通常各軸毎に行われる。以
下、その各々の軸における動作を説明する。人工衛星本
体1の姿勢制御は、通常、姿勢角または姿勢角速度をフ
ィードバックしてホイール3に対する駆動信号を発生す
ることで行われる。このとき用いられるのはPD(比例
微分)制御が基本であるが、この制御演算を行うのが姿
勢制御演算部2の働きである。人工衛星本体1の動特性
の推定を行う場合には姿勢制御演算部2の出力に擾乱信
号発生器4の出力を加えてホイール3の駆動信号とす
る。
M系列(0と1の2値のランダム値を発生する信号)な
どを利用して発生させるが、平均値がほぼ0となり、大
きさがホイール3の駆動トルクの制限内に入るように調
整する。このことによって、人工衛星本体1の姿勢は姿
勢制御演算部2の働きでほぼ0(目標値)となるが、擾
乱信号の影響でわずかに変動することになる。このわず
かな変動分を姿勢角速度または姿勢角の形で検出して低
域通過フィルタ5に入力する。
2によって説明する。ホイール3の駆動トルクはあまり
大きくはないので、これに加えられる擾乱信号の大きさ
も限られたものとなる。したがって、人工衛星本体1の
大きさにもよるが、大型の場合には本体の姿勢角速度の
変動はごくわずかになる。このことは、人工衛星本体1
の安全面から言えば望ましいことではあるが、動特性推
定の面からは検出される信号の大きさが限られるので精
度の劣化を招く。
すシミュレーション計算例が示された図2を用いて説明
する。図2の上段の図は、ホイール3に擾乱信号を加え
た場合の人工衛星本体1の角速度のシミュレーション結
果である。この角速度は微小なので、これをジャイロの
ような角速度センサで検出しようとすると、特にセンサ
の分解能が問題になる。図2の中段の図は、姿勢角速度
センサの検出値の例であり、この図に示すようにセンサ
分解能の関係で離散的な値をとることになる。
り異なることからもわかるように、人工衛星本体1の精
度の良い動特性推定はできない。そこで、この姿勢角速
度センサの検出値を低域通過フィルタ5に入力する。そ
の出力を図2の下段の図に示す。この図ではセンサ分解
能に基づく信号の高周波成分が除去されて、図2の上段
の図に近い出力が得られており、低域通過フィルタ5の
働きでセンサの分解能による精度劣化を回復できること
がわかる。また、この低域通過フィルタ5にはセンサの
雑音成分を取り除く効果も同時に期待できる。
過フィルタ5で通過させる周波数の上限値が姿勢角速度
センサのサンプリング周波数に比べて十分に低いからで
ある。たとえば図2の例では10倍以上の開きがある。
ール3の駆動信号を動特性推定器6に入力すると、人工
衛星本体1の、ホイール3を入力とし姿勢角速度を出力
とするような入出力伝達関数を推定することができる。
この場合、入出力伝達関数を推定できる周波数の上限は
低域通過フィルタ5で通過させた周波数までである。し
たがって、動特性推定器6ではあまり高いサンプリング
周波数でデータを扱う必要はない。サンプリング定理の
要請からは低域通過フィルタ5の上限となる周波数の2
倍以上あれば、低域通過フィルタ5の上限となる周波数
までは再現することができる。
星上におき、動特性推定器6を地上におく場合に、テレ
メトリデータのサンプリング周波数を低域通過フィルタ
5の上限となる周波数に整合させてある程度低く抑えら
れることを意味している。すなわち、人工衛星での処理
はセンサ分解能等による信号の劣化を回復するためにあ
る程度高速である必要があるが、テレメトリデータのサ
ンプリング周波数もその処理にあわせて高速である必要
はなく、テレメトリデータの容量にあわせてある程度間
引くことが可能である。
センサを用いる場合を述べたが、姿勢角速度センサを積
分して姿勢角を得る場合のように、姿勢角がある程度高
速かつ高分解能に得られる場合には姿勢角センサを用い
てもよく、本実施の形態と同様の効果を奏する。
ついて説明する。図3は実施の形態2に係る動特性推定
器の働きを示すフローチャートである。
実施の形態2に係る動作について説明する。動特性推定
器6には、ST1においてホイール駆動信号が入力さ
れ、また、ST2において姿勢角速度センサの検出値を
低域通過フィルタ5に通した出力値が入力される。次
に、ST3において人工衛星本体1のホイール駆動信号
から姿勢角速度までの入出力伝達関数を推定する。入出
力のデータ列からその間の入出力伝達関数を推定するに
は種々の方法があるが、代表的なものとして予測誤差法
があり、入出力伝達関数に入力を通した結果がすでに得
られている出力と近づくように入出力伝達関数を推定す
る。
この低周波特性を取り出す。これは入出力伝達関数にお
いて構造振動の影響をほとんど受けないような低い周波
数帯域を、たとえば周波数をパラメータにとって求める
ことである。この周波数特性は、ホイール駆動信号がト
ルクの次元をもちセンサ検出量が角速度であれば、人工
衛星本体1の慣性モーメントをjとして1/js(sは
周波数に対応するラプラス変換のパラメータ)で近似で
きる。
数の周波数特性が、得られた入出力伝達関数の低周波特
性に近づくようにjの値を決める。この値を決めるため
には、最小二乗推定などが用いられる。ST6において
ST5で推定されたjの値をもって人工衛星本体1の慣
性モーメントの推定値とする。この慣性モーメントの推
定値は、ホイール3による姿勢制御に用いられるもので
あり、スラスタを加振に用いる場合には推定することが
困難であった量である。
共振特性を取り出す。これはたとえば入出力伝達関数の
周波数特性を図示した際に、ピークをもつ部分に対応す
る部分的な伝達関数を求めることである。実際には、S
T8に示すように、その分母項s2+2ζωs+ω2(ω
は構造振動の振動数、ζは構造振動の減衰係数)が重要
であり、それだけを抽出すればよい。入出力伝達関数に
おいて共振特性を示す部分の分母項が求められれば、そ
れからST9において構造振動の振動数ωと減衰係数ζ
を推定することができる。
センサを用いる場合を述べたが、姿勢角速度センサを積
分して姿勢角を得る場合のように姿勢角がある程度高速
かつ高分解能に得られる場合には姿勢角センサを用いて
もよく、本実施の形態と同様の効果を奏する。
ついて説明する。図4は実施の形態3に係る人工衛星の
姿勢制御装置の構成を示すブロック図である。図4にお
いて、図1と同一または相当部分については同一符号を
付し説明を省略する。新たな符号として、7は人工衛星
本体1の姿勢角の目標値を設定するための姿勢角目標値
設定部である。
1が姿勢制御を行う場合、通常は、人工衛星本体1の姿
勢角と姿勢角速度をフィードバックして、姿勢角目標値
設定部7の出力である姿勢角目標値との誤差を求め、こ
れが0となるように姿勢制御演算部2でPD(比例微
分)制御などの姿勢制御演算を行い、この結果に基づい
てホイール3を駆動し、ホイール3の駆動トルクの反作
用トルクを利用して姿勢制御を行う。
乱トルクによっては、人工衛星全体のもつ角運動量(人
工衛星本体1の角運動量とホイール3の角運動量の合
計)を一方向に増大させる場合があり、この角運動量は
姿勢制御の結果としてホイール3の角運動量として蓄積
されることになるので、ホイール3の角運動量が許容値
を越えることがある。この角運動量は、人工衛星本体1
の姿勢角の目標値を姿勢角目標値設定部7で適切な角度
に設定することにより放出させることが可能である。以
下にこれを説明する。
標系との関係を示す図である。図5に示すように、人工
衛星本体1が天体の回りを軌道運動で周回するとき、人
工衛星全体の質量中心を原点にもち、天体中心方向をz
軸、軌道面垂直方向をy軸とするような軌道座標系x0
y0z0が定義される。このとき、z0軸は人工衛星本
体1の天体の回りの軌道運動にともなって変動するが、
このような変動のない、宇宙空間に固定された慣性座標
系xIyIzIを定義し、y0軸はyI軸と向きが一致
するものとする。さらに、人工衛星本体1に固定された
座標系として機体座標系xByBzBを定義する。人工
衛星本体1の姿勢角とは軌道座標系と機体座標系の向き
の違いを表すパラメータである。軌道回転角θはエポッ
ク時刻から測った人工衛星の回転角で軌道上の衛星の位
置を表す。
かう単位ベクトルをRとし、人工衛星全体の慣性マトリ
クスをJとすると、人工衛星本体1が天体の回りを円軌
道運動する場合には人工衛星本体1が天体から受ける重
力傾度トルクベクトルは次式(1)で表される。 重力傾度トルクベクトル=3*ω2*R×(J*R) ・・・(1)
を回転する軌道角速度、ω2は軌道角速度ωの二乗、×
はベクトル積である。人工衛星全体のもつ角運動量をH
とすると、Hの慣性座標系における時間変化は、人工衛
星全体に加わるトルク成分に等しいから、人工衛星全体
に加わるトルク成分が主に重力傾度トルクである場合
に、これを表せば式(2)のようになる。 dH/dtI=3*ω2*R×(J*R) ・・・(2)
つ角運動量Hの慣性座標系における時間微分である。ベ
クトルRは軌道座標系で表現すると式(3)のようにな
る。 R=[ 0 0 1 ] ・・・(3)
現して、その(i、j)成分をJijとする。このと
き、式(1)の重力傾度トルクベクトルは式(4)のよ
うに軌道座標系における成分で表現することができる。 3*ω2*R×(J*R)=3*ω2*[−J23、J13、0]・・・(4)
体のもつ角運動量HをJ13とJ23によって制御でき
ることがわかる。J13とJ23は人工衛星全体の慣性
マトリクスを軌道座標系で表したときの非対角成分であ
り、これを慣性乗積と呼ぶ。人工衛星全体の慣性マトリ
クスは機体座標系で表現すると人工衛星本体1の姿勢角
によらずに一定値をとるが、軌道座標系で表すと、人工
衛星本体1の姿勢角の関数となる。
切に設定することにより、慣性乗積J13とJ23を望
ましい値にして、人工衛星全体のもつ角運動量Hを制御
することができる。この角運動量は、主にホイール3に
蓄積された角運動量であるから、人工衛星本体1の姿勢
角の目標値を姿勢角目標値設定部7で適切な角度に設定
することにより、ホイール3の角運動量を放出させるこ
とが可能になる。
運動を行う場合を示したが、人工衛星の軌道が楕円の場
合であっても、姿勢角の設定によって重力傾度トルクを
望ましい値にしてホイール3の角運動量を放出させるこ
とは可能であり、円軌道の場合と同様の効果がある。
ついて説明する。図6は実施の形態4に係る姿勢角目標
値設定部7の構成図である。図6において、8は与えら
れた慣性乗積を実現する姿勢角を求める姿勢角算出部、
9は軌道回転角θの値によって姿勢角目標値を切り換え
る目標値切換部、10は人工衛星全体の軌道座標系にお
ける慣性乗積を設定する慣性乗積設定部である。
の角運動量を重力傾度トルクベクトルを用いて制御する
には、式(4)において示したように、人工衛星全体の
慣性マトリクスを軌道座標系で表したときの慣性乗積J
13とJ23を適切な値に設定する必要がある。ここで
は、人工衛星全体の角運動量をフィードバックせずに姿
勢角目標値を求める場合について述べる。この場合、人
工衛星本体1に加わる通常時の外乱トルクが予測できれ
ば、式(4)によって、人工衛星本体1が軌道一周期中
においてある適当な軌道回転角θをとるときを対象に、
人工衛星全体の角運動量を望ましい値にするような慣性
乗積J13とJ23の値を求めることができる。
慣性乗積設定部10の働きである。この慣性乗積を支配
するのは、おもに人工衛星全体の慣性マトリクスを機体
座標系で表したときの対角成分(これを慣性モーメント
と呼ぶ)と人工衛星本体1の姿勢角であるが、慣性モー
メントの値によっては設定できる慣性乗積の値に限界が
あり、どんな慣性乗積の値でもとれるわけではない。慣
性乗積設定部10では慣性乗積のとりうる値を考慮して
その設定を行う。姿勢角算出部8においては、慣性乗積
設定部10の結果から、その慣性乗積を実現するような
人工衛星本体1の姿勢角を求める。慣性乗積設定部10
において、実現可能な慣性乗積だけを出力するようにし
ているので、姿勢角算出部8では慣性乗積を実現するよ
うな姿勢角が必ず得られる。
8の出力を人工衛星本体1の姿勢角目標値として重力傾
度トルクによりホイール3の角運動量を放出させる場合
と、それ以外の通常の姿勢角目標値を出力する場合と
を、軌道回転角θの値によって切り換える。人工衛星全
体に加わる外乱が小さければ、人工衛星本体1にホイー
ル3の角運動量を放出させるような姿勢をとらせるタイ
ミングは短くてもよいが、外乱が比較的大きな場合に
は、軌道運動中の長い時間にわたってホイール3の角運
動量を放出させる姿勢をとらせる必要が生じる。このよ
うな姿勢角目標値の切り換えを行うのが目標値切換部9
である。
ル3の角運動量を放出させるような姿勢をとらせる場合
と、通常の姿勢をとらせる場合とを切り換える場合を示
したが、必ずしも軌道一周期中に切り換える必要はな
く、外乱の大きさと整合していれば、たとえば数周回に
一回だけホイール3の角運動量を放出させるような姿勢
をとらせたとしても同様の効果がある。
ついて説明する。図7は実施の形態5に係る姿勢角目標
値設定部7の構成図である。図7において、図6と同一
または相当部分については同一符号を付し説明を省略す
る。新たな符号として、11は人工衛星全体の軌道座標
系における角運動量の値を求める角運動量演算部であ
る。
の角運動量を重力傾度トルクベクトルを用いて制御する
には、式(4)において示したように、人工衛星全体の
慣性マトリクスを軌道座標系で表したときの慣性乗積J
13とJ23を適切な値に設定する必要がある。ここで
は、人工衛星全体の角運動量をフィードバックして姿勢
角目標値を求める場合について述べる。人工衛星全体の
ダイナミクスは式(2)に従うが、これを慣性座標系で
成分毎に表すと次式(5)のようになる。 dHxI/dt=−3*ω2*J23 *cosθ dHyI/dt= 3*ω2*J13 ・・・(5) dHzI/dt=−3*ω2*J23 *sinθ
を慣性座標系で表現してHxI、HyI、HzIとし、
dHxI/dt、dHyI/dt、dHzI/dtはそれ
ぞれその時間微分である。また、θは、図5に示すよう
に、人工衛星本体1の軌道回転角であり、θ=0におい
て慣性座標系と軌道座標系は向きが一致するものとす
る。式(5)よりHxI、HzIの2成分を減衰させる
ためには、たとえばJ23をつぎのように設定すればよ
い。 J23=k1*(HxI*cosθ+HzI*sinθ) ・・・(6)
23を式(6)のように設定するとき、これを式(5)
に代入して軌道一周期において平均化操作をとれば、H
xIとHzIの2成分の減衰がわかる。式(6)の右辺
のかっこ内は人工衛星全体の角運動量Hを軌道座標系で
表現したときのx成分に対応しており、図7においては
Hxと表記している。また、式(5)よりHyIを減衰
させて軌道角速度の影響分(これをHy0とする)だけ
にするには、たとえばJ13をつぎのように設定すれば
よい。 J13=k2*(HyI−Hy0) ・・・(7)
道座標系と慣性座標系のy成分の値は等しくなるので、
HyIは人工衛星全体の角運動量Hを軌道座標系で表現
したときのy成分に等しく、図7においてはHyと表記
している。このように人工衛星全体の角運動量をフィー
ドバックして減衰させるには、角運動量の軌道座標系で
の成分を求めることが、まず必要となる。角運動量演算
部10の働きはこの成分を求めることであり、人工衛星
本体1の姿勢角・姿勢角速度とホイール3の角運動量か
ら人工衛星全体の角運動量の機体座標系での成分を求め
て、これを座標変換して軌道座標系での成分を得る。
に、慣性乗積J13とJ23の設定値が得られれば、姿
勢角算出部8において、これを姿勢角に変換し、目標値
切換部9において、重力傾度トルクによってホイール3
の角運動量を放出する必要のある場合に、軌道回転角θ
の値を参照して、姿勢角算出部8の出力を姿勢角目標値
とする。ホイール3の角運動量を放出する必要のない場
合は、通常の姿勢角目標値を出力する。
転角θにより、ホイール3の角運動量を放出させるよう
な姿勢をとらせる場合と、通常の姿勢をとらせる場合と
を切り換える場合を示したが、必ずしも軌道一周期中に
切り換える必要はなく、ホイール3に蓄積された角運動
量を参照して、たとえば数周回に一回だけホイール3の
角運動量を放出させるような姿勢をとらせたとしても同
様の効果がある。
は式(6)と式(7)に限られるものではなく、たとえ
ば角運動量を軌道座標系で表現したときのx成分Hxの
代わりに、z成分Hzを積分して与えても、またHzの
積分とHxを適当に組み合わせても同様の効果が得られ
る。さらに、人工衛星本体1の角速度が小さければ、人
工衛星全体の角運動量の代わりにホイール3のもつ角運
動量を用いても同様の効果が得られる。
衛星の姿勢制御信号に擾乱信号を加えてホイール駆動信
号とすることによって、ホイールによる姿勢制御中にも
わずかな構造振動を励起させるようにし、このときの運
動を人工衛星の姿勢角速度または姿勢角として検出し
て、その高周波成分を低域通過フィルタで除去すること
により信号の不連続性や雑音を取り除くように構成した
ので、加振中にも人工衛星は姿勢を大きく乱すことな
く、かつホイールを用いる姿勢制御系にとって必要な、
ホイールを入力とするときの人工衛星本体の動特性を推
定できるという効果がある。
動信号と人工衛星の姿勢角速度または姿勢角を低域通過
フィルタに通した出力とから、人工衛星本体の入出力伝
達関数を求め、この入出力伝達関数をさらに周波数領域
で分離して、その低周波特性から人工衛星本体の慣性モ
ーメントを推定し、共振特性から構造振動の振動数や減
衰係数を推定するように構成したので、構造振動の特性
だけでなく、スラスタを加振に用いる場合には困難であ
った人工衛星本体の慣性モーメントも同時に推定するこ
とができるという効果がある。
て、人工衛星に働く重力傾度トルクにより、ホイールの
角運動量が放出されるように姿勢角目標値を設定したの
で、この重力傾度トルクに抗してホイールを用いて人工
衛星の姿勢制御を行わせることにより、別個のアクチュ
エータを用いないでも、ホイールに蓄積された角運動量
が放出される効果がある。
星の軌道運動中の適切な区間において、あらかじめ定め
た方向に人工衛星の姿勢角目標値を設定して、その区間
で人工衛星に作用する重力傾度トルクがホイールに蓄積
された角運動量を減少させる方向に働くようにしたの
で、この区間で人工衛星が姿勢角目標値を保つように姿
勢制御を行うことにより、ホイールに蓄積された角運動
量は放出される効果がある。
工衛星全体の軌道座標系における慣性乗積を設定する慣
性乗積設定部と、当該慣性乗積設定部から与えられた慣
性乗積を実現する姿勢角を求める姿勢角算出部と、入力
される軌道回転角の値によって上記姿勢角算出部からの
姿勢角とそれ以外の姿勢角とを切り換えて姿勢角目標値
として出力する目標値切換部とを備えたので、人工衛星
の姿勢角目標値を適切に設定することができるという効
果がある。
外乱予測値と人工衛星の慣性モーメント及び軌道回転角
に基づいて人工衛星全体の軌道座標系における慣性乗積
を設定するようにしたので、慣性乗積を適切に設定する
ことができるという効果がある。
において、人工衛星全体の有する角運動量をフィードバ
ックしてこれを減少させる方向に人工衛星の姿勢角目標
値を設定するようにしたので、人工衛星がこの姿勢角目
標値を保つように姿勢制御を行うことにより、ホイール
に蓄積された角運動量は放出される効果がある。
工衛星全体の軌道座標系における角運動量の値を求める
角運動量演算部と、当該慣性乗積設定部からの出力に応
じた慣性乗積を実現する姿勢角を求める姿勢角算出部
と、入力される軌道回転角の値によって上記姿勢角算出
部からの姿勢角とそれ以外の姿勢角とを切り換えて姿勢
角目標値として出力する目標値切換部とを備えたので、
人工衛星の姿勢角目標値を適切に設定することができる
という効果がある。
人工衛星の慣性モーメントと慣性乗積に基づいて姿勢角
を求めるようにしたので、与えられた慣性乗積を実現す
る姿勢角を求めることができるという効果がある。
勢制御装置の構成を示すブロック図である。
レーション計算例の説明図である。
の働きを示すフローチャートである。
勢制御装置の構成を示すブロック図である。
道座標系の関係を示す説明図である。
設定部の構成を示すブロック図である。
設定部の構成を示すブロック図である。
装置を示すブロック図である。
星の姿勢制御装置を示すブロック図である。
ル、4 擾乱信号発生器、5 低域通過フィルタ、6
動特性推定器、7 姿勢角目標値設定部、8 姿勢角算
出部、9 目標値切換部、10 慣性乗積設定部、11
角運動量演算部。
Claims (9)
- 【請求項1】 ホイールを用いて人工衛星の姿勢を制御
する人工衛星の姿勢制御装置において、 人工衛星の姿勢角または姿勢角速度をフィードバックし
て人工衛星の姿勢を制御するためのホイール駆動信号を
発生する姿勢制御演算部と、 上記姿勢制御演算部からのホイール駆動信号に擾乱を加
えて上記ホイールに与えるための擾乱信号発生器と、 人工衛星の姿勢角または姿勢角速度信号の高周波成分を
除去する低域通過フィルタと、 上記擾乱信号発生器による擾乱が加えられたホイール駆
動信号と上記低域通過フィルタを介した人工衛星の姿勢
角または姿勢角速度信号とに基づいて人工衛星の動特性
を推定する動特性推定器とを備えたことを特徴とする人
工衛星の姿勢制御装置。 - 【請求項2】 上記動特性推定器は、上記擾乱信号発生
器による擾乱が加えられたホイール駆動信号と上記低域
通過フィルタを介した人工衛星の姿勢角または姿勢角速
度信号とを用いて人工衛星の入出力伝達関数を推定し、
その入出力伝達関数の低周波特性から人工衛星の慣性モ
ーメントを推定すると共に、入出力伝達関数の共振特性
から構造振動の振動数と減衰係数とを推定することを特
徴とする請求項1に記載の人工衛星の姿勢制御装置。 - 【請求項3】 ホイールを用いて人工衛星の姿勢を制御
する人工衛星の姿勢制御装置において、 ホイールの角運動量が放出されるように人工衛星の姿勢
角目標値を設定する姿勢角目標値設定部と、 人工衛星の姿勢角または姿勢角速度をフィードバックし
て上記姿勢角目標値設定部の出力との誤差が零となるよ
うに人工衛星の姿勢制御を行い上記ホイールにホイール
駆動信号を与える姿勢制御演算部とを備えたことを特徴
とする人工衛星の姿勢制御装置。 - 【請求項4】 上記姿勢角目標値設定部は、人工衛星の
軌道運動中の適切な区間において、ある定められた角度
に人工衛星の姿勢角目標値を設定することを特徴とする
請求項3に記載の人工衛星の姿勢制御装置。 - 【請求項5】 上記姿勢角目標値設定部は、人工衛星全
体の軌道座標系における慣性乗積を設定する慣性乗積設
定部と、当該慣性乗積設定部から与えられた慣性乗積を
実現する姿勢角を求める姿勢角算出部と、入力される軌
道回転角の値によって上記姿勢角算出部からの姿勢角と
それ以外の姿勢角とを切り換えて姿勢角目標値として出
力する目標値切換部とを備えたことを特徴とする請求項
4に記載の人工衛星の姿勢制御装置。 - 【請求項6】 上記慣性乗積設定部は、与えられる外乱
予測値と人工衛星の慣性モーメント及び軌道回転角に基
づいて人工衛星全体の軌道座標系における慣性乗積を設
定することを特徴とする請求項5に記載の人工衛星の姿
勢制御装置。 - 【請求項7】 上記姿勢角目標値設定部は、人工衛星の
軌道運動中の適切な区間において、人工衛星の有する角
運動量をフィードバックして人工衛星の姿勢角目標値を
設定することを特徴とする請求項3に人工衛星の姿勢制
御装置。 - 【請求項8】 上記姿勢角目標値設定部は、人工衛星全
体の軌道座標系における角運動量の値を求める角運動量
演算部と、当該慣性乗積設定部からの出力に応じた慣性
乗積を実現する姿勢角を求める姿勢角算出部と、入力さ
れる軌道回転角の値によって上記姿勢角算出部からの姿
勢角とそれ以外の姿勢角とを切り換えて姿勢角目標値と
して出力する目標値切換部とを備えたことを特徴とする
請求項7に記載の人工衛星の姿勢制御装置。 - 【請求項9】 上記姿勢角算出部は、与えられる人工衛
星の慣性モーメントと慣性乗積に基づいて姿勢角を求め
ることを特徴とする請求項5ないし8のいずれかに記載
の人工衛星の姿勢制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10675599A JP3383235B2 (ja) | 1999-04-14 | 1999-04-14 | 人工衛星の姿勢制御装置 |
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JP3383235B2 JP3383235B2 (ja) | 2003-03-04 |
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ID=14441740
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CN117922850A (zh) * | 2024-03-20 | 2024-04-26 | 哈尔滨工业大学 | 自旋探测卫星的姿态控制方法 |
-
1999
- 1999-04-14 JP JP10675599A patent/JP3383235B2/ja not_active Expired - Fee Related
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