JP2000296598A - 平版印刷版の製版方法 - Google Patents

平版印刷版の製版方法

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JP2000296598A
JP2000296598A JP10755399A JP10755399A JP2000296598A JP 2000296598 A JP2000296598 A JP 2000296598A JP 10755399 A JP10755399 A JP 10755399A JP 10755399 A JP10755399 A JP 10755399A JP 2000296598 A JP2000296598 A JP 2000296598A
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Hideaki Ishiguro
秀明 石黒
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Mitsubishi Paper Mills Ltd
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  • Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】平版印刷原版の製版技術において、高解像性を
有する画像を得ることができ、かつレーザによる直接描
画方法に対応し、また特に明室下でも画像を得ることが
でき、印刷開始時の汚れを発生させない優れた平版印刷
原版の製版方法を提供すること。 【解決手段】支持体上に少なくとも親水性層を有し、該
親水性層上に銀薄膜層を設置してなる平版印刷原版を、
レーザ露光により銀薄膜層を加熱して前記親水性層を露
出させ、拭き取り液にて露光後の版面を拭き取る平版印
刷版の製版方法において、拭き取り液に銀を溶解する成
分が含まれていることを特徴とする平版印刷版の製版方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、明室下にて取扱が
でき、ヒートモードのレーザ描画が可能な平版印刷版の
製版方法に関する。
【0002】
【従来の技術】平版印刷版は、油脂性のインキを受理す
る親油性の画像部分と、インキを受理しない撥油性の非
画像部分からなり、一般に非画像部分は水を受け付ける
親水性部分から構成されている。通常の平版印刷では、
水とインキの両方を版面に供給し、画像部はインキを、
非画像部は水を選択的に受け入れ、画像部上のインキを
例えば紙等の被印刷体に転写させることによって印刷が
なされる。
【0003】現在、平版印刷版は表面を親水化処理した
アルミニウム板、亜鉛板、紙等の基材上に親油性のイン
ク受理層を設けることにより製造される。これらの中で
は、PS版と呼ばれる表面を親水性処理したアルミベー
ス上にジアゾ化合物やフォトポリマー等の感光材料を用
いたものや、紙やプラスチック支持体上にハロゲン化銀
を感光材料として銀錯塩拡散転写法(DTR法)を利用
し画像形成するものなどが一般的である。
【0004】ジアゾ化合物やフォトポリマーによってイ
ンク受理層(以降画像層という)を形成する方法は、ま
ず金属板、紙、積層板、絶縁性基板等の基材上にジアゾ
化合物やフォトポリマー等の感光材料を塗布する。次い
で、光を照射して感光材料に化学変化を生じさせて、現
像液に対する溶解性を変化させる。感光材料は化学変化
の種類によって二つに分類される。光が照射された部分
が重合・硬化して、現像液に対して不溶性になるネガ型
と、逆に光が照射された部分の官能基が変化して、現像
液に対する溶解性を有するようになるポジ型である。何
れの場合にも、現像液による処理後に基材上に残存す
る、現像液に不溶の感光材料が画像層となる。
【0005】一方、DTR法を用いた平版印刷版、特に
ハロゲン化銀乳剤層の上に物理現像核層を有する平版印
刷版は、例えば、米国特許第3,728,114号、同
第4,134,769号、同第4,160,670号、
同第4,336,321号、同第4,501,811
号、同第4,510,228号、同第4,621,04
1号明細書等に記載されており、露光されたハロゲン化
銀結晶は、DTR現像により化学現像を生起し黒色の銀
となり親水性の非画像部を形成し、一方、未露光のハロ
ゲン化銀結晶は現像液中の錯化剤により銀塩錯体になっ
て表面の物理現像核層まで拡散し、核の存在により物理
現像を生起してインキ受容性の物理現像銀を主体とする
画像部を形成する。また、砂目立てされ陽極酸化された
アルミベースの支持体上に、物理現像核層、ハロゲン化
銀乳剤層を順次塗布した平版印刷版については、例え
ば、特開昭63−260491号、特開平3−1161
51号、同4−282295号公報等に記載されてお
り、上記平版印刷版を像露光し、DTR現像した後、ハ
ロゲン化銀乳剤層を温水で洗浄して、陽極酸化されたア
ルミベース上に物理現像銀を主体とする画像部を形成す
る。
【0006】これらの印刷版を製版するための製版工程
は、従来は、文字や画像・写真原稿から、中間フィルム
や版下を作製し、これらを集版して、露光用フィルムを
作製し、次いで紫外光又は白色光を使用した密着露光方
法を行うのが主流であった。また、版下を貼り合わせる
ことにより、完全版下を作製し、製版カメラで撮影する
方法も用いられていた。しかし、コンピュータの進歩に
伴って、コンピュータ情報からのディジタル信号を露光
装置へと送信(コンピュータ・ツゥ・プレート)し、レ
ーザを用いて直接感光材料を露光するレーザ直接描画方
法が行われることが可能になってきた。レーザ直接描画
方法は、中間に使用される製版フィルムを省略すること
ができるため、コストが安い、速度が速い、多品種少ロ
ット品での生産性が高い等の利点がある。
【0007】このレーザ直接描画方法に対応するために
は、感光材料の光学感度の高いものが好ましい。ジアゾ
化合物やフォトポリマーでは、光化学反応を伴うため
に、光学感度は低く、数〜数百mJ/cm2である。そ
のため、レーザ出力装置が高出力でなければならず、装
置が大きくなったり、コストが高くなるなどの問題があ
った。
【0008】一方、ハロゲン化銀を用いたDTR法によ
り画像形成するものでは、感度は数μJ/cm2であり
簡便な半導体レーザなどでも十分露光可能であるが、逆
に、露光工程を行う前までの保存、基材への塗布工程等
を、暗中もしくはセーフライト下で行わなければならな
いという、製造及び製版作業の効率を著しく悪くする欠
点があった。また、ジアゾ化合物やフォトポリマーにお
いても、室内光や太陽光下でも反応が進行するし、高温
下でも反応性に変化が生じる。さらに、酸素が存在する
と、反応の阻害剤となる。したがって、露光及び現像前
までは同様に暗室処置や低酸素状態での保存が必要とな
っていた。
【0009】さらに、上述の画像形成方法では、現像液
を用いる等の液体処理を行うことが一般的であり、廃液
の処理が環境問題となっているという欠点があった。1
995年より廃液の海洋投棄が禁止され、処理の無廃液
化・ドライ化は時代の要請となっている。
【0010】このような要請に答えるものとして、親水
性表面を有する支持体上に親油性金属薄膜を設け、この
親油性金属薄膜を高出力のヒートモードのレーザを照射
して、熱を与え除去することにより、画像形成を行う方
式の印刷版が提案されてきた。例えば、特開平10−1
80976号公報に記載された、親水性層を有する支持
体上にDTR現像により銀薄膜を形成させた印刷原版を
ヒートモードのレーザ露光を行うことにより、現像処理
を行うことなく、製版することができる。また、特開平
7−1848号公報には、親水性表面を有するか又は親
水性層を設けた支持体上に、金属の銀の層とその上面に
50nm未満の厚さを有する疎水性層を含むヒートモー
ド記録材料が開示されており、ハロゲン化銀乳剤層を塗
布し、DTR現像を行うことにより与えられた印刷原版
をヒートモードのレーザ露光を行うことが開示されてい
る。
【0011】このような印刷原版を作製するため、支持
体上に銀薄膜を形成させる方法には、銀塩拡散転写法が
有効である。第1の方式としては、支持体上に物理現像
核層を設けたものと、銀錯塩のドナーとしてハロゲン化
銀乳剤層を支持体上に塗布したものを物理現像液を通過
させた後、重ね合わせ拡散転写現像することにより、物
理現像核上に銀を析出させ、銀薄膜を形成させる方式が
ある。このようにして銀薄膜を形成する方式を用いるも
のとしては、コピラピッド(商品名、アグファ社製)等
がある。
【0012】第2の方式として、物理現像核層を設けた
支持体上に、銀錯塩のドナーとしてハロゲン化銀乳剤層
を塗布したものを物理現像処理を行い、ハロゲン化銀乳
剤層をウォッシュオフさせ、物理現像核上に銀薄膜を形
成させる方式がある。この方式を用いるものとしては、
シルバーデジプレートSDP−αR(商品名、三菱製紙
社製)、シルバーリスSDB(商品名、イー・アイ・デ
ュポン社製)がある。
【0013】第3の方式として、親水性層を設けた支持
体上に、ハロゲン化銀乳剤層を塗布し、その上層に物理
現像核層を塗布したものを物理現像処理を行い、物理現
像核上に銀薄膜を形成させる方式がある。この方式を用
いるものとしては、シルバーデジプレートSDP−FH
N等(商品名、三菱製紙社製)、セットプリント(商品
名、アグファ社製)がある。
【0014】しかしながら、上記3種の方法ではハロゲ
ン化銀乳剤層の調製に手間がかかる、銀薄膜の調製に暗
室を要する等の問題点を有している。
【0015】第4の方式として、物理現像核層を設けた
支持体を、ハロゲン化銀溶剤よって溶解された銀錯塩、
及び、還元剤を含む液中に浸漬することにより、物理現
像核上に銀薄膜を形成させる方式がある。この方式は、
無電解メッキとして知られている方式でもあり、例え
ば、特公昭42−23745号、同43−12862
号、特開平5−287542号公報に記載されている。
【0016】しかしながら、これらで開示された方法で
は、レーザ露光部の銀膜が完全に除去されずに、印刷の
スタート時に筋状の汚れが発生するといった問題点を有
していた。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、平版
印刷版の製版技術において、明室下で取扱ができ、レー
ザによる直接描画方法に適合し、高解像性を有する画像
を得ることができ、廃液の発生することのなく、また、
優れた印刷性能を有する平版印刷版の製版方法を提供す
ることにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、以下の発明を見い
出した。
【0019】本発明の平版印刷版の製版方法は、支持体
上に少なくとも親水性層を有し、該親水性層上に銀薄膜
層を設置してなる平版印刷原版を、レーザ露光により銀
薄膜層を加熱して前記親水性層を露出させ、拭き取り液
にて露光後の版面を拭き取る平版印刷版の製版方法にお
いて、拭き取り液に銀を溶解する成分を有することを特
徴とするものである。
【0020】レーザ露光は、一つ或いは複数のレーザビ
ームを走査することによって版全面の描画を行うが、レ
ーザビームは通常ガウス分布に近いエネルギー分布を有
しておりビームの裾野部分ではビーム中心部に比べエネ
ルギーが小さい。銀薄膜をレーザ照射によって加熱し除
去するヒートモードの製版方式では、このエネルギー差
の影響を受けやすい。レーザの出力が比較的低い場合や
銀薄膜層の厚みが多い場合には露光後の非画像部におい
て筋状に銀が残存してしまう。これら残存する銀は、除
去されてはいないものの、一旦レーザによって加熱され
ているため、露光されていない部分の銀薄膜層(画像
部)に比べ支持体との接着性はもろくなっており印刷時
には除去される。しかし、印刷の開始時には筋状の汚れ
として印刷汚れを誘発してしまう。露光後に銀を溶解す
る成分が含まれた拭き取り液にて版面を拭き取ることに
よって、非画像部に残存する接着性の低くなった銀を容
易に除去することが可能となり、印刷開始時の汚れを防
止することが可能となる。
【0021】本発明の内、第2の発明である平版印刷版
の製版方法は、前記拭き取り液に親水性ポリマーを含有
することを特徴とするものである。親水性ポリマーを含
有することにより、非画像部の親水化が促進され、印刷
開始時の汚れを防ぐことが可能となる。
【0022】また、本発明の内、第3の発明である平版
印刷版の製版方法は、前記拭き取り液に1〜30重量パ
ーセントの疎水性化合物を含有することを特徴とするも
のである。疎水性化合物を含有することにより、画像部
である銀薄膜層のインキ乗りを向上させることができ
る。
【0023】また、本発明の内、第4の発明である平版
印刷版の製版方法は、前記疎水性化合物が、メルカプト
基及び一つ以上の疎水性置換基を有する疎水性化合物で
あることを特徴とするものである。疎水性化合物が、メ
ルカプト基及び一つ以上の疎水性置換基を有する化合物
であれば、画像部の銀薄膜層表面と相互作用を持ち、イ
ンキ乗りを向上させ、安定化させることができる。
【0024】また、本発明の内、第5の発明である平版
印刷板の製版方法は、前記銀薄膜層が、該支持体上に物
理現像核層を設けた後、銀錯塩拡散転写法を用いて形成
させることを特徴とするものである。
【0025】本発明によれば、所望する画像に従ってレ
ーザにより加熱した後、簡単な後処理のみで平版印刷版
を製版することが可能となる。さらには、平版印刷原版
からの製版工程、及び印刷工程に至るまで明室下での作
業が可能であると共に、明室や酸素下での長期安定保存
が可能である。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、図面を使って、本発明の実
施の形態を説明する。
【0027】本発明に係る平版印刷原版は、支持体上
に、親水性層を有しており、その上に銀薄膜層が設けら
れている。本発明の平版印刷版の製版方法としては、ま
ず、平版印刷原版にレーザにより所望する画像様に照射
を行う(非画像部露光)。ここで、銀薄膜層がレーザ照
射によって除去(アブレーション)され、またはレーザ
露光後、真空引き等の手段で印刷原版上の露光部に残存
する残渣を除去することにより、または銀粒子が粒状化
することにより、非画像部となるべき部分の親水性層を
露出させる。この後、拭き取り液にて版面を拭き取るこ
とによって製版が完了する。その後、平版印刷機に装着
すれば、残存する銀薄膜層の部分にインキが、また露出
した親水性層には水がそれぞれ受理され、印刷が可能と
なる。
【0028】本発明に係わる拭き取り液に含まれる銀を
溶解する成分とは、銀塩写真の技術分野で一般的に使用
される銀溶剤を好適に用いることができる。具体例とし
ては、特開平4−323661号公報に記載のある、
N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチル
エチレンジアミン、N−メチルエチレンジアミン、N−
エチルエチレンジアミン、N−n−プロピルエチレンジ
アミン、N−iso−プロピルエチレンジアミン、N−
n−ブチルエチレンジアミン、2−(2−アミノエチル
アミノ)エタノール、3−(2−アミノエチルアミノ)
プロパン−1−オール、3−(2−アミノエチルアミ
ノ)プロパン−2−オール、N−(2−アミノエチル)
ピロリジン、N−(2−アミノエチル)ピペリジン、N
−(2−アミノエチル)ピラジン、N−(2−アミノエ
チル)モルホリン、2−アミノメチルピペリジン、2−
アミノメチルピリジン、ジエチレントリアミン、トリエ
チレンテトラミン等のエチレンジアミン誘導体、チオサ
リチル酸、4−メチルチオサリチル酸、4−アミノチオ
サリチル酸、5−アセタミドチオサリチル酸等のチオサ
リチル酸誘導体、特開平4−328559号公報、特開
平4−324448号公報に記載のある1,4,5−ト
リメチル−1,3,4−トリアゾリウム−2−チオレー
ト、1,4−ジメチル−5−フェニル−1,3,4−ト
リアゾリウム−2−チオレート、1−ベンジル−4,5
−ジメチル−1,3,4−トリアゾリウム−2−チオレ
ート等のトリアゾリウムチオレート化合物、特開平4−
335350号公報、EP−549831号明細書に記
載のある3−(N,N−ジエチルアミノ)プロパン−
1,2−ジオール等のアミン化合物等が挙げられる。ま
た、チオ硫酸ナトリウムや亜硫酸ナトリウム等の無機材
料も用いることができる。本発明では、露光部に残存す
る銀を除去することが重要であり、すなわちレーザで露
光されない部分(画像部)の銀薄膜と、露光された部分
に残存する(非画像部で露光加熱によって支持体との接
着性が弱くなった)部分との接着性の差を利用して除去
を行うものである。そのため、画像部の銀薄膜に影響を
与えないレベルで拭き取り液を作製することが重要であ
る。
【0029】本発明に係わる拭き取り液に含まれる親水
性ポリマーは、天然物では、マンナン、ペクチン、トラ
ガントガム、カラヤガム、キサンチンガム、グアービン
ガム、ローカストビンガム、アラビアガム等の植物性粘
質物、デキストラン、グルカン、キサンタンガム、およ
びレバンなどのホモ多糖類、サクシノグルカン、プルラ
ン、カードラン、およびザンタンガムなどのヘテロ多糖
等の微生物粘質物等が挙げられる。
【0030】また、半天然物(半合成物)類としては、
セルロース誘導体、カルボキシメチルグアーガム等の変
性ガム、並びにデキストリン等の培焼澱粉類等が挙げら
れる。
【0031】合成品には、ポリビニルアルコール、部分
アセタール化ポリビニルアルコール、アリル変性ポリビ
ニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニ
ルエチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテル等の
変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、ポリア
クリル酸エステル部分けん化物、等のポリアクリル酸誘
導体、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイ
ド、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビ
ニル共重合物等が挙げられる。
【0032】本発明に係わる拭き取り液に含まれる疎水
性化合物としては、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチ
ル等のフタル酸エステル、リン酸トリクレジル等のリン
酸エステル等の公知のオイル類や各種の動物油や植物油
を挙げることが出来る。また、フェニルメルカプトテト
ラゾール等の疎水性基を有するメルカプトテトラゾール
誘導体等も有効である。
【0033】本発明に係わる拭き取り液に含まれる疎水
性化合物の中で、メルカプト基及び一つ以上の疎水性置
換基を有するもの化合物が好ましい。このような疎水性
化合物の例としては、フェニルメルカプトテトラゾール
等のメルカプトテトラゾール誘導体、又は、下記の一般
式1に記載のメルカプトトリアゾール誘導体、下記の一
般式2に記載のメルカプトオキサジアゾール誘導体等が
ある。
【0034】
【化1】
【0035】
【化2】
【0036】式中、R5、R6はアルキル基、アリール基
又はアラルキル基であり、R7は水素原子又はアシル基
である。好ましくは、上記R5、R6が3〜16の炭素原
子を含むアルキル基を表すものである。
【0037】また、このような疎水性化合物としては、
インキ受容性を賦与する化合物も好ましく、例えば特公
昭48−29723号公報、米国特許第3,721,5
59号明細書等に記載されている。
【0038】本発明に係わる平版印刷原版に用いられる
支持体としては、紙、各種フィルム、プラスチック、樹
脂様物質を塗布した紙、金属、これらにポリエステルフ
ィルムや紙を張り合わせたものが使用できる。更に表面
に陽極酸化膜が形成されているオフセット印刷版用アル
ミベースを使用することができる。
【0039】この中で、フィルムの支持体としては、有
機共重合体を塗設し、親水化処理を施したポリエステル
フィルムが好ましい。これには、親水性層との接着性を
増大させる為に表面処理を行った後にポリエステルフィ
ルム上に有機共重合体組成の下引層を設けたものが用い
られる。これらのものは、以下の2つのものがある。 (1) ポリエステルフィルムの膨潤剤或いは溶解剤となる
有機溶剤と有機共重合体とから成る組成物を塗設する方
法(以下溶剤下引法)。例えば米国特許第2,830,
030号、英国特許第772,600号、同776,1
57号、同785,789号明細書、特開昭50−17
18号、同50−8259号公報等がある。 (2) 有機溶剤を実質上含まず有機共重合体の水性組成物
(いわゆるラテックス)の状態で塗設する方法(以下水
性下引法)。例えば特公昭44−13278号、同45
−10988号、特開昭49−11118号、同51−
27918号、同52−114670号、同54−11
177号、同55−67745号、同58−16914
5号、同59−77439号公報等がある。
【0040】(1) の溶剤下引法は、下引工程中のポリエ
ステルフィルムの物性劣化或いは有機溶剤の上記による
作業上の安全衛生や公害の問題などがあるため、(2) の
水性下引法へと移行しつつある。また、接着強化のため
に、0.02〜0.1g/m2のゼラチンの薄層を設け
たものを用いることができる。
【0041】また、アルミベースとしては純アルミニウ
ム及び各種の金属、例えば、珪素、マグネシウム、鉄、
銅、亜鉛、マンガン、クロム、チタン等を少量含むアル
ミニウム合金板が適当である。アルミニウムに含まれる
微量の不純物金属或は任意に添加された少量の金属は電
解により得られる砂目のピットの大きさ、形状、分布に
大きな影響を与え、さらにはアルミニウム板の強度にも
大きな影響を与える。
【0042】上記アルミニウム板はオフセット印刷版用
の支持体とするため、通常、感光層を塗布する前に表面
処理が施される。表面処理では一般に脱脂、粗面化、デ
スマット、陽極酸化の各処理が行われ、アルミニウムの
コイルを用いて連続的に処理される。各処理の後には必
要に応じて水洗が加えられ、乾燥して支持体とされる。
【0043】陽極酸化処理は、脱脂、粗面化、デスマッ
トに続く工程であり、刷版用支持体の陽極酸化処理とし
ては通常多孔性酸化膜を形成させ、表面硬度を著しく向
上させるとともに保水性を確保する。電解液としては硫
酸、蓚酸、クロム酸、燐酸等或はこれらの混合物を電解
液とするのが好ましく、生成酸化膜の溶解性が低い酸が
好ましい。前記変成層は陽極酸化の進行に伴って電解の
起こっているマイクロポア部では溶解して消失するが、
電解が進行しないセル部分の表面には残留している。即
ち、マイクロポア内には前処理の影響は残らないが、陽
極酸化の後工程で前記処理液と同じ処理液で後処理する
場合にはこれらの処理液がマイクロポアの内部まで進入
してマイクロポアを塞ぐのとは大きく異なる。陽極酸化
に際して生成する陽極酸化膜のマイクロポアの大きさは
上記酸の種類によって変化し、マイクロポアの密度は陽
極酸化に際し印加される電圧によって変化する。マイク
ロポアの大きさは通常0.01〜0.1μmである。
【0044】陽極酸化膜は陽極にのみ生成するので、電
流は通常直流電流が使用される。陽極酸化の条件として
は、液濃度1〜40%、電流密度0.1〜10A/dm
2 、電圧10〜100Vの範囲で使用され、電流は直接
給電法或いは間接給電法により供給される。温度は陽極
酸化膜の硬度に影響を与え、低温の方が硬度は高くなる
が、可撓性に劣るため、通常は常温付近の温度で陽極酸
化される。
【0045】本発明において用いられるアルミベースの
陽極酸化膜の厚みは0.6μm以上である。陽極酸化の
厚みは電流密度と時間により変えることができる。0.
6μm未満では、銀錯塩拡散転写法により生成された物
理現像銀からなる銀薄膜とアルミベースの接着強度が低
下し、耐刷性の低下が見られ、また、レーザ露光での銀
膜除去性が低下する。また、処理コストを考慮すれば、
0.6〜3μmが好ましい。
【0046】本発明において用いられるアルミベースに
おいては、その陽極酸化量AW(g/m2)と中心線表
面粗さRa(μm)の比AW/Raが5以上が好まし
い。中心線表面粗さは主として粗面化工程で決まる。比
AW/Raを大きくするにつれ、レーザ露光した際の網
点の均一性が向上する。比AW/Raが5未満の場合、
耐刷性の低下やレーザ露光での網点均一性の低下が見ら
れる。
【0047】例えば、特開平10−244775号公報
に記載されているように、オフセット印刷版用アルミニ
ウム支持体の場合、陽極酸化膜は最終工程である陽極酸
化で形成される酸化膜がそのまま最表面に露出するわけ
ではなく、陽極酸化直前の処理により形成された変成層
が酸化膜の表面に存在していると推定される。これらの
変性層の性質は感光層を塗布する場合に大きな影響を与
えると予想されるが、既存のPS版や、OPC印刷版で
は、通常、感光層は有機溶剤系の塗工で形成されるの
で、これらの変成層の影響が現れることはほとんどな
い。しかし、本発明においては、銀薄膜とアルミ表面の
接着が耐刷性に大きな影響を与える場合には、これらの
変成層の影響が現れる。陽極酸化直前のデスマット処理
等の化学処理は酸性処理液が好ましく、特に硝酸を含む
処理液が好ましい。
【0048】アルミ処理工程については、特開平10−
244775号公報に詳細に記載されており、この中に
記載された方法を用いて、粗面化処理され陽極酸化処理
されたアルミベースが製造される。
【0049】本発明においては、その中でデスマット処
理が重要な工程である。電解粗面化処理されたアルミニ
ウム板帯は充分に水洗されるが、その表面には通常スマ
ットが付着して、水洗のみでは取れず、ピットを塞いで
いる。そのスマットを除去するため、デスマット処理が
施される。デスマット処理ではスマットが溶解し、ピッ
ト面が現われる。その溶解量は前記電解液による処理条
件によって異なるが、0.1〜1g/m2が適当であ
る。
【0050】デスマット処理には、脱脂処理に使用され
る水酸化ナトリウム等のアルカリ剤、或いは燐酸、硫
酸、硝酸、過塩素酸等の酸、或いはそれらの混合物が使
用できるが、それぞれスマット除去能力に違いがあり、
処理液の種類或いはその濃度或いは処理温度によってそ
の除去能力を調整して使用される。デスマット処理が強
すぎる場合には粗面化の工程で形成された凹凸を溶解し
て平坦化させ、また弱すぎる場合にはスマットが残留す
るので好ましくない。残留したスマットは陽極酸化処理
後もそのまま残り、銀薄膜形成時の異常点の原因とな
る。
【0051】酸性処理液によるデスマット処理は好まし
い物理現像銀を生成することのできる表面活性を与え
る。特に硝酸を含有する酸性処理液が物理現像核の形成
能力が高く好ましく、現像された画像銀の接着性もよ
く、従って耐刷力の大きい印刷版をつくることができ
る。酸性処理液でスマットが除去し難い場合は例えばア
ルカリでデスマット後さらに酸性処理液で処理するよう
な2段階処理により、アルカリによるデスマットの影響
の残らないデスマット処理にすることができる。
【0052】また、支持体の裏面には、描画装置などで
の搬送性を考慮してマット剤や帯電防止剤を含む層を設
けても良い。
【0053】本発明に係わる親水性層としては、支持体
としてアルミベースを用いる場合には、陽極酸化膜が親
水性層の役割を果たす。
【0054】支持体として紙、各種フィルム、プラスチ
ック、樹脂様物質を塗布した紙、金属、これらにポリエ
ステルフィルムや紙を張り合わせたものを使用する場合
には、親水性層を形成させることが好ましい。このよう
な親水性層を形成する親水性ポリマーとしては、以下の
例が挙げられ、これらは地汚れ性や耐刷性など印刷性能
を鑑みて2種以上混合して用いることができる。
【0055】天然物では、澱粉類、海藻マンナン、寒天
およびアルギン酸ナトリウム等の藻類から得られるも
の、マンナン、ペクチン、トラガントガム、カラヤガ
ム、キサンチンガム、グアービンガム、ローカストビン
ガム、アラビアガム等の植物性粘質物、デキストラン、
グルカン、キサンタンガム、およびレバンなどのホモ多
糖類、サクシノグルカン、プルラン、カードラン、およ
びザンタンガムなどのヘテロ多糖等の微生物粘質物、に
かわ、ゼラチン、カゼインおよびコラーゲン等のタンパ
ク質、キチンおよびその誘導体等が挙げられる。
【0056】また、半天然物(半合成物)類としては、
セルロース誘導体、カルボキシメチルグアーガム等の変
性ガム、並びにデキストリン等の培焼澱粉類、酸化澱粉
類、エステル化澱粉類等の加工澱粉等が挙げられる。
【0057】合成品には、ポリビニルアルコール、部分
アセタール化ポリビニルアルコール、アリル変性ポリビ
ニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニ
ルエチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテル等の
変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、ポリア
クリル酸エステル部分けん化物、ポリメタクリル酸塩、
及びポリアクリルアマイド等のポリアクリル酸誘導体及
びポリメタクリル酸誘導体、ポリエチレングリコール、
ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ビニ
ルピロリドン/酢酸ビニル共重合物、カルボキシビニル
重合物、スチレン/マレイン酸共重合物、スチレン/ク
ロトン酸共重合物等が挙げられる。
【0058】ゼラチンを親水性層に用いる場合には、ゼ
ラチン硬膜剤で硬化することができる。ゼラチン硬膜剤
としては、例えば、クロム明ばんのような無機化合物、
ホルマリン、グリオキサール、マレアルデヒド、グルタ
ルアルデヒドのようなアルデヒド類、尿素やエチレン尿
素等のN−メチラール化合物、ムコクロル酸、2,3−
ジヒドロキシ−1,4−ジオキサンのようなアルデヒド
類縁化合物、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−S−
トリアジン塩や、2,4−ジヒドロキシ−6−クロロ−
S−トリアジン塩のような活性ハロゲンを有する化合
物、ジビニルスルホン、ジビニルケトンやN,N,N−
トリアクリロイルヘキサヒドロトリアジン、活性な三員
環であるエチレンイミノ基やエポキシ基を分子中に二個
以上有する化合物類、高分子硬膜剤としてのジアルデヒ
ド澱粉等の種々の化合物の1種もしくは2種以上を用い
ることができる。
【0059】本発明に係わる平版印刷原版の親水性層に
は、印刷地汚れ性を防止する目的でチタニア、コロイダ
ルシリカ、アルミナゾル、ジルコニアゾル等の無機ゾル
を含有させることができるし、その他の無機物について
も含有させることができる。含有させる割合は、印刷に
用いる印刷インキや湿し水等や印刷速度や印刷圧など各
種条件により適宜所望の範囲で決められる。
【0060】また、本発明に係わる平版印刷原版の親水
性層を塗設するために、助剤としてアニオン系、カチオ
ン系もしくはノニオン系界面活性剤のいくつかを用いて
も良いし、マット剤、増粘剤、帯電防止剤等を用いるこ
ともできる。
【0061】本発明においては、銀錯塩拡散転写法によ
る物理現像による方法を用いて銀薄膜を形成する。この
方法では、印刷版として使用する際に画像部となる銀薄
膜は、微少な粒状の金属銀からなり、表面に親油性化合
物を吸着させることもできることから、他の方法に比べ
てインキ乗りが良好となり、陽極酸化されたアルミベー
スがガム引きにより親水性化されることにより、PS版
に匹敵する印刷性能を得ることができる。
【0062】本発明においては、上記支持体上に物理現
像核層を設けることが好ましい。物理現像核層は物理現
像核、及び、必要に応じて親水性ポリマーからなる。物
理現像核としては銀、アンチモン、ビスマス、カドミウ
ム、コバルト、鉛、ニッケル、パラジウム、ロジウム、
金、白金等の金属コロイド微粒子や、これらの金属の硫
化物、多硫化物、セレン化物、又はそれらの混合物、混
晶であっても良い。物理現像核層中には親水性ポリマー
を含んでいてもいなくても良いが、該親水性ポリマーと
しては、ゼラチン、澱粉、ジアルデヒド澱粉、カルボキ
シメチルセルロース、アラビアゴム、アルギン酸ナトリ
ウム、ヒドロキシエチルセルロース、ポリスチレンスル
ホン酸、ポリアクリル酸ソーダ、ビニルイミダゾールと
アクリルアミドの共重合体、アクリル酸とアクリルアミ
ドの共重合体、ポリビニルアルコール等の親水性高分子
又はそのオリゴマーがあり、その含有量は0.5g/m
2以下であることが好ましい。さらに物理現像核層に
は、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、カテコー
ル等の現像主薬や、ホルマリン、ジクロロ−s−トリア
ジン等の公知の硬膜剤を含んでいてもよい。
【0063】本発明において、上記の銀錯塩拡散転写法
を用いる場合好ましい方式がいくつかある。以下、それ
らの中で代表的ないくつかの方式を列挙する。
【0064】第1の方式として、支持体表面上に前述の
物理現像核層を設けたものと、銀錯塩のドナーとしてハ
ロゲン化銀乳剤層を支持体上に塗布したものを物理現像
液を通過させた後、重ね合わせ拡散転写現像することに
より、物理現像核上に銀を析出させ、銀薄膜を形成させ
る。このような方式を用いて銀薄膜を形成する方式を用
いるものとしては、コピラピッド(商品名、アグファ社
製)等がある。
【0065】第2の方式として、上述の物理現像核層を
設けた支持体上に、銀錯塩のドナーとしてハロゲン化銀
乳剤層を塗布したものを物理現像処理を行い、ハロゲン
化銀乳剤層をウォッシュオフさせ、物理現像核上に銀薄
膜を形成させる。モノシートタイプはハロゲン化銀乳剤
層からの拡散距離が小さいので、横方向への拡散が少な
く、高解像力が得られるため好ましい。このような方式
を用いて銀薄膜を形成する方式を用いるものとしては、
シルバーデジプレートSDP−αR(商品名、三菱製紙
(株)製)、シルバーリスSDB(商品名、イー・アイ
・デュポン社製)がある。
【0066】第3の方式として、上述の物理現像核層を
設けた支持体を、ハロゲン化銀溶剤よって溶解された銀
錯塩、及び、還元剤を含む液中に浸漬することにより、
物理現像核上に銀薄膜を形成させる。この方式は、無電
解メッキとして知られている方式でもあり、例えば、特
公昭42−23745号、同43−12862号、特開
平5−287542号公報に記載されている。
【0067】本発明において、必要に応じて用いられる
感光性ハロゲン化銀の種類としては一般に用いられる塩
化銀、臭化銀、ヨウ化銀、塩臭化銀、塩ヨウ化銀、ヨウ
臭化銀、塩臭ヨウ化銀等から選択される。また乳剤のタ
イプとしてはネガ型、ポジ型のいずれでもよく、また感
光性ハロゲン化銀と難溶化した非感光性ハロゲン化銀乳
剤を用いた特開昭54−48544号公報に記載の特殊
なタイプであってもよい。該ハロゲン化銀乳剤には貴金
属増感、硫黄増感、還元増感及びこれらを組み合わせた
増感等、各種の化学増感を施すことができ、更には必要
に応じて増感色素、例えばシアニン、メロシアニン、等
の色素を用いて分光増感する事ができる。さらに公知の
方法によりカブリ防止剤、安定剤、界面活性剤のような
添加剤を含有してもよい。感光性ハロゲン化銀乳剤の詳
細及びその製法については、特開昭49−55402号
公報等の記載事項が参照できる。また必要に応じて、ハ
レーション防止等画像シャープネス向上の目的でオーバ
ー層を設けてもよい。
【0068】本発明において、必要に応じて用いられる
ハロゲン化銀乳剤層の親水性バインダーとしては、ゼラ
チン、ゼラチン誘導体、グラフト化ゼラチン等の各種ゼ
ラチンを用いることができる他、ポリビニルピロリド
ン、各種でんぷん、アルブミン、ポリビニルアルコー
ル、アラビアゴム、ヒドロキシエチルセルロース等の親
水性高分子化合物を含有することができる。ここで用い
るゼラチンとしては、動物のコラーゲンを原料としたゼ
ラチンであれば全て使用できるが、豚皮、牛皮、及び牛
骨から得られるコラーゲンを原料としたゼラチンが好ま
しい。また、ゼラチンの種類も特に制限はないが、石灰
処理ゼラチン及び酸処理ゼラチンの他、特公昭38−4
854号、同39−5514号、同40−12237
号、及び同42−26345号公報、米国特許第2,5
25,753号、同第2,594,293号、同第2,61
4,928号、同第2,763,639号、同第3,11
8,766号、同第3,132,945号、同第3,18
6,846号、同第3,312,553号明細書、英国特
許第1,033,189号明細書等に記載のゼラチン誘導
体等が挙げられ、これらは1種または2種以上を組合わ
せて用いることができる。
【0069】ハロゲン化銀乳剤を用いて銀薄膜を形成さ
せる場合には、ハロゲン化銀乳剤層塗布や銀薄膜生成の
ための現像処理などの製造中は用いるハロゲン化銀乳剤
にカブリがないように暗室で行う。この現像処理は平版
印刷材料の製造後工程として連続的に行うこともでき
る。
【0070】銀薄膜作成のための現像処理液としては、
アルカリ性物質、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム、水酸化リチウム、第三リン酸ナトリウム等、保恒
剤としての亜硫酸塩、ハロゲン化銀溶剤、例えばチオ硫
酸塩、チオシアン酸塩、環状イミド、2−メルカプト安
息香酸、アミン等、粘稠剤、例えばヒドロキシエチルセ
ルロース、カルボキシメチルセルロース等、カブリ防止
剤、例えば臭化カリウム、特開昭47−26201号公
報に記載の化合物等、現像剤、例えばハイドロキノン
類、カテコール、1−フェニル−3−ピラゾリドン等、
現像変性剤、例えばポリオキシアルキレン化合物、オニ
ウム化合物等を含むことが出来る。さらに現像処理液に
は、米国特許第3,776,728号明細書に記載の如
き、表面の銀薄膜のインキ乗りを良くする化合物等を使
用することが出来る。
【0071】本発明に係わる平版印刷材料の物理現像後
の銀薄膜は、任意の公知の表面処理剤でインキ受容性に
変換ないしは受容性を増強させることが好ましい。この
ような処理液としては、例えば特公昭48−29723
号公報、米国特許第3,721,559号明細書等に記
載されている。
【0072】本発明の平版印刷版の製版方法において、
用いられるレーザとしては、炭酸ガスレーザ、窒素レー
ザ、Arレーザ、He/Neレーザ、He/Cdレー
ザ、Krレーザ等の気体レーザ、液体(色素)レーザ、
ルビーレーザ、Nd/YAGレーザ等の固体レーザ、G
aAs/GaAlAs、InGaAsレーザ等の半導体
レーザ、KrFレーザ、XeClレーザ、XeFレー
ザ、Ar2レーザ等のエキシマレーザ等を挙げることが
できる。
【0073】本発明において、レーザ照射による銀薄膜
の除去を促進させる効率(即ち本発明の方法における平
版印刷材料の感度と言える)を向上させるために、物理
現像核層、もしくは、支持体の何れかに光吸収剤を含有
させることができる。こうすることによって、銀薄膜を
レーザ光の一部が透過しても、その下層で吸収させるこ
とにより、熱効率を向上させることが可能となる。
【0074】光吸収剤としては一般的に染料または顔料
であれば良く、例えばカーボンブラック、シアニン、無
金属または金属フタロシアニン、金属ジチオレン、アン
トラキノン等を挙げることができる。
【0075】また粗面化処理され陽極酸化処理されたア
ルミベースに光吸収剤を含有させる場合においては、一
般的に黒染と呼ばれる、化学的あるいは電気化学的な金
属着色法を用いることができ、有機もしくは無機の染料
を浸漬染色により、陽極酸化膜が有する微細な多孔に染
料を導入し、後に封孔処理を行い染色することができ
る。
【0076】
【実施例】以下本発明を実施例により詳説するが、本発
明はその主旨を超えない限り、下記実施例に限定される
ものではない。
【0077】実施例1 幅300mm、厚み0.2mmのA1050タイプアル
ミニウム板帯を1.3m/minの処理速度で移動さ
せ、50℃、4%水酸化ナトリウム水溶液に30秒間浸
漬した後、水洗し、間接給電方式の電解槽に、20℃の
1.5%塩酸を満たし、電源より20A/dm2 、50
Hzの単相交流電流を60秒間流して、交流電解粗面化
し、水洗し、その後60℃、6%硝酸水溶液に30秒間
浸漬してデスマットし、水洗し、その後25℃、20%
硫酸中に60秒間通して5A/dm2 の直流電流で陽極
酸化し、水洗し、その後乾燥して、オフセット印刷版用
アルミベース(アルミベース1)を得た。
【0078】このようにして作製したアルミニウムベー
ス上に、特開昭53−21602号公報の実施例2に記
載の核塗布液(親水性ポリマーとしてはNo.3のアク
リルアミドとイミダゾールとの共重合体4mg/m2
割合で含む)を塗布し、乾燥した。
【0079】不活性ゼラチンの水溶液を60℃に保ち、
強く攪拌しながら、塩化ナトリウムと臭化カリウムの混
合水溶液(臭化カリウム29.5モル%)及び硝酸銀水
溶液を同時に加えることにより、平均粒子サイズ0.2
8μmの塩臭化銀乳剤を調製し、0.5モル%/1モル
Agに相当するヨウ化カリウムを添加し、表面置換させ
た。これらのハロゲン化銀乳剤粒子を含む乳剤層を上記
のアルミ支持体上に塗布し乾燥して、平版印刷材料を作
成した。ハロゲン化銀乳剤は、塩化銀70%、臭化銀2
9.5%、及び、ヨウ化銀0.5%からなる、全粒子の
90重量%が平均粒子サイズの±30%以内にある、単
分散の塩ヨウ臭化銀乳剤であった。
【0080】このようにして得られた平版印刷材料を未
露光で、下記の拡散転写現像液1で23℃15秒現像を
行なった後、直ちに流水でゼラチン層を洗い流し(ウォ
ッシュオフ)して、銀薄膜を露出させた平版印刷原版を
作製した。
【0081】 <拡散転写現像液1> 水酸化ナトリウム 25g 亜硫酸ナトリウム 100g ハイドロキノン 25g 4−ハイドロキシメチル−4−メチル−1−フェニル− 3−ピラゾリドン 4g エチレンジアミン四酢酸ナトリウム 8g チオ硫酸ナトリウム 8g N−メチルエタノールアミン 50g カルボキシメチルセルロース 5g グリセリン 40g 水を加えて 1,000ml
【0082】このようにして作製した、平版印刷原版1
を波長1064nmの7WのYAGレーザで露光し、露
光後、下記の拭き取り液1をスポンジで湿らせ版面を拭
き取り、平版印刷板1を得た。
【0083】 <拭き取り液1> N−(2−ヒドロキシエチル)−エチレンジアミン 10g 水を加えて1,000mlに調整する。
【0084】このようにして得られた平版印刷版1を、
オフセット印刷機(三菱重工(株)製ダイヤ3H)に装
着し、版面給水方式(ADモード)を用い、湿し水とし
ては日研製アストロマークIII2%にイソプロピルアル
コール2%を加えたものを用い、インキとしては大日本
インキ社製GEOS−G墨のNタイプを用い、印刷を行
った。平版印刷版1はスタートから汚れの無い印刷物が
得られ、耐汚れ性に優れた印刷適正を示した。
【0085】実施例2 下記拭き取り液2を使用した以外は実施例1と同様にし
て平版印刷版2を作製した。実施例1と同様にして印刷
を行ったところ、スタートから汚れの無い印刷物が得ら
れ、耐汚れ性に優れた印刷適正を示した。
【0086】<拭き取り液2> チオ硫酸ナトリウム 8g 亜硫酸ナトリウム 2g 水を加えて1000mlに調整する。
【0087】実施例3 下記拭き取り液3を使用した以外は実施例1と同様にし
て平版印刷版3を作製した。実施例1と同様にして印刷
を行ったところ、スタートから汚れの無い印刷物が得ら
れ、耐汚れ性に優れた印刷適正を示した。
【0088】 <拭き取り液3> N−(2−ヒドロキシエチル)−エチレンジアミン 10g アラビアゴム 10g 85%リン酸 1g 水を加えて1000mlに調整する。
【0089】実施例4 下記拭き取り液4を使用した以外は実施例1と同様にし
て平版印刷版4を作製した。実施例1と同様にして印刷
を行ったところ、スタートから汚れの無い印刷物が得ら
れ、しかもスタート時の画像部のインキ乗りも良好であ
った。
【0090】 <拭き取り液4> N−(2−ヒドロキシエチル)−エチレンジアミン 10g モノエタノールアミン 5g 3−n−オクチル−5−メルカプトオキサジアゾール 0.2g アラビアゴム 10g リン酸2水素ナトリウム 10g 85%リン酸 0.5g 水を加えて1000mlに調整する。
【0091】比較例1 拭き取り液による拭き取りを行わなかった以外は実施例
1と同様にして平版印刷版aを作製した。実施例1と同
様にして印刷を行ったところ、スタート時に残存する銀
の影響と思われる筋状の汚れが発生した。
【0092】比較例2 下記拭き取り液aを使用した以外は実施例1と同様にし
て平版印刷版bを作製した。実施例1と同様にして印刷
を行ったところ、スタート時に残存する銀の影響と思わ
れる筋状の汚れが発生した。
【0093】 <拭き取り液a> アラビアゴム 10g 85%リン酸 1g 水を加えて1000mlに調整する。
【0094】
【発明の効果】以上説明したごとく、本発明の平版印刷
版の製版方法は、明室下でも作業が行える。また、レー
ザを用いての直接描画方法に対応することができ、高解
像性を有する画像を低コストで得ることができ、且つ、
優れた印刷適性を有するという秀逸な効果をもたらす。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に少なくとも親水性層を有し、
    該親水性層上に銀薄膜層を設置してなる平版印刷原版
    を、レーザ露光により銀薄膜層を加熱して前記親水性層
    を露出させ、拭き取り液にて露光後の版面を拭き取る平
    版印刷版の製版方法において、拭き取り液に銀を溶解す
    る成分を有することを特徴とする平版印刷版の製版方
    法。
  2. 【請求項2】 前記拭き取り液に親水性ポリマーを含有
    することを特徴とする請求項1に記載の平版印刷板の製
    版方法。
  3. 【請求項3】 前記拭き取り液に1〜30重量パーセン
    トの疎水性化合物を含有することを特徴とする請求項1
    または2に記載の平版印刷版の製版方法。
  4. 【請求項4】 前記疎水性化合物が、メルカプト基及び
    一つ以上の疎水性置換基を有する疎水性化合物であるこ
    とを特徴とする請求項3に記載の平版印刷版の製版方
    法。
  5. 【請求項5】 前記銀薄膜層が、該支持体上に物理現像
    核層を設けた後、銀錯塩拡散転写法を用いて形成させる
    ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記
    載の平版印刷版の製版方法。
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